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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871935
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】体外診断用自動分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   G01N35/04 G
【請求項の数】16
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-545984(P2018-545984)
(86)(22)【出願日】2017年2月28日
(65)【公表番号】特表2019-507350(P2019-507350A)
(43)【公表日】2019年3月14日
(86)【国際出願番号】FR2017050440
(87)【国際公開番号】WO2017149234
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2020年1月29日
(31)【優先権主張番号】1651736
(32)【優先日】2016年3月1日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515124543
【氏名又は名称】アルテイオン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パラジュオー ベルトラン
【審査官】 山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−139687(JP,A)
【文献】 特開平08−075861(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0258566(US,A1)
【文献】 特開2011−137640(JP,A)
【文献】 実開平01−142861(JP,U)
【文献】 特開2015−113188(JP,A)
【文献】 実開昭57−144059(JP,U)
【文献】 特開平11−160325(JP,A)
【文献】 特開平03−292880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 − 35/10
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外診断用自動分析システム(1)であって、
各々がベース(6)を備え、分析対象の生体液体サンプルを収容することを目的とする複数の反応キュベット(4)を保存する保存機器(3)と、
1つの反応キュベット(4)を少なくとも部分的に受容および収容するように構成された少なくとも1つの受容キャビティ(48,59)を有する少なくとも1つのサンプル処理ステーション(44,57,64,68)と、
前記反応キュベット(4)を変位させるように構成された変位機器(22)と、を備え、
前記少なくとも1つの受容キャビティ(48,59)は、前記反応キュベット(4)を該少なくとも1つの受容キャビティに導入可能に構成された下向きに開口する下部導入口(49,60)を有し、
前記変位機器(22)はさらに、前記反応キュベット(4)を前記保存機器(3)から取り出すように構成されるとともに、各々の前記下部導入口(49,60)を経由して、該反応キュベット(4)を前記少なくとも1つのサンプル処理ステーション(44,57,64,68)の前記少なくとも1つの受容キャビティ(48,59)に装填したり、該少なくとも1つの受容キャビティ(48,59)から取り出したりするように構成されており、
前記変位機器(22)は、
略水平である第1の変位方向(D1)に従って移動可能に装着された第1の支持要素(23)と、
前記第1の変位方向(D1)に略直交する略水平である第2の変位方向(D2)に従って移動可能に前記第1の支持要素(23)上に装着された第2の支持要素(24)と、
略垂直である第3の変位方向(D3)に従って移動可能に前記第2の支持要素(24)上に装着された駆動部材(25)と、を有し、
前記駆動部材(25)は、前記反応キュベット(4)の前記ベース(6)と協働するように構成されるとともに、駆動動作を該反応キュベット(4)に伝達するように構成されており、
前記変位機器(22)は、前記少なくとも1つのサンプル処理ステーション(44,57,64,68)の下に配置されることを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
前記変位機器(22)は、デカルト変位により、前記反応キュベット(4)を変位させるように構成されていることを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
各前記反応キュベット(4)の前記ベース(6)は、下向きに開口する受容ハウジング(18)を備え、
前記駆動部材(25)は、前記反応キュベット(4)の前記受容ハウジング(18)に少なくとも部分的に受容されるように構成されていることを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか1つに記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
前記変位機器(22)は、前記反応キュベット(4)の変位中に、該反応キュベット(4)を前記駆動部材(25)上に保持する吸引手段を備えることを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1つに記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
前記受容キャビティ(48,59)の各々は、前記受容キャビティに受容された前記反応キュベット(4)を保持するように構成された少なくとも1つの保持要素を備えることを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1つに記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
前記保存機器(3)に保存されることを目的とする前記反応キュベット(4)は、可撓性封止フィルム(19)によって互いに接続されることで反応キュベットプレートを形成し、
前記プレートの前記反応キュベット(4)はマトリックス状に配置され、
前記可撓性封止フィルム(19)は、前記反応キュベット(4)の開口部(10)を封止することを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項7】
請求項に記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
前記可撓性封止フィルム(19)は、複数の封止部(21)の範囲を定める複数の刻み線(20.1,20.2)を有し、
前記封止部(21)の各々は、各前記反応キュベット(4)の開口部(10)を封止することを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項8】
請求項に記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
前記変位機器(22)は、前記保存機器(3)に保存された前記反応キュベット(4)を持ち上げることによって、各々の前記封止部(21)の範囲を定める前記刻み線(20.1,20.2)を破るように構成されていることを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項9】
請求項に記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
前記保存機器(3)は、通路孔(35)を有する止め部材(34)を備え、
前記保存機器(3)は、前記保存機器(3)に保存された前記反応キュベット(4)を前記変位機器(22)が持ち上げる間、前記止め部材(34)が持ち上げられた該反応キュベット(4)に隣接する複数の反応キュベット(4)の位置を固定するとともに、前記通路孔(35)が持ち上げられた該反応キュベット(4)の少なくとも一部を通過させることができるように構成されていることを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか1つに記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
各々の前記反応キュベット(4)は、その側壁の各々に、隣接する反応キュベット(4)と協働するように構成された少なくとも1つの位置決めリブ(15)を有することにより、2つの隣接する反応キュベット(4)の開口部(10)間に少なくとも1つの空間(16)を形成することを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1つに記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
各々が1つの前記反応キュベット(4)を少なくとも部分的に受容および収容するように構成された複数のインキュベーションキャビティ(37)を有するインキュベーション機器(36)を備え、
前記インキュベーションキャビティ(37)の各々は、前記反応キュベット(4)を各々の該インキュベーションキャビティ(37)に導入可能に構成された下向きに開口する下部導入口(38)を備え、
前記変位機器(22)は、各々の前記導入口(38)を経由して、前記反応キュベット(4)を前記インキュベーションキャビティ(37)に装填したり、該インキュベーションキャビティ(37)から取り出したりするように構成されていることを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項12】
請求項11に記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
前記インキュベーション機器(36)は、各々の前記インキュベーションキャビティ(37)内へ開口する複数の上部通路オリフィス(41)を有し、
各々の前記上部通路オリフィス(41)は、前記インキュベーション機器(36)に受容された各々の前記反応キュベット(4)に分析対象の生体液体サンプルおよび/または試薬製品を供給可能な回収針(72)を通過させるためのものであることを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項13】
請求項11または12に記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
前記インキュベーション機器(36)は固定化要素(41)を備え、
前記固定化要素(41)は、導入位置と固定化位置との間を移動可能に装着されており、
前記導入位置では、前記反応キュベット(4)を前記インキュベーションキャビティ(37)に装填したり、該反応キュベット(4)を該インキュベーションキャビティ(37)から取り出したりすることが可能であり、
前記固定化位置では、各々の前記インキュベーションキャビティ(37)から前記反応キュベット(4)が外れることを前記固定化要素(41)が防ぐことを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1つに記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
前記少なくとも1つのサンプル処理ステーションは、測光読取機器、蛍光読取機器、発光読取機器、サイトメトリ計測機器、および凝固計測機器のうち少なくとも1つの機器を含むことを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1つに記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
前記少なくとも1つのサンプル処理ステーションは、測光読取機器(45)と、各々が1つの前記反応キュベット(4)を少なくとも部分的に受容および収容するように構成された複数の受容キャビティ(48)を備えるインキュベータ(46)と、を備える測光読取ステーション(44)を含み、
前記測光読取機器(44)は、前記インキュベータ(46)の前記受容キャビティ(48)に受容された前記反応キュベット(4)の測光読取を行うことが可能であることを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【請求項16】
請求項15に記載の体外診断用自動分析システム(1)において、
前記インキュベータ(46)は、
略垂直な回転軸を持ち、前記複数の受容キャビティ(48)を備えるインキュベーションロータ(47)と、
前記インキュベーションロータ(47)の下に配置された固定支持部(53)と、を備え、
前記固定支持部(53)は、前記インキュベーションロータ(47)に設けられた前記受容キャビティに受容された前記反応キュベット(4)が該インキュベーションロータ(47)の動作によって変位可能である変位軌道(54)の範囲を定め、該変位軌道(52)は環状であるとともに上部が開放されていることを特徴とする体外診断用自動分析システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体外診断用自動分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
既知の方法では、体外診断用自動分析システムは、
分析対象の生体液体サンプルを収容することを目的とする、複数の反応キュベットを保存する保存機器と、
反応キュベットに収容された生体液体サンプルの処理(例えば、希釈、抽出および/または例えば光学測定などの測定)を行うために、反応キュベットを受容することを目的する、複数のサンプル処理ステーションと、
反応キュベットに生体液体サンプルおよび/または試薬製品を供給するように配置された、1または複数の回収分注機器(collection and pipetting device(s))と、
自動分析システムの様々な箇所において、特に、保存機器と異なるサンプル処理ステーションとの間、および異なるサンプル処理ステーション同士の間において、反応キュベットを握持するとともに輸送するように構成された把持機器と、を備える。
【0003】
特に、かかる把持機器は、移動可能かつ垂直に装着された把持ヘッドを備える。より具体的には、把持ヘッドは、反応キュベットを移動させるために、反応キュベットの上に位置するとともに反応キュベットの上部を堅く握持するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
把持機器と回収分注機器との干渉リスクを低減させるため、把持ヘッドを支持する支持体の長さか、回収分注機器の分注アームの長さのどちらかを大きくすることが知られている。しかし、そのように支持体または分注アームを大きくすることは、自動分析システムのコンパクトさ、および信頼性に影響を及ぼす。
【0005】
本発明は、これらの欠点を克服することを目的とする。
【0006】
上記の理由から、本発明の目的とする技術的課題は、このような自動分析システムを使用して行われる測定の最適信頼性を確保しながら、単純でコンパクトな構造を有する体外診断用自動分析システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目標を達成するために、本発明は、体外診断用自動分析システムであって、
各々がベースを備え、分析対象の生体液体サンプルを収容することを目的とする複数の反応キュベットを保存する保存機器と、
1つの反応キュベットを少なくとも部分的に受容および収容するように構成された少なくとも1つの受容キャビティを有する少なくとも1つのサンプル処理ステーションと、
反応キュベットを変位させるように構成された変位機器と、を備え、
少なくとも1つの受容キャビティは、反応キュベットを少なくとも1つの受容キャビティに導入可能に構成された下向きに開口する下部導入口を有し
変位機器はさらに、反応キュベットを保存機器から取り出すように構成されるとともに、各々の導入口を経由して、反応キュベットを少なくとも1つのサンプル処理ステーションの少なくとも1つの受容キャビティに装填したり、該少なくとも1つの受容キャビティから取り出したりするように構成されており、
変位機器は、
略水平である第1の変位方向に従って移動可能に装着された第1の支持要素と、
第1の変位方向に略直交する略水平である第2の変位方向に従って移動可能に第1の支持要素上に装着された第2の支持要素と、
略垂直である第3の変位方向に従って移動可能に第2の支持要素上に装着された駆動部材と、を有し、
駆動部材は、反応キュベットのベースと協働するように構成されるとともに、駆動動作を該反応キュベットに伝達するように構成されている体外診断用自動分析システムに関する。
【0008】
変位機器および少なくとも1つのサンプル処理ステーションのかかる構成によれば、反応キュベットを底部で取り扱うことが可能となるため、自動分析システムに属する変位機器と回収分注機器との間の干渉リスクを回避することが可能となる。これら装置によれば、自動分析システムの信頼性および単純性の大幅な改善が可能となる。
【0009】
また、変位機器および少なくとも1つのサンプル処理ステーションのかかる構成によれば、自動分析システムのコンパクト性を向上し、反応キュベットを分析システムの異なる箇所に迅速、かつ正確に変位させることも、可能となる。
【0010】
さらに、本発明に係る自動分析システムの構成によれば、インキュベーションエリアと計測エリアを分離して実装されているため、それによって異なる温度にすることが可能となる。
【0011】
また、変位機器および少なくとも1つのサンプル処理ステーションのかかる構成によれば、反応キュベットの変位中に反応キュベットが汚染するリスクを制限することが可能となる。
【0012】
自動分析システムは、また、以下の特徴のうちの1つ以上を、個別にまたは組み合わせにより、提供してもよい。
【0013】
本発明の1実施形態によれば、少なくとも1つのサンプル処理ステーションは、体外診断用の、より具体的には、全血検査等の血液検査実施用の、分析および/または計測ステーションによって構成されていてもよい。
【0014】
本発明の1実施形態によれば、変位機器は、少なくとも1つのサンプル処理ステーションの下に配置される。
【0015】
本発明の1実施形態によれば、変位機器は、デカルト変位に応じて、反応キュベットを変位させるように構成される。
【0016】
本発明の1実施形態によれば、駆動部材は、反応キュベットを支持するように構成される。
【0017】
本発明の1実施形態によれば、各反応キュベットのベースは、下向きに開口する受容ハウジングを備え、駆動部材は、反応キュベットの受容ハウジング内に少なくとも部分的に受容されるように構成される。
【0018】
本発明の1実施形態によれば、変位機器は、第1の支持要素を第1の変位方向に従って並進駆動するように構成された第1の並進駆動手段と、第2の支持要素を第2の変位方向に従って並進駆動するように構成された第2の並進駆動手段と、駆動部材を第3の変位方向に従って並進駆動するように構成された第3の並進駆動手段と、を備える。
【0019】
本発明の1実施形態によれば、自動分析システムは、各々が少なくとも1つの受容キャビティを備える複数のサンプル処理ステーションを備える。
【0020】
本発明の1実施形態によれば、変位機器は、反応キュベットの変位中に、該反応キュベットを駆動部材上に保持するように構成された吸引手段を備える。
【0021】
本発明の1実施形態によれば、吸引手段は、駆動部材上に設けられ、真空源に接続されることを目的とする吸引オリフィスを含む。
【0022】
本発明の1実施形態によれば、各受容キャビティは、該受容キャビティに受容された反応キュベットを保持するように構成された少なくとも1つの保持要素(retaining element)を備える。
【0023】
本発明の1実施形態によれば、少なくとも1つの保持要素は、各々の受容キャビティに受容された反応キュベットの側壁との摩擦により協働するように構成される。
【0024】
本発明の1実施形態によれば、保存機器に保存されることを目的とする反応キュベットは、可撓性封止フィルムによって互いに接続されることで反応キュベットプレートを形成し、該プレートの反応キュベットはマトリックス状に配置され、可撓性封止フィルムは、該反応キュベットの開口部を封止する。かかる可撓性封止フィルムがあることにより、一方では反応キュベットが保存機器に装填される前の反応キュベットの取り扱いが容易になり、他方では反応キュベットに収容された液体の蒸発と、反応キュベットおよびその内容物の汚染リスクとを大幅に減少させる。
【0025】
本発明の1実施形態によれば、前記プレートの反応キュベットは並置される。
【0026】
本発明の1実施形態によれば、可撓性封止フィルムは、複数の封止部の範囲を定める複数の刻み線(score lines)を有し、各封止部は、各反応キュベットの開口部を封止する。
【0027】
本発明の1実施形態によれば、可撓性封止フィルムは、反応キュベットの行間に延在する第1系列刻み線と、反応キュベットの列間に延在する第2系列刻み線を有する。好ましくは、第1系列刻み線は、第2系列刻み線に略直交して延在する。
【0028】
本発明の1実施形態によれば、変位機器は、保存機器に保存された反応キュベットを持ち上げることによって、各々の封止部の範囲を定める刻み線を破るように構成される。
【0029】
本発明の1実施形態によれば、保存機器は、通路孔(passage hole)を有する止め部材(stop member)を備え、保存機器は、保存機器に保存された反応キュベットを変位機器が持ち上げる間、止め部材が持ち上げられた反応キュベットに隣接する反応キュベットの位置を固定するとともに、通路孔が持ち上げられた反応キュベットの少なくとも一部を通過させることができるように構成される。
【0030】
本発明の1実施形態によれば、各反応キュベットは、その側壁の各々に、隣接する反応キュベットと協働するように構成された少なくとも1つの位置決めリブ(positioning rib)を有することにより、2つの隣接する反応キュベットの開口部間に少なくとも1つの空間を形成する。位置決めリブは、さらに、反応キュベットの組み付けの前後に、該反応キュベットの光学面を保護するように構成される。
【0031】
本発明の1実施形態によれば、各位置決めリブは、隣接する反応キュベットの位置決めリブと協働することで、少なくとも1つの空間の各々を形成するように構成される。
【0032】
本発明の1実施形態によれば、各反応キュベットの位置決めリブは略平行である。
【0033】
本発明の1実施形態によれば、反応キュベットの各側壁に設けられた少なくとも1つの位置決めリブは、該反応キュベットに対向する側壁に設けられた少なくとも1つの位置決めリブに対して横方向にずれている。これらの配置により、反応キュベットの行列での位置決めが容易になり、かつ、例えば、振動ボウル内で反応キュベットを位置決めする際に、欠陥を自動で発見することが可能となる。
【0034】
本発明の1実施形態によれば、各位置決めリブは、各々の反応キュベットの、高さの少なくとも一部、例えば、略全高にわたって延在する。
【0035】
本発明の1実施形態によれば、可撓性封止フィルムは、反応キュベットの上縁に固定される。例えば、かかる固定は、ボンディング、溶接、またはヒートシーリングによって実現される。
【0036】
本発明の1実施形態によれば、自動分析システムは、各々が少なくとも部分的に1つの反応キュベットを受容および収容するように各々構成された複数のインキュベーションキャビティを備えるインキュベーション機器を備える。各インキュベーションキャビティは、下向きに開口し、反応キュベットを各々のインキュベーションキャビティに導入可能に構成された下部導入口を備える。変位機器は、各々の導入口を経由して、反応キュベットをインキュベーションキャビティに装填したり、該インキュベーションキャビティから取り出したりするように構成されている。特に、複数のインキュベーションキャビティがあることにより、インキュベーション機器に受容された反応キュベットの温度を様々な温度値に設定可能となる。
【0037】
本発明の1実施形態によれば、インキュベーション機器は、各々のインキュベーションキャビティ内へ開口する複数の上部通路オリフィスを有し、各上部通路オリフィスは、インキュベーション機器に受容された各反応キュベットに分析対象の生体液体サンプルおよび/または試薬製品を供給することが可能な回収針(collection needle)を通過させるためのものである。
【0038】
本発明の1実施形態によれば、インキュベーション機器は、固定化要素(immobilization element)を備え、固定化要素は、導入位置と固定化位置との間を移動可能に装着されている。導入位置では、反応キュベットをインキュベーションキャビティに装着したり、反応キュベットをインキュベーションキャビティから取り出したりすることが可能である。固定化位置では、各々のインキュベーションキャビティから反応キュベットが外れることを固定化要素が防ぐ。特に、これらの装置により、反応キュベットに生体液体サンプルおよび/または試薬製品を供給するための回収針が各封止部を穿孔している間に、反応キュベットがインキュベーション機器から外れることを回避することが可能となる。
【0039】
本発明の1実施形態によれば、固定化要素は、導入位置にあるときにはインキュベーションキャビティの導入口を開いた状態にし、固定化位置にあるときにはインキュベーションキャビティの導入口に少なくとも部分的に対向して延在するように構成される。
【0040】
本発明の1実施形態によれば、各インキュベーションキャビティは、反応キュベットを完全に収容するように構成される。
【0041】
本発明の1実施形態によれば、各インキュベーションキャビティは、反応キュベットを実質的に相補的な形状を呈する。これらの装置により、インキュベーションキャビティに受容された反応キュベットとインキュベーション機器との間に広い熱交換面を確保することが可能となり、それによって、該反応キュベットに収容された液体の温度をより良く調節することが可能となる。
【0042】
本発明の1実施形態によれば、固定化要素は、複数の通路口を含む。各通路口は、固定化要素が導入位置にあるときには各々のインキュベーションキャビティの導入口に対向して延在し、固定化要素が固定化位置にあるときには各々のインキュベーションキャビティの導入口に対して横方向にずれるように構成される。
【0043】
本発明の1実施形態によれば、インキュベーション機器のインキュベーションキャビティは、行列マトリックスに従って配置される。
【0044】
本発明の1実施形態によれば、インキュベーション機器は、インキュベーションキャビティに受容された各反応キュベットの温度を、所定の温度範囲に維持するように構成される。好ましくは、インキュベーション機器は、自動温度調節(thermostated)される。
【0045】
好ましくは、各インキュベーションキャビティは、インキュベーション機器の下面に開口する。
【0046】
本発明の1実施形態によれば、少なくとも1つのサンプル処理ステーションは、各々の受容キャビティ内に開口して回収針を通過させるための複数の上部通路オリフィスを備える。
【0047】
本発明の1実施形態によれば、自動分析システムは、少なくとも1つの回収機器を備える。回収機器は、自動分析システムに装填された容器内の分析対象の生体液体サンプルおよび/または試薬製品を回収し、この生体液体サンプルおよび/または試薬製品を反応キュベットに供給し、例えば、この生体液体サンプルおよび/または試薬製品を、インキュベーション機器および/または少なくとも1つのサンプル処理ステーションに受容された反応キュベットに供給するように配置される。
【0048】
本発明の1実施形態によれば、少なくとも1つのサンプル処理ステーションは、測光読取機器(photometric reading device)、蛍光読取機器(fluorescence reading device)、発光読取機器(luminescence reading device)、サイトメトリ計測機器(cytometric measurement device)、および凝固計測機器(coagulation measurement device)のうち少なくとも1つの機器を含む。例えば、少なくとも1つのサンプル処理ステーションは、いくつかの凝固計測機器を含んでいてもよい。
【0049】
本発明の1実施形態によれば、少なくとも1つのサンプル処理ステーションは、測光読取機器と、各々が1つの反応キュベットを少なくとも部分的に受容および収容するように各々構成された複数の受容キャビティを有するインキュベータとを備える測光読取ステーション(photometric reading station)を含む。測光読取機器は、インキュベータの受容キャビティに受容された反応キュベットの測光読み取りを行うことが可能である。
【0050】
本発明の1実施形態によれば、インキュベータは、
略垂直な回転軸を持ち、複数の受容キャビティを備えるインキュベーションロータと、
インキュベーションロータの下に配置された固定支持部と、を備え、
固定支持部は、インキュベーションロータ上に設けられた受容キャビティに受容された反応キュベットが、インキュベーションロータの動作によって変位可能である変位軌道(displacement track)の範囲を定め、該変位軌道は環状であるとともに上部が開放されている。
【0051】
本発明の1実施形態によれば、変位軌道は温度管理される。
【0052】
本発明の1実施形態によれば、固定支持部は、変位軌道へと開口し、反応キュベットが変位機器によってインキュベータに装填される際に通過可能な下部装填開口(lower loading opening)部を備える。
【0053】
本発明の1実施形態によれば、固定支持部は、変位軌道へと開口し、反応キュベットがインキュベータから取り出される際に通過可能な下部取出開口部(lower unloading opening)を備える。
【0054】
本発明の1実施形態によれば、インキュベータは、インキュベーションロータに関連付けられ、インキュベーションロータを回転軸周りに回転駆動するように配置された回転駆動手段を備える。
【0055】
本発明の別の実施形態によれば、測光読取機器は、変位軌道内に受容された反応キュベットの測光読み取りを行う測光器を備える。
【0056】
本発明の1実施形態によれば、インキュベータは固定されており、測光読取機器はインキュベータに対して移動可能に装着され、インキュベータの受容キャビティに受容された反応キュベットの測光読み取りを行うように構成される。本発明のかかる実施形態によれば、インキュベータの受容キャビティは、整列している。
【0057】
本発明の1実施形態によれば、少なくとも1つのサンプル処理ステーションは、洗浄・磁気沈殿ステーション(washing and magnetic sedimentation station)を含む。洗浄・磁気沈殿ステーションは、1つの反応キュベットを少なくとも部分的に受容および収容するように構成された少なくとも1つの受容キャビティを備える。少なくとも1つの洗浄・磁気沈殿ステーションの少なくとも1つの受容キャビティは、下向きに開口し、反応キュベットを該少なくとも1つの受容キャビティに導入可能に構成された下部導入口を備える。変位機器は、各々の導入口を経由して、反応キュベットを該少なくとも1つの受容キャビティに装填したり、該少なくとも1つの受容キャビティから取り出したりするように構成されている。
【0058】
本発明の1実施形態によれば、洗浄・磁気沈殿ステーションは、少なくとも1つの洗浄・磁気沈殿ステーションの少なくとも1つの受容キャビティに受容された反応キュベットに収容された液体を吸い出し、洗浄液を該反応キュベットに導入するように構成された少なくとも1つの分注装置を備える。
【0059】
本発明の1実施形態によれば、洗浄・磁気沈殿ステーションは、永久磁石または電磁石等の少なくとも1つの磁界発生器を備える。
【0060】
本発明の1実施形態によれば、各反応キュベットは、少なくとも1つの対称面を持ち、また、例えば、2つの直交する対称面を有していてもよい。
【0061】
本発明の1実施形態によれば、サンプル処理ステーションは、インキュベーション機器の周りに配置される。
【0062】
本発明の1実施形態によれば、少なくとも1つのサンプル処理ステーションは、PCR増幅・計測ステーション等の分子生物学用増幅・計測ステーションを含む。例えば、PCR増幅・計測ステーションは、蛍光読取機器、または発光読取機器を備えていてもよい。
【0063】
本発明の1実施形態によれば、少なくとも1つのサンプル処理ステーションは、溶出ステーション(elution station)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る自動分析システムの斜視図である。
図2図2は、封止フィルム付きの反応キュベットプレートの部分斜視図である。
図3図3は、封止フィルムなしの反応キュベットプレートの部分斜視図である。
図4図4は、反応キュベットの断面斜視図である。
図5図5は、反応キュベットの斜視図である。
図6図6は、図1の自動分析システムに属する変位機器の斜視図である。
図7図7は、図6の変位機器および保存機器の部分斜視図である。
図8図8は、図6の変位機器および保存機器の部分斜視図である。
図9図9は、図1の自動分析システムに属する、変位機器、インキュベーション機器および異なる処理ステーションを下側から見た斜視図である。
図10図10は、所定の動作位置におけるインキュベーション機器の断面斜視図である。
図11図11は、図10とは異なる動作位置におけるインキュベーション機器の断面斜視図である。
図12図12は、インキュベーション機器を下側から見た部分斜視図である。
図13図13は、図1の自動分析システムに属する測光読取ステーションの斜視図である。
図14図14は、前記測光読取ステーションを下側から見た斜視図である。
図15図15は、前記測光読取ステーションの断面斜視図である。
図16図16は、図1の自動分析システムに属する洗浄・磁気沈殿ステーションの斜視図である。
図17図17は、本発明の第2の実施形態に係る自動分析システムの斜視図である。
図18図18は、図17の自動分析システムに属する変位機器、インキュベーション機器および異なる処理ステーションを下側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
いずれにしても、本発明は、この自動分析システムの2つの実施形態を非限定例として提示する添付の模式図を参照して述べられた以下の説明により、より良く理解されるであろう。
【0066】
図1〜16は、本発明の第1の実施形態に係る体外診断用自動分析システム2を示す。
【0067】
自動分析システム1は、支持構造2と、支持構造2上に装着された不図示の通信・可視化インターフェースと、支持構造2上に装着された不図示の埋め込み式電子機器と、を備える。
【0068】
例えば、通信・可視化インターフェースは、パソコン型コンピュータに接続された触覚画面を備える。より具体的には、パソコン型コンピュータは、操作者が触覚画面を使用して手動で入力した分析要求、または分析実験室の中央装置から発せられる分析要求を記録し、分析要求を埋め込み式電子機器に送信し、計測データを復元し、特定のアルゴリズムにより該データを処理し、その結果を操作者が利用可能な状態にする。
【0069】
自動分析システム1は、複数の反応キュベット4を保存するために構成された保存機器3をさらに備える。好ましくは、保存機器3は、支持構造2に対して垂直に移動する支持トレイ5上に装着される。図1、7、および8に示されるように、反応キュベット4は好ましくは並置され、保存機器3内にマトリックス状に配置される。好ましくは、各反応キュベット4は、光線を通すプラスチック材製である。
【0070】
図2〜5により具体的に示すように、各反応キュベット4は、一般的な平行六面体の形状を呈し、また、ベース6と、上部が開放されて血液サンプル等の分析対象の生体液体サンプルを収容することを目的とする反応キャビティ8を区画する上部7とを備える。より具体的には、各反応キュベット4の上部7の上縁9は、各々の反応キャビティ8内へ開口するキュベット開口部10を区画する。
【0071】
好ましくは、反応キャビティ8は、反応キャビティ8内にある反応液のほとんど全部を容易に吸い上げて、反応キュベット4に残存する量を非常に少なくすることが可能となるように、例えば、反応キャビティ8に対して中央にある、低点12を有する底部11を備える。例えば、底部11は、略円錐形を呈していてもよい。
【0072】
各反応キュベット4は、互いに平行な2つの縦壁13.1,13.2と、互いに平行な横壁14.1,14.2と、をさらに備える。好ましくは、各反応キュベット4の縦壁13.1,13.2と横壁14.1,14.2の各々には、1または複数の位置決めリブ15が設けられる。図示された実施形態によれば、縦壁および横壁の各々には、2つの平行な位置決めリブ15が設けられる。好ましくは、反応キュベット4の各位置決めリブ15は、隣接する2つの反応キュベット4のキュベット開口部10の間に空間16を形成するように、隣接する反応キュベット4の位置決めリブ15と協働するように構成される(図3参照)。好ましくは、各位置決めリブ15は、各々の反応キュベットの全高、または略全高にわたって延在し、また、図5に示すように、上部面取り部17を有していてもよい。
【0073】
図4に示すように、各反応キュベット4のベース6は、把持ハウジングとも称され、下向きに開口する受容ハウジング18を備える。受容ハウジング18の機能は、以下に述べる。
【0074】
図2により具体的に示すように、反応キュベット4は、好ましくは、反応キュベットプレートを形成するように、反応キュベット4のキュベット開口部10を封止する可撓性封止フィルム19により、互いに接続されていてもよい。好ましくは、可撓性封止フィルム19は、合成材料製であり、また、例えば、熱溶接によって、反応キュベット4の上縁9に固定される。
【0075】
図示された実施形態によれば、可撓性封止フィルム19は、各々の反応キュベット4のキュベット開口部10を封止する複数の封止部21の範囲を定める、複数の刻み線20.1,20.2を有する。好ましくは、可撓性封止フィルム19は、反応キュベット4の行間に延在する第1系列刻み線20.1と、反応キュベット4の列間に延在する第2系列刻み線20.2と、を有する。好ましくは、第1系列刻み線20.1は、第2系列刻み線と直交して延在する。
【0076】
自動分析システム1はまた、支持トレイ5の下に配置された、図6〜9により具体的に示された変位機器22を備える。変位機器22は、デカルト変位によって反応キュベット4を変位させるように構成され、また特に、底部によって反応キュベット4を扱うように構成されている。
【0077】
変位機器22は、第1の支持要素23と、第2の支持要素24と、駆動部材25とを備える。第1の支持要素23は、支持構造2に対して第1の変位方向D1に従って移動可能に装着されている。第1の変位方向D1は水平である。第2の支持要素24は、第1の支持要素23上に第2の変位方向D2に従って移動可能に装着されている。第2の変位方向D2は水平であるとともに、第1の変位方向D1に直交している。駆動部材25は、例えば駆動ピンの形態を有し、第2の支持要素24上に第3の変位方向D3に従って移動可能に装着されている。第3の変位方向D3は垂直である、つまり、第1の変位方向D1および第2の変位方向D2に直交している。駆動部材25は、反応キュベット4の受容ハウジング18に導入されるように配置されるとともに、駆動動作を該反応キュベット4に伝達するように配置されている。
【0078】
好ましくは、変位機器22は、第1の支持要素23を第1の変位方向D1に従って並進駆動するように構成された第1の並進駆動手段と、第2の支持要素24を第2の変位方向D2に従って並進駆動するように構成された第2の並進駆動手段と、駆動部材25を第3の変位方向D3に従って並進駆動するように構成された第3の並進駆動手段と、を備える。
【0079】
第1の並進駆動手段は、例えば、
支持構造2上に装着され、第1の変位方向D1に従って水平に延在するガイドレール26(このガイドレール26上に第1の支持要素23がスライド可能に装着されている)と、
第1の支持要素23に接続されるとともに、ガイドレール26に沿って第1の支持要素23をスライド可能に駆動するように配置された、好ましくは刻み目付きのエンドレスベルト27と、
好ましくは刻み目付きのピニオンが設けられた出力軸を有するとともに、エンドレスベルト27を駆動するように配置された駆動モータ28と、を備えてもよい。
【0080】
第2の並進駆動手段は、例えば、
第1の支持要素23上に装着され、第2の変位方向D2に従って水平に延在するガイドレール29(このガイドレール29上に第2の支持要素24がスライド可能に装着されている)と、
第2の支持要素24に接続されるとともに、ガイドレール29に沿って第2の支持要素24をスライド可能に駆動するように配置された、好ましくは刻み目付きのエンドレスベルト30と、
好ましくは刻み目付きのピニオンが設けられた出力軸を有するとともに、エンドレスベルト30を駆動するように配置された駆動モータ31と、を備えていてもよい。
【0081】
第3の並進駆動手段は、例えば、好ましくは刻み目付きのピニオンが設けられた出力軸を有するとともに、駆動部材25上に設けられたラックと協働するように配置された駆動モータを備えてもよい。
【0082】
好ましくは、変位機器22は、反応キュベットの変位中に、反応キュベット4を駆動部材25上に保持するように構成された吸引手段をさらに備える。好ましくは、吸引手段は、駆動部材25の端部に真空を生成するように構成される。例えば、吸引手段は、駆動部材25の端部に設けられ、(不図示の)真空源に接続された吸引オリフィス32を含む。変位機器22による反応キュベット4の変位中、吸引オリフィス32は、該反応キュベット4の受容ハウジング18の底部に対向して配置されるように構成されている。
【0083】
図7および図8により具体的に示されるように、駆動部材25は、少なくとも部分的に保存機器3の下で変位可能であり、変位機器22は、保存機器3に受容された反応キュベット4を、保存機器3から取り出すようになっている。このために、支持トレイ5は、図9に示された通路口33を備える。通路口33は、保存機器3の側縁に沿って、より具体的には、保存機器3に受容された反応キュベット4の一番端の行に沿って延在する。通路口33は、駆動部材25および反応キュベット4の通過が可能な形状を呈する。
【0084】
保存機器3から反応キュベット4を取り出すために、変位機器22は、
駆動部材25を取り出し対象の反応キュベットの下で水平に変位させ、
駆動部材25を垂直方向上向きに変位させることによって、取り出し対象の反応キュベットの反応ハウジング18に駆動部材25を嵌合させて反応キュベット4を持ち上げ、その結果、各封止部21を区画する刻み線20.1,20.2を破り、
駆動部材25に持ち上げられた反応キュベット4が駆動部材25に堅く保持されるように真空源を作動させ(吸引手段に生成された保持力は、圧力センサ等の適切な検知器を使用して検知されてもよい)、
保存機器3から反応キュベット4を抜き取るために、駆動部材25を垂直方向下向きに変位させるように、制御される。
【0085】
好ましくは、取り出し対象の反応キュベットの持ち上げ中に各刻み線を破り易くするために、保存機器3は止め部材34を備える。止め部材34は、持ち上げられた反応キュベットの垂直方向の上方に配置されることを意図された通路孔35を備える。つまり、保存機器3は以下のように構成されている。すなわち、変位機器22が反応キュベット4を持ち上げている間、止め部材34は、持ち上げられた反応キュベットを取り囲む複数の反応キュベット4の位置を固定するとともに、通路孔35は、持ち上げられた反応キュベットの少なくとも一部を通過させることができるように構成されている。各位置決めリブ15の上部面取り部17があることによっても、反応キュベット4の持ち上げ中に刻み線が破れ易くなる。
【0086】
自動分析システム1は、支持トレイ5上に装着されたインキュベーション機器36をさらに備える。図10図12により具体的に示されるように、インキュベーション機器36は複数のインキュベーションキャビティ37を含む金属部を有する。インキュベーションキャビティ37は、行列マトリックスに従って配置され、インキュベーション機器36の下面に向かって開口している。各インキュベーションキャビティ37は、1つの反応キュベット4を少なくとも部分的に受容および収容するように構成される。各インキュベーションキャビティ37は、下向きに開口するとともに、反応キュベット4を各々のインキュベーションキャビティ37に導入可能に構成された下部導入口38を有する。好ましくは、各インキュベーションキャビティ37は、反応キュベット4の形状を略補完する形状を呈する。
【0087】
図示された実施形態によれば、各インキュベーションキャビティ37は、保持ボスまたは保持突起等の2つの保持要素39を備える。これら保持要素39は、各々のインキュベーションキャビティ37に反応キュベット4を保持するように、反応キュベット4の縦壁と協働するように構成されている。好ましくは、各インキュベーション機器37は、反応キュベット4を完全に収容するように構成されている。
【0088】
インキュベーション機器36は、略平面であり、インキュベーションキャビティ37の上部を部分的に封止する上部封止部40を備える。好ましくは、上部封止部40には、上部通路オリフィス41が設けられる。各上部通路オリフィス41は、各々のインキュベーションキャビティ37へと開口している。また、各上部通路オリフィス41は、インキュベーション機器36に受容された反応キュベット4の封止部21を穿孔可能な回収針を通過させて、インキュベーション機器36に受容された各反応キュベット4に分析対象の生体液体サンプルおよび/または試薬製品を供給するためのものである。より具体的には、各通路オリフィス41は、各々のインキュベーションキャビティ37の導入口38に対向して配置される。
【0089】
インキュベーション機器36は、固定化要素42をさらに備える。固定化要素42は、例えば、固定化プレートの形態を有し、複数の通路口43を含む。固定化要素42は、導入位置と固定化位置との間をスライド可能に装着されている。導入位置は、各通路口43が各々の導入口38に対向して延在しており、反応キュベット4がインキュベーションキャビティ37に導入され得る位置である。固定化位置は、各通路口43が各々の導入口38に対して横方向に移動して、反応キュベット4が各々のインキュベーションキャビティ37から外れることを防ぐ位置である。
【0090】
好ましくは、インキュベーション機器36は、自動温度調節されている。より具体的には、インキュベーションキャビティ37に受容された各反応キュベット4の温度を、所定の温度範囲に維持するように構成されている。例えば、インキュベーション機器36は、インキュベーションキャビティ37を加熱するように構成された(不図示の)1または複数の加熱要素を備える。各加熱要素は、1または複数のインキュベーションキャビティ37に関連付けられていてもよい。これらの装置により、所望の場合には、インキュベーション機器36のエリア毎に異なるインキュベーション温度を定義することが可能となる。
【0091】
なお、変位機器22は、各々の導入口38を経由して、1つの反応キュベット4を各インキュベーションキャビティ37に装填したり、各インキュベーションキャビティ37から取り出したりするように構成されるとともに、保存機器3とインキュベーション機器36との間で反応キュベット4を変位させるように構成されている。このために、支持トレイ5は、インキュベーション機器36が部分的に通過して延在する通路口も有する。
【0092】
自動分析システム1はまた、支持トレイ5上に配置された、体外診断用分析ステーションや計測ステーション等の、1または複数のサンプル処理ステーションを備える。好ましくは、これらのサンプル処理ステーションの1つは、例えば、測光読取機器45およびインキュベータ46を備えていてもよい測光読取ステーション44である。
【0093】
図示された実施形態によれば、インキュベータ46は、略垂直な回転軸を持ち、互いに対して角度で(環状に)移動する複数の受容キャビティ48を備えるインキュベーションロータ47を備える(図13図15参照)。各受容キャビティ48は、1つの反応キュベット4を部分的に受容および収容するように構成され、インキュベーションロータ47の下面へと開口する。各受容キャビティ48は、反応キュベット4を各々の受容キャビティ48に導入可能に構成された下向きに開口する下部導入口49を備える。
【0094】
また、インキュベーションロータ47は、複数の上部通路オリフィス51を備える。各上部通路オリフィス51は、各々の受容キャビティ48へと開口している。また、各上部通路オリフィス51は、インキュベーション機器46に受容された各反応キュベット4に分析対象の生体液体サンプルおよび/または試薬製品を供給可能な回収針を通過させるためのものである。より具体的には、各通路オリフィス51は、各々の受容キャビティ48の導入口49に対向して配置される。
【0095】
インキュベータ46はまた、インキュベーションロータ47に関連付けられ、インキュベーションロータ47を回転軸周りに回転駆動するように配置された回転駆動手段を備える。例えば、回転駆動手段は、駆動モータ52を備えていてもよい。
【0096】
インキュベータ46は、インキュベーションロータ47の下に配置される固定支持部53をさらに備える。固定支持部53は、変位軌道54の範囲を定める。変位軌道54では、インキュベーションロータ47上に設けられた受容キャビティ48に受容された反応キュベット4が、インキュベーションロータ48の動作によって変位可能である。好ましくは、変位軌道54は環状であり、上部が開放されている。変位軌道54は、例えば、加熱要素、温度センサ、サーボコントロール等の当業者に既知の手段によって、温度管理される。例えば、加熱要素は、電気抵抗からなるものであってもよい。
【0097】
固定支持部53は、変位軌道54内に開口し、反応キュベット4がインキュベータ46に装填される際に通過可能な下部装填開口部55と、変位軌道54内に開口し、反応キュベット4がインキュベータ46から取り出される際に通過可能な下部取出開口部56と、を備える。好ましくは、下部取出開口部56は、(不図示の)廃棄物容器の上に配置される。
【0098】
好ましくは、測光読取機器45は、変位軌道54に受容された反応キュベット4の測光読み取りを行うように、より具体的には、変位軌道54に受容された各反応キュベット4内の反応液の吸光度を計測するように配置された測光器(光度計)50を備える。
【0099】
なお、変位機器22は、反応キュベット4を各受容キャビティ48に、各々の導入口49を経由して装填および取り出すように構成されるとともに、反応キュベット4を測光読取ステーション44に向かって変位させるように構成されている。このために、支持トレイ5は、インキュベータ46が部分的に通過して延在する通路口も有する。
【0100】
図示はされていないが、本発明の変形例によれば、インキュベータ46は固定されていてもよく、また、整列した受容キャビティ48を備えていてもよい。また、測光読取機器45は、インキュベータ46に対して移動可能に装着されることによって、そのインキュベータの受容キャビティに受容された反応キュベット4の測光読み取りを行ってもよい。
【0101】
自動分析システム1は、支持トレイ5上に装着された洗浄・磁気沈殿ステーション57をさらに備える。図57に示されるように、洗浄・磁気沈殿ステーション57は、互いに対して整列する複数の受容キャビティ59を好ましくは備える沈殿部58を備える。各受容キャビティ59は、1つの反応キュベット4を部分的に受容および収容し、沈殿部58の下面へと開口する。各受容キャビティ59は、下向きに開口する下部導入口60を備え、反応キュベット4を各々の受容キャビティ59に導入可能に構成される。
【0102】
なお、変位機器22は、反応キュベット4を各々の導入口を経由して各受容キャビティ59に装填したり、各受容キャビティ59から取り出したりするように構成されるとともに、反応キュベット4を洗浄・磁気沈殿ステーション57に向かって変位させ、また、例えば、反応キュベット4をインキュベーション機器36から洗浄・磁気沈殿ステーション57へと変位させるように構成されている。
【0103】
沈殿部58は、各々が受容キャビティ59のうちの1つに関連付けられた複数の磁界発生器61をさらに備える。各磁界発生器61は、磁界を生成するように構成され、例えば、永久磁石または電磁石により形成されていてもよい。
【0104】
洗浄・磁気沈殿ステーション57は、各々が受容キャビティ59のうちの1つに関連付けられた複数の分注装置63を備える洗浄部62をさらに備える。各分注装置63は、各々の受容キャビティ59に受容された反応キュベット4に収容された液体を吸い上げて、洗浄液を該反応キュベットに導入するように構成される。
【0105】
つまり、検体結合パートナーで被覆された磁気粒子を含む反応キュベット4が、洗浄・磁気沈殿ステーション57の受容キャビティ59のうちの1つに受容される際、関連付けられた磁界生成器61は、該反応キュベット4に含まれる磁気粒子を、該反応キュベット4の縦壁のうちの1つに対して引き寄せる。反応キュベット4の内容物は、磁気粒子および検体を除いて、関連付けられた分注装置63に吸引される。その後、洗浄液は、磁気粒子を洗浄するために、関連付けられた分注装置63によって反応キュベット4に導入される。所定の継続時間の後、洗浄液は分注装置63に吸引される。反応キュベット4は処理されるとすぐに、変位機器22によってインキュベーション機器36に再導入されるか、変位機器22によって受容キャビティが設けられた分析および/または計測ステーションに導入されてもよい。
【0106】
好ましくは、自動分析システム1は、支持トレイ5上に装着された発光読取ステーション64をさらに備える(図1参照)。発光読取ステーション64は、受容キャビティ48,59と同様の受容キャビティ66を備えた、1つの反応キュベット4を少なくとも部分的に受容および収容するように配置された受容部65を備える。発光読取ステーション64は、受容部65に受容された反応キュベット4に収容された溶液が発する光を計測するルミノメータ(照度計)67をさらに備える。この光は、受容部65に受容された反応キュベット4内に直接分散された誘発試薬、または適切な処理ステーション内の反応キュベット4内に前もって分散された誘発試薬によって生成される。
【0107】
変位機器22はまた、反応キュベット4を発光読取ステーション64に設けられた各受容キャビティに装填したり、各受容キャビティから取り出したりするように構成されるとともに、反応キュベット4を発光読取ステーション64に向かって変位させ、また、例えば、反応キュベット4を洗浄・磁気沈殿ステーション57から発光読取ステーション64へと変位させるように構成されている。発光読取ステーション64において読み取りを行った後、反応キュベット4は、廃棄物容器へ排出されてもよい。
【0108】
自動分析システム1は、支持トレイ5上に装着されたPCR増幅・計測ステーション68(図1参照)をさらに備えていてもよい。好ましくは、PCR増幅・計測ステーション68は、マトリックス状に配置されるとともに、受容キャビティ48,59およびインキュベーションキャビティ37と同様である複数の受容キャビティを備えるインキュベータ69を備える。PCR増幅・計測ステーション68の各受容キャビティは、1つの反応キュベット4を少なくとも部分的に受容および収容するように構成されている。PCR増幅・計測ステーション68はまた、好ましくはマルチヘッドであり、インキュベータ69に沿って並進移動可能に装着された、蛍光または発光読取機器70を備える。インキュベータ69は、一定温度に自動温度調節されるか、または、各々の受容キャビティの温度を変化させることができるように、熱サイクリングシステム(thermocycling system)を装備してもよい。
【0109】
変位機器22はまた、反応キュベット4をPCR増幅・計測ステーション68に設けられた各受容キャビティに装填したり、各受容キャビティから取出したりするように構成されるとともに、反応キュベット4をPCR増幅・計測ステーション68に向かって変位させ、また、例えば、反応キュベット4を洗浄・磁気沈殿ステーション57からPCR増幅・計測ステーション68へと変位させるように構成されている。
【0110】
好ましくは、保存機器3、測光読取ステーション44、発光読取ステーション64、洗浄・磁気沈殿ステーション57、およびPCR増幅・計測ステーション68は、インキュベーション機器36の周りに配置される。
【0111】
自動分析システム1は、1または複数の回収機器71をさらに備える。各回収機器71は、回収針72を備える。また、各回収機器71は、自動分析システム1に装填されたコンテナ73内の分析対象の生体液体サンプルおよび/または試薬製品を回収し、この生体液体サンプルおよび/または試薬製品を反応キュベット4に供給し、また、例えば、インキュベーション機器36、インキュベータ46、およびインキュベータ69に受容された反応キュベット4にこの生体液体サンプルおよび/または試薬製品を供給するように配置されている。
【0112】
なお、自動分析システム1は、例えばサイトメトリ計測ステーション、および/または、1または複数の凝固計測ステーションをさらに含んでいてもよい。
【0113】
自動分析システム1は、回収針72を洗浄するための1または複数の洗浄ウェルをさらに含んでいてもよい。しかし、各回収針72は、洗浄ウェルの使用を不要にするために、使い捨て可能な末端部に置き換えられてもよい。
【0114】
図17は、本発明の第2の実施形態に係る自動分析システム1を示す。第2の実施形態に係る自動分析システム1は、第2の保存機器74と、第2の変位機器75と、第2のインキュベーション機器76と、第2の洗浄・磁気沈殿ステーション77と、溶出ステーション78と、を含む点で、第1の実施形態と本質的に異なる。なお、変位機器75は、反応キュベット4を保存機器74から取り出すように構成されるとともに、反応キュベット4をインキュベーション機器76、洗浄・磁気沈殿ステーション77、および溶出ステーション78に装填したり、これらから取り出したりするように構成されている。
【0115】
保存機器74は、保存機器3に保存し得る反応キュベット4よりも大きいサイズの反応キュベット4を受容するように構成されている点で、保存機器3と本質的に異なる。インキュベーション機器76および第2の洗浄・磁気沈殿ステーション77は、保存機器74に保存された反応キュベット4を受容できるように、より大きな寸法を持つインキュベーションキャビティおよび受容キャビティを備えるという点で、インキュベーション機器36および洗浄・磁気沈殿ステーション57と各々本質的に異なる。なお、第2の変位機器75は、関連付けられた駆動部材が、保存機器73に保存されることを目的とする反応キュベット4に適合する寸法を持つ点のみにおいて変位機器22と異なるが、保存機器73に保存されることを目的とする反応キュベットは、保存機器3に保存されることを目的とする反応キュベット4と同一または略同一の構造を持つ。
【0116】
例えば、保存機器3に保存されることを目的とする反応キュベット4は、容積が約200μLである反応キャビティ8を持つが、保存機器73に保存されることを目的とする反応キュベット4は、容積が約2mLである反応キャビティ8を持つ。例えば、保存機器73に保存される反応キュベット4は、大量の液体に対して抽出前処理または抽出を行うために使用されるが、保存機器3に保存される反応キュベット4は、試薬製品の使用量を制限するために使用される。保存機器73に由来する反応キュベット4において抽出前処理を行い、その後、保存機器3に由来する反応キュベット4において対応する計測を行うことも可能かもしれない。
【0117】
溶出ステーション78は、洗浄・磁気沈殿ステーション77の受容キャビティと同様であって互いに対して整列した複数の受容キャビティを備える。溶出ステーション78は、溶出ステーション78の各々の受容キャビティに関連付けられた複数の磁界生成器79をさらに備える。各磁界生成器79は、磁界を生成するように構成され、例えば、永久磁石または電磁石により形成されていてもよい。
【0118】
溶出ステーション78は、複数の上部通路オリフィス81をさらに備える。各上部通路オリフィス81は、溶出ステーション78の各々の受容キャビティへと開口している。また、各上部通路オリフィス81は、溶出ステーション78に受容された各反応キュベット4に溶出液を供給可能な回収針(回収機器71のうちの1つの回収針72等)を通過させるためのものである。本発明の変形例によれば、溶出ステーション78は、各々が溶出ステーション78の受容キャビティのうちの1つに関連付けられた複数の分注装置が設けられ、各々の受容キャビティに受容された反応キュベット4に溶出液を導入するように構成される。
【0119】
つまり、検体結合パートナーで被覆されており、洗浄・磁気沈殿ステーション77で前もって洗浄された磁気粒子を含有する反応キュベット4が溶出ステーション78の受容キャビティのうちの1つに受容される際、溶出液は、検体と磁気粒子を分離するために、回収機器71のうちの1つか、または関連付けられた分注装置によって反応キュベット4に導入される。その後、関連付けられた磁界生成器79は、反応キュベット4に含まれる磁気粒子を、該反応キュベット4の縦壁のうちの1つに対して引き寄せる。反応キュベット4の内容物は、磁気粒子を除いて、例えば回収機器71のうちの1つか、または関連付けられた分注装置によって反応キュベット4の外へ吸引されて、例えばPCR増幅・計測ステーション68に保存された別の反応キュベット4内へ導入され、その後の光学測定を受ける。
【0120】
本発明の変形例によれば、PCR増幅・計測ステーション68のインキュベータ69は、インキュベータ46と同様であってもよい。つまり、インキュベーションロータと、各々のインキュベーションロータの下に配置され、熱サイクルされた(thermocycled)環状の変位軌道の範囲を定める固定支持部と、を備えるものであってもよい。
【0121】
言うまでもなく、本発明は、例として上述された自動分析システムの実施形態のみに限定されるものではなく、その変形例を全て含むものである。
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