(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872094
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】補助具
(51)【国際特許分類】
A47C 27/00 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
A47C27/00 C
A47C27/00 K
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-182860(P2018-182860)
(22)【出願日】2018年9月8日
(65)【公開番号】特開2020-39840(P2020-39840A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2019年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】518345022
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】片岡 央
【審査官】
野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−117145(JP,U)
【文献】
特開2017−006469(JP,A)
【文献】
実開昭62−102446(JP,U)
【文献】
特開2000−229528(JP,A)
【文献】
実開昭60−114037(JP,U)
【文献】
米国特許第04155588(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C9/00−16/04
A47C17/04−17/37
A47D7/00
B60N2/00−2/90
B60N3/00
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子の座面上に載置される基部と、
閉位置と開位置との間で、前記基部に対してヒンジ回りに揺動可能に連結された可動部と、を備え、
前記基部には第1当接部が設けられ、
前記可動部には、前記可動部が閉位置にあるときに前記第1当接部から離間し、前記可動部が開位置にあるときに前記第1当接部に当接する第2当接部が設けられ、
前記基部は平板状の固定側主板部を有し、
前記第1当接部は前記固定側主板部の端部から上下方向に延び、
前記可動部は平板状の可動側主板部を有し、
前記第2当接部は、前記可動側主板部の端部から上下方向に延び、
前記ヒンジは前記第1当接部と前記第2当接部とを連結している、補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に示されるような、椅子の座面上に載置されて使用される折り畳みクッションが知られている。この折り畳みクッションは、座面部と、座面部に対して折り畳み可能な背面部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−37594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば業務の間の休憩時間などでは、複数個のオフィス用の椅子を並べて配置し、これらの椅子に跨って横たわった姿勢で休息を取る場合がある。ここで、一般的な椅子の座面の大きさは、胴体および両腕を載置するには足りないため、一方の腕が座面からはみ出してしまう場合が多い。このような姿勢では、はみ出した腕の荷重が肩関節にかかったりするため、快適な休息を取ることが難しかった。
また、はみ出した方の腕を支持するように、別の椅子などを配置することも考えられる。しかしながら、オフィスなどの空間上の制約や椅子の個数の制約から、椅子をこのように配置することが難しい場合も多い。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、並べられた椅子に横たわった姿勢で、快適な休息を得ることを可能とする補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る補助具は、椅子の座面上に載置される基部と、閉位置と開位置との間で、前記基部に対してヒンジ回りに揺動可能に連結された可動部と、を備え、前記基部には第1当接部が設けられ、前記可動部には、前記可動部が閉位置にあるときに前記第1当接部から離間し、前記可動部が開位置にあるときに前記第1当接部に当接する第2当接部が設けられている。
【0007】
上記第1態様によれば、可動部を開位置にした状態で、基部を椅子の座面上に載置し、この基部の上に使用者が横たわることで、基部が固定される。このとき、使用者が腕部を可動部上に載せると、腕部の荷重が第2当接部から第1当接部に伝わり、当該荷重を基部で受けることができる。従って、可動部が下方に向けて撓むことが抑えられ、使用者は腕部を可動部上に安定して載せることができる。これにより、使用者は自然体に近い姿勢で椅子の上に横たわることが可能となり、快適な休息を得ることが可能となる。
また、補助具を使用しない場合には、可動部を閉位置とすることで、補助具をコンパクトにすることができる。従って、この補助具をデスク回りなどに収納しやすくなる。
さらに、この補助具は全体としてバインダー状に形成することができるため、特にオフィスなどで用いる場合に、優れた外観とすることができる。
さらに、使用状態と収納状態とを、可動部の開閉操作で切り替えることが可能であり、特段の組立操作が必要なく、操作性に優れた補助具を提供することができる。
【0008】
ここで、前記基部は平板状の固定側主板部を有し、前記第1当接部は前記固定側主板部の端部から上下方向に延び、前記可動部は平板状の可動側主板部を有し、前記第2当接部は、前記可動側主板部の端部から上下方向に延び、前記ヒンジは前記第1当接部と前記第2当接部とを連結していてもよい。
【0009】
この場合、第1当接部および第2当接部の剛性が高まり、第1当接部と第2当接部との、当接の面積を大きくすることができる。また、可動部から基部へと荷重をスムーズに伝えることができる。したがって、補助具全体の強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、並べられた椅子に横たわった姿勢で、快適な休息を得ることを可能とする補助具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る補助具が閉状態にある場合の斜視図である。
【
図2】
図1の補助具が開状態にある場合の斜視図である。
【
図4】
図3の使用状態において、各部に作用する力の関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態の補助具について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、補助具1は、基部10と、ヒンジHによって基部10に連結された可動部20と、を備える。可動部20は、
図1に示す閉状態と、
図2に示す開状態と、の間で、ヒンジH回りに揺動可能となっている。
【0013】
(方向定義)
ここで本実施形態では、XYZ直交座標系を設定して各構成の位置関係を説明する。Z方向は上下方向である。Y方向は、ヒンジHが延びる方向である。X方向は、Z方向およびY方向の双方に直交する方向である。以下、Z方向を上下方向といい、X方向を左右方向といい、Y方向を前後方向という。
【0014】
(基部)
基部10は、基部本体11と、クッション部材12と、を備えている。基部10は、椅子の座面上などに載置される部分である。なお、基部10を椅子以外の物の上に載置して用いてもよい。
図2に示すように、基部本体11は、前後方向および左右方向に延びる平板状の固定側主板部11aと、固定側主板部11aの端部から上下方向に延びる第1当接部11bと、補強リブ11cと、を有している。クッション部材12は、固定側主板部11aに固定されている。なお、クッション部材12は固定側主板部11aに、面ファスナーなどによって着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0015】
(可動部)
可動部20は、可動部本体21と、クッション部材22と、を備えている。
可動部本体21は、前後方向および左右方向に延びる平板状の可動側主板部21aと、可動側主板部21aの端部から上下方向に延びる第2当接部21bと、補強リブ21cと、を有している。クッション部材22は、可動側主板部21aに固定されている。なお、クッション部材22は可動側主板部21aに、面ファスナーなどによって着脱可能に取り付けられていてもよい。第2当接部21bは、第1当接部11bに対して、ヒンジHによって連結されている。
【0016】
基部本体11、可動部本体21、およびヒンジHは、樹脂などにより一体成形されていてもよい。この場合、ヒンジHは、基部本体11および可動部本体21よりも肉厚が薄い薄肉部であってもよい。あるいは、基部本体11および可動部本体21を別個に形成し、これらをヒンジHによって連結してもよい。この場合、ヒンジHとして一般的な蝶番などを用いることができる。
ここで第2当接部21bは、可動部20が閉位置にあるときに第1当接部11bから離間し(
図1参照)、可動部20が開位置にあるときに第1当接部11bに当接する(
図2参照)。
【0017】
次に、以上のように構成された補助具1の作用について説明する。
【0018】
図3に示すように、可動部20を開位置にした状態で、基部10を椅子の座面上に載置し、この基部10の上に使用者が横たわることで、基部10が固定される。このとき、可動部20は、ヒンジHを介して、基部10によって片持ち梁状に支持される。使用者が腕部を可動部20上に載せると、
図4に示すように、腕部による下方に向けた荷重F1が可動部20に作用する。そして、可動部20がヒンジH回りに下方に向けて回動しようとすると、第2当接部21bが第1当接部11bに対して左右方向Xにおいて当接する。ここで、可動部20と基部10とは、ヒンジHによって揺動可能に連結されている。このため、荷重F1はヒンジH回りのモーメントに変換され、このモーメントは、第1当接部11bが第2当接部21bから受ける左右方向の力F2に変換される。換言すると、下方に向けた力F1が、左右方向に向けた力F2に変換される。
【0019】
このように力を受けることで、腕部による下向きの荷重を、横向きの荷重として基部10で受けることができる。基部10は、使用者と椅子との間で挟まれることで比較的強固に固定されるため、左右方向に移動しにくく、横向きの荷重を安定して受けることができる。このような構成により、可動部20が下方に向けて撓むことが抑えられ、使用者は腕部を可動部20上に安定して載せることができる。これにより、使用者は自然体に近い姿勢で椅子の上に横たわることが可能となり、快適な休息を得ることが可能となる。
【0020】
また、補助具1を使用しない場合には、可動部20を閉位置とすることで、補助具1をコンパクトにすることができる。従って、この補助具1をデスク回りなどに収納しやすくなる。
さらに、この補助具1は全体としてバインダー状に形成することができるため、特にオフィスなどで用いる場合に、優れた外観とすることができる。
さらに、使用状態と収納状態とを、可動部20の開閉操作で切り替えることが可能であり、特段の組立操作が必要なく、操作性に優れた補助具1を提供することができる。
【0021】
また、第1当接部11bおよび第2当接部21bは、主板部11a、21aに立設された側壁の端面同士であるため、剛性が高められており、両者が当接する際の面積を大きくすることができる。そして、ヒンジHは第1当接部11bと第2当接部21bとを連結している。このため、可動部20から基部10へと荷重をスムーズに伝えることができる。したがって、補助具1全体の強度を高めることができる。
【0022】
また、基部10および可動部20に補強リブ11c、21cが形成されていることで、基部10および可動部20の剛性がさらに高まり、より一層快適な姿勢で休息を取ることが可能となる。
【符号の説明】
【0023】
1…補助具 10…基部 11…基部本体 11a…固定側主板部 11b…第1当接部 20…可動部 21…可動部本体 21a…可動側主板部 21b…第2当接部 H…ヒンジ