特許第6872312号(P6872312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872312
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】偏光板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   G02B5/30
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-193960(P2015-193960)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-68062(P2017-68062A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年7月26日
【審判番号】不服2020-8207(P2020-8207/J1)
【審判請求日】2020年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】岡野 彰
(72)【発明者】
【氏名】前田 実
(72)【発明者】
【氏名】仲井 宏太
(72)【発明者】
【氏名】八重樫 将寛
(72)【発明者】
【氏名】大瀬 雄基
【合議体】
【審判長】 里村 利光
【審判官】 井亀 諭
【審判官】 井口 猶二
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6146921(JP,B2)
【文献】 特表2017−500606(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/151097(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺方向および幅方向に所定の間隔で配置された非偏光部を有する長尺状偏光板を、所定の長尺方向送りピッチごとに、該長尺状偏光板の幅方向の一方から他方に向けて、切り抜き刃により順次裁断することを含み、
該長尺状偏光板を裁断する際、該長尺状偏光板に設定された基準線を検知し、得られた検知情報に基づいて、該切り抜き刃を回転させて裁断の向きを決定し、その後、該非偏光部の位置を検知し、検知された該非偏光部の位置を基準として前記切り抜き刃の位置決めを行った後に長尺状偏光板を裁断し、ひとつの非偏光部を有する枚葉偏光板を1枚ずつ得る、
偏光板の製造方法。
【請求項2】
前記切り抜き刃に2つの基準線検知手段が設けられており、
該2つの基準線検知手段を用いて、前記基準線を検知し、
該2つの基準線検知手段を結ぶ線と、該基準線とがなす角度を調整して、裁断の向きが決定される、
請求項1に記載の偏光板の製造方法。
【請求項3】
前記基準線が、前記長尺状偏光板の幅方向端辺である、請求項1または2に記載の偏光板の製造方法。
【請求項4】
2つの基準線検知手段を結ぶ線と、長尺状偏光板の長尺方向とが、平行である、請求項2に記載の偏光板の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の製造方法に用いられ、前記長尺状偏光板からひとつの前記非偏光部を有する前記枚葉偏光板を1枚ずつ裁断する、偏光板の製造装置であって、
該長尺状偏光板を所定の長尺方向送りピッチで搬送する搬送手段と、
該長尺状偏光板が有する前記非偏光部を検知する非偏光部検知手段と、
該非偏光部検知手段からの検知情報を基準にして裁断位置を決め、該長尺状偏光板を裁断する切り抜き刃とを含み、
該切り抜き刃が、回転可能に構成されている、
偏光板の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、ノート型パーソナルコンピューター(PC)等の画像表示装置には、カメラ等の内部電子部品が搭載されているものがある。このような画像表示装置のカメラ性能等の向上を目的として、種々の検討がなされている(例えば、特許文献1〜7)。しかし、スマートフォン、タッチパネル式の情報処理装置の急速な普及により、カメラ性能等のさらなる向上が望まれている。また、画像表示装置の形状の多様化および高機能化に対応するために、部分的に偏光性能を有する偏光板が求められている。これらの要望を工業的および商業的に実現するためには許容可能なコストで画像表示装置および/またはその部品を製造することが望まれるところ、そのような技術を確立するためには種々の検討事項が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−81315号公報
【特許文献2】特開2007−241314号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0212555号明細書
【特許文献4】韓国公開特許第10−2012−0118205号公報
【特許文献5】韓国特許第10−1293210号公報
【特許文献6】特開2012−137738号公報
【特許文献7】米国特許出願公開第2014/0118826号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、電子デバイスの多機能化および高機能化を実現可能であり、かつ、品質にばらつきがない偏光板を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の偏光板の製造方法は、長尺方向および幅方向に所定の間隔で配置された非偏光部を有する長尺状偏光板を、所定の長尺方向送りピッチごとに、該長尺状偏光板の幅方向の一方から他方に向けて、順次裁断することを含み、該長尺状偏光板を裁断する際、該非偏光部の位置を検知し、検知された該非偏光部の位置を基準として位置決めを行った後に長尺状偏光板を裁断し、ひとつの非偏光部を有する枚葉偏光板を1枚ずつ得る。
1つの実施形態においては、上記長尺状偏光板の裁断の際の位置決めを行う前に、該長尺状偏光板に設定された基準線を検知し、得られた検知情報に基づいて、裁断の向きを決定することを含む。
1つの実施形態においては、2つの基準線検知手段を用いて、前記基準線を検知し、2つの基準線検知手段を結ぶ線と、上記基準線とがなす角度を調整して、裁断の向きが決定される。
1つの実施形態においては、上記基準線が、上記長尺状偏光板の幅方向端辺である。
1つの実施形態においては、2つの基準線検知手段を結ぶ線と、長尺状偏光板の搬送方向とが、平行である。
本発明の別の局面によれば、偏光板の製造装置が提供される。この製造装置は、長尺状偏光板を所定の長尺方向送りピッチで搬送する搬送手段と、該長尺状偏光板が有する非偏光部を検知する非偏光部検知手段と、該非偏光部検知手段からの検知情報を基準にして裁断位置を決め、該長尺状偏光板を裁断する裁断手段とを含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、長尺方向および幅方向に所定の間隔で配置された非偏光部を有する長尺状偏光板を裁断し、非偏光部を有する複数の枚葉偏光板を製造する方法が提供される。当該方法においては、長尺状偏光板を裁断する際、非偏光部検知手段が該非偏光部の位置を検知し、検知された該非偏光部の位置を基準として裁断手段の位置決めを行うことにより、非偏光部が所望の位置に精度よく配置した枚葉偏光板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本発明の1つの実施形態における非偏光部の配置パターンの一例を説明する概略平面図である。
図1B】本発明の1つの実施形態における非偏光部の配置パターンの一例を説明する概略平面図である。
図1C】本発明の1つの実施形態における非偏光部の配置パターンの一例を説明する概略平面図である。
図2】(a)〜(e)は、本発明の1つの実施形態による偏光板の製造方法を説明する概略図である。
図3】本発明の実施形態における偏光子の製造方法における偏光子と第1の表面保護フィルムとの貼り合わせを説明する概略斜視図である。
図4】本発明の実施形態における偏光子の製造方法における非偏光部の形成を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.偏光板の製造方法(長尺状偏光板の裁断方法)
本発明の製造方法は、長尺状偏光板を裁断して、複数の枚葉偏光板を切り出すことを含む。以下、本項において、本発明の製造方法における長尺状偏光板の裁断方法を説明する。なお、本明細書において「長尺状」とは、幅に対して長さが十分に長い細長形状を意味し、例えば、幅に対して長さが10倍以上、好ましくは20倍以上の細長形状を含む。
【0009】
長尺状偏光板は、長尺方向および幅方向に所定の間隔で配置された非偏光部を有し得る。非偏光部の配置パターンは、目的に応じて適切に設定され得る。代表的には、上記非偏光部は、偏光板を所定サイズの画像表示装置に取り付けるために所定サイズに裁断(例えば、長尺方向および/または幅方向への切断、打ち抜き)した際に、該画像表示装置のカメラ部に対応する位置に配置され得る。1つの実施形態においては、非偏光部は長尺方向および幅方向のいずれにおいても実質的に等間隔で配置される。なお、「長尺方向および幅方向のいずれにおいても実質的に等間隔」とは、長尺方向の間隔が等間隔であり、かつ、幅方向の間隔が等間隔であることを意味し、長尺方向の間隔と幅方向の間隔とが等しい必要はない。別の実施形態においては、非偏光部は、長尺方向に実質的に等間隔で配置され、かつ、幅方向に異なる間隔で配置されてもよい。幅方向において非偏光部が異なる間隔で配置される場合、隣接する非偏光部の間隔はすべて異なっていてもよく、一部(特定の隣接する非偏光部の間隔)のみが異なっていてもよい。
【0010】
図1Aは、長尺状偏光板における非偏光部の配置パターンの一例を説明する概略平面図であり、図1Bは、非偏光部の配置パターンの別の例を説明する概略平面図であり、図1Cは、非偏光部の配置パターンのさらに別の例を説明する概略平面図である。1つの実施形態においては、非偏光部10は、図1Aに示すように、長尺方向において隣接する非偏光部を結ぶ直線が、長尺方向に対して実質的に平行であり、ならびに、幅方向において隣接する非偏光部を結ぶ直線が、幅方向に対して実質的に平行であるように配置される。別の実施形態においては、非偏光部10は、図1Bに示すように、長尺方向において隣接する非偏光部を結ぶ直線が、長尺方向に対して実質的に平行であり、ならびに、幅方向において隣接する非偏光部を結ぶ直線が、幅方向に対して所定の角度θを有するように配置される。さらに別の実施形態においては、非偏光部10は、図1Cに示すように、長尺方向において隣接する非偏光部を結ぶ直線が、長尺方向に対して所定の角度θを有し、ならびに、幅方向において隣接する非偏光部を結ぶ直線が、幅方向に対して所定の角度θを有するように配置される。θおよび/またはθは、好ましくは0°を超えて±10°以下である。ここで、「±」は、基準方向(長尺方向または幅方向)に対して時計回りおよび反時計回りのいずれの方向も含むことを意味する。図1Bおよび図1Cに示す実施形態は、以下のような利点を有する:画像表示装置によっては表示特性を向上させるために偏光板の吸収軸を当該装置の長辺または短辺に対して最大で10°程度ずらして配置することを要求される場合がある。後述するように偏光板の吸収軸は長尺方向または幅方向に発現するので、上記のような構成であれば、このような場合において、裁断された枚葉偏光板110の吸収軸の方向を所望の角度に精密に制御することができ、かつ、枚葉偏光板110ごとの吸収軸の方向のばらつきを顕著に抑制することができる。なお、非偏光部の配置パターンが図示例に限定されないことは言うまでもない。例えば、非偏光部は、長尺方向において隣接する非偏光部を結ぶ直線が、長尺方向に対して所定の角度θを有し、ならびに、幅方向において隣接する非偏光部を結ぶ直線が、幅方向に対して実質的に平行であるように配置されてもよい。また、長尺状偏光板の長尺方向に複数の領域を規定し、それぞれの領域ごとにθおよび/またはθを設定してもよい。
【0011】
非偏光部の平面視形状は、目的に応じて任意の適切な形状が採用され得る。例えば、非偏光部の平面視形状は、偏光板が用いられる画像表示装置のカメラ性能に悪影響を与えない限りにおいて、任意の適切な形状が採用され得る。図示例の非偏光部は円形であるが、例えば、楕円形、正方形、矩形、ひし形等に形成されていてもよい。
【0012】
非偏光部の透過率(例えば、23℃における波長550nmの光で測定した透過率)は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは75%以上であり、特に好ましくは90%以上である。このような透過率であれば、例えば、非偏光部が画像表示装置のカメラ部に対応するよう偏光板を配置した場合に、カメラの撮影性能に対する悪影響を防止することができる。
【0013】
非偏光部は、任意の適切な形態であり得る。1つの実施形態においては、非偏光部は、偏光子が部分的に脱色された脱色部である。脱色部は、例えば、レーザー照射または化学処理により形成される。別の実施形態においては、非偏光部は貫通穴である。貫通穴は、例えば、機械的打ち抜き(例えば、パンチング、トムソン刃打抜き、プロッター、ウォータージェット)または所定部分の除去(例えば、レーザーアブレーションまたは化学的溶解)により形成される。
【0014】
図2は、本発明の1つの実施形態による偏光板の製造方法における長尺状偏光板の裁断の一例を説明する概略図である。本発明の製造方法においては、長尺方向および幅方向に所定の間隔で配置された非偏光部10を有する長尺状偏光板100を、所定の長尺方向送りピッチ(以下、単に送りピッチともいう)ごとに、長尺状偏光板100の幅方向の一方から他方に向けて、順次裁断することを含む。長尺状偏光板100を裁断する際には、所定送りピッチで搬送された長尺状偏光板100を停止させ(図2(a))、非偏光部検知手段200が非偏光部10の位置を検知し(図2(b))、検知された非偏光部10の位置を基準として裁断手段300の位置決めを行い(図2(c))、その後、裁断手段300により長尺状偏光板100を裁断し、ひとつの非偏光部10を有する枚葉偏光板110を1枚ずつ得る。
【0015】
したがって、本発明の偏光板の製造法に用いられる偏光板の製造装置(長尺状偏光板の裁断装置)は、 長尺状偏光板を所定の長尺方向送りピッチで搬送する搬送手段と、長尺状偏光板が有する非偏光部を検知する非偏光部検知手段と、非偏光部検知手段からの検知情報を基準にして裁断位置を決め、該長尺状偏光板を裁断する裁断手段とを含む。好ましくは、上記裁断手段は、長尺状偏光板の幅方向の一方から他方へ向けて移動し、かつ、検知された非偏光部の位置を基準として、裁断位置が決められる。
【0016】
上記裁断手段は、任意の適切な形態であり得る。1つの実施形態においては、上記裁断手段として、切り抜き刃(例えば、トムソン刃、腐食刃)が用いられる。切り抜き刃の形状(すなわち、裁断して得られる枚葉偏光板の形状)は、任意の適切な形状であり得る。例えば、矩形状、正方形状、多角形状、円形状、楕円形状等が挙げられる。好ましくは、矩形状である。
【0017】
上記裁断手段は、長尺方向および幅方向に移動可能なように構成され得る。1つの実施形態において、裁断手段は、長尺方向に所定長さ移動可能であり、幅方向の全域にわたり移動可能である。また、上記裁断手段は、裁断の向きを調整し得るように、所定点を中心に回転可能なように構成され得る。
【0018】
上記非偏光部検知手段としては、非偏光部と非偏光部以外の領域とを判別し得る限り、任意の適切な検知手段が用いられる。非偏光部検知手段としては、例えば、透過光検知センサ、反射光検知センサ等のセンサ、透過光撮影タイプのカメラ、反射光撮影タイプのカメラ等のカメラ等が挙げられる。
【0019】
上記非偏光部検知手段は、長尺方向および幅方向に移動可能なように構成され得る。1つの実施形態において、非偏光部検知手段は、長尺方向に所定長さ移動可能であり、幅方向の全域にわたり移動可能である。
【0020】
本発明の製造方法においては、まず、図2(a)に示すように、長尺状偏光板の裁断が行われる領域内に、非偏光部10が入るようにして、長尺状偏光板100の搬送を停止する。その後、図2(b)に示すように、非偏光部検知手段200が非偏光部10の位置を検知する。
【0021】
非偏光部検知手段200は、代表的には、所定領域内で、ひとつの非偏光部10を検知するよう動作する。1つの実施形態においては、非偏光部検知手段200は、検知対象となる非偏光部10が存在する領域まで、あらかじめ設定された距離だけ幅方向に移動し、その後、該領域内で非偏光部10を検知するよう2次元的に動作する。非偏光部検知手段200は、非偏光部10を検知した後、その情報(例えば、座標情報)を裁断手段に送る。当該動作を繰り返し、幅方向に配列する非偏光部の位置は、順次検知される。
【0022】
次いで、図2(c)のように、検知された非偏光部10の位置を基準として、すなわち、非偏光部検知手段200からの検知情報に基づいて、裁断手段300の位置決めを行う。このとき、裁断手段300の位置は、枚葉偏光板内における非偏光部の位置が所望の位置となるように決められる。1つの実施形態においては、裁断手段300の位置決めは、検知された非偏光部10の位置を基準として、裁断して得られる枚葉偏光板110における特定箇所の位置、ならびに、枚葉偏光板110の平面視形状の向き(すなわち、長尺方向および/または幅方向に対する角度)を制御するようにして行われ得る。枚葉偏光板110における特定箇所は、任意の適切な箇所が選択され得、例えば、枚葉偏光板110の平面視形状の重心、頂点、辺上の一点等が挙げられる。1つの実施形態においては、裁断手段として矩形状の切り抜き刃を用い、非偏光部と切り抜き刃の平面視形状における所定の頂点との距離、および非偏光部と該頂点とを結ぶ直線と長尺状偏光板の幅方向端辺との角度を制御して、裁断手段の位置決めが行われる。
【0023】
1つの実施形態においては、裁断手段300の位置決めの前(より好ましくは、非偏光部検知手段200が非偏光部10を検知する前)に、裁断手段300を水平方向に回転させる。このようにすれば、裁断の向きを適切に調整して枚葉偏光板110を切り出すことができ、切り出してして得られた枚葉偏光板110の吸収軸の方向を所望の角度とすることができる。例えば、図1Bおよび図1Cに示すように、幅方向において隣接する非偏光部を結ぶ直線が、幅方向に対して所定の角度θを有するように配置される場合、角度θに応じて、裁断手段300を水平方向に回転させ裁断の向きを調整する。
【0024】
好ましくは、裁断手段300の水平方向における向き(すなわち、裁断の向き)は、長尺状偏光板100に設定された基準線を基準に、当該基準線と裁断手段300の所定の辺(例えば、矩形状切り抜き刃の場合の該切り抜き刃の短辺または長辺)との角度を調整して決定される。このようにすれば、長尺状偏光板100が蛇行して搬送されている場合においても、裁断の向きを高精度に制御することができる。また、非偏光部を基準とせず、基準線を基準として裁断の向きを調整することにより、非偏光部が円形の場合にも、裁断の向きを高精度に制御することができる。1つの実施形態においては、矩形状切り抜き刃の所定の辺Aが、幅方向において隣接する非偏光部を結ぶ直線と平行となり、辺Aに直交する辺Bが幅方向において隣接する非偏光部を結ぶ直線と直交するように、裁断手段300の向きが決定される。長尺状偏光板100に設定された基準線は、例えば、長尺状偏光板100の幅方向端辺、長尺状偏光板100の吸収軸に規定される線等が挙げられる。図2(b)においては、長尺状偏光板100の幅方向端辺を基準線とする例を示している。1つの実施形態においては、基準線検知手段400により基準線(より具体的には、基準線の方向)を検知し、得られた検知情報に基づいて、裁断手段300の水平方向における向きが決定される。基準線検知手段400は、裁断手段300と一体であってもよく、裁断手段300とは別に構成されていてもよい。
【0025】
好ましくは、2つの基準線検知手段400が用いられる。2つの基準線検知手段400を用いることにより、基準線の方向を精度よく検知することができる。1つの実施形態においては、2つの基準線検知手段400を結ぶ線と、上記基準線とがなす角度を調整して、裁断手段300の水平方向における向きが決定される。例えば、矩形状切り抜き刃を用い、2つの基準線検知手段400を結ぶ線と長尺状偏光板の長尺方向(搬送方向)とが平行となるように基準線検知手段400を設けることにより、矩形状切り抜き刃の水平方向の向き(例えば、矩形状切り抜き刃の短辺と基準線との角度)を調整することが可能となる。
【0026】
裁断手段300の位置決めを行った後、裁断手段300を長尺状偏光板100に向けて、上方向または下方向に移動させて、長尺状偏光板100を打ち抜くようにして裁断し、枚葉偏光板110を得る。
【0027】
上記のようにして、一枚の枚葉偏光板110が得られる。本発明においては、非偏光部の検知および長尺状偏光板の裁断を、幅方向に繰り返し、幅方向において複数の枚葉偏光板が得られる。幅方向において長尺状偏光板100を順次裁断する際、非偏光部検知手段200および裁断手段300を、長尺状偏光板100の幅方向の一方から他方へ向けて移動させ、非偏光部10の検知および長尺状偏光板100の裁断が行われる(図2(d))。なお、非偏光部検知手段200が、長尺状偏光板100の幅方向端部からx番目の非偏光部10を検知した後、次の非偏光部10(すなわち、当該幅方向端部からx+1番目の非偏光部)を検知すべく動作するタイミングは、裁断手段300がx番目の非偏光部10を裁断する前であってもよく、後であってもよく、また、x番目の非偏光部10の裁断と同時であってもよい。1つの実施形態においては、非偏光部検知手段200が、幅方向で最初に非偏光部10を検知する前に、裁断手段300を水平方向に回転させて裁断の向きを調整し、裁断の向きが一定のまま、幅方向に非偏光部10の検知および長尺状偏光板100の裁断が繰り返し行われる。
【0028】
幅方向の一列において、長尺状偏光板100の裁断が完了した後は、図2(e)に示すように、長尺状偏光板100を所定の送りピッチ分、長尺方向に搬送し、次の一列について、非偏光部の検知および長尺状偏光板100の裁断を行う。幅方向の一列における検知・裁断操作、および該操作後の長尺状偏光板100の1ピッチ分の搬送を1サイクルとして、所定回数これを繰り返すことにより、長尺状偏光板100から複数枚の枚葉偏光板110を得ることができる。裁断の向きは、サイクル間で同じであってもよく、サイクルごとに異なっていてもよい。好ましくは、サイクルごとに裁断の向きが、上記方法により調整される。サイクルごとに裁断の向きを調整すれば、長尺状偏光板100が蛇行して搬送されている場合においても、裁断の向きを高精度に制御することができる。送りピッチは、非偏光部10の長尺方向における間隔に応じて設定され得る。例えば、長尺方向における非偏光部の配列が、長尺方向と平行である場合、送りピッチは、非偏光部10の長尺方向における間隔と同じ長さであることが好ましい。
【0029】
本発明よれば、上記のように、長尺状偏光板を裁断する際、非偏光部検知手段が該非偏光部の位置を検知し、検知された該非偏光部の位置を基準として裁断手段の位置決めを行うことにより、非偏光部が所望の位置に精度よく配置した枚葉偏光板を得ることができる。また、複数枚得られた枚葉偏光板における、非偏光部の位置バラツキを非常に小さくすることができる。
【0030】
B.非偏光部を有する長尺状偏光子の製造方法
上記長尺状偏光板は、少なくとも、非偏光部を有する長尺状偏光子を含む。以下、非偏光部を有する長尺状偏光子の製造方法を説明する。A項で説明した長尺状偏光板の裁断方法は、例えば、本項で説明する長尺状偏光子を含む長尺状偏光板の裁断方法である。
【0031】
B−1.偏光子
偏光子は、代表的には、二色性物質を含む樹脂フィルムから構成される。二色性物質としては、例えば、ヨウ素、有機染料等が挙げられる。これらは、単独で、または二種以上組み合わせて用いられ得る。好ましくはヨウ素が用いられる。
【0032】
上記樹脂フィルムを形成する樹脂としては、任意の適切な樹脂が用いられ得る。好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂が用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。
【0033】
偏光子(非偏光部を除く)は、好ましくは、波長380nm〜780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子(非偏光部を除く)の単体透過率(Ts)は、好ましくは39%以上、より好ましくは39.5%以上、さらに好ましくは40%以上、特に好ましくは40.5%以上である。なお、単体透過率の理論上の上限は50%であり、実用的な上限は46%である。また、単体透過率(Ts)は、JIS Z8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値であり、例えば、顕微分光システム(ラムダビジョン製、LVmicro)を用いて測定することができる。偏光子の偏光度(非偏光部を除く)は、好ましくは99.9%以上、より好ましくは99.93%以上、さらに好ましくは99.95%以上である。
【0034】
偏光子の厚みは、任意の適切な値に設定され得る。厚みは、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下である。一方で、厚みは、好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。
【0035】
偏光子の吸収軸は、目的に応じて任意の適切な方向に設定され得る。吸収軸の方向は、例えば、長尺方向であってもよく幅方向であってもよい。長尺方向に吸収軸を有する偏光子は、例えば、製造効率に優れるという利点がある。幅方向に吸収軸を有する偏光子は、例えば、長尺方向に遅相軸を有する位相差フィルムとロールトゥロールで積層できるという利点がある。1つの実施形態においては、吸収軸は長尺方向または幅方向に実質的に平行であり、かつ、偏光子の幅方向両端は長尺方向に平行にスリット加工されている。このような構成によれば、偏光子の端辺を基準に裁断でき、所望の位置に非偏光部を有し、かつ適切な方向に吸収軸を有する複数の偏光子を、容易に製造することができる。なお、偏光子の吸収軸は、後述の延伸処理における延伸方向に対応し得る。
【0036】
偏光子は、代表的には、上記樹脂フィルムに膨潤処理、延伸処理、上記二色性物質による染色処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等の各種処理を施すことにより得られる。各種処理を施す際、樹脂フィルムは、基材上に形成された樹脂層であってもよい。上記非偏光部の形成は、偏光子の作製工程の途中でも行い得る。
【0037】
B−2.非偏光部の形成
好ましくは、非偏光部は、脱色部である。このような構成によれば、機械的に(例えば、トムソン刃打抜き、プロッター、ウォータージェット等を用いて機械的に抜き落とす方法により)、貫通穴が形成されている場合に比べて、クラック、デラミ(層間剥離)、糊はみ出し等の品質上の問題が回避される。脱色部は、好ましくは、偏光子(二色性物質を含む樹脂フィルム)の所望の位置に塩基性溶液を接触させることにより形成される。このような方法により形成される非偏光部は、他の部位(非接触部)よりも二色性物質の含有量が低い低濃度部とされ得る。低濃度部は二色性物質自体の含有量が低いので、レーザー光等により二色性物質を分解して脱色部が形成されている場合に比べて、非偏光部の透明性が良好に維持される。
【0038】
上記低濃度部の二色性物質の含有量は、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下である。低濃度部の二色性物質の含有量の下限値は、通常、検出限界値以下である。上記他の部位における二色性物質の含有量と低濃度部における二色性物質の含有量との差は、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上である。二色性物質としてヨウ素を用いる場合、ヨウ素含有量は、例えば、蛍光X線分析で測定したX線強度から、予め標準試料を用いて作成した検量線により求められる。
【0039】
上記塩基性溶液に含まれる塩基性化合物としては、任意の適切な化合物が用いられ得る。塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ金属塩、酢酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩、アンモニア水等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の水酸化物が用いられ、さらに好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムが用いられる。二色性物質を効率良くイオン化することができ、より簡便に脱色部を形成することができる。これらの塩基性化合物は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
塩基性溶液の溶媒としては、水、アルコールが好ましく用いられる。塩基性溶液の濃度は、例えば0.01N〜5Nであり、好ましくは0.05N〜3Nであり、さらに好ましくは0.1N〜2.5Nである。塩基性溶液の液温は、例えば20℃〜50℃である。塩基性溶液の接触時間は、偏光子の厚み、塩基性溶液に含まれる塩基性化合物の種類や濃度に応じて設定され得る。接触時間は、例えば5秒〜30分であり、好ましくは5秒〜5分である。
【0041】
塩基性溶液の接触方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、偏光子に対し、塩基性溶液を滴下、塗工、スプレーする方法、偏光子を塩基性溶液に浸漬する方法が挙げられる。塩基性溶液の接触に際し、所望の部位以外に塩基性溶液が接触しないように、任意の適切な保護材で偏光子を保護してもよい。このような保護材としては、例えば、保護フィルム、表面保護フィルムが用いられる。保護フィルムは、偏光子の保護フィルムとしてそのまま利用され得るものである。表面保護フィルムは、偏光子の製造時に一時的に用いられるものである。表面保護フィルムは、任意の適切なタイミングで偏光子から取り除かれるため、代表的には、偏光子に粘着剤層を介して貼り合わされる。保護材の別の具体例としては、フォトレジスト等が挙げられる。また、上記偏光子の作製工程で用いられる基材も保護材として用い得る。
【0042】
好ましくは、塩基性溶液の接触に際し、偏光子表面は、その少なくとも一部が露出するように表面保護フィルムで被覆されている。図示例のような非偏光部の配置パターンを有する偏光板は、当該配置パターンに対応する位置に、所望の非偏光部サイズに対応する小円形の貫通孔が形成された表面保護フィルムを偏光子の片側に貼り合わせて偏光フィルム積層体を準備し、これに塩基性溶液を接触させることで製造される。その際、偏光子のもう片側(貫通孔が形成された表面保護フィルムが配置されていない側)も保護されていることが好ましい。保護フィルムや表面保護フィルムの貼り合わせは、図3に示すように、ロールトゥロールにより行われるのが好ましい。本明細書において、「ロールトゥロール」とは、ロール状のフィルムを搬送しながら互いの長尺方向を揃えて積層することをいう。
【0043】
図4は、本発明の1つの実施形態による偏光フィルム積層体の部分断面図である。偏光フィルム積層体101は、偏光子20と偏光子20の一方面側(図示例では上面側)に配置された第1の表面保護フィルム30と、偏光子20の他方面側(図示例では下面側)に配置された保護フィルム40および第2の表面保護フィルム50とを備える。偏光フィルム積層体101は、その一方面側(図示例では上面側)に偏光子20が露出した露出部21,21…を有する。露出部21は、第1の表面保護フィルム30に貫通孔31を形成することにより設けられている。
【0044】
上記表面保護フィルムの形成材料としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。好ましくは、エステル系樹脂(特に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂)である。弾性率が十分に高く、例えば、搬送および/または貼り合わせ時に張力をかけても貫通孔の変形が生じにくいからである。表面保護フィルムの厚みは、代表的には20μm〜250μmであり、好ましくは30μm〜150μmである。
【0045】
第1の表面保護フィルムは、所定のパターンで配置された貫通孔を有する。貫通孔の位置は、非偏光部が形成される位置に対応する。貫通孔の形状は、所望の非偏光部の形状に対応する。貫通孔は、例えば、機械的打ち抜き(例えば、パンチング、トムソン刃打抜き、プロッター、ウォータージェット)またはフィルムの所定部分の除去(例えば、レーザーアブレーションまたは化学的溶解)により形成される。
【0046】
表面保護フィルムは、例えば、塩基性溶液の接触後、任意の適切なタイミングで剥離除去される。
【0047】
上記保護フィルムの形成材料としては、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。保護フィルムの厚みは、好ましくは10μm〜100μmである。
【0048】
保護フィルムの偏光子を積層させない面には、表面処理層として、ハードコート層や反射防止処理、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理が施されていてもよい。保護フィルムは、代表的には、接着剤層を介して偏光子に貼り合わされる。
【0049】
1つの実施形態においては、上記塩基性溶液は、偏光子と接触後、任意の適切な手段により偏光子から除去される。このような実施形態によれば、例えば、偏光子の使用に伴う非偏光部の透過率の低下をより確実に防止することができる。塩基性溶液の除去方法の具体例としては、洗浄、ウエス等による拭き取り除去、吸引除去、自然乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。好ましくは、塩基性溶液は洗浄される。洗浄に用いる洗浄液としては、例えば、水(純水)、メタノール、エタノール等のアルコール、および、これらの混合溶媒等が挙げられる。好ましくは、水が用いられる。洗浄回数は特に限定されず、複数回行ってもよい。塩基性溶液を乾燥により除去する場合、その乾燥温度は、例えば20℃〜100℃である。
【0050】
好ましくは、上記塩基性溶液との接触後、塩基性溶液を接触させた接触部において、樹脂フィルムに含まれるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を低減させる。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を低減させることにより、寸法安定性に優れた非偏光部を得ることができる。具体的には、加湿環境下においても、塩基性溶液との接触により形成された非偏光部の形状をそのまま維持することができる。
【0051】
塩基性溶液を接触させることにより、接触部にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の水酸化物が残存し得る。また、塩基性溶液を接触させることにより、接触部にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の金属塩(例えば、ホウ酸塩)が生成し得る。これらは水酸化物イオンを生成し得、生成した水酸化物イオンは、接触部周囲に存在する二色性物質(例えば、ヨウ素錯体)に作用(分解・還元)して、非偏光領域を広げ得る。したがって、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属塩を低減させることにより、経時的に非偏光領域が広がるのを抑制して、所望の非偏光部形状が維持され得ると考えられる。
【0052】
上記非偏光部は、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の含有量が3.6重量%以下であることが好ましく、より好ましくは2.5重量%以下であり、さらに好ましくは1.0重量%以下であり、特に好ましくは0.5重量%以下である。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の含有量は、例えば、蛍光X線分析により測定したX線強度から予め標準試料を用いて作成した検量線により求めることができる。
【0053】
上記低減させる方法としては、好ましくは、塩基性溶液との接触部に酸性溶液を接触させる方法が用いられる。このような方法によれば、酸性溶液にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を効率的に移行させて、その含有量を低減させることができる。酸性溶液との接触は、上記塩基性溶液の除去後に行ってもよいし、塩基性溶液を除去することなく行ってもよい。
【0054】
上記酸性溶液に含まれる酸性化合物としては、任意の適切な酸性化合物を用いることができる。酸性化合物としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素等の無機酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、酢酸、安息香酸等の有機酸等が挙げられる。酸性溶液に含まれる酸性化合物は、これらの中でも、好ましくは無機酸であり、さらに好ましくは塩酸、硫酸、硝酸である。これらの酸性化合物は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
酸性溶液の溶媒としては、水、アルコールが好ましく用いられる。酸性溶液の濃度は、例えば0.01N〜5Nであり、好ましくは0.05N〜3Nであり、さらに好ましくは0.1N〜2.5Nである。酸性溶液の液温は、例えば20℃〜50℃である。酸性溶液の接触時間は、例えば5秒〜5分である。なお、酸性溶液の接触方法は、上記塩基性溶液の接触方法と同様の方法が採用され得る。また、酸性溶液は、偏光子から除去され得る。酸性溶液の除去方法は、上記塩基性溶液の除去方法と同様の方法が採用され得る。
【0056】
B−3.偏光板の裁断
非偏光部を形成して得られた長尺状偏光子を含む長尺状偏光板(例えば、長尺状偏光子の少なくとも片側に保護フィルムを配置して構成される長尺状偏光板)は、上記裁断方法により裁断され得る。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の製造方法により得られる偏光板は、スマートフォン等の携帯電話、ノート型PC、タブレットPC等のカメラ付き画像表示装置(液晶表示装置、有機ELデバイス)に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0058】
10 非偏光部
100 長尺状偏光板
110 枚葉偏光板
200 非偏光部検知手段
300 裁断手段
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4