(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記差が前記第1領域に含まれる場合には、前記差に関わらず前記絞り及び前記露光時間を同じ状態として前記部品の撮像を行うよう前記撮像部を制御する、
請求項2に記載の実装装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。
図1は実装装置10の斜視図、
図2は実装装置10の制御に関わる構成を示すブロック図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図1に示した通りとする。
【0014】
実装装置10は、基台12と、基台12の上に設置された実装装置本体14と、実装装置本体14に装着された部品供給装置としてのリールユニット70とを備えている。
【0015】
実装装置本体14は、基台12に対して交換可能に設置されている。この実装装置本体14は、基板16を搬送したり保持したりする基板搬送装置18と、XY平面を移動可能なヘッド24と、ヘッド24に取り付けられZ軸へ移動可能なメカニカルチャック40と、メカニカルチャック40に把持された部品を撮像するパーツカメラ50と、各種制御を実行するコントローラ60とを備えている。
【0016】
基板搬送装置18は、
図1の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に延びる支持板20,20と、両支持板20,20の互いに対向する面に設けられたコンベアベルト22,22(
図1では片方のみ図示)とを備えている。コンベアベルト22,22は、支持板20,20の左右に設けられた駆動輪及び従動輪に無端状となるように架け渡されている。基板16は、一対のコンベアベルト22,22の上面に乗せられて左から右へと搬送される。この基板16は、多数立設された支持ピン23によって裏面側から支持されている。
【0017】
ヘッド24は、X軸スライダ26の前面に取り付けられている。X軸スライダ26は、前後方向にスライド可能なY軸スライダ30の前面に、左右方向にスライド可能となるように取り付けられている。Y軸スライダ30は、前後方向に延びる左右一対のガイドレール32,32にスライド可能に取り付けられている。Y軸スライダ30の前面には、左右方向に延びる上下一対のガイドレール28,28が設けられ、このガイドレール28,28にX軸スライダ26が左右方向にスライド可能に取り付けられている。ヘッド24は、X軸スライダ26が左右方向に移動するのに伴って左右方向に移動し、Y軸スライダ30が前後方向に移動するのに伴って前後方向に移動する。なお、各スライダ26,30は、それぞれ駆動モータ26a,30a(
図2参照)により駆動される。また、ヘッド24は、Z軸モータ34を内蔵し、Z軸に沿って延びるボールネジ36に取り付けられたメカニカルチャック40の高さをZ軸モータ34によって調整する。
【0018】
メカニカルチャック40は、部品を把持することで部品の保持が可能な機構である。メカニカルチャック40は、ヘッド24に対してZ軸方向に相対移動が可能に取り付けられたチャック本体41と、チャック本体41の下方に取り付けられた前後一対の把持部42と、を備えている。また、メカニカルチャック40は、チャック本体41の底面に取り付けられて一対の把持部42を互いに近接及び離間する方向にスライド可能な図示しないスライダと、このスライダを駆動する駆動モータ43と、を備えている。駆動モータ43により把持部42が互いに接近することで、把持部42は部品を把持する。また、Z軸モータ34によってメカニカルチャック40がZ軸方向に沿って昇降することで、把持部42に把持された部品の高さが調整される。
【0019】
パーツカメラ50は、基板搬送装置18の前側の支持板20の前方に配置されている。パーツカメラ50は、パーツカメラ50の上方が撮像範囲であり、メカニカルチャック40に保持された部品を下方から撮像して画像を生成する。パーツカメラ50は、
図1に示すように、上下面が開口した逆八角錐台のハウジングの内面に取り付けられた多数のLEDを有する照明部51と、ハウジングの下方に配置されたカメラ本体52とを備えている。カメラ本体52は、レンズ53と、絞り機構54と、シャッター機構55と、撮像素子56と、撮像制御部57と、を備えている。絞り機構54は、レンズ53を通過して撮像素子56に入光する光の光量を調整する。シャッター機構55は、レンズ53及び絞り機構54と撮像素子56との間に配置され、レンズ53を通過した光を通過させるか遮蔽するかを切り替えることで、撮像時の撮像素子56の露光時間を調整する。なお、
図1ではレンズ53は1つのみ図示しているが、パーツカメラ50が有するレンズ53は複数であってもよい。撮像素子56は、レンズ53,絞り機構54,及びシャッター機構55を通過した後の光を受光すると、その光を光電変換して、画像中の各々の画素に対応する電荷を生成する。撮像素子56は、例えばCMOSイメージセンサとしてもよい。撮像制御部57は、撮像素子56で生成された電荷を読み出して各々の画素の情報を含むデジタルデータである画像データを生成する。また、撮像制御部57は、パーツカメラ50全体を制御する。具体的には、撮像制御部57は、照明部51に制御信号を出力して照明部51からの光の照射を制御したり、絞り機構54に制御信号を出力して絞りを調整したり、シャッター機構55に制御信号を出力して撮像時の露光時間を調整したりする。また、撮像制御部57は、生成した画像データをコントローラ60に出力する。
【0020】
コントローラ60は、
図2に示すように、CPU61を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM62、各種データを記憶するHDD63、作業領域として用いられるRAM64、外部装置と電気信号のやり取りを行うための入出力インターフェース65などを備えており、これらはバス66を介して接続されている。このコントローラ60は、基板搬送装置18、X軸スライダ26の駆動モータ26a、Y軸スライダ30の駆動モータ30a、及びメカニカルチャック40の駆動モータ43へ駆動信号を出力する。また、コントローラ60は、撮像時の撮像条件としての絞りと露光時間に関する情報をパーツカメラ50に出力したり、パーツカメラ50からの画像データを入力したりする。なお、図示しないが、各スライダ26,30には図示しない位置センサが装備されており、コントローラ60はそれらの位置センサからの位置情報を入力しつつ、各スライダ26,30の駆動モータ26a,30aを制御する。
【0021】
リールユニット70は、複数のリール72を備え、実装装置本体14の前側に着脱可能に取り付けられている。各リール72には、テープが巻き付けられ、テープの表面には、部品がテープの長手方向に沿って保持されている。これらの部品は、テープの表面を覆うフィルムによって保護されている。こうしたテープは、リールから後方に向かって巻きほどかれ、フィーダ部74においてフィルムが剥がされて部品が露出した状態となる。この露出した状態の部品をメカニカルチャック40の把持部42が把持することで、部品はメカニカルチャック40に保持されてヘッド24と共に移動可能になる。
【0022】
管理コンピュータ80は、実装装置10の生産ジョブを管理するコンピュータであり、実装装置10のコントローラ60と通信可能に接続されている。なお、生産ジョブは、実装装置10においてどの部品をどういう順番でどの基板16に装着するか、また、何枚の基板16に部品の実装を行うかなどを定めた情報である。管理コンピュータ80は、この生産ジョブを記憶しており、生産ジョブに含まれる情報を必要に応じて実装装置10に出力する。
【0023】
次に、本実施形態の実装装置10の動作、特に、パーツカメラ50を用いた部品の撮像を伴って部品を基板16に実装する処理について説明する。
図3は、部品実装処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図4は、条件決定用テーブルの説明図である。
図5〜7は、パーツカメラ50の被写界深度と部品90中の撮像対象である先端部92との位置関係の説明図である。なお、
図5は0≦D≦Dbの場合の説明図、
図6はDb<D≦Daの場合の説明図、
図7はDa<Dの場合の説明図である。差D,値Da,Dbについては後述する。
図5〜7中の「DOF」は、被写界深度(Depth of Field)の意味である。
図3の部品実装処理ルーチン及び
図4の条件決定用テーブルは、HDD63に記憶されている。
図3の部品実装処理ルーチンは、管理コンピュータ80からの指令を受けるとコントローラ60により開始される。
【0024】
コントローラ60のCPU61は、部品実装処理ルーチンを開始すると、まず、これから実装しようとする実装対象の部品中の撮像対象の高さに関する情報として、部品の撮像対象高さに関する情報及び最下端高さに関する情報を取得する(ステップS100)。以降は、実装対象の部品が
図5〜7に示した部品90である場合を例として説明する。部品90は、複数の部品間を電気的に接続するコネクタである。部品90は、基板16に挿入される複数のコネクタピン91と、複数のコネクタピン91と一対一に導通する複数のコネクタピン93と、を備えている。部品90は、このコネクタピン91,93を介して、例えば基板16上の部品と、基板16上とは異なる位置に配置された他の部品と、を接続する。コネクタピン91の軸方向(
図5〜7では上下方向)とコネクタピン93の軸方向(
図5〜7)では左右方向)とは互いに垂直になっている。部品90は、コネクタピン91の先端部92(
図5〜7では下端部)よりも下方に突出した突出部94を有しており、突出部94の下端が部品90の最下端となっている。また、パーツカメラ50による部品90中の撮像対象は先端部92である。このように、部品90は、部品90中の撮像対象(先端部92)が部品90の最下端とは異なる高さに位置している。部品90の撮像対象高さ及び最下端高さに関する情報は生産ジョブに含まれており、ステップS100では、CPU61は管理コンピュータ80からこれらの情報を取得する。なお、本実施形態では、最下端高さに関する情報は、具体的には部品の厚さ(高さ)の値すなわち部品の最上端から最下端(ここでは突出部94の下端)までの上下方向の距離とした。また、撮像対象高さに関する情報は、具体的には部品の最上端から撮像対象(ここでは先端部92)までの上下方向の距離とした。なお、部品90に限らず、部品種毎の撮像対象高さ及び最下端高さに関する情報は生産ジョブに含まれている。
【0025】
続いて、CPU61は、ステップS100で取得した情報に基づいて、実装対象の部品の最下端の高さと撮像対象の高さとの差Dを導出する(ステップS110)。例えば実装対象が部品90の場合には、
図5〜7に示すように、先端部92と突出部94の下端との上下方向の距離が差Dとして導出される。次に、CPU61は、導出された差D及び
図4に示す条件決定用テーブルに基づいて、撮像距離H及び撮像時の絞りを決定する(ステップS120)。なお、撮像距離Hは、
図5〜7に示すように、パーツカメラ50の最上端と実装対象の部品の最下端(図では突出部94の下端)との上下方向(高さ方向)の距離である。
図4の条件決定用テーブルは、差Dと撮像距離Hとの対応関係,及び差Dと撮像時の絞りとの対応関係を含むテーブルである。ステップS120では、CPU61は、この条件決定用テーブルにおいて差Dに対応付けられた撮像距離H及び撮像時の絞りを読み出して、読み出した値を撮像距離H及び撮像時の絞りに決定する。これにより、CPU61は、部品中の撮像対象をパーツカメラ50の被写界深度内に収めることができると共に、絞りをなるべく開き且つ部品とパーツカメラ50との干渉(接触)を避けられるように、撮像距離H及び撮像時の絞りを決定する。
【0026】
ここで、条件決定用テーブルについて説明する。条件決定用テーブルは、
図4に示すように、差Dが比較的小さい(ここでは0≦D≦Da)である第1領域と、差Dが比較的大きい(ここではDa<D)である第2領域とを有している。値Daは、第1領域と第2領域との境界値であり、パーツカメラ50の絞り機構54の絞りを最大絞り(最も絞りを開いた状態)とした場合の被写界深度内に、パーツカメラ50と部品とが干渉することなくその部品の撮像対象を収められるような差Dの値の上限値として設定されている。なお、絞りを開くほど被写界深度は浅くなる、すなわち被写界深度のうちパーツカメラ50に最も近い位置とパーツカメラ50から最も遠い位置とのパーツカメラ50の光軸方向の距離(
図5〜7における被写界深度の上端と下端との上下方向距離)が小さくなる。そのため、最大絞りの状態とは、パーツカメラ50の被写界深度が最も浅くなった状態である。また、本実施形態では、パーツカメラ50と部品との干渉を避けることのできる撮像距離Hの下限として距離Hmin(>0)が設定されている。距離Hminは、パーツカメラ50と部品とが接触する状態(撮像距離H=0)にマージンを加えた値であり、例えば1mmなどに設定されている。CPU61は、H≧Hminを満たすように撮像距離Hを設定すれば、パーツカメラ50と部品との干渉が避けられるとみなす。以上のことから、本実施形態では、最大絞りのときの被写界深度の上端とパーツカメラ50の最上端との高さ方向の距離(
図5,6に示した距離La)と、距離Hminと差Dとの和と、が等しくなる場合の差Dの値が、値Daとなる。すなわちDa=La−Hminである。そして、
図4に示すように、条件決定用テーブルでは、差Dが第1領域に含まれる場合には、絞りは差Dに関わらず同じ状態(ここでは最大絞り)が対応付けられている。差Dが第2領域に含まれる場合には、差Dが大きくなるほど絞りを絞る傾向で、差Dと絞りとが対応付けられている。本実施形態では、差Dが第2領域に含まれる場合には、差Dが大きくなるほどステップ関数的に絞りを絞るように、差Dと絞りとが対応付けられているものとした。また、差Dが第1領域に含まれる場合と第2領域に含まれる場合とでは、第1領域に含まれる場合の方が絞りを開いた状態となるように、差Dと絞りとが対応付けられている。また、条件決定用テーブルでは、差Dが第1領域に含まれる場合には、差Dが大きくなるほど撮像距離Hが小さくなる傾向で、差Dと撮像距離Hとが対応付けられている。差Dが第2領域に含まれる場合には、撮像距離Hは差Dに関わらず同じ値(ここでは距離Hmin)が対応付けられている。また、差Dが第2領域に含まれる場合の撮像距離Hは、第1領域に含まれる場合における撮像距離Hの最小値(
図4では距離Hmin)以下となるように(
図4では等しくなるように)、差Dと撮像距離Hとが対応付けられている。
【0027】
また、条件決定用テーブルでは、差Dが値Db以下(ただし0<Db<Da)であるか値Dbより大きいかによって、第1領域が2つに分けられている。値Dbは、パーツカメラ50の絞り機構54の絞りを最大絞りとした場合の被写界深度内でも最もピントの合う位置に、その部品の撮像対象の高さを一致させられるような差Dの値の上限値として設定されている。より具体的には、最大絞りのときの被写界深度内で特にピントの合う位置とパーツカメラ50の最上端との高さ方向の距離(
図5に示した距離Lb)と、距離Hminと差Dとの和と、が等しくなる場合の差Dの値が、値Dbとなる。すなわちDb=Lb−Hminである。条件決定用テーブルでは、差Dが値Db以下の場合には、差Dに対応する撮像距離Hは距離Hmin以上の値となっている。そして、差Dが値Db以下の場合には、差Dが大きくなるほど撮像距離Hが小さくなる傾向で、差Dと撮像距離Hとが対応付けられている。より具体的には、差Dが値Db以下の場合には、差Dと撮像距離Hとの対応関係は直線(H=Lb−D)で表される関係になっている。また、差Dが第1領域に含まれる場合において、差Dが値Daより大きい場合には、差Dに関わらず撮像距離Hは同じ状態(ここでは距離Hmin)が対応付けられている。なお、第1領域内で差Dに対応する撮像時の絞りは、差Dが値Db以下であるか否かに関わらず同じ状態(ここでは最大絞り)となっている。
【0028】
次に、ステップS120で
図4の条件決定用テーブルを用いて決定された撮像距離H及び撮像時の絞りで撮像を行う場合のパーツカメラ50と部品90との位置関係について、
図5〜7を用いて説明する。まず、部品90の差Dが0≦D≦Dbを満たす場合について、
図5を用いて説明する。この場合は、CPU61は、条件決定用テーブルを用いて、撮像時の絞りを最大絞りに決定し、撮像距離Hの値はH=Lb−Dの関係に基づいて定まる値に決定する。こうすることで、
図5に示すように、撮像対象(ここでは先端部92)の高さが、絞りを最大絞りとした場合の被写界深度内でも最もピントの合う位置(パーツカメラ50から距離Lbの位置)に一致するように、撮像距離Hが決定される。このように、差Dが0≦D≦Dbを満たす場合すなわち第1領域の中でも特に差Dが小さくパーツカメラ50と部品とが干渉しにくい場合には、撮像時の絞りを最大絞りにしつつ撮像対象を被写界深度内に収め、且つ、撮像対象が被写界深度内で最もピントの合う位置に位置するように、撮像距離Hを決定する。
【0029】
続いて、部品90の差DがDb<D≦Daを満たす場合について、
図6を用いて説明する。この場合は、CPU61は、条件決定用テーブルを用いて、差Dの値に関わらず撮像時の絞りを最大絞りに決定し且つ撮像距離Hの値を距離Hminに決定する。こうすることで、
図6に示すように、撮像対象(ここでは先端部92)の高さが、絞りを最大絞りとした場合の被写界深度内に収まるように、撮像距離Hが決定される。ここで、差DがDb<D≦Daを満たす場合とは、第1領域の中では差Dが比較的大きいため撮像対象を被写界深度内で最もピントの合う位置に位置させようとするとパーツカメラ50と部品とが干渉してしまう(ここでは撮像距離H<距離Hminとなる)場合である。このような場合には、CPU61は、撮像対象を最もピントの合う位置には一致させないが、撮像時の絞りを最大絞りにしつつ撮像対象を被写界深度内に収めることができるように撮像距離Hを決定する。
【0030】
次に、部品90の差DがDa<Dを満たす場合について、
図7を用いて説明する。この場合は、CPU61は、条件決定用テーブルを用いて、撮像時の絞りを差Dに対応する状態に決定し、撮像距離Hの値は差Dに関わらず距離Hminに決定する。ここで決定される撮像時の絞りは、
図4に示したように、差Dが第1領域に含まれる場合の絞り(ここでは最大絞り)よりも絞った状態となる。そのため、
図7に示すように、差DがDa<Dを満たす場合の被写界深度(
図7の二点鎖線の範囲)は、最大絞りの場合の被写界深度(
図7の破線の範囲)と比べて深くなる。こうすることで、
図7に示すように、撮像対象(ここでは先端部92)の高さが被写界深度内に収まるように、撮像時の絞りが決定される。ここで、差DがDa<Dを満たす場合とは、差Dが比較的大きいため絞りを最大絞りとした状態で撮像対象を被写界深度内に収めようとするとパーツカメラ50と部品とが干渉してしまう(ここでは撮像距離H<距離Hminとなる)場合である。このような場合には、CPU61は、絞りを最大絞りよりも絞ることを許容して、撮像対象を被写界深度内に収めることができるような撮像時の絞りを決定する。なお、
図4に示したステップ関数的な差Dと撮像時の絞りとの対応関係は、撮像距離Hが距離Hminである場合に、差Dの値に対応する絞りで定まる被写界深度内に撮像対象を収めることができるように、予め定められている。
【0031】
このようにステップS120で撮像距離H及び撮像時の絞りを決定すると、CPU61は、決定した絞りに基づいて露光時間を決定する(S130)。ここで、絞りを絞るほど、単位時間あたりの光量不足を補うため露光時間は長くする必要がある。ステップS130では、CPU61は、予めHDD63に記憶された絞りと適切な露光時間との対応関係に基づいて、決定した絞りに応じた露光時間を決定する。この対応関係は、本実施形態では数式(換算式)の形式でHDD63に記憶されているものとした。ただし、これに限らず絞りと露光時間とを対応付けたテーブルをHDD63に記憶しておき、このテーブルに基づいて露光時間を決定してもよい。ステップS120及びS130を行うことで、パーツカメラ50の撮像時の撮像距離H及び撮像条件(絞り及び露光時間)が決定される。
【0032】
続いて、CPU61は、部品の実装を行う(ステップS140〜S180)。すなわち、CPU61は、まず、リールユニット70,X軸スライダ26,Y軸スライダ30,及びZ軸モータ34を制御して、リールユニット70によって供給される実装対象の部品をメカニカルチャック40の把持部42に把持させる(ステップS140)。続いて、CPU61は、メカニカルチャック40に把持された部品の撮像距離HがステップS120で決定した値になるようにZ軸モータ34を制御してメカニカルチャック40を上昇させながら、X軸スライダ26及びY軸スライダ30を制御してメカニカルチャック40をパーツカメラ50の上方へ移動させる(ステップS150)。なお、例えばフィーダ部74の部品供給位置が撮像距離Hで定まる高さよりも高い場合には、CPU61はフィーダ部74と干渉しない高さまでメカニカルチャック40を上昇させた後に、メカニカルチャック40を撮像距離Hまで下降させればよい。次に、CPU61は、メカニカルチャック40に把持された部品がパーツカメラ50の真上且つ決定された撮像距離Hで定まる高さに来たときに、決定された撮像条件(絞り及び露光時間)でパーツカメラ50に部品の撮像を行わせる(ステップS160)。パーツカメラ50が撮像を行うと、CPU61は、撮像された画像データに基づいて所定の処理を実行する(ステップS170)。例えば、CPU61は、撮像された画像データに基づいて、メカニカルチャック40に把持された部品中の撮像対象(ここでは先端部92)の位置を検出し、部品を基板16上に配置する際の配置位置の補正量を設定する。また、例えば、CPU61は、撮像された画像データ中の撮像対象と予め記憶された正常な撮像対象とを比較することにより、コネクタピン91の欠損の有無などを判定したりする。このような処理を精度よく行うためには、パーツカメラ50によって撮像される画像中の撮像対象にピントが合っている必要がある。本実施形態では、部品の差Dに基づいて、撮像対象が被写界深度内に収まるようにすなわちピントが合うように撮像距離H及び撮像条件を決定するから、差Dの異なる種々の部品に対して、撮像対象にピントの合った画像を得ることができる。なお、上述したように差Dが0≦D≦Dbを満たす場合には、撮像対象の高さが被写界深度内でも最もピントの合う位置に一致するように撮像距離H及び撮像条件を決定するから、撮像対象によりピントのあった画像を得ることができる。画像データに基づく処理を実行すると、CPU61は、基板16の所定の実装位置にメカニカルチャック40を移動して、その実装位置に部品を配置する(ステップS180)。このとき、上述した画像データに基づく補正量が設定されている場合には、CPU61はその補正量を加味した実装位置に部品を配置する。なお、ステップS170でコネクタピン91に欠損があった場合には、CPU61は、例えばステップS180を行わずにメカニカルチャック40に把持された部品を廃棄してステップS140以降の処理を実行してもよい。
【0033】
なお、実装対象の部品が部品90である場合には、CPU61は、例えば部品90のコネクタピン91を基板16の所定位置の孔に挿入することで、基板16への部品90の配置を行う。また、部品90は突出部94を有しているため、突出部94と基板16とが干渉しないように、部品90の実装位置は基板16上の外縁付近に設定されている。すなわち、実装後の部品90の突出部94及びコネクタピン93は、基板16上以外の領域に位置する。
【0034】
その後、CPU61は、基板16にすべての部品の実装を完了したか否かを判定し(ステップS190)、完了していない場合には、再びステップS100に戻って、残っている部品の実装を行う。一方、ステップS190ですべての部品の実装が完了していた場合には、CPU61は、この部品実装処理ルーチンを終了する。
【0035】
なお、CPU61は、ステップS100〜S130の処理の少なくとも一部を、ステップS140〜S150の少なくとも一部と平行して行ってもよい。
【0036】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のメカニカルチャック40が本発明の部品保持部に相当し、パーツカメラ50が撮像部に相当し、コントローラ60のCPU61が制御部に相当する。また、Z軸モータ34が昇降部に相当する。
【0037】
以上詳述した本実施形態の実装装置10によれば、CPU61は、部品中の撮像対象の高さに関する情報に基づいて撮像対象がパーツカメラ50の被写界深度内に収まるように絞り及び露光時間を決定する。例えば、差Dが第2領域に含まれる場合には、撮像対象がパーツカメラ50の被写界深度内に収まるように、差Dに応じて被写界深度を変更する。そして、決定した絞り及び露光時間でその部品の撮像を行うようパーツカメラ50を制御する。このように、部品中の撮像対象の高さに関する情報に基づいて被写界深度を調整して撮像を行うから、部品中の撮像対象の高さが部品の最下端と一致するか否かに関わらず、撮像対象にピントの合った画像を得ることができる。すなわち、部品に応じた適切な画像を得ることができる。
【0038】
また、実装装置10は、メカニカルチャック40に保持された部品を昇降させて部品の最下端とパーツカメラ50との撮像時の高さ方向の距離である撮像距離Hを調整可能なZ軸モータ34を備えている。また、CPU61、撮像対象の高さに関する情報として、部品の最下端の高さと撮像対象の高さとの差Dに関する情報を導出して取得する。そして、CPU61は、差Dが第1領域に含まれる場合には、差Dが第2領域に含まれる場合よりも絞りを開き且つ露光時間を短くした撮像条件で部品の撮像を行うようパーツカメラ50を制御し、且つその撮像条件における被写界深度内に撮像対象が収まるよう撮像距離HをZ軸モータ34に調整させる。また、CPU61は、差Dが第2領域に含まれる場合には、撮像対象がパーツカメラ50の被写界深度内に収まるように撮像条件を決定し、決定した撮像条件で部品の撮像を行うようパーツカメラ50を制御する。これにより、差Dが第1領域に含まれる場合(差Dが比較的小さい場合)には、Z軸モータ34によって撮像距離Hを調整するから、被写界深度を比較的浅くした状態でも撮像対象を被写界深度内に収めることができる。そのため、被写界深度を比較的浅くした状態すなわち露光時間を比較的短くした撮像条件で撮像を行うことができ、高速に画像を得ることができる。一方、差Dが第2領域に含まれる場合(差が比較的大きい場合)には、絞りを絞り且つ露光時間を長くした状態で部品の撮像を行うから、Z軸モータ34による撮像距離Hの調整を行うのみでは部品の最下端がパーツカメラ50と干渉してしまうような場合でも、撮像対象を被写界深度内に収めることができる。そのため、差Dが大きい場合でも撮像対象にピントの合った画像をより確実に得ることができる。
【0039】
さらに、CPU61は、差Dが第1領域に含まれる場合には、差Dに関わらず絞り及び露光時間を同じ状態として部品の撮像を行うようパーツカメラ50を制御する。すなわち、差Dが第1領域に含まれるときには差Dに応じた撮像条件の調整を行わず、Z軸モータ34の制御のみで撮像対象を被写界深度に収めるようにする。こうすれば、差Dが第1領域に含まれるときには差Dの大きさに関わらず露光時間をなるべく短くして高速に画像を得ることができる。例えば
図4の第1領域において差Dが大きくなるほど撮像時の絞りを絞る傾向に撮像条件を決定するなど、差Dに応じて被写界深度を調整してもよいが、そのような場合は差Dが大きくなるほど露光時間が長くなってしまう。本実施形態では、そのような場合と比較して、差Dの大きさに関わらず露光時間をなるべく短くすることができる。特に、本実施形態では、差Dが第1領域に含まれる場合には差Dに関わらず絞りを最大絞りとして露光時間を最も短くしているから、より高速に画像を得ることができる。
【0040】
さらにまた、CPU61は、差Dが第2領域に含まれる場合には、差Dが第1領域に含まれる場合における撮像距離Hの最小値(ここでは距離Hmin)以下となるように撮像距離Hを調整するようZ軸モータ34を制御する。そのため、差が第2領域に含まれる場合にもZ軸モータ34が撮像距離Hを比較的小さくするから、差Dが比較的大きい場合でも被写界深度をなるべく深くせずにすなわち露光時間をなるべく長くせずに、撮像対象を被写界深度内に収めることができる。例えば、CPU61は、差Dが第2領域に含まれる場合に撮像距離Hを距離Hminより大きい値に決定してもよいが、その場合には撮像距離Hが大きくなる分だけ絞りを絞って被写界深度を深くする必要が生じ、露光時間がその分だけ長い値に決定される。差Dが第2領域に含まれる場合に、差Dが第1領域に含まれる場合における撮像距離Hの最小値以下となるように撮像距離Hを調整することで、このような露光時間の長時間化を抑制できる。特に、本実施形態では、差Dが第1領域に含まれる場合には、撮像距離Hの値を、パーツカメラ50と部品との干渉を避けることのできる撮像距離Hの下限である距離Hminに決定するから、干渉を避けられる範囲で露光時間を最短にしつつ、撮像対象を被写界深度に収めることができる。
【0041】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0042】
例えば、上述した実施形態では、CPU61は、差Dが値Db以下である場合には、撮像対象の高さが、絞りを最大絞りとした場合の被写界深度内でも最もピントの合う位置に一致するように、撮像距離Hを決定したが、これに限られない。差Dが値Db以下である場合も、CPU61は撮像対象を被写界深度内に収められるように撮像距離Hを決定すればよい。例えば、差Dが差Dが値Db以下である場合も、差Dの値に関わらず撮像時の絞りを最大絞りに決定し且つ撮像距離Hの値を距離Hminに決定してもよい。なお、上述した実施形態では、
図6に示すように、撮像距離Hが距離Hminであり且つ絞りが最大絞りの状態において、被写界深度内に部品の最下端(
図6では突出部94の下端)が収まるものとした。これに対し、最大絞りの状態の被写界深度が
図6よりも浅く、部品の最下端(
図6では突出部94の下端)がその被写界深度内に収まらない場合もあり得る。このような場合は、第1領域内において、差Dが小さ過ぎる場合に撮像距離Hを距離Hminに決定すると撮像対象が被写界深度よりもパーツカメラ50側に外れてしまうことになる。このような場合は、CPU61は差Dが小さ過ぎる場合にはその分だけ撮像距離Hを距離Hminよりも大きい値に決定して、被写界深度内に撮像対象が収まるようにすればよい。あるいは、CPU61は差Dが小さ過ぎる場合にはその分だけ絞りを絞って被写界深度を深くして、被写界深度内に撮像対象が収まるようにすればよい。ただし、高速に画像を得ることができるよう、CPU61がなるべく絞りは絞らずに撮像距離Hを変更して被写界深度内に撮像対象を収めることが好ましい。また、上記のような差Dが小さ過ぎる領域は、第1領域とは異なる第3領域とみなしてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、CPU61は、ステップS100において部品の撮像対象高さに関する情報及び最下端高さに関する情報を取得し、ステップS110で差Dを導出したが、これに限られない。例えば、実装対象の部品の差Dを導出するのではなく管理コンピュータ80から直接取得してもよい。なお、CPU61は、差Dを直接取得する場合には、部品の高さに関する情報も取得することが好ましい。
【0044】
上述した実施形態では、パーツカメラ50の高さは固定されており、CPU61はZ軸モータ34により部品を昇降させることで撮像距離Hを調整したが、メカニカルチャック40に保持された部品とパーツカメラ50との少なくとも一方を昇降させて撮像距離Hを調整できればよい。例えば、
図8に示すように、パーツカメラ50の下方に高さ調節機構59を設け、CPU61は高さ調節機構59によりパーツカメラ50を昇降させることで撮像距離Hを調整してもよい。
【0045】
上述した実施形態では、CPU61は
図4の条件決定用テーブルに基づいて撮像距離H及び撮像時の絞りを決定したが、これに限られない。差Dに基づいて撮像距離H及び撮像時の絞りを決定できればよく、例えば、HDD63が条件決定用テーブルの代わりに数式(換算式)を記憶していてもよい。
【0046】
上述した実施形態では、実装装置10は部品を把持するメカニカルチャック40を備えていたが、部品の保持が可能であればこれに限られない。例えば、実装装置10は、メカニカルチャック40に代えて、部品を吸着して保持する吸着ノズルを備えていてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、コントローラ60が撮像条件を決定したが、これに限らず例えば撮像制御部57がコントローラ60から差Dの値を入力して撮像条件を決定してもよい。撮像条件のうち絞りはコントローラ60が決定し、決定した絞りに対応する露光時間を撮像制御部57が決定してもよい。
【0048】
上述した実施形態では、差Dが第1領域に含まれる場合と第2領域に含まれる場合とを区別して説明したが、特にこのような区分がなくともよい。例えば、差Dが第1領域に含まれるか第2領域に含まれる場合かを問わず、差Dに基づいて撮像対象を被写界深度内に収めることができるように撮像条件を変更してもよい。ただし、高速に画像を得ることができるよう、上述した実施形態のようにCPU61はなるべく絞りを絞らずに撮像距離Hを変更して被写界深度内に撮像対象を収めるようにし、撮像距離Hの変更だけでは被写界深度内に撮像対象を収めることができない場合に撮像条件を変更することが好ましい。
【0049】
上述した実施形態では、パーツカメラ50は部品を下方から撮像したが、これに限らず上方から撮像してもよい。この場合、部品の最上端とパーツカメラ50との高さ方向の距離が撮像距離Hとなる。また、部品の最上端と撮像対象との高さの差が差Dとなり、CPU61は、撮像対象の高さに関する情報として、この差Dに関する情報を取得してもよい。
【0050】
上述した実施形態では、CPU61は、撮像対象の高さに関する情報として、部品の最下端の高さと撮像対象の高さとの差Dに関する情報を取得したが、これに限らず部品中の撮像対象の高さに関する情報を取得すればよい。例えば、上述した実施形態において差Dが比較的小さいなど、部品中の撮像対象が被写界深度内に収まっている状態で部品の最下端がパーツカメラ50と干渉してしまうおそれがない場合を考える。このような場合には、CPU61は、撮像対象の高さに関する情報として、部品の最下端の高さに関する情報は取得せず撮像時の部品の撮像対象の高さを取得し、取得した撮像対象の高さに基づいて撮像対象が被写界深度内に収まるように絞り及び露光時間を決定してもよい。