特許第6872166号(P6872166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872166バーナユニットおよびこれを備えたバーナ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872166
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】バーナユニットおよびこれを備えたバーナ装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/08 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   F23D14/08 E
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-56056(P2017-56056)
(22)【出願日】2017年3月22日
(65)【公開番号】特開2018-159491(P2018-159491A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2020年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】唐木 竜也
(72)【発明者】
【氏名】永井 逸夫
(72)【発明者】
【氏名】秋山 隆
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−299986(JP,A)
【文献】 特開2002−310513(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0131398(US,A1)
【文献】 特開2010−276299(JP,A)
【文献】 特開2006−266515(JP,A)
【文献】 実開平4−25924(JP,U)
【文献】 特開2016−125685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバーナ本体を並べて保持するためのバーナ本体用のホルダを備えており、
このホルダは、
前記複数のバーナ本体が載設される底壁部、およびこの底壁部の前部から上向きに起立して前記複数のバーナ本体の前側に位置する前壁部を有するベース部材と、
このベース部材に取付けられ、かつ前記複数のバーナ本体の後側および左右両側を囲む後壁部および左右一対の側壁部を有する枠状部材と、
を備えている、バーナユニットであって、
前記ベース部材への前記枠状部材の取付け手段として
前記枠状部材の少なくとも一部を、前記ベース部材に係合させる少なくとも1つの係合部と、
前記一対の側壁部の前端部に設けられている一対のフランジ部がネジ部材を用いて前記前壁部に締結された左右一対のネジ締結部と、
を備えており、
前記一対のフランジ部は、前記一対の側壁部の前端部が前記一対の側壁部の内側領域とは反対の左右両外側に突出するように屈曲した外向き屈曲片状であり、
前記ネジ部材のネジ頭部は、前記前壁部および前記各フランジ部の後側であって、前記枠状部材の前記後壁部および前記一対の側壁部により囲まれた領域の外部に位置するように設定されていることを特徴とする、バーナユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のバーナユニットであって、
前記係合部として、前記一対の側壁部の下部に下向き突出状に設けられた一対の係合用爪部と、これら一対の係合用爪部が進入するように前記底壁部に設けられた一対の係合用スリットと、が組み合わされた第1の係合部を備えている、バーナユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のバーナユニットであって、
前記一対の係合用爪部のそれぞれの基部には、前部開口状の凹部が形成され、かつこの凹部には、前記底壁部のうち、前記各係合用スリットの前縁部が進入している、バーナユニット。
【請求項4】
請求項2または3に記載のバーナユニットであって、
前記一対の係合用スリットは、前記底壁部の後部寄りに位置して前後方向に延び、かつ後部が開口した形態に設けられていることにより、前記一対の係合用スリットには、その後方側から前記一対の係合用爪部を進入させることが可能とされている、バーナユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のバーナユニットであって、
前記係合部として、前記一対の側壁部の前端部と、前記ベース部材の前記前壁部との両部位のうち、少なくとも一方に係合用凹部が設けられ、かつこの係合用凹部に他方が係入した構成とされた第2の係合部を備えている、バーナユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のバーナユニットであって、
前記係合用凹部として、前記一対の側壁部の前記前端部に設けられ、かつ前部が開口した側面視凹状の第1の係合用凹部と、前記ベース部材の前記前壁部に設けられ、かつ後部が開口した平面視凹状の第2の係合用凹部と、を備えており、
これら第1および第2の係合用凹部の縁部どうしは、互いに係合している、バーナユニット。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のバーナユニットを備えていることを特徴とする、バーナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばガス給湯装置の構成要素として用いるのに好適なバーナユニット、およびこれを備えたバーナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バーナ装置の具体例として、特許文献1,2に記載されたものがある。
これらの文献に記載されたバーナ装置は、バーナケース内に、バーナユニットが収容されている。このバーナユニットは、複数のバーナ本体(燃焼管)を横並び状に配列させてホルダに組み付け保持させたものである。ホルダは、複数のバーナ本体が載設される底壁部の前部に起立状の前壁部が設けられたベース部材と、このベース部材に取付けられた三方枠状の枠状部材とを備えており、この枠状部材とベース部材の前壁部によって複数のバーナ本体の周囲が囲まれて位置決めされている。
このような構成によれば、複数のバーナ本体を一括してバーナケース内に出し入れすることが可能となり、バーナ装置の組み立て作業性をよくすることができる。とくに、バーナ本体のメンテナンスを行なう場合には、バーナユニットを一括してバーナケースの外部に取り出すようなことも可能となり、便利である。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、バーナユニットを構成するホルダは、ベース部材に枠状部材が取付けられた構成であるが、従来においては、その取付け手段として、ビス止め手段が採用されているに過ぎない。したがって、前記両者を確実かつ強固に連結するには、ビス止め箇所を多く設ける必要があるが、このようにするとビス止め作業がかなり煩雑となる。また、前記両者をビス止めする場合、事前にそれらの位置合わせを適切に行なう必要があるが、従来においては、そのような位置合わせも容易ではない。このようなことから、従来においては、バーナユニットを組み立て製造する場合の作業性、生産性が悪くなっており、バーナ装置全体の高コスト化を招く不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平04−25924号公報
【特許文献2】特開2016−125685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、組み立て作業性を良くし、製造コストの低減化などを好適に図ることが可能なバーナユニット、およびこれを備えたバーナ装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面により提供されるバーナユニットは、複数のバーナ本体を並べて保持するためのバーナ本体用のホルダを備えており、このホルダは、前記複数のバーナ本体が載設される底壁部、およびこの底壁部の前部から上向きに起立して前記複数のバーナ本体の前側に位置する前壁部を有するベース部材と、このベース部材に取付けられ、かつ前記複数のバーナ本体の後側および左右両側を囲む後壁部および左右一対の側壁部を有する枠状部材と、を備えている、バーナユニットであって、前記ベース部材への前記枠状部材の取付け手段として前記枠状部材の少なくとも一部を、前記ベース部材に係合させる少なくとも1つの係合部と、前記一対の側壁部の前端部に設けられている一対のフランジ部がネジ部材を用いて前記前壁部に締結された左右一対のネジ締結部と、を備えており、前記一対のフランジ部は、前記一対の側壁部の前端部が前記一対の側壁部の内側領域とは反対の左右両外側に突出するように屈曲した外向き屈曲片状であり、前記ネジ部材のネジ頭部は、前記前壁部および前記各フランジ部の後側であって、前記枠状部材の前記後壁部および前記一対の側壁部により囲まれた領域の外部に位置するように設定されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、ホルダを構成するベース部材と枠状部材とは、少なくとも1つの係合部を介して係合されるため、この係合部が設けられている分だけ、ベース部材と枠状部材とのビス止め箇所を少なくすることができるといった利点が得られる。また、ベース部材と枠状部材とをビス止めすることに先立ち、前記係合部を利用してそれら両者の位置合わせを行なうといったことも可能となる。したがって、従来技術と比較して、バーナユニットの製造作業が容易となり、バーナユニット、ひいてはこれを用いたバーナ装置の製造コストを低減することができる。
また、前記ネジ締結部をさらに備えているため、ベース部材に対する枠状部材の取付け状態を確実かつ強固なものとし、前記した係合部の係合状態が不用意に解除するようなことも適切に防止することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記係合部として、前記一対の側壁部の下部に下向き突出状に設けられた一対の係合用爪部と、これら一対の係合用爪部が進入するように前記底壁部に設けられた一対の係合用スリットと、が組み合わされた第1の係合部を備えている。
【0011】
このような構成によれば、枠状部材の一対の側壁部を、ベース部材の底壁部に対して簡易な構成によって係合させ、たとえば枠状部材がベース部材に相対して水平方向などに変位しないように位置決めすることが可能となる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記一対の係合用爪部のそれぞれの基部には、前部開口状の凹部が形成され、かつこの凹部には、前記底壁部のうち、前記各係合用スリットの前縁部が進入している。
【0013】
このような構成によれば、枠状部材の各係合用爪部が、ベース部材の底壁部に相対して上下高さ方向に変位することを適切に規制し、枠状部材の取付け状態をより安定させることが可能となる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記一対の係合用スリットは、前記底壁部の後部寄りに位置して前後方向に延び、かつ後部が開口した形態に設けられていることにより、前記一対の係合用スリットには、その後方側から前記一対の係合用爪部を進入させることが可能とされている。
【0015】
このような構成によれば、枠状部材の係合用爪部を底壁部に設けられている係合用スリットに進入させる作業が容易となり、バーナユニットの組み立て作業性をより良くすることができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記係合部として、前記一対の側壁部の前端部と、前記ベース部材の前記前壁部との両部位のうち、少なくとも一方に係合用凹部が設けられ、かつこの係合用凹部に他方が係入した構成とされた第2の係合部を備えている。
【0017】
このような構成によれば、枠状部材の各側壁部の前端部をベース部材の前壁部に対して簡易な構成によって係合させることができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、前記係合用凹部として、前記一対の側壁部の前記前端部に設けられ、かつ前部が開口した側面視凹状の第1の係合用凹部と、前記ベース部材の前記前壁部に設けられ、かつ後部が開口した平面視凹状の第2の係合用凹部と、を備えており、これら第1および第2の係合用凹部の縁部どうしは、互いに係合している。
【0019】
このような構成によれば、枠状部材の前端部が、ベース部材の前壁部に相対して上下高さ方向および横幅方向に変位することを適切に規制することができる。
【0022】
本発明の第2の側面により提供されるバーナ装置は、本発明の第1の側面により提供されるバーナユニットを備えていることを特徴としている。
【0023】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供されるバーナユニットについて述べたのと同様な効果が得られる。
【0024】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るバーナ装置の一例を示す斜視図である。
図2図1のII−II断面図である。
図3図1に示すバーナ装置の分解斜視図である。
図4図1に示すバーナ装置で用いられているバーナユニットの要部分解斜視図である。
図5図3に示すバーナユニットを構成するホルダの分解斜視図である。
図6図3に示すホルダの側面断面図である。
図7図6の分解断面図である。
図8】本発明の他の例を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0027】
図1に示すバーナ装置Bは、たとえばガス給湯装置の構成要素として用いられ、このバーナ装置Bの上側には、湯水が流通する熱交換器(不図示)が載設される。バーナ装置Bを駆動燃焼させることにより、前記熱交換器内に送り込まれている湯水を加熱可能である。
このバーナ装置Bは、バーナケース1、このバーナケース1内に収容されたバーナユニットU、およびバーナケース1の前面部に取付けられた補助プレート2を備えている。
【0028】
図2によく表われているように、バーナケース1は、前面開口部10および上面開口部11を有する略直方体状である。補助プレート2は、前面開口部10の上部寄り領域を閉塞するように、複数のビス7を用いてバーナケース1およびバーナユニットUに取付けられている。より具体的には、補助プレート2は、バーナケース1の前面開口部10の上縁部に相当する上側前壁部12、およびバーナユニットUの後述するベース部材4の前壁部41の上部にビス止めされている。補助プレート2には、バーナ装置Bの駆動燃焼用の点火プラグ8aや、炎検出用のフレームロッド8bなどが取付けられている。複数のビス7を用いた補助プレート2のビス止めを実現するための手段として、図3によく表われているように、補助プレート2に設けられた複数のビス挿通孔70、およびバーナケース1の
上側前壁部12に設けられた複数のネジ孔71が具備されている。補助プレート2をバーナケース1やバーナユニットUから取り外した状態においては、バーナユニットUをバーナケース1内にその前方から前面開口部10を介して出し入れ可能である。
【0029】
バーナユニットUは、複数のバーナ本体3(燃焼管)を並べた状態でホルダHに組み付けたものである。各バーナ本体3は、たとえば特開2013−242080号公報などに記載された従来既知のものと同様であり、いわゆる濃淡バーナと称されるタイプのものである。図4によく表われているように、各バーナ本体3は、全体が比較的偏平状であって、一端部(前端部)に燃料ガス導入口30を有し、かつ上面部が炎孔面31とされている。
【0030】
バーナユニットUのホルダHの詳細については後述するが、このバーナユニットUは、バーナケース1内に図2に示すような状態で収容される。同図において、バーナケース1の下部および前部には、ファン50および燃料ガス噴射ヘッド51が取付けられる。ファン50からバーナケース1内に供給された燃焼用空気のうち、いわゆる1次空気は、バーナケース1内の下部の空気流路59を通過して後述する給気口44に到達し、燃焼ガス噴出ヘッド51のノズルから噴射される燃料ガスとともにバーナ本体3の燃料ガス導入口30に導入される。ホルダHの後述する底壁部40は、複数の通気孔40aを有する整流板としての機能を果たし、ファン50からバーナケース1内に供給された燃焼用空気の一部(2次空気)は、各通気孔40aを通過してバーナ本体3の設置領域に供給される。
【0031】
バーナユニットUのホルダHは、図5に示すように、ベース部材4と、枠状部材6とを組み合わせて構成されている。これらベース部材4および枠状部材6は、いずれも金属板にプレス加工を施すなどして構成されている。
ベース部材4は、複数のバーナ本体3が載設される底壁部40、およびこの底壁部40の前部から上向きに起立して複数のバーナ本体3の前側に位置する前壁部41を具備している。底壁部40は、既述したように、複数の通気孔40aを有し、燃焼用空気の整流板としての役割を果たす。前壁部41には、バーナ本体3の燃料ガス導入口30に対向する複数の給気口44が設けられている。また、前壁部41の上端には、後方に向けて屈曲した略水平状の前側屈曲片部41aが連設されており、この前側屈曲片部41aには、バーナ本体3の前端部を嵌入させてその位置決め固定を図るための複数の位置決め用凹部42が形成されている。
【0032】
ホルダHの枠状部材6は、複数のバーナ本体3の後側および左右両側に配置される後壁部60および左右一対の側壁部61が繋がった平面視略コ字状である。後壁部60の基本的な形態は、底壁部40の左右横幅に延びる起立プレート状であるが、この後壁部60の上端および下端には、複数のバーナ本体3の後端部を嵌入させてその位置決め固定を図るための複数の位置決め用凹部62a,62bが設けられている。一対の側壁部61のそれぞれの基本的な形態は、底壁部40の前後方向に延びる起立プレート状である。
【0033】
ベース部材4に枠状部材6を取付けるための手段として、図6に示すように、第1および第2の係合部E1,E2、ならびにネジ締結部Sのそれぞれが一対ずつ設けられている。
【0034】
第1の係合部E1は、側壁部61の後部寄り領域の下部に設けられた係合用爪部63と、底壁部40に設けられた係合用スリット45とが組み合わされた係合部である(図5および図7も参照)。係合用爪部63は、下向き突出状であり、その基部には、前部開口状の凹部63aが形成されている。係合用スリット45は、底壁部40の後部寄りに位置して前後方向に延び、かつ後部が開口した形態である。底壁部40の後端には、下向きに屈曲した屈曲片部40bが連設されているが、この屈曲片部40bにも係合用スリット45
が繋がって設けられていることにより、係合用スリット45の後部が開口している。なお、屈曲片部40bが設けられていない構成とすることも可能である。第1の係合部E1においては、係合用爪部63が、係合用スリット45に進入しているとともに、底壁部40のうち、係合用スリット45の前縁部45aが凹部63aに進入している。
【0035】
第1の係合部E1の前記した構成に基づき、各側壁部61の後部は、ベース部材4に相対して、ベース部材4の左右横幅方向、上下高さ方向、ならびに前方に向けて位置ずれしないように位置決めされる。また、係合用爪部63を係合用スリット45に進入させる作業は、係合用爪部63を係合用スリット45の後部開口部分に対してその後方または斜め上後方から進入させればよいこととなる。
【0036】
第2の係合部E2は、側壁部61の前端部の上部に設けられた第1の係合用凹部65と、ベース部材4の前壁部41の上部(より厳密には、前側屈曲片部41a)に設けられた第2の係合用凹部46とが組み合わされた係合部である。第1の係合用凹部65は、前部が開口した側面視凹状であり、第2の係合用凹部46は、後部が開口した平面視凹状である。これら第1および第2の係合用凹部65,46の縁部どうしは互いに係合している。第2の係合部E2の前記した構成に基づき、側壁部61の前端部は、ベース部材4に相対して、ベース部材4の左右横幅方向、上下高さ方向、ならびに前方に向けて位置ずれしないように位置決めされる。
【0037】
ネジ締結部Sは、側壁部61の前端部に設けられたフランジ部61aが、ベース部材4の前壁部41に当接し、かつこの前壁部41に対してビス7a(本発明でいうネジ部材の一例)を用いて締結された部位である。前壁部41には、ビス7aと螺合するネジ孔79が設けられている。このネジ締結部Sによれば、枠状部材6の全体がベース部材4に対して位置ずれしないように、これら両者の固定を適切に図ることができる。とくに、ビス7aの締結方向は、ベース部材4の前後方向であるため、枠状部材6が後方に位置ずれすることは確実に防止される。第1および第2の係合部E1,E2のそれぞれの係合は、枠状部材6が後退することによって解除されるが、ネジ締結部Sは、そのようなことを適切に防止することとなる。
【0038】
前記したバーナユニットUおよびこれを備えたバーナ装置Bによれば、次のような作用が得られる。
【0039】
すなわち、バーナユニットUのホルダHにおけるベース部材4と枠状部材6とのビス止め箇所(ネジ締結部S)は、2箇所であり、少数とされている。このため、ビス止め作業の煩雑さを抑制し、バーナユニットUの製造コスト、ひいてはバーナ装置Bの製造コストを低減することが可能である。
第1および第2の係合部E1,E2は、既述したように、枠状部材6の後部および前部が、ベース部材4に相対して、ベース部材4の左右横幅方向、上下高さ方向、および前方に位置ずれすることを効果的に規制する。その一方、ネジ締結部Sは、枠状部材6が後方に位置ずれすることをも確実に防止する。このようなことから、ネジ締結部Sが僅か2箇所とされているにも拘わらず、枠状部材6を上下・左右・前後のいずれの方向にもガタツキを生じないように、ベース部材4に対して適切かつ頑強な状態に取付けることが可能である。
【0040】
図8は、本発明の他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0041】
図8においては、ベース部材4の前壁部41には、係合用凹部46が設けられているのに対し、枠状部材6の側壁部61には、前記実施形態の第1の係合用凹部65に相当する
部分は設けられていない。本実施形態における第2の係合部E2は、係合用凹部46に、側壁部61の前端部が嵌入するように構成されている。
前記した構成の第2の係合部E2によれば、側壁部61の前端部が上下高さ方向に変位することを阻止することはできないものの、側壁部61の前端部が左右横幅方向に変位することは適切に阻止することが可能であり、枠状部材6の位置決めに役立つ。なお、本実施形態とは反対に、側壁部61の前端部に係合用凹部を形成し、かつベース部材4の前壁部の一部(係合用凹部ではない部分)を前記係合用凹部に嵌入させた構成とすることも可能である。
【0042】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係るバーナユニット、およびバーナ装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0043】
上述の実施形態においては、ベース部材と枠状部材との係合部として、第1および第2の係合部E1,E2を設けているが、これらのうち、一方のみが設けられた構成とすることも可能である。本発明でいう係合部としては、前記した第1および第2の係合部E1,E2とは異なる構成の係合部を設けた構成とすることもできる。
【0044】
バーナユニットを構成するホルダのベース部材は、底壁部と前壁部とが単一部材を用いて一体的に形成されていなくてもよく、これらを別部材で形成して接合させた構成とすることもできる。枠状部材も同様であり、後壁部および左右一対の側壁部のそれぞれを別部材で形成してから、これらを接合した構成とすることもできる。
【0045】
バーナ本体は、必ずしも濃淡バーナとして構成されたものである必要はなく、これとは異なる種類のバーナ(バーナ本体)を用いることも可能である。
本発明に係るバーナ装置は、給湯装置用に限定されず、たとえば温風装置用、あるいは焼却装置用など、その具体的な用途も問わない。
【符号の説明】
【0046】
B バーナ装置
E1,E2 第1および第2の係合部
H ホルダ
S ネジ締結部
U バーナユニット
1 バーナケース
2 補助プレート
3 バーナ本体
4 ベース部材
40 底壁部
41 前壁部
45 係合用スリット
45a 前縁部(係合用スリットの)
46 第2の係合用凹部(係合用凹部)
6 枠状部材
60 後壁部
61 側壁部
63 係合用爪部
63a 凹部
65 第1の係合用凹部(係合用凹部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8