特許第6871969号(P6871969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871969突然変異クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)毒素に関する組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871969
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】突然変異クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)毒素に関する組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/00 20060101AFI20210510BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20210510BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20210510BHJP
   C07K 14/33 20060101ALI20210510BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20210510BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20210510BHJP
   C12R 1/145 20060101ALN20210510BHJP
【FI】
   C12N1/00 FZNA
   C12N1/00 A
   C12N1/21
   C12N1/20 A
   C07K14/33
   C12P21/02 A
   C12P21/02 C
   !C12N15/31
   C12R1:145
【請求項の数】5
【全頁数】174
(21)【出願番号】特願2019-90728(P2019-90728)
(22)【出願日】2019年5月13日
(62)【分割の表示】特願2013-216224(P2013-216224)の分割
【原出願日】2013年10月17日
(65)【公開番号】特開2019-150045(P2019-150045A)
(43)【公開日】2019年9月12日
【審査請求日】2019年6月10日
(31)【優先権主張番号】61/716,605
(32)【優先日】2012年10月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100137040
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン ウテ ジャンセン
(72)【発明者】
【氏名】アンナリーサ シビル アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジー.ケイ. ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェームズ フリント
(72)【発明者】
【氏名】ナレンダー クマール カリアン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン アーノルド ロトヴィン
(72)【発明者】
【氏名】マニンンダー ケイ. シドゥー
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン キース モラン
(72)【発明者】
【氏名】マーク エドワード ラッペン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイキアング サン
【審査官】 太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−207060(JP,A)
【文献】 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (2009), 106, [32], p.13225-13229
【文献】 J. Clin. Immunol., (1998), 36, [1], p.184-190
【文献】 J. Microbiol. Methods, (2010), 80, [1], p.49-55
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 21/020
C12N 1/00
C07K 14/00
C12N 15/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)細菌を培養するための、ダイズ加水分解物、酵母抽出物、およびグルコースを含む培養培地であって、組換えクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)1351(ATCC43593(商標))を含み、細菌が毒素をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠いており、細菌が配列番号4または配列番号6に記載のアミノ酸配列が含まれる単離ポリペプチドをコードしている核酸配列を含む、培養培地。
【請求項2】
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)細菌を培養するための、ダイズ加水分解物、酵母抽出物、およびグルコースを含む培養培地であって、組換えクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)3232(ATCC
BAA−1801(商標))を含み、細菌が毒素をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠いており、細菌が配列番号4または配列番号6に記載のアミノ酸配列が含まれる単離ポリペプチドをコードしている核酸配列を含む、培養培地。
【請求項3】
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)細菌を培養するための、ダイズ加水分解物、酵母抽出物、およびグルコースを含む培養培地であって、組換えクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)7322(ATCC
43601(商標))を含み、細菌が毒素をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠いており、細菌が配列番号4または配列番号6に記載のアミノ酸配列が含まれる単離ポリペプチドをコードしている核酸配列を含む、培養培地。
【請求項4】
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)細菌を培養するための、ダイズ加水分解物、酵母抽出物、およびグルコースを含む培養培地であって、組換えクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)5036(ATCC
43603(商標))を含み、細菌が毒素をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠いており、細菌が配列番号4または配列番号6に記載のアミノ酸配列が含まれる単離ポリペプチドをコードしている核酸配列を含む、培養培地。
【請求項5】
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)細菌を培養するための、ダイズ加水分解物、酵母抽出物、およびグルコースを含む培養培地であって、組換えクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)4811(ATCC
43602(商標))を含み、細菌が毒素をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠いており、細菌が配列番号4または配列番号6に記載のアミノ酸配列が含まれる単離ポリペプチドをコードしている核酸配列を含む、培養培地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により組み込まれている2012年10月21日出願の米国仮特許出願第61/716,605号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、突然変異クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)毒素に関する組成物および方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)(シー・ディフィシル(C.difficile))とは、ヒトにおける胃腸管系の疾患に関連しているグラム陽性の嫌気性細菌である。シー・ディフィシル(C.difficile)のコロニー形成は、通常は、抗生物質を用いた処置によって天然の腸管内菌叢が消失した場合に結腸内で起こる。感染は、シー・ディフィシル(C.difficile)の主な病原性因子であるグルコシル化毒素、毒素Aおよび毒素B(それぞれ308および270kDa)の分泌を介して、抗生物質関連の下痢および場合によっては偽膜性大腸炎をもたらす場合がある。
【0004】
毒素Aおよび毒素Bは、それぞれ遺伝子tcdAおよびtcdBによって19kbの病原性座位(PaLoc)内にコードされている。シー・ディフィシル(C.difficile)の非病原性株は、この座位が別の115個の塩基対の配列によって置き換えられている。
【0005】
毒素Aおよび毒素Bはどちらも強力な細胞毒素である。これらのタンパク質は、Rho/Rac/Rasファミリーの低分子量GTPaseを失活させる相同的グルコシルトランスフェラーゼである。その結果生じるシグナル伝達の破壊は細胞間結合の損失、アクチン細胞骨格の調節不全、および/またはアポトーシスを引き起こし、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)に関連している重度の分泌性下痢をもたらす。
【0006】
この10年間の間で、病院、養護施設、および他の長期介護施設におけるシー・ディフィシル(C.difficile)集団発生の数および重症度は劇的に増加している。この増大の主な要因には、超毒性の病原性株の出現、抗生物質の使用の増加、検出方法の改善、および医療施設における空中胞子への曝露の増加が含まれる。
【0007】
メトロニダゾールおよびバンコマイシンがシー・ディフィシル(C.difficile)関連疾患(CDAD)の抗生物質処置の現在受け入れられている標準治療を代表する。しかし、そのような処置を受けている患者の約20%がCDIの最初の発症後に感染症の再発を経験し、それらの患者のうちの約50%までがさらなる再発を患う。再発の処置は非常に大きな課題を表し、再発の大多数は、通常、先行する発症の一カ月以内に起こる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】2012年10月21日出願の米国仮特許出願第61/716,605号
【特許文献2】米国特許出願公開第2010013762号、段落[0201]〜[0230]
【特許文献3】Mintonら、WO2007/148091号、題名「DNA Molecules and Methods」、ページ33〜66
【特許文献4】米国公開US 20110124109 A1号、段落[00137]〜[0227]
【特許文献5】米国特許第5,585,089号(たとえば12〜16段)
【特許文献6】GB2220211号
【特許文献7】WO1998/040100号
【特許文献8】WO2010/067262号
【特許文献9】WO00/062800号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kuehneら、Nature.2010 Oct 7;467(7316):711〜3
【非特許文献2】Buschら、J Biol Chem.1998 Jul 31;273(31):19566〜72
【非特許文献3】Doernら、J Clin Microbiol.1992 Aug;30(8):2042〜6
【非特許文献4】Heapら、J Microbiol Methods.2010 Jan;80(1):49〜55
【非特許文献5】Heapら、J.Microbiol.Methods、2007 Sept;70(3):452〜464
【非特許文献6】Underwoodら、J Bacteriol.2009 Dec;191(23):7296〜305
【非特許文献7】Kabat,E.A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、米国保健社会福祉省、NIH出版第91−3242、1991
【非特許文献8】Chothia,C.ら、J.Mol.Biol.196:901〜917、1987
【非特許文献9】Wardら、Nature、341:544〜546、1989
【非特許文献10】Birdら、(1988)、Science、242:423〜426
【非特許文献11】Hustonら、(1988)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:5879〜5883
【非特許文献12】KohlerおよびMilstein、1975、Nature、256:495〜497
【非特許文献13】Braunら、Gene.1996 Nov28;181(1〜2):29〜38
【非特許文献14】Heapら、J Microbiol Methods.2009 Jul;78(1):79〜85
【非特許文献15】Lowyら、N Engl J Med.2010 Jan21;362(3):197〜205
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、シー・ディフィシル(C.difficile)に向けられた免疫原性および/または治療的組成物ならびにその方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらおよび他の目的を、本発明によって本明細書中に提供する。
【0012】
一態様では、本発明は、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aに関する。突然変異毒素Aには、野生型毒素Aと比較して残基位置285、287、700、972、および978に突然変異が含まれる。一実施形態では、突然変異毒素Aには配列番号183が含まれる。一実施形態では、突然変異毒素Aは対応する野生型毒素Aよりも細胞毒性が低い。一実施形態では、突然変異毒素Aには、少なくとも1つの化学修飾されたアミノ酸残基が含まれる。一態様では、本発明は、配列番号183が含まれる単離ポリペプチドに関する。
【0013】
別の態様では、本発明は、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bに関する。突然変異毒素Bには、野生型毒素Bと比較して残基286、288、698、970、および976に突然変異が含まれる。一実施形態では、突然変異毒素Bには配列番号184が含まれる。一実施形態では、突然変異毒素Bは対応する野生型毒素Bよりも細胞毒性が低い。一実施形態では、突然変異毒素Bには、少なくとも1つの化学修飾されたアミノ酸残基が含まれる。一態様では、本発明は、配列番号184が含まれる単離ポリペプチドに関する。
【0014】
本発明は、シー・ディフィシル(C.difficile)の培養およびシー・ディフィシル(C.difficile)毒素の産生において使用するための組成物および方法にさらに関する。一態様では、本発明は、植物加水分解物およびシー・ディフィシル(C.difficile)細胞が含まれる培養培地に関する。好ましい実施形態では、加水分解物はダイズ加水分解物である。より好ましくは、ダイズ加水分解物はダイズ加水分解物SE50MKである。
【0015】
別の態様では、本発明は、窒素源およびシー・ディフィシル(C.difficile)細胞が含まれる培養培地に関する。一実施形態では、窒素源は酵母抽出物である。好ましくは、酵母抽出物はHY YEST412(Kerry Biosciences)である。
【0016】
さらなる一態様では、本発明は、植物加水分解物、酵母抽出物、およびシー・ディフィシル(C.difficile)細胞が含まれる培養培地に関する。一実施形態では、培地は炭素源を含有しない。
【0017】
好ましい実施形態では、培地には炭素源がさらに含まれる。本発明者らは、少なくとも1つの炭素源が含まれる培養培地中でのシー・ディフィシル(C.difficile)の発酵は、炭素源を用いない発酵と比較して高いOD600値および高い毒素産生収率をもたらしたことを発見した。一実施形態では、炭素源はグルコース、マンニトール、フルクトース、および/またはマンノースである。
【0018】
一実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞は遺伝子改変されていない。別の実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞は組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞である。一実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞は、毒素をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠く。別の実施形態では、細胞には構成的プロモーターが含まれる。好ましい実施形態では、プロモーターはクロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)フェレドキシン(fdx)プロモーターである。さらなる実施形態では、細胞にはネイティブの調節性の染色体プロモーターが含まれない。
【0019】
別の態様では、本発明は、シー・ディフィシル(C.difficile)を培養する方法に関する。この方法には、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞を培地中で培養することが含まれる。一実施形態では、培地にはダイズ加水分解物および/または酵母抽出物が含まれる。好ましい実施形態では、培地には炭素源がさらに含まれる。好ましくは、炭素源はグルコースである。
【0020】
一実施形態では、培養ステップを嫌気性条件下で実施する。
【0021】
一実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)を種培養として成長させる。一実施形態では、種培養は、培地中で成長させた保存培養からの接種によって開始する。
【0022】
一実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)を発酵培養として成長させる。一実施形態では、発酵培養は培地中で成長させた種培養から接種した。代替の一態様では、本発明は、シー・ディフィシル(C.difficile)を培養する方法に関する。この方法には、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞をモノクローナル抗体培地中で培養することが含まれる。
【0023】
一態様では、本発明は、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を産生させる方法に関する。この方法には、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞を培地中で培養することが含まれる。この方法には、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を前記培地から単離することがさらに含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A-H】CLUSTALWアラインメント、初期設定パラメータを使用した、株630、VPI10463、R20291、CD196からの野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素A、および配列番号4を有する突然変異毒素Aの配列アラインメントを示す図である。
図2A-F】CLUSTALWアラインメント、初期設定パラメータを使用した、株630、VPI10463、R20291、CD196からの野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素B、および配列番号6を有する突然変異毒素Bの配列アラインメントを示す図である。
図3】野生型毒素陰性のシー・ディフィシル(C.difficile)株の同定を示すグラフである。13個のシー・ディフィシル(C.difficile)株の培養培地をELISAによって毒素Aについて試験した。例示したように、7個の株が毒素Aを発現し、6個の株が発現しなかった(株1351、3232、7322、5036、4811およびVPI11186)。
図4A-B】UDP−14C−グルコースを用いたin vitroグルコシル化アッセイにおいて、三重突然変異体A(配列番号4)、二重突然変異体B(配列番号5)、および三重突然変異体B(配列番号6)はRac1またはRhoA GTPaseをグルコシル化しない一方で、10μg〜1ngの野生型毒素BはRac1をグルコシル化することを例示するSDS−PAGEの結果である。
図5】野生型毒素AおよびB(それぞれ配列番号1および2)の切断断片の観察と比較した、突然変異毒素AおよびB(それぞれ配列番号4および6)におけるシステインプロテアーゼ活性の抑止を示すウエスタンブロットである。実施例13を参照されたい。
図6】三重突然変異毒素AおよびB(それぞれ配列番号4および6)が、IMR−90細胞においてin vitro細胞毒性アッセイによって高濃度(たとえば約100μg/ml)で試験した場合に残留細胞毒性を示すことを示すグラフである。
図7】三重突然変異毒素B(配列番号6)および七重突然変異毒素B(配列番号8)でEC50値が類似していることを示すグラフである。
図8】ATPレベル(RLU)を漸増濃度の三重突然変異体TcdA(配列番号4)(上部パネル)および三重突然変異体TcdB(配列番号6)(下部パネル)に対してプロットした、in vitro細胞毒性試験の結果を表すグラフである。突然変異毒素AおよびBの残留細胞毒性は、突然変異毒素A(上部パネル−pAb AおよびmAb A3−25+A60−22)ならびに突然変異毒素B(下部パネル−pAb B)に特異的な中和抗体を用いた完全に抑止することができる。
図9】処理の72時間後のIMR−90細胞形態の画像を示す図である。パネルAは偽処理した対照細胞を示す。パネルBは、ホルマリンで失活させた突然変異体TcdB(配列番号6)を用いた処理後の細胞形態を示す。パネルCは、EDCで失活させた突然変異体TcdB(配列番号6)を用いた処理後の細胞形態を示す。パネルDは、野生型毒素B(配列番号2)を用いた処理後の細胞形態を示す。パネルEは、三重突然変異体TcdB(配列番号6)を用いた処理後の細胞形態を示す。TcdAの処理で同様の結果が観察された。
図10】実施例25に記載する、中和抗体の力価を示すグラフである(研究muCdiff2010−06)。
図11A-B】実施例26に記載する、中和抗体の力価を示すグラフである(研究muCdiff2010−07)。
図12】実施例27に記載する、4回の免疫化後のハムスターにおける毒素AおよびBに対する中和抗体応答を示すグラフである(研究 hamC.difficile2010−02)
図13A-B】実施例27に記載する、化学的に失活させた遺伝的突然変異毒素およびList Biologicalトキソイドを用いたワクチン接種後のハムスターにおける中和抗体応答を示すグラフである(研究 hamC.difficile2010−02)。
図14】実施例28に記載する、免疫化していない対照と比較した、3つの免疫化したハムスター群の生存曲線を示す図である(研究 hamC.difficile2010−02、継続中)。
図15】実施例29に記載する、ハムスターにおけるシー・ディフィシル(C.difficile)突然変異毒素の様々な配合に対する相対的中和抗体応答を示すグラフである(研究 hamC.difficile2010−03)。
図16A-B】実施例30に記載する、カニクイザルマカク(cynomolgus macaque)における化学的に失活させた遺伝的突然変異毒素AおよびB(それぞれ配列番号4および6)に対する強力な相対的中和抗体応答を示すグラフである。
図17】A3−25 mAb IgEの軽鎖(VL)および重鎖(HL)の可変領域のアミノ酸配列を示す図である。シグナルペプチドをハイライトで示し、CDRを斜体および下線で示し、定常領域を太字および下線で示した(完全な配列は示さず)。
図18】ATPレベル(相対光量−RLUによって定量)を細胞生存度の指標として使用した、毒素中和アッセイにおける個々の毒素Aモノクローナル抗体の滴定を示すグラフである。毒素(4×EC50)対照と比較して、mAb A80−29、A65−33、A60−22およびA3−25は、濃度に伴って毒素Aに対して増加した中和効果を有していたが、陽性ウサギ抗毒素A対照のレベルと比較しては増加していなかった。mAb A50−10、A56−33、およびA58−46は毒素Aを中和しなかった。細胞のみの対照は1〜1.5×10RLUであった。
図19】BiaCoreによる毒素B mAbの8個のエピトープ群のマッピングを示す図である。
図20A-C】毒素A mAbの組合せの相乗的な中和活性:様々な希釈率の中和抗体A60−22、A65−33、およびA80−29を漸増濃度のA3−25 mAbに加えることで、希釈率にかかわらず毒素Aの中和が相乗的に増加した。図20Bおよび図20Cに示すグラフに示すように、毒素Aのみ(4×EC50)の対照のRLUを例示し(<0.3×10)、細胞のみの対照は2〜2.5×10RLUであった。
図21】毒素B mAbの相乗的な中和活性:mAb B8−26、B60−2およびB59−3による毒素Bの中和を図21Aに例示する。B8−26をB59−3の希釈液と組み合わせた後に、毒素Bの中和は相乗的に増加する(図21B
図22】Rac1 GTPaseの発現が24〜96時間からの遺伝的突然変異毒素B(配列番号6)の抽出物では低下しているが、野生型毒素B(配列番号2)で処理した抽出物では低下していないことを示すウエスタンブロットである。また、このブロットは、Rac1が毒素Bで処理した抽出物中ではグルコシル化されているが、遺伝的突然変異毒素Bで処理した抽出物中ではされていないことも示す。
図23A-K】ATPレベル(RLU)を、漸増濃度のシー・ディフィシル(C.difficile)培養培地とハムスター血清プール(■)、それぞれの株からの粗毒素(培養収集物)とハムスター血清プール(●)、精製毒素(List Biologicalsから入手した市販の毒素)とハムスター血清プール(▲)、粗毒素(▼)対照、および精製毒素(◆)対照に対してプロットした、in vitro細胞毒性試験の結果を表すグラフである。それぞれの株からの毒素は4×EC50値で細胞に加えた。図23は、たとえば本明細書中に記載の実施例29、表15による突然変異毒素をEDCで失活させた突然変異体TcdA(配列番号4)および突然変異体TcdB(配列番号6)が含まれる免疫原性組成物が、それぞれの毒素のみの対照と比較して、シー・ディフィシル(C.difficile)の少なくとも以下の16個の異なるCDC株からの毒素に対する中和活性を示す中和抗体を誘導したことを示す:2007886(図23A)、2006017(図23B)、2007070(図23C)、2007302(図23D)、2007838(図23E)、2007886(図23F)、2009292(図23G)、2004013(図23H)、2009141(図23I)、2005022(図23J)、2006376(図23K)。
図24】少なくとも3種類の可能な修飾、すなわち、架橋結合、グリシン付加物、およびベータアラニン付加物をもたらす、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素の例示的なEDC/NHS失活の図解である。パネルAは架橋結合を例示する。三重突然変異毒素のカルボン酸残基がEDCおよびNHSの付加によって活性化される。活性化エステルは第一級アミンと反応して安定なアミド結合を形成し、分子内および分子間の架橋結合をもたらす。パネルBは、グリシン付加物の形成を例示する。失活後、残留活性化エステルはグリシンの付加によって反応停止されて、安定なアミド結合を形成する。パネルCはベータアラニン付加物の形成を例示する。3モルのNHSが1モルのEDCと反応して、活性化ベータアラニンを形成することができる。その後、これが第一級アミンと反応して安定なアミド結合を形成する。
図25】以下の修飾の種類、すなわち、(A)架橋結合、(B)グリシン付加物、および(C)ベータアラニン付加物のうちの少なくとも1つをもたらす、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素の例示的なEDC/NHS失活の図解である。
図26】ATPレベル(RLU)(72時間ATP)を、漸増濃度のList Biologicalsから購入した野生型TcdB(□)、三重突然変異体TcdB(配列番号86)(●)、および五重突然変異体TcdB(配列番号184)(■)に対してプロットした、in vitro細胞毒性アッセイからの結果を表すグラフである。IMR−90細胞(*)を対照として使用した。
図27】IMR−90細胞における、五重突然変異毒素B(配列番号184)による三重突然変異毒素B(配列番号86)媒介性細胞毒性の競合的阻害を示すグラフである(72時間ATPアッセイ)。−●−は五重突然変異毒素B(配列番号184)(「PM−B」)を表し、−▲−は200ng/mLの三重突然変異体(TM)を表す。
図28】灌流発酵(CDF−5126)後の最終ODおよび三重突然変異毒素Bの力価(mg/l)を示すグラフである。−●−はOD600nmを表し、−▲−は灌流速(発酵槽体積/2.0時間)を表し、−■−はグルコース(g/L)を表し、−●−はトキソイドB(三重突然変異体、配列番号86)を表す。
図29】別の灌流培養(CDF−5127)からの最終ODおよび三重突然変異毒素Bの力価(mg/l)の結果を示すグラフである。−●−はOD600nmを表し、−▲−は灌流速(発酵槽体積/2.0時間)を表し、−■−はグルコース(g/L)を表し、−●−はトキソイドB(三重突然変異体、配列番号86)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
配列の簡単な説明
配列番号1は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)630毒素A(TcdA)のアミノ酸配列を示す。
配列番号2は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)630毒素B(TcdB)のアミノ酸配列を示す。
配列番号3は、配列番号1と比較して位置285および287に突然変異を有する突然変異体TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号4は、配列番号1と比較して位置285、287、および700に突然変異を有する突然変異体TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号5は、配列番号2と比較して位置286および288に突然変異を有する突然変異体TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号6は、配列番号2と比較して位置286、288、および698に突然変異を有する突然変異体TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号7は、配列番号1と比較して位置269、272、285、287、460、462、および700に突然変異を有する突然変異体TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号8は、配列番号2と比較して位置270、273、286、288、461、463、および698に突然変異を有する突然変異体TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号9は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)630毒素A(TcdA)をコードしているDNA配列を示す。
配列番号10は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)630毒素B(TcdB)をコードしているDNA配列を示す。
配列番号11は、配列番号3をコードしているDNA配列を示す。
配列番号12は、配列番号4をコードしているDNA配列を示す。
配列番号13は、配列番号5をコードしているDNA配列を示す。
配列番号14は、配列番号6をコードしているDNA配列を示す。
配列番号15は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)R20291 TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号16は、配列番号15をコードしているDNA配列を示す。
配列番号17は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)CD196 TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号18は、配列番号17をコードしているDNA配列を示す。
配列番号19は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)VPI10463 TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号20は、配列番号19をコードしているDNA配列を示す。
配列番号21は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)R20291 TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号22は、配列番号21をコードしているDNA配列を示す。
配列番号23は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)CD196 TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号24は、配列番号23をコードしているDNA配列を示す。
配列番号25は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)VPI10463 TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号26は、配列番号25をコードしているDNA配列を示す。
配列番号27は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)VPI10463の病原性座位のDNA配列を示す。
配列番号28は、配列番号1の残基101〜293のアミノ酸配列を示す。
配列番号29は、配列番号1の残基1〜542のアミノ酸配列を示す。
配列番号30は、配列番号2の残基101〜293のアミノ酸配列を示す。
配列番号31は、配列番号2の残基1〜543のアミノ酸配列を示す。
配列番号32は、配列番号1の残基543〜809のアミノ酸配列を示す。
配列番号33は、配列番号2の残基544〜767のアミノ酸配列を示す。
配列番号34は、残基101、269、272、285、287、460、462、541、542、543、589、655、および700が任意のアミノ酸であり得る、突然変異体TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号35は、102、270、273、286、288、384、461、463、520、543、544、587、600、653、698、および751が任意のアミノ酸であり得る、突然変異体TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号36は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAの中和抗体(A3−25 mAb)の可変軽鎖のアミノ酸配列を示す。
配列番号37は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAの中和抗体(A3−25 mAb)の可変重鎖のアミノ酸配列を示す。
配列番号38は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAの中和抗体(A3−25 mAb)の可変軽鎖のCDR1のアミノ酸配列を示す。
配列番号39は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAの中和抗体(A3−25 mAb)の可変軽鎖のCDR2のアミノ酸配列を示す。
配列番号40は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAの中和抗体(A3−25 mAb)の可変軽鎖のCDR3のアミノ酸配列を示す。
配列番号41は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAの中和抗体(A3−25 mAb)の可変重鎖のCDR1のアミノ酸配列を示す。
配列番号42は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAの中和抗体(A3−25 mAb)の可変重鎖のCDR2のアミノ酸配列を示す。
配列番号43は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAの中和抗体(A3−25 mAb)の可変重鎖のCDR3のアミノ酸配列を示す。
配列番号44は、配列番号3をコードしているDNA配列を示す。
配列番号45は、配列番号4をコードしているDNA配列を示す。
配列番号46は、配列番号5をコードしているDNA配列を示す。
配列番号47は、配列番号6をコードしているDNA配列を示す。
配列番号48は、免疫賦活オリゴヌクレオチドODN CpG24555のヌクレオチド配列を示す。
配列番号49は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B8−26 mAb)の可変重鎖のアミノ酸配列を示す。
配列番号50は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B8−26 mAb)の可変重鎖のシグナルペプチドのアミノ酸配列を示す。
配列番号51は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B8−26 mAb)の可変重鎖のCDR1のアミノ酸配列を示す。
配列番号52は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B8−26 mAb)の可変重鎖のCDR2のアミノ酸配列を示す。
配列番号53は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B8−26 mAb)の可変重鎖のCDR3のアミノ酸配列を示す。
配列番号54は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B8−26 mAb)の可変重鎖の定常領域のアミノ酸配列を示す。
配列番号55は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B8−26 mAb)の可変軽鎖のアミノ酸配列を示す。
配列番号56は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B8−26 mAb)の可変軽鎖のシグナルペプチドのアミノ酸配列を示す。
配列番号57は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B8−26 mAb)の可変軽鎖のCDR1のアミノ酸配列を示す。
配列番号58は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B8−26 mAb)の可変軽鎖のCDR2のアミノ酸配列を示す。
配列番号59は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B8−26 mAb)の可変軽鎖のCDR3のアミノ酸配列を示す。
配列番号60は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B59−3 mAb)の可変重鎖のアミノ酸配列を示す。
配列番号61は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B59−3 mAb)の可変重鎖のシグナルペプチドのアミノ酸配列を示す。
配列番号62は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B59−3 mAb)の可変重鎖のCDR1のアミノ酸配列を示す。
配列番号63は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B59−3 mAb)の可変重鎖のCDR2のアミノ酸配列を示す。
配列番号64は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B59−3 mAb)の可変重鎖のCDR3のアミノ酸配列を示す。
配列番号65は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B59−3 mAb)の可変重鎖の定常領域のアミノ酸配列を示す。
配列番号66は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B59−3 mAb)の可変軽鎖のアミノ酸配列を示す。
配列番号67は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B59−3 mAb)の可変軽鎖のシグナルペプチドのアミノ酸配列を示す。
配列番号68は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B59−3 mAb)の可変軽鎖のCDR1のアミノ酸配列を示す。
配列番号69は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B59−3 mAb)の可変軽鎖のCDR2のアミノ酸配列を示す。
配列番号70は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B59−3 mAb)の可変軽鎖のCDR3のアミノ酸配列を示す。
配列番号71は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B9−30 mAb)の可変重鎖のアミノ酸配列を示す。
配列番号72は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B9−30 mAb)の可変重鎖のシグナルペプチドのアミノ酸配列を示す。
配列番号73は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B9−30 mAb)の可変重鎖のCDR1のアミノ酸配列を示す。
配列番号74は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B9−30 mAb)の可変重鎖のCDR2のアミノ酸配列を示す。
配列番号75は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B9−30 mAb)の可変重鎖のCDR3のアミノ酸配列を示す。
配列番号76は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B9−30 mAb)の可変重鎖の定常領域のアミノ酸配列を示す。
配列番号77は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B9−30 mAb)の可変軽鎖のアミノ酸配列を示す。
配列番号78は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B9−30 mAb)の可変軽鎖のシグナルペプチドのアミノ酸配列を示す。
配列番号79は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B9−30 mAb)の可変軽鎖のCDR1のアミノ酸配列を示す。
配列番号80は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B9−30 mAb)の可変軽鎖のCDR2のアミノ酸配列を示す。
配列番号81は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB中和抗体(B9−30 mAb)の可変軽鎖のCDR3のアミノ酸配列を示す。
配列番号82は、位置102、270、273、286、288、384、461、463、520、543、544、587、600、653、698、および751の残基が任意のアミノ酸であり得る、突然変異体TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号83は、位置1のメチオニンが存在しない、配列番号1と比較して位置269、272、285、287、460、462、および700に突然変異を有する突然変異体TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号84は、位置1のメチオニンが存在しない、配列番号1と比較して位置285、287、および700に突然変異を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aのアミノ酸配列を示す。
配列番号85は、位置1のメチオニンが存在しない、配列番号2と比較して位置270、273、286、288、461、463、および698に突然変異を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bのアミノ酸配列を示す。
配列番号86は、位置1のメチオニンが存在しない、配列番号2と比較して位置286、288、および698に突然変異を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bのアミノ酸配列を示す。
配列番号87は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2004013TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号88は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2004111TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号89は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2004118TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号90は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2004205TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号91は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2004206TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号92は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2005022TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号93は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2005088TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号94は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2005283TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号95は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2005325TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号96は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2005359TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号97は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2006017TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号98は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2007070TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号99は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2007217TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号100は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2007302TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号101は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2007816TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号102は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2007838TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号103は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2007858TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号104は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2007886TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号105は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2008222TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号106は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2009078TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号107は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2009087TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号108は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2009141TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号109は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2009292TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号110は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2004013TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号111は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2004111TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号112は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2004118TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号113は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2004205TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号114は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2004206TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号115は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2005022TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号116は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2005088TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号117は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2005283TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号118は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2005325TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号119は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2005359TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号120は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2006017TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号121は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2006376TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号122は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2007070TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号123は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2007217TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号124は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2007302TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号125は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2007816TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号126は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2007838TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号127は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2007858TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号128は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2007886TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号129は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2008222TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号130は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2009078TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号131は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2009087TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号132は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2009141TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号133は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)2009292TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号134は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)014TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号135は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)015TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号136は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)020TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号137は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)023TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号138は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)027TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号139は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)029TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号140は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)046TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号141は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)014TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号142は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)015TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号143は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)020TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号144は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)023TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号145は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)027TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号146は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)029TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号147は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)046TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号148は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)001TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号149は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)002TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号150は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)003TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号151は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)004TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号152は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)070TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号153は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)075TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号154は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)077TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号155は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)081TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号156は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)117TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号157は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)131TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号158は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)001TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号159は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)002TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号160は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)003TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号161は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)004TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号162は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)070TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号163は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)075TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号164は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)077TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号165は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)081TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号166は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)117TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号167は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)131TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号168は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)053TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号169は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)078TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号170は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)087TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号171は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)095TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号172は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)126TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号173は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)053TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号174は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)078TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号175は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)087TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号176は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)095TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号177は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)126TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号178は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)059TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号179は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)059TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号180は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)106TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号181は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)106TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号182は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)017TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号183は、配列番号1と比較して位置285、287、700、972、および978に突然変異を有する突然変異体TcdAのアミノ酸配列を示す。
配列番号184は、配列番号2と比較して位置286、288、698、970、および976に突然変異を有する突然変異体TcdBのアミノ酸配列を示す。
配列番号185から配列番号195はそれぞれ、例示的な突然変異毒素のアミノ酸配列を示す。
配列番号196から配列番号212はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Aのアミノ酸配列を示す。
配列番号213から配列番号222はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Bのアミノ酸配列を示す。
配列番号223から配列番号236はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Aのアミノ酸配列を示す。
配列番号237から配列番号243はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Bのアミノ酸配列を示す。
配列番号244から配列番号245はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Aのアミノ酸配列を示す。
配列番号246から配列番号249はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Bのアミノ酸配列を示す。
配列番号250から配列番号253はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Aのアミノ酸配列を示す。
配列番号254は、例示的な突然変異毒素のアミノ酸配列を示す。
配列番号255から配列番号263はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Aのアミノ酸配列を示す。
配列番号264から配列番号269はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Bのアミノ酸配列を示す。
配列番号270から配列番号275はそれぞれ、例示的な突然変異毒素のアミノ酸配列を示す。
配列番号276から配列番号323はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Aのアミノ酸配列を示す。
配列番号324から配列番号373はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Bのアミノ酸配列を示す。
配列番号374から配列番号421はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Aのアミノ酸配列を示す。
配列番号422から配列番号471はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Bのアミノ酸配列を示す。
配列番号472から配列番号519はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Aのアミノ酸配列を示す。
配列番号568から配列番号615はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Bのアミノ酸配列を示す。
配列番号520から配列番号567はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Aのアミノ酸配列を示す。
配列番号616から配列番号663はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Bのアミノ酸配列を示す。
配列番号664から配列番号711はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Aのアミノ酸配列を示す。
配列番号712から配列番号761はそれぞれ、例示的な突然変異毒素Bのアミノ酸配列を示す。
【0026】
本発明者らは、驚くべきことに、とりわけ、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aおよび毒素B、ならびにその方法を発見した。突然変異体は、部分的に、免疫原性であること、およびそれぞれの毒素の野生型と比較して低下した細胞毒性を示すことによって特徴づけられている。また、本発明は、その免疫原性部分、その生物学的均等物、および前述のいずれかをコードしている核酸配列が含まれる単離ポリヌクレオチドにも関する。
【0027】
本明細書中に記載の免疫原性組成物は、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素に対する新規中和抗体を誘発する能力を予想外に実証し、これらはシー・ディフィシル(C.difficile)免疫誘発に対する能動的および/または受動的保護を与える能力を有し得る。新規抗体は毒素Aおよび毒素Bの様々なエピトープに向けられている。本発明者らは、中和モノクローナル抗体のうちの少なくとも2つの組合せが、毒素Aおよび毒素Bのそれぞれのin vitro中和において予想外に相乗的な効果を示すことができることをさらに発見した。
【0028】
本明細書中に記載の本発明の組成物は、哺乳動物において、組成物を投与しなかった哺乳動物と比較してシー・ディフィシル(C.difficile)感染症、シー・ディフィシル(C.difficile)関連疾患(CDAD)、その症候群、状態、症状、および/または合併症を処置する、予防する、その危険性を減少させる、その発生率を減少させる、その重症度を減少させる、および/またはその始まりを遅延させるために使用し得る。
【0029】
さらに、本発明者らは、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aおよび毒素Bを安定して発現することができる組換え無芽胞シー・ディフィシル(C.difficile)細胞、ならびにそれを産生させる新規方法を発見した。
【0030】
免疫原性組成物
一態様では、本発明は、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素が含まれる免疫原性組成物に関する。突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素には、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素と比較してグルコシルトランスフェラーゼドメイン中に少なくとも1つの突然変異およびシステインプロテアーゼドメイン中に少なくとも1つの突然変異を有するアミノ酸配列が含まれる。
【0031】
本明細書中で使用する用語「野生型」とは、自然で見つかる形態をいう。たとえば、野生型ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列とは、天然源から単離することができ、人間の操作によって意図的に改変されていない、生物中に存在する配列である。また、本発明は、前述のいずれかをコードしている核酸配列が含まれる単離ポリヌクレオチドにも関する。さらに、本発明は、組成物を投与しない哺乳動物と比較して、哺乳動物においてシー・ディフィシル(C.difficile)感染症、シー・ディフィシル(C.difficile)関連疾患、その症候群、状態、症状、および/または合併症を処置する、予防する、その危険性を減少させる、その重症度を減少させる、その発生率を減少させる、および/またはその始まりを遅延させるための、前述の組成物のいずれかの使用、ならびに前記組成物を調製する方法に関する。
【0032】
本明細書中で使用する「免疫原性組成物」または「免疫原」とは、組成物を投与する哺乳動物において免疫応答を誘発する組成物をいう。
【0033】
「免疫応答」とは、レシピエント患者中のシー・ディフィシル(C.difficile)毒素に向けられた、有益な液性(抗体媒介性)および/または細胞性(抗原に特異的なT細胞もしくはその分泌産物によって媒介される)の応答の発生をいう。免疫応答は液性、細胞性、または両方であり得る。
【0034】
免疫応答は、免疫原性組成物、すなわち免疫原の投与によって誘導された能動的応答であることができる。あるいは、抗体または初回刺激したT細胞の投与によって誘導された受動的応答であることができる。
【0035】
液性(抗体媒介性)免疫応答の存在は、たとえば、中和抗体アッセイ、ELISAなどの当技術分野で知られている細胞に基づくアッセイによって決定することができる。
【0036】
細胞性免疫応答は、典型的には、クラスIまたはクラスII MHC分子と会合したポリペプチドエピトープを提示することで抗原に特異的なCD4+Tヘルパー細胞および/またはCD8+細胞毒性T細胞を活性化することによって誘発される。また、応答は単球、マクロファージ、NK細胞、好塩基球、樹状細胞、星細胞、ミクログリア細胞、好酸球または自然免疫の他の構成要素の活性化も含み得る。細胞媒介性免疫学的応答の存在は、当技術分野で知られている増殖アッセイ(CD4+T細胞)またはCTL(細胞毒性Tリンパ球)アッセイによって決定することができる。
【0037】
一実施形態では、免疫原性組成物はワクチン組成物である。本明細書中で使用する「ワクチン組成物」とは、組成物を投与する哺乳動物において免疫応答を誘発する組成物である。ワクチン組成物は、免疫化した哺乳動物を、続く免疫剤または免疫学的交差反応性薬剤による免疫誘発に対して保護し得る。保護は、同じ条件下のワクチン接種していない哺乳動物と比較した症状または感染症の低下に関して完全または部分的であることができる。
【0038】
本明細書中に記載の免疫原性組成物は交差反応性であり、これは、組成物が由来する株とは異なる別のシー・ディフィシル(C.difficile)株によって産生された毒素に対する有効な免疫応答(たとえば液性免疫応答)を誘発することができる特徴を有することをいう。たとえば、本明細書中に記載の免疫原性組成物(たとえばシー・ディフィシル(C.difficile)630に由来するもの)は、複数のシー・ディフィシル(C.difficile)株によって産生された毒素(たとえばシー・ディフィシル(C.difficile)R20291およびVPI10463によって産生された毒素)と結合することができる交差反応性抗体を誘発し得る。たとえば実施例37を参照されたい。交差反応性は細菌性免疫原の交差保護の潜在性の指標であり、その逆もそうである。
【0039】
本明細書中で使用する用語「交差保護」とは、同じ属の異なる細菌株または種による感染症を予防または減弱化する、免疫原性組成物によって誘導された免疫応答の能力をいう。たとえば、本明細書中に記載の免疫原性組成物(たとえばシー・ディフィシル(C.difficile)630に由来するもの)は、哺乳動物において有効な免疫応答を誘導して、哺乳動物においてシー・ディフィシル(C.difficile)感染症を減弱化し得るおよび/または630以外の株(たとえばシー・ディフィシル(C.difficile)R20291)によって引き起こされたシー・ディフィシル(C.difficile)疾患を減弱化し得る。
【0040】
免疫原性組成物または免疫原が免疫応答を誘発する例示的な哺乳動物には、たとえば、マウス、ハムスター、霊長類、およびヒトなどの任意の哺乳動物が含まれる。好ましい実施形態では、免疫原性組成物または免疫原は、組成物を投与するヒトにおいて免疫応答を誘発する。
【0041】
上述のように、毒素A(TcdA)および毒素B(TcdB)は、Rho/Rac/Rasファミリーの低分子量GTPaseを失活させる相同的グルコシルトランスフェラーゼである。哺乳動物標的細胞に対するTcdAおよびTcdBの作用は、受容体媒介性エンドサイトーシス、膜転位、自己タンパク質分解プロセス、およびGTPaseのモノグルコシル化の多工程機構に依存する。これらの機能的活性の多くは毒素の一次配列内の別個の領域に帰されており、毒素はイメージングされてこれらの分子の構造が類似していることが示されている。
【0042】
TcdAの野生型遺伝子は、約2710個のアミノ酸を有する推定分子量約308kDaのタンパク質をコードしている約8130個のヌクレオチドを有する。本明細書中で使用する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAには、任意の野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株からのシー・ディフィシル(C.difficile)TcdAが含まれる。野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAには、プログラムGAPまたはBESTFITなどによって初期設定のギャップ重みづけを使用して最適アラインメントした場合に、配列番号1(完全長)と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、好ましくは約98%、より好ましくは約99%または最も好ましくは約100%の同一性を有する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAアミノ酸配列が含まれ得る。
【0043】
好ましい実施形態では、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAには配列番号1に記載のアミノ酸配列が含まれ、これはシー・ディフィシル(C.difficile)株630からのTcdAの野生型アミノ酸配列を説明している(GenBank受託番号YP_001087137.1および/またはCAJ67494.1中にも開示)。シー・ディフィシル(C.difficile)株630は、PCR−リボタイプ012株であるとして当技術分野で知られている。配列番号9はシー・ディフィシル(C.difficile)株630からのTcdAの野生型遺伝子を説明しており、これはGenBank受託番号NC_009089.1中にも開示されている。
【0044】
野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAの別の例には配列番号15に記載のアミノ酸配列が含まれ、これはシー・ディフィシル(C.difficile)株R20291からのTcdAの野生型アミノ酸配列を説明している(GenBank受託番号YP_003217088.1中にも開示)。シー・ディフィシル(C.difficile)株R20291は、超毒性株であり、PCR−リボタイプ027株であるとして当技術分野で知られている。シー・ディフィシル(C.difficile)株R20291からのTcdAのアミノ酸配列は、配列番号1と約98%の同一性を有する。配列番号16はシー・ディフィシル(C.difficile)株R20291からのTcdAの野生型遺伝子を説明しており、これはGenBank受託番号NC_013316.1中にも開示されている。
【0045】
野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAのさらなる例には配列番号17に記載のアミノ酸配列が含まれ、これはシー・ディフィシル(C.difficile)株CD196からのTcdAの野生型アミノ酸配列を説明している(GenBank受託番号CBA61156.1中にも開示)。CD196は最近のカナダでの集団発生からの株であり、PCR−リボタイプ027株であるとして当技術分野で知られている。シー・ディフィシル(C.difficile)株CD196からのTcdAのアミノ酸配列は、配列番号1と約98%の同一性を有し、シー・ディフィシル(C.difficile)株R20291からのTcdAと約100%の同一性を有する。配列番号18はシー・ディフィシル(C.difficile)株CD196からのTcdAの野生型遺伝子を説明しており、これはGenBank受託番号FN538970.1中にも開示されている。
【0046】
野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAのアミノ酸配列のさらなる例には配列番号19が含まれ、これはシー・ディフィシル(C.difficile)株VPI10463からのTcdAの野生型アミノ酸配列を説明している(GenBank受託番号CAA63564.1中にも開示)。シー・ディフィシル(C.difficile)株VPI10463からのTcdAのアミノ酸配列は、配列番号1と約100%(99.8%)の同一性を有する。配列番号20はシー・ディフィシル(C.difficile)株VPI10463からのTcdAの野生型遺伝子を説明しており、これはGenBank受託番号X92982.1中にも開示されている。
【0047】
野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAのさらなる例には、疾病予防管理センター(CDC、ジョージア州、Atlanta)から入手可能な野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株からのTcdAが含まれる。本発明者らは、CDCから入手可能な野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株からのTcdAのアミノ酸配列には、最適アラインメントした場合に配列番号1のアミノ酸残基1〜821(シー・ディフィシル(C.difficile)630からのTcdA)と少なくとも約99.3%〜100%の同一性が含まれることを発見した。表1を参照されたい。
【0048】
また、本発明者らは、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株からのTcdAのアミノ酸配列には、最適アラインメントした場合(たとえば完全長の配列を最適アラインメントした場合)に配列番号1と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%から約100%までの同一性が含まれ得ることも発見した。
【0049】
表1:CDCから入手した野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株、および最適アラインメントした場合に配列番号1のアミノ酸残基1〜821に対するそれぞれの野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株からのTcdAのアミノ酸残基1〜821のパーセント同一性。
【0050】
【表1】
【0051】
したがって、一実施形態では、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAアミノ酸配列には少なくとも約500、600、700、または800個の連続的な残基の配列が含まれ、これは、プログラムGAPまたはBESTFITなどによって初期設定のギャップ重みづけを使用して最適アラインメントした場合に、配列番号1の残基1〜900の等しい長さの配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、好ましくは約98%、より好ましくは約99%、または最も好ましくは約100%の同一性を有する。例には上述の株(たとえば、R20291、CD196など)および表1に記載したものが含まれる。
【0052】
別の実施形態では、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAアミノ酸配列には、最適アラインメントした場合に配列番号87〜109から選択された任意の配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、好ましくは約97%、好ましくは約98%、より好ましくは約99%または最も好ましくは約100%の同一性を有する配列が含まれる。表1−aを参照されたい。
【0053】
【表2-1】
【0054】
【表2-2】
【0055】
TcdBの野生型遺伝子は、約2366個のアミノ酸を有する推定分子量約270kDaのタンパク質をコードしている約7098個のヌクレオチドを有する。本明細書中で使用する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBには、任意の野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株からのシー・ディフィシル(C.difficile)TcdBが含まれる。野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBには、プログラムGAPまたはBESTFITなどによって初期設定のギャップ重みづけを使用して最適アラインメントした場合に、配列番号2と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、好ましくは約98%、より好ましくは約99%または最も好ましくは約100%の同一性を有する野生型アミノ酸配列が含まれ得る。好ましい実施形態では、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBには配列番号2に記載のアミノ酸配列が含まれ、これはシー・ディフィシル(C.difficile)株630からのTcdBの野生型アミノ酸配列を説明している(GenBank受託番号YP_001087135.1および/またはCAJ67492中にも開示)。配列番号10はシー・ディフィシル(C.difficile)株630からのTcdBの野生型遺伝子を説明しており、これはGenBank受託番号NC_009089.1中にも開示されている。
【0056】
野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBの別の例には配列番号21に記載のアミノ酸配列が含まれ、これはシー・ディフィシル(C.difficile)株R20291からのTcdBの野生型アミノ酸配列を説明している(GenBank受託番号YP_003217086.1および/またはCBE02479.1中にも開示)。シー・ディフィシル(C.difficile)株R20291からのTcdBのアミノ酸配列は、配列番号2と約92%の同一性を有する。配列番号22はシー・ディフィシル(C.difficile)株R20291からのTcdBの野生型遺伝子を説明しており、これはGenBank受託番号NC_013316.1中にも開示されている。
【0057】
野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBのさらなる例には配列番号23に記載のアミノ酸配列が含まれ、これはシー・ディフィシル(C.difficile)株CD196からのTcdBの野生型アミノ酸配列を説明している(GenBank受託番号YP_003213639.1および/またはCBA61153.1中にも開示)。配列番号24はシー・ディフィシル(C.difficile)株CD196からのTcdBの野生型遺伝子を説明しており、これはGenBank受託番号NC_013315.1中にも開示されている。シー・ディフィシル(C.difficile)株CD196からのTcdBのアミノ酸配列は、配列番号2と約92%の同一性を有する。
【0058】
野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBのアミノ酸配列のさらなる例には配列番号25が含まれ、これはシー・ディフィシル(C.difficile)株VPI10463からのTcdBの野生型アミノ酸配列を説明している(GenBank受託番号P18177および/またはCAA37298中にも開示)。シー・ディフィシル(C.difficile)株VPI10463からのTcdBのアミノ酸配列は、配列番号2と100%の同一性を有する。配列番号26はシー・ディフィシル(C.difficile)株VPI10463からのTcdBの野生型遺伝子を説明しており、これはGenBank受託番号X53138.1中にも開示されている。
【0059】
野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBのさらなる例には、疾病予防管理センター(CDC、ジョージア州、Atlanta)から入手可能な野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株からのTcdBが含まれる。本発明者らは、CDCから入手可能な野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株からのTcdBのアミノ酸配列には、最適アラインメントした場合に配列番号2のアミノ酸残基1〜821(シー・ディフィシル(C.difficile)630からのTcdB)と少なくとも約96%〜100%の同一性が含まれることを発見した。表2を参照されたい。
【0060】
表2:CDCから入手した野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株、および最適アラインメントした場合に配列番号2のアミノ酸残基1〜821に対するそれぞれの野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株からのTcdBのアミノ酸残基1〜821の%の同一性。
【0061】
【表3】
【0062】
したがって、一実施形態では、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBアミノ酸配列には少なくとも約500、600、700、または800個の連続的な残基の配列が含まれ、これは、プログラムGAPまたはBESTFITなどによって初期設定のギャップ重みづけを使用して最適アラインメントした場合に、配列番号2の残基1〜900の等しい長さの配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、好ましくは約97%、好ましくは約98%、より好ましくは約99%または最も好ましくは約100%の同一性を有する。例には上述の株(たとえば、R20291、CD196など)および表2に記載したものが含まれる。
【0063】
別の実施形態では、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBアミノ酸配列には、最適アラインメントした場合に配列番号110〜133から選択された任意の配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、好ましくは約97%、好ましくは約98%、より好ましくは約99%または最も好ましくは約100%の同一性を有する配列が含まれる。表2−aを参照されたい。
【0064】
【表4-1】
【0065】
【表4-2】
【0066】
毒素AおよびBの遺伝子(tcdAおよびtcdB)は、3つの追加の小さなオープンリーディングフレーム(ORF)、tcdD、tcdE、およびtcdCが含まれる19.6kbの遺伝子座位(病原性座位、PaLoc)の一部であり、毒性に有用であるとみなし得る。PaLocは毒素産生性株中で安定かつ保存的であることが知られている。これは、現在までに分析されているすべての毒素産生性株中で同じ染色体組込み部位に存在する。非毒素産生性株では、病原性座位(PaLoc)は存在しない。したがって、本明細書中に記載の野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株の特徴は、病原性座位の存在である。本明細書中に記載の野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株の別の好ましい特徴は、TcdAおよびTcdBの両方の産生である。
【0067】
一実施形態では、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株とは、シー・ディフィシル(C.difficile)630またはVPI10463と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、好ましくは約98%、より好ましくは約99%または最も好ましくは約100%同一である病原性座位を有する株である。シー・ディフィシル(C.difficile)VPI10463の全病原性座位配列はEMBLデータベースに配列受託番号X92982として登録されており、配列番号26中にも示す。PaLocが参照株VPI10463と同一である株は毒素型0と呼ばれる。毒素型I〜VII、IX、XII〜XV、およびXVIII〜XXIVの株は、その毒素遺伝子の変動にもかかわらずTcdAおよびTcdBをどちらも産生する。
【0068】
毒素のN末端にグルコシルトランスフェラーゼドメインが位置する。毒素のグルコシルトランスフェラーゼ活性は毒素の細胞毒性機能に関連している。機構または理論に束縛されずに、両毒素中のグルコシルトランスフェラーゼ活性は、Rho/Rac/Rasスーパーファミリー内の小さなGTP結合タンパク質のモノグルコシル化を触媒すると考えられている。これらのGTP結合タンパク質のグルコシル化後、細胞生理学は劇的に改変され、毒素によって感染した宿主細胞の構造的完全性の損失および重要なシグナル伝達経路の破壊がもたらされる。マンガン、ウリジン二リン酸(UDP)、およびグルコース結合に関与しているAsp−Xaa−Asp(DXD)モチーフは、グルコシルトランスフェラーゼドメインの典型的な特徴である。機構または理論に束縛されずに、DXDモチーフなどの触媒活性に重要な残基は、630などの既知の「歴史的」株からのTcdBとR20291などの超毒性株からのTcdBとの間で変動しないと考えられている。DXDモチーフは、配列番号1の付番に従って野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAの残基285〜287、および配列番号2の付番に従って野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBの残基286〜288に位置している。
【0069】
グローバルアラインメントアルゴリズム(たとえば配列解析プログラム)は当技術分野で知られており、2つ以上のアミノ酸毒素配列を最適にアラインメントして、毒素に特定のシグネチャモチーフ(たとえば、以下に記載のグルコシルトランスフェラーゼドメイン中のDXD、システインプロテアーゼドメイン中のDHCなど)が含まれるかどうかを決定するために使用し得る。最適にアラインメントされた配列(複数可)をそれぞれの参照配列(たとえば、TcdAには配列番号1またはTcdBには配列番号2)と比較して、シグネチャモチーフの存在を決定する。「最適アラインメント」とは、最も高いパーセント同一性のスコアを与えるアラインメントをいう。そのようなアラインメントは既知の配列解析プログラムを使用して行うことができる。一実施形態では、初期設定パラメータ下のCLUSTALアラインメント(CLUSTALWなど)を使用して、クエリ配列を参照配列に対して比較することによって適切な野生型毒素を同定する。保存的アミノ酸残基の相対的付番は、アラインメントした配列内の小さな挿入または欠失(たとえば5個以下のアミノ酸)を説明するために参照アミノ酸配列の残基の付番に基づいている。
【0070】
本明細書中で使用する用語「の付番に従って」とは、所定のアミノ酸またはポリヌクレオチドの配列を参照配列と比較する場合に、参照配列の残基の付番をいう。言い換えれば、所定のポリマーの数字または残基位置は、所定のアミノ酸またはポリヌクレオチドの配列内の残基の実際の数値的位置によってではなく、参照配列に関連して指定する。
【0071】
たとえば、必要に応じて2つの配列間の残基の一致を最適化するためにギャップを導入することによって、超毒性野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株のものなどの所定のアミノ酸配列を、参照配列(たとえば歴史的野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株、たとえば630のものなど)とアラインメントすることができる。これらの場合、ギャップが存在するが、所定のアミノ酸またはポリヌクレオチドの配列中の残基の付番は、それをアラインメントした参照配列に関連して行う。本明細書中で使用する「参照配列」とは、配列比較の基礎として使用する定義された配列をいう。
【0072】
別段に記述しない限りは、本明細書中におけるTcdAのアミノ酸位置へのすべての言及は、配列番号1の付番をいう。別段に記述しない限りは、本明細書中におけるTcdBのアミノ酸位置へのすべての言及は、配列番号2の付番をいう。
【0073】
本明細書中で使用するTcdAのグルコシルトランスフェラーゼドメインは、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdA、たとえば配列番号1の例示的な残基1、101、または102から始まってよく、例示的な残基542、516、または293で終わってよい。DXDモチーフ領域が含まれる限りは、TcdAの残基1から542の間で任意の最小残基位置を最大残基位置と組み合わせて、グルコシルトランスフェラーゼドメインの配列を定義し得る。たとえば、一実施形態では、TcdAのグルコシルトランスフェラーゼドメインには、配列番号1の残基101〜293と同一である配列番号27が含まれ、これにはDXDモチーフ領域が含まれる。別の実施形態では、TcdAのグルコシルトランスフェラーゼドメインには、配列番号1の残基1〜542と同一である配列番号28が含まれる。
【0074】
本明細書中で使用するTcdBのグルコシルトランスフェラーゼドメインは、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB、たとえば配列番号2の例示的な残基1、101、または102から始まってよく、例示的な残基543、516、または293で終わってよい。DXDモチーフ領域が含まれる限りは、TcdBの残基1から543の間で任意の最小残基位置を最大残基位置と組み合わせて、グルコシルトランスフェラーゼドメインの配列を定義し得る。たとえば、一実施形態では、TcdBのグルコシルトランスフェラーゼドメインには、配列番号2の残基101〜293と同一である配列番号29が含まれ、これにはDXDモチーフ領域が含まれる。別の実施形態では、TcdBのグルコシルトランスフェラーゼドメインには、配列番号2の残基1〜543と同一である配列番号30が含まれる。
【0075】
理論または機構に束縛されずに、TcdAおよび/またはTcdBのN末端が自己タンパク質分解プロセスによって切断されることでグルコシルトランスフェラーゼドメインが転位して宿主細胞サイトゾル内に放出され、ここでこれはRac/Ras/Rho GTPaseと相互作用することができると考えられている。野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAはL542とS543の間で切断されることが示されている。野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBはL543とG544の間で切断されることが示されている。
【0076】
システインプロテアーゼドメインは毒素の自己触媒的なタンパク質分解活性に関連している。システインプロテアーゼドメインはグルコシルトランスフェラーゼドメインの下流に位置しており、触媒的三つ組のアスパラギン酸、ヒスチジン、およびシステイン(DHC)、たとえば、野生型TcdAのD589、H655、およびC700、ならびに野生型TcdBのD587、H653、およびC698によって特徴づけられ得る。機構または理論に束縛されずに、触媒的三つ組は、630などの「歴史的」株からの毒素とR20291などの超毒性株からのTcdBとの間で保存的であると考えられている。
【0077】
本明細書中で使用するTcdAのシステインプロテアーゼドメインは、野生型TcdA、たとえば配列番号1の例示的な残基543から始まってよく、例示的な残基809、769、768、または767で終わってよい。触媒的三つ組DHCモチーフ領域が含まれる限りは、野生型TcdAの543から809の間で任意の最小残基位置を最大残基位置と組み合わせて、システインプロテアーゼドメインの配列を定義し得る。たとえば、一実施形態では、TcdAのシステインプロテアーゼドメインには、配列番号1の付番に従ってそれぞれ野生型TcdAのD589、H655、およびC700に対応する配列番号32の残基47、113、および158に位置するDHCモチーフ領域を有する、配列番号32が含まれる。配列番号32は、配列番号1、TcdAの残基543〜809と同一である。
【0078】
本明細書中で使用するTcdBのシステインプロテアーゼドメインは、野生型TcdB、たとえば配列番号2の例示的な残基544から始まってよく、例示的な残基801、767、755、または700で終わってよい。触媒的三つ組DHCモチーフ領域が含まれる限りは、野生型TcdBの544から801の間で任意の最小残基位置を最大残基位置と組み合わせて、システインプロテアーゼドメインの配列を定義し得る。たとえば、一実施形態では、TcdBのシステインプロテアーゼドメインには、配列番号2の付番に従ってそれぞれ野生型TcdBのD587、H653、およびC698に対応する配列番号33の残基44、110、および115に位置するDHCモチーフ領域が含まれる、配列番号33が含まれる。配列番号33は、配列番号2、TcdBの残基544〜767と同一である。別の実施形態では、TcdBのシステインプロテアーゼドメインには、配列番号2、TcdBの残基544〜801が含まれる。
【0079】
突然変異毒素
本発明では、免疫原性組成物には突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素が含まれる。本明細書中で使用する用語「突然変異体」とは、プログラムGAPまたはBESTFITなどによって初期設定のギャップ重みづけを使用して最適アラインメントした場合に、たとえば、対応する野生型構造と比較して架橋結合を有するおよび/または対応する野生型配列と比較して少なくとも1つの突然変異を有することによって、対応する野生型の構造または配列とは異なる構造または配列を示す分子をいう。本明細書中で使用する用語「突然変異体」には、対応する野生型分子とは異なる機能的特性(たとえば抑止されたグルコシルトランスフェラーゼおよび/または抑止されたシステインプロテアーゼ活性)を示す分子がさらに含まれる。
【0080】
上述の野生型株のいずれかからのシー・ディフィシル(C.difficile)毒素を、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を産生させる供給源として使用し得る。好ましくは、シー・ディフィシル(C.difficile)630が突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を産生させる供給源である。
【0081】
突然変異は、その位置に通常位置する野生型アミノ酸残基の置換、欠失、切断または修飾を含み得る。好ましくは、突然変異は非保存的アミノ酸置換である。また、本発明は、本明細書中に記載の突然変異毒素のいずれかをコードしている核酸配列が含まれる単離ポリヌクレオチドも企図する。
【0082】
本明細書中で使用する「非保存的」アミノ酸置換とは、以下の表3に従って、1つのクラスからのアミノ酸を別のクラスからのアミノ酸で交換することをいう。
【0083】
【表5】
【0084】
非保存的アミノ酸置換の例には、アスパラギン酸残基(Asp、D)をアラニン残基(Ala、A)によって置き換える置換が含まれる。他の例には、アスパラギン酸残基(Asp、D)をアスパラギン残基(Asn、N)で置き換えること、アルギニン(Arg、R)、グルタミン酸(Glu、E)、リシン(Lys、K)、および/またはヒスチジン(His、H)残基をアラニン残基(Ala、A)で置き換えることが含まれる。
【0085】
保存的置換とは、たとえば表3に従って、同じクラスからのアミノ酸間を交換することをいう。
【0086】
本発明の突然変異毒素は、たとえば部位特異的突然変異誘発、突然変異原(たとえばUV光)を使用した突然変異誘発などの、突然変異を調製するための当技術分野で知られている技法によって調製し得る。好ましくは、部位特異的突然変異誘発を使用する。あるいは、目的の配列を有する核酸分子を直接合成し得る。そのような化学合成方法は当技術分野で知られている。
【0087】
本発明では、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素には、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素と比較してグルコシルトランスフェラーゼドメイン中に少なくとも1つの突然変異が含まれる。一実施形態では、グルコシルトランスフェラーゼドメインには少なくとも2つの突然変異が含まれる。好ましくは、突然変異は、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素のグルコシルトランスフェラーゼ酵素活性と比較して、毒素のグルコシルトランスフェラーゼ酵素活性を減少させるまたは抑止する。
【0088】
突然変異を受け得るTcdAのグルコシルトランスフェラーゼドメイン中の例示的なアミノ酸残基には、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAと比較して、配列番号1の付番に従って、W101、D269、R272、D285、D287、E460、R462、S541、およびL542のうちの少なくとも1つ、またはその任意の組合せが含まれる。突然変異を受け得るさらなる例示的なアミノ酸残基には、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAと比較して、配列番号1の付番に従って、E514、S517、およびW519が含まれる。
【0089】
TcdAのグルコシルトランスフェラーゼドメイン中の例示的な突然変異には、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAと比較して、W101A、D269A、R272A、D285A、D287A、E460A、R462A、S541A、およびL542Gのうちの少なくとも1つ、またはその任意の組合せが含まれる。好ましい実施形態では、TcdAのグルコシルトランスフェラーゼドメインには、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAと比較してL542G突然変異が含まれる。別の好ましい実施形態では、TcdAのグルコシルトランスフェラーゼドメインには、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAと比較して、D285AおよびD287Aの突然変異が含まれる。
【0090】
突然変異を受け得るTcdBのグルコシルトランスフェラーゼドメイン中の例示的なアミノ酸残基には、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bと比較して、配列番号2の付番に従って、W102、D270、R273、D286、D288、N384、D461、K463、W520、およびL543のうちの少なくとも1つ、またはその任意の組合せが含まれる。突然変異を受け得るさらなる例示的なアミノ酸残基には、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bと比較して、配列番号2の付番に従って、E515、S518、およびW520が含まれる。
【0091】
TcdBのグルコシルトランスフェラーゼドメイン中の例示的な突然変異には、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBと比較して、W102A、D270A、D270N、R273A、D286A、D288A、N384A、D461A、D461R、K463A、K463E、W520A、およびL543Aのうちの少なくとも1つ、またはその任意の組合せが含まれる。好ましい実施形態では、TcdBのグルコシルトランスフェラーゼドメインには、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBと比較してL543Aが含まれる。別の好ましい実施形態では、TcdBのグルコシルトランスフェラーゼドメインには、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBと比較して、D286AおよびD288Aの突然変異が含まれる。
【0092】
本明細書中で上述した突然変異のいずれかを、システインプロテアーゼドメイン中の突然変異と組み合わせ得る。本発明では、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素には、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素と比較してシステインプロテアーゼドメイン中に少なくとも1つの突然変異が含まれる。好ましくは、突然変異は、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素のシステインプロテアーゼ活性と比較して、毒素のシステインプロテアーゼ活性を減少させるまたは抑止する。
【0093】
突然変異を受け得るTcdAのシステインプロテアーゼドメイン中の例示的なアミノ酸残基には、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAと比較して、配列番号1の付番に従って、S543、D589、H655、およびC700のうちの少なくとも1つ、またはその任意の組合せが含まれる。TcdAのグルコシルトランスフェラーゼドメイン中の例示的な突然変異には、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAと比較して、S543A、D589A、D589N、H655A、C700Aのうちの少なくとも1つ、またはその任意の組合せが含まれる。好ましい実施形態では、TcdAのシステインプロテアーゼドメインには、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAと比較してC700A突然変異が含まれる。
【0094】
突然変異を受け得るTcdBのシステインプロテアーゼドメイン中の例示的なアミノ酸残基には、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBと比較して、配列番号2の付番に従って、G544、D587、H653、およびC698のうちの少なくとも1つ、またはその任意の組合せが含まれる。TcdBのグルコシルトランスフェラーゼドメイン中の例示的な突然変異には、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBと比較して、G544A、D587A、D587N、H653A、C698Aのうちの少なくとも1つ、またはその任意の組合せが含まれる。好ましい実施形態では、TcdBのシステインプロテアーゼドメインには、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBと比較してC698A突然変異が含まれる。突然変異を受け得るTcdBのシステインプロテアーゼドメイン中のさらなるアミノ酸残基には、野生型TcdBと比較して、K600および/またはR751が含まれる。例示的な突然変異には、K600Eおよび/またはR751Eが含まれる。
【0095】
したがって、本発明の突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素には、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素と比較して、突然変異を有するグルコシルトランスフェラーゼドメインおよび突然変異を有するシステインプロテアーゼドメインが含まれる。一実施形態では、突然変異毒素には、グルコシルトランスフェラーゼドメイン中の少なくとも1つの突然変異およびシステインプロテアーゼドメイン中の少なくとも1つの突然変異が含まれる。好ましい実施形態では、突然変異毒素Aには、少なくともD285、D287、およびC700の突然変異が含まれる。好ましい実施形態では、突然変異毒素Bには、少なくともD286、D288、およびC698の突然変異が含まれる。突然変異毒素には、本明細書中に記載の任意のさらなる突然変異が、個々にまたは組み合わせて含まれ得る。
【0096】
例示的な突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAには、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aと比較して、位置285および287にアミノ酸置換を有する配列番号29が含まれるグルコシルトランスフェラーゼドメイン、ならびに位置158にアミノ酸置換を有する配列番号32を含むシステインプロテアーゼドメインが含まれる。たとえば、そのような突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAには配列番号4に記載のアミノ酸配列が含まれ、最初のメチオニンは存在しなくてもよい。別の実施形態では、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aには配列番号84に記載のアミノ酸配列が含まれる。
【0097】
突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aのさらなる例には、配列番号1と比較してD269A、R272A、D285A、D287A、E460A、R462A、およびC700Aの突然変異を有する、配列番号7に記載のアミノ酸配列が含まれ、最初のメチオニンは存在しなくてもよい。別の実施形態では、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aには配列番号83に記載のアミノ酸配列が含まれる。
【0098】
別の例示的な突然変異体TcdAには、位置101、269、272、285、287、460、462、541、542、543、589、655、および700の残基が任意のアミノ酸であり得る配列番号34が含まれる。
【0099】
一部の実施形態では、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素は、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素と比較して減少したまたは抑止された自己タンパク質分解プロセスを示す。たとえば、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAには、以下の残基、すなわち、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAと比較して、S541、L542および/またはS543のうちの1つでの突然変異、またはその任意の組合せが含まれ得る。好ましくは、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAには、以下の突然変異、すなわち、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAと比較して、S541A、L542G、およびS543Aのうちの少なくとも1つ、またはその任意の組合せが含まれる。
【0100】
別の例示的な突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAには、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAと比較して、S541A、L542、S543およびC700の突然変異が含まれる。
【0101】
例示的な突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bには、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bと比較して、位置286および288にアミノ酸置換を有する配列番号31を含むグルコシルトランスフェラーゼドメイン、ならびに位置155にアミノ酸置換を有する配列番号33を含むシステインプロテアーゼドメインが含まれる。たとえば、そのような突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBには配列番号6に記載のアミノ酸配列が含まれ、最初のメチオニンは存在しなくてもよい。別の実施形態では、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bには配列番号86に記載のアミノ酸配列が含まれる。
【0102】
突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBのさらなる例には、配列番号2と比較してD270A、R273A、D286A、D288A、D461A、K463A、およびC698Aの突然変異を有する、配列番号8に記載のアミノ酸配列が含まれ、最初のメチオニンは存在しなくてもよい。別の実施形態では、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bには配列番号85に記載のアミノ酸配列が含まれる。
【0103】
別の例示的な突然変異体TcdBには、位置101、269、272、285、287、460、462、541、542、543、589、655、および700の残基が任意のアミノ酸であり得る配列番号35が含まれる。
【0104】
別の例として、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBには、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBと比較して、位置543および/または544での突然変異が含まれ得る。好ましくは、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBには、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBと比較して、L543および/またはG544の突然変異が含まれる。より好ましくは、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBには、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBと比較して、L543Gおよび/またはG544Aの突然変異が含まれる。
【0105】
別の例示的な突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBには、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBと比較して、L543G、G544AおよびC698の突然変異が含まれる。
【0106】
一態様では、本発明は、配列番号2の付番に従ってアミノ酸残基1から1500の任意の位置に突然変異を有して、例示的な突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bを定義する単離ポリペプチドに関する。たとえば、一実施形態では、単離ポリペプチドには、配列番号2のアミノ酸残基830から990の間に突然変異が含まれる。突然変異の例示的な位置には、配列番号2の付番に従って位置970および976が含まれる。好ましくは、残基830から990の間の突然変異は置換である。一実施形態では、突然変異は非保存的置換であり、Asp(D)および/またはGlu(E)アミノ酸残基は、酸性化した際に中和されないアミノ酸残基、たとえばリシン(K)、アルギニン(R)、およびヒスチジン(H)などによって置き換えられている。例示的な突然変異には、配列番号2のE970K、E970R、E970H、E976K、E976R、E976Hが含まれて、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bを定義する。
【0107】
一実施形態では、単離ポリペプチドには、以下の置換、D286A/D288A/C698A/E970K/E976K(配列番号184)が含まれる。E970およびE976は、リボタイプ078およびリボタイプ126株を除いて(表35および表37を参照)観察したすべてのシー・ディフィシル(C.difficile)株からの毒素B中で保存的である(表2−a、配列番号110〜133を参照)。リボタイプ078およびリボタイプ126株からの毒素Bでは、グルタミン酸−970の代わりにグリシン−970(G970)が存在する。したがって、一実施形態では、単離ポリペプチドには、G970およびE976での突然変異、たとえばG970KおよびE976Kなどが含まれる。上述したおよびここに記載の突然変異毒素は、対応する野生型毒素と比較して低下した細胞毒性を示し得る。実施例8および15を参照されたい。
【0108】
別の態様では、本発明は、配列番号1の付番に従ってアミノ酸残基1から1500の任意の位置に突然変異を有して、例示的な突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aを定義する単離ポリペプチドに関する。たとえば、一実施形態では、単離ポリペプチドには、配列番号1のアミノ酸残基832から992の間に突然変異が含まれる。突然変異の例示的な位置には、配列番号1の付番に従って位置972および978が含まれる。好ましくは、残基832から992の間の突然変異は置換である。一実施形態では、突然変異は非保存的置換であり、Asp(D)および/またはGlu(E)アミノ酸残基は、酸性化した際に中和されないアミノ酸残基、たとえばリシン(K)、アルギニン(R)、およびヒスチジン(H)などによって置き換えられている。例示的な突然変異には、配列番号1のD972K、D972R、D972H、D978K、D978R、D978Hが含まれて、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aを定義する。
【0109】
一実施形態では、単離ポリペプチドには、以下の置換、D285A/D287A/C700A/D972K/D978K(配列番号183)が含まれる。D972およびD978の残基は、評価したすべてのシー・ディフィシル(C.difficile)株からの毒素A中で保存的である(表1−a、配列番号87〜109を参照)。上述したおよびここに記載の突然変異毒素は、対応する野生型毒素と比較して低下した細胞毒性を示し得る。
【0110】
以下にさらなる例示的な突然変異毒素を記載する。一実施形態では、突然変異毒素TcdAには、(i)配列番号185、(ii)配列番号185と少なくとも90%、92%、93%、95%、98%、99%もしくは100%の同一性を有する、配列番号185のポリペプチド、または(iii)配列番号185の少なくとも250、280もしくは300個のアミノ酸の断片が含まれる。別の実施形態では、突然変異毒素TcdBには、(iv)配列番号186、(v)配列番号186と少なくとも80%、85%、90%、92%、93%、95%、98%、99%もしくは100%の同一性を有する、配列番号186のポリペプチド、または(vi)配列番号186の少なくとも250、280もしくは300個のアミノ酸の断片が含まれる。
【0111】
一実施形態では、突然変異毒素TcdAは、600、675、650、625、600、575、550、525、500、475、450、425、400、375、350、325、300、275、250、または225個未満のアミノ酸からなる。一実施形態では、突然変異毒素は、800、775、750、725、700、675、650、625、600、575、550、または525個未満のアミノ酸からなる。一実施形態では、突然変異毒素には、配列番号185の少なくとも200、225、250、270、280、300もしくは310個のアミノ酸、または配列番号185と少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するポリペプチドの少なくとも200、225、250、270、280、300もしくは310個のアミノ酸が含まれる。一実施形態では、突然変異毒素には、配列番号186の少なくとも400、425、450、475、500、525、550、575、600もしくは610個のアミノ酸、または配列番号186と少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するポリペプチドの少なくとも400、425、450、475、500、525、550、575、600もしくは610個のアミノ酸が含まれる。
【0112】
一実施形態では、突然変異毒素には、A)(i)配列番号185、(ii)配列番号185と少なくとも90%、92%、93%、95%、98%、99%もしくは100%の同一性を有する、配列番号185のポリペプチド、または(iii)配列番号185の少なくとも250、280もしくは300個のアミノ酸の断片と、B)(iv)配列番号186、(v)配列番号186と少なくとも80%、85%、90%、92%、93%、95%、98%、99%もしくは100%の同一性を有する、配列番号186のポリペプチド、または(vi)配列番号186の少なくとも250、280もしくは300個のアミノ酸の断片との融合が含まれる、融合タンパク質が含まれる。さらなる実施形態では、配列番号185のN末端は配列番号186のC末端に隣接している。さらなる実施形態では、配列番号185のN末端は配列番号186のN末端に隣接している。さらなる実施形態では、配列番号185のC末端は配列番号186のC末端に隣接している。突然変異毒素のさらなる例には、以下のアミノ酸配列、すなわち、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号192、配列番号193、配列番号194、および配列番号195のいずれかを有するポリペプチドが含まれる。
【0113】
別の実施形態では、突然変異毒素には、配列番号223、配列番号224、配列番号225、配列番号226、配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、配列番号231、配列番号232、配列番号233、配列番号234、配列番号235、配列番号236、配列番号237、配列番号238、配列番号239、配列番号240、配列番号241、配列番号242、および配列番号243のいずれかから選択されるアミノ酸配列の任意の組合せが含まれる融合および/またはハイブリッドポリペプチドが含まれる。たとえば、一実施形態では、突然変異毒素には、配列番号254、配列番号270、配列番号271、配列番号272、配列番号273、配列番号274、または配列番号275のいずれかに記載のアミノ酸配列が含まれる。
【0114】
突然変異毒素の別の例には、野生型毒素の断片が含まれる。本明細書中で使用する「断片」突然変異毒素TcdAとは、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素TcdA配列よりも少ない連続したアミノ酸の合計を有するペプチド配列、たとえば、合計2710個未満の連続したアミノ酸が含まれる配列をいう。断片突然変異毒素TcdAには、本明細書中に記載のアミノ酸残基の突然変異がさらに含まれ得る。本明細書中で使用する「断片」突然変異毒素TcdBとは、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素TcdB配列よりも少ない連続したアミノ酸の合計を有するペプチド配列、たとえば、合計2366個未満の連続したアミノ酸が含まれる配列をいう。断片突然変異毒素TcdBには、本明細書中に記載のアミノ酸残基の突然変異がさらに含まれ得る。そのような例示的な突然変異毒素配列には、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33が含まれる。一実施形態では、突然変異毒素TcdAには、本明細書中に記載の野生型突然変異毒素A、たとえば配列番号1の少なくとも200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、または2000個の連続したアミノ酸が含まれる。別の実施形態では、突然変異毒素には、本明細書中に記載の遺伝的突然変異させた毒素Aの断片が含まれる。一実施形態では、突然変異毒素TcdBには、本明細書中に記載の野生型突然変異毒素B、たとえば配列番号2の少なくとも200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、または2000個の連続したアミノ酸が含まれる。別の実施形態では、突然変異毒素には、本明細書中に記載の遺伝的突然変異させた毒素Bの断片が含まれる。一実施形態では、突然変異毒素には、最大で3000、2710、2500、2400、2366、2000、1900、1800、1700、1600、1500、1400、1300、1200、1100、1000、900、800、700、600、500、400、または300個の連続したアミノ酸が含まれる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義し得る。別の実施形態では、ハイブリッド分子の生成がもたらされるような様式で、突然変異毒素を少なくとも1つの他のペプチドまたは少なくとも1つの他の突然変異毒素と融合させる。
【0115】
さらなる例示的な断片突然変異毒素TcdAには、配列番号374から配列番号421のアミノ酸配列のいずれか1つを有するポリペプチドが含まれる。さらなる例示的な断片突然変異毒素TcdAには、配列番号472から配列番号519のアミノ酸配列のいずれか1つを有するポリペプチドが含まれる。さらなる例示的な突然変異毒素TcdBには、配列番号422から配列番号471のアミノ酸配列のいずれか1つを有するポリペプチドが含まれる。さらなる例示的な断片突然変異毒素TcdBには、配列番号568から配列番号615のアミノ酸配列のいずれか1つを有するポリペプチドが含まれる。
【0116】
以下にさらなる例示的な突然変異毒素を記載する。一実施形態では、突然変異毒素には、たとえば配列番号1の付番に従って、W101、D287、E514、D285、S517、W519、およびC700からなる群から選択されるアミノ酸残基での少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5個の突然変異が含まれる、またはそれからなるTcdAが含まれる。さらなる実施形態では、TcdA突然変異体には、W101A、D287A、E514Q、D285A、S517A、W519A、およびC700Aの置換ならびにW101の欠失からなる群から選択される少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5個の突然変異が含まれる、またはそれからなる。
【0117】
別の例示的な突然変異毒素TcdAには、たとえば配列番号1の付番に従って、アミノ酸置換W101、D287A、およびE514Qが含まれる。さらなる一実施形態は、アミノ酸置換W101A、D287A、E514Q、およびW519Aが含まれる、またはそれからなるTcdAタンパク質を提供する。本発明の別の具体的な実施形態は、アミノ酸置換W101A、D287A、E514Q、W519A、およびC700Aが含まれる、またはそれからなるTcdAタンパク質である。
【0118】
別の実施形態では、突然変異毒素TcdAには、たとえば配列番号1の付番に従って、突然変異W101A、D287A、E514QおよびD285Aが含まれる。別の実施形態では、突然変異毒素TcdAには、突然変異W101A、D287A、E514QおよびS517Aが含まれる。
【0119】
別の実施形態では、さらなる突然変異、たとえばC700A突然変異を突然変異体TcdAに加え得る。さらなる実施形態では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個までのさらなる突然変異を、本明細書中に記載の突然変異毒素TcdAの実施形態のうちの任意のものに加え得る。
【0120】
突然変異毒素TcdAのさらなる例には、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、配列番号207、配列番号208、配列番号209、または配列番号211に記載のアミノ酸配列が含まれる。別の実施形態では、突然変異毒素TcdAには、配列番号210のアミノ酸配列が含まれる。さらに別の実施形態では、突然変異毒素TcdAには、位置W101、D287、E514、W519およびC700での突然変異が含まれ、配列番号212に記載のように、W101はトリプトファン以外の任意のアミノ酸で置き換えられ、D287はアスパラギン酸以外の任意のアミノ酸で置き換えられ、E514はグルタミン酸以外の任意のアミノ酸で置き換えられ、W519はトリプトファン以外の任意のアミノ酸で置き換えられ、C700はシステイン以外の任意のアミノ酸で置き換えられる。
【0121】
突然変異毒素TcdAのさらなる例には、元の参照配列(たとえば、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、配列番号207、配列番号208、配列番号209、配列番号210、配列番号211もしくは配列番号212または配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85もしくは配列番号86)と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。
【0122】
さらなる実施形態では、突然変異毒素TcdAには、たとえば配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、配列番号207、配列番号208、配列番号209、配列番号210、配列番号211および配列番号212または配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85もしくは配列番号86と比較して、最大で12個のアミノ酸残基、最大で11個のアミノ酸残基、最大で10個のアミノ酸残基、最大で9個のアミノ酸残基、最大で8個のアミノ酸残基、最大で7個のアミノ酸残基、最大で6個のアミノ酸残基、最大で5個のアミノ酸残基、最大で4個のアミノ酸残基、最大で3個のアミノ酸残基、最大で2個のアミノ酸残基、または1個のアミノ酸残基での突然変異が含まれる。
【0123】
以下にさらなる例示的な突然変異毒素を記載する。一実施形態では、突然変異毒素は、配列番号2の付番に従って、W102、D288、E515、D286、S518、W520、およびC698からなる群から選択されるアミノ酸残基での少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5個の突然変異が含まれる突然変異体TcdBである。別の実施形態では、突然変異毒素TcdBには、W102A、D288A、E515Q、D286A、S518A、W520A、およびC698Aの置換ならびにW102の欠失からなる群から選択される少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5個の突然変異が含まれる。一実施形態では、突然変異毒素TcdBには、配列番号213、配列番号214、配列番号215、配列番号216、配列番号217、配列番号218、配列番号219、配列番号220、または配列番号221に記載のアミノ酸配列が含まれる。さらに別の実施形態では、突然変異毒素TcdBには、位置W102、D288、E515、W520およびC698での突然変異が含まれ、配列番号222に記載のように、W102はトリプトファン以外の任意のアミノ酸で置き換えられ、D288はアスパラギン酸以外の任意のアミノ酸で置き換えられ、E515はグルタミン酸以外の任意のアミノ酸で置き換えられ、W520はトリプトファン以外の任意のアミノ酸で置き換えられ、C698はシステイン以外の任意のアミノ酸で置き換えられる。
【0124】
突然変異毒素TcdBのさらなる例には、元の参照配列、すなわち、配列番号213、配列番号214、配列番号215、配列番号216、配列番号217、配列番号218、配列番号219、配列番号220、配列番号221、または配列番号222と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。
【0125】
さらなる実施形態では、突然変異毒素TcdBには、たとえば配列番号213、配列番号214、配列番号215、配列番号216、配列番号217、配列番号218、配列番号219、配列番号220、配列番号221、および/または配列番号222と比較して、最大で12個のアミノ酸残基、最大で11個のアミノ酸残基、最大で10個のアミノ酸残基、最大で9個のアミノ酸残基、最大で8個のアミノ酸残基、最大で7個のアミノ酸残基、最大で6個のアミノ酸残基、最大で5個のアミノ酸残基、最大で4個のアミノ酸残基、最大で3個のアミノ酸残基、最大で2個のアミノ酸残基、または1個のアミノ酸残基での突然変異が含まれる。
【0126】
さらなる例示的な突然変異毒素TcdAには、配列番号276から配列番号323のアミノ酸配列のいずれか1つを有するポリペプチドが含まれる。さらなる例示的な突然変異毒素TcdBには、配列番号324から配列番号373のアミノ酸配列のいずれか1つを有するポリペプチドが含まれる。
【0127】
以下にさらなる例示的な突然変異毒素を記載する。一実施形態では、突然変異毒素TcdAには、(a)配列番号224または配列番号245と50%以上(たとえば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列、ならびに/あるいは、(b)配列番号224もしくは配列番号245の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片[ただし、「n」は7以上である(たとえば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、540、もしくはそれより大きい)]、または配列番号224もしくは配列番号245と80%以上の同一性を有し、かつ配列番号224および/もしくは配列番号245のエピトープを含むポリペプチドの断片であるアミノ酸配列が含まれる。
【0128】
一実施形態では、突然変異毒素TcdAには、配列番号223、配列番号224、配列番号225、配列番号226、配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、配列番号231、配列番号232、配列番号233、配列番号234、配列番号235、または配列番号236に記載のアミノ酸配列が含まれる。突然変異毒素TcdAのさらなる例示的な実施形態には、配列番号244、配列番号245、配列番号250、配列番号251、配列番号252、配列番号253、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、配列番号260、配列番号261、配列番号262、および/または配列番号263のいずれかに記載のアミノ酸配列が含まれる。
【0129】
一実施形態では、突然変異毒素TcdBには、(a)配列番号238または配列番号247と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列、および/あるいは(b)配列番号238もしくは配列番号247の少なくとも7個の連続したアミノ酸の断片、または配列番号238もしくは配列番号247と80%以上の同一性を有し、かつ配列番号238もしくは配列番号247のエピトープを含むポリペプチドの断片であるアミノ酸配列が含まれる。
【0130】
一実施形態では、突然変異毒素TcdBには、(a)配列番号238または配列番号247と50%以上の(たとえば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.8%、99.9%、またはそれより高い)同一性を有するアミノ酸配列、および/あるいは(b)配列番号238もしくは配列番号247の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片、または配列番号238もしくは配列番号247と50%以上の同一性を有するポリペプチドの断片[ただし、「n」は7以上である(たとえば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、250、300、400、500、540、もしくはそれより大きい)]であるアミノ酸配列が含まれる。
【0131】
一実施形態では、突然変異毒素TcdBには、配列番号237、配列番号238、配列番号239、配列番号240、配列番号241、配列番号242、または配列番号243に記載のアミノ酸配列が含まれる。突然変異毒素TcdBのさらなる例示的な実施形態には、配列番号246、配列番号247、配列番号248、配列番号249、配列番号264、配列番号265、配列番号266、配列番号267、配列番号268、および/または配列番号269のいずれかに記載のアミノ酸配列が含まれる。
【0132】
さらなる例示的な突然変異毒素TcdAには、配列番号520から配列番号567のアミノ酸配列のいずれか1つを有するポリペプチドが含まれる。さらなる例示的な突然変異毒素TcdBには、配列番号616から配列番号663のアミノ酸配列のいずれか1つを有するポリペプチドが含まれる。
【0133】
以下にさらなる例示的な突然変異毒素を記載する。一実施形態では、突然変異毒素TcdAには、配列番号664から配列番号711のアミノ酸配列のいずれか1つを有するポリペプチドが含まれる。さらなる例示的な突然変異毒素TcdBには、配列番号712から配列番号761のアミノ酸配列のいずれか1つを有するポリペプチドが含まれる。
【0134】
本発明のポリペプチドには、場合によっては宿主細胞媒介性プロセスの結果として、最初のメチオニン残基が含まれ得る。たとえば組換え産生手順で使用する宿主細胞および/または宿主細胞の発酵もしくは成長条件に応じて、翻訳開始コドンによってコードされているN末端メチオニンを細胞内での翻訳後にポリペプチドから除去してもよい、またはN末端メチオニンは単離ポリペプチド中に存在したままでもよいことが当技術分野で知られている。
【0135】
したがって、一態様では、本発明は、配列番号4に記載のアミノ酸配列が含まれる単離ポリペプチドに関し、最初のメチオニン(位置1)は存在しなくてもよい。一実施形態では、配列番号4の最初のメチオニンは存在しない。一態様では、本発明は、最初のメチオニンが存在しないこと以外は配列番号4と同一である、配列番号84に記載のアミノ酸配列が含まれる単離ポリペプチドに関する。
【0136】
別の態様では、単離ポリペプチドには配列番号6に記載のアミノ酸配列が含まれ、最初のメチオニン(位置1)は存在しなくてもよい。一実施形態では、配列番号6最初のメチオニンは存在しない。一態様では、本発明は、最初のメチオニンが存在しないこと以外は配列番号6と同一である、配列番号86に記載のアミノ酸配列が含まれる単離ポリペプチドに関する。
【0137】
さらなる一態様では、単離ポリペプチドには配列番号7に記載のアミノ酸配列が含まれ、最初のメチオニン(位置1)は存在しなくてもよい。一実施形態では、本発明は、最初のメチオニンが存在しないこと以外は配列番号7と同一である、配列番号83に記載のアミノ酸配列が含まれる単離ポリペプチドに関する。さらに別の態様では、単離ポリペプチドには配列番号8に記載のアミノ酸配列が含まれ、最初のメチオニン(位置1)は存在しなくてもよい。一実施形態では、単離ポリペプチドには、最初のメチオニンが存在しないこと以外は配列番号8と同一である、配列番号85に記載のアミノ酸配列が含まれる。
【0138】
一態様では、本発明は、配列番号4が含まれる免疫原性組成物に関し、最初のメチオニン(位置1)は存在しなくてもよい。別の態様では、本発明は、配列番号6が含まれる免疫原性組成物に関し、最初のメチオニン(位置1)は存在しなくてもよい。さらなる一態様では、本発明は、配列番号7が含まれる免疫原性組成物に関し、最初のメチオニン(位置1)は存在しなくてもよい。さらに別の態様では、本発明は、配列番号8が含まれる免疫原性組成物に関し、最初のメチオニン(位置1)は存在しなくてもよい。
【0139】
別の態様では、本発明は、配列番号83が含まれる免疫原性組成物に関する。一態様では、本発明は、配列番号84が含まれる免疫原性組成物に関する。一態様では、本発明は、配列番号85が含まれる免疫原性組成物に関する。別の態様では、本発明は、配列番号86が含まれる免疫原性組成物に関する。
【0140】
細胞毒性
また、哺乳動物において免疫応答を生じることに加えて、本明細書中に記載の免疫原性組成物は対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素と比較して低下した細胞毒性も有する。好ましくは、免疫原性組成物は哺乳動物への投与において安全であり、対応するそれぞれの野生型毒素の細胞毒性と比較して最小限の細胞毒性を有する(たとえば約6〜8log10の低下)〜細胞毒性なしである。
【0141】
本明細書中で使用する用語、細胞毒性とは、当技術分野において理解される用語であり、アポトーシス細胞死および/または細胞毒性剤が存在しない以外は同一条件下の同一細胞と比較して細胞の1つもしくは複数の通常の生化学的もしくは生物学的機能が異常に損なわれている状態をいう。毒性は、たとえば、細胞もしくは哺乳動物中で50%の細胞死を誘導するために必要な薬剤の量(すなわちそれぞれEC50もしくはED50)で、または当技術分野で知られている他の方法によって定量することができる。
【0142】
細胞円形化アッセイなどの細胞毒性を示すためのアッセイは当技術分野で知られている(たとえばKuehneら、Nature.2010 Oct 7;467(7316):711〜3を参照)。TcdAおよびTcdBの作用は、細胞が円形化(たとえば形態を失う)して死滅することを引き起こし、そのような現象は光学顕微鏡観察によって目で見ることができる。たとえば図9を参照されたい。
【0143】
当技術分野で知られているさらなる例示的な細胞毒性アッセイには、[14C]グルコースで標識したRasのリン光イメージングのアッセイに関するグルコシル化アッセイ(Buschら、J Biol Chem.1998 Jul 31;273(31):19566〜72に記載)、および好ましくは以下の実施例に記載のin vitro細胞毒性アッセイが含まれ、EC50とは、細胞、好ましくはヒト二倍体線維芽細胞(たとえばIMR90細胞(ATCC CCL−186(商標))において、毒素が存在しない同一条件下の同一細胞と比較して細胞変性効果(CPE)の少なくとも約50%を示す免疫原性組成物の濃度をいい得る。また、in vitro細胞毒性アッセイは、細胞、好ましくはヒト二倍体線維芽細胞(たとえばIMR90細胞(ATCC CCL−186(商標))において、毒素が存在しない同一条件下の同一細胞と比較して野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素に誘導される細胞変性効果(CPE)の少なくとも約50%を阻害する組成物の濃度を評価するためにも使用し得る。さらなる例示的な細胞毒性アッセイには、Doernら、J Clin Microbiol.1992 Aug;30(8):2042〜6に記載のものが含まれる。また、細胞毒性は、毒素で処理した細胞中のATPレベルを測定することによっても決定することができる。たとえば、相対光量(RLU)として測定されるルミネセンスを放射する、CELLTITERGLO(登録商標)(Promega)などのルシフェラーゼに基づく基質を使用し得る。そのようなアッセイでは、細胞生存度は細胞中のATPの量またはRLU値に直接比例し得る。
【0144】
一実施形態では、免疫原性組成物の細胞毒性は、対応する野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素と比較して、少なくとも約1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、11000、12000、13000倍、14000倍、15000倍、またはそれより多く低減される。たとえば表20を参照されたい。
【0145】
別の実施形態では、免疫原性組成物の細胞毒性は、同一条件下の対応する野生型毒素と比較して、少なくとも約2log10、より好ましくは約3log10、最も好ましくは約4log10またはそれより多く低下する。たとえば、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBは、標準の細胞変性効果アッセイ(CPE)で測定して、少なくとも約10−12g/mlのEC50値を有し得る例示的な野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBと比較して約10−9g/mlのEC50値を有し得る。たとえば、以下の実施例セクション中の表7A、7B、8Aおよび8Bを参照されたい。
【0146】
さらに別の実施形態では、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素の細胞毒性は、たとえば本明細書中に記載したものなどのin vitro細胞毒性アッセイによって測定して、少なくとも約50μg/ml、100μg/ml、200μg/ml、300μg/ml、400μg/ml、500μg/ml、600μg/ml、700μg/ml、800μg/ml、900μg/ml、1000μg/mlまたはそれより高いEC50を有する。したがって、好ましい実施形態では、免疫原性組成物および突然変異毒素は、哺乳動物に投与するために生物学的に安全である。
【0147】
機構または理論に束縛されずに、野生型TcdAと比較してD285およびD287の突然変異を有するTcdA、ならびに野生型TcdBと比較してD286およびD288の突然変異を有するTcdBは、グルコシルトランスフェラーゼ活性に欠損があり、したがって細胞変性効果の誘導に欠損があると予想された。さらに、DHCモチーフ中に突然変異を有する毒素は、自己触媒プロセスに欠損があり、したがって細胞毒性効果をまったく持たないと予想された。
【0148】
しかし、本発明者らは、驚くべきことに、とりわけ、配列番号4を有する例示的な突然変異体TcdAおよび配列番号6を有する例示的な突然変異体TcdBが、機能不全のグルコシルトランスフェラーゼ活性および機能不全のシステインプロテアーゼ活性を示したにもかかわらず、予想外に細胞毒性を示した(ただし野生型シー・ディフィシル(C.difficile)630毒素からは顕著に低下している)ことを発見した。機構または理論に束縛されずに、突然変異毒素は新規機構によって細胞毒性を達成すると考えられている。それにもかかわらず、配列番号4を有する例示的な突然変異体TcdAおよび配列番号6を有する例示的な突然変異体TcdBは驚くべきことに免疫原性であった。以下の実施例を参照されたい。
【0149】
架橋結合
野生型毒素の化学的架橋結合は毒素の失活に失敗する潜在性を有するが、本発明者らは、突然変異毒素の少なくとも1つのアミノ酸を化学的に架橋結合させることで、化学的架橋結合を欠く同一の突然変異毒素と比較して、および対応する野生型毒素と比較して、突然変異毒素の細胞毒性がさらに低下したことをさらに発見した。好ましくは、突然変異毒素は、化学的架橋剤と接触させる前に精製する。
【0150】
さらに、化学的架橋剤が有用なエピトープを変更する潜在性にもかかわらず、本発明者らは、驚くべきことに、少なくとも1つのアミノ酸を化学的に架橋結合させた遺伝子改変した突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素は、複数の中和抗体またはその結合断片を誘発した免疫原性組成物をもたらしたことを発見した。したがって、中和抗体分子と会合したエピトープが化学的架橋結合後に予想外に保たれた。
【0151】
架橋結合(本明細書中で「化学的失活」または「失活」とも呼ばれる)とは、2つ以上の分子を共有結合によって化学的に一緒にするプロセスである。用語「架橋結合試薬」、「架橋剤」、および「架橋結合剤」とは、ペプチド、ポリペプチド、および/またはタンパク質上の特定の官能基(第一級アミン、スルヒドリル、カルボキシル、カルボニルなど)と反応するおよび/または化学的に付着することができる分子をいう。一実施形態では、分子は、ペプチド、ポリペプチド、および/またはタンパク質上の特定の官能基(第一級アミン、スルヒドリル、カルボキシル、カルボニルなど)と反応するおよび/または化学的に付着することができる2つ以上の反応性末端を含有し得る。好ましくは、化学的架橋剤は水溶性である。別の好ましい実施形態では、化学的架橋剤はヘテロ二官能性架橋結合剤である。別の実施形態では、化学的架橋剤は二官能性架橋結合剤ではない。化学的架橋剤は当技術分野で知られている。
【0152】
好ましい実施形態では、架橋剤は長さゼロの架橋剤である。「長さゼロ」の架橋結合剤とは、2つの分子の官能基間の直接架橋結合を媒介または生成する架橋剤をいう。たとえば、2つのポリペプチドの架橋結合において、長さゼロの架橋結合剤は、外因性物質を組み込まずに、1つのポリペプチドのアミノ酸側鎖からのカルボキシル基と別のポリペプチドのアミノ基との間の橋または架橋結合の形成をもたらす。長さゼロの架橋剤は、たとえば、ヒドロキシル部分とカルボキシル部分との間のエステル結合の形成、および/またはカルボキシル部分と第一級アミノ部分との間のアミド結合の形成を触媒することができる。
【0153】
例示的な適切な化学的架橋剤には、ホルムアルデヒド、ホルマリン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−(4−エチル)カルボジイミドメト−p−トルエンスルホン酸塩(CMC)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、およびその誘導体を含めた水溶性カルボジイミド(RN=C=NR’)、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、フェニルグリオキサール、ならびに/またはUDP−ジアルデヒドが含まれる。
【0154】
好ましくは、架橋剤はEDCである。突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素ポリペプチドがEDCによって化学修飾する場合(たとえばポリペプチドをEDCと接触させることによる)、一実施形態では、ポリペプチドには(a)ポリペプチドのアスパラギン酸残基の側鎖とポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合が含まれる。一実施形態では、ポリペプチドには(b)ポリペプチドのグルタミン酸残基の側鎖とポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合が含まれる。一実施形態では、ポリペプチドには(c)ポリペプチドのC末端のカルボキシル基とポリペプチドのN末端のアミノ基との間の少なくとも1つの架橋結合が含まれる。一実施形態では、ポリペプチドには(d)ポリペプチドのC末端のカルボキシル基とポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合が含まれる。一実施形態では、ポリペプチドには(e)ポリペプチドのアスパラギン酸残基の側鎖と第2の単離ポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合が含まれる。一実施形態では、ポリペプチドには(f)ポリペプチドのグルタミン酸残基の側鎖と第2の単離ポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合が含まれる。一実施形態では、ポリペプチドには(g)ポリペプチドのC末端のカルボキシル基と第2の単離ポリペプチドのN末端のアミノ基との間の少なくとも1つの架橋結合が含まれる。一実施形態では、ポリペプチドには(h)ポリペプチドのC末端のカルボキシル基と第2の単離ポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合が含まれる。たとえば図24および図25を参照されたい。
【0155】
「第2の単離ポリペプチド」とは、EDCとの反応中に存在する任意の単離ポリペプチドをいう。一実施形態では、第2の単離ポリペプチドは、第1の単離ポリペプチドと同一の配列を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素ポリペプチドである。別の実施形態では、第2の単離ポリペプチドは、第1の単離ポリペプチドとは異なる配列を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素ポリペプチドである。
【0156】
一実施形態では、ポリペプチドには、(a)〜(d)の修飾から選択される少なくとも2つの修飾が含まれる。例示的な一実施形態では、ポリペプチドには、(a)ポリペプチドのアスパラギン酸残基の側鎖とポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合、および(b)ポリペプチドのグルタミン酸残基の側鎖とポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合が含まれる。さらなる実施形態では、ポリペプチドには、(a)〜(d)の修飾から選択される少なくとも3つの修飾が含まれる。さらなる一実施形態では、ポリペプチドには(a)、(b)、(c)、および(d)の修飾が含まれる。
【0157】
EDCによる化学修飾中に複数の突然変異ポリペプチドが存在する場合、一実施形態では、生じる組成物には、(a)〜(h)の修飾のいずれかの少なくとも1つが含まれる。一実施形態では、組成物には、(a)〜(h)の修飾から選択される少なくとも2つの修飾が含まれる。さらなる実施形態では、組成物には、(a)〜(h)の修飾から選択される少なくとも3つの修飾が含まれる。さらなる一実施形態では、組成物には、(a)〜(h)の修飾から選択される少なくとも4つの修飾が含まれる。別の実施形態では、組成物には、(a)〜(h)の修飾のそれぞれが少なくとも1つずつ含まれる。
【0158】
例示的な一実施形態では、生じる組成物には、(a)ポリペプチドのアスパラギン酸残基の側鎖とポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合、および(b)ポリペプチドのグルタミン酸残基の側鎖とポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合が含まれる。一実施形態では、組成物には、(c)ポリペプチドのC末端のカルボキシル基とポリペプチドのN末端のアミノ基との間の少なくとも1つの架橋結合、および(d)ポリペプチドのC末端のカルボキシル基とポリペプチドのリシン残基との間の少なくとも1つの架橋結合の側鎖がさらに含まれる。
【0159】
別の例示的な実施形態では、生じる組成物には、(e)ポリペプチドのアスパラギン酸残基の側鎖と第2の単離ポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合、(f)ポリペプチドのグルタミン酸残基の側鎖と第2の単離ポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合、(g)ポリペプチドのC末端のカルボキシル基と第2の単離ポリペプチドのN末端のアミノ基との間の少なくとも1つの架橋結合、および(h)ポリペプチドのC末端のカルボキシル基と第2の単離ポリペプチドのリシン残基との間の少なくとも1つの架橋結合の側鎖が含まれる。
【0160】
さらなる例示的な一実施形態では、生じる組成物には、(a)ポリペプチドのアスパラギン酸残基の側鎖とポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合、(b)ポリペプチドのグルタミン酸残基の側鎖とポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合、(e)ポリペプチドのアスパラギン酸残基の側鎖と第2の単離ポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合、および(f)ポリペプチドのグルタミン酸残基の側鎖と第2の単離ポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合が含まれる。
【0161】
好ましい実施形態では、化学的架橋剤には、ホルムアルデヒド、より好ましくは、リシンの非存在下でホルムアルデヒドが含まれる薬剤が含まれる。グリシンまたは第一級アミンを有する他の適切な化合物を、架橋結合反応において反応停止剤として使用することができる。したがって、別の好ましい実施形態では、化学的薬剤には、ホルムアルデヒド、およびグリシンの使用が含まれる。
【0162】
さらに別の好ましい実施形態では、化学的架橋剤にはEDCおよびNHSが含まれる。当技術分野で知られているように、NHSをEDCカップリングプロトコルに含め得る。しかし、本発明者らは、驚くべきことに、対応する野生型毒素と比較して、遺伝的突然変異させた毒素と比較して、かつEDCによって化学的に架橋結合させた遺伝的突然変異させた毒素と比較して、NHSが突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素の細胞毒性をさらに減少させることを容易にし得ることを発見した。たとえば実施例22を参照されたい。したがって、機構または理論に束縛されずに、ポリペプチドの少なくとも1つのリシン残基の側鎖と連結されたベータアラニン部分(たとえば、突然変異毒素ポリペプチド、EDC、およびNHSの反応から生じたもの)を有する突然変異毒素ポリペプチドは、たとえばベータアラニン部分が存在しないシー・ディフィシル(C.difficile)毒素(野生型または突然変異体)と比較して、突然変異毒素の細胞毒性をさらに減少させることを容易にし得る。
【0163】
また、EDCおよび/またはNHSの使用には、反応停止剤としてのグリシンまたは第一級アミンを有する他の適切な化合物の使用も含まれ得る。たとえばグリシンメチルエステルおよびアラニンなどの、第一級アミンを有する任意の化合物を反応停止剤として使用し得る。好ましい実施形態では、反応停止化合物は非ポリマー性の親水性第一級アミンである。非ポリマー性の親水性第一級アミンの例には、たとえば、アミノ糖、アミノアルコール、およびアミノポリオールが含まれる。非ポリマー性の親水性第一級アミンの具体的な例には、グリシン、エタノールアミン、グルカミン、アミン官能化ポリエチレングリコール、およびアミン官能化エチレングリコールオリゴマーが含まれる。
【0164】
一態様では、本発明は、少なくとも1つのアミノ酸側鎖がEDCおよび非ポリマー性の親水性第一級アミン、好ましくはグリシンによって化学修飾された、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素ポリペプチドに関する。生じるグリシン付加物(たとえば、EDC、NHSで処理した三重突然変異毒素の反応、グリシンで反応停止したもの)は、対応する野生型毒素と比較して、突然変異毒素の細胞毒性を減少させることを容易にし得る。
【0165】
一実施形態では、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素ポリペプチドをEDCおよびグリシンによって化学修飾させる場合、ポリペプチドをEDCによって修飾させる場合の少なくとも1つの修飾がポリペプチドに含まれ(たとえば、上述の(a)〜(h)の修飾のいずれか少なくとも1つ)、かつ以下のうちの少なくとも1つの例示的な修飾が含まれる:(i)ポリペプチドのC末端のカルボキシル基と連結されたグリシン部分、(j)ポリペプチドの少なくとも1つのアスパラギン酸残基の側鎖と連結されたグリシン部分、および(k)ポリペプチドの少なくとも1つのグルタミン酸残基の側鎖と連結されたグリシン部分。たとえば図24および図25を参照されたい。
【0166】
一実施形態では、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAの少なくとも1つのアミノ酸が化学的に架橋結合されている、および/または突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBの少なくとも1つのアミノ酸が化学的に架橋結合されている。本明細書中に記載の突然変異毒素のいずれかを化学的に架橋結合させ得る。別の実施形態では、配列番号4、配列番号6、配列番号7、および/または配列番号8のうちの少なくとも1つのアミノ酸が化学的に架橋結合されている。一実施形態では、配列番号1から配列番号761のうちの任意のアミノ酸配列を有するポリペプチドの少なくとも1つのアミノ酸残基が架橋結合されている。別の実施形態では、配列番号183から配列番号761のうちの任意のアミノ酸配列を有するポリペプチドの少なくとも1つのアミノ酸残基には、上述の修飾、たとえば、(a)ポリペプチドのアスパラギン酸残基の側鎖とポリペプチドのリシン残基の側鎖との間の少なくとも1つの架橋結合などの、(a)〜(k)の修飾のいずれかが含まれる。
【0167】
たとえば、少なくとも1つのアミノ酸は、EDCなどのカルボジイミドが含まれる薬剤によって化学的に架橋結合させ得る。カルボジイミドは、遊離カルボキシル(たとえばアスパラギン酸および/またはグルタミン酸の側鎖からのもの)とアミノ基(たとえばリシン残基の側鎖中のもの)との間に共有結合を形成して、安定なアミド結合を形成し得る。
【0168】
別の例として、少なくとも1つのアミノ酸は、NHSが含まれる薬剤によって化学的に架橋結合させ得る。NHSエステル活性化架橋結合剤は、第一級アミン(たとえば、それぞれのポリペプチド鎖のN末端および/またはリシン残基の側鎖中のもの)と反応して、アミド結合を与え得る。
【0169】
別の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸は、EDCおよびNHSが含まれる薬剤によって化学的に架橋結合させ得る。たとえば、一実施形態では、本発明は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有する単離ポリペプチドに関し、位置1のメチオニン残基は存在しなくてもよく、ポリペプチドには、EDCおよびNHSによって化学修飾された少なくとも1つのアミノ酸側鎖が含まれる。別の実施形態では、本発明は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を有する単離ポリペプチドに関し、位置1のメチオニン残基は存在しなくてもよく、ポリペプチドには、EDCおよびNHSによって化学修飾された少なくとも1つのアミノ酸側鎖が含まれる。さらに別の実施形態では、本発明は、配列番号84、配列番号86、配列番号83、配列番号85、配列番号7、または配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する単離ポリペプチドに関する。ポリペプチドは、ポリペプチドをEDCおよびNHSと接触させることによって修飾させる。たとえば図24および図25を参照されたい。
【0170】
突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素ポリペプチドをEDCおよびNHSによって(たとえば接触させることによって)化学修飾させる場合、一実施形態では、ポリペプチドをEDCによって修飾させる場合の少なくとも1つの修飾がポリペプチドに含まれ(たとえば、上述の(a)〜(h)の修飾のうちの任意の少なくとも1つ)、かつ(l)ポリペプチドの少なくとも1つのリシン残基の側鎖と連結されたベータアラニン部分が含まれる。
【0171】
別の態様では、本発明は、EDC、NHS、および非ポリマー性の親水性第一級アミン、好ましくはグリシンによって化学修飾された少なくとも1つのアミノ酸側鎖が含まれる突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素ポリペプチドに関する。一実施形態では、ポリペプチドには、ポリペプチドをEDCによって修飾させる場合の少なくとも1つの修飾(たとえば、上述の(a)〜(h)の修飾のうちの任意の少なくとも1つ)、ポリペプチドをグリシンによって修飾させる場合の少なくとも1つの修飾(たとえば、上述の(i)〜(k)の修飾のうちの任意の少なくとも1つ)、および(l)ポリペプチドの少なくとも1つのリシン残基の側鎖と連結されたベータアラニン部分が含まれる。たとえば図24および図25を参照されたい。
【0172】
一態様では、本発明は、ポリペプチドの少なくとも1つのリシン残基の側鎖がベータアラニン部分と連結されている突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素ポリペプチドに関する。一実施形態では、ポリペプチドの第2のリシン残基の側鎖は、アスパラギン酸残基の側鎖および/またはグルタミン酸残基の側鎖と連結されている。ポリペプチドの「第2の」リシン残基には、ベータアラニン部分と連結されていない、ポリペプチドのリシン残基が含まれる。第2のリシン残基が連結されているアスパラギン酸の側鎖および/またはグルタミン酸の側鎖は、ポリペプチドのものであり分子内架橋結合を形成するか、または第2のポリペプチドのものであり分子間架橋結合を形成し得る。別の実施形態では、ポリペプチドの少なくとも1つのアスパラギン酸残基の側鎖および/または少なくとも1つのグルタミン酸残基の側鎖は、グリシン部分と連結されている。グリシン部分と連結されているアスパラギン酸残基および/またはグルタミン酸残基は、同時にリシン残基とは連結されていない。
【0173】
別の態様では、本発明は、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素の少なくとも1つのアミノ酸側鎖が化学修飾されている突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素に関する。一実施形態では、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aの少なくとも1つのアミノ酸側鎖および/または野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bの少なくとも1つのアミノ酸側鎖はEDCによって化学修飾されている。たとえば、一実施形態では、TcdA(配列番号1)および/またはTcdB(配列番号2)はEDCによって化学修飾されている。別の実施形態では、野生型毒素はEDCおよびNHSによって化学修飾されている。一実施形態では、突然変異毒素には化学修飾した野生型毒素Aが含まれ、野生型毒素Aは表1−aに記載したものの任意の1つである。別の実施形態では、突然変異毒素には化学修飾した野生型毒素Bが含まれ、野生型毒素Bは表2−aに記載したものの任意の1つである。
【0174】
化学的に架橋結合させた突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素ポリペプチドのさらに別の例として、少なくとも1つのアミノ酸は、ホルムアルデヒドが含まれる薬剤によって化学的に架橋結合させ得る。ホルムアルデヒドは、N末端アミノ酸残基のアミノ基ならびにアルギニン、システイン、ヒスチジン、およびリシンの側鎖と反応し得る。ホルムアルデヒドおよびグリシンはシッフ塩基付加物を形成する場合があり、これは、第一級N末端アミノ基、アルギニン、およびチロシン残基に付着する場合があり、より低い度合でアスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、およびトリプトファン残基に付着する場合がある。
【0175】
化学的架橋剤は、たとえばin vitro細胞毒性アッセイまたは動物毒性によって測定して、処理した毒素が同一条件下の未処理の毒素よりも少ない毒性(たとえば、約100%、99%、95%、90%、80%、75%、60%、50%、25%、または10%少ない毒性)を有する場合に、毒素の細胞毒性を低下させるといわれる。
【0176】
好ましくは、化学的架橋剤は、化学的架橋剤が存在しない以外は同一条件下の突然変異毒素と比較して、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素の細胞毒性を少なくとも約2log10の低下、より好ましくは約3log10の低下、最も好ましくは約4log10またはそれより多く低下させる。野生型毒素と比較して、化学的架橋剤は、好ましくは、突然変異毒素の細胞毒性を少なくとも約5log10の低下、約6log10の低下、約7log10の低下、約8log10の低下またはそれより多く低下させる。
【0177】
別の好ましい実施形態では、化学的に失活させた突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素は、たとえば本明細書中に記載のものなどのin vitro細胞毒性アッセイによって測定して、約50μg/ml超もしくは少なくとも約50μg/ml、約100μg/ml超もしくは少なくとも約100μg/ml、約200μg/ml超もしくは少なくとも約200μg/ml、約300μg/ml超もしくは少なくとも約300μg/ml、約400μg/ml超もしくは少なくとも約400μg/ml、約500μg/ml超もしくは少なくとも約500μg/ml、約600μg/ml超もしくは少なくとも約600μg/ml、約700μg/ml超もしくは少なくとも約700μg/ml、約800μg/ml超もしくは少なくとも約800μg/ml、約900μg/ml超もしくは少なくとも約900μg/ml、約1000μg/ml超もしくは少なくとも約1000μg/ml、またはそれより高いEC50値を示す。
【0178】
突然変異毒素を化学的架橋剤と接触させるための反応条件は当業者の技術範囲内にあり、条件は使用する薬剤に応じて変動し得る。しかし、本発明者らは、驚くべきことに、機能的エピトープを保持し、対応する野生型毒素と比較して突然変異毒素の細胞毒性を減少させつつ、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素ポリペプチドを化学的架橋剤と接触させるための最適な反応条件を発見した。
【0179】
好ましくは、突然変異毒素を架橋剤と接触させるための反応条件を選択し、突然変異毒素は、約0.5、0.75、1.0、1.25、1.5、1.75、2.0mg/mlの最小濃度から最大で約3.0、2.5、2.0、1.5、または1.25mg/mlを有する。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、反応のための突然変異毒素の適切な濃度の範囲を定義し得る。最も好ましくは、突然変異毒素は反応のために約1.0〜1.25mg/mlの濃度を有する。
【0180】
一実施形態では、反応で使用する薬剤は、約1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、10mM、15mM、20mM、30mM、40mM、または50mMの最小濃度、および約100mM、90mM、80mM、70mM、60mM、または50mMの最大濃度を有する。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、反応のための化学的薬剤の適切な濃度の範囲を定義し得る。
【0181】
薬剤にホルムアルデヒドが含まれる好ましい実施形態では、使用する濃度は、好ましくは約2mM〜80mM、最も好ましくは約40mMの任意の濃度である。薬剤にEDCが含まれる別の好ましい実施形態では、使用する濃度は、好ましくは約1.3mM〜約13mM、より好ましくは約2mM〜3mM、最も好ましくは約2.6mMの任意の濃度である。一実施形態では、EDCの濃度は、全反応体積に基づいて最大で5g/L、4g/L、3g/L、2.5g/L、2g/L、1.5g/L、1.0g/L、0.5g/L、好ましくは最大で1g/L、より好ましくは最大で0.5g/Lである。
【0182】
突然変異毒素を化学的架橋剤と接触させる例示的な反応時間には、最小で約0.5、1、2、3、4、5、6、12、24、36、48、または60時間、および最大で約14日間、12日間、10日間、7日間、5日間、3日間、2日間、1日間、または12時間、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1時間が含まれる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な反応時間の範囲を定義し得る。
【0183】
好ましい実施形態では、突然変異毒素を化学的架橋剤と接触させるステップは、標準のin vitro細胞毒性アッセイにおいて適切なヒト細胞、たとえばIMR−90細胞中で、架橋剤が存在しない同一の突然変異毒素と比較して突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素の細胞毒性を少なくとも約1000μg/mlのEC50値まで低下させるために十分な期間の間起こる。より好ましくは、反応ステップは、適切なヒト細胞中で突然変異毒素の細胞毒性を少なくとも約1000μg/mlのEC50値まで低下させるために十分な期間よりも少なくとも2倍長い、最も好ましくは少なくとも3倍長い、またはそれより長い時間の間実施する。一実施形態では、反応時間は約168時間(すなわち7日間)を超えない。
【0184】
たとえば、薬剤にホルムアルデヒドが含まれる一実施形態では、好ましくは、標準のin vitro細胞毒性アッセイにおいて適切なヒト細胞、たとえばIMR−90細胞中で、架橋剤が存在しない同一の突然変異毒素と比較して突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素の細胞毒性を少なくとも約1000μg/mlのEC50値まで低下させるために十分な例示的な期間であると示された約12時間の間、突然変異毒素を薬剤と接触させる。より好ましい一実施形態では、十分な反応期間よりも少なくとも約3倍長い約48時間の間、反応を実施する。そのような実施形態では、反応時間は好ましくは約72時間を超えない。
【0185】
薬剤にEDCが含まれる別の実施形態では、好ましくは、約0.5時間、より好ましくは少なくとも約1時間、または最も好ましくは約2時間の間、突然変異毒素を薬剤と接触させる。一実施形態では、最大で約5時間、好ましくは最大で約3時間、より好ましくは最大で約2時間の間、突然変異毒素をEDCと接触させる。そのような実施形態では、反応時間は好ましくは約6時間を超えない。
【0186】
突然変異毒素を化学的架橋剤と接触させる例示的なpHには、最小で約pH5.5、6.0、6.5、7.0、または7.5、および最大で約pH8.5、8.0、7.5、7.0、または6.5が含まれる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切なpHの範囲を定義し得る。好ましくは、反応はpH6.5〜7.5、好ましくはpH7.0で起こる。
【0187】
突然変異毒素を化学的架橋剤と接触させる例示的な温度には、最小で約2℃、4℃、10℃、20℃、25℃、または37℃、および約40℃、37℃、30℃、27℃、25℃、または20℃の最大温度が含まれる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な反応温度の範囲を定義し得る。好ましくは、反応は約20℃〜30℃、最も好ましくは約25℃で起こる。
【0188】
上述の免疫原性組成物には1つの突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素(AまたはB)が含まれ得る。したがって、免疫原性組成物は、調製物またはキット中で別々のバイアル(たとえば、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aが含まれる組成物のための別個のバイアルおよび突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bが含まれる組成物のための別個のバイアル)を占有することができる。免疫原性組成物は、同時、順次、または別々の使用を意図し得る。
【0189】
別の実施形態では、上述の免疫原性組成物には、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素(AおよびB)がどちらも含まれ得る。記載した突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aおよび突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bの任意の組合せを、免疫原性組成物のために組み合わせ得る。したがって、免疫原性組成物を、単一のバイアル(たとえば、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAが含まれる組成物および突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBが含まれる組成物をどちらも含有する単一のバイアル)中で組み合わせることができる。好ましくは、免疫原性組成物には突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAおよび突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBが含まれる。
【0190】
たとえば、一実施形態では、免疫原性組成物には配列番号4および配列番号6が含まれ、配列番号4および配列番号6のそれぞれの少なくとも1つのアミノ酸が化学的に架橋結合されている。別の実施形態では、免疫原性組成物には、配列番号4または配列番号7が含まれる突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素A、および配列番号6または配列番号8を含む突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bが含まれ、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素のそれぞれの少なくとも1つのアミノ酸が化学的に架橋結合されている。
【0191】
別の実施形態では、免疫原性組成物には、配列番号4、配列番号84、および配列番号83から選択される任意の配列、および配列番号6、配列番号86、および配列番号85から選択される任意の配列が含まれる。別の実施形態では、免疫原性組成物には、配列番号84および配列番号86が含まれる免疫原性組成物が含まれる。別の実施形態では、免疫原性組成物には、配列番号83および配列番号85が含まれる免疫原性組成物が含まれる。別の実施形態では、免疫原性組成物には、配列番号84、配列番号83、配列番号86、および配列番号85が含まれる。
【0192】
別の実施形態では、免疫原性組成物には、配列番号1〜配列番号761から選択される任意の1つの配列を有するポリペプチド、および配列番号1〜配列番号761から選択される任意の1つの配列を有する第2のポリペプチドが含まれる。
【0193】
本発明の組成物のいずれか、たとえば突然変異毒素Aおよび/または突然変異毒素Bが含まれる免疫原性組成物は、治療効果のために様々な比または量で組み合わせることができることを理解されたい。たとえば、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAおよび突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBは、0.1:10〜10:0.1のA:Bの範囲の比で免疫原性組成物中に存在することができる。別の実施形態では、たとえば、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBおよび突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAは、0.1:10〜10:0.1のB:Aの範囲の比で免疫原性組成物中に存在することができる。好ましい一実施形態では、比は、組成物中に突然変異体TcdAの総量よりも突然変異体TcdBの総量の方が多く含まれるようなものである。
【0194】
一態様では、免疫原性組成物は中和抗体またはその結合断片と結合することができる。好ましくは、中和抗体またはその結合断片は、本明細書中以下に記載したものである。例示的な一実施形態では、免疫原性組成物は抗毒素A抗体またはその結合断片と結合することができ、抗毒素A抗体またはその結合断片には、配列番号36のアミノ酸配列を有する可変軽鎖および配列番号37のアミノ酸配列を有する可変重鎖が含まれる。たとえば、免疫原性組成物には、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdA、配列番号4、または配列番号7が含まれ得る。別の例として、免疫原性組成物には配列番号84または配列番号83が含まれ得る。
【0195】
別の例示的な実施形態では、免疫原性組成物は抗毒素B抗体またはその結合断片と結合することができ、抗毒素B抗体またはその結合断片には、B8−26の可変軽鎖およびB8−26の可変重鎖が含まれる。たとえば、免疫原性組成物には、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB、配列番号6、または配列番号8が含まれ得る。別の例として、免疫原性組成物には配列番号86または配列番号85が含まれ得る。
【0196】
組換え細胞
別の態様では、本発明は、組換え細胞またはその子孫に関する。一実施形態では、細胞またはその子孫には、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAおよび/または突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBをコードしているポリヌクレオチドが含まれる。
【0197】
別の実施形態では、組換え細胞またはその子孫には、プログラムGAPまたはBESTFITなどによって初期設定のギャップ重みづけを使用して最適アラインメントした場合に、配列番号4、配列番号6、配列番号7、または配列番号8のいずれかと少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、好ましくは約98%、より好ましくは約99%または最も好ましくは約100%の同一性を有するポリペプチドをコードしている核酸配列が含まれる。一実施形態では、組換え細胞またはその子孫には、配列番号1から配列番号761のいずれかと少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、好ましくは約98%、より好ましくは約99%または最も好ましくは約100%の同一性を有するポリペプチドをコードしている核酸配列が含まれる。
【0198】
別の実施形態では、組換え細胞またはその子孫には、プログラムGAPまたはBESTFITなどによって初期設定のギャップ重みづけを使用して最適アラインメントした場合に、配列番号84、配列番号86、配列番号83、または配列番号85のいずれかと少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、好ましくは約98%、より好ましくは約99%または最も好ましくは約100%の同一性を有するポリペプチドをコードしている核酸配列が含まれる。
【0199】
さらなる一実施形態では、組換え細胞またはその子孫には、プログラムGAPまたはBESTFITなどによって初期設定のギャップ重みづけを使用して最適アラインメントした場合に、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号44、配列番号45、配列番号46、または配列番号47のいずれかと少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、好ましくは約98%、より好ましくは約99%または最も好ましくは約100%の同一性を有する核酸配列が含まれる。組換え細胞は、本発明のポリペプチドの組換え産生において有用な任意の細胞、たとえば原核生物または真核生物に由来し得る。好ましくは、組換え細胞は、約5000を超える、6000、好ましくは約7000、またはより好ましくは約8000個以上のヌクレオチドの異種核酸配列を発現させるために適した任意の細胞に由来する。原核宿主細胞は任意のグラム陰性またはグラム陽性細菌であり得る。例示的な実施形態では、原核宿主細胞は、毒素および/または胞子をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠く。
【0200】
グラム陰性細菌には、それだけには限定されないが、カンピロバクター属(Campylobacter)、大腸菌(E.coli)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、イリオバクター属(Ilyobacter)、ナイセリア属(Neisseria)、シュードモナス属(Pseudomonas)、サルモネラ属(Salmonella)、およびウレアプラズマ属(Ureaokasma)が含まれる。たとえば、本明細書に参照により組み込まれている米国特許出願公開第2010013762号、段落[0201]〜[0230]に記載する、組換え細胞は蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)細胞に由来し得る。
【0201】
グラム陽性細菌には、それだけには限定されないが、バチルス属(Bacillus)、クロストリジウム属(Clostridium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ゲオバチルス属(Geobacillus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、オセアノバチルス属(Oceanobacillus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、およびストレプトマイセス属(Streptomyces)が含まれる。好ましくは、細胞はシー・ディフィシル(C.difficile)細胞に由来する。
【0202】
本発明者らは、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠く野生型シー・ディフィシル(C.difficile)の株を同定した。内在性の毒素AおよびBの遺伝子を欠く株には以下の株が含まれ、これらはAmerican Type Culture Collection(ATCC)(バージニア州、Manassas)から入手可能である:シー・ディフィシル(C.difficile)1351(ATCC 43593(商標))、シー・ディフィシル(C.difficile)3232(ATCC BAA−1801(商標))、シー・ディフィシル(C.difficile)7322(ATCC 43601(商標))、シー・ディフィシル(C.difficile)5036(ATCC 43603(商標))、シー・ディフィシル(C.difficile)4811(ATCC 43602(商標))、およびシー・ディフィシル(C.difficile)VPI11186(ATCC 700057(商標))。
【0203】
したがって、一実施形態では、組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞は本明細書中に記載の株に由来する。好ましくは、組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞またはその子孫は、シー・ディフィシル(C.difficile)1351、シー・ディフィシル(C.difficile)5036、およびシー・ディフィシル(C.difficile)VPI11186からなる群に由来する。より好ましくは、組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞またはその子孫はシー・ディフィシル(C.difficile)VPI11186細胞に由来する。
【0204】
好ましい実施形態では、組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞またはその子孫の胞子形成遺伝子は失活している。胞子は、感染性であり、耐性が高く、宿主外の好気性環境中でシー・ディフィシル(C.difficile)の持続を促進する場合がある。また、胞子は、抗微生物治療中に宿主内でのシー・ディフィシル(C.difficile)の生存にも寄与し得る。したがって、胞子形成遺伝子を欠くシー・ディフィシル(C.difficile)細胞が、哺乳動物に投与するために安全な免疫原性組成物を生成するために有用である。さらに、そのような細胞の使用は、製造中の安全性、たとえば、施設、将来の製品、およびスタッフを保護するための安全性を容易にする。
【0205】
標的失活させる胞子形成遺伝子の例には、とりわけ、spo0A、spoIIE、σ、σ、およびσが含まれる。好ましくは、spo0A遺伝子が失活されている。
【0206】
シー・ディフィシル(C.difficile)胞子形成遺伝子を失活させる方法は当技術分野で知られている。たとえば、胞子形成遺伝子は、抗生物質耐性マーカーなどの選択マーカーを標的挿入することによって失活させ得る。たとえば、Heapら、J Microbiol Methods.2010 Jan;80(1):49〜55、Heapら、J.Microbiol.Methods、2007 Sept;70(3):452〜464、およびUnderwoodら、J Bacteriol.2009 Dec;191(23):7296〜305を参照されたい。また、たとえば、その全体が参照により本明細書に組み込まれているMintonら、WO2007/148091号、題名「DNA Molecules and Methods」、ページ33〜66、または対応する米国公開US 20110124109 A1号、段落[00137]〜[0227]も参照されたい。
【0207】
シー・ディフィシル(C.difficile)細胞の培養に関する組成物
本発明は、シー・ディフィシル(C.difficile)の培養およびシー・ディフィシル(C.difficile)毒素の産生において使用するための組成物および方法にさらに関する。一態様では、本発明は、窒素源およびシー・ディフィシル(C.difficile)細胞を含む培養培地に関する。
【0208】
適切な培養培地窒素源には、HY−SOY(Quest)、AMI−SOY(Quest)、NZ−SOY(Quest)、NZ−SOY BL4(Quest)、NZ−SOY BL7(Quest)、SHEFTONE D(Sheffield)、SE50M(DMV)、SE50(DMV)、SE%)MK(DMV)、SOY PEPTONE(Gibco)、BACTO−SOYTON(Difco)、NUTRISOY 2207(ADM)、BAKES NUTRISOY(ADM)、NUTRISOY FLOUR、ダイズ粉末、BACTO−YEAST EXTRACT(Difco)、YEAST EXTRACT(Gibco)、HY−YEST 412酵母抽出物(Quest)、HY−YEST 441酵母抽出物(Quest)、HY−YEST 444酵母抽出物(Quest)、HY−YEST 455酵母抽出物(Quest)、BACTO−MALT EXTRACT(Difco)、コーンスティープ、およびPROFLO(Traders)が含まれる。
【0209】
一態様では、本発明は、植物加水分解物およびシー・ディフィシル(C.difficile)細胞が含まれる培養培地に関する。任意の植物加水分解物が適切であり得る。適切な植物加水分解物の例は、綿実加水分解物、エンドウマメ加水分解物、およびダイズ加水分解物である。
【0210】
好ましい実施形態では、植物加水分解物はダイズ加水分解物である。好ましくは、ダイズ加水分解物はSE50MK(Friesland−Campaigna)である。本発明において使用し得るダイズ製品およびその供給源の他の例には、Tekniscience:ダイズペプトンA1、ダイズペプトンA2、ダイズペプトンA3、植物ペプトンE1、植物ペプトンET1、およびコムギペプトンE1、Quest:HY−Soy、HY−Soy T、AMI−Soy、NZ−Soy、NZ−Soy BLA、およびNZ−Soy BL7、DMV:SE50M、SE70M、SE50MK、SE50MK−NK(Friesland−Campaigna)、WGE80BT、WGE80M、CNE50M、およびSE70BT、Marcor:ダイズペプトンタイプAB、ダイズペプトンタイプAC、ダイズペプトンタイプSL、ダイズペプトンタイプII、およびダイズペプトンタイプF、Oxoid:植物ペプトンおよび植物ペプトンNo.1、Gibco:ダイズペプトン、ならびにDifco:Bacsoytoneが含まれる。
【0211】
培養培地中の植物加水分解物の濃度は、たとえば、5、10、20、30、40、または50g/Lの最小値から200、150、100、または75g/Lの最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地中の植物加水分解物の濃度は、10〜50g/L、最も好ましくは約30g/Lである。本明細書中に記載の培養培地中の植物加水分解物の濃度は培養培地の全体積に基づき得る。
【0212】
別の態様では、本発明は、酵母抽出物(たとえば窒素源として)およびクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)細胞が含まれる培養培地に関する。最も好ましくは、酵母抽出物はHY YEST412(Kerry Biosciences)である。
【0213】
培養培地中の酵母抽出物の濃度は、たとえば、5、10、20、30、40、または50g/Lの最小値から200、150、100、または75g/Lの最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地中の酵母抽出物の濃度は、10〜50g/L、最も好ましくは約20g/Lである。本明細書中に記載の培養培地中の酵母抽出物の濃度は培養培地の全体積に基づき得る。
【0214】
本発明者らは、シー・ディフィシル(C.difficile)の成長は、植物加水分解物が含まれ酵母抽出物が含まれない培養培地、および酵母抽出物が含まれ植物加水分解物が含まれない培養培地中で支持できることを発見した。しかし、植物加水分解物および酵母抽出物がどちらも含まれる培養培地からもたらされる細胞の培養および/または毒素の産生は、植物加水分解物が含まれ酵母抽出物が存在しない培養培地からもたらされる収率よりも高く、かつ酵母抽出物が含まれ植物加水分解物が存在しない培養培地からもたらされる収率よりも高いことが観察された。
【0215】
したがって、本発明者らは、植物加水分解物および酵母抽出物の組合せが最大限のシー・ディフィシル(C.difficile)の成長および/または毒素の産生の支持を助けることを発見した。一態様では、本発明は、植物加水分解物、酵母抽出物、およびシー・ディフィシル(C.difficile)細胞が含まれる培養培地に関する。植物加水分解物は、上述の当技術分野で知られている任意の適切な植物加水分解物であることができる。好ましくは、加水分解物はダイズ加水分解物である。より好ましくは、ダイズ加水分解物はSE50MK(Friesland−Campaigna)である。好ましい実施形態では、酵母抽出物はHY YEST412である。
【0216】
一実施形態では、培地には炭素源が含まれない。本発明者らは、ダイズ加水分解物/酵母抽出物が含まれ、炭素源が存在しない培養培地は2〜3のOD600値および10〜15mg/Lの毒素産生収率を達成することを観察した。
【0217】
しかし、驚くべきことに、炭素源が含まれる培養培地は、炭素源が存在しない培地と比較して、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞の培養および毒素の産生を増加させることが観察された。さらに、本発明者らは、驚くべきことに、突然変異毒素の産生は、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞を嫌気性条件下で、炭素源を含めて、ダイズ加水分解物が含まれる培地の存在下で培養することによって著しく阻害されないことを発見した。したがって、好ましい実施形態では、培地には炭素源がさらに含まれる。より好ましくは、一実施形態では、培養培地には炭素源が含まれ、培地には組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞がさらに含まれる。さらにより好ましくは、組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞には構成的プロモーターが含まれる。好ましい実施形態では、プロモーターはクロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)フェレドキシン(fdx)プロモーターである。別の好ましい実施形態では、組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞には、たとえばグルコース抑制によって負に調節され得る調節性の染色体プロモーターが含まれない。最も好ましい実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficle)細胞は上述の組換え細胞またはその子孫である。任意の炭素源を培養培地中で使用し得る。適切な炭素源には、グルコース、デキストロース、マンニトール、フルクトース、および/またはマンノースが含まれる。好ましくは、培養培地中の炭素源はグルコースである。好ましい実施形態では、培養培地にはアラビノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、グリセロール、ラムノース、および/またはガラクトースが含まれない。
【0218】
培養培地中の炭素源(たとえば、グルコース、マンニトール、フルクトース、および/またはマンノース)の濃度は、たとえば、1、5、10、15、20、30、40、50、または60g/Lの最小値から150、100、90、80、75、70、50、40、または30g/Lの最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地中の炭素源の濃度は5〜70g/Lである。一実施形態では、培養培地中の炭素源の濃度は約10g/Lである。別の実施形態では、培養培地中の炭素源の濃度は10g/Lより高い。別の実施形態では、培養培地中の炭素源(たとえばグルコース)の濃度は45〜75g/L、好ましくは55〜65g/L、より好ましくは55〜65g/Lである。別の実施形態では、培養培地中の炭素源の濃度は約60g/Lである。本明細書中に記載の培養培地中の炭素源の濃度は培養培地の全体積に基づき得る。
【0219】
一実施形態では、培養培地にはクロラムフェニコール誘導体がさらに含まれる。例示的なクロラムフェニコール誘導体には、チアムフェニコール、フロルフェニコール、コハク酸クロラムフェニコール、およびフロラムフェニコール(fluoramphenicol)のうちの任意の1つが含まれる。好ましくは、培養培地にはチアムフェニコールが含まれる。機構または理論に束縛されずに、クロラムフェニコール誘導体は、クロラムフェニコール誘導体が存在しない培養培地と比較して、発酵中にプラスミド損失を予防することならびに細胞および/または毒素の産生を増加させることを助けると考えられている。
【0220】
培養培地中のクロラムフェニコール誘導体の濃度は、たとえば、5、10、15、20、または30mg/Lの最小値から100、75、50、または40mg/Lの最大値の間の範囲であることができる。別の実施形態では、培養培地中のクロラムフェニコール誘導体の濃度は、たとえば、0.5g/L、1g/L、1.5g/L、2g/L、2.5g/L、3g/L、3.5g/L、4g/L、4.5g/L、または5g/Lの最小値から10g/L、9.5g/L、9g/L、8.5g/L、8g/L、7.5g/L、7g/L、6.5g/L、6g/L、5.5g/L、5g/Lの最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地中のクロラムフェニコール誘導体の濃度は、5〜20mg/L、最も好ましくは約15mg/Lである。別の好ましい実施形態では、培養培地中のクロラムフェニコール誘導体の濃度は、1g/L〜10g/L、好ましくは1g/L〜5g/L、最も好ましくは約3g/Lである。本明細書中に記載の培養培地中のクロラムフェニコール誘導体の濃度は培養培地の全体積に基づき得る。
【0221】
一実施形態では、培養培地には、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールまたはプルロニックポリオールなどの細胞保護剤がさらに含まれる。一実施形態では、培養培地には、ポリエチレングリコール2000(PPG2000)などのポリエチレングリコールが含まれる。
【0222】
培養培地中のポリエチレングリコールなどの細胞保護剤の濃度は、たとえば、0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1ml/Lの最小値から2、1、0.90、0.80、0.70、0.60、0.50、0.40、0.30、0.20ml/Lの最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地中のポリエチレングリコールなどの細胞保護剤の濃度は、0.01ml/L〜0.0.50、最も好ましくは約0.25ml/Lである。本明細書中に記載の培養培地中の細胞保護剤の濃度は培養培地の全体積に基づき得る。
【0223】
好ましい実施形態では、培養培地には植物加水分解物、酵母抽出物、および炭素源が含まれ、植物加水分解物はダイズ加水分解物であり、酵母抽出物はHY YEST 412(Kerry Biosciences)であり、炭素源はグルコース、マンニトール、フルクトース、および/またはマンノースである。最も好ましい実施形態では、培養培地には、ダイズ加水分解物SE50MK、HY YEST412酵母抽出物、グルコース、およびチアムフェニコール、pH7が含まれる。
【0224】
好ましい一実施形態では、培養培地には、30g/Lのダイズ加水分解物SE50MK、20g/LのHY YEST412酵母抽出物、10g/Lのグルコース、および15mg/Lのチアムフェニコール、pH7が含まれる。好ましい一実施形態では、培養培地には、約30g/Lのダイズ加水分解物SE50MK、約20g/LのHY YEST412酵母抽出物、約10g/Lのグルコース、および約15mg/Lのチアムフェニコール、pH7が含まれる。培養培地には、約0.25ml/LのPPG2000がさらに含まれ得る。別の実施形態では、培養培地にはデキストロースがさらに含まれ得る。
【0225】
別の好ましい実施形態では、培養培地には、30g/Lのダイズ加水分解物SE50MK、20g/LのHY YEST412酵母抽出物、60g/Lのグルコース、および15mg/Lのチアムフェニコール、pH7が含まれる。別の好ましい実施形態では、培養培地には、約30g/Lのダイズ加水分解物SE50MK、約20g/LのHY YEST412酵母抽出物、約60g/Lのグルコース、および約15mg/Lのチアムフェニコール、pH7が含まれる。培養培地には、約0.25ml/LのPPG2000がさらに含まれ得る。別の実施形態では、培養培地にはデキストロースがさらに含まれ得る。
【0226】
一実施形態では、培養培地にはポリプロピレングリコール2000(PPG2000)がさらに含まれる。培養培地には、約0.05mLのPPG2000〜約1mlのPPG2000/Lの培地が含まれていてよく、好ましくは、培養培地には、約0.25ml/LのPPG2000/Lの培地が含まれる。
【0227】
本明細書中に記載の培養培地は、任意のシー・ディフィシル(C.difficile)細胞の培養に適切であり得る。一実施形態では、細胞は遺伝子改変されていない。別の実施形態では、細胞は、上述の組換え細胞またはその子孫(progreny)などのように、遺伝子改変されている。一実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞は、毒素をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠く。好ましい実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞はVPI11186に由来する。
【0228】
別の実施形態では、細胞には構成的プロモーターが含まれる。好ましい実施形態では、プロモーターはクロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)フェレドキシン(fdx)プロモーターである。別の好ましい実施形態では、細胞には、たとえばグルコース抑制によって負に調節され得る調節性の染色体プロモーターが含まれない。最も好ましい実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞は上述の組換え細胞またはその子孫である。
【0229】
また、本発明者らは、モノクローナル抗体培地がシー・ディフィシル(C.difficile)の成長を支持することも発見した。したがって、一態様では、本発明は、モノクローナル抗体培地が含まれる培養培地に関する。一実施形態では、培地はSFM4MAb(商標)培地(Thermo Scientific)である。培地は約10のOD600値を与えることを示し、毒素産生収率は約40mg/Lであった。
【0230】
一実施形態では、培養培地のpHは、たとえば、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、または7.0の最小値から8.0、7.9、7.8、7.7、7.6、7.5、7.4、7.3、7.2、または7.1の最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地のpHは6.0〜8.0、より好ましくは6.5〜7.5である。最も好ましくは、pHは7.0である。
【0231】
適切なpH滴定剤は当技術分野で知られており、たとえば、NHOH、NaCO、およびNaOHが含まれる。好ましくは、pH滴定剤はNaOHである。
【0232】
培養培地には、NaHPO、KHPOなどのリン酸含有成分が含まれ得る。しかし、好ましい実施形態では、培養培地にはリン酸含有成分が含まれない。
【0233】
シー・ディフィシル(C.difficile)細胞の培養に関する方法
別の態様では、本発明は、シー・ディフィシル(C.difficile)を培養する方法に関する。この方法には、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞を上述の培地中で培養することが含まれる。
【0234】
一実施形態では、本発明の方法によるシー・ディフィシル(C.difficile)の成長は、少なくとも2つの段階、すなわち種の成長および発酵で進行する。種培養は、保存培養、たとえば作業細胞バンクからの接種によって最初に成長させる。種は、第2の種培養に接種するためまたは比較的大きな発酵培養に接種するためのどちらかに使用する。当技術分野で理解されているように、使用する種培養の数は、たとえば発酵ステップの大きさおよび体積に依存し得る。
【0235】
したがって、一態様では、本発明は、シー・ディフィシル(C.difficile)を培養する方法に関する。この方法には、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞を第1の培養培地中、細胞の成長を容易にする条件下で培養することと、前記第1の培養の後に、第2の培養培地に前記第1の培地のすべてまたは一部分を接種することと、前記接種した第2の培地を、細胞の成長を容易にする条件下で培養することとが含まれる。方法には、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を前記第2の培地から単離することがさらに含まれ得る。一実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)を、種培養と呼ばれる第1の培養培地中で成長させる。一実施形態では、種培養には、上述の培養培地と培地中で成長させた保存培養からの接種とが含まれる。
【0236】
種増殖期(または段階)は、一般に、発酵段階の接種材料として使用できるように微生物の量を保存培養からスケールアップさせるために実施する。また、種増殖期は、保存培養中の比較的休眠状態の微生物を活性化させ、活発に成長する培養物とすることを可能にするためにも実施することができる。
【0237】
発酵培養に接種するために使用する生細胞の体積および量は、保存培養から採取した場合よりも活発に成長する培養物(たとえば種培養)から採取した場合に、より正確に制御することができる。
【0238】
さらに、複数(たとえば2つまたは3つ)の種増殖期を使用して、発酵培地に接種するためのシー・ディフィシル(C.difficile)の量をスケールアップすることができる。あるいは、所望する場合は、発酵段階中のシー・ディフィシル(C.difficile)の成長は、保存培養から直接接種によって直接進行させることができる。
【0239】
第1の培養培地には、上述の培養培地が含まれる。たとえば、一実施形態では、第1の培養培地には、植物加水分解物およびシー・ディフィシル(C.difficile)細胞が含まれる。好ましくは、植物加水分解物はダイズ加水分解物、最も好ましくはダイズ加水分解物SE50MKである。別の実施形態では、第1の培養培地には、酵母抽出物およびシー・ディフィシル(C.difficile)細胞が含まれる。好ましくは、酵母抽出物はHY YEST412である。さらなる実施形態では、第1の培養培地には、植物加水分解物および酵母抽出物が含まれる。さらなる一実施形態では、第1の培養培地には、炭素源がさらに含まれる。好ましくは、炭素源はグルコースである。一実施形態では、培養培地には、炭素源が含まれる場合は組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞が含まれ、組換え細胞には構成的プロモーターが含まれる。別の実施形態では、第1の培養培地には、クロラムフェニコール誘導体がさらに含まれる。好ましくは、培養培地にはチアムフェニコールが含まれる。
【0240】
第1の培養培地(たとえば種培養培地)中の植物加水分解物の濃度は、たとえば、5、10、20、30、40、または50g/Lの最小値から200、150、100、または75g/Lの最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地中の植物加水分解物の濃度は10〜50g/L、最も好ましくは約30g/Lである。本明細書中に記載の培養培地中の植物加水分解物の濃度は培養培地の全体積に基づき得る。
【0241】
第1の培養培地(たとえば種培養培地)中の酵母抽出物の濃度は、たとえば、5、10、20、30、40、または50g/Lの最小値から200、150、100、または75g/Lの最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地中の酵母抽出物の濃度は10〜50g/L、最も好ましくは約20g/Lである。本明細書中に記載の培養培地中の酵母抽出物の濃度は培養培地の全体積に基づき得る。
【0242】
第1の培養培地(たとえば種培養培地)中の炭素源の濃度は、たとえば、1、5、10、15、または20g/Lの最小値から100、75、50、40、または30g/Lの最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地中の炭素源の濃度は5〜20g/L、最も好ましくは約10g/Lである。
【0243】
一実施形態では、培養培地には、チアムフェニコール、フロルフェニコール、コハク酸クロラムフェニコール、およびフロラムフェニコールからなる群から選択されるクロラムフェニコール誘導体がさらに含まれる。好ましくは、培養培地にはチアムフェニコールが含まれる。第1の培養培地(たとえば種培養培地)中のクロラムフェニコール誘導体の濃度は、たとえば、5、10、15、20、または30mg/Lの最小値から100、75、50、または40mg/Lの最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地中のクロラムフェニコール誘導体の濃度は5〜20mg/L、最も好ましくは約15mg/Lである。
【0244】
一実施形態では、第1の培養培地のpHは、たとえば、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、または7.0の最小値から8.0、7.9、7.8、7.7、7.6、7.5、7.4、7.3、7.2、または7.1の最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、第1の培養培地のpHは6.0〜8.0、より好ましくは6.5〜7.5である。最も好ましくは、pHは7.0である。
【0245】
好ましい実施形態では、第1の培養培地には、ダイズ加水分解物、酵母抽出物HY YEST412、グルコース、チアムフェニコール、pH7が含まれる。より好ましくは、培養培地には、30g/Lのダイズ加水分解物SE50MK、20g/Lの酵母抽出物HY YEST412、10g/Lのグルコース、15mg/Lのチアムフェニコール、pH7が含まれる。
【0246】
発酵段階を開始させるために、シー・ディフィシル(C.difficile)を含有する種培養の一部または全部を使用して発酵培養培地に接種し得る。発酵培地に接種するために使用する種培養の適切な濃度は当業者によって決定することができ、たとえば0.1〜10%の範囲であることができる。具体的な例として、0.5、1、5、5.5、6、6.25、6.5、7、8、9、10%の濃度を使用することができる。
【0247】
発酵を使用して、大スケールの嫌気性環境下で最大量の細胞を産生させ得る。一実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)を発酵培養として成長させる。一実施形態では、発酵培養は培地中で成長させた種培養から接種した。
【0248】
第2の培養培地には、上述の培養培地が含まれる。たとえば、一実施形態では、第2の培養培地には、植物加水分解物およびシー・ディフィシル(C.difficile)細胞が含まれる。好ましくは、植物加水分解物はダイズ加水分解物、最も好ましくはダイズ加水分解物SE50MKである。別の実施形態では、第2の培養培地には、酵母抽出物およびシー・ディフィシル(C.difficile)細胞が含まれる。好ましくは、酵母抽出物はHY YEST412である。さらなる実施形態では、第2の培養培地には、植物加水分解物および酵母抽出物が含まれる。さらなる一実施形態では、第2の培養培地には、炭素源がさらに含まれる。好ましくは、炭素源はグルコースである。一実施形態では、培養培地には、炭素源が含まれる場合は組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞が含まれ、組換え細胞には構成的プロモーターが含まれる。別の実施形態では、第2の培養培地には、クロラムフェニコール誘導体がさらに含まれる。好ましくは、培養培地にはチアムフェニコールが含まれる。
【0249】
第2の培養培地中の植物加水分解物の濃度は、たとえば、5、10、20、30、40、または50g/Lの最小値から200、150、100、または75g/Lの最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地中の植物加水分解物の濃度は、10〜50g/L、最も好ましくは約30g/Lである。本明細書中に記載の培養培地中の植物加水分解物の濃度は培養培地の全体積に基づき得る。
【0250】
第2の培養培地中の酵母抽出物の濃度は、たとえば、5、10、20、30、40、または50g/Lの最小値から200、150、100、または75g/Lの最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地中の酵母抽出物の濃度は、10〜50g/L、最も好ましくは約20g/Lである。
【0251】
第2の培養培地中の炭素源の濃度は、たとえば、10、20、30、40、50、または60g/Lの最小値から150、100、90、80、または70g/Lの最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地中の炭素源の濃度は、50〜70g/L、最も好ましくは約60g/Lである。一実施形態では、第2の培養培地中の炭素源の濃度は、第1の培養培地中の炭素源の濃度よりも高い。本明細書中に記載の培養培地中の炭素源の濃度は培養培地の全体積に基づき得る。
【0252】
一実施形態では、培養培地には、チアムフェニコール、フロルフェニコール、コハク酸クロラムフェニコール、およびフロラムフェニコールからなる群から選択されるクロラムフェニコール誘導体がさらに含まれる。好ましくは、培養培地にはチアムフェニコールが含まれる。第2の培養培地中のクロラムフェニコール誘導体の濃度は、たとえば、5、10、15、20、または30mg/Lの最小値から100、75、50、または40mg/Lの最大値の間の範囲であることができる。別の実施形態では、培養培地中のクロラムフェニコール誘導体の濃度は、たとえば、0.5g/L、1g/L、1.5g/L、2g/L、2.5g/L、3g/L、3.5g/L、4g/L、4.5g/L、または5g/Lの最小値から10g/L、9.5g/L、9g/L、8.5g/L、8g/L、7.5g/L、7g/L、6.5g/L、6g/L、5.5g/L、5g/Lの最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地中のクロラムフェニコール誘導体の濃度は、5〜20mg/L、最も好ましくは約15mg/Lである。別の好ましい実施形態では、培養培地中のクロラムフェニコール誘導体の濃度は、1g/L〜10g/L、好ましくは1g/L〜5g/L、最も好ましくは約3g/Lである。本明細書中に記載の培養培地中のクロラムフェニコール誘導体の濃度は培養培地の全体積に基づき得る。
【0253】
一実施形態では、培養培地には、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールまたはプルロニックポリオールなどの細胞保護剤がさらに含まれる。一実施形態では、培養培地には、ポリエチレングリコール2000(PPG2000)などのポリエチレングリコールが含まれる。
【0254】
培養培地中のポリエチレングリコールなどの細胞保護剤の濃度は、たとえば、0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1ml/Lの最小値から2、1、0.90、0.80、0.70、0.60、0.50、0.40、0.30、0.20ml/Lの最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、培養培地中のポリエチレングリコールなどの細胞保護剤の濃度は、0.01ml/L〜0.0.50、最も好ましくは約0.25ml/Lである。本明細書中に記載の培養培地中の細胞保護剤の濃度は培養培地の全体積に基づき得る。
【0255】
一実施形態では、第2の培養培地のpHは、たとえば、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、または7.0の最小値から8.0、7.9、7.8、7.7、7.6、7.5、7.4、7.3、7.2、または7.1の最大値の間の範囲であることができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、第2の培養培地のpHは6.0〜8.0、より好ましくは6.5〜7.5である。最も好ましくは、pHは7.0である。
【0256】
好ましい実施形態では、第2の培養培地には、ダイズ加水分解物、酵母抽出物HY YEST412、グルコース、チアムフェニコール、pH7が含まれる。より好ましくは、培養培地には、30g/Lのダイズ加水分解物、20g/Lの酵母抽出物HY YEST412、60g/Lのグルコース、15mg/Lのチアムフェニコール、pH7が含まれる。
【0257】
一実施形態では、培養を嫌気性条件下で実施する。一実施形態では、本発明の方法の培養ステップ(種および発酵の両方)を嫌気性条件下で実施するが、これらの段階はいずれも好気性条件を使用してもよい。
【0258】
シー・ディフィシル(C.difficile)などの細菌の嫌気性培養の手法は当技術分野で知られており、たとえば、窒素ガスまたは窒素と水素ガスとの混合物を用いることができる。ガスは、発酵中に泡として培地に通す(たとえばスパージング)か、または培養チャンバ内の液体の上部の領域(たとえばチャンバのヘッドスペース)を通し得る。
【0259】
シー・ディフィシル(C.difficile)細胞の培養は、嫌気性チャンバ内で、約30±1℃、31±1℃、32±1℃、33±1℃、34±1℃、35±1℃、36±1℃、37±1℃、38±1℃、または39±1℃、好ましくは約37±1℃で実施することができる。培養は、たとえば、1、2、3、4、7、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24時間の最小値から9日間、8日間、7日間、6日間、5日間、4日間、3日間、48時間、もしくは36時間、または24時間の間の最大値の範囲の時間で実施することができる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。好ましい実施形態では、細胞の培養は11〜48時間、最も好ましくは約24時間起こる。別の実施形態では、細胞の培養は5〜25時間、10〜20時間、好ましくは約15時間起こる。成長は培地の光学密度(O.D.)を測定することによって監視することができる。
【0260】
一実施形態では、この方法には、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を前記培地から単離することがさらに含まれる。シー・ディフィシル(C.difficile)毒素は、既知のタンパク質精製方法を使用して培養物から単離および/または精製することができる。その後、精製毒素をたとえば化学的失活処理によって失活させることができる。
【0261】
代替の一態様では、本発明は、シー・ディフィシル(C.difficile)を培養する方法に関する。この方法には、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞をモノクローナル抗体培地中で培養することが含まれる。
【0262】
別の態様では、本発明は、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を産生させる方法に関する。この方法には、シー・ディフィシル(C.difficile)細菌を上述の培地中、毒素の産生を可能にする条件下で培養することが含まれる。この方法には、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を培地から単離することがさらに含まれる。
【0263】
一実施形態では、この方法には、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞を第1の培地中、シー・ディフィシル(C.difficile)の成長を容易にする条件下で培養することと、前記培養の後に、第2の培地に、前記第1の培地のすべてまたは一部分を接種することと、前記接種した第2の培地を、シー・ディフィシル(C.difficile)の成長および毒素産生を容易にする条件下で培養することと、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を前記第2の培地から単離することとが含まれる。一実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)が含まれる第1または第2の培地の培養は、嫌気性条件下で実施する。
【0264】
一実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞を連続培養系中で培養する。別の実施形態では、本発明は、シー・ディフィシル(C.difficile)を灌流培養中で培養する方法に関する。驚くべきことに、本発明者らは、突然変異毒素を発現する組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞の培養は嫌気性連続培養中および嫌気性灌流培養中で成功し得ることを発見した。連続系および/または灌流系の一利点は、新鮮な培地を連続的に加え得ることである。さらに、系内の細胞生存度を維持しながら、産生からの毒素副産物を産生から除去し得る。
【0265】
連続培養系には、消費された培地および細胞をバイオリアクターから除去すると同時に新鮮な培地を細胞に提供することが含まれ得る。連続培養には灌流培養が含まれていてよく、流出液体は、細胞を実質的に含まないまたはバイオリアクターよりも実質的に低い細胞濃度が含まれる培養培地を含有する。灌流培養では、細胞は、たとえば、濾過、超音波濾過、遠心分離、または沈降によって保持することができる。
【0266】
一実施形態では、消費された培地を除去および濾過し、これは細胞がバイオリアクターから除去されることを防止する。フィルターは直交流フィルターおよび/または接線流フィルターであり得る。一実施形態では、前記濾過系は中空繊維フィルターを含む。別の実施形態では、遠心分離ステップによって、細胞がバイオリアクターから除去されることを防止する。別の実施形態では、超音波濾過ステップによって、細胞がバイオリアクターから除去されることを防止する。別の実施形態では、沈降系によって、細胞がバイオリアクターから除去されることを防止する。別の実施形態では、前記濾過系は平板カセットを含む。
【0267】
さらに別の実施形態では、灌流系は、細胞を保持するが所望の産物は保持しない中空繊維フィルターを含む。細胞は再循環してバイオリアクター内に戻され、所望の産物を含有する消費された培地を所望の分子量カットオフのフィルターに通す。フィルターは所望の産物を保持する。フィルターによって保持されない廃棄物は廃棄または再循環させることができる。
【0268】
突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を産生させる方法
一態様では、本発明は、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を産生させる方法に関する。一実施形態では、方法には、上述の任意の組換え細胞またはその子孫を、ポリペプチドを発現させるのに適切な条件下で培養することが含まれる。この方法には、毒素を培地から単離するステップがさらに含まれる。
【0269】
別の実施形態では、方法には、組換え細胞またはその子孫を、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしているポリヌクレオチドを発現させるのに適切な条件下で培養することが含まれ、細胞には突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしているポリヌクレオチドが含まれ、突然変異体には、対応する野生型クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)毒素と比較して少なくとも1つの突然変異を有するグルコシルトランスフェラーゼドメインおよび少なくとも1つの突然変異を有するシステインプロテアーゼドメインが含まれる。一実施形態では、細胞は毒素をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠く。
【0270】
さらなる実施形態では、方法には、組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞またはその子孫を、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしているポリヌクレオチドを発現させるのに適切な条件下で培養することが含まれ、細胞には突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしているポリヌクレオチドが含まれ、細胞はシー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠く。
【0271】
別の態様では、本発明は、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を産生させる方法に関する。方法には、(a)シー・ディフィシル(C.difficile)細胞を組換え大腸菌(Escherichia coli)細胞と接触させるステップであって、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞がシー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠き、大腸菌(E.coli)細胞には突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしているポリヌクレオチドが含まれるステップと、(b)シー・ディフィシル(C.difficile)細胞および大腸菌(E.coli)細胞を、大腸菌(E.coli)細胞からシー・ディフィシル(C.difficile)細胞にポリヌクレオチドを導入するのに適切な条件下で培養するステップと、(c)突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしているポリヌクレオチドを含むシー・ディフィシル(C.difficile)細胞を選択するステップと、(d)ステップ(c)のシー・ディフィシル(C.difficile)細胞を、ポリヌクレオチドを発現させるのに適切な条件下で培養するステップと、(e)突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を単離するステップとが含まれる。
【0272】
本発明の方法では、組換え大腸菌(E.coli)細胞には、本明細書中に記載の突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしている異種ポリヌクレオチドが含まれる。ポリヌクレオチドはDNAまたはRNAであり得る。例示的な一実施形態では、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしているポリヌクレオチドは大腸菌(E.coli)のコドン使用頻度にコドン最適化されている。ポリヌクレオチドのコドン最適化を行う方法は当技術分野で知られている。
【0273】
一実施形態では、ポリヌクレオチドには、上述の突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAをコードしているポリヌクレオチドと少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である核酸配列が含まれる。一実施形態では、ポリヌクレオチドには、配列番号1〜配列番号761から選択される任意の1つの配列を有するポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドと少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である核酸配列が含まれる。突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aをコードしている例示的なポリヌクレオチドには、配列番号11、配列番号12、配列番号44、および配列番号45が含まれる。
【0274】
別の実施形態では、ポリヌクレオチドには、上述の突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBをコードしているポリヌクレオチドと少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である核酸配列が含まれる。突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bをコードしている例示的なポリヌクレオチドには、配列番号13、配列番号14、配列番号46、および配列番号47が含まれる。別の実施形態では、ポリヌクレオチドは配列番号83、配列番号84、配列番号85、または配列番号86をコードしている。
【0275】
一実施形態では、異種ポリヌクレオチドが含まれる大腸菌(E.coli)細胞は、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしている異種ポリヌクレオチドの安定的な宿主となる大腸菌(E.coli)細胞である。例示的な大腸菌(E.coli)細胞には、MAX Efficiency(登録商標)Stbl2(商標)大腸菌(E.coli)コンピテント細胞(Invitrogen、カリフォルニア州、Carlsbad)、One Shot(登録商標)Stbl3(商標)化学的コンピテント大腸菌(E.coli)(Invitrogen、カリフォルニア州、Carlsbad)、ElectroMAX(商標)Stbl4(商標)大腸菌(E.coli)コンピテント細胞(Invitrogen)、および大腸菌(E.coli)CA434 からなる群から選択される細胞が含まれる。好ましい実施形態では、大腸菌(E.coli)クローニング宿主細胞はDH5αではない。より好ましくは、大腸菌(E.coli)クローニング宿主細胞はMAX Efficiency(登録商標)Stbl2(商標)大腸菌(E.coli)コンピテント細胞である。
【0276】
本発明の方法には、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞および大腸菌(E.coli)細胞を、大腸菌(E.coli)細胞からシー・ディフィシル(C.difficile)細胞にポリヌクレオチドを導入するのに適切な条件下で培養して、組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞をもたらすステップがさらに含まれる。好ましい実施形態では、培養条件は、大腸菌(E.coli)細胞(ドナー細胞)からシー・ディフィシル(C.difficile)細胞(レシピエント細胞)内にポリヌクレオチドを導入するのに適切であり、遺伝的に安定した遺伝をもたらす。
【0277】
最も好ましくは、培養条件は当技術分野で知られている細菌接合に適切である。「接合」とは、ポリヌクレオチドの一方向的な導入(たとえば細菌プラスミドからのもの)が1つの細菌細胞(すなわち「ドナー」)から別の細菌細胞(すなわち「レシピエント」)へと起こる、ポリヌクレオチドを導入する特定のプロセスをいう。接合プロセスは、ドナー細胞からレシピエント細胞への接触を含む。好ましくは、ドナー大腸菌(E.coli)細胞は大腸菌(E.coli)CA434細胞である。
【0278】
大腸菌(E.coli)細胞からシー・ディフィシル(C.difficile)細胞にポリヌクレオチドを導入するのに適切な例示的な(接合)条件には、シー・ディフィシル(C.difficile)の液体培養を脳心臓浸出物ブロス(BHI、Oxoid)またはSchaedlers嫌気性ブロス(SAB、Oxoid)中で成長させることが含まれる。別の実施形態では、固体シー・ディフィシル(C.difficile)培養を新鮮な血液寒天(FBA)またはBHI寒天上で成長させ得る。好ましくは、シー・ディフィシル(C.difficile)を37℃で、嫌気性環境(たとえば、80%のN、10%のCO、および10%のH[体積/体積])中で成長させる。一実施形態では、適切な条件には、大腸菌(E.coli)を好気的にLuria−Bertani(LB)ブロス中またはLB寒天上で、37℃で成長させることが含まれる。シー・ディフィシル(C.difficile)への接合伝達では、例示的な適切な条件には、大腸菌(E.coli)を嫌気的にFBA上で成長させることが含まれる。当技術分野で知られているように抗生物質を液体および固体培地中に含め得る。そのような抗生物質の例には、シクロセリン(250μg/ml)、セフォキシチン(8μg/ml)、クロラムフェニコール(12.5μg/ml)、チアムフェニコール(15μg/ml)、およびエリスロマイシン(5μg/ml)が含まれる。
【0279】
本発明の方法には、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしているポリヌクレオチドが含まれる、生じる組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞を選択するステップがさらに含まれる。例示的な一実施形態では、組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞は、接合を介した、組換え大腸菌(E.coli)細胞からの突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしているポリヌクレオチドのレシピエントである。
【0280】
本発明の方法には、組換え細胞またはその子孫を、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしているポリヌクレオチドを発現させるのに適切な条件下で培養して、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素の産生をもたらすステップが含まれる。組換え細胞がポリヌクレオチドを発現するのに適切な条件には、当技術分野で知られている、シー・ディフィシル(C.difficile)細胞を成長させるのに適切な培養条件が含まれる。たとえば、適切な条件には、シー・ディフィシル(C.difficile)形質転換体を脳心臓浸出物ブロス(BHI、Oxoid)またはSchaedlers嫌気性ブロス(SAB、Oxoid)中で培養することが含まれ得る。別の実施形態では、固体シー・ディフィシル(C.difficile)培養をFBAまたはBHI寒天上で成長させ得る。好ましくは、シー・ディフィシル(C.difficile)を37℃、嫌気性環境(たとえば、80%のN、10%のCO、および10%のH[体積/体積])で成長させる。
【0281】
一実施形態では、本発明の方法には、生じる突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を単離するステップが含まれる。タンパク質をシー・ディフィシル(C.difficile)から単離する方法は当技術分野で知られている。
【0282】
別の実施形態では、方法には、生じる突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素を精製するステップが含まれる。クロマトグラフィーなどのポリペプチドを精製する方法は当技術分野で知られている。
【0283】
例示的な一実施形態では、この方法には、単離した突然変異クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)毒素を上述の化学的架橋剤と接触させるステップがさらに含まれる。好ましくは、薬剤には、ホルムアルデヒド、エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、またはEDCとNHSとの組合せが含まれる。例示的な反応条件は上記および以下の実施例セクション中に記載されている。
【0284】
別の態様では、本発明は、任意の方法、好ましくは上述の方法のいずれかによって産生させた、本明細書中に記載の突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素が含まれる免疫原性組成物に関する。
【0285】
抗体
驚くべきことに、上述の本発明の免疫原性組成物はin vivoで新規抗体を誘発し、これは、免疫原性組成物にはそれぞれの野生型シー・ディフィシル(C.difficile)毒素の保存されているネイティブ構造(たとえば保存されている抗原エピトープ)が含まれ、免疫原性組成物にはエピトープが含まれることを示唆している。シー・ディフィシル(C.difficile)の1つの株からの毒素に対して産生させた抗体は、シー・ディフィシル(C.difficile)の別の株によって産生された対応する毒素と結合することができ得る。すなわち、抗体およびその結合断片は、複数のシー・ディフィシル(C.difficile)株から産生された毒素上の類似した抗原部位と反応する能力をいう、「交差反応性」であり得る。また、交差反応性には、その産生を刺激しなかった抗原と反応または結合する抗体の能力、すなわち、異なるが類似する抗原に対して生じた、抗原と抗体との間の反応も含まれる。
【0286】
一態様では、本発明者らは、驚くべきことに、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素に対して中和効果を有するモノクローナル抗体、およびそれを産生させる方法を発見した。本発明の抗体は、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素の細胞毒性をin vitroで中和することができ、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素と哺乳動物細胞との結合を阻害し、かつ/またはシー・ディフィシル(C.difficile)毒素の腸内毒性をin vivoで中和することができる。また、本発明は、前述のいずれかをコードしている核酸配列が含まれる単離ポリヌクレオチドにも関する。さらに、本発明は、組成物を投与しない哺乳動物と比較して、哺乳動物においてシー・ディフィシル(C.difficile)感染症、シー・ディフィシル(C.difficile)関連疾患、その症候群、状態、症状、および/または合併症を処置する、予防する、その危険性を減少させる、その重症度を減少させる、その発生率を減少させる、および/またはその始まりを遅延させるための、前述の組成物のいずれかの使用、ならびに前記組成物を調製する方法に関する。
【0287】
本発明者らは、中和モノクローナル抗体のうちの少なくとも2つの組合せが、TcdAまたはTcdBのそれぞれの中和において予想外に相乗的な効果を示すことができることをさらに発見した。抗毒素抗体またはその結合断片はシー・ディフィシル(C.difficile)感染症の阻害において有用な場合がある。
【0288】
「抗体」とは、少なくとも1本または2本の重(H)鎖可変領域(本明細書中でVHと略記)、および少なくとも1本または2本の軽(L)鎖可変領域(本明細書中でVLと略記)が含まれるタンパク質である。VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域」(FR)と呼ばれるより保存的な領域が散在する、「相補性決定領域」(「CDR」)と呼ばれる超可変性の領域へとさらに細区分することができる。フレームワーク領域およびCDRの範囲は正確に定義されている(Kabat,E.A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、米国保健社会福祉省、NIH出版第91−3242、1991およびChothia,C.ら、J.Mol.Biol.196:901〜917、1987を参照)。用語「抗体」には、IgA、IgG、IgE、IgD、IgM型(およびその亜型)のインタクトな免疫グロブリンが含まれ、免疫グロブリンの軽鎖はカッパまたはラムダ型のものであり得る。
【0289】
抗体分子は完全長であることができる(たとえばIgG1またはIgG4抗体)。抗体は、IgG(たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgM、IgA1、IgA2、IgD、またはIgEを含めて、様々なアイソタイプのものであることができる。好ましい一実施形態では、抗体はIgGアイソタイプ、たとえばIgG1である。別の好ましい実施形態では、抗体はIgE抗体である。
【0290】
別の実施形態では、抗体分子には、本明細書中で使用する「抗原結合断片」または「結合断片」が含まれ、これはシー・ディフィシル(C.difficile)の毒素(たとえば毒素A)と特異的に結合する抗体の一部分をいう。結合断片は、たとえば、1つまたは複数の免疫グロブリン鎖が完全長でないが、毒素と特異的に結合する分子である。
【0291】
用語、抗体の「結合断片」内に包含される結合部分の例には、(i)Fab断片、すなわち、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片、(ii)F(ab’)断片、すなわち、ヒンジ領域でジスルフィド橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片、(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)1つのVHドメインからなるdAb断片(Wardら、Nature、341:544〜546、1989)、ならびに(vi)たとえば可変領域の抗原結合部分と特異的に結合するために十分なフレームワークを有する、単離した相補性決定領域(CDR)が含まれる。
【0292】
軽鎖可変領域の結合断片および重鎖可変領域の結合断片、たとえばFv断片の2つのドメインであるVLおよびVHは、組換え方法を使用して、VLおよびVH領域が対合して一価分子を形成する単一のタンパク質鎖(単鎖Fv(scFv)として知られ、たとえば、Birdら、(1988)、Science、242:423〜426およびHustonら、(1988)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:5879〜5883を参照されたい)として作製されることを可能にする合成リンカーによって、結合することができる。そのような単鎖抗体もまた、用語、抗体の「結合断片」内に包含される。これらの抗体部分は当技術分野で知られている技法を使用して得られ、これらの部分をインタクトな抗体と同じ様式で有用性についてスクリーニングする。
【0293】
本明細書中で使用する、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープと「特異的に結合する」またはそれに「特異的」な抗体とは、任意の他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープと実質的に結合せずにその特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープと結合する抗体である。たとえば、標的と「特異的に結合する」生体分子(たとえば、タンパク質、核酸、抗体など)に言及する場合、生体分子は、指定した条件(たとえば、抗体の場合は免疫アッセイ条件)下で測定した場合に、その標的分子と結合し、標的が含まれる分子の異種集団中の他の分子とは有意な量で結合しない。抗体とその標的との間の結合反応は、分子の異種集団中の標的の存在の決定因である。たとえば、「特異的結合」または「特異的に結合する」とは、抗体またはその結合断片の、非特異的な抗原に対するその親和性よりも少なくとも2倍高い親和性でシー・ディフィシル(C.difficile)の野生型および/または突然変異毒素と結合する能力をいう。
【0294】
例示的な一実施形態では、抗体はキメラ抗体である。キメラ抗体は当技術分野で知られている組換えDNA技法によって産生することができる。たとえば、マウス(または他の種)のモノクローナル抗体分子のFc定常領域をコードしている遺伝子を制限酵素で消化してマウスFcをコードしている領域を除去し、ヒトFc定常領域をコードしている遺伝子の同等部分を置換することができる。また、キメラ抗体は、マウス可変領域をコードしているDNAを、ヒト定常領域をコードしているDNAとライゲーションさせることができる組換えDNA技法によっても作製することができる。
【0295】
別の例示的な実施形態では、抗体またはその結合断片は、当技術分野で知られている方法によってヒト化する。たとえば、マウス抗体を得た後、抗体のCDRをヒトCDRの少なくとも一部分で置き換え得る。また、ヒト化抗体は、抗原結合に直接関与していないマウスFv可変領域の配列をヒトFv可変領域からの同等配列で置き換えることによっても作製することができる。ヒト化抗体を作製するための一般方法は当技術分野で知られている。
【0296】
また、たとえば、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAまたはシー・ディフィシル(C.difficile)TcdBに向けられたモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技法(たとえばKohlerおよびMilstein、1975、Nature、256:495〜497を参照)などの標準の技法によっても産生させることができる。手短に述べると、不死化細胞系をシー・ディフィシル(C.difficile)TcdA、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB、または本明細書中に記載の突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素で免疫化した哺乳動物からのリンパ球と融合させ、生じるハイブリドーマ細胞の培養上清をスクリーニングして、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAまたはシー・ディフィシル(C.difficile)TcdBと結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定する。典型的には、不死化細胞系はリンパ球と同じ哺乳動物種に由来する。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、ELISAなどのアッセイを使用して、ハイブリドーマ培養上清をシー・ディフィシル(C.difficile)TcdAまたはシー・ディフィシル(C.difficile)TcdBと結合する抗体についてスクリーニングすることによって検出する。ヒトハイブリドーマを同様の方法で調製することができる。
【0297】
また、免疫化および選択によって抗体を産生させる代替方法として、本発明の抗体は、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリをシー・ディフィシル(C.difficile)TcdA、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB、または本明細書中に記載の突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素でスクリーニングすることによっても同定し得る。組換え抗体ライブラリは、たとえばscFvライブラリまたはFabライブラリであり得る。さらに、本明細書中に記載の本発明の抗体は、追加の抗TcdAまたは抗TcdB抗体およびその結合断片を同定するための競合的結合研究において使用し得る。たとえば、追加の抗TcdAまたは抗TcdB抗体およびその結合断片は、ヒト抗体ライブラリをスクリーニングし、競合的結合アッセイにおいて本明細書中に記載の本発明の抗体と競合する、ライブラリ内の分子を同定することによって同定し得る。
【0298】
さらに、本発明によって包含される抗体には、当技術分野で知られているファージディスプレイ方法を使用して作製し得る組換え抗体が含まれる。ファージディスプレイ方法では、ファージを使用して、レパートリーまたは抗体ライブラリ(たとえば、ヒトまたはマウス)から発現される抗原結合ドメインを表示させることができる。本明細書中に記載の免疫原(たとえば突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素)と結合する抗原結合ドメインを発現するファージを、抗原、たとえば標識した抗原を使用して選択または同定することができる。
【0299】
また、特定のアミノ酸が置換、欠失、または付加された抗体およびその結合断片も本発明の範囲内にある。具体的には、好ましい抗体は、抗原との結合を改善させるなどのために、フレームワーク領域中にアミノ酸置換を有する。たとえば、免疫グロブリン鎖の選択された少数のアクセプターフレームワーク残基を対応するドナーアミノ酸によって置き換えることができる。置換の好ましい位置には、CDRに隣接するアミノ酸残基、またはCDRと相互作用することができるアミノ酸残基が含まれる。ドナーからアミノ酸を選択する基準は、米国特許第5,585,089号(たとえば12〜16段)に記載されている。アクセプターフレームワークは、成熟ヒト抗体のフレームワーク配列またはコンセンサス配列であることができる。
【0300】
本明細書中で使用する「中和抗体またはその結合断片」とは、中和抗体またはその結合断片が存在しない同一条件下での病原体と比較して、哺乳動物および/または細胞培養物中で病原体(たとえばシー・ディフィシル(C.difficile)TcdAまたはTcdB)と結合して病原体の感染力および/または活性を低下させる(たとえば細胞毒性を低下させる)、それぞれの抗体またはその結合断片をいう。一実施形態では、中和抗体またはその結合断片は、中和抗体またはその結合断片が存在しない同一条件下での病原体の生物活性と比較して、病原体の生物活性の少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、またはそれより高くを中和することができる。
【0301】
本明細書中で使用する用語「抗毒素抗体またはその結合断片」とは、それぞれのシー・ディフィシル(C.difficile)毒素(たとえばシー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aまたは毒素B)と結合する抗体またはその結合断片をいう。たとえば、抗毒素A抗体またはその結合断片とは、TcdAと結合する抗体またはその結合断片をいう。
【0302】
本明細書中に記載の抗体またはその結合断片は、野生型および/またはトランスジェニックの、たとえば、マウス、ヒト、ウサギ、およびヤギを含めた任意の哺乳動物中で産生させ得る。
【0303】
上述の免疫原性組成物が、ワクチン接種などのために集団に以前に投与されたものである場合は、対象において生じた抗体の応答を使用して、同じ株および抗体の産生を刺激しなかった株からの毒素を中和することができる。たとえば、免疫原性組成物によって生じる、630株と様々な野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株からの毒素との間の交差反応性に関する研究を示す実施例37を参照されたい。
【0304】
一態様では、本発明は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAに特異的な抗体またはその結合断片に関する。TcdAと特異的に結合するモノクローナル抗体には、A65−33、A60−22、A80−29、および/または好ましくはA3−25が含まれる。
【0305】
一態様では、本発明は、上述のものなどの任意の野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株からのTcdA、たとえば配列番号1に特異的な抗体またはその結合断片に関する。別の態様では、本発明は、上述の免疫原性組成物に特異的な抗体またはその結合断片に関する。たとえば、一実施形態では、抗体またはその結合断片は、配列番号4または配列番号7が含まれる免疫原性組成物に特異的である。別の実施形態では、抗体またはその結合断片は、配列番号4または配列番号7が含まれる免疫原性組成物に特異的であり、配列番号4または配列番号7の少なくとも1つのアミノ酸は、ホルムアルデヒド、EDC、NHS、またはEDCとNHSとの組合せによって架橋結合されている。別の実施形態では、抗体またはその結合断片は、配列番号84または配列番号83が含まれる免疫原性組成物に特異的である。
【0306】
A65−33、A60−22、A80−29、および/または好ましくはA3−25の可変重鎖および軽鎖領域と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、好ましくは約98%、より好ましくは約99%または最も好ましくは約100%の同一性である可変重鎖および可変軽鎖領域を有する抗体またはその結合断片は、TcdAとも結合することができる。
【0307】
一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片には、配列番号37に記載のA3−25の可変重鎖領域アミノ酸配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列が含まれる可変重鎖領域が含まれる。
【0308】
別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片には、配列番号36に記載のA3−25の可変軽鎖領域アミノ酸配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列が含まれる可変軽鎖領域が含まれる。
【0309】
さらなる一態様では、抗体またはその抗原結合断片には、配列番号37に記載の可変重鎖領域アミノ酸配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列が含まれる可変重鎖領域、および配列番号36に記載の可変軽鎖領域アミノ酸配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列が含まれる可変軽鎖領域が含まれる。
【0310】
別の実施形態では、A65−33、A60−22、A80−29、および/または好ましくはA3−25の可変重鎖および/または可変軽鎖の相補性決定領域(CDR)を有する抗体またはその結合断片は、TcdAとも結合することができる。A3−25の可変重鎖領域のCDRを以下の表4に示す。
【0311】
【表6】
【0312】
A3−25の可変軽鎖領域のCDRを以下の表5に示す。
【0313】
【表7】
【0314】
一実施形態では、抗体またはその結合断片には、配列番号41(CDR H1)、42(CDR H2)および43(CDR H3)に示す重鎖相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列、ならびに/または配列番号38(CDR L1)、39(CDR L2)および40(CDR L3)に示す軽鎖CDRのアミノ酸配列が含まれる。
【0315】
例示的な一実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aに特異的な抗体またはその結合断片は、TcdAのN末端領域内のエピトープ、たとえば、配列番号1の付番に従ってTcdAのアミノ酸1〜1256のエピトープと特異的に結合する。
【0316】
好ましい実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aに特異的な抗体またはその結合断片は、毒素AのC末端領域内のエピトープ、たとえば、配列番号1の付番に従ってTcdAのアミノ酸1832〜2710のエピトープと特異的に結合する。例にはA3−25、A65−33、A60−22、A80−29が含まれる。
【0317】
さらに別の実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aに特異的な抗体またはその結合断片は、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aの「転位」領域内のエピトープ、たとえば、配列番号1の付番に従ってTcdAのアミノ酸659〜1832のエピトープなどの、配列番号1の付番に従ってTcdAの残基956〜1128が好ましくは含まれるエピトープと特異的に結合する。
【0318】
別の態様では、本発明は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBに特異的な抗体またはその結合断片に関する。たとえば、抗体またはその結合断片は、上述のものなどの任意の野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株からのTcdB、たとえば配列番号2に特異的であり得る。別の態様では、本発明は、上述の免疫原性組成物に特異的な抗体またはその結合断片に関する。たとえば、一実施形態では、抗体またはその結合断片は、配列番号6または配列番号8が含まれる免疫原性組成物に特異的である。
【0319】
別の実施形態では、抗体またはその結合断片は、配列番号6または配列番号8が含まれる免疫原性組成物に特異的であり、配列番号6または配列番号8の少なくとも1つのアミノ酸は、ホルムアルデヒド、EDC、NHS、またはEDCとNHSとの組合せによって架橋結合されている。別の実施形態では、抗体またはその結合断片は、配列番号86または配列番号85が含まれる免疫原性組成物に特異的である。
【0320】
TcdBと特異的に結合するモノクローナル抗体には、本明細書中に記載のB2−31、B5−40、B70−2、B6−30、B9−30、B59−3、B60−2、B56−6、および/または好ましくはB8−26クローンによって産生された抗体が含まれる。
【0321】
TcdBとも結合することができる抗体またはその結合断片には、B2−31、B5−40、B70−2、B6−30、B9−30、B59−3、B60−2、B56−6、好ましくはB8−26、B59−3、および/またはB9−30の可変重鎖および軽鎖領域と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、好ましくは約98%、より好ましくは約99%または最も好ましくは約100%の同一性である可変重鎖および可変軽鎖領域を有するものが含まれる。
【0322】
一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片には、配列番号49に記載のA3−25の可変重鎖領域アミノ酸配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列が含まれる可変重鎖領域が含まれる。
【0323】
一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片には、配列番号60に記載のA3−25の可変重鎖領域アミノ酸配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列が含まれる可変重鎖領域が含まれる。
【0324】
一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片には、配列番号71に記載のA3−25の可変重鎖領域アミノ酸配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列が含まれる可変重鎖領域が含まれる。
【0325】
別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片には、配列番号55に記載のA3−25の可変軽鎖領域アミノ酸配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列が含まれる可変軽鎖領域が含まれる。
【0326】
別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片には、配列番号66に記載のA3−25の可変軽鎖領域アミノ酸配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列が含まれる可変軽鎖領域が含まれる。
【0327】
別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片には、配列番号77に記載のA3−25の可変軽鎖領域アミノ酸配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列が含まれる可変軽鎖領域が含まれる。
【0328】
シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBの中和抗体(B8−26 mAb)の可変重鎖のアミノ酸配列を配列番号49に示す。表25−aを参照されたい。
【0329】
【表8】
【0330】
シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBの中和抗体(B8−26 mAb)の可変軽鎖のアミノ酸配列を配列番号55に示す。表25−bを参照されたい。
【0331】
【表9】
【0332】
一実施形態では、抗体またはその結合断片には、配列番号51(CDR H1)、52(CDR H2)および53(CDR H3)に示す重鎖CDRのアミノ酸配列、ならびに/または配列番号57(CDR L1)、58(CDR L2)および59(CDR L3)に示す軽鎖CDRのアミノ酸配列が含まれる。
【0333】
シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBの中和抗体(B59−3 mAb)の可変重鎖のアミノ酸配列を配列番号60に示す。表26−aを参照されたい。
【0334】
【表10】
【0335】
シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBの中和抗体(B59−3 mAb)の可変軽鎖のアミノ酸配列を配列番号66に示す。表26−bを参照されたい。
【0336】
【表11】
【0337】
一実施形態では、抗体またはその結合断片には、配列番号62(CDR H1)、63(CDR H2)および64(CDR H3)に示す重鎖CDRのアミノ酸配列、ならびに/または配列番号68(CDR L1)、69(CDR L2)および70(CDR L3)に示す軽鎖CDRのアミノ酸配列が含まれる。
【0338】
シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBの中和抗体(B9−30 mAb)の可変重鎖のアミノ酸配列を配列番号71に示す。表27−aを参照されたい。
【0339】
【表12】
【0340】
シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBの中和抗体(B9−30 mAb)の可変軽鎖のアミノ酸配列を配列番号77に示す。表27−bを参照されたい。
【0341】
【表13】
【0342】
一実施形態では、抗体またはその結合断片には、配列番号73(CDR H1)、74(CDR H2)および75(CDR H3)に示す重鎖CDRのアミノ酸配列、ならびに/または配列番号79(CDR L1)、80(CDR L2)および81(CDR L3)に示す軽鎖CDRのアミノ酸配列が含まれる。
【0343】
一態様では、本発明は、上述のものなどの任意のシー・ディフィシル(C.difficile)株からの野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdB、たとえば配列番号2に特異的な抗体またはその結合断片に関する。別の態様では、本発明は、上述の免疫原性組成物に特異的な抗体またはその結合断片に関する。たとえば、一実施形態では、抗体またはその結合断片は、配列番号6または配列番号8が含まれる免疫原性組成物に特異的である。別の実施形態では、抗体またはその結合断片は、配列番号6または配列番号8が含まれる免疫原性組成物に特異的であり、配列番号6または配列番号8の少なくとも1つのアミノ酸は、ホルムアルデヒド、EDC、NHS、またはEDCとNHSとの組合せによって架橋結合されている。
【0344】
B2−31、B5−40、B70−2、B6−30、B9−30、B59−3、B60−2、B56−6、および/または好ましくはB8−26の可変重鎖および軽鎖領域と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、好ましくは約98%、より好ましくは約99%または最も好ましくは約100%の同一性である可変重鎖および可変軽鎖領域を有する抗体またはその結合断片は、TcdBとも結合することができる。
【0345】
一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片には、B8−26の可変重鎖領域アミノ酸配列(配列番号49)と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列が含まれる可変重鎖領域が含まれる。
【0346】
別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片には、B8−26の可変軽鎖領域アミノ酸配列(配列番号55)と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列が含まれる可変軽鎖領域が含まれる。
【0347】
さらなる一態様では、抗体またはその抗原結合断片には、B8−26(配列番号49)の可変重鎖領域アミノ酸配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列が含まれる可変重鎖領域、およびB8−26の可変軽鎖領域アミノ酸配列(配列番号55)と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列が含まれる可変軽鎖領域が含まれる。
【0348】
別の実施形態では、B2−31、B5−40、B70−2、B6−30、B9−30、B59−3、B60−2、B56−6、および/または好ましくはB8−26の可変重鎖および/または可変軽鎖のCDRを有する抗体またはその結合断片は、TcdBとも結合することができる。
【0349】
一実施形態では、抗体またはその結合断片には、B8−26の重鎖相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列および/またはB8−26の軽鎖CDRのアミノ酸配列が含まれる。
【0350】
好ましい実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bに特異的な抗体またはその結合断片は、毒素BのN末端領域内のエピトープ、たとえば、配列番号2の付番に従ってTcdBのアミノ酸1〜1256のエピトープと特異的に結合する。例にはB2−31、B5−40、B8−26、B70−2、B6−30、およびB9−30が含まれる。
【0351】
例示的な一実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bに特異的な抗体またはその結合断片は、毒素BのC末端領域内のエピトープ、たとえば、配列番号2の付番に従ってTcdBのアミノ酸1832〜2710のエピトープと特異的に結合する。
【0352】
さらに別の実施形態では、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bに特異的な抗体またはその結合断片は、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Bの「転位」領域内のエピトープ、たとえば、TcdBのアミノ酸659〜1832のエピトープなどの、配列番号2の付番に従ってTcdBの残基956〜1128が好ましくは含まれるエピトープと特異的に結合する。例にはB59−3、B60−2、およびB56−6が含まれる。
【0353】
抗体の組合せ
抗毒素抗体またはその結合断片は、他の抗シー・ディフィシル(C.difficile)毒素抗体(たとえば、他のモノクローナル抗体、ポリクローナルガンマ−グロブリン)またはその結合断片と組み合わせて投与することができる。使用することができる組合せには、抗毒素A抗体またはその結合断片および抗毒素B抗体またはその結合断片が含まれる。
【0354】
別の実施形態では、組合せには、抗毒素A抗体またはその結合断片と別の抗毒素A抗体またはその結合断片とが含まれる。好ましくは、組合せには、中和抗毒素Aモノクローナル抗体またはその結合断片および別の中和抗毒素Aモノクローナル抗体またはその結合断片が含まれる。驚くべきことに、本発明者らは、そのような組合せが毒素Aの細胞毒性の中和において相乗効果をもたらしたことを発見した。たとえば、組合せには、以下の中和抗毒素Aモノクローナル抗体、すなわち、A3−25、A65−33、A60−22、およびA80−29のうちの少なくとも2つの組合せが含まれる。より好ましくは、組合せには、A3−25抗体と、A65−33、A60−22、およびA80−29のうちの少なくとも1つの中和抗毒素Aモノクローナル抗体とが含まれる。最も好ましくは、組合せには、4つすべての抗体、すなわち、A3−25、A65−33、A60−22、およびA80−29が含まれる。
【0355】
さらなる実施形態では、組合せには、抗毒素B抗体またはその結合断片と別の抗毒素B抗体またはその結合断片とが含まれる。好ましくは、組合せには、中和抗毒素Bモノクローナル抗体またはその結合断片と別の中和抗毒素Bモノクローナル抗体またはその結合断片が含まれる。驚くべきことに、本発明者らは、そのような組合せが毒素Bの細胞毒性の中和において相乗効果をもたらしたことを発見した。より好ましくは、組合せには、以下の中和抗毒素Bモノクローナル抗体、すなわち、B8−26、B9−30およびB59−3のうちの少なくとも2つの組合せが含まれる。最も好ましくは、組合せには、3つすべての抗体、すなわち、B8−26、B9−30およびB59−3が含まれる。
【0356】
さらに別の実施形態では、組合せには、抗毒素B抗体またはその結合断片と別の抗毒素B抗体またはその結合断片とが含まれる。既に記述したように、本発明者らは、中和モノクローナル抗体のうちの少なくとも2つの組合せが、毒素Aおよび毒素Bのそれぞれの中和において予想外に相乗的な効果を示すことができることを発見した。
【0357】
別の実施形態では、本発明の薬剤を混合物として配合する、または当技術分野で認識されている技法を使用して化学的もしくは遺伝子的に連結させることによって、抗毒素Aおよび抗毒素Bの結合特性をどちらも有する共有結合した抗体(または共有結合した抗体断片)をもたらすことができる。合わせた配合物は、単独または別の薬剤と組み合わせた、薬剤の親和性、結合力、または生物学的有効性などの1つまたは複数のパラメータの決定によって導き得る。
【0358】
そのような組合せ療法は、その治療活性、たとえば、シー・ディフィシル関連の疾患または障害の阻害、予防(たとえば再発の予防)、および/または処置において、好ましくは相加的および/または相乗的である。そのような組合せ療法の投与により、所望の効果を達成するために必要な治療剤(たとえば、抗体もしくは抗体断片の混合物、または架橋結合もしくは遺伝子融合させた二重特異性抗体もしくは抗体断片)の用量を減少させることができる。
【0359】
本発明の組成物のいずれか、たとえば抗毒素Aおよび/もしくは抗毒素B抗体またはその結合断片は、治療効果のために様々な比または量で組み合わせることができることを理解されたい。たとえば、抗毒素Aおよび抗毒素B抗体またはそのそれぞれの結合断片は、0.1:10〜10:0.1のA:Bの範囲の比で組成物中に存在することができる。別の実施形態では、抗毒素Aおよび抗毒素B抗体またはそのそれぞれの結合断片は、0.1:10〜10:0.1のB:Aの範囲の比で組成物中に存在することができる。
【0360】
別の態様では、本発明は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAに対する中和抗体を産生させる方法に関する。方法には、上述の免疫原性組成物を哺乳動物に投与することと、抗体を哺乳動物から回収することとが含まれる。好ましい実施形態では、免疫原性組成物には配列番号4を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAが含まれ、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAの少なくとも1つのアミノ酸は、好ましくはホルムアルデヒドまたは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドによって化学的に架橋結合されている。産生させ得る例示的なTcdAに対する中和抗体には、A65−33、A60−22、A80−29、および/またはA3−25が含まれる。
【0361】
さらに別の態様では、本発明は、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBに対する中和抗体を産生させる方法に関する。方法には、上述の免疫原性組成物を哺乳動物に投与することと、抗体を哺乳動物から回収することとが含まれる。好ましい実施形態では、免疫原性組成物には配列番号6を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBが含まれ、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBの少なくとも1つのアミノ酸は、好ましくはホルムアルデヒドまたは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドによって化学的に架橋結合されている。産生させ得る例示的なTcdBに対する中和抗体には、B2−31、B5−40、B70−2、B6−30、B9−30、B59−3、B60−2、B56−6、および/またはB8−26が含まれる。
【0362】
配合物
本発明の組成物(たとえば、本明細書中に記載の突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素、免疫原性組成物、抗体および/またはその抗体結合断片が含まれる組成物など)は様々な形態であり得る。これらには、たとえば、半固体および固体の剤形、坐薬、液体の液剤(たとえば注射用および輸液用の液剤)、分散剤もしくは懸濁剤などの液体形態、リポソーム、ならびに/またはたとえば凍結乾燥粉末形態、凍結乾燥形態、噴霧乾燥形態、および/もしくは泡沫乾燥形態などの乾燥形態が含まれる。坐薬では、結合剤および担体にはたとえばポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドが含まれ、そのような坐薬は本発明の組成物を含有する混合物から形成することができる。例示的な一実施形態では、組成物は、注射前に液体ビヒクル中の液剤または懸濁剤とするために適した形態である。別の例示的な実施形態では、組成物を乳化する、あるいはリポソームまたはポリ乳酸、ポリグリコリド、もしくはコポリマーなどの微粒子中にカプセル封入する。
【0363】
好ましい実施形態では、組成物を凍結乾燥し、使用前に即席で再構成する。
【0364】
一態様では、本発明は、薬学的に許容できる担体と一緒に配合した、本明細書中に記載の組成物のいずれか(たとえば、本明細書中に記載の突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素、免疫原性組成物、抗体および/またはその抗体結合断片が含まれる組成物など)が含まれる医薬組成物に関する。「薬学的に許容できる担体」には、生理的に適切な任意の溶媒、分散媒、安定化剤、希釈剤、および/またはバッファーが含まれる。
【0365】
例示的な安定化剤には、ソルビトール、マンニトール、デンプン、デキストラン、スクロース、トレハロース、ラクトース、および/もしくはグルコースなどの炭水化物、アルブミンおよび/もしくはカゼインなどの不活性タンパク質、ならびに/または、キトサン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびコポリマー(ラテックス官能化SEPHAROSE(商標)アガロース、アガロース、セルロースなど)などの多糖、アミノ酸、重合アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および脂質凝集体(油滴もしくはリポソームなど)等の、他の大きなゆっくりと代謝される巨大分子が含まれる。さらに、これらの担体は免疫刺激剤(すなわちアジュバント)として機能し得る。
【0366】
好ましくは、組成物にはトレハロースが含まれる。トレハロースの好ましい量(重量%)には、最小で約1%、2%、3%、または4%から最大で約10%、9%、8%、7%、6%、または5%が含まれる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。一実施形態では、組成物には、たとえば0.5mLの用量あたり約3%から6%のトレハロース、最も好ましくは4.5%のトレハロースが含まれる。
【0367】
適切な希釈剤の例には、蒸留水、生理食塩水、生理的リン酸緩衝溶液、グリセロール、アルコール(エタノールなど)、リンゲル液、デキストロース溶液、ハンクス平衡塩類溶液、および/または凍結乾燥賦形剤が含まれる。
【0368】
例示的なバッファーには、リン酸バッファー(リン酸カリウム、リン酸ナトリウムなど)、酢酸バッファー(酢酸ナトリウムなど)、コハク酸バッファー(コハク酸ナトリウムなど)、グリシンバッファー、ヒスチジンバッファー、炭酸バッファー、トリスバッファー(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、および/または炭酸水素バッファー(炭酸水素アンモニウム)が含まれる。好ましくは、組成物にはトリスバッファーが含まれる。トリスバッファーの好ましい量には、最小で約1mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mMから最大で約100mM、50mM、20mM、19mM、18mM、17mM、16mM、15mM、14mM、13mM、12mM、または11mMが含まれる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。一実施形態では、組成物には、たとえば0.5mLの用量あたり約8mM〜12mMのトリスバッファー、最も好ましくは10mMのトリスバッファーが含まれる。
【0369】
別の好ましい実施形態では、組成物にはヒスチジンバッファーが含まれる。ヒスチジンバッファーの好ましい量には、最小で約1mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mMから最大で約100mM、50mM、20mM、19mM、18mM、17mM、16mM、15mM、14mM、13mM、12mM、または11mMが含まれる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。一実施形態では、組成物には、たとえば0.5mLの用量あたり約8mM〜12mMのヒスチジンバッファー、最も好ましくは10mMのヒスチジンバッファーが含まれる。
【0370】
さらに別の好ましい実施形態では、組成物にはリン酸バッファーが含まれる。リン酸バッファーの好ましい量には、最小で約1mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mMから最大で約100mM、50mM、20mM、19mM、18mM、17mM、16mM、15mM、14mM、13mM、12mM、または11mMが含まれる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。一実施形態では、組成物には、たとえば0.5mLの用量あたり約8mM〜12mMのリン酸バッファー、最も好ましくは10mMのリン酸バッファーが含まれる。
【0371】
バッファーのpHは一般に、選択された活性物質を安定化させるように選択され、当業者が既知の方法によって確定することができる。好ましくは、バッファーのpHは生理的pHの範囲内となる。したがって、好ましいpH範囲は約3〜約8、より好ましくは約6.0〜約8.0、さらにより好ましくは約6.5〜約7.5、最も好ましくは約7.0〜約7.2である。
【0372】
一部の実施形態では、医薬組成物には界面活性剤が含まれ得る。両性、非イオン性、陽イオン性または陰イオン性であるかにかかわらず、任意の界面活性剤が適切である。例示的な界面活性剤には、ポリソルベート20および/またはポリソルベート80などのポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(たとえばTWEEN(登録商標))、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij30)などのラウリル、セチル、ステアリルおよびオレイルアルコールから誘導されるポリオキシエチレン脂肪酸エーテル(Brij界面活性剤として知られる)、Triton X 100、すなわちt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、また、トリオレイン酸ソルビタン(Span85)およびモノラウリン酸ソルビタンなどのソルビタンエステル(一般的にSPANとして知られる)、ならびにその組合せが含まれる。好ましい界面活性剤にはポリソルベート80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)が含まれる。
【0373】
ポリソルベート80の好ましい量(重量%)には、最小で約0.001%、0.005%、または0.01%から最大で約0.010%、0.015%、0.025%、または1.0%が含まれる。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。一実施形態では、組成物には約0.005%〜0.015%のポリソルベート80、最も好ましくは0.01%のポリソルベート80が含まれる。
【0374】
例示的な一実施形態では、免疫原性組成物にはトレハロースおよびポリソルベート80が含まれる。別の例示的な実施形態では、免疫原性組成物には、トリスバッファーおよびポリソルベート80が含まれる。別の例示的な実施形態では、免疫原性組成物には、ヒスチジンバッファーおよびポリソルベート80が含まれる。さらに別の例示的な実施形態では、免疫原性組成物にはリン酸バッファーおよびポリソルベート80が含まれる。
【0375】
例示的な一実施形態では、免疫原性組成物にはトレハロース、トリスバッファーおよびポリソルベート80が含まれる。別の例示的な実施形態では、免疫原性組成物にはトレハロース、ヒスチジンバッファーおよびポリソルベート80が含まれる。さらに別の例示的な実施形態では、免疫原性組成物にはトレハロース、リン酸バッファーおよびポリソルベート80が含まれる。
【0376】
本明細書中に記載の組成物には、石油、動物、植物、または合成起源の構成要素、たとえば、ピーナッツ油、ダイズ油、および/または鉱物油がさらに含まれ得る。例にはプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコールが含まれる。
【0377】
一部の実施形態では、医薬組成物にはホルムアルデヒドがさらに含まれる。たとえば、好ましい実施形態では、ホルムアルデヒドがさらに含まれる医薬組成物は免疫原性組成物を有しており、免疫原性組成物の突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素はホルムアルデヒドが含まれる化学的架橋剤と接触させられている。医薬組成物中に存在するホルムアルデヒドの量は、最小で約0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.010%、0.013%、または0.015%から最大で約0.020%、0.019%、0.018%、0.017%、0.016%、0.015%、0.014%、0.013%、0.012%、0.011%または0.010%で変動し得る。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。一実施形態では、医薬組成物には約0.010%のホルムアルデヒドが含まれる。
【0378】
一部の代替実施形態では、本明細書中に記載の医薬組成物にはホルムアルデヒドが含まれない。たとえば、好ましい実施形態では、ホルムアルデヒドが含まれない医薬組成物は免疫原性組成物を有しており、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素の少なくとも1つのアミノ酸はEDCが含まれる薬剤によって化学的に架橋結合されている。より好ましくは、そのような実施形態では、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素はホルムアルデヒドが含まれる化学的架橋剤と接触させられていない。別の例示的な実施形態として、凍結乾燥形態の医薬組成物にはホルムアルデヒドが含まれない。
【0379】
別の実施形態では、本明細書中に記載の組成物には以下に記載のアジュバントが含まれ得る。好ましいアジュバントは、免疫応答の定性的形態に影響を与え得る免疫原のコンホメーション変化を引き起こさずに、免疫原の内因性の免疫応答を増強させる。
【0380】
例示的なアジュバントには、3脱−O−アシル化モノホスホリル脂質A(MPL(商標))(GB2220211号を参照(GSK))、Alhydrogel(商標)(Brenntag Biosector、デンマーク)などの水酸化アルミニウムゲル、MPLまたは3−DMP、QS−21、ポリグルタミン酸もしくはポリリシンなどの重合もしくは単量体のアミノ酸等の免疫刺激剤を用いてまたは用いずに使用し得るアルミニウム塩(水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなど)が含まれる。
【0381】
さらに別の例示的なアジュバントは、CpGオリゴヌクレオチドなどの免疫賦活オリゴヌクレオチド(たとえば、WO1998/040100号、WO2010/067262号を参照)、またはサポニンおよびCpGオリゴヌクレオチドなどの免疫賦活オリゴヌクレオチド(たとえばWO00/062800号を参照)である。好ましい実施形態では、アジュバントはCpGオリゴヌクレオチド、最も好ましくはCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)である。好ましいCpG ODNは、B細胞を優先的に活性化させるBクラスのものである。本発明の態様では、CpG ODNは核酸配列5’TT3’(配列番号48)を有しており、はホスホロチオエート結合を示す。この配列のCpG ODNはCpG24555として知られており、WO2010/067262号に記載されている。好ましい実施形態では、CpG24555をAlhydrogelなどの水酸化アルミニウム塩と一緒に使用する。
【0382】
例示的なアジュバントのさらなるクラスには、Stimulon(商標)(トリテルペングリコシドまたはサポニンであるQS−21、Aquila、マサチューセッツ州、Framingham)などのサポニンアジュバント、またはISCOM(免疫刺激複合体)およびISCOMATRIX(登録商標)アジュバントなどのそれから作製された粒子が含まれる。したがって、本発明の組成物は、ISCOM、CTBを含有するISCOM、リポソームの形態、またはアクリレートもしくはポリ(DL−ラクチド−コ−グリコシド)などの化合物中にカプセル封入して吸着に適した大きさのミクロスフェアを形成した形態で送達し得る。典型的には、用語「ISCOM」とは、トリテルペノイドサポニン(特にQuil A)などのグリコシドと疎水性領域を含有する抗原との間で形成された免疫原性複合体をいう。好ましい実施形態では、アジュバントはISCOMATRIXアジュバントである。
【0383】
他の例示的なアジュバントには、RC−529、GM−CSFならびに完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)が含まれる。
【0384】
例示的なアジュバントのさらに別のクラスは、そのそれぞれが糖残基中でアミノ酸によって置換されているN−グリコシルアミド、N−グリコシル尿素およびN−グリコシルカルバメートを含めた糖脂質類似体である。
【0385】
医薬組成物には、2つ以上の異なるアジュバントが含まれていてもよい。アジュバントの好ましい組合せには、たとえば、以下のアジュバント、すなわち、ミョウバン、MPL、QS−21、ISCOMATRIX、CpG、およびAlhydrogelのうちの少なくとも2つを含めたアジュバントの任意の組合せが含まれる。アジュバントの例示的な組合せには、CpGとAlhydrogelとの組合せが含まれる。
【0386】
あるいは、一実施形態では、アジュバントの非存在下で組成物を哺乳動物に投与する。
【0387】
本明細書中に記載の組成物は、予防的および/または治療的な応用のための、たとえば、非経口、局所的、静脈内、粘膜の、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、くも膜下腔内、腹腔内、鼻腔内、筋肉内、皮内、輸液、直腸、および/または経皮の経路などの任意の投与経路によって投与することができる。好ましい実施形態では、組成物の投与経路は非経口、より好ましくは筋肉内の投与である。典型的な筋肉内投与は腕または脚の筋肉内に行う。
【0388】
本明細書中に記載の組成物は、シー・ディフィシル(C.difficile)感染症の予防および/または処置において少なくとも部分的に有効である治療と組み合わせて投与することができる。たとえば、本発明の組成物は、生物療法、プロバイオティック療法、便移植、免疫療法(静脈内免疫グロブリンなど)、ならびに/またはメトロニダゾールおよび/もしくはバンコマイシンなどのシー・ディフィシル(C.difficile)関連疾患(CDAD)の抗生物質処置のための受け入れられている標準治療の前、それと同時に、またはその後に投与し得る。
【0389】
毒素Aおよび毒素Bに関連する本発明の組成物は、任意の組合せで哺乳動物に投与し得る。たとえば、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAが含まれる免疫原性組成物は、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBが含まれる免疫原性組成物の投与の前、それと同時に、またはその後に哺乳動物に投与し得る。逆に、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBが含まれる免疫原性組成物は、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAが含まれる免疫原性組成物の投与の前、それと同時に、またはその後に哺乳動物に投与し得る。
【0390】
別の実施形態では、抗毒素A抗体またはその結合断片が含まれる組成物は、抗毒素B抗体またはその結合断片が含まれる組成物の投与の前、それと同時に、またはその後に哺乳動物に投与し得る。逆に、抗毒素B抗体またはその結合断片が含まれる組成物は、抗毒素A抗体またはその結合断片が含まれる組成物の投与の前、それと同時に、またはその後に哺乳動物に投与し得る。
【0391】
さらなる実施形態では、本発明の組成物は、薬学的に許容できる担体の投与の前、それと同時に、またはその後に哺乳動物に投与し得る。たとえば、アジュバントを、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素が含まれる組成物の投与の前、それと同時に、またはその後に投与し得る。したがって、本発明の組成物および薬学的に許容できる担体を同じバイアルに梱包することができるか、またはこれらを別々のバイアルに梱包して使用前に混合することができる。組成物を単一用量の投与および/または複数用量の投与用に配合することができる。
【0392】
哺乳動物においてシー・ディフィシル(C.difficile)感染症を保護および/または処置する方法
一態様では、本発明は、哺乳動物においてシー・ディフィシル(C.difficile)毒素に対する免疫応答を誘導する方法に関する。方法には、有効量の本明細書中に記載の組成物を哺乳動物に投与することが含まれる。たとえば、方法には、哺乳動物においてそれぞれのシー・ディフィシル(C.difficile)毒素に対する免疫応答を生じさせるために有効な量を投与することが含まれ得る。
【0393】
例示的な一実施形態では、本発明は、哺乳動物においてシー・ディフィシル(C.difficile)TcdAに対する免疫応答を誘導する方法に関する。方法には、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAが含まれる有効量の免疫原性組成物を哺乳動物に投与することが含まれる。別の例示的な実施形態では、本発明は、哺乳動物においてシー・ディフィシル(C.difficile)TcdBに対する免疫応答を誘導する方法に関する。方法には、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBが含まれる有効量の免疫原性組成物を哺乳動物に投与することが含まれる。
【0394】
さらなる実施形態では、方法には、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAが含まれる有効量の免疫原性組成物と突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBが含まれる有効量の免疫原性組成物とを哺乳動物に投与することが含まれる。さらなる態様では、本明細書中に記載の組成物は、組成物を投与しない哺乳動物と比較して、哺乳動物においてシー・ディフィシル(C.difficile)感染症、シー・ディフィシル(C.difficile)関連疾患、その症候群、状態、症状、および/または合併症を処置する、予防する、その危険性を減少させる、その重症度を減少させる、その発生率を減少させる、および/またはその始まりを遅延させるために使用し得る。方法には、有効量の組成物を哺乳動物に投与することが含まれる。
【0395】
感染症の重症度に基づいて、シー・ディフィシル(C.difficile)感染症によって引き起こされる3つの臨床症候群が認識されている。最も重度の形態は偽膜性大腸炎(PMC)であり、これは、おびただしい下痢、腹痛、疾病の全身兆候、および結腸の特有の内視鏡像によって特徴づけられている。
【0396】
また、抗生物質関連の大腸炎(AAC)もおびただしい下痢、腹痛および腹部圧痛、全身兆候(たとえば発熱)、ならびに白血球増加によって特徴づけられている。AACにおける腸管障害はPMCよりも重症度が低く、PMCにおける結腸の特徴的な内視鏡像は存在せず、死亡率は低い。
【0397】
最後に、抗生物質関連の下痢(AAD、シー・ディフィシル(C.difficile)関連の下痢(CDAD)としても知られる)は比較的穏やかな症候群であり、大腸炎(たとえば腹痛および腹部圧痛によって特徴づけられるもの)ならびに感染症の全身兆候(たとえば発熱)をどちらも欠く軽度から中等度の下痢によって特徴づけられている。
【0398】
これら3つの特徴的な症候群は、典型的には起こる頻度の昇順である。すなわち、PMCは典型的にはAACよりも低い頻度で起こり、AADが典型的にはシー・ディフィシル(C.difficile)疾患の最も頻繁な臨床提示である。
【0399】
シー・ディフィシル(C.difficile)感染症の頻繁な合併症は再発または回帰する疾患であり、これはシー・ディフィシル(C.difficile)疾患から回復するすべての対象の20%までで起こる。再発は、臨床的にAAD、AAC、またはPMCとして特徴づけ得る。一度再発する患者は再び再発する可能性が高い。
【0400】
本明細書中で使用するシー・ディフィシル(C.difficile)感染症の状態には、たとえば、軽度、軽度から中等度、中等度、および重度のシー・ディフィシル(C.difficile)感染症が含まれる。シー・ディフィシル(C.difficile)感染症の状態は感染症の症状の存在および/または重症度に応じて変動し得る。
【0401】
シー・ディフィシル(C.difficile)感染症の症状には、たとえば、下痢、大腸炎、激しい腹痛(cramps)、発熱、便中白血球、および結腸生検での炎症を伴った大腸炎、偽膜性大腸炎、低アルブミン血症、全身浮腫、白血球増加、敗血症、腹痛、無症候性保菌、ならびに/または合併症および感染症の発生中に存在する中間病理学的表現型、また、その組合せなどの、生理的、生化学的、組織学的および/または行動的な症状が含まれ得る。したがって、たとえば、有効量の本明細書中に記載の組成物の投与は、たとえば、組成物を投与しなかった哺乳動物と比較して、下痢、腹痛、激しい腹痛、発熱、結腸生検での炎症、低アルブミン血症、全身浮腫、白血球増加、敗血症、および/または無症候性保菌などを処置する、予防する、その危険性を減少させる、その重症度を減少させる、その発生率を減少させる、および/またはその始まりを遅延させ得る。
【0402】
シー・ディフィシル(C.difficile)感染症の危険因子には、たとえば、抗微生物剤(嫌気性細菌に対する抗菌スペクトルおよび/または活性を有する任意の抗微生物剤が包含され、たとえば正常な結腸微生物叢の破壊を引き起こす抗生物質、たとえば、クリンダマイシン、セファロスポリン、メトロニダゾール、バンコマイシン、フルオロキノロン(レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ガチフロキサシン、およびシプロフロキサシンが含まれる)、リネゾリドなどが含まれる)の現在または近い将来の使用、処方されたメトロニダゾールまたはバンコマイシンの現在または近い将来の退薬、医療施設(病院、長期介護施設など)への現在または近い将来の入院および医療従事者、プロトンポンプ阻害剤、H2拮抗剤、および/もしくはメトトレキサート、またはその組合せを用いた現在または近い将来の処置、現在の炎症性腸疾患などの胃腸管系の疾患またはその危険性、哺乳動物に対する過去、現在、または近い将来の胃腸管系手術または胃腸管系処置、シー・ディフィシル(C.difficile)感染症および/またはCDADの過去または現在の再発、たとえばシー・ディフィシル(C.difficile)感染症および/またはCDADに1回または複数回罹患した患者、ならびに少なくとも約65歳以上のヒトが含まれ得る。
【0403】
本明細書中に記載の方法では、哺乳動物は、たとえばマウス、ハムスター、霊長類、およびヒトなどの任意の哺乳動物であり得る。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。本発明によれば、ヒトには、シー・ディフィシル(C.difficile)感染症、シー・ディフィシル(C.difficile)関連疾患、その症候群、状態、症状、および/または合併症を示していた個体、シー・ディフィシル(C.difficile)感染症、シー・ディフィシル(C.difficile)関連疾患、その症候群、状態、症状、および/または合併症を現在示している個体、ならびにシー・ディフィシル(C.difficile)感染症、シー・ディフィシル(C.difficile)関連疾患、その症候群、状態、症状、および/または合併症の危険性にある個体が含まれ得る。
【0404】
シー・ディフィシル(C.difficile)感染症の症状を示していた個体の例には、上述の症状を示していたまたは示している個体、シー・ディフィシル(C.difficile)感染症および/またはシー・ディフィシル(C.difficile)関連疾患(CDAD)に罹患していたまたは罹患している個体、ならびにシー・ディフィシル(C.difficile)感染症および/またはCDADを再発していた個体が含まれる。
【0405】
シー・ディフィシル(C.difficile)感染症の危険性にある患者の例には、計画された抗微生物剤の使用の恐れがあるまたは現在それを経験している個体、処方されたメトロニダゾールまたはバンコマイシンの退薬の恐れがあるまたは現在それを経験している個体、医療施設(病院、長期介護施設など)への計画された入院の恐れがあるまたは現在それを経験している個体および医療従事者、ならびに/あるいはプロトンポンプ阻害剤、H2拮抗剤、および/もしくはメトトレキサート、またはその組合せを用いた計画された処置の恐れがあるまたは現在それを経験している個体、炎症性腸疾患などの胃腸管系の疾患に罹患していたまたはそれを現在経験している個体、胃腸管系手術または胃腸管系処置を受けていたまたは現在受けている個体、ならびにシー・ディフィシル(C.difficile)感染症および/またはCDADを再発していたまたは現在再発している個体、たとえばシー・ディフィシル(C.difficile)感染症および/またはCDADに1回または複数回罹患した患者、約65歳以上である個体が含まれる。そのような危険性にある患者は、シー・ディフィシル(C.difficile)感染症の症状を現在示していても示していなくてもよい。
【0406】
無症候患者では、予防および/または処置を任意の年齢(たとえば、約10、20、または30歳)で開始することができる。しかし、一実施形態では、患者が少なくとも約45、55、65、75、または85歳に達するまで処置を開始する必要はない。たとえば、本明細書中に記載の組成物を50〜85歳の無症候性のヒトに投与し得る。
【0407】
一実施形態では、哺乳動物においてシー・ディフィシル(C.difficile)感染症、シー・ディフィシル(C.difficile)関連疾患、その症候群、状態、症状、および/または合併症を予防する、その危険性を減少させる、その重症度を減少させる、その発生率を減少させる、および/またはその始まりを遅延させる方法には、有効量の本明細書中に記載の組成物を、それを必要としている哺乳動物、シー・ディフィシル(C.difficile)感染症の危険性にある哺乳動物および/またはそれに罹りやすい哺乳動物に投与することが含まれる。有効量には、たとえば、組成物を投与しない哺乳動物と比較して、哺乳動物においてシー・ディフィシル(C.difficile)感染症、シー・ディフィシル(C.difficile)関連疾患、その症候群、状態、症状、および/または合併症を予防する、その危険性を減少させる、その重症度を減少させる、その発生率を減少させる、および/またはその始まりを遅延させるために十分な量が含まれる。有効量の本明細書中に記載の組成物の投与は、たとえば、組成物を投与しなかった哺乳動物と比較して、下痢、腹痛、激しい腹痛、発熱、結腸生検での炎症、低アルブミン血症、全身浮腫、白血球増加、敗血症、および/または無症候性保菌などを予防する、その危険性を減少させる、その重症度を減少させる、その発生率を減少させる、および/またはその始まりを遅延させ得る。好ましい実施形態では、方法には、有効量の本明細書中に記載の免疫原性組成物を、それを必要としている哺乳動物、シー・ディフィシル(C.difficile)感染症の危険性にある哺乳動物および/またはそれに罹りやすい哺乳動物に投与することが含まれる。
【0408】
さらなる一実施形態では、哺乳動物においてシー・ディフィシル(C.difficile)感染症、シー・ディフィシル(C.difficile)関連疾患、その症候群、状態、症状、および/または合併症を処置する、その重症度を減少させる、および/またはその始まりを遅延させる方法には、有効量の本明細書中に記載の組成物を、シー・ディフィシル(C.difficile)感染症が疑われる、または現在それを患っている哺乳動物に投与することが含まれる。有効量には、たとえば、組成物を投与しない哺乳動物と比較して、哺乳動物においてシー・ディフィシル(C.difficile)感染症、シー・ディフィシル(C.difficile)関連疾患、その症候群、状態、症状、および/または合併症を処置する、その重症度を減少させる、および/またはその始まりを遅延させるために十分な量が含まれる。
【0409】
有効量の組成物の投与は、対象において、以下に記載のものなどのシー・ディフィシル(C.difficile)感染症の少なくとも1つの兆候または症状を改善させ得る。有効量の本明細書中に記載の組成物の投与は、たとえば、組成物を投与しなかった哺乳動物と比較して、下痢の重症度を減少させ得るおよび/または発生率を減少させ、腹痛、激しい腹痛、発熱、結腸生検での炎症、低アルブミン血症、全身浮腫、白血球増加、敗血症、および/または無症候性保菌などの重症度を減少させるおよび/または発生率を減少させ得る。感染症の症状、兆候、および/または危険因子の存在は処置を開始する前に決定されてもよい。好ましい実施形態では、方法には、有効量の本明細書中に記載の抗体および/またはその結合断片を、シー・ディフィシル(C.difficile)感染症が疑われる、または現在それを患っている哺乳動物に投与することが含まれる。
【0410】
したがって、有効量の組成物とは、本発明の方法において所望の効果(たとえば予防的および/または治療的な効果)を達成するために十分な量をいう。たとえば、投与するための免疫原の量は、1回の注射あたり最小で約1μg、5μg、25μg、50μg、75μg、100μg、200μg、500μg、または1mgから最大で約2mg、1mg、500μg、200μgで変動し得る。任意の最小値を任意の最大値と組み合わせて、適切な範囲を定義することができる。典型的には、それぞれのヒト注射に1つの免疫源あたり約10、20、50または100μgを使用する。
【0411】
対象に投与する本発明の組成物の量は、感染症の種類および重症度ならびに/また全体的な健康、年齢、性別、体重および薬物耐性などの個体の特徴に依存し得る。また、これは疾患の度合、重症度、および種類にも依存し得る。また、有効量は、投与経路、標的部位、患者の生理的状態、患者の年齢、患者がヒトであるか動物であるか、投与した他の治療、および処置が予防的であるか治療的であるかなどの要因に応じても変動し得る。当業者はこれらおよび他の要因に応じて適切な量を決定できるであろう。
【0412】
本明細書中の方法において使用するために、有効量には、1回の有効用量または複数回の有効用量(たとえば、2、3、4回の用量またはそれより多く)が含まれ得る。有効な用量は安全性および有効性を最適化するために滴定する必要があり得る。
【0413】
予防的および/または治療的な使用を達成するために十分な用量の量および頻度の組合せは、予防上または治療上有効なレジメンと定義される。予防的および/または治療的なレジメンでは、組成物は、典型的には、十分な免疫応答が達成されるまで複数の用量で投与する。典型的には、免疫応答を監視し、免疫応答が衰退し始めた場合は繰返し用量を与える。
【0414】
組成物は一定期間にわたって複数用量で投与し得る。処置は、治療剤(たとえば突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素が含まれる免疫原性組成物)に対する抗体または活性T細胞もしくはB細胞の応答を経時的にアッセイすることによって監視することができる。応答が低下した場合はブースター用量が指示される。
【実施例1】
【0415】
毒素陰性のシー・ディフィシル(C.difficile)株の同定
毒素(AおよびB)遺伝子および毒素発現を欠くシー・ディフィシル(C.difficile)株を同定するために、13個のシー・ディフィシル(C.difficile)株を試験した。13個のシー・ディフィシル(C.difficile)株の培養培地をELISAによって毒素Aについて試験した。7個の株が毒素Aを発現した:シー・ディフィシル(C.difficile)14797−2、シー・ディフィシル(C.difficile)630、シー・ディフィシル(C.difficile)BDMS、シー・ディフィシル(C.difficile)W1194、シー・ディフィシル(C.difficile)870、シー・ディフィシル(C.difficile)1253、およびシー・ディフィシル(C.difficile)2149。図3を参照されたい。
【0416】
6個の株が毒素Aを発現せず、病原性座位の全体を欠いていた:シー・ディフィシル(C.difficile)1351(ATCC43593(商標))、シー・ディフィシル(C.difficile)3232(ATCC BAA−1801(商標))、シー・ディフィシル(C.difficile)7322(ATCC43601(商標))、シー・ディフィシル(C.difficile)5036(ATCC43603(商標))、シー・ディフィシル(C.difficile)4811(4ATCC3602(商標))、およびシー・ディフィシル(C.difficile)VPI11186(ATCC700057(商標))。プラスミドDNAを接合によって取り込むその有効性に基づいて、VPI11186を選択した。
【0417】
同じ13個の株を、病原性座位(PaLoc、Braunら、Gene.1996 Nov28;181(1〜2):29〜38)外のプライマーを使用した多重PCRアッセイで試験した。PCR結果により、6個の毒素A陰性株からのDNAでは、ELISAによってPaLocからのどの遺伝子も増幅されなかったことが実証された(tcdA〜tcdE)。PaLoc隣接配列(cdd3およびcdu2)は存在していた(データ示さず)。
【実施例2】
【0418】
シー・ディフィシル(C.difficile)VPI11186における胞子形成経路の失活
シー・ディフィシル(C.difficile)産生株の胞子形成機能のノックアウトは、安全な製造環境での大スケール発酵を容易にする。ClosTronシステムを使用して無芽胞シー・ディフィシル(C.difficile)株を作製した。Heapら、J Microbiol Methods.2009 Jul;78(1):79〜85を参照されたい。ClosTronシステムは、spo0A1クロストリジウム遺伝子の部位特異的挿入失活のための、II群イントロンを用いた標的化遺伝子失活を可能にする。毒素陰性(minus)産生株VPI11186をClosTron技術による胞子形成失活に供した。エリスロマイシン耐性突然変異体を選択し、挿入カセットの存在をPCRによって確認した(示さず)。2つの独立したクローンが胞子を形成できないことが確認された。
【実施例3】
【0419】
細胞毒性機能を失活させるための毒素AおよびB遺伝子の遺伝子修飾
株630Δゲノム配列に基づく完全長の突然変異毒素AおよびBのオープンリーディングフレーム(ORF)を、Blue Heron Biotechでカスタム合成するために設計した。たとえば配列番号9〜14を参照されたい。細胞毒性の原因であるグルコシルトランスフェラーゼ活性の活性部位を、2つの対立遺伝子置換、すなわち、毒素AにはD285A/D287A(配列番号3を参照)、毒素BにはD286A/D288A(配列番号5を参照)によって変更した。2個のヌクレオチドをそれぞれのアスパラギン酸(D)コドンで突然変異させて、アラニン(A)のコドンを作製した。たとえば配列番号9〜14を参照されたい。さらに、Blue Heron Biotechでのカスタム合成に従って、システイン残基を欠く突然変異毒素を発現する一対のベクターを構築した。突然変異毒素Aからの7個のシステイン残基および突然変異毒素Bからの9個のシステイン残基をアラニンで置き換えた。置換には、AおよびB毒素の自己触媒的プロテアーゼの触媒的システインが含まれる。また、ベクターの構築に使用した制限酵素部位を排除するために必要な場合はサイレント突然変異を導入した。
【実施例4】
【0420】
pMTL84121fdx発現ベクター
シー・ディフィシル(C.difficile)突然変異毒素抗原の発現に使用したプラスミドシャトルベクターは、Minton labによって開発されたpMTL8000シリーズのモジュラーシステムから選択した(Heapら、J Microbiol Methods.2009 Jul;78(1):79〜85を参照)。選択されたベクターpMTL84121fdxは、シー・ディフィシル(C.difficile)プラスミドpCD6グラム+レプリコン、catP(クロラムフェニコール/チアムフェニコール)選択マーカー、p15aグラム−レプリコンおよびtra機能、ならびにスポロゲネス菌(C.sporogenes)フェレドキシンプロモーター(fdx)および遠位の多重クローニング部位(MCS)を含有する。経験的データにより、低コピー数のp15aレプリコンが大腸菌(E.coli)においてColE1代替物よりも高い安定性を与えたことが示唆された。fdxプロモーターは、CATレポーター構築体を用いた実験において試験した他のプロモーター(たとえば、tcdA、tcdB、または異種のtetRもしくはxylR)よりも高い発現をもたらしたため選択した(データ示さず)。
【実施例5】
【0421】
修飾した毒素ORFをpMTL84121fdx内にクローニング
株630Δゲノム配列に基づく完全長の突然変異毒素AおよびBのオープンリーディングフレーム(ORF)を、pMTL84121fdxベクター多重クローニングNdeIおよびBglII部位を使用して、標準の分子生物学的技法を使用してサブクローニングした。クローニングを容易にするために、ORFは開始コドンを含有する近位のNdeI部位およびストップコドンのすぐ下流のBglII部位に隣接していた。
【実施例6】
【0422】
三重突然変異体を作製するためのTcdAの部位特異的突然変異誘発
配列番号3および5、すなわち「二重突然変異体」のそれぞれにおいて、自己触媒的プロテアーゼドメインの触媒的システイン残基を置換した(すなわち、TcdAではC700AおよびTcdBではC698A)。突然変異毒素Aの突然変異誘発では、TcdA D285A/D287A発現プラスミドからの2.48kbのNdeI−HindIII断片をpUC19(同じように切断)内にサブクローニングし、部位特異的突然変異誘発をこの鋳型に対して行った。新しい対立遺伝子がDNA配列解析によって確認された後、修飾されたNdeI−HindIII断片を発現ベクターpMTL84121fdx内に再導入して、「三重突然変異体」、すなわち配列番号4および配列番号6を作製した。
【実施例7】
【0423】
三重突然変異体を作製するためのTcdB部位特異的突然変異誘発
突然変異毒素Bの突然変異誘発には、突然変異毒素Bプラスミドからの3.29kbのNdeI−EcoNI断片を修飾し、再導入した。EcoNI部位は利用可能なクローニングベクター中に存在しないため、わずかに大きい3.5kbのNdeI−EcoRV断片をpUC19(NdeI−SmaIで準備)内にサブクローニングした。突然変異誘発後、修飾された内部3.3kbのNdeI−EcoNI断片を切り出し、対応する突然変異毒素B発現ベクターpMTL84121fdx断片を置き換えるために使用した。この定方向戦略のクローニング効率は非常に低いことが見出されたため、1.5kbのDraIIIの置き換えを含む、C698A対立遺伝子を導入するための代替戦略が並行して試みられた。どちらの戦略も独立して所望の組換えをもたらした。
【実施例8】
【0424】
部位特異的突然変異誘発による追加の突然変異毒素変異体の作製
少なくとも12個の異なるシー・ディフィシル(C.difficile)突然変異毒素変異体を構築した。部位特異的突然変異誘発によって対立遺伝子置換をN末端突然変異毒素遺伝子断片内に導入した(Quickchange(登録商標)キット)。また、このプラスミドに基づくシステムの、野生型シー・ディフィシル(C.difficile)株から精製したネイティブ毒素と生物活性が定量的に同等であるタンパク質を作製する能力を評価するために、組換え毒素も参照対照として操作した。この場合、元のグルコシルトランスフェラーゼ置換に復帰させるために対立遺伝子置換を導入した。さらに、Blue Heron Biotechでのカスタム合成に従って一対の無システイン突然変異毒素ベクターを構築した。
【0425】
12個の毒素変異体には、(1)D285A/D287A突然変異を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素A(配列番号3)、(2)D286A/D288A突然変異を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素B(配列番号5)、(3)D285A/D287A C700A突然変異を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素A(配列番号4)、(4)D286A/D288A C698A突然変異を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素B(配列番号6)、(5)配列番号1を有する組換え毒素A、(6)配列番号2を有する組換え毒素B、(7)C700A突然変異を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素A、(8)C698A突然変異を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素B、(9)C700A C597S、C1169S、C1407S、C1623S、C2023S、およびC2236S突然変異を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素A、(10)C698A C395S、C595S、C824S、C870S、C1167S、C1625S、C1687S、およびC2232S突然変異を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素B、(11)D285A、D287A、C700A、D269A、R272A、E460A、およびR462A突然変異を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素A(配列番号7)、ならびに(12)D270A、R273A、D286A、D288A、D461A、K463A、およびC698A突然変異を有する突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素B(配列番号8)が含まれる。
【0426】
また、部位特異的突然変異誘発によって、かつ上記、たとえば実施例1〜7に記載のしたものと同じ材料および方法を使用することによって、五重突然変異毒素も構築した。毒素Bの五重突然変異体には以下の置換、すなわちD286A/D288A C698A/E970K/E976Kが含まれていた(配列番号184)。五重突然変異毒素Bは、上述のようにVPI11186 spo0A陰性細胞中で発現させた。毒素BのN末端エピトープに特異的なmAb#B8−26(配列番号49)を使用したウエスタンブロットを行って五重突然変異毒素Bの発現を確認した。左から2、3、および4番目のレーンでは、それぞれ50ng、30ng、および10ngの精製した三重突然変異体B(配列番号86)を参照タンパク質として使用した。左から5および6番目のレーンでは、それぞれ1:100の希釈率および1:1000の希釈率の五重突然変異毒素B細胞溶解濃縮液を評価した。五重突然変異毒素B濃度中のタンパク質の推定量は約1000ug/mLである。ブロット上で示すように、五重突然変異毒素B(濃縮)は、約270kDで予想された大きさのタンパク質バンドを示す。
【実施例9】
【0427】
形質転換体の安定性
再編成されたプラスミドは、一般的に使用されているDH5α大腸菌(E.coli)実験室株を用いて得た。対照的に、Invitrogen Stbl2(商標)大腸菌(E.coli)宿主を使用した形質転換は、30℃、LBクロラムフェニコール(25μg/ml)プレート上で3日間の成長の後に成長の遅い完全長の突然変異毒素組換え体をもたらした。関連のStbl3(商標)およびStbl4(商標)大腸菌(E.coli)株ではより低いクローニング効率が得られたが、これらの細胞系はプラスミド維持のために安定であることが見出された。続いて形質転換体を寒天または液体培養中、クロラムフェニコール選択下、30℃で繁殖させた。また、無動物トリプトン−ダイズに基づく培地と比較して、LB(ミラー)培地の使用も形質転換体の回収および成長を改善させることが見出された。
【実施例10】
【0428】
野生型または遺伝的突然変異毒素の遺伝子をコードしているpMTL84121fdxを用いたシー・ディフィシル(C.difficile)の形質転換
Heapら、Journal of Microbiological Methods、2009.78(1):p.79〜85に本質的に記載されているように、大腸菌(E.coli)接合伝達によるシー・ディフィシル(C.difficile)の形質転換を行った。大腸菌(E.coli)宿主CA434を野生型または変異体突然変異毒素の遺伝子をコードしているpMTL84121fdxで形質転換させた。大腸菌(E.coli)宿主CA434は、発現プラスミドをシー・ディフィシル(C.difficile)産生株VPI11186 spo0A1内に動員するための中間体である。CA434は大腸菌(E.coli)HB101の誘導体である。この株は、Km、Tc、Su、Sm/Spe、およびHgに対する耐性を与える(Tn1831による)Tra+Mob+R702接合性プラスミドを宿している。化学的コンピテントまたは電気的コンピテントなCA434細胞を調製し、発現ベクター形質転換体をミラーLB CAMプレート上、30℃で選択した。3日間後に出現する成長の遅いコロニーを拾い、3mLのLBクロラムフェニコール培養中で対数期中間(約24時間、225rpm、オービタルシェーカー、30℃)まで増幅した。線毛の破壊を避けるために大腸菌(E.coli)培養物を低速(5,000g)遠心分離によって収集し、広口径のホールピペットを用いて細胞ペレットを1mLのPBSに穏やかに再懸濁させた。細胞を低速遠心分離によって濃縮した。ほとんどのPBSを反転によって除去し、排水したペレットを嫌気性チャンバ内に移し、0.2mLのシー・ディフィシル(C.difficile)培養で再懸濁させ、BHIS寒天プレート上にスポットし、8時間または終夜成長させた。突然変異毒素A形質転換体の場合は、終夜の接合でより良好な結果が得られた。細胞パッチを0.5mLのPBS内に掻爬し、0.1mLを、15μg/mLのチアムフェニコール(クロラムフェニコールのより強力な類似体)および大腸菌(E.coli)ドナー細胞を死滅させるためのD−シクロセリン/セフォキシチンを添加したBHIS選択培地上にプレートした。16〜24時間後に出現する形質転換体を、新しいBHIS(および添加物)のプレート上に再画線することによって精製し、その後の培養物を組換え毒素または突然変異毒素の発現について試験した。グリセロール永久体および種ストックは良好な発現を示すクローンから調製した。また、プラスミドのミニプレップも、細胞をリゾチームで前処理した、改変したQiagenキットの手順を使用した2mLの培養物から調製した(必須ではない)。シー・ディフィシル(C.difficile)ミニプレップDNAはクローンの完全性を確認するためのPCR配列決定の鋳型として使用した。あるいは、プラスミドのマキシプレップDNAを大腸菌(E.coli)Stbl2(商標)形質転換体から調製し、配列決定した。
【実施例11】
【0429】
毒素AおよびB三重突然変異体(それぞれ配列番号4および6)ならびにヘプタB突然変異体(配列番号8)のシー・ディフィシル(C.difficile)発現分析
形質転換体を2mLの培養(ルーチン分析用)または空気抜きキャップ付フラスコ(時間経過実験用)のいずれかで成長させた。試料(2mL)を簡単に遠心分離して(10,000rpm、30秒間)細胞を濃縮した。上清をデカントし、10×濃縮した(Amicon−ultra30k)。ペレットを排水し、−80℃で凍結した。細胞ペレットを氷上で解凍し、1mLの溶解バッファー(トリス−HCl、pH7.5、1mMのEDTA、15%のグリセロール)中に再懸濁させ、超音波処理した(マイクロチップを用いて1×20秒間のバースト)。溶解物を4℃で遠心分離し、上清を5倍に濃縮した。上清および溶解物の試料を試料バッファーと合わせ、熱処理した(10分間、80℃)後、2つ組の3〜8%のトリス−アセテートSDS−PAGEゲル上にローディングした(Invitrogen)。1つのゲルをクマシーで染色し、2つ目のゲルをウエスタン分析のために電気ブロッティングした。毒素A特異的および毒素B特異的なウサギ抗血清(Fitgerald、Biodesign)を使用して突然変異毒素AおよびB変異体を検出した。また、七重突然変異毒素B(配列番号8)の発現もウエスタンブロットハイブリダイゼーションによって確認された。
【実施例12】
【0430】
突然変異毒素のグルコシルトランスフェラーゼ活性の抑止
遺伝的二重突然変異体(DM)毒素AおよびB(それぞれ配列番号3および5)ならびに三重突然変異体(TM)毒素AおよびB(それぞれ配列番号4および6)は、UDP−14C−グルコース[30μM]、50mMのHEPES、pH7.2、100mMのKCl、4mMのMgCl、2mMのMnCl、1mMのDTT、および0.1μg/μLのBSAの存在下におけるin vitroグルコシル化アッセイにおいて、14C−グルコースを10μgのRhoA、Rac1およびCdc42 GTPaseへと移行させなかった。しかし、野生型AおよびB毒素対照(それぞれ配列番号1および2を有する)は、それぞれ10および1ngの低い用量(およびさらに低い用量−データ示さず)で14C−グルコースをGTPaseに効率的に移行させた(図4Aおよび4B)。このことは100μgの突然変異毒素の存在下にも当てはまり(図4B)、これはそれぞれの野生型毒素と比較して少なくとも100,000倍の低下を示す。同様の結果がCdc42 GTPaseでも検出された(データ示さず)。
【0431】
具体的には、図4Bでは、野生型毒素Aおよび毒素B(1ng)または三重突然変異毒素Aおよび三重突然変異毒素B(100μg)を、RhoA GTPaseと共に、UDP−14C−グルコースの存在下で2時間、30℃でインキュベーションした。例示したように、1ngの野生型TcdAおよびTcdBは14C−グルコースをRhoAへと移行させたが、100μgの三重突然変異毒素Aおよび三重突然変異毒素Bは移行させなかった。1ngの野生型TcdAまたはTcdBをそれぞれの100μgの三重突然変異毒素Aまたは三重突然変異毒素Bと共に反応内に添加した場合はRhoAのグルコシル化が検出され、これはグルコシル化阻害剤の欠如を示す。グルコシル化活性の検出の感度は、100μgの突然変異毒素のバックグラウンド中に1ngの野生型毒素であると確立された(1:100,000の比)。結果は、三重突然変異毒素Aおよび三重突然変異毒素B中のグルコシルトランスフェラーゼの活性部位中の突然変異がすべての測定可能な(それぞれの野生型毒素の活性と比較して100,000倍未満低い活性)グルコシルトランスフェラーゼ活性を低下させたことを示している。また、グルコシル化GTPaseのTCA沈降によってグルコシルトランスフェラーゼ活性を定量する同様のアッセイも開発された。
【実施例13】
【0432】
自己触媒的システインプロテアーゼ活性の抑止
システインプロテアーゼ切断部位を突然変異させた場合に、三重遺伝的突然変異体AおよびB(TM)(それぞれ配列番号4および6)において自己触媒的切断の機能が抑止された。図5に例示したように、野生型(wt)毒素AおよびB(それぞれ配列番号3および5)はイノシトール−6−リン酸の存在下で切断される。また、野生型と同様に、二重突然変異毒素AおよびB(それぞれ配列番号3および5)もイノシトール−6−リン酸の存在下で切断される(データ示さず)。毒素A(配列番号3)は切断されて308kDaから245および60kDaの2つの断片となる。毒素B(配列番号5)は切断されて270kDaから207および63kDaの2つの断片となる。三重遺伝的突然変異体AおよびB(TM)(それぞれ配列番号4および6)は、イノシトール−6−リン酸の存在下でさえもそれぞれ308および270kDaで影響を受けずに保たれる。図5を参照されたい。したがって、システインプロテアーゼ活性が遺伝子修飾によって失活された。
【0433】
より具体的には、図5では、1μgの三重突然変異体Aおよび三重突然変異体Bを、90分間、室温(21±5℃)で、List Biologicalsからの野生型TcdAおよびTcdBと並行してインキュベーションした。切断反応を20μLの体積で、トリス−HCl、pH7.5、2mMのDTT中、イノシトール−6−リン酸の存在または非存在下(TcdAには10mMおよびTcdBには0.1mM)で行った。その後、反応体積の全体を3〜8%のSDS/PAGEにローディングし、タンパク質バンドを銀染色によって可視化した。例示したように、wt TcdAおよびTcdBはイノシトール−6−リン酸の存在下でそれぞれ245kDおよび60kDならびに207kDおよび63kDの2つのタンパク質バンドへと切断された。三重突然変異毒素Aおよび三重突然変異毒素Bは切断されず、したがって、三重突然変異毒素A中のC700A突然変異および三重突然変異毒素B中のC698A突然変異が切断を遮断したことが確認された。
【実施例14】
【0434】
三重突然変異毒素AおよびB(それぞれ配列番号4および6)の残留細胞毒性
遺伝的突然変異毒素をその細胞毒性についてin vitro細胞毒性アッセイによってヒト二倍体肺線維芽細胞系であるIMR90細胞において評価した。これらの細胞は毒素AおよびBのどちらにも感受性がある。代替の好ましい一実施形態として、毒素AおよびBに対して合理的な感受性を有することが観察されているため、ミドリザル(Cercopithecus aethiops)からのVero正常腎細胞を細胞毒性アッセイに使用し得る。好ましくは、VeroおよびIMR90細胞系と比較して毒素に対する感受性が有意に減少しているため、HT−29ヒト結腸直腸腺癌細胞は細胞毒性アッセイに使用しない。たとえば以下の表6を参照されたい。
【0435】
【表14】
【0436】
段階希釈した遺伝的突然変異毒素またはwt毒素試料を、96ウェル組織培養プレート中で成長させた細胞単層に加えた。37℃で72時間インキュベーションした後、相対発光量(RLU)として表すルミネセンスを生じるルシフェラーゼに基づくCellTiterGlo(登録商標)試薬(Promega、ウィスコンシン州、Madison)を加えることによって細胞ATPレベルを測定することによって、プレートを代謝活性細胞について評価した。高いRLUは細胞が生存していることを示し、低いRLUは細胞が代謝的に活性でなく死滅しつつあることを示す。EC50として表す細胞毒性のレベルは、細胞培養対照におけるレベルと比較して50%のRLUの低下を誘発するwt毒素または遺伝的突然変異毒素の量として定義される(このアッセイの詳細は以下に提供する)。図6、表7A、および表8Aに示したように、TcdAおよびTcdBのEC50値はそれぞれ約0.92ng/mLおよび0.009ng/mLであった。三重突然変異毒素Aおよび三重突然変異毒素BのEC50値はそれぞれ約8600ng/mLおよび74ng/mLであった。wt毒素と比較して約10,000倍の細胞毒性の低下にもかかわらず、どちらの遺伝的突然変異毒素も残留レベルの細胞毒性を依然として実証した。この残留細胞毒性は中和抗毒素モノクローナル抗体によって遮断することができ、このことは、これが三重突然変異毒素に特異的であったが、wt毒素の既知の酵素活性(グルコシル化または自己タンパク質分解)とは関連している可能性が低いことを示している。
【0437】
どちらのwt毒素も強力なin vitro細胞毒性を示し、少量の毒素が細胞円形化(細胞変性効果すなわちCPE)および代謝活性の欠如(ATPレベルによって測定)などの哺乳動物細胞に対して様々な効果を引き起こすために十分であった。その結果、突然変異毒素原薬中に残留細胞毒性がまったく残らないことを確認するために、2つのin vitroアッセイ(CPEすなわち細胞円形化アッセイおよびATPアッセイ)を開発した。結果は、1)細胞の50%におけるCPEの発生または2)相対光量で測定したATPレベルの50%の低下を引き起こす毒素または突然変異毒素の量であるEC50として表す。
【0438】
CPEアッセイでは、原薬の試料を段階希釈し、IMR90細胞と共にインキュベーションし、これを潜在的な細胞変性効果について観察する。CPEアッセイは0(正常細胞)から4(約100%の細胞円形化)のスケールでスコアづけし、スコア2(約50%の細胞円形化)が試験試料のEC50値として定義される。この方法は、マトリックス干渉なしにこのアッセイで試験することができる最大耐用濃度である1000μg/mLの濃度で突然変異毒素原薬を試験するために使用する。その結果、EC50>1000μg/mlとして報告される検出可能な細胞毒性は存在しない。
【0439】
ATPアッセイはATPから生じるルミネセンスシグナルの量の測定に基づいており、これは代謝活性細胞の数に比例する。アッセイ干渉なしにこのアッセイで試験することができる最大耐用濃度は約200μg/mLである。したがって、このアッセイにおいてEC50>200μg/mLとして報告される検出可能な細胞毒性(cytotoxity)は存在しない。
【0440】
毒素対照と並行して様々な濃度の突然変異毒素AおよびBを細胞に加えた。アッセイのエンドポイントは、CellTiter−Glo(登録商標)(Promega)を使用して細胞ATPレベルによって決定される細胞生存度であった。ルミネセンスの度合はATPレベルまたは生細胞数に比例する。
【0441】
野生型(wt)毒素Aのin vitro細胞毒性(EC50)は920pg/mLであり、毒素Bでは9pg/mLであった。突然変異毒素A(配列番号4)のin vitro細胞毒性(EC50)は8600ng/mLであり、突然変異毒素B(配列番号6)では74ng/mLであった。これらの値はそれぞれ9348および8222倍の低下を表すが、残留細胞毒性はどちらの突然変異毒素でも検出された。
【0442】
言い換えれば、三重突然変異毒素AおよびB(それぞれ配列番号4および6)の細胞毒性は、wt毒素AおよびB(それぞれ配列番号1および2)の細胞毒性と比較して、IMR−90細胞におけるin vitro細胞毒性アッセイにおいて有意に低下していた。図6に例示したように、どちらの三重突然変異毒素もwt毒素と比較して細胞毒性の有意な低下を示したが(10倍)、どちらの三重突然変異毒素でも残留細胞毒性がより濃度で観察された。
【0443】
さらに、それぞれの三重突然変異毒素の残留細胞毒性は毒素特異的抗体によって完全に中和することができる(たとえば、野生型毒素の毒性と比較して少なくとも6〜8log10の毒性の低下)。以下の実施例16を参照されたい。
【0444】
細胞培養アッセイは細胞毒性の検出においてin vivo動物モデルよりも感受性が高い。マウス致死的免疫誘発モデルにおいて腹腔内または静脈内経路のどちらかで送達した場合、wt TcdAは約50ng/マウスのLD50を有する一方で、wt TcdBは約5ng/マウスのLD50を有しており、より強力である。対照的に、上述の細胞培養に基づくin vitroアッセイは、wt TcdAでは100pg/ウェルおよびwt TcdBでは2pg/ウェルのEC50値を有する。
【実施例15】
【0445】
遺伝的七重突然変異毒素B(配列番号8)の残留細胞毒性および五重突然変異毒素B(配列番号184)の細胞毒性
図7に例示したように、三重突然変異毒素B(配列番号6)(20.78ng/mL)および七重突然変異毒素B(配列番号8)(35.9ng/mL)の突然変異体ではEC50値が類似しており、これは、グルコシルトランスフェラーゼ活性部位およびGTPase基質結合部位をさらに修飾するための4つの追加の突然変異が遺伝的突然変異毒素の細胞毒性をさらに低下させなかったことを示す。EC50値は三重および七重突然変異毒素と同様に二重突然変異毒素B(配列番号5)についても類似していた(データ示さず)。この観察は、突然変異毒素の細胞毒性の機構が驚くべきことにグルコシルトランスフェラーゼおよび基質認識の機構とは独立していることを示唆している。
【0446】
五重突然変異毒素B(配列番号184)をその細胞毒性について上述のようにIMR90細胞においてin vitro ATP細胞毒性アッセイによって評価した。たとえば実施例14を参照されたい。図26に示したように、五重突然変異毒素Bの細胞毒性は、List Biologicalsから購入した野生型毒素B(たとえば配列番号2)と比較して、かつ三重突然変異毒素B(配列番号86)と比較して大いに低下していた。「細胞のみ」の対照はIMR−90細胞に関する。それぞれのEC50値を示す以下の表62を参照されたい。
【0447】
【表15】
【0448】
さらに、IMR−90細胞において、五重突然変異毒素B(「PM−B」)(配列番号184)を三重突然変異毒素B(配列番号86)によって媒介される細胞毒性の競合的阻害について評価した。図27を参照されたい。試料を調製するために、三重突然変異毒素B(TM B)(配列番号86)をすべてのウェルで200ng/mL(10×EC50)の一定濃度に保った。5μg/mLから開始して2倍段階希釈した五重突然変異毒素Bを、三重突然変異毒素Bを含有するウェルに加えた。その後、IMR−90細胞を含有する96ウェルプレートに試料を移し、その後、72時間インキュベーションした。ATPアッセイを上述のように、たとえば実施例14のように完了した。図27に示すことができるように、五重突然変異毒素Bは三重突然変異毒素Bの細胞毒性を競合的に阻害した。
【実施例16】
【0449】
三重突然変異毒素AおよびB(それぞれ配列番号4および6)の残留細胞毒性
残留細胞毒性の性質をさらに評価するために、突然変異毒素(配列番号4および6)を混合し、そのそれぞれの中和抗体と共にインキュベーションした後、混合物をIMR90細胞単層に加えた。
【0450】
結果(図8)により、突然変異毒素AおよびB(それぞれ配列番号4および6)の残留細胞毒性は、突然変異毒素A(上部パネル、図8)および突然変異毒素B(下部パネル、図8)に特異的な中和抗体を用いて完全に抑止することができることが示された。漸増濃度の突然変異毒素A(上部パネル)およびB(下部パネル)をウサギ抗毒素ポリクローナル(pAb、1:10の希釈率)またはマウスモノクローナル抗体(3.0mgのIgG/mLを含有するストックから1:50の希釈率)と共にインキュベーションした後、IMR90細胞に加えた。IMR90細胞と共に37℃で72時間の処理インキュベーションの後、CellTiter−Glo(登録商標)基質を加え、相対光量(RLU)を分光光度計でルミネセンスプログラムを用いて測定して、ATPレベルを測定した。ATPレベルが低ければ低いほど毒性が高い。対照には、その対応するEC50値の4倍で加えたTcdAおよびTcdBが含まれていた。
【0451】
公開されている報告は、毒素のグルコシルトランスフェラーゼまたは自己触媒的プロテアーゼドメイン中の突然変異は毒性の完全な失活をもたらすことを示唆している。しかし、本発明者らのデータはこれらの公開されている報告と一致せず、これは、公開されている報告における粗培養溶解物に対して本発明者らの研究において試験した高度に精製された突然変異毒素のより高い濃度、12時間未満で行った観察に対して突然変異毒素で処理した細胞の細胞円形化が観察されたより長い時点(たとえば、24時間、48時間、72時間、もしくは96時間)、公開されている報告中に開示されている細胞毒性アッセイにおけるHT−29ヒト結腸直腸腺癌細胞とは対照的に、本発明の細胞毒性アッセイにおける毒素に対して顕著により高い感受性を示す細胞系の使用、および/または突然変異毒素の残留毒性を駆動している可能性のあるグルコシル化以外の未知の活性もしくはプロセスに帰因させることができる。
【実施例17】
【0452】
遺伝的突然変異毒素の細胞毒性の新規機構
遺伝的突然変異毒素の残留細胞毒性の機構を調査するために、IMR−90細胞をwt毒素B(配列番号2)または遺伝的突然変異毒素B(配列番号6)で処理し、Rac1 GTPaseのグルコシル化を処理の時間と共に研究した。試料を24〜96時間から採取し、細胞抽出物を調製した。Rac1に対する2つの抗体を用いたウエスタンブロットによってグルコシル化Rac1を非グルコシル化Rac1から区別する。一方の抗体はRac1の両方の形態を認識し(23A8)、他方(102)は非グルコシル化Rac1のみを認識する。図22に例示したように、毒素Bでは、全Rac1レベルは時間と共に変化せずに留まり、大多数のRac1がグルコシル化された。他方では、遺伝的突然変異毒素B(配列番号6)を用いた処理は全Rac1の顕著な低下をもたらしたが、Rac1はすべての時点でグルコシル化されていなかった。このことは、Rac1レベルは遺伝的突然変異毒素を用いた処理によって負の影響を受けたが、wt毒素によっては受けなかったことを示す。図22に例示したように、アクチンのレベルは毒素および遺伝的突然変異毒素Bで処理した細胞で類似しており、示した時点において偽処理した細胞と類似していた。これにより、遺伝的突然変異毒素が野生型毒素に駆動されるグルコシル化経路とは異なる機構によって細胞毒性を発揮したことが示された。
【実施例18】
【0453】
遺伝的突然変異毒素の化学的処理
4logの細胞毒性活性の低下を示す遺伝子改変した突然変異毒素が好ましいが、細胞毒性活性のさらなる低下(2〜4log)が検討された。2つの化学的失活戦略が評価されている。
【0454】
第1の方法では、突然変異毒素を失活させるためにホルムアルデヒドおよびグリシンを使用する。ホルムアルデヒド失活は、ホルムアルデヒドとタンパク質上の第一級アミンとの間でシッフ塩基(イミン)を形成することによって起こる。その後、シッフ塩基はいくつかのアミノ酸残基(Arg、His、Trp、Tyr、Gln、Asn)と反応して分子内または分子間のどちらかの架橋結合を形成することができる。この架橋結合がタンパク質の構造を固定して、それを失活させる。さらに、ホルムアルデヒドはグリシンと反応してシッフ塩基を形成することができる。その後、グリシルシッフ塩基はアミノ酸残基と反応して分子間タンパク質−グリシン架橋結合を形成することができる。ホルムアルデヒドは遺伝的突然変異毒素の細胞毒性活性を検出可能な限界未満まで低下させた(三重突然変異体B(配列番号6)では>8log10および三重突然変異体A(配列番号4)では>6log10の細胞毒性の低下)。しかし、ホルムアルデヒド失活(FI)の三重突然変異毒素を25℃でインキュベーションした場合は、復帰変異が経時的に観察された。細胞毒性の復帰変異は、FI−三重突然変異毒素貯蔵溶液に少量のホルムアルデヒド(0.01〜0.02%)を加えることによって防止することができる。実施例23を参照されたい。
【0455】
別の方法では、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)/N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)処理を使用して失活させた突然変異毒素を作製する。この方法では、EDC/NHSがタンパク質上のカルボキシル基と反応して活性化エステルを形成する。その後、活性化エステルはタンパク質上の第一級アミンと反応して安定なアミド結合を形成することができる。ホルムアルデヒド反応と同様、この反応は分子内および分子間の架橋結合をもたらす。EDC/NHSを用いた処理によって形成されたアミド結合は、ホルマリン失活によって形成された不安定なイミン結合よりも安定かつ不可逆的である。活性化エステルとポリペプチド上の第一級アミンとの反応によって形成された架橋結合に加えて、グリシンおよびベータアラニン付加物がどちらも形成される場合がある。機構または理論に束縛されずに、未反応の活性化エステルを反応停止させるためにグリシンを加えた際にグリシン付加物が生じる。グリシンのアミンはポリペプチド上の活性化エステルと反応して安定なアミド結合を形成する。機構または理論に束縛されずに、活性化ベータアラニンとポリペプチド上の第一級アミンとの反応によってベータアラニン付加物が形成される。この反応は安定なアミド結合をもたらす。活性化ベータアラニンは3モルのNHSと1モルのEDCとの反応によって生成される。
【0456】
遺伝子改変した突然変異毒素(ネイティブ毒素と比較して6〜8log)と比較して2〜4logの細胞毒性活性の低下を達成するために、化学的に失活させた突然変異毒素は≧1000μg/mLのEC50値を有しているべきである。細胞毒性活性の低下に加えて、ドットブロット分析によって決定された主要なエピトープを保持することが有利であろう。現在までに、細胞毒性低下およびエピトープ認識の基準をどちらも満たすいくつかの反応条件が同定されている。失活させた突然変異毒素のいくつかのバッチが動物研究用に調製されており、いくつかの代表的なバッチからの分析データが表7Aおよび7B、表8Aおよび8Bに示されている。
【0457】
【表16】
【0458】
【表17】
【0459】
【表18】
【0460】
【表19】
【実施例19】
【0461】
発酵および精製
発酵は、上述のfdxプロモーターが含まれる組換えクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)の凍結供給源から開始した。凍結ストックはOD600=2.0とした細胞懸濁液および20%のグリセロールであった。開始培養は、0.2mLの培養ストックを500mLのSHYG10培地(30g/Lのダイズ加水分解物SE50MK、20g/Lの酵母抽出物HY YEST412、10g/Lのグルコース、15mg/Lのチアムフェニコール、pH7)内に接種した。培地を500mLの通気式のボトルに含有させた。接種を慣用の生物学的安全性キャビネット内で行い、ボトルに窒素をフラッシュし、その後、ボトルを約16〜18時間、37℃、慣用のインキュベーター内で静的に(通気口を閉じて)インキュベーションした。
【0462】
8LのSHYG60培地(30g/Lのダイズ加水分解物SE50MK、20g/Lの酵母抽出物HY YEST412、60g/Lのグルコース、15mg/Lのチアムフェニコール、pH7)を含有する10リットルのバイオリアクターを発酵段階に使用した。接種材料ボトルの500mLの内容物を発酵槽に接種し、これを37℃、400rpm(1.47m/秒)、0.1vvmの窒素スパージを用いて稼働した。5NのNaOHの自動添加によってpHを7.0に制御した。発酵は典型的には約24時間実行して、ピーク効力に達成させた。発酵の経過中の成長はOD600の読取りによって監視した。突然変異毒素の定量用に採取した試料を約5000×gで遠心し、生じたペレットを−70℃で凍結した。その後、細胞ペレットを解凍し、20mMのトリス、3mMのNaCl、0.5mMのEDTA、pH6.5からなるバッファーに再懸濁させ、40の振幅で20秒間超音波処理した。生じた細胞溶解液を5,000×gで10分間遠心した。上清をローディングバッファーおよび還元剤と合わせ、3.8%のトリス−アセテートPAGEゲル上を150ボルトで50〜55分間、信頼のおける毒素標準に対して流した。ゲルを終夜染色し、その後、脱染色し、走査型濃度計で定量した。典型的には、約10〜12のOD600値が観察され、毒素値は80〜120mg/Lであった。
【0463】
以下の表は突然変異毒素Aの発酵データの一例である。
【0464】
【表20】
【0465】
突然変異毒素Bの発酵データの一例を以下の表に表す。
【0466】
【表21】
【0467】
組換えシー・ディフィシル(C.difficile)細胞を培養するためおよび/または突然変異毒素を産生させるための組成物および方法の改変が試験されており、本発明の範囲内にある。たとえば、SE50MK(および別種としてSE50MK−NK、どちらもFriesland−Campaignaから供給)が窒素源の好ましい選択肢であったが、プロセスにおいて良好に作動した、他の製造者からの様々な他のダイズ加水分解物が同定された。酵母抽出物の非存在下でダイズ加水分解物が含まれる培養培地は予想された収率の30〜40%をもたらした。
【0468】
別の製造者からの酵母抽出物が同等の収率を支持することが示された。ダイズ加水分解物の非存在下で酵母抽出物が含まれる培養培地は予想された収率の60〜70%をもたらした。
【0469】
炭素源の非存在下におけるダイズ加水分解物/酵母抽出物に基づく培養培地の使用は約2〜3のOD600および約10〜15mg/Lの毒素をもたらした。グルコースが培養の好ましい炭素源であるが、マンニトールで同等の結果が得られた。ボトル内の炭素源のスクリーニングにより、シー・ディフィシル(C.difficile)が、やはり炭素源の非存在下における培養培地と比較して高いOD/収率を支持すると予想されるであろうフルクトースおよびマンノースも利用し得ることが示された。以下の炭素源、すなわちアラビノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、グリセロール、ラムノースおよびガラクトースは、最適な成長を支持するようには考えられなかった。
【0470】
さらに、発酵時間を48時間まで延長することは(追加のグルコースの添加を必要とする)、収率を実質的に改善させるようには考えられなかった。
【0471】
さらに、pH6.5および7.5での発酵は80〜120mg/Lの予想範囲内の収量をもたらした。より極端なpH(pH6.0または8.0)での発酵は、依然として予想されたOD600値を与えたが、毒素の収量を低下させた(40〜60mg/L)。
【0472】
チアムフェニコールが存在しない培養培地を使用した発酵は、プラスミドの損失、たとえば、突然変異毒素Bをコードしているプラスミドでは約10〜20%および突然変異毒素Aをコードしているプラスミドでは約30〜40%をもたらした。したがって、クロラムフェニコール誘導体が存在しない培養培地を発酵することは実行可能であった。
【0473】
また、発酵を稼働する代替の機序も試験し、本発明の範囲内にある。たとえば、発酵を400rpm以下で実行してもよく、また窒素オーバーレイを使用してもよい。これらの技法をどちらも試し、使用に成功した。
【0474】
さらに、モノクローナル抗体培地SFM4MAbを試験し、約10の細胞のOD600および約40mg/Lの突然変異毒素を与えることが示された。
【0475】
最後に、リン酸含有成分を発酵に加えることで、リン酸含有成分が存在しない培養培地と比較して毒素の産生が低下するように考えられる。
【0476】
発酵の終わりに発酵槽を冷却する。連続的な遠心分離によって細胞スラリーを回収し、適切なバッファーに再懸濁させる。細胞懸濁液の溶解は高圧ホモジナイズによって達成する。突然変異毒素Aでは、ホモジネートを凝結させ、凝結させた溶液は連続的な遠心分離を受ける。この溶液を濾過し、その後、下流の処理のために移す。突然変異毒素Bでは、連続的な遠心分離によってホモジネートを清澄にし、その後、下流の処理のために移す。
【0477】
2つのクロマトグラフィーステップを使用して突然変異毒素A(配列番号4)を精製し、続いて最終バッファー交換を行う。清澄にした溶解物を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラム上にローディングし、クエン酸ナトリウム勾配を使用して結合した突然変異毒素を溶出させる。その後、HICカラムからの生成物プールを陽イオン交換(CEX)カラム上にローディングし、塩化ナトリウム勾配を使用して結合した突然変異毒素Aを溶出させる。精製した突然変異毒素Aを含有するCEXプールを、ダイアフィルトレーションによって最終バッファー中へと交換する。精製した突然変異毒素Aを、ダイアフィルトレーションによって最終原薬中間体バッファー中へと交換する。ダイアフィルトレーション後、濃縮水を0.2ミクロンのフィルターを通して濾過した後に、化学的に失活させて最終原薬とする。タンパク質濃度は1〜3mg/mLと目標とする。
【0478】
2つのクロマトグラフィーステップを使用して突然変異毒素B(配列番号6)を精製し、続いて最終バッファー交換を行う。清澄にした溶解物を陰イオン交換(AEX)カラム上にローディングし、塩化ナトリウム勾配を使用して結合した突然変異毒素を溶出させる。クエン酸ナトリウムをAEXカラムからの生成物プールに加え、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラム上にローディングする。クエン酸ナトリウム勾配を使用して結合した突然変異毒素を溶出させる。精製した突然変異毒素ポリペプチド(配列番号6)を含有するHICプールを、ダイアフィルトレーションによって最終バッファー中へと交換する。精製した突然変異毒素Bを、ダイアフィルトレーションによって最終原薬中間体バッファー中へと交換する。ダイアフィルトレーション後、濃縮水を0.2ミクロンのフィルターを通して濾過した後に、化学的に失活させて最終原薬とする。タンパク質濃度は1〜3mg/mLを目標とする。
【実施例20】
【0479】
ホルムアルデヒド/グリシン失活
精製後、遺伝的突然変異毒素AおよびB(それぞれ配列番号4および6)を48時間、25℃で、40mM(1.2mg/ml)のホルムアルデヒドを使用して失活させる。失活はpH7.0±0.5で、40mM(3mg/ml)のグリシンを含有する10mMのリン酸塩、150mMの塩化ナトリウムバッファー中で実施する。失活期間は、IMR90細胞におけるEC50が1000ug/mLを超えるまで低下するために必要な期間の3倍を超えるように設定する。48時間後、生物活性はネイティブ毒素と比較して7〜8log10低下している。48時間のインキュベーション後、失活させた突然変異毒素を、ダイアフィルトレーションによって最終原薬バッファー中へと交換する。たとえば100kDの再生酢酸セルロース限外濾過カセットを使用して、失活させた毒素を1〜2mg/mLまで濃縮し、バッファー交換する。
【実施例21】
【0480】
N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC)/N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)失活
精製後、遺伝的突然変異毒素(配列番号4および配列番号6)を2時間、25℃で、1mgの精製した遺伝的突然変異毒素AおよびBあたり0.5mgのEDCおよび0.5mgのNHS(それぞれ約2.6mMおよび4.4mM)を使用して失活させる。グリシンを100mMの最終濃度まで添加することによって反応を停止させ、反応をさらに2時間、25℃でインキュベーションする。失活はpH7.0±0.5で、10mMのリン酸塩、150mMの塩化ナトリウムバッファー中で実施する。失活期間は、IMR90細胞におけるEC50が1000ug/mLを超えるまで低下するために必要な期間の3倍を超えるように設定する。2時間後、生物活性はネイティブ毒素と比較して7〜8log10低下している。4時間のインキュベーション後、失活させた突然変異毒素を、ダイアフィルトレーションによって最終原薬バッファー中へと交換する。たとえば100kDの再生酢酸セルロース限外濾過カセットを使用して、失活させた毒素を1〜2mg/mLまで濃縮し、バッファー交換する。
【0481】
別段に記述しない限りは、実施例セクション中で使用する以下の用語は、実施例21中の本説明に従って生成された組成物をいう:「EDC/NHSで処理した三重突然変異毒素」、「EDCで失活させた突然変異毒素」、「突然変異毒素[A/B]原薬」、「EI−突然変異毒素」、「EDC/NHS−三重突然変異毒素」。たとえば以下の用語は同義である:「EDC/NHSで処理した三重突然変異毒素A」、「EDCで失活させた突然変異毒素A」、「突然変異毒素A原薬」、「EI−突然変異毒素A」、「EDC/NHS−三重突然変異毒素A」。別の例として、以下の用語は同義である:「EDC/NHSで処理した三重突然変異毒素B」、「EDCで失活させた突然変異毒素B」、「突然変異毒素B原薬」、「EI−突然変異毒素B」、「EDC/NHS−三重突然変異毒素B」。
【0482】
突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬は、(1)それぞれの遺伝的三重突然変異毒素ポリペプチドをコードしているプラスミドを含有する毒素陰性シー・ディフィシル(C.difficile)株(VPI11186)を発酵することと(ダイズ加水分解物、酵母抽出物HY YEST(商標)412(Sheffield Bioscience)、グルコース、およびチアムフェニコールが含まれる培地中)、(2)イオン交換および疎水性相互作用クロマトグラフィー手順を使用して遺伝的突然変異毒素(「原薬中間体」)を無細胞溶解物から少なくとも95%より高い純度まで精製することと、(3)EDC/NHSを用いて処理し、続いてグリシンを用いて反応停止/キャッピングすることによって化学的に失活させることと、(4)最終バッファーマトリックス中へと交換することとが含まれるバッチプロセスを使用してそれぞれ製造される。
【実施例22】
【0483】
失活および配合の条件を支持する研究
遺伝的突然変異毒素の化学的失活を最適化するために統計的実験設計(DOE)を行った。DOEにおいて調査した要因には、温度、ホルムアルデヒド/グリシンの濃度、EDC/NHSの濃度および時間が含まれていた(表9および10)。生物活性の損失を監視するために、IMR90細胞におけるEC50値を決定した。さらに、処理後の様々な時点でのIMR−90細胞の細胞形態も観察した。処理の72時間後の形態を示す図9を参照されたい。タンパク質構造に対する効果を決定するために、毒素の様々なドメインに対して産生させたモノクローナル抗体のパネルを使用したドットブロット分析を使用して、エピトープ認識を監視した。
【0484】
【表22】
【0485】
【表23】
【0486】
シー・ディフィシル(C.difficile)突然変異毒素のホルムアルデヒド/グリシン失活では、最終反応条件は、エピトープ認識が最大限となる一方で所望の細胞毒性活性の低下のレベル(7〜8log10)が達成されるように選択した。上記実施例20を参照されたい。
【0487】
シー・ディフィシル(C.difficile)突然変異毒素のEDC/NHS失活では、最終反応条件は、エピトープ認識が最大限となる一方で所望の細胞毒性活性の低下のレベル(7〜8log10)が達成されるように選択した。上記実施例21を参照されたい。
【0488】
代替実施形態では、アラニンを加えることによってEDC−NHS反応を反応停止させ、これは反応を十分に停止させた。アラニンの使用は、反応をグリシンによって停止させる場合の修飾と同様の、突然変異毒素タンパク質上の修飾をもたらし得る。たとえば、アラニンを加えることによる反応停止は、突然変異毒素のグルタミン酸および/またはアスパラギン酸残基の側鎖上のアラニン部分をもたらし得る。別の代替実施形態では、グリシンメチルエステルを加えることによってEDC−NHS反応を反応停止させ、これは反応を十分に停止させた。
【0489】
最適化した条件下での、化学的に失活させた三重突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素Aおよび毒素Bの産生は、毒素特異的中和抗体に対するその反応性によって測定して抗原性を保持したままで、残留細胞毒性が検出不可能なレベルまでさらに低下することをもたらした(>1000μg/mL−CPEアッセイによって試験した最も高い濃度)。表28に示した結果は、wt毒素からEDC/NHSで処理した三重突然変異毒素までの段階的な細胞毒性の低下を実証する。免疫蛍光標識により、三重突然変異毒素(配列番号4および6)ならびに突然変異毒素原薬がIMR−90細胞に対する匹敵する結合を示したことが確認され、これは、細胞毒性の損失は細胞との結合の低下が原因でないことを示唆している(データ示さず)。突然変異毒素A原薬と比較して、突然変異毒素B原薬の方が高い細胞毒性の低下の倍数を達成し、これはTcdAと比較してTcdBで観察された約600倍高い効力と一貫している。
【0490】
【表24】
【0491】
また、EDC単独またはEDCおよびスルホNHSによって修飾された突然変異毒素Bの細胞毒性アッセイの結果も評価した。表29を参照されたい。
【0492】
【表25】
【0493】
条件:三重突然変異毒素B(「TM TcdB」)(配列番号6)は突然変異毒素B:EDC:スルホNHS=1:0.5:0.94の重量比で修飾した。この比は、実施例21に記載の標準のEDC/NHS反応に対するモル当量(スルホNHSのより高い分子量について補正)である。スルホNHSの影響を決定するために、スルホNHSの比を標準の比の0.5×〜2×で変動させた。2つ組の反応を1×PBS、pH7.0中、25℃で行い、EDC溶液を加えることによって開始させた。2時間後、1Mのグリシン、pH7.0(0.1Mの最終濃度)を加えることによって反応を停止させ、さらに2時間インキュベーションした。反応停止した反応を脱塩し、Vivaspin20装置を使用して突然変異毒素B原薬(「TM TcdB−EDC」)を濃縮した、無菌的なバイアル内へと滅菌濾過し、細胞毒性アッセイにおける評価に供した。
【0494】
同じモル比で、スルホNHSは、NHSの>1000ug/mLと比較してEC50を約250ug/mLまで低下させた。2倍のモル比でさえも、スルホNHSは細胞毒性を減少させることにおいてNHSほど有効でないと考えられる。表30を参照されたい。
【0495】
【表26】
【0496】
修飾の数および種類を決定するために、EDC/NHSおよびEDC/スルホNHSで失活させた三重突然変異毒素B試料の両方でペプチドマッピングを行った。同様の量のグリシン付加物、架橋結合およびデヒドロアラニン修飾がどちらの試料でも観察された。しかし、スルホNHS試料ではベータアラニンはまったく観察されなかった。
【0497】
標準のプロトコル(実施例21を参照)を使用して野生型毒素B(配列番号2)を失活させた:毒素B:EDC:NHSを1:0.5:0.5、25℃で2時間、1×PBS、pH7.0中、その後、1Mのグリシン(0.1Mの最終濃度)を用いた反応停止およびさらに2時間のインキュベーション。試料を脱塩し、濃縮し、細胞毒性アッセイに供した。この試料のEC50は<244ng/mLであった。
【実施例23】
【0498】
復帰変異研究
ホルムアルデヒド/グリシンまたはEDC/NHSで失活させたシー・ディフィシル(C.difficile)突然変異毒素のいずれかで復帰変異が起こるかどうかを決定するために、失活させた突然変異毒素の試料(1mg/mL)を25℃で5〜6週間インキュベーションした。アリコートを毎週取り出し、IMR90細胞におけるEC50値を決定した。1つのホルムアルデヒド/グリシンで失活させた試料はホルムアルデヒドを含有せず、1つの試料は0.01%のホルムアルデヒドを含有していた。EC50はCPEアッセイによって測定した。
【0499】
【表27】
【0500】
25℃、残留ホルムアルデヒドの非存在下では、部分的な復帰変異が観察される(表11)。5週間後に細胞毒性活性は約3倍増加した。細胞毒性活性は増加したが、5週間後にネイティブ毒素と比較して依然として7log10の低下の低下が存在していた。復帰変異は、ホルマリンを0.010%の濃度で含めることによって完全に予防された。EDC/NHSで失活させた試料では復帰変異は観察されなかった。6週間のインキュベーションの全体にわたって、EDC/NHSで処理した三重突然変異毒素A(配列番号4)およびEDC/NHSで処理した三重突然変異毒素B(配列番号6)の両方の4つのロットすべてにおいて、EC50値は>1000μg/mLの開始レベルに保たれた。対照的に、FIで処理した三重突然変異毒素A(配列番号4)およびFIで処理した三重突然変異毒素B(配列番号6)のEC50値は安定しておらず、許容されないほど低いEC50値まで低下し、これは細胞毒性の増加または失活の復帰変異を示している。表11を参照されたい。
【0501】
細胞毒性を検出不可能なレベルまで安定に低下させることに加えて(>1000μg/mL、CPEアッセイによって測定)、EDC/NHSを使用して失活させた突然変異毒素は毒素中和mAbの標的である重要なエピトープを保持していた。表31を参照されたい。FI突然変異毒素は同じ抗原決定基の損失を示した。
【0502】
【表28】
【実施例24】
【0503】
前臨床免疫原性研究
主要な前臨床目的には、シー・ディフィシル(C.difficile)突然変異毒素AおよびBが含まれる組成物を小動物および非ヒト霊長類(NHP)において試験することが含まれる。マウスおよびハムスターを免疫化して、とりわけ、シー・ディフィシル(C.difficile)組成物が突然変異毒素AおよびBに対する中和抗体を誘発できるかどうかを決定した。マウス、ハムスター、およびカニクイザルマカクにおける一連の免疫化の後に、抗原を血清中和抗体応答の誘導について試験した。一部の実施形態では、遺伝的および/または化学的に失活させた突然変異毒素を、中性バッファー、リン酸アルミニウムバッファー、またはISCOMATRIXをアジュバントとして含有するバッファーのいずれか中で配合した。中和抗体応答は一般にそれぞれのブーストまたは最終用量の約2〜4週間後に試験した。
【0504】
毒素中和アッセイは、シー・ディフィシル(C.difficile)TcdAまたはTcdBによって媒介される細胞毒性効果を中和する抗血清の能力を実証し、したがって試料中に存在する抗体の機能的活性を測定することができる。毒素中和アッセイを、TcdAおよびTcdBのどちらにも感受性があるヒト肺線維芽細胞系、IMR−90に対して行った。手短に述べると、96ウェルマイクロタイタープレートに、毒素媒介性細胞毒性の標的として役割を果たすIMR−90細胞を播種した。それぞれの試験血清試料を、TcdAおよびTcdBを中和する能力について別々に分析した。適切な段階希釈の試験抗血清を固定濃度のTcdAまたはTcdBと混合し、37℃で90分間、加湿インキュベーター内(37℃/5%のCO)でインキュベーションして、毒素の中和を行わせた。品質管理のために、すべてのプレートに参照標準および既知の力価の抗毒素抗体が含まれる対照を含めた。90分後、毒素−抗血清の混合物をIMR−90細胞単層に加え、プレートをさらに72時間インキュベーションした。続いて、CellTiter−Glo(登録商標)基質をアッセイプレートに加えて代謝活性細胞中に存在するアデノシン三リン酸(ATP)レベルを決定し、相対発光量(RLU)として測定した。高いATPレベルは高い細胞生存度を示し、レベルは試料中に存在する抗体による毒素の中和の量に正比例する。前臨床データのために、RLUデータを試験抗血清試料の希釈率の値に対してプロットして、4パラメータロジスティック(4−PL)回帰応答当てはめ曲線を作成した。中和力価は、50%の細胞毒性の低下を示した試料希釈率の値として表した。
【実施例25】
【0505】
マウス免疫原性研究:muC.difficile2010−06
この研究の目的は、それぞれ異なる方法によって化学的に失活させた突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素B(配列番号6)の2つの形態の免疫原性を評価することであった。この研究では、未処理の突然変異毒素B(配列番号6)(遺伝的に失活させたが化学的に失活させていない)を、アジュバントを用いてまたは用いずに対照として使用した。
【0506】
10匹のマウスの群を、10μgの表12による免疫原を用いて筋肉内で免疫化した。
【0507】
【表29】
【0508】
結果:マウスにおいてワクチン候補のそれぞれの投与後に有害事象は存在しなかった。図10に例示したように、それぞれの群のマウスは、それぞれの突然変異毒素を用いた3回目の用量後に顕著な頑強な抗毒素B中和抗体を発生した。
【0509】
12週目の力価に基づいて、マウスにおいてEDCで失活させた突然変異毒素B(第2群)およびホルマリンで失活させた突然変異毒素(第1群)は強力な中和応答を生じたと考えられる。
【0510】
化学的失活が存在しない場合には、遺伝的突然変異毒素B(配列番号6)が2回の用量後に中和応答を生じ(第3〜4群、8週目)、これらを3回目の用量後にブーストした(第3〜4群、12週目)。
【実施例26】
【0511】
マウス免疫原性研究:muC.difficile2010−07:
この研究の目的は、化学的に失活させたシー・ディフィシル(C.difficile)突然変異毒素AおよびB(それぞれ配列番号4および6)の単独または組合せのどちらかの免疫原性を評価することであった。すべての群の免疫原はリン酸アルミニウムをアジュバントとして用いて配合した。
【0512】
5匹のマウスの群、10μgの表13による免疫原を用いて筋肉内で免疫化した。
【0513】
【表30】
【0514】
結果:マウスにおいてワクチン候補のそれぞれの投与後に有害事象は存在しなかった。図11に例示したように、化学的に失活させた遺伝的突然変異毒素の2回の用量後に、抗毒素A中和抗体(第3〜5群)は3〜4log10の力価までブーストされた一方で、抗毒素B中和抗体(第1〜2、5群)は低い〜検出不可能に保たれ、これは上述のマウス研究からのデータと一貫している(図10)。抗毒素B中和抗体は第1、2、および5群において3回目の用量後に2〜3log10までブーストされており(12週目の力価)、4回目の用量の2週間後にそのピークに達した(14週目の力価)。第3〜5群の抗毒素A中和抗体の力価は、3回目(12週目の力価)および4回目の免疫化(14週目の力価)後にわずかに増加した。
【実施例27】
【0515】
ハムスター免疫原性研究:hamC.difficile2010−02:
この研究の目的は、シリアンゴールデンハムスターモデルにおけるシー・ディフィシル(C.difficile)三重突然変異体ならびに化学的に失活させた突然変異毒素AおよびBの免疫原性および保護潜在性を評価することであった。シリアンゴールデンハムスターモデルは、ヒトCDADを刺激するための最良の利用可能な免疫誘発モデルを表す。マウス研究muC.difficile2010−07で使用したものと同じバッチの突然変異毒素AおよびBをこの研究で使用した。対照として、1つの群にはアルミニウム含有アジュバントなしで突然変異毒素を与えた。
【0516】
5匹のシリアンゴールデンハムスターの群を、10μgの表14による免疫原を用いて筋肉内で免疫化した。
【0517】
【表31】
【0518】
結果:突然変異毒素を用いた免疫化後に有害事象は観察されなかった。図12に例示したように、単一用量の突然変異毒素の後、抗毒素A中和応答はホルマリンで失活させた突然変異毒素(第1〜2群)では2〜3log10であり、EDCで失活させた突然変異毒素(第3群)では3〜4log10であった。第2の用量後、抗毒素A抗体は3つの群すべてでブーストされていた。3つの群すべての抗毒素A抗体は、3回目の用量後に増加したようには考えられなかった。4回目の免疫化後に同様の結果が観察され、アルミニウムアジュバントを含有しなかったホルマリン失活の群(第2群)において力価の増加が観察された。
【0519】
抗毒素B中和応答はホルマリンで失活させた突然変異毒素の群(第1〜2群)において検出不可能であり、EDCで失活させた突然変異毒素(第3群)では単一用量後に2log10をわずかに上回っていた。第2の用量後、2つのホルマリン失活の群(第1〜2群)における抗毒素B中和抗体の力価は3〜4log10まで増加した一方で、EDC失活の群(第3群)におけるものは4〜5log10まで増加した。3つの群すべてにおいて、3回目および/または4回目の用量後に抗毒素B中和抗体の力価の増加が観察され、すべての群で16週目にピーク力価に達した(最後の用量の後)。図12を参照されたい。
【0520】
図13では、化学的に失活させた遺伝的突然変異毒素に対する中和抗体応答のレベル(図12)を、List Biological Laboratories,Inc.(カリフォルニア州、Campbell)(本明細書中で「List Bio」または「List Biologicals」とも呼ぶ)トキソイド(すなわち、List Biological Laboratoriesから購入したトキソイドは野生型毒素のホルマリン失活によって調製し、対照試薬を使用してハムスター免疫誘発モデルを確立した)によって誘発させたものと比較した。
【0521】
本明細書中で使用する図および表中の「FI」とは、別段に記述しない限りは2日間、25℃での毒素のホルマリン/グリシン処理をいう。本明細書中で使用する図および表中の「EI」とは、別段に記述しない限りは4時間、30℃でのEDC/NHS処理をいう。図13では、5匹のハムスター動物をそれぞれの突然変異毒素組成物で処置した一方で、11匹のハムスター動物をList Biologicalから購入したトキソイドで処置した。
【0522】
図13のデータは、表14に従って投与したハムスターでは、EDCで失活させた突然変異毒素が含まれる免疫原性組成物によって誘導された毒素A(図13A)および毒素B(図13B)に対するそれぞれの中和抗体の力価は、2回の用量後に、List Biologicalsトキソイドによって誘発されたそれぞれの中和抗体の力価よりも高い。
【実施例28】
【0523】
ハムスター免疫原性研究:シー・ディフィシル(C.difficile)ham2010−02(継続中)
突然変異毒素の保護効率を評価するために、免疫化したハムスターおよび免疫化していない動物の1つの対照群に、正常な腸管内菌叢を乱すために経口量のクリンダマイシン抗生物質(30mg/kg)を最初に与えた。5日後、経口量の野生型シー・ディフィシル(C.difficile)胞子(630株、100cfu/動物)を用いてハムスターを免疫誘発した。動物を免疫誘発後の11日間、ハムスターでは濡れた尾部として知られるCDADの兆候について毎日監視した。いくつかの異なるパラメータを臨床的にスコアづけするシステムを使用して、重度のCDADを有すると決定された動物を安楽死させた。パラメータには、刺激後の活動、脱水、排泄物、温度、および重量などが含まれており、これらは当技術分野で知られている。
【0524】
11日目に研究を終了し、すべての生存している動物を安楽死させた。図14は、免疫化していない対照と比較した3つの免疫化した群(第1〜3群、表14に従う)のそれぞれの生存曲線を示す。図からも明らかなように、免疫化していない動物はすべて重度のCDADを発生し、免疫誘発後1〜3日目に安楽死を必要とした(0%の生存)。ホルマリンで失活させた突然変異毒素を投与したどちらの群も60%の生存曲線を有しており、動物は3日目(第1群)または4日目(第2群)まで安楽死を必要としなかった。EDCで失活させた突然変異毒素を投与した群は80%の生存曲線を有しており、(5匹のうち)1匹の動物が7日目に安楽死を必要とした。したがって、シー・ディフィシル(C.difficile)胞子でハムスターは致死的免疫誘発から保護された。
【実施例29】
【0525】
ハムスター免疫原性研究:hamC.difficile2010−03:遺伝的および化学的に失活させたシー・ディフィシル(C.difficile)突然変異毒素の免疫原性
この研究の目的は、シリアンゴールデンハムスターモデルにおけるアジュバントなしのシー・ディフィシル(C.difficile)三重突然変異体ならびに化学的に失活させた突然変異毒素AおよびB(それぞれ配列番号4および6)の免疫原性を評価することであった。マウス研究muC.difficile2010−07で使用したものと同じバッチの突然変異毒素AおよびB(それぞれ配列番号4および6)をこの研究で使用した。対照として、1つの群(第1群)にはリン酸緩衝溶液をプラセボとして与えた。
【0526】
5または10匹のシリアンゴールデンハムスターの群を、表15による免疫原を用いて免疫化した。動物に3回の用量を与えた。さらに、動物を2週間ごとに投薬した。
【0527】
【表32】
【0528】
結果:図15を参照されたい。プラセボ対照群では抗毒素AまたはB抗体は観察されなかった。1回の用量の後、ホルマリンで失活させた群(第2群)および遺伝的突然変異毒素の群(第4群)では抗毒素A中和抗体が2〜3log10で観察され、EDC失活の群(第3群)では3〜4log10で観察された。抗毒素A中和抗体は、これらの群のそれぞれ(2〜4)において関連する突然変異毒素を用いた第2の免疫化後に増加した(図15の2週目から3週目での力価を比較)。突然変異毒素の3回目の用量の後(4週目に与えた)、第2〜4群における抗毒素A中和抗体の力価はその4週目の力価と比較して増加した。
【0529】
抗毒素B中和抗体は第2の用量後に検出可能であり、ホルマリンで失活させた(第2群)およびEDCで失活させた(第3群)抗毒素B中和抗体は3〜4log10まで増加し、遺伝的三重突然変異体(第4群)は2〜3log10まで増加した。3回目の免疫化の後(4週目)、抗毒素B中和抗体の力価は、ホルマリンで失活させた突然変異毒素(第2群)および遺伝的突然変異毒素(第4群)では3〜4log10までブーストされ、EDCで失活させた突然変異毒素(第3群)では4〜5log10までブーストされた。
【0530】
抗毒素Aおよび抗毒素B中和抗体のどちらでも、ワクチン接種したすべての群(第2〜4群)においてピーク力価は6週目(用量3後)に観察された。
【0531】
Alhydrogel/CpGまたはISCOMATRIXをアジュバントとした免疫原性組成物の評価
Alhydrogel、ISCOMATRIX、またはAlhydrogel/CpG24555(Alh/CpG)を用いて配合した、化学的に失活させた突然変異毒素が含まれる免疫原性組成物で免疫化したハムスターは、頑強な中和抗毒素抗血清を生じた。Alh/CpGまたはISCOMATRIX中で配合した突然変異毒素で免疫化した群は、Alhydrogelを単独で用いて配合したワクチンと比較して、ピーク抗毒素Aおよび抗毒素B応答が2〜3倍高く、統計的に有意であったことが観察された。50%の中和力価を示す表32を参照されたい。100μgのAlhydrogel、または200μgのCpG24555+100μgのAlhydrogel、または10UのISCOMATRIXを用いて配合したそれぞれ10μgの突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬を用いて、ハムスター(n=10匹/群)を0、2、および4週間目にIMで免疫化した。血清をそれぞれの時点で採取し、機能的抗毒素活性の毒素中和アッセイで分析した。相乗平均力価を表32に提供する。Alhydrogel群の力価と比較した場合のアスタリスク()は統計的有意性を示す(p<0.05)。
【0532】
【表33】
【0533】
これらのアジュバントを用いて配合した突然変異毒素原薬が含まれる免疫原性組成物の保護効率を試験した。ハムスターを免疫化し、5週目に経口クリンダマイシン(30mg/kg)を与え、上述の方法に従って免疫誘発した。免疫化していないハムスターの1つの群(n=5匹)を対照として含めた。Alhydrogel単独と比較して(70%の生存)、Alh/CpGまたはISCOMATRIXのいずれかをアジュバントとした突然変異毒素原薬で免疫化したハムスターにおいて有効性の増加が観察された(100%の生存)。したがって、シー・ディフィシル(C.difficile)胞子でハムスターは致死的免疫誘発から保護された。
【実施例30】
【0534】
カニクイザルマカクにおけるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)のワクチン接種
この研究の目的は、カニクイザルマカクにおいて低および高用量のEDCで失活させたおよびホルマリンで失活させたシー・ディフィシル(C.difficile)突然変異毒素の免疫原性を試験することであった。すべての突然変異毒素は、アジュバントなし対照として役割を果たした1つの群(第5群)以外は、アジュバントとしてISCOMATRIX(登録商標)中で配合した。
【0535】
【表34】
【0536】
結果:図16は、これらの動物における0、2、3、4、6、8、および12週目での抗毒素中和抗体応答を示す。抗毒素Aの力価は5つの群すべてで単一用量後に(2週目の力価)2〜3log10であった。これらの力価は、それぞれの群においてそれぞれの続く用量後にブーストされた。これらの動物では、3および4週目の間で力価の低下はなかった。すべての群でピーク力価は4〜5log10であった。すべての時点で、ISCOMATRIXアジュバントを含まない群(第5群)が最も低い力価を有しており、これは、免疫応答をブーストすることにおけるISCOMATRIXの有用性を示している。アジュバントなしの対照群(第5群)は12週目にピーク力価に達し、高用量のEDCで失活させた突然変異毒素で免疫化した群(第4群)も同様であった。すべての他の群は、最後の用量の2週間後である6週目にピーク力価に達した。すべての群の力価は第2の用量後(3週目の時点)にブーストされた。抗毒素A応答と同様、抗毒素B応答は3週目から4週目で減少しなかった。3回目の用量後(6週目の時点)、すべての群の抗毒素B中和抗体の力価は、どちらも4log10をわずかに上回る力価を有していた低用量のホルマリン失活の群(第1群)および高用量のEDC失活の群(第4群)以外は3〜4log10であった。ピーク力価は、8週目にピーク力価を有していた低用量のEDC失活の群(第3群)以外は、すべての群で12週目に観察された。すべての群はピーク力価>4log10を有していた。
【実施例31】
【0537】
モノクローナル抗体の産生
毒素AおよびBは多くの構造的相同性を共有しているが、抗体の中和活性は毒素特異的であることが見出された。本発明では、個々の毒素に特異的であり、様々なエピトープおよび機能的ドメインに向けられており、ネイティブ毒素に対して高い親和性および強力な中和活性を有するいくつかの抗体を同定した。市販のホルマリンで失活させた(FI)突然変異毒素または組換えホロ突然変異毒素(配列番号4および6)のいずれかで免疫化したマウスから単離した抗体は、それぞれ毒素AおよびB mAbを産生するためのその触媒部位中に特定の突然変異を導入することによって、無毒性となった。抗体のエピトープマッピングにより、毒素Aに対するmAbの圧倒的大多数(52個のうちの49)が毒素の非触媒的C末端ドメインに向けられていたことが示された。
【0538】
毒素Bに対するモノクローナルはタンパク質の3つのドメインを標的としていた。合計17個の毒素B特異的mAbのうち、6個はN末端(たとえば630などの野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBのアミノ酸1〜543)に特異的であり、6個はC末端(たとえば630などの野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBのアミノ酸1834〜2366)に特異的であり、5個は中間転位ドメイン(たとえば630などの野生型シー・ディフィシル(C.difficile)TcdBのアミノ酸799〜1833)に特異的であった。したがって、突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素(たとえば配列番号4および6)を免疫化抗原として使用する手法は、突然変異毒素の抗原構造に有害な影響を与える傾向があるホルマリン失活プロセスと比較して、全部でなくてもほとんどの抗原エピトープを提示する主要な利点を提供する。
【実施例32】
【0539】
配列番号36のアミノ酸配列を有する可変軽鎖および配列番号37のアミノ酸配列を有する可変重鎖が含まれる毒素A mAb、A3−25の特徴づけ。
mAb A3−25抗体は、IgG、IgMおよびIgAの一般的に入手可能なアイソタイプ決定キットを使用してその免疫グロブリン(Ig)アイソタイプ決定を定義するすべての試みを許容しなかったため、特に興味深いものであった。Ig H鎖に特異的な抗血清を用いたウエスタンブロットによるさらなる分析により、A3−25は、mAb産生において稀な事象であるIgEアイソタイプのものであることが示された。このことは、A3−25ハイブリドーマ細胞から単離したmRNAのヌクレオチド配列決定によってさらに確認された。A3−25のHおよびL鎖の可変領域のヌクレオチド配列から推定されたアミノ酸配列を図17に示す。
【0540】
シー・ディフィシル(C difficile)感染症および疾患の動物モデルにおいてA3−25 mAbをさらに評価するために、公開されている方法に従ってεH鎖の可変領域をマウスγ重鎖上に分子移植することによって、そのIgアイソタイプをマウスIgG1へと変化させた。
【実施例33】
【0541】
毒素特異的抗体の中和能力およびエピトープマッピング
さらに、機能的/中和抗体を同定する試みとして、すべてのモノクローナルを、標準の細胞変性効果(CPE)アッセイまたは細胞生存度の指示薬としてATPの測定に基づくよりストリンジェントかつ定量的なアッセイにおいて、野生型毒素を中和する能力について評価した。
【0542】
合計52個の毒素A特異的抗体のうち、4個のmAb(A3−25、A65−33、A60−22およびA80−29(表17および図18))は様々なレベルの中和活性を示した。抗体エピトープをマッピングするためにBiaCore競合的結合アッセイおよび血球凝集阻害(HI)アッセイを行った。結果により、これらの抗体は毒素Aタンパク質の様々なエピトープを標的とし得ることが示された(表17)。タンパク質上の結合部位の位置をさらに同定するために、抗体を既知の配列の毒素断片を使用したウエスタンブロットまたはドットブロットアッセイにおいて個々に評価した。4つすべての中和mAbが毒素のC末端領域に向けられていることが見出された。
【0543】
合計17個の毒素B特異的抗体のうち、9個が中和性であることが見出された。この9個の中和mAbのうち、6個がB毒素のN末端に向けられており、他の3個が転位ドメインに向けられていた(表18)。Biacore競合的結合アッセイに基づいて、この9個の中和モノクローナル抗体は、図19に示したように4つのエピトープ群に分類し得る。
【0544】
【表35】
【0545】
【表36】
【実施例34】
【0546】
有意に増強した中和活性を有する新規毒素A抗体の組合せの同定:
4個の毒素A mAb(A3−25、A65−33、A60−22およびA80−29)は、ATPに基づく中和アッセイにおいて個々に試験した場合に不完全または部分的な毒素Aの中和を示した。mAb A3−25が最も強力な抗体であり、他の3つは中和性がより低く、A80−29はバックグラウンドをかろうじて上回っていた(図18)。しかし、図20A〜Cに示したように、A3−25を他の3つのmAbのいずれか1つと組み合わせた場合、3つすべての組合せにおいて個々の抗体の中和の総合計よりもはるかに高い中和の相乗効果が観察された。さらに、3つすべての組合せが抗毒素Aポリクローナル抗体で通常観察される完全な中和能力を示した。
【実施例35】
【0547】
有意に増強した中和活性を示す新規毒素B抗体の組合せの同定:
また、本発明者らは、BiaCore分析によって同定された異なるエピトープ群からの毒素B mAbでも相乗的な中和を観察した。第1群の最も優性なmAbである毒素B mAb B8−26を第3群からの複数のmAbと組み合わせた。組合せを毒素B特異的中和アッセイにおいて評価し、結果を図21および表19に示す。
【0548】
【表37】
【0549】
B8−26をエピトープ群3のmAbと組み合わせた場合に相乗的な中和効果が観察されたが(図21B)、その他のmAbでは観察されなかった(データ示さず)。
【実施例36】
【0550】
安全かつ有効な突然変異毒素組成物のためのmAbによるin vitroスクリーニング:
遺伝子操作によって作製したシー・ディフィシル(C difficile)の遺伝的突然変異毒素AおよびB(たとえば配列番号4および6)は、in vitro細胞毒性アッセイを使用して残留細胞毒性を示した。本発明者らはそれぞれの突然変異毒素、シー・ディフィシル(C.difficile)毒素について約4logの細胞毒性の低下を達成したが(表20)、ホルマリン処理などの突然変異毒素のさらなる化学的失活が好ましいものであった。しかし、化学的失活処理は粗暴な場合があり、これらの毒素または突然変異毒素の主要な抗原エピトープに有害な影響を与える場合がある。
【0551】
【表38】
【0552】
バイオプロセスの最適化のために、ホルマリンおよびEDC/NHS処理を使用した三重突然変異体TcdAおよびB(1mg/mL)の化学的失活の統計的実験設計(DOE)を行った。三重突然変異体TcdAのホルマリン失活を最適化するために、本発明者らはホルマリン/グリシンの濃度(20〜40mM)、pH(6.5〜7.5)、および温度(25〜40℃)を変動させた。三重突然変異体TcdBでは、ホルマリン/グリシン濃度を2〜80mMで変動させ、温度およびpHはそれぞれ25℃および7.0であった。すべてのホルマリン処理のインキュベーション時間は24時間であった。ホルマリン失活では、表21および23中の「40/40」は反応中で使用したホルマリンおよびグリシンの濃度を表す。EDC/NHS処理では、本発明者らはEDC/NHSの濃度を三重突然変異体TcdAの0.25〜2.5mg/mgおよび三重突然変異体TcdBの0.125〜2.5mg/mgで変動させ、4時間、25℃でインキュベーションした。反応の終わりに、すべての試料を10mMのリン酸塩、pH7.0中で脱塩した。精製後、処理したTcdを残留細胞毒性およびドットブロット分析によってエピトープのmAb認識について分析した。目標は、中和mAbのパネルによって認識されるエピトープに負の影響を与えずに(++++または+++)細胞毒性を所望のレベルまで低下させる(EC50>1000μg/mL)処理条件を同定することであった。処理条件(表21〜24中にチェックマーク「∨」で印した)が、それぞれの野生型毒素の細胞毒性と比較して6〜8log10の細胞毒性の低下を示しつつ少なくとも4つの中和mAbに対する反応性を保持した、潜在的に安全かつ有効な免疫原性組成物を与えた。選択した結果を表21〜24に例示する。三重突然変異毒素に対する処理条件を変動させることからのさらなるデータならびにin vitro細胞毒性および毒素中和アッセイからのデータを表33および表34に示す。また、たとえば、突然変異毒素の好ましい架橋結合処理条件に関するさらなる詳細を提供する上記実施例20および21も参照されたい。
【0553】
【表39】
【0554】
【表40】
【0555】
【表41】
【0556】
【表42】
【0557】
【表43-1】
【0558】
【表43-2】
【0559】
表33で参照した三重突然変異毒素A(配列番号4)の試料の化学的架橋結合反応条件
試料1〜4はEDC/NHSで修飾した。条件:30℃、20mMのMES/150mMのNaCl、pH6.5。反応はEDCの添加によって開始させた。2時間の反応後、試料A、B、およびCに1Mのグリシンを50mMのグリシンの最終濃度まで加えた。試料Dにはグリシンを加えなかった。反応は、以下に示すように突然変異毒素A(配列番号4):EDC:NHSの様々な重量比で設定した。
1 L44166−157A、1:0.25:0.25、w:w:w
2 L44166−157B、1:1.25:1.25
3 L44166−157C、1:2.5:2.5
4 L44166−157D、1:2.5:2.5
【0560】
試料5 L44905−160A、80mMのHCHO、80mMのグリシン、80mMのNaPO4、pH7、1mg/mLの突然変異毒素A(配列番号4)タンパク質、48時間の反応、25℃。
【0561】
試料6 L44166−166、突然変異毒素A(配列番号4)のEDC/NHS修飾、25℃、20mMのMES/150mMのNaCl、pH6.5。突然変異毒素A(配列番号4):EDC:NHS=1:0.5:0.5。反応はEDCの添加によって開始させた。2時間の反応後、1Mのグリシンを0.1Mのグリシンの最終濃度まで加え、さらに2時間インキュベーションした。この時点で、Sephadex G25上で反応バッファーを1×PBSへと交換した。
【0562】
試料7 L44905−170A、80mMのHCHO、80mMのグリシン、80mMのNaPO、pH7、1mg/mLの突然変異毒素A(配列番号4)タンパク質、48時間の反応、35℃。このホルマリン反応は、抗原結合が大幅に消失されるように過剰の架橋結合を生成することに向けられていた。
【0563】
試料8 L44897−61、32mMのHCHO/80mMのグリシン、72時間の反応、25℃。
【0564】
試料9 L44897−63、80mMのHCHO/80mMのグリシン、72時間の反応、25℃。
【0565】
以下の反応はすべて24時間の反応時間であった。
試料10 L44897−72、チューブ#1、25℃、80mMのNaPi、pH6.5、20mMのHCHO/20mMのグリシン
試料11 L44897−72、チューブ#2、25℃、80mMのNaPi、pH6.5、40mMのHCHO/40mMのグリシン
試料12 L44897−72、チューブ#3、32.5℃、80mMのNaPi、pH7.0、30mMのHCHO/30mMのグリシン
試料13 L44897−72、チューブ#4、32.5℃、80mMのNaPi、pH7.0、30mMのHCHO/30mMのグリシン
試料14 L44897−72、チューブ#5、32.5℃、80mMのNaPi、pH7.0、30mMのHCHO/30mMのグリシン
試料15 L44897−75、チューブ#6、25℃、80mMのNaPi、pH7.5、20mMのHCHO/20mMのグリシン
試料16 L44897−75、チューブ#7、25℃、80mMのNaPi、pH7.5、40mMのHCHO/40mMのグリシン
試料17 L44897−75、チューブ#8、40℃、80mMのNaPi、pH6.5、20mMのHCHO/20mMのグリシン
試料18 L44897−75、チューブ#9、40℃、80mMのNaPi、pH6.5、40mMのHCHO/40mMのグリシン
試料19 L44897−75、チューブ#10、40℃、80mMのNaPi、pH7.5、20mMのHCHO/20mMのグリシン
試料20 L44897−75、チューブ#11、40℃、80mMのNaPi、pH7.5、40mMのHCHO/40mMのグリシン
【0566】
以下の8個の試料は、25℃で示した時間の間、78mMのHCHOおよび76mMのグリシンを含有する80mMのNaPi、pH7.0中で反応させた。
試料21 L44897−101(修飾前)、TxA対照、時間0の対照試料、修飾されてもHCHO/グリシンに曝露してもいない
試料22 L44897−101、2時間
試料23 L44897−101、4時間
試料24 L44897−101、6時間
試料25 L44897 102、24時間
試料26 L44897−103、51時間
試料27 L44897−104、74時間
試料28 L44897−105、120時間
【0567】
試料29(L44980−004)はEDC/NHSで修飾した突然変異毒素A(配列番号4)であった(三重突然変異毒素A(配列番号4)−EDC)。反応条件:25℃、バッファーは20mMのMES/150mMのNaCl、pH6.6であった。三重突然変異毒素A(配列番号4):EDC:NHS=1:0.5:0.5、w:w:w。反応はEDCの添加によって開始させた。2時間の反応後、グリシンを0.1Mの最終濃度まで加え、さらに2時間、25℃で反応させた。反応はSephadex G25上で脱塩することによって終了させた。
【0568】
以下の12個の試料および2つの対照は、試料を25℃および37℃でインキュベーションした復帰変異実験であった。
反応1=25℃、80mMのNaPi、pH7.0、40mMのHCHOのみ(グリシンなし)、24時間の反応。
反応2=25℃、80mMのNaPi、pH7.0、40mMのHCHO/40mMのグリシン、24時間の反応
試料 反応
30 反応#1、0週目、25℃
31 反応#1、1週目、25℃
32 反応#1、2週目、25℃
33 反応#1、3週目、25℃
34 反応#1、4週目、25℃
35 反応#1、3週目、37℃
36 反応#2、0週目、25℃
37 反応#2、1週目、25℃
38 反応#2、2週目、25℃
39 反応#2、3週目、25℃
40 反応#2、4週目、25℃
41 反応#2、3週目、37℃
42 TxA対照、3週目、25℃
43 TxA対照、3週目、37℃
【0569】
次の4個の試料は、示した時間の25℃、80mMのNaPi、pH7.0、40mMのHCHO/40mMのグリシン中での反応によって作製した。
44 L44897−116−6、29.5時間
45 L44897−116−7、57.5時間
46 L44897−116−8、79.5時間
47 L44897−116−9、123.5時間
【0570】
試料48 L44897−139、48時間の反応、25℃、80mMのNaPi、pH7.0、40mMのHCHO/40mMのグリシン。
【0571】
試料49 L44166−204、突然変異毒素A(配列番号4)のEDC/NHS修飾。25℃、バッファー1×PBS、pH7.0。突然変異毒素A(配列番号4):EDC:NHS=1:0.5:0.5、w:w:w。EDC/NHSを用いた2時間の反応、その後、1Mのグリシンを0.1Mの最終濃度まで添加、さらに2時間の反応。バッファーをSephadex G25上で20mMのL−ヒスチジン/100mMのNaCl、pH6.5へと交換した。
【0572】
【表44-1】
【0573】
【表44-2】
【0574】
【表44-3】
【0575】
【表44-4】
【0576】
表34で参照した突然変異毒素Bの試料の化学的架橋結合反応条件
三重突然変異毒素B(配列番号6)を以下の反応条件に従って化学的に架橋結合させ、試験した。L44905−86試料を3つのホルマリン反応のバリエーションおよび2つのインキュベーション温度を含む実験で試験した。毎日6つの試料を採取して合計18個の試料とした。リストの最初の試料は未処理の対照である(これにより合計19個の試料となる)。未処理の対照には未処理の三重突然変異毒素Bポリペプチド(配列番号6)が含まれていた。
反応1(「Rxn1」)=80mMのHCHO、80mMのグリシン、80mMのNaPO4、pH7、1mg/mLの三重突然変異毒素B(配列番号6)タンパク質
反応2(「Rxn2」)=80mMのHCHO、グリシンなし、80mMのNaPO4、pH7、1mg/mLの三重突然変異毒素B(配列番号6)タンパク質
反応3(「Rxn3」)=80mMのHCHO、グリシンなし、80mMのNaPO4、pH7、1mg/mLの三重突然変異毒素B(配列番号6)タンパク質+シアノ水素化ホウ素キャッピング。シアノ水素化ホウ素キャッピングは、脱塩した最終反応に80mMのCNBrHを加え、24時間、36℃でインキュベーションすることを含んでいた。
【0577】
試料L34346−30Aでは、1gの三重突然変異毒素B(配列番号6)あたり0.5gのEDCおよびNHS、4時間、30℃、20mMのMES、150mMのNaCl、pH6.5。
【0578】
試料L34346−30Bでは、1gの三重突然変異毒素B(配列番号6)あたり0.5gのEDCおよびNHS、2時間、30℃、次いでグリシン(g/Lの最終濃度)の添加、さらに2時間、30℃、20mMのMES、150mMのNaCl、pH6.5中でインキュベーション。L34346−30AおよびL34346−30Bの2つの反応の唯一の差異は、反応L34346−30Bにグリシンを加えることである。
【実施例37】
【0579】
免疫原性組成物によって誘導された抗体は様々なシー・ディフィシル(C.difficile)株からの毒素を中和する能力を有する
突然変異毒素原薬が含まれる免疫原性組成物によって誘導された抗体が広範囲の多様な毒素配列を中和することができるかどうかを評価するために、多様なリボタイプおよび毒素型を表す株を配列決定して、突然変異毒素原薬と比較した、様々な株間の遺伝的多様性の程度を同定した。その後、様々な株からの分泌された毒素を含有する培養上清を、免疫化したハムスターからの血清を使用したin vitro中和アッセイにおいて試験して、免疫原性組成物のカバレッジを決定し、流布している臨床株からの多様な毒素に対して保護する免疫原性組成物の能力を決定した。
【0580】
HT−29細胞(結腸癌細胞系)およびIMR−90細胞をどちらも使用して、CDC株から発現された毒素の中和を試験した。HT−29細胞はTcdAに対して感受性がより高く、これらの細胞における精製したTcdAのEC50は100pg/mLであり、それと比較してTcdBでは3.3ng/mLである。他方では、IMR−90細胞はTcdBに対して感受性がより高く、これらの細胞における精製したTcdBのEC50は9〜30pg/mLの範囲であり、それと比較してTcdAでは0.92〜1.5ng/mLである。これらの細胞系におけるTcdAおよびTcdBの両方のアッセイ特異性は、ポリクローナルおよびモノクローナル毒素特異的抗体の両方を使用することによって確認した。アッセイの正規化のために、24個のCDC単離体の培養濾液をそのそれぞれのEC50値の4倍の濃度で試験した。株のうちの3つは、中和アッセイで試験するには低すぎる毒素レベルを有していた。
【0581】
米国およびカナダにおいて流布しているシー・ディフィシル(C.difficile)の株の95%より高くをカバーする多様なリボタイプ/毒素型を表す24個の株をCDCから得た。これらの単離体のうちには、米国、カナダおよび英国におけるCDADの3つの流行性株であるリボタイプ027、001および078を表す株もあった。株2004013および2004118はリボタイプ027を表し、株2004111はリボタイプ001を表し、株2005088、2005325および2007816はリボタイプ078を表していた。疾患を引き起こす臨床的な単離体と630株との間の遺伝的多様性の程度を同定するために、これらの臨床株からの毒素遺伝子(tcdAおよびtcdB)を配列決定した。表35を参照されたい。Megalign(商標)プログラム(DNASTAR(登録商標)Lasergene(登録商標))中のClustalWを使用して毒素のアミノ酸配列をアラインメントし、配列同一性について分析した。tcdAでは、ゲノムアラインメント分析によりすべての臨床的単離体と株630とが全体的な約98〜100%のアミノ酸配列同一性を共有することが示された。tcdA遺伝子のC末端部分は相違がわずかにより高かった。同じ分析をtcdB遺伝子で行い、これはより高い配列の相違を示した。特に、株2007838/NAP7/126および2007858/NAP1/unk5がN末端(79〜100%)およびC末端ドメイン(88〜100%、データ示さず)において630株から最も相違したパターンを示した。
【0582】
ハムスター血清プール(HS)を、たとえば上述の実施例29、表15による突然変異毒素をEDCで失活させた突然変異体TcdA(配列番号4)および突然変異体TcdB(配列番号6)が含まれ、リン酸アルミニウムを用いて配合した免疫源で免疫化したシリアンゴールデンハムスターから採取した。表35中の結果は、in vitro中和アッセイにおいて、それぞれの培養上清からの少なくとも毒素Bが免疫化したハムスターからの血清によって中和されたことを示す。
【0583】
【表45】
【0584】
図23は、様々なシー・ディフィシル(C.difficile)株からの毒素調製物を使用した、IMR−90細胞に対する中和アッセイの結果を示す。データは、ハムスター抗血清中のTcdB中和抗体が、超毒性株およびTcdA陰性、TcdB陽性の株を含めた、試験した21個すべての単離体からの毒素を中和する能力を有することを示す。シー・ディフィシル(C.difficile)の少なくとも16個の異なる株をCDC(ジョージア州、Atlanta)(以前に記載)から入手し、シー・ディフィシル(C.difficile)培養培地中で、当技術分野で知られており上述した適切な条件下で培養した。分泌された毒素を含有する培養上清を分析してIMR−90単層に対するその細胞毒性(EC50)を決定し、続いて、標準のin vitro中和アッセイにおいてEC50の4倍で、リン酸アルミニウムを用いて配合した突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬で免疫化したハムスターからの血清の様々な希釈率を使用して試験した。それぞれの株の培養上清から得た粗毒素および精製毒素(List Biologicalsから入手した市販の毒素)(それぞれの上清から精製していない)を、上述のin vitro細胞毒性アッセイを使用してIMR−90細胞に対する細胞毒性について試験した。
【0585】
図23A〜Kでは、グラフは、ATPレベル(RLU)を、漸増濃度の、シー・ディフィシル(C.difficile)培養培地とハムスター血清プール(■)、粗毒素とハムスター血清プール(●)、精製毒素とハムスター血清プール(▲)、粗毒素(▼)対照、および精製毒素(◆)対照に対してプロットした、in vitro細胞毒性試験の結果(以前に記載)を示す。それぞれの株からの毒素は4×EC50値で細胞に加えた。
【0586】
図23A〜Kに示したように、記載した免疫原を受けたハムスターは、驚くべきことに、それぞれの毒素のみの対照と比較して、シー・ディフィシル(C.difficile)の少なくとも以下の16個の異なるCDC株からの毒素に対する中和活性を示す中和抗体を発生した:2007886(図23A)、2006017(図23B)、2007070(図23C)、2007302(図23D)、2007838(図23E)、2007886(図23F)、2009292(図23G)、2004013(図23H)、2009141(図23I)、2005022(図23J)、2006376(図23K)。また、毒素を試験し、リン酸アルミニウム中で配合した突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬が含まれる免疫原性組成物によって中和されたさらなるシー・ディフィシル(C.difficile)株にも、表35を参照されたい。
【0587】
別の研究では、様々なシー・ディフィシル(C.difficile)株(CDCおよびリーズ(Leeds)病院、英国から入手)からの分泌された毒素を含有する培養上清を、in vitro中和アッセイにおいて、Alhydrogelを用いて配合した突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬を投与したハムスターからの血清を使用して試験した。実験設計には表36を参照されたい。結果を表37および表38に示す。
【0588】
【表46】
【0589】
【表47】
【0590】
【表48】
【実施例38】
【0591】
EDC/NHS三重突然変異毒素のペプチドマッピング
EDC/NHSで失活させた三重突然変異毒素を特徴づけるために、4ロットのEDC/NHSで処理した三重突然変異毒素A(配列番号4)および4ロットのEDC/NHSで処理した三重突然変異体B(配列番号6)に対してペプチドマッピング実験を行った。突然変異毒素をトリプシンで消化した後、逆相HPLCを使用して生じたペプチド断片を分離した。質量スペクトル分析を使用して失活プロセスの結果として起こる修飾を同定した。突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬のどちらにおいても、理論上のトリプシンペプチドの95%より多くが同定された。架橋結合およびグリシン付加物(グリシンをキャッピング剤として使用した)を同定した。突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬のどちらにおいても、ベータアラニン付加物も観察された。機構または理論に束縛されずに、ベータアラニン付加物は、NHS活性化ベータアラニンを形成する3モルのNHSと1モルのEDCとの反応から生じると考えられる。その後、この分子がリシン基と反応してベータアラニン付加物(+70Da)を形成することができる。EDC/NHSで処理した三重突然変異毒素Bの試料では、低レベル(0.07モル/1モルのタンパク質)のデヒドロアラニン(−34Da)も観察された。デヒドロアラニンはシステイン残基の脱スルホン化の結果である。同じ種類および度合の修飾がそれぞれの突然変異毒素の4つすべてのバッチで観察され、このプロセスが一貫した生成物を生じることを示している。ペプチドマッピング(95%より高い配列カバレッジ)により修飾が存在することが確認される。修飾の要約を表39に示す。また図24〜25も参照されたい。さらに、三重突然変異毒素A原薬および三重突然変異毒素B原薬の大きさおよび荷電の不均一性は、化学的失活が存在しない場合のそれぞれの三重突然変異毒素Aおよび三重突然変異毒素Bの大きさおよび荷電の不均一性と比較して増加した。その結果、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)および陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)プロフィールは比較的幅広いピークを有していた(データ示さず)。
【0592】
【表49】
【実施例39】
【0593】
薬物製品の生成
シー・ディフィシル(C.difficile)免疫原性組成物(薬物製品)は2つの活性薬学的成分(突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬)を含有する。例示的な薬物製品は、突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬のそれぞれが含まれる、10mMのトリスバッファー、pH7.4、4.5%(w/w)のトレハロース二水和物、および0.01%(w/v)のポリソルベート80を含有する凍結乾燥した配合物である。表40を参照されたい。免疫原性組成物は、凍結乾燥したワクチンを希釈剤またはAlhydrogelを含有する希釈剤のどちらかに再懸濁させることによって、注射用に調製する。プラセボには無菌的な注射用生理食塩水(0.9%の塩化ナトリウム)が含まれる。
【0594】
【表50】
【0595】
バッファーの調製
注射用水(WFI)を配合用容器に加える。混合しながら賦形剤を加え、溶液となるまで溶かす。pHを測定する。必要な場合は、pHをHClで7.4±0.1に調節する。溶液をWFIで最終重量まで希釈し、その後、0.22μmのMillipore Express SHC XL150フィルターを使用して濾過する。濾過前の汚染微生物数低下試料を濾過前に採取する。濾過したバッファーを重量モル浸透圧濃度およびpHのためにサンプリングする。
【0596】
配合物の調製
解凍した突然変異毒素原薬を以下の操作順序で事前に計算した量に基づいて配合容器中にプールする:0.6mg/mLを達成するための標的希釈率のバッファー体積の50%を最初に容器に加え、次いで突然変異毒素A原薬を加え、5分間、100rpmで混合する。その後、突然変異毒素B原薬を容器に加え、溶液を0.6mg/mLの希釈点までさらに希釈し、その後、さらに5分間、100rpmで混合する。試料を取り出し、全突然変異毒素濃度について試験する。溶液をプロセス内の突然変異毒素濃度値に基づいて100パーセント体積まで希釈し、その後、15分間、100rpmで混合する。配合された薬物製品をpHおよび濾過前の汚染微生物数についてサンプリングする。その後、配合された薬物製品をMillipore Express SHC XL150を使用して濾過し、終夜貯蔵するか、または滅菌濾過のために標線(filling line)まで充填する。
【0597】
配合されたバルクを充填領域に移動し、汚染微生物数についてサンプリングし、その後、2つの直列のMillipore Express SHC XL150フィルターで滅菌濾過する。配合されたバルクを0.73mLの標的充填体積で発熱物質除去したガラスバイアル内に充填する。満たしたバイアルに部分的に栓をし、その後、凍結乾燥機にローディングする。凍結乾燥サイクルは表41に示したように実行する。サイクルの完了時に、凍結乾燥チャンバを窒素で0.8atmまで埋め戻し、その後、栓を完全にはめ込む。チャンバからバイアルを出し、フリップオフシールを使用してバイアルにキャップをする。
【0598】
【表51】
【0599】
薬物製品の安定性データを表42に要約する。データは、薬物製品が2〜8℃で少なくとも3カ月または25°もしくは40℃で少なくとも1カ月の貯蔵中に物理的および化学的に安定であることを示唆している。どちらの貯蔵条件下でも、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって検出された不純物のレベルは変化せず、試験した最新時点までの間にin vitro抗原性の変化も存在しなかった。
【0600】
【表52】
【実施例40】
【0601】
ワクチン希釈剤
再構成時に等張な溶液を確実にするために、生理食塩水には、アジュバントをまったく用いない60mMのNaClを凍結乾燥薬物製品の希釈剤として使用する。
【0602】
Alhydrogel:Alhydrogel「85」2%(Brenntag)は、水酸化アルミニウムの八面体の結晶性シートから構成される市販の適正製造基準(GMP)グレードの製品である。例示的なAlhydrogel希釈剤配合物を表43に示す。例示的な配合物は上述の薬物製品と組み合わせて使用し得る。
【0603】
【表53】
【0604】
Alhydrogelアジュバントを用いた研究は、pH6.0〜7.5で突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬と1mgのAl/mLのAlhydrogelとの100%の結合を示す。両方の原薬の最大結合が試験した最大のタンパク質濃度(それぞれ300μg/mL)で見られた。
【0605】
また、タンパク質とAlhydrogelとの結合も、200μg/mLのそれぞれの原薬および0.25〜1.5mg/mlの範囲のAlhydrogelを含有する凍結乾燥薬物製品配合物を用いて試験した。薬物製品を様々な濃度のAlhydrogelを含有する希釈剤で再構成し、結合したそれぞれの突然変異毒素のパーセントを測定した。Alhydrogelのすべての試験した濃度で抗原の100%の結合が実証された。
【0606】
また、標的用量の突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬(それぞれ200μg/mL)でのタンパク質とAlhydrogelとの結合動力学も評価した。結果は、24時間のRTの時間経過の間全体にわたって、突然変異毒素原薬の100%がAlhydrogelと結合していたことを示す。
【0607】
CpG24555およびAlhydrogel:CpG24555は、配列5−TCG TCG TTTTTC GGT GCT TTT−3(配列番号48)を有する合成21量体オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)である。CpG24555とAlhydrogel希釈剤との組合せの例示的な配合物を表44に示す。例示的な配合物は上述の薬物製品と組み合わせて使用し得る。
【0608】
【表54】
【0609】
ISCOMATRIX(登録商標):ISCOMATRIX(登録商標)アジュバントは、当技術分野で知られているサポニンに基づくアジュバントである。ISCOMATRIX(登録商標)アジュバント配合物の例示的な配合物を表45に示す。例示的な配合物は上述の薬物製品と組み合わせて使用し得る。
【0610】
【表55】
【実施例41】
【0611】
NHPモデルにおけるAlhydrogelをアジュバントとした突然変異毒素原薬組成物の免疫原性および前臨床概念証明
NHP、具体的にはカニクイザルマカクにおけるAlhydrogelをアジュバントとした突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬組成物の免疫原性を評価した。2週間間隔で(0、2、4週目)、それぞれ10μgの突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬組成物(Alhydrogelを用いて配合)/用量を用いて免疫化したNHPは、頑強な中和抗毒素応答を発生した。表46を参照されたい。抗毒素Aおよび抗毒素B中和応答はどちらも3回目の免疫化後に保護範囲に達し、少なくとも33週目まで(研究した最後の時点)保護範囲内またはそれより高く保たれた。
【0612】
250μgのAlhydrogel中で配合したそれぞれ10μgの突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬を用いて、カニクイザルマカク(n=8匹)を0、2および4週目にIMで免疫化した。血清をそれぞれの時点で採取し、機能的抗毒素活性の毒素中和アッセイにおいて分析した。GMTを表46に提供する。表中に提供する保護力価の範囲は、Merckモノクローナル抗体治療治験におけるシー・ディフィシル(C.difficile)感染症の再発の有意な低下に相関する中和抗体の力価の範囲を示す。
【0613】
【表56】
【0614】
NHPにおける、Merck mAb治療治験からのヒト保護抗体力価とPfizerのワクチン候補によって誘導された力価との相関
Merck/Medarex mAbを用いた第II相有効性研究(Lowyら、N Engl J Med.2010 Jan21;362(3):197〜205)は、血清中の中和抗毒素mAbのレベルとCDADの再発の予防との間の相関を実証していると考えられる。毒素特異的mAbをヒトに投与した後、ヒトレシピエントにおける10〜100μg/mLの範囲内の血清抗体レベルが再発に対して保護すると考えられる(CDADの再発の70%の低下)。
【0615】
免疫原性組成物がヒトにおいて潜在的に有効な中和抗体応答を誘導することができるかどうかを測るために、Merck/Medarexの第II相研究の公開データを、NHPモデルにおいて免疫原性組成物によって誘導された抗体のレベルと比較することによって、突然変異毒素原薬が含まれる免疫原性組成物を試験した。これは、Merck/Medarex mAbの以前に公開されている特徴を利用して再発の兆候を示さなかった対象から得たこれらのmAbの範囲(10〜100μg/mL)を50%の中和力価へと変換し、これらの力価(「保護力価の範囲」)を本明細書中に記載の前臨床モデルで観察された力価と比較することによって達成した。表46に示したように、Alhydrogelをアジュバントとした突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬が含まれる免疫原性組成物は、NHPにおいて3回目の用量後に「保護範囲」に達し、33週目までこの範囲内またはそれより高く保たれた免疫応答を生じた。NHPにおいて本発明のシー・ディフィシル(C.difficile)免疫原性組成物によって誘導された毒素中和抗体のレベルは、CDADの再発から保護されていたと考えられるMerck/Medarex治験対象における血清抗体レベルに匹敵する。
【実施例42】
【0616】
NHPモデルにおけるISCOMATRIXまたはAlhydrogel/CpG24555(Alh/CpG)をアジュバントとした突然変異毒素原薬組成物の免疫原性
NHPでは、ISCOMATRIXおよびAlh/CpGはどちらも、Alhydrogelを単独で用いて投与したワクチンと比較して、抗毒素AおよびBの中和力価を統計的に有意に増強した(表47)。Alhydrogel単独と比較して(4〜6週目)、Alh/CpGまたはISCOMATRIXのいずれかを用いて投与したワクチン(2〜4週目)によって、より早い時点でバックグラウンドを超える抗毒素応答が誘発され、これはヒトにおけるCDADの再発の保護に対して重要な効果を有し得る。Alhydrogelと比較して、Alh/CpGまたはISCOMATRIXをアジュバントとした免疫原性組成物は、より迅速に保護範囲に達し(実施例41も参照)、33週目までこの範囲内またはそれより高く保たれた抗毒素中和力価を生じた。
【0617】
表47に示したように、250μgのAlhydrogel(n=8匹)、または500μgのCpG+250μgのAlhydrogel(n=10匹)、または45UのISCOMATRIX(n=10匹)中で配合したそれぞれ10μgの突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬を用いて、カニクイザルマカクを0、2、および4週目にIMで免疫化した。血清をそれぞれの時点で採取し、上述の機能的抗毒素活性の毒素中和アッセイで分析した。GMTを表に記載する。アスタリスク()は、Alhydrogel群における力価と比較した場合の統計的有意性(p<0.05)を示す。保護力価の範囲は、Merck/Medarex mAb治療治験によるシー・ディフィシル(C.difficile)感染症の再発の有意な低下に相関する中和抗体の力価の範囲を表す。
【0618】
【表57】
【0619】
また、NHPにおいて生じた中和抗毒素抗体価に対する、ISCOMATRIXまたはAlh/CpGアジュバントの存在下での投与した突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬の用量も評価した。1つの研究では、低(10μg)または高(100μg)用量のISCOMATRIX中で配合したそれぞれの突然変異毒素原薬をNHPに投与した。応答を免疫化後のそれぞれの時点で比較した。表48に示したように、抗毒素中和力価はどちらの処置群でも頑強であった。抗毒素Aの力価はほとんどの時点において低用量および高用量の群の間でほぼ同等であった一方で、抗毒素Bの力価は高用量の群でより高い傾向があった。
【0620】
【表58】
【0621】
表48に示したように、それぞれ10μgまたは100μgの45UのISCOMATRIXを用いて配合した突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬を用いて、カニクイザルマカク(n=5匹)を0、2、および4週目にIMで免疫化した。血清をそれぞれの時点で採取し、機能的抗毒素活性の毒素中和アッセイで分析した。GMTを表に記載する。保護力価の範囲は、Merck/Medarex mAb治療治験におけるシー・ディフィシル(C.difficile)感染症の再発の有意な低下に相関する中和抗体の力価の範囲を表す。
【0622】
抗毒素B応答の動力学を増強させる試みとして、ISCOMATRIXまたはAlh/CpGアジュバントの存在下で漸増用量の突然変異毒素B原薬(10、50、または100μg)と混合した一定用量の突然変異毒素A原薬(10μg)を用いてNHPを免疫化した。アジュバントにかかわらず、10μg用量の突然変異毒素B薬物と比較して、より高い用量の突然変異毒素B原薬(50または100μgのどちらか)を受けた群がより高い抗毒素B中和応答を誘導する傾向が存在した(表50、統計的に有意な増加を示すためにによって印した)。この傾向は最終免疫化後のほとんどの時点で観察された。しかし、一部の事例では、突然変異毒素Bの量が増加した場合に抗毒素A中和応答が統計的に有意な減少を示した(表49中に∧によって印した)。
【0623】
表49および表50に示したように、ISCOMATRIX(45U/用量)またはAlh/CpG/(250μg/500μg/用量)を用いて配合した様々な比の突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬(10μgの突然変異毒素A原薬+10、50、または100μgのいずれかの突然変異毒素B原薬、表49および表50中でそれぞれ10A:10B、10A:50Bおよび10A:100Bと命名)を用いて、NHP(10匹/群)を0、2、および4週目にIMで免疫化した。表49は抗毒素Aの力価を示す。表50は抗毒素Bの力価を示す。GMTを表に記載する。保護力価の範囲は、Merck mAb治療治験におけるシー・ディフィシル(C.difficile)感染症の再発の有意な低下に相関する中和抗体の力価の範囲を表す。記号∧は、10A:10B群と比較した中和力価の統計的に有意な減少を表す(p<0.05)。アスタリスク記号は、10A:10B群と比較した中和力価の統計的に有意な増加を表す(p<0.05)。
【0624】
【表59】
【0625】
【表60】
【実施例43】
【0626】
カニクイザルにおける免疫原性組成物を用いた5週間の繰返し用量のIM毒性研究、4週間の回復期間を伴う
カニクイザルにおけるPF−06425095(アジュバント水酸化アルミニウムおよびCpG24555と組み合わせた三重突然変異毒素A原薬および三重突然変異毒素B原薬が含まれる免疫原性組成物)を用いた5週間のIM繰返し用量の毒性研究を実施して、アジュバント水酸化アルミニウムおよびCpG24555と組み合わせたシー・ディフィシル(C.difficile)三重突然変異毒素A原薬および三重突然変異毒素B原薬(PF−06425095)の潜在的な毒性および免疫原性を評価した。0.2または0.4mg/用量の三重突然変異毒素A原薬および三重突然変異毒素B原薬(それぞれ低および高用量の免疫原性組成物の群)、0.5mgのアルミニウム(水酸化アルミニウムとして)、および1mgのCpG24555のPF−06425095、ならびにアジュバントの組合せ単独(水酸化アルミニウム+CpG24555、PF−06376915)を、カニクイザル(6匹/性別/群)に初回刺激用量としてIMで投与した、続いて3回のブースター用量(1、8、22、および36日目)を投与した。別の動物の群(6匹/性別)は約pH7.0の0.9%の等張生理食塩水を受けた。免疫原性組成物ビヒクルは10mMのトリスバッファー、pH7.4、4.5%のトレハロース二水和物、および0.1%のポリソルベート80から構成されていた。アジュバント対照ビヒクルは60nMのNaClを含む10mMのヒスチジンバッファー、pH6.5から構成されていた。合計用量体積は1回の注射あたり0.5mLであった。すべての用量を左および/または右の四頭筋内に投与した。研究の投薬段階中に観察されたいずれかの効果の可逆性を評価するために、選択した動物を4週間の投薬なしの観察期間に供した。
【0627】
この研究では有害な発見は存在しなかった。PF−06425095は良好に耐用され、局所的な炎症性反応しか生じず、全身性毒性の証拠はなかった。投薬段階中、免疫原性組成物で処理した群では、4および38日目にフィブリノーゲン(23.1%から2.3×)、4日目(2.1×から27.5×)および38日目(2.3×から101.5×)にC反応性タンパク質、ならびに36および/または38日目にグロブリン(11.1%から24.1%)の、予備試験からの用量依存的な増加がで見られ、アジュバントを用いた免疫原性組成物の投与に対する予想された炎症反応と一貫していた。
【0628】
4日目に注目されたフィブリノーゲンおよびC反応性タンパク質の増加は8日目までに部分的に回復しており、高用量の免疫原性組成物の群のみでフィブリノーゲン(25.6%から65.5%)およびC反応性タンパク質(4.5×および5.6×)が増加していた。低および高用量の免疫原性組成物の群において、インターロイキン(IL)−6の増加が1日目、3時間目(1日目、0時間目の個々の値の8.3×から127.2×、用量応答性)および36日目、3時間目(36日目、0時間目の個々の値の9.4×から39.5×)に観察された。他のサイトカイン(IL−10、IL−12、インターフェロン−誘導タンパク質(IP−10))、および腫瘍壊死因子α(TNF−α)では変化は観察されなかった。これらの急性期タンパク質およびサイトカインの増加は、外来抗原の投与に対する予想された正常な生理的応答の一部であった。回復段階においてこれらの臨床的病理学的パラメータにPF 06425095関連またはアジュバント関連の変更は存在しなかった(サイトカインは回復段階中に評価しなかった)。さらに、注射部位に局所的な変化が存在し、これらはアジュバント対照群と低および高用量の免疫原性組成物の群とで同様の発生率および重症度であったため、PF−06425095と直接関連していなかった。投薬段階中、変化には、マクロファージの浸潤による筋線維の分離によって特徴づけられた軽度から中等度の慢性活動性炎症が含まれており、多くの場合これは好塩基球性顆粒物質(アルミニウム含有アジュバントと解釈される)、リンパ球、形質細胞、好中球、好酸球、壊死性細片、および浮腫を含有する。また、好塩基球性顆粒物質は、これら慢性活動性炎症の病巣内にも細胞外で存在していた。回復段階の終了時に軽度から中等度の慢性炎症および単核細胞浸潤ならびに軽度の線維症が存在していた。これらの注射部位での発見はアジュバントに対する局所的炎症反応を表す。他の微視的な変化には、アジュバント対照群ならびに低および高用量の免疫原性組成物の群において投薬段階中に注目された、腸骨(流入領域)リンパ節における軽度から中等度に増加したリンパ球細胞充実度および脾臓の胚中心における軽度に増加した細胞充実度が含まれていた。回復段階の終了時には、これらの微視的な発見の重症度はより低かった。これらの効果は抗原刺激に対する免疫学的応答を表し、アジュバントまたはPF−06425095に対する薬理学的応答であった。抗DNA抗体に被験物質関連の増加は存在しなかった。
【0629】
有害な発見が存在しないことに基づいて、この研究における無毒性量(NOAEL)は、2回の0.5mLの注射として4回の用量を投与した高用量の免疫原性組成物の群である(PF−06425095として0.4mgの三重突然変異毒素A原薬および三重突然変異毒素B原薬/用量)。
【実施例44】
【0630】
ハムスターに受動伝達した血清陽性NHP血清の有効性
正常な腸管内菌叢を乱すために5匹のシリアンゴールデンハムスターの群に経口量のクリンダマイシン抗生物質(30mg/kg)を投与した。5日後、経口量の野生型シー・ディフィシル(C.difficile)胞子(630株、100cfu/動物)を用いてハムスターを免疫誘発し、表51に従ってNHP血清を腹腔内(IP)投与した。機構または理論に束縛されずに、胞子を用いた免疫誘発後の疾患症状は、典型的には免疫誘発の約30〜48時間後から現れ始める。
【0631】
ハムスターに投与したNHP血清は、ISCOMATRIXを用いて配合した突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬(10:10、10:50、および10:100のA:Bの比)を用いた3回の免疫化後に最も高い力価を示すNHP血清試料(抗毒素A血清および抗毒素B血清)からプールした(実施例42、表49、および表50を参照)。実施例42に記載する、NHP血清は5、6、および8週目の時点で採取した(免疫化は0、2、および4週目に起こった)。結果を以下の表52〜54に示す。記号「+」は、非応答者である動物#3を含めない、()内に示す相乗平均(GM)を示す。「TB」は動物を安楽死させた日の終末時出血を表し、すべての動物で同じではない。
【0632】
【表61】
【0633】
【表62】
【0634】
【表63】
【0635】
【表64】
【0636】
別の研究では、正常な腸管内菌叢を乱すためにシリアンゴールデンハムスターに経口量のクリンダマイシン抗生物質(30mg/kg)を投与した。5日後、経口量の野生型シー・ディフィシル(C.difficile)胞子(630株、100cfu/動物)を用いてハムスターを免疫誘発し、表55に従ってNHP血清を腹腔内(IP)投与した。機構または理論に束縛されずに、胞子を用いた免疫誘発後の疾患症状は、典型的には免疫誘発の約30〜48時間後から現れ始める。
【0637】
ハムスターに投与したNHP血清は、AlhydrogelおよびCpG24555を用いて配合した突然変異毒素A原薬および突然変異毒素B原薬(10:10、10:50、および10:100のA:Bの比)を用いた3回の免疫化後にNHPから採取した試料からプールした(実施例42、表49、および表50を参照)。実施例42に記載する、NHP血清は5、6、8、および12週目の時点で採取した(NHPは0、2、および4週目に免疫化した)。結果を以下の表56〜59に示す。ハムスターからの血清をさらに調査して、上述の毒素中和アッセイを使用して阻害濃度(IC50)値を決定した。ハムスターにおいて本発明のシー・ディフィシル(C.difficile)免疫原性組成物によって誘導された毒素中和抗体のレベルは、CDADの再発から保護されていたと考えられるMerck/Medarex治験対象における血清抗体レベルに匹敵する。
【0638】
【表65】
【0639】
【表66】
【0640】
【表67】
【0641】
【表68】
【0642】
【表69】
【実施例45】
【0643】
突然変異毒素原薬の特徴づけ
三重突然変異毒素Aの一次構造を配列番号4に示す。配列番号4の位置1のNH末端のMet残基は配列番号12の開始コドンに由来するものであり、単離したタンパク質中には存在しない(たとえば配列番号84を参照)。したがって、実施例12〜実施例45において、「配列番号4」とは最初のメチオニン(位置1)が存在しない配列番号4をいう。精製した三重突然変異毒素A(配列番号4)(原薬中間体−ロットL44993−132)およびEDC/NHSで処理した三重突然変異毒素A(配列番号4)(「突然変異毒素A原薬」−ロットL44898−012)はどちらもSLISKEELIKLAYSI(配列番号4の位置2〜16)から開始される単一のNH末端配列を示した。
【0644】
三重突然変異毒素Bの一次構造を配列番号6に示す。配列番号6の位置1のNH末端のMet残基は開始コドンに由来するものであり、単離したタンパク質中には存在しない(たとえば配列番号86を参照)。したがって、実施例12〜実施例45において、「配列番号6」とは最初のメチオニン(位置1)が存在しない配列番号6をいう。精製した三重突然変異毒素B(配列番号6)(原薬中間体−ロット010)およびEDC/NHSで処理した三重突然変異毒素B(配列番号6)(「突然変異毒素B原薬」−ロットL44906−153)はどちらもSLVNRKQLEKMANVR(配列番号6の位置2〜16)から開始される単一のNH末端配列を示した。
【0645】
円二色性(CD)分光分析を使用して三重突然変異体A(配列番号4)および突然変異毒素A原薬の二次および三次構造を評価した。また、CD分光分析を使用して三重突然変異毒素B(配列番号6)および突然変異毒素B原薬の二次および三次構造も評価した。また、CD分光分析は、構造に対するpHの潜在的な効果を評価するためにも使用した。三重突然変異毒素Aに対するEDC処理の効果は、突然変異毒素A原薬で得られたCDデータを三重突然変異毒素Aで得られたデータと比較することによって分析した。三重突然変異毒素B(配列番号6)に対するEDC処理の効果は、突然変異毒素B原薬で得られたCDデータを三重突然変異毒素Bで得られたデータと比較することによって分析した。
【0646】
突然変異毒素A原薬の遠UV CDデータを様々なpHで得た。pH5.0〜7.0で記録されたスペクトルは二次構造中の高いα−ヘリックスの割合の指標であり、タンパク質のポリペプチド主鎖が、α−ヘリックスが優勢な明確に定義されたコンホメーションを採ることを示唆している。
【0647】
また、突然変異毒素A原薬の近UV CDスペクトルも得た。260〜300nmの強い負の楕円率は、芳香族側鎖が固有の強固な環境にあること、すなわち突然変異毒素A原薬が三次構造を保有することの指標である。実際、個々の芳香族側鎖の種類から生じる特徴的な特長をスペクトル内で識別することができる:約290nmのショルダーおよび約283nmの最大の負のピークは、秩序的なトリプトファン側鎖による偏光の吸光度が原因であり、276nmの負のピークはチロシン側鎖からのものであり、262および268nmの小さなショルダーは三次接触に関与しているフェニルアラニン残基の指標である。遠および近UVの結果は、突然変異毒素A原薬が生理的pHでコンパクトに折り畳まれた構造を保つことの証拠を提供する。pH5.0〜7.0で観察されたほぼ同一の遠および近UV CDスペクトルは、このpH範囲内で検出可能な構造的変化が起こっていないことを示す。PH3.0および4.0ではタンパク質がこれらのpH点で不溶性であるため、CDデータを収集することができなかった。突然変異毒素A原薬の遠および近UV CDスペクトルを三重突然変異毒素Aのものと比較すると、どちらのタンパク質のスペクトルも研究したすべての実験条件下で本質的に同一であり、これはEDC処理が三重突然変異毒素Aの二次および三次構造に対して検出可能な効果を有さないことを示している。この発見は、それぞれストークス半径および沈降/摩擦係数に検出可能な変化を示さないゲル濾過および分析的超遠心分離の結果と一致している。
【0648】
突然変異毒素A原薬(および三重突然変異毒素A)は、一次配列の全体にわたって広がっており、好都合な内因性の蛍光プローブとして役割を果たすことができる25個のトリプトファン残基を含有する。300〜400nmの突然変異毒素A原薬の蛍光発光スペクトルを温度の関数として得た。6.8℃で、突然変異毒素A原薬は、280nmで励起した際に特徴的なトリプトファン蛍光発光スペクトルを示す。蛍光発光の最大は約335nmで観察され、これは、トリプトファン残基が極性の水性環境ではなくタンパク質内部に典型的な非極性環境にあることを示している。蛍光発光スペクトルの結果が本報告書中に提示するCD実験の結果とあいまって、突然変異毒素A原薬がコンパクトな折り畳まれた構造を保つことが確認される。
【0649】
外因性プローブ8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸(ANS)の蛍光を使用して、pHが変化した際に突然変異毒素A原薬および三重突然変異毒素Aにおいて可能なコンホメーション変化を特徴づけた。結果から見ることができるように、突然変異毒素A原薬または三重突然変異毒素Aのいずれかをプローブを用いてpH7.0で滴定した場合にANS蛍光強度は本質的に増加せず、これは、これらの条件下ではタンパク質上に疎水性表面が曝露されていないことを示唆している。pHを2.6にシフトさせることで、蛍光量子収率が明らかな飽和に達するまで、プローブの濃度の増加に伴ってANS蛍光量子収率の劇的な増加がもたらされる。このANS蛍光量子収率の増加は、低pH(2.6)で突然変異毒素A原薬および三重突然変異毒素AがどちらもpHに誘導されるコンホメーション変化を受けて、疎水性表面を曝露させることを示す。そのようなコンホメーション変化は、EDCに誘導された修飾および三重突然変異毒素Aの失活が突然変異毒素A原薬(DS)のコンホメーション柔軟性を制限しなかったことを示している。
【0650】
三重突然変異毒素Aの流体力学的特性に対するEDC処理の効果を、G4000 SWXLカラム上のサイズ排除クロマトグラフィーを使用して評価した。突然変異毒素A原薬および三重突然変異毒素AをpH7.0、6.0、および5.0で平衡化したG4000 SWXLカラム上に注入した。データは、突然変異毒素A原薬および三重突然変異毒素Aのストークス範囲の差異はサイズ排除クロマトグラフィーを使用して検出することができないことを示している。したがって、EDC処理は流体力学的特性、またそれに対応して三重突然変異毒素Aの全体的な分子形状に劇的な影響を与えていない。
【0651】
多角度レーザー光散乱(MALLS)技法を使用して三重突然変異毒素Aおよび突然変異毒素A原薬のさらなる分析を行った。三重突然変異毒素AをEDCで処理することで、様々な多量体および単量体の種から構成される異種混合物の作製がもたらされた。そのような不均一性は、タンパク質のカルボキシルと第一級アミンとの間の、EDCに誘導された多数の分子間および分子内の共有結合の導入を反映する。
【0652】
得られたデータは三重突然変異毒素Aおよび突然変異毒素A原薬(EDCで処理した三重突然変異毒素A)の物理的および化学的な特徴を提供しており、その一次、二次、および三次構造の主要な特長を説明している。生成されたデータは、三重突然変異毒素AをEDCで処理することでそのポリペプチド鎖の共有的修飾がもたらされたが、タンパク質の二次および三次構造に影響が与えられなかったことを実証している。EDCを用いた処理は分子内および分子間の架橋結合をもたらす。突然変異毒素A原薬(および三重突然変異毒素A)で得られた生化学的および生物物理学的なパラメータを表60に提示する。
【0653】
【表70】
【0654】
突然変異毒素B原薬の遠UV CDデータを様々なpHで得た。pH5.0〜7.0で記録されたスペクトルは二次構造中の高いα−ヘリックスの割合の指標であり、タンパク質のポリペプチド主鎖が、α−ヘリックスが優勢な明確に定義されたコンホメーションを採ることを示唆している。
【0655】
また、突然変異毒素B原薬の近UV CDスペクトルも得た。260〜300nmの強い負の楕円率は、芳香族側鎖が固有の強固な環境にあること、すなわち突然変異毒素B原薬が三次構造を保有することの指標である。実際、個々の芳香族側鎖の種類から生じる特徴的な特長をスペクトル内で識別することができる:約290nmのショルダーおよび約283nmの最大の負のピークは、秩序的なトリプトファン側鎖による偏光の吸光度が原因であり、276nmの負のピークはチロシン側鎖からのものであり、262および268nmの小さなショルダーは三次接触に関与しているフェニルアラニン残基の指標である。遠および近UV CDスペクトルは、突然変異毒素B原薬が生理的pHでコンパクトに折り畳まれた構造を保つことの証拠を提供する。pH5.0〜7.0で観察された非常に類似した遠および近UV CDスペクトルは、このpH範囲内で検出可能な二次または三次の構造的変化が起こっていないことを示す。PH3.0および4.0ではタンパク質がこれらのpH点で不溶性であるため、CDデータを収集することができなかった。
【0656】
突然変異毒素B原薬の遠および近UV CDスペクトルを三重突然変異毒素Bのものと比較すると、どちらのタンパク質のスペクトルもpH5.0と7.0との間で非常に類似しており、これはEDC処理がタンパク質の二次および三次構造に対して検出可能な効果を有さないことを示している。
【0657】
三重突然変異毒素Bは、一次配列の全体にわたって広がっており、好都合な内因性の蛍光プローブとして役割を果たすことができる16個のトリプトファン残基を含有する。300〜400nmの突然変異毒素B原薬の蛍光発光スペクトルを温度の関数として得た。7℃で、突然変異毒素B原薬は、280nmで励起した際に特徴的なトリプトファン蛍光発光スペクトルを示す。蛍光発光の最大は約335nmで観察され、これは、トリプトファン残基が極性の水性環境ではなくタンパク質内部に典型的な非極性環境にあることを示している。この結果がCD実験の結果(上記参照)とあいまって、突然変異毒素B原薬がコンパクトな折り畳まれた構造を保つことが確認される。
【0658】
外因性プローブ8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸(ANS)の蛍光を使用して、pHが変化した際に突然変異毒素B原薬および三重突然変異毒素Bにおいて可能なコンホメーション変化を特徴づけた。結果から見ることができるように、突然変異毒素B原薬または三重突然変異毒素Bのいずれかをプローブを用いてpH7.0で滴定した場合にANS蛍光強度は本質的に増加せず、これは、これらの条件下ではタンパク質上に疎水性表面が曝露されていないことを示唆している。pHを2.6にシフトさせることで、蛍光量子収率が明らかな飽和に達するまで、突然変異毒素B原薬の存在下でプローブの濃度の増加に伴ってANS蛍光量子収率の劇的な増加がもたらされる。このANS蛍光量子収率の増加は、低pH(2.6)で突然変異毒素B原薬がpHに誘導されるコンホメーション変化を受けて、疎水性表面を曝露させることを示す。そのようなコンホメーション変化は、EDCに誘導された修飾および三重突然変異毒素Bの失活が突然変異毒素B原薬(DS)のコンホメーション柔軟性を制限しなかったことを示している。
【0659】
三重突然変異毒素Bの流体力学的特性に対するEDC処理の効果を、G4000 SWXLカラム上のサイズ排除クロマトグラフィーを使用して評価した。突然変異毒素B原薬および三重突然変異毒素BをpH7.0、6.0、5.0で平衡化したG4000 SWXLカラム上に注入した。データは、突然変異毒素B原薬および三重突然変異毒素Bのストークス範囲の差異はサイズ排除クロマトグラフィーを使用して検出することができず、したがって、EDC処理は流体力学的特性、またそれに対応してタンパク質の全体的な分子形状に劇的な影響を与えていないことを示している。
【0660】
多角度レーザー光散乱(MALLS)技法を使用して三重突然変異毒素Bおよび突然変異毒素B原薬のさらなる分析を行った。三重突然変異毒素BをEDCで処理することで、様々な多量体および単量体の種から構成されるより異種の混合物の作製がもたらされた。そのような不均一性は、タンパク質のカルボキシルと第一級アミンとの間の、EDCに誘導された多数の分子間および分子内の共有結合の導入を反映する。
【0661】
得られたデータは三重突然変異毒素Bおよび突然変異毒素B原薬(EDCで処理した三重突然変異毒素B)の物理的および化学的な特徴を提供しており、その一次、二次、および三次構造の主要な特長を説明している。生成されたデータは、三重突然変異毒素BをEDCで処理することでそのポリペプチド鎖の共有的修飾がもたらされたが、タンパク質の二次および三次構造に影響が与えられなかったことを実証している。EDCを用いた処理は分子内および分子間の架橋結合をもたらす。突然変異毒素B原薬(および三重突然変異毒素B)で得られた主要な生化学的および生物物理学的なパラメータを表61に提示する。
【0662】
【表71】
【実施例46】
【0663】
トキソイドB(三重突然変異体)の灌流発酵
トキソイドB(三重突然変異体)の種培養:400mLの培地を含有するそれぞれの1Lのボトルに1mlの種を接種し、37℃、静止で終夜(約15時間)インキュベーションした。最終OD600は3.0〜4.0であるべきである。作業体積:3L(2.7Lの培地+300mLの接種材料)。それぞれの発酵槽は1つのRushton羽根車およびチューブスパージャーを備えていた。初期条件:温度:37℃、N2流:約0.5vvm、スパージ。制御装置:pHは5NのNaOHで7.0に制御した。泡沫はPPG−2000の自動添加によって制御し、0.25mL/Lを滅菌前に発酵槽培地に加えた。
【0664】
シー・ディフィシル(C.difficile)の灌流培養は、積み重ねた2つのSARTOCON Sliceカセット、0.2μmの孔径のHYDROSARTフィルター材料、0.1平方メートルの表面積/カセットを使用して行った。10Lのガラス発酵槽中で、3Lを発酵槽に加えた。図28、例1では、灌流はODが標的の約4に圧した際に開始し、2時間間隔で0.75L/時、1.5L/時、2.25L/時、3L/時の増加する速度で行った。図29、例2では、灌流はODが標的の約4に達した際に発酵培地で開始し、2時間間隔で0.75L/時、1.5L/時、3L/時、および6L/時の増加する速度で行った。灌流の開始シグナルで、再循環ポンプを1.3L/分の直交流の所望の速度で開始した。
【0665】
例1、図28:最終OD50およびトキソイドBの力価243mg/Lが得られた。
【0666】
例2、図29:最終OD59およびトキソイドBの力価306mg/Lが得られた。
【0667】
また、本発明は、以下の条項中で定義される以下の実施形態も提供する。
第1項.配列番号183を含む単離ポリペプチド。
第2項.配列番号184を含む単離ポリペプチド。
第3項.配列番号183を含む単離ポリペプチドを含む免疫原性組成物。
第4項.配列番号184を含む単離ポリペプチドを含む免疫原性組成物。
第5項.ダイズ加水分解物、酵母抽出物、およびグルコースを含む培養培地であって、培地がVPI11186に由来するクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)細菌を含み、細菌が毒素をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠いており、細菌が突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしているポリヌクレオチドを含み、細菌がクロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)フェレドキシン(fdx)プロモーターをさらに含む培養培地。
第6項.シー・ディフィシル(C.difficile)を培地中で培養することを含む、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)を培養する方法であって、培地がダイズ加水分解物、酵母抽出物、およびグルコースを含み、培地がVPI11186に由来するクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)細菌を含み、細菌が毒素をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠いており、細菌が突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしているポリヌクレオチドを含み、細菌がクロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)フェレドキシン(fdx)プロモーターをさらに含む方法。
第7項.シー・ディフィシル(C.difficile)を培地中、毒素を産生させるのに適切な条件下で培養することと、毒素を培地から単離することとを含む、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)毒素を産生させる方法であって、培地がダイズ加水分解物、酵母抽出物、およびグルコースを含み、培地がVPI11186に由来するクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)細菌を含み、細菌が毒素をコードしている内在性ポリヌクレオチドを欠いており、細菌が突然変異シー・ディフィシル(C.difficile)毒素をコードしているポリヌクレオチドを含み、細菌がクロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)フェレドキシン(fdx)プロモーターをさらに含む方法。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図1-6】
図1-7】
図1-8】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図2-6】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16-1】
図16-2】
図17
図18
図19
図20-1】
図20-2】
図20-3】
図21-1】
図21-2】
図22
図23-1】
図23-2】
図23-3】
図23-4】
図23-5】
図23-6】
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]