(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水酸基末端ポリエーテル重合体とアルカリ金属化合物との反応物と、前記不飽和基含有ハロゲン化物との反応を、前記粗製品のpHが8.5以下になるまで進行させる、請求項1又は2に記載の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法によれば、確かに不飽和基含有ポリエーテル重合体中の金属量を低減させることができる。しかし、特許文献1に記載の方法では、不飽和基含有ポリエーテル重合体の粗製品を水で洗浄した後の分液時に、水相と油相との間に多量の中間相が生成する場合がある。
【0006】
かかる中間相は、水とともに有機成分を多量に含んでいるため、排水として処理する場合、活性汚泥槽等の負荷が高い。このため、中間相は、水層とは別に回収され、産業廃棄物として処理されることが多い。
中間相が多量に発生する場合、不飽和基含有ポリエーテル重合体の粗製品の水洗に用いた槽からの中間相の抜き出しに時間を要したり、中間相の産業廃棄物としての処理に多額の費用が生じたり、中間相を産業廃棄物処理業者に引き渡すまでに、中間相を保管するための広いスペースが必要であったり、種々の問題がある。
【0007】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであって、不飽和基含有ポリエーテル重合体の粗製品を水洗により精製するにあたって、洗浄後に水相と油相を分離する際に発生する中間相の量を低減できる精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法と、当該製造方法により製造される精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体を用いる、加水分解性ケイ素基含有ポリエーテル重合体の製造方法と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記問題点について鋭意研究を重ねた結果、以下の方法により上記の課題を解決するに至った。すなわち、本発明は、
(1)
不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品を水(C)と混合し、混合物を得ることと、
混合物から油相を分液回収することと、
を含み、
粗製品のpHが11.0以下である、精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法、
(2)
粗製品のpHが8.5以下である、(1)に記載の製造方法、
(3)
粗製品が、複合金属シアン化物錯体を触媒として用いる重合反応により得られる水酸基末端ポリエーテル重合体に、アルカリ金属化合物を反応させた後、不飽和基含有ハロゲン化物を反応させて得られたものであり、
水酸基末端ポリエーテル重合体とアルカリ金属化合物との反応物と、不飽和基含有ハロゲン化物との反応を、粗製品のpHが11.0以下になるまで進行させる、(1)に記載の製造方法、
(4)
水酸基末端ポリエーテル重合体とアルカリ金属化合物との反応物と、不飽和基含有ハロゲン化物との反応を、粗製品のpHが8.5以下になるまで進行させる、(3)に記載の製造方法、
(5)
不飽和基含有ハロゲン化物の全モル量が、アルカリ金属化合物の全モル量の1.3倍以上3.0倍以下である、(3)又は(4)に記載の製造方法、
(6)
不飽和基含有ハロゲン化物の全モル量が、アルカリ金属化合物の全モル量の1.5倍以上2.5倍以下である、(5)に記載の製造方法、
(7)
水酸基末端ポリエーテル重合体とアルカリ金属化合物との反応物と、不飽和基含有ハロゲン化物との反応の時間が3時間以上である、(3)〜(6)のいずれか1つに記載の製造方法、
(8)
混合物を得る際に、粗製品が、水(C)と有機溶剤(B)と混合され、
水(C)のpHが6.0超9.0未満である、(1)〜(7)のいずれか1つに記載の製造方法、
(9)
(1)〜(8)のいずれか1つに記載の製造方法により製造される、精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体と、下記式(2):
H−(SiR
42−bX
bO)
m−Si(R
33−a)X
a・・・(2)
(式(2)中、R
3及びR
4は、同一であっても異なっていてもよく、炭素原子数1〜20の置換あるいは非置換のヘテロ原子含有基を有してもよい炭化水素基、又は(R’)
3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。R
3又はR
4が2つ以上存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R’は、炭素原子数1〜20の1価の炭化水素基である。3つのR’は、同一であっても異なっていてもよい。Xは、水酸基又は加水分解性基を示す。Xが2つ以上存在するとき、それらは同一であっても異なっていてもよい。aは0、1、2、又は3を示す。bは、0、1、又は2を示す。m個の(SiR
42−bX
bO)基におけるbについて、それらは同一であっても異なっていてもよい。mは0〜19の整数を示す。ただし、a及びbは、a+Σb≧1を満足する。)
で表されるシラン化合物とを、ヒドロシリル化反応させることを含む、加水分解性ケイ素基含有ポリエーテル重合体の製造方法、及び、
(10)
シラン化合物が、下記式(3):
H−SiR
33−cX
c・・・(3)
(式(3)中、R
3及びXは前記と同じ。cは1、2、又は3を示す。)
で表される化合物である、(9)に記載の加水分解性ケイ素基含有ポリエーテル重合体の製造方法、
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、不飽和基含有ポリエーテル重合体の粗製品を水洗により精製するにあたって、洗浄後に水相と油相を分離する際に発生する中間相の量を低減できる精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法と、当該製造方法により製造される精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体を用いる、加水分解性ケイ素基含有ポリエーテル重合体の製造方法と、を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法≫
精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法では、不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品を、水(C)と混合することにより精製する。
【0011】
具体的には、精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法は、
不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品を水(C)と混合し、混合物を得ることと、
混合物から油相を分液回収することと、
を含む。
かかる方法では、pHが11.0以下である不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品が使用される。不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品のpHは、9.0以下が好ましく、8.5以下がより好ましい。
【0012】
不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品のpHが上記の範囲内であることにより、粗製品と、水(C)とを混合した後に分液を行う際に、油相と水相との間に生じる中間相の量を低減することができる。
【0013】
(不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品)
不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品の製造方法は、粗製品のpHが上記の所定範囲内である限り特に限定されない。
【0014】
粗製品のpHを調整しやすい点で好ましい典型的な製造方法としては、
複合金属シアン化物錯体を触媒として用いる重合反応により得られる水酸基末端ポリエーテル重合体に、アルカリ金属化合物を反応させた後、過剰量の不飽和基含有ハロゲン化物を反応させる方法が挙げられる。
かかる方法では、水酸基末端ポリエーテル重合体とアルカリ金属化合物との反応物と、不飽和基含有ハロゲン化物との反応を、粗製品のpHが11.0以下になるまで十分に進行させることがよい。
【0015】
水酸基末端ポリエーテル重合体は、−R−O−で表される構造を繰り返し単位とする主鎖を有する重合体であればよい。
Rは、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の2価の有機基である。主鎖中の複数のRは、同一の基であっても、2種以上の異なった基であってもよい。
また、水酸基末端ポリエーテル重合体は、主鎖は分岐していたり架橋されていたりしてもよい。
【0016】
上記Rとしては、アルキレン基が好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。
−R−O−で表される繰り返し単位の好適な具体例としては、−CH
2CH
2O−、−CH(CH
3)CH
2O−、−CH(C
2H
5)CH
2O−、−C(CH
3)
2CH
2O−、及び−CH
2CH
2CH
2CH
2O−等が挙げられるが、−CH
2CH
2O−、−CH(CH
3)CH
2O−が好ましく、−CH(CH
3)CH
2O−が特に好ましい。
【0017】
水酸基末端ポリエーテル重合体は、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下、アルキレンオキサイドを開環重合させて製造されるのが好ましい。
アルキレンオキサイドの好適な例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α−ブチレンオキサイド、β−ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、及びα−メチルスチレンオキシド等のアルキレンオキサイド類;メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、及びフェニルグリシジルエーテル等の炭素原子数2〜12の置換又は非置換のグリシジルエーテル類;が挙げられる。
【0018】
かかる開環重合反応では、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、及びペンタエリスリトール等の2価アルコール又は多価アルコール及び水酸基を有する各種の重合体が開始剤として好ましく使用される。
【0019】
複合金属シアン化物錯体触媒としては、Zn
3[Fe(CN)
6]
2、Zn
3[Co(CN)
6]
2、Fe[Fe(CN)
6]、及びFe[Co(CN)
6]等が挙げられる。
複合金属シアン化物錯体触媒としては、Zn
3[Co(CN)
6]
2(すなわち、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体)を触媒骨格として、有機配位子が配位した構造を有する触媒がより好ましい。
【0020】
このような触媒は、例えば水中でハロゲン化金属塩とアルカリ金属シアノメタレートとを反応させて得られる反応生成物に有機配位子を配位させて製造できる。
ハロゲン化金属塩の金属としては、Zn(II)又はFe(II)が好ましく、Zn(II)が特に好ましい。ハロゲン化金属塩としては特に塩化亜鉛が好ましい。
アルカリ金属シアノメタレートのシアノメタレートを構成する金属としては、Co(III)又はFe(III)が好ましく、Co(III)が特に好ましい。アルカリ金属シアノメタレートとしては、カリウムヘキサシアノコバルテートが好ましい。
有機配位子としては、アルコール及び/又はエーテルが好ましい。アルコール及びエーテルとしては、tert−ブチルアルコール、エタノ−ル、sec−ブチルアルコ−ル、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール及びイソプロピルアルコール等のアルコール、並びに、エチレングリコールジメチルエーテル(以下、グライム)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、ジオキサン、及び数平均分子量が150〜5000のポリエーテル等から選ばれる1種以上が好ましい。なかでも、tert−ブチルアルコール、及びグライムが特に好ましい。
【0021】
得られる水酸基末端ポリエーテル重合体には、水酸基末端ポリエーテル重合体の酸化による劣化を抑えるために、酸化防止剤を添加してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス{メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤を用いることができる。
【0022】
このようにして得られる、水酸基末端ポリエーテル重合体は、次いで、アルカリ金属化合物との反応を経て、不飽和基含有ハロゲン化物との反応に供される。
アルカリ金属化合物としては、水酸基末端ポリエーテル重合体が有する末端水酸基(−OH)中の水素原子を、アルカリ金属原子に置換可能な化合物であれば特に限定されない。
典型的には、アルカリ金属化合物として、炭素原子数1〜4のアルカリ金属アルコキシドが用いられる。アルカリ金属アルコキシドの中では、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、及びカリウムエトキシドが好ましく、ナトリウムメトキシド、及びカリウムメトキシドがより好ましく、ナトリウムメトキシドが特に好ましい。
アルカリ金属化合物は、2種以上を組み合わせて用いることもできるが、1種を単独で用いるのが好ましい。
【0023】
次いで、アルカリ金属化合物との反応により生成する、−OM(Mはアルカリ金属)で表される末端基を有するポリエーテル重合体を、不飽和基含有ハロゲン化物と反応させる。
不飽和基含有ハロゲン化合物としては、下記式(1a)又は式(1b):
H
2C=C(R
2)−R
1−Y・・・(1a)
H(R
2)C=CH−R
1−Y・・・(1b)
(上記式中、R
1は酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の2価の有機基であり、R2は、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、Yはハロゲン原子である。)
で表される化合物が好ましく使用さされる。
式(1a)又は式(1b)で表される化合物としては、アリルクロライド、及びメタリルクロライド(3−クロロ−2−メチル−1−プロペン)が好ましい。
不飽和基含有ハロゲン化合物の添加量を、アルカリ金属化合物の添加量より多くする事によって、得られる不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品のpHが低くなる傾向がある。そのため、不飽和基含有ハロゲン化物の全モル量が、前記アルカリ金属化合物の全モル量の1.3倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることがより好ましい。不飽和基含有ハロゲン化合物の添加量が多すぎると、脱揮による除去に時間がかかるため、3.0倍以下が好ましく、2.5倍以下がより好ましい。
【0024】
さらに、−OM(Mはアルカリ金属)で表される末端基を有するポリエーテル重合体と、不飽和基含有ハロゲン化物との反応時間が長いほど、得られる不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品のpHが低い傾向がある。
−OM(Mはアルカリ金属)で表される末端基を有するポリエーテル重合体と、不飽和基含有ハロゲン化物との反応時間は3時間以上が好ましく、4時間以上がより好ましい。
−OM(Mはアルカリ金属)で表される末端基を有するポリエーテル重合体と、不飽和基含有ハロゲン化物との反応は、得られる不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品のpHが11.0以下になるまで行われ、8.5以下になるまで行われるのが好ましい。
【0025】
なお、不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品のpHは、以下の方法で測定された値である。
〔不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品のpH測定方法〕
pHを7に調整されたイソプロパノール水溶液(純水:イソプロパノール(容量比)として30:100)50mLに、不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品10gを加える。
次いで、室温で撹拌し、不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品をイソプロパノール水溶液に溶解させる。
得られた溶液の室温で測定されるpHを、不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品のpHとする。
【0026】
(不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品の水洗)
以上説明した不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品は、水(C)と混合され、混合物を形成することにより精製される。
上記の混合物の形成により、水溶性の副生物、不純物等が不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)から水へ溶出し、不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)が精製される。
【0027】
不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品と、水(C)との混合比率は、所望する程度に不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)を精製できる限り特に限定されない。
混合比率としては、不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品の重量W
cpと、水(C)の重量W
wとの比が、W
cp:W
wとして、100:1〜100:10000であるのが好ましく、100:10〜100:1000であるのがより好ましい。
かかる量の水(C)を用いると、所望する精製効果を得やすい。
【0028】
混合物の形成に用いられる水(C)のpHは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の精製効果の観点からは、水(C)のpHは、7.0付近が好ましく、6.0超9.0未満がより好ましい。
水(C)のpHが上記の範囲内であると、種々の不純物を水相に移行させやすい。
【0029】
また、前述の特許文献1に記載の方法と同様に、水(C)にアスコルビン酸、又はその誘導体を含ませてもよいが、アスコルビン酸、又はその誘導体の量は、不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品100重量部に対して0.01重量部以下であるのが好ましい。
さらに、不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品から電解質である不純物を除去しやすいことから、水(C)の電解質濃度は0.1重量%以下であるのが好ましい。
【0030】
上記の混合物を形成する際には、油相と水相との分離性の改良等の目的で、必要に応じて有機溶剤(B)を用いてもよい。
有機溶剤(B)の好ましい例としては、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等のケトン類;ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、及びドデカン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、及びジイソプロピルエーテル等のエーテル類;塩化メチレン、メチルクロロホルム、四塩化炭素、ジクロロジフルオロメタン、及びパークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
これらの有機溶剤(B)は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
上記の混合物に有機溶剤(B)を加える場合、有機溶剤(B)の使用量は特に限定されない。
有機溶剤(B)の使用量は、不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品100重量部に対して、10〜5000重量部が好ましく、50〜1000重量部がより好ましい。
【0032】
混合物を形成する際の、混合温度は不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の許容できない程度の分解等が生じない限り特に限定されない。不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品と、水(C)とを含む混合物を形成する際の温度は、5〜140℃が好ましく、10〜80℃がより好ましい。
なお、混合物の処理温度が、有機溶剤(B)や水(C)の沸点を超える場合、耐圧容器中で混合物を処理してもよい。
混合物を形成した後には、混合物は静置されてもよく、撹拌されてもよい。不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)中の不純物を、良好に水相に移行させやすい点から、混合物は撹拌されるのが好ましい。撹拌方法は特に限定されず、例えば、撹拌翼等を用いて混合物をかき混ぜる方法や、ポンプ等により混合物を流動させて混合物を撹拌する方法等が挙げられる。
【0033】
不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品と、水(C)と、必要に応じて有機溶剤(B)とを混合した後、これらを含む混合物は、ある程度の時間、撹拌された状態を保持されるのが好ましい。保持時間は、所望の精製効果が得られる限り特に限定されない。典型的には、保持時間は、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、10分以上がより好ましい。
【0034】
以上のようにして処理された混合物から、次いで油相が回収され、油相から精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体が回収される。
【0035】
(油相の回収)
上記の方法で処理された混合物から油相を回収する方法は特に限定されない。典型的には、混合物を静置するか、混合物に遠心力を加えて、水相と油相とを分離する方法が採用される。
中間相や水相が油相に取り込まれにくい点からは、混合物を静置する方法が好ましい。
混合物からの油相の回収を短時間で効率よく行える点からは、混合物に遠心力を加えて、水相と油相とを分離する方法が好ましい。これらの方法は、いずれも回分式でも、連続式でも行うことができる。
【0036】
上記方法により、水相と油相との分離を行い、水相と、油相と、水相と油相との間に生じる中間相とをそれぞれ個別に回収する。
油相からは、次いで、精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体が回収される。
水相の処理方法は特に限定されないが、典型的には、活性汚泥槽のような工業用水の処理設備で浄化される。
中間相の処理方法は特に限定されない。中間相は、産業廃棄物として処理されるのが好ましい。典型的には、中間層は、産業廃棄物として燃焼処理される。
【0037】
(精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体の回収)
混合物の形成に有機溶剤(B)を用いていない場合、回収された油相を、そのまま、精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体として用いることができる。
しかし、回収された油相がわすかに水を含む場合がある。この場合、加熱により、油相から水を除去してもよいし、無水硫酸ナトリウムや無水硫酸マグネシウムのような脱水剤を用いて脱水を行ってもよいし、ヘキサン、トルエン、キシレン等のエントレーナーを用いて共沸脱水を行ってもよい。
混合物の形成に有機溶剤(B)を用いる場合、油相は有機溶剤(B)を含む。このため、加熱により油相から有機溶剤(B)を留去することにより、精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体が回収される。
このようにして回収される精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体は、加水分解性ケイ素基含有ポリエーテル重合体の製造に好適に用いられる。
【0038】
(加水分解性ケイ素基含有ポリエーテル重合体の製造)
加水分解性ケイ素基含有ポリエーテル重合体は、上述の方法により製造された精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体と、下記式(2):
H−(SiR
42−bX
bO)
m−Si(R
33−a)X
a・・・(2)
(式(2)中、R
3及びR
4は、同一であっても異なっていてもよく、炭素原子数1〜20の置換あるいは非置換のヘテロ原子含有基を有してもよい炭化水素基、又は(R’)
3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。R
3又はR
4が2つ以上存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R’は、炭素原子数1〜20の1価の炭化水素基である。3つのR’は、同一であっても異なっていてもよい。Xは、水酸基又は加水分解性基を示す。Xが2つ以上存在するとき、それらは同一であっても異なっていてもよい。aは0、1、2、又は3を示す。bは、0、1、又は2を示す。m個の(SiR
42−bX
bO)基におけるbについて、それらは同一であっても異なっていてもよい。mは0〜19の整数を示す。ただし、a及びbは、a+Σb≧1を満足する。)
で表されるシラン化合物とを、ヒドロシリル化反応させることにより製造される。
【0039】
R
3及びR
4としての有機基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ハロゲン原子等が挙げられる。
加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができる。式(2)中、aと、1又は複数のbとの合計は1〜5の範囲内であるのが好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。
【0040】
ヒドロシリル化反応に用いられるシラン化合物としては、入手が容易である点等から、下記式(3);
H−SiR
33−cX
c・・・(3)
(式(3)中、R
3、及びXは前述のとおりであり、cは1、2、又は3を示す。)
で表される化合物が特に好ましい。
【0041】
式(3)で表されるシラン化合物の好適な具体例としては、トリクロルシラン、メチルジクロルシラン、ジメチルクロルシラン、フェニルジクロルシラン、及びトリメチルシロキシメチルクロルシラン等のハロゲン化シラン;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリメチルシロキシメチルメトキシシラン、及びトリメチルシロキシジエトキシシラン等のアルコキシシラン;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシラン、トリメチルシロキシメチルアセトキシシラン、及びトリメチルシロキシジアセトキシシラン等のアシロキシシラン;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシラン、ビス(ジエチルケトキシメート)トリメチルシロキシシラン、ビス(メチルエチルケトキシメート)メチルシラン、及びトリス(アセトキシメート)シラン等のケトキシメートシラン;メチルイソプロペニルオキシシラン等のアルケニルオキシシラン類等が挙げられる。
これらの中では、アルコキシシランが特に好ましい。アルコキシシランが有するアルコキシ基の中では、メトキシ基が特に好ましい。
【0042】
ヒドロシリル化反応は、通常10〜150℃、より好ましくは20〜120℃、特に好ましくは40〜100℃の範囲で行われる。
反応温度の調節、反応系の粘度の調整等の必要に応じて、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、及びヘプタン等の有機溶剤を、反応溶媒として用いることができる。
【0043】
不飽和基含有ポリエーテル重合体と、加水分解性ケイ素基を有するシラン化合物との反応において用いられる好ましい触媒としては、白金、ロジウム、等のVIII族遷移金属元素から選ばれた金属錯体触媒等が挙げられる。
例えば、H
2PtCl
6・6H
2O、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、RhCl(PPh
3)
3、等のような化合物が使用できる。
ヒドロシリル化の反応性の点から、H
2PtCl
6・6H
2O、及び白金−ビニルシロキサン錯体が特に好ましい。
ここでいう白金−ビニルシロキサン錯体とは、分子内にビニル基を有する、シロキサン、ポリシロキサン、又は環状シロキサンが白金原子に対し、配位子として配位している化合物の総称である。配位子の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチル1,3−ジビニルジシロキサン等が挙げられる。
触媒使用量としては特に制限は無いが、通常、アルケニル基1モルに対して白金触媒を10
−1から10
−8モル使用することが好ましい。
【0044】
このようにして合成された加水分解性ケイ素基含有ポリエーテル重合体は、硬化触媒の存在下で、大気中の水分により常温で硬化し、金属、ガラス等に良好に密着する塗膜を与える。
このため、加水分解性ケイ素基含有ポリエーテル重合体、又はその組成物は、建造物、航空機、及び自動車等における、被膜形成用組成物、密封用組成物、塗料組成物、接着剤組成物として有用である。
硬化触媒としては、従来公知のシラノール縮合触媒を使用することができる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【実施例】
【0045】
以下、本発明をより一層明らかにするために具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
(合成例1)
数平均分子量が約2,000のポリオキシプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、両末端に水酸基を有する数平均分子量27,900(末端基換算分子量17700)、分子量分布Mw/Mn=1.21のポリオキシプロピレン重合体(P−1)を得た。
得られた重合体(P−1)の水酸基に対して1.1モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体(P−1)の水酸基に対して1.3モル当量の3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加して30分反応させる事によって末端の水酸基をメタリル基に変換した。
未反応の3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを減圧脱揮により除去した。さらに(P−1)の水酸基に対して0.4モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。
真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体(P−1)の水酸基に対して、さらに1.2モル当量の3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加して4時間反応させることによって末端の水酸基をメタリル基に変換した。未反応の3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを減圧脱揮により除去し、未精製の不飽和基含有ポリオキシプロピレン重合体(S−1)を得た。重合体(S−1)の、前述の方法により測定されたpHは8.2であった。
【0047】
(合成例2)
合成例1と同様にして得た重合体(P−1)の水酸基に対して1.1モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体(P−1)の水酸基に対して1.3モル当量の3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加して30分反応させる事によって末端の水酸基をメタリル基に変換した。
未反応の3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを減圧脱揮により除去した。さらに(P−1)の水酸基に対して0.4モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。
真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体(P−1)の水酸基に対して、さらに0.6モル当量の3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加して2時間反応させることによって末端の水酸基をメタリル基に変換した。未反応の3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを減圧脱揮により除去し、未精製の不飽和基含有ポリオキシプロピレン重合体(S−2)を得た。重合体(S−2)の、前述の方法によりpHは12.5であった。
【0048】
(実施例1)
容量300mLのナス型フラスコに、合成例1で得た不飽和基含有ポリエーテル重合体(S−1)20gと、ヘキサン100gと、pH6.8の水100gとを添加し、室温で10分間撹拌した。得られた混合溶液を遠心分離用の容器に入れ、5分間、遠心分離(2500G)を行った。遠心分離後、ヘキサン相と、水相とを除去し、容器中に残った中間相の重さを測定した。結果を表1に示す。
【0049】
(比較例1)
容量300mLのナス型フラスコに、合成例2で得た不飽和基含有ポリエーテル重合体(S−2)20gと、ヘキサン100gと、pH6.8の水100gとを添加し、室温で10分間撹拌した。得られた混合溶液を遠心分離用の容器に入れ、5分間、遠心分離(2500G)を行った。遠心分離後、ヘキサン相と水層とを除去し、容器中に残った中間相の重さを測定した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1によれば、不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品を水(C)と混合して精製する際に、不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の粗製品の所定の方法により測定されるpHが11.0以下であることにより、中間相の生成量が顕著に低減することが分かる。