(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
傘軸と、その傘軸の頂上部から放射形に延びる傘骨部と、傘軸を上下方向にスライドするスライド部と、基端部がスライド部に軸支されるとともに外側端が前記傘骨部に軸支される受骨とを備え、
前記傘骨部は、普通の長さを有する普通尺傘骨部と、普通尺よりも長い長尺傘骨部とを有しており、
前記普通尺傘骨部は、第1親骨、第2親骨、及び第3親骨と、第1親骨と第2親骨とを軸支する第1軸支部と、第2親骨と第3親骨とを軸支する第2軸支部と、スライド部の上下動きによって生じる受骨の角度変化に応じて前記第1親骨、前記第2親骨、及び前記第3親骨を折畳み操作する第1リンク骨と第2リンク骨とを有しており、
前記第1リンク骨は前記第1親骨と並設することによって、前記受骨、前記第1親骨、前記第2親骨、前記第1リンク骨とによって4個の軸支点を有する第1リンク機構を構成し、
前記第2リンク骨は前記第2親骨と並設することによって、前記第1親骨、前記第2親骨、前記第3親骨、前記第2リンク骨とによって4個の軸支点を有する第2リンク機構を構成し、前記第2親骨の中間部には、前記第2リンク骨が第1係止部において前記第2親骨に近係止され、
前記長尺傘骨部は、前記普通尺傘骨部の構成に加えて、第4親骨及び第3リンク骨と、第3親骨と第4親骨とを軸支する第3軸支部とを有しており、
前記第3リンク骨は前記第3親骨と並設することによって、前記第2親骨、前記第3親骨、前記第4親骨、前記第3リンク骨とによって4個の軸支点を有する第3リンク機構を構成し、前記第3親骨の先端側寄りには、前記第3リンク骨が第2係止部において前記第3親骨に近支持され、
折畳み時に前記第3軸支部において、前記第4親骨を前記第3親骨に対して上方側に折畳まれるように構成し、
前記第3親骨と前記第4親骨とを回動自在に支持する支軸を前記第3親骨と前記第4親骨のどちらか一方に設けるとともに、他方に前記支軸に係合し前記親骨の長手方向に延びる長孔を設け、前記第3親骨と前記第4親骨との回動動作時に、前記支軸が前記長孔をスライド動作するように構成したことを特徴とする折畳式異形傘。
前記第4親骨を回動自在に支持する支軸を前記第3親骨に設け、傘使用時の開傘状態において、前記支軸回りに前記第4親骨が必要以上に回動しないように前記第4親骨を受け止める受止部を前記第3親骨の先端部に設けたことを特徴とする請求項1に記載の折畳式異形傘。
少なくとも一つの前記リンク骨の軸支構造を、前記リンク骨の先端部又は基端部にフック部を設けるとともに、前記受骨又は前記親骨に前記フック部を軸支するための軸支用開口を設け、前記軸支用開口に前記フック部を挿入することで構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の折畳式異形傘。
前記長尺傘骨部を複数個設け、それらの複数個の前記長尺傘骨部の少なくとも1本の長さが他の前記長尺傘骨部の長さと異なるように設定したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の折畳式異形傘。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術は以下の課題がある。
把手の上端部と同等又は若干短く形成しても、傘を閉じて携行するときに長尺の傘骨部が邪魔であることに変わりはない。また、通常の傘を見慣れている人にとっては、長尺の傘骨部の存在は携行時に邪魔で異物的な感じがして、常時使用する傘としては違和感が残る。
また、上記従来の異形傘においては、長尺の傘骨があることで風を受ける面積が増えて強度の維持も問題になる。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術が有する課題を解決できる異形傘を提供することにある。
具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。
(a)折畳んで携行するときに長尺の傘骨部が邪魔にならず、見た目も美しい実用的な折畳式異形傘を提供する。
(b)長尺の傘骨部があっても強風にも対処できる折畳式異形傘を提供する。
(c)デザイン性を簡単に高めることができる折畳式異形傘を提供する。
なお、上記に記載した以外の発明の課題、その解決手段及びその効果は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は多面的に表現できるが、例えば、代表的なものを挙げると、次のように構成したものである。
本発明に係る折畳式異形傘は、傘軸と、その傘軸の頂上部から放射形に延びる傘骨部と、傘軸を上下方向にスライドするスライド部と、基端部がスライド部に軸支されるとともに外側端が前記傘骨部に軸支される受骨とを備え、
前記傘骨部は、普通の長さを有する普通尺傘骨部と、普通尺よりも長い長尺傘骨部とを有しており、
前記普通尺傘骨部は、第1親骨、第2親骨、及び第3親骨と、第1親骨と第2親骨とを軸支する第1軸支部と、第2親骨と第3親骨とを軸支する第2軸支部と、スライド部の上下動きによって生じる受骨の角度変化に応じて前記第1親骨、前記第2親骨、及び前記第3親骨を折畳み操作する第1リンク骨と第2リンク骨とを有しており、
前記第1リンク骨は前記第1親骨と並設することによって、前記受骨、前記第1親骨、前記第2親骨、前記第1リンク骨とによって4個の軸支点を有する第1リンク機構を構成し、
前記第2リンク骨は前記第2親骨と並設することによって、前記第1親骨、前記第2親骨、前記第3親骨、前記第2リンク骨とによって4個の軸支点を有する第2リンク機構を構成し、
前記長尺傘骨部は、前記普通尺傘骨部の構成に加えて、第4親骨及び第3リンク骨と、第3親骨と第4親骨とを軸支する第3軸支部とを有しており、
前記第3リンク骨は前記第3親骨と並設することによって、前記第2親骨、前記第3親骨、前記第4親骨、前記第3リンク骨とによって4個の軸支点を有する第3リンク機構を構成し、
折畳み時に前記第3軸支部において、前記第4親骨を前記第3親骨に対して上方側に折畳まれるように構成したことを特徴とする。
【0008】
この構成であれば、折畳み時に第4親骨が第3親骨に対して上方側に折畳まれるので、従来技術のように傘を折畳んで携行するときに長尺の傘骨部が突出して邪魔になることはない。したがって、異形傘であっても従来の折畳式傘と同じように違和感がなく使用できる。
【0009】
一般に、折畳み傘は小さくコンパクトにすることを最大の目的として開発された傘であるから、傘軸は短いものか、又は伸縮自在に構成されることが多い。したがって、折畳み傘を前記した従来技術の方法で異形傘にすると、閉じて携行するときに長尺の傘骨部が邪魔になる不利益が大きくなる。
つまり、従来は、折り畳んだときに長尺の傘骨部が邪魔になり、見栄えの悪くなるという不利益が大きすぎるので、当業者にとって折畳み式の異形傘を考えることは全く想定できなかったのである。
【0010】
本発明に係る他の実施形態は、前記第3親骨と前記第4親骨とを回動自在に支持する支軸を前記第3親骨と前記第4親骨のどちらか一方に設けるとともに、他方に前記支軸に係合する長孔を設け、前記第3親骨と前記第4親骨との回動動作時に、前記支軸が前記長孔をスライド動作するように構成したことを特徴とする。
この構成であれば、第4親骨を第3親骨によって回動自在に支持する場合に、第4親軸と第3親骨はスライド動作できるので、支軸の位置が動けない構成に比べて、折畳み時や伸長時にスムーズな動作を実現できる。
【0011】
本発明に係る他の実施形態は、前記第4親骨を回動自在に支持する支軸を前記第3親骨に設け、傘使用時の開傘状態において、前記支軸回りに前記第4親骨が必要以上に回動しないように前記第4親骨を受け止める受止部を前記第3親骨の先端部に設けたことを特徴とする。
この構成であれば、傘使用時の開傘状態において、受止部の存在によって、その受け止部を超えて第4親骨が必要以上に回動しないように第4親骨を受け止めることができるので、第4親骨の状態を安定させることができる。第4親骨は傘軸から最も外側に離れた位置にあるので強風が吹いたときなどに影響を受けやすいが本構成であれば第4親骨を安定して支持できる。
【0012】
本発明に係る他の実施形態は、少なくとも一つの前記リンク骨の軸支構造を、前記リンク骨の先端部又は基端部にフック部を設けるとともに、前記受骨又は前記親骨に前記フック部を軸支するための軸支用開口を設け、前記軸支用開口に前記フック部を挿入することで構成したことを特徴とする。
この構成であれば、リンク骨を受骨や親骨に軸支する場合に、受骨、第1親骨、第2親骨、第3親骨にフック部を軸支できる軸支開口を形成することで、比較的簡単に前記リンク機構を構成することができる。
【0013】
本発明に係る他の実施形態は、前記長尺傘骨部を複数個設け、それらの複数個の前記長尺傘骨部の長さを同じ長さに設定したことを特徴とする。
この構成であれば、普通尺傘骨部から突出するそれぞれの第4親骨の長さが等しくなるので、異形傘を構成する異形布部の面積を広くすることができ、異形布部があることによる利益を大きくすることができる。また、複数個の長尺傘骨部の長さを同じ長さに設定することで、四角形状の異形布部が少なくとも1つはでき、安定感を与える傘デザインとすることができる。
【0014】
本発明に係る他の実施形態は、前記長尺傘骨部を複数個設け、それらの複数個の前記長尺傘骨部の少なくとも1本の長さが他の前記長尺傘骨部の長さと異なるように設定したことを特徴とする。
なお、この構成は例えば、4本の長尺傘骨部を設ける場合を考えた時に、中央部2本の長尺傘骨部の長さが大きく、両側の長尺傘骨部の長さは中央2本の長尺傘骨部よりは小さい長さに構成するような場合も含まれる。
この構成であれば、普通尺傘骨部から突出する第4親骨が形成する外形の形状を、普通尺傘骨部が構成する傘外形に対してバリエーション豊かに異形にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明であれば、折畳んで携行するときに長尺の傘骨部が邪魔にならず、見た目も美しい実用的な折畳式異形傘を提供できた。長尺の傘骨部があっても強風にも対処できる折畳式異形傘を提供できた。また、デザイン性を簡単に高めることができる折畳式異形傘を提供できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る折畳式異形傘を図面に基づき説明する。
この明細書において、傘軸側を内側又は基端側と称し、傘の外周側を外側と称する。また、傘の半径方向を幅方向と称し、傘軸の延びる方向を上下方向と称する。
【0018】
図1から
図6に示すように、本実施形態に係る折畳式異形傘(1)は、基本的に従来の折畳式傘が備えている構成を有している。
即ち、例えば
図2に示すように、伸縮自在の傘軸(2)と、その傘軸(2)の頂上部(3)から所定角度毎に放射形に延びる傘骨部(4)と、傘軸(2)を上下方向にスライドするスライド部(5)と、基端部がスライド部(5)に軸支されるとともに外側端が傘骨部(4)に軸支される受骨(6)と、傘軸(2)の下端部に設けられた把持部(7)を備えている。ここで、傘軸(2)、頂上部(3)、受骨(6)及び把持部(7)の構成については、従来構成の折畳式傘と同様のものを採用することが可能である。
この折畳式異形傘(1)は、折畳式異形傘用に工夫した普通尺傘骨部(8)を有するとともに、その普通尺傘骨部(8)の他に、少なくとも1個の長尺傘骨部(9)を有している。
【0019】
[普通尺傘骨部(8)]
図1、
図3及び
図5にそれぞれ示すように、普通尺傘骨部(8)は、第1親骨(12)、第2親骨(13)、及び第3親骨(14)と、第1リンク骨(15)及び第2リンク骨(16)を有している。各リンク骨(15,16)は、対応する各親骨(12〜14)とともに、4個の軸支点を有する略四角形を基本とする第1リンク機構(17)、第2リンク機構(18)を構成する。
第1親骨(12)は、その内側端は頂上部(3)に軸支されるとともに、その外側端は、第2親骨(13)の内側端よりも少し外側にずれた位置に設けられた第1軸支部(20)に回動自在に支持される。
【0020】
第2親骨(13)は、その内側端は第1リンク骨(15)の外側端と軸支されるとともに、その外側端は、第3親骨(14)の内側端よりも少し外側にずれた位置に設けられた第2軸支部(21)に回動自在に支持される。
第3親骨(14)は、その内側端は第2リンク骨(16)の外側端と軸支されるとともに、その外側端は、傘の外縁の通常布部(33)(
図9参照)を固定するために使用される。
【0021】
第1リンク骨(15)は略四角形の第1リンク機構(17)を形成するように第1親骨(12)よりも下側に配置される。
第1リンク骨(15)は、その内側端は受骨(6)の所定内側位置において軸支されるとともに、その外側端は、第2親骨(13)の外側端に軸支される。
第2リンク骨(16)は、その内側端は第1親骨(12)の外端部よりも所定内側位置において軸支されるとともに、その外側端は第3親骨(14)の外側端に軸支される。
【0022】
第2リンク骨(16)は前記略四角形の第2リンク機構(18)を形成するために設けられる。第2リンク骨(16)は第1親骨(12)よりも上側に配置される。第2親骨(13)の中間部には第2リンク骨(16)を第2親骨(13)に近づけるように係止する第1係止部(28)が設けてある。第2リンク骨(16)は第2親骨(13)よりも上方にあるので、第1係止部(28)を設けることで第2リンク骨(16)を第2親骨(13)に近接させ、傘布を第2親骨(13)から大きく離れないようにすることができる。また、第1係止部(28)があることで、傘を折畳むときに幅方向の大きさをコンパクトにできる。
【0023】
[長尺傘骨部(9)]
図2、
図4及び
図6にそれぞれ示すように、長尺傘骨部(9)は、大略的には、前記普通尺傘骨部(8)に第3軸支部(25)、第3リンク骨(24)、第4親骨(23)、第3リンク機構(26)を付け加えた構成としてある。
具体的に説明すると、第3親骨(14)に下側に第3リンク骨(24)を設けてある。 第3リンク骨(24)の内側端は、第2親骨(13)の第2軸支部(21)よりも内側位置に軸支され、第3リンク骨(24)の外側端は、第4親骨(23)の内側端に軸支されている。
【0024】
第4親骨(23)は、第3軸支部(25)位置において、第3親骨(14)から見て上方に折畳まれるように回動自在に軸支される。
第3リンク骨(24)は四角形の第3リンク機構(26)を形成するように第3親骨(14)に比べて下側に配置される。第3親骨(14)の先端側寄りには第3リンク骨(24)を第3親骨(14)に近づける方向に支持する第2係止部(29)が設けてある。
【0025】
第3リンク骨(24)は普通尺傘骨部(8)から見れば、傘の外周側位置近くにあるので、第2係止部(29)を設けることで、傘骨の先端側寄り位置において第3リンク骨(24)が下側に突出することを抑制することができる。
また、第4親骨(23)の長さは、第3親骨(14)の長さと略同じか又は小さく形成することが好ましい。
第1リンク骨(15),第2リンク骨(16)及び第3リンク骨(24)はそれぞれ弾性変形できる金属部材や樹脂材料等で構成されることが多い。
【0026】
[第3親骨(14)と第4親骨(23)の回動部構成]
図7及び
図8はそれぞれ、第3親骨(14)と第4親骨(23)の回動部である第3軸支部(25)付近の拡大図である。
図7(a)に主に示すように、第3親骨(14)の先端部は、一対の保持片(30・30)を備えており、全体形状が略U字形に形成してある。その保持片(30・30)に架け渡すように支軸(31)が設けてある。保持片(30・30)の下側面には長手方向に延びる開口部(47)が形成してある。
【0027】
一方、第4親骨(23)の内側端部には、第3リンク骨(24)を回動自在に支持する軸支部(48)が設けられ、その軸支部(48)の少し外側寄り位置には長孔(32)が長手方向に延びるように設けられている。その長孔(32)には、前記支軸(31)が挿通され、第3親骨(14)と第4親骨(23)とが回動自在に支持されることによって前記した第3軸支部(25)が構成される。
【0028】
第4親骨(23)は長孔(32)を有していることで、第3親骨(14)に設けられた支軸(31)に対して長手方向に相互に微妙に動くことができ、傘を広げるときに、
図2に示すような第4親骨(23)が第3親骨(14)に対して上方に折れた状態から、
図4に示すような第3親骨(14)と第4親骨(23)とがほぼ真っすぐに延びる状態への移行をスムーズに行うことができる。また、その逆の動作においても、スムーズに行うことができる。
【0029】
[第3親骨(14)の受止部(38)による第4親骨(23)の受止め構成]
図8に示すように、第3親骨(14)と第4親骨(23)とを回動自在に支持する支軸(31)を第3親骨(14)に設け、傘使用時に傘の開いた状態を固定する回動角度位置において、それ以上、第4親骨(23)が支軸(31)回りに回動しないように第4親骨(23)を受け止める受止部(38)を第3親骨(14)の先端部の下側位置に設けている。
具体的には、
図7に示すように、第3親骨(14)において、開口部(47)よりも先端側の下側位置に受止部(38)を設けてある。受止部(38)は
図8に示すように、第3親骨(14)と第4親骨(23)とが略直線に延びた状態の時に第4親骨(23)の下面を受け止めることによって支持するように構成してある。
【0030】
この構成であれば、雨が降ったときに傘を開いてスライド部(5)を固定する状態において、受止部(38)の存在によって、その固定位置を超えて第4親骨(23)が支軸(31)回りに回動しないように第4親骨(23)を受け止めることができるので、異形布部(10)を支持する第4親骨(23)の状態を安定させることができる。
一般に、折畳み傘の強度は折畳まない傘に比べて強度が低下する。
また、第4親骨(23)は傘軸(2)から最も外側に離れた位置にあるので、風を受けたときの力のモーメントによる影響は大きくなるので、第4親骨(23)の状態を安定して支持できる実用上の効果は大きい。
【0031】
[異形布部(10)]
図9(a)(b)に一例として示すように、本折畳式異形傘(1)は普通尺傘骨部(8)で構成される通常布部(33)と、異形布部(10)を備えている。
前記した第4親骨(23)と第3リンク骨(24)を備えた長尺傘骨部(9)を少なくとも一つ有する構成のうち、
図9(a)(b)に示す実施形態では、2本の長尺傘骨部(9)を設けた構成を示している。
【0032】
通常布部(33)は、
図9(a)に示す略正七角形、
図9(b)に示す略正八角形を覆う布部で構成してある。異形布部(10)は、前記略正七角形、略正八角形から突出する2本の長尺傘骨部(9)を覆う布部であり、2本の長尺傘骨部(9)間を結ぶ1個の長尺縁(34)と、その長尺縁(34)の両側に設けられ、長尺傘骨部(9)の先端部と普通尺傘骨部(8)の先端部を結ぶ2個の傾斜縁(35)とを有している。
【0033】
図9(a)(b)に示す構成では、異形布部(10)は長尺傘骨部(9・9)の間に挟まれた略四角形状布(42)と、長尺傘骨部(9)と普通尺傘骨部(8)の間に挟まれた両側の略三角形布(43)を有したものが例示されている。
なお、他のパターンとして、図示はしないが、長尺傘骨部(9)を3本にすることも可能である。その場合は、中央に存在する異形布部(10)に係る第4親骨(23)の長さを脇の他の異形布部(10)に係る第4親骨(23)の長さよりも大きく設定することでできる。
このような異形布部(10)を有していることで、例えば後方の長尺骨により広がった面で、背面に背負う鞄(バックパック)を守ることができる。
【0034】
[リンク骨の軸支構造]
図10に示す構成では、第1親骨(12)の一対の側壁面に挿通するような軸支用開口(40)を設けている。また、第2リンク骨(16)の内側端部は鉤状に曲がったフック部(39)に形成してある。そして、軸支用開口(40)にフック部(39)を通して、軸支用開口(40)回りに第2リンク骨(16)が回動できるように支持してある。
このような構成であれば、針金のような第2リンク骨(16)を比較的簡単に回動自在に支持することができる。
【0035】
[作用]
上記構成の折畳式異形傘(1)の作用について簡単に説明する。
作用の説明は、主に長尺傘骨部(9)に基づいて行う。
折畳式異形傘(1)を完全に折畳んだ状態(図示せず)から、
図6から
図2へ、
図2から
図4に至るように示すように、傘を広げていくことを考える。
そのために、スライド部(5)を上方向に移動させると、傘軸(2)と受骨(6)との為す角度(θ)は、次第に大きくなり、第1親骨(12)は上方に開くように持ち上げられる。
すると、第1親骨(12)、第2親骨(13)、第3親骨(14)、第4親骨(23)は、第1リンク機構(17)、第2リンク機構(18)、第3リンク機構(26)の働きによって折畳まれた状態から伸長した状態に変化する。
図2に示すように、第1リンク骨(15)は角度(θ)が大きくなるにしたがって、第2親骨(13)の内端を、第1軸支部(20)を中心として時計回りに回動させる(矢印44で示す)ことによって第2親骨(13)を伸長させる。
【0036】
同様に、第2リンク骨(16)は角度(θ)が大きくなるにしたがって、第3親骨(14)の内端を、第2軸支部(21)を中心として反時計回りに回動させる(矢印45で示す)ことによって第3親骨(14)を伸長させる。
同様に、第3リンク骨(24)は角度(θ)が大きくなるにしたがって、第4親骨(23)の内端を、第3軸支部(25)を中心として時計回りに回動させる(矢印46で示す)ことによって第4親骨(23)を伸長させる。
このようにしてスライド部(5)が上部所定位置でロックされた状態では、
図4に示すように長尺傘骨部(9)を第1親骨(12)から第4親骨(23)までを延びた状態にできる。
閉じる場合は、逆の動きをさせる。このような構成であれば、第4親骨(23)を第3親骨(14)の長さ範囲内に収まるように上下方向の長さをコンパクトに維持したままで、異形部分を折り畳むことができる。
【0037】
本発明は上記実施形態以外にも本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形を行うことが可能である。
(A)通常布部(33)と異形布部(10)との材質、透明度、色を変えることも可能である。通常布部(33)と異形布部(10)の布地の色を変えれば、傘のデザインを変化させることができる。特に、異形傘の異形布部(10)の色を変えることで、通常の傘とは違う印象を与えることができる。また、異形布部(10)を透明にすれば、横殴りの雨が降っている時でも、異形布部(10)で雨を避けつつ、前方を透明な異形布部(10)で見ながら、前進することも可能になる。
【0038】
(B)本実施形態において、長尺傘骨部(9)を複数個設け、それらの複数個の第4親骨(23)の長さを異なるように設定する形態は、前記した従来技術の「激しい雨の時や相傘をしたときなどに雨に濡れないように」という概念を超えて、新しい形態の折畳式傘を提供できる可能性がある。例えば、傘の外形を星形、楕円形、菱形などの各種の形状に設定することができ、デザイン的に注目を浴びる異形折畳式傘にすることも可能になる。
【0039】
(C)前記実施形態ではリンク骨を弾力性のある針金等の部材で構成し、前記針金等の部材の先端部又は基端部を折り曲げてフック部(39)を構成することを例示したが、この構成は必要に応じて採用されるものであって、他の軸支構造を採用することも可能である。
(D)本発明の構成においては、一般的には傘軸(2)は伸縮自在のものが採用されるが、長さ固定の傘軸(2)を採用することを除外するものではない。また、例えば、
図9(b)の構成では45°の同じ角度間隔で各親骨が頂上部(3)から放射形に延びる構成が示してあるが、異なる角度間隔で各親骨が延びる異形傘においても同様に採用できる。