(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
本発明に係る昇降棚装置は、
図1乃至
図5に示すように、収納物を載置するための棚部材1と、棚部材1を収容するための棚収容室60内を有する前方開口状の筺体6と、棚部材1の側壁部11に先端部が枢着されると共に基端部が所定固定部61に枢着されたリンク機構2と、を備え、棚部材1が、所定収納位置(棚収容室60内)に配設された上方の棚収納状態X(
図1参照)と、所定収納位置から前方下方の所定降下完了位置に引き出された棚降下完了状態Z(
図5参照)と、に昇降自在に構成している。
【0011】
棚部材1は、左右一対の側壁部11,11と、食器や食材収容瓶等の収納物が載置される載置部と、を有している。
筺体6は、図示省略の流し台や調理台の上方位置の壁面や柱等の固設部に固着されている。なお、筺体6は前方開口部を塞ぐ扉が付設されるのが望ましい。筺体6は、箱形状に限らず枠形状であっても良い。
【0012】
所定固定部61は、図示の実施形態においては、筐体6の側壁部に固着したベース部材である。なお、ベース部材は、棚収納状態Xの棚部材1の左右外面に対面状に配設されていれば良く、例えば、ベース部材を筺体6の天井壁部から垂設する、又は、筺体6を枠体として前枠部と後枠部にベース部材を橋架状に設ける等自由である。
【0013】
また、所定固定部61は、筺体6に設けたベース部材に限らず、棚収納状態Xで、棚部材1の左右外面に対面状に配設される固定部位であれば良い。例えば、所定固定部61は、図示省略の流し台や調理台の上方位置の壁面や柱等の固設部に固着したベース部材、筺体6の側壁部そのもの、上記壁面や柱等の固設部そのもの、或いは、それらの組み合わせであっても良い。
【0014】
リンク機構2は、第1リンク部材21と第2リンク部材22から成る。第1リンク部材21の先端部21a及び第2リンク部材22の先端部22aは、棚部材1の側壁部11の外面の上部に(取付金具23を介して)夫々左右水平状枢着軸心をもって枢着している。第1リンク部材21の基端部21bと第2リンク部材22の基端部22bとは所定固定部61に夫々左右水平状枢着軸心をもって枢着している。
【0015】
側面視で、第1リンク部材21と棚部材1の枢着点(第1の先端枢着点)P1と、第1リンク部材21と所定固定部61の枢着点(第1の基端枢着点)P2と、第2リンク部材22と棚部材1の枢着点(第2の先端枢着点)P3と、第2リンク部材22と所定固定部61の枢着点(第2の基端枢着点)P4は、側面視で平行四辺形の頂点位置に配設されている。つまり、リンク機構2は、平行リンク機構である。
また、棚収納状態X(
図1参照)において、第1の先端枢着点P1と第1の基端枢着点P2を結ぶ一点鎖線で示すリンク要素直線Jを後方上傾状としている。
【0016】
そして、
図1乃至
図6に示すように、リンク機構2の所定部位21cと、所定固定部61と、の間に、ダンパー8を介設している。
ダンパー(緩衝器)8は、伸長作動において減速作用を発揮せず、かつ、短縮作動において減速作用を発揮するものである。ダンパー8は、例えば、
図10に示すように、作動油が流れる絞り部(オリフィス部)88と逆止弁部(チェック弁部)89とを内部に並列回路状に有する油圧式である。なお、ダンパー8は、図示省略するが、空圧式やバネやゴム等の弾性部材式等自由である。
【0017】
図6に於て、リンク機構2の所定部位21cは、第1リンク部材21において基端枢着点P2を超えて延設された延伸部21cである。
そして、第1リンク部材21の延伸部21cとダンパー8とを連結リンク部材7を介して連動・連結している。連結リンク部材7は、一端部7aが左右水平状軸心をもって延伸部21cに枢結されている。ダンパー8は、固定端側8aが所定固定部61に固定(固着)され、伸縮自由端側8bが連結リンク部材7の他端部7bに左右水平状軸心をもって枢結されている。
【0018】
さらに、ダンパー8の伸縮自由端側8bには、リニアガイド手段(直線往復移動手段)80が連結されている。リニアガイド手段80は、伸縮自由端側8bに固着されたスライダ部材81と、所定固定部61に設けられスライダ部材81を案内する直線ガイド部(ガイド凹溝)82と、から成る。リニアガイド手段80により、ダンパー8が連結リンク部材7から伸縮作動力を受けた際に(ダンパー軸心に直交するような力を受けず)ダンパー8がこじれることなくスムーズに伸縮する。言い換えると、リンク機構2の昇降揺動力から、連結リンク部材7とリニアガイド手段80と、で直線往復運動力を抽出して、ダンパー8に伸縮作動力を付与しているとも言える。
【0019】
次に、本発明の昇降棚装置の構成を、使用方法(作用)と合わせて説明する。
図1と
図6に示すように、棚収納状態Xにおいて、棚部材1は、棚収容室60内の所定収納位置に配設されている。また、所定収納位置を越えるような棚部材1(リンク機構2)の後方揺動は、第1リンク部材21の後縁部に当接するストッパ部66(
図6参照)で阻止している。
【0020】
棚収納状態Xから、使用者が棚部材1を前方へ引っ張る操作力を付与すると、
図2に示すように、棚部材1が前方へ揺動する。そして、
図3に示すように、棚部材1(リンク要素直線J)が棚収納状態Xから第1揺動角度θ1だけ前方へ揺動した所定の揺動途中状態Yとなり、さらに降下揺動して、
図4の状態(下方位置での揺動途中状態)を介して、
図5に示すように、棚部材1が所定の降下完了位置で停止した降下完了状態となる。
【0021】
そして、
図5の棚降下完了状態から、使用者が棚部材1を押し上げる操作力を付与すると、
図4に示すように、棚部材1が上方へ揺動する。そして、
図3に示すように、棚部材1(リンク要素直線J)が棚降下完了状態Zから第2揺動角度θ2だけ上方へ揺動した所定の揺動途中状態Yとなり、さらに、上昇揺動して、
図2の状態(上方位置での揺動途中状態)から、
図1の棚収納状態Xとなる。
【0022】
つまり、
図7に示すように、第1リンク部材21は、矢印A、矢印B、矢印C、矢印D順で、棚収納状態Xから所定の揺動途中状態Yを通過して棚降下完了状態Zとなり、棚降下完了状態Zから所定の揺動途中状態Yを通過して棚収納状態Xとなる。
【0023】
そこで、第1リンク部材21が昇降揺動する際(矢印A、矢印B、矢印C、矢印Dのように揺動する際)に、
図8に示すように、第1枢結点Pa(延伸部21c及び連結リンク部材7の一端部7a)は、矢印A´、矢印B´、矢印C´、矢印D´の順で移動するように構成している。つまり、第1枢結点Paが下方凸状の円弧状軌跡を描いて往復移動するように構成している。
【0024】
さらに、第1枢結点Paが、第1の基端枢着点P2と第2枢結点Pbを結ぶ仮想直線上のデッドポイントPd(言い換えると、第1の基端枢着点P2と第1枢結点Paを結ぶ一点鎖線で示す第1連結要素直線S1と、第1枢結点Paと第2枢結点Pbを結ぶ一点鎖線で示す第2連結要素直線S2とが一直線を成す状態)を通過するように構成している。
しかも、上記所定の揺動途中状態Yで、第1枢結点PaがデッドポイントPdと一致するように構成している。
【0025】
図8に於て、棚収納状態Xで第1連結要素直線S1と第2連結要素直線S2とで、前方へ折れ曲った「くの字」状の要素線を形成している。連結リンク部材7の他端部7bが第1上位置(第1上死点)に配設されている。
そして、所定の揺動途中状態Yでは、第1枢着点PaはデッドポイントPd上に配設され、第1連結要素直線S1と第2連結要素直線S2とで一直線状の要素線を形成する。連結リンク部材7の他端部7bが最下位置(下死点)となる。
さらに、棚降下完了状態Zでは、第1枢着点Paは後方側に配設され、第1連結要素直線S1と第2連結要素直線S2とで後方方へ折れ曲った、「逆くの字」状の要素線を形成している。連結リンク部材7の他端部7bが第2上位置(第2上死点)となる。
【0026】
図8と
図9に於て、棚収納状態Xでは、ダンパー8は、第1の短縮状態(第1長さ寸法Lx)となる。所定の揺動途中状態Yでは、ダンパー8は、(連結リンク部材7との連結状態での)最伸長状態となる。棚降下完了状態Zでは、ダンパー8は、第2の短縮状態(第2長さ寸法Lz)となる。
【0027】
したがって、棚部材1(第1リンク部材21)が、棚収納状態Xから所定の揺動途中状態Yまで揺動すると、延伸部21cが後方へ揺動して連結リンク部材7を押し下げ、ダンパー8を伸長作動させる(
図8と
図9の矢印A´参照)。つまり、第1枢結点PaがデッドポイントPdに近づくように移動し、ダンパー8は、伸長作動して、第1の短縮状態から上記最伸長状態となる。即ち、棚収納状態Xから所定の揺動途中状態Yまでの範囲(降下揺動前半範囲)は、ダンパー8が伸長作動して、減速作用を発揮せず(フリー状態であり)、所望の揺動速度をもって棚部材1を引き出せる。
【0028】
そして、棚部材1を、所定の揺動途中状態Yから棚降下完了状態Zまで揺動させると、延伸部21cが後上方へ揺動して連結リンク部材7を引き上げ、ダンパー8を短縮作動させる(
図8と
図9の矢印B´参照)。つまり、デッドポイントPdでダンパー8の伸縮作動が切り換わって(デッドポイントPdを境に伸長作動から短縮作動へ切り換わって)、第1枢結点PaがデッドポイントPdから遠ざかって、ダンパー8は短縮作動し、上記最伸長状態から第2の短縮状態となる。従って、所定の揺動途中状態Yから棚降下完了状態Zまでの範囲(降下揺動後半範囲)で、ダンパー8が短縮作動して、減速作用を発揮し、棚部材1の揺動速度が減速され、ゆっくりと所定の棚完了位置まで降下する。
【0029】
さらに、棚降下完了状態Zから所定の揺動途中状態Yまで揺動させると、延伸部21cが前下方へ揺動して連結リンク部材7を押し下げ、ダンパー8を伸長作動させる。つまり、第1枢結点PaがデッドポイントPdに近づくように移動し、ダンパー8は、伸長作動して、第2の短縮状態から最伸長状態となる(
図7と
図8の矢印C´参照)。従って、棚降下完了状態Zから所定の揺動途中状態Yまでの範囲(上昇揺動前半範囲)は、ダンパー8が、伸長作動して減速作用を発揮せず(フリー状態であり)、所望の揺動速度をもって棚部材1を上昇できる。
【0030】
そして、所定の揺動途中状態Yから棚収納状態Xまで揺動させると、延伸部21cが前方へ揺動して連結リンク部材7を引き上げ、ダンパー8を短縮作動させる。つまり、デッドポイントPdでダンパー8の伸縮作動が切り換わって、デッドポイントPdを境に伸長作動から短縮作動へ切り換わって、第1枢結点PaがデッドポイントPdから遠ざかって、ダンパー8は、短縮作動して、上記最伸長状態から上記第1の短縮状態となる。従って、所定の揺動途中状態Yから棚収納状態Xまでの範囲(上昇揺動後半範囲)で、ダンパー8が減速作用を発揮して、棚部材1の揺動速度が減速され、ゆっくりと所定の棚収納位置まで揺動する。
【0031】
即ち、棚部材1が、棚収納状態Xから棚降下完了状態Zになり、その棚降下完了状態Zから棚収納状態Xになるように、1往復(昇降揺動)させた場合に、ダンパー8が短縮状態から伸長状態を介して短縮状態になり、その短縮状態から伸長状態を介して短縮状態となるように、2往復(伸縮運動)するように構成している。
【0032】
ここで、
図3と
図7に示すように、棚部材1(リンク機構2)の昇降揺動角度θを100%とすると、第1・第2揺動角度θ1,θ2は夫々50%に設定し、
図9に示すように、第1の短縮状態(第1長さ寸法Lx)と、第2の短縮状態(第2長さ寸法Lz)と、を同じ長さに設定しているが、第1揺動角度θ1と第2揺動角度θ2を相違させて、第1長さ寸法Lxと、第2長さ寸法Lzと、を相違させるも良い。なお、第1揺動角度θ1は、40%以上60%以下に設定するのが、昇降スピード全体と衝撃吸収性の両方のバランスが取れて使い勝手が良い。
【0033】
また、
図6に於て、棚部材1を上昇させるための操作力を軽減する上昇負荷軽減手段(上昇アシスト手段)50を備えている。
上昇負荷軽減手段50は、棚部材1の昇降揺動中においてリンク機構2を上方揺動方向へ弾発付勢するための渦巻きバネから成るバネ部材51と、バネ部材51からの弾発力を(直接的に)受けると共に先端部52aが前後に揺動自在な伝達揺動部材52と、伝達揺動部材52の先端部52aに基端部53bが枢着されると共に先端部53aが第1リンク部材21の延伸部21cに枢着された伝達連結部材53と、を備えている。
【0034】
また、
図5に示すように、棚部材1を所定の降下完了位置で保持するためのロック手段3を備えている。
ロック手段3は、延伸部21cに設けた係止爪部31と、棚部材1が棚降下完了位置に配設されると係止爪部31に当接して、棚部材1が棚完了位置を越えて降下しないように第1リンク部材21の揺動を規制する当り部32と、上記バネ部材51の弾発付勢力によって棚部材1が上昇するような第1リンク部材21の戻り揺動を阻止する(バネ部材51の弾発付勢力によって当り部32から離間しようとするのを阻止する)戻り防止用の爪片部33と、を備えている。
【0035】
爪片部33は、自由状態(
図6参照)で、所定のロック位置に配設され、当り部32との間に、係止爪部31用の差込空間部を形成している。
爪片部33は、係止爪部31にて後方へ押圧されると後方揺動して逃げるように(矢印K参照)弾性変形可能に設けている。つまり、棚部材1が降下する際は、第1リンク部材21の揺動にて、係止爪部31が爪片部33を後方へ押圧して後方へ逃がし、係止爪部31が当り部32に当接して、棚部材1の降下揺動が阻止され、さらに、爪片部33が弾性的復元力によって所定のロック位置に戻り、係止爪部31の戻りを阻止して、バネ部材51の弾発付勢力によって第1リンク部材21が上昇へ戻り揺動しようとするのを阻止する。また、使用者が所定操作力をもって棚部材1を上昇させようとすると、係止爪部31のテーパ面が爪片部33の上端テーパ面を押圧して、テーパ作用により係止爪部31を後方へ弾性変形させて逃げさせて(ロックが解除されるように)、棚部材1が上昇揺動可能となるように構成している。
このようにロック手段3を備えることで、棚部材1が空の状態等軽い場合に、上昇負荷軽減手段50による上昇揺動を防止でき使い勝手が向上する。
【0036】
また、リンク機構2は、棚部材1の左右側壁部11,11に夫々対応するように、左右両側の所定固定部61,61に夫々設ける(左右一対に設ける)のが好ましい。
ダンパー8は、左右一方側の所定固定部61のみ配設するのが好ましい。
なお、リンク機構2を左右一対に設けた場合、ダンパー8は、左右のリンク機構2,2夫々に対応させて設ける(左右一対に設ける)も良い。
【0037】
また、図示のように、所定固定部61をベース部材とし、ストッパ部66、当り部32、爪片部33、直線ガイド部82、をベース部材に樹脂で一体成形することで、部品点数や組立工数を削減し、製造を効率化している。また、第1の基端枢着点P2を、第2の基端枢着点P4よりも後方かつ上方位置に配設して、第1の基端枢着点P2よりも下方位置に第1枢結点Paを配設し、第1枢結点Paよりも下方位置に第2枢結点Pbを配設し、さらに、ダンパー8や直線ガイド部82を後方下傾状に配設することで、棚収容室60の奥下隅部の空間を有効利用している。
【0038】
なお、本発明は、設計変更可能であって、ダンパー8として、伸長作動中に減速作用を発揮し、かつ、短縮作動中に減速作用を発揮しない構造のものを用いて、所定の揺動途中状態Yで短縮状態となるようにダンパー8を配設するも良い。また、リンク機構2の所定部位21cとは、図例のような延伸部21cに限らず、リンク機構2が昇降揺動する際に、円弧状軌跡を描いて往復移動するようなリンク機構2の部位であれば良い。例えば、第2リンク部材22の基端部22b近傍を所定部位21cとするも良い。延伸部21cを第2リンク部材22に設けても良い。また、連結リンク部材7を省略し、ダンパー8をリンク機構2の所定部位21cに直接に枢着するも良い。ダンパー8の固定端側8aを図例のようなバレル側に限らずロッド側とするも良い。また、ベース部材の形状や数は自由である。
なお、本発明に於て、平行リンク機構とは、側面視で各枢着点P1,P2,P3,P4が非平行四辺形の矩形の頂点位置に配設される変形平行リンク機構の場合を含む。
【0039】
以上のように、本発明の昇降棚装置は、収納物を載置するための棚部材1がリンク機構2を介して上方の棚収納状態Xと棚降下完了状態Zとの間で昇降するように構成した昇降棚装置に於て、伸長作動及び短縮作動の一方の作動において減速作用を発揮せず、かつ、他方の作動において減速作用を発揮するダンパー8を、備え、上記ダンパー8は、上記リンク機構2の所定部位21cと、所定固定部61と、の間に直接又は間接に介設され、かつ、上記棚収納状態Xと上記棚降下完了状態Zの間の所定の揺動途中状態Yで伸縮作動が切り換わるように設けられ、上記棚収納状態Xから上記棚降下完了状態Zに揺動する際に上記所定の揺動途中状態Yから上記棚降下完了状態Zまでの範囲で上記棚部材1の揺動速度を減速させると共に、上記棚降下完了状態Zから上記棚収納状態Xに揺動する際に上記所定の揺動途中状態Yから上記棚収納状態Xまでの範囲で上記棚部材1の揺動速度を減速させるように構成したので、棚部材1を引出す際に、棚収納状態Xから所定の揺動途中状態Yまでは棚部材1を迅速に引き出すことができると共に所定の揺動途中状態Yから棚降下完了状態Zまでは揺動速度を減速でき、棚部材1が急停止せず(衝撃音が発生せず)静かに、かつ安全に棚降下完了状態Zにできる。また、棚部材1を上昇させて収納する際は、棚降下完了状態Zから所定の揺動途中状態Yまでは棚部材を迅速に揺動させることができると共に、所定の揺動途中状態Yから棚収納状態Xまでは揺動速度を減速でき、棚部材1が急停止せず(衝撃音や各構成部材への衝撃が発生せず)静かに、かつ安全に棚収納状態にできる。ダンパーを複数種類設ける必要がなく、容易(安価)に製造できる。収納物の転倒や破損を防止でき安全性を向上できる。昇降速度全体が遅くならず、使い勝手が良い。安全性と利便性の両立を実現できる。棚部材やリンク機構に衝撃による負荷がかからず故障等の不具合を防止して、耐久性を向上できる。
【0040】
また、上記リンク機構2は平行リンク機構であって、上記リンク機構2の上記所定部位21cは、上記平行リンク機構を構成する第1リンク部材21及び第2リンク部材22の一方において上記所定固定部61との基端枢着点P2を越えて延設された延伸部21cであり、上記ダンパー8は、上記所定固定部61に固定端側8aが固定され、かつ、上記延伸部21cに一端部7aが枢結された連結リンク部材7の他端部7bに、伸縮自由端側8bが枢結され、上記連結リンク部材7と上記延伸部21cとの第1枢結点Paが、上記連結リンク部材7と上記ダンパー8との第2枢結点Pbと、上記基端枢着点P2と、を結ぶ仮想直線上のデッドポイントPdを、通過するように円弧状に往復移動して、上記デッドポイントPdで上記ダンパー8の伸縮作動が切り換わるように構成したので、機械的な簡素な構成で(電気的な制御を行わずに)ダンパー8の伸縮作動を確実に切り換えることができる。ダンパー8をスムーズに伸縮作動させることができる。ダンパー8を伸縮させる構造を薄く、かつ、コンパクトにでき、筺体6と棚部材1の僅かな隙間に設けることができる(省スペースを有効利用できる)。
【0041】
また、上記ダンパー8は、左右一方側の上記所定固定部61のみに配設したので、部品点
数及び組立工数を削減でき、製造を容易かつ迅速に行うことができる。