(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルを含有するデポ剤であって、前記クエン酸トリアルキル及び前記クエン酸アセチルトリアルキルがそれぞれ有するアルキル基は、同一又は異なって、炭素原子数が4であり、眼科用注射剤であるデポ剤。
前記クエン酸トリアルキルがクエン酸トリ−n−ブチルであり、前記クエン酸アセチルトリアルキルがクエン酸アセチルトリ−n−ブチルである、請求項1記載のデポ剤。
前記式(1)で表される化合物が、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド又はその塩である、請求項4記載のデポ剤。
前記薬物が、(6−{[4−(ピラゾール−1−イル)ベンジル](ピリジン−3−イルスルホニル)アミノメチル}ピリジン−2−イルアミノ)酢酸イソプロピル又はその塩である、請求項3記載のデポ剤。
前記薬物が、ネパフェナク、デキサメタゾン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、レボフロキサシン、INCB28050、シクロスポリン A、チモロールマレイン酸塩、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、ブデソニド、オロパタジン、ラタノプロスト、(6−{[4−(ピラゾール−1−イル)ベンジル](ピリジン−3−イルスルホニル)アミノメチル}ピリジン−2−イルアミノ)酢酸イソプロピル、(2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド、又はシロリムスである、請求項3記載のデポ剤。
眼疾患が加齢性黄斑変性、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、ポリープ状脈絡膜血管症、網膜血管腫状増殖、近視性脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫、眼腫瘍、放射線網膜症(radiation retinopathy)、虹彩ルベオーシス、血管新生緑内障、増殖性硝子体網膜症(PVR)、原発開放隅角緑内障、続発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、房水産生過多緑内障、原発閉塞隅角緑内障、続発閉塞隅角緑内障、プラトー虹彩緑内障、混合型緑内障、発達緑内障、ステロイド緑内障、落屑緑内障、アミロイド緑内障、悪性緑内障、水晶体の嚢性緑内障、plateau iris syndrome、高眼圧症、ぶどう膜炎、又は、眼内感染症である、請求項12に記載のデポ剤。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のクエン酸アセチルトリエチルを含有する上記製剤よりも薬物徐放性が高い製剤が望ましい場合がある。
【0009】
本発明の課題は、上記実情に鑑み、デポ形成が容易であり、所望によりデポ状態を長期間維持することも可能なデポ剤を提供すること、及び、薬物を含有する場合、体内に投与された後に薬物を長期間にわたり徐放するデポ剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、上記課題を解決するために、デポを形成させるための添加物、溶媒等について鋭意研究を行った結果、クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルを含有するデポ剤であって、該エステルにおけるアルキル基の炭素原子数が3〜5である、デポ剤が、容易にデポを形成し、所望によりデポ状態を長期間維持することも可能であり、薬物を含有する場合、薬物を徐放することを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、以下に関する。
【0012】
(1)クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルを含有するデポ剤であって、上記クエン酸トリアルキル及び上記クエン酸アセチルトリアルキルがそれぞれ有するアルキルは、同一又は異なって、炭素原子数が3〜5である、デポ剤。
【0013】
(2)上記アルキル基の炭素原子数が4である、上記(1)記載のデポ剤。
【0014】
(3)クエン酸トリアルキルがクエン酸トリ−n−ブチルであり、クエン酸アセチルトリアルキルがクエン酸アセチルトリ−n−ブチルである、上記(1)記載のデポ剤。
【0015】
(4)さらに、薬物を含有する、上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のデポ剤。
【0016】
(5)薬物が、式(1):
【化2】
[式中、
R
1は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C
1−6アルキル基、1個若しくは複数個のハロゲン原子で置換されたC
1−6アルキル基、C
1−6アルコキシ基又は1個若しくは複数個のハロゲン原子で置換されたC
1−6アルコキシ基を示し、;
R
2は水素原子、C
1−6アルキル基、C
1−6アルキルカルボニル基又は1個若しくは複数個のヒドロキシ基で置換されたC
1−6アルキルカルボニル基を示す]で表される化合物又はその塩である、上記(4)記載のデポ剤。
【0017】
(6)式(1)において、
R
1がC
1−6アルコキシ基又は1個若しくは複数個のハロゲン原子で置換されたC
1−6アルコキシ基を示し、;
R
2がC
1−6アルキルカルボニル基又は1個若しくは複数個のヒドロキシ基で置換されたC
1−6アルキルカルボニル基を示す、上記(5)記載のデポ剤。
【0018】
(7)式(1)において、
R
1が1個若しくは複数個のハロゲン原子で置換されたC
1−6アルコキシ基を示し、;
R
2が1個若しくは複数個のヒドロキシ基で置換されたC
1−6アルキルカルボニル基を示す、上記(5)記載のデポ剤。
【0019】
(8)式(1)で表される化合物が、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド又はその塩である、上記(5)記載のデポ剤。
【0020】
(9)薬物が、(6−{[4−(ピラゾール−1−イル)ベンジル](ピリジン−3−イルスルホニル)アミノメチル}ピリジン−2−イルアミノ)酢酸イソプロピル又はその塩である、上記(4)記載のデポ剤。
【0021】
(10)薬物が、ネパフェナク、デキサメタゾン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、レボフロキサシン、INCB28050、シクロスポリン A、チモロールマレイン酸塩、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、ブデソニド、オロパタジン、ラタノプロスト、(6−{[4−(ピラゾール−1−イル)ベンジル](ピリジン−3−イルスルホニル)アミノメチル}ピリジン−2−イルアミノ)酢酸イソプロピル、(2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド、又はシロリムスである、上記(4)記載のデポ剤。
【0022】
(11)薬物を、0.001〜30%(w/w)含有する、上記(4)〜(10)のいずれか一項に記載のデポ剤。
【0023】
(12)クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルを、0.1%(w/w)以上含有する、上記(1)〜(11)のいずれか一項に記載のデポ剤。
【0024】
(13)ポリ乳酸(PLA)及びポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)を含有しない、上記(1)〜(12)のいずれか一項に記載のデポ剤。
【0025】
(14)トコフェロールを含有しない、上記(1)〜(13)のいずれか一項に記載のデポ剤。
【0026】
(15) 眼疾患の予防及び/又は治療用の、請求項(1)〜(14)のいずれか一項に記載のデポ剤。
【0027】
(16) 眼疾患の予防薬及び/又は治療薬としての使用のための請求項(1)〜(15)のいずれか一項に記載のデポ剤。
【0028】
(17)眼疾患が加齢性黄斑変性、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、ポリープ状脈絡膜血管症、網膜血管腫状増殖、近視性脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫、眼腫瘍、放射線網膜症(radiation retinopathy)、虹彩ルベオーシス、血管新生緑内障、増殖性硝子体網膜症(PVR)、原発開放隅角緑内障、続発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、房水産生過多緑内障、原発閉塞隅角緑内障、続発閉塞隅角緑内障、プラトー虹彩緑内障、混合型緑内障、発達緑内障、ステロイド緑内障、落屑緑内障、アミロイド緑内障、血管新生緑内障、悪性緑内障、水晶体の嚢性緑内障、plateau iris syndrome、高眼圧症、ぶどう膜炎、眼内感染症等である、上記(15)又は(16)記載のデポ剤。
【0029】
(18)眼局所投与用の、上記(1)〜(17)のいずれか一項に記載のデポ剤。
【0030】
(19)硝子体内投与、結膜下投与又は前房内投与用の、上記(18)記載のデポ剤。
【0031】
(20)1回につき、1〜5000μL投与される、上記(1)〜(19)のいずれか一項に記載のデポ剤。
【0032】
(21)3日に1回〜5年に1回の間隔で投与される、上記(1)〜(20)のいずれか一項に記載のデポ剤。
【0033】
(22)薬物持続放出用の、上記(1)〜(21)のいずれか一項に記載のデポ剤。
【0034】
(23) 眼疾患の予防及び/又は治療のための請求項(1)〜(22)のいずれか一項に記載のデポ剤の製造のための、クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルの使用。
【0035】
(24) 請求項(1)〜(22)のいずれか一項に記載のデポ剤を形成するための、クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルの使用。
【0036】
(25) 眼疾患の予防薬及び/又は治療薬としての使用のためのクエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキル。
【0037】
(26) 眼疾患の予防及び/又は治療のための請求項(1)〜(22)のいずれか一項に記載のデポ剤の使用。
【0038】
(27) 眼疾患の予防及び/又は治療を必要とする対象に請求項(1)〜(22)のいずれか一項に記載のデポ剤を投与することにより眼疾患を予防及び/又は治療する方法。
【0039】
(28) クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルを含有する液状組成物を水、リン酸緩衝液、体液又は疑似体液に接触させることを含む、デポ形成方法であって、
前記クエン酸トリアルキル及び前記クエン酸アセチルトリアルキルがそれぞれ有するアルキル基は、同一又は異なって、炭素原子数が3〜5である、デポ形成方法。
【0040】
なお、上記(1)から(22)の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができ、また、上記(23)から(28)の各構成にも適用することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明のデポ剤は、デポ形成が容易であり、所望によりデポ状態を長期間維持することも可能であり、薬物を含有する場合、体内に投与された後に薬物を徐放することができ、所望により長期間の徐放も可能であり、医薬品として十分な安全性を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0044】
本発明は、クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルを含有するデポ剤である。本発明においてデポ剤とは、薬物を持続的に放出するための製剤であり、体内等に投与された後にデポ(塊)を形成する。デポ剤の状態は特に限定されず、溶解状態であっても懸濁状態であってもよい。該クエン酸トリアルキル及び該クエン酸アセチルトリアルキルは、例えば、それぞれクエン酸又はアセチルクエン酸と、炭素原子数が3〜5のアルキル基を供与するアルコール等の化合物との縮合反応により得ることができる。該クエン酸トリアルキル及び該クエン酸アセチルトリアルキルの各1分子中に3個有されることとなる該アルキル基は、それぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。該アルキル基は、後述の式(2)中のR
a、R
b及びR
c並びに式(3)中のR
a、R
b及びR
cで表されるアルキル基であり、クエン酸アセチルトリアルキルにおいてアセチル基を構成するメチル基を含まない。本発明のデポ剤は、それぞれ炭素原子数が3〜5であるアルキル基を有するクエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルを含有するので、デポ形成が容易であり、所望によりデポ状態を長期間維持することも可能であり、しかも比重が適切であるので所望の部位にデポを形成することもできる。本発明のデポ剤は、このようにデポ形成性に優れるので、薬物を含有する場合、デポからの薬物徐放性にも優れ、所望により長期間の徐放も可能である。また、本発明のデポ剤は、上記クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルを含有するので、医薬品として十分な安全性をも有する。
【0045】
本発明のデポ剤に含有されるクエン酸トリアルキルは、下記式(2)で表される化合物である。式(2)中のR
a、R
b及びR
cは、同一又は異なって、それぞれ炭素原子数3〜5個のアルキル基を示す。該アルキル基は、直鎖又は分枝のアルキル基が好ましく、炭素原子数が4個の直鎖又は分枝のアルキル基がより好ましい。具体例として、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基等が挙げられ、n−ブチル基が最も好ましい。
【化3】
【0046】
本発明のデポ剤に含有されるクエン酸アセチルトリアルキルは、下記式(3)で表される化合物であり、アセチルクエン酸トリアルキル、2−アセトキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸トリアルキルとも称される。式(3)中のR
a、R
b及びR
cは、それぞれ炭素原子数3〜5個のアルキル基を示す。該アルキル基は、直鎖又は分枝のアルキル基が好ましく、炭素原子数が4個の直鎖又は分枝のアルキル基がより好ましい。具体例として、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基等が挙げられ、n−ブチル基が最も好ましい。
【化4】
【0047】
上記クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルとしては、上記クエン酸トリアルキル又は上記クエン酸アセチルトリアルキルのいずれか一方のみを用いてもよいし、上記クエン酸トリアルキルと上記クエン酸アセチルトリアルキルとを併用してもよい。併用する場合、「クエン酸トリアルキル/クエン酸アセチルトリアルキル」で表される上記クエン酸トリアルキルと上記クエン酸アセチルトリアルキルとの含有比は、特に限定されず、例えば、体積比で0.1/99.9〜99.9/0.1であってよく、5/95〜50/50が好ましく、10/90〜30/70が好ましく、15/85〜25/75がさらに好ましい。
【0048】
上記クエン酸トリアルキルとしては、式(2)中のR
a、R
b及びR
cがそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよいが、同一であることが好ましい。上記クエン酸アセチルトリアルキルとしては、式(3)中のR
a、R
b及びR
cがそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよいが、同一であることが好ましい。
【0049】
本発明のデポ剤において、上記クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルの含有量は、0.1%(w/w)以上が好ましく、0.1〜99.999%(w/w)がより好ましく、1〜90%(w/w)がさらに好ましく、2〜80%(w/w)が特に好ましく、3〜70%(w/w)が最も好ましい。本発明のデポ剤において薬物以外の添加剤を配合しない場合は、上記クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルの含有量は、70〜99.999%(w/w)が好ましく、75〜99.99%(w/w)がより好ましく、80〜99.9%(w/w)がさらに好ましく、85〜99.5%(w/w)が特に好ましく、88〜99%(w/w)が最も好ましい。
なお、「%(w/w)」は、本発明のデポ剤100g中に含まれる対象成分(ここでは、クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキル)の質量(g)を意味する。以下、特に断りがない限り同様とする。
【0050】
本発明のデポ剤は、上記クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルを含有するものであれば、さらに薬物を含有するものであってもよい。本発明のデポ剤において、含有される薬物に特に制限はなく、具体例としては、Tafetinib、SIM−817378、ACTB−1003、Chiauranib、CT−53608、Cinnamon、chim4G8−SDIE、CEP−5214、IMC−1C11、CEP−7055、3−[5−[2−[N−(2−Methoxyethyl)−N−methylamino]ethoxy]−1H−indol−2−yl]quinolin−2(1H)−one、hF4−3C5、ZK−CDK、IMC−EB10、LS−104、CYC−116、OSI−930、PF−337210、JNJ−26483327、SSR−106462、R−1530、PRS−050、TG−02、SC−71710、SB−1578、AMG−191、AMG−820、Sulfatinib、Lucitanib hydrochloride、JNJ−28312141、Ilorasertib、PLX−5622、ARRY−382、TAS−115、Tanibirumab、Henatinib、LY−2457546、PLX−7486、FPA−008、NVP−AEE−788、cgi−1842、RAF−265、MK−2461、SG−00529、Rebastinib、Golvatinib、Roniciclib、BVT−II、X−82、XV−615、KD−020、Lestaurtinib、Delphinidin、Semaxanib、Vatalanib、OSI−632、Telatinib、Alacizumab pegol、ATN−224、Tivozanib、XL−999、Icrucumab、Foretinib、Crenolanib besylate、R−406、Brivanib、Pegdinetanib、TG−100572、Olaratumab、Fostamatinib disodium、BMS−690514、AT−9283、MGCD−265、Quizartinib、ENMD−981693、Famitinib、Anlotinib、Tovetumab、PLX−3397、Fruquintinib、(−)−Epigallocatechin、Midostaurin、NSC−706456、Orantinib、Cediranib、Dovitinib、XL−647、Motesanib、Linifanib、Brivanib、Cediranib、Apatinib、Fedratinib、Pacritinib、Ramucirumab、Intedanib、Masitinib、Elemene、Dihydroartemisinin、WS−1442、Itraconazole、Leflunomide、Dihydroartemisinin、Imatinib、Sorafenib、Sunitinib、Dasatinib、Pazopanib、Vandetanib、Axitinib、Regorafenib、Cabozantinib、INCB28050及びPonatinib等のチロシンキナーゼ阻害剤、ハイドロコルチゾン、トリアムシノロン、フルオシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド等のステロイド、イソプロピルウノプロストン、ラタノプロスト、ビマトプロスト、トラボプロスト等のプロスタグランジン誘導体、シクロスポリン、シロリムス、FK506等の免疫抑制剤、アゼラスチン等の抗アレルギー剤、インドメタシン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、ネパフェナク等の非ステロイド性抗炎症剤、レボフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン等の抗菌剤、オロパタジン等の抗ヒスタミン剤、パゾパニブ、SU5416、バラチニブ、ラニビズマブ、ベバシズマブ等の血管新生阻害薬、ニカルジピン、ニトレンジピン等の循環改善薬、ビタミンE等の抗酸化剤、アセタゾラミド、ブリンゾラミド等の炭酸脱水酵素阻害剤、チモロール、カルテオロール等のβ受容体遮断薬、ビタミンA誘導体等のビジュアルサイクルモジュレーター、毛様体栄養因子(CNTF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)等の栄養因子や神経成長因子(NGF)、幹細胞増殖因子(HGF)等の成長因子、ペガプタニブのようなアプタマー、各種アンチセンス核酸、siRNAのような核酸医薬、ルセンティス、IgG等の抗体・ペプチド製剤、特開2006−96739、特開2011−37844、特開2005−232149、特開2006−273851、特開2006−306861、特開2008−266294等に記載のVEGF阻害剤、特開2007−230993、特開2008−074829、特開2008−143889、特開2008−143890、特開2008−143891、特開2009−007344、特開2009−084274等に記載のグルココルチコイド受容体結合活性を有する化合物、RU24858等の選択的グルココルチコイド受容体アゴニスト、フルオロウラシル等の抗癌剤、トファシチニブ等のヤヌスキナーゼ阻害剤、ルボキシスタウリンメシレート等のプロテインキナーゼ阻害剤、等が挙げられる。
【0051】
本発明のデポ剤において、含有される薬物の好ましい具体例は、上記式(1)で表される化合物又はその塩である。
【0052】
「ハロゲン原子」とはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を示す。
【0053】
「C
1−6アルキル基」とは炭素原子数1〜6個の直鎖又は分枝のアルキル基を示し、炭素原子数が1〜4個の直鎖又は分枝のアルキル基が好ましい。具体例としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基等が挙げられる。
【0054】
「C
1−6アルコキシ基」とはヒドロキシ基の水素原子が上記C
1−6アルキル基で置換された基を示す。具体例としてメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基等が挙げられる。
【0055】
「C
1−6アルキルカルボニル基」とはホルミル基の水素原子が上記C
1−6アルキル基で置換された基を示す。具体例としてメチルカルボニル基(アセチル基)、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基、イソペンチルカルボニル基等が挙げられる。
【0056】
本発明でいう「1個若しくは複数個のハロゲン原子で置換された」とは、上記C
1−6アルキル基(上記C
1−6アルコキシ基を構成する上記C
1−6アルキル基を含む。)が、1個以上、置換可能な数以下の個数のハロゲン原子で置換されていることを示す。それぞれのハロゲン原子は同一であっても異なってもよく、ハロゲン原子の個数は2又は3個の場合が好ましく、3個の場合が特に好ましい。
【0057】
本発明でいう「1個若しくは複数個のヒドロキシ基で置換された」とは、上記C
1−6アルキル基が、1個以上、置換可能な数以下の個数のヒドロキシ基で置換されていることを示す。ヒドロキシ基の個数は1又は2個の場合が好ましく、1個の場合が特に好ましい。
【0058】
また、本発明における薬物は、薬理活性を有する化合物のエステル、アミド、アセトニド等の誘導体も包含する。該誘導体は、該薬理活性を有する化合物のプロドラッグであってもよい。エステルの具体例としては、薬物中のヒドロキシ基と酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸等のカルボン酸とが縮合したエステルが例示される。アミドの具体例としては、薬物中のアミノ基と酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸等のカルボン酸とが縮合したアミドが例示される。アセトニドの具体例としては、薬物中の2個のヒドロキシ基(1,2−ジオールや1,3−ジオール)がアセトン又はその等価体(2,2−ジメトキシプロパン等)と反応したアセトニド(アセタール)が例示される。
【0059】
また、含有される薬物は水和物又は溶媒和物の形態をとっていてもよい。
【0060】
含有される薬物に幾何異性体、互変異性又は光学異性体が存在する場合は、それらの異性体も本発明の範囲に含まれる。
【0061】
さらに含有される薬物に結晶多形が存在する場合は、結晶多形体も本発明の範囲に含まれる。
【0062】
(a)式(1)で表される化合物の好ましい例として、式(1)において、各基が下記に示す基である化合物又はその塩が挙げられる。
【0063】
(a1)R
1はC
1−6アルコキシ基又は1個若しくは複数個のハロゲン原子で置換されたC
1−6アルコキシ基を示し、;及び/又は
(a2)R
2はC
1−6アルキルカルボニル基又は1個若しくは複数個のヒドロキシ基で置換されたC
1−6アルキルカルボニル基を示す。
【0064】
すなわち、式(1)で表される化合物において、上記(a1)及び(a2)から選択される1又は2以上の各組合せからなる化合物又はその塩が好ましい例として挙げられる。
【0065】
(b)式(1)で表される化合物のより好ましい例として、式(1)において、各基が下記に示す基である化合物又はその塩が挙げられる。
【0066】
(b1)R
1は1個若しくは複数個のハロゲン原子で置換されたC
1−6アルコキシ基を示し、;及び/又は
(b2)R
2は1個若しくは複数個のヒドロキシ基で置換されたC
1−6アルキルカルボニル基を示す。
【0067】
すなわち、式(1)で表される化合物において、上記(b1)及び(b2)から選択される1又は2以上の各組合せからなる化合物又はその塩が好ましい例として挙げられる。また、その選択された条件は、(a)の条件と組み合わせることもできる。
【0068】
(c)式(1)で表される化合物の最も好ましい例としては、式(4):
【0069】
【化5】
で表される化合物(2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド)又はその塩が挙げられる。
【0070】
本発明のデポ剤に含有される、式(1)で表される化合物又はその塩は、米国特許出願公開第2007/0149574号明細書に記載の方法等、当該技術分野における通常の方法に従って製造することができる。
【0071】
本発明のデポ剤において、含有される薬物の別の好ましい具体例は、式(5):
【化6】
で表される、(6−{[4−(ピラゾール−1−イル)ベンジル](ピリジン−3−イルスルホニル)アミノメチル}ピリジン−2−イルアミノ)酢酸イソプロピル又はその塩である。
【0072】
本発明のデポ剤に含有される、式(5)で表される化合物又はその塩は、米国特許出願公開第2011/0054172号明細書や米国特許出願公開第2012/0190852号明細書に記載の方法等、当該技術分野における通常の方法に従って製造することができる。
【0073】
本発明のデポ剤において、含有される薬物は塩であってもよく、医薬として許容される塩であれば特に制限はない。塩としては無機酸との塩、有機酸との塩、四級アンモニウム塩、ハロゲンイオンとの塩、アルカリ金属との塩、アルカリ土類金属との塩、金属塩、有機アミンとの塩等が挙げられる。無機酸との塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。有機酸との塩としては、酢酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、アラニン、乳酸、馬尿酸、1,2−エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、没食子酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸ラウリル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸等との塩が挙げられる。四級アンモニウム塩としては、臭化メチル、ヨウ化メチル等との塩が挙げられる。ハロゲンイオンとの塩としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等との塩が挙げられ、アルカリ金属との塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等との塩が挙げられ、アルカリ土類金属との塩としては、カルシウム、マグネシウム等との塩が挙げられ、金属塩としては、鉄、亜鉛等との塩が挙げられる。有機アミンとの塩としては、トリエチレンジアミン、2−アミノエタノール、2,2−イミノビス(エタノール)、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−2−D−ソルビトール、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、プロカイン、N,N−ビス(フェニルメチル)−1,2−エタンジアミン等との塩が挙げられる。
【0074】
本発明のデポ剤において、含有される薬物の含有量は、所望の薬効を奏するのに十分な量であれば特に制限されないが、0.001〜30%(w/v)が好ましく、0.01〜25%(w/v)がより好ましく、0.1〜20%(w/v)がさらに好ましく、0.5〜15%(w/v)がさらにより好ましく、1〜12%(w/v)が特に好ましく、1%(w/v)、1.5%(w/v)、2%(w/v)、2.5%(w/v)、3%(w/v)、3.5%(w/v)、4%(w/v)、5%(w/v)、6%(w/v)、7%(w/v)、8%(w/v)、9%(w/v)、10%(w/v)、11%(w/v)又は12%(w/v)が最も好ましい。
なお、「%(w/v)」は、本発明のデポ剤100mL中に含まれる対象成分(ここでは、薬物)の質量(g)を意味する。以下、特に断りがない限り同様とする。
【0075】
本発明のデポ剤には、必要に応じて添加剤を用いることができ、添加剤としては、界面活性剤、緩衝化剤、等張化剤、安定化剤、防腐剤、抗酸化剤、高分子量重合体、賦形剤、溶媒等を加えることができる。
【0076】
本発明のデポ剤には、医薬品の添加物として使用可能な界面活性剤、例えばカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤を配合することができる。アニオン性界面活性剤の例としては、リン脂質等が挙げられ、リン脂質としてはレシチン等が挙げられる。カチオン性界面活性剤の例としては、アルキルアミン塩、アルキルアミンポリオキシエチレン付加物、脂肪酸トリエタノールアミンモノエステル塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、脂肪酸ポリアミン縮合物、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アシルアミノアルキル型アンモニウム塩、アシルアミノアルキルピリジニウム塩、ジアシロキシエチルアンモニウム塩、アルキルイミダゾリン、1−アシルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル‐2−アルキルイミダゾリン等が挙げられる。アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩としては、ベンザルコニウム塩化物、セタルコニウム塩化物等が挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、ビタミンE TPGS等が挙げられる。
【0077】
ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸ポリオキシル40等が挙げられる。
【0078】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40、ポリソルベート20、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリソルベート65等が挙げられる。
【0079】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、酸化エチレンの重合数の異なる種々のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いることができ、酸化エチレンの重合数は10〜100が好ましく、20〜80がより好ましく、40〜70が特に好ましく、60が最も好ましい。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の具体例としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等が挙げられる。
【0080】
ポリオキシエチレンヒマシ油としては、酸化エチレンの重合数の異なる種々のポリオキシエチレンヒマシ油を用いることができ、酸化エチレンの重合数は5〜100が好ましく、20〜50がより好ましく、30〜40が特に好ましく、35が最も好ましい。ポリオキシエチレンヒマシ油の具体例としては、ポリオキシル5ヒマシ油、ポリオキシル9ヒマシ油、ポリオキシル15ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40ヒマシ油等が挙げられる。
【0081】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール等が挙げられる。
【0082】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ステアリン酸エステル等が挙げられる。
【0083】
ビタミンE TPGSは、トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸エステルともいう。
【0084】
本発明のデポ剤には、医薬品の添加物として使用可能な緩衝剤を配合することができる。緩衝剤の例としては、リン酸又はその塩、ホウ酸又はその塩、クエン酸又はその塩、酢酸又はその塩、炭酸又はその塩、酒石酸又はその塩、ヒスチジン又はその塩、ε−アミノカプロン酸、トロメタモール等が挙げられる。リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等が挙げられ、ホウ酸塩としては、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等が挙げられ、クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等が挙げられ、酢酸塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が挙げられ、炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、酒石酸塩としては、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム等が挙げられ、ヒスチジン塩としてはヒスチジン塩酸塩等が挙げられる。
【0085】
本発明のデポ剤には、医薬品の添加物として使用可能な等張化剤を適宜配合することができる。等張化剤の例としては、イオン性等張化剤や非イオン性等張化剤等が挙げられる。イオン性等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられ、非イオン性等張化剤としてはグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マンニトール、トレハロース、スクロース、グルコース等が挙げられる。
【0086】
本発明のデポ剤には、医薬品の添加物として使用可能な安定化剤を適宜配合することができる。安定化剤の例としては、エデト酸、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0087】
本発明のデポ剤には、医薬品の添加物として使用可能な防腐剤を適宜配合することができる。防腐剤の例としては、ベンザルコニウム塩化物、ベンザルコニウム臭化物、ベンゼトニウム塩化物、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール等が挙げられる。
【0088】
本発明のデポ剤には、医薬品の添加物として使用可能な抗酸化剤を適宜配合することができる。抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、又はそれらの誘導体等が挙げられ、トコフェロール又はその誘導体が好ましい。トコフェロール又はその誘導体としては、ビタミンE、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、及びこれらの酢酸エステル、コハク酸エステル、並びにこれらのd体、l体、dl体等が挙げられる。
【0089】
本発明のデポ剤には、医薬品の添加物として使用可能な高分子量重合体を適宜配合することができる。高分子量重合体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
【0090】
本発明のデポ剤は、ポリ乳酸(PLA)及びポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)からなる群より選択される少なくとも1つの添加剤を含有するものであってもよい。一方、上述のクエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルを含有することにより、容易に徐放性のデポを形成することができるので、PLA及びPLGAからなる群より選択される少なくとも1つの添加剤を含有する必要がない。本発明のデポ剤は、酢酸トコフェロール、PLA及びPLGAからなる群より選択される少なくとも1つの添加剤を含有しないことにより、適切な粘度調整を容易に行うことができる点で、該添加剤を含有しないことが好ましい。従来、該添加剤を含有するデポ剤は、該添加剤の濃度によっては、粘度が高くなりやすく、操作性が悪化する場合があった。また、本発明のデポ剤は、特に薬物を含有する場合、投与後の適切な消失の点で、酢酸トコフェロールを含有しないことが好ましい。
【0091】
本発明のデポ剤に添加剤を配合する場合の添加剤の含有量は、添加剤の種類等により適宜調整することができるが、その総量としては0.0001〜30%(w/v)が好ましく、0.001〜25%(w/v)がより好ましく、0.01〜20%(w/v)がさらに好ましく、0.1〜15%(w/v)が特に好ましく、1〜10%(w/v)が最も好ましい。
【0092】
本発明のデポ剤には、医薬品の添加物として使用可能な溶媒又は賦形剤を適宜配合することができる。溶媒又は賦形剤の例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、グリコフロール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、エタノール、安息香酸ベンジル、スクロースオクタアセテート、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ヒマシ油等の植物油、流動パラフィン等の鉱物油、シリコーンオイル等が挙げられ、ポリエチレングリコール、安息香酸ベンジルが好ましい。溶媒又は賦形剤としては、1つのみを用いてもよいし、2以上を併用してもよい。例えば、ポリエチレングリコールと安息香酸ベンジルとを併用する場合、「ポリエチレングリコール/安息香酸ベンジル」で表されるポリエチレングリコールと安息香酸ベンジルとの含有比は、特に限定されず、例えば、体積比で0.1/99.9〜99.9/0.1であってよく、5/95〜70/30が好ましく、10/90〜50/50がより好ましい。
【0093】
本発明のデポ剤にポリエチレングリコールを配合する場合、その平均分子量は、100〜2000が好ましく、150〜1500がより好ましく、200〜1300がさらに好ましく、300〜1200が特に好ましく、400〜1000が最も好ましい。ポリエチレングリコールの具体例として、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG800、PEG1000等が挙げられる。
【0094】
本発明のデポ剤に溶媒又は賦形剤を配合する場合の溶媒又は賦形剤の含有量は、5〜99%(w/w)が好ましく、10〜98%(w/w)がより好ましく、30〜97%(w/w)がさらに好ましく、40〜95%(w/w)が最も好ましい。
【0095】
本発明のデポ剤は、上述した、炭素原子数が3〜5のアルキル基を有するクエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルを含有するものであれば、さらに、上述の式(2)中のR
a、R
b及びR
cの少なくとも1つが炭素原子数6以上のアルキル基であるクエン酸トリアルキル(例えば、クエン酸トリヘキシル)並びに式(3)中のR
a、R
b及びR
cの少なくとも1つが炭素原子数6以上のアルキル基であるクエン酸アセチルトリアルキル(例えば、クエン酸アセチルトリヘキシル)からなる群より選択される少なくとも1つのクエン酸誘導体を含有するものであってもよい。本発明のデポ剤にこれら追加のクエン酸誘導体を配合する場合の含有量は、5〜99%(w/w)が好ましく、10〜98%(w/w)がより好ましく、30〜97%(w/w)がさらに好ましく、40〜95%(w/w)が最も好ましい。
【0096】
本発明のデポ剤において、具体的な態様は、実質的に、式(4)で表される化合物又はその塩、及び、クエン酸トリ−n−ブチルのみを含有するデポ剤である。
【0097】
本発明のデポ剤において、別の具体的な態様は、実質的に、式(4)で表される化合物又はその塩、クエン酸トリ−n−ブチル、及び、PEG400のみを含有するデポ剤である。
【0098】
本発明のデポ剤において、別の具体的な態様は、実質的に、式(4)で表される化合物又はその塩、及び、クエン酸アセチルトリ−n−ブチルのみを含有するデポ剤である。
【0099】
本発明のデポ剤において、別の具体的な態様は、実質的に、式(4)で表される化合物又はその塩、クエン酸アセチルトリ−n−ブチル、及び、PEG400のみを含有するデポ剤である。
【0100】
本発明のデポ剤において、別の具体的な態様は、実質的に、式(4)で表される化合物又はその塩、クエン酸トリ−n−ブチル、クエン酸アセチルトリ−n−ブチル、及び、PEG400のみを含有するデポ剤である。
【0101】
本発明のデポ剤において、具体的な態様は、実質的に、式(5)で表される化合物又はその塩、及び、クエン酸トリ−n−ブチルのみを含有するデポ剤である。
【0102】
本発明のデポ剤において、別の具体的な態様は、実質的に、式(5)で表される化合物又はその塩、クエン酸トリ−n−ブチル、及び、PEG400のみを含有するデポ剤である。
【0103】
本発明のデポ剤において、別の具体的な態様は、実質的に、式(5)で表される化合物又はその塩、及び、クエン酸アセチルトリ−n−ブチルのみを含有するデポ剤である。
【0104】
本発明のデポ剤において、別の具体的な態様は、実質的に、式(5)で表される化合物又はその塩、クエン酸アセチルトリ−n−ブチル、及び、PEG400のみを含有するデポ剤である。
【0105】
本発明のデポ剤において、別の具体的な態様は、実質的に、式(5)で表される化合物又はその塩、クエン酸アセチルトリ−n−ブチル、PEG400、及び、安息香酸ベンジルのみを含有するデポ剤である。
【0106】
本発明のデポ剤は、経口でも、非経口でも投与することができる。本発明のデポ剤の剤形は、医薬品として使用可能なものであれば特に制限されない。剤形としては、例えば、経口剤であれば、液剤、懸濁剤が挙げられ、非経口剤であれば、注射剤、輸液、点鼻剤、点耳剤、点眼剤等が挙げられる。好ましくは、眼科用注射剤、点眼剤が挙げられ、より好ましくは眼科用注射剤が挙げられ、最も好ましくは硝子体内、前房内投与又は結膜下投与用注射剤が挙げられる。これらは当該技術分野における通常の方法に従って製造することができる。
【0107】
本発明のデポ剤は、その剤型に応じて適宜投与することができる。例えば眼科用注射剤の場合は、硝子体内、後強膜近傍、眼窩周囲、強膜と結膜の間に投与することができる。例えば、眼科用注射剤を硝子体内に投与する場合、所望の薬効を奏するのに十分な量であれば投与量に特に制限はないが、1回につき、1〜5000μLが好ましく、5〜1000μLがより好ましく、10〜100μLがさらに好ましく、20〜50μLが特に好ましく、20μL、30μL、40μL又は50μLが最も好ましい。眼科用注射剤を前房内に投与する場合、所望の薬効を奏するのに十分な量であれば投与量に特に制限はないが、1回につき、0.1〜300μLが好ましく、1〜100μLがより好ましく、2〜50μLがさらに好ましく、5〜20μLが特に好ましく、5μL、10μL、15μL又は20μLが最も好ましい。眼科用注射剤を結膜下に投与する場合は、所望の薬効を奏するのに十分な量であれば投与量に特に制限はないが、1回につき、10〜5000μLが好ましく、20〜1000μLがより好ましく、30〜500μLがさらに好ましく、50〜200μLが特に好ましく、50μL、100μL、150μL又は200μLが最も好ましい。薬物の投与量では、0.001〜30mg/eyeが好ましく、0.01〜10mg/eyeがより好ましく、0.1〜5mg/eyeがさらに好ましく、0.2〜1.6mg/eyeが特に好ましく、0.2mg/eye、0.3mg/eye、0.4mg/eye、0.5mg/eye、0.6mg/eye、0.7mg/eye、0.8mg/eye、1mg/eye、1.2mg/eye、1.4mg/eye又は1.6mg/eyeが最も好ましい。
【0108】
本発明のデポ剤を硝子体内又は前房内に連続して投与する場合、所望の薬効を奏するのに十分であれば投与間隔に特に制限はないが、3日に1回〜5年に1回の間隔で投与されるのが好ましく、3日に1回、5日に1回、1週間に1回、2週間に1回、1カ月に1回、2カ月に1回、3カ月に1回、4カ月に1回、5カ月に1回、6カ月に1回、1年に1回、2年に1回、3年に1回、4年に1回又は5年に1回の間隔で投与されるのがより好ましく、2カ月に1回、3カ月に1回、4カ月に1回、5カ月に1回、6カ月に1回又は1年に1回の間隔で投与されるのが最も好ましい。また、投与間隔は適宜変更することができる。
【0109】
本発明のデポ剤は医薬として有用であり、眼疾患、例えば、加齢性黄斑変性、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、ポリープ状脈絡膜血管症、網膜血管腫状増殖、近視性脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫、眼腫瘍、放射線網膜症(radiation retinopathy)、虹彩ルベオーシス、血管新生緑内障、増殖性硝子体網膜症(PVR)、原発開放隅角緑内障、続発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、房水産生過多緑内障、原発閉塞隅角緑内障、続発閉塞隅角緑内障、プラトー虹彩緑内障、混合型緑内障、発達緑内障、ステロイド緑内障、落屑緑内障、アミロイド緑内障、血管新生緑内障、悪性緑内障、水晶体の嚢性緑内障、plateau iris syndrome、高眼圧症、ぶどう膜炎、眼内感染症等が挙げられる。疾病としてより好ましくは、加齢性黄斑変性、糖尿病網膜症、原発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、原発閉塞隅角緑内障、高眼圧症、ぶどう膜炎、眼内感染症等の予防又は治療剤として用いることができる。
【0110】
本発明のデポ剤は、薬物を含有しない場合、例えば、製剤設計に際し製剤全体のデポ形成性の試験や投与練習等に用いることができる。
本発明のデポ剤は、また、薬物を含有する場合、例えば眼疾患の予防及び/又は治療用の注射剤として用いることができる。かかるデポ剤としては、例えば硝子体内に投与すれば投与部位近傍でデポを形成することができるので、眼疾患の患部(例えば網脈絡膜)に薬物を効果的かつ持続的に供給することができる。
【0111】
上記の本発明のデポ剤の詳細な説明は、本発明の眼疾患の予防薬及び/又は治療薬としての使用のためのクエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキル、及び、デポ形成方法にも適用される。
【0112】
クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルを含有する液状組成物を水、リン酸緩衝液、体液又は疑似体液に接触させることを含む、デポ形成方法であって、該クエン酸トリアルキル及び該クエン酸アセチルトリアルキルがそれぞれ有するアルキル基は、同一又は異なって、炭素原子数が3〜5である、デポ形成方法もまた、本発明の一つである。上記クエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルは、本発明のデポ剤の必須成分であるクエン酸トリアルキル及び/又はクエン酸アセチルトリアルキルと同じである。体液としては、例えば、涙液、前房水、硝子体液等が挙げられる。
【0113】
以下に製剤例及び試験結果を示すが、これらは本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0114】
製剤例
以下に本発明の代表的な製剤例を示す。
【0115】
製剤例1
薬物 4g
クエン酸トリ−n−ブチル 45g
PEG400 55g
【0116】
製剤例2
薬物 4g
クエン酸トリ−n−ブチル 60g
PEG400 40g
【0117】
製剤例3
薬物 4g
クエン酸アセチルトリ−n−ブチル 45g
PEG400 55g
【0118】
製剤例4
薬物 4g
クエン酸アセチルトリ−n−ブチル 60g
PEG400 40g
【0119】
製剤例5
薬物 4g
クエン酸アセチルトリ−n−ブチル 25g
安息香酸ベンジル 25g
PEG400 50g
【0120】
製剤例6
薬物 4g
クエン酸アセチルトリ−n−ブチル 30g
安息香酸ベンジル 30g
PEG400 40g
【0121】
なお、上記製剤例1〜6における薬物、クエン酸トリアルキル、クエン酸アセチルトリアルキル、添加剤、溶媒の種類及び配合量を適宜調整し所望のデポ剤を得ることができる。
【0122】
1.デポ消失試験
クエン酸アセチルトリエチル(ATEC)及びクエン酸アセチルトリ−n−ブチル(ATBC)の溶媒中消失を評価した。
【0123】
1−1.放出溶媒の調製
ビーカーに注射用水を800mL、ポリソルベート80を1g、リン酸二水素ナトリウム3g、リン酸水素ナトリウム水和物29gを加え、撹拌溶解した。注射用水で1Lにメスアップした。
【0124】
1−2.消失試験
5mLの規格瓶に37℃に加温した放出溶媒5mLを加えた。該放出溶媒に、30G注射針を装着したハミルトンシリンジを用いて被験製剤0.05mLを投与し、投与直後並びに投与から1日後及び37日後において目視で観察した。
【0125】
1−3.試験結果及び考察
試験結果を表1に示す。試験結果の写真を
図1に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
表1に示すように、実施例1の製剤は、比較例1の製剤に比べて、形成されたデポが長期間維持され、投与の37日後においてもデポが確認された。以上から、本発明のデポ剤は、投与された後、長期間デポ状態を維持できることが確認された。また、デポ剤が薬物を含有する場合には薬物を長期間にわたり徐放し得ることが示唆された。
【0128】
2.各薬物を用いたデポ剤の製剤化検討
クエン酸アセチルトリ−n−ブチル(ATBC)を用いて、各種薬物でのデポ剤の製剤化を検討した。
【0129】
2−1.製剤化検討1
30mgのネパフェナク(Nepafenac)、デキサメタゾン(Dexamethasone)、インドメタシン(Indomethacin)、ジクロフェナクナトリウム(Diclofenac Sodium)、レボフロキサシン(Levofloxacin)、チモロールマレイン酸塩(Timolol maleate)、フルオシノロンアセトニド(Fluocinolone acetonide)、トリアムシノロンアセトニド(Triamcinolone acetonide)、ブデソニド(Budesonide)をそれぞれ規格瓶に秤量し、ジメチルスルホキシド0.3mLを加えて溶解し、さらにクエン酸アセチルトリ−n−ブチル又はクエン酸トリ−n−ブチル2.7mLを加えて混和し、実施例2〜8及び実施例13〜19の製剤を調製した。
30mgのINCB28050をそれぞれ規格瓶に秤量し、ジメチルスルホキシド1.5mLを加えて溶解し、さらにクエン酸アセチルトリ−n−ブチル又はクエン酸トリ−n−ブチル1.5mLを加えて混和し、実施例9及び実施例10の製剤を調製した。
30mgのシクロスポリン A(Ciclosporin A)をそれぞれ規格瓶に秤量し、クエン酸アセチルトリ−n−ブチル又はクエン酸トリ−n−ブチル3mLを加えて溶解及び混和し、実施例11及び12の製剤を調製した。
【0130】
【表2】
【0131】
【表3】
【0132】
【表4】
【0133】
2−2.製剤化検討2
5mgのオロパタジンを規格瓶に秤量し、ジメチルスルホキシド0.5gを加えて溶解し、さらにクエン酸アセチルトリ−n−ブチルを製剤の全量が5mLになるように加えて混和し、実施例20の製剤を調製した。
【0134】
【表5】
【0135】
表2〜5に示す各製剤はいずれも薬物を溶解したことから、本発明のデポ剤は種々の薬物において製剤化することが可能であることが示唆された。
【0136】
3.徐放性評価試験(1)
本発明のデポ剤の薬物徐放性を評価した。
【0137】
3−1.被験製剤の調製
10mgのラタノプロストを規格瓶に秤量し、クエン酸アセチルトリエチル1mLを加えて溶解し、比較例2の製剤を調製した。また、50mgのラタノプロストを規格瓶に秤量し、各々クエン酸トリ−n−ブチル又はクエン酸アセチルトリ−n−ブチル5mLを加えて溶解し、実施例21〜22の製剤を調製した。
【0138】
3−2.放出溶媒の調製
ビーカーに注射用水を800mL、ポリソルベート80を1g、リン酸二水素ナトリウム3g、リン酸水素ナトリウム水和物29gを加え、撹拌溶解した。注射用水で1Lにメスアップした。
【0139】
3−3.放出試験
5mLの規格瓶に37℃に加温した放出溶媒5mLを加えた。30G注射針を装着したハミルトンシリンジを用いて被験製剤0.025mLを投与し、37℃86rpmで撹拌した。被験製剤投与の1、4、7、11、14、18、21、25及び28日後に放出溶媒0.75mLを採取し、アセトニトリル/水(体積比で1:1)0.75mLで希釈した。規格瓶には新しい放出溶媒0.75mLを加えた。採取した放出溶媒中のラタノプロストの含量をHPLCで測定し、投与後の累積放出率を算出した。
【0140】
3−4.試験結果及び考察
試験結果を表2に示す。
【0141】
【表6】
【0142】
表6に示すように、比較例2の製剤が投与の11日後にラタノプロストを107.7%放出したのに対し、実施例21〜22の製剤は、投与の11日後においてもラタノプロストを54.4〜80.3%しか放出しなかった。さらに実施例21〜22の製剤は、投与の28日後まで持続的な放出を示した。以上から、本発明のデポ剤は、薬物を徐放することが確認された。また、基剤としてクエン酸トリ−n−ブチルを用いた実施例21の製剤は、基剤としてクエン酸アセチルトリ−n−ブチルを用いた実施例22の製剤よりも徐放性が高かった。このことから、目的とする徐放性の程度に応じて例えば基剤の種類を選択すること等により徐放性を制御できることが確認された。
【0143】
4.徐放性評価試験(2)
本発明のデポ剤の薬物徐放性を評価した。
【0144】
4−1.被験製剤の調製
6mgの(6−{[4−(ピラゾール−1−イル)ベンジル](ピリジン−3−イルスルホニル)アミノメチル}ピリジン−2−イルアミノ)酢酸イソプロピル(以下、化合物Aともいう)をメスフラスコに秤量し、クエン酸トリ−n−ブチル又はクエン酸アセチルトリ−n−ブチルで溶解し、3mLにメスアップして、実施例23及び24の製剤を調製した。
6mgの化合物Aをメスフラスコに秤量し、PEG400を0.3mL加え、クエン酸トリ−n−ブチルで溶解し、3mLにメスアップして、実施例25の製剤を調製した。
6mgの化合物Aをメスフラスコに秤量し、スクロースオクタアセテート500mgをクエン酸トリ−n−ブチル5mLで溶解した液1mLを加え、クエン酸トリ−n−ブチル3mLでメスアップして、実施例26の製剤を調製した。
各10mgの化合物Aを規格瓶に秤取し、クエン酸アセチルトリ−n−ブチル、安息香酸ベンジル、PEG400の混液5mLにて溶解して、実施例27〜30の製剤を調製した。
また、10mgの化合物Aを規格瓶に秤取し、クエン酸アセチルトリ−n−ブチル、安息香酸ベンジル、PEG400、ビタミンEの混液5mLにて溶解して、実施例31の製剤を調製した。
【0145】
4−2.放出溶媒の調製
ビーカーに注射用水を800mL、ポリソルベート80を1g、リン酸二水素ナトリウム3g、リン酸水素ナトリウム水和物29gを加え、撹拌溶解した。注射用水で1Lにメスアップした。
【0146】
4−3.放出試験
5mLの規格瓶に37℃に加温した放出溶媒5mLを加えた。30G注射針を装着したハミルトンシリンジを用いて被験製剤0.025mLを投与し、37℃86rpmで撹拌した。被験製剤投与の1、3又は4、7、14、21及び28日後に放出溶媒0.75mLを採取し、アセトニトリル/水(体積比で1:1)0.75mLで希釈した。規格瓶には新しい放出溶媒0.75mLを加えた。採取した放出溶媒中の化合物A及びクエン酸トリ−n−ブチル又はクエン酸アセチルトリ−n−ブチルの含量をHPLCで測定し、投与後の累積放出率を算出した。
【0147】
4−4.試験結果及び考察
試験結果を表7及び表8に示す。
【0148】
【表7】
【0149】
【表8】
【0150】
表7に示すように、実施例23〜26の製剤は、投与の7日後においても化合物Aを7.3〜13.0%しか放出しなかった。また、基剤であるクエン酸トリ−n−ブチル又はクエン酸アセチルトリ−n−ブチルも、投与の7日後においても5.5〜7.5%しか放出されなかった。以上から、本発明のデポ剤は、薬物を徐放することが確認された。さらに表8に示すように、薬物以外の成分の全量に対するクエン酸アセチルトリ−n−ブチルの配合比率10%(v/v)〜40%(v/v)で調製された実施例27〜31の製剤について、投与後28日での化合物Aの累積放出率は42.4%〜69.0%であり、いずれの配合比率においても持続的に薬物を放出できることが確認された。
【0151】
5.徐放性評価試験(3)
本発明のデポ剤の薬物徐放性を評価した。
【0152】
5−1.被験製剤の調製
32mgの(2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(以下、化合物Bともいう)にPEG400を1mL加え、撹拌溶解して、比較例3の製剤を調製した。
32mgの化合物BにPEG400を0.5mL、クエン酸トリ−n−ブチル0.5mLを加え、撹拌溶解して、実施例32の製剤を調製した。
32mgの化合物BにPEG400を0.5mL、クエン酸トリ−n−ブチル0.1mL、クエン酸アセチルトリ−n−ブチル0.4mLを加え、撹拌溶解して、実施例33の製剤を調製した。
32mgの化合物Bにジメチルスルホキシドを0.5mL、クエン酸トリ−n−ブチル0.5mLを加え、撹拌溶解して、実施例34の製剤を調製した。
32mgの化合物Bにグリコフロールを0.5mL、クエン酸トリ−n−ブチル0.5mLを加え、撹拌溶解して、実施例35の製剤を調製した。
【0153】
5−2.放出溶媒の調製
10L容器にダルベッコPBS(−)粉末「ニッスイ」を76.8g秤取し、精製水8Lを加えて溶解した。さらに、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(MYS40)8gを投入し、撹拌溶解した。
【0154】
5−3.放出試験
30mLの規格瓶に37℃に加温した放出溶媒25mLを加えた。30G注射針を装着したハミルトンシリンジを用いて被験製剤0.025mLを投与し、37℃86rpmで撹拌した。被験製剤投与の1、5及び7日後に放出溶媒0.75mLを採取し、アセトニトリル/水(体積比で1:1)0.75mLで希釈した。規格瓶には新しい放出溶媒0.75mLを加えた。採取した放出溶媒中の化合物Bの含量をHPLCで測定し、投与後の累積放出率を算出した。
【0155】
5−4.試験結果及び考察
試験結果を表9に示す。
【0156】
【表9】
【0157】
表9に示すように、比較例3の製剤が投与の7日後に化合物Bを50%以上放出したのに対し、実施例32〜35の製剤は、投与の7日後においても化合物Bを10.6〜18.9%しか放出しなかった。以上から、本発明のデポ剤は、薬物を徐放することが確認された。
【0158】
6.徐放性評価試験(4)
本発明のデポ剤の薬物徐放性を評価した。
【0159】
6−1.被験製剤の調製
30mgのINCB28050を規格瓶に秤量し、1.5mLのジメチルスルホキシドで溶解し、さらに1.5mLのクエン酸アセチルトリエチルを混和し、比較例4の製剤を調製した。また、実施例10で調製した製剤を用いた。
【0160】
6−2.放出溶媒の調製
ビーカーに注射用水を800mL、ポリソルベート80を1g、リン酸二水素ナトリウム3g、リン酸水素ナトリウム水和物29gを加え、撹拌溶解した。注射用水で1Lにメスアップした。
【0161】
6−3.放出試験
5mLの規格瓶に37℃に加温した放出溶媒5mLを加えた。30G注射針を装着したハミルトンシリンジを用いて被験製剤0.025mLを投与し、37℃86rpmで撹拌した。被験製剤投与の1、3及び7日後に放出溶媒0.75mLを採取し、アセトニトリル/水(体積比で1:1)0.75mLで希釈した。規格瓶には新しい放出溶媒0.75mLを加えた。採取した放出溶媒中のINCB28050の含量をHPLCで測定し、投与後の累積放出率を算出した。
【0162】
6−4.試験結果及び考察
試験結果を表10に示す。
【0163】
【表10】
【0164】
表10に示すように、比較例4の製剤では投与後3日までにINCB28050を投与量の91.5%放出したのに対し、実施例10の製剤では、投与の7日後においてもINCB28050を投与量の89.6%しか放出しておらず、本デポ剤により徐放性が改善されることが確認された。
【0165】
7.徐放性評価試験(5)
本発明のデポ剤の薬物徐放性を評価した。
【0166】
7−1.被験製剤の調製
30mgのシクロスポリン A(Ciclosporin A)を規格瓶に秤量し、3mLのクエン酸アセチルトリエチルを加え溶解及び混和し、比較例5の製剤を調製した。また、実施例11及び12で調製した製剤を用いた。
【0167】
7−2.放出溶媒の調製
ビーカーに注射用水を800mL、ポリソルベート80を1g、リン酸二水素ナトリウム3g、リン酸水素ナトリウム水和物29gを加え、撹拌溶解した。注射用水で1Lにメスアップした。
【0168】
7−3.放出試験
5mLの規格瓶に37℃に加温した放出溶媒5mLを加えた。30G注射針を装着したハミルトンシリンジを用いて被験製剤0.025mLを投与し、37℃86rpmで撹拌した。被験製剤投与の1、3及び7日後に放出溶媒0.75mLを採取し、アセトニトリル/水(体積比で1:1)0.75mLで希釈した。規格瓶には新しい放出溶媒0.75mLを加えた。採取した放出溶媒中のCiclosporin Aの含量をHPLCで測定し、投与後の累積放出率を算出した。
【0169】
7−4.試験結果及び考察
試験結果を表11に示す。
【0170】
【表11】
【0171】
表11に示すように、比較例5の製剤では投与後28日においてCiclosporin Aが投与量の66.3%放出したのに対し、実施例11及び12の製剤では、投与の28日後においてもそれぞれ投与量のCiclosporin Aの46.2%及び45.6%しか放出しておらず、本デポ剤により徐放性が改善されることが確認された。
【0172】
8.徐放性評価試験(6)
本発明のデポ剤の動物での薬物徐放性を評価した。
【0173】
8−1.被験製剤の調製
240mgのシロリムスを規格瓶に秤量し、0.8mLのジメチルスルホキシドを加えて溶解後、クエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリ−n−ブチルを7.2mL加え混和した後、孔径0.20μmのフィルターでろ過滅菌を行い、比較例6及び実施例36の製剤を調製した。
240mgのシロリムスを規格瓶に秤量し、予め混和した安息香酸ベンジル/エタノール(体積比で40:5)を3.6mL又はビタミンE/安息香酸ベンジル/エタノール(体積比で1:40:5)を3.68mL加えて溶解後、クエン酸アセチルトリ−n−ブチルを4.4mL又は4.32mL加え混和した後、孔径0.20μmのフィルターでろ過滅菌を行い、実施例37及び実施例38の製剤を調製した。
【0174】
8−2.ウサギ薬物動態評価
30G注射針を装着したハミルトンシリンジを用いて、白色ウサギの1眼あたり0.03mLにて比較例6及び実施例36〜38のデポ剤をそれぞれ硝子体内投与した。投与後4週間後及び12週間後に、ペントバルビタールナトリウムの静脈内投与による過麻酔により安楽殺を施して眼球を摘出した。摘出眼球は直ちに凍結し、デポ剤を含む状態にて硝子体を採取した。各採取時点の硝子体におけるシロリムス濃度をLC−MS/MSを用いて測定し、投与後の薬物残量を評価した。
【0175】
8−3.試験結果及び考察
試験結果を表12に示す。
【0176】
【表12】
【0177】
表12に示すように、比較例6の製剤では投与後4週間においてシロリムスが投与量の10.0%しか残存していないのに対し、実施例36の製剤では投与量の67.3%、実施例37では71.1%、実施例38では83.7%も残存した。以上の結果より、本デポ剤により徐放性が改善されることが確認された。
【0178】
9.徐放性評価試験(7)
本発明のデポ剤の動物での薬物徐放性を評価した。
【0179】
9−1.被験製剤の調製
15mgのラタノプロストを規格瓶に秤量し、クエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリ−n−ブチルを3mL加え溶解及び混和した後、孔径0.20μmのフィルターでろ過滅菌を行い、比較例7及び実施例39の製剤を調製した。
【0180】
9−2.ウサギ薬物動態評価
30G注射針を装着したハミルトンシリンジを用いて、白色ウサギの1眼あたり0.02mLにて比較例7及び実施例39のデポ剤をそれぞれ硝子体内投与した。投与後2週間後及び4週間後に、ペントバルビタールナトリウムの静脈内投与による過麻酔により安楽殺を施して眼球を摘出した。摘出眼球は直ちに凍結し、デポ剤を含む状態にて硝子体を採取した。各採取時点の硝子体におけるラタノプロスト濃度をLC−MS/MSを用いて測定し、投与後の薬物残量を評価した。また、虹彩毛様体中のラタノプロストカルボン酸体濃度についてもLC−MS/MSを用いて測定した。
【0181】
9−3.試験結果及び考察
試験結果を表13に示す。
【0182】
【表13】
【0183】
表13に示すように、ラタノプロスト残存率は、比較例7の製剤では投与後2週間において0.3%未満であったのに対し、実施例39の製剤では13.0%も残存した。また、標的組織である虹彩毛様体において、活性本体であるラタノプロストカルボン酸体濃度は、比較例7では投与後2週間において10.3ng/g未満であったのに対し、実施例39の製剤では57.1ng/gであり、投与後4週間後においても十分量の薬物濃度が定量された。以上の結果より、本デポ剤により徐放性が改善されることが確認された。
【0184】
10.徐放性評価試験(8)
本発明のデポ剤の動物での薬物徐放性を評価した。
【0185】
10−1.被験製剤の調製
15mgの化合物Aを規格瓶に秤量し、クエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリ−n−ブチルを3mL加え溶解及び混和した後、孔径0.20μmのフィルターでろ過滅菌を行い、比較例8及び実施例40の製剤を調製した。
15mgの化合物Aを規格瓶に秤量し、クエン酸アセチルトリ−n−ブチル、安息香酸ベンジル及びPEG400の混液を3mL加え溶解及び混和した後、孔径0.20μmのフィルターでろ過滅菌を行い、実施例41及び実施例42の製剤を調製した。
【0186】
10−2.ウサギ薬物動態評価
30G注射針を装着したハミルトンシリンジを用いて、白色ウサギの1眼あたり0.02mLにて比較例8、実施例40、実施例41及び実施例42のデポ剤をそれぞれ硝子体内投与した。比較例8及び実施例40については投与後4週間後及び12週間後に、実施例41及び42については投与後4週間後に、ペントバルビタールナトリウムの静脈内投与による過麻酔により安楽殺を施して眼球を摘出した。摘出眼球は直ちに凍結し、デポ剤を含む状態にて硝子体を採取した。各採取時点の硝子体における化合物A濃度をLC−MS/MSを用いて測定し、投与後の薬物残量を評価した。また、虹彩毛様体中の化合物Aカルボン酸体濃度についてもLC−MS/MSを用いて測定した。
【0187】
10−3.試験結果及び考察
試験結果を表14に示す。
【0188】
【表14】
【0189】
表14に示すように、化合物A残存率は、比較例8の製剤では投与後4週間において17.0%未満であったのに対し、実施例40〜42の製剤では74.8%〜79.1%も残存した。また、標的組織である虹彩毛様体において、活性本体である化合物Aカルボン酸体濃度は、比較例8の製剤では投与後4週間において20.0ng/gであったのに対し、実施例40〜42の製剤では68.3〜114ng/gであった。さらに投与後12週間後においても実施例40の方が比較例8よりも徐放性を示す結果であった。また、薬物以外の成分の全量に対するクエン酸アセチルトリ−n−ブチルの配合比率が30%(v/v)〜100%(v/v)にて同程度の徐放性を示しており、目的に応じて配合比を設計できることが確認された。以上の結果より、本デポ剤により徐放性が改善されることが確認された。
【0190】
11.安全性評価試験
本発明のデポ剤の安全性を評価した。
【0191】
11−1.被験製剤の調製
クエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリ−n−ブチルを孔径0.20μmのフィルターでろ過滅菌を行い、比較例9及び実施例43の製剤を調製した。
クエン酸アセチルトリ−n−ブチルを孔径0.20μmのフィルターでろ過滅菌を行い、実施例44の製剤を調製した。
【0192】
11−2.病理評価
30G注射針を装着したハミルトンシリンジを用いて、白色ウサギの1眼あたり比較例9及び実施例43の製剤0.05mLを硝子体内投与した。投与後2ヵ月後にペントバルビタールナトリウムの静脈内投与による深麻酔下で放血死させ、眼球を摘出した。眼球はF−G固定液(10%中性緩衝ホルマリン/2.5%グルタルアルデヒド)にて約24時間浸漬固定後に切り出し、さらに10%中性緩衝ホルマリンで再固定した。定法に従ってパラフィン包埋し、薄切は面出し終了後、鼻側から矢状面で耳側にかけて1mm間隔の間断連続切片を作製した。定法によりパラフィン切片を作製後、HE染色を施したのち、鏡検した。
実施例44の製剤について、放血死を投与後2ヵ月後に代えて投与後1ヵ月後に行うこと以外は上記と同様にして、切片を作製し、鏡検した。
【0193】
11−3.試験結果及び考察
試験結果を
図2、
図3、
図4及び表15に示す。
【0194】
【表15】
【0195】
図2及び
図3はそれぞれ比較例9及び実施例43の製剤近傍の網膜における鏡検写真(
図2は対物2.5倍及び
図3は10倍)を示す。
図2Aは眼球下側の網膜であり、図中の矢印で示す部位が菲薄化していることが認められた。
図2Bは
図2Aの拡大図であり、網膜は全層が壊死し、一部は石灰化していることが認められた。
表15では肉眼的及び組織学的所見を示している。肉眼的所見において、実施例43では透明物であるデポが観察されたのに対し、比較例9ではデポは確認できなかった。また、組織学的所見において、実施例43では被験製剤の影響を最も受けやすい眼組織において毒性所見(硝子体での肉芽腫及び炎症性細胞浸潤、網膜での限局性壊死等)は認められなかったが、比較例9では網膜において限局性の壊死が認められた。
以上の結果から、本デポ剤は、安全に使用できる基剤であることが確認された。
【0196】
図4は実施例44の製剤近傍の網膜における鏡検写真(対物10倍)を示しており、被験製剤の影響を最も受けやすい眼組織において毒性所見(硝子体での投与物を含む肉芽形成及び炎症細胞浸潤、網膜での萎縮/消失及び異形成等)は認められなかった。また、その他の眼組織についても毒性所見(隅角周囲での炎症細胞浸潤及び角膜実質での浮腫/炎症細胞浸潤等)は認められなかった。以上の結果から、本デポ剤は、安全に使用できる基剤であることが確認された。