(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
まず、第1の実施形態の概要を説明する。本実施形態の監視システムは、蓄電システムに不具合が発生した場合、発生した不具合の種類に応じてその後の運転継続可能時間を決定する。このような場合、蓄電システムは、不具合発生後もそのまま運転を継続することができる。そして、運転継続時間が運転継続可能時間を超えた場合、監視システムは、蓄電システムの動作を停止させることができる。
【0015】
なお、発生した不具合が重度の不具合である場合、即座に蓄電システムの動作を停止させることができる。すなわち、軽度の不具合が発生した場合のみ、運転継続可能時間を決定し、そのまま動作させることができる。
【0016】
このように、本実施形態の監視システムによれば、不具合が発生した場合に一律に監視システムの動作を停止するのでなく、不具合の種類に応じて、即座に停止させたり、一定時間(運転継続可能時間)そのまま運転させた後に停止させたりという処理を行うことができる。不具合の種類に応じて運転継続可能時間を適当に定めることで、軽度の不具合が発生した後に重度の二次不具合が発生する前に、蓄電システムの動作を停止させることができる。
【0017】
このように、本実施形態の監視システムによれば、安全性を確保しつつ、蓄電システムの利用効率を高めることができる。
【0018】
なお、「不具合」は「故障」を含む概念であってもよい。すなわち、不具合は、故障及びその他の不具合を含む概念であってもよい。又は、「不具合」は「故障」と同義であってもよい。すなわち、不具合は故障を意味してもよい。
【0019】
次に、本実施形態の監視システムのハードウエア構成の一例について説明する。本実施形態の監視システムが備える各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0020】
図1は、本実施形態の監視システムのハードウエア構成を例示するブロック図である。
図1に示すように、監視システムは、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。なお、監視システムは、周辺回路4Aを有さなくてもよい。
【0021】
なお、監視システムは、1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に互いに分かれた複数の装置により実現されてもよい。後者の場合、複数の装置各々が、
図1に示すようなハードウエア構成を備えてもよい。そして、複数の装置が協働して、監視システムの機能を実現してもよい。
【0022】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPUやGPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置(例:キーボード、マウス、マイク等)、外部装置、外部サーバ、外部センサ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置(例:ディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等)、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0023】
次に、本実施形態の監視システムの機能について詳細に説明する。
図2に、本実施形態の監視システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、監視システム10は、検出部11と、特定部12と、決定部13とを有する。
【0024】
図3に、本実施形態の監視システム10の機能ブロック図の他の一例を示す。図示するように、監視システム10は、検出部11、特定部12及び決定部13に加えて、監視部14を有してもよい。
【0025】
なお、機能ブロック図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。以下、各機能部について詳細に説明する。
【0026】
検出部11は、蓄電システムに関する検出値が条件を満たすことを検出する。検出値は、蓄電システムに発生した不具合を検出するための値である。検出部11は、蓄電システムや、蓄電システムに取り付けられたセンサ等から、検出値を取得することができる。
【0027】
検出値は、例えば、蓄電システム全体の電流値、電圧値、各セルスタックの電流値、電圧値、絶縁抵抗値、各セルの電圧値、各セルのセルバランスの実行時間(セル電圧が目的値になるまで放電する処理の実行時間。以下同様。)、セルバランスと次のセルバランスとの間の時間(インターバル時間)、蓄電システムの温度、所定のガスの濃度、画像、蓄電システムが有する扉の開閉を検知する開閉センサの出力値、蓄電システムに生じた振動を検知する振動センサの出力値、蓄電システムの所定位置に取り付けられた水没センサの出力値、蓄電システムとサーバとの間の通信時における通信リトライ回数等であってもよい。なお、ここでの例示はあくまで一例であり、これらに限定されない。
【0028】
条件は、第1の条件と第2の条件とに分けられる。第1の条件は、軽度の不具合を検出するための条件である。第2の条件は、重度の不具合を検出するための条件である。各条件は、上述のような検出値の中の1つ又は複数を組み合わせて定めることができる。
【0029】
例えば、「所定のガスの濃度が所定値以上であること」を第2の条件としてもよい。このようにすれば、蓄電システムからの所定のガスの漏れを重度の不具合として検出できる。その他、例えば、「蓄電システムの温度が所定値以上であること」を第2の条件としてもよい。このようにすれば、蓄電システムの温度上昇を重度の不具合として検出できる。なお、例示した第2の条件はあくまで一例であり、これらに限定されない。
【0030】
また、例えば、「セルスタックの絶縁抵抗値が所定値以下であること」を第1の条件としてもよい。このようにすれば、セルスタックの絶縁抵抗の異変を軽度の不具合として検出できる。
その他、例えば、「通信リトライ回数が所定時間以内に所定回数以上であること」を第1の条件としてもよい。このようにすれば、蓄電システムの通信障害を軽度の不具合として検出できる。
【0031】
検出部11は、検出値が第1の条件を満たすことを検出した場合、その旨を特定部12に通知する。一方、検出部11は、検出値が第2の条件を満たすことを検出した場合、蓄電システムの動作を停止する停止指令を出力する。蓄電システムは、当該停止指令に応じて、自システムの動作(例:充放電等)を停止する。
【0032】
ここで、
図4のフローチャートを用いて、検出部11の処理の流れの一例を説明する。
【0033】
検出部11は、検出値を取得すると(S10)、予め定められた条件を満たすか判断する。
【0034】
第2の条件を満たす場合(S11のYes)、検出部11は、蓄電システムの動作を停止する停止指令を出力する(S12)。そして、検出部11は処理を終了する。例えば、検出値が蓄電システムからのガス漏れを示す第2の条件を満たす場合、検出部11は、蓄電システムの動作を停止する停止指令を出力する。蓄電システムは、当該停止指令に応じて、自システムの動作(例:充放電等)を停止する。
【0035】
一方、第2の条件を満たさないが(S11のNo)、第1の条件を満たす場合(S13のYes)、検出部11は、その旨を特定部12に通知する(S14)。そして、処理を終了する信号がない場合(S15のNo)、上記処理を繰り返す。例えば、「セルスタックの絶縁抵抗値が所定値以下であること」や「通信リトライ回数が所定時間以内に所定回数以上であること」等の第1の条件を満たす場合、検出部11は、その旨を特定部12に通知する。
【0036】
また、第2の条件を満たさず(S11のNo)、かつ、第1の条件を満たさない場合(S13のNo)、検出部11は、処理を終了する信号がなければ(S15のNo)、上記処理を繰り返す。
【0037】
図2及び
図3に戻り、特定部12は、検出部11による検出に応じて、蓄電システムに生じた不具合の種類を特定する。なお、特定部12は、第1の条件を満たすことの検出に応じて、蓄電システムに生じた不具合の種類を特定する。第2の条件を満たすことが検出された場合、特定部12は、蓄電システムに生じた不具合の種類を特定しなくてもよい。特定部12は、不具合の種類として、例えば、Nか所の地絡(Nは1以上の整数)や通信障害等を特定することができる。
【0038】
なお、特定部12は、検出部11からいずれの第1の条件を満たすことを検出したかを示す情報を取得してもよい。そして、特定部12は、当該情報に基づき、不具合の種類を特定してもよい。例えば、第1の条件「通信リトライ回数が所定時間以内に所定回数以上であること」を満たした場合、検出部11は、当該第1の条件を示す情報を特定部12に通知してもよい。そして、特定部12は、第1の条件を示す情報に基づき、不具合の種類「通信障害」を特定してもよい。
【0039】
その他、特定部12は、検出部11からいずれの第1の条件を満たすことを検出したかを示す情報を取得してもよい。そして、特定部12は、その後、当該第1の条件に関連する検出値を取得し、取得した検出値に基づき不具合の種類を特定してもよい。例えば、第1の条件「セルスタックの絶縁抵抗値が所定値以下であること」を満たした場合、検出部11は、当該第1の条件を示す情報を特定部12に通知してもよい。そして、特定部12は、その後、当該セルスタックが有する複数のセル各々の電圧値、及び、セルバランスの実行時間の少なくとも一方を取得してもよい。そして、特定部12は、少なくとも1つのセルのセル電圧が基準値を下回った場合、又は、少なくとも1つのセルのセルバランスの実行時間が基準値を上回った場合、不具合の種類「地絡」を特定してもよい。また、特定部12は、「セル電圧が基準値を下回ったセルの数」、又は、「セルバランスの実行時間が基準値を上回ったセルの数」を、地絡の発生数として特定してもよい。以下の実施例で当該処理を詳細に説明する。その他、特定部12は、セルバランスと次のセルバランスとの間の時間(インターバル時間)が基準値より短いセルを、地絡が発生しているセルとして特定してもよい。
【0040】
なお、特定部12は、検出部11による検出(第1の条件を満たすことの検出)に応じて、検出値が停止条件を満たすか否かの監視を開始してもよい。そして、特定部12は、検出値が停止条件を満たすと、蓄電システムの動作を停止する停止指令を出力してもよい。蓄電システムは、当該停止指令に応じて、自システムの動作(例:充放電等)を停止する。
【0041】
停止条件は、例えば、第1の条件を満たした後に起こり得る重度の不具合を検出するための条件である。例えば、第1の条件が「セルスタックの絶縁抵抗値が所定値以下であること」である場合、停止条件は「2か所以上の地絡の発生」であってもよい。なお、ここで例示した停止条件はあくまで一例であり、これに限定されない。
【0042】
ここで、
図5のフローチャートを用いて、特定部12による上記監視の処理の流れの一例を説明する。
【0043】
特定部12は、検出値を取得すると(S30)、予め定められた停止条件を満たすか判断する。
【0044】
停止条件を満たす場合(S31のYes)、特定部12は、蓄電システムの動作を停止する停止指令を出力する(S33)。そして、特定部12は当該処理を終了する。蓄電システムは、当該停止指令に応じて、自システムの動作(例:充放電等)を停止する。
【0045】
一方、停止条件を満たさない場合(S31のNo)、検出部11は、処理を終了する信号がなければ(S32のNo)、上記処理を繰り返す。
【0046】
図2及び
図3に戻り、決定部13は、特定部12により特定された不具合の種類に基づき、不具合の種類を特定後の蓄電システムの運転継続可能時間を決定する。上述の通り、特定部12は、第1の条件を満たすことの検出に応じて、不具合の種類を特定する。このため、決定部13は、第1の条件を満たすことが検出された場合に、上記運転継続可能時間を決定することとなる。例えば、決定部13は、「1か所の地絡」や「蓄電システムの通信障害」等の不具合の種類に応じて、運転継続可能時間を決定することができる。なお、第2の条件を満たすことが検出された場合、上述の通り、検出部11が停止指令を出力する。このため、第2の条件を満たすことが検出された場合には、決定部13は上記運転継続可能時間を決定しなくてもよい。
【0047】
例えば、
図6に示すように、予め複数の不具合の種類の各々に対応して、運転継続可能時間が定められていてもよい。そして、決定部13は、特定された不具合の種類に対応する運転継続可能時間を、当該不具合の種類を特定後の蓄電システムの運転継続可能時間として決定してもよい。
【0048】
ここで、
図7のフローチャートを用いて、特定部12と決定部13とによる処理の流れの一例を説明する。
【0049】
特定部12は、第1の条件を満たすことの検出に応じて、不具合の種類を特定する(S20)。そして、決定部13は、不具合の種類の特定に応じて、当該不具合の種類を特定後の蓄電システムの運転継続可能時間を決定する(S21)。
【0050】
図2及び
図3に戻り、監視部14は、不具合の種類を特定後の蓄電システムの運転継続時間が、運転継続可能時間を超えないか監視する。そして、超えた場合、蓄電システムの動作を停止する停止指令を出力する。蓄電システムは、当該停止指令に応じて、自システムの動作(例:充放電等)を停止する。「不具合の種類を特定後の蓄電システムの運転継続時間」の計測開始タイミングは設計的事項である。
【0051】
なお、監視部14は、蓄電システムに対するメンテナンスの実施内容を取得してもよい。メンテナンスの実施内容には、メンテナンスの内容、実施日時等の情報が含まれてもよい。例えば、ユーザ(例:メンテナンスを行う作業員、蓄電システムの利用者等)は、蓄電システム、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の端末装置を介して、メンテナンスの実施内容を入力してもよい。監視部14は、上記端末装置からメンテナンスの実施内容を取得してもよい。その他、監視部14は、蓄電システムからメンテナンスの実施内容を取得してもよい。
【0052】
そして、監視部14は、不具合の種類の特定後にその不具合に対応する所定のメンテナンスが実施された場合、その不具合の種類に対応する運転継続可能時間に基づく監視を停止してもよい。また、特定部12は、不具合の種類の特定後にその不具合に対応する所定のメンテナンスが実施された場合、その不具合の種類に対応する停止条件を満たすか否かの監視を停止してもよい。不具合の種類に対応する所定のメンテナンスは、予め定められ、監視部14に保持されていてもよい。
【0053】
ここで、
図8のフローチャートを用いて、監視部14による処理の流れの一例を説明する。
【0054】
監視部14は、運転継続可能時間の決定に応じて、その後の蓄電システムの運転継続時間と、当該運転継続可能時間との大小比較を開始する。運転継続時間が運転継続可能時間を超えると(S40のYes)、監視部14は、蓄電システムの動作を停止する停止指令を出力する(S42)。蓄電システムは、当該停止指令に応じて、自システムの動作(例:充放電等)を停止する。
【0055】
一方、運転継続時間が運転継続可能時間を上回っておらず(S40のNo)、かつ、所定のメンテナンスの実施が確認されない場合(S41のNo)、監視部14は上記処理を繰り返す。なお、所定のメンテナンスの実施が確認された場合(S41のYes)、監視部14は処理を終了する。
【0056】
ここで、本実施形態の監視システム10の適用例を説明する。監視システム10は、1つの装置で構成されてもよいし、物理的及び/又は論理的に互いに分かれた複数の装置で実現されてもよい。
【0057】
例えば、
図9に示すように、サーバ1と端末装置2とにより、監視システム10が実現されてもよい。サーバ1及び端末装置2は任意の通信手段で互いに通信可能に構成されている。この場合、端末装置2が検出部11を有し、サーバ1が決定部13を有してもよい。そして、サーバ1又は端末装置2が特定部12を有してもよい。また、サーバ1又は端末装置2が監視部14を有してもよい。
【0058】
この場合、端末装置2は、検出部11による検出結果を、サーバ1に送信してもよい。
端末装置2は、第1の条件を満たすことの検出結果、及び、第2の条件を満たすことの検出結果をサーバ1に送信してもよい。サーバ1は、受信した情報を各蓄電システムに対応付けて蓄積することができる。
【0059】
ここで、
図10に、監視システム10の構成例を示す。図示する例の場合、蓄電システム3が端末装置2を兼ねる。蓄電システム3は、監視コンピュータ4と、システムコントローラー5と、PCS(Power Conditioning System)6と、BMS(Battery Management System)7と、バッテリー8とを有する。
【0060】
監視コンピュータ4は、検出部11を有する。端末装置2が特定部12を有する場合、監視コンピュータ4が特定部12を有する。システムコントローラー5は、蓄電システム3の全体を制御する。PCS6は、直流電力/交流電力の変換を行う。バッテリー8は、電力を貯蔵する。バッテリー8は、例えば、エネルギーを貯めるセルスタックや、セル温度及びセル電圧等を監視するバッテリモニタ等を含んで構成される。BMS7は、バッテリー8を制御する。
【0061】
ここで、
図11に、監視システム10の他の構成例を示す。図示する例の場合、蓄電システム3と物理的及び/又は論理的に分かれた端末装置2が設けられている。端末装置2は監視対象の蓄電システム3に対応して設置される。端末装置2が、上記監視コンピュータ4を有する。そして、蓄電システム3が、システムコントローラー5、PCS6、BMS7及びバッテリー8を有する。
【0062】
その他の例として、サーバ1又は端末装置2が、監視システム10であってもよい。すなわち、サーバ1又は端末装置2が、検出部11、特定部12、決定部13及び監視部14のすべてを備えてもよい。
【0063】
次に、実施例を説明する。蓄電システムは、互いに並列に接続された複数のセルスタックを有する。各セルスタックは、互いに直列に接続された複数のセルを有する。
【0064】
検出部11は、複数のセルスタック各々の絶縁抵抗値を第1の時間間隔で定期的に取得する。そして、検出部11は、上記絶縁抵抗値が第1の基準値(設計的事項)を下回ったことを、第1の条件として検出する。なお、検出部11は、第1の条件を検出した後も、絶縁抵抗値と第1の基準値との比較を継続してもよい。この場合、検出部11は、第1の条件を検出した後に絶縁抵抗値を取得する時間間隔を、上記第1の時間間隔よりも短くしてもよい。
【0065】
特定部12は、上記検出に応じて、第1の基準値を下回ったセルスタックが有する複数のセル各々の電圧値を取得する。そして、特定部12は、当該電圧値が第2の基準値(設計的事項)を下回ると地絡が発生していることを特定する。なお、特定部12は、電圧値が第2の基準値を下回るセルの数だけ地絡が発生していることを特定することができる。
第2の基準値は予め定められていてもよいし、複数のセルの電圧値に基づき算出されてもよい。
【0066】
地絡が特定されなかった場合(すべてのセルの電圧値が第2の基準値を下回らない場合)、特定部12は、清掃、点検等のメンテナンスの要求を出力する。埃の存在などに起因して、絶縁抵抗値が下がる場合がある。そこで、セルスタックの絶縁抵抗値が第1の基準値を下回ったが、第1の基準値を下回ったセルスタックが有するすべてのセルの電圧値が第2の基準値を下回らない場合、清掃、点検等のメンテナンスを要求する。
【0067】
2か所以上の地絡が特定された場合(停止条件を満たす場合)、特定部12は、蓄電システムの動作を停止する停止指令を出力する。蓄電システムは、当該停止指令に応じて、自システムの動作(例:充放電等)を停止する。
【0068】
1か所の地絡が特定された場合、決定部13は、その不具合の種類に応じた運転継続可能時間を決定する。そして、監視部14は、不具合の種類を特定後の蓄電システムの運転継続時間が運転継続可能時間を超えないかの監視を開始する。この場合、特定部12は、検出値が停止条件(2か所以上の地絡の発生)を満たすか否かの監視を開始してもよい。
そして、検出値が停止条件を満たすと、蓄電システムの動作を停止する停止指令を出力してもよい。蓄電システムは、当該停止指令に応じて、自システムの動作(例:充放電等)を停止する。なお、特定部12による当該監視のための検出値の取得は、第2の時間間隔で定期的に行うことができる。第2の時間間隔は、上記第1の時間間隔よりも短くてもよい。
【0069】
2か所目の地絡が発生する確率の低い時間を運転継続可能時間として決定することができるが、その間に2か所目の地絡が発生する可能性がある。特定部12による上記監視により、このような不都合が発生した場合であっても、蓄電システムを停止させ、安全を確保できる。
【0070】
当該実施例の変形例として、特定部12は、上記検出に応じて、第1の基準値を下回ったセルスタックが有する複数のセル各々のセルバランスの実行時間を取得してもよい。そして、特定部12は、当該セルバランスの実行時間が第3の基準値(設計的事項)を上回ると地絡が発生していることを特定してもよい。なお、特定部12は、セルバランスの実行時間が第3の基準値を上回るセルの数だけ地絡が発生していることを特定することができる。第3の基準値は予め定められていてもよいし、複数のセルのセルバランスの実行時間に基づき算出されてもよい。
【0071】
以上説明した本実施形態の監視システム10によれば、蓄電システムに軽度の不具合が発生した場合(検出値が第1の条件を満たす場合)、発生した不具合の種類に応じてその後の運転継続可能時間を決定することができる。そして、監視システム10は、その後の蓄電システムの運転継続時間が運転継続可能時間を超えないか監視し、超えた場合、蓄電システムの動作を停止させることができる。
【0072】
このような場合、蓄電システムは、軽度の不具合が発生した後も、運転継続可能時間を上限として、そのまま運転を継続することができる。このため、蓄電システムの利用効率を高めることができる。
【0073】
なお、運転継続可能時間を超えたら蓄電システムの動作を停止させることができる。運転継続可能時間を適切に設定することで、軽度の不具合が発生した後にそれに起因して重度の二次不具合が引き起こされる前に、蓄電システムの動作を停止させることができる。
このため、十分な安全性を確保できる。
【0074】
また、本実施形態の監視システム10は、蓄電システムに重度の不具合が発生した場合(検出値が第2の条件を満たす場合)、直ちに蓄電システムの動作を停止させることができる。このため、十分な安全性を確保できる。
【0075】
また、本実施形態の監視システム10は、軽度の不具合発生後の蓄電システムの動作中も、蓄電システムに関する検出値が停止条件を満たさないかの監視を行うことができる。
そして、停止条件を満たす場合は、運転継続時間が運転継続可能時間を超えない場合であっても、直ちに蓄電システムの動作を停止させることができる。このため、十分な安全性を確保できる。
【0076】
また、本実施形態の監視システム10は、蓄電システムのメンテナンスに関する情報を取得し、メンテナンス状況に応じて、上記監視(運転継続可能時間を超えないか否かの監視、停止条件を満たすか否かの監視)の継続及び停止を決定することができる。このため、メンテナンスを実施したにも関わらず、運転継続時間が運転継続可能時間を超えたことに起因して蓄電システムの動作が停止する不都合を回避できる。また、メンテナンスを実施したにも関わらず上記監視を継続する、という無駄を省くことができる。結果、コンピュータの負担などを軽減できる。
【0077】
また、本実施形態の監視システム10によれば、蓄電システムに1か所の地絡が発生している場合、蓄電システムの動作を継続させ、蓄電システムに2か所以上の地絡が発生しる場合、蓄電システムの動作を停止させることができる。このような場合、安全性を確保しつつ、蓄電システムの利用効率を高めることができる。
【0078】
また、本実施形態の監視システム10によれば、蓄電システムの動作を停止させるための条件(第2の条件、停止条件、運転継続可能時間等)を適切に設定することで、重大な問題が蓄電システムに発生する前に蓄電システムの動作を停止させることができる。このため、重大な問題の発生により蓄電システムの価値が低下する不都合を、軽減できる。
【0079】
<第2の実施形態>
第2の実施形態の概要を説明する。本実施形態の監視システム10は、蓄電システムに不具合が発生した場合、発生した不具合の種類を特定する。そして、監視システム10は、特定した不具合の種類に基づいて、蓄電システムの寿命を算出することができる。
【0080】
このような本実施形態の監視システム10によれば、ユーザは、蓄電池の寿命に基づき、蓄電システムの現在の価値(例:寿命が長いほど価値が高い)を把握することができる。このような場合、ユーザは、把握した価値に基づき適切な対応(例:メンテナンス、部品交換、使用方法の改善等)をとることができる。結果、蓄電システムの価値の低下を抑制することができる。
【0081】
本実施形態の監視システム10のハードウエア構成は、例えば、第1の実施形態の監視システム10のハードウエア構成と同様である。
【0082】
次に、本実施形態の監視システム10の機能について詳細に説明する。
図2に、本実施形態の監視システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、監視システム10は、検出部11と、特定部12と、決定部13とを有する。
【0083】
図3に、本実施形態の監視システム10の機能ブロック図の他の一例を示す。図示するように、監視システム10は、検出部11、特定部12及び決定部13に加えて、監視部14を有してもよい。
【0084】
検出部11は、蓄電システムに関する検出値が条件を満たすことを検出する。当該検出処理は、第1の実施形態の検出部11の検出処理と同様である。
【0085】
検出部11は、検出結果(本実施形態の場合、第1の条件及び第2の条件を満たすことの検出結果)を特定部12に通知する。検出結果には、検出タイミング(例:検出日時)、検出内容(例:満たした条件)、検出値等が含まれてもよい。本実施形態の場合、検出部11は、検出の都度、検出結果を特定部12に通知してもよいし、所定時間毎にその間の検出結果をまとめて特定部12に通知してもよい。
【0086】
なお、検出部11は、第1の実施形態で説明した機能を備えてもよい。
【0087】
特定部12は、上記条件を満たす蓄電システムにおいて生じた不具合の種類を特定する。不具合の種類の特定方法は、第1の実施形態と同様である。なお、本実施形態の特定部12は、第2の条件を満たした場合にも、蓄電システムに生じた不具合の種類を特定する。第2の条件を満たした場合の不具合の種類の特定方法は、第1の条件を満たした場合の不具合の種類の特定方法と同様にして実現できる。
【0088】
なお、特定部12は、第1の実施形態で説明した機能を備えてもよい。
【0089】
決定部13は、特定部12により特定された不具合の種類に基づき、蓄電システムの寿命(残りの寿命)を算出する。決定部13は、各種不具合の継続時間に基づき上記寿命を算出してもよい。「各種不具合の継続時間」は、不具合が継続的に蓄電システムに生じている時間である。例えば、検出部11は、検出値が条件を満たした後も、当該検出値が当該条件を満たすか否かの判断を所定時間毎に継続して行ってもよい。また、特定部12は、不具合の種類を特定した後も、当該不具合の種類を特定する条件が満たされるか否かの判断を、所定時間毎に継続して行ってもよい。この結果に基づき、所定の不具合が継続している時間を特定できる。
【0090】
寿命の算出方法は設計的事項である。例えば、決定部13は、予め、使用年数に応じた標準的な残寿命を示す情報を保持しておいてもよい。また、決定部13は、蓄電システムの使用年数を任意の方法(例:ユーザ入力、予めサービス開始時に使用開始年月の入力を受付け、使用開始タイミングからの経過時間と当該情報を用いて算出等)で把握し、把握した使用年数に応じた残寿命を特定してもよい。そして、決定部13は、特定した標準的な残寿命から、特定部12により特定された不具合の種類や継続時間等に基づき算出した補正値を引くことで、残寿命を算出してもよい。例えば、寿命減少への影響が大きい不具合の種類ほど、大きい補正値が算出されるようにしてもよい。また、各種不具合の継続時間が長いほど、大きい補正値が算出されるようにしてもよい。
【0091】
なお、決定部13は、第1の実施形態で説明した機能を備えてもよい。
【0092】
監視部14の機能は、第1の実施形態と同様である。
【0093】
なお、監視システム10は、他のユーザからの要求に応じて、蓄電システムの残寿命を通知してもよい。また、監視システム10は、算出した残寿命が使用年数時の標準的な残寿命から所定レベル以上乖離している場合、予め定められたユーザにメール等で通知したり、蓄電システムに警告を出力させたりしてもよい。
【0094】
本実施形態の監視システム10の適用例は、
図9乃至
図11を用いて説明した第1の実施形態の適用例と同様である。
【0095】
以上説明した本実施形態の監視システム10によれば、蓄電システムに発生した不具合に基づき、蓄電システムの残寿命を算出することができる。当該残寿命に基づき、その時点の監視システム10の価値を把握することができる。
【0096】
このような場合、ユーザは、把握した価値に基づき適切な対応(例:メンテナンス、部品交換、使用方法の改善等)をとることができる。結果、蓄電システムの価値の低下を抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態の監視システム10は、算出した残寿命が使用年数時の標準的な残寿命から所定レベル以上乖離している場合、予め定められたユーザにメール等で通知したり、蓄電システムに警告を出力させたりできる。
【0098】
このような場合、ユーザは、通知された内容に基づき、蓄電システムの価値が標準よりも低下していることを把握できる。そして、把握した価値に基づき適切な対応(例:メンテナンス、部品交換、使用方法の改善等)を迅速にとることができる。結果、当該状態を維持する場合に比べて、蓄電システムの価値の低下を抑制することができる。
【0099】
<第3の実施形態>
第3の実施形態の概要を説明する。本実施形態の監視システム10は、予め定められた禁止行為を蓄電システムが実施したことを検出した場合、検出した禁止行為の種類を特定する。そして、監視システム10は、特定した禁止行為の種類に基づいて、蓄電システムの寿命を算出することができる。例えば、蓄電システムの寿命の減少を引き起こし得る事項を、禁止行為として予め定めることができる。
【0100】
このような本実施形態の監視システム10によれば、ユーザは、蓄電池の寿命に基づき、蓄電システムの現在の価値(例:寿命が長いほど価値が高い)を把握することができる。このような場合、ユーザは、把握した価値に基づき適切な対応(例:メンテナンス、部品交換、使用方法の改善等)をとることができる。結果、蓄電システムの価値の低下を抑制することができる。
【0101】
本実施形態の監視システム10のハードウエア構成は、例えば、第1及び第2の実施形態の監視システム10のハードウエア構成と同様である。
【0102】
次に、本実施形態の監視システム10の機能について詳細に説明する。
図2に、本実施形態の監視システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、監視システム10は、検出部11と、特定部12と、決定部13とを有する。
【0103】
検出部11は、蓄電システムに関する検出値が条件を満たすことを検出する。検出値は、予め定められた禁止行為を蓄電システムが実施したことを検出するための値である。検出部11は、蓄電システムや、蓄電システムに取り付けられたセンサ等から、検出値を取得することができる。
【0104】
禁止行為は、例えば、蓄電システムの寿命の減少を引き起こし得る行為である。禁止行為の一例として、以下の(1)乃至(11)が例示されるが、これらに限定されない。例えば、検出部11は、以下の(1)乃至(11)の中の少なくとも1つを検出する。
【0105】
(1) 予め定められた目的以外での蓄電システムの使用。
(2) 蓄電システムの不正改造。
(3) 蓄電システムが備える通風口を塞がれること。
(4) 所定期間内の充電電力量の積算値、及び、放電電力量の積算値の少なくとも一方が予め定められた上限値を超えること。
(5) 蓄電システムのSOC(State Of Charge)が予め定められた上限値を超えること。
(6) 蓄電システムのSOCが予め定められた下限値を下回ること。
(7) 蓄電システムの温度又は蓄電システムを設置された部屋の温度が予め定められた上限値を超えること。
(8) 蓄電システムを設置された部屋に設置されたエアコンを停止すること。
(9) 蓄電システムの設置位置を定められた位置から移動させること。
(10)蓄電システムのメンテナンスの不実施。
(11)所定回数以上のリセット操作。
【0106】
以下、(1)乃至(11)の禁止行為の内容及びその実施を検出する処理の一例を説明する。
【0107】
「(1)予め定められた目的以外での蓄電システムの使用」
蓄電システムの管理者は、蓄電システムを様々な目的で使用することで多様な利益を得ることができる。例えば、電気料金が相対的に安い夜間に充電し、電気料金が相対的に高い昼間に放電することで、電力会社に支払う電気料金を抑えることができる(以下、「夜間充電昼間放電」)。以下、夜間充電昼間放電を「第1の目的」という。その他、蓄電システムの管理者は、電力関連の事業者が提供するサービス(例:アンシラリーサービス)に参加し、蓄電システムを利用させることで、インセンティブを受けることができる。当該サービスに参加した場合、電力系統の需給バランス調整のために蓄電システムから充放電させたり、小売電気事業が自システムの調整による30分同時同量の達成が困難な場合に蓄電システムから充放電させたり、自然エネルギー(例:太陽光)を利用した発電装置等を保有する発電事業者からの依頼に基づき蓄電システムに充電させたり(例:送配電事業者から出力抑制を受けた場合等)することとなる。以下、電力関連の事業者が提供するサービスへの参加を「第2の目的」という。その他、蓄電システムの管理者が自然エネルギー(例:太陽光)を利用した発電装置を保持する場合、当該発電装置により昼間に発電された余剰電力(負荷により消費されなかった電力)を、蓄電システムに充電する例が考えられる。以下、発電装置の余剰電力の充電を「第3の目的」という。
【0108】
しかしながら、様々な目的で蓄電システムを使用した場合、短時間で充放電を多数回繰り返す可能性がある。結果、蓄電システムの寿命の低下の速度が促進され得る。このため、蓄電システムを貸し出すリース会社や、蓄電システムを担保にお金を貸し出す金融機関等、蓄電システムの価値の低下を抑えたい利害関係人は、予め定められた目的のみでの使用を望むと考えられる。そして、例えば、予め定められた目的以外での蓄電システムの使用が禁止行為として定められ得る。
【0109】
検出部11は、様々な手法で、目的以外での使用を検出することができる。例えば、検出部11は、所定時間内(例:1日分)における蓄電システムの充放電の時間変化のパターンに基づき、目的以外での蓄電システムの使用を検出してもよい。使用目的ごとに、上記パターンに特徴的な部分が現れると考えられる。例えば、夜間充電昼間放電の場合、蓄電システムは、夜間に充電し、昼間に放電する。このため、昼間に充電は現れず、また、夜間に放電は現れない。検出部11は、蓄電システムの上記パターンの中に、目的以外での使用時に現れる特徴が存在しないか確認することで、目的以外での使用を検出してもよい。
【0110】
例えば、第1の目的での使用と、第2及び第3の目的での使用とは、「昼間充電の有無」に基づき区別できる。第1の目的での使用の場合、昼間に充電しない。一方、第2及び第3の目的での使用の場合、昼間に充電する。第2の目的での使用と第3の目的での使用とは、「充放電の態様」に基づき区別できる。第2の目的での使用の場合、第3の目的での使用に比べて、充放電の繰り返し頻度が多くなったり、その周期が短くなったり、充電側の出力の増減を短周期で繰り返したり、放電側の出力の増減を短周期で繰り返したりする。これらの特徴を利用して、第2の目的での使用と第3の目的での使用とを区別できる。
【0111】
「(2)蓄電システムの不正改造」
蓄電システムを不正に改造すると、安価な部品の使用や下手な処理等に起因して、蓄電システムの寿命の低下の速度が促進され得る。このため、蓄電システムの価値の低下を抑えるため、蓄電システムの不正改造が禁止行為として定められ得る。
【0112】
検出部11は、様々な手法で、不正改造を検出することができる。例えば、検出部11は、蓄電システムの放電電力の積算値の時間変化に基づき、不正改造を検出してもよい。
不正改造により安価な部品への交換や、下手な処理での不具合発生等により、上記積算値の時間変化のトレンドが変化し得る。具体的には、積算値の増加率が低下する。検出部11は、当該トレンド(例:積算値の増加率)の所定レベル以上の変化を検出することで、不正改造を検出してもよい。
【0113】
その他、検出部11は、蓄電システムのSOH(State Of Health)の時間変化に基づき、不正改造を検出してもよい。不正改造により、上記SOHの時間変化のトレンドが変化し得る。具体的には、SOHの減少率が増加する。検出部11は、当該トレンド(例:減少率)の所定レベル以上の変化を検出することで、不正改造を検出してもよい。
【0114】
その他、検出部11は、蓄電システムの温度の時間変化に基づき、不正改造を検出してもよい。不正改造により、蓄電システムの温度が上昇しやすくなる。すなわち、不正改造により、温度の上昇率が大きくなる。検出部11は、当該トレンド(例:温度の上昇率)の所定レベル以上の変化を検出することで、不正改造を検出してもよい。
【0115】
「(3)蓄電システムが備える通風口を塞がれること」
蓄電システムが備える通風口を塞がれると、その内部の温度上昇が引き起こされ、蓄電システムの寿命の低下の速度が促進され得る。このため、蓄電システムの価値の低下を抑えるため、上記通風口を塞がれることが禁止行為として定められ得る。
【0116】
検出部11は、様々な手法で、蓄電システムが備える通風口を塞がれることを検出することができる。例えば、検出部11は、通風口を有する閉ざされた空間内の圧力に基づき、上記通風口を塞がれることを検出してもよい。上記通風口を塞がれると、上記空間内の圧力が上昇すると考えらえる。検出部11は、上記空間内の圧力が基準値を超えたことを検出することで、上記通風口を塞がれたことを検出してもよい。
【0117】
その他、検出部11は、風口を有する閉ざされた空間内の温度に基づき、上記通風口を塞がれることを検出してもよい。上記通風口を塞がれると、上記空間内の温度が上昇すると考えらえる。検出部11は、上記空間内の温度が基準値を超えたことを検出することで、上記通風口を塞がれたことを検出してもよい。
【0118】
「(4)所定期間内の充電電力量の積算値、及び、放電電力量の積算値の少なくとも一方が予め定められた上限値を超えること」
短い時間で充放電を頻繁に繰り返した場合、蓄電システムの寿命の低下の速度が促進され得る。このため、蓄電システムの価値の低下を抑えるため、所定期間内の充電電力量の積算値、及び、放電電力量の積算値の少なくとも一方が予め定められた上限値を超えることが禁止行為として定められ得る。
【0119】
検出部11は、所定期間内(設計的事項)の充電電力量の積算値(実測値)、及び、放電電力量の積算値(実測値)の少なくとも一方と、予め定められた上限値とを比較することで、当該禁止行為を検出することができる。
【0120】
「(5)蓄電システムのSOCが予め定められた上限値を超えること、及び、(6)蓄電システムのSOCが予め定められた下限値を下回ること」
充電し過ぎや放電し過ぎにより、蓄電システムの寿命の低下の速度が促進され得る。このため、蓄電システムの価値の低下を抑えるため、SOCの上限及び下限の少なくとも一方で定められる範囲を逸脱する使用が、禁止行為として定められ得る。
【0121】
検出部11は、SOC(実測値)と上限値及び/又は下限値とを比較することで、当該禁止行為を検出することができる。
【0122】
「(7)蓄電システムの温度又は蓄電システムを設置された部屋の温度が予め定められた上限値を超えること」
高温下で使用等されると、蓄電システムの寿命の低下の速度が促進され得る。また、蓄電システムの温度が予め定められた上限値を超えるような使用をされると、蓄電システムの寿命の低下の速度が促進され得る。このため、蓄電システムの価値の低下を抑えるため、蓄電システムの温度又は蓄電システムを設置された部屋の温度が予め定められた上限値を超えることが、禁止行為として定められ得る。
【0123】
検出部11は、部屋の温度や蓄電システムの温度と、上限値とを比較することで、当該禁止行為を検出することができる。
【0124】
「(8)蓄電システムを設置された部屋に設置されたエアコンを停止すること」
蓄電システムを設置された部屋に設置されたエアコンが停止すると、当該部屋の温度が上昇し得る。このような環境下で使用等されると、蓄電システムの寿命の低下の速度が促進され得る。このため、蓄電システムの価値の低下を抑えるため、上記エアコンの停止が禁止行為として定められ得る。
【0125】
検出部11は、様々な手法で、上記エアコンの停止を検出することができる。例えば、検出部11は、上記エアコンのコントローラから、状態(稼働中、停止中)を示す情報を取得してもよい。そして、検出部11は、当該情報に基づき、上記エアコンの停止を検出してもよい。
【0126】
なお、当該禁止行為(上記エアコンの停止)は、条件付きであってもよい。すなわち、エアコンを停止しても問題ない場合には、当該禁止行為は適用されなくてもよい。例えば、「室外の温度が所定値以上の場合」や、「1年の内の予め定められた期間(気温が高くなる期間)」等の条件を満たす場合のみ、上記禁止行為が適用されてもよい。このような場合、検出部11は、上記条件を満たす場合のみ、当該禁止行為の検出を行う。
【0127】
「(9)蓄電システムの設置位置を定められた位置から移動させること」
蓄電システムを炎天下、高温下等、過酷な環境下に設置して使用することで、蓄電システムの寿命の低下の速度が促進され得る。このため、蓄電システムの価値の低下を抑えるため、蓄電システムの移動が禁止行為として定められ得る。
【0128】
検出部11は、様々な手法で、蓄電システムの移動を検出することができる。例えば、検出部11は、蓄電システムに取り付けられた振動センサの測定値が所定値を超えたことを検出することで、蓄電システムの移動を検出してもよい。その他、蓄電システムはGPS(Global Positioning System)等の位置情報取得手段を備え、定期的に自システムの位置情報を監視システム10に送信してもよい。そして、検出部11は、当該位置情報に基づき、蓄電システムの移動を検出してもよい。その他、蓄電システムの定められた設置位置を撮像するカメラが、撮像データを監視システム10に送信してもよい。そして、検出部11は、当該画像を解析することで、蓄電システムの移動を検出してもよい。
【0129】
「(10)蓄電システムのメンテナンスの不実施」
定期的にメンテナンスを行うことで、蓄電システムの寿命の低下を抑制できる。メンテナンスは、コンピュータが自動的に行うものと、作業員が行うものとが存在する。コンピュータが行うものであっても、例えば蓄電システムの使用を優先し(メンテナンスの間、蓄電システムの動作を停止する必要がある)、蓄電システムの管理者がメンテナンスの実行を延期する操作などを行うことがある。メンテナンスとしては、例えば、フィルター清掃、冷却水補充、リフレッシュ充電、部品交換等が例示されるが、これらに限定されない。このため、蓄電システムの価値の低下を抑えるため、メンテナンスの不実施が禁止行為として定められ得る。
【0130】
検出部11は、様々な手法で、メンテナンスの不実施を検出することができる。例えば、検出部11は、蓄電システムから、メンテナンスの実施内容を示す情報を取得してもよい。蓄電システムは、蓄電システムに取り付けられたセンサが収集した情報に基づきメンテナンスの実施内容を取得してもよい。その他、検出部11は、ユーザ(例:メンテナンスを行う作業員、蓄電システムの利用者等)の端末装置から、ユーザが入力したメンテナンスの実施内容を取得してもよい。そして、検出部11は、当該情報に基づき、予め定められた期限までにメンテナンスが行われていないこと(メンテナンスの不実施)を検出してもよい。
【0131】
「(11)所定回数以上のリセット操作」
当該禁止行為を定められる蓄電システムは、所定イベントに応じて動作を停止するよう構成される。所定イベントは、蓄電システムの寿命の低下の速度が促進され得る任意のイベントである。そして、当該蓄電システムは、上記停止後のリセット操作に応じて当該停止を解除し、再び、動作可能な状態に移行するよう構成される。
【0132】
所定イベントに応じて動作が停止すると、清掃、点検などのメンテナンスの実施が望まれる。しかし、蓄電システムの使用を優先し、メンテナンスを行わずにリセット操作を行い、そのまま蓄電システムを使用する場合がある。このような場合、その後に蓄電システムに重大な問題が引き起こされる可能性がある。結果、蓄電システムの寿命の低下の速度が促進され得る。このため、蓄電システムの価値の低下を抑えるため、所定回数以上のリセット操作が禁止行為として定められ得る。なお、検出されるリセット操作の回数は、蓄電システムの使用開始時点からの積算回数であってもよいし、直近の所定期間内における積算回数であってもよい。
【0133】
検出部11は、蓄電システムからリセット操作に関する情報を取得し、当該情報に基づき、所定回数以上のリセット操作を検出することができる。
【0134】
なお、検出部11は、第1及び第2の実施形態で説明した機能を有してもよい。
【0135】
特定部12は、蓄電システムにおいて実施された禁止行為の種類を特定する。特定部12は、検出部11による検出結果(検出値がいずれの条件を満たすか)に基づき、蓄電システムにおいて実施された禁止行為の種類を特定することができる。なお、特定部12は、第1及び第2の実施形態で説明した機能を有してもよい。
【0136】
決定部13は、特定部12により特定された禁止行為の種類に基づき、蓄電システムの寿命(残りの寿命)を算出する。決定部13は、各種禁止行為の継続時間に基づき上記寿命を算出してもよい。
【0137】
「各種禁止行為の継続時間」は、禁止行為の実施が継続されている時間である。例えば、目的以外で蓄電システムを使用された積算時間、通風口がふさがれた状態が維持された積算時間、SOCが上限値を超えた状態が維持された積算時間、SOCが下限値を下回った状態が維持された積算時間、蓄電システムの温度又は蓄電システムを設置された部屋の温度が予め定められた上限値を超えた状態が維持された積算時間、蓄電システムを設置された部屋に設置されたエアコンを停止した状態が維持された積算時間、蓄電システムを予め定められた位置から移動させた状態が維持された積算時間、蓄電システムのメンテナンスの不実施(予め定められた期限までのメンテナンスが行われていない状態)が維持された積算時間等が例示される。このような継続時間の測定は、任意の手段で実現できる。
【0138】
寿命の算出方法は設計的事項である。例えば、決定部13は、予め、使用年数に応じた標準的な残寿命を示す情報を保持しておいてもよい。また、決定部13は、蓄電システムの使用年数を任意の方法(例:ユーザ入力、予めサービス開始時に使用開始年月の入力を受付け、使用開始タイミングからの経過時間と当該情報を用いて算出等)で把握し、把握した使用年数に応じた残寿命を特定してもよい。そして、決定部13は、特定した標準的な残寿命から、特定部12により特定された禁止行為の種類や継続時間等に基づき算出した補正値を引くことで、残寿命を算出してもよい。例えば、寿命減少への影響が大きい禁止行為の種類ほど、大きい補正値が算出されるようにしてもよい。また、禁止行為の種類の継続時間が長いほど、大きい補正値が算出されるようにしてもよい。
【0139】
なお、決定部13は、第1及び第2の実施形態で説明した機能を備えてもよい。
【0140】
監視システム10は、他のユーザからの要求に応じて、蓄電システムの残寿命を通知してもよい。また、監視システム10は、算出した残寿命が使用年数時の標準的な残寿命から所定レベル以上乖離している場合、予め定められたユーザにメール等で通知したり、蓄電システムに警告を出力させたりしてもよい。
【0141】
本実施形態の監視システム10の適用例は、
図9乃至
図11を用いて説明した第1の実施形態の適用例と同様である。
【0142】
以上説明した本実施形態の監視システム10によれば、蓄電システムにおいて実施された禁止行為に基づき、蓄電システムの残寿命を算出することができる。当該残寿命に基づき、その時点の監視システム10の価値を把握することができる。
【0143】
このような場合、ユーザは、把握した価値に基づき適切な対応(例:メンテナンス、部品交換、使用方法の改善等)をとることができる。結果、蓄電システムの価値の低下を抑制することができる。
【0144】
また、本実施形態の監視システム10は、算出した残寿命が使用年数時の標準的な残寿命から所定レベル以上乖離している場合、予め定められたユーザにメール等で通知したり、蓄電システムに警告を出力させたりできる。
【0145】
このような場合、ユーザは、通知された内容に基づき、蓄電システムの価値が標準よりも低下していることを把握できる。そして、把握した価値に基づき適切な対応(例:メンテナンス、部品交換、使用方法の改善等)を迅速にとることができる。結果、当該状態を維持する場合に比べて、蓄電システムの価値の低下を抑制することができる。
【0146】
<第4の実施形態>
第4の実施形態の概要を説明する。本実施形態の監視システムは、蓄電システムに関連して予め定められた禁止行為が実施されたことを検出した場合、実施された禁止行為の種類に応じてその後の運転継続可能時間を決定する。このような場合、蓄電システムは、その禁止行為を実施された後もそのまま運転を継続することができる。そして、運転継続時間が運転継続可能時間を超えた場合、監視システムは、蓄電システムの動作を停止させることができる。
【0147】
禁止行為の検出に応じていきなり蓄電システムの動作を停止するのは、蓄電システムの利用者の利益を考慮すると好ましくない。しかし、禁止行為を行っているに関わらず放置しておくと、蓄電システムの価値が著しく低下し得る。結果、蓄電システムを貸し出すリース会社や、蓄電システムを担保にお金を貸し出す金融機関等が不利益を被る可能性がある。
【0148】
本実施形態によれば、蓄電システムの利用者と蓄電システムの価値の低下を嫌う利害関係人との間のバランスを考慮し、適切なタイミングで、蓄電システムの動作を停止させることができる。結果、蓄電システムの利用者の利便性を保ちつつ、蓄電システムの価値が低下する不都合を抑制できる。
【0149】
本実施形態の監視システム10のハードウエア構成は、例えば、第1乃至第3の実施形態の監視システム10のハードウエア構成と同様である。
【0150】
次に、本実施形態の監視システム10の機能について詳細に説明する。
図2に、本実施形態の監視システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、監視システム10は、検出部11と、特定部12と、決定部13とを有する。
【0151】
図3に、本実施形態の監視システム10の機能ブロック図の他の一例を示す。図示するように、監視システム10は、検出部11、特定部12及び決定部13に加えて、監視部14を有してもよい。
【0152】
検出部11の機能は、第3の実施形態と同様である。なお、検出部11は、第1及び第2の実施形態の機能を有してもよい。
【0153】
特定部12の機能は、第3の実施形態と同様である。なお、特定部12は、第1及び第2の実施形態の機能を有してもよい。
【0154】
決定部13は、特定部12により特定された禁止行為の種類に基づき、特定後の蓄電システムの運転継続可能時間を決定する。例えば、
図12に示すように、予め複数の禁止行為の種類各々に対応して、運転継続可能時間が定められていてもよい。そして、決定部13は、特定された禁止行為の種類に対応する運転継続可能時間を、当該禁止行為を特定後の蓄電システムの運転継続可能時間として決定してもよい。なお、各種禁止行為の中には、対応する運転継続可能時間が「0」のものが含まれてもよい。運転継続可能時間「0」が決定された場合、監視システム10は、当該決定に応じて、蓄電システムの動作を停止する停止指令を出力する。蓄電システムは、当該停止指令に応じて、自システムの動作(例:充放電等)を停止する。
【0155】
なお、決定部13は、第1乃至第3の実施形態の機能を有してもよい。
【0156】
監視部14は、禁止行為の種類を特定後の蓄電システムの運転継続時間が運転継続可能時間を超えないか監視し、超えた場合に蓄電システムの動作を停止する停止指令を出力する。蓄電システムは、当該停止指令に応じて、自システムの動作(例:充放電等)を停止する。「禁止行為の種類を特定後の蓄電システムの運転継続時間」の計測開始タイミングは設計的事項である。
【0157】
なお、監視部14は、第1及び第2の実施形態の機能を有してもよい。
【0158】
本実施形態の監視システム10の適用例は、
図9乃至
図11を用いて説明した第1の実施形態の適用例と同様である。
【0159】
以上説明した本実施形態の監視システム10によれば、禁止行為の検出に応じていきなり蓄電システムの動作を停止させるのでなく、一定時間(運転継続可能時間)を経過後に停止させることができる。運転継続可能時間を適切に設定することで、蓄電システムの利用者と蓄電システムの価値の低下を嫌う利害関係人との双方の利益をバランスよく保つことができる。
【0160】
また、本実施形態の場合、ある禁止行為の種類に対応する運転継続可能時間を「0」とすることができる。運転継続可能時間「0」を設定することで、検出後直ちに蓄電システムの動作を停止させることができる。蓄電システムの価値を著しく低下させる禁止行為に対しては当該対応をとることで、蓄電システムの価値の低下を嫌う利害関係人の利益を十分に確保することができる。
【0161】
<第5の実施形態>
第5の実施形態の監視システム10は、第1乃至第4の実施形態の機能の中の少なくとも2つを有する。本実施形態の監視システム10によれば、第1乃至第4の実施形態と同様の作用効果を実現できる。
【0162】
以下、参考形態の例を付記する。上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
付記1. 蓄電システムに関する検出値が条件を満たすことを検出する検出手段と、
前記条件を満たす前記蓄電システムにおいて実施された禁止行為の種類を特定する特定手段と、
特定された禁止行為の種類に基づき、前記蓄電システムの寿命の算出、及び、特定後の前記蓄電システムの運転継続可能時間の決定の少なくとも一方を行う決定手段と、
を有する監視システム。
付記2. 付記1に記載の監視システムであって、
前記特定手段は、前記条件を満たす前記蓄電システムに生じた不具合の種類をさらに特定し、
前記決定手段は、特定された各種禁止行為及び各種不具合の少なくとも一方の継続時間に基づき、前記蓄電システムの寿命を算出する監視システム。
付記3. 付記1又は付記2に記載の監視システムであって、
禁止行為の種類を特定後の前記蓄電システムの運転継続時間が前記運転継続可能時間を超えないか監視し、超えた場合に前記蓄電システムの動作を停止する停止指令を出力する監視手段をさらに有する監視システム。
付記4. 付記1から付記3のいずれか一つに記載の監視システムであって、
前記蓄電システムは、所定イベントの検出に応じて停止し、停止後のリセット操作に応じて当該停止を解除し、
前記特定手段は、所定回数以上の前記リセット操作を、禁止行為として特定する監視システム。
付記5. 付記1から付記4のいずれか一つに記載の監視システムであって、
前記特定手段は、禁止行為として、
(1) 予め定められた目的以外での前記蓄電システムの使用、
(2) 前記蓄電システムの不正改造、
(3) 前記蓄電システムが備える通風口を塞がれたこと、
(4) 所定期間内の充電電力量の積算値、及び、放電電力量の積算値の少なくとも一方が予め定められた上限値を超えたこと、
(5) 前記蓄電システムのSOC(State Of Charge)が予め定められた上限値を超えたこと、
(6) 前記蓄電システムのSOCが予め定められた下限値を下回ったこと、
(7) 前記蓄電システムの温度又は前記蓄電システムを設置された部屋の温度が予め定められた上限値を超えたこと、
(8) 前記蓄電システムを設置された部屋に設置されたエアコンを停止したこと、
(9) 前記蓄電システムの設置位置を定められた位置から移動させたこと、及び、
(10)前記蓄電システムのメンテナンスの不実施、
の中の少なくとも1つを特定する監視システム。
付記6. 付記2に記載の監視システムであって、
前記特定手段は、前記蓄電システムに地絡が発生していることを特定する監視システム。
付記7. 付記6に記載の監視システムであって、
前記蓄電システムは、互いに並列に接続された複数のセルスタックを有し、
前記検出手段は、前記複数のセルスタック各々の絶縁抵抗値が第1の基準値を下回ったことを検出し、
前記特定手段は、前記セルスタックの絶縁抵抗値が前記第1の基準値を下回った場合、前記第1の基準値を下回った前記セルスタックが有する複数のセル各々の電圧値を取得し、前記電圧値が第2の基準値を下回ると地絡が発生していることを特定する監視システム。
付記8. 付記7に記載の監視システムであって、
前記特定手段は、前記セルスタックの絶縁抵抗値が前記第1の基準値を下回った場合、前記第1の基準値を下回った前記セルスタックが有する複数のセル各々の電圧値を取得し、前記電圧値が前記第2の基準値を下回る前記セルの数だけ地絡が発生していることを特定する監視システム。
付記9. 付記6に記載の監視システムであって、
前記蓄電システムは、互いに並列に接続された複数のセルスタックを有し、
前記検出手段は、前記複数のセルスタック各々の絶縁抵抗値が第1の基準値を下回ったことを検出し、
前記特定手段は、前記セルスタックの絶縁抵抗値が前記第1の基準値を下回った場合、前記第1の基準値を下回った前記セルスタックが有する複数のセル各々のセルバランスの実行時間を取得し、前記セルバランスの実行時間が第3の基準値を上回ると地絡が発生していることを特定し、
前記セルバランスは、セル電圧が目的値になるまで前記複数のセル各々から放電する処理である監視システム。
付記10. 付記9に記載の監視システムであって、
前記特定手段は、前記セルスタックの絶縁抵抗値が前記第1の基準値を下回った場合、前記第1の基準値を下回った前記セルスタックが有する複数のセル各々の前記セルバランスの実行時間を取得し、前記セルバランスの実行時間が前記第3の基準値を上回る前記セルの数だけ地絡が発生していることを特定する監視システム。
付記11. 付記7から付記10のいずれか一つに記載の監視システムであって、
前記特定手段は、前記セルスタックの絶縁抵抗値が前記第1の基準値を下回ったが、前記第1の基準値を下回った前記セルスタックが有するすべての前記セルの電圧値が前記第2の基準値を下回らない、又は、前記第1の基準値を下回った前記セルスタックが有するすべての前記セルのセルバランスの実行時間が前記第3の基準値を上回らない場合、メンテナンスの要求を出力する監視システム。
付記12. 付記2、又は付記6から付記11のいずれか一つに記載の監視システムであって、
前記特定手段は、通信障害及びガス漏れの少なくとも一方を特定する監視システム。
付記13. 付記2、又は付記6から付記12のいずれか一つに記載の監視システムであって、
前記監視システムは互いに通信可能に構成された複数の装置を含み、
前記特定手段は、前記蓄電システムに通信障害が発生していることを特定する監視システム。
付記14. 付記13に記載の監視システムであって、
前記特定手段は、前記複数の装置間での通信時における通信リトライ回数が第4の基準値を上回った場合、前記蓄電システムに通信障害が発生していることを特定する監視システム。
付記15. 付記13又は付記14に記載の監視システムであって、
前記決定手段は、前記蓄電システムの通信障害を特定されると、当該不具合を特定後の前記蓄電システムの運転継続可能時間を決定する監視システム。
付記16. 付記2、又は付記6から付記15のいずれか一つに記載の監視システムであって、
前記決定手段は、1箇所の地絡を特定されると、当該不具合を特定後の前記蓄電システムの運転継続可能時間を決定する監視システム。
付記17. 付記15又は付記16に記載の監視システムであって、
不具合を特定後の前記蓄電システムの運転継続時間が前記運転継続可能時間を超えないか監視し、超えた場合に前記蓄電システムの動作を停止する停止指令を出力する監視処理を実行する監視手段をさらに有し、
前記監視手段は、前記蓄電システムに対する所定のメンテナンスが実行されると、前記監視処理を終了する監視システム。
付記18. 付記1から付記17のいずれか一つに記載の監視システムであって、
端末装置と、サーバとを有し、
前記端末装置が、前記検出手段を有し、
前記端末装置又は前記サーバが、前記特定手段を有し、
前記サーバが、前記決定手段を有する監視システム。
付記19. 付記18に記載の監視システムであって、
前記端末装置又は前記サーバが、
禁止行為の種類を特定後の前記蓄電システムの運転継続時間が前記運転継続可能時間を超えないか監視し、超えた場合に前記蓄電システムの動作を停止する停止指令を出力する監視手段をさらに有する監視システム。
付記20. 付記18又は付記19に記載の監視システムであって、
前記端末装置は、前記検出手段による検出結果を、前記サーバに送信する監視システム。
付記21. 付記18から付記20のいずれか一つに記載の監視システムが有するサーバ。
付記22. 付記18から付記20のいずれか一つに記載の監視システムが有する端末装置。
付記23. 蓄電システムに関する検出値が条件を満たすことを検出し、
前記条件を満たす前記蓄電システムにおいて実施された禁止行為の種類を特定し、
特定された禁止行為の種類に基づき、前記蓄電システムの寿命の算出、及び、特定後の前記蓄電システムの運転継続可能時間の決定の、少なくとも一方を行う、
監視方法。
付記24. コンピュータを、
蓄電システムに関する検出値が条件を満たすことを検出する検出手段と、
前記条件を満たす前記蓄電システムにおいて実施された禁止行為の種類を特定する特定手段と、
特定された禁止行為の種類に基づき、前記蓄電システムの寿命の算出、及び、特定後の前記蓄電システムの運転継続可能時間の決定の、少なくとも一方を行う決定手段と、
として機能させるプログラム。
【0163】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0164】
この出願は、2016年11月24日に出願された日本出願特願2016−228008を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。