(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、予製剤の調剤時期については何ら考慮されていない。よって、多くの予製剤が薬局に保管された場合、大量の予製剤を在庫として抱える期間が長くなる虞があるという課題がある。
【0006】
本発明は、予製剤を在庫として抱える期間を短くすることができる薬品在庫管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る薬品在庫管理装置は、
薬品を処方された患者の処方箋情報に基づいて、前記患者について前記薬品の予製剤を作成するか否かを判定する予製判定部と、
前記予製剤を作成すると判定されると、前記予製剤を作成する作成予定日であって前記患者の次回の来局予定日から求められる作成予定日を含む予製剤データを取得し、前記予製剤データを予製剤情報に登録する予製剤情報登録部と、
前記予製剤情報に基づいて、前記作成予定日に前記予製剤を作成することを促す予製剤確認画面を表示する確認画面表示部と、
前記予製剤が作成されたことを示す情報を取得すると、前記薬品の在庫数から前記予製剤の数である予製剤数を引いた数を考慮済在庫数として在庫情報に設定する在庫情報設定部と、
前記考慮済在庫数と前記薬品の発注の要否の判定に用いる発注点とに基づいて、前記薬品の発注の要否を判定する発注判定部とを備えた。
【0008】
前記予製剤情報登録部は、
前記予製剤データの入力を受け付ける予製剤指定画面を表示機器に表示し、前記予製剤指定画面に入力された情報と、前記患者の前記処方箋情報とに基づいて、前記予製剤データを生成する。
【0009】
前記予製剤情報登録部は、
前記来局予定日が前記予製剤指定画面に入力されると、前記来局予定日の所定日数の分だけ前の日を前記作成予定日として算出する。
【0010】
前記所定日数は、前記患者または患者グループに応じて設定可能である。
【0011】
前記確認画面表示部は、
前記作成予定日に前記予製剤を作成することを促す予製剤作成通知を前記予製剤確認画面とともに表示する。
【0012】
前記予製剤情報は、前記予製剤が作成されたか否かを表す予製完了フラグを備え、
前記在庫情報設定部は、
前記予製完了フラグがオンになると、前記考慮済在庫数を設定する。
【0013】
前記在庫情報設定部は、
前記来局予定日から算出される来局期間に、前記患者により前記予製剤が処方されると、前記在庫情報に設定されている前記予製剤数と前記在庫数を更新する。
【0014】
前記在庫情報設定部は、
前記患者が前記来局期間に来局しなかった場合、前記在庫情報における前記予製剤数を0に初期化し、前記考慮済在庫数を更新する。
【0015】
前記薬品在庫管理装置は、
前記薬品の予製が可能か否かを表す予製可不可情報を備え、
前記予製判定部は、
前記処方箋情報と前記予製可不可情報とに基づいて、前記薬品の予製剤を作成するか否かを判定する。
【0016】
本発明に係る薬品在庫管理方法は、
予製判定部が、薬品を処方された患者の処方箋情報に基づいて、前記患者について前記薬品の予製剤を作成するか否かを判定し、
予製剤情報登録部が、前記予製剤を作成すると判定されると、前記予製剤を作成する作成予定日であって前記患者の次回の来局予定日から求められる作成予定日を含む予製剤データを取得し、前記予製剤データを予製剤情報に登録し、
確認画面表示部が、前記予製剤情報に基づいて、前記作成予定日に前記予製剤を作成することを促す予製剤確認画面を表示し、
在庫情報設定部が、前記予製剤が作成されたことを示す情報を取得すると、前記薬品の在庫数から前記予製剤の数である予製剤数を引いた数を考慮済在庫数として在庫情報に設定し、
発注判定部が、前記考慮済在庫数と前記薬品の発注の要否の判定に用いる発注点とに基づいて、前記薬品の発注の要否を判定する。
【0017】
本発明に係る薬品在庫管理プログラムは、
薬品を処方された患者の処方箋情報に基づいて、前記患者について前記薬品の予製剤を作成するか否かを判定する予製判定処理と、
前記予製剤を作成すると判定されると、前記予製剤を作成する作成予定日であって前記患者の次回の来局予定日から求められる作成予定日を含む予製剤データを取得し、前記予製剤データを予製剤情報に登録する予製剤情報登録処理と、
前記予製剤情報に基づいて、前記作成予定日に前記予製剤を作成することを促す予製剤確認画面を表示する確認画面表示処理と、
前記予製剤が作成されたことを示す情報を取得すると、前記薬品の在庫数から前記予製剤の数である予製剤数を引いた数を考慮済在庫数として在庫情報に設定する在庫情報設定処理と、
前記考慮済在庫数と前記薬品の発注の要否の判定に用いる発注点とに基づいて、前記薬品の発注の要否を判定する発注判定処理と
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る薬品在庫管理装置では、次回の来局予定日から求められる作成予定日における予製剤の作成を促すとともに、予製剤を考慮した薬品の発注を行う。よって、本発明に係る薬品在庫管理装置によれば、予製剤を在庫として抱える期間を短くするとともに、適切な薬品の発注を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
【0021】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る薬品在庫管理システム500の全体構成例を示す図である。
本実施の形態に係る薬品在庫管理装置100は、薬局において薬剤師が用いるレセプトコンピュータといった店舗端末装置10に搭載されている。店舗端末装置10は、ネットワーク30を介して在庫管理サーバ20と通信する。在庫管理サーバ20は、薬局における薬品の在庫を管理するサーバである。
【0022】
例えば、慢性疾患の患者は、定期的に同一薬品を同一量処方される。薬局では、このような患者の来局時にすぐに処方薬品を渡せるように、薬品を「予製剤」として事前調剤する運用がある。本実施の形態では、予製剤の作成予定日を適切に設定するとともに、予製剤を考慮した在庫管理を実施することにより、適正な在庫量を保ちつつ、精度の高い発注点管理を実施する薬品在庫管理装置100について説明する。
【0023】
図2を用いて、本実施の形態に係る薬品在庫管理装置100の構成例について説明する。
薬品在庫管理装置100は、コンピュータである。薬品在庫管理装置100は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0024】
薬品在庫管理装置100は、機能要素として、予製判定部110と予製剤情報登録部120と確認画面表示部130と在庫情報設定部140と発注判定部150と記憶部160を備える。記憶部160には、処方箋情報61と予製剤情報62と在庫情報63と発注点64と所定日数65が記憶される。
【0025】
予製判定部110と予製剤情報登録部120と確認画面表示部130と在庫情報設定部140と発注判定部150の機能は、ソフトウェアにより実現される。
記憶部160は、メモリ921に備えられる。なお、記憶部160は、補助記憶装置922に備えられていてもよいし、メモリ921と補助記憶装置922に分散して備えられていてもよい。
【0026】
プロセッサ910は、予製判定部110と予製剤情報登録部120と確認画面表示部130と在庫情報設定部140と発注判定部150の機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ910の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0027】
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、あるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
【0028】
入力インタフェース930は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。入力インタフェース930は、具体的には、USB(Universal Serial Bus)端子である。なお、入力インタフェース930は、LAN(Local Area Network)と接続されるポートであってもよい。
出力インタフェース940は、ディスプレイといった出力機器のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子またはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)である。
本実施の形態における予製剤指定画面21および予製剤確認画面22は、入力インタフェース930に接続されると共に出力インタフェース940に接続される。予製剤指定画面21および予製剤確認画面22は、出力インタフェース940を介して表示機器に表示されるとともに、出力インタフェース940を介して薬剤師等からの入力を受け付ける。
【0029】
通信装置950は、ネットワークを介して他の装置と通信する。通信装置950は、レシーバとトランスミッタを有する。通信装置950は、有線または無線で、LAN、インターネット、あるいは電話回線といった通信網に接続している。通信装置950は、具体的には、通信チップまたはNIC(Network Interface Card)である。
【0030】
薬品在庫管理プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、薬品在庫管理プログラムだけでなく、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ910は、OSを実行しながら、薬品在庫管理プログラムを実行する。薬品在庫管理プログラムおよびOSは、補助記憶装置922に記憶されていてもよい。補助記憶装置922に記憶されている薬品在庫管理プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、薬品在庫管理プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0031】
薬品在庫管理装置100は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、薬品在庫管理プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、薬品在庫管理プログラムを実行する装置である。
【0032】
薬品在庫管理プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0033】
予製判定部110と予製剤情報登録部120と確認画面表示部130と在庫情報設定部140と発注判定部150の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えてもよい。薬品在庫管理プログラムは、予製判定処理と予製剤情報登録処理と確認画面表示処理と在庫情報設定処理と発注判定処理を、コンピュータに実行させる。また、薬品在庫管理方法は、薬品在庫管理装置100が薬品在庫管理プログラムを実行することにより行われる方法である。
薬品在庫管理プログラムは、コンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよい。また、薬品在庫管理プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0034】
***動作の説明***
図3は、本実施の形態に係る薬品在庫管理装置100の動作を示すフロー図である。
図3では、処方箋情報入力処理、予製判定処理、および予製剤情報登録処理について説明する。
【0035】
<処方箋情報入力処理>
ステップS101において、薬品を処方された患者の処方箋情報61が入力される。具体的には、施設訪問あるいは患者の来局に伴い、薬品を調剤した薬剤師が、処方箋情報61を入力する。特に施設に入院している患者は、定期的に同一薬品を同一量処方される可能性が高い。
【0036】
図4は、本実施の形態に係る処方箋情報61の例を示す図である。
患者に対して処方された処方箋ごとに処方番号が採番され、処方箋情報61に処方箋の内容が設定される。
具体的には、処方箋情報61には、処方番号611、調剤日612、薬剤師ID(Identifier)613、患者ID614、薬品ID615、1日量の調剤数616、および処方日数617といった情報が設定される。
【0037】
<予製判定処理>
ステップS102において、予製判定部110は、薬品を処方された患者の処方箋情報61に基づいて、今回薬品を処方された対象患者について、薬品の予製剤を作成するか否かを判定する。具体的には、予製判定部110は、対象患者が、次回、同内容の処方箋が処方されることが見込める患者か否かを判定する。例えば、予製判定部110は、処方箋情報61を解析し、対象患者の今回の処方内容が前回と同じか否かを判定し、前回と同じであれば、次回も同内容の処方箋が処方されることが見込めると判定する。予製判定部110は、次回も同内容の処方箋が処方されることが見込める場合、対象患者について予製剤を作成すると判定する。
予製剤を作成する場合、ステップS103に進む。予製剤を作成しない場合、何もせずに処理を終了する。
【0038】
<予製剤情報登録処理>
ステップS103において、予製剤情報登録部120は、予製剤を作成すると判定されると、予製剤を作成する作成予定日を含む予製剤データ620を取得し、予製剤データ620を予製剤情報62に登録する。作成予定日は、患者の次回の来局予定日から求められる。
【0039】
図5は、本実施の形態に係る予製剤指定画面21の例を示す図である。
予製剤指定画面21は、予製剤に関する情報である予製剤データ620を、薬剤師に入力させるための画面である。
予製剤指定画面21は、処方番号領域211、薬剤師ID領域212、薬品ID領域213、予製剤数領域214、患者ID領域215、来局予定日領域216、作成予定日領域217、および予製完了フラグ領域218を備える。
【0040】
図6は、本実施の形態に係る予製剤情報62の例を示す図である。
予製剤情報62には、患者ごとの予製剤データ620が登録されている。患者に処方された処方箋について予製剤の作成が必要な場合に、予製剤データ620が予製剤情報62に登録される。
予製剤情報62の各予製剤データ620には、処方番号621、薬剤師ID612、患者ID623、薬品ID624、予製剤数625、作成予定日626、来局予定日627、および予製完了フラグ628が設定される。
予製完了フラグ628には、薬剤師が予製剤データ620に対応する予製剤を作成したタイミングで薬剤師により「1」がセットされる。予製完了フラグ628に「1」がセットされることは、予製完了フラグ628がオンになることを意味する。
【0041】
予製剤情報登録部120は、予製剤データ620の入力を受け付ける予製剤指定画面21を表示機器に表示する。予製剤情報登録部120は、例えば、予製剤指定画面21を介して、薬剤師に予製剤データ620に含まれる情報を入力させる。予製剤情報登録部120は、予製剤指定画面21に入力された情報と、患者の処方箋情報61とに基づいて、予製剤データ620を生成する。
【0042】
予製剤情報登録部120は、予製剤指定画面21を表示する際、患者の処方箋情報61を用いて、自動的に、薬剤師ID、薬品ID、予製剤数、患者ID、来局予定日、および作成予定日を表示してもよい。その後、予製剤情報登録部120は、予製剤指定画面21を介して、薬剤師による予製剤データ620の修正を受け付けてもよい。例えば、予製剤情報登録部120は、処方番号領域211に入力された処方番号に基づいて、処方箋情報61を参照し、薬剤師ID、薬品ID、予製剤数、患者ID、来局予定日、および作成予定日を表示する。このとき、予製剤情報登録部120は、今回の処方内容における調剤数616と処方日数617に基づいて予製剤数を算出し、予製剤数領域214に表示する。また、予製剤情報登録部120は、今回の処方内容における調剤日612に処方日数617を加算した日にちを来局予定日として来局予定日領域216に表示する。
このように予製剤情報登録部120が自動的に来局予定日領域216に来局予定日を表示した場合でも、薬剤師は患者から口頭で聞いた次回の来局予定日を来局予定日領域216に入力してもよい。
【0043】
また、予製剤情報登録部120は、来局予定日が予製剤指定画面21に入力されると、来局予定日の所定日数65だけ前の日にちを作成予定日として自動的に算出する。あるいは、予製剤情報登録部120は、来局予定日を予製剤指定画面21に自動的に表示するとともに、来局予定日の所定日数65だけ前の日にちを作成予定日として自動的に表示してもよい。
【0044】
以上のように、予製剤データ620の各情報は、薬剤師等により予製剤指定画面21に入力された情報と、予製剤情報登録部120により処方箋情報61に基づいて自動的に算出された情報と、予製剤情報登録部120により自動的に表示された情報とが混在していてもよい。あるいは、予製剤情報登録部120は、薬剤師により入力された情報のみを予製剤データ620としてもよい。あるいは、予製剤情報登録部120により自動的に取得された情報のみを予製剤データ620としてもよい。最終的に、予製剤指定画面21の各領域に表示されている情報が予製剤データ620となる。
【0045】
図7は、本実施の形態に係る薬品在庫管理装置100の動作を示すフロー図である。
図7では、予製剤情報登録処理後における確認画面表示処理、予製剤調剤処理、在庫情報設定処理、および発注判定処理について説明する。
【0046】
<確認画面表示処理>
ステップS201において、確認画面表示部130は、予製剤情報62に基づいて、作成予定日に予製剤を作成することを促す予製剤確認画面22を表示する。具体的には、確認画面表示部130は、予製剤情報62の作成予定日626を参照し、作成予定日626の一定期間前に予製剤確認画面22を表示する。例えば、確認画面表示部130は、作成予定日626の前週に翌週分の予製剤調剤を促してもよい。あるいは、予製剤確認画面22を表示するタイミングを、予め、水曜日の朝といった業務の都合を考慮した定時に設定しておいてもよい。確認画面表示部130は、予め設定された定時、例えば毎水曜日の朝に予製剤確認画面22を表示する。
【0047】
図8は、本実施の形態に係る予製剤確認画面22の例を示す図である。
予製剤確認画面22には、番号221、来局予定日222、作成予定日223、薬品ID224、予製剤数225、薬剤師ID226、および患者ID227が設定された予製剤データ220が表示される。
例えば、確認画面表示部130は、毎水曜日の朝に、予製剤の作成予定日が来週の火曜日までに入っており、かつ、まだ予製剤が作成されていない予製剤データ620を予製剤確認画面22に表示する。
【0048】
確認画面表示部130は、作成予定日に予製剤を作成することを促す予製剤作成通知229を予製剤確認画面22とともに表示してもよい。
図8に示すように、確認画面表示部130は、例えば、既に今日が作成予定日となっている予製剤データ220を強調表示した情報を、予製剤作成通知229として予製剤確認画面22とともに表示する。
【0049】
あるいは、確認画面表示部130は、予製剤情報62における予製剤データ620を、来局予定日あるいは作成予定日の早い順に並べ替えたものを予製剤確認画面22として作成してもよい。そして、確認画面表示部130は、予製剤確認画面22に表示された予製剤データ220のうち1週間以内に作成予定日が到来する予製剤データ220について、強調表示するとしてもよい。
【0050】
また、予製剤確認画面22は、予製剤が作成されたか否かを表す予製完了フラグ228を備えていてもよい。作成予定日より早く予製剤を作成した予製剤データ220については、予製完了フラグ228が「1」となっているものが表示される。
【0051】
<予製剤調剤処理>
ステップS202において、薬剤師により予製剤が調剤される。
ステップS203において、予製剤が調剤されると、薬剤師により、予製剤指定画面21を介して、作成された予製剤に対応する予製完了フラグ領域218に「1」が設定される。これにより、予製剤情報62の予製完了フラグ628に「1」が設定される。
あるいは、予製剤確認画面22の予製完了フラグ228から、予製完了フラグを設定できるとしてもよい。
【0052】
<在庫情報設定処理>
ステップS204において、在庫情報設定部140は、予製剤が作成されたことを示す情報を取得すると、薬品の在庫数638から予製剤の数である予製剤数639を引いた数を考慮済在庫数640として在庫情報63に設定する。予製剤が作成されたことを示す情報とは、予製完了フラグ228の情報である。具体的には、在庫情報設定部140は、予製完了フラグ228が「1」になると、すなわち予製完了フラグ228がオンになると、考慮済在庫数640を設定する。
【0053】
図9は、本実施の形態に係る在庫情報63の例を示す図である。
在庫情報63は、薬局における薬品ごとの在庫を管理する情報である。
図9では、薬品01の在庫情報63の例を示している。薬局における薬品01の在庫が変動する度に処理番号631が採番される。そして、在庫情報63には、処理番号631に対応付けられて、薬品01の在庫の状況が設定される。
在庫情報63には、処理番号631、処方番号632、調剤日633、予製剤作成日634、発注日あるいは納品日635、処方数636、納品数637、在庫数638、予製剤数639、および考慮済在庫数640が設定される。なお薬品については、発注日に納品されることが多いので、発注日あるいは納品日635は、発注日であり納品日であることが多い。
【0054】
図9を用いて、在庫情報設定部140による在庫情報設定処理の具体例を説明する。
例えば、作成予定日である2019/9/3に予製剤の作成が促され、薬剤師により予製剤が作成されたものとする。このとき、在庫情報63には、処理番号「6」として、予製剤作成日が「2019/9/3」、在庫数が「149」、予製剤数が「100」、考慮済在庫数が「49」と設定される。在庫情報設定部140は、在庫数である「149」から予製剤数である「100」を引いた数を考慮済在庫数「49」として在庫情報63に設定する。
【0055】
<発注判定処理>
ステップS205において、発注判定部150は、考慮済在庫数640と、薬品の発注の要否の判定に用いる発注点64とに基づいて、薬品の発注の要否を判定する。考慮済在庫数640が発注点64以下となった場合、発注判定部150は、薬品の発注が必要と判定する。薬品の発注が必要と判定されると、薬品の発注処理が実施される。
【0056】
図9において、処理番号「6」の時点で発注判定処理が実施されるものとする。また、薬品01の発注点64を「50」とする。
図9の処理番号「6」の時点では、考慮済在庫数は「49」である。考慮済在庫数が発注点を下回っているため、発注判定部150は、薬品01を発注すると判定する。
薬品01を発注した結果、処理番号「7」において、薬品01が「100」納品される。これにより、在庫数が「249」となり、考慮済在庫数が「149」となる。1時的に在庫数は増加するが、1週間後の来客予定日「2019/9/10」に予製剤の対象の患者が来局すれば、予製剤が「100」処方されるので、適正な在庫数が保たれるはずである。また、在庫数が増加した状態は、1週間ほどで解消されるはずである。
【0057】
予定通りに予製剤の対象患者が来局し、予製剤を処方した場合は、ステップS206に進む。
何らかの理由で予製剤の対象患者が来局しなかった場合は、ステップS207に進む。
在庫情報設定部140は、予定通りに予製剤の対象患者が来局したか否かを判定する。このとき、在庫情報設定部140は、来局予定日から算出される来局期間に、予製剤の対象患者が来局したか否かを判定する。来局期間とは患者の来局に猶予期間を持たせるための期間である。来局予定日から算出される来局期間とは、例えば、来局予定日の前後3日間、前後1週間、あるいは、前3日間かつ後1週間といった期間である。患者は、都合により必ずしも来局予定日に来局するとは限らない。そこで、来局期間を設定し、患者の来局に猶予期間を持たせることで、より適切な在庫管理を行うことができる。
【0058】
ステップS206において、在庫情報設定部140は、来局予定日から算出される来局期間に、患者により予製剤が処方されると、在庫情報63に設定されている予製剤数と在庫数を更新する。
図9では、処理番号「8」(処方番号「5」)において、来客予定日「2019/9/10」の前に、予製剤の対象患者以外の患者(患者ID「K201」)に薬品01が「50」処方されている。よって、薬品01の在庫数は「199」であり、予製剤数は「100」であり、考慮済在庫数「149」である。次に、処理番号「9」(処方番号「6」)において、来客予定日「2019/9/10」に予製剤の対象患者(患者ID「K102」)が来局し、薬品01が「100」処方されている。このとき、在庫情報設定部140は、薬品01の在庫数を「99」、予製剤数を「0」、そして考慮済在庫数を「99」に更新する。
なお、予製剤数を考慮しなかった場合には、処理番号「7」の納品がされずに、処理番号「8」において、他の患者に薬品01が「50」処方される。この時点で、在庫数が「99」となり、処理番号「9」の予製剤の対象患者が来局した際には、在庫が足りない状況となる。
【0059】
ステップS207において、在庫情報設定部140は、患者が来局期間に来局しなかった場合、在庫情報63における予製剤数を「0」に初期化し、考慮済在庫数を更新する。
例えば、
図9の処理番号「9」がなく、患者が来局期間に来局しなかったと判定されると、在庫情報設定部140は、予製剤数を「0」とし、考慮済在庫数を「199」に更新する。
なおステップS206において、予製剤数の残数があった場合、残数を在庫数に加算するように構成してもよい。
【0060】
***他の構成***
<変形例1>
図10は、本実施の形態の変形例に係る予製可不可情報66の例を示す図である。
薬品在庫管理装置100は、薬品の予製が可能か否かを表す予製可不可情報66を備えていてもよい。予製可不可情報66には、薬品ID、薬品名、および予製の可不可を示す情報が設定される。予製可不可情報66は、例えば、薬品マスタ情報において薬品IDに対応付けられて設定されていてもよい。
予製判定部110は、処方箋情報61と予製可不可情報66とに基づいて、薬品の予製剤を作成するか否かを判定する。例えば、予製後に在庫に戻せない薬品は、予製可不可情報66において予製不可と設定しておく。
図3のステップS102において、予製判定部110は、次回、同内容の処方が見込まれる薬品であっても、予製不可の薬品については予製剤を作成しないと判定する。予製不可の薬品とは、軟膏、あるいは、分封した粉末剤といった在庫に戻せない薬品である。
【0061】
<変形例2>
本実施の形態は、施設に入院している患者や在宅の患者に、薬剤師が医師等とともに訪問して処方する場合にも適用できる。その場合、患者は来局していないが、薬剤師が訪問して処方する場合を「患者の来局」という表現に含めるものとする。また薬剤師が訪問すう予定日を「来局予定日」という表現に含めるものとする。
所定日数65は、来局予定日に合わせて予め予製剤を処方することを薬剤師に促すための来客予定日前の所定の日数であるが、この所定日数65を患者ごとに設定してもよい。または、同一施設に入院している患者を1つの患者グループとして登録し、患者グループごとに所定日数65を設定してもよい。
このように所定日数65を設定することで、特に患者グループに多数の患者が属する場合は、訪問の日にちを考慮して、効率的に予製剤を処方することができる。
【0062】
<変形例3>
本実施の形態では、薬品在庫管理装置100における予製判定部110と予製剤情報登録部120と確認画面表示部130と在庫情報設定部140と発注判定部150の機能がソフトウェアで実現される。しかし、変形例として、予製判定部110と予製剤情報登録部120と確認画面表示部130と在庫情報設定部140と発注判定部150の機能がハードウェアで実現されてもよい。
【0063】
図11は、本実施の形態の変形例に係る薬品在庫管理装置100の構成例を示す図である。
図11に示すように、プロセッサ910を電子回路909に置き換えてもよい。
電子回路909は、予製判定部110と予製剤情報登録部120と確認画面表示部130と在庫情報設定部140と発注判定部150の機能を実現する専用の電子回路である。電子回路909は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application
Specific Integrated
Circuitの略語である。FPGAは、Field−Programmable Gate Arrayの略語である。
【0064】
別の変形例として、予製判定部110と予製剤情報登録部120と確認画面表示部130と在庫情報設定部140と発注判定部150の一部の機能が専用のハードウェアで実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
【0065】
プロセッサ910と、メモリ921と、電子回路909とを、総称して「プロセッシングサーキットリ」という。つまり、の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
【0066】
***本実施の形態の効果の説明***
本実施の形態に係る薬品在庫管理装置100によれば、次回の来局予定日から求められる作成予定日における予製剤の作成を促すとともに、予製剤を考慮した薬品の発注を行う。よって、予製剤を在庫として抱える期間を短くするとともに、適切な薬品の発注を行うことができる。
【0067】
本実施の形態に係る薬品在庫管理装置100によれば、予製剤数を考慮する時期をコントロールすることで、適切なタイミングで発注処理が実施できる。また、不動在庫期間の短縮が期待できる。
【0068】
また、本実施の形態に係る薬品在庫管理装置100によれば、薬剤師から予製剤数を受け付け、適切な時期に予製剤の調剤を促すことで、薬剤師の作業効率化が見込める。
【0069】
また、本実施の形態に係る薬品在庫管理装置100によれば、予製剤が使用されたとき、されなかったとき、それぞれの場合で在庫管理が適切に行われる。
【0070】
以上の実施の形態1では、薬品在庫管理装置の各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、薬品在庫管理装置の構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。薬品在庫管理装置の機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、薬品在庫管理装置は、1つの装置でなく、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、この実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、この実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1では、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【0071】
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明の範囲、本発明の適用物の範囲、および本発明の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。
【解決手段】予製判定部110は、患者の処方箋情報61に基づいて、薬品の予製剤を作成するか否かを判定する。予製剤情報登録部120は、予製剤を作成すると判定されると、患者の次回の来局予定日から求められる作成予定日を含む予製剤データを予製剤情報62に登録する。確認画面表示部130は、予製剤情報62に基づいて、作成予定日に予製剤を作成することを促す予製剤確認画面を表示する。在庫情報設定部140は、予製剤が作成されたことを示す情報を取得すると、薬品の在庫数から予製剤の数である予製剤数を引いた数を考慮済在庫数として在庫情報63に設定する。発注判定部150は、考慮済在庫数と発注点64とに基づいて、薬品の発注の要否を判定する。