(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プロセッサが実行する、前記通信装置から前記プロファイルの受信完了を示す情報を受信した場合であって、かつ前記通信装置から前記プロファイルの有効化完了を示す情報を受信していない場合に、前記プロファイルの送信を行わずに前記プロファイルの有効化を行うステップをさらに有する、請求項5に記載の通信設定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、通信装置に対して遠隔でプロファイルを設定するためには、数分〜10分程度の時間が掛かることが知られている。車両は、輸送先の国に到達した際に電源が入れられ、プロファイルの設定が完了する前に再び電源が落とされ、地下等の通信不可能な場所に長期間保管される場合がある。
【0006】
特許文献1、2に記載の技術は、プロファイルの設定が長期間中断されることを想定していない。車両の保管が長期間(例えば数ヶ月以上)に及ぶ場合に、特許文献1、2に記載の技術におけるプロファイルの設定を無限に再試行することは非効率である。一方、プロファイルの設定の再試行を所定の回数に制限すると、再試行の回数が満了した後に車両が通信可能な状態になっても、プロファイルの設定を再開することができない。
【0007】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、通信装置に対する遠隔でのプロファイルの設定が長期間中断された場合であっても、通信装置が通信可能な状態になった際に設定を再開することができる通信制御装置、通信設定方法、通信設定プログラム及び通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様の通信制御装置は、通信装置が通信に用いるプロファイルを設定するための条件を記憶する記憶部と、前記通信装置から信号を受信する受信部と、前記信号が前記記憶部に記憶された前記条件を満たす場合に、前記通信装置に対して前記プロファイルの設定を開始するプロファイル設定部と、前記プロファイル設定部が前記プロファイルの設定を開始した場合に前記記憶部に記憶された前記条件を無効化するとともに、前記プロファイル設定部が前記プロファイルの設定に失敗した場合に前記記憶部に記憶された前記条件を有効化する条件設定部と、を有する。
【0009】
本発明の第2の態様の通信制御装置は、通信装置が通信に用いるプロファイルを設定するための条件を記憶する記憶部と、前記通信装置から信号を受信する受信部と、前記信号が前記記憶部に記憶された前記条件を満たす場合に、前記通信装置に対して前記プロファイルの設定を開始するプロファイル設定部と、前記プロファイル設定部が前記プロファイルの設定を開始した場合に前記記憶部に記憶された前記条件を維持するとともに、前記プロファイル設定部が前記プロファイルの設定に成功した場合に前記記憶部に記憶された前記条件を無効化する条件設定部と、を有する。
【0010】
前記記憶部は、前記プロファイルに対応する地域を示す前記条件を記憶し、前記受信部は、前記通信装置が通信を行う地域を示す前記信号を受信し、前記プロファイル設定部は、前記信号が示す地域と前記条件が示す地域とが一致することを条件の1つとして、前記プロファイルの設定を開始してもよい。
【0011】
前記プロファイル設定部は、前記プロファイルの設定を所定の回数繰り返し、前記所定の回数が満了しても前記プロファイルの設定が成功しない場合に、前記プロファイルの設定に失敗したと判定してもよい。
【0012】
所定の回数が満了する前に前記受信部が前記信号を受信した場合に、前記プロファイル設定部は前記プロファイルの設定の繰り返し回数を初期値に戻してもよい。
【0013】
前記プロファイル設定部は、前記通信装置に前記プロファイルを送信した後、前記通信装置上で前記プロファイルを有効化することによって、前記プロファイルを設定し、前記受信部は、前記通信装置から前記プロファイルの受信完了を示す情報と、前記プロファイルの有効化完了を示す情報とを受信してもよい。
【0014】
前記プロファイル設定部は、前記受信部が前記プロファイルの受信完了を示す情報を受信し、かつ前記プロファイルの有効化完了を示す情報を受信していない場合に、前記プロファイルの送信を行わずに前記プロファイルの有効化を行ってもよい。
【0015】
本発明の第3の態様の通信設定方法は、プロセッサが、通信装置が通信に用いるプロファイルを設定するための条件を記憶部に記憶させるステップと、前記通信装置から受信した信号が前記記憶部に記憶された前記条件を満たす場合に、前記通信装置に対して前記プロファイルの設定を開始するステップと、前記プロファイルの設定が開始された場合に前記記憶部に記憶された前記条件を無効化するとともに、前記プロファイルの設定が失敗した場合に前記記憶部に記憶された前記条件を有効化するステップと、を実行する。
【0016】
本発明の第4の態様の通信設定方法は、プロセッサが、通信装置が通信に用いるプロファイルを設定するための条件を記憶部に記憶させるステップと、前記通信装置から受信した信号が前記記憶部に記憶された前記条件を満たす場合に、前記通信装置に対して前記プロファイルの設定を開始するステップと、前記プロファイルの設定が開始された場合に前記記憶部に記憶された前記条件を維持するとともに、前記プロファイルの設定が成功した場合に前記記憶部に記憶された前記条件を無効化するステップと、を実行する。
【0017】
本発明の第5の態様の通信設定プログラムは、コンピュータに、通信装置が通信に用いるプロファイルを設定するための条件を記憶部に記憶させるステップと、前記通信装置から信号を受信するステップと、前記信号が前記記憶部に記憶された前記条件を満たす場合に、前記通信装置に対して前記プロファイルの設定を開始するステップと、前記プロファイルの設定が開始された場合に前記記憶部に記憶された前記条件を無効化するとともに、前記プロファイルの設定が失敗した場合に前記記憶部に記憶された前記条件を有効化するステップと、を実行させる。
【0018】
本発明の第6の態様の通信設定プログラムは、コンピュータに、通信装置が通信に用いるプロファイルを設定するための条件を記憶部に記憶させるステップと、前記通信装置から信号を受信するステップと、前記信号が前記記憶部に記憶された前記条件を満たす場合に、前記通信装置に対して前記プロファイルの設定を開始するステップと、前記プロファイルの設定が開始された場合に前記記憶部に記憶された前記条件を維持するとともに、前記プロファイルの設定が成功した場合に前記記憶部に記憶された前記条件を無効化するステップと、を実行させる。
【0019】
本発明の第7の態様の通信システムは、通信装置と、前記通信装置と通信可能な通信制御装置とを有し、前記通信制御装置は、前記通信装置が通信に用いるプロファイルを設定するための条件を記憶する記憶部と、前記通信装置から信号を受信する受信部と、前記信号が前記記憶部に記憶された前記条件を満たす場合に、前記通信装置に対して前記プロファイルの設定を開始するプロファイル設定部と、前記プロファイル設定部が前記プロファイルの設定を開始した場合に前記記憶部に記憶された前記条件を無効化するとともに、前記プロファイル設定部が前記プロファイルの設定に失敗した場合に前記記憶部に記憶された前記条件を有効化する条件設定部と、を備える。
【0020】
本発明の第8の態様の通信システムは、通信装置と、前記通信装置と通信可能な通信制御装置とを有し、前記通信制御装置は、前記通信装置が通信に用いるプロファイルを設定するための条件を記憶する記憶部と、前記通信装置から信号を受信する受信部と、前記信号が前記記憶部に記憶された前記条件を満たす場合に、前記通信装置に対して前記プロファイルの設定を開始するプロファイル設定部と、前記プロファイル設定部が前記プロファイルの設定を開始した場合に前記記憶部に記憶された前記条件を維持するとともに、前記プロファイル設定部が前記プロファイルの設定に成功した場合に前記記憶部に記憶された前記条件を無効化する条件設定部と、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、通信装置に対する遠隔でのプロファイルの設定が長期間中断された場合であっても、通信装置が通信可能な状態になった際に設定を再開することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
[通信システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る通信システムSの模式図である。通信システムSは、通信制御装置100と、車両Vと、基地局Bとを含む。通信システムSが含む車両V及び基地局Bの数は限定されない。通信システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0024】
基地局Bは、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信(移動体通信)を行うことが可能な無線基地局装置である。基地局Bは、アンテナ、プロセッサ、電気回路等、無線通信に必要な設備を備え、自身が通信可能な範囲(すなわちセル)内の通信装置に無線で接続される。基地局Bは、通信装置とインターネット等のネットワークNとの間の通信を中継する。
【0025】
車両Vは、自動車、自動二輪車、自走式建設機械等の車両である。車両Vは通信装置を備えており、基地局Bを介してネットワークNと無線通信可能に構成される。車両Vは、ネットワークNと通信することによって、様々な情報サービスを受けることができる。
【0026】
通信制御装置100は、車両Vの通信を制御するコンピュータである。通信制御装置100は、車両Vの通信装置に対してネットワークNを介してプロファイルを設定すること(すなわちリモートプロビジョニング)ができる。通信制御装置100は、有線又は無線でネットワークNに接続される。
図1において通信制御装置100は1つの装置として記載されているが、複数の装置で構成されてもよい。
【0027】
図2は、通信制御装置100が車両Vの通信装置10に対して行うプロファイル設定の模式図である。車両Vは、通信を行うための通信装置10を有する。通信装置10は、アンテナ、プロセッサ、電気回路等、無線通信に必要な設備を備える。さらに通信装置10は、eSIM11(Embedded Subscriber Identity Module)を備える。eSIM11は、少なくとも1つのプロファイルを記憶する記憶媒体である。eSIM11は、通信装置10に固定されてもよく、あるいは着脱可能に設けられてもよい。
【0028】
プロファイルは、事業者が提供する通信サービスを用いて通信するために必要な情報(データ)である。例えばプロファイルはIMSI(International Mobile Subscriber Identity)を含み、IMSIは通信サービスが提供される地域(国等)を識別する地域識別情報であるMCC(Mobile Country Code)を含む。MCCは、地域ごとに割り振られた3桁の数字である。eSIM11は、プロファイルを予め記憶してもよく、ネットワークNを介して通信制御装置100からプロファイルを受信して記憶してもよい。
【0029】
さらにeSIM11は、内部に記憶された各プロファイルについて、有効化又は無効化の状態を記憶する。eSIM11の内部に記憶された各プロファイルは、ネットワークNを介して(すなわち遠隔で)、通信制御装置100によって有効化又は無効化される。通信装置10は、eSIM11内で有効化されたプロファイルに基づいて、通信を行う。通信制御装置100がeSIM11に予め記憶されたプロファイルを有効化すること、又は通信制御装置100がeSIM11にプロファイルを送信して有効化することを、プロファイル設定という。
【0030】
車両Vがある事業者が通信サービスを提供する地域から異なる事業者が通信サービスを提供する地域に移動した際に、車両Vの通信装置10は通信制御装置100に対してプロファイル設定要求を行う。通信制御装置100は、通信装置10からプロファイル設定要求を受けると、通信装置10(eSIM11)に対して遠隔でプロファイルを設定する。プロファイル設定が完了すると、通信装置10は、移動後の地域において通信を行うことが可能になる。
【0031】
通信装置10に対して遠隔でプロファイルを設定するためには、数分〜10分程度の時間が掛かる。プロファイル設定が完了する前に車両Vが地下等の通信不可能な場所に移動すると、プロファイル設定が中断される。車両Vは通信不可能な場所に長期間(例えば数ヶ月以上)保管される場合があるため、プロファイル設定を無限に再試行すると通信コストや管理コストの無駄が大きくなる。また、プロファイル設定の再試行の回数を制限すると、再試行の回数が満了した後に車両Vが通信可能な状態になっても、プロファイル設定を再開することができない。
【0032】
それに対して本実施形態に係る通信制御装置100は、後述する通信設定方法を行うことによって、プロファイル設定が長期間中断された場合であっても、プロファイル設定を再開することができる。
【0033】
[通信制御装置100の構成]
図3は、本実施形態に係る通信制御装置100のブロック図である。
図3において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図3に示していないデータの流れがあってよい。
図3において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図3に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に別れて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0034】
通信制御装置100は、制御部110と、通信部120と、記憶部130とを有する。制御部110は、受信部111と、トリガ設定部112と、プロファイル設定部113とを有する。本実施形態に係る通信制御装置100は、
図3に示す具体的な構成に限定されない。
【0035】
通信部120は、基地局Bを介して車両Vの通信装置10との間で通信をするための通信インターフェースである。通信部120は、無線通信を実行するためのアンテナ、プロセッサ、電気回路等を含む。通信部120は、外部から受信した通信信号に所定の処理を行ってデータを取得し、取得したデータを制御部110に入力する。また、通信部120は、制御部110から入力されたデータに所定の処理を行って通信信号を生成し、生成した通信信号を外部に送信する。
【0036】
記憶部130は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部130は、制御部110が実行するプログラムを予め記憶している。また記憶部130は、通信装置10に対してプロファイル設定を行うための条件を示すトリガ情報と、通信装置10に対して設定するプロファイルを示すプロファイル情報とを記憶する。
【0037】
制御部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部130に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部111、トリガ設定部112及びプロファイル設定部113として機能する。受信部111、トリガ設定部112及びプロファイル設定部113の機能については後述する。制御部110の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部110の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0038】
[通信設定方法の説明]
図4は、本実施形態に係る通信制御装置100が実行する通信設定方法の模式図である。
図4は、第1地域(例えば第1国)において通信可能な車両Vが、第1地域とは異なる第2地域(例えば第2国)に移動する状況を示している。第1地域において、車両VのeSIM11には、リモートプロビジョニングによって、あるいは直接(例えばプロファイル設定用の端末に接触させることによって)、予めプロファイル設定が行われている。
【0039】
第1地域において車両Vの電源がONにされた状態で、車両Vの通信装置10は、eSIM11を識別するSIM識別情報、第1地域の地域識別情報、及び第1地域の通信事業者等を含む装置情報を、第1地域(すなわち移動前の地域)の基地局Bを介して、通信制御装置100に送信する(a)。その後、車両Vの電源はOFFにされる。通信制御装置100の受信部111は、車両Vの通信装置10から送信された装置情報を受信する。
【0040】
通信制御装置100のトリガ設定部112(条件設定部)は、車両Vから受信した装置情報に基づいて、記憶部130にプロファイル設定を行うためのトリガ(条件)を示すトリガ情報を記憶させることによって、プロファイル設定のトリガを設定する(b)。
【0041】
例えばトリガ情報は、eSIM11を識別するSIM識別情報と、移動先の地域(ここでは第2地域)で用いられるプロファイルに対応する地域識別情報(MCC)とを含む。トリガ情報は、管理者によって通信制御装置100に対して入力されてもよく、装置情報に基づいて所定の規則に従って自動的に決定されてもよい。またトリガ設定部112は、記憶部130上で、トリガが満たされた場合に設定するプロファイルを示すプロファイル情報を、トリガ情報に関連付ける。
【0042】
トリガ設定部112がトリガを設定した後に、車両Vは、電源がOFFにされた状態で、例えば船舶等によって輸送されることによって、第1地域から第2地域へ移動する(c)。第2地域において車両Vの電源がONになる(すなわち車両Vが通電される)と、車両Vの通信装置10は、第2地域の基地局Bを介して、通信制御装置100にアタッチ要求を送信する(d)。アタッチ要求は、通信装置10が通信を開始するための信号であり、eSIM11を識別するSIM識別情報と、通信を開始しようとしている地域(ここでは第2地域)に対応する地域識別情報(MCC)とを含む。通信装置10から第2地域の基地局Bへのアタッチ要求の送信は、事業者間の提携により、契約している事業者(ここでは第1地域の事業者)のサービスエリア外であっても、提携先の事業者(ここでは第2地域の事業者)のサービスエリア内にあれば通信可能となるサービス(ローミング等)によって行われる。
【0043】
通信制御装置100において、プロファイル設定部113は、車両Vから受信したアタッチ要求が、記憶部130に記憶されたトリガを満たすか否かを判定する(e)。具体的には、プロファイル設定部113は、記憶部130に記憶されたトリガ情報が示すSIM識別情報及び地域識別情報が、アタッチ要求が示すSIM識別情報及び地域識別情報と一致する場合に、トリガを満たすと判定する。そうでない場合に、プロファイル設定部113は、トリガを満たさないと判定する。ここに示したトリガの判定方法は一例であり、車両Vが通信する地域に基づくトリガを用いてプロファイル設定の要否を判定可能なその他の方法を用いてもよい。
【0044】
アタッチ要求がトリガを満たさない場合に、プロファイル設定部113はプロファイル設定を行わず、トリガ設定部112は記憶部130に記憶されたトリガを維持する。アタッチ要求がトリガを満たす場合に、トリガ設定部112は、記憶部130に記憶されたトリガを無効化する(f)。このときトリガ設定部112は、記憶部130に記憶されたトリガ情報に無効化フラグを設定することによってトリガを無効化してもよく、記憶部130に記憶されたトリガ情報を削除することによってトリガを無効化してもよい。
【0045】
そしてプロファイル設定部113は、トリガの無効化後に、プロファイル設定を開始する(g)。プロファイル設定部113は、車両Vの通信装置10(eSIM11)に対して遠隔でプロファイルを設定する。プロファイル設定部113は、トリガに関連付けられたプロファイルを通信装置10に送信してから有効化してもよく、通信装置10に予め記憶されたプロファイルを有効化してもよい。
【0046】
プロファイル設定が完了するまで、プロファイル設定部113は、所定の回数(例えば3回)、プロファイル設定を繰り返す。プロファイル設定部113は、車両Vの電源がOFFになった後に車両Vに暗電流が流れる時間の間、プロファイル設定を繰り返すことが望ましい。このように通信制御装置100はプロファイル設定を何度か再試行するため、一時的な要因でプロファイル設定が中断した場合であっても、プロファイル設定を続行することができる。
【0047】
プロファイル設定部113がプロファイル設定を所定の回数繰り返している間に、車両Vの電源が再びONとなることによって通信装置10が通信制御装置100へアタッチ要求を送信した場合に、プロファイル設定部113は、最初から(すなわち繰り返し回数を初期値に戻して)プロファイル設定を繰り返す。これにより通信制御装置100は、プロファイル設定をより多く再試行できるため、プロファイル設定が成功しやすくなる。
【0048】
繰り返しの回数が満了してもプロファイル設定が完了しない(すなわち失敗した)場合に、プロファイル設定部113はプロファイル設定を中止し、トリガ設定部112は記憶部130にトリガを再設定(有効化)する(h)。トリガ設定部112は、記憶部130においてトリガ情報に設定された無効化フラグを削除することによってトリガを有効化してもよく、記憶部130にトリガ情報を再び記憶させることによってトリガを有効化してもよい。トリガ設定部112がトリガを再設定した後に車両Vからアタッチ要求が送信された場合には、プロファイル設定部113は、再設定されたトリガについて再びプロファイル設定を開始する。このように通信制御装置100は、プロファイル設定が失敗した場合にトリガを再度有効化するだけでプロファイル設定を再開できるようにするため、車両Vの通信装置10ごとにトリガの状態を管理する必要がない。
【0049】
車両Vの通信装置10は、プロファイル設定が完了した(すなわち成功した)際に、通信制御装置100へ完了を示す完了情報を送信する。例えば通信装置10は、SMS(ショートメッセージサービス)を用いて完了情報を送信する。通信制御装置100は、受信部111が車両Vからの完了情報を受信した場合に、通信設定方法を終了する。通信装置10は、プロファイル設定のうち、通信制御装置100からのプロファイルの受信完了のタイミングと、プロファイルの有効化完了のタイミングとのそれぞれにおいて、通信制御装置100へ完了情報を送信してもよい。
【0050】
通信制御装置100のプロファイル設定部113は、プロファイルの受信完了の完了情報を受信し、かつプロファイルの有効化完了の完了情報を受信していない場合に、プロファイルの送信を行わずにプロファイルの有効化を行ってもよい。これにより、例えばプロファイル設定の繰り返し中に通信装置10においてプロファイルの受信のみが完了した場合に、通信制御装置100はプロファイルの有効化から処理を再開することができるため、効率的である。
【0051】
このように本実施形態に係る通信制御装置100は、プロファイル設定の開始時にプロファイル設定のトリガ(条件)を無効化し、プロファイル設定が失敗した場合にトリガを再度有効化するため、通信装置10が通信可能な状態になれば何度でもプロファイル設定を再開できる。
【0052】
[通信設定方法の通信シーケンスの一例]
図5は、本実施形態に係る通信制御装置100が実行する通信設定方法における通信シーケンスを示す図である。まず通信装置10は、eSIM11を識別するSIM識別情報、移動前の地域の地域識別情報、及び移動前の地域の通信事業者等を含む装置情報を、通信制御装置100に送信する(S11)。通信制御装置100の受信部111は、車両Vからの装置情報を受信する。
【0053】
通信制御装置100のトリガ設定部112は、受信部111が車両Vから受信した装置情報に基づいて、記憶部130にプロファイル設定を行うためのトリガ(条件)を示すトリガ情報を記憶させることによって、プロファイル設定のトリガを設定する(S12)。
【0054】
トリガが設定された後、車両Vは別の地域に移動し、電源がONになる。このとき、車両Vの通信装置10は、eSIM11を識別するSIM識別情報と、移動先の地域の地域識別情報とを含むアタッチ要求を、通信制御装置100に送信する(S13)。通信制御装置100の受信部111は、車両Vからのアタッチ要求を受信する。
【0055】
通信制御装置100において、プロファイル設定部113は、受信部111が車両Vから受信したアタッチ要求が、記憶部130に記憶されたトリガを満たすか否かを判定する(S14)。アタッチ要求がトリガを満たす場合に、トリガ設定部112は記憶部130に記憶されたトリガを無効化し、プロファイル設定部113はプロファイル設定を開始する(S15)。
【0056】
プロファイル設定が完了するまで、プロファイル設定部113は、所定の回数、プロファイル設定を繰り返す(S16)。
図5の例では、プロファイル設定開始後に車両Vが通信不可能な状態へ遷移したため、プロファイル設定が所定の回数繰り返しても完了しないものとする。このときプロファイル設定部113は、プロファイル設定を中止する(S17)。そして、トリガ設定部112は記憶部130にトリガを再設定(有効化)する(S18)。
【0057】
トリガが再設定された後に車両Vが通信可能な状態へ遷移すると、通信装置10及び通信制御装置100は、再設定されたトリガについて再びステップS13〜S16を行う。プロファイル設定が完了すると、通信装置10は完了を示す完了情報を通信制御装置100に送信し(S19)、通信制御装置100は通信設定方法を終了する。
【0058】
[本実施形態の効果]
本実施形態に係る通信制御装置100は、プロファイル設定の開始時にプロファイル設定のトリガ(条件)を無効化し、プロファイル設定が失敗した場合にトリガを再度有効化する。これにより通信制御装置100は、車両Vの通信装置10に対するプロファイル設定が長期間中断した場合であっても、通信装置10が通信可能な状態になれば何度でもプロファイル設定を再開できる。さらに、通信制御装置100は、プロファイル設定の開始時にトリガを無効化するため、プロファイル設定未完了の車両に係るトリガをプロファイル設定完了まで永続的に管理する必要がない。
【0059】
(第2の実施形態)
第1の実施形態に係る通信制御装置100はプロファイル設定の開始時にプロファイル設定のトリガを無効化するのに対して、通信制御装置100はプロファイル設定の完了時にプロファイル設定のトリガを無効化する。本実施形態においても、通信制御装置100は、プロファイル設定が長期間中断した場合であってもプロファイル設定を再開できる。
【0060】
図6は、本実施形態に係る通信制御装置100が実行する通信設定方法の模式図である。本実施形態では、
図4と比べて、プロファイル設定開始時のトリガの無効化(f)及びプロファイル設定失敗時のトリガの再設定(h)が省略され、代わりにプロファイル設定完了時のトリガの無効化(i)が追加されている。それ以外の通信制御装置100の構成及び処理は第1の実施形態と同様である。
【0061】
具体的には、まず車両Vの通信装置10及び通信制御装置100は、
図4と同様の(a)〜(e)を行う。アタッチ要求がトリガを満たす場合に、トリガ設定部112は記憶部130に記憶されたトリガを無効化せず維持し、プロファイル設定部113はプロファイル設定を開始する(g)。プロファイル設定が完了するまで、プロファイル設定部113は、所定の回数、プロファイル設定を繰り返す。
【0062】
繰り返しの回数が満了してもプロファイル設定が完了しない(すなわち失敗した)場合に、プロファイル設定部113はプロファイル設定を中止する。このとき記憶部130に記憶されたトリガは無効化されていないため、トリガ設定部112はトリガの再設定を行わない。この後、再び車両Vからアタッチ要求が送信された場合には、プロファイル設定部113は、記憶部130に維持されているトリガについて再びプロファイル設定を開始する。
【0063】
所定の回数内にプロファイル設定が完了した(すなわち成功した)場合に、トリガ設定部112は、記憶部130に記憶されたトリガを無効化する(i)。トリガ設定部112は、記憶部130に記憶されたトリガ情報に無効化フラグを設定することによってトリガを無効化してもよく、記憶部130に記憶されたトリガ情報を削除することによってトリガを無効化してもよい。
【0064】
[通信設定方法の通信シーケンスの一例]
図7は、本実施形態に係る通信制御装置100が実行する通信設定方法における通信シーケンスを示す図である。まず通信装置10は、eSIM11を識別するSIM識別情報、移動前の地域の地域識別情報、及び移動前の地域の通信事業者等を含む装置情報を、通信制御装置100に送信する(S11)。通信制御装置100の受信部111は、車両Vからの装置情報を受信する。
【0065】
通信制御装置100のトリガ設定部112は、受信部111が車両Vから受信した装置情報に基づいて、記憶部130にプロファイル設定を行うためのトリガ(条件)を示すトリガ情報を記憶させることによって、プロファイル設定のトリガを設定する(S12)。
【0066】
トリガが設定された後、車両Vは別の地域に移動し、電源がONになる。このとき、車両Vの通信装置10は、eSIM11を識別するSIM識別情報と、移動先の地域の地域識別情報とを含むアタッチ要求を、通信制御装置100に送信する(S13)。通信制御装置100の受信部111は、車両Vからのアタッチ要求を受信する。
【0067】
通信制御装置100において、プロファイル設定部113は、受信部111が車両Vから受信したアタッチ要求が、記憶部130に記憶されたトリガを満たすか否かを判定する(S14)。アタッチ要求がトリガを満たす場合に、トリガ設定部112は記憶部130に記憶されたトリガを維持し、プロファイル設定部113はプロファイル設定を開始する(S15’)。
【0068】
プロファイル設定が完了するまで、プロファイル設定部113は、所定の回数、プロファイル設定を繰り返す(S16)。
図7の例では、プロファイル設定開始後に車両Vが通信不可能な状態へ遷移したため、プロファイル設定が所定の回数繰り返しても完了しないものとする。このときプロファイル設定部113は、プロファイル設定を中止する(S17)。なお、トリガ設定部112はトリガの再設定を行わない。
【0069】
トリガが再設定された後に車両Vが通信可能な状態へ遷移すると、通信装置10及び通信制御装置100は、再設定されたトリガについて再びステップS13〜S16を行う。プロファイル設定が完了すると、通信装置10は完了を示す完了情報を通信制御装置100に送信する(S19)。通信制御装置100の受信部111が通信装置10から完了情報を受信すると、トリガ設定部112は記憶部130に記憶されたトリガを無効化する(S20)。
【0070】
[本実施形態の効果]
このように本実施形態に係る通信制御装置100は、プロファイル設定の開始時にプロファイル設定のトリガ(条件)を維持し、プロファイル設定が完了した場合にトリガを無効化する。これにより通信制御装置100は、車両Vの通信装置10に対するプロファイル設定が長期間中断した場合であっても、通信装置10が通信可能な状態になれば何度でもプロファイル設定を再開できる。さらに、1回のプロファイル設定に必要なトリガの設定及び無効化の処理がそれぞれ1回だけで済む。そのため、プロファイル設定(リモートプロビジョニング)によって通信制御装置100に掛かる負荷を低減できる。
【0071】
上述の各実施形態では車両Vに搭載された通信装置10を用いて説明したが、通信制御装置100の適用先はこれに限られない。例えば通信制御装置100は、船舶やIoT機器等に搭載された通信装置に対する通信設定にも適用できる。特に車両Vはバッテリの容量に限りがあるため、移動時や保管時に電源ONになる時間が短い場合が多い。上述の各実施形態に係る通信制御装置100は、プロファイル設定が長期間中断されても再開できるため、車両Vの通信装置10に対する通信設定に好適に用いられる。
【0072】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0073】
通信装置10及び通信制御装置100のプロセッサは、
図5、7に示す通信設定方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、通信装置10及び通信制御装置100のプロセッサは、
図5、7に示す通信設定方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行して通信装置10及び通信制御装置100の各部を制御することによって、
図5、7に示す通信設定方法を実行する。
図5、7に示す通信設定方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。