特許第6872017号(P6872017)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872017自発光感光性樹脂組成物、これを利用して製造されたカラーフィルターおよび画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872017
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】自発光感光性樹脂組成物、これを利用して製造されたカラーフィルターおよび画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20210510BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20210510BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20210510BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20210510BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20210510BHJP
   C08F 222/40 20060101ALI20210510BHJP
   C08F 220/06 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   G02B5/20
   G02B5/20 101
   G03F7/004 505
   G03F7/038 501
   B82Y20/00
   C08F220/10
   C08F222/40
   C08F220/06
【請求項の数】9
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-527208(P2019-527208)
(86)(22)【出願日】2017年9月7日
(65)【公表番号】特表2019-537064(P2019-537064A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(86)【国際出願番号】KR2017009803
(87)【国際公開番号】WO2018093028
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年5月20日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0154714
(32)【優先日】2016年11月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE−CHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンジュン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンジュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソンフン・ホン
【審査官】 小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−098375(JP,A)
【文献】 特開2016−157118(JP,A)
【文献】 特開2016−157114(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0112506(KR,A)
【文献】 特開2008−050401(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/141731(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02B 5/22
C09K 11/02
G02F 1/13
G03F 7/004
G03F 7/027
G03F 7/033
B82Y 20/00
C08F 220/06
C08F 220/10
C08F 222/40
G03F 7/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
散乱粒子、アルカリ可溶性樹脂、量子ドット、光重合性化合物、光重合開始剤および溶剤を含み、
前記アルカリ可溶性樹脂は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が3000〜15000であり、アクリル当量が300〜2000g/eqであり、
前記散乱粒子は、平均粒径が10〜1000nmであることを特徴とする自発光感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記アルカリ可溶性樹脂は、
下記化学式1で表される反復単位を含むことを特徴とする請求項1に記載の自発光感光性樹脂組成物:
[化学式1]
(前記化学式1で、
は、水素またはメチル基であり、
は、C〜C30のアルカントリイル基、C〜C30のアルカントリイルオキシ基、またはC〜C30のアルカントリイルオキシカルボニルアミノアルキル基であり、前記アルカントリイル基、アルカントリイルオキシ基またはアルカントリイルオキシカルボニルアミノアルキル基は、C〜C20のアルキル基、C〜C20のアルコキシ基、C〜C20のアラルキル基、C〜C20のアリール基、C〜C20のアシルオキシ基、C〜C20のアシル基、C〜C20のアルコキシカルボニル基、C〜C20のアリールカルボニル基、C〜C20のジアルキルアミノ基、C〜C20のアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、フリル基、フルフリル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロフルフリル基、C〜C20のアルキルチオ基、トリメチルシリル基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、チエニル基、モルホリノ基、またはモルホリノカルボニル基で置換可能であり、
は、−R−R−COOHで表され、
は、−O−C(=O)−であり、
は、C〜C30のアルキレン、C〜C30のアルケニレン、−R−C(=O)−R−、−R−C(=O)−O−R10−、−R11−O−R12−、−R13−C(=O)−N−(R1415)−、−R−C(=O)−NR16−C(=O)R17−、−R18−C(=O)−N(R19)(C(=O))−R20−、−R21−C(=NR22)(R23)−、−CH=CH−O−C(=O)−R24−、−CH=CH−O−C−R25−、−CH=CH−O−C(=O)−N(R26)(R27)−、C〜C30のアリレン基、C〜C30のヘテロアリレン基、またはC〜C30のシクロアルキレン基を含み、
〜R27は、互いに同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、水素、C〜C30のアルキレン、C〜C30のアリレン基またはC〜C30のシクロアルキレン基であり、
は、C〜C20のアルキル(メタ)アクリレート基である)。
【請求項3】
前記アルカリ可溶性樹脂は、
酸価が30〜150mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載の自発光感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記アルカリ可溶性樹脂は、
分子量分布が1.0〜6.0であることを特徴とする請求項1に記載の自発光感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記アルカリ可溶性樹脂は、
前記自発光感光性樹脂組成物100重量%に対して、5〜80重量%で含むことを特徴とする請求項1に記載の自発光感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記散乱粒子は、
Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Mo、Cs、Ba、La、Hf、W、Tl、Pb、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Ti、Sb、Sn、Zr、Nb、Ce、Ta、Inおよびこれらの組合せよりなる群から選ばれる1種の金属を含む金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の自発光感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記金属酸化物は、Al、SiO、ZnO、ZrO、BaTiO、TiO、Ta、Ti、ITO、IZO、ATO、ZnO−Al、Nb、SnO、MgOおよびこれらの組合せよりなる群から選ばれる1種を含むことを特徴とする請求項に記載の自発光感光性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の自発光感光性樹脂組成物の硬化物を含むカラーフィルター。
【請求項9】
請求項に記載のカラーフィルターを含むことを特徴とする画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自発光感光性樹脂組成物、これを利用して製造されたカラーフィルターおよび画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ産業は、CRT(cathode−ray tube)からPDP(plasma display panel)、OLED(organic light−emitting diode)、LCD(liquid−crystal display)等と代表される平板ディスプレイに急激な変化を進めてきた。そのうち、LCDは、薄く、軽くかつ優れた解像度と低電力消耗などの長所があるので、ほぼすべての産業において使用される画像表示装置として広く用いられており、今後も大きい市場拡大が予想される。
【0003】
LCDは、光源から発生した白色光が液晶セルを通過するのに伴い、透過率が調節され、赤色、緑色、青色のカラーフィルターを透過して出る3原色が混合されて、フルカラーを具現する。
【0004】
カラーフィルターは、白色光から赤色、緑色および青色の三つの色を抽出して微細な画素単位で可能にする薄膜フィルム型光学部品であって、一つの画素のサイズが数十から数百マイクロメートル程度である。このようなカラーフィルターは、それぞれの画素間の境界部分を遮光するために、透明基板上に定められたパターンで形成されたブラックマトリックス層およびそれぞれの画素を形成するために複数の色(通常、赤色(R)、緑色(G)および青色(B))の3原色を定めた順序で配列した画素部が順に積層された構造を取っている。
【0005】
したがって、カラーフィルターは、LCDにおいて色を表現する核心的な部品であって、平板ディスプレイの普及に伴い、ノートパソコン、モニター、携帯端末など幅広い用途に採用されてきた。より生き生きした画質具現と他のディスプレイとの品質優位のために、高色純度、高透過および低反射型カラーフィルターの製造技術が活発に研究されている。
【0006】
一般的に、カラーフィルターは、顔料分散法、電着法、印刷法、染色法、転写法、インクジェット方式などにより3種以上の色相を透明基板上にコーティングして製造する。最近、品質、程度、性能面において優れた顔料分散型の感光性樹脂を利用した顔料分散法が主流をなす。
【0007】
カラーフィルターを具現する方法の一つである顔料分散法は、黒色マトリックスが提供された透明な基質の上に着色剤をはじめとしてアルカリ可溶性樹脂、光重合単量体、光重合開始剤、エポキシ樹脂、溶剤、その他添加剤を含む感光性樹脂組成物をコーティングし、形成しようとする形態のパターンを露光した後、非露光部位を溶剤で除去して熱硬化させる一連の過程を繰り返すことによって、着色薄膜を形成する方法であって、携帯電話、ノートパソコン、モニター、テレビなどのLCDを製造するのに活発に応用されている。
【0008】
顔料は、溶剤に溶けずに、微細な粒子状態で存在するので、最近に要求されるさらに鮮明でかつさらに多様な色相を表示するには限界点に到達した。他方で、染料は、顔料より色特性に優れていて、顔料を染料に代替しようとする研究が進行されてきた。しかし、染料も、光や溶剤に対する耐久性が劣るので、これを改善することと、染料が溶剤に溶けるが、カラーフィルターの生産に使用される溶剤に対する十分な溶解度を確保することなどの問題点が残っている。
【0009】
また、染料や顔料を着色剤として利用する場合、光源の透過効率を低下させる問題を引き起こす。前記透過効率の低下は、結果的に画像表示装置の色再現性を低減するようになって、結局のところ、高品質の画面具現を困難にする。
【0010】
これにより、優れたパターン特性だけでなく、さらに多様な色相表現、高い色再現率と共に、高輝度および高明暗比などさらに向上した性能が要求されるのに伴い、染料や顔料の代わりに自体発光する量子ドットの使用が提案された。
【0011】
量子ドットは、光源により自体発光し、可視光線および赤外線領域の光を発生させるために使用され得る。量子ドットは、バルク励起子ボーア半径(bulk exciton Bohr radius)よりさらに小さい、1nm〜20nmの直径を通常的に有するII−VI、III−V、IV−VI材料の小さい結晶である。量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)によって、量子ドットの電子状態間のエネルギーの差異は、量子ドットの組成および物理的サイズの両方の関数である。したがって、量子ドットの光学および光電子特性は、量子ドットの物理的サイズを変化させることによって、チューニングおよび調整され得る。量子ドットは、吸収開始(onset)波長よりさらに短い波長を吸収し、吸収開始波長で光を放出する。量子ドットの発光スペクトルの帯域幅は、温度依存性ドップラー拡大(Doppler broadening)、ハイゼンベルク不確定性原理(Heisenberg Uncertainty Principle)および量子ドットのサイズ分布と関連する。与えられた量子ドットにおいて、量子ドットの放出帯域は、サイズを変化させることによって制御され得る。したがって、量子ドットは、通常の染料や顔料を利用して到達不可な(unattainable)色の範囲を生成することができる。
【0012】
しかしながら、量子ドットは、ナノ水準のサイズによって本質的に非散乱粒子である。したがって、光が、量子ドットが含まれたカラーフィルターを通過するとき、他の染料や顔料の場合より格別に短い光学経路を有する。カラーフィルターの厚さが十分でない場合、多くの光が量子ドットにより吸収される。これにより、カラーフィルターの厚さを調節したり量子ドットの濃度を増加させたり散乱粒子を導入するなどの方法が提案されているが、このうち厚さや濃度を調節する場合、色均一性の観点から問題点が発生する。
【0013】
これにより、カラーフィルターに散乱粒子を導入する方式において、特許文献1は、自発光感光性樹脂組成物、これから製造されたカラーフィルターを含む画像表示装置に関し、より詳細には、量子ドット、散乱粒子、光重合性化合物、光重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂および溶剤を含む自発光感光性樹脂組成物、これから製造されたカラーフィルターを含むことを特徴としている。
【0014】
また、特許文献2は、カラーフィルターおよびこれを利用した画像表示装置に関し、基材;基材上に形成された量子ドットを含む第1画素層;および第1画素層上に形成された散乱粒子を含む第2画素層が積層構造を有することを特徴としている。
【0015】
前記先行文献の場合、量子ドットおよびアルカリ可溶性樹脂を含んでいて、光効率低下を解消する点は記載しているが、カラーフィルターパターン内の散乱体の沈降を防止する点は認識していないことが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】韓国特許公開第10−2016−0060904号公報(2016.05.31.DONGWOO FINE−CHEM株式会社)
【特許文献2】韓国特許公開第10−2016−0091708号公報(2016.08.03.DONGWOO FINE−CHEM株式会社)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、前述したような問題を解決するためのものであって、特定のアルカリ可溶性樹脂および散乱粒子を共に含むことによって、カラーフィルターパターン内の散乱体が沈降せず、かつ、輝度の低下および光維持率の不良の問題がないため、優れたカラーフィルターを製造できる感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明は、前記自発光感光性樹脂組成物で製造されたカラーフィルターおよびこれを含む画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するための本発明の実施例による自発光感光性樹脂組成物は、散乱粒子およびアルカリ可溶性樹脂を含み、前記アルカリ可溶性樹脂は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が3000〜15000であり、アクリル当量が300〜2000g/eqであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記自発光感光性樹脂組成物で製造されたカラーフィルターおよびこれを含む画像表示装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
上記したように、本発明による自発光感光性樹脂組成物は、散乱粒子およびポリスチレン換算の重量平均分子量が3000〜15000であり、アクリル当量が300〜2000g/eqであるアルカリ可溶性樹脂を含むことによって、カラーフィルターパターン内の散乱体が沈降せず、かつ、輝度の低下および光維持率の不良の問題がないため、優れたカラーフィルターを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、パターン下部のTiO沈降性を測定して沈降が現れたことを示す図である。
図2図2は、パターン下部のTiO沈降性を測定して沈降が現れないことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の自発光感光性樹脂組成物は、散乱粒子およびアルカリ可溶性樹脂を含み、前記アルカリ可溶性樹脂は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が3000〜15000であり、アクリル当量が300〜2000g/eqであることを特徴とする。
【0024】
以下、自発光感光性樹脂組成物に関して詳細に説明すれば、次の通りである。
【0025】
アルカリ可溶性樹脂
本発明の自発光感光性樹脂組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂は、感光性樹脂層の非露光部をアルカリ可溶性に作って除去され得るようにし、露光領域を残留させる役割をする。また、本発明のアルカリ可溶性樹脂は、重合可能な不飽和結合を有することによって、露光段階で量子ドット表面の周辺に効果的に保護層を形成して、POB工程での高温および酸素ラジカルなどの影響を最大限排除させて高い輝度を維持することができる。
【0026】
前記アルカリ可溶性樹脂は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が3000〜15000であることが好ましく、前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が前記範囲内にある場合、散乱体の沈降性を緩和させる効果を奏することができる。
【0027】
また、前記アルカリ可溶性樹脂は、アクリル当量が300〜2000g/eqであることが好ましく、500〜1000g/eqであることがより好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂のアクリル当量が前記範囲以内の場合には、カラーフィルター工程中に消光される現象を防止することができる。他方で、アルカリ可溶性樹脂のアクリル当量が前記範囲を超過する場合には、効果的に量子ドットを保護できる能力が不十分であり、散乱体が沈降するのを防止しにくいので不適合であり、アクリル当量が前記範囲未満の場合、発光効率および沈降性の面において良好であるが、現像時に溶解せずに、剥離される問題点がある。
【0028】
特に、本発明によるアルカリ可溶性樹脂は、重量平均分子量とアクリル当量を上記のように調節することによって、自発光感光性樹脂組成物のパターンで組成が均一に分布して、光散乱が効果的に起こることによって、散乱体が沈降する問題を防止することができ、輝度の低下および光維持率の不良をも防止することができる効果がある。
【0029】
前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30〜150mgKOH/gの範囲が好ましい。酸価は、アクリル系重合体1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であって、溶解性に関与する。前記アルカリ可溶性樹脂の酸価が前記範囲に属するようになると、現像液中の溶解性が向上して、非露出部が容易に溶解し、感度が増加して、結果的に露出部のパターンが現像時に残っていて、残膜率(film remaining ratio)が改善される利点がある。前記アルカリ可溶性樹脂の酸価が前記範囲未満の場合、アルカリ現像液に対する溶解性が低くなり、基板に残渣を残すおそれがあり、酸価が前記範囲を超過する場合には、パターンの剥がれが生じる可能性が高くなりえる。
【0030】
前記アルカリ可溶性樹脂の分子量分布は、1.0〜6.0であることが好ましく、1.5〜4.0であることがより好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂の分子量分布が前記範囲以内である場合、現像性に優れている。
【0031】
前記条件を満たすアルカリ可溶性樹脂を含む自発光感光性樹脂組成物の場合、露光段階で量子ドット表面に効果的に保護層を形成すると共に、マトリックス(Matirx)内の硬化度が高まるのに伴い、散乱体がパターン下部に沈降せずに、量子ドットと均一に分布し得るように助ける。
【0032】
前記アルカリ可溶性樹脂は、重合可能な不飽和結合を有しているものであれば、特に限定されないが、使用可能な単量体の具体的な例としては、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシ−3−プロピ−2−ノイルオキシ−プロピル)−2−メチル−2−プロピノエート、(2−オキシダニル−3−プロピ−2−ノイルオキシ−プロピル)−2−ブチノエート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキノンジ(メタ)アクリレート、1,4−フェニレンジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−プロピノイルオキシメチル−2−プロピノエート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデケインジオールダイ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロントリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジウレタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
【0033】
特に前記アルカリ可溶性樹脂は、下記化学式1で表される反復単位を含む場合、さらに効果的に沈降性を制御することができる。
【0034】
[化学式1]
【0035】
(上記化学式1で、
は、水素またはメチル基であり、
は、C〜C30のアルカントリイル基、C〜C30のアルカントリイルオキシ基、またはC〜C30アルカントリイルオキシカルボニルアミノアルキル基であり、前記アルカントリイル基、アルカントリイルオキシ基またはアルカントリイルオキシカルボニルアミノアルキル基は、C〜C20のアルキル基、C〜C20のアルコキシ基、C〜C20のアラルキル基、C〜C20のアリール基、C〜C20のアシルオキシ基、C〜C20のアシル基、C〜C20のアルコキシカルボニル基、C〜C20のアリールカルボニル基、C〜C20のジアルキルアミノ基、C〜C20のアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、フリル基、フルフリル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロフルフリル基、C〜C20のアルキルチオ基、トリメチルシリル基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、チエニル基、モルホリノ基、またはモルホリノカルボニル基で置換可能であり、
は、−R−R−COOHで表され、
は、−O−C(=O)−であり、
は、C〜C30のアルキレン、C〜C30のアルケニレン、−R−C(=O)−R−、−R−C(=O)−O−R10−、−R11−O−R12−、−R13−C(=O)−N−(R1415)−、−R−C(=O)−NR16−C(=O)R17−、−R18−C(=O)−N(R19)(C(=O))−R20−、−R21−C(=NR22)(R23)−、−CH=CH−O−C(=O)−R24−、−CH=CH−O−C−R25−、−CH=CH−O−C(=O)−N(R26)(R27)−、C〜C30のアリレン基、C〜C30のヘテロアリレン基、または〜C30のシクロアルキレン基を含み、
〜R27は、互いに同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、水素、C〜C30のアルキレン、C〜C30のアリレン基またはC〜C30のシクロアルキレン基であり、
は、C〜C20のアルキル(メタ)アクリレート基である。
【0036】
この際、前記Rは、C〜C20アルカントリイル基、C〜C20アルカントリイルオキシ基、またはC〜C20アルカントリイルオキシカルボニルアミノアルキル基であることが好ましく、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、エタントリイルオキシ基、ジエタントリイルオキシ基、トリエタントリイルオキシ基、エタントリイルオキシカルボニルアミノエチル基がさらに好ましく、この際、これらは、3価形態の官能基である。
【0037】
この際、前記Rは、C〜C12のアルキル(メタ)アクリレート基であることが好ましく、アクリレートまたはメチルアクリレート基であることがさらに好ましい。
【0038】
この際、前記Rは、C〜C20のアルキレン、C〜C20のアルケニレン、C〜C20のアリレン基、またはC〜C20のシクロアルキレン基であり、これらは、カルボキシル基で置換または非置換されることが好ましい。また、Rは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン、ペンチレン、エテニレン、2−メチル−エテニレン、ジメチルプロピレン基、ブチレン基、シクロヘキシレン基、4−シクロヘキシニル基、ビシクロ[4.4.0]デシレン基、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプチニレン基、フェニレン基、カルボキシフェニレン、またはナフタレニル基であることがより好ましい。
【0039】
本明細書で言及する「アルキル基」は、直鎖状または分岐状を含み、一例として、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピレン、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、またはn−デシルなどを含み、アルキレンは、アルキルの2価形態を意味し、アルカントリイルは、アルキルの3価形態を意味する。
【0040】
本明細書で言及する「アリール基」は、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、スチルベニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、またはピレニルなどを含み、アリルレンは、アリールの2価形態を意味する。
【0041】
本明細書で言及する「シクロアルキル基」は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ボルニル、ノルボルニルおよびノルボルネニルとこれらが縮合された形態であるジシクロペンチル、ジシクロヘキシル、ジシクロヘプチル、ジアダマンチル、ジボルニル、ジノルボルニルまたはジノルボルネニルなどを含み、シクロアルキレンは、シクロアルキルの2価形態を意味する。
【0042】
前記アルカリ可溶性樹脂は、単一重合体であるか、他の不飽和単量体との共重合体または他の不飽和単量体で重合された高分子とブレンディングの形態で使用することができる。この際、共重合体の場合、交互共重合体、ランダム共重合体またはブロック共重合体の形態であってもよく、本発明で特に限定しない。
【0043】
前記共重合可能な単量体の種類は、特に限定されず、具体的な例を例示すると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸の非置換または置換アルキルエステル化合物;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、ンチル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、シクロヘプテニル(メタ)アクリレート、シクロオクテニル(メタ)アクリレート、ンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ピナニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ピネニル(メタ)アクリレートおよびトリシクロデシルメタクリレートなどの脂環式置換基を含む不飽和カルボン酸エステル化合物;オリゴエチレングリコールモノアルキル(メタ)アクリレートなどのグリコール類のモノ飽和カルボン酸エステル化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する置換基を含む不飽和カルボン酸エステル化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミドなどのマレイミド化合物などが挙げられる。
【0044】
前記アルカリ可溶性樹脂の含量は、自発光感光性樹脂組成物100重量%に対して、5〜80重量%で含むことが好ましく、10〜70重量%で含むことがより好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂の含量が前記範囲以内に含まれる場合には、現像液への溶解性が十分であるので、パターン形成が容易であり、現像時に露光部の画素部分の膜減少が防止されて、非画素部分の欠落性が良好になる。
【0045】
散乱粒子
前記散乱粒子は、カラーフィルターの光効率を増加させるために使用する。光源から照射された光は、カラーフィルターに臨界角をもって入射されるが、この際、入射された光や量子ドットにより自発放出される自発放出光は、散乱粒子に会って、光経路の増加によって発光強度が強くなって、結果的にカラーフィルターの光効率を増加させる。前記散乱粒子は、通常の無機材料がいずれも可能であり、好ましくは金属酸化物を使用する。
【0046】
前記金属酸化物は、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Mo、Cs、Ba、La、Hf、W、Tl、Pb、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Ti、Sb、Sn、Zr、Nb、Ce、Ta、Inおよびこれらの組合せよりなる群から選ばれる1種の金属を含む酸化物が可能である。
【0047】
具体的にAl、SiO、ZnO、ZrO、BaTiO、TiO、Ta、Ti、ITO、IZO、ATO、ZnO−Al、Nb、SnO、MgOおよびこれらの組合せよりなる群から選ばれる1種が可能である。必要な場合、アクリレートなどの不飽和結合を有する化合物で表面処理された材質も使用可能である。
【0048】
前記散乱粒子は、カラーフィルターの発光強度を十分に向上させることができるように、平均粒径および全体組成物内で含量を限定する。散乱粒子は、10〜1000nmの平均粒径を有することが好ましく、50〜500nmの範囲の平均粒径を有することがより好ましい。散乱粒子のサイズが非常に小さい場合、量子ドットから放出された光の十分な散乱効果を期待できず、これとは反対に、非常に大きい場合には、組成物内に沈んだり均一な品質の自発光層の表面が得られない。
【0049】
また、散乱粒子は、自発光感光性樹脂組成物100重量%内で0.1〜50重量%を使用することができ、好ましくは0.5〜30重量%で使用することができる。散乱粒子の含量が前記範囲未満であれば、得ようとする発光強度を確保することができず、前記範囲を超過する場合には、これ以上の発光強度の増加効果が不十分であると共に、組成物の安定性の低下問題が発生し得る。
【0050】
本発明による自発光感光性樹脂組成物は、前記アルカリ可溶性樹脂に金属酸化物である散乱粒子を共に含むことによって、散乱粒子は時間が経つにつれて沈降するのを防止することができるという特徴がある。
【0051】
量子ドット
本発明の感光性樹脂組成物は、量子ドット粒子を含む。量子ドットとは、ナノサイズの半導体物質である。原子が分子を成し、分子は、クラスターという小さい分子の集合体を構成してナノ粒子を成すが、このようなナノ粒子が特に半導体特性を帯びているとき、これを量子ドットという。
【0052】
前記量子ドットは、外部からエネルギーを受けて励起状態になると、自体的に該当するエネルギーバンドギャップによるエネルギーを放出する。
【0053】
本発明の感光性樹脂組成物は、このような量子ドット粒子を含み、これから製造されたカラーフィルターは、光照射によって発光(光ルミネセンス)することができる。
【0054】
カラーフィルターを含む通常の画像表示装置では、白色光がカラーフィルターを透過してカラーが具現されるが、この過程で光の一部がカラーフィルターに吸収されるので、光効率が低下する。
【0055】
しかしながら、本発明の感光性樹脂組成物で製造されたカラーフィルターを含む場合には、カラーフィルターが光源の光により自体発光するので、さらに優れた光効率を具現することができる。また、色相を有する光が放出されるものであるから、さらに色再現性に優れ、光ルミネセンスにより全方向に光が放出されるので、視野角も改善され得る。
【0056】
前記量子ドット粒子は、光による刺激で発光できる量子ドット粒子であれば、特に限定されず、例えばII−VI族半導体化合物;III−V族半導体化合物;IV−VI族半導体化合物;IV族元素またはこれを含む化合物;およびこれらの組合せよりなる群から選択することができる。これらは、単独または2種以上混合して使用することができる。前記II−VI族半導体化合物は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、およびこれらの混合物よりなる群から選択される二元素化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTeおよびこれらの混合物よりなる群から選択される三元素化合物;およびCdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTeおよびこれらの混合物よりなる群から選ばれる四元素化合物よりなる群から選択することができ、前記III−V族半導体化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる二元素化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる三元素化合物;およびGaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる四元素化合物よりなる群から選ばれ、前記IV−VI族半導体化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる二元素化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる三元素化合物;およびSnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる四元素化合物よりなる群から選択することができ、前記IV族元素またはこれを含む化合物は、Si、Ge、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる元素化合物;およびSiC、SiGe、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる二元素化合物よりなる群から選択することができる。
【0057】
前記量子ドット粒子は、均質な(homogeneous)単一構造;コア−シェル(core−shell)、グラジエント(gradient)構造などのような二重構造;またはこれらの混合構造であってもよい。
【0058】
前記コア−シェル(core−shell)の二重構造で、それぞれのコア(core)とシェル(shell)を成す物質は、前記言及された互いに異なる半導体化合物からなり得る。例えば、前記コアは、CdSe、CdS、ZnS、ZnSe、CdTe、CdSeTe、CdZnS、PbSe、AgInZnSおよびZnOよりなる群から選ばれる一つ以上の物質を含むことができるが、これらに限定されるものではない。前記シェルは、CdSe、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdTe、PbS、TiO、SrSeおよびHgSeよりなる群から選ばれる一つ以上の物質を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
通常のカラーフィルターの製造に使用される着色感光性樹脂組成物が、色相の具現のために赤色、緑色、青色の着色剤を含むことと同様に、光ルミネセンス量子ドット粒子も、赤色量子ドット粒子、緑色量子ドット粒子および青色量子ドット粒子に分類され得、本発明による量子ドット粒子は、赤色量子ドット粒子、緑色量子ドット粒子または青色量子ドット粒子であってもよい。
【0060】
前記量子ドット粒子は、湿式化学工程(wet chemical process)、有機金属化学蒸着工程または分子線エピタキシ工程により合成され得る。湿式化学工程は、有機溶剤に前駆体物質を入れて粒子を成長させる方法である。結晶が成長するとき、有機溶剤が自然に量子ドット結晶の表面に配位されて、分散剤の役割をして、結晶の成長を調節するようになるので、有機金属化学蒸着(MOCVD、metal organic chemical vapor deposition)や分子線エピタキシー(MBE、molecular beam epitaxy)のような気相蒸着法よりさらに容易かつ低価格の工程を通じてナノ粒子の成長を制御することができる。
【0061】
本発明による量子ドット粒子の含量は、特に限定されず、例えば自発光感光性樹脂組成物の固形分の総重量%のうち3〜80重量%で含まれることが好ましく、5〜70重量%で含まれることがより好ましい。量子ドットの含量が前記範囲未満である場合には、発光効率が不十分になり得、前記範囲を超過する場合には、相対的に他の組成の含量が不十分であるので、画素パターンを形成しにくい問題がある。
【0062】
光重合性化合物
本発明の量子ドット感光性樹脂組成物に含有される光重合性化合物は、光および後述する光重合開始剤の作用で重合できる化合物であって、単官能単量体、二官能単量体、その他の多官能単量体などが挙げられる。
【0063】
単官能単量体の具体例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0064】
二官能単量体の具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0065】
その他の多官能単量体の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0066】
これらのうち、二官能以上の多官能単量体が好ましく使用される。
【0067】
前記光重合性化合物は、自発光感光性樹脂組成物の固形分の総重量%に対して5〜70重量%含まれることが好ましく、7〜65重量%で含まれることがより好ましい。前記光重合性化合物が前記範囲内に含まれる場合には、画素部の強度や平滑性が良好になり得る。
【0068】
光重合開始剤
本発明による光重合開始剤は、制限されないが、トリアジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物およびオキシム化合物よりなる群から選ばれる1種以上の化合物を含むことがより好ましい。
【0069】
前記光重合開始剤を含有する自発光感光性樹脂組成物は、高感度であり、前記組成物を使用して形成される画素ピクセルは、その画素部の強度やパターン性が良好になりえる。
【0070】
また、前記光重合開始剤に光重合開始補助剤を併用する場合、これらを含有する自発光感光性樹脂組成物がさらに高感度になって、この組成物を使用してカラーフィルターを形成するときの生産性が向上するので好ましい。
【0071】
前記トリアジン系化合物としては、例えば2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0072】
前記アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタル、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドキシエトキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。また、下記化学式2で表される化合物が挙げられる。
【0073】
[化学式2]
【0074】
前記化学式2で、R28〜R31は、それぞれ独立して、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基で置換または非置換されたフェニル基、炭素数1〜12のアルキル基で置換または非置換されたベンジル基、または炭素数1〜12のアルキル基で置換または非置換されたナフチル基を示す。
【0075】
前記化学式2で表される化合物の具体例としては、2−メチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)エタン−1−オン、2−エチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)エタン−1−オン、2−プロピル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)エタン−1−オン、2−ブチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)エタン−1−オン、2−メチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−エチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オン、2−エチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−2−メチルアミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−2−ジメチルアミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−2−ジエチルアミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0076】
前記ビイミダゾール化合物としては、例えば2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール、4,4’,5,5’位置のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物などが挙げられる。これらのうち、2,2’ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールが好ましく使用され得る。
【0077】
前記オキシム化合物としては、下記化学式の化合物が挙げられる。
【0078】
【0079】
また、本発明の効果を損傷しない程度であれば、この分野において通常使用されているその他の光重合開始剤などを追加に併用することもできる。その他の光重合開始剤としては、例えばベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラセン系化合物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0080】
前記ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0081】
前記ベンゾフェノン系化合物としては、例えばベンゾフェノン、0−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4’−ジ(N、N’−ジメチルアミノ)−ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0082】
前記チオキサントン系化合物としては、例えば2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0083】
前記アントラセン系化合物としては、例えば9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。
【0084】
その他、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナトレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などをその他の光重合開始剤として挙げられる。
【0085】
また、本発明で光重合開始剤に組み合わせて使用できる光重合開始補助剤としては、アミン化合物、カルボン酸化合物などよりなる群から選ばれる1種以上の化合物が好ましく使用され得る。
【0086】
前記光重合開始補助剤のうちアミン化合物の具体例としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの脂肪族アミン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称:ミヒラーケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族アミン化合物が挙げられる。アミン化合物としては、芳香族アミン化合物が好ましく使用される。
【0087】
前記カルボン酸化合物の具体例としては、フェニルチオ酢酸、メチルフェニルチオ酢酸、エチルフェニルチオ酢酸、メチルエチルフェニルチオ酢酸、ジメチルフェニルチオ酢酸、メトキシフェニルチオ酢酸、ジメトキシフェニルチオ酢酸、クロロフェニルチオ酢酸、ジクロロフェニルチオ酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸などの芳香族ヘテロ酢酸類が挙げられる。
【0088】
本発明の光重合開始剤は、自発光感光性樹脂組成物の固形分の総重量%のうち0.1〜20重量%で含まれることが好ましく、1〜10重量%で含まれることがより好ましい。前記光重合開始剤の含量が前記範囲内に含まれる場合には、自発光感光性樹脂組成物が高感度化されて、画素部の強度や、この画素部の表面での平滑性が良好になり得る。
【0089】
また、本発明の光重合開始補助剤は、自発光感光性樹脂組成物の固形分の総重量%のうち0.1〜2重量%で含まれることが好ましく、1〜10重量%で含まれることがより好ましい。光重合開始補助剤の使用量が前記の範囲にあれば、自発光感光性樹脂組成物の感度効率性がさらに高まり、この組成物を使用して形成されるカラーフィルターの生産性が向上することができる。
【0090】
溶剤
本発明による溶剤は、特に限定されず、当該分野において通常的に使用される有機溶剤であってもよい。
【0091】
具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類;などが挙げられる。これらは、単独または2種以上混合して使用することができる。
【0092】
本発明による溶剤の含量は、特に限定されず、例えば感光性樹脂組成物の総重量%のうち60〜90重量%で含まれることが好ましく、70〜85重量%で含まれることが好ましい。前記溶剤の含量が前記範囲以内である場合には、塗布性が良好になり得る。
【0093】
<カラーフィルター>
また、本発明は、前記感光性樹脂組成物で製造されたカラーフィルターを提供する。
【0094】
本発明のカラーフィルターは、画像表示装置に適用される場合に、表示装置光源の光により発光するので、さらに優れた光効率を具現することができる。また、色相を有する光が放出されるものであるから、さらに色再現性に優れ、光ルミネセンスにより全方向に光が放出されるので、視野角も改善され得る。
【0095】
カラーフィルターは、基板および前記基板の上部に形成されたパターン層を含む。
【0096】
基板は、カラーフィルター自体基板であることもあって、またはディスプレイ装置などにカラーフィルターが位置する部位であってもよく、特に制限されない。前記基板は、ガラス、シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiO)または高分子基板であってもよく、前記高分子基板は、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)またはポリカーボネート(polycarbonate、PC)等であってもよい。
【0097】
パターン層は、本発明の感光性樹脂組成物を含む層であって、前記感光性樹脂組成物を塗布し、所定のパターンで露光、現像および熱硬化して形成された層であってもよい。
【0098】
前記感光性樹脂組成物で形成されたパターン層は、赤色量子ドット粒子を含有する赤色パターン層、緑色量子ドット粒子を含有する緑色パターン層、および青色量子ドット粒子を含有する青色パターン層を具備することができる。光の照射時に、赤色パターン層は、赤色光を、緑色パターン層は、緑色光を、青色パターン層は、青色光を放出する。
【0099】
このような場合に、画像表示装置への適用時に、光源の放出光が特に限定されないが、さらに優れた色再現性の観点から、青色光を放出する光源を使用することができる。
【0100】
本発明の他の一具現例によれば、前記パターン層は、赤色パターン層、緑色パターン層および青色パターン層のうち2種の色相のパターン層だけを具備することもできる。このような場合には、前記パターン層は、量子ドット粒子を含有しない透明パターン層をさらに具備する。
【0101】
2種の色相のパターン層だけを具備する場合には、含まない残りの色相を示す波長の光を放出する光源を使用することができる。例えば、赤色パターン層および緑色パターン層を含む場合には、青色光を放出する光源を使用することができる。このような場合に、赤色量子ドット粒子は、赤色光を、緑色量子ドット粒子は、緑色光を放出し、透明パターン層は、青色光がそのまま透過して青色を示す。
【0102】
前記のような基板およびパターン層を含むカラーフィルターは、各パターンの間に形成された隔壁をさらに含むことができ、ブラックマトリックスをさらに含むこともできる。また、カラーフィルターのパターン層の上部に形成された保護膜をさらに含むこともできる。
【0103】
<画像表示装置>
また、本発明は、前記カラーフィルターを含む画像表示装置を提供する。
【0104】
本発明のカラーフィルターは、通常の液晶表示装置だけでなく、電界発光表示装置、プラズマ表示装置、電界放出表示装置など各種画像表示装置に適用が可能である。
【0105】
本発明の画像表示装置は、赤色量子ドット粒子を含有する赤色パターン層、緑色量子ドット粒子を含有する緑色パターン層、および青色量子ドット粒子を含有する青色パターン層を含むカラーフィルターを具備することができる。このような場合に、画像表示装置への適用時に、光源の放出光は、特に限定されないが、さらに優れた色再現性の観点から、好ましくは青色光を放出する光源を使用することができる
【0106】
本発明の他の一具現例によれば、本発明の画像表示装置は、赤色パターン層、緑色パターン層および青色パターン層のうち2種の色相のパターン層だけを含むカラーフィルターを具備することもできる。このような場合に、は、前記カラーフィルターは、量子ドット粒子を含有しない透明パターン層をさらに具備する。
【0107】
2種の色相のパターン層だけを具備する場合には、含まない残りの色相を示す波長の光を放出する光源を使用することができる。例えば、赤色パターン層および緑色パターン層を含む場合には、青色光を放出する光源を使用することができる。このような場合に、赤色量子ドット粒子は、赤色光を、緑色量子ドット粒子は、緑色光を放出し、透明パターン層は、青色光がそのまま透過して青色を示す。
【0108】
本発明の画像表示装置は、光効率に優れていて、高い輝度を示し、色再現性に優れており、広い視野角を有する。
【実施例】
【0109】
以下では、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかしながら、下記実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲が下記実施例によって限定されるものではない。下記実施例は、本発明の範囲内で当業者によって適切に修正、変更され得る。
【0110】
製造例1.CdSe(コア)/ZnS(シェル)構造の光ルミネセンス緑色量子ドット粒子Aの合成
CdO(0.4mmol)と亜鉛アセテート(Zinc acetate)(4mmol)、オレイン酸(Oleic acid)(5.5mL)を1−オクタデセン(1−Octadecene)(20mL)と共に反応器に入れ、150℃に加熱して反応させた。以後、亜鉛にオレイン酸が置換されることによって生成された酢酸(acetic acid)を除去するために、前記反応物を100mTorrの真空下に20分間放置した。その後、310℃の熱を加えて透明な混合物を得た後、これを310℃で20分間維持した後、0.4mmolのSe粉末と2.3mmolのS粉末を3mLのトリオクチルホスフィン(trioctylphosphine)に溶解させたSeおよびS溶液をCd(OA)およびZn(OA)溶液が入っている反応器に迅速に注入した。これから得た混合物を310℃で5分間成長させた後、アイスバス(ice bath)を利用して成長を中断させた。その後、エタノールで沈殿させて遠心分離機を利用して量子ドットを分離し、余分の不純物は、クロロホルム(chloroform)とエタノールを利用して洗浄することによって、オレイン酸で安定化された、コア粒径とシェル厚さの合計が3〜5nmである粒子が分布したCdSe(コア)/ZnS(シェル)構造の量子ドット粒子Aを収得した。
【0111】
製造例2−1.アルカリ可溶性樹脂(E−1)の合成
撹拌器、温度計還流冷却管、滴下漏斗および窒素導入管を具備したフラスコを準備し、一方、N−ベンジルマレイミド40重量部、トリシクロデシルメタクリレート10重量部、アクリル酸50重量部、メタt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)20重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル20重量部を投入後、撹拌混合して、モノマーの滴下漏斗を準備し、n−ドデカンチオール6重量部、PGMEA 24重量部を入れて撹拌混合して、連鎖移動剤の滴下漏斗を準備した。
【0112】
以後、フラスコにPGMEA 395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しつつ、フラスコの温度を90℃まで昇温した。次に、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下漏斗から滴下を開始した。滴下は、90を維持しつつ、それぞれ2時間の間行い、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、その後、室温まで冷却しつつ、固形分29.1重量%、重量平均分子量10,000、酸価が140mgKOH/gである樹脂E−1を得た。
【0113】
製造例2−2:アルカリ可溶性樹脂(E−2)の合成
撹拌器、温度計還流冷却管、滴下漏斗および窒素導入管を具備したフラスコを準備し、一方、N−ベンジルマレイミド40重量部、トリシクロデシルメタクリレート10重量部、アクリル酸50重量部、メタt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)20重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル20重量部を投入後、撹拌混合して、モノマーの滴下漏斗を準備し、n−ドデカンチオール6重量部、PGMEA 24重量部を入れて撹拌混合して、連鎖移動剤の滴下漏斗を準備した。
【0114】
以後、フラスコにPGMEA 395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しつつ、フラスコの温度を90℃まで昇温した。次に、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下漏斗から滴下を開始した。滴下は、90℃を維持しつつ、それぞれ2時間の間行い、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)の混合ガスのバブリングを開始した。次に、グリシジルメタクリレート5重量部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入して110で8時間反応を継続し、その後、室温まで冷却しつつ、固形分29.1重量%、重量平均分子量10,000、酸価が130mgKOH/g、アクリル当量が4300g/eqである樹脂E−2を得た。
【0115】
製造例2−3:アルカリ可溶性樹脂(E−3)の合成
撹拌器、温度計還流冷却管、滴下漏斗および窒素導入管を具備したフラスコを準備し、一方、N−ベンジルマレイミド40重量部、トリシクロデシルメタクリレート10重量部、アクリル酸50重量部、メタt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)20重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル20重量部を投入後、撹拌混合して、モノマーの滴下漏斗を準備し、n−ドデカンチオール6重量部、PGMEA 24重量部を入れて撹拌混合して、連鎖移動剤の滴下漏斗を準備した。
【0116】
以後、フラスコにPGMEA 395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しつつ、フラスコの温度を90℃まで昇温した。次に、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下漏斗から滴下を開始した。滴下は、90℃を維持しつつ、それぞれ2時間の間行い、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)の混合ガスのバブリングを開始した。次に、グリシジルメタクリレート15重量部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入して110℃で8時間反応を継続し、その後、室温まで冷却しつつ、固形分29.1重量%、重量平均分子量10,000、酸価が110mgKOH/g、アクリル当量が1450g/eqである樹脂E−3を得た。
【0117】
製造例2−4:アルカリ可溶性樹脂(E−4)の合成
撹拌器、温度計還流冷却管、滴下漏斗および窒素導入管を具備したフラスコを準備し、一方、N−ベンジルマレイミド40重量部、トリシクロデシルメタクリレート10重量部、アクリル酸50重量部、メタt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)20重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル20重量部を投入後、撹拌混合して、モノマーの滴下漏斗を準備し、n−ドデカンチオール6重量部、PGMEA 24重量部を入れて撹拌混合して、連鎖移動剤の滴下漏斗を準備した。
【0118】
以後、フラスコにPGMEA 395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しつつ、フラスコの温度を90℃まで昇温した。次に、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下漏斗から滴下を開始した。滴下は、90℃を維持しつつ、それぞれ2時間の間行い、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)の混合ガスのバブリングを開始した。次に、グリシジルメタクリレート30重量部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入して110℃で8時間反応を継続し、その後、室温まで冷却しつつ、固形分29.1重量%、重量平均分子量10,000、酸価が85mgKOH/g、アクリル当量が725g/eqである樹脂E−4を得た。
【0119】
製造例2−5:アルカリ可溶性樹脂(E−5)の合成
撹拌器、温度計還流冷却管、滴下漏斗および窒素導入管を具備したフラスコを準備し、一方、N−ベンジルマレイミド35重量部、トリシクロデシルメタクリレート10重量部、アクリル酸55重量部、メタt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)20重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル20重量部を投入後、撹拌混合して、モノマーの滴下漏斗を準備し、n−ドデカンチオール6重量部、PGMEA 24重量部を入れて撹拌混合して、連鎖移動剤の滴下漏斗を準備した。
【0120】
以後、フラスコにPGMEA 395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しつつ、フラスコの温度を90℃まで昇温した。次に、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下漏斗から滴下を開始した。滴下は、90℃を維持しつつ、それぞれ2時間の間行い、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)の混合ガスのバブリングを開始した。次に、グリシジルメタクリレート50重量部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入して110℃で8時間反応を継続し、その後、室温まで冷却しつつ、固形分29.1重量%、重量平均分子量10,000、酸価が60mgKOH/g、アクリル当量が435g/eqである樹脂E−5を得た。
【0121】
製造例2−6:アルカリ可溶性樹脂(E−6)の合成
撹拌器、温度計還流冷却管、滴下漏斗および窒素導入管を具備したフラスコを準備し、一方、N−ベンジルマレイミド35重量部、トリシクロデシルメタクリレート10重量部、アクリル酸55重量部、メタt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)20重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル20重量部を投入後、撹拌混合して、モノマーの滴下漏斗を準備し、n−ドデカンチオール6重量部、PGMEA 24重量部を入れて撹拌混合して、連鎖移動剤の滴下漏斗を準備した。
【0122】
以後、フラスコにPGMEA 395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しつつ、フラスコの温度を90℃まで昇温した。次に、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下漏斗から滴下を開始した。滴下は、90℃を維持しつつ、それぞれ2時間の間行い、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)の混合ガスのバブリングを開始した。次に、グリシジルメタクリレート50重量部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入して110℃で8時間反応を継続し、その後、室温まで冷却しつつ、固形分29.1重量%、重量平均分子量30,000、酸価が65mgKOH/g、アクリル当量が435g/eqである樹脂E−6を得た。
【0123】
製造例2−7.アルカリ可溶性樹脂(E−7)の合成
撹拌器、温度計還流冷却管、滴下漏斗および窒素導入管を具備したフラスコを準備し、一方、N−ベンジルマレイミド40重量部、トリシクロデシルメタクリレート10重量部、アクリル酸50重量部、メタt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)20重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル20重量部を投入後、撹拌混合して、モノマーの滴下漏斗を準備し、n−ドデカンチオール6重量部、PGMEA 24重量部を入れて撹拌混合して、連鎖移動剤の滴下漏斗を準備した。
【0124】
以後、フラスコにPGMEA 395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しつつ、フラスコの温度を90℃まで昇温した。次に、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下漏斗から滴下を開始した。滴下は、90℃を維持しつつ、それぞれ2時間の間行い、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)の混合ガスのバブリングを開始した。次に、グリシジルメタクリレート30重量部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入して110℃で8時間反応を継続した。その後、反応液の温度を常温に下げ、コハク酸無水物6.0部を投入し、80℃で6時間反応した。その後、室温まで冷却しつつ、固形分29.1重量%、重量平均分子量10,000、酸価が85mgKOH/g、アクリル当量が720g/eqである樹脂E−7を得た。
【0125】
実施例1〜8および比較例1〜5:自発光感光性樹脂組成物の製造
下記表1に記載されたように、それぞれ成分を混合した後、全体固形分が20重量%になるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈した後、十分に撹拌して、自発光感光性樹脂組成物を得た。
【0126】
この際、実施例および比較にそれぞれに含まれた全体アルカリ可溶性樹脂に対するポリスチレン換算重量平均分子量およびアクリル当量は、下記表2に示した。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
カラーフィルター(ガラス基板)の製造例
前記実施例1〜8および比較例1〜5で製造された自発光感光性樹脂組成物を利用してカラーフィルターを製造した。すなわち、前記それぞれの自発光感光性樹脂組成物をスピンコーティング法でガラス基板の上に塗布した後、加熱板の上に載置し、100℃の温度で3分間維持して薄膜を形成させた。次に、前記薄膜の上に横×縦20mm×20mmの正四角形の透過パターンと1μm〜100μmのライン/スペースパターンを有する試験フォトマスクを載置し、試験フォトマスクとの間隔を100μmとして紫外線を照射した。
【0130】
この際、紫外線光源は、ウシオ電機社製の超高圧水銀ランプ(商品名USH−250D)を利用して大気雰囲気下に200mJ/cmの露光量(365nm)で光照射し、特別な光学フィルターは使用しなかった。前記で紫外線が照射された薄膜をpH10.5のKOH水溶液現像溶液に80秒間浸漬して現像した。この薄膜が施されたガラス基板を蒸留水を使用して洗浄した後、窒素ガスを吹いて乾燥し、150℃の加熱オーブンで10分間加熱してカラーフィルターパターンを製造した。前記で製造された自発光カラーパターンのフィルムの厚さは、3.0μmであった。
【0131】
発光強度(Intensity)の測定
前記自発光画素が形成されたカラーフィルターのうち20mm×20mmの正四角形のパターンで形成されたパターン(Pattern)部に365nm Tube型4W UV照射機(VL−4LC、Vilber LOURMAT)を用いて光変換された領域を測定し、実施例1〜8および比較例1〜5は、550nmの領域での光強度(Intensity)をSpectrum meter(Ocean Optics社製)を利用して測定した。測定された光強度(Intensity)が高いほど優れた自発光特性を発揮するものと判断することができ、発光強度(Intensity)の測定結果を下記表3に示した。また、ハードベーク(Hard bake)を230℃で60分間行って、ハードベーク前の発光強度と後の強度を測定し、発光効率が維持される水準を確認して、表3に発光強度維持率で示した。
【0132】
TiO沈降性の測定
前記で製造したカラーパターン基板をエネルギー分散型分光分析法(Energy−dispersive X−ray spectroscopy、EDX)装備を使用して、基板内のチタニウム(Ti)元素の分布を確認し、これを通じて、パターン下部のTiO沈降性程度を把握し、これは、図1および図2を通じて確認することができる。
【0133】
<評価基準>
◎:TiO沈降なし。
○:TiOがパターン内部に一部領域だけ沈降した状態
△:TiOがパターン内部の半分水準に沈降した状態
×:パターンの下部に完全にTiOが沈降した状態
【0134】
【表3】
【0135】
前記表3から明らかなように、実施例1〜8で請求範囲内の二重結合当量および分子量を有するアルカリ可溶性樹脂を使用する場合、発光強度および維持率が高いと共に、パターン内での沈降性を抑制することができることを確認することができる。特に化学式1の単量体を含むアルカリ可溶性樹脂を使用した実施例4および実施例8は、パターン内のTiO沈降性が完全に制御することができることを確認することができる。
【0136】
他方で、比較例1、2および5を参照すると、二重結合当量が2000g/eq以上である場合、発光強度および維持率が低いと共に、パターンの下部にTiOが沈殿していることを確認することができ、比較例3〜4を参照すると、重量平均分子量が15000以上である場合、発光強度および維持率は高く維持されるが、沈降性を抑制することができないことを確認することができる。

図1
図2