特許第6872323号(P6872323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872323最大限に利用されたガス再循環を伴う、再生可能な材料の水素化処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872323
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】最大限に利用されたガス再循環を伴う、再生可能な材料の水素化処理方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 3/00 20060101AFI20210510BHJP
   C10G 45/62 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   C10G3/00 Z
   C10G45/62
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-143954(P2016-143954)
(22)【出願日】2016年7月22日
(65)【公開番号】特開2017-39910(P2017-39910A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2019年7月17日
(31)【優先権主張番号】1557053
(32)【優先日】2015年7月24日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー シャピュス
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック バザー−バチ
(72)【発明者】
【氏名】エロディ テリエ
(72)【発明者】
【氏名】イヴ シャルフ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン フェドゥ
(72)【発明者】
【氏名】オクタヴィオ カルヴァーリョ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ブーシェ
【審査官】 三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−519744(JP,A)
【文献】 特表2008−545035(JP,A)
【文献】 特表2010−509472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラフィン系炭化水素を生じさせるように、再生可能な供給源から得られる供給原料を水素化処理する方法であり、水素の存在下に固定床反応器において行われ、該固定床反応器は、複数の触媒帯域を有し、該複数の触媒帯域は、直列に配置されかつそれぞれは少なくとも1種の水素化処理触媒を含む、水素化処理方法であって、
a) 供給原料の全流Fを、触媒帯域の数nに等しい数の異なる供給原料分流F1〜Fnに分け、ここで、nは、2〜10の範囲内の整数であり、反応器において、供給原料の第1の分流F1を、第1の触媒帯域Z1に注入し、供給原料の第2の分流F2を、第2の触媒帯域Z2に注入し、nが2超であるならば同様の注入を行い、水素化処理方法を、180〜400℃の範囲内の温度、0.1〜15MPaの範囲内の圧力、0.1〜10h−1の範囲内の毎時空間速度で操作し、水素の流量対供給原料の流量の比は、150〜1500Nm/mの範囲内であり、第1の触媒帯域に送られる水素の質量流量は、水素化処理方法において用いられる水素の全質量流量の80重量%超を示し、パラフィン系炭化水素を含有する少なくとも1個の流出物を反応器出口から生じさせる工程、
b) 工程a)から得られた前記流出物は、少なくとも1回の分離工程を経て、少なくとも1個のガスフラクションとパラフィン系炭化水素を含有する少なくとも1個の液体フラクションとを分離する工程、
c) パラフィン系炭化水素を含有する前記液体フラクションの少なくとも一部(これを以下「液体再循環フラクション」と呼ぶ)を、第1の触媒帯域および以後の触媒帯域に、
− 床のそれぞれについての局所再循環比(TRn)、すなわち、前記液体再循環フラクションの流れと触媒帯域に導入された供給原料の分流Fnとの間の重量比が2以下であるように、
− 床のそれぞれにわたる局所希釈度(TDn)、すなわち、触媒帯域nに導入される液体およびガスの希釈流の量と触媒帯域に導入される供給原料の分流Fnとの間の重量比が4未満であるように、再循環させる、工程であって、
前記局所再循環比(TRn)は、以下の式によって表され:
TRn=(RL1+RL2+…+RLn−1+RLn)/Fn
前記局所希釈度(TDn)は、以下の式によって表され
TDn=((F1+…+Fn−1)+(RL1+…+RLn−1+RLn)+(RG1+…+RGn−1+RGn)/Fn
(これらの式中、
F:本発明方法において処理される再生可能な供給原料の全流、
F1:第1の触媒帯域Z1に導入される供給原料の分流、
F2:第2の触媒帯域Z2に導入される供給原料の分流、
F3:第3の触媒帯域Z3に導入される供給原料の分流、
等、・・・
Fn:最後の触媒帯域Znに導入される供給原料の分流、
RL1:第1の触媒帯域Z1に再循環させられる液体再循環流、
RL2:第2の触媒帯域Z2に再循環させられる液体再循環流、
等、・・・
RLn:最後の触媒帯域Znに再循環させられる液体再循環流、
RG1:第1の触媒帯域Z1に再循環させられるガス流(このガス流は、主として、水素を含む)、
RG2:第2の触媒帯域Z2に再循環させられるガス流(このガス流は、主として、水素を含む)、
等、・・・
RGn:最後の触媒帯域Znに再循環させられるガス流(このガス流は、主として、水素を含む)
工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記再生可能な供給源から得られる供給原料は、植物油、藻類からの油すなわち藻類油、魚油、使用済みクッキング油、植物または動物起源の脂肪、またはこのような供給原料の混合物から選択され、これらは、トリグリセリドおよび/またはフリーな脂肪酸および/またはエステルを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の触媒帯域に送られる水素の質量流量は、水素化処理方法において用いられる水素の全質量流量の90重量%超を示す、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
水素化処理方法において用いられる水素の質量流量の全体が、第1の触媒帯域Z1に送られる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
床のそれぞれにわたる局所再循環比、すなわち、前記液体再循環フラクションの流れと触媒帯域に導入される供給原料の分流Fnとの間の重量比が、1.7以下である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
床のそれぞれにわたる局所再循環比、すなわち、前記液体再循環フラクションの流れと触媒帯域に導入される供給原料の分流Fnとの間の重量比が1.5以下である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
水素化処理触媒は、水素化脱水素機能基と、担体とを含み、該水素化脱水素機能基は、ニッケルおよびコバルトから選択される第VIII族からの少なくとも1種の金属を含み、これらは、単独でまたは混合物として用いられ、該金属は、場合によっては、単独でまたは混合物として用いられる、モリブデンおよびタングステンから選択される第VIB族からの少なくとも1種の金属と会合し、該担体は、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、マグネシア、粘土およびこれら鉱物の少なくとも2種の混合物によって形成される群から選択される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
分離工程b)は、第1工程および第2工程の少なくとも2工程で行われ、第1工程では高温高圧分離器において水素、CO、CO、HS、軽質ガスおよび水素化脱酸素反応の間に形成された水を含むガスフラクションと、パラフィン系炭化水素を含有する液体フラクションとが分離され、第2工程では、前記ガスフラクションが、次いで、低温高圧分離器に送られて、水素、CO、CO、HS、軽質ガスおよび水素化脱酸素反応の間に形成された水を含むガスフラクションと、パラフィン系炭化水素を含有する液体フラクションとが分離される、前記請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
分離工程b)は、2工程で行われ、第1の分離は、低温高圧分離器において行われ、その後に、形成された水の少なくとも一部の分離工程が行われる、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
工程b)の終わりに分離されかつ水素を含む前記ガスフラクションは、工程a)に再循環させられる、請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
分離工程b)から得られたパラフィン系炭化水素を含有する液体フラクションの少なくとも一部は、水素化異性化触媒の存在下に水素化異性化させられる、請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記水素化異性化工程は、150〜500℃の範囲内の温度、1〜10MPaの範囲内の圧力で操作され、その際の毎時空間速度は、0.1〜10h−1の範囲内であり、水素流量は、水素/炭化水素の容積比が、70〜1000Nm/m(供給原料)の範囲内であるようにされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
水素化異性化触媒は、白金およびパラジウムおよびニッケルおよびコバルトから選択される第VIII族からの少なくとも1種の金属および/またはモリブデンおよびタングステンから選択される第VIB族からの少なくとも1種の金属と、少なくとも1種のモレキュラーシーブまたは無定形鉱物担体とを含み、白金およびパラジウムは、それらの還元された形態で活性にされ、ニッケルおよびコバルトは、それらの硫化物の形態で用いられる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
水素化異性化工程からの流出物は、少なくとも1回の分離工程および少なくとも1回の分画工程を経て、ガス留分、ガソリン留分およびケロセンおよび/またはディーゼルを含有する少なくとも1種の中間蒸留物留分を得るものであり、前記分離工程は、少なくとも1つのガスフラクション、水を含む少なくとも1つの液体フラクションおよび炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを分離するために用いられ、前記分画工程は、炭化水素を含む少なくとも1つのフラクションを分離するために用いられ、フラッシュ分離および/またはストリッピングカラムによる処理または常圧蒸留を含む、請求項11〜13のいずれか1つに記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能な材料、例えば、植物または動物起源の脂肪からの燃料としての使用のための、パラフィン系炭化水素の製造方法に関する。
【0002】
現在の国際的な状況は、第1に、燃料、特に、ガスオイルベースおよびケロセンについての必要性における急速な増加によって、第2に、地球温暖化と関連する問題の規模および温室効果ガスの放出によって注目される。これは、化石起源の原材料に関するエネルギー依存を低減させることおよびCO放出を低減させることの願望につながった。この関連で、再生可能な供給源から得られる新規な供給原料についての研究は、ますます重要な挑戦を構成する。挙げられてよいこのタイプの供給原料の例は、植物油(食物その他)または藻類から得られた油、および動物脂肪である。
【0003】
これらの供給原料は、主として、トリグリセリドとフリーの脂肪酸とからなり、これらの分子は、4〜24個の範囲内の炭素原子を含有する脂肪酸炭化水素の鎖を含み、一般的に、0〜3個の範囲内の複数個の不飽和結合を有し、例えば、藻類油の場合にはより多数である。再生可能な供給原料は、不純物、例えば、窒素含有化合物、およびリン、カルシウム、マグネシウム、鉄、カリウムおよびナトリウム等の元素を含有するリン脂質の形態にある金属を含有する。
【0004】
トリグリセリドの非常に高い分子質量(>600g/mol)および考慮下の供給原料の高い粘度が意味することは、直接的にまたは燃料ベース中の混合物としてそれらを用いることは、現代のエンジンにとって問題であることである。しかしながら、トリグリセリドを構成する炭化水素鎖は、本質的に線状であり、それらの長さ(炭素原子の数)は、燃料ベース中に存在する炭化水素に適合する。
【0005】
それ故に、良好な品質の、特に、仕様に直接的に適合したまたは原油から得られた他の留分と混合した後に適合した燃料ベース(ディーゼルおよびケロセンを含む)を得るようにこれらの燃料を変換することが必要である。ディーゼルは、仕様EN590に適合していなければならず、ケロセンは、「International Air Transport Association (IATA) Guidance Material for Aviation Turbine Fuel Specifications」において規定されている要件、例えば、ASTM D1655に適合していなければならない。
【0006】
一つの可能な戦略は、水素の存在下でのトリグリセリドの脱酸素化パラフィン燃料への触媒的変換(水素化処理)である。
【0007】
水素化処理の間に、トリグリセリドを含有する供給原料によって経験される反応は、以下の通りである。
・ トリグリセリドの脂肪酸およびエステルの炭化水素鎖の不飽和結合の水素化の反応、
・ 2つの反応経路による脱酸素化反応:
・ 水素化脱酸素(hydrodeoxygenation:HDO);水素の消費による水の形成および当初の脂肪酸鎖の炭素原子の数に等しい数の炭素原子を有する炭化水素(Cn)の形成に至る、
・ 脱炭酸/脱カルボニル;炭素の酸化物(一酸化炭素および二酸化炭素:COおよびCO)の形成および当初の脂肪酸鎖に比べて1つ少ない炭素原子を有する炭化水素(Cn−1)の形成に至る、
・ 水素化脱窒反応(hydrodenitrogenation reactions:HDN);NHの生成を伴って供給原料から窒素を除去し得る反応を示す。
【0008】
炭化水素鎖の不飽和結合(炭素−炭素二重結合)の水素化は、高度に発熱性であり、熱の放出によって引き起こされる温度上昇は、脱炭酸反応の割合が著しくなる温度をもたらし得る。水素化脱酸素反応および脱炭酸反応も発熱性の反応である。水素化脱酸素は、一般的に、脱炭酸/脱カルボニルより低い温度で有利とされ、このことは、収率の喪失をもたらす。水素化脱窒反応は、より困難であり、かつ、水素化及び水素化脱酸素のための温度より高い温度を必要とする。
【0009】
結果として、水素化処理セクションにおける温度の厳密なコントロールが必要であるのは、あまりに高すぎる温度は、要求されない二次的反応、例えば、ポリマー化、クラッキング、コーク堆積および触媒失活を有利とする不利益を受け得るであろうからである。
【背景技術】
【0010】
それ故に、特許文献1には、5重量%超のフリーな脂肪酸を含有する新鮮な植物油供給原料を含む供給原料の水素化処理方法が記載され、これは要求されない反応を生じさせる。この問題を減じるために、ガスオイルの製造方法が提案され、この方法では、供給原料は、水素化処理させられ、次いで、異性化させられ、前記供給原料は、5重量%超のフリーな脂肪酸と、少なくとも1種の希釈剤とを含有する新鮮な供給原料を含み、水素化処理工程は、200〜400℃の範囲内の温度で行われ、希釈剤対新鮮な供給原料の重量比は、5〜30の範囲内である。希釈剤は、生物学的起源その他の炭化水素化合物であってよく、好ましくは、方法から得られたリサイクル産品である。特許文献1には、水素化処理工程に入る全供給原料中の新鮮な供給原料(植物油)の量は、20重量%未満であることも記載されている。
【0011】
それ故に、水素化処理させられる前の新鮮な供給原料の非常に大きな希釈が二次反応から得られる生成物の生成を低減させかつ触媒の耐用期間を改善して約9月にわたる安定した操作条件を提供するために用いられ得ることが議論される。
【0012】
しかしながら、特許文献1において提案された方法は、以下の不利益を受ける;
・ 希釈剤の必要な量を提供するための再循環物の量が非常に多い。高い流量の液体を用いることは、高い圧力降下をもたらし、要求されている反応器の寸法にそれらを適合させるために既存の装置が改変されることを要求する、
・ 水素化処理触媒の適切な選択によって脱炭酸反応(COおよびCOの形成)により脱酸素を増進させることによって水素消費が低減させられる。しかしながら、脱炭酸によるトリグリセリドの脱酸素は、パラフィン収率における大きな喪失、COの作用を阻害することに起因する触媒活性の喪失およびCOの存在に起因する増大した腐食を引き起こす。
【0013】
特許文献2には、再生可能な出発材料、例えば、植物および動物起源の脂肪から得られる燃料(ディーゼル)の製造方法が記載されている。この方法は、第1の反応帯域において水素化および脱酸素によって再生可能な出発材料の第1の部分を処理し、第2の反応帯域において水素化および脱酸素によって再生可能な出発材料の第2の部分を処理することからなる。得られた炭化水素液体生成物の一部は、第1の反応帯域に再循環させられ、再生可能な出発材料の第1の部分についての再循環の容積比:2〜8(重量比:1.7〜6.9)を用いることによって反応混合物の水素溶解性が増大させられる。特許文献2には、それ故に、第1の床にわたる局所再循環容積比:2〜8(重量比:1.7〜6.9)が記載されている。液相中の水素の量が最大限にされるという事実は、触媒の失活率が低減させられ得ることを意味し、これは、圧力が低減させられることを意味するものであり、脱炭酸/脱カルボニル反応が有利とされ、水素化脱酸素反応が低減させられ、それ故に、水素消費が低減させられる。出発材料およびパラフィン性流出物における窒素の量に関しては何らの情報も提供されない。
【0014】
特許文献3には、再生可能な供給源、例えば、植物油から得られた供給原料からガスオイルを製造する方法が記載されている。この方法は、水素の存在下での水素化および脱酸素反応により反応帯域において前記供給原料を処理して、8〜24個の炭素原子を含有するパラフィンを生じさせることからなる。液体反応生成物の一部は、供給原料に対する再循環容積比:2〜8(重量比:1.7〜6.9)で反応帯域に再循環させられる。反応生成物の液体部分は、気体状化合物の分離の後に反応帯域に再循環させられる。特許文献3には、それ故に、液体再循環容積比:2〜8(または重量比:1.7〜6.9)が記載される。
【0015】
特許文献4には、直列に配置された水素化触媒を含む複数の触媒床を含有する固定床反応器システムにおけるトリグリセリドを含有する再生可能な供給源から得られた供給原料の水素化の連続的方法であって、この供給原料、水素含有ガスおよび希釈剤が水素化条件下に触媒床に注入される、方法が記載されている。供給原料は、流れの方向において種々の触媒床がますます多くの供給原料を受け取るように段階式注入によって導入される。希釈剤は、供給原料の流れにのみ加えられ、水素含有ガスは、第1の触媒床に入り、希釈剤は、加えられた希釈剤に加えて各触媒床において形成された水素化生成物からなり、これは、本発明の方法によって得られる水素化生成物の一部であり、これは、分離の後に反応器出口から回収される。反応器に再循環させられる生成物の量に対するこの制限は、反応器中の全流量、次いで、反応器の下流の水力(hydraulic)ヘッドを制限する。それ故に、第1の触媒床は、供給原料の分流F1、水素含有ガスの分流H1および再循環液体希釈剤によって構成される混合物を供給される。第2の触媒床は、供給原料の分流F2、水素含有ガスの分流H2並びに床1から得られた水素化生成物、未反応水素を含有するガスおよび床1への入口に加えられた希釈剤によって構成される混合物を供給される。希釈剤対供給原料の重量比は、触媒床の全てへの入口において本質的に同一であり、4以下である。特許文献4には、それ故に、液体流のみを考慮に入れておりガス流を考慮しない各床についての希釈比が記載されている。
【0016】
高液体再循環比の使用は、発熱性のより良好な管理を提供するために、特に、この方法の工業的操作に受け入れ可能な範囲内に各触媒帯域について出口温度と入口温度との間の温度差を維持するために知られている。
【0017】
しかしながら、本出願人は、種々の触媒帯域への供給原料の段階式注入を用いる、再生可能な供給源から得られた供給原料の水素化処理方法が、第1の触媒帯域に送られる水素の質量流量が水素化処理方法において用いられる水素の全質量流量の80重量%超を示すために、種々の触媒帯域において高い液体再循環を何等課すことなく発熱性の良好な管理を提供するために用いられ得ることを実証した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1741768号明細書(特表2008−545035号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0318737号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0082606号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第2226375号明細書(特開2015−7238号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
(発明の概要)
本発明の目的は、それ故に、再生可能な供給原料の水素化処理方法であって、発熱性の改善された管理を許容することができる一方で、再循環させられる液体の量を制限する、方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
それ故に、本発明は、再生可能な供給源から得られた供給原料を水素化処理して、パラフィン系炭化水素を提供する方法であり、水素の存在下に、直列に配置されかつそれぞれが少なくとも1種の水素化処理触媒を含む複数の触媒帯域を有する固定床反応器において行われる方法であって、
a) 供給原料の全流Fを、触媒帯域の数nに等しい数の異なる供給原料部分流F1〜Fnに分け、ここで、nは、1〜10の範囲内の整数であり、反応器において、供給原料の第1の分流F1を、第1の触媒帯域Z1に注入し、供給原料の第2の分流F2を、第2の触媒帯域Z2に注入し、nが2超であるならば同様の注入を行い、水素化処理方法を、180〜400℃の範囲内の温度、0.1〜15MPaの範囲内の圧力、0.1〜10h−1の範囲内の毎時空間速度で操作し、水素の流量対供給原料の流量の比は、150〜1500Nm/mの範囲内であり、第1の触媒帯域に送られる水素の質量流量は、水素化処理方法において用いられる水素の全質量流量の80重量%超を示し、反応器出口からパラフィン系炭化水素を含有する少なくとも1個の流出物を生じさせる工程、
b) 工程a)から得られた前記流出物は、少なくとも1回の分離工程を経て、少なくとも1個のガスフラクションとパラフィン系炭化水素を含有する少なくとも1個の液体フラクションとを分離する工程、
c) パラフィン系炭化水素を含有する前記液体フラクションの少なくとも一部を、第1の触媒帯域および続く触媒帯域に、
− 床のそれぞれについての局所再循環比、すなわち、前記再循環液体フラクションの流れと触媒帯域に導入された供給原料の分流Fnとの間の重量比が、2以下、好ましくは1.7以下、より好ましくは1.5以下であり、
− 床のそれぞれにわたる局所希釈比、すなわち、触媒帯域nに導入される液体およびガスの希釈流の量と触媒帯域に導入される供給原料の分流Fnとの間の重量比が、4未満、好ましくは3.8未満、より好ましくは3.5未満、大いに好ましくは3未満、より好ましくは2.5未満、再度より好ましくは2未満である、
ように再循環させる工程、
を含む方法に関する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一つの利点は、触媒帯域のそれぞれにわたって低い液体再循環比、特に、2未満を用いるにもかかわらず、種々の触媒帯域内で発熱性の最適にされた管理を提供する方法が提供されることにある。これは、特に、触媒帯域のそれぞれにわたる前記低い再循環比と第1の床への入口における高い水素流量との組合せのためである。
【0022】
本発明の別の利点は、低い液体再循環の使用にあり、これは、既存装置の改良を促進する。用語「改良(revamping)」は、生産、技術的、経済的および環境的性能並びに信頼性を増大させるために、既に操作しておりかつ必ずしも植物油の水素化処理のために必要な装置というわけではないが、例えば、ディーゼルタイプの化石供給原料の水素化処理のための装置であってもよい設備の設計を修正することを意味する。
【0023】
本発明の別の利点は、必要な液体再循環の量の低減にあり、これは、圧力降下を制限し、より小さい寸法を有する反応器が用いられ得ることを意味し、反応器の頭部における濃縮された水素の注入は、触媒床にわたる良好な分配が維持され得ることを意味する。
【0024】
本発明の別の利点は、再循環水素リッチガスの100%が反応器の頭部に注入される好ましい場合において、床の間のクエンチ帯域にガスを注入する必要がないことであり、これは、これらの帯域の設計並びにこれらの帯域の周囲の制御が、かなり単純化することを意味する。
【0025】
本発明の別の利点は、各触媒帯域への入口において水素化脱酸素に適合した温度に温度を制御することによって、脱炭酸反応を介して酸素を除去するよりむしろ、酸素を除去しかつ水を形成することにより水素化脱酸素経路を有利にすることからなる。この解決方法によって提供される利点は、パラフィン系炭化水素の収率における増加および形成されるCO/COの量における低減であり、これは、水素化処理触媒の活性に関するCOの阻害効果が制限され得、それ故に、用いられる触媒の量が低減させられ得ることを意味する。水素化脱酸素経路を有利にするという事実はまた、反応器中のCOの存在に起因する腐食が低減することおよびCOを分離するために要求されるアミンの量が低減することを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(発明の説明)
本発明による方法は、再生可能な起源の幅広い範囲の供給原料であって、本質的にトリグリセリドおよび脂肪酸からなるものをパラフィン系炭化水素、より精密には中間蒸留物(ケロセンおよび/またはガスオイル)に転化させることからなる。これらの供給原料は、一般的には、高分子質量(通常800g/モル超)によって特徴付けられ、それらを構成する脂肪酸鎖は、一般的には4〜30個の範囲内の炭素原子を含み、あるいは、より高い値に達し、鎖当たりの不飽和結合の数は、一般的に0〜3個の範囲内であり、より高い値が、所定の特定の供給原料について得られてもよい。
【0027】
本発明による再生可能な供給源から得られた供給原料は、有利には、植物油、藻類からの油すなわち藻類油、魚油、使用済みコーキング油、植物または動物起源の脂肪、または、このような供給原料の混合物から選択され、これらは、トリグリセリドおよび/またはフリーな脂肪酸および/またはエステルを含有している。
【0028】
本発明による方法によって転化し得る、挙げられてもよい供給原料の完全に網羅しているわけではない例のリストは以下の通りである:植物油、例えば、ナタネ、ヤトロファ、大豆、ヤシ、ヒマワリ、オリーブ、コプラ、カメリナ、魚油または従属栄養性または独立栄養性の藻類油、あるいは、動物脂肪、例えば、ビーフスエット、あるいは、製紙産業からの残渣(例えば、「トール油」)、または、これらの種々の供給原料の混合物である。
【0029】
これらの供給原料の全ては、高含有率の酸素、並びに供給原料の起源に応じて大きく可変な量で硫黄含有化合物とを有する他に、窒素含有化合物、および、金属、例えば、リン、カルシウム、マグネシウム、カリウムまたはナトリウムも有する。金属含有率は、2500ppmまでであってよい。窒素および硫黄の含有率は、それらの性質に応じて、一般的に約1〜100ppmの範囲内、好ましくは100ppm未満である。それらは、特定の供給原料について1重量%に達してよい。
【0030】
処理される供給原料は、加工されていないものであってよく、または、金属含有率を低減させることを目的とした精製または予備精製の処理を経たものであってもよい。この予備処理工程は、すでに行われたものであってもまたは水素化処理反応器の上流に配置された予備処理セクションにおいて行われてもよい。この任意的な予備処理工程は、固体、例えばアルミナまたはシリカ−アルミナ上の通過と関連した熱処理、あるいは水蒸気処理、または酸、例えば、リン酸による処理、あるいは、イオン交換樹脂による処理、あるいは、これらの予備処理工程のいくつかの組合せからなってもよい。一般に、予備処理は、食品目的のための精製油を取り扱う当業者に知られているあらゆる方法(脱ガム処理、脱リン(dephosphatation)等)を含んでよい。
【0031】
(水素化処理)
本発明による方法は、再生可能な供給源から得られた供給原料を水素化処理してパラフィン系炭化水素を生じさせる方法であって、水素の存在下に、直列に配置されかつそれぞれが少なくとも1種の水素化処理触媒を含む複数の触媒帯域を有する固定床反応器において行われる、方法に関する。
【0032】
本発明によると、前記供給原料は、水素リッチなガスと混合されるが、この水素リッチなガスは、供給原料の構成物とは対照的に他の不活性な炭化水素化合物、すなわち水素化処理触媒上にある時に反応しない化合物を含有してもよい。水素は、有利には、水素の補給によっておよび/または水素化処理工程の下流の分離工程b)から得られた水素リッチなガスを再循環させることからおよび/または本発明による水素化処理方法における後の工程から、好ましくは、後の水素化異性化工程の下流の分離工程から得られた水素リッチなガスを再循環させることから供給されてよい。実際に、補給水素は、水蒸気改質または接触改質を起源としてよく、その水素純度は、通常75〜99.9容積%の範囲内であり、存在する他のガスは、一般的に、メタン、エタン、プロパンおよびブタンである。水素化処理工程の下流の分離工程b)から得られたあるいは場合による水素化異性化工程の下流の分離工程から得られた水素リッチガスは、好ましくは、1回以上の中間精製処理を既に経たものであり、その後に、水素化処理方法および/または場合による水素化異性化工程に再循環させられる。
【0033】
本発明のより容易な理解のために、以下の定義が導入される。それらは、図2を参照する。本発明による方法の水素化処理反応器は、可変数nの触媒帯域を含んでよい。
【0034】
用語「触媒帯域」は、触媒床を意味する。各触媒帯域は、1以上の触媒の層を含んでよく、これは、同一であっても異なってもよく、場合によっては、不活性層によって補給される。触媒帯域は、同一または異なる触媒を含んでもよい。
【0035】
本発明によると、反応器は、n個の触媒帯域を含み、nは、1〜10の範囲内、好ましくは1〜6の範囲内、より好ましくは2〜5の範囲内、大いに好ましくは2〜4の範囲内、再度より好ましくは2〜3の範囲内の整数である。
【0036】
大いに好ましい実施形態において、反応器は、2個の触媒帯域を含む。
【0037】
流れの全ては、質量流量の点から表される。
F:本方法において処理される再生可能な供給原料の全流、
F1:第1の触媒帯域Z1に導入される供給原料の分流、
F2:第2の触媒帯域Z2に導入される供給原料の分流、
F3:第3の触媒帯域Z3に導入される供給原料の分流、
等、・・・
Fn:最後の触媒帯域Znに導入される供給原料の分流。
RL1:第1の触媒帯域Z1に再循環させられる液体再循環流、
RL2:第2の触媒帯域Z2に再循環させられる液体再循環流、
等、・・・
RLn:最後の触媒帯域Znに再循環させられる液体再循環流。
RG1:第1の触媒帯域Z1に再循環させられるガス流(このガス流は、主として、水素を含む)、
RG2:第2の触媒帯域Z2に再循環させられるガス流(このガス流は、主として、水素を含む)、
等、・・・
RGn:最後の触媒帯域Znに再循環させられるガス流(このガス流は、主として、水素を含む)。
【0038】
水素を含有するガス補給が任意の触媒帯域に供給される場合、この補給の質量流量は、前記帯域から再循環させられるガス流の質量流量に加えられ、それ故に、RG1、・・・RGn中に占められる。
【0039】
本明細書の残りの全体を通じて、用語「触媒帯域のそれぞれにわたる局所再循環比(TRn)」は、触媒帯域Z1〜Zn−1に供給する液体再循環流と触媒帯域Znに導入される液体再循環流との合計と、触媒帯域Znに導入される供給原料の分流(Fn)との間の重量比を意味する。
【0040】
実際に、触媒帯域Zn中を通過する液体再循環の全量は、触媒帯域Z1〜Zn−1に導入され、かつ触媒帯域Z1〜Zn−1に供給しおよびこれらの中を通過し、次いで、触媒帯域Znに供給しおよびこれの中を通過する液体再循環(RL1+RL2+・・・RLn−1)、並びに、触媒帯域Znに導入される液体再循環(RLn)を含む。
【0041】
それ故に、床のそれぞれについての局所再循環比は、以下の式によって表される:
TRn=(RL1+RL2+…+RLn−1+RLn)/Fn
触媒帯域1に関して、触媒帯域1にわたる局所再循環比は、第1の触媒帯域Z1に送られる液体再循環流(RL1)と第1の触媒帯域1に導入される供給原料の分流(F1)との間の重量比:TR1=RL1/F1である。
【0042】
本明細書の残りの全体を通じて、用語「触媒帯域のそれぞれにわたる供給原料の希釈度(TDn)」は、触媒帯域n中に到達する希釈液およびガス流の量と触媒帯域に導入される供給原料の分流Fnとの間の重量比を意味する。
【0043】
希釈度を計算するために、液体流およびガス流の両方による供給原料の希釈が考慮に入れられる。触媒帯域n中を通過する液体流およびガス流の量は、触媒帯域n−1に導入されかつ床n中を通過する液体再循環(RLn−1)、触媒帯域n−1において反応しなかった水素含有ガスによって構成されるガス再循環(RGn−1)、触媒帯域nに導入される液体およびガスの再循環(RLn+RGn)並びに触媒帯域n−1から得られた水素化処理された生成物を含む。各触媒床における供給原料の転化は100%であるとみなされ、したがって、触媒帯域n−1から得られた水素化処理された生成物の量は、それ故に、触媒帯域n−1に導入される供給原料の量(Fn−1)に等しい。
【0044】
それ故に、のそれぞれにわたる希釈度は、本発明により、以下の式:
TDn=((F1+…+Fn−1)+(RL1+…+RLn−1+RLn)+(RG1+…+RGn−1+RGn)/Fn
によって定義される。
【0045】
特に、触媒帯域1に関して、触媒帯域1にわたる供給原料の希釈度は、第1の触媒帯域Z1に送られる希釈液およびガスの再循環流(RL1+RG1)と第1の触媒帯域1に導入される供給原料の分流(F1)との間の重量比である:TD1=(RL1+RG1)/F1。
【0046】
本発明の方法の工程a)によると、供給原料の全流Fは、反応器中の触媒帯域の数nに等しい数の異なる分流F1〜Fnに分けられ、第1の部分供給原料流F1は、第1の触媒帯域に注入され、供給原料の第2の分流F2は、第2の触媒帯域に注入され、nが2超であるならば以下同様の注入がなされ、前記水素化処理方法は、180〜400℃の範囲内の温度、0.1〜15MPaの範囲内の圧力、0.1〜10h−1の範囲内の毎時空間速度で操作され、水素の流量と供給原料の流量との間の比は、150〜1500Nm/mの範囲内であり、第1の触媒帯域に送られる水素の質量流量は、水素化処理方法において用いられる水素の全質量流量の80重量%超を示し、反応器出口においてパラフィン系炭化水素を含有する少なくとも1個の流出物が生じさせられる。
【0047】
方法の開始段階の間を例外として、分離工程b)から得られたパラフィン系炭化水素を含有する前記液体フラクションの少なくとも一部は、第1の触媒帯域Z1および以下の触媒帯域Znに再循環させられる。パラフィン系炭化水素を含有する前記液体フラクションは、それ故に、供給原料のための液体希釈剤として作用する。
【0048】
本方法の水素化処理セクションは、処理される供給原料を完全に転化させるように設計され、したがって、生じた液体再循環物は、パラフィン系炭化水素の流れであり、このパラフィン系炭化水素の酸素含有率は、非常に低く、好ましくは、分析検出限界より低く、本質的にパラフィンからなる。結果として、この液体再循環は、種々の触媒帯域において起こる水素化処理反応に関して不活性であり、それ故に、供給原料に対する希釈液としてのみ作用し、これは、そこで生じる反応の発熱性に起因する第1の触媒帯域並びに以下の触媒帯域における温度上昇が制限されることを意味する。
【0049】
開始段階の間に、広範囲の炭化水素が注入されてよいのは、液体希釈剤、例えば、何等かの水素化処理された生成物に至るまでの軽質ガスオイル留分が第1の触媒帯域Z1および続く触媒帯域Znに再循環させるために利用可能であるからである。
【0050】
本発明によると、前記水素化処理方法は、180〜400℃の範囲内の温度、好ましくは200〜350℃の範囲内の温度、0.1〜15MPaの範囲内、好ましくは0.5〜10MPaの範囲内、より好ましくは1〜10MPaの範囲内の圧力、0.1〜10h−1の範囲内の毎時空間速度で操作され、水素の全流量と供給原料の全流量と間の比は、150〜1500Nm/mの範囲内である。
【0051】
上記に示されるように、水素は、過剰に用いられる。本発明による方法において、前記方法において用いられる水素の全量は、水素の全流量と供給原料の全流量との間の比が、150〜1500Nm/mの範囲内、好ましくは400〜1200Nm/mの範囲内、好ましくは600〜900Nm/mの範囲内になるようにされる。
【0052】
好ましくは、毎時空間速度(処理される供給原料の全体積流量と水素化処理セクションにおける触媒の全体積との間の比として定義される)は、0.1〜5h−1の範囲内、好ましくは0.1〜3h−1の範囲内である。
【0053】
本発明による水素化処理方法は、有利には、向流または上昇並流様式でまたは下降並流様式で、好ましくは下降並流様式で操作されてよい。
【0054】
本発明の不可欠な基準は、第1の触媒帯域に送られる、水素化処理方法において用いられる水素の全質量流量の80重量%超、好ましくは90重量%超、より好ましくは水素化処理方法において用いられる水素の質量流量の全てを示す水素の質量流量が、第1の触媒帯域Z1に送られるという事実に存在する。
【0055】
第1の触媒帯域Z1への入口において高流量のガスを用いることは、低流量の液体再循環物が触媒帯域の全てにおいて、特に第1の帯域において用いられ得ることを意味する(以下の帯域は、より上部の床において処理された供給原料から得られた希釈から利益を得る)。実際に、第1の触媒帯域Z1への入口における高流量のガスの使用は、反応の発熱の一部を吸収することによって反応性ガスの体積が加熱されることを意味する。非常に高い流量の液体再循環は、発熱を管理するためにもはや必要ではない。これは、ガスオイル等のオイルカットのための水素化処理反応器の寸法に匹敵する寸法を有する水素化処理反応器が用いられ得る(それ故に、コストが制限され得る)ことおよび圧力降下が制限され得ることおよび反応器の閉塞現象が回避され得ることを意味する。
【0056】
第1の触媒帯域における大量の水素の使用はまた、気相から液相への、それ故に触媒への水素の転移が促進されることを意味する。実際に、本発明の方法において、特に、第1の触媒帯域において、水素化脱酸素反応の全効率は、この転移の強度によって潜在的に制限される。実際に、触媒は、触媒に水素を供給することの困難性のために、水素化脱酸素反応の第1の段階において最適な方法で常に用いられるわけではない。気体から液体への転移は高いままであるが、供給原料を転化させるための水素についての要求に対応するために常に十分であるわけではない。第1の触媒帯域における水素の流量増加は、気−液転移を増加させる方向に動き、それ故に水素が触媒により良好に供給される。それ故に、これが最適な方法に用いられるのは、反応器の全効率が、気−液転移の強度によってより少なく制限されるからである。供給原料の等転化において、反応器中、特に第1の反応帯域中に配置されるべき触媒の量は、それ故に最適にされる。
【0057】
水素化処理方法において用いられる水素の全質量流量の80重量%超が第1の触媒帯域に送られる場合、1個以上の水素流が有利には第1の帯域の後の触媒帯域の間に注入されてよい。
【0058】
さらに、増加した割合の供給原料が連続的な触媒帯域へ注入されるように供給原料を種々の触媒帯域に注入すること(質量流量F1が帯域Z1に注入され、F2が帯域Z2へ等)が有利であることが発見された。これは、以下の関係によって表され得る:
Fn/F以下のF(n−1)/Fn;nが採用される触媒帯域の数である一般的な場合。
【0059】
それ故に、好ましくは、供給原料の種々の分流は、連続的な触媒帯域に、F1/FがF2/F以下であり、F2/F自体はF3/F以下であり、以下同様にF(n−1)/FがFn/F以下になるまで増加する割合で注入される。
【0060】
種々の連続的な触媒帯域におけるこのような供給原料の分配によって提供される利点は、種々の帯域についての出口温度が増加するプロファイルに従うという事実にあり、このことは、各触媒帯域についての出口温度と入口温度との間の温度差が各触媒帯域について同等であることを意味する。
【0061】
第1の触媒帯域Z1の下流に位置する触媒帯域への入口に注入される供給原料の分流は、有利には、帯域Z1への入口に注入される供給原料の流れと厳密に同一であってよいが、再生可能な起源ではあるが異なる性質の供給原料であってもよい。
【0062】
それ故に、全供給原料は、種々の連続的な触媒帯域に供給する種々の流れF1、F2、・・・Fnに分配される。水素リッチなガスの補給が、場合によっては、第1の触媒帯域Z1の上流、さらには、第1に続く触媒帯域ZnとZn+1の間に注入されてよい。供給原料の流れF1は、場合によっては、ガスを含有する水素の補給を補充され、このものは、液体およびガスの再循環流(RL1+RG1)と、好ましくは、前記供給原料の流れF1が第1の触媒帯域Z1に送られる前に、または、第1の触媒帯域Z1に直接的に混合される。同様に、供給原料の流れ(F2)は、場合によっては、水素含有ガスの補給を補充され、このものは、液体再循環流RL2および水素化処理方法において用いられる水素の質量流量の100%が第1の触媒帯域Z1に送られない場合には適宜のガス流RG2と混合され、n番目の触媒帯域まで同様になされる。
【0063】
同じ方法で、第1帯域の下流の触媒帯域F2〜Fnに注入される供給原料の分流は、場合によっては、水素含有ガスの補給を補充され、かつ対応する液体再循環流RL2〜RLnおよびガス再循環流RG2〜RGnと混合され、このものは、先行触媒帯域から得られた化合物と、好ましくは、前記触媒帯域の間の混合帯域において混合される。前記の供給原料の分流は、場合によっては、それらを混合する前に触媒帯域の間の混合帯域に直接的に送られてもよい。
【0064】
それ故に、第2の触媒帯域に入る流れは以下の通りである:
・ 帯域Z2への入口に注入される供給原料(F2);重量比F2/Fが、重量比F1/F以上であるようにされ、
・ 帯域Z2への入口に注入される液体再循環物(RL2);ほとんどパラフィン系炭化水素のみからなる、
・ 帯域Z2への入口に注入されるガス再循環物(RG2);主として水素からなるが、RG2中に占められる水素含有ガスの場合による補給も含む;
・ 触媒帯域1から得られた触媒帯域から得られた液体およびガスの流れ:(質量流量としてのRL1+RG1+F1):
・ RL1は、帯域Z1への入口に注入される液体再循環物である;ほとんどパラフィン系炭化水素のみからなり、帯域Z1中を通過したものである、
・ RG1は、帯域Z1への入口に注入されるガス再循環物である;帯域Z1において反応しなかった水素から主としてなる、
・ F1は、帯域Z1における供給原料の転化によって形成された水素化処理済みの流出物に対応し、適用される操作条件が各触媒帯域において供給原料の100%転化を得るために用いられ得ることを仮定する。この流出物中に存在する液体炭化水素は、酸素不含有であり、ほとんどパラフィン系炭化水素のみである。
【0065】
水素化処理方法への導入の前に、供給原料の分流F1、F2、・・・Fnの温度は、有利には150℃未満である。十分な粘度低減およびそれ故の格納タンクから水素化処理反応セクションへの適正な移動を許容することが十分でなければならない。例えばポリマー化の結果としてのおよびコーキングの結果としての供給原料のあらゆる劣化を回避するために、および第1の帯域に続く触媒帯域への入口における温度を制御するために、水素の非存在下に供給原料の温度をより高い値に上昇させることは有用でも望みでもない。
【0066】
同様に、注入される再循環ガスRG1〜RGnは、場合によっては、触媒帯域Z1〜Znへの入口において主として水素からなる補給水素と混合され、このものは、供給原料の分流と混合されるが、注入される再循環ガスRG1〜RGnの温度は、方法の操作に適合するように可及的に低い。低い温度で供給原料を水素と混合して、クエンチ効果により、種々の触媒帯域を出る炭化水素生成物に適用される温度を低下させることは方法にとって有利であるからである。
【0067】
触媒帯域Z1への入口に注入される全流(液体+ガス)(供給原料+液体再循環物+ガス再循環物+任意の補給H)の温度は、注意深く調節されなければならない。
【0068】
しかしながら、触媒帯域において起こる水素化脱酸素および/または脱炭酸の反応が発熱性であるので、種々の触媒帯域において供給原料が変換されるにつれて温度は上昇する。
【0069】
好ましくは、第1の触媒帯域Z1への入口における温度は、180℃超、好ましくは200℃超であり、前記第1の帯域からの出口における温度は、好ましくは350℃未満、より好ましくは320℃未満、一層より好ましくは300℃未満である。
【0070】
第1に続く触媒帯域のそれぞれへの入口における温度も、先行する触媒帯域からの出口における混合温度があまりに高すぎず、ポリマー化、分解および触媒の失活等の二次反応が回避されるように制御されなければならない。
【0071】
第1の帯域に続く触媒帯域への入口における温度は、有利には、先行する帯域への入口における温度より高くてよく、一般的には300℃未満、好ましくは280℃未満である。
【0072】
第1の帯域に続く少なくとも1個の触媒帯域からの出口における温度は、好ましくは260℃超、好ましくは280℃超である。第1の帯域に続く触媒帯域のそれぞれからの出口における温度は、好ましくは400℃未満、より好ましくは380℃未満、一層より好ましくは350℃未満である。
【0073】
一般的に、各触媒帯域についての出口温度と入口温度との間の温度差は、1〜80℃の範囲内、好ましくは20〜78℃の範囲内、より好ましくは25〜75℃の範囲内であり、この温度差は、維持される。
【0074】
供給原料の分流F2〜Fnは、第1の触媒帯域Z1の下流に位置する触媒帯域に注入される液体再循環物RL2〜RLnおよびガス再循環物RG2〜RGnを補給され、これらの触媒帯域において、それらは、帯域n−1からの水素化処理済みの流出物と混合され、これらは、形成された水素化処理生成物の温度を低下させるためおよびそれ故に次の触媒帯域への入口における温度を制御するために用いられ得る。同系統の反応が帯域Znおよび帯域Zn−1において起こるが、帯域Zn−1におけるのよりわずかに速い速度論(kinetics)を有する。平均温度がより高いからである。
【0075】
好ましいバリエーションにおいて、供給原料の分流、液体再循環物および水素含有ガスを調整するためのバルブが、第1の触媒帯域への入口における温度についての値および各触媒帯域からの出口における温度と各触媒帯域への入口における温度との差によって制御されて、操作中の供給原料の分流および水素並びに液体再循環物の流れを調節するようにしてよい。同様に、温度は、供給原料および/または注入された水素および/または液体およびガスの再循環物の温度を変動させることによって制御されてよい。この方法で、触媒帯域への入口における所望の温度および/または触媒帯域における温度差が維持され、好ましくは、触媒帯域おける上昇する温度プロファイルが調整される。
【0076】
本発明によると、パラフィン系炭化水素を含有する前記液体フラクションの少なくとも一部は、第1の触媒帯域および以下の触媒帯域に、
・ 床のそれぞれにわたる局所再循環比、すなわち、前記液体再循環フラクションの流れと触媒帯域に導入される供給原料の分流Fnとの間の重量比が、2以下、好ましくは1.7以下、より好ましくは1.5以下である
ように再循環させられる。
【0077】
高い液体再循環比を用いることは、発熱性のより良好な管理を許容するため、特に、各触媒帯域についての出口および入口の温度の間の温度差を、方法の工業的操作にとって受け入れることのできる範囲内に維持するために知られている。驚くべきことに、低い再循環比を用いるにも拘わらず、第1の床への入口における前記低い再循環比と高流量の水素との組み合わせのおかげで、本発明は、種々の触媒帯域における発熱性の管理を最適にするために用いられ得る。
【0078】
さらに、低い液体再循環を用いることにより、既存の装置を改良することが容易になる。用語「改良」は、生産性、技術的、経済的および環境的な性能並びに信頼性を高めるためにすでに用いられている中にある設備設計を訂正することを表すために用いられる。
【0079】
好ましくは、床のそれぞれにわたる局所希釈度、すなわち、触媒帯域nに導入される液体およびガスの流れの量と触媒帯域に導入される供給原料の分流Fnとの間の重量比は、4未満、好ましくは3.8未満、より好ましくは3.5未満、大いに好ましくは3未満、一層より好ましくは2.5未満、一層より好ましくは2未満である。
【0080】
本発明によると、各触媒帯域は、少なくとも1種の水素化処理触媒を含む。
【0081】
本発明による方法において用いられる水素化処理触媒の種類は、当業者に周知であり、下記に記載される触媒の組み合わせであってよい。単一種の触媒または複数種の同一のまたは異なる触媒が、有利には、触媒帯域において用いられてよい。不活性固体が、触媒床における良好な流体力学を保証するために触媒床の頭部および/または底部に加えられてもよい。
【0082】
水素化処理触媒は、有利には、水素化脱水素機能基と、担体とを含む水素化触媒であり、この水素化脱水素機能基は、第VIII族からの少なくとも1種の金属を含み、好ましくは、ニッケルおよびコバルトから選択され、これらは、単独でまたは混合物として用いられ、好ましくは、第VIB族からの少なくとも1種の金属と会合し、これは、好ましくはモリブデンおよびタングステンから選択され、単独でまたは混合物として用いられ、担体は、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、マグネシア、粘土およびこれらの材料の少なくとも2種の混合物によって形成される群から選択される。この担体は、有利には、他の化合物、例えば、酸化ホウ素、ジルコニア、酸化チタンによって形成される群から選択される酸化物および無水リン酸を含んでもよい。好ましい担体は、アルミナ担体である。
【0083】
好ましくは、アルミナ担体上のNiMoタイプの触媒が用いられる。
【0084】
第VIII族からの金属の酸化物、好ましくは酸化ニッケルの含有率は、有利には、酸化ニッケル(NiO)の重量で0.5〜10%の範囲内、好ましくは酸化ニッケルの重量で1〜5%の範囲内であり、第VIB族からの金属の酸化物、好ましくは三酸化モリブデンの量は、有利には、酸化モリブデン(MoO)の重量で1〜30%の範囲内、好ましくは5〜25重量%であり、百分率は、触媒の全質量に対する重量%として表される。
【0085】
前記触媒は、有利には、リンおよびホウ素から選択されるドーピング元素を含有してよく、これらは、単独でまたは混合物として用いられ、前記ドーピング元素の酸化物の重量による量は、触媒の全質量に対して有利には20%未満、好ましくは10%未満であり、有利には最低0.001%である。
【0086】
硫化物の形態にあり、かつ、供給原料により処理されて、一般的に、制限された硫黄含有率(一般に100重量ppm未満、通常50重量ppm未満)を有する、活性な触媒に関して、当業者に知られている硫黄含有化合物を供給原料の流れに加えることが一般的に適切である。このデバイスは、本発明の方法において用いられる水素化処理触媒をそれらの硫化物の形態に保つために、それ故に、サイクル全体を通じて十分な触媒活性を維持するために用いられ得る。
【0087】
本発明による方法の触媒帯域において用いられる触媒および触媒(単数種または複数種)の配合物の体積は、供給原料の転化率、すなわち、酸素除去比が、第1の帯域Z1からの出口においておよび好ましくは以下の触媒帯域においてほとんど完全であるように、好ましくは、完全であるように適合させられる。
【0088】
本発明の状況は、本発明による方法の水素化処理工程で、複数の触媒帯域において単一種の触媒または複数種の異なる触媒を同時にまたは連続的に用いることを包含する。
【0089】
本発明による方法は、当業者に知られている固定床トリクル流反応器を用いる。試薬(供給原料および水素)は、反応器に、反応器の頂部から底部に至る下降並流で導入される。このタイプの反応器の例は、文献US 7 070 745に記載されている。
【0090】
各触媒帯域の間に補充の補給水素を注入し、かつ/または分離工程b)から得られた水素リッチガスを再循環させて、次の触媒帯域への入口においてクエンチ効果から利益を得ることおよび所望の温度を得ることが可能である。それ故に、有利には、各触媒帯域の間にクエンチボックスが設置されて、反応器の断面全体にわたってかつ触媒帯域の全てにわたってより良好な温度差の均一性が提供されてよい。
【0091】
同様に、分配器が、好ましくはクエンチデバイスの下における各触媒帯域の間に設置され得るだろう。これにより、反応器の断面全体にわたりかつ触媒帯域の全てについての液体およびガスの供給原料の均一な供給が保証される。
【0092】
しかしながら、水素リッチガス再循環物の100%が反応器の頭部に注入される好ましいバリエーションによると、液体のみが触媒帯域の間の帯域に注入され、これらの帯域の設計が相当簡単になる。
【0093】
本発明による方法の一つの利点は、供給原料の起源に応じた、その大きな柔軟性にある。供給原料は、それら自体の中で、特に、炭化水素鎖のそれらの変動する不飽和度において相当異なるものであり、そのような供給原料は、酸素の除去(これは次の帯域における供給原料の希釈の最大の効率を引き起こす)および窒素の除去(これは、あらゆる下流の水素化異性化工程のより良好な操作を提供する)の両方に関して完全に転化させられ得る。
【0094】
場合によっては、再生可能な供給源から得られた供給原料は、本発明による方法において、石油改質方法から得られたオイルカット、例えば、ガスオイル、ケロセン、あるいはガソリンとの混合物として処理されてもよい。好ましくは、オイルカットは、転化方法から得られた直留常圧ガスオイルおよび/またはケロセンによって形成される群から選択される中間蒸留物タイプの油状供給原料、またはその任意の混合物である。
【0095】
好ましくは、オイルカットは、直留常圧ガスオイル、転化方法から得られたガスオイル、例えば、コーカーから得られたもの、固定床水素化転化から得られたもの(例えば、本出願人によって開発された重質留分の処理のためのHYVAHL(登録商)法から得られたもの)、接触分解装置から得られたもの(FCCからのLCO留分)または沸騰床における重質留分の水素化処理のための方法から得られたもの(例えば、H-OIL(登録商標)法から得られたもの)、あるいは、脱アスファルト直留真空残渣から得られた溶媒脱アスファルト済みオイル(例えば、プロパン、ブタンまたはペンタンを用いる)、または重質供給原料の転化のための方法から得られた残渣、例えば、HYVAHL(登録商標)およびH-OIL(登録商標)によって形成される群から選択される。供給原料は、有利には、これらの種々のフラクションを混合することによって形成されてもよい。それらは、有利には、約100〜370℃の蒸留プロファイルを有する軽質ガスオイルまたはケロセンを含有してもよい。それらは、有利には、潤滑油の製造の状況において得られた芳香族抽出物およびパラフィンを含有してもよい。
【0096】
本発明の場合、水素化処理セクションの第1の触媒帯域に送られる液体再循環物の量が、本質的に低減させられるか、あるいは、省かれてもよいのは、水素によるそれらの処理の間に、これらの油状供給原料の流れは、相当な量の酸素を含む再生可能な起源の供給原料の処理の間により少ない熱を放出するからである。
【0097】
(分離)
本発明によると、工程a)から得られたパラフィン系炭化水素を含有する流出物は、少なくとも1回の分離工程b)を経て、少なくとも1個のガスフラクションとパラフィン系炭化水素を含有する少なくとも1個の液体フラクションとが分離される。
【0098】
前記分離工程はまた、有利には、水を含有する少なくとも1個の液体フラクションを分離するために用いられ得る。
【0099】
工程b)の終わりに分離されかつ水素を含む前記ガスフラクションは、工程a)に再循環させられる。前記ガスフラクションは、有利には、CO、CO、HS、軽質ガスおよび場合による水も含有する。
【0100】
バリエーションによると、分離は、少なくとも2工程において行われてよく、好ましくは、高温高圧(high temperature high pressure:HTHP)分離器において行われ、水素、CO、CO、HS、軽質ガスおよび水素化脱酸素反応の間に形成された大部分の水を含むガスフラクションと、パラフィン系炭化水素を含有する液体フラクションとが分離され、ガスフラクションは、次いで、低温高圧分離器に送られて、水素、CO、CO、HS、軽質ガスおよび水素化脱酸素反応の間に形成された大部分の水を含むガスフラクションと、パラフィン系炭化水素を含有する液体フラクションとが分離される。
【0101】
高温高圧(HTHP)分離器は、好ましくは、水素化処理反応器における圧力と比べて実質的な圧力の低下なく、すなわち、分離の圧力が水素化処理工程における圧力より下の1MPa未満である圧力で、および、145〜360℃の範囲内、好ましくは150〜300℃の範囲内の温度で操作される。前記高温高圧(HTHP)分離は、水素、CO、CO、HS、軽質ガスおよび水素化脱酸素反応の間に形成された大部分の水を含むガスフラクションとパラフィン系炭化水素を含有する液体フラクションとを分離するために用いられ得る。
【0102】
少なくとも2工程で分離工程b)が行われる場合、水分離工程が、有利には、前記工程b)の下流で行われ、水素、CO、CO、HS、軽質ガスを含むガスフラクションと、水を含む液体フラクションと、パラフィン系炭化水素を含有する液体フラクションとが分離される。前記水分離工程は、有利には、当業者に知られている方法に従って、好ましくは低温高圧分離器において行われる。低温高圧分離器において水を分離した後に、場合によっては、低温低圧分離器における分離工程を行ってもよい。
【0103】
水素を含む前記ガスフラクションは、次いで、有利には、工程a)に再循環させられてよい。
【0104】
他のバリエーションにおいて、分離工程b)は、2工程で行われ、第1の分離は、低温高圧(low temperature high pressure:LTHP)分離器において、好ましくは、水素化処理反応器における圧力と比較し実質的な圧力の低減なく、すなわち、分離圧力が水素化処理工程における圧力より下の1MPa未満になるような圧力で行われ、前記第1の工程は、25〜200℃の範囲内、好ましくは50〜150℃の範囲内の温度および0.1〜15MPaの範囲内、好ましくは2〜10MPaの範囲内の圧力で操作され、第2の分離は、低温低圧(low temperature low pressureLTLP)分離器において、25〜200℃の範囲内、好ましくは50〜150℃の範囲内の温度および0.1〜8MPaの範囲内、好ましくは0.5〜5MPaの範囲内の圧力で行われる。第1の分離工程(LTHP)は、水素、CO、CO、HSおよび水不含有の軽質ガスを含むガスフラクションと、水を含む液体フラクションと、パラフィン系炭化水素を含有する液体フラクションとを分離するために用いられ得る。
【0105】
水素を含む前記ガスフラクションは、次いで、有利には、工程a)に再循環させられてよい。
【0106】
この工程の目的は、液体炭化水素流出物から水を分離することにある。用語「水の除去」は、水素化脱酸素(HDO)反応によって生じおよび/または反応セクションに注入された水の除去を意味する。水の除去の程度は、有利には、本発明の方法に続く適宜の工程において用いられる水素化異性化触媒の水に対する耐久性次第である。水は、当業者に知られる方法および技術のいずれかを用いて除去されてよく、例えば、乾燥、乾燥剤上の通過、フラッシング、溶媒抽出、蒸留およびデカンテーションであり、または、これらの方法の少なくとも2つを組み合わせることによって行われる。
【0107】
本発明による分離工程b)の間に分離された、および/または場合による水素化異性化工程からの水素含有ガスは、必要ならば、有利には、その軽質化合物含有率(C1〜C4)を低減させるように、少なくとも部分的に分離される。同様に、それは、有利には、1回以上の中間精製処理、好ましくはCOを空にするための少なくとも1種のアミンによる少なくとも1回の洗浄(scrub)を経て、好ましくは、その後に、メタン化および/または圧力スイング吸着法(Pressure Swing Adsorption:PSA)による分離が行われ、その後に、再循環させられる。
【0108】
再循環水素、好ましくは精製済みのものは、有利には、本発明による方法に入る供給原料と共に、および/または場合による水素化処理工程に、またはクエンチ水素の形態で本発明による水素化脱酸素触媒および/または水素化異性化触媒の床の間に導入されてよい。
【0109】
場合によっては、種々の汚染物質からの精製のための最終工程は、当業者に知られている方法を用いて行われてよく、例えば、水蒸気または窒素のストリッピングまたはコアレッセンスにより、および/または捕捉塊、または真空乾燥を用いて行われる。
【0110】
本発明によると、パラフィン系炭化水素を含有する前記液体フラクションの少なくとも一部は、第1の触媒帯域および以下の触媒帯域に、上記の再循環比および希釈比で、対応する供給原料の分流との混合物として再循環させられる。
【0111】
液体再循環物としてF1〜Fnにおいて注入される供給原料の分流を補給するために再循環させられなかった液体流出物の部分は、有利には、ガスオイルプールへの組み入れのために直接的に燃料プールに、または場合による水素化異性化工程(hydroisomerization:HIS)に直接的に送られてよく、ケロセンおよび/またはガスオイルが改善された冷温特性で生じる。
【0112】
(水素化異性化)
好ましい実施形態によると、分離工程b)の終わりに得られたパラフィン系炭化水素を含有する液体フラクションの少なくとも一部は、水素化異性化触媒の存在下に水素化異性化させられる。
【0113】
それ故に、本発明の方法の場合による水素化異性化工程が操作される際の温度は、有利には150〜500℃の範囲内、好ましくは150〜450℃の範囲内、大いに好ましくは200〜450℃の範囲内、より好ましくは250〜400℃の範囲内であり、その際の圧力は、1〜10MPaの範囲内、好ましくは2〜9MPaの範囲内、大いに好ましくは3〜7MPaの範囲内であり、その際の毎時空間速度は、有利には、0.1〜10h−1の範囲内、好ましくは0.2〜7h−1の範囲内、大いに好ましくは0.5〜5h−1の範囲内であり、その際の水素の流量は、水素/炭化水素の容積比が、有利には、70〜1000Nm/mの範囲内、好ましくは供給原料の容積(m)当たり水素100〜1000Nmの範囲内、大いに好ましくは供給原料の容積(m)当たり水素150〜1000Nmの範囲内になるようにされる。
【0114】
前記水素化異性化工程は、向流または並流の様式で、好ましくは並流の様式で操作されてよい。
【0115】
用いられる水素化異性化触媒は、有利には、二機能性タイプのものであり、すなわち、それらは、水素化脱水素機能基と水素化異性化機能基とを有し、有利には、水素化脱水素機能基として、白金およびパラジウム、およびニッケルおよびコバルトから選択される第VIII族からの少なくとも1種の金属、および/またはモリブデンまたはタングステンから選択される第VIB族からの少なくとも1種の金属と、水素化異性化機能基として少なくとも1種のモレキュラーシーブまたは無定形鉱物担体とを含み、白金およびパラジウムは、それらの還元された形態において活性であり、ニッケルおよびコバルトは、好ましくは、それらの硫化物の形態で用いられる。
【0116】
水素化異性化触媒が第VIII族からの少なくとも1種の貴金属を含む場合、水素化異性化触媒の全貴金属含有率は、有利には、最終触媒に対して0.01〜5重量%の範囲内、好ましくは0.02〜4重量%の範囲内、大いに好ましくは0.005〜2重量%の範囲内である。
【0117】
水素化異性化触媒が、第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属と組み合わせて第VIB族からの少なくとも1種の金属を含む場合、水素化異性化触媒中の第VIB族からの金属の量は、有利には、酸化物当量として、最終触媒に対して5〜40重量%の範囲内、好ましくは、10〜35重量%の範囲内、大いに好ましくは15〜30重量%の範囲内であり、前記触媒の第VIII族からの金属の量は、有利には、酸化物当量として、最終触媒に対して0.5〜10重量%の範囲内、好ましくは1〜8重量%の範囲内、大いに好ましくは1.5〜6重量%の範囲内である。好ましくは、水素化異性化触媒は、NiWを含む。
【0118】
好ましい実施形態によると、前記水素化異性化触媒は、水素化異性化機能基として少なくとも1種の無定形鉱物担体を含み、前記無定形鉱物担体は、フッ素および/または塩素をドープされたアルミナ、シリカ−アルミナおよびケイ酸質アルミナから選択され、好ましくはシリカ−アルミナである。大いに好ましくは、触媒は、シリカ−アルミナ上にNiWを含む。
【0119】
さらに好ましい実施形態によると、前記水素化異性化触媒は、少なくとも1種のモレキュラーシーブ、好ましくは少なくとも1種のゼオライトモレキュラーシーブ、より好ましくは少なくとも1種のゼオライト性一次元10MRモレキュラーシーブを、水素化異性化機能基として含む。
【0120】
ゼオライト性モレキュラーシーブは、「Atlas of Zeolite Structure Types」(W. M Meier、D. H. OlsonおよびCh. Baerlocher、第5改訂版、2001, Elsevier)において定義され、この文献に対して本願において参照がなされ、単独でまたは混合物として用いられる、構造型TON(例えば、NU−10)、FER(例えばフェリエライト)、EUO(EU−1およびZSM−50から選択される)を有するゼオライト性モレキュラーシーブ、または単独でまたは混合物として用いられるゼオライト性モレキュラーシーブZSM−48、ZBM−30、IZM−1、COK−7、EU−2およびEU−11から選択される。
【0121】
好ましくは、前記水素化異性化触媒は、多孔質鉱物マトリクスによって構成されるバインダも含む。前記バインダは、有利には、前記水素化異性化触媒を形付ける工程の間に用いられてよい。
【0122】
(分画)
水素化異性化済みの流出物の一部または全部、好ましくは全部が、次いで、有利には、1回以上の分離を経る。
【0123】
水素化異性化工程から得られた流出物の分離のための単数回または複数回の工程は、有利には、水素化処理済み流出物の分離のための工程b)におけると同じ方法で、同じ実施形態により行われる。分離工程(単数回または複数回)は、少なくとも1個のガスフラクション、水を含む少なくとも1個の液体フラクションおよび炭化水素を含む少なくとも1個のフラクションを分離するために用いられ得る。



【0124】
炭化水素を含むフラクションは、次いで、有利には、分画する工程を経てよく、これは、有利には、液体からガスを分離するためのフラッシュ分離および/またはストリッピングカラムまたは常圧蒸留を含む。好ましくは、分画工程は、常圧蒸留を含む。この工程の目的は、液体からガスを分離すること、特に、水素リッチなガスを回収することにあり、この水素リッチなガスは、軽質化合物、例えば、C1−C4留分、ガソリン留分(150℃−)、および、ケロセンおよび/またはガスオイルを含有する少なくとも1個の中間蒸留物留分(150℃+)を含有してもよい。
【0125】
ガソリン(またはナフサ)留分を品質向上させることは、本発明の主題を形成しないが、この留分は、有利には、オレフィンおよび同伴水素の製造のための水蒸気分解装置、または、水素の製造のための水蒸気改質のための装置、または、ガソリンの製造のための接触改質のための装置に送られてよい。これにより生じた水素は、水素化処理工程a)および/または場合による水素化異性化工程に注入されてよい。
【0126】
所望の燃料ベースを示す中間蒸留物留分は、ガスオイルおよびケロセンを含有する留分を含んでよく、または、2個の留分が別々に回収されてよい。これらの産物は、再生可能な供給源をベースとしており、硫黄含有化合物を含有しない。
【0127】
中間蒸留物留分(単数または複数)の少なくとも一部は、再循環物として水素化処理工程に再循環させられてよい。
【0128】
バリエーションによると、150℃+フラクションの少なくとも一部が、水素化異性化工程に再循環させられてよい。それ故に、このフラクションは、再度、異性化を経る。このことは、冷温特性を改善させる。
【0129】
他のバリエーションによると、300℃+フラクションの少なくとも一部が、水素化異性化工程に再循環させられてよい。それ故に、このフラクションは、再度、異性化を経る。このことは、この留分がより軽質な産物に品質向上させられ得ることおよび冷温特性が向上され得ることを意味する。
【0130】
他のバリエーションにおいて、150℃+フラクションの少なくとも一部は、水素化処理工程に再循環させられてよい。
【0131】
(図面の説明)
図1は、本発明による方法の一般配置図を示し、n個の触媒帯域を含む。
【0132】
新鮮供給原料としても知られている粗製供給原料Fが、図1に示されるライン(1)に注入される。この供給原料は、種々の流れF1、F2、・・・Fnに分配され、これらは、種々の連続的触媒帯域に供給される。ガス再循環物RGは、水素リッチガス(2)と混合される。流れRG(導管13)は、種々の流れRG1、RG2、・・・RGnに細分される。液体再循環流(17)は、複数の流れRL1〜RLnに細分される。供給原料流F1は、導管(15)、(16)および(17)を介して液体およびガスの再循環流RL1およびRG1と混合され、その後に、供給原料の前記流れF1は、第1の触媒帯域Z1に送られる。それ故に、同様に、供給原料の流れF2は、液体再循環流RL2および水素化処理方法において用いられた水素の質量流の100%が第1の触媒帯域Z1に送られない場合の場合によるガス再循環流RG2と混合され、n番目の触媒帯域まで同様になされる。
【0133】
水素化処理済みの流出物は、ライン(11)を介して抜き出され、第1の分離器(8)に送られて、ガス流(20)およびパラフィン液体流(19)が分離され、ガス流は、第2の分離器(9)に送られて、ガス流RGおよび液体流が分離され、ガス流RGは、導管(13)を介して再循環させられ、液体流は、最終分離工程(12)に送られる。分離器(12)は、(18で)水および第2の液体パラフィン流(12)およびガス流(22)を分離するために用いられ得、ガス流(22)の一部(R)が、導管(16)を介して再循環させられ、その後に、細分され、反応器の種々の触媒帯域に送られる。液体流(21)の他の部分は、集められかつ導管(10)において、分離(8)から得られた液体流(19)と混合されて、水素化異性化工程(図1において示されない)に送られるか、または、再循環させられる。
【0134】
図2は、水素化処理反応器を出入りする流れを示す。新鮮な供給原料Fは、種々の流れF1、F2およびF3に分けられ、かつ、帯域Z1、Z2およびZ3に別個に送られる。供給原料の流れF1は、触媒床Z1に、ガス再循環物RG1、水素の補給物および液体再循環物RL1との混合物として入る。帯域のZ2およびZ3のそれぞれについて同様になされる。
【0135】
(実施例)
(実施例1:本発明に合致しない)
実施例1は、本発明に合致しない。第1の触媒帯域Z1に送られる水素の質量流量が、水素化処理方法において用いられる水素の全質量流量の35重量%を示すからである。
【0136】
処理されるべき供給原料は、ヤシ油であり、その主要特性は、表1aに示される。この供給原料は、当業者に知られる手順を用いたリン酸による処理および漂白土による処理をすでに経たものである。
【0137】
【表1a】
【0138】
100g/hのこの供給原料が、2個の触媒床によって構成される水素化処理反応器において処理されることになった。
【0139】
各触媒帯域は、触媒の1つの床によって構成されていた。用いられた触媒は、水素化処理工程の2つの触媒帯域において同一であり、4重量%のNiO、21重量%のMoOおよび5重量%のPを、ガンマアルミナ上に担持させられて含んでいた。前記触媒のNi/Mo原子比は、0.4に等しかった。
【0140】
担持触媒は、溶液中の酸化物前駆体の乾式含浸、その後の、ジメチルジスルフィド(dimethyldisulphide:DMDS)からの2重量%の硫黄を補給された直留ガスオイル供給原料を用いた350℃の温度での試験前の現場内(in situ)硫化によって調製された。圧力下の装置における現場内硫化の後に、ヤシ油によって構成される再生可能な供給源から得られた、表1aにおいて記載された供給原料が、2個の触媒帯域のそれぞれに送られた。
【0141】
触媒の調製方法は、本発明の範囲を限定しない。
【0142】
全ヤシ油供給原料(F=100g/h)は、2つの流れに分けられ、40g/hの一方の流れF1は、帯域Z1に注入され、60g/hの第2の流れは、帯域Z2に注入された。
【0143】
流量RL1=90g/hの量の用いられた液体再循環物が、帯域Z1上に供給原料と一体的に注入された。
【0144】
供給原料と共に注入されたガスは、全体的に水素からなっていた。この水素は、全体として、帯域Z1およびZ2に供給する2個の原料流と共に注入され、その際の流量は、触媒帯域のそれぞれへの入口において、同一の比が得られるようにされた:RG1/F1=RG2/F2=700Nm/m
【0145】
それ故に、第1の触媒帯域Z1に送られる水素の質量流量は、水素化処理方法において用いられた水素の全質量流量の35重量%を示していた。
【0146】
全操作圧力は、50bar rel(5MPa rel)であった。
【0147】
表1bは、供給原料の2つの流れのそれぞれの流量、並びに2個の触媒帯域のそれぞれについての再循環比および希釈度を示す。
【0148】
【表1b】
【0149】
酸素は、この水素化処理工程の間に完全に除去された。炭化水素から実質的になる液体生成物が81.0重量%の収率で得られた。
【0150】
(実施例2:本発明に合致する)
実施例1におけるのと同一の供給原料が水素化処理反応器において処理された。この水素化処理反応器は、2個の触媒帯域によって構成されかつそれぞれが実施例1におけるのと同一の触媒を含むものであった。本発明の実施例2において、第1の触媒帯域Z1に送られる水素の質量流量は、水素化処理方法において用いられた水素の全質量流量の80重量%を示していた。
【0151】
硫化による触媒の活性化のための同一の手順が適用され、全操作圧力は、50bar rel(5MPa rel)であった。
【0152】
表2は、供給原料の2つの流れのそれぞれの流量、並びに、2個の触媒帯域のそれぞれについての液体再循環比および希釈度を示す。
【0153】
同一の量の液体生成物が再循環させられた(R=90g/h)が、実施例1とは対照的に、この再循環物の一部は、触媒帯域Z1に送られ(RL1=72g/h)、その一部は、触媒帯域Z2に送られた(RL2=18g/h)。性質および水素化処理反応器に再循環させられたガス流は、実施例1のものと概して同一である(100%水素、RG1=5.46g/h、これは、反応器入口におけるHの容積/供給原料の容積の比:700Nm/mに対応する)。対照的に、第1の触媒帯域Z1に送られる水素の質量流は、水素の全質量流の80重量%を示していたので、このガス流は、異なるように分配された。
【0154】
【表2】
【0155】
(実施例3:本発明に合致する)
実施例1におけるのと同一の供給原料が水素化処理反応器において処理された。この水素化処理反応器は、2個の触媒帯域によって構成され、かつ、それぞれが実施例1におけるのと同一の触媒を含むものであった。本発明の実施例3において、第1の触媒帯域Z1に送られる水素の質量流量は、水素化処理方法において用いられた水素の全質量流量の100重量%を示していた。
【0156】
硫化による触媒の活性化のための同一の手順が適用され、全操作圧力は、50bar rel(5MPa rel)であった。
【0157】
表3は、供給原料の2個の流れのそれぞれの流量、並びに、2個の触媒帯域のそれぞれについての液体再循環比および希釈度を示す。
【0158】
同一の量の液体生成物が再循環させられた(R=90g/h)が、実施例1とは対照的に、この再循環物の一部は、触媒帯域Z1に送られ(RL1=60g/h)、この再循環物の一部は、触媒帯域Z2に送られた(RL2=30g/h)。
【0159】
性質および水素化処理反応器に再循環させられたガス流量は、実施例1のものと概して同一である(100%水素、RG1=6.83g/h、これは、反応器入口におけるHの容積/供給原料の容積の比:700Nm/mに相当する)。対照的に、このガス流の全てが、触媒帯域Z1に送られたので、このガス流は、異なるように分配された。
【0160】
【表3】

【0161】
実施例1〜3により、本発明を実施することは、第1の床への入口への高流量の水素の適用に起因して、触媒床にわたって均一に水素が分配され、発熱性が制御されず、触媒床についての出入口の間の温度差があまりに大きすぎる、本発明に合致しない実施例1とは対照的に、触媒帯域の全てにおいて低再循環比が採用され得ることを意味することが実証される。
【0162】
さらに、本発明に合致する実施例2および3における発熱性の良好な管理は、本発明に合致しない実施例1と比較してより低い平均床温度が採用されたことを意味し、このことは、触媒の失活が低減させられ、それ故に、触媒の耐用期間がより長くなることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0163】
図1】本発明による方法の一般配置図を示し、n個の触媒帯域を含む。
図2】水素化処理反応器を出入りする流れを示す。
図1
図2