特許第6872348号(P6872348)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋シヤッター株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6872348-固定装置 図000002
  • 特許6872348-固定装置 図000003
  • 特許6872348-固定装置 図000004
  • 特許6872348-固定装置 図000005
  • 特許6872348-固定装置 図000006
  • 特許6872348-固定装置 図000007
  • 特許6872348-固定装置 図000008
  • 特許6872348-固定装置 図000009
  • 特許6872348-固定装置 図000010
  • 特許6872348-固定装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872348
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】固定装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/58 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   E06B9/58 B
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-213561(P2016-213561)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-71226(P2018-71226A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222325
【氏名又は名称】東洋シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101948
【弁理士】
【氏名又は名称】柳澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】亀井 敦
(72)【発明者】
【氏名】亀谷 勇太
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−235283(JP,A)
【文献】 実開昭59−098067(JP,U)
【文献】 特開2009−174136(JP,A)
【文献】 実開昭60−195447(JP,U)
【文献】 特開2009−174174(JP,A)
【文献】 米国特許第04694669(US,A)
【文献】 中国実用新案第2555341(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00
E06B 9/02
E06B 9/06−9/18
E06B 9/40−9/50
E06B 9/56−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連接されるシャッターの間に設けられる中柱を床に固定する固定装置において、中柱を固定する際に下方へ移動させて床に設けられた凹部に嵌合させる落としと、弾性材でなり第1規制部及び第2規制部が形成されるとともに前記落とし棒に下方への力を加える凸の円弧状に形成された下部付勢部及び前記落とし棒に上方への力を加える凸状の円弧状に形成された上部付勢部を設けた付勢手段を有し、該付勢手段は、前記落とし前記第1規制部より下方へ移動させると、前記下部付勢部により前記落とし棒に下方への力を加えるとともに前記落とし棒の前記第1規制部より上への移動を規制し、また前記落とし棒を前記第2規制部より上方へ移動させると、前記上部付勢部により前記落とし棒に上方への力を加えるとともに前記落とし棒の前記第2規制部より下への移動を規制ることを特徴とする固定装置。
【請求項2】
前記付勢手段の前記第1規制部と前記第2規制部との間は凹状に形成された抑止部を有しており、さらに、前記付勢手段の前記抑止部に当接して前記付勢手段の変形を抑止する抑止手段を有することを特徴とする請求項に記載の固定装置。
【請求項3】
前記付勢手段の前記第1規制部と前記第2規制部との間は凸状に形成された抑止部を有しており、さらに、前記付勢手段の前記抑止部に当接して前記付勢手段の変形を抑止する抑止手段を有することを特徴とする請求項に記載の固定装置。
【請求項4】
前記落としには、前記落とし棒が床に設けられている凹部に挿入された位置まで押し下げられたか否かを示す表示がなされていることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシャッターを連接する際に、それぞれのシャッターの間に設けられる中柱を床に固定する固定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のシャッターを連接する場合、それぞれのシャッターの間に中柱を建て、その中柱の左右をガイドとして、それぞれのシャッターの上げ下ろしを行う。中柱を建てて床に固定するため、中柱には固定装置が設けられている。この固定装置には落とし棒が設けられており、この落とし棒を床に設けられている凹部に嵌合させ、中柱を床に固定している。しかし、シャッターが風圧を受けたり、地震などの過度の振動が加わると、落とし棒が浮き上がって床の凹部から外れてしまうという不具合が生じることがあった。
【0003】
このような問題を解決するため、例えば特許文献1や特許文献2では、落とし棒の2カ所に凹部を形成しておき、落とし棒を床の凹部に嵌合させた状態と、落とし棒を引き抜いた状態の場合に、落とし棒の凹部にボール体が嵌合して落とし棒の動作を規制するように構成している。これにより、振動などが加わった場合でも落とし棒を床の凹部へ嵌合させた状態が維持され、中柱が外れるなどの不具合を防止することができる。なお、このような構成とともに、特許文献1ではシャッターを閉めた際にシャッターの座板の端部が当たり板の上に乗って落とし棒が動かないようにしている。また、特許文献2では落とし棒に設けられている当たり金具が連動部材に当接し、連動部材をシャッターカーテンにより動きを規制することによって、落とし棒が床の凹部に嵌合した状態が維持されるようにしている。
【0004】
これらの技術はボール体が落とし棒の凹部に嵌合するまで、落とし棒が床の凹部に挿入されることが前提である。しかし、床の凹部にはゴミやホコリなどが滞留しやすく、この凹部にゴミなどが溜まってしまうと、床の凹部に落とし棒を十分に挿入しきれない場合がある。そのような状況では、落とし棒と床の凹部との嵌合が不十分であるとともに、ボール体と落とし棒の凹部との嵌合も不十分であったり、嵌合していない状態となる場合があった。このような状態で使用すると、固定装置が機能せず、中柱が外れてしまうなどの不具合が生じてしまう。
【0005】
一方、特許文献3に記載されているシャッターの中柱施錠装置では、ケース内に軸支された回動板を有し、この回動板を落とし棒に係止するとともにコイルバネに係止した構成が記載されている。この構成では、落とし棒がある点よりも下げられると下向きに付勢され、ある点よりも上げられると上向きに付勢される。そのため、落とし棒をある点よりも下げれば、床の凹部に多少のゴミなどが溜まっていても落とし棒は下向きに付勢されて、床の凹部と落とし棒との嵌合が維持される。これによって、中柱が外れる不具合を回避することができる。しかし、この技術においては、落とし棒を付勢するのに回動板を用いるなど部品点数が多く、コストが増加するなど、種々の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−287972号公報
【特許文献2】特開2005−048508号公報
【特許文献3】特開平06−235283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、落とし棒が床の凹部に十分に挿入されない場合であっても、確実に中柱を固定し、中柱の外れを防止することができる固定装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、連接されるシャッターの間に設けられる中柱を床に固定する固定装置において、中柱を固定する際に下方へ移動させて床に設けられた凹部に嵌合させる落とし棒と、弾性材でなり第1規制部及び第2規制部が形成されるとともに前記落とし棒に下方への力を加える凸の円弧状に形成された下部付勢部及び前記落とし棒に上方への力を加える凸状の円弧状に形成された上部付勢部を設けた付勢手段を有し、該付勢手段は、前記落とし棒を前記第1規制部より下方へ移動させると、前記下部付勢部により前記落とし棒に下方への力を加えるとともに前記落とし棒の前記第1規制部より上への移動を規制し、また前記落とし棒を前記第2規制部より上方へ移動させると、前記上部付勢部により前記落とし棒に上方への力を加えるとともに前記落とし棒の前記第2規制部より下への移動を規制することを特徴とする固定装置である。
【0009】
前記付勢手段の前記第1規制部と前記第2規制部との間は凹状に形成された抑止部を有しており、さらに、前記付勢手段の前記抑止部に当接して前記付勢手段の変形を抑止する抑止手段を有するとよい。
【0010】
あるいは、前記付勢手段の前記第1規制部と前記第2規制部との間は凸状に形成された抑止部を有しており、さらに、前記付勢手段の前記抑止部に当接して前記付勢手段の変形を抑止する抑止手段を有するように構成してもよい。
【0011】
前記落とし棒には、前記落とし棒が床に設けられている凹部に挿入された位置まで押し下げられたか否かを示す表示がなされているとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、落とし棒を床の凹部に嵌合させる際に、例えば凹部にゴミなどが堆積した場合でも、落とし棒を付勢手段の第1規制部よりも下方へ移動させれば付勢手段の下部付勢部によって下方への力が付勢され、落とし棒が凹部から抜けるのを防ぐことができる。さらに、風圧や水圧などで強い振動や力が加えられた場合でも、規制手段の第1規制部よりも上への落とし棒の移動を規制することから、たとえ付勢手段の下部付勢部による下方への付勢力以上の力がかかっても、落とし棒が床の凹部から抜けて中柱が外れることはない。
【0014】
さらに、落とし棒を付勢手段の第2規制部より上方へ移動させると付勢手段の上部付勢部が落とし棒に上方への力を加えるので、落とし棒を引き上げて床面への固定を解除した場合に、落とし棒が引き上げられた状態から下降することがなく、中柱の取り外し及び装着を阻害することがない。さらにまた、落とし棒が付勢手段の第2規制部より上方へ移動した場合に、規制手段の第2規制部より下への移動が規制されるので、落とし棒が引き上げられた状態からの下降を防止することができる。
【0015】
前記弾性材の変形を抑止する抑止手段を設けておけば、落とし棒を下方へ移動した状態、あるいはさらに落とし棒を上方へ移動した状態で、弾性材自体でも落とし棒の移動を規制することができ、落とし棒が床の凹部から外れてしまう事態を、より強固に防ぐことができる。
【0016】
落とし棒に、落とし棒が床に設けられている凹部に挿入された位置まで押し下げられたか否かを示す表示を設けておくと、落とし棒が床の凹部に嵌合していること、あるいは嵌合が不完全であることを、操作者が目視することができ、より確実な落とし棒の操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の固定装置の第1の実施の形態を示す構成図である。
図2】本発明の固定装置を含むシャッターの一例を示す構成図である。
図3】本発明の固定装置を含む中柱の下部の拡大図である。
図4】本発明の固定装置の第1の実施の形態における動作の一例の説明図である。
図5】本発明の固定装置の第1の実施の形態における動作の一例の説明図(続き)である。
図6】本発明の固定装置の第2の実施の形態を示す構成図である。
図7】本発明の固定装置の第2の実施の形態における動作の一例の説明図である。
図8】本発明の固定装置の第2の実施の形態における動作の一例の説明図(続き)である。
図9】本発明の固定装置の第3の実施の形態を示す構成図である。
図10】本発明の固定装置の第4の実施の形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の固定装置の第1の実施の形態を示す構成図、図2は、本発明の固定装置を含むシャッターの一例を示す構成図、図3は、本発明の固定装置を含む中柱の下部の拡大図である。図中、1はシャッターカーテン、2はガイドレール、3は中柱、4は床面、5は凹部、11は固定装置、12は落とし棒、13はつまみ、21はケース、22は付勢部材、23は第1規制部、24は第2規制部、25は下部付勢部、26は上部付勢部、27は抑止部、31は突起、32は挿入表示部、33は抑止部材、41は最下位置、42は下部位置、43は上部位置、44は最上位置である。
【0019】
シャッターは開口部に設けられるが、開口部の幅が広い場合、複数のシャッターを連接することになる。図2には一例として2つのシャッターを連接した例を示している。もちろん、3以上が連接される場合もある。各シャッターカーテン1の開口部側壁側にはガイドレール2が設けられている。また、シャッターカーテン1の間には、中柱3が取り外し自在に設置されている。中柱3のシャッターカーテン1側(両側)にはガイドレール2と同様にシャッターカーテン1をガイドする溝が上下方向に設けられており、シャッターカーテン1は、ガイドレール2と中柱3との間を上昇、下降する。
【0020】
中柱3の下部には、中柱3を床面4に固定するための固定装置11が設けられている。また、図3に一例を示すように、床面4には凹部5が設けられている。中柱3を所定の位置に建てた後、固定装置11の落とし棒12を下方へ移動させて床面4の凹部5に挿入し、嵌合させることにより、中柱3が床面4に固定される。
【0021】
固定装置11の第1の実施の形態を図1に示している。固定装置1のケース21内には付勢部材22が設けられている。付勢部材22は弾性材であり、この例では板バネで形成されている。付勢部材22の端部はケース21の上壁及び下壁に固定され、その間に張架されている。また、付勢部材22には第1規制部23及び第2規制部24となる突起が形成されている。ケース21の下壁に固定された部分から第1規制部23まで凸の円弧状に形成され、この部分が下部付勢部25となる。また、ケース21の上壁に固定された部分から第2規制部24まで凸の円弧状に形成され、この部分が上部付勢部26となる。さらに、第1規制部23から第2規制部24までは凹状の円弧状に形成されており、この部分が抑止部27となる。
【0022】
下部付勢部25は、落とし棒12を下部位置42より下方へ移動させると、落とし棒12に下方への力を加える。また第1規制部23は、落とし棒12が下部位置42より下方へ移動した場合に、この下部位置42より上への落とし棒12の移動を、下部付勢部25より強い弾性力で規制する。なお、下部位置42は、落とし棒12を床面4に設けられている凹部5に最も深く挿入された状態の位置である最下位置41よりも上の位置であり、ゴミなどが凹部5に溜まっている場合でも落とし棒12が凹部5と係止され、振動などが加えられても凹部5から外れない位置に設定するとよい。この例においては、この下部位置42が、第1規制部23が落とし棒12の上への移動を規制する位置であり、かつ、下部付勢部25によって下方向へ力を加える上限位置となる。
【0023】
上部付勢部26は、落とし棒12を上部位置43より上方へ移動させると、落とし棒12に上方への力を加える。また第2規制部24は、落とし棒12が上部位置43より上方へ移動した場合に、この上部位置43より下への落とし棒12の移動を、上部付勢部26より強い弾性力で規制する。なお、上部位置43は、落とし棒12が床面4に設けられている凹部5から外れた状態の位置であり、中柱3を取り外すのに支障がない位置とすればよい。この上部位置43は、落とし棒12を最も引き上げた状態の位置である最上位置44よりも下の位置であってよい。この例においては、この上部位置43が、第2規制部24が落とし棒12の下への移動を規制する位置であり、かつ、上部付勢部26によって上方向へ力を加える下限位置となる。
【0024】
落とし棒12には、突起31が設けられている。この突起31が落とし棒12の上下動とともに上下に移動することになる。上述の付勢部材22に設けられている第1規制部23及び第2規制部24が、落とし棒12に設けられている突起31の移動経路上となるように、付勢部材22が配置される。
【0025】
落とし棒12の先端が下部位置42にあるとき、突起31が第1規制部23の凸部の位置あるいは突起31が第1規制部23の下面に当接する位置にあるようにする。また、落とし棒12の先端が上部位置43にあるとき、突起31が第2規制部24の凸部の位置あるいは突起31が第2規制部24の上面に当接する位置にあるようにする。
【0026】
突起31の形状は任意であるが、例えば円柱形状の場合には、円柱の中心位置が第1規制部23の凸部の位置よりも多少下の位置となれば、付勢部材22の弾性力により第1規制部23の凸部が突起31の円柱面を滑るように押し出されるとともに突起31が下方向に付勢される。さらに、突起31が第1規制部23の下面に当接する位置以下の位置にあり、付勢部材22の下部付勢部25と突起31が当接する状態で、付勢部材22の弾性力により突起31が下方向への力を受け、従って落とし棒12が下方向への力を受ける。これによって、落とし棒12が床面4の凹部5に挿入しきれていない場合でも、下向きの付勢力によって、落とし棒12が凹部5から抜けにくくしている。さらに、下部付勢部25による下向きの力に抗して落とし棒12が浮き上がろうとすると、第1規制部23によって突起31の上方への移動が規制され、落とし棒12の凹部5からの抜けを防ぐ。
【0027】
また、突起31の円柱形状の中心位置が第2規制部24の凸部の位置よりも多少上の位置となれば、付勢部材22の弾性力により第2規制部24の凸部が突起31の円柱面を滑るように押し出されるとともに突起31が上方向に付勢されることになる。さらに、突起31が第2規制部24の上面に当接する位置以上の位置にあり、付勢部材22の上部付勢部26と突起31が当接する状態では、付勢部材22の弾性力により突起31が上方向への力を受け、従って落とし棒12が上方向への力を受ける。これによって、落とし棒12は引き抜いた状態が維持されることになる。さらに、第2規制部24によっても、落とし棒12が下方へ移動するのを規制し、不用意に落とし棒12が下方へ移動するのを防いでいる。
【0028】
なお、上述のように付勢部材22は弾性材で形成されていることから、ある程度の力を加えて落とし棒12を上げ、あるいは下げれば、突起31は第1規制部23あるいは第2規制部24を押しやり、第1規制部23あるいは第2規制部24の凸部を通過することができる。
【0029】
上述のように突起の形状は任意であり、例えば突起31の断面形状が付勢部材22側に凸の形状を有していれば、上述の円柱形状の場合と同様に動作する。また、突起31の形状が、例えば付勢部材22側に平面を有する形状の場合には、当該平面に第1規制部23や第2規制部24の凸部が当接している状態では落とし棒12には下向きあるいは上向きの力は付勢されず、第1規制部23の下面と当接する位置あるいは第2規制部24の上面と当接する位置で下方向または上方向に付勢されることになる。このような場合には、落とし棒12の先端が下部位置42にあるとき、突起31が第1規制部23の下面に当接する位置にあるようにする。また、落とし棒12の先端が上部位置43にあるとき、突起31が第2規制部24の上面に当接する位置にあるようにするとよい。
【0030】
落とし棒12には、この例ではさらに挿入表示部32が形成されている。落とし棒12を上方へ移動した状態で、挿入表示部32はケース21の上部に露出され、目視されることで固定されていない状態であることを示している。また、落とし棒12を下方へ移動すると、挿入表示部32がケース21によって隠されてゆく。例えば、落とし棒12が床面4に設けられている凹部5に挿入され、下部位置42あるいは最下位置41まで挿入されて中柱3が固定された状態で、挿入表示部32がケース21に隠されるように、挿入表示部32を形成しておくとよい。なお、挿入表示部32の表示方法としては、例えば着色しておいたり、表面加工を他の部分と異ならせておいたり、刻みにより位置を表示するなど、種々の方法が考えられる。もちろん、挿入表示部32の表示方法はこれらの例に限られるものではなく、公知の任意の方法を採用することができる。また、挿入表示部32を形成せずに構成してもよい。
【0031】
固定装置1のケース21内には、さらに、抑止部材33が設けられている。この抑止部材33は、図3に示したつまみ13と連動しており、つまみ13を左右に移動させることにより、抑止部材33が出入りするように構成されている。抑止部材33が突出した状態で、抑止部材33の先端部が付勢部材22の抑止部27に当接、さらには抑止部27を押圧する。
【0032】
抑止部材33が付勢部材22の抑止部27に当接、押圧した状態では、第1規制部23及び第2規制部24の動きが抑止される。そのため、落とし棒12を上へ、あるいは下へ移動するように操作し、突起31が第1規制部23または第2規制部24に当接しても、第1規制部23または第2規制部24は突起31によって押しやられるような変形は生じず、従って突起31が第1規制部23あるいは第2規制部24の凸部を通過することができず、落とし棒12の移動が抑止されることになる。
【0033】
例えば、突起31が第1規制部23よりも下に存在する場合に抑止部材33を付勢部材22の抑止部27に当接あるいはさらに押圧した状態とすると、突起31は第1規制部23の凸部を越えて上へ移動することはできない。突起31が第1規制部23よりも下に存在する場合には、落とし棒12が床面4の凹部5に嵌合している状態であるので、この状態が抑止部材33によって維持される。よって、落とし棒が床面4の凹部5から抜けるのを防ぐことができ、中柱3が外れることはない。
【0034】
また、例えば突起31が第2規制部24よりも上に存在する場合に抑止部材33を付勢部材22の抑止部27に当接あるいはさらに押圧した状態とすると、突起31は第2規制部24の凸部を越えて下へ移動することはできない。これによって、落とし棒12を引き上げた状態が維持され、多少の力が加わっても落とし棒12が下がってしまうことがなくなる。これによって、例えば中柱3を建てる際に落とし棒12が下がってしまって、中柱3の建て付けの作業に支障が出るなどの不具合を防止することができる。
【0035】
なお、落とし棒12が床面4の凹部5から外れるのを防ぐ意味から、上述の構成では、第1規制部23及び下部付勢部25と、これらにより落とし棒12の動作を規制するために落とし棒12に設けられている突起31が備わっていればよく、他の構成については適宜設ければよい。
【0036】
図4図5は、本発明の固定装置の第1の実施の形態における動作の一例の説明図である。中柱3を建てる前には、固定装置11は図1に示した状態にある。すなわち、落とし棒12を引き上げ、落とし棒12に設けられている突起31が付勢部材22の第2規制部24よりも上に位置する状態となっている。この状態では、落とし棒12は自重により下降しようとするが、突起31が付勢部材22の上部付勢部26に当接して上方向の力を受け、落とし棒12の下降が抑止される。また、第2規制部24によって突起31の下降が規制される。これらにより、中柱3を建てる際に落とし棒12が下降していて邪魔になるなどといった不具合を回避することができる。なお、この状態では挿入表示部32がケース21より露出し、落とし棒12が挿入されていないことを表示している。
【0037】
図1では示していないが、抑止部材33を付勢部材22の抑止部27に当接、押圧した状態にしておくとよい。このような状態にすることによって、第2規制部24の動きが抑止され、落とし棒12の突起31が第2規制部24を乗り越えられなくなる。例えば落とし棒12を不用意に押し下げた場合や、振動や何らかの下方への圧力が落とし棒12にかかった場合でも、落とし棒12が降下して中柱3の建て付けに支障が生じるといった不具合を、抑止部材33を用いない場合に比べて確実に防止することができる。
【0038】
中柱3を建て付けた後、中柱3を床面4に固定する際には、抑止部材33が付勢部材22に当接、押圧した状態となっている場合には、つまみ13をスライドさせて抑止部材33の付勢部材22との当接を解除しておく。そして落とし棒12の先端が床面4の凹部5に挿入されるように位置を合わせ、落とし棒12を押し下げる。
【0039】
ある程度の力を加えて落とし棒12を押し下げると、落とし棒12の突起31が付勢部材22を押し、図4(A)に示すように、付勢部材22は内側に変形する。そして、落とし棒12の突起31は第2規制部24を越えて下方へ移動することができる。落とし棒12の端部は、上部位置43よりも下方へ移動することになる。
【0040】
さらに落とし棒12を押し下げると、落とし棒12の突起31は第1規制部23に当接する。この場合も、ある程度の力を加えて落とし棒12を押し下げると、落とし棒12の突起31が付勢部材22を押し、第2規制部24を越えたときと同様に付勢部材22は内側に変形する。そして、落とし棒12の突起31は第1規制部23を越えて下方へ移動することができる。落とし棒12の端部は、下部位置42よりも下方へ移動することになる。この状態を図4(B)に示している。
【0041】
なお、この状態では挿入表示部32はケース21内に存在しており、外部からは挿入表示部32はケース21に隠れて見えなくなっている。これによって、落とし棒12が挿入されたことを表示している。落とし棒12の先端が最下位置41まで下がりきっていなくても、下部位置42まで下がっていれば落とし棒12と床面4の凹部5との嵌合が外れない位置関係であることから、挿入表示部23は、落とし棒12の先端が下部位置42まで下がっていれば落とし棒12は挿入された状態であることを表示するように構成しておけばよい。
【0042】
落とし棒12は、下部付勢部25により下向きの力を受けるとともに、自重により下降しようとする。そのため、床面4の凹部5に支障がなければ、落とし棒12の突起31はケース21の内部の下面まで降下し、また落とし棒12の先端は最下位置41まで下がり、中柱3は固定されることになる。
【0043】
しかし、床面4の凹部5には土やゴミ等が溜まりやすく、このような滞留物が存在すると落とし棒12を下げきれない場合がある。このような場合でも、落とし棒12の突起31が第1規制部23よりも下に存在していれば、落とし棒12が浮き上がって床面4の凹部5との嵌合が外れることはない。すなわち、図4(B)に示すように落とし棒12の突起31が付勢部材22に当接した状態まで落とし棒12が浮き上がった状態でも、落とし棒12の突起31は第1規制部23によって上昇が規制される。また、落とし棒12の突起31は、下部付勢部25に当接すると下方向の力を受け、落とし棒12の上昇が抑止される。これらにより、落とし棒12の先端が床面4の凹部5に下がりきっていない状態となっていても、落とし棒12が床面4の凹部5から外れるのを防ぐことができる。
【0044】
また、シャッターが振動や風圧、水圧などを受けた場合、中柱3とともに落とし棒12が浮き上がろうとする場合がある。このような場合にも、落とし棒12の突起31は下部付勢部25により下方向へ付勢されて浮き上がりが抑止され、さらに第1規制部23によってそれ以上の上昇が規制される。これらにより、落とし棒12の浮き上がりを防止し、落とし棒12と床面4の凹部5との嵌合が外れるのを防ぐことができる。
【0045】
さらに、図5に示すように、抑止部材33を付勢部材22の抑止部27に当接、押圧した状態にしておくとよい。このような状態にすることによって、第1規制部23の動きが抑止され、落とし棒12の突起31が第1規制部23を乗り越えられなくなる。例えば、図4(B)の状態では、シャッターに強い振動や風圧、水圧などにより落とし棒12の突起31が付勢部材22を押圧して変形させ、落とし棒12の突起31が第1規制部23を越えて上昇してしまうことが考えられる。抑止部材33を付勢部材22の抑止部27に当接、押圧した状態にしておけば、上述のような場合でも、抑止部材33が付勢部材22の変形を抑止することによって、落とし棒12の突起31が第1規制部23を越えることがなく、落とし棒12が床面4の凹部5から抜けてしまうのを確実に防ぐことができる。
【0046】
中柱3を取り外す際には、上述の操作と逆の操作を行えばよい。例えば、つまみ13をスライドさせて抑止部材33を付勢部材22に当接しない状態にした後、落とし棒12を引き上げることにより、落とし棒12の突起31は付勢部材22を変形させて第1規制部23を乗り越え、さらに落とし棒12を引き上げれば落とし棒12の突起31は付勢部材22を変形させて第2規制部24を乗り越えて上昇する。これによって図1に示した状態となり、落とし棒12を放しても下降しない状態となる。この状態では、落とし棒12の先端は床面4の凹部5から外れており、中柱3を取り外すことができる。
【0047】
図6は、本発明の固定装置の第2の実施の形態を示す構成図である。図中の符号は上述の第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態と異なる点を主に説明してゆく。図中、45は中央位置である。この第2の実施の形態では、付勢部材22の形状が異なっている。
【0048】
第2の実施の形態における付勢部材22は、第1の実施の形態とは形状が異なっている。付勢部材22には第1規制部23及び第2規制部24となる突起が形成されており、この第1規制部23から第2規制部24までについて凸状の円弧状に形成され、抑止部27となる。ケース21の下壁に固定された部分から第1規制部23まで、及び、ケース21の上壁に固定された部分から第2規制部24までについても凸の円弧状に形成されており、全体として、ケース21の下壁から上壁までが第1規制部23及び第2規制部24を除いて円弧状となるように形成されている。
【0049】
このような形状の付勢部材22では、その中央部(抑止部27の中央部)より下の部分が下部付勢部25となり、落とし棒12が中央位置45付近よりも下方に存在する場合に、落とし棒12に下方への力を加える。また、付勢部材22の中央部(抑止部27の中央部)より上の部分が上部付勢部26となり、落とし棒12が中央位置45付近よりも上方に存在する場合に、落とし棒12に上方への力を加える。このように、この第2の実施の形態では付勢部材22の中央部付近を境にして、下部では落とし棒12に下方向の力を加え、上部では落とし棒12に上方向の力を加えることになる。
【0050】
図7図8は、本発明の固定装置の第2の実施の形態における動作の一例の説明図である。図4図5を用いて説明した第1の実施の形態における動作の一例と重複する説明については省略することがある。中柱3を建てる前には、固定装置11は図6に示した状態にあり、落とし棒12が引き上げられて落とし棒12に設けられている突起31が付勢部材22の第2規制部24よりも上に位置する状態となっている。この状態は第1の実施の形態での説明と同様である。
【0051】
なお、この例においても、この状態では挿入表示部32がケース21より露出し、落とし棒12が挿入されていないことを表示している。また、抑止部材33を付勢部材22の抑止部27に当接、押圧した状態にしておくとよい。このような状態にすることによって、上部付勢部26による上方への付勢力が増すとともに、第2規制部24の動きが抑止され、落とし棒12の突起31が第2規制部24を乗り越えられなくなる。例えば落とし棒12を不用意に押し下げた場合や、振動や何らかの下方への圧力が落とし棒12にかかった場合でも、落とし棒12が降下して中柱3の建て付けに支障が生じるといった不具合を、抑止部材33を用いない場合に比べて確実に防止することができる。
【0052】
中柱3を建て付けた後、中柱3を床面4に固定する際には、抑止部材33が付勢部材22に当接、押圧した状態となっている場合には、つまみ13をスライドさせて抑止部材33の付勢部材22との当接を解除しておく。そして落とし棒12の先端が床面4の凹部5に挿入されるように位置を合わせ、落とし棒12を押し下げる。
【0053】
ある程度の力を加えて落とし棒12を押し下げると、落とし棒12の突起31が付勢部材22を押し、付勢部材22は内側に変形する。そして、落とし棒12の突起31は第2規制部24を越えて下方へ移動することができる。落とし棒12の端部は、上部位置43よりも下方へ移動することになる。
【0054】
落とし棒12の突起31が第2規制部24を越えた後も、落とし棒12の先端が中央位置45付近よりも上方に位置し、図7(A)に示すように落とし棒12の突起31が付勢部材22の中央部付近よりも上部にある間は、上部付勢部26による上方への力が働き、落とし棒12を上方へ戻そうとする。そして、落とし棒12の先端が中央位置45付近よりも下方へ下がり、図7(B)に示すように落とし棒12の突起31が付勢部材22の中央部付近よりも下部にあると、今度は下部付勢部25による下方への力が働き、落とし棒12は下方へ付勢されることになる。なお、図7には付勢部材22と落とし棒12の突起31との関係を拡大して示している。
【0055】
このように、この第2の実施の形態では第1規制部23と第2規制部24との間に落とし棒12の突起31が存在している場合でも、なるべく、上方あるいは下方へ落とし棒12を付勢する。これによって、落とし棒12を上方へ付勢した場合には、落とし棒12の先端がなるべく上部位置43に近づくようにして、なるべく落とし棒12が引き抜かれた状態を維持する。また、落とし棒12を下方へ付勢した場合には、落とし棒12の先端がなるべく下部位置42に近づくようにして、なるべく落とし棒12が床面4の凹部5に挿入された状態となるようにしている。
【0056】
さらに落とし棒12を押し下げると、落とし棒12の突起31が付勢部材22を押し、第2規制部24を越えたときと同様に付勢部材22は内側に変形して、落とし棒12の突起31は第1規制部23を越えて下方へ移動する。落とし棒12の端部は、下部位置42よりも下方へ移動することになる。この状態を図8(A)に示している。なお、この状態では挿入表示部32はケース21内に存在しており、外部からは挿入表示部32はケース21に隠れて見えなくなっている。これにより、落とし棒12が挿入されたことを表示している。
【0057】
落とし棒12は、下部付勢部25により下向きの力を受けるとともに、自重により下降しようとすることから、床面4の凹部5に支障がなければ、落とし棒12の突起31はケース21の内部の下面まで降下し、また落とし棒12の先端は最下位置41まで下がり、中柱3は固定されることになる。
【0058】
床面4の凹部5に滞留物が存在し、あるいはシャッターが振動や風圧、水圧などを受けた場合、落とし棒12が浮き上がってしまう場合がある。例えば図8(A)に示すように落とし棒12の突起31が付勢部材22に当接した状態まで落とし棒12が浮き上がってしまう場合でも、落とし棒12の突起31は第1規制部23によって上昇が規制される。また、落とし棒12の突起31は、下部付勢部25に当接すると下方向の力を受け、落とし棒12の上昇が抑止される。これらにより、落とし棒12の先端が床面4の凹部5に下がりきっていない状態でも、落とし棒12の突起31が第1規制部23よりも下に存在していれば、落とし棒12が浮き上がって床面4の凹部5との嵌合が外れるのを防ぐことができ、中柱3が固定された状態を維持することができる。
【0059】
さらに、図8(B)に示すように、抑止部材33を付勢部材22の抑止部27に当接、押圧した状態にしておくとよい。このような状態にすることによって、第1規制部23の動きが抑止され、落とし棒12の突起31が第1規制部23を乗り越えられなくなる。これにより、シャッターに強い振動や風圧、水圧などがかかっても、落とし棒12が床面4の凹部5から抜けてしまうのを確実に防ぐことができる。
【0060】
中柱3を取り外す際には、上述の操作と逆の操作を行えばよい。例えば、つまみ13をスライドさせて抑止部材33を付勢部材22に当接しない状態にした後、落とし棒12を引き上げることにより、落とし棒12の突起31は付勢部材22を変形させて第1規制部23を乗り越え、さらに落とし棒12を引き上げれば落とし棒12の突起31は付勢部材22を変形させて第2規制部24を乗り越えて上昇する。これによって図6に示した状態となり、落とし棒12を放しても下降しない状態となる。この状態では、落とし棒12の先端は床面4の凹部5から外れており、中柱3を取り外すことができる。
【0061】
この第2の実施の形態では、落とし棒12の突起31が第1規制部23と第2規制部24の中間に位置した場合でも、中央付近よりも上であれば上部付勢部26により落とし棒12は上方に付勢され、中央付近よりも下であれば下部付勢部25により落とし棒12は下方に付勢される。そのため、落とし棒12は引き上げられた状態か、あるいは床面4の凹部5に挿入された状態かの、いずれかの状態を取ることになる。これによって、利用者が中途半端な落とし棒12の操作を行った場合でも、落とし棒12をいずれかの状態にすることができる。
【0062】
図9は、本発明の固定装置の第3の実施の形態を示す構成図である。図中の符号は上述の第1、第2の実施の形態と同様であり、第1、第2の実施の形態と異なる点を主に説明してゆく。
【0063】
この第3の実施の形態では、付勢部材22として、全体の形状としては第2の実施の形態で用いた付勢部材22に類似した形状のものを用いている。しかし、この第3の実施の形態では、第2の実施の形態では付勢部材22に設けていた第1規制部23及び第2規制部24を設けておらず、第1規制部23や第2規制部24の機能を抑止部材33が兼ねる構成としている。すなわち、抑止部材33を付勢部材22に当接、押圧した状態とし、その抑止部材33と付勢部材22との当接部が落とし棒12の突起31の移動経路を遮る位置となっていると、落とし棒12の突起31は抑止部材33と付勢部材22との当接部を越えて移動することができない。これによって、落とし棒12の突起31を上昇させない第1規制部23の機能を果たし、また、落とし棒12の突起31を下降させない第2規制部24の機能を果たすことができる。
【0064】
本発明の固定装置の第3の実施の形態における動作の一例について説明する。図4図5図7図8を用いて説明した第1、第2の実施の形態における動作の一例と重複する説明については省略することがある。中柱3を建てる前には、固定装置11は図9(A)に示した状態にあり、落とし棒12が引き上げられて、落とし棒12の突起31が付勢部材22の上部付勢部26に位置する状態となっている。この状態で、突起31は上部付勢部26により上向きの力が付勢されており、落とし棒12は引き上げられた状態を維持している。なお、この状態では挿入表示部32がケース21の外側へ露出し、落とし棒12が挿入されていないことを表示している。
【0065】
もちろん、抑止部材33を付勢部材22の抑止部27に当接、押圧した状態にしておくことによって、落とし棒12の突起31が下方へ移動する経路を遮断し、落とし棒12に振動や何らかの下方への圧力がかかった場合でも、落とし棒12が降下して中柱3の建て付けに支障が生じるといった不具合を防ぐことができる。
【0066】
中柱3を建て付けた後、中柱3を床面4に固定する際には、抑止部材33が付勢部材22に当接、押圧した状態となっている場合には、つまみ13をスライドさせて抑止部材33の付勢部材22との当接を解除しておく。そして落とし棒12の先端が床面4の凹部5に挿入されるように位置を合わせ、落とし棒12を押し下げる。
【0067】
ある程度の力を加えて落とし棒12を押し下げると、落とし棒12の突起31が付勢部材22を押し、付勢部材22は内側に変形する。そして、付勢部材22の中央部付近を通過すると、今度は下部付勢部25が落とし棒12の突起31に対して下方への圧力を付勢し、落とし棒12を押し下げる。また、落とし棒12の自重により下降しようとする。これによって、床面4の凹部5に支障がなければ、落とし棒12の突起31はケース21の内部の下面まで降下し、また落とし棒12の先端は最下位置41まで下がり、中柱3が固定されることになる。なお、この状態では挿入表示部32はケース21内に存在しており、外部からは挿入表示部32はケース21に隠れて見えなくなっている。これにより、落とし棒12が挿入されたことを表示している。
【0068】
さらに、つまみ13をスライドさせ、抑止部材33を付勢部材22に当接、押圧した状態にしておく。この状態を図9(B)に示している。このような状態にすることによって、落とし棒12の突起31の移動経路が遮断され、突起31が上方へ移動するのを規制することができる。
【0069】
例えば床面4の凹部5に滞留物が存在し、あるいはシャッターが振動や風圧、水圧などを受けた場合、落とし棒12が浮き上がってしまう場合がある。図9(B)でも、ある程度、落とし棒12の突起31が浮き上がった状態を示している。このような状態でも、上述のように抑止部材33を付勢部材22に当接、押圧しておけば、落とし棒12の突起31が上方へ移動することはないし、下部付勢部25が落とし棒12の突起31を下方へ押すことにより、落とし棒12と床面4の凹部5との嵌合が外れることはない。これらにより、落とし棒12の先端が床面4の凹部5に下がりきっておらず、あるいは浮き上がった状態でも、落とし棒12が床面4の凹部5から外れるのを防ぐことができ、中柱3が固定された状態を維持することができる。
【0070】
中柱3を取り外す際には、上述の操作と逆の操作を行えばよい。例えば、つまみ13をスライドさせて抑止部材33を付勢部材22に当接しない状態にした後、落とし棒12を引き上げることにより、落とし棒12の突起31は付勢部材22を変形させ、付勢部材22の中央部付近を通過させれば、上部付勢部26により上方への力が付勢され、図9(A)に示す状態になる。この状態でも、落とし棒12を放しても下降しないが、さらにつまみ13をスライドさせて抑止部材33を付勢部材22に当接、押圧しておけば、落とし棒12が下降することはない。また、この状態では、落とし棒12の先端は床面4の凹部5から外れており、中柱3を取り外すことができる。
【0071】
この第3の実施の形態では、上述のように抑止部材33が第1規制部23や第2規制部24の機能を兼ねている。付勢部材22に第1規制部23や第2規制部24を設けていないことから、付勢部材22として用いている板バネの弾性力だけでは、落とし棒12の浮き上がりを抑えることができない場合も想定されるが、抑止部材33の第1規制部23や第2規制部24の機能によって、落とし棒12の上昇あるいは下降が確実に規制されることになる。
【0072】
このように落とし棒12の突起31の上方または下方への移動を確実に規制するためには、抑止部材33を付勢部材22に当接、圧接する操作を行う必要がある。その反面、付勢部材22は第1、第2の実施の形態に比べて単純な形状となり、製造コストを低減することができるという利点もある。
【0073】
図10は、本発明の固定装置の第4の実施の形態を示す構成図である。図中の符号は上述の第1〜第3の実施の形態と同様であり、第1〜第3の実施の形態と異なる点を主に説明してゆく。51は上蓋部、52は中蓋部、53はコイルバネ、54は回動軸である。この第4の実施の形態では、付勢部材22としてコイルバネ53を用いる例を示している。機能的には、上述の第3の実施の形態と類似している。
【0074】
この第4の実施の形態における付勢部材22は、上蓋部51と中蓋部52の内部に、圧縮されたコイルバネ53を有している。上蓋部51は、回動軸54において回動自在にケース21に軸支されている。この回動軸54は、その垂直方向の位置が、落とし棒12の突起31の移動範囲の中央部付近となるように設けられているとよい。
【0075】
また、中蓋部52は回動自在に落とし棒12の突起31に係止されており、上蓋部51の内側に嵌入されていて、上蓋部51の内部方向と外方向に直線的な移動が可能に構成されている。
【0076】
圧縮されたコイルバネ53は、上蓋部51と中蓋部52の内部に圧縮された状態で収納されており、その弾性力によって、一方で上蓋部51を回動軸54へ向けて押し、他方で中蓋部52を回動軸となる落とし棒12の突起31へ向けて押している。
【0077】
なお、上述の第3の実施の形態と同様に、この第4の実施の形態でも、抑止部材33が第1、第2の実施の形態で設けていた第1規制部23の機能を兼ねている。すなわち、つまみ13をスライドさせて抑止部材33を付勢部材22が回動する範囲に突出させておくと、付勢部材22の回動が抑止され、これによって落とし棒12の上昇が規制され、第1規制部23の機能を果たすことになる。
【0078】
本発明の固定装置の第4の実施の形態における動作の一例について説明する。図4図5図7図8図9を用いて説明した第1〜第3の実施の形態における動作の一例と重複する説明については省略することがある。中柱3を建てる前には、固定装置11は図10(A)に示した状態にあり、落とし棒12が引き上げられて、落とし棒12の突起31が上蓋部51の回動軸54よりも上に位置する状態となっている。この状態では、コイルバネ53の弾性力により中蓋部52が押され、その力が突起31に伝わって、落とし棒12には上向きの力が働くことになる。この上向きの力によって、落とし棒12は引き上げられた状態を維持している。なお、この状態では挿入表示部32がケース21の外に露出し、落とし棒12が挿入されていないことを表示している。また、この状態では抑止部材33は引っ込めた状態としておく。
【0079】
中柱3を建て付けた後、中柱3を床面4に固定する際には、落とし棒12の先端が床面4の凹部5に挿入されるように位置を合わせ、落とし棒12を押し下げる。ある程度の力を加えて落とし棒12を押し下げると、落とし棒12の突起31が下がるとともに、付勢部材22全体が回動軸54を中心として回動する。その際に、回動軸54と突起31との距離が徐々に縮まり、中蓋部52が上蓋部51の内部に入り、コイルバネ53が縮められる。すなわち、落とし棒12が引き上げられた状態から下降してゆくと、ある程度までは、コイルバネ53が縮められて、その弾性力により次第に落とし棒12に働く上向きの力が大きくなる。これによって、引き上げられた落とし棒12が不用意に下降しないようにしている。落とし棒12を押し下げる際には、このコイルバネ53の弾性力以上の力で押し下げることになる。
【0080】
さらに落とし棒12を押し下げてゆき、落とし棒12の突起31の位置が回動軸54と水平となる位置を過ぎると、今度はコイルバネ53による弾性力は落とし棒12に対して下向きに働く。これによって落とし棒12は下方へ付勢されて下降してゆき、床面4の凹部3に落とし棒12が挿入され、嵌合することになる。
【0081】
床面4の凹部5に支障がなければ、落とし棒12の突起31はケース21の内部の下面まで降下し、また落とし棒12の先端は最下位置41まで下がり、中柱3が固定されることになる。なお、この状態では挿入表示部32はケース21内に存在しており、外部からは挿入表示部32はケース21に隠れて見えなくなっている。これにより、落とし棒12が挿入されたことを表示している。
【0082】
例えば床面4の凹部5に滞留物が存在し、あるいはシャッターが振動や風圧、水圧などを受けた場合、落とし棒12が浮き上がってしまう場合がある。このような場合には、落とし棒12の突起31が上がるとともに、付勢部材22全体が回動軸54を中心として回動する。その際に、回動軸54と突起31との距離が徐々に縮まり、中蓋部52が上蓋部51の内部に入り、コイルバネ53が縮められる。そのため、コイルバネ53の弾性力が増し、落とし棒12には下向きの力が大きくなる。これによって、落とし棒12が浮き上がろうとする場合でも、落とし棒12と床面4の凹部5との嵌合が外れにくいようにしている。
【0083】
落とし棒12を押し下げて、落とし棒12と床面4の凹部5とが嵌合した後、さらに、つまみ13をスライドさせて抑止部材33を突出させる。この状態を図10(B)に示している。このような状態にすることによって、付勢部材22が回動しようとすると、付勢部材22の上蓋部51が突出されている抑止部材33に当接し、付勢部材22の回動が抑止される。例えばシャッターが大きな振動や強い風圧、水圧などを受けて落とし棒12が上昇しようとした場合、落とし棒12の突起31に連動する付勢部材22の回動が抑止部材33によって抑止される。これによって、落とし棒12の上昇は確実に阻止されて、中柱3が固定された状態を維持することができる。
【0084】
中柱3を取り外す際には、上述の操作と逆の操作を行えばよい。例えば、つまみ13をスライドさせて抑止部材33を引っ込めた後、落とし棒12を引き上げる。落とし棒12の突起31の位置が回動軸54と水平となる位置までは、コイルバネ53が圧縮されることにより落とし棒12に対して下向きの力が働くが、この位置を過ぎると、コイルバネ53による弾性力は落とし棒12に対して上向きに働いて、図10(A)に示すような落とし棒12は引き上げられた状態となる。この状態では、落とし棒12の先端は床面4の凹部5から外れており、中柱3を取り外すことができる。
【0085】
この第4の実施の形態では、付勢部材22としてコイルバネ53を用いる例を示した。コイルバネ53の弾性力だけでは、落とし棒12の浮き上がりを抑えることができない場合も想定されるが、抑止部材33が第1規制部23として機能し、床面4の凹部5と嵌合している落とし棒12の上昇が確実に規制されることになる。
【0086】
なお、図10に示した第4の実施の形態の構成では、抑止部材33を1つ設けた例を示しているが、2つ設ければ、一方を落とし棒12を引き上げた状態で下降しないように規制する第2規制部24として機能させることができる。
【0087】
以上、本発明の固定装置の実施の形態について、いくつか示した。もちろん、本発明はこれらの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形が可能である。一例としては、抑止部材33はスライドさせる構造に限らず、ボタンの押下により突出する構造など、第1から第3の実施の形態では板バネの変形を抑制できればよいし、第4の実施の形態では付勢部材22の回動を抑制できれば、任意の構造であってよい。そのほかにも、特許文献1,特許文献2に記載されているような、シャッターを閉めることでロックされる構成を併用するなど、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1…シャッターカーテン、2…ガイドレール、3…中柱、4…床面、5…凹部、11…固定装置、12…落とし棒、13…つまみ、21…ケース、22…付勢部材、23…第1規制部、24…第2規制部、25…下部付勢部、26…上部付勢部、27…抑止部、31…突起、32…挿入表示部、33…抑止部材、41…最下位置、42…下部位置、43…上部位置、44…最上位置、45…中央位置、51…上蓋部、52…中蓋部、53…コイルバネ、54…回動軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10