特許第6871994号(P6871994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6871994金属マトリクス複合材料及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871994
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】金属マトリクス複合材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 1/10 20060101AFI20210510BHJP
   C22C 1/05 20060101ALI20210510BHJP
   C22C 33/02 20060101ALI20210510BHJP
   B22F 3/02 20060101ALI20210510BHJP
   B22F 3/10 20060101ALI20210510BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20210510BHJP
   C22C 32/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   C22C1/10 J
   C22C1/05 C
   C22C1/05 E
   C22C33/02 103B
   B22F3/02 S
   B22F3/10 C
   B22F3/02 M
   B22F3/24 G
   B22F3/24 D
   B22F3/24 H
   B22F3/24 J
   C22C32/00
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-204466(P2019-204466)
(22)【出願日】2019年11月12日
(65)【公開番号】特開2020-84324(P2020-84324A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2019年11月12日
(31)【優先権主張番号】18206669.6
(32)【優先日】2018年11月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル・ポレ
(72)【発明者】
【氏名】イヴ・ウィンクレ
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−371303(JP,A)
【文献】 特開2008−136862(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/061817(WO,A2)
【文献】 特開2000−026902(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0147333(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 1/00−1/10
C22C 29/00−29/18
C22C 32/00
C22C 33/02
B22F 1/00−8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状模様を有する焼結した複合材料であって、
体積分率で粒状模様複合材料の50−95%を占める金属マトリクスを含み、
0.1−2mmの範囲の直径を有するセラミック粒子は前記金属マトリクス中に分散し且つ粒状模様複合材料の残分を構成し、
前記「金属マトリクス」と前記「セラミック粒子」との組は、
(1)「グレード2チタンからなる金属マトリクス」と「コランダム粒子」の組または
(2)「ステンレス鋼1.4435からなる金属マトリクス」と「コランダム粒子」の組または
(3)「ステンレス鋼1.4435からなる金属マトリクス」と「希土類アルミネート、希土類シリケート又はユーロピウム及び/若しくはジスプロシウムをドープしたアルミン酸ストロンチウムをベースとした発光無機粒子」の組であることを特徴とする材料。
【請求項2】
前記金属マトリクスは、100μm未満である累積関数D90値を有する複数の粒子から構成される金属粉末から得られることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記セラミック粒子の直径は0.2−2mmの範囲であることを特徴とする、請求項に記載の材料。
【請求項4】
前記セラミック粒子の直径は0.25−0.75mmの範囲であることを特徴とする、請求項に記載の材料。
【請求項5】
前記セラミック粒子は、体積分率で複合材料の30−5%を占め、その直径は0.25−0.75mmの範囲であることを特徴とする、請求項に記載の材料。
【請求項6】
前記セラミック粒子は、体積分率で前記複合材料の20−10%を占め、その直径は0.25−0.75mmの範囲であることを特徴とする、請求項に記載の材料。
【請求項7】
25μm未満である累積関数D90値を有する粒子から構成されるグレード2チタン粉末
・297−420μmの範囲の粒径を有する15体積%のコランダム;または
・297−420μmの範囲の粒径を有する25体積%のコランダム;または
・420−595μmの範囲の粒径を有する15体積%のコランダム;または
・420−595μmの範囲の粒径を有する25体積%のコランダム
との混合物から得られることを特徴とする、焼結複合材料。
【請求項8】
22μm未満である累積関数D90値を有する粒子から構成されるステンレス鋼1.4435粉末
・297−420μmの範囲の粒径を有する15体積%のコランダム;または
・297−420μmの範囲の粒径を有する25体積%のコランダム;または
・420−595μmの範囲の粒径を有する15体積%のコランダム;または
・420−595μmの範囲の粒径を有する25体積%のコランダム
との混合物から得られることを特徴とする、焼結複合材料。
【請求項9】
視覚的に粒状模様を有する複合材料の製造方法であって、
100μm未満である累積関数D90値を有する複数の金属粒子から構成される粉末を得るステップと、
0.1−2mmの範囲の直径を有するセラミック粒子を得るステップと、
前記金属粉末粒子と前記セラミック粒子とを混合することでいわゆる装入原料を得て、前記金属粉末は、体積分率で、得られる混合物の50−95%を占めるステップと、
前記金属粉末粒子/セラミック粒子混合物を金型内に圧入する又は射出注入することでいわゆるグリーン体を作製するステップと、
前記グリーン体を600−1400℃の範囲の温度での1−4時間にわたる焼結処理に供することで、視覚的に粒状模様を有し且つ体積分率で全体の50−95%を占める金属マトリクスを含む複合材料から形成される灰色のグリーン体を得るステップとを含み、
前記セラミック粒子は前記複合材料中に分散し且つその残分を構成し、
前記金属粒子から構成される粉末と前記セラミック粒子との組は、
(1)「グレード2チタンからなるチタン粉末」と「コランダム」の組または
(2)「ステンレス鋼1.4435粉末」と「コランダム」の組または
(3)「ステンレス鋼1.4435粉末」と「希土類アルミネート、希土類シリケート又はユーロピウム及び/若しくはジスプロシウムをドープしたアルミン酸ストロンチウムをベースとした発光無機粒子」の組であることを特徴とする製造方法。
【請求項10】
前記金属粉末粒子を前記セラミック粒子と混合していわゆる装入原料を得る際、有機バインダを前記混合物に添加し、前記バインダは体積分率で前記装入原料の2−40%を占め、次に、前記金属粉末粒子、セラミック粒子及び有機バインダの混合物を金型内に圧入又は射出注入し、次に、少なくとも1つの脱バインダステップ中に、前記有機バインダを前記グリーン体から除去することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記灰色のグリーン体に機械加工を施すことで表面粗さを低下させることを特徴とする、請求項9及び10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記灰色のグリーン体を研削することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記灰色のグリーン体を研磨することを特徴とする、請求項11及び12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記灰色のグリーン体にサンダー仕上げを施すことを特徴とする、請求項11−13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記灰色のグリーン体を化学又は電気化学エッチングに供することで前記複合材料を構成する異なる相を露わにし、またこれらの相のコントラストを際立たせることを特徴とする、請求項11−14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記灰色のグリーン体を電着処理又は陽極酸化処理に供することを特徴とする、請求項11−14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属マトリクス複合材料に関する。本発明はさらに、そのような材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属マトリクス複合材料は現在、特にはその機械的及び化学的な性質が、複合材料に含まれる複数の元素に固有の物理的/化学的性質を非常によい形で両立させたものであることから、数多くの分野で使用されている。例えば、測時器作製の分野においては、セラミック粒子で強度を上げた、サーメットとしても知られる金属マトリクス複合材料を使用して時計のケースやベゼル等の外部部品を作製している。使用しているセラミック粒子の寸法は小さく、通常10μm未満であり、またこれらのセラミック粒子の体積分率は概して80%を超えるため、肉眼ではこれらの外部部品の外観は均一に見える。
【0003】
特には芸術又は建築の分野において装飾的な要素を作製するために用いられる御影石等の天然の粒状模様素材も、測時器及び宝飾品作製の分野で既に使用されている。例えば、スイスのTissot社から商品名ロックウォッチ(登録商標)で市販されている時計が挙げられる。そのような素材は、その粒状模様構造により、例えば時計の外部部品の見た目を独創的で意外性のあるものにする。それでもなお、そのような材料は極めて硬く、素材の塊を直接、特には研削で機械加工するには時間がかかり、高コストとなる。
【0004】
これらの短所を克服するために、粒状模様を有する複合材料を合成により得てきた。天然の粒状模様素材と同様に、粒状模様複合材料は芸術及び建築の分野で使用される。これらの粒状模様複合材料は、例えば、ポリマーバインダをセラミック粒子と組み合わせることで得られる。ポリマーバインダの存在により、例えば成型により、これらの粒状模様複合材料の外形を容易に整えることができる。しかしながら、ポリマーバインダの体積分率が高いことから、これらの粒状模様複合材料は比較的軟らかく、特には光及び温度の作用により時の経過に伴って劣化し易い。粒状模様複合材料の例には、ポリマーコンクリート及び人造御影石としても知られる再構成御影石が含まれる。
【0005】
粒状模様を有する合成複合材料の良く知られた他の例は、セラミック粒子を鉱物バインダ、例えばセメント、漆喰、石灰、鉱滓又は粘土と組み合わせることで得られる。コンクリート等のこれらの粒状模様複合材料は、そのセラミック粒子の性質、粒径及び体積分率をうまく選択することで、装飾的要素の製造に使用することができる。しかしながら、これらの装飾的要素は比較的脆く、成型により高速且つ大量に製造することはできない。成形は複合材料を金型に流し込むことで行われ、バインダの硬化には比較的時間がかかるからである。
【0006】
したがって、実行が容易で、とりわけ計時器及び宝飾品用の外部部品の作製を可能にする、粒状模様を有する複合材料が先行技術において必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
そのため、本発明は粒状模様を有する複合材料に関し、この複合材料は、体積分率で粒状模様複合材料の50−95%を占める金属マトリクスを含み、0.1−2mmの範囲の直径を有し且つ体積分率で複合材料の50−5%を占めるセラミック粒子は金属マトリクス中に分散し且つこの粒状模様複合材料の残分を構成する。
【0008】
本発明の特定の一実施形態において、金属マトリクスは、100μm未満である累積関数D90値を有する複数の粒子から構成される金属粉末から得られる。
【0009】
本発明の別の特定の実施形態において、金属マトリクスは、オーステナイト系ステンレス鋼、チタン合金、貴金属合金、銅合金及びアルミニウム合金から成る群から選択される。
【0010】
本発明のさらに別の特定の実施形態において、貴金属は、金、銀、白金及びパラジウムから成る群から選択される。
【0011】
本発明のさらに別の特定の実施形態において、セラミック粒子は体積分率で複合材料の50−5%を占め、その直径は0.2−2mmの範囲である。
【0012】
本発明のさらに別の特定の実施形態において、セラミック粒子は体積分率で複合材料の50−5%を占め、その直径は0.25−0.75mmの範囲である。
【0013】
本発明のさらに別の特定の実施形態において、セラミック粒子は体積分率で複合材料の30−5%を占め、その直径は0.25−0.75mmの範囲である。
【0014】
本発明のさらに別の特定の実施形態において、セラミック粒子は体積分率で複合材料の20−10%を占め、その直径は0.25−0.75mmの範囲である。
【0015】
本発明のさらに別の特定の実施形態において、セラミック粒子は、天然材料又は合成材料から得られる。
【0016】
本発明のさらに別の特定の実施形態において、セラミック粒子は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、ダイヤモンド、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化チタン、ホウ化チタン及びホウ化ジルコニウムから成る群から選択される。
【0017】
本発明のさらに別の特定の実施形態において、セラミック粒子はコランダム及びシリケートから成る群から選択される。
【0018】
本発明のさらに別の特定の実施形態において、粒状模様複合材料は、金属粉末と、希土類アルミネート、希土類シリケート又はドープされたアルミン酸ストロンチウムをベースとした発光無機粒子との混合物から得られる。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態において、ステンレス鋼1.4435粉末は、その90%が22μm未満の粒径を有する粒子と、粒径が400−600μmの範囲である体積分率15%のユーロピウム及び/又はジスプロシウムをドープしたアルミン酸ストロンチウム粒子とから構成される。
【0020】
本発明はさらに視覚的に粒状模様を有する複合材料の製造方法に関し、この方法は、
100μm未満である累積関数D90値を有する複数の金属粒子から構成される粉末を得るステップと、
0.1−2mmの範囲の直径を有するセラミック粒子を得るステップと、
金属粉末粒子とセラミック粒子とを混合することで装入原料を得て、金属粉末は、体積分率で、得られる混合物の50−95%を占めるステップと、
金属粉末/セラミック粒子の混合物を金型内に圧入する又は射出注入することでグリーン体を作製するステップと、
このグリーン体を600−1400℃の範囲の温度での1−4時間にわたる焼結処理に供することで、視覚的に粒状模様を有し且つ体積分率でこの粒状模様複合材料の50−95%を占める金属マトリクスを含む複合材料から形成される灰色の成形体を得るステップとを含み、
粒状模様複合材料中にはセラミック粒子が分散し、その粒子の直径は0.1−2mmの範囲であり且つこの粒状模様複合材料の残分を構成する。
【0021】
本発明の別の特定の実施形態においては、金属粉末粒子をセラミック粒子と混合して装入原料を得る際、有機バインダを混合物に添加し、このバインダは体積分率で装入原料の2−40%を占め、次に、金属粉末粒子、セラミック粒子及び有機バインダの混合物を金型内に圧入又は射出注入し、次に、少なくとも1つの脱バインダステップ中に、有機バインダをグリーン体から除去する。
【0022】
本発明のさらに別の特定の実施形態においては、灰色の成形体に機械加工を施すことで、特には表面粗さを低下させる。
【0023】
本発明の別の特定の実施形態においては、灰色の成形体を研削する。
【0024】
本発明の別の特定の実施形態においては、灰色の成形体を研磨する。
【0025】
本発明の別の特定の実施形態においては、灰色の成形体にサンダー仕上げを施す。
【0026】
本発明の別の特定の実施形態においては、灰色の成形体を化学又は電気化学エッチングに供し、エッチングにより、特には灰色の成形体の表面の状態に応じて、独創的な審美的効果が得られる、例えば金属マトリクスとセラミック粒子の相のコントラストが際立つことが確認されている。
【0027】
これらの特徴により、本発明では、金属マトリクスであるにも関わらず、耐食性であり且つ強磁性ではない複合材料が得られる。本発明の複合材料は、肉眼でも見える粒状体から構成され、そのことにより粒状模様を有する素材、例えば御影石等のある種の岩石又はある種のいわゆる「美的な」コンクリートと同様の外観となる。金型に容易且つ迅速に圧入又は射出注入できることから、この粒状模様複合材料では、形状に関して制限を受けることなく、時計又は宝飾品用の外部部品等の装飾的要素を作製することができ、その外観及び質感は独創的且つ完全に革新的である。測時器のムーブメントの部品、例えばプレート、ブリッジ又は回転錘でさえ本発明の粒状模様複合材料を使用して作製することも考えられる。
【0028】
さらに、本発明の複合材料は硬質且つ強靭であり、またその組成にポリマー材料を全く含まないことから、時の試練にも容易に耐えることができる。特に、本発明の複合材料は、可視光線に含まれる紫外線に対して感度が低い又は不感である。
【0029】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の粒状模様複合材料の様々な実施形態例についての後述の詳細な説明を読むことでより深く理解できる。これらの実施例は例示を目的としたものにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図してはおらず、添付の図面に関連して与えられたものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、第2の実施例の297−420μmの範囲の粒径を有する15体積%のコランダムのサンダー仕上げ後の断面図である。
図2図2は、第2の実施例の297−420μmの範囲の粒径を有する25体積%のコランダムのサンダー仕上げ後の断面図である。
図3図3は、第2の実施例の420−595μmの範囲の粒径を有する15体積%のコランダムのサンダー仕上げ後の断面図である。
図4図4は、第2の実施例の420−595μmの範囲の粒径を有する25体積%のコランダムのサンダー仕上げ後の断面図である。
図5図5は、第1の実施例の297−420μmの範囲の粒径を有する15体積%のコランダムのサンダー仕上げ後の断面図である。
図6図6は、第1の実施例の297−420μmの範囲の粒径を有する25体積%のコランダムのサンダー仕上げ後の断面図である。
図7図7は、第1の実施例の420−595μmの範囲の粒径を有する15体積%のコランダムのコランダムのサンダー仕上げ後の断面図である。
図8図8は、第1の実施例の420−595μmの範囲の粒径を有する25体積%のコランダムのコランダムのサンダー仕上げ後の断面図である。
図9図9は、第3の実施例のサンダー仕上げ後の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、迅速且つ簡単に実行でき、硬質、強靭で耐久性が高い複合材料を得ようとする創意に富んだ概念から生まれた。材料の体積の50−95%を占める金属マトリクスと材料の体積の5−50%を占めるセラミック粒子との組み合わせから得られるそのような複合材料は、形状に関して制限を受けることなく、特には計時器及び宝飾品用の外部部品の作製を可能にし、その外観は独創的且つ革新的である。材料成形パラメータに加えて、本発明の複合材料の組成物で使用する元素、セラミック粒子のサイズ及びその体積分率をうまく選択することにより、複合材料を構成する異なる相を対比させることができ、本発明の複合材料の外観は、芸術及び建築の分野で用いられる御影石等のある種の岩石又はある種コンクリートのものに似た独創的なものになる。
【実施例】
【0032】
本発明の複合材料の第1の実施例は、グレード2チタン粉末をコランダム粉末と異なる体積分率及び粒径で混合することで得られる。チタン粉末の累積関数は25μm未満のD90値を有する。つまり、本発明の材料の組成物中に含まれるグレード2チタン粒子の90%が25μm未満の粒径を有する。本発明の複合材料の4種の試料を、上記のグレード2チタン粉末をそれぞれ:
・297−420μmの範囲の粒径を有する15体積%のコランダム(この条件下で作製した試料のサンダー仕上げ後の断面図を図5に示す);
・297−420μmの範囲の粒径を有する25体積%のコランダム(この条件下で作製した試料のサンダー仕上げ後の断面図を図6に示す);
・420−595μmの範囲の粒径を有する15体積%のコランダム(この条件下で作製した試料のサンダー仕上げ後の断面図を図7に示す);
・420−595μmの範囲の粒径を有する25体積%のコランダム(この条件下で作製した試料のサンダー仕上げ後の断面図を図8に示す)
と混合することで作製した。
【0033】
真空下、2時間にわたって1100℃で焼結したこれらのチタン/コランダム複合材料の場合、コランダムとチタンとの反応により、金属マトリクスとセラミック粒子との界面に、コランダム相及びチタン相に沿った相が現れる。この第3の相はサンダー仕上げ中に鮮明になり、このようにして得られた複合材料部品には3つの異なる色合いの灰色が現れる。
【0034】
本発明の複合材料の第2の実施例は、ステンレス鋼1.4435粉末をコランダム粉末と異なる体積分率及び粒径で混合することで得られる。ステンレス鋼粉末の累積関数は22μm未満のD90値を有する。つまり、本発明の材料の組成物中に含まれるステンレス鋼1.4435粒子の90%が22μm未満の粒径を有する。本発明の複合材料の4種の試料を、上記のステンレス鋼1.4435粉末をそれぞれ:
・297−420μmの範囲の粒径を有する15体積%のコランダム(この条件下で作製した試料のサンダー仕上げ後の断面図を図1に示す);
・297−420μmの範囲の粒径を有する25体積%のコランダム(この条件下で作製した試料のサンダー仕上げ後の断面図を図2に示す);
・420−595μmの範囲の粒径を有する15体積%のコランダム(この条件下で作製した試料のサンダー仕上げ後の断面図を図3に示す);
・420−595μmの範囲の粒径を有する25体積%のコランダム(この条件下で作製した試料のサンダー仕上げ後の断面図を図4に示す)
と混合することで作製した。
【0035】
本発明のステンレス鋼/コランダム複合材料の上記4種の例を、2時間にわたって1300℃、不活性なアルゴン雰囲気下、900ミリバールの圧力で焼結した。
【0036】
不活性なアルゴン雰囲気下で焼結したこれらのステンレス鋼/コランダム複合材料の場合、温度及び焼結時間に応じて、合金の特定の元素が最初は白色のコランダム内で拡散し、コランダムに審美的に極めて興味深い色彩を付与することが観察された。したがって、クロムがコランダム内で拡散する場合、コランダムはルビーのものに似たピンク色がかった赤い色を帯び、鉄がコランダム内に拡散すると、コランダムはグリーンサファイアのものに似た緑色になる。
【0037】
本発明の複合材料の第3の実施例は、ステンレス鋼1.4435粉末を希土類アルミネート、希土類シリケート又はユーロピウム及び/若しくはジスプロシウムをドープしたアルミン酸ストロンチウムをベースとした発光無機粒子と混合することで得られる。
【0038】
そのような材料の一例は、15体積分率のユーロピウム及び/又はジソプロシウムをドープしたアルミン酸ストロンチウム粒子を混合することで得られる。ステンレス鋼粉末の累積関数は22μm未満の累積D90値を有する。つまり、本発明の材料の組成物中に含まれるステンレス鋼1.4435粒子の90%が22μm未満の粒径を有する。ユーロピウム及びジソプロシウムをドープしたアルミン酸ストロンチウム粒子は400−600μmの範囲の粒径を有する。次に、ステンレス鋼1.4435粒子とユーロピウム及び/又はジソプロシウムをドープしたアルミン酸ストロンチウム粒子とのこの混合物を2時間にわたって1300℃、不活性なアルゴン雰囲気下、900ミリバールの圧力で焼結した。驚くべきことに、焼結後、ドープしたアルミン酸ストロンチウム粒子はその発光作用を維持し、得られた複合材料の粒状模様にその発光作用が加わった。これらの条件下で作製した試料のサンダー仕上げ後の断面図を図9に示す。
【0039】
言うまでもないことだが、本発明は上述の実施形態に限定されず、また当業者ならば、添付の請求項により定義される発明の範囲を逸脱することなく、様々な単純な代替物及び改変に思い至る。特に、本発明では、用語「粒状模様複合材料」とは、肉眼で見える粒状体により形成される材料を意味すると理解されることに留意されたい。金属マトリクス中に分散させるセラミック粒子全てが同じ性質を有し得ること又は少なくとも2種の異なる材料に相当し得ることにも留意されたい。同様に、セラミック粒子は全て同じサイズになり得る又は異なるサイズになり得る。機械加工及び切削作業の目的は概して表面粗さを低下させ、灰色の成形体をその最終形状及び寸法にすることではあるが、研磨作業及び/又はサンダー仕上げ作業及び/又は化学/電気化学エッチング作業の目的は概して最終部品の見た目の美しさを向上させることである。より具体的には、そのような研磨/サンダー仕上げ/化学又は電気化学エッチング作業を灰色の成形体に行うことにより、特にはこの複合材料を構成している相の違いが露わになり、またこれらの相のコントラストが際立つことで、見た目の美しさが大幅に改善された最終部品が得られることが観察されている。最期に、本発明の粒状模様複合材料から作製する部品のマトリクスが金属質であり、それゆえに電導性であるという事実は、複合材料部品の金属面を装飾的な材料層で選択的にコーティングできる可能性がある電着処理にこの部品を供するにあたっては利点となり得ることに留意されたい。同様に、粒状模様複合材料で作製した部品の金属マトリクスは、この金属マトリクスに着色するために陽極酸化処理することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9