【文献】
荒金 陽助 YOSUKE ARAGANE,ドライバ情報処理能力配分モデルの提案とその評価,情報処理学会論文誌 第42巻 第7号 IPSJ Journal,日本,社団法人情報処理学会 Information Processing Society of Japan,第42巻
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る情報処理装置および情報処理方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、かかる実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
<1.情報処理方法>
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理方法を説明するための図であり、かかる情報処理方法は情報処理装置1によって実行される。
【0012】
図1に示す情報処理装置1は、車両C内において複数種類のサービスSを提供することができるサービス提供部を備える。情報処理装置1が提供するサービスSの種別として、例えば、電話サービスSa、電子メール通知サービスSb、ナビゲーションサービスSc、交通情報提供サービスSd、天気情報提供サービスSe、音声検索サービスSfなどがある。なお、サービスSは、情報提供サービスに限定されない。
【0013】
かかる情報処理装置1は、車両Cの運転によって生じる運転者Dの負荷(以下、運転負荷LDと記載する)と、サービス提供部が提供するサービスSによって運転者Dに生じる負荷(以下、サービス負荷LSと記載する)とに基づいて、サービスSの提供を制御する。
【0014】
図1(a)に示すように、実施形態に係る情報処理装置1は、運転者Dの運転負荷LDを判定する。運転負荷LDの判定は、例えば、運転者Dの視線の動きに基づいて行われる。例えば、情報処理装置1は、運転者Dの視線の移動量が大きいほど運転者Dの運転負荷LDを大きいと判定することができる。また、情報処理装置1は、運転者Dの視線が所定の対象(例えば、バックミラーやサイドミラー)へ向けられた時間が長いほどまた頻度が大きいほど運転者Dの運転負荷LDを大きいと判定することができる。
【0015】
なお、情報処理装置1は、運転者Dの視線の動きに代えまたは加え、例えば、運転者Dの運転操作の状態、車両Cの走行環境、および、車両Cの走行状態のうち少なくとも一つに基づいて、運転者Dの運転負荷LDを判定することもできる。
【0016】
図1(a)に示すように、情報処理装置1は、第1サービスS1(例えば、交通情報提供サービス)が提供すべきサービスとして発生した場合、第1サービスS1によって運転者Dに生じる負荷であるサービス負荷LSを判定する。かかるサービス負荷LSは、例えば、サービスSの種別毎に異なる。
【0017】
情報処理装置1は、運転者Dの運転負荷LDとサービス負荷LSとの合計値(以下、負荷合計値LTと記載する)に基づいて、第1サービスS1の提供を制御する。例えば、情報処理装置1は、負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超えるか否かを判定し、かかる判定結果に基づいて、第1サービスS1の提供を制御する。
図1(a)に示す例では、負荷合計値LTが負荷許容値LMを超えないため、情報処理装置1は、第1サービスS1を運転者Dへ提供する。
【0018】
その後、
図1(b)に示すように、第2サービスS2(例えば、電子メール通知サービス)が提供すべきサービスSとして発生した場合、第2サービスS2によって運転者Dに生じる負荷であるサービス負荷LSを判定する。そして、情報処理装置1は、運転者Dの運転負荷LDとサービス負荷LSとの合計値である負荷合計値LTに基づいて、第2サービスS2の提供を制御する。
【0019】
図1(b)に示すように、第2サービスS2のサービス負荷LSは、第1サービスS1のサービス負荷LSよりも高く、負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超えることから、情報処理装置1は、第2サービスS2の運転者Dへの提供を規制する。
【0020】
情報処理装置1は、第2サービスS2の運転者Dへの提供の規制として、例えば、第2サービスS2の提供の停止、第2サービスS2の提供タイミングの変更、第2サービスS2の提供内容の変更、および、第2サービスS2の提供方法の変更のうち少なくとも一つを実行する。
【0021】
例えば、情報処理装置1は、第2サービスS2の提供タイミングを負荷合計値LTが負荷許容値LMよりも低くなるタイミングとすることができる。これにより、負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超えるような状態でのサービスSの提供を抑制することができるため、運転者Dの運転操作への影響を抑えつつ、サービスSの提供を行うことができる。そのため、運転者Dへのサービス提供をより適切に行うことができる。
【0022】
また、情報処理装置1は、負荷合計値LTが負荷許容値LMを超えないように第2サービスS2の提供内容(例えば、提供する情報量)を低減することができる。例えば、情報処理装置1は、電子メール通知サービスSbの一部を提供しないことができる。これによっても、負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超えるような状態でのサービスSの提供を抑制することができる。
【0023】
また、情報処理装置1は、負荷合計値LTが負荷許容値LMを超えないように第2サービスS2の提供方法を変更することもできる。例えば、電子メール通知サービスSbの通知を聴覚的な通知から視覚的通知や触覚的通知へ変更することができ、これによっても、運転者Dの負荷許容値LMを超えるようなサービスSの提供を抑制することができる。
【0024】
<2.情報処理装置1の構成>
図2は、本発明の実施形態に係る情報処理装置1の構成例を示す図である。かかる情報処理装置1は、例えば、車両C(
図1参照)に搭載される車載装置であり、車両Cの搭乗者へ各種のサービスSを提供することができる。
【0025】
図2に示すように、情報処理装置1は、通信部10と、撮像部11と、スピーカ12と、ディスプレイ13と、入力部14と、記憶部15と、制御部16とを備える。
【0026】
<2.1 通信部10>
通信部10は、無線通信網に双方向通信可能に接続する通信インターフェイスである。制御部16は、かかる通信部10を介して外部の装置と通信することで、各種の情報を取得することができる。
【0027】
例えば、制御部16は、通信部10を介して各種のサーバ装置から各種の情報(例えば、地図情報、検索情報、天気情報、交通情報、電子メールの情報)を取得することができる。また、制御部16は、通信部10を介して電話通信網に接続して電話サービスSaを提供することができる。
【0028】
<2.2 撮像部11>
撮像部11は、例えば、CMOSイメージセンサを有する撮像装置であり、撮像方向が運転席に向くように車両C内に配置される。かかる撮像部11は、運転者Dの眼を含む領域を撮像し、かかる撮像結果である撮像画像を出力する。
【0029】
<2.3 スピーカ12>
スピーカ12は、例えば、音出力方向が運転席に向くように車両C内に配置され、制御部16から出力される音声信号を音波に変換して出力する。
【0030】
<2.4 ディスプレイ13>
ディスプレイ13は、運転席に向くように車両C内に配置され、制御部16から出力される画像信号を画像に変換して表示する。かかるディスプレイ13は、例えば、LCD(liquid Crystal display)である。
【0031】
<2.5 入力部14>
入力部14は、例えば、運転者Dが情報を入力するタッチパッドであり、かかる入力部14へ入力された情報が制御部16へ通知される。なお、ディスプレイ13がタッチパネルディスプレイである場合、ディスプレイ13が入力部14の機能を兼ねることもできる。
【0032】
<2.6 記憶部15>
記憶部15は、運転負荷情報記憶部20と、負荷許容値情報記憶部21と、サービス負荷情報記憶部22とを備える。かかる記憶部15は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0033】
<2.6.1. 運転負荷情報記憶部20>
運転負荷情報記憶部20は、運転者Dの運転負荷LDを判定するための運転負荷情報を記憶する。
図3は、運転負荷情報記憶部20に記憶される運転負荷情報の一例を示す図である。
【0034】
図3に示すように、運転負荷情報は、利用者U毎に、利用者Uの動きに対応する負荷を関連付けた情報である。利用者Uの動きは、例えば、利用者Uの視線の動き、利用者Uのウィンカー操作、利用者Uのハンドル操作である。
【0035】
ここで、
図3に示す運転負荷情報が運転負荷情報記憶部20に記憶されており、運転者Dが利用者U1であるとする。この場合、利用者U1の視線の動き「大」、「中」および「小」に対して負荷「400」、「200」、「0」がそれぞれ対応付けられている。また、ウィンカー操作に対して負荷「300」が対応付けられ、ハンドル操作「大」、「中」および「小」に対して負荷「300」、「150」、「0」がそれぞれ対応付けられる。
【0036】
なお、運転負荷情報は、
図3に示す例に限定されない。運転負荷情報は、例えば、
図3に示す例に加えまたは代えて、利用者Uの動きとして、利用者Uのアクセル操作や利用者Uの頭の動きなどを負荷と対応づけた情報であってもよい。
【0037】
また、運転負荷情報は、車両Cの走行状態(車両Cの速度、加速度)、車両Cの走行環境(例えば、高速道、カーブが多い道路、あぜ道、アップダウンが激しい道路など)に対応する負荷を対応付けた情報を含むことができる。また、運転負荷情報は、
図3に示すようなテーブルに限定されず、利用者Uの視線の動き、利用者Uのウィンカー操作、車両Cの走行状態、車両Cの走行環境などの各種の情報をパラメータとする演算式を記憶することもできる。
【0038】
<2.6.2. 負荷許容値情報記憶部21>
負荷許容値情報記憶部21は、各利用者Uと負荷許容値LMとを対応付けた情報(以下、負荷許容値情報と記載する)を記憶する。
図4は、負荷許容値情報記憶部21に記憶される負荷許容値情報の一例を示す図である。
【0039】
図4に示すように、負荷許容値情報は、利用者U毎に、負荷許容値LMを対応付けた情報である。
図4に示す例では、利用者U1の負荷許容値LMとして「1000」が設定され、利用者U2の負荷許容値LMとして「1200」が設定され、利用者U3の負荷許容値LMとして「700」が設定される。
【0040】
なお、負荷許容値情報は、利用者U毎に、さらに、時間帯毎(日中と夜間)、天候(晴れ、くもり、雨、雪、台風)毎に異なる負荷許容値を対応させた情報であってもよい。また、負荷許容値情報は、運転者Dの年齢や性別と負荷許容値LMとを関連付けた情報であってもよい。
【0041】
<2.6.3. サービス負荷情報記憶部22>
サービス負荷情報記憶部22は、制御部16が運転者Dに提供するサービスSに対してサービス負荷LSを対応付けた情報(以下、サービス負荷情報と記載する)である。
【0042】
図5は、サービス負荷情報記憶部22に記憶されるサービス負荷情報の一例を示す図である。
図5に示すサービス負荷情報は、制御部16が運転者Dに提供するサービスSの種別や項目毎に、サービス負荷LSを対応付けた情報である。
【0043】
図5に示す例では、電子メール通知サービスSb、電話サービスSa、音声検索サービスSf、および、ナビゲーションサービスScなどの各サービスSに対応してサービス負荷LSが対応付けられている。
【0044】
さらに、電子メール通知サービスSbには、サービス項目として「新着通知」および「本文読み上げ」が設定され、これらの各サービス項目に対してサービス負荷LSとして「100」、「400」が設定される。また、電話サービスSaには、サービス項目として「着信通知」および「通話」が設定され、これらの各サービス項目に対してサービス負荷LSとして「100」、「400」が設定される。
【0045】
また、音声検索サービスSfには、サービス項目として「音声検索」が設定され、このサービス項目に対してサービス負荷LSとして「400」が設定される。また、ナビゲーションサービスScには、サービス項目として「ルート設定」および「ルート案内」が設定され、これらの各サービス項目に対してサービス負荷LSとして「250」、「100」が設定される。
【0046】
<2.7. 制御部16>
制御部16は、
図2に示すように、サービス提供部30と、運転負荷判定部31と、サービス負荷判定部32と、提供制御部33とを備える。
【0047】
かかる制御部16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、後述する制御を実現する。
【0048】
制御部16において、サービス提供部30、運転負荷判定部31、サービス負荷判定部32および提供制御部33の機能は、例えば、上記CPUが上記プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0049】
なお、サービス提供部30、運転負荷判定部31、サービス負荷判定部32および提供制御部33は、それぞれ一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0050】
<2.7.1. サービス提供部30>
サービス提供部30は、電話サービスSa、電子メール通知サービスSb、ナビゲーションサービスSc、交通情報提供サービスSd、天気情報提供サービスSe、音声検索サービスSf、危険予測通知サービスSgなどの種々のサービスSを提供することができる。
【0051】
電話サービスSaは、例えば、固定電話通信網や携帯電話通信網への接続を行うサービスであり、かかる電話サービスSaには、例えば、着信通知、ハンズフリー通話、音声発呼などのサービス項目が含まれる。着信通知は、着信があったことを通知するサービスであり、ハンズフリー通話は、スピーカーフォンとマイクによる通話を提供するサービスであり、音声発呼は、運転者Dが音声で発呼の指示を行うことで指示先へ発呼するサービスである。
【0052】
電子メール通知サービスSbは、電子メールの送受信を行うサービスである。かかる電子メール通知サービスSbには、例えば、着信通知、本文読み上げなどのサービス項目が含まれる。着信通知は、新規に受信した電子メールがある旨を通知するサービスであり、本文読み上げは、新規に受信した電子メールの本文の内容を通知するサービスである。
【0053】
ナビゲーションサービスScは、車両Cの走行ルートの設定や案内を行うサービスである。かかるナビゲーションサービスScには、例えば、ルート設定やルート案内などのサービス項目が含まれる。ルート設定は、運転者Dが車両Cの走行ルートを設定するサービスであり、ルート案内は、運転者Dによって設定された走行ルートの音声や画像で案内するサービスである。
【0054】
交通情報提供サービスSdは、車両Cの周辺の交通情報や設定された走行ルート上の交通情報を運転者Dへ提供するサービスである。天気情報提供サービスSeは、車両Cの周辺の天気情報や設定された走行ルート上の天気情報を運転者Dへ提供するサービスである。
【0055】
危険予測通知サービスSgは、運転者Dへ将来に生じる危険を通知するサービスである。かかる危険予測通知サービスSgでは、たとえば、ナビゲーションサービスScで設定された走行ルート上に飛び出し多発地点や事故多発地点がある旨を通知する。
【0056】
なお、サービス提供部30が提供するサービスSは、上述したサービスに限定されるものではなく、運転者Dへその他の情報を提供するサービスや運転者D以外の同乗者へ情報を通知するサービスが含まれる。
【0057】
<2.7.2. 運転負荷判定部31>
運転負荷判定部31は、車両Cを運転している運転者Dの運転負荷LDを判定する。かかる運転負荷判定部31は、例えば、運転者Dの動きに基づいて、運転者Dの運転負荷LDを判定することができる。
【0058】
図2に示すように、運転負荷判定部31は、視線検出部41と、操作状態情報取得部42と、走行情報取得部43と、判定処理部44とを備える。視線検出部41は、撮像部11から出力される撮像画像の情報に基づき、運転者Dの視線の動きを検出する。
【0059】
操作状態情報取得部42は、車両Cに対する運転者Dの操作状態に関する情報(以下、操作状態情報と記載する)を車両Cに設置された各装置から取得する。例えば、操作状態情報取得部42は、操作状態情報として、ハンドル操作の情報、ブレーキ操作の情報、アクセル操作の情報、ウィンカー操作の情報、ワイパー操作の情報、前照灯操作の情報、ハザードランプ操作の情報などを取得することができる。
【0060】
走行情報取得部43は、車両Cの走行環境や車両Cの走行状態の情報(以下、走行情報と記載する)をサービス提供部30から取得することができる。また、走行情報取得部43は、車両Cに設置された計測器から車両Cの速度や加速度の情報を走行情報として取得することもできる。
【0061】
判定処理部44は、視線検出部41によって検出された運転者Dの視線の情報、操作状態情報取得部42によって取得された操作状態情報、および、走行情報取得部43によって取得された走行情報の少なくとも一つに基づいて、運転者Dの運転負荷LDを判定する。
【0062】
判定処理部44は、例えば、運転者Dの視線の移動量、所定の対象(例えば、バックミラーやサイドミラー)へ向けられた時間や頻度に基づいて、運転者Dの視線の動きが「大」、「中」、「小」のいずれであるかを判定することができる。
【0063】
例えば、判定処理部44は、運転者Dの視線の移動量が閾値以上であり、かつ、所定の対象へ向けられた時間や頻度が閾値以上である場合に、運転者Dの視線の動きが「大」であると判定する。また、判定処理部44は、運転者Dの視線の移動量が閾値以上であるか、または、所定の対象へ向けられた時間や頻度が閾値以上である場合に、運転者Dの視線の動きが「中」であると判定する。
【0064】
また、判定処理部44は、運転者Dの視線の移動量が閾値以上でなく、かつ、所定の対象へ向けられた時間や頻度が閾値以上でない場合に、運転者Dの視線の動きが「小」であると判定する。なお、運転者Dの視線の動きが「大」、「中」、「小」のいずれであるかの判定方法は上述した例に限定されるものではなく、また、運転者Dの視線の動きの度合いは、「大」、「中」、「小」の3段階に限定されず、2段階でもよく、4段階以上であってもよい。
【0065】
また、判定処理部44は、ハンドル操作の単位時間当たりの操作量や同一方向への操作量に基づいて、ハンドル操作が「大」、「中」、「小」のいずれであるかを判定することができる。なお、視線の動きの度合いと同様に、ハンドル操作の度合いは、「大」、「中」、「小」の3段階に限定されず、2段階でもよく、4段階以上であってもよい。
【0066】
ここで、運転負荷情報記憶部20に記憶された運転負荷情報が
図3に示す状態であり、車両Cの運転者Dが利用者U1であるとする。また、利用者U1の視線の動きが「大」であり、利用者U1がウィンカー操作をしており、かつ、利用者U1のハンドル操作が「大」であるとする。
【0067】
この場合、視線の動きに対応する負荷は「400」であり、ウィンカー操作に対応する負荷は「300」であり、ハンドル操作に対応する負荷が「300」である。したがって、判定処理部44は、運転負荷情報記憶部20に記憶された運転負荷情報に基づき、利用者U1の運転負荷LDが「1000」であると判定する。
【0068】
また、判定処理部44は、ブレーキ操作の単位時間当たりの操作量などに基づいて、ブレーキ操作の度合いを判定することができる。判定処理部44は、ブレーキ操作の度合いに応じた負荷を運転負荷情報から取得し、かかる負荷を含めた運転者Dの運転負荷LDを判定することができる。
【0069】
また、判定処理部44は、ワイパーの動作速度や動作間隔に応じた負荷を判定し、かかる負荷を含めた運転者Dの運転負荷LDを判定することもできる。この場合、判定処理部44は、例えば、ワイパーの動作速度が速いほど、また、ワイパーの動作間隔が短いほどワイパー操作の度合いが高くなるように判定することができる。
【0070】
また、上述したように、運転負荷情報記憶部20には、運転負荷情報として、車両Cの走行状態(車両Cの速度、加速度)、車両Cの走行環境(例えば、高速道、カーブが多い道路、あぜ道、アップダウンが激しい道路などや、他車や歩行者の数や位置など)に対応する負荷を対応付けた情報を含むことができる。
【0071】
この場合、判定処理部44は、走行情報取得部43から取得した走行情報に基づいて、車両Cの走行環境および走行状態に応じた運転者Dの負荷を判定し、かかる負荷を含めた運転者Dの運転負荷LDを判定することもできる。例えば、判定処理部44は、車両Cの速度や加速度が速いほど負荷が高くなるように運転者Dの運転負荷LDを判定することができる。
【0072】
<2.7.3. サービス負荷判定部32>
サービス負荷判定部32は、サービス提供部30が提供するサービスSによって運転者Dに生じる負荷であるサービス負荷LSを判定する。
【0073】
サービス負荷判定部32は、例えば、サービス提供部30で提供すべきサービスSが発生した場合、サービス負荷情報記憶部22に記憶されたサービス負荷情報に基づいて、提供すべきサービスSによって生じる運転者Dの負荷であるサービス負荷LSを判定する。
【0074】
ここで、サービス負荷情報記憶部22に記憶されたサービス負荷情報が
図5に示す状態であり、車両Cの運転者Dが利用者U1であるとする。また、サービス負荷判定部32は、サービス提供部30で提供すべきサービスSの種別(以下、サービス種別と記載する)およびサービスSの項目(以下、サービス項目と記載する)を示す情報をサービス提供部30から取得したとする。
【0075】
サービス種別が「電子メール通知サービス」である場合において、サービス負荷判定部32は、サービス項目が「新着通知」であれば、サービス負荷LSが「100」であると判定し、サービス項目が「本文読み上げ」であれば、サービス負荷LSが「400」であると判定する。
【0076】
また、サービス種別が「電話サービス」である場合において、サービス負荷判定部32は、サービス項目が「着信通知」であれば、サービス負荷LSが「100」であると判定し、サービス項目が「通話」であれば、サービス負荷LSが「400」であると判定する。
【0077】
なお、サービス負荷情報記憶部22に記憶されるサービス負荷情報は、利用者毎に異なる値の負荷をサービスSに対応づけて記憶した情報であってもよい。すなわち、サービス負荷情報は、サービスSの情報(サービス種別およびサービス項目)とサービス負荷LSの情報とを利用者毎に関連付けた情報であってもよい。
【0078】
この場合、サービス負荷判定部32は、サービス負荷情報記憶部22に記憶されたサービス負荷情報のうち、現在の運転者Dに対応する利用者Uの情報(例えば、利用者U1が現在の運転者Dであれば、利用者U1に対応するサービス負荷LSの情報)に基づき、サービス負荷LSを判定する。
【0079】
これにより、運転者Dに応じたサービス負荷LSをより精度よく判定することができる。なお、サービス負荷判定部32は、例えば、撮像部11から出力される撮像画像に基づき、現在の運転者Dを特定することができ、また、入力部14へ入力される認証情報(例えば、ユーザIDやパスワードなど)に基づいて現在の運転者Dを特定することができる。
【0080】
また、サービス負荷LSは、
図5に示すように、サービス種別およびサービス項目に対応づけるものに限定されず、サービス種別のみに対応づけてもよく、さらに、サービス提供時間(例えば、運転者Dに情報を通知する時間)やサービス提供量に応じて変更してもよい。
【0081】
例えば、サービス負荷判定部32は、同じサービスであっても、サービス提供時間が長いほどサービス負荷LSを高くすることができる。また、サービス負荷判定部32は、サービスSを提供中にサービス提供時間に応じてサービス負荷LSを高くしていくこともできる。これにより、サービス提供時間が長いサービスSのサービス負荷LSを高くすることができる。
【0082】
<2.7.4. 提供制御部33>
提供制御部33は、運転負荷判定部31によって判定された運転者Dの運転負荷LDと、サービス負荷判定部32によって判定されたサービス負荷LSとの合計値である負荷合計値LTに基づいて、サービス提供部30によるサービスSの提供を制御する。
【0083】
かかる提供制御部33は、過負荷判定部51と、制御処理部52とを備える。過負荷判定部51は、運転者Dの運転負荷LDとサービス負荷判定部32によって判定されたサービス負荷LSとの合計値である負荷合計値LTを演算する。
【0084】
過負荷判定部51は、運転者Dの負荷許容値LMを負荷許容値情報記憶部21から取得する。例えば、負荷許容値情報記憶部21に記憶された負荷許容値情報が
図4に示す状態であり、利用者U1が運転者Dである場合、過負荷判定部51は、負荷許容値LMが「1000」であると判定する。また、利用者U3が運転者Dである場合、過負荷判定部51は、負荷許容値LMが「700」であると判定する。
【0085】
なお、過負荷判定部51は、例えば、撮像部11から出力される撮像画像に基づき、現在の運転者Dを特定することができ、また、入力部14へ入力される認証情報(例えば、ユーザIDやパスワードなど)に基づいて現在の運転者Dを特定することができる。
【0086】
過負荷判定部51は、運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超えるか否かを判定する。例えば、負荷許容値情報記憶部21に記憶された負荷許容値情報が
図4に示す状態であり、利用者U1が運転者Dである場合、過負荷判定部51は、利用者U1の運転負荷LDとサービス負荷LSとの合計である負荷合計値LTが「1000」を超えるか否かを判定する。
【0087】
制御処理部52は、運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超えないと判定すると、サービス提供部30を制御し、提供すべきサービスSのタスクをサービス提供部30に実行させる。これにより、サービス提供部30から運転者DへサービスSが提供される。
【0088】
制御処理部52は、運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超えると判定すると、サービス提供部30を制御し、サービス提供部30によるサービスSの提供を規制する。制御処理部52は、サービス提供部30によるサービスSの提供の規制を、例えば、サービスSの提供の停止、サービスSの提供タイミングの変更、サービスSの提供内容の制限、および、サービスSの提供方法の変更のうち少なくとも一つを実行することで行うことができる。
【0089】
例えば、制御処理部52は、サービス提供部30によってサービスSが提供されている最中に、運転者Dの運転負荷LDが高くなって運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超えた場合、サービス停止要求をサービス提供部30へ行う。これにより、サービス提供部30から提供されているサービスSが停止される。
【0090】
その後、運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを下回った場合、制御処理部52は、サービス再開要求をサービス提供部30へ行う。これにより、サービス提供部30により停止中のサービスSのタスクの実行が再開される。サービス提供部30は、サービス再開要求があった場合、停止したサービスSの提供を最初から行うこともできる。
【0091】
また、制御処理部52は、運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超えている状態でサービス提供部30において提供すべきサービスSが発生すると、サービス停止要求をサービス提供部30へ行うことができる。これにより、運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超える状態で運転者Dに対してサービスSの提供が開始されることを抑制することができる。
【0092】
その後、運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを下回った場合、制御処理部52は、サービス開始要求をサービス提供部30へ行う。これにより、サービス提供部30から提供されているサービスSが開始される。このように、制御処理部52は、サービスSの提供タイミングを変更することで、運転者Dの運転操作への影響を抑えつつ、サービスSの提供を行うことができる。
【0093】
なお、制御処理部52は、運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMよりも所定値以上低い値を下回ったタイミングやこのように下回る状態が所定期間継続したタイミングで、サービス再開要求やサービス開始要求をサービス提供部30へ行うこともできる。これにより、運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMの付近で変動するような場合に、サービスSの停止と再開が繰り返されることを抑制することができる。
【0094】
また、制御処理部52は、運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超えないように、サービスSの提供内容を制限することができる。例えば、制御処理部52は、新着通知、本文の読み上げを順次行うことによって電子メール通知サービスSbを提供する場合に、運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超えないように、新着通知だけ行ったりすることができる。
【0095】
また、制御処理部52は、着信通知および通話接続を行うことによって電話サービスSaを提供する場合に、運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超えないように、着信通知だけ行うことができる。
【0096】
また、制御処理部52は、例えば、スピーカ12とディスプレイ13の両方でサービスSを提供する場合、運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超えないように、スピーカ12とディスプレイ13のうち一方のみでサービスSを提供するようにサービス提供部30を制御することができる。このようにサービスSの提供方法を変更することによっても、運転者Dの負荷を低減することができ、運転者Dの運転操作への影響を抑えつつ、サービスSの提供を行うことができる。
【0097】
また、制御処理部52は、例えば、サービスSの提供内容の制限やサービスSの提供方法の変更を行ったとしても運転者Dの負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを下回らない場合に、サービスSの提供の停止や提供タイミングの変更を行うこともできる。
【0098】
ここで、制御部16による情報処理の一例について
図6および
図7を参照して具体的に説明する。
図6は、車両Cの走行位置の変化と新たに処理対象になるタスクとの関係の一例を示す図である。
【0099】
図6に示すように、車両Cの走行位置が位置P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7の順に変化し、位置P2、P4で処理すべきサービスSが発生したとする。また、車両Cが位置P3から位置P4へ移動する間に、運転者Dが右折のためにウィンカーをONし、その後、車両Cが位置P6になってウィンカーがOFFになったとする。
【0100】
この場合、タスクの実行タイミング、ディスプレイ13の表示内容、および、スピーカ12から出力される音声内容は、制御部16によって、例えば、
図7に示すように制御される。
図7は、新たに処理対象になるタスク、タスクの実行タイミング、ディスプレイ13の表示内容、および、スピーカ12から出力される音声内容の一例を示す図である。
【0101】
例えば、車両Cの位置が位置P1である場合、処理対象のタスク(提供すべきサービスSのタスク)がなく、制御部16は、ディスプレイ13の表示画面80に運転者Dの運転負荷LDの状態を示す画像82を表示する。なお、
図7に示す表示画面80には車両Cが現在走行中の位置を含む地図画像81が表示され、かかる地図画像81上に画像82が配置されている。
【0102】
車両Cの位置が位置P2に移動した場合、タスク1が新たな処理対象のタスクとして決定される。このとき、負荷合計値LT(=運転負荷LD+サービス負荷LS)が負荷許容値LMを超えていないため、制御部16は、タスク1を制限することなく実行する。これにより、タスク1で実行されるサービスSが運転者Dへ提供される。
【0103】
タスク1によるサービスSは、例えば、電子メール通知サービスSbであり、制御部16は、例えば、「XXXさんからのメッセージを受信しました。読み上げますか?」といった音声をスピーカ12から出力させる。なお、制御部16は、ディスプレイ13の表示画面80に運転者Dの運転負荷LDの状態を示す画像82に加え、新着メールを受信したことを示す画像83を表示する。
【0104】
その後、運転者DがウィンカーをONにして右折走行をしようとすると、運転負荷LDが高くなり、負荷合計値LTが負荷許容値LMを超える。この状態で、タスク2が新たな処理対象と決定されるため、制御部16は、タスク2の実行を行わない。これにより、タスク2で実行されるサービスSの運転者Dへの提供が制限される。
【0105】
右折走行が終了した位置P6で、運転負荷LDが低くなり、負荷合計値LTが負荷許容値LM以下になる。そこで、制御部16は、タスク2の実行を開始する。タスク2によるサービスSは、例えば、電子メール通知サービスSbであり、制御部16は、例えば、「YYYさんからのメッセージを受信しました。読み上げますか?」といった音声をスピーカ12から出力させる。これにより、タスク2で実行されるサービスSが運転者Dへ提供される。
【0106】
<3.情報処理装置1の処理>
次に、
図8を参照して情報処理装置1の制御部16によって実行される処理について説明する。
図8は、情報処理装置1の制御部16が実行する処理手順を示すフローチャートであり、かかる処理手順は制御部16によって繰り返し実行される。
【0107】
図8に示すように、制御部16は、提供すべきサービスSがあるか否か、すなわち、処理対象のタスクがあるか否かを判定する(ステップS10)。処理対象のタスクが存在すると判定した場合(ステップS10;Yes)、制御部16は、運転者Dの運転負荷LDを判定し(ステップS11)、処理対象のタスクに対応するサービスSによって生じる運転者Dの負荷であるサービス負荷LSを判定する(ステップS12)。
【0108】
次に、制御部16は、運転負荷LDとサービス負荷LSとの合計値である負荷合計値LTを演算し(ステップS13)、さらに、記憶部15から運転者Dの負荷許容値LMを取得する(ステップS14)。そして、制御部16は、負荷合計値LTが負荷許容値LMを超えているか否かを判定する(ステップS15)。
【0109】
負荷合計値LTが負荷許容値LMを超えていると判定した場合(ステップS15;Yes)、制御部16は、タスクの実行を制限することで、処理対象のタスクに対応するサービスSの提供を制限する(ステップS16)。かかる処理において、制御部16は、例えば、タスクの実行を停止、タスクの実行タイミングを変更(例えば、延期)、および、タスクの実行内容を変更(タスクの一部を実行)の少なくとも一つを実行することで、タスクの実行を制限することができる。
【0110】
一方、負荷合計値LTが負荷許容値LMを超えていないと判定した場合(ステップS15;No)、制御部16は、タスクを実行して処理対象のタスクに対応するサービスSを提供する(ステップS17)。
【0111】
ステップS10において、処理対象のタスクが存在しないと判定した場合(ステップS10;No)、ステップS16の処理が終了した場合、または、ステップS17の処理が終了した場合、制御部16は、
図8に示す処理を終了する。
【0112】
<4.変形例>
上述した実施形態では、情報処理装置1の制御部16は、負荷合計値LTが負荷許容値LMを超えないようにサービスSの提供を行ったが、かかる例に限定されない。
【0113】
例えば、制御部16は、サービスSの提供途中で負荷合計値LTが負荷許容値LMを超えた場合であっても、提供するサービスSの残り時間が所定時間以内であれば、そのままサービスSを実行することができる。
【0114】
また、制御部16は、サービスSの提供途中で負荷合計値LTが負荷許容値LMを超えた場合であっても、負荷合計値LTが負荷許容値LMよりも所定以上高い値を超えた場合に、サービスSの提供を停止することもできる。
【0115】
また、制御部16は、提供すべきサービスSが複数同時に発生した場合、複数のサービスSを順次提供するが、提供する順番は、負荷合計値LTに基づいて行うことができる。例えば、提供すべきサービスSが第1サービスS1と第2サービスS2である場合、制御部16は、第1サービスS1のサービス負荷LSと運転負荷LDとの合計値である負荷合計値LTと、第2サービスS2のサービス負荷LSと運転負荷LDとの合計値である負荷合計値LTとをそれぞれ演算する。そして、制御部16は、負荷合計値LTが高い方のサービスSを優先して提供することができる。また、制御部16は、負荷合計値LTが低い方のサービスSを優先して提供することもできる。
【0116】
また、制御部16は、複数のサービスSを連続して提供する場合、サービスSを提供する毎に負荷許容値LMを低減していくことができる。これにより、運転者Dの負荷が高い状態が継続することを抑制することができ、運転者Dの運転操作への影響を抑えつつ、サービスSの提供を行うことができる。
【0117】
また、制御部16は、同一のサービスSを提供する場合であっても、異なるサービス負荷LSを判定することができる。例えば、制御部16は、提供するサービスSを解析し、解析結果に応じてサービス負荷LSを決定することができる。例えば、制御部16は、提供するサービスSが電子メール通知サービスSbである場合、受信した電子メールの本文を形態素解析して特徴語を抽出し、かかる特徴語に基づいて運転者Dの負荷を判定しサービス負荷LSとして決定することができる。これにより、例えば、急ぎの要件を知らせる電子メールなどの場合にサービス負荷LSを高くすることができる。
【0118】
<5.ハードウェア構成>
本実施形態に係る情報処理装置1は、
図9に一例として示す構成のコンピュータ100で実現することができる。
図9は、情報処理装置1の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【0119】
コンピュータ100は、CPU110と、RAM120と、記憶部130と、メディアインターフェイス(I/F)150と、通信インターフェイス(I/F)160と、入出力インターフェイス(I/F)170とを備える。記憶部130は、例えば、コンピュータ100の起動時にCPU110によって実行されるブートプログラム、コンピュータ100のハードウェアに依存するプログラム、および、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。また、記憶部130は、記憶部15(
図2参照)に対応する。
【0120】
メディアI/F150は、記憶媒体180に格納されたプログラムやデータを読み取り、RAM120を介してCPU110に提供する。CPU110は、かかるプログラムを、メディアI/F150を介して記憶媒体180からRAM120上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。あるいは、CPU110は、かかるデータを用いてプログラムを実行する。記憶媒体180は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)などの光磁気記録媒体やSDカード、USBメモリなどである。
【0121】
通信I/F160は、通信部10(
図2参照)に対応し、ネットワーク190を介して他の機器からデータを受信してCPU110に送り、CPU110が生成したデータを、ネットワーク190を介して他の機器へ送信する。CPU110は、入出力I/F170を介して、不図示の撮像部11、スピーカ12、ディスプレイ13および入力部14に接続される。
【0122】
CPU110は、RAM120上にロードされたプログラムを実行することにより、サービス提供部30、運転負荷判定部31、サービス負荷判定部32、提供制御部33の各機能を実現する。CPU110は、例えばこれらのプログラムを記憶媒体180から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワーク190を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0123】
<6.効果等>
以上のように、実施形態に係る情報処理装置1は、サービス提供部30と、運転負荷判定部31と、サービス負荷判定部32と、提供制御部33とを備える。サービス提供部30は、車両C内において1種類以上のサービスSを提供する。運転負荷判定部31は、車両Cを運転している運転者Dの運転負荷LDを判定する。サービス負荷判定部32は、サービス提供部30が提供するサービスSによって運転者Dに生じる負荷であるサービス負荷LSを判定する。提供制御部33は、運転負荷LDとサービス負荷LSとの合計値である負荷合計値LTに基づいて、サービス提供部30が提供するサービスSの提供を制御する。これにより、運転者Dの運転負荷LDに加え、サービスSの提供によって生じる運転者Dの負荷を考慮することができることから、運転者Dの運転操作への影響を抑えつつ、サービスSの提供を行うことができる。そのため、運転者Dへのサービス提供をより適切に行うことができる。すなわち、提供されるサービスの内容によって運転者に与える影響は異なるため、運転者の運転負荷とサービスの内容に基づくサービス負荷との合計値が負荷許容値を超えるか否かを判定することで、特に運転中の運転者に対するサービスの提供に際して運転の安全性を向上できる。
【0124】
また、提供制御部33は、過負荷判定部51と、制御処理部52とを備える。過負荷判定部51は、負荷合計値LTが負荷許容値LMを超えるか否かを判定する。制御処理部52は、過負荷判定部51によって負荷合計値LTが負荷許容値LMを超えると判定された場合に、サービス提供部30が提供するサービスSの提供を規制する。これにより、負荷合計値LTが運転者Dの負荷許容値LMを超えるような状態でのサービスSの提供を抑制することができ、運転者Dの運転操作への影響を抑えつつ、サービスSの提供を行うことができる。
【0125】
また、制御処理部52は、サービス提供部30が提供するサービスSの提供の規制を、サービスSの提供の停止、サービスSの提供タイミングの変更、および、サービスSの提供内容の変更のうち少なくとも一つ実行することによって行う。これにより、運転者Dの運転操作への影響を抑えることができ、運転者Dへのサービス提供をより適切に行うことができる。例えば、サービスSを提供中に負荷合計値LTが負荷許容値LMを超えた場合、サービスSの提供を停止することができ、また、サービス提供前に負荷合計値LTが負荷許容値LMを超えた場合、サービスSの提供タイミングの変更(例えば、延期)することができる。
【0126】
また、情報処理装置1は、利用者U毎の負荷許容値LMを予め記憶する負荷許容値情報記憶部21(閾値記憶部の一例)を備える。過負荷判定部51は、運転者Dに対応する利用者Uの負荷許容値LMを負荷許容値情報記憶部21から取得し、取得した負荷許容値LMを負荷合計値LTが超えるか否かを判定する。これにより、運転者Dに応じた負荷許容値LMを設定することができ、運転者Dが異なる場合であっても、運転者Dの運転操作への影響を適切に抑えつつ、サービスSの提供を行うことができる。
【0127】
また、情報処理装置1は、サービス提供部30が提供するサービスSの情報とサービス負荷LSの情報とを予め関連付けて記憶するサービス負荷情報記憶部22(負荷情報記憶部の一例)を備える。サービス負荷判定部32は、サービス負荷情報記憶部22に記憶された情報に基づいて、運転者Dに生じるサービス負荷LSを判定する。これにより、サービス負荷LSを容易に判定することができ、サービスSの提供を迅速に行うことができる。
【0128】
また、サービス負荷情報記憶部22は、サービス提供部30が提供するサービスSの情報とサービス負荷LSの情報とを利用者U毎に関連付けて記憶している。サービス負荷判定部32は、サービス負荷情報記憶部22に記憶された運転者Dに対応する利用者Uの情報に基づいて、運転者Dに生じるサービス負荷LSを判定する。これにより、運転者Dに応じたサービス負荷LSを適切に判定することができる。
【0129】
また、運転負荷判定部31は、視線検出部41と、判定処理部44とを備える。視線検出部41は、運転者Dの視線の動きを検出する。判定処理部44は、視線検出部41によって検出された運転者Dの視線の動きに基づいて、運転者Dの運転負荷LDを判定する。このように、情報処理装置1は、運転者Dの視線の動きによって運転者Dの運転負荷LDを判定することから、運転者Dの運転負荷LDを容易に判定することができる。
【0130】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。