(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、算出した前記バケットの刃先方向と、前記バケットの開口面側への進行方向との間の掘削角度が所定期間、前記所定角となるように前記バケットの開口面側への進行方向を決定し、前記進行方向への作業機動作を実行させる、請求項1記載の作業車両。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0019】
[作業車両の全体構成]
図1は、実施形態に基づく作業車両の一例を示す斜視図である。
【0020】
図1に示されるように、本例においては、作業車両として油圧により作動する作業機2を備える油圧ショベルCMを例に挙げて説明する。
【0021】
油圧ショベルCMは、車両本体1と、作業機2とを備える。
車両本体1は、旋回体3と、運転室4と、走行装置5とを有する。
【0022】
旋回体3は、走行装置5の上に配置される。走行装置5は、旋回体3を支持する。旋回体3は、旋回軸AXを中心に旋回可能である。運転室4には、オペレータが着座する運転席4Sが設けられる。オペレータは、運転室4において油圧ショベルCMを操作する。走行装置5は、一対の履帯5Crを有する。履帯5Crの回転により、油圧ショベルCMが走行する。なお、走行装置5が車輪(タイヤ)で構成されていてもよい。
【0023】
本実施形態では、運転席4Sに着座したオペレータを基準として各部の位置関係を説明する。
【0024】
前後方向とは、運転席4Sに着座したオペレータを基準とした前後方向をいう。左右方向とは、運転席4Sに着座したオペレータを基準とした左右方向をいう。左右方向は、車両の幅方向(車幅方向)に一致する。運転席4Sに着座したオペレータが正面に正対する方向を前方向とし、前方向とは反対の方向を後方向とする。運転席4Sに着座したオペレータが正面に正対したとき右側、左側をそれぞれ右方向、左方向とする。前後方向は、X軸方向であり、左右方向は、Y軸方向である。運転席4Sに着座したオペレータが正面に正対する方向は、前方向(+X方向)であり、前方向の反対方向は、後方向(−X方向)である。運転席4Sに着座したオペレータが正面に正対したときの車幅方向の一側の方向は、右方向(+Z方向)であり、車幅方向の他側の方向は、左方向(−Z方向)である。
【0025】
旋回体3は、エンジンが収容されるエンジンルーム9と、旋回体3の後部に設けられるカウンタウェイトとを有する。旋回体3において、エンジンルーム9の前方に手すり19が設けられる。エンジンルーム9に、エンジン及び油圧ポンプなどが配置される。
【0026】
作業機2は、旋回体3に接続される。
作業機2は、ブーム6と、アーム7と、バケット8と、ブームシリンダ10と、アームシリンダ11と、バケットシリンダ12とを有する。
【0027】
ブーム6は、ブームピン13を介して旋回体3に接続される。アーム7は、アームピン14を介してブーム6に接続される。バケット8は、バケットピン15を介してアーム7に接続される。ブームシリンダ10は、ブーム6を駆動する。アームシリンダ11は、アーム7を駆動する。バケットシリンダ12は、バケット8を駆動する。ブーム6の基端部(ブームフート)と旋回体3とが接続される。ブーム6の先端部(ブームトップ)とアーム7の基端部(アームフート)とが接続される。アーム7の先端部(アームトップ)とバケット8の基端部とが接続される。ブームシリンダ10、アームシリンダ11およびバケットシリンダ12はいずれも、作動油によって駆動される油圧シリンダである。
【0028】
ブーム6は、回動軸であるブームピン13を中心に旋回体3に対して回動可能である。アーム7は、ブームピン13と平行な回動軸であるアームピン14を中心にブーム6に対して回動可能である。バケット8は、ブームピン13及びアームピン14と平行な回動軸であるバケットピン15を中心にアーム7に対して回動可能である。
【0029】
ブームピン13、アームピン14、及びバケットピン15のそれぞれは、Z軸と平行である。ブーム6、アーム7、及びバケット8のそれぞれは、Z軸と平行な軸を中心に回動可能である。
【0030】
図2は、実施形態に基づく作業車両CMを模式的に説明する図である。
図2に示されるように、作業車両CMには、ブームシリンダストロークセンサ16と、アームシリンダストロークセンサ17と、バケットシリンダストロークセンサ18とが設けられる。
【0031】
ブームシリンダストロークセンサ16は、ブームシリンダ10に配置され、ブームシリンダ10のストローク長さ(ブームシリンダ長)を検出する。アームシリンダストロークセンサ17は、アームシリンダ11に配置され、アームシリンダ11のストローク長さ(アームシリンダ長)を検出する。バケットシリンダストロークセンサ18は、バケットシリンダ12に配置され、バケットシリンダ12のストローク長さ(バケットシリンダ長)を検出する。
【0032】
以下の説明においては、ブームシリンダ10のストローク長さをブームシリンダ長又はブームストロークとも称する。また、アームシリンダ11のストローク長さをアームシリンダ長又はアームストロークとも称する。また、バケットシリンダ12のストローク長さをバケットシリンダ長又はバケットストロークとも称する。
【0033】
また、ブームシリンダ長、アームシリンダ長およびバケットシリンダ長を総称してシリンダ長データとも称する。
【0034】
ブーム6の長さL1は、ブームピン13とアームピン14との距離である。アーム7の長さL2は、アームピン14とバケットピン15との距離である。バケット8の長さL3は、バケットピン15とバケット8の刃先8aとの距離である。バケット8は、複数の刃を有し、本例においては、バケット8の先端部を刃先8aと称する。なお、バケット8は、刃を有していなくてもよい。バケット8の先端部は、ストレート形状の鋼板で形成されていてもよい。
【0035】
本例においては、ブームピン13を基準点(基準位置)としたX、Y軸の車両本体座標系が示されている。
【0036】
ブームシリンダストロークセンサ16が検出したシリンダ長データから、車両本体座標系の水平方向に対するブーム6の傾斜角θ1を算出する。
【0037】
アームシリンダストロークセンサ17が検出したシリンダ長データから、ブーム6に対するアーム7の傾斜角θ2を算出する。
【0038】
バケットシリンダストロークセンサ18が検出したシリンダ長データから、アーム7に対するバケット8が有する刃先8aの傾斜角θ3を算出する。
【0039】
ブーム6、アーム7、バケット8の長さL1〜L3および傾斜角θ1〜θ3に基づいて、X、Y軸の車両本体座標系におけるバケット8の刃先8aの位置およびバケット8の刃先8aの角度(刃先方向)を算出することが可能である。
【0040】
本例においては、バケット8の刃先8aの位置座標[x1,y1]およびバケット8の刃先8aの水平方向に対する刃先角度[α]が示されている。
【0041】
なお、本例においては、ストロークセンサを用いてストローク長さを検出し、傾斜角θを算出する方式について説明するが、ロータリーエンコーダのような角度検出器で傾斜角を算出するようにしても良い。
【0042】
[油圧システムの構成]
図3は、実施形態に基づく作業車両CMを制御する制御システム200の構成を説明する機能ブロック図である。
【0043】
図3に示されるように、実施形態に基づく制御システム200は、作業機2を用いる掘削処理を制御する。
【0044】
制御システム200は、ブームシリンダストロークセンサ16と、アームシリンダストロークセンサ17と、バケットシリンダストロークセンサ18と、操作装置25と、作業機コントローラ26と、油圧シリンダ60と、方向制御弁64と、圧力センサ66とを有する。
【0045】
操作装置25は、運転室4に配置される。操作装置25は、オペレータにより操作される。操作装置25は、作業機2を駆動するオペレータの操作指令を受け付ける。操作装置25は、一例としてパイロット油圧方式の操作装置である。
【0046】
方向制御弁64は、油圧シリンダ60に対する作動油の供給量を調整する。方向制御弁64は、供給される油によって作動する。なお、本例においては、油圧シリンダ(ブームシリンダ10、アームシリンダ11、及びバケットシリンダ12)を作動するために、その油圧シリンダに供給される油は作動油とも称する。また、方向制御弁64を作動するためにその方向制御弁64に供給される油はパイロット油と称される。また、パイロット油の圧力はパイロット油圧とも称される。
【0047】
作動油及びパイロット油は、同一の油圧ポンプから送出されてもよい。例えば、油圧ポンプから送出された作動油の一部が減圧弁で減圧され、その減圧された作動油がパイロット油として使用されてもよい。また、作動油を送出する油圧ポンプ(メイン油圧ポンプ)と、パイロット油を送出する油圧ポンプ(パイロット油圧ポンプ)とが別の油圧ポンプでもよい。
【0048】
また、本例においては、メイン油圧ポンプから送出され、減圧弁によって減圧されたパイロット油が操作装置25に供給される。
【0049】
操作装置25の操作量に基づいてパイロット油圧が調整される。圧力センサ66は、操作装置25と接続される。圧力センサ66は、操作装置25のレバー操作に従い発生するパイロット油圧を検出して、作業機コントローラ26に出力する。
【0050】
作業機コントローラ26は、圧力センサ66で検出されたパイロット油圧に応じて、油圧シリンダ60(ブームシリンダ10、アームシリンダ11、及びバケットシリンダ12)に供給される作動油が流れる方向制御弁64を駆動する。
【0051】
操作装置25は、第1操作レバー25Rと、第2操作レバー25Lと、掘削モード設定ボタン25Pとを有する。第1操作レバー25Rは、例えば運転席4Sの右側に配置される。第2操作レバー25Lは、例えば運転席4Sの左側に配置される。第1操作レバー25R及び第2操作レバー25Lでは、前後左右の動作が2軸の動作に対応する。
【0052】
掘削モード設定ボタン25Pは、掘削モードに設定するための設定ボタンである。作業機コントローラ26は、オペレータの掘削モード設定ボタン25Pの押下指示に従って、通常モードから掘削モードに移行する。また、作業機コントローラ26は、オペレータの再度の掘削モード設定ボタン25Pの押下指示に従って、掘削モードから通常モードに移行する。
【0053】
本例においては、操作装置25の第1操作レバー25Rおよび第2操作レバー25Lは、通常モードと掘削モードとで操作に対応する機能を変更することが可能である。
【0054】
通常モードにおいては、第1操作レバー25Rにより、ブーム6及びバケット8が操作される。
【0055】
第1操作レバー25Rの前後方向の操作は、ブーム6の操作に対応し、前後方向の操作に応じてブーム6の下げ動作及び上げ動作が実行される。ブーム6を操作するためにレバー操作される。
【0056】
第1操作レバー25Rの左右方向の操作は、バケット8の操作に対応し、左右方向の操作に応じてバケット8の掘削動作及び開放動作が実行される。バケット8を操作するためにレバー操作される。
【0057】
第2操作レバー25Lにより、アーム7及び旋回体3が操作される。
第2操作レバー25Lの前後方向の操作は、アーム7の操作に対応し、前後方向の操作に応じてアーム7の上げ動作及び下げ動作が実行される。アーム7を操作するためにレバー操作される。
【0058】
第2操作レバー25Lの左右方向の操作は、旋回体3の旋回に対応し、左右方向の操作に応じて旋回体3の右旋回動作及び左旋回動作が実行される。
【0059】
作業機コントローラ26は、圧力センサ66の検出結果に基づく前後方向に関する第1操作レバー25Rの操作量(ブーム操作量)に従って、ブーム6を駆動するためのブームシリンダ10に供給される作動油が流れる方向制御弁64を駆動する。
【0060】
作業機コントローラ26は、圧力センサ66の検出結果に基づく左右方向に関する第1操作レバー25Rの操作量(バケット操作量)に従って、バケット8を駆動するためのバケットシリンダ12に供給される作動油が流れる方向制御弁64を駆動する。
【0061】
作業機コントローラ26は、圧力センサ66の検出結果に基づく前後方向に関する第2操作レバー25Lの操作量(アーム操作量)に従って、アーム7を駆動するためのアームシリンダ11に供給される作動油が流れる方向制御弁64を駆動する。
【0062】
作業機コントローラ26は、圧力センサ66の検出結果に基づく左右方向に関する第2操作レバー25Lの操作量に従って旋回体3を駆動するための油圧アクチュエータに供給される作動油が流れる方向制御弁64を駆動する。
【0063】
なお、第1操作レバー25Rの左右方向の操作がブーム6の操作に対応し、前後方向の操作がバケット8の操作に対応してもよい。なお、第2操作レバー25Lの左右方向がアーム7の操作に対応し、前後方向の操作が旋回体3の操作に対応してもよい。
【0064】
一方で、掘削モードにおいては、第1操作レバー25Rにより、バケット8が操作される。第1操作レバー25Rの左右方向の操作は、バケット8の操作に対応し、左右方向の操作に応じてバケット8の回転動作が実行される。第1操作レバー25Rの前後方向の操作は、無効とされる。したがって、ブーム6を操作するためにレバー操作は受け付けない。
【0065】
また、掘削モードにおいては、第2操作レバー25Lにより、バケット8の刃先8aの移動量が調整される。第2操作レバー25Lの前方向の操作は、バケット8の刃先8aの移動量の操作に対応する。第2操作レバー25Lの前方向の傾倒量が多い場合には、バケット8の刃先8aの移動量が大きくなる。一方、第2操作レバー25Lの前方向の傾倒量が少ない場合には、バケット8の刃先8aの移動量は小さくなる。
【0066】
他の第2操作レバー25Lの方向の操作は無効とされる。したがって、アーム7および旋回体3を操作するためのレバー操作は受け付けない。
【0067】
[土砂抵抗]
図4は、実施形態に基づくバケット8の掘削角度と土砂抵抗との関係を説明する図である。
【0068】
本例において、掘削角度とは、バケット8の刃先8aの方向と、バケット8が移動する際の刃先8aの進行方向との間の角度を表わすものとする。バケット8の刃先8aの方向を基準にバケット8が移動する際の刃先8aの進行方向がバケット8の開口面側に進む場合に正の値とし、逆方向に進む場合には負の値とする。
【0069】
図4に示されるように、バケット8の掘削角度が0°付近が限界角度として示されている。
【0070】
バケット8の掘削角度が限界角度より小さい場合には、バケット8の外装あるいはバケット8の背面により土砂を押し付ける形態となり、バケット8にかかる土砂抵抗の値が急激に上昇する。
【0071】
一方で、バケット8の掘削角度が所定角度Qにおいては、バケット8にかかる土砂抵抗の値は最小となる場合が示されている。
【0072】
なお、限界角度、所定角度Qは、一例でありバケット8の形態に従って異なる値に設定することが可能である。
【0073】
本実施形態に従う作業車両CMは、土砂抵抗の値が低い掘削角度で掘削処理を実行することにより簡易な方式で効率的な作業機動作を実行する。具体的には、作業車両CMは、掘削角度が所定角度Qとなるように掘削処理を実行する。なお、本例において所定角度Qとなるようにとは、所定角度Qに完全に一致することを意味するものではなく、所定角度Qの近似値も含むものとする。
【0074】
[動作処理]
図5は、実施形態に基づく作業車両CMの掘削作業の動作処理を説明する図である。
【0075】
図5に示されるように、作業機コントローラ26は、掘削モードであるか否かを判断する(ステップS2)。具体的には、作業機コントローラ26は、オペレータの操作指令に従う掘削モードに設定する掘削モード設定ボタンの設定指示を受け付けているかどうかを判断する。
【0076】
ステップS2において、作業機コントローラ26は、掘削モードであると判断した場合には、刃先データを算出する(ステップS4)。
【0077】
具体的には、作業機コントローラ26は、ブームシリンダストロークセンサ16、アームシリンダストロークセンサ17およびバケットシリンダストロークセンサ18の検出結果に基づいて、ブームシリンダ長、アームシリンダ長およびバケットシリンダ長を算出する。そして、ブームシリンダ長から、水平方向に対するブーム6の傾斜角θ1を算出する。アームシリンダ長から、ブーム6に対するアーム7の傾斜角θ2を算出する。バケットシリンダ長から、アーム7に対するバケット8の刃先8aの傾斜角θ3を算出する。これにより、X、Y軸の車両本体座標系におけるバケット8の位置およびバケット8の刃先8aの方向(刃先方向)を示す刃先データ[x1,y1,α1]を算出する。
【0078】
次に、作業機コントローラ26は、掘削方向ベクトルを算出する(ステップS6)。
本例においては、バケット8の刃先8aの方向に対してバケット8の刃先8aの進行方向との間の成す掘削角度が所定角度Qとなるように掘削方向ベクトルを算出する。これによりバケット8の刃先8aの開口面側への進行方向が決定される。
【0079】
本例の車両本体座標系における掘削方向ベクトルを示すX軸方向およびY軸方向の単位ベクトルdx,dyは次式で表わされる。
【0080】
dx=−cos(α1+Q)
dy=−sin(α1+Q)
次に、作業機コントローラ26は、操作レバーの入力を受け付ける(ステップS8)。
【0081】
本例においては、第1操作レバー25Rおよび第2操作レバー25Lの操作入力を受け付ける。
【0082】
上記したように、掘削モードにおいては、第1操作レバー25Rによりバケット8の回転動作が実行される。第2操作レバー25Lによりバケットの掘削方向に対する移動動作が実行される。
【0083】
次に、作業機コントローラ26は、受け付けた操作レバーの操作入力に従ってバケット回転量および掘削移動量を算出する(ステップS10)。
【0084】
具体的には、作業機コントローラ26は、圧力センサ66から出力された第1操作レバー25Rの操作入力に応じて発生する検出圧力に基づいてバケット回転量を算出する。また、作業機コントローラ26は、圧力センサ66から出力された第2操作レバー25Lの操作入力に応じて発生する検出圧力に基づいて掘削移動量を算出する。
【0085】
本例においては、作業機コントローラ26の算出結果に基づくバケット回転量をΔd、掘削移動量をΔeとする。
【0086】
次に、作業機コントローラ26は、操作レバーの入力に従って移動するバケット8の刃先8aの目標刃先データを算出する(ステップS12)。
【0087】
具体的には、作業機コントローラ26は、目標刃先データ[x2,y2,α2]を算出する。
【0088】
x2=x1+Δd×dx
y2=y1+Δd×dy
α2=α1+Δe
目標刃先データ[x2,y2,α2]は、上式により算出することが可能である。
【0089】
次に、作業機コントローラ26は、目標刃先データに基づいて作業機を動作させる(ステップS14)。
【0090】
具体的には、作業機コントローラ26は、X、Y軸の車両本体座標系におけるバケット8の刃先8aの目標刃先データ[x2,y2,α2]に従って、ブーム6の傾斜角θ1’、アーム7の傾斜角θ2’、バケット8の傾斜角θ3’を算出する。作業機コントローラ26は、ブーム6、アーム7およびバケット8の傾斜角θ1’〜θ3’に基づいてブームシリンダ長、アームシリンダ長およびバケットシリンダ長を算出する。
【0091】
そして、作業機コントローラ26は、算出されたブームシリンダ長、アームシリンダ長およびバケットシリンダ長となるように油圧シリンダ60に供給される作動油を調整するように方向制御弁64を駆動する。
【0092】
これにより、バケット8の刃先8aの位置および方向が目標刃先データとなるようにブーム6、アーム7およびバケット8が自動制御される。
【0093】
次に、作業機コントローラ26は、作業を終了したか否かを判断する(ステップS16)。作業機コントローラ26は、作業を終了したと判断する場合とは、例えばエンジンを停止した場合である。
【0094】
ステップS16において、作業機コントローラ26は、作業を終了したと判断した場合(ステップS16においてYES)には、処理を終了する(エンド)。
【0095】
一方、ステップS16において、作業機コントローラ26は、作業を終了していないと判断した場合(ステップS16においてNO)には、ステップS2に戻り上記処理を繰り返す。
【0096】
一方、ステップS2において、作業機コントローラ26は、掘削モードでないと判断した場合には操作レバー入力を受け付ける(ステップS18)。
【0097】
本例においては、第1操作レバー25Rおよび第2操作レバー25Lの操作入力を受け付ける。
【0098】
上記したように、通常モードにおいては、第1操作レバー25Rにより、ブーム6及びバケット8が操作される。また、第2操作レバー25Lにより、第2操作レバー25Lにより、アーム7及び旋回体3が操作される。
【0099】
そして、作業機コントローラ26は、作業機を動作させる(ステップS20)。
作業機コントローラ26は、圧力センサ66の検出結果に基づく前後方向に関する第1操作レバー25Rの操作量(ブーム操作量)に従って、ブーム6を駆動するためのブームシリンダ10に供給される作動油が流れる方向制御弁64を駆動する。
【0100】
作業機コントローラ26は、圧力センサ66の検出結果に基づく左右方向に関する第1操作レバー25Rの操作量(バケット操作量)に従って、バケット8を駆動するためのバケットシリンダ12に供給される作動油が流れる方向制御弁64を駆動する。
【0101】
作業機コントローラ26は、圧力センサ66の検出結果に基づく前後方向に関する第2操作レバー25Lの操作量(アーム操作量)に従って、アーム7を駆動するためのアームシリンダ11に供給される作動油が流れる方向制御弁64を駆動する。
【0102】
作業機コントローラ26は、圧力センサ66の検出結果に基づく左右方向に関する第2操作レバー25Lの操作量に従って旋回体3を駆動するための油圧アクチュエータに供給される作動油が流れる方向制御弁64を駆動する。
【0103】
そして、ステップS16に進む。
以降の処理は、上記で説明したのと同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0104】
本例においては、バケット8の刃先8aの刃先方向を算出し、バケット8の刃先8aの方向に対してバケット8の刃先8aの進行方向との間の成す掘削角度が所定角度Qとなるように掘削方向ベクトル(バケット8の開口面側への進行方向)が算出される。そして、当該掘削方向ベクトルに従ってバケット8の刃先8aが移動するように自動制御されるためバケット8にかかる土砂抵抗は低くなる。それゆえ、バケット8にかかる土砂抵抗(負荷)を低くすることにより簡易な方式で効率的な作業機動作を実行することが可能となる。
【0105】
また、本例においては、オペレータの掘削モード設定ボタン25Pの押下指示に従う掘削モードに設定している期間の間、所定の掘削方向ベクトルに従ってバケット8の刃先8aが移動する負荷の低い効率的な作業機動作となるため燃費の向上を図ることが可能である。
【0106】
また、本例においては、オペレータの掘削モード設定ボタン25Pの押下指示に従い掘削モードに設定することが可能であるためオペレータの意図を反映した効率的な作業機動作を実行することが可能である。
【0107】
また、本例においては、掘削モードにおいて、第1操作レバー25Rによりバケット8の回転動作が実行される。また、第2操作レバー25Lによりバケットの掘削方向に対する移動動作が実行される。したがって、2つの操作レバーによる操作指令により掘削処理が実行される。
【0108】
従来の油圧ショベルの掘削動作においては、ブームとアームとバケットとの3軸の操作レバーをそれぞれ動かしてバケットの動きを操作する必要があり、簡単ではなく熟練が必要であったが、本例の方式により2つの操作指令によりバケットの動きを操作することが可能となるため簡易な操作により、効率的な掘削処理を実行することが可能となる。
【0109】
(変形例1)
実施形態の変形例1に従う作業車両は、オペレータの操作指示に限られず自律的に作業車両CMを掘削モードで制御するようにしても良い。
【0110】
具体的には、作業機コントローラ26は、作業機2が掘削作業を実行するか否かを判断する。
【0111】
変形例1においては、作業機2にかかる負荷に応じて作業機2が掘削作業を実行するか否かを判断する場合について説明する。
【0112】
図6は、実施形態の変形例1に基づく制御システム200#の構成を説明する機能ブロック図である。
【0113】
図6に示されるように、制御システム200#は、制御システム200と比較して、負荷センサ28をさらに設けた点が異なる。また、操作装置25を操作装置25#に置換した点が異なる。
【0114】
操作装置25#は、操作装置25と比較して、掘削モード設定ボタン25Pが除かれた構成が示されている。その他の構成については、
図3で説明したのと同様であるためその詳細な説明については繰り返さない。
【0115】
本例においては、負荷センサ28は、一例としてバケット8に取り付けられているものとする。
【0116】
作業機コントローラ26は、バケット8に取り付けられた負荷センサ28に従って作業機2が掘削作業を実行するか否かを判断する。
【0117】
バケット8が土砂を掘削する掘削作業の場合には、負荷センサ28の値は大きくなる。一方、バケット8が土砂を掘削しない掘削作業以外の場合には、負荷センサ28の値は小さくなる。
【0118】
本例においては、作業機コントローラ26は、負荷センサ28からの検出結果に従う負荷の値が所定値以上であるか否かを判断する。
【0119】
作業機コントローラ26は、負荷センサ28からの検出結果に従う負荷の値が所定値以上である場合には、掘削作業を実行すると判断し、掘削モードに設定する。
【0120】
作業機コントローラ26は、掘削モードに設定した場合、第1操作レバー25Rによりバケット8の回転動作が実行される。また、第2操作レバー25Lによりバケットの掘削方向に対する移動動作が実行される。したがって、2つの操作指令による掘削処理が実行される。
【0121】
一方、作業機コントローラ26は、負荷センサ28からの検出結果に従う負荷の値が所定値未満である場合には、掘削モードに設定しない。この場合、作業機コントローラ26は、通常モードとして動作する。
【0122】
作業機コントローラ26は、通常モードに設定した場合、上記したように第1操作レバー25Rにより、ブーム6及びバケット8が操作される。また、第2操作レバー25Lにより、アーム7及び旋回体3が操作される。
【0123】
実施形態の変形例1に従う作業車両は、負荷センサ28からの検出結果に基づいて自律的に作業車両CMを掘削モードで制御する方式である。
【0124】
したがって、簡易な方式で効率的な作業機動作を実行することが可能となる。
なお、本例においては、負荷センサ28をバケット8に取り付けた構成について説明したが、油圧シリンダ内の油圧を測定するセンサにより負荷を検出する構成とすることも可能である。たとえば、バケットシリンダ12に供給する作動油の油圧をセンサにより測定することによりバケット8にかかる負荷の大小を判断するようにしても良い。
【0125】
また、掘削モードにおいて、上記においては、ステップS8においてオペレータによる第1操作レバー25Rおよび第2操作レバー25Lの操作指示に従ってバケット8を操作する方式について説明したが、特にこれに限られず自動でバケット8を制御するようにしても良い。具体的には、作業機コントローラ26は、バケット回転量および掘削移動量を予めプログラミングにより設定されている所定値に設定して、バケット8を自動制御するようにしても良い。なお、当該所定値は、固定値に限られない。例えば、掘削モードを開始してからの時間の経過に従って当該所定値を変更するようにしても良い。一例として掘削モードを開始してからの所定期間に対応するバケット8の内部に土砂を入れる掘削処理の期間の間は第1の所定値に設定し、バケット8に入った土砂を掻き出す掘削処理の期間の間は第2の所定値に設定しても良い。
【0126】
(その他の実施形態)
図7は、他の実施形態に基づく作業車両システムの概念を説明する図である。
【0127】
図7に示されるように、他の実施形態に基づく作業車両システムは、作業車両CMを外部の基地局300から制御する制御システムを構成する。具体的には、
図3で説明した作業機コントローラ26および操作装置25の機能が外部の基地局300等に設けられた構成である。
【0128】
基地局300は、作業機コントローラ26と同様の機能を有する作業機コントローラ26#と、操作装置25と同様の機能を有する操作装置25#とを含む。
【0129】
作業機コントローラ26#は、操作装置25#の操作指令を受け付けて、作業車両CMを制御する動作指令を出力する。作業車両CMは、作業機コントローラ26#からの動作指令に従って動作する。具体的には、作業機コントローラ26#は、
図3で説明した方向制御弁64を駆動する動作指令を出力する。また、作業機コントローラ26#は、ブームシリンダストロークセンサ16、アームシリンダストロークセンサ17およびバケットシリンダストロークセンサ18のセンサ情報の入力を受ける。
【0130】
当該構成においても、
図5で説明した実施形態1に基づく掘削作業の動作処理を作業機コントローラ26#で実行することが可能である。
【0131】
これにより、遠隔地にある基地局300から作業車両を制御する場合においても本実施形態に従う構成を適用することが可能であり、効率的な掘削作業を実行することが可能である。
【0132】
なお、本例においては、オペレータが操作装置である操作レバーの操作入力に従って作業車両CMを制御する構成について説明しているが、操作装置を設けずに自律的に作業車両CMを制御する構成にも適用可能である。たとえば、掘削作業する操作指令が予めプログラミングされており、当該プログラミングされた操作指令に従って作業機コントローラが動作する場合にも適用可能である。具体的には、ユーザの指示に従って作業車両CMを自律的に制御するための自律制御プログラムが起動し、当該プログラミングされた操作指令に従って作業機コントローラが動作する場合に、バケットの刃先方向を算出し、算出したバケットの刃先方向と、刃先方向からバケットの開口面側への進行方向との間の掘削角度が所定角となるようにバケットの開口面側への進行方向を決定し、作業機を動作させる処理を含めるようにすれば良い。
【0133】
また、上記においては、土砂抵抗の値が最小となる所定角度Qを用いる場合について説明したが、これに限られず任意の所定角度を掘削角度として作業機2を制御するようにしても良い。また、当該掘削角度の値も固定値に限られない。例えば、掘削モードを開始してからの時間の経過に従って当該掘削角度の値を変更するようにしても良い。掘削モードを開始してからの所定期間に対応するバケット8の内部に土砂を入れる掘削処理の期間の間は第1の掘削角度の値に設定し、バケット8に入った土砂を掻き出す掘削処理の期間の間は第2の掘削角度の値に設定しても良い。
【0134】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0135】
本実施形態の作業車両CMには、
図1に示すように車両本体1と、作業機2とが設けられる。作業機2は、車両本体1に対して回動可能なブーム6と、ブーム6に対して回動可能なアーム7と、アーム7に対して回動可能なバケット8とを有する。作業車両CMには、
図3に示すように作業機コントローラ26が設けられる。作業機コントローラ26は、バケット8の刃先8aの方向を算出し、算出したバケット8の刃先8aの方向と、バケット8の開口面側への進行方向との間の掘削角度が所定角度Qとなるように掘削方向ベクトル(バケット8の開口面側への進行方向)を決定し、進行方向への作業機動作を実行させる。
【0136】
図4に示すように、土砂抵抗の値が最小値である所定角度Qの掘削角度で作業機2の掘削処理を実行することにより簡易な方式で効率的な作業機動作を実行することが可能である。
【0137】
作業機コントローラ26は、算出したバケット8の刃先8aの方向と、バケット8の開口面側への進行方向との間の掘削角度が所定期間、所定角度Qとなるように掘削方向ベクトルを決定し、進行方向への作業機動作を実行させる。
【0138】
図4に示すように、土砂抵抗の値が低い掘削角度で掘削処理を所定期間の間実行することにより、効率的な作業機動作により燃費の向上を図ることが可能である。
【0139】
作業車両CMには、アーム7に対するバケット8の回動量を調整する第1の操作指令を作業機コントローラ26に出力する第1操作レバー25Rと、刃先8aの方向からバケット8の開口面側への進行方向に対するバケット8の移動量を調整する第2の操作指令を作業機コントローラ26に出力する第2操作レバー25Lとが設けられる。
【0140】
2つの操作レバーによる操作指令により掘削処理が実行されるため、従来の油圧ショベルの掘削動作における、ブームとアームとバケットとの3軸の操作レバーをそれぞれ動かしてバケットの動きを操作する場合に比べて、簡易な操作による効率的な掘削処理を実行することが可能である。
【0141】
作業機コントローラ26は、作業機2が作業機動作である掘削作業を実行する掘削モードであるか否かを判断する。作業機コントローラ26は、作業機2が掘削作業を実行する掘削モードであると判断した場合に、第1操作レバー25Rおよび第2操作レバー25Lからの第1および第2の操作指令を受け付ける。
【0142】
作業機コントローラ26は、掘削モードであると判断した場合に、2つの操作レバーによりバケット8を操作する第1および第2の操作指令を受け付けるため掘削処理を効率的に実行することが可能である。
【0143】
作業機コントローラ26は、オペレータの掘削モード設定ボタン25Pの押下指示に従って作業機2が作業機動作である掘削作業を実行する掘削モードであるか否かを判断する。
【0144】
オペレータの掘削モード設定ボタン25Pの押下指示に従い掘削モードであるか否かを判断することが可能であるためオペレータの意図を反映した効率的な作業機動作を実行することが可能である。
【0145】
作業車両CMには、バケット8にかかる負荷を検出する負荷センサ28が設けられる。作業機コントローラ26は、負荷センサ28の検出結果に従って作業機2が作業機動作である掘削作業を実行する作業モードであるか否かを判断する。
【0146】
負荷センサ28の検出結果に従って作業モードであるか否かを判断することが可能であるためオペレータの操作指示は不要であり、簡易な方式で効率的な作業機動作を実行することが可能である。
【0147】
本実施形態の作業車両CMには、
図1に示すように車両本体1と、作業機2とが設けられる。作業機2は、車両本体1に対して回動可能なブーム6と、ブーム6に対して回動可能なアーム7と、アーム7に対して回動可能なバケット8とを有する。当該作業車両CMの制御方法では、バケット8の刃先8aの方向を算出するステップと、算出されたバケット8の刃先8aの方向と、バケット8の開口面側への進行方向との間の掘削角度が所定角度Qとなるように進行方向への作業機動作を実行させるステップとが実行される。
【0148】
図4に示すように、土砂抵抗の値が最小値である所定角度Qの掘削角度で作業機2の掘削処理を実行することが可能となり、簡易な方式で効率的な作業機動作を実行することが可能である。
【0149】
なお、本例においては、作業車両として、油圧ショベルを例に挙げて説明したが、ブルドーザ、ホイールローダ等の作業車両にも適用可能である。
【0150】
以上、本発明の実施形態について説明したが、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。