【実施例1】
【0018】
以下、
図1乃至
図4を用いて実施例1を説明する。
まず、
図1を参照して照明条件再現カメラスタンド11の構成を説明する。
照明条件再現カメラスタンド11の本体フレーム12の上部に、カメラ13が下向きに取り付けられている。このカメラ13は、例えば、グレースケール画像(モノクロ画像)を撮像する撮像素子を用いて構成されているが、カラー画像を撮像する撮像素子を用いたカメラであっても良い。
【0019】
このカメラ13の下方には、レンズユニット14が取り付けられ、このレンズユニット14の下方に側射照明装置15が取り付けられている。この側射照明装置15は、例えば、上段、中段、下段の3段の側射光源21,22,23をドーム状又は多角錐台状に配置した構成となっている。各段の側射光源21,22,23は、例えば、多数のLEDを実装した複数枚のLED実装基板を八角形等の多角形の環状に組み付けて構成され、各段の側射光源21,22,23の照明光がカメラ13の光軸上に位置する撮像対象物である電子部品に対して斜め方向から照射されるように、当該電子部品に対する各段の側射光源21,22,23の側射照明の照射角度が設定されている。
【0020】
この側射照明装置15の各段の側射光源21,22,23は、それぞれ点灯/消灯を個別に切り換え可能に構成され、更に、本実施例1では、各段の側射光源21,22,23は、それぞれ上側/下側の2つの点灯エリア21a,21b,22a,22b,23a,23bに区分されて点灯/消灯を個別に切り換え可能に構成されている。これにより、側射照明装置15は、合計6段の点灯エリア21a,21b,22a,22b,23a,23bが点灯/消灯を個別に切り換え可能に構成されている。この側射照明装置15の下方には、撮像対象物である電子部品をセットする部品載置台25が設けられている。
【0021】
側射照明装置15とカメラ13の動作を制御する制御装置26(
図3参照)は、後述する
図4の照射角度対照テーブルを参照して、側射照明装置15の6段の点灯エリア21a,21b,22a,22b,23a,23bのうちの点灯させる点灯エリアを切り換えることで、側射照明装置15の側射照明の照射角度を変更してカメラ13で部品載置台25上の電子部品を撮像する。制御装置26には、キーボード、マウス、タッチパネル等で構成した入力装置27と、カメラ13で撮像した電子部品の画像等を表示する表示装置28等が接続されている。更に、制御装置26は、カメラ13で撮像した画像を処理して撮像対象物である電子部品を認識する画像処理装置としても機能する。
【0022】
図2に示すように、部品実装機には、吸着ノズル31に吸着した電子部品を撮像する部品撮像用のカメラユニット32が上向きに交換可能に搭載されている。
図2に示す部品実装機のカメラユニット32は、照明条件再現カメラスタンド11と同様に、カメラ33、レンズユニット34及び側射照明ユニット35を組み付けたものであり、これらを照明条件再現カメラスタンド11とは上下反転させて配置した構成となっている。この部品実装機の側射照明ユニット35も、照明条件再現カメラスタンド11の側射照明装置15と上下の向きが反対だけで、ほぼ同様の構成となっている。
【0023】
部品実装ラインを構成する複数台の部品実装機の各々には、実装する電子部品の種類に応じた照射角度の側射照明を実現する側射照明ユニット35を持つカメラユニット32が交換可能に搭載され、部品実装基板の生産に必要な電子部品が各部品実装機に割り付けられている。部品実装ラインの各部品実装機の側射照明ユニット35は、同一の構成とは限らず、異なる構成のものある。また、側射照明ユニット35が同一の構成であっても、側射照明ユニット35と撮像対象物(電子部品)との間の距離が異なる部品実装機もある。
【0024】
生産実績のある電子部品をその生産時に使用した既存のカメラユニット32で撮像する場合は、どの様な照射角度の側射照明を使用すれば良いか分かっているが、生産実績のない新規の電子部品を撮像する場合や、新規のカメラユニット32で撮像する場合には、生産開始前に電子部品を側射照明して撮像して当該電子部品の映り具合(つまり画像認識可能か否か)を確認することが望ましい。また、できるだけ多くの電子部品について、カメラユニット32(側射照明ユニット35)を限定しない方が、電子部品の割り付けの自由度が高く、生産効率も上がりやすい。この場合も、生産開始前に電子部品を側射照明して撮像して当該電子部品の映り具合を確認することが望ましい。
【0025】
このような観点から、本実施例1では、照明条件再現カメラスタンド11を使用して、生産開始前に各部品実装機で実装する電子部品の映り具合を確認する。この際、照明条件再現カメラスタンド11の構成が部品実装機のカメラユニット32の構成と異なる場合があり、また、両者が同一の構成であっても、照明条件再現カメラスタンド11の側射照明装置15と撮像対象物(電子部品)との間の距離が部品実装機とは異なる場合もある。この場合は、同じ段の点灯エリアを点灯しても、側射照明の照射角度が異なるため、電子部品の映り具合を精度良く確認できない。
【0026】
そこで、本実施例1では、部品実装機の側射照明ユニット35毎に、照明条件再現カメラスタンド11の側射照明装置15の側射照明の照射角度と部品実装機の側射照明ユニット35の側射照明の照射角度との対応関係をテーブル化した照射角度対照テーブル(
図4参照)を作成して、照明条件再現カメラスタンド11の制御装置26は、この照射角度対照テーブルを参照して、側射照明装置15の側射照明の照射角度を部品実装機の側射照明ユニット35の側射照明の照射角度に応じて変更することで、当該部品実装機の側射照明ユニット35と同等の側射照明の照射角度を再現して、部品載置台25上の電子部品をカメラ13で撮像する。
【0027】
図4の照射角度対照テーブルは、部品実装機の側射照明ユニット35の側射照明の照射角度が照明条件再現カメラスタンド11と同様に6段階に切り換え可能となっている場合の例である。部品実装機の側射照明ユニット35は、設置状態では、上下関係が照明条件再現カメラスタンド11の側射照明装置15とは逆になるが、
図4の照射角度対照テーブルでは、側射照明の照射角度が最も小さくなる点灯エリアを「下段下側」と表記し、側射照明の照射角度が最も大きくなる点灯エリアを「上段上側」と表記している。
【0028】
図4の照射角度対照テーブルでは、例えば、部品実装機の側射照明の照射角度が45度(下段下側の点灯エリアを点灯)の場合、照明条件再現カメラスタンド11の側射照明装置15の側射照明の照射角度を、部品実装機の45度に最も近い40度(中段下側の点灯エリア22bを点灯)に変更する。例えば、部品実装機の側射照明の照射角度が50度(下段上側の点灯エリアを点灯)の場合、照明条件再現カメラスタンド11の側射照明装置15の側射照明の照射角度を、50度に最も近い55度(中段上側の点灯エリア22aを点灯)に変更する。これにより、照明条件再現カメラスタンド11の側射照明装置15で、部品実装機の側射照明ユニット35と同等の側射照明の照射角度を再現して、部品載置台25上の電子部品をカメラ13で撮像する。
【0029】
図4の照射角度対照テーブルは、照明条件再現カメラスタンド11の制御装置26が実行するソフトウエアに組み込んでも良いし(制御装置26の記憶部に保存しても良いし)、必要なときに外部から制御装置26に入力するようにしても良い。予め、部品実装機の側射照明ユニット35毎に側射照明の照射角度を計測して照射角度対照テーブルを作成しておけば良い。
【0030】
電子部品の映り具合を確認する方法は、照明条件再現カメラスタンド11を使用して撮像した画像を表示装置28に表示して作業者が目視で電子部品の映り具合を確認するようにしても良いが、本実施例1では、電子部品の映り具合を自動的に確認するために、照明条件再現カメラスタンド11の制御装置26は、カメラ13で撮像した画像を処理して電子部品を正常に画像認識できたか否かを判定し、その判定結果を表示装置28に表示したり、音声等で出力する。このようにすれば、電子部品の映り具合を自動的に且つ目視より正確に確認することができる。
【0031】
更に、本実施例1では、照明条件再現カメラスタンド11の制御装置26は、電子部品を正常に画像認識できなかった場合に、側射照明装置15の側射照明の照射角度を変更する動作を当該電子部品の画像認識が成功するまで繰り返して、当該電子部品の画像認識が成功した側射照明の照射角度の情報を表示装置28に表示したり、音声等で出力する。この際、当該電子部品の画像認識が成功した側射照明の照射角度を、
図4の照射角度対照テーブルに基づいて部品実装機の側射照明ユニット35の側射照明の照射角度に変換して、その情報を表示装置28に表示したり、音声等で出力するようにしても良い。このようにすれば、部品実装機の側射照明ユニット35の側射照明の照射角度が不適切な場合には、適切な照射角度を作業者に知らせて、生産開始前に照射角度の変更等の適切な処置を行わせることができる。
【0032】
この場合、各部品実装機が実行する生産ジョブには、各部品実装機に割り付けられた電子部品の情報と側射照明ユニット35の側射照明の照射角度の情報とが関連付けて設定されているため、照明条件再現カメラスタンド11で、電子部品の画像認識が成功した側射照明の照射角度の情報を用いて、当該電子部品を実装する部品実装機の生産ジョブに設定された側射照明の照射角度の情報を修正するようにしても良い。尚、照射角度の情報の修正が当該部品実装機の側射照明ユニット35の変更可能な側射照明の照射角度の範囲内に収まらない場合には、当該部品実装機の側射照明ユニット35(カメラユニット32)を交換するように表示装置28に表示したり、音声等で出力したり、或は、当該電子部品の割り付けを変更するように表示装置28に表示したり、音声等で出力するようにしても良い。
【0033】
また、照明条件再現カメラスタンド11の制御装置26は、側射照明装置15の側射照明の変更可能な照射角度の範囲内で電子部品の画像認識が成功しなかった場合に、当該電子部品を実装する部品実装機の側射照明ユニット35を取り替えるように指示する情報を表示装置28に表示したり、音声等で出力する。このようにすれば、部品実装機の側射照明ユニット35(カメラユニット32)が不適切な場合には、生産開始前に当該側射照明ユニット35(カメラユニット32)を交換するように作業者に促すことができる。
【0034】
以上説明した本実施例1では、照明条件再現カメラスタンド11の側射照明装置15の側射照明の照射角度を部品実装機の側射照明ユニット35の側射照明の照射角度に合わせて変更して、当該部品実装機の側射照明ユニット35と同等の側射照明の照射角度を再現して電子部品をカメラ13で撮像するようにしたので、1台の照明条件再現カメラスタンド11で、部品実装機の複数種類の側射照明ユニット35と同等の側射照明の照射角度を再現することが可能となり、設備コストを抑えることができる。
【実施例2】
【0035】
次に、
図5を用いて実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同じ部分については同一符号を付して説明を省略又は簡略化し、主として異なる部分について説明する。
【0036】
前述したように、照明条件再現カメラスタンド11の構成が部品実装機のカメラユニット32の構成と異なる場合があり、また、両者が同一の構成であっても、照明条件再現カメラスタンド11の側射照明装置15と撮像対象物(電子部品)との間の距離が部品実装機とは異なる場合もある。この場合は、同じ段の点灯エリアを点灯しても、電子部品を照明する側射照明の照射角度だけでなく、明るさ(照度)も異なり、撮像した画像の輝度も異なる。画像の輝度が大きく異なると、画像認識精度が低下して誤認識する可能性がある。
【0037】
そこで、本実施例2では、
図4の照射角度対照テーブルの他に、部品実装機の側射照明ユニット35毎に、照明条件再現カメラスタンド11の側射照明装置15の側射照明の明るさ(照度)と部品実装機の側射照明ユニット35の側射照明の明るさとの対応関係をテーブル化した明るさ対照テーブル(
図5参照)を作成して、照明条件再現カメラスタンド11の制御装置26は、この明るさ対照テーブルを参照して、側射照明装置15の側射照明の明るさ又はカメラ13の露光時間(シャッタ速度)を部品実装機の側射照明ユニット35の側射照明の明るさに応じて変更するようにしている。側射照明装置15の側射照明の明るさを変更する場合は、供給する電流を変更したり、パルス点灯のデューティを変更すれば良い。
【0038】
このようにすれば、照明条件再現カメラスタンド11を使用して撮像した画像の輝度を部品実装機のカメラ33で撮像した画像の輝度と合わせることができて、電子部品の映り具合をより正確に確認することができる。
【0039】
尚、本実施例2では、前記実施例1と同様に、
図4の照射角度対照テーブルを参照して照明条件再現カメラスタンド11の側射照明装置15の側射照明の照射角度を部品実装機の側射照明ユニット35の側射照明の照射角度に合わせて変更するようにしているが、この照射角度を変更する機能を省略して、
図5の明るさ対照テーブルのみを参照して、照明条件再現カメラスタンド11の側射照明装置15の側射照明の明るさ又はカメラ13の露光時間(シャッタ速度)のみを変更するようにしても良い。
【0040】
この場合、照明条件再現カメラスタンド11に、カメラ13の光軸と同じ方向から照明する同軸落射照明装置を設けて、この同軸落射照明装置で電子部品を同軸落射照明して撮像する場合に、同軸落射照明装置の同軸落射照明の明るさ又はカメラ13の露光時間を、部品実装機の同軸落射照明ユニットの同軸落射照明の明るさに応じて変更するようにしても良い。
【実施例3】
【0041】
次に、実施例3を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同じ部分については同一符号を付して説明を省略又は簡略化し、主として異なる部分について説明する。
【0042】
本実施例3では、照明条件再現カメラスタンド11を使用して、部品実装ラインの各部品実装機が実行する生産ジョブを作成する方法を説明する。
部品実装基板の生産に必要な全ての種類の電子部品を部品実装ラインの各部品実装機に割り付ける際に、各電子部品に対する側射照明の適正な照射角度が不明である場合には、照明条件再現カメラスタンド11を使用して、次のようにして各電子部品に対する側射照明の適正な照射角度を取得する。
【0043】
まず、作業者が照明条件再現カメラスタンド11の部品載置台25上に、適正な照射角度が不明な電子部品をセットした後、入力装置27を操作して電子部品セット完了信号を照明条件再現カメラスタンド11の制御装置26に入力する。これにより、照明条件再現カメラスタンド11の制御装置26は、自動的に照射角度変更動作を開始し、側射照明装置15の側射照明の変更可能な照射角度の範囲内で照射角度を変更してカメラ13で部品載置台25上の電子部品を撮像してその画像を処理する動作を、当該電子部品の画像認識が成功するまで繰り返して、当該電子部品の画像認識が成功した側射照明の照射角度の情報を表示装置28に表示したり、音声等で出力する。更に、照明条件再現カメラスタンド11の制御装置26は、当該電子部品の画像認識が成功した側射照明の照射角度を、
図4の照射角度対照テーブルに基づいて部品実装機の側射照明ユニット35の側射照明の照射角度に変換して、その情報を表示装置28に表示したり、音声等で出力する。
【0044】
このような動作を、適正な照射角度が不明である全ての電子部品について繰り返して、各電子部品の画像認識が成功した側射照明の照射角度を
図4の照射角度対照テーブルに基づいて部品実装機の側射照明ユニット35の側射照明の照射角度に変換して取得する。この後、部品実装ラインの各部品実装機の側射照明ユニット35の側射照明の変更可能な照射角度の範囲を考慮して、当該電子部品を適切な部品実装機に割り付ける。これにより、各部品実装機が実行する生産ジョブに、各部品実装機に割り付けられた電子部品の情報と側射照明ユニット35の側射照明の照射角度の情報を関連付けて設定する。
【0045】
このようにすれば、生産ジョブの作成時に、側射照明の適正な照射角度が不明な電子部品が存在する場合でも、照明条件再現カメラスタンド11を使用して当該電子部品に対する側射照明の適正な照射角度を取得して、部品実装ラインの各部品実装機の側射照明ユニット35の側射照明の変更可能な照射角度の範囲を考慮して当該電子部品を適切な部品実装機に割り付けることができ、側射照明の照射角度の不適合に起因する画像処理エラーの発生を未然に防止することができる。
【0046】
尚、本発明は、上記各実施例1〜3に限定されず、照明条件再現カメラスタンド11の側射照明装置15の側射照明の照射角度を7段階以上又は5段階以下に変更可能に構成したり、作業者が
図4の照射角度対照テーブルを参照して、入力装置27を操作して照射角度の情報を制御装置26に入力して、側射照明装置15の側射照明の照射角度を変更するようにしても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。