特許第6872350号(P6872350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872350ガラス飛散防止用コーティング剤及びこれを用いた強化ガラスとその製造方法並びに強化ガラスを適用した自動車パノラマルーフ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872350
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ガラス飛散防止用コーティング剤及びこれを用いた強化ガラスとその製造方法並びに強化ガラスを適用した自動車パノラマルーフ
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/42 20060101AFI20210510BHJP
   C09D 133/14 20060101ALI20210510BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20210510BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20210510BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20210510BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   C03C17/42
   C09D133/14
   B32B17/10
   B32B27/30 A
   B32B27/40
   C09D175/04
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-221567(P2016-221567)
(22)【出願日】2016年11月14日
(65)【公開番号】特開2017-109918(P2017-109918A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2019年9月6日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0178616
(32)【優先日】2015年12月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】516341316
【氏名又は名称】ノルビー ケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孔 珞 敬
(72)【発明者】
【氏名】李 騏 泓
(72)【発明者】
【氏名】朴 鍾 ミン
(72)【発明者】
【氏名】鄭 泰 洙
(72)【発明者】
【氏名】李 福 鐵
(72)【発明者】
【氏名】陳 建 秀
(72)【発明者】
【氏名】安 宰 範
(72)【発明者】
【氏名】金 永 錫
(72)【発明者】
【氏名】李 ヨン チョル
【審査官】 有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0062576(KR,A)
【文献】 特開昭56−149348(JP,A)
【文献】 特開2003−313493(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/065099(WO,A1)
【文献】 特開平01−153556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 15/00−23/00
B32B 1/00−43/00
C09D 101/00−201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主剤として、(a)カプロラクトン変性アクリル樹脂50〜60重量%、(b)アクリルポリオール10〜20重量%、(c)ポリウレタン樹脂10〜20重量%、(d)反応触媒剤0.1〜1.5重量%、(e)湿潤添加剤0.1〜1.5重量%、f)顔料1.0〜1.5重量%、及び(g)溶剤5〜20重量%を含み、
硬化剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー系樹脂を含み、
前記主剤として50〜60重量%含まれる前記カプロラクトン変性アクリル樹脂(a)は、固形粉70%、重量平均分子量が8,000〜20,000、水酸基含量が1〜4%であり、
前記主剤として10〜20重量%含まれる前記アクリルポリオール(b)は、固形粉55%、重量平均分子量が12,000〜25,000であり、水酸基含量が0.2〜2%、ガラス転移温度が70〜80℃であることを特徴とするガラス飛散防止用コーティング剤。
【請求項2】
前記ポリウレタン樹脂(c)は、水酸基値が0.5〜1.0%、重量平均分子量が40,000〜43,000、固形粉が70〜80%であることを特徴とする請求項1に記載のガラス飛散防止用コーティング剤。
【請求項3】
前記反応触媒剤(d)は、ジブチルチンジラウレートであることを特徴とする請求項1に記載のガラス飛散防止用コーティング剤。
【請求項4】
前記主剤部と硬化剤部とは、2〜4:1の重量割合で混合し、フォードカップ(FORD CUP#4、25℃)の粘度18〜20secであることを特徴とする請求項1に記載のガラス飛散防止用コーティング剤。
【請求項5】
強化ガラス、
前記強化ガラスの一面に形成された透明またはブラックのプライマー層、及び
前記プライマー層の一面に請求項第1項ないし第項の中から選択されたいずれか一項のガラス飛散防止用コーティング剤を塗装して形成された透明またはブラックのポリウレタンコーティング層、を含み、
前記透明のポリウレタンコーティング層は前記主剤として1.0〜1.5重量%含まれる顔料の粒子の大きさをナノサイズに分散することで透明性を有することを特徴とするガラス飛散防止用コーティング剤を用いた強化ガラス。
【請求項6】
前記プライマー層は、シランプライマーを塗布したコーティング層であることを特徴とする請求項に記載のガラス飛散防止用コーティング剤を用いた強化ガラス。
【請求項7】
前記強化ガラスとプライマー層との間に追加的に透明なプレプライマー層をさらに含み、前記プレプライマー層は、シランプライマーを塗布して形成された透明層であることを特徴とする請求項に記載のガラス飛散防止用コーティング剤を用いた強化ガラス。
【請求項8】
前記プライマー層は、強化ガラスの外郭に5〜15cm幅に形成されたことを特徴とする請求項に記載のガラス飛散防止用コーティング剤を用いた強化ガラス。
【請求項9】
前記ポリウレタンコーティング層は、平均厚さが50〜80μmであり、前記ポリウレタンコーティング層は、前記プライマー層が形成された部分にのみ塗装されるか、前記プライマー層を含む強化ガラスの全面に塗装されることを特徴とする請求項に記載のガラス飛散防止用コーティング剤を用いた強化ガラス。
【請求項10】
強化ガラスの一面にブラックまたは透明のシランプライマーを塗布した後、
請求項第1項ないし第項の中から選択されたいずれか一項のコーティング剤を塗装し、70〜90℃の温度条件で20〜40分間硬化させてポリウレタンコーティング層を形成することを特徴とするガラス飛散防止用コーティング剤を用いた強化ガラスの製造方法。
【請求項11】
請求項項ないし第項の中から選択されたいずれか一項の強化ガラスを適用したことを特徴とする自動車パノラマルーフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス飛散防止用コーティング剤及びこれを用いた強化ガラスとその製造方法に係り、より詳しくは、カプロラクトン変性アクリル樹脂、アクリルポリオール、及びポリウレタン樹脂を所定量含むコーティング剤とこれを強化ガラスに塗装することにより、強化ガラスの破損時に飛散が防止できるガラス飛散防止用コーティング剤及びこれを用いた強化ガラスとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車産業や建築産業で使用されていた強化ガラス飛散防止技術は、強化ガラスの特性上、大きい衝撃に耐える性質を有するが、限界以上の衝撃が加えられた場合に小片の強化ガラスが多量飛散する致命的な欠点を有しており、これを改善するために多くの研究がなされている。
これに関する先行技術である、韓国公開特許第2015−0105764号は、タッチスクリーン用強化ガラスに適用される飛散防止フィルムを開示しており、韓国登録特許第10−1465985号は、建築用強化ガラスに適用されるコーティング剤を開示している。
一方、自動車に適用される強化ガラスの場合、図1に示すように、強化ガラスの下段に接着物質及びPETフィルムを付着して強化ガラス破損時の飛散を防止しようとするものであるが、セラミック層またはセラミック部の存在によって小さな衝撃で破損しやすくなるため、自動車のパノラマルーフガラスなどへの適用時に車内の搭乗者の安全を脅かす主要因となっていた。即ち、自動車のパノラマルーフガラスにセラミック部が存在することで剛性が非常に脆弱になるという問題が提起され、既存の強化ガラスのセラミック部を取り除き、セラミック部が取り替え可能で剛性を向上させることができるコーティング剤及びこれを用いた強化ガラスの導入が必要とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】:韓国公開特許第2015−0105764号
【特許文献2】:韓国登録特許第10−1465985号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等は自動車のパノラマルーフの破損の危険性を改善するための方案を模索していたところ、既存の強化ガラスのセラミック部(通常、Si成分を含むセラミックでコーティングされたコーティング層を意味する)を取り除き、セラミック部に代わるカプロラクトン変性アクリル樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタン樹脂を所定量含むコーティング剤を塗布すた場合、鮮映性値、耐熱、耐水、耐候性などの耐久性に優れ、自動車ガラス部品に広く適用できることが分かり、本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、ガラス飛散防止用コーティング剤及び前記コーティング剤を用いてコーティング層が形成されたガラス破損時に飛散防止機能を有する強化ガラスとその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記強化ガラスを含む自動車パノラマルーフを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明は、主剤として、(a)カプロラクトン変性アクリル樹
脂50〜60重量%、(b)アクリルポリオール10〜20重量%、(c)ポリウレタン
樹脂10〜20重量%、(d)反応触媒剤0.1〜1.5重量%、(e)湿潤添加剤0.
1〜1.5重量%、(f)顔料1.0〜1.5重量%、及び(g)溶剤5〜20重量%を
含み、硬化剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー系樹脂を含み、前記主剤として50〜60重量%含まれる前記カプロラクトン変性アクリル樹脂(a)は、固形粉70%、重量平均分子量が8,000〜20,000、水酸基含量が1〜4%であり、前記主剤として10〜20重量%含まれる前記アクリルポリオール(b)は、固形粉55%、重量平均分子量が12,000〜25,000であり、水酸基含量が0.2〜2%、ガラス転移温度が70〜80℃であることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、強化ガラス、前記強化ガラスの一面に形成された透明またはブラックのプライマー層、及び前記プライマー層の一面に前記ガラス飛散防止用コーティング剤を塗装して形成された透明またはブラックのポリウレタンコーティング層を含み、前記透明のポリウレタンコーティング層は前記主剤として1.0〜1.5重量%含まれる顔料の粒子の大きさをナノサイズに分散することで透明性を有することを特徴とする。
さらに、本発明は、前記強化ガラスを含む自動車パノラマルーフを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるコーティング剤は、高鮮映性を有しており、塗装時に外観が優れているため、強化ガラスに適用しても強化ガラスの外観に影響を及ぼさない。
したがって、これを強化ガラスに適用する時に、従来の強化ガラスに形成されていた剛性の弱いセラミック部に替えて、ポリウレタンコーティング層を導入することによりガラス破損時の飛散防止に優れ、自動車のガラス部品に広く適用することで搭乗者を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来のパノラマルーフガラスの断面を示した図である。
図2】従来の自動車に適用されてきたガラス破損時に飛散防止機能を有する強化ガラスを示した図である。
図3】本発明によるセラミック部が取り除かれた飛散防止機能を有する強化ガラスの断面図である。
図4】(a)は、従来のセラミック部が存在する強化ガラスの破損時の様子を示したものである。(b)は、本発明によるセラミック部が取り除かれた強化ガラスの破損時の様子を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
本発明は、主剤として、(a)カプロラクトン変性アクリル樹脂50〜60重量%;(b)アクリルポリオール10〜20重量%;(c)ポリウレタン樹脂10〜20重量%;(d)反応触媒剤0.1〜1.5重量%;(e)湿潤添加剤0.1〜1.5重量%;(f)顔料1.0〜1.5重量%;及び(g)溶剤5〜20重量%を含み、硬化剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー系樹脂を含むことを特徴とする。
一般的に、アクリル樹脂は、アクリル系またはビニール系モノマーなどの二重結合を有する様々な種類の単量体を熱分解開始剤を使用して溶液内でラジカル重合させてポリマーを製造する。
アクリル系またはビニール系モノマーは、非官能性モノマーであるメチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、N−ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート及びラウリルメタクリレートからなる群から選択された1種以上であり、カルボキシル官能基モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、及びクロトン酸からなる群から選択された1種以上であり、水酸基モノマーは、2−ヒドロキシメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、及び2−ヒドロキシエチルアクリレートからなる群から選択された1種以上であり、以外にもビニール系モノマーは、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、スチレン、ビニールトルエン、アクリロニトリル、及びビニールアセテートからなる群から選択された1種以上である。
【0010】
具体的に、本発明では、カプロラクトン変性アクリル樹脂を合成するためにカプロラクトントリオールを用いて合成する。合成された樹脂は、弾性、スクラッチ性に優れているとともに、同じガラス転移温度(Tg)を有するアクリル樹脂と比べても硬度及び耐化学性及び、弾性回復率と引張強度に優れている。
したがって、本発明で使用するカプロラクトン変性アクリル樹脂(a)は、固形粉70%、重量平均分子量が8,000〜20,000、水酸基含量が1〜4%、ガラス転移温度は、−10〜−20℃である低粘度型アクリル樹脂であって、主剤部の全体重量に対して50〜60重量%を含むことが好ましい。重量平均分子量が8,000未満の場合、信頼性の確保に限界があり、20,000超過の場合、相溶性が劣るほか作業性に限界があるため、前記範囲内で使用することが好ましい。また、水酸基の含量が1%未満の場合、イソシアネートと反応して架橋構造を構成するのに限界があって弾性を確保し難く、4%超過の場合、硬化剤と混合時に可使時間に限界があるため、前記範囲内のアクリル樹脂を使用する。併せて、ガラス転移温度は、弾性を極大化するために前記範囲内の樹脂を使用する。また、カプロラクトン変性アクリル樹脂が50重量%未満の場合、衝撃性と弾性復元力が劣り、60重量%超過の場合、塗膜形成時にべたつきが生じて相対的に反応性が劣り、耐候性とともに塗装作業性が低下するため、前記範囲内で使用することが好ましい。
【0011】
次に、アクリル樹脂であるアクリルポリオールは、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルのビニール型二重結合を有する様々な種類の単量体を熱分解開始剤を使用して溶液内にラジカル重合させてポリマーを製造する。
従って、本発明で使用するアクリルポリオール(b)は、固形粉55%、重量平均分子量が12,000〜25,000であり、水酸基含量が0.2〜2%、ガラス転移温度が70〜80℃であるものを使用することが好ましい。重量平均分子量が12,000未満の場合、前記表示したガラス転移温度到達に限界があり、25,000超過の場合、樹脂合成過程で固相化(Gel)になるため限界があって、前記範囲分子量で合成して使用することが好ましく、水酸基の含量が0.2%未満の場合、反応性が低下するとともに信頼性の確保に限界があり、2%超過の場合、高い反応性により形成された塗膜の衝撃性がで低下する可能性があるため、前記範囲内のアクリルポリオールを使用する。
また、アクリルポリオール(b)は、主剤部の全体重量に対して10〜20重量%を使用することが好ましい。アクリルポリオールが10重量%未満の場合、塗膜のべたつきが生じ、耐水性が低下する問題があり、20重量%超過の場合、投入時に外観が劣ることとなり、塗膜が硬くなって延伸率と弾性復元力が減少しりため、前記範囲内で使用した方が良い。
【0012】
本発明におけるポリウレタン樹脂(c)は、ポリカーボネートポリオールをイソシアネートと反応させて合成することができる。より具体的に、イソシアネート5〜30重量%、ポリカーボネートポリオール2〜10重量%、ポリエステルジオール30〜60重量%、及び溶剤5〜25重量%を反応させて得られたものを使用する。
イソシアネートは、平均官能基数が2個以上のものであり、トルエンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びこれから誘導された多官能性イソシアネートのうち選択された1種以上を使用することが好ましい。より好ましくは、イソホロンジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネートのうち選択された1種以上を使用した方が良い。併せて、ポリカーボネートポリオールは、500〜5,000の重量平均分子量の範囲を有するポリオールを使用することにより衝撃性と耐候性を満足させることができる。
【0013】
従って、本発明で使用するポリウレタン樹脂(c)は、水酸基値0.5〜1%、重量平均分子量が40,000〜43,000、固形粉が70〜80%であるものとすることが好ましい。ポリウレタン樹脂の水酸基が0.5%未満の場合、イソシアネートと反応することができる水酸基含量が少なくて反応性が顕著に劣り、1%超過の場合、ウレタン樹脂の弾性性能を具現するのに限界があり、重量平均分子量が40,000未満の場合、十分なガラス飛散防止効果が得られない限界があり、43,000超過の場合、合成工程時に高粘度のウレタン樹脂が合成されて使用するのに限界があるため、前記範囲内のポリウレタン樹脂を使用した方が良い。
このようなポリウレタン樹脂は、主剤部の全体重量に対して10〜20重量%使用することが好ましい。ポリウレタン樹脂が10重量%未満の場合、衝撃性と復元力、耐候性が低下し、20重量%超過の場合、投入時に外観の低下が生じて塗装作業性を阻害することになるため、前記範囲内で使用した方が良い。
【0014】
反応触媒剤(d)は、ウレタン反応触媒剤であって、代表的なジブチルチンジラウレートを使用することが好ましい。これは主剤(水酸基)と硬化剤(イソシアネート)との間の反応速度を向上させる役目をし、過量添加時に可使時間が短くなり、作業性の低下が生じるため、0.1〜1.5重量%使用することが好ましい。
湿潤添加剤(e)は、ポリジメチルシロキサン系列の添加剤であって、塗装時に湿潤性と塗膜のレベリング性を向上させ、主剤部の全体重量に対して0.1〜1.0重量%使用することが好ましい。
顔料(f)は、代表的なMIKUNI社のHTP BLACK製品を使用することができ、これは粒子の大きさがナノサイズに分散されて透明性と着色力に優れており、塗装作業時にムラの発生を最小化する。前記顔料は必ずこれに制限されることなく当業界において適用され得るものは適用可能である。
【0015】
溶剤(g)は、塗装作業を容易にし、溶剤の揮発速度を調節して塗膜の平滑性及び外観を確保することができ、主剤部の全体重量に対して5〜20重量%を使用することが好ましい。より好ましくは10〜15重量%である。
硬化剤は、無黄変と耐候性に優れているヘキサメチレンジイソシアネートトリマー系樹脂を使用することが好ましく、主剤部と硬化剤部としては、2〜4:1の重量割合で混合するが、希釈溶剤を用いて、フォードカップ(FORD CUP#4、25℃)の粘度が18〜20secであるものを使用することが好ましい。
粘度が18.0sec未満の場合、塗装作業時に塗料が流れる可能性があって充分な膜厚を具現するのに限界があり、20.0sec超過の場合、高い粘度により外観(レベリング性)を低下させることができるため、前記範囲内のコーティング剤を使用する。
【0016】
前記組成を含むガラス飛散防止用コーティング剤は、ガラスとの付着性確保のためにシランプライマー(BETASEALTM 43518、Dow社)を先に塗布した後に、その上に塗装することで強化ガラスの剛性を向上させる塗装層に形成される。
具体的に、本発明は、前記コーティング剤を用いて、強化ガラス、前記強化ガラスの一面に形成された透明またはブラックのプライマー層、及び前記プライマー層の一面に前記ガラス飛散防止用コーティング剤を塗装して形成された透明またはブラックのポリウレタンコーティング層を含むことを特徴とするガラス破損時に飛散防止機能を有する強化ガラスを提供する。
また、本発明は、強化ガラスの一面にブラックまたは透明のシランプライマーを塗布した後、前記ガラス飛散防止用コーティング剤を塗装し、70〜90℃の温度条件で20〜40分間硬化させてポリウレタンコーティング層を形成することを特徴とするガラス破損時に飛散防止機能を有する強化ガラスの製造方法を提供する。
【0017】
プライマー層は、前述のように、シランプライマーであって、ガラスとの付着性の確保のためのものであり、強化ガラスの一面に1μm塗布した、常温で5分程度セッティングを維持した後、飛散防止機能を有するコーティング剤を塗装することにより、従来のセラミック部を取り除くことで剛性を向上させた強化ガラスを提供することができる。
飛散防止機能を有するコーティング剤を塗装して形成したポリウレタンコーティング層は、平均厚さが50〜80μmであり、ポリウレタンコーティング層はプライマー層が形成された部分にのみ塗布されるか、プライマー層を含む強化ガラスの全面に塗布されることで形成される。
具体的に、図3は本発明による強化ガラスの断面図であって、図3(a)と(b)の二つの構造を有する強化ガラスを提供することができる。
【0018】
図3(a)のように、ブラックのプライマー層が強化ガラスの外郭に10〜15cm程度の幅に形成された場合、透明なプレプライマー層をさらに含むことができ、透明なポリウレタンコーティング層は、プライマー層を含む強化ガラスの全面に塗布された構造を有する。
また、図3(b)のように、透明のプライマー層が強化ガラスの外郭に10〜15cmの幅に形成された場合、ブラックのポリウレタンコーティング層はプライマー層が形成された部分にのみ塗布された構造を有する。
このような強化ガラスは、セラミック部を取り除き、ポリウレタン樹脂を含むコーティング剤が塗布されることによって衝撃吸収性能が向上して剛性が向上することを後述する実験例によって確認することができる。
【0019】
併せて、ポリウレタンコーティング層は、ブラックまたは透明のシランプライマーを塗布した後、ガラス飛散防止用コーティング剤を塗装し、70〜90℃の温度条件で20〜40分間硬化させて平均厚さが50〜80μmであるものが好ましい。厚さが50μm未満の場合、衝撃性が低下し、80μm超過の場合、塗膜が形成される時に素材の端部に液タレが生じることがあるため前記範囲内で形成する。こうして製造された強化ガラスは、代表的なものとして自動車のパノラマルーフに適用でき、これは従来の強化ガラスと比較して平均30%以上の剛性を向上させるので、搭乗者の安全を改善させることができる。
【0020】
以下、本発明を実施例を通じてさらに詳細に説明する。
製造例1〜2及び比較製造例1〜5:ガラス飛散防止用コーティング剤の製造
表1の組成分及び含量で混合して主剤部を製造し、硬化剤はHI−100(会社名:BASF)を使用した。この時に主剤部と硬化剤とを3:1の重量割合で混合し、希釈溶剤としてアセテート系とケトン系を混合使用し、フォードカップ(FORD CUP#4、25℃)の粘度が20secになるようにした。
【表1】
【0021】
比較例1〜5及び実施例1〜2:強化ガラスの製造
比較例1〜5及び実施例1〜2で製造したポリウレタンコーティング剤を用いて、ガラス破損時に飛散防止機能を有する強化ガラスを製造した。
具体的に、2.6〜5mm厚さを有する強化ガラスの一面にシランプライマー(BETASEALTM 43518、Dow社)を略1μm塗布後、常温で5分程度セッティングを維持後、実施例1〜2及び比較例1〜5で製造したポリウレタン樹脂を含むコーティング剤を塗装し、80℃で30分間硬化させて塗膜を形成することにより、図4(b)の構造を有する強化ガラスを製造した。
【0022】
実験例:物性の測定
比較例1〜5及び実施例1〜2で用意した強化ガラスを下記物性評価法に従って物性を測定し、その結果を表2に示した。
(1)鮮映性の測定:BYK GARDNER社のWave scan−DOIを使用して測定し、ここでは光沢、鮮映性、オレンジピールの総合等級であるCF値を比較した。
(2)塗膜のべたつき(Tacky)の測定:塗装試片の上にPETフィルムを載せた後、300gの重さで押した後、フィルムの除去時のべたつき(跡)の有無を確認した。評価水準は1〜5Levelであって、1:跡が消えない、5:跡がないことを意味する。
(3)弾性回復率の測定:ASTM D 412の規格に基づいてTESTを実施した。具体的に、Dumbell型試片を用意してASTM D 412 D型の試験片に30.0mm標点を表示(L)し、90%伸びた状態で10分間放置後、グリップを取り除いて扁平な所に10分間放置し、標線間の距離(L)を再び測定して回復率を確認した。
(4)延伸率(破断伸び率)の測定:ISO 527−1の規格に基づいて5号試片を作成後、塗膜の破断伸び率を測定した。
(5)耐熱性の測定:試験温度90±2℃の条件のチャンバに試験片を300時間放置した後、取り出して外観評価及び初期付着性実験を実施して測定した。
(6)耐候性の測定:SAE J1960に従い、2500kJ/mの照射後の外観変化を確認した。
【0023】
【表2】
【0024】
表2によれば、比較例1は、カプロラクトン変性アクリル樹脂が過量使用された場合であって、弾性回復率、破断伸び率が優れており、ポリウレタン樹脂を少量使用しても弾性関連項目が概ね良好な方であるが、塗膜の信頼性である耐熱、耐水、耐候性が大きく劣っていることを確認することができる。比較例2は、カプロラクトン変性アクリル樹脂が少量使用され、アクリルポリオール樹脂が過量使用された場合であって、耐候性は満足させているが、弾性関連項目が大きく劣っていることを確認することができる。
また、比較例3は、ポリウレタン樹脂を使用しない場合であって、べたつきは良好であるが弾性回復率が劣っており、特に耐候性が低下している。
比較例4は、アクリルポリオールを使用せずポリウレタン樹脂が過量使用される場合であって、鮮映性と弾性回復率は良好であるが、架橋度が劣っており、耐水性が低下してべたつきの程度が増加していることを確認することができる。
比較例5は、カプロラクトン変性アクリル樹脂を少量使用してアクリルポリオールとポリウレタン樹脂の含量を増加させた場合であって、耐熱、耐水、耐候性は満足しており、べたつきも良好であるが弾性にもっとも影響を及ぼすカプロラクトン変性アクリル樹脂の含量が少なく、弾性回復率と鮮映性が低下していることを確認することができる。
【0025】
しかしながら、本発明による実施例1及び2の場合、カプロラクトン変性アクリル樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタン樹脂の含量を最適に使用することにより、外観評価項目である鮮映性値が優れており、弾性項目である弾性回復率と破断伸び率が増加して塗膜のべたつきを最小化すると共に、塗膜の耐久性である耐熱、耐水、耐候性が満足されていることが確認きた。
したがって、本発明によるコーティング剤は、自動車強化ガラスの剛性を強化させることにより、自動車のガラス部品として要求される衝撃性の強化と信頼性を確保することで、破損時にガラスの飛散の危険性から自動車の搭乗者を安定して保護することができる。
図1
図2
図3
図4