【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI INSTITUTE OF MATERIA MEDICA, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【文献】
仲井由宣 花野学編,新製剤学,株式会社南山堂,1984年 4月25日,第1版第2刷,第102−104頁,第217−236頁
【文献】
平山令明編著,有機化合物結晶作製ハンドブック−原理とノウハウ−,丸善株式会社,2008年 7月25日,第37−84頁
【文献】
社団法人日本化学会編,第4版 実験化学講座1 基本操作I,丸善株式会社,1996年 4月 5日,第2刷,第184−186頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記工程(1)では、前記溶媒はアルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一つの目的は、効率的で、毒性が低く、長期的に有効な式I化合物の多くの塩形態を提供することにある。
本発明の第一の側面では、塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩およびグリコール酸塩からなる群から選ばれる、式Iで表される化合物の塩形態を提供する。
【化1】
【0006】
もう一つの好適な例において、前記塩形態は結晶である。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩は結晶である。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、7.43±0.2°、11.06±0.2°、11.70±0.2°、13.46±0.2°、15.03±0.2°、15.34±0.2°、18.32±0.2°、21.96±0.2°、24.01±0.2°、27.20±0.2°、29.32±0.2°、30.26±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
【0007】
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、7.43°、11.06°、11.70°、18.32°、21.96°、24.01°、27.20°、29.32°、30.26°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、7.43±0.2°、11.06±0.2°、11.70±0.2°、13.46±0.2°、15.03±0.2°、15.34±0.2°、15.84±0.2°、16.35±0.2°、17.59±0.2°、18.32±0.2°、19.54±0.2°、20.13±0.2°、21.24±0.2°、21.96±0.2°、22.46±0.2°、22.74±0.2°、23.67±0.2°、24.01±0.2°、24.83±0.2°、25.19±0.2°、26.63±0.2°、27.20±0.2°、29.32±0.2°、30.26±0.2°、32.15±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
【0008】
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは基本的に
図1で特徴付けられた通りである。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、2θ値で表される特徴吸収ピークに±0.5°の偏差、好ましくは±0.3°の偏差、より好ましくは±0.1°の偏差が存在する。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の示差走査熱量分析チャート(DSCチャート)は分解前に溶融ピークがない。
【0009】
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶は基本的に
図3で示されるようなDSCチャートを有する。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶のTGグラフは、272±2℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶のTGグラフは、272.6℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の熱重量分析グラフ(TGグラフ)は基本的に
図2で特徴付けられた通りである。
【0010】
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の400℃における熱重量減少は64〜65wt%、好ましくは64.33wt%である。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶を湿度が50%の乾燥器で24時間置いた後、取り出して計算したところ、増量が≦3%、好ましくは≦1%、より好ましくは≦0.3%である。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶は基本的に
図4で示されるようなDVSグラフを有する。
【0011】
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶のIRスペクトルは、波長λ表示で、3429±2 cm
-1、2951±2 cm
-1、2827±2 cm
-1、2225±2 cm
-1、1720±2 cm
-1、1687±2 cm
-1、1560±2 cm
-1、1533±2 cm
-1、1446±2 cm
-1、1385±2 cm
-1、1261±2 cm
-1、1064±2 cm
-1、771±2 cm
-1からなる群から選ばれる3つ以上の特徴吸収ピークを含む。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶は基本的に
図5で示されるようなIRスペクトルを有する。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶は基本的に
図6で示されるようなラマン(Raman)スペクトルを有する。
【0012】
もう一つの好適な例において、前記のマレイン酸塩は結晶である。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、7.55±0.2°、12.41±0.2°、15.45±0.2°、17.50±0.2°、20.89±0.2°、26.59±0.2°、26.93±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、7.55±0.2°、12.41±0.2°、15.45±0.2°、17.50±0.2°、20.89±0.2°、26.59±0.2°、26.93±0.2°、27.10±0.2°、28.21±0.2°、30.53±0.2°、32.96±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
【0013】
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、7.55±0.2°、10.83±0.2°、12.41±0.2°、13.22±0.2°、14.38±0.2°、14.75±0.2°、15.45±0.2°、15.80±0.2°、17.50±0.2°、18.30±0.2°、19.40±0.2°、20.43±0.2°、20.89±0.2°、21.85±0.2°、22.87±0.2°、23.25±0.2°、25.04±0.2°、26.59±0.2°、26.93±0.2°、27.10±0.2°、28.21±0.2°、30.53±0.2°、32.96±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは基本的に
図7で特徴付けられた通りである。
【0014】
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、2θ値で表される特徴吸収ピークに±0.5°の偏差、好ましくは±0.3°の偏差、より好ましくは±0.1°の偏差が存在する。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の示差走査熱量分析チャート(DSCチャート)は113±5℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の示差走査熱量分析チャート(DSCチャート)は113.8℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶は基本的に
図9で示されるようなDSCチャートを有する。
【0015】
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶のTGグラフは、77±2℃、180±5℃、284±5℃からなる群から選ばれる特徴吸収ピークを含む。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶のTGグラフは、77.3℃、179.6℃、283.6℃からなる群から選ばれる特徴吸収ピークを含む。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の熱重量分析グラフ(TGグラフ)は基本的に
図8で特徴付けられた通りである。
【0016】
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の400℃における熱重量減少は42〜43wt%、好ましくは42.58wt%である。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の吸熱転移温度の開始値は110±2℃、好ましくは110.37℃である。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶を湿度が50%の乾燥器で24時間置いた後、取り出して計算したところ、増量が≦3%、好ましくは≦1%、より好ましくは≦0.3%である。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶は基本的に
図10で示されるようなDVSグラフを有する。
【0017】
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶のIRスペクトルは、波長λ表示で、3429±2 cm
-1、3062±2 cm
-1、2954±2 cm
-1、2862±2 cm
-1、2224±2 cm
-1、1720±2 cm
-1、1676±2 cm
-1、1558±2 cm
-1、1531±2 cm
-1、1469±2 cm
-1、1354±2 cm
-1、1290±2 cm
-1、1219±2 cm
-1、1063±2 cm
-1、864±2 cm
-1、775±2 cm
-1、654±2 cm
-1からなる群から選ばれる3つ以上の特徴吸収ピークを含む。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶は基本的に
図11で示されるようなIRスペクトルを有する。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶は基本的に
図12で示されるようなラマンスペクトルを有する。
【0018】
もう一つの好適な例において、前記のリン酸塩は結晶である。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、11.99±0.2°、12.20±0.2°、14.80±0.2°、20.11±0.2°、20.46±0.2°、24.18±0.2°、24.68±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、11.99±0.2°、12.20±0.2°、14.80±0.2°、20.11±0.2°、20.46±0.2°、23.15±0.2°、24.18±0.2°、24.68±0.2°、25.63±0.2°、26.15±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
【0019】
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、6.23±0.2°、11.99±0.2°、12.20±0.2°、14.80±0.2°、15.16±0.2°、 16.04±0.2°、16.56±0.2°、17.90±0.2°、20.11±0.2°、20.46±0.2°、22.74±0.2°、23.15±0.2°、24.18±0.2°、24.68±0.2°、25.63±0.2°、26.15±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは基本的に
図13で特徴付けられた通りである。
【0020】
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、2θ値で表される特徴吸収ピークに±0.5°の偏差、好ましくは±0.3°の偏差、より好ましくは±0.1°の偏差が存在する。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の示差走査熱量分析チャート(DSCチャート)は155±5℃、好ましくは154.8℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶は基本的に
図15で示されるようなDSCチャートを有する。
【0021】
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶のTGグラフは、361±2℃、好ましくは361.0℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の400℃における熱重量減少は47〜48wt%、好ましくは47.57wt%である。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の熱重量分析グラフ(TGグラフ)は基本的に
図14で特徴付けられた通りである。
【0022】
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の吸熱転移温度の開始値は148±2℃、好ましくは148.0℃である。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶を湿度が50%の乾燥器で24時間置いた後、取り出して計算したところ、増量が≦3%、好ましくは≦1%、より好ましくは≦0.3%である。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶は基本的に
図16で示されるようなDVSグラフを有する。
【0023】
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶のIRスペクトルは、波長λ表示で、3408±2 cm
-1、2951±2 cm
-1、2860±2 cm
-1、2225±2 cm
-1、1716±2 cm
-1、1684±2 cm
-1、1601±2 cm
-1、1556±2 cm
-1、1531±2 cm
-1、1450±2 cm
-1、1379±2 cm
-1、1282±2 cm
-1、1238±2 cm
-1、1124±2 cm
-1、1064±2 cm
-1、947±2 cm
-1、868±2 cm
-1、758 ±2 cm
-1 、521±2 cm
-1からなる群から選ばれる3つ以上の特徴吸収ピークを含む。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶は基本的に
図17で示されるようなIRスペクトルを有する。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶は基本的に
図18で示されるようなラマンスペクトルを有する。
【0024】
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩は結晶である。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、8.92±0.2°、10.20±0.2°、13.35±0.2°、16.89±0.2°、19.37±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、8.92±0.2°、10.20±0.2°、13.35±0.2°、16.89±0.2°、19.37±0.2°、20.51±0.2°、21.22±0.2°、21.78±0.2°、23.00±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
【0025】
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、8.92±0.2°、10.20±0.2°、13.35±0.2°、16.89±0.2°、19.37±0.2°、20.51±0.2°、21.22±0.2°、21.78±0.2°、23.00±0.2°、23.87±0.2°、24.08±0.2°、24.37±0.2°、25.52±0.2°、33.81±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、6.66±0.2°、8.92±0.2°、9.91±0.2°、10.20±0.2°、13.35±0.2°、13.92±0.2°、15.78±0.2°、16.71±0.2°、16.89±0.2°、17.41±0.2°、18.70±0.2°、19.37±0.2°、20.12±0.2°、20.51±0.2°、21.22±0.2°、21.78±0.2°、22.75±0.2°、23.00±0.2°、23.87±0.2°、24.08±0.2°、24.37±0.2°、25.52±0.2°、26.44±0.2°、27.02±0.2°、27.48±0.2°、28.23±0.2°、28.63±0.2°、28.84±0.2°、29.68±0.2°、30.14±0.2°、30.51±0.2°、31.41±0.2°、31.76±0.2°、33.00±0.2°、33.81±0.2°、34.13±0.2°、35.21±0.2°、25.83±0.2°、36.37±0.2°、37.70±0.2°、37.93±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは基本的に
図19で特徴付けられた通りである。
【0026】
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、2θ値で表される特徴吸収ピークに±0.5°の偏差、好ましくは±0.3°の偏差、より好ましくは±0.1°の偏差が存在する。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の示差走査熱量分析チャート(DSCチャート)は189±5℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶は基本的に
図21で示されるようなDSCチャートを有する。
【0027】
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の吸熱転移温度の開始値は148±2℃、好ましくは148.0℃である。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶のTGグラフは、192±2℃、268±2℃、好ましくは192.5℃、268.0℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶は基本的に
図20で示されるようなTGグラフを有する。
【0028】
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の400℃における熱重量減少は53〜54wt%、好ましくは53.41wt%である。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶を湿度が50%の乾燥器で24時間置いた後、取り出して計算したところ、増量が≦3%、好ましくは≦1%、より好ましくは≦0.3%である。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶は基本的に
図22で示されるようなDVSグラフを有する。
【0029】
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶のIRスペクトルは、波長λ表示で、3462±2 cm
-1、2958±2 cm
-1、2837±2 cm
-1、2227±2 cm
-1、1720±2 cm
-1、1674±2 cm
-1、1558±2 cm
-1、1533±2 cm
-1、1450±2 cm
-1、1350±2 cm
-1、1282±2 cm
-1、1223±2 cm
-1、1072±2 cm
-1、928±2 cm
-1、760±2 cm
-1、692±2 cm
-1からなる群から選ばれる3つ以上の特徴吸収ピークを含む。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩は基本的に
図23で示されるようなIRスペクトルを有する。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩は基本的に
図24で示されるようなラマンスペクトルを有する。
【0030】
本発明の第二の側面では、本発明の第一の側面に記載の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、グリコール酸塩などの塩形態のうちの一種または複数を含むか、あるいは本発明の第一の側面に記載の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、グリコール酸塩などの塩形態で構成される、塩形態の組み合わせを提供する。
もう一つの好適な例において、前記塩形態組成物の全重量で計算すると、塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、グリコール酸塩の全重量の百分率含有量は60〜99.999%、好ましくは80〜99.999%、より好ましくは90〜99.999%である。
【0031】
もう一つの好適な例において、前記塩形態の組み合わせは、さらに、(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸のほかの塩形態、遊離塩基の(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸を含む。
【0032】
本発明の第三の側面では、本発明の第一の側面に記載の式I化合物の塩形態を製造する方法であって、
(1) 式I化合物の遊離塩基を溶媒に溶解させ、一定量の酸を入れる工程と、
(2) 工程(1)で得られた溶液を一定の温度で一定の時間で置いて反応させ、撹拌しながら結晶を析出させ、固体を得る工程と、
(3) 工程(2)で得られた固体をろ過および/または乾燥し、本発明の第一の側面に記載の塩形態を調製する工程と、
を含む方法を提供する。
【0033】
もう一つの好適な例において、前記工程(1)では、前記溶媒はアルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記アルコール類はC1-C10のアルコール、好ましくはC1-C8のアルコール、より好ましくはC1-C5のアルコールである。
もう一つの好適な例において、前記アルコール類はメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ネオペンチルアルコール、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記エーテル類はC2-C8のエーテル、好ましくはC2-C5のエーテルである。
【0034】
もう一つの好適な例において、前記エーテル類は、エチルエーテル、テトラヒドロフランまたはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記エステル類はC1-C10のエステル、好ましくはC1-C7のエステル、より好ましくはC1-C5のエステルである。
もう一つの好適な例において、前記エステル類は、ギ酸メチル、酢酸エチル、ギ酸イソブチル、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0035】
もう一つの好適な例において、前記工程(1)では、前記遊離塩基と前記酸のモル比は1:0.8〜1:1.5、好ましくは1:0.9〜1:1.3、より好ましくは1:1.0〜1:1.1である。
もう一つの好適な例において、前記工程(1)では、前記温度範囲は10〜80℃、好ましくは30〜50℃である。
もう一つの好適な例において、前記工程(1)では、前記反応時間は0.1〜10 h、好ましくは0.5〜6 hである。
【0036】
もう一つの好適な例において、前記工程(2)では、乾燥の温度は10〜90℃、好ましくは20〜80℃、より好ましくは40〜70℃である。
もう一つの好適な例において、前記工程(2)では、乾燥の圧力は0〜20 kPa、好ましくは0〜10 kPa、より好ましくは5〜10 kPaである。
もう一つの好適な例において、前記工程(2)では、乾燥の時間は5〜150時間、好ましくは30〜100時間、より好ましくは60〜80時間である。
もう一つの好適な例において、前記工程(2)では、前記結晶析出は0〜50℃、好ましくは0〜40℃、より好ましくは20〜30℃で行われる。
【0037】
もう一つの好適な例において、前記結晶析出は撹拌しながら行われる。
もう一つの好適な例において、前記工程(3)では、前記方法の収率は50%〜99.9%、好ましくは75%〜99.9%、より好ましくは85%〜99.9%である。
【0038】
本発明の第四の側面では、
(1) 本発明の第一の側面に記載の式I化合物の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、グリコール酸塩、またはこれらの組み合わせと、
(2) 薬学的に許容される賦形剤と、
を含む薬物組成物を提供する。
もう一つの好適な例において、前記賦形剤は充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0039】
もう一つの好適な例において、前記充填剤はデンプン、乳糖、微晶質セルロース、デキストリン、マンニトール、酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記崩壊剤はカルボキシメチルセルロースおよびその塩、クロスカルメロースおよびその塩、クロスポビドン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0040】
もう一つの好適な例において、前記結合剤はポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプンペースト、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0041】
本発明の第五の側面では、本発明の第一の側面に記載の塩形態または本発明の第二の側面に記載の塩形態の組み合わせまたは本発明の第四の側面に記載の薬物組成物の使用であって、2型糖尿病および/または2型糖尿病の合併症を予防または治療する薬物の製造における使用を提供する。
もう一つの好適な例において、前記2型糖尿病の合併症は、冠状動脈性疾患、卒中、高血圧、腎臓病、末梢血管性疾患、神経系疾患、網膜症からなる群から選ばれる。
【0042】
本発明の第六の側面では、2型糖尿病および/または2型糖尿病の合併症を治療または予防する方法であって、患者に治療有効量の本発明の第一の側面に記載の式I化合物の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、グリコール酸塩、またはこれらの組み合わせまたは本発明の第二の側面に記載の塩形態の組み合わせまたは本発明の第四の側面に記載の薬物組成物を投与する方法を提供する。
【0043】
もちろん、本発明の範囲内において、本発明の上記の各技術特徴および下記(たとえば実施例)の具体的に記述された各技術特徴は互いに組合せ、新しい、または好適な技術方案を構成できることが理解される。紙数に限りがあるため、ここで逐一説明しない。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明者は長期間にわたって深く研究したところ、意外に、より優れた薬学的性能を有する(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸の塩形態を製造した。上記の知見に基づき、発明者らは本発明を完成させた。
【0049】
式I化合物
本発明に記載の式I化合物は、(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸である。
【化2】
【0050】
(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸(式I)は新規なDPP IVの選択性の可逆的な競合阻害剤で、強い体内血糖低下活性を有する。その抑制活性はナノモール級に達し、体外DPP IV抑制活性および選択性は市販薬のシタグリプチンおよびビルダグリプチンよりも良い。
【0051】
動物体内において、式I化合物は有効に正常のマウスおよびラットの血漿におけるDPP IVの活性を抑制することができ、そのDPP IV抑制活性は市販薬のアログリプチンよりも良い。式I化合物は投与量依存的に正常ICRマウスの経口投与耐糖能を向上させることができ、効果が現れ始める投与量は0.1 mg/kgだけで、効果はアログリプチンよりも良い。当該化合物をob/obマウスに慢性投与すると、有効にob/obマウスの空腹血糖を低下させることができ、陽性対照薬のアログリプチンよりも良い。当該化合物の慢性投与よる遺伝子欠失型db/dbマウスの空腹血糖の低下は、陽性対照薬のアログリプチンに相当する。
【0052】
薬物動態学および安全性の研究結果から、式I化合物のラットおよびイヌにおける薬物動態学的性質および安全性が良く、ラットおよびイヌにおける半減期およびAUC
0-tが市販薬のアログリプチンよりも良いことが示された。当該化合物は安全性が良く、ICRマウス急性毒性実験では、300 mg/kg投与群で動物の死亡が見られなかったことが示された。ビーグル犬急性毒性実験では、1 g/kg投与群で動物の死亡が見られなかったことが示された。ラット亜急性毒性実験では、ラット経口投与150 mg/kg群で顕著な毒性反応がなかったことが示された。
【0053】
体外薬効学の評価、体内薬理学の評価、薬物動態学の研究および安全性の評価などの研究結果をまとめると、当該化合物の体内血糖低下作用は現在臨床で使用されるDPP IV阻害剤よりも良い。
【0054】
式I化合物の遊離塩基
本発明において、特許出願番号CN201210262331.3に記載の製造方法によって遊離塩基の(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸を製造した。
1H NMR(CDCl
3): δ 7.76(s, 1H), 7.610 (d, 1H), 7.493 (t, 1H), 7.320 (t, 1H), 7.180 (d, 1H), 5.500 (quartet, 2H), 3.895 (s, 3H), 3.680 (d, 2H), 3.355 (m, 1H), 3.010 (m, 2H), 2.150 (m, 1H), 1.894 (m, 2H), 1.644 (m, 1H) ; LC-MS m/z 424.1 [M+H]
+。
【0055】
塩酸塩
本発明は、式Iで表される化合物の塩酸塩を提供する。
もう一つの好適な例において、前記の塩酸塩は結晶である。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、7.43±0.2°、11.06±0.2°、11.70±0.2°、13.46±0.2°、15.03±0.2°、15.34±0.2°、18.32±0.2°、21.96±0.2°、24.01±0.2°、27.20±0.2°、29.32±0.2°、30.26±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、7.43°、11.06°、11.70°、18.32°、21.96°、24.01°、27.20°、29.32°、30.26°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
【0056】
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、7.43±0.2°、11.06±0.2°、11.70±0.2°、13.46±0.2°、15.03±0.2°、15.34±0.2°、15.84±0.2°、16.35±0.2°、17.59±0.2°、18.32±0.2°、19.54±0.2°、20.13±0.2°、21.24±0.2°、21.96±0.2°、22.46±0.2°、22.74±0.2°、23.67±0.2°、24.01±0.2°、24.83±0.2°、25.19±0.2°、26.63±0.2°、27.20±0.2°、29.32±0.2°、30.26±0.2°、32.15±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは基本的に
図1で特徴付けられた通りである。
【0057】
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、2θ値で表される特徴吸収ピークに±0.5°の偏差、好ましくは±0.3°の偏差、より好ましくは±0.1°の偏差が存在する。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の示差走査熱量分析チャート(DSCチャート)は分解前に溶融ピークがない。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶は基本的に
図3で示されるようなDSCチャートを有する。
【0058】
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶のTGグラフは、272±2℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶のTGグラフは、272.6℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の熱重量分析グラフ(TGグラフ)は基本的に
図2で特徴付けられた通りである。
【0059】
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶の400℃における熱重量減少は64〜65wt%、好ましくは64.33wt%である。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶を湿度が50%の乾燥器で24時間置いた後、取り出して計算したところ、増量が≦3%、好ましくは≦1%、より好ましくは≦0.3%である。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶は基本的に
図4で示されるようなDVSグラフを有する。
【0060】
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶のIRスペクトルは、波長λ表示で、3429±2 cm
-1、2951±2 cm
-1、2827±2 cm
-1、2225±2 cm
-1、1720±2 cm
-1、1687±2 cm
-1、1560±2 cm
-1、1533±2 cm
-1、1446±2 cm
-1、1385±2 cm
-1、1261±2 cm
-1、1064±2 cm
-1、771±2 cm
-1からなる群から選ばれる3つ以上の特徴吸収ピークを含む。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶は基本的に
図5で示されるようなIRスペクトルを有する。
もう一つの好適な例において、前記塩酸塩結晶は基本的に
図6で示されるようなラマン(Raman)スペクトルを有する。
【0061】
マレイン酸塩
本発明は、式Iで表される化合物のマレイン酸塩を提供する。
もう一つの好適な例において、前記のマレイン酸塩は結晶である。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、7.55±0.2°、12.41±0.2°、15.45±0.2°、17.50±0.2°、20.89±0.2°、26.59±0.2°、26.93±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、7.55±0.2°、12.41±0.2°、15.45±0.2°、17.50±0.2°、20.89±0.2°、26.59±0.2°、26.93±0.2°、27.10±0.2°、28.21±0.2°、30.53±0.2°、32.96±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
【0062】
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、7.55±0.2°、10.83±0.2°、12.41±0.2°、13.22±0.2°、14.38±0.2°、14.75±0.2°、15.45±0.2°、15.80±0.2°、17.50±0.2°、18.30±0.2°、19.40±0.2°、20.43±0.2°、20.89±0.2°、21.85±0.2°、22.87±0.2°、23.25±0.2°、25.04±0.2°、26.59±0.2°、26.93±0.2°、27.10±0.2°、28.21±0.2°、30.53±0.2°、32.96±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは基本的に
図7で特徴付けられた通りである。
【0063】
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、2θ値で表される特徴吸収ピークに±0.5°の偏差、好ましくは±0.3°の偏差、より好ましくは±0.1°の偏差が存在する。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の示差走査熱量分析チャート(DSCチャート)は113±5℃に特徴吸収ピークが存在する。
【0064】
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の示差走査熱量分析チャート(DSCチャート)は113.8℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶は基本的に
図9で示されるようなDSCチャートを有する。
【0065】
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶のTGグラフは、77±2℃、180±5℃、284±5℃からなる群から選ばれる特徴吸収ピークを含む。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶のTGグラフは、77.3℃、179.6℃、283.6℃からなる群から選ばれる特徴吸収ピークを含む。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の熱重量分析グラフ(TGグラフ)は基本的に
図8で特徴付けられた通りである。
【0066】
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の400℃における熱重量減少は42〜43wt%、好ましくは42.58wt%である。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶の吸熱転移温度の開始値は110±2℃、好ましくは110.37℃である。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶を湿度が50%の乾燥器で24時間置いた後、取り出して計算したところ、増量が≦3%、好ましくは≦1%、より好ましくは≦0.3%である。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶は基本的に
図10で示されるようなDVSグラフを有する。
【0067】
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶のIRスペクトルは、波長λ表示で、3429±2 cm
-1、3062±2 cm
-1、2954±2 cm
-1、2862±2 cm
-1、2224±2 cm
-1、1720±2 cm
-1、1676±2 cm
-1、1558±2 cm
-1、1531±2 cm
-1、1469±2 cm
-1、1354±2 cm
-1、1290±2 cm
-1、1219±2 cm
-1、1063±2 cm
-1、864±2 cm
-1、775±2 cm
-1、654±2 cm
-1からなる群から選ばれる3つ以上の特徴吸収ピークを含む。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶は基本的に
図11で示されるようなIRスペクトルを有する。
もう一つの好適な例において、前記マレイン酸塩結晶は基本的に
図12で示されるようなラマンスペクトルを有する。
【0068】
リン酸塩
本発明は、式I化合物のリン酸塩を提供する。
もう一つの好適な例において、前記のリン酸塩は結晶である。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、11.99±0.2°、12.20±0.2°、14.80±0.2°、20.11±0.2°、20.46±0.2°、24.18±0.2°、24.68±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、11.99±0.2°、12.20±0.2°、14.80±0.2°、20.11±0.2°、20.46±0.2°、23.15±0.2°、24.18±0.2°、24.68±0.2°、25.63±0.2°、26.15±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
【0069】
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、6.23±0.2°、11.99±0.2°、12.20±0.2°、14.80±0.2°、15.16±0.2°、 16.04±0.2°、16.56±0.2°、17.90±0.2°、20.11±0.2°、20.46±0.2°、22.74±0.2°、23.15±0.2°、24.18±0.2°、24.68±0.2°、25.63±0.2°、26.15±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは基本的に
図13で特徴付けられた通りである。
【0070】
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、2θ値で表される特徴吸収ピークに±0.5°の偏差、好ましくは±0.3°の偏差、より好ましくは±0.1°の偏差が存在する。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の示差走査熱量分析チャート(DSCチャート)は155±5℃、好ましくは154.8℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶は基本的に
図15で示されるようなDSCチャートを有する。
【0071】
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶のTGグラフは、361±2℃、好ましくは361.0℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の400℃における熱重量減少は47〜48wt%、好ましくは47.57wt%である。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の熱重量分析グラフ(TGグラフ)は基本的に
図14で特徴付けられた通りである。
【0072】
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶の吸熱転移温度の開始値は148±2℃、好ましくは148.0℃である。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶を湿度が50%の乾燥器で24時間置いた後、取り出して計算したところ、増量が≦3%、好ましくは≦1%、より好ましくは≦0.3%である。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶は基本的に
図16で示されるようなDVSグラフを有する。
【0073】
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶のIRスペクトルは、波長λ表示で、3408±2 cm
-1、2951±2 cm
-1、2860±2 cm
-1、2225±2 cm
-1、1716±2 cm
-1、1684±2 cm
-1、1601±2 cm
-1、1556±2 cm
-1、1531±2 cm
-1、1450±2 cm
-1、1379±2 cm
-1、1282±2 cm
-1、1238±2 cm
-1、1124±2 cm
-1、1064±2 cm
-1、947±2 cm
-1、868±2 cm
-1、758 ±2 cm
-1 、521±2 cm
-1からなる群から選ばれる3つ以上の特徴吸収ピークを含む。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶は基本的に
図17で示されるようなIRスペクトルを有する。
もう一つの好適な例において、前記リン酸塩結晶は基本的に
図18で示されるようなラマンスペクトルを有する。
【0074】
グリコール酸塩
本発明は、式I化合物のグリコール酸塩を提供する。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩は結晶である。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、8.92±0.2°、10.20±0.2°、13.35±0.2°、16.89±0.2°、19.37±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
【0075】
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、8.92±0.2°、10.20±0.2°、13.35±0.2°、16.89±0.2°、19.37±0.2°、20.51±0.2°、21.22±0.2°、21.78±0.2°、23.00±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、8.92±0.2°、10.20±0.2°、13.35±0.2°、16.89±0.2°、19.37±0.2°、20.51±0.2°、21.22±0.2°、21.78±0.2°、23.00±0.2°、23.87±0.2°、24.08±0.2°、24.37±0.2°、25.52±0.2°、33.81±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
【0076】
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、6.66±0.2°、8.92±0.2°、9.91±0.2°、10.20±0.2°、13.35±0.2°、13.92±0.2°、15.78±0.2°、16.71±0.2°、16.89±0.2°、17.41±0.2°、18.70±0.2°、19.37±0.2°、20.12±0.2°、20.51±0.2°、21.22±0.2°、21.78±0.2°、22.75±0.2°、23.00±0.2°、23.87±0.2°、24.08±0.2°、24.37±0.2°、25.52±0.2°、26.44±0.2°、27.02±0.2°、27.48±0.2°、28.23±0.2°、28.63±0.2°、28.84±0.2°、29.68±0.2°、30.14±0.2°、30.51±0.2°、31.41±0.2°、31.76±0.2°、33.00±0.2°、33.81±0.2°、34.13±0.2°、35.21±0.2°、25.83±0.2°、36.37±0.2°、37.70±0.2°、37.93±0.2°からなる群から選ばれる3つ以上の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは基本的に
図19で特徴付けられた通りである。
【0077】
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の粉末X線回折スペクトルは、2θ値で表される特徴吸収ピークに±0.5°の偏差、好ましくは±0.3°の偏差、より好ましくは±0.1°の偏差が存在する。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の示差走査熱量分析チャート(DSCチャート)は189±5℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶は基本的に
図21で示されるようなDSCチャートを有する。
【0078】
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の吸熱転移温度の開始値は148±2℃、好ましくは148.0℃である。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶のTGグラフは、192±2℃、268±2℃、好ましくは192.5℃、268.0℃に特徴吸収ピークが存在する。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶は基本的に
図20で示されるようなTGグラフを有する。
【0079】
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶の400℃における熱重量減少は53〜54wt%、好ましくは53.41wt%である。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶を湿度が50%の乾燥器で24時間置いた後、取り出して計算したところ、増量が≦3%、好ましくは≦1%、より好ましくは≦0.3%である。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶は基本的に
図22で示されるようなDVSグラフを有する。
【0080】
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩結晶のIRスペクトルは、波長λ表示で、3462±2 cm
-1、2958±2 cm
-1、2837±2 cm
-1、2227±2 cm
-1、1720±2 cm
-1、1674±2 cm
-1、1558±2 cm
-1、1533±2 cm
-1、1450±2 cm
-1、1350±2 cm
-1、1282±2 cm
-1、1223±2 cm
-1、1072±2 cm
-1、928±2 cm
-1、760±2 cm
-1、692±2 cm
-1からなる群から選ばれる3つ以上の特徴吸収ピークを含む。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩は基本的に
図23で示されるようなIRスペクトルを有する。
もう一つの好適な例において、前記グリコール酸塩は基本的に
図24で示されるようなラマンスペクトルを有する。
【0081】
塩形態の組み合わせ
本発明において、前記結晶組成物は前記の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、グリコール酸塩を含むか、または前記の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、グリコール酸塩から製造される。
もう一つの好適な例において、前記結晶組成物の全重量で計算すると、塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、グリコール酸塩の重量百分率含有量は60〜99.999%、好ましくは80〜99.999%、より好ましくは90〜99.999%である。
もう一つの好適な例において、前記結晶組成物は、さらに、(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、グリコール酸塩、遊離塩基の(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸を含む。
【0082】
塩形態化合物の製造方法
本発明において、前記式I化合物の塩形態の製造方法であって、
(1) 式I化合物の遊離塩基を溶媒に溶解させ、一定量の酸を入れる工程と、
(2) 工程(1)で得られた溶液を一定の温度で一定の時間で置いて反応させ、撹拌しながら結晶を析出させ、固体を得る工程と、
(3) 工程(2)で得られた固体をろ過および/または乾燥し、本発明の第一の側面に記載の塩形態を調製する工程と、
を含む方法を提供する。
【0083】
もう一つの好適な例において、前記工程(1)では、前記溶媒はアルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記アルコール類はC1-C10のアルコール、好ましくはC1-C8のアルコール、より好ましくはC1-C5のアルコールである。
もう一つの好適な例において、前記アルコール系はメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ネオペンチルアルコール、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0084】
もう一つの好適な例において、前記エーテル類はC2-C8のエーテル、好ましくはC2-C5のエーテルである。
もう一つの好適な例において、前記エーテル類は、エチルエーテル、テトラヒドロフランまたはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記エステル類はC1-C10のエステル、好ましくはC1-C7のエステル、より好ましくはC1-C5のエステルである。
もう一つの好適な例において、前記エステル類は、ギ酸メチル、酢酸エチル、ギ酸イソブチル、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0085】
もう一つの好適な例において、前記工程(1)では、前記遊離塩基と前記酸のモル比は1:0.8〜1:1.5、好ましくは1:0.9〜1:1.3、より好ましくは1:1.0〜1:1.1である。
もう一つの好適な例において、前記工程(1)では、前記温度範囲は10〜80℃、好ましくは30〜50℃である。
もう一つの好適な例において、前記工程(1)では、前記反応時間は0.1〜10 h、好ましくは0.5〜6 hである。
【0086】
もう一つの好適な例において、前記工程(2)では、乾燥の温度は10〜90℃、好ましくは20〜80℃、より好ましくは40〜70℃である。
もう一つの好適な例において、前記工程(2)では、乾燥の圧力は0〜20 kPa、好ましくは0〜10 kPa、より好ましくは5〜10 kPaである。
もう一つの好適な例において、前記工程(2)では、乾燥の時間は5〜150時間、好ましくは30〜100時間、より好ましくは60〜80時間である。
もう一つの好適な例において、前記工程(2)では、前記結晶析出は0〜50℃、好ましくは0〜40℃、より好ましくは20〜30℃で行われる。
【0087】
もう一つの好適な例において、前記結晶析出は撹拌しながら行われる。
もう一つの好適な例において、前記工程(3)では、前記方法の収率は50%〜99.9%、好ましくは75%〜99.9%、より好ましくは85%〜99.9%である。
【0088】
薬物組成物
本発明は、
(1) 本発明の第一の側面に記載の式I化合物の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、グリコール酸塩、またはこれらの組み合わせと、
(2) 薬学的に許容される賦形剤と、
を含む薬物組成物を提供する。
【0089】
もちろん、本発明において、前記賦形剤は特に制限されず、本分野の通常の材料を使用してもよく、または通常の方法で製造してもよく、または市場から購入してもよい。
代表的に、前記賦形剤は充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
代表的に、前記充填剤はデンプン、乳糖、微晶質セルロース、デキストリン、マンニトール、酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0090】
代表的に、前記崩壊剤はカルボキシメチルセルロースおよびその塩、クロスカルメロースおよびその塩、クロスポビドン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
代表的に、前記結合剤はポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプンペースト、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
代表的に、前記潤滑剤はステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0091】
用途
また、本発明において、前記の(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩およびグリコール酸塩または前記の塩形態組成物または前記の薬物組成物の使用であって、2型糖尿病および/または2型糖尿病の合併症を予防または治療する薬物の製造における使用を提供する。
代表的に、前記2型糖尿病の合併症は、冠状動脈性疾患、卒中、高血圧、腎臓病、末梢血管性疾患、神経系疾患、網膜症を含むが、これらに限定されない。
【0092】
また、本発明において、2型糖尿病および/または2型糖尿病の合併症を治療または予防する方法であって、患者に治療有効量の前記の(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩およびグリコール酸塩または前記の塩形態組成物または前記の薬物組成物を投与する方法を提供する。
本発明の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩およびグリコール酸塩またはその薬物組成物の投与量は、患者の年齢、性別、種族、病態などによる。
【0093】
本発明化合物は、単独で投与してもよいし、あるいはほかの薬物または活性成分といっしょにまたは併用して投与してもよい。
本発明において、本発明の結晶形または薬物組成物の施用様態は特に限定されない。通常の(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸と同様または類似の投与形態を使用してもよいが、経口投与、経皮、静脈内、筋肉内、局部投与などを含むが、これらに限定されない。
【0094】
本発明は、以下の主な利点がある。
(1) 本発明の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩およびグリコール酸塩はより高い純度を有する。
(2) 本発明の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩およびグリコール酸塩はより優れた安定性を有し、特に水における安定性は、経口吸収能を増強させ、生物利用能を向上させることができる。
(3) 本発明の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩およびグリコール酸塩の結晶形はより低い吸湿性を有し、相対湿度が50%未満の場合、前記塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩およびグリコール酸塩の吸湿性は≦0.3%である。
【0095】
(4) 本発明の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩およびグリコール酸塩は通常の条件で分解しにくい。
(5)本発明の塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩およびグリコール酸塩の製造方法は操作が簡単で、制御しやすく、再現性が良く、工業化生産に適する。
(6) 本発明の塩形態化合物は2型糖尿病の予防または治療の面においてより優れた経口血糖低下活性を有する。
【0096】
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いられるものだけで、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常、通常の条件、あるいはメーカーの薦めの条件で行われた。特に断らない限り、%と部は、重量で計算される。
別途に定義しない限り、本文に用いられるすべての専門用語と科学用語は、当業者に熟知される意味と同様である。また、記載の内容と類似あるいは同等の方法および材料は、いずれも本発明の方法に用いることができる。ここで記載の好ましい実施方法及び材料は例示のためだけである。
【0097】
共通の測定方法および測定パラメーター
本発明において、前記結晶に対して一連の共通の測定を行った。
粉末X線回折分析(X-ray Diffraction、XRD)は結晶によるX線回折を利用し、物質に対して内部の原子の空間における分布状況の構造分析を行う方法である。所定波長を持つX線を結晶性物質に照射させると、X線は結晶内で規則的に配列する原子またはイオンに当たって散乱し、散乱したX線はある方向で位相が強くなることで、結晶の構造に相応する特有の回折現象を示す。
本発明において、XRDの測定パラメーターは以下の通りである。装置型式:Bruker D8advance、ターゲット:Cu-K
α (40 kV, 40 mA)、サンプルから検出器までの距離:30 cm、走査範囲:3
o〜40
o(2θ値)、走査ステップ:0.1 s。
【0098】
熱重量分析法(Thermo Gravimetric Analysis、TGA)はプログラム温度制御条件において、物質の温度に伴う質量の変化を測定する分析技術である。熱重量分析はサンプルの熱変化による熱量を得ることができ、結晶物質における結晶溶媒または結晶水分子の喪失またはサンプルの昇華、分解の過程および量値の検出に適し、有効に物質が結晶溶媒または結晶水成分を含有するか区別することもできる。
本発明において、TGAの測定パラメーターは以下の通りである。装置型式:Netzsch TG 209F3、坩堝:酸化アルミニウム坩堝、温度範囲:30〜400℃、走査速度:10 K/min、吹付ガス:25 mL/min、保護ガス:15 mL/min。
【0099】
示差走査熱量測定法(Differential Scanning Calorimeter、DSC)はプログラム制御の昇温または降温を利用し、温度に伴うサンプルと不活性参照物(通常α-Al
2O
3)の間の熱量差の変化を測定する技術である。DSC検出はサンプルの溶融分解状態、混晶物質の状態、結晶転移物質の状態などの分析に適する。
本発明において、DSCの測定パラメーターは以下の通りである。装置型式:Perkin Elmer DSC 8500、坩堝:アルミニウム坩堝。窒素ガスで振り付けながら10℃/minの昇温速度で、50℃から280℃まで走査した。
【0100】
動的水蒸気吸着(DVS)測定/吸水性測定は、快速に相対湿度(RH)を設定した流動キャリアガスによるサンプルの水分の増加および流失を測定するもので、サンプルを自身がぶら下がっている状態の高感度で高安定性のデジタル微量天秤に置いた後、材料の質量の増加/減少を測定することによって水蒸気の吸着/脱着を検出することで、サンプルの吸湿性を確認する。
本発明において、DVSの測定パラメーターは以下の通りである。装置型式:SMS DVS Intrinsic、無水和物:0〜95%〜0% RH、温度:25 ℃、水和物:40〜95%〜0% RH、温度:25 ℃。
【0101】
赤外スペクトル(Infra-red Spectrometry、IR)は最初に結晶物質の識別と同定に使用される分析方法である。異なる結晶形の分子の共役結合の電荷環境が異なるため、共役結合の強度も変わり、共役結合の強度の変化は必然的に異なる結晶形のIRスペクトルの違いにつながる。
本発明において、IRの測定パラメーターは以下の通りである。装置型式:Nicolet 6700型フーリエ変換赤外分光計、単点ATR法、分離度4.0cm
-1。
【0102】
ラマンスペクトル(Raman Spectroscopy、RM)はラマン効果に基づいて分子の振動を研究する方法で、赤外吸収スペクトルと反対で、ラマンスペクトルは分子と光の相互作用による散乱光の周波数を研究するものである。通常、赤外吸収が顕著ではない非極性基はラマンスペクトルにおける吸収が顕著である。
本発明において、RMの測定パラメーターは以下の通りである。装置型式:Thermo DXR Raman Microscope共焦点顕微ラマン分光計、レーザー波長:532 nm、露出時間:1.0 sec、露出回数:10。
【0103】
実施例1:(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸の塩酸塩(No.1)の製造
200 mgの(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸を溶媒のTHF-MeOH(1:1, v/v)に溶解あせ、等当量の塩酸[(濃度0.02 M、溶媒THF-MeOH(1:1, v/v)]を入れ、上記で得られた溶液を40℃の条件において1 h反応させ、撹拌しながら結晶が析出し、ろ過して塩酸塩を得、さらに塩酸塩をアセトン-水(1:1, v/v)に入れて再結晶させ、得られた固体物質を真空乾燥器に置き、50℃、5 kPaの条件において70時間真空乾燥し、(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸塩酸塩を150 mg得た。
【0104】
結果
実施例1で得られた塩酸塩に対してXRD、TGA、DSC、DVS、IRやRamanなどの測定を行った。
図1は実施例1の塩酸塩のXRDスペクトルで、
図1から塩酸塩は7.43°、11.06°、11.70°、13.46°、15.03°、15.34°、15.84°、16.35°、17.59°、18.32°、19.54°、20.13°、21.24°、21.96°、22.46°、22.74°、23.67°、24.01°、24.83°、25.19°、26.63°、27.20°、29.32°、30.26°、32.15°に吸収ピークがあることがわかる。
図2は実施例1の塩酸塩のTGグラフで、
図2から塩酸塩は210〜400℃に64.33%の重量減少があったことがわかる。
【0105】
図3は本発明の実施例1の塩酸塩の示差走査熱量分析(DSC)チャートで、
図3から塩酸塩は分解前に溶融ピークがないことがわかる。
図4は実施例1の塩酸塩の吸湿性分析(DVS)グラフで、
図4から塩酸塩はやや吸湿性があり、通常の保存の湿度範囲内で、湿度の変化の幅が小さく、3.0%未満であったことがわかる。80%RHでは、吸收水分は2.54%であった。
図5は実施例1の塩酸塩の赤外(IR)スペクトルで、
図5から塩酸塩は3429、2951、2827、2225、1720、1687、1560、1533、1446、1385、1261、1064、771 cm
-1に特徴吸収ピークがあることがわかる。
【0106】
実施例2:(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸のマレイン酸塩(No.2)の製造
200 mgの(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸を溶媒のTHF-MeOH(1:1, v/v)に溶解あせ、等当量のマレイン酸[(濃度0.02 M、溶媒THF-MeOH(1:1, v/v)]を入れ、上記で得られた溶液を40℃の条件において1 h反応させ、撹拌しながら結晶が析出し、ろ過してマレイン酸塩を得、さらにマレイン酸塩をアセトン-水(1:1, v/v)に入れて再結晶させ、得られた固体物質を真空乾燥器に置き、50℃、5 kPaの条件において70時間真空乾燥し、(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸マレイン酸塩を170 mg得た。
【0107】
結果
実施例2で得られたマレイン酸塩に対してXRD、TGA、DSC、DVS、IRやRamanなどの測定を行った。
図7は実施例2のマレイン酸塩のXRDスペクトルで、
図7からマレイン酸塩は7.55°、10.83°、12.41°、13.22°、14.38°、14.75°、15.45°、15.80°、17.50°、18.30°、19.40°、20.43°、20.89°、21.85°、22.87°、23.25°、25.04°、26.59°、26.93°、27.10°、28.21°、30.53°、32.96°に吸収ピークがあることがわかる。
図8は実施例2のマレイン酸塩のTGグラフで、
図8からマレイン酸塩は210〜400℃に42.56%の重量減少があったことがわかる。
【0108】
図9は実施例2のマレイン酸塩の示差走査熱量分析(DSC)チャートで、
図9からマレイン酸塩に相応するDSCで示された融点は113.80℃であることがわかる。
図10は実施例2のマレイン酸塩の吸湿性分析(DVS)グラフで、
図10からマレイン酸塩はやや吸湿性があり、通常の保存の湿度範囲内で、湿度の変化の幅が小さく、2.0%未満であったことがわかる。80%RHでは、吸收水分は1.57%であった。
図11は実施例2のマレイン酸塩の赤外(IR)スペクトルで、
図11からマレイン酸塩は3429、3062、2954、2862、2224、1720、1676、1558、1531、1469、1354、1290、1219、1063、864、775、654 cm
-1に特徴吸収ピークがあることがわかる。
【0109】
実施例3:(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸のリン酸塩(No.3)の製造
200 mgの(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸を溶媒のTHF-MeOH(1:1, v/v)に溶解あせ、等当量のリン酸[(濃度0.02 M、溶媒THF-MeOH(1:1, v/v)]を入れ、上記で得られた溶液を40℃の条件において1 h反応させ、撹拌しながら結晶が析出し、ろ過してリン酸塩を得、さらにリン酸塩をアセトン-水(1:1, v/v)に入れて再結晶させ、得られた固体物質を真空乾燥器に置き、50℃、5 kPaの条件において70時間真空乾燥し、(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸リン酸塩を152 mg得た。
【0110】
結果
実施例3で得られたリン酸塩に対してXRD、TGA、DSC、DVS、IRやRamanなどの測定を行った。
図13は実施例3のリン酸塩のXRDスペクトルで、
図13からリン酸塩は6.23°、11.99°、12.20°、14.80°、15.16°、16.04°、16.56°、17.90°、20.11°、20.46°、22.74°、23.15°、24.18°、24.68°、25.63°、26.15°に吸収ピークがあることがわかる。
図14は実施例3のリン酸塩のTGグラフで、
図14からリン酸塩は210〜400℃に47.57%の重量減少があったことがわかる。
【0111】
図15は実施例3のリン酸塩の示差走査熱量分析(DSC)チャートで、
図15からリン酸塩に相応するDSCで示された融点は154.80℃であることがわかる。
図16は実施例3のリン酸塩の吸湿性分析(DVS)グラフで、
図16からリン酸塩はやや吸湿性があり、通常の保存の湿度範囲内で、湿度の変化の幅が小さかったことがわかる。
図17は実施例3のリン酸塩の赤外(IR)スペクトルで、
図17からリン酸塩は3408、2951、2860、2225、1716、1684、1601、1556、1531、1450、1379、1282、1238、1124、1064、947、868、758、521 cm
-1に特徴吸収ピークがあることがわかる。
【0112】
実施例4:(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸のグリコール酸塩(No.4)の製造
200 mgの(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸を溶媒のTHF-MeOH(1:1, v/v)に溶解あせ、等当量のグリコール酸[(濃度0.02 M、溶媒THF-MeOH(1:1, v/v)]を入れ、上記で得られた溶液を40℃の条件において1 h反応させ、撹拌しながら結晶が析出し、ろ過してグリコール酸塩を得、さらにグリコール酸塩をアセトン-水(1:1, v/v)に入れて再結晶させ、得られた固体物質を真空乾燥器に置き、50℃、5 kPaの条件において70時間真空乾燥し、(R)-メチル-2-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-(2-シアノベンジル)-4-カルボニル-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボン酸グリコール酸塩を165 mg得た。
【0113】
結果
実施例4で得られたグリコール酸塩に対してXRD、TGA、DSC、DVS、IRやRamanなどの測定を行った。
図19は実施例4のグリコール酸塩のXRDスペクトルで、
図19からグリコール酸塩は6.66°、8.92°、9.91°、10.20°、13.35°、13.92°、15.78°、16.71°、16.89°、17.41°、18.70°、19.37°、20.12°、20.51°、21.22°、21.78°、22.75°、23.00°、23.87°、24.08°、24.37°、25.52°、26.55°、27.02°、27.48°、28.23°、28.63°、28.84°、29.68°、30.14°、30.51°、31.41°、31.76°、33.00°、33.81°、34.13°、35.21°、35.83°、36.37°、37.70°、37.93°に吸収ピークがあることがわかる。
図20は実施例4のグリコール酸塩のTGグラフで、
図20からグリコール酸塩は210〜400℃に53.41%の重量減少があったことがわかる。
【0114】
図21は実施例4のグリコール酸塩の示差走査熱量分析(DSC)チャートで、
図21からグリコール酸塩に相応するDSCで示された融点は188.75℃であることがわかる。
図22は実施例4のグリコール酸塩の吸湿性分析(DVS)グラフで、
図22からグリコール酸塩はやや吸湿性があり、通常の保存の湿度範囲内で、湿度の変化の幅が小さく、2.0%未満であったことがわかる。80%RHでは、吸收水分は1.23%であった。
図23は実施例4のグリコール酸塩の赤外(IR)スペクトルで、
図23からグリコール酸塩は3462、2958、2837、2227、1720、1674、1558、1533、1450、1350、1282、1223、1072、928、760、692 cm
-1に特徴吸収ピークがあることがわかる。
【0115】
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、当業者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の形態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるはずである。