特許第6872336号(P6872336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872336
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】レーダカバー
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/42 20060101AFI20210510BHJP
   B32B 3/12 20060101ALI20210510BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20210510BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   H01Q1/42
   B32B3/12 B
   B32B15/08 E
   B29C45/14
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-188022(P2016-188022)
(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公開番号】特開2018-56683(P2018-56683A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 正和
(72)【発明者】
【氏名】太田 耕志朗
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−212324(JP,A)
【文献】 特開2007−138270(JP,A)
【文献】 特開2008−221557(JP,A)
【文献】 特開2011−046183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/14
B32B 3/12
B32B 15/02
B32B 15/04
H01Q 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲状況を検知するレーダユニットを覆うレーダカバーであって、
骨格となる基部と、
前記基部の表面に形成されると共に膜厚方向に貫通する隙間を有する不連続性の金属膜である光輝性膜と、
前記光輝性膜の表面に形成されると共に一部が前記光輝性膜の前記隙間を通じて前記基部に密着された透明なトップコート層と
を有し、
被嵌合部を有する透明層と、前記被嵌合部に嵌合されると共に前記透明層を通じて外部により視認可能な嵌合部とを有し、
前記嵌合部は、前記基部、前記光輝性膜及び前記トップコート層を有し、前記トップコート層側を前記被嵌合部の内壁面に向けて配設され、
前記透明層と固定されると共に前記嵌合部を前記透明層と反対側から支持する支持部材を備え、
前記支持部材は、前記嵌合部が当接する台座部を有する
ことを特徴とするレーダカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダカバー及びレーダカバーの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ミリ波等の電波を用いて車両の周囲の障害物等を検知するレーダユニットが車両に搭載されている。このようなレーダユニットは、車両の前面に設けられるラジエータグリルやエンブレムの内側に配置されており、エンブレム等を透過する電波の送受信を行う。このため、上述のようなレーダユニットを備える車両においては、エンブレム等は、電波の減衰を抑制しつつ当該電波を透過可能に形成する必要がある。
【0003】
一方で、エンブレム等は、車両の前面に配置されることから、車両の意匠上、極めて重要な部分であり、高級感や質感を向上させるために金属光輝性を付与することが多い。従来は、このような金属光輝性を付与するため、めっき処理を施すことが一般的であったが、めっき層は電波を透過しない。このため、近年、金属光輝性を付与しかつ電波を透過可能とするため、電波が透過可能なインジウム(In)やアルミニウム(Al)の薄膜を真空蒸着にて形成する技術が用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−46183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、インジウム(In)やアルミニウム(Al)の薄膜(以下、光輝性膜と称する)は、骨格となる強度部材の基部の表面に形成されたベースコート層上に形成されている。さらに、光輝性膜上にはトップコート層が形成されている。つまり、従来のレーダカバーにおいては、光輝性膜がベースコート層とトップコート層とで挟まれた状態で骨格となる基部の表面に配置されている。しかしながら、このような構成を採用する場合には、光輝性膜を形成する工程とは別に、ベースコート層を形成する工程と、トップコート層を形成する工程とが各々必要となり、レーダカバーの製造工程が煩雑となる。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、電波を透過可能な光輝性膜を有するレーダカバーにおいて、製造工程を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
第1の発明は、車両の周囲状況を検知するレーダユニットを覆うレーダカバーであって、骨格となる基部と、上記基部の表面に形成されると共に膜厚方向に貫通する隙間を有する不連続性の金属膜である光輝性膜と、上記光輝性膜の表面に形成されると共に一部が上記光輝性膜の上記隙間を通じて上記基部に密着された透明なトップコート層とを有するという構成を採用する。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、被嵌合部を有する透明層と、上記被嵌合部に嵌合されると共に上記透明層を通じて外部により視認可能な嵌合部とを有し、上記嵌合部は、上記基部、上記光輝性膜及び上記トップコート層を有し、上記トップコート層側を上記被嵌合部の内壁面に向けて配設されているという構成を採用する。
【0010】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記透明層と固定されると共に上記嵌合部を上記透明層と反対側から支持する支持部材を備え、上記支持部材が、上記嵌合部が当接する台座部を有するという構成を採用する。
【0011】
第4の発明は、車両の周囲状況を検知するレーダユニットを覆うレーダカバーの製造方法であって、骨格となる基部の表面に対して、膜厚方向に貫通する隙間を有する不連続性の金属膜である光輝性膜を形成する光輝性膜形成工程と、上記光輝性膜の表面に対して、一部が上記光輝性膜の上記隙間を通じて上記基部に密着されるように透明なトップコート層を形成するトップコート層形成工程とを有するという構成を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トップコート層が光輝性膜の隙間を通じて基部に密着することにより、光輝性膜が基部に対して固定されている。このため、ベースコート層を形成しなくても光輝性膜を保持することができる。したがって、本発明によれば、従来設けられていた基部と光輝性膜との間のベースコート層を有しておらず、ベースコート層の形成工程を行う必要がない。よって、本発明によれば、電波を透過可能な光輝性膜を有するレーダカバーにおいて、製造工程を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態におけるエンブレムを備えるラジエータグリルの正面図である。
図2】本発明の一実施形態におけるエンブレムの拡大正面図である。
図3】(a)が本発明の一実施形態におけるエンブレムの断面図であり、(b)が本発明の一実施形態におけるエンブレムが備えるインナエンブレムの部分拡大断面図である。
図4】本発明の一実施形態におけるエンブレムの製造方法を説明するための模式図である。
図5】(a)が、ベースコート層がない場合と、ベースコート層がある場合とのトップコート層の引張り強さを比較した図であり、(b)が、ベースコート層がない場合と、ベースコート層がある場合とにおける表面の光沢度を比較した図である。
図6】本発明の一実施形態におけるエンブレムの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係るレーダカバー及びレーダカバーの製造方法の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0015】
図1は、本実施形態のレーダカバーからなるエンブレム10を備えるラジエータグリル1の正面図である。また、図2は、本実施形態のエンブレム10の拡大正面図である。また、図3は、(a)が本実施形態のエンブレム10の断面図であり、(b)が本実施形態のエンブレム10が備えるインナエンブレム12の部分拡大断面図である。
【0016】
ラジエータグリル1は、車両のエンジンルームに通じる開口を塞ぐように車両の前面に設けられており、エンジンルームへの通気を確保しかつエンジンルームへの異物の進入を防止している。ラジエータグリル1の中央には、エンジンルーム内に配置されるレーダユニットR(図3(a)参照)に対向するようにしてエンブレム10が設けられている。レーダユニットRは、例えばミリ波を発信する発信部、反射波を受信する受信部、及び、演算処理を行う演算部等を有している。このレーダユニットRは、エンブレム10を透過する電波の送受信を行い、受信した電波に基づいて車両の周囲状況を検知する。例えば、レーダユニットRは、障害物までの距離や障害物の相対速度等を算出して出力する。
【0017】
エンブレム10は、レーダユニットRを車両の正面側から見て覆うように配置されている。このエンブレム10は、図2に示すように、車両の正面側から見て、車両メーカのエンブレムを示す図形や文字等を表す光輝領域10Aと、当該光輝領域10Aの視認性を向上させる黒色領域10Bを有する部品である。このようなエンブレム10は、図3(a)に示すように、透明部材11(透明層)と、インナエンブレム12(嵌合部)と、ベース部材13(支持部材)とを備えている。
【0018】
透明部材11は、最も車両の外側に配置される略矩形状の透明材料(着色透明を含む)により形成される部位である。この透明部材11は、車両の外部からのインナエンブレム12の視認性を高めるため、表側の面が円滑面とされている。また、透明部材11の裏側の面には、インナエンブレム12が配置される凹部11a(被嵌合部)が形成されている。また、透明部材11の裏側の面の凹部11aが設けられていない領域は、ベース部材13との固着面とされている。
【0019】
凹部11aは、インナエンブレム12が嵌合される部位であり、収容されたインナエンブレム12を車両の前方側から立体的に視認可能とする。この凹部11aは、車両メーカのエンブレム等の図形や文字等の形状に沿って設けられている。このような凹部11aにインナエンブレム12が収容されることによって、上述の光輝領域10Aが形成される。
【0020】
このような透明部材11は、例えば、無色のPC(ポリカーボネート)やPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等の透明合成樹脂によって形成されており、1.5mm〜10mm程度の厚さとされている。また、透明部材11の表側の面には、必要に応じて、傷付き防止のためのハードコート処理、又はウレタン系塗料のクリヤコート処理が施される。なお、耐傷性を備える透明合成樹脂であれば、これらの傷付き防止処理は不要である。
【0021】
インナエンブレム12は、図3(b)に示すように、基部12aと、光輝性膜12bと、トップコート層12cとを備えている。基部12aは、インナエンブレム12の骨格となる強度部材であり、光輝性膜12b及びトップコート層12cを支持している。この基部12aは、射出成形等によって成形されており、例えばABS、PC又はPET等の合成樹脂によって形成されている。この基部12aは、透明部材11の凹部11aを埋設する凸状の形状とされており、透明部材11の凹部11aに嵌合される。
【0022】
光輝性膜12bは、基部12aの表側の面(透明部材11側の面)に形成されており、基部12aに被さるように配置された金属光輝性を備える層である。この光輝性膜12bは、インジウム(In)やアルミニウム(Al)からなる金属製の薄膜である。この光輝性膜12bは、図3(b)に示すように、膜厚方向に貫通する多数の微細な隙間12b1を有する島構造の不連続膜であり、これらの隙間12b1を通じて電波を透過可能とされている。なお、隙間12b1は、幅が微小なものであるが、視認を容易とするために、図面においては幅を拡大して図示している。このような光輝性膜12bは、例えばスパッタリング法によって形成されている。本実施形態において光輝性膜12bは、骨格となる基部12aの表面に直接的に形成されている。つまり、本実施形態においては、基部12aと光輝性膜12bとの間にベースコート層が設けられていない。
【0023】
トップコート層12cは、例えば、クリヤ塗装等によって形成される樹脂からなる透明(着色透明を含む)な層であり、電波透過性を有する。このトップコート層12cは、図3(b)に示すように、光輝性膜12bの表面に形成されており、光輝性膜12bの隙間12b1を通じて基部12aに密着されている。このようなトップコート層12cは、光輝性膜12bを覆うことにより水分等から保護すると共に、光輝性膜12bが基部12aから剥がれ落ちることがないように、光輝性膜12bを保持している。つまり、光輝性膜12bは、トップコート層12cに支えられて基部12aに対して強固に固定されている。
【0024】
図3(a)に戻り、ベース部材13は、透明部材11の裏側に固着される部位であり、黒色の樹脂材料から形成されている。このベース部材13は、透明部材11と固定されると共にインナエンブレム12を透明部材11と反対側から支持する支持部材として機能する。また、ベース部材13は、エンジンルーム側に突出する係合部13aを有している。この係合部13aは、先端部が爪状に成形されており、当該先端部が例えばラジエータグリル本体に係止される。このように透明部材11の裏側の面に対して固着されたベース部材13は、透明部材11の外側から視認可能とされており、上述の黒色領域10Bを形成している。このベース部材13は、光輝領域10A以外の領域を黒色に視認させ、相対的に光輝領域10Aの視認性を向上させる。
【0025】
このようなベース部材13は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)、AES(アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合合成樹脂)、ASA(アクリロニトリル・スチレン・アクリレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、有色のPC、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂、又はこれらの複合樹脂からなり、0.5mm〜10mm程度の厚さとされている。
【0026】
続いて、本実施形態のエンブレム10の製造方法について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態のエンブレム10の製造方法について説明するための概略図である。まず、図4(a)に示すように、透明部材11を形成する。例えば、透明部材11は、射出成形により形成される。この射出成形により、凹部11aを有する透明部材11を形成することができるため、後工程により凹部11aを形成する必要はない。なお、必要に応じて、透明部材11の表面側(車両外側に向く面)あるいは全面には、耐久性等を向上させるためのハードコート処理を施しても良い。
【0027】
次に、図4(b)に示すように、インナエンブレム12の基部12aを形成する。例えば、基部12aは、射出成形により形成される。続いて、図4(c)に示すように、基部12aの表面に光輝性膜12bを形成すると共にトップコート層12cを形成する。ここで、光輝性膜12bを形成する工程は、本発明の光輝性膜形成工程に相当する。また、トップコート層12cを形成する工程は、本発明のトップコート層形成工程に相当する。
【0028】
光輝性膜12bは、真空チャンバの内部において真空雰囲気にて、例えばスパッタリングによって形成される。このように形成された光輝性膜12bは、基部12aの濡れ性の悪さ差等に起因して、複数の隙間12b1を有する不連続膜として形成される。
【0029】
トップコート層12cは、クリヤ塗料を光輝性膜12b上に塗布した後、クリヤ塗料を乾燥させることによって形成される。このようなクリヤ塗料としては、基部12aとの溶解パラメータが近く、基部12a及び光輝性膜12bに対する濡れ性が高い材料が好ましい。具体的には、基部12aがPCによって形成されている場合には、アクリル樹脂が25.5質量%、メタクリル酸メチルが0.5質量%、トルエン9.0質量%、ホルムアルデヒド0.5質量%、キシレン2.0質量%、エチルベンゼン0.5質量%、酢酸−n−ブチル22.0質量%、ノルマルブタノール34.0質量%、シクロヘキサノン5.0質量%、その他添加剤及び有機溶剤等1.0質量%の塗料を用いることが好ましい。
【0030】
図4(b)で示した基部12aの形成工程と、図4(c)で示した光輝性膜12b及びトップコート層12cの形成工程とによってインナエンブレム12が形成される。なお、このような図4(b)で示した基部12aの形成工程と、図4(c)で示した光輝性膜12b及びトップコート層12cの形成工程とは、図4(a)で示した透明部材11の形成工程を待って行う必要はない。図4(a)で示した透明部材11の形成工程と並行して、インナエンブレム12を形成することによって、エンブレム10の製造時間を短縮することができる。
【0031】
次に、図4(d)に示すように、インナエンブレム12を透明部材11の凹部11aに嵌合する。次に、図4(e)に示すように、ベース部材13を形成する。ここでは、凹部11aにインナエンブレム12が設置された透明部材11を、射出成形用の金型の内部に配置し、透明部材11の背面側に溶融した樹脂を射出するインサート成形を行うことで、ベース部材13を形成する。このようなベース部材13は、インサート成形時の熱により透明部材11と溶着され、インナエンブレム12を覆うように配置される。これによって、インナエンブレム12の光輝性膜12bは、凹部11aの内面に直接当接された状態で、基部12aごと透明部材11に対して固定される。
【0032】
以上のような工程で本実施形態のエンブレム10が製造される。このような本実施形態のエンブレム10の製造方法及びエンブレム10によれば、トップコート層12cが光輝性膜12bの隙間12b1を通じて基部12aに密着することにより、光輝性膜12bが基部12aに対して固定されている。このため、ベースコート層を形成しなくても光輝性膜12bを保持することができる。したがって、本実施形態のエンブレム10の製造方法及びエンブレム10によれば、従来設けられていた基部12aと光輝性膜12bとの間のベースコート層を有しておらず、ベースコート層の形成工程を行う必要がなく、製造工程を簡素化することができる。
【0033】
また、本実施形態のエンブレム10においては、凹部11aを有する透明部材11と、凹部11aに嵌合されると共に透明部材11を通じて外部により視認可能なインナエンブレム12とを有し、インナエンブレム12が、基部12a、光輝性膜12b及びトップコート層12cを有し、トップコート層12c側を凹部11aの内壁面に向けて配設されている。このため、ベースコート層の形成工程を行う必要がなく、インナエンブレム12を短時間で形成することができる。したがって、透明部材11とインナエンブレム12とを並行して形成することにより、より短時間でエンブレム10を製造することが可能となる。
【0034】
また、本実施形態のエンブレム10におけるトップコート層12cの密着性は、ベースコート層を設けた場合と比較して同等となっている。図5(a)は、ベースコート層がない場合(本実施形態のエンブレム)と、ベースコート層がある場合(従来のエンブレム)とのトップコート層の引張り強さを比較した図である。この図に示すように、従来のエンブレムにおける引張り強さが300.5N〜505.9Nの範囲で平均347.06Nあったのに対して、本実施形態のエンブレム10における引張り強さは287.4N〜578.0Nの範囲で平均364.36Nであった。トップコート層12cの引張り強さは200N程度あれば十分であると考えられることから、本実施形態のエンブレム10におけるトップコート層12cの密着性は、ベースコート層を設けた場合と比較して同等であることが確認された。
【0035】
また、本実施形態のエンブレム10におけるトップコート層12cの平滑性は、ベースコート層を設けた場合以上となっている。図5(b)は、ベースコート層がない場合(本実施形態のエンブレム)と、ベースコート層がある場合(従来のエンブレム)とにおける表面の光沢度を比較した図である。光沢度が高い場合には外光の正反射率が高く平滑性が高いと考えられる。この図に示すように、従来のエンブレムにおける光沢度が95.3〜95.6の範囲で平均95.5であったのに対して、本実施形態のエンブレム10における光沢度は103.6〜104.9の範囲で平均104であった。つまり、本実施形態のエンブレム10におけるトップコート層12cの平滑性は、ベースコート層を設けた場合以上であることが確認された。
【0036】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0037】
例えば、上記実施形態においては、インナエンブレム12が、基部12aと、光輝性膜12bと、トップコート層12cとを有する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、エンブレム自体を、骨格となる基部と、基部の表面に形成されると共に膜厚方向に貫通する隙間を有する不連続性の金属膜である光輝性膜と、光輝性膜の表面に形成されると共に一部が光輝性膜の隙間を通じて基部に密着された透明なトップコート層とを有する構造とすることも可能である。
【0038】
また、上記実施形態においては、インナエンブレム12を支持する支持部材として機能するベース部材13にて、インナエンブレム12が当接される面が、インナエンブレム12が当接されていない領域を含めて平面となっている構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、ベース部材13のインナエンブレム12が当接する領域に周囲の領域よりも透明部材11側に突出する台座部13bを形成するようにしても良い。このような構成を採用することにより、ベースコート層が存在しない分、インナエンブレム12の厚みが薄くなった場合であっても、インナエンブレム12を確実にベース部材13に当接させることができ、インナエンブレム12を確実に支持することができる。
【符号の説明】
【0039】
1……ラジエータグリル、10……エンブレム(レーダカバー)、11……透明部材(透明層)、11a……凹部(被嵌合部)、12……インナエンブレム(嵌合部)、12a……基部、12b……光輝性膜、12b1……隙間、12c……トップコート層、13……ベース部材(支持部材)、13a……係合部、13b……台座部、R……レーダユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6