【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、鉄を含有するジオルガニルホスフィン酸塩によって解決される。
【0009】
驚くべきことに、本発明によるジオルガニルホスフィン酸塩は、難燃性ポリマー成形材料の配合時または難燃性ポリマー成形体の射出成形時に、拡張されたプロセスウィンドウを有すると同時に良好な難燃作用を示すことが見出された。
【0010】
それゆえ、本発明は、鉄0.0001から99.9999重量%を含むジオルガニルホスフィン酸塩に関する。
【0011】
好ましくは、ジオルガニルホスフィン酸塩が、式(I)
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、
R
1およびR
2は、同じかまたは異なり、C
1〜C
18−直鎖状アルキル、分岐状アルキル、もしくは環状アルキル、C
6〜C
18−アリール、C
7〜C
18−アリールアルキル、および/またはC
7〜C
18−アルキルアリールを意味するか、あるいは一緒に少なくとも1つの環を形成し、
yは、0.00001から0.091、
mは、1から4、および
nは、2から3、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Naおよび/またはK、ならびに
M‘は、Feを意味する)に相当する。
【0014】
好ましくは、式(I)において、R
1、R
2が、同じかまたは異なり、互いに独立に、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert.−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル(iso−ペンチル)、3−メチルブタ−2−イル、2−メチルブタ−2−イル、2,2−ジメチルプロピル(ネオペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロペンチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルエチル、フェニル、フェニルエチル、メチルフェニルおよび/またはメチルフェニルエチルを意味する。
【0015】
好ましくは、ジオルガニルホスフィン酸塩が、式(II)
【0016】
【化2】
【0017】
(式中、
aおよびbは、同じかまたは異なり、それぞれ互いに独立に、1から9を意味し、C
aH
2a+1基およびC
bH
2b+1基は、直鎖状または分岐状でもよく、
yは、0.00001から0.091、
mは、1から4、および
nは、2から3、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Naおよび/またはK、ならびに
M‘は、Feを意味する)に相当する。
【0018】
好ましくは、鉄が、ジアルキルホスフィン酸鉄(II)および/またはジアルキルホスフィン酸鉄(III)として存在する。
【0019】
好ましくは、MおよびM‘が、アニオン(C
aH
2a+1)(C
bH
2b+1)PO
2と共に一体の(einheitlich)イオン性化合物として存在する。
【0020】
好ましくは、ジオルガニルホスフィン酸塩がテロマーイオンをさらに含み、これらのテロマーイオンは、組成式(VI)
H−(C
wH
2w)
kP(O)(O
(−))(C
xH
2x)
l−H(VI)
のようなテロマーイオンであり、式(VI)において、互いに独立に、
kは、1から9、lは、1から9、
wは、2から9、xは、2から9を意味する。
【0021】
好ましくは、式(VI)において、wおよびxが、それぞれ2から4、ならびにkおよびlが、それぞれ1から4を意味する。
【0022】
特に好ましくは、式(VI)において、wおよびxが、それぞれ2または3、ならびにkおよびlが、それぞれ1から3を意味する。
【0023】
好ましくは、請求項1〜9のいずれか一つに記載のジオルガニルホスフィン酸塩が、
a)式(II)のジアルキルホスフィン酸塩60から99.8999P%、および
b)式(VI)のテロマーイオン0.1から40P%
を含み、a)とb)との合計が100P%であり、ただし、式(II)のジオルガニルホスフィン酸塩と式(VI)のテロマーイオンとがそれぞれ異なる化合物であることを条件とする。
【0024】
好ましくは、ジオルガニルホスフィン酸塩とテロマーイオンとが、その金属塩の形態で一体のイオン性化合物を形成する、つまり、テロマーイオンが、ジオルガニルホスフィン酸−テロマー塩へとイオン的に組み込まれている。
【0025】
好ましくは、イオンM、M‘、(C
aH
2a+1)(C
bH
2b+1)PO
2−、H−(C
wH
2w)
kPO
2−(C
xH
2x)
l−Hと、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルへキシルホスフィン酸、ブチルへキシルホスフィン酸、エチルオクチルホスフィン酸、sec−ブチルエチルホスフィン酸、1−エチルブチル−ブチル−ホスフィン酸、エチル−1−メチルペンチル−ホスフィン酸、ジ−sec−ブチルホスフィン酸(ジ−1−メチル−プロピルホスフィン酸)、プロピル−へキシルホスフィン酸、ジへキシルホスフィン酸、ヘキシル−ノニルホスフィン酸、プロピル−ノニルホスフィン酸、ジノニルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ブチル−オクチルホスフィン酸、ヘキシル−オクチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、エチル(シクロペンチルエチル)ホスフィン酸、ブチル(シクロペンチルエチル)ホスフィニン酸(Butyl(cyclopentylethyl)phosphininsaeure)、エチル(シクロヘキシルエチル)ホスフィン酸、ブチル(シクロヘキシルエチル)ホスフィン酸、エチル(フェニルエチル)ホスフィン酸、ブチル(フェニルエチル)ホスフィン酸、エチル(4−メチルフェニルエチル)ホスフィン酸、ブチル(4−メチルフェニルエチル)ホスフィン酸、ブチルシクロペンチルホスフィニン酸、ブチルシクロヘキシルエチルホスフィン酸、ブチルフェニルホスフィン酸、エチル(4−メチルフェニル)ホスフィン酸、および/またはブチル(4−メチルフェニル)ホスフィン酸のアニオンとが、一緒に一体のイオン性化合物を構成する。
【0026】
好ましくは、テロマーイオンが、その金属塩の形態で存在し、その金属塩は、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルへキシルホスフィン酸、ブチルへキシルホスフィン酸、エチルオクチルホスフィン酸、sec−ブチルエチルホスフィン酸、1−エチルブチル−ブチル−ホスフィン酸、エチル−1−メチルペンチル−ホスフィン酸、ジ−sec−ブチルホスフィン酸(ジ−1−メチル−プロピルホスフィン酸)、プロピル−へキシルホスフィン酸、ジへキシルホスフィン酸、ヘキシル−ノニルホスフィン酸、プロピル−ノニルホスフィン酸、ジノニルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ブチル−オクチルホスフィン酸、ヘキシル−オクチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、エチル(シクロペンチルエチル)ホスフィン酸、ブチル(シクロペンチルエチル)ホスフィニン酸、エチル(シクロヘキシルエチル)ホスフィン酸、ブチル(シクロヘキシルエチル)ホスフィン酸、エチル(フェニルエチル)ホスフィン酸、ブチル(フェニルエチル)ホスフィン酸、エチル(4−メチルフェニルエチル)ホスフィン酸、ブチル(4−メチルフェニルエチル)ホスフィン酸、ブチルシクロペンチルホスフィニン酸、ブチルシクロヘキシルエチルホスフィン酸、ブチルフェニルホスフィン酸、エチル(4−メチルフェニル)ホスフィン酸、および/またはブチル(4−メチルフェニル)ホスフィン酸の金属塩であり、金属塩の金属は、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Naおよび/またはKの群からである。
【0027】
好ましくは、本発明によるジオルガニルホスフィン酸塩が、
0.1から1000μmの粒径、
80から800g/lのかさ密度、
100g/lから1100g/lのタップ密度またはタップ密度、
5から45度の安息角、
1から40m
2/gのBET比表面積、
85から99.9の色値
L、
−4から+9の色値a、および
−2から+6の色値bを有する。
【0028】
特に好ましくは、本発明によるジオルガニルホスフィン酸塩が、
0.5から800μmの粒径、
80から600g/lのかさ密度またはタップ密度、
600g/lから800g/lのタップ密度、および
10から40度の安息角を有する。
【0029】
本発明は、
a)プロセス段階1において、P当たり0.9から1.1分子のオレフィンを、次亜リン酸の水溶性塩または酸それ自体へと付加し、
b)プロセス段階2において、P当たりさらなる0.9から1.1分子のオレフィンを、a)からの中間生成物へと付加し、ジアルキルホスフィン酸またはその塩とさせ、
c)プロセス段階3において、さらなる1から9のオレフィン分子を、プロセス段階1からのジアルキルホスフィネート分子の0から20%へと付加し、テロマーを形成させ、
d)プロセス段階4において、b)またはc)からの中間生成物を、金属塩および鉄塩と結晶化させる
ことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つに記載のジオルガニルホスフィン酸塩の製造方法にも関する。
【0030】
本発明は、
a)プロセス段階1において、P当たり0.9から1.1分子のオレフィンを、次亜リン酸の水溶性塩または酸それ自体へと付加し、
b)プロセス段階2において、P当たりさらなる0.9から1.1分子のオレフィンを、a)からの中間生成物へと付加し、ジアルキルホスフィン酸またはその塩とさせ、
c)プロセス段階3において、さらなる1から9のオレフィン分子を、プロセス段階1からのジアルキルホスフィネート分子の0から20%へと付加し、テロマーを形成させ、
d)プロセス段階4において、金属塩および/または鉄塩と結晶化させ、
e)プロセス段階5において、d)からの中間生成物を、金属塩または鉄塩と共沈させる
ことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つに記載のジオルガニルホスフィン酸塩のもう1つの製造方法に関する。
【0031】
好ましくは、テロマー塩が、イオン状鉄をすでに組み込んだジオルガニルホスフィン酸塩との共沈物を形成する。
【0032】
請求項1〜14のいずれか一つに記載のジオルガニルホスフィン酸塩の別の一製造方法は、
a)プロセス段階1において、P当たり0.9から1.1分子のオレフィンを、次亜リン酸の水溶性塩または酸それ自体へと付加し、
b)プロセス段階2において、P当たりさらなる0.9から1.1分子のオレフィンを、a)からの中間生成物へと付加し、ジアルキルホスフィン酸またはその塩とさせ、
c)プロセス段階3において、金属塩および/または鉄塩と結晶化させ、
d)次いで、プロセス段階4において、テロマーを物理的に混合する
ことを特徴とする。
【0033】
好ましくは、テロマー塩を、イオン状鉄をすでに組み込んだジオルガニルホスフィン酸塩と物理的に混合する。
【0034】
好ましくは、鉄塩が、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヨウ素酸塩、過塩素酸塩、酸化物、水酸化物、過酸化物、超酸化物、硫酸塩、硫酸水素塩、硫酸塩水和物、亜硫酸塩、ペルオキソ硫酸塩、窒化物、リン化物、硝酸塩、硝酸塩水和物、亜硝酸塩、リン酸塩、ペルオキソリン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、ピロリン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化炭酸塩、炭酸塩水和物、ケイ酸塩、ヘキサフルオロケイ酸塩、ヘキサフルオロケイ酸塩水和物、スズ酸塩、ホウ酸塩、ポリホウ酸塩、ペルオキソホウ酸塩、チオシアン酸塩、シアン酸塩、シアン化物、クロム酸塩、亜クロム酸塩、モリブデン酸塩、過マンガン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、酢酸塩水和物、トリフルオロ酢酸塩水和物、プロピオン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、カプリル酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、塩基性クエン酸塩、クエン酸塩水和物、安息香酸塩、サリチル酸塩、乳酸塩、乳酸塩水和物、アクリル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸の塩、グリシンの塩、フェノレート、パラ−フェノールスルホン酸塩、パラ−フェノールスルホン酸塩水和物、アセチルアセトネート水和物、タンニン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、および/またはアラルキルスルホン酸塩である。
【0035】
好ましくは、本発明によるジオルガニルホスフィン酸塩を、さらなる合成の中間生成物として、バインダとして、エポキシ樹脂、ポリウレタンおよび不飽和ポリエステル樹脂を硬化させる際の架橋剤または促進剤として、ポリマー安定剤として、植物保護薬剤として、金属イオン封鎖剤として、鉱油添加剤として、防食剤として、洗剤および洗浄剤用途において、ならびに電子工学用途において使用する。
【0036】
とりわけ本発明によるジオルガニルホスフィン酸塩を、難燃剤として、クリアワニスおよび膨張塗料用の難燃剤として、木材および他のセルロース含有製品用の難燃剤として、ポリマー用の反応性および/もしくは非反応性の難燃剤として、難燃性ポリマー成形材料を製造するため、難燃性ポリマー成形体を製造するため、ならびに/または含浸加工によってポリエステルおよびセルロース単紡布および混紡布に難燃加工を施すために使用する。
【0037】
好ましくは、前記の使用において、請求項1〜14のいずれか一つに記載のジオルガニルホスフィン酸塩を、相乗剤と共に使用し、これらの相乗剤は、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、三リン酸ペンタメラミン、二リン酸トリメラミン、三リン酸テトラキスメラミン、五リン酸ヘキサキスメラミン、二リン酸メラミン、四リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、および/またはポリリン酸メロンであり、メラミン縮合生成物、例えば、メラム、メレム、および/またはメロンであり、芳香族ポリカルボン酸とトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのオリゴマーエステル、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントイン、グリコウリル、メラミン、メラミンシアヌレート、シアヌル酸尿素、ジシアンジアミドおよび/またはグアニジンであり、式(NH
4)
yH
3−yPO
4または(NH
4PO
3)
z(式中、yは、1から3であり、zは、1から10,000である)の窒素含有リン酸塩であり、亜リン酸アルミニウム、ピロ亜リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウム、ピロホスホン酸アルミニウムであり、ケイ酸塩、ゼオライト、シリカ、セラミックス粉末、亜鉛化合物、例えば、ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、リン酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化スズ水和物、塩基性ケイ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、水酸化マグネシウム、ハイドロタルク石、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムマグネシウムであり、エチルホスホン酸塩、プロピルホスホン酸塩、ブチルホスホン酸塩、n−ブチルホスホン酸塩、sec−ブチルホスホン酸塩、ヘキシルホスホン酸塩、および/またはオクチルホスホン酸塩である。
【0038】
好ましくは、そのような使用において、さらなる添加剤を使用し、それらの添加剤は、酸化防止剤、UV安定剤、ガンマ線安定剤、加水分解安定剤、帯電防止剤、乳化剤、造核剤、可塑剤、加工助剤、耐衝撃性改質剤、染料、顔料、およびその他である。
【0039】
とりわけ前記の使用において、
請求項1〜14のいずれか一つに記載のジオルガニルホスフィン酸塩0.0001から99.7999重量%、
相乗剤0.1から40重量%、および
添加剤0.1から40重量%を使用し、成分の合計が100重量%である。
【0040】
最後に、本発明は、請求項1〜14のいずれか一つに記載のジオルガニルホスフィン酸塩0.5から45重量%、熱可塑性ポリマーもしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物0.5から95重量%、添加剤0から55重量%、およびフィラーまたは補強材0から55重量%を含む(ただし、成分の合計は100重量%である)、難燃性の熱可塑性ポリマー成形材料または熱硬化性ポリマー成形材料、ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸および/または繊維にも関する。
【0041】
好ましくは、前記の使用のためのポリマーが、HI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートといった種類の熱可塑性ポリマー、およびブレンド、またはABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)もしくはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)もしくはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/HIポリスチレン)プラスチック型のポリマーブレンド、ならびに/あるいは不飽和ポリエステルまたはエポキシ樹脂といった種類の熱硬化性ポリマーである。
【0042】
冒頭ですでに述べたように、本発明によるジオルガニルホスフィン酸塩は、最も頻繁にはジアルキルホスフィン酸塩として存在する。
【0043】
本発明によると、好ましくは、鉄が、ジアルキルホスフィン酸塩中またはジアルキルホスフィン酸テロマー塩中においてイオン形に組み込まれていてもよい。ジアルキルホスフィン酸アルミニウムとジアルキルホスフィン酸鉄(III)は、結晶化学的に等構造であるため、鉄(III)イオンが、ジアルキルホスフィン酸アルミニウム結晶格子中に組み込まれる。このことは、結晶化学上の単位胞の、均一に変化するc軸に現れる。この場合、物理的な混合物は存在しない。
【0044】
このことは、中でも、ジエチルホスフィン酸アルミニウムおよび対応するジエチルホスフィン酸鉄(III)に関して当てはまる。
【0045】
【表1】
【0046】
振動時の離溶に対するジアルキルホスフィン酸塩またはジアルキルホスフィン酸テロマー塩の安定性にとっては、異なる金属、ここではアルミニウムの結晶格子中に鉄を組み込むことが有利である。
【0047】
前記の記載は、アルキル基以外の基を含有するか、またはアルキル基以外の基およびアルキル基を含有するジオルガニルホスフィン酸塩に対しても類似に当てはまる。
【0048】
好ましくは、イオン性組込み用の鉄塩が、可溶性化合物である。
【0049】
好ましくは、イオン性組込み用の鉄塩が、鉄(II)塩および/または鉄(III)塩である。
【0050】
好ましくは、イオン性組込みおよび共沈用の鉄塩が、第7主族の無機アニオン(ハロゲン化物イオン)、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンとの鉄(II)塩および/または鉄(III)塩、第7主族のオキソ酸のアニオン(次亜ハロゲン酸イオン、亜ハロゲン酸イオン、ハロゲン酸イオン、例えば、ヨウ素酸イオン、過ハロゲン酸イオン、例えば、過塩素酸イオン)との鉄(II)塩および/または鉄(III)塩、第6主族のアニオン(カルコゲン化物イオン)、例えば、酸化物イオン、水酸化物イオン、過酸化物イオン、超酸化物イオンとの鉄(II)塩および/または鉄(III)塩、第6主族のオキソ酸のアニオン(硫酸イオン、硫酸水素イオン、硫酸塩水和物イオン、亜硫酸イオン、ペルオキソ硫酸イオン)との鉄(II)塩および/または鉄(III)塩、第5主族のアニオン(プニコゲン化物イオン)、例えば、窒化物イオン、リン化物イオンとの鉄(II)塩および/または鉄(III)塩、第5主族のオキソ酸のアニオン(硝酸イオン、硝酸水和物イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン、ペルオキソリン酸イオン、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオン、ピロリン酸イオン)との鉄(II)塩および/または鉄(III)塩、第4主族のオキソ酸のアニオン(炭酸イオン、炭酸水素イオン、水酸化炭酸イオン、炭酸水和物イオン、ケイ酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸水和物イオン、スズ酸)との鉄(II)塩および/または鉄(III)塩、第3主族のオキソ酸のアニオン(ホウ酸イオン、ポリホウ酸イオン、ペルオキソホウ酸イオン)との鉄(II)塩および/または鉄(III)塩、擬ハロゲン化物のアニオン(チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、シアン化物イオン)との鉄(II)塩および/または鉄(III)塩、遷移金属のオキソ酸のアニオン(クロム酸イオン、亜クロム酸イオン、モリブデン酸イオン、過マンガン酸イオン)との鉄(II)塩および/または鉄(III)塩である。
【0051】
好ましくは、イオン性組込みおよび共沈用の鉄塩が、モノカルボン酸、ジカルボン酸、オリゴカルボン酸、ポリカルボン酸(ギ酸の塩(ギ酸イオン))、酢酸(酢酸イオン、酢酸水和物イオン)、トリフルオロ酢酸(トリフルオロ酢酸水和物イオン)、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、吉草酸イオン、カプリル酸イオン、オレイン酸イオン、ステアリン酸イオン、シュウ酸(シュウ酸イオン)、酒石酸(酒石酸イオン)、クエン酸(クエン酸イオン、塩基性クエン酸イオン、クエン酸水和物イオン)、安息香酸(安息香酸イオン)、サリチル酸イオン、乳酸(乳酸イオン、乳酸水和物イオン)、アクリル酸、マレイン酸、コハク酸、アミノ酸(グリシン)、酸性ヒドロキソ官能基(フェノレート等々)、パラ−フェノールスルホン酸イオン、パラ−フェノールスルホン酸水和物イオン、アセチルアセトネート水和物イオン、タンニン酸イオン、ジメチルジチオカルバミン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、アラルキルスルホン酸イオンの群からの有機アニオンとの鉄(II)塩および/または鉄(III)塩である。
【0052】
好ましくは、イオン性組込み用の鉄塩が、ホウ酸鉄(II)および/もしくはホウ酸鉄(III)、硫酸鉄(II)および/もしくは硫酸鉄(III)、硫酸鉄(II)水和物および/もしくは硫酸鉄(III)水和物、ヒドロキソ硫酸鉄(II)水和物および/もしくはヒドロキソ硫酸鉄(III)水和物、混合ヒドロキソ硫酸鉄(II)水和物および/もしくは混合ヒドロキソ硫酸鉄(III)水和物、オキシ硫酸鉄(II)および/もしくはオキシ硫酸鉄(III)、酢酸鉄(II)および/もしくは酢酸鉄(III)、硝酸鉄(II)および/もしくは硝酸鉄(III)、フッ化鉄(II)および/もしくはフッ化鉄(III)、フッ化鉄(II)水和物および/もしくはフッ化鉄(III)水和物、塩化鉄(II)および/もしくは塩化鉄(III)、塩化鉄(II)水和物および/もしくは塩化鉄(III)水和物、オキシ塩化鉄(II)および/もしくはオキシ塩化鉄(III)、臭化鉄(II)および/もしくは臭化鉄(III)、ヨウ化鉄(II)および/もしくはヨウ化鉄(III)、ヨウ化鉄(II)水和物および/もしくはヨウ化鉄(III)水和物、ならびに/またはカルボン酸鉄(II)誘導体および/もしくはカルボン酸鉄(III)誘導体である。
【0053】
物理的混合用に好ましい鉄塩は、ジアルキルホスフィン酸鉄(II)である。
【0054】
好ましいジアルキルホスフィン酸鉄(II)は、ビス(ジエチルホスフィン酸)鉄(II)、ビス(ジプロピルホスフィン酸)鉄(II)、ビス(ブチルエチルホスフィン酸)鉄(II)、ビス(n−ブチルエチルホスフィン酸)鉄(II)、ビス(sec−ブチルエチルホスフィン酸)鉄(II)、ビス(ヘキシルエチルホスフィン酸)鉄(II)、ビス(ジブチルホスフィン酸)鉄(II)、ビス(へキシルブチルホスフィン酸)鉄(II)、および/またはビス(オクチルエチルホスフィン酸)鉄(II)である。
【0055】
物理的混合用に好ましい鉄塩は、ジアルキルホスフィン酸鉄(III)である。
【0056】
好ましいジアルキルホスフィン酸鉄(III)は、トリス(ジエチルホスフィン酸)鉄(III)、トリス(ジプロピルホスフィン酸)鉄(III)、トリス(ブチルエチルホスフィン酸)鉄(III)、トリス(n−ブチルエチルホスフィン酸)鉄(III)、トリス(sec−ブチルエチルホスフィン酸)鉄(III)、トリス(ヘキシルエチルホスフィン酸)鉄(III)、トリス(ジブチルホスフィン酸)鉄(III)、トリス(へキシルブチルホスフィン酸)鉄(III)、および/またはトリス(オクチルエチルホスフィン酸)鉄(III)である。
【0057】
テロマーは、オレフィンが次亜リン酸イオンに付加すると生成する。2分子のオレフィンのみならず、複数分子が、ジアルキルホスフィン酸イオンに付加する。その結果、1つまたは両方とものアルキル鎖が、さらなる1つまたは複数オレフィン単位分だけ延長される。
【0058】
好ましいテロマーは、式(V)
H−(C
wH
2w)
kP(O)(OMe)(C
xH
2x)
l−H(V)
のようなテロマーであり、式(V)において、互いに独立に、
kは、1から9、lは、1から9、wは、2から9、およびxは、2から9、ならびにMeは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Naおよび/またはKを意味する。
【0059】
好ましくは、テロマーが、Al塩、Ti塩、Fe塩、および/またはZn塩として存在する。
【0060】
本発明によるジアルキルホスフィン酸塩を製造する際にオレフィンとしてエチレンを使用すると、好ましくは、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルへキシルホスフィン酸、ブチルへキシルホスフィン酸、エチルオクチルホスフィネート等々のタイプのテロマー、および/またはそれらの塩が生成する。
【0061】
プロペンの場合は、順序が類似する。
【0062】
好ましいオレフィンは、エテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンである。
【0063】
立体化学は、分岐状アルキル鎖、例えば、sec−ブチルエチルホスフィネート、1−エチルブチル−ブチル−ホスフィネート、エチル−1−メチルペンチルホスフィネート、ジ−sec−ブチルホスフィネート(ジ−1−メチル−プロピルホスフィネート)等々の形成も可能にする。
【0064】
テロマーそれ自体は、リン含有化合物である。それらの含有量は、リンを含有するすべての成分の百分率で記載する(P%)。含有量は、
31P−NMRを使って測定する。
【0065】
請求項6で挙げた式(VI)
H−(C
wH
2w)
kP(O)(O
(−))(C
xH
2x)
l−H(VI)
のテロマーアニオンは、好ましくは、ジアルキルホスフィン酸塩の結晶格子中に組み込まれていてもよい。その結果この場合、ジアルキルホスフィン酸テロマー塩が存在することになる。
【0066】
振動時の離溶に対するジアルキルホスフィン酸塩およびジアルキルホスフィン酸テロマー塩の安定性にとっては、小さな粒径が好ましい。
【0067】
特に好ましくは、平均粒径d
50が、
ジアルキルホスフィン酸塩:0.01〜1000μm、
ジアルキルホスフィン酸テロマー塩:0.01〜1000μm、
ジアルキルホスフィン酸テロマー塩共沈物:0.01〜1000μm、
物理的ジアルキルホスフィン酸テロマー塩混合物:0.01〜1000μmである。
【0068】
特に好ましくは、平均粒径d
50が、
ジアルキルホスフィン酸塩:0.1〜90μm、
ジアルキルホスフィン酸テロマー塩:0.1〜90μm、
ジアルキルホスフィン酸テロマー塩共沈物:0.1〜90μm、
物理的ジアルキルホスフィン酸テロマー塩混合物:0.1〜90μmである。
【0069】
好ましくは、ポリマーが、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、またはポリアミド、および/または熱硬化性ポリマーの群からである。
【0070】
好ましくは、ポリマーが、モノオレフィンおよびジオレフィンのポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、ポリイソプレン、またはポリブタジエン、ならびにシクロオレフィン、例えば、シクロペンテンまたはノルボルネンのポリマーであり、さらにはポリエチレン(場合によっては架橋されていてもよい)、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、分岐状低密度ポリエチレン(VLDPE)、ならびにそれらの混合物である。
【0071】
好ましくは、ポリマーが、モノオレフィンおよびジオレフィンの、互いの間のコポリマーまたは他のビニルモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン−プロピレンコポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、およびその、低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン−ブテン−1−コポリマー、プロピレン−イソブチレンコポリマー、エチレン−ブテン−1−コポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマー、エチレン−メチルペンテンコポリマー、エチレン−ヘプテンコポリマー、エチレン−オクテンコポリマー、プロピレン−ブタジエンコポリマー、イソブチレン−イソプレンコポリマー、エチレン−アクリル酸アルキルコポリマー、エチレン−メタクリル酸アルキルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、およびそれらの、一酸化炭素とのコポリマー、またはエチレン−アクリル酸コポリマーおよびその塩(イオノマー)、ならびにエチレンの、プロピレンおよびジエン、例えば、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、またはエチリデンノルボルネンとのターポリマー、さらにはそのようなコポリマー互いの間の混合物、例えば、ポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー、LLDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー、LLDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー、およびポリアルキレン/一酸化炭素交互コポリマーまたはポリアルキレン/一酸化炭素ランダムコポリマー、およびそれらの、他のポリマー、例えば、ポリアミドとの混合物である。
【0072】
好ましくは、ポリマーが、その水素化修飾を含む炭化水素樹脂(例えば、C
5〜C
9)(例えば、粘着付与樹脂)、およびポリアルキレンとデンプンとの混合物である。
【0073】
好ましくは、ポリマーが、ポリスチレン(ポリスチレン143E(BASF))、ポリ−(p−メチルスチレン)、ポリ−(アルファ−メチルスチレン)である。
【0074】
好ましくは、ポリマーが、スチレンまたはアルファ−メチルスチレンの、ジエンまたはアクリル誘導体とのコポリマー、例えば、スチレン−ブタジエン、スチレン−アクリルニトリル、スチレン−メタクリル酸アルキル、スチレン−ブタジエン−アクリル酸アルキル、およびスチレン−ブタジエン−メタクリル酸アルキル、スチレン−無水マレイン酸、スチレン−アクリルニトリル−アクリル酸メチルであり、スチレンコポリマーと別のポリマー、例えば、ポリアクリレート、ジエンポリマー、またはエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーとからなる、耐衝撃性の高い混合物であり、ならびにスチレンのブロックコポリマー、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン、またはスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンである。
【0075】
好ましくは、ポリマーが、スチレンまたはアルファ−メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えば、ポリブタジエン上のスチレン、ポリブタジエン−スチレンコポリマーまたはポリブタジエン−アクリルニトリルコポリマー上のスチレン、ポリブタジエン上のスチレンおよびアクリルニトリル(またはメタクリルニトリル)、ポリブタジエン上のスチレン、アクリルニトリルおよびメタクリル酸メチル、ポリブタジエン上のスチレンおよび無水マレイン酸、ポリブタジエン上のスチレン、アクリルニトリルおよび無水マレイン酸またはマレイン酸イミド、ポリブタジエン上のスチレンおよびマレイン酸イミド、ポリブタジエン上のスチレンおよびアクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキル、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー上のスチレンおよびアクリルニトリル、ポリアクリル酸アルキルまたはポリメタクリル酸アルキル上のスチレンおよびアクリルニトリル、アクリレート−ブタジエンコポリマー上のスチレンおよびアクリルニトリル、ならびに、例えば、いわゆるABSポリマー、MBSポリマー、ASAポリマー、またはAESポリマーとして公知のそれらの混合物である。
【0076】
好ましくは、ポリマーが、ハロゲン含有ポリマー、例えば、ポリクロロプレン、クロロゴム、イソブチレン−イソプレンからなる塩素化および臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化ポリエチレンまたはクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンと塩素化エチレンとからなるコポリマー、エピクロロヒドリンホモポリマーおよびエピクロロヒドリンコポリマー、とりわけハロゲン含有ビニル化合物からなるポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ならびにそれらのコポリマー、例えば、塩化ビニル−塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル、または塩化ビニリデン−酢酸ビニルである。
【0077】
好ましくは、ポリマーが、アルファ−不飽和酸、ベータ−不飽和酸、およびそれらの誘導体から誘導されるポリマー、例えば、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、アクリル酸ブチルで耐衝撃性に修飾されたポリメタクリル酸メチル、ポリアクリルアミドおよびポリアクリルニトリル、ならびに挙げたモノマー同士の、または他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えば、アクリルニトリル−ブタジエンコポリマー、アクリルニトリル−アクリル酸アルキルコポリマー、アクリルニトリル−アクリル酸アルコキシアルキルコポリマー、アクリルニトリル−ハロゲン化ビニルコポリマー、またはアクリルニトリル−メタクリル酸アルキル−ブタジエンターポリマーである。
【0078】
好ましくは、ポリマーが、不飽和アルコールおよび不飽和アミンまたはそれらのアシル誘導体またはアセタールから誘導されるポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリフタル酸アリル、ポリアリルメラミン、ならびにそれらの、オレフィンとのコポリマーである。
【0079】
好ましくは、ポリマーが、環状エーテルのホモポリマーおよびコポリマー、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはそれらの、ビスグリシジルエーテルとのコポリマーである。
【0080】
好ましくは、ポリマーが、ポリアセタール、例えば、ポリオキシメチレン、およびコモノマー、例えば、エチレンオキシドを含有するようなポリオキシメチレンであり、熱可塑性ポリウレタン、アクリレート、またはMBSで修飾されているポリアセタールである。
【0081】
好ましくは、ポリマーが、ポリフェニレンオキシドおよびポリフェニレンスルフィド、ならびにそれらの、スチレンポリマーまたはポリアミドとの混合物である。
【0082】
好ましくは、ポリマーが、一方の、末端ヒドロキシ基を有するポリエーテル、ポリエステルおよびポリブタジエンと、他方の、脂肪族ポリイソシアネートまたは芳香族ポリイソシアネートとから誘導されるポリウレタン、ならびにその前駆体である。
【0083】
好ましくは、ポリマーが、ジアミンとジカルボン酸とから、および/またはアミノカルボン酸もしくは相応するラクタムから誘導されるポリアミドおよびコポリアミド、例えば、ポリアミド2/12、ポリアミド4(ポリ−4−アミノ酪酸、Nylon(登録商標)4、DuPont社)、ポリアミド4/6(ポリ(テトラメチレン−アジパミド)、ポリ−(テトラメチレン−アジピン酸ジアミド)、Nylon(登録商標)4/6、DuPont社)、ポリアミド6(ポリカプロラクタム、ポリ−6−アミノヘキサン酸、Nylon(登録商標)6、DuPont社、Akulon(登録商標)K122、DSM社、Zytel(登録商標)7301、DuPont社、Durethan(登録商標)B29、Bayer社)、ポリアミド6/6((ポリ(N,N’−ヘキサメチレンアジピンジアミド)、Nylon(登録商標)6/6、DuPont社、Zytel(登録商標)101、DuPont社、Durethan(登録商標)A30、Durethan(登録商標)AKV、Durethan(登録商標)AM、Bayer社、Ultramid(登録商標)A3、BASF社)、ポリアミド6/9(ポリ(ヘキサメチレンノナンジアミド)、Nylon(登録商標)6/9、DuPont社)、ポリアミド6/10(ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)、Nylon(登録商標)6/10、DuPont社)、ポリアミド6/12(ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド)、Nylon(登録商標)6/12、DuPont社)、ポリアミド6/66(ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−コ−カプロラクタム)、Nylon(登録商標)6/66、DuPont社)、ポリアミド7(ポリ−7−アミノヘプタン酸、Nylon(登録商標)7、DuPont社)、ポリアミド7,7(ポリへプタメチレンピメラミド、Nylon(登録商標)7,7、DuPont社)、ポリアミド8(ポリ−8−アミノオクタン酸、Nylon(登録商標)8、DuPont社)、ポリアミド8,8(ポリオクタメチレンスベラミド、Nylon(登録商標)8,8、DuPont社)、ポリアミド9(ポリ−9−アミノノナン酸、Nylon(登録商標)9、DuPont社)、ポリアミド9,9(ポリノナメチレンアゼラミド、Nylon(登録商標)9,9、DuPont社)、ポリアミド10(ポリ−10−アミノ−デカン酸、Nylon(登録商標)10、DuPont社)、ポリアミド10,9(ポリ(デカメチレンアゼラミド)、Nylon(登録商標)10,9、DuPont社)、ポリアミド10,10(ポリデカメチレンセバカミド、Nylon(登録商標)10,10、DuPont社)、ポリアミド11(ポリ−11−アミノウンデカン酸、Nylon(登録商標)11、DuPont社)、ポリアミド12(ポリラウリルラクタム、Nylon(登録商標)12、DuPont社、Grillamid(登録商標)L20、Ems Chemie社)、m−キシレン、ジアミンおよびアジピン酸を起点とする芳香族ポリアミド、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸および/またはテレフタル酸とから製造されたポリアミド(ポリヘキサメチレンイソフタラミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド)、ならびに場合によって修飾剤としてエラストマーを加えて製造されたポリアミド、例えば、ポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタラミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタラミドである。前記のポリアミドの、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー、または化学結合もしくはグラフト化されたエラストマーとのブロックコポリマー、あるいはポリエーテル、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマー。さらには、EPDMまたはABSで修飾されたポリアミドまたはコポリアミド、および加工中に縮合させたポリアミド(「RIM−ポリアミド系」)。
【0084】
芳香族ポリアミド、例えば、PA4T、PA6T、PA9T、PA10T、PA11T、および/またはMXD6、非晶質ポリアミド、例えば、6I/XおよびTPE−A「rigid(剛性)」および「soft(軟性)」も使用可能である。
【0085】
好ましくは、ポリマーが、ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン、およびポリベンゾイミダゾールである。
【0086】
好ましくは、ポリマーが、ジカルボン酸とジアルコールとから、および/またはヒドロキシカルボン酸もしくは相応するラクトンから誘導されるポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(Celanex(登録商標)2500、Celanex(登録商標)2002、Celanese社、Ultradur(登録商標)、BASF社)、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、およびヒドロキシ末端基を有するポリエーテルから誘導されるブロックポリエーテルエステル、さらにはポリカーボネートまたはMBSで修飾されたポリエステルである。
【0087】
好ましくは、ポリマーが、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、およびポリエーテルケトンである。
【0088】
好ましくは、熱硬化性ポリマーが、ホルムアルデヒドポリマー、エポキシポリマー、メラミン−フェノール樹脂ポリマー、および/またはポリウレタンである。
【0089】
好ましくは、熱硬化性ポリマーがエポキシ樹脂である。
【0090】
好ましくは、熱硬化性ポリマーが、レゾール、フェノール、フェノール誘導体で、および/またはジシアンジアミド、アルコール、およびアミンで硬化させたエポキシ樹脂である。
【0091】
好ましくは、エポキシ樹脂がポリエポキシ化合物である。
【0092】
好ましくは、エポキシ樹脂が、ノボラックおよびビスフェノールA樹脂の群に由来する。
【0093】
好ましくは、熱硬化性ポリマーが、不飽和ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエン修飾された不飽和ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、またはブタジエンポリマーであり、ポリブタジエンブロックまたはポリイソプレンブロックと、スチレンまたはアルファ−メチルスチレンからなるブロックとを含むブロックコポリマーであり、第1のポリブタジエンブロックと第2のポリエチレンブロックまたはエチレン−プロピレンブロックとを含むブロックコポリマーであり、第1のポリイソプレンブロックと第2のポリエチレンブロックまたはエチレン−プロピレンブロックとを含むブロックコポリマーである。
【0094】
好ましくは、熱硬化性ポリマーが、エポキシ化された植物油(エポキシ化されたダイズ油/アマニ油)、アクリル酸誘導体(アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メタクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、メチルメタクリル酸)、およびヒドロキシアルキル−アクリレートおよび/またはヒドロキシアルキル−アルカクリレート(ヒドロキシエチル−メタクリレート、ヒドロキシプロピル−メタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート)をベースとするようなポリマーである。
【0095】
好ましくは、熱硬化性ポリマーを、電気スイッチ部品、自動車製造部品、電気工学、電子工学、回路基板、プリプレグ、電子工学部品用の封止材料において、船および回転翼の製作において、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)の屋外用途、家庭用用途および衛生用途、工学材料、ならびにさらなる製品において適用する。
【0096】
好ましくは、熱硬化性ポリマーが、飽和および不飽和、多価、とりわけジカルボン酸、またはそれらの無水物の、多価アルコール、および架橋剤としてのビニル化合物とのコポリエステルから誘導される不飽和ポリエステル樹脂(UP樹脂)である。
【0097】
UP樹脂は、開始剤(例えば、ペルオキシド)および促進剤を用いたラジカル重合によって硬化させる。
【0098】
不飽和ポリエステルは、ポリマー鎖中に、結合要素(Verbindungsglied)としてエステル基を有してもよい。
【0099】
ポリエステルを製造するために好ましい不飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸誘導体は、マレイン酸、無水マレイン酸、およびフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸である。これらは、不飽和酸成分に対して200モル%までの少なくとも1つの脂肪族飽和ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸と混合されていてもよい。
【0100】
好ましい飽和ジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、メチルグルタル酸、ピメリン酸である。
【0101】
好ましい多価、とりわけ二価の、場合によっては不飽和のアルコールは、通常の非環基または環基を有するアルカンジオールおよびオキサアルカンジオールである。
【0102】
不飽和ポリエステルと共重合可能な好ましい不飽和モノマーは、好ましくは、ビニル基、ビニリデン基、またはアリル基を担持し、例えば、好ましくはスチレンであるが、さらには、例えば、核アルキル化ないしは核アルケニル化されたスチレンであり、アルキル基は、1〜4個の炭素原子を含有してもよく、例えば、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、アルファ−メチルスチレン、tert.−ブチルスチレンであり、2〜6個の炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステル、好ましくは酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルであり、ビニルピリジン、ビニルナフタリン、ビニルシクロヘキサン、アクリル酸およびメタクリル酸、ならびに/またはそれらの、アルコール成分中に1〜4個の炭素原子を有するエステル(好ましくは、ビニルエステル、アリルエステルおよびメタリルエステル)、それらのアミドおよびニトリル、無水マレイン酸、アルコール成分中に1〜4個の炭素原子を有するマレイン酸半エステルおよびマレイン酸ジエステル、マレイン酸半アミドおよびマレイン酸ジアミド、または環状イミド、例えば、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリルニトリル、N−メチルマレインイミドまたはN−シクロヘキシルマレインイミドであり、アリル化合物、例えば、アリルベンゼン、およびアリルエステル、例えば、酢酸アリル、フタル酸ジアリルエステル、イソフタル酸ジアリルエステル、フマル酸ジアリルエステル、炭酸アリル、フタル酸ジアリル、炭酸ジアリル、リン酸トリアリル、およびシアヌル酸トリアリルである。
【0103】
架橋用の好ましいビニル化合物は、スチレンである。
【0104】
好ましい不飽和ポリエステルは、エステル基を、側鎖に担持することもでき、例えば、ポリアクリルエステルおよびポリメタクリルエステルである。
【0105】
好ましい硬化剤系は、ペルオキシドと促進剤である。
【0106】
好ましい促進剤は、金属共開始剤および芳香族アミン、および/またはUV光、および光増感剤、例えば、ベンゾインエーテル、ならびにアゾ触媒、例えば、アゾイソブチロニトリル、メルカプタン、例えば、ラウリルメルカプタン、ビス−(2−エチルへキシル)スルフィドおよびビス−(2−メルカプトエチル)スルフィドである。
【0107】
難燃性コポリマーの製造方法は、少なくとも1つのC
4〜C
8−ジカルボン酸から誘導された少なくとも1つのエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物、少なくとも1つのビニル芳香族化合物、および少なくとも1つのポリオールを共重合させてから、本発明による難燃剤混合物と反応させることを特徴とする。
【0108】
好ましく使用できるのは、ジシクロペンタジエン、無水マレイン酸、水、飽和アルコール、および場合によってはもう1つの多価酸の反応によって得られるジシクロペンタジエン修飾された不飽和ポリエステルである。このポリエステルを、ラジカル重合可能なモノマー、例えば、スチレンを使って樹脂へと架橋させる。
【0109】
好ましくは、ポリマーが、アルデヒドから、またはフェノール、尿素もしくはメラミンから誘導される架橋ポリマー、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、およびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0110】
好ましくは、ポリマーが、置換アクリル酸エステルから、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、またはポリエステルアクリレートから誘導される架橋性アクリル樹脂である。
【0111】
好ましくは、ポリマーが、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート、またはエポキシ樹脂によって架橋されているアルキド樹脂、ポリエステル樹脂、およびアクリレート樹脂である。
【0112】
好ましくは、ポリマーが、脂肪族、脂環式、複素環式、または芳香族のグリシジル化合物から誘導される架橋エポキシ樹脂、例えば、通常の硬化剤、例えば、無水物またはアミドを使って、促進剤を加えるか、または加えずに架橋されるビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテルからの生成物である。
【0113】
好ましいデュロプラスト(熱硬化性樹脂)は、シアネートエステル、シアネートエステル/ビスマレイミドコポリマー、ビスマレイミド−トリアジン−エポキシブレンド、およびブタジエンポリマーのクラスからのポリマーである。
【0114】
好ましいブタジエンポリマーは、1つまたは複数の、8〜18C原子を有するモノビニル置換芳香族炭化水素化合物70〜95重量%、1つまたは複数の、4〜12C原子を有する共役ジエン30〜5重量%、および選択的に架橋剤を含有するブロックコポリマーである。
【0115】
好ましくは、本発明による難燃剤混合物を、ポリブタジエン樹脂もしくはポリイソプレン樹脂またはそれらの混合物からなる、架橋に関与できるブタジエン含有またはイソプレン含有不飽和ポリマーを含む樹脂系にも使用する。
【0116】
好ましくは、ポリマーが、脂肪族、脂環式、複素環式、または芳香族のグリシジル化合物、例えば、通常の硬化剤および/または促進剤を使って架橋されるビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテルから誘導される架橋エポキシ樹脂である。
【0117】
適切なグリシジル化合物は、ビスフェノールA−ジグリシジルエステル、ビスフェノールF−ジグリシジルエステル、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂およびクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂のポリグリシジルエステル、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸ならびにトリメリット酸のポリグリシジルエステル、芳香族アミンおよび複素環式窒素塩基のN−グリシジル化合物、ならびに多価脂肪族アルコールのジグリシジル化合物およびポリグリシジル化合物である。
【0118】
適切な硬化剤は、脂肪族、脂環式、芳香族、および複素環式のアミンまたはポリアミン、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロパン−1,3−ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ポリアミドアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェノールスルホン(Diaminodiphenolsulfon)、アニリン−ホルムアルデヒド樹脂、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジアミン、m−キシリレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン)、ポリアミドアミン、シアングアニジン、およびジシアンジアミドであり、同様に、多塩基酸またはその無水物、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ならびにフェノール、例えば、フェノール−ノボラック樹脂、クレゾール−ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノールアダクト樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェノール修飾フェノールアルキル樹脂、フェノールトリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトール−ノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮合物樹脂、ナフトール−クレゾール共縮合物樹脂、ビフェノール修飾フェノール樹脂、およびアミノトリアジン修飾フェノール樹脂である。すべての硬化剤は、単独または互いに組み合わせて使用できる。
【0119】
重合時の架橋のために適切な触媒または促進剤は、第三級アミン、ベンジルジメチルアミン、N−アルキルピリジン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、有機酸、ルイス酸の金属塩、およびアミン錯塩である。
【0120】
好ましくは、ポリマーが、一方のアルデヒドと、他方のフェノール、尿素、またはメラミンとから誘導される架橋ポリマー、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、およびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である。好ましくは、ポリマーが、置換アクリル酸エステルから、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、またはポリエステルアクリレートから誘導される架橋性アクリル樹脂である。
【0121】
好ましいポリエステル−ポリオールは、ポリアルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、ジグリセロール、ブドウ糖、および/またはソルビトールの、二塩基酸、例えば、オキサル酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、および/またはテレフタル酸との重縮合により得られる。これらのポリエステル−ポリオールは、単独または組み合わせて利用できる。
【0122】
適切なポリイソシアネートは、2つ以上のイソシアネート基を有する芳香族、脂環式、および/または脂肪族のポリイソシアネート、ならびにそれらの混合物である。好ましいのは、芳香族ポリイソシアネート、例えば、トリルジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリス−4−イソシアナトフェニルメタン、およびポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート、トリルジイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネート、イソホレンジイソシアネート(Isophorendiisocyanat)、デメリルジイソシアネート(Demeryldiisocyanat)、1,1−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン−4,4’−ジイソシアナトジシクロへキシルメタン異性体混合物、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、Desmodur(登録商標)タイプ(Bayer)、およびリジンジイソシアネート、ならびにそれらの混合物である。
【0123】
適切なポリイソシアネートは、ポリイソシアネートと、ポリオール、尿素、カルボジイミド、および/またはビウレットとの反応によって得られる修飾生成物である。
【0124】
好ましくは、ポリマーが、飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸の、多価アルコール、および架橋剤としてのビニル化合物とのコポリエステルから誘導される不飽和ポリエステル樹脂、同じくそれらのハロゲン含有難燃性修飾物である。
【0125】
好ましくは、ポリマーが、置換アクリル酸エステルから、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、またはポリエステルアクリレートから誘導される架橋性アクリル樹脂である。
【0126】
好ましくは、ポリマーが、前記のポリマーの混合物(ポリブレンド)、例えば、PP/EPDM(ポリプロピレン/エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、ポリアミド/EPDMまたはABS(ポリアミド/エチレン−プロピレン−ジエンゴムまたはアクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)、PVC/EVA(ポリ塩化ビニル/エチレン酢酸ビニル)、PVC/ABS(ポリ塩化ビニル/アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)、PVC/MBS(ポリ塩化ビニル/メタクリレート−ブタジエン−スチレン)、PC/ABS(ポリカーボネート/アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)、PBTP/ABS(ポリブチレンテレフタレート/アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)、PC/ASA(ポリカーボネート/アクリルエステル−スチレン−アクリルニトリル)、PC/PBT(ポリカーボネート/ポリブチレン−テレフタレート)、PVC/CPE(ポリ塩化ビニル/塩素化ポリエチレン)、PVC/アクリレート(ポリ塩化ビニル/アクリレート)、POM/熱可塑性PUR(ポリオキシメチレン/熱可塑性ポリウレタン)、PC/熱可塑性PUR(ポリカーボネート/熱可塑性ポリウレタン)、POM/アクリレート(ポリオキシメチレン/アクリレート)、POM/MBS(ポリオキシメチレン/メタクリレート−ブタジエン−スチレン)、PPO/HIPS(ポリフェニレンオキシド/耐衝撃性ポリスチレン)、PPO/PA6.6(ポリフェニレンオキシド/ポリアミド6.6)、およびコポリマー、PA/HDPE(ポリアミド/高密度ポリエチレン)、PA/PP(ポリアミド/ポリエチレン)、PA/PPO(ポリアミド/ポリフェニレンオキシド)、PBT/PC/ABS(ポリブチレンテレフタレート/ポリカーボネート/アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)、および/またはPBT/PET/PC(ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート/ポリカーボネート)である。
【0127】
好ましくは、製造された成形材料が、一定または不規則な底面を有する長方形、立方体、直方体、クッション形、角柱形を有する。
【0128】
本発明による難燃剤混合物は、エラストマー、例えば、ニトリルゴム、カルボキシル基およびカルボキシル基末端ブタジエン−アクリルニトリルを含むニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリル樹脂および熱可塑性ポリイミドを含むブタジエンゴム、ウレタン修飾コポリエステルポリマー、および他のエラストマーにおいても使用できる。
【0129】
本発明による難燃剤混合物中における好ましいさらなる添加剤は、カルボジイミドおよび/または(ポリ)イソシアネートの群からである。
【0130】
好ましいさらなる添加剤は、立体障害フェノール(例えば、Hostanox(登録商標)OSP1)、立体障害アミン、および光安定剤(例えば、Chimasorb(登録商標)944、Hostavin(登録商標)タイプ)、ホスホナイト、および抗酸化剤(例えば、Clariant社のSandostab(登録商標)PEPQ)、および離型剤(Clariant社のLicomont(登録商標)タイプ)の群からである。
【0131】
本発明による難燃剤混合物中における好ましいフィラーは、ケイ素の酸素化合物、マグネシウム化合物、例えば、周期表の第2主族の金属の金属炭酸塩、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルク石、ジハイドロタルク石、炭酸マグネシウム、または炭酸カルシウムマグネシウム、カルシウム化合物、例えば、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、ハイドロカルマイト、アルミニウム化合物、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、ギブス石、またはリン酸アルミニウム、赤リン、亜鉛化合物、および/またはアルミニウム化合物である。
【0132】
好ましいさらなるフィラーはガラス球である。
【0133】
ガラス繊維は、好ましくは、補強材として使用する。
【0134】
本発明によると使用可能な配合ユニットは、スリーゾーンスクリューおよび/またはショートコンプレッションスクリューを有するマルチゾーンスクリュー押出機である。
【0135】
本発明によると使用可能な配合ユニットは、さらに、例えば、Coperion Buss Compounding Systems社(プラッテルン、スイス)の共混錬機(Ko−Kneter)、例えば、MDK/E46−11D、および/または実験室混錬機(Buss社(スイス)のMDK46(L=11D))である。
【0136】
本発明によると使用可能な配合ユニットは、例えば、Coperion Werner&Pfleiderer GmbH&Co.KG社(シュトゥットガルト)の二軸スクリュー押出機(ZSK25、ZSK30、ZSK40、ZSK58、ZSK MEGAcompounder40、50、58、70、92、119、177、250、320、350、380)、および/またはBerstorff GmbH社(ハノーファー)、Leistritz Extrusionstechnik GmbH社(ニュルンベルク)の二軸スクリュー押出機である。
【0137】
本発明によると使用可能な配合ユニットは、例えば、3+Extruder GmbH社(ラウフェン)の、スタティックコアの周りを回転する、3から12個の小さなスクリューのリングを有するリング押出機、および/または、例えば、Entex社(ボーフム)の遊星ローラ押出機、および/またはベント押出機、および/またはカスケード押出機、および/またはMailleferスクリューである。
【0138】
本発明によると使用可能な配合ユニットは、逆方向二軸スクリューを有する配合機、例えば、Krauss−Maffei Berstorff社のCompex37型、またはCompex70型である。
【0139】
本発明によるスクリュー有効長(L)は、単軸押出機または単軸スクリュー押出機の場合、20から40Dであり、二軸スクリュー押出機の場合、8から48Dであり、マルチゾーンスクリュー押出機の場合、例えば、25D(入口ゾーン(L=10D)、移行ゾーン(L=6D)、および放出ゾーン(L=9D))である。
【0140】
さらに、本発明は、請求項1〜19のいずれか一つに記載の本発明による難燃剤混合物の、プラグコネクタ、配電盤の充電(stromberuehrt)部(漏電遮断器)、回路板、封止材料、コネクタ、遮断器、ランプハウジング、LEDハウジング、コンデンサハウジング、コイル要素、および換気装置、保護接地コンタクト、プラグにおいてまたはそれら用での、回路板、プラグハウジング、ケーブル、フレキシブルプリント基板、携帯電話用充電ケーブル、モータカバー、織物被覆、およびその他の製品の中/表面における使用にも関する。
【0141】
これに数えられるのは、電気/電子工学分野用の部品の形態の、とりわけプリント基板、ハウジング、フィルム、ワイヤ、スイッチ、配電器、継電器、抵抗器、コンデンサ、コイル、ランプ、ダイオード、LED、トランジスタ、コネクタ、調整器、記憶装置、およびセンサの部品用の成形体、広い面積の部品、とりわけ配電盤キャビネット用のハウジング部品の形態の成形体、ならびに要求の高い形状を有する、手間をかけて構成された部品の形態の成形体である。
【0142】
好ましくは、そのような成形体の壁厚は、0.5mm未満であるが、1.5mm超(10mmまで)であることも可能である。特に適切であるのは、1.5mm未満、さらに好ましくは1mm未満、特に好ましくは0.5mm未満である。
【0143】
本発明による難燃剤混合物は、好ましくは、長さの算術平均が100から220μmのガラス繊維と共に、難燃性のポリアミド成形材料および/または成形品を製造するために使用し、結果として生じるポリアミド成形材料または成形品中において、ガラス繊維が、100から220μmの範囲にある長さの算術平均を有するようにポリアミド成形材料または成形品用の製造プロセスを調整し、ポリアミド成形材料または成形品は、好ましくは、IEC 60695−11−10(UL94)に準拠してV−0と分類される。
【0144】
難燃性のポリマー成形材料およびポリマー成形体の製造、加工、および試験。
【0145】
ジアルキルホスフィン酸塩(これはジアルキルホスフィン酸テロマー塩も含む)を、ポリマーグラニュール、および場合によっては添加剤と混合し、二軸スクリュー押出機(Leistritz ZSE 27/44D型)の側方入口から、230から260℃の温度において(ガラス繊維強化PBT)、260から310℃(PA6,6)、または250〜275℃において(PA6)ポリマーへと混合する。ガラス繊維は、第2の側方入口から添加した。均質化されたポリマーストランドを引き抜き、水浴中で冷却してから、難燃性ポリマー成形材料へと造粒した。
【0146】
十分に乾燥させた後、射出成形機(Arburg 320C Allrounder型)上で、240から300℃の融液温度において、成形材料を難燃性ポリマー成形体へと加工した。それらの成形体は、検査試料として使用でき、UL94テスト(Underwriter Laboratories)に基づいて難燃性を試験して、分類することができる。
【0147】
等温DSC試験におけるPA−GF30コンパウンドのプロセスウィンドウの特定
前記の一般的な指示に相応して、難燃性ポリマー成形材料および難燃性ポリマー成形体を製造する。組成は、ポリアミド(BASF SE社のUltramid(登録商標)A27E01)49.7重量%、ガラス繊維(PPG社のPPGガラス繊維HP3610EC10)30重量%、例に相応する本発明によるジアルキルホスフィン酸塩(これはジアルキルホスフィン酸テロマー塩も含む)12.6重量%、ポリリン酸メラミン(BASF社のMelapur(登録商標)200/70)6.6重量%、ホウ酸亜鉛(Rio Tinto Minerals社のFirebrake(登録商標)500)0.8重量%、ワックス(Clariant社のLicowax(登録商標)E Gran)0.3%である。
【0148】
プロセスウィンドウの下限は影響を受けないため、プロセスウィンドウの基準としては、上限における難燃性ポリマー成形材料の分解を測定する。それには、特定温度における重量ロスを使用する。
【0149】
DSC(示差熱分析)を利用して、330℃における重量ロスを、空気下に60分間保持した後に重量%で測定する。
【0150】
本発明による難燃剤混合物の流動性は、Pfrengle(DIN ISO 4324 界面活性剤、粉末および顆粒、安息角の測定、1983年12月、Beuth Verlag Berlin)に準拠して測定する。
【0151】
前記の流動性は、粉末もしくは顆粒の円錐の高さの算出、または円錐半径の、円錐高さに対する比率の算出によって定める。円錐は、特定量の被検査物質を、定められた装置内において特殊漏斗を通して注ぐことによって生み出す。特定の円錐半径は、生成物が、土台から隆起した円形プレートからこぼれるまで、円錐を積み上げることによって生み出す。プレートの半径は指定されている。漏斗は、10mmの内径を有する。プレートは、50mmの半径を有する。5回の測定を行い、平均値を出す。高さは、プレートを起点にスケールを使って、円錐の頂点までミリメートルで測定する。円錐半径(50mm)の、円錐高さに対する比率を、平均値から算出する。
【0152】
従来技術による難燃剤混合物を用いると、20mmの範囲に相応する29.9から49.9mmというかさ円錐高さが測定され、0.67の範囲に相応する1.67から1.00という、半径の、高さに対する比率(=cot alpha)が測定された。
【0153】
安息角は、円錐底面によって形成される直線と円錐斜面を形成する直線との間の角度であり、つまり、円錐頂点と円錐半径とによって指定される。
【0154】
各混合物からの検査試料に対して、厚さ1.5mmの試験片を用いて、UL94(Underwriter Laboratories)燃焼等級を特定した。
UL94に準拠してもたらされる以下の燃焼等級:
V−0 残炎が10秒以下、10回の接炎における残炎時間の合計が50秒以下、燃焼滴下物なし、サンプルの完全燃焼なし、接炎終了後のサンプルの残光が30秒以下
V−1 接炎終了後の残炎が30秒以下、10回の接炎における残炎時間の合計が250秒以下、接炎終了後のサンプルの残光が60秒以下、その他の判断基準はV−0と同じ
V−2 燃焼滴下物による綿の発火、その他の判断基準はV−1と同じ
分類不能(ncl)は、燃焼等級V−2を満たさない。