(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る鞍乗型車両用の無線式認証装置について説明する。以下の実施形態では、鞍乗型車両が自動二輪車である例で説明する。しかしながら、本無線式認証装置は、自動二輪車の他、ATV(All Terrain Vehicle)、パーソナルウオータークラフト等の鞍乗型車両にも適用可能である。
【0010】
説明の便宜上、自動二輪車の全体構成について説明する。
図1は自動二輪車10の全体構成を示す側面図である。なお、以下の説明において、上下、前後及び左右について言及する場合、各方向は、次のように定義される。まず、自動二輪車10の前輪20及び後輪22が路面に接地する側が下であり、その反対側が上である。また、自動二輪車10が走行する際の走行方向が前であり、その反対側が後ろである。さらに、ユーザが運転者として自動二輪車10に搭乗した状態で、当該ユーザを基準とする左右が自動二輪車10の左右である。
【0011】
自動二輪車10は、車体フレーム11の前側に前輪20が回転可能に設けられると共に、車体フレーム11の後側に後輪22が回転可能に設けられた構成とされている。車体フレーム11には、エンジン24が搭載されており、エンジン24の駆動によって後輪22が回転駆動される。車体フレーム11の前側にハンドル装置40が設けられており、ユーザがハンドル装置40を回転操作することによって、自動二輪車10の進行方向を変えるように前輪20の向きが変る。車体フレーム11の上側には、ユーザである運転者が着座するシート29が設けられている。
【0012】
また、本自動二輪車10には、停止した状態で倒れないように、サイドスタンド34が設けられている。サイドスタンド34は、車体フレーム11の左側に直接又はブラケットを介して姿勢変更可能に支持されている。サイドスタンド34は、支持部位から車幅方向外側に向いつつ斜め下方に向う支持姿勢と、支持部位に沿って車両後方に向う収納姿勢との間で姿勢変更可能に支持されている。サイドスタンド34を収納姿勢にして格納した状態で、自動二輪車10が走行する。また、例えば、自動二輪車10を駐車する際には、サイドスタンド34を展開させて支持姿勢とし、自動二輪車10を左側に傾斜させて、当該サイドスタンド34の先端部を地面に接した状態として、サイドスタンド34で自動二輪車10を倒れないように支持する。通常、自動二輪車10の左側に立ったユーザがサイドスタンド34を支持姿勢から収納姿勢に向けて又はその逆に姿勢変更操作できるようになっている。サイドスタンドは、車両の右側に設けられてもよい。また、サイドスタンド34の代りに、センタースタンドが用いられてもよい。
【0013】
図2は自動二輪車10のハンドル装置40周りの構成を示す説明図である。
【0014】
ハンドル装置40は、左側ハンドルバー42と、右側ハンドルバー44とを備える。ハンドル装置40は、ブラケット41等を介して支持され、車体フレーム11の前側のヘッドパイプに回転可能に支持されたステアリングシャフトと共に回動可能なように設けられている。
【0015】
左側ハンドルバー42には、ハンドルグリップ42bが装着されている。ユーザは、当該ハンドルグリップ42bを握って運転する。左側ハンドルバー42のうちハンドルグリップ42bの車幅方向内側にユーザが諸指令を入力するためのスイッチSWが設けられている。
【0016】
右側ハンドルバー44には、ハンドルグリップ44bが装着されている。ユーザは、当該ハンドルグリップ44bを握って運転する。右側ハンドルバー44のうちハンドルグリップ44bの車幅方向内側にユーザが諸指令を入力するためのスイッチSWが設けられている。特に、右側ハンドルバー44に設けられたスイッチSWは、エンジンを始動させるためのセルスイッチSW1を含む。セルスイッチSW1は、エンジンを始動させるためのセルモータを回転させるためのスイッチである。セルスイッチSW1は、セルモータを回転させるタイミングでのみユーザにより押され、エンジン始動後は押されない。ここでは、セルスイッチSW1は、エンジンストップスイッチ(キルスイッチとも呼ばれる)とは別のスイッチとして設けられている。別例として、セルスイッチとエンジンストップスイッチとを兼ねたスイッチが設けられていてもよい。
【0017】
上記ハンドル装置40の前方の位置にメーターユニット50が設けられている。メーターユニット50は、タコメータ48及び表示部52を備える。タコメータ48は、エンジン24の回転数を示す部分であり、表示部52は、車速、残燃料等の各種情報を表示する部分であり、ユーザに対して諸情報を提示する部分である。メーターユニット50は、ユーザによるハンドル装置40の操作に伴って当該ハンドル装置40と共に回動可能に設けられていてもよいし、ユーザによるハンドル装置40の操作に拘らず、回動せず、車体フレーム11に対して一定の位置関係を保つように設けられていてもよい。メーターユニット50がハンドル装置40と共に回動する場合、メーターユニット50は、アッパーブラケット、アンダーブラケット又はフロントフォークに取付けられたブラケットを介して、車両に取付けられる。なお、アッパーブラケット、アンダーブラケットは、車体フレーム11の前側のヘッドパイプに回転可能に支持されたステアリングシャフトに支持されており、フロントフォークは、アッパーブラケット及びアンダーブラケットによって支持されている。また、メーターユニット50がハンドル装置40と共に回動せず、車体フレーム11に対して一定の位置関係を保つ場合、メーターユニット50は、車体フレーム11に、又は当該車体フレーム11に取付けられた1つ又は複数のステーを介して車両に取付けられる。
【0018】
左側ハンドルバー42及び右側ハンドルバー44と間であってメーターユニット50の後方位置に、スタートスイッチユニット70が設けられている。スタートスイッチユニット70は、その他の場所、例えば、メーターユニット等に設けられていてもよい。このスタートスイッチユニット70は、エンジン24を始動する際にユーザからの操作を受ける部分である。
【0019】
この自動二輪車10には、スタートスイッチユニット70を介してユーザの操作を受付けると共に、ユーザが所持する携帯端末36との間で無線通信による認証等を行う認証用ECU(電子制御ユニット)54が備付けられている。
図2では、認証用ECU54は、メーターユニット50の下方に示されているが、いずれの位置に設けられていてもよい。
【0020】
無線式認証装置30は、上記のような自動二輪車等に組込まれ、ユーザが所持する携帯端末36との間で無線通信による認証を行うものであり、動力機関の一例であるエンジン24を始動可能にする状態への切替操作を受付ける第1操作子と、認証成立を発光報知する発光報知部と、携帯端末との間で無線通信を行って認証の成立の有無を判定し、認証が成立したと判定されたときに、発光報知部に発光報知動作を行わせる制御ユニットとを備える。
【0021】
後述するスタートスイッチユニット70の操作部74及び回転操作検出部76は、上記第1操作子の一例であり、発光報知部80は、上記発光報知部の一例であり、上記認証用ECU54は、上記制御ユニットの一例である。以下、各部構成についてより具体的に説明する。
【0022】
図3はスタートスイッチユニット70を示す概略平面図であり、
図4は
図3のIV−IV線におけるスタートスイッチユニット70の内部構成を示す説明図である。
【0023】
スタートスイッチユニット70は、操作部74と、回転操作検出部76と、押操作検出部78とを備える。
【0024】
操作部74は、シャフト部74aの一端部にノブ75が設けられた構成とされている。ノブ75の外向き部分には、ユーザが摘まんで回転操作しやすいように、細長い凸部が形成されている。この操作部74は、ノブ75を外側に露出させた状態で、スイッチベース71に対して回転操作可能かつその回転軸に平行な方向に移動させるプッシュ操作可能に支持されている。なお、スイッチベース71は、アッパーブラケットに対して一定位置に支持されている。他の例として、スイッチベース71は、外装部材、車体フレーム11等に対して一定位置に支持されていてもよい。
【0025】
スイッチベース71のうち外側に現れる部分には、操作部74の回転位置を示す目印として、“LOCK”、“OFF”、“ON”等の文字が表示されている。
【0026】
回転操作検出部76は、ロータリースイッチ等によって構成されており、ユーザがノブ75を回転操作して操作部74を回転させると、当該回転を検出し、その検出結果に応じた操作信号を出力する。
【0027】
ここでは、ユーザはノブ75を摘まんで操作することで、操作部74を、上記“LOCK”を示す回転姿勢から“OFF”を示す回転姿勢を経て“ON”を示す回転姿勢に回転操作可能であり、また、その逆方向にも回転操作可能である。回転操作検出部76は、当該ノブ75の回転姿勢に応じて、LOCK信号、OFF信号及びON信号を出力可能に構成されている。ここでは、ノブ75が“ON”を示す回転姿勢となると、回転操作検出部76から認証用ECU54に、ON信号がエンジン始動を可能な状態に指示する旨の信号として与えられ、認証用ECU54は、動力機関の一例であるエンジン24を始動可能な状態にする。つまり、上記ノブ75が“LOCK”を示す回転姿勢にある状態が第1位置であり、ノブ75が“ON”を示す回転姿勢にある状態が第2位置であるとすると、ノブ75は、第1位置から第2位置に変位操作されることによって、動力機関の一例であるエンジン24を始動可能にする状態への切替操作を受付け可能に構成されている。エンジン24を始動可能にする状態へ切替えられると、ユーザが上記セルスイッチSW1を押してセルモータを回転させ、もって、エンジン24を始動させることができるようになる。エンジン24が始動された状態においては、ノブ75は、第2位置に保たれる。
【0028】
なお、ノブ75を第1位置から第2位置に回転させる途中で、ノブ75が、“OFF”を示す位置に回転されると、エンジン24を始動不能にした状態で、車両に電源が投入されると共に、ハンドルロック等が解除された状態となる。この状態からノブ75をさらに回転させると、車両に電源が投入されると共に、ハンドルロック等が解除された状態のまま、上記したように、エンジン24を始動可能にする状態へ切替えられる。
【0029】
押操作検出部78は、操作部74の押込による変位を検出可能なスイッチにより構成されており、ユーザがノブ75を押操作して操作部74を押込方向に変位させると、当該押し方向への変位を検出し、その検出結果に応じた操作信号を出力する。ここでは、ユーザにより操作部74が押込操作されると、押操作検出部78から認証用ECU54に、認証開始信号が与えられる。従って、押操作検出部78は、認証開始操作を受付可能な第2操作子の一例であり、特に、第1操作子の一例の一部である操作部74への変位操作を受付ける変位操作子の一例である。
【0030】
上記スタートスイッチユニット70には、発光報知部80及びソレノイドアクチュエータ82が組込まれている。
【0031】
発光報知部80は、例えば、発光ダイオード、有機EL(Organic light-emitting)発光素子、白熱電球等により構成されている。低消費電力という点では、発光報知部80は、発光ダイオード、有機EL(Organic light-emitting)発光素子等であることが好ましい。
【0032】
この発光報知部80は、上記ノブ75を囲む部分であるスイッチベース71に、その表側から発光状態の視認を可能な状態で設けられている。ここでは、発光報知部80は、スイッチベース71の表側部分に嵌め込まれた状態で配設されている。より具体的には、発光報知部80は、ノブ75の周りの左半側、さらに具体的には、ノブ75周りの左斜め上側の位置(例えば、アナログ式時計の10時の方向)に設けられている。本実施形態では、サイドスタンド34は、車両の左側に設けられているため、発光報知部80は、操作部74に対して、サイドスタンド34が設けられる側に設けられている。この発光報知部80は、後述するように認証が成立したと判定されたときに、ユーザに対して当該認証の成立を報知するように、発光する。発光報知部80は、本スタートスイッチユニット70が組込まれる外装板であって、操作部74を囲む部分に設けられていてもよい。
【0033】
ソレノイドアクチュエータ82は、スイッチベース71に対する操作部74の回転を規制及び規制解除可能に構成されている。ソレノイドアクチュエータ82は、例えば、ソレノイド82aと、可動規制部82bと、コイルバネ等の付勢部82cとを備えた構成を採用することができる。可動規制部82bは、鉄等の磁性体等によって構成されており、シャフト部74aに向けて進退可能に配設されている。可動規制部82bは、シャフト部74aに向けて進出した状態でシャフト部74aに形成された規制凹部74bに嵌り込んで操作部74の回転を規制し、シャフト部74aから退避した状態で、操作部74の回転を許容する状態となる。付勢部82cは、可動規制部82bを進出方向に常時付勢している。また、ソレノイド82aは、認証用ECU54の駆動制御によって励磁状態と非励磁状態に切替えられ、励磁状態で可動規制部82bを退避方向に吸引する。このため、ソレノイド82aの非励磁状態では、付勢部82cの付勢力によって可動規制部82bが操作部74の回転を規制する状態となり、ユーザは、ノブ75を摘まんで回転させようとしても回転困難な状態となる。ソレノイド82aの励磁状態では、付勢部82cの付勢力に抗して、ソレノイド82aの磁力が可動規制部82bを退避方向に引寄せて移動させた状態となり、ユーザはノブ75を摘まんで操作部74を容易に回転させることができるようになる。
【0034】
なお、可動規制部82bによって操作部74の回転が規制されている状態においても、スイッチベース71にトルクリミッタが内蔵されており、所定以上の力でノブ75が操作されると、操作部74がスイッチベース71に対して同一回転せずに空回りして破損を防止する構成としておくことが好ましい。
【0035】
操作部74の回転を規制及び規制解除可能に切替える構成として、上記のようにソレノイドアクチュエータ82を用いることは必須ではなく、上記の構成の他、電動モータ等の駆動によって回転規制用片を姿勢変更又は位置変更させる構成等を採用することができる。
【0036】
図5は自動二輪車10の電気的構成を示すブロック図である。自動二輪車10は、認証用ECU54と、エンジンECU60とを備える。
【0037】
認証用ECU54は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、その演算動作はすべて予め格納されたソフトウェアプログラムによって実行されるものである。認証用ECU54において、書換え可能なフラッシュメモリ等によって構成される記憶部55には、認証プログラム55aが記憶されている。本認証用ECU54は、認証プログラム55aに記述された処理手順に従って後述する認証処理を実行する。
【0038】
本実施形態では、認証用ECU54は、携帯端末36との間で無線通信による認証を行ってエンジン24の始動に至る迄の諸処理を実行する認証用制御ユニットとしての機能に加えて、セルスイッチSW1を含むスイッチ群SWからの諸入力を受付ける機能を有する。ここでは、認証用ECU54は、表示部52の表示内容を制御する機能等をも有しているが、これは必須ではない。
【0039】
エンジンECU60も認証用ECU54と同様に一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、上記認証用ECU54との間でCAN通信等により双方向通信を行いつつ、諸制御を行う。
【0040】
もっとも、認証用ECU54のうち携帯端末36との間で無線通信による認証を行ってエンジン24の始動に至る迄の諸処理を実行する機能は、スイッチ群SWからの諸入力を受付ける機能及び表示部52の表示内容を制御する機能等を実行するECUとは別のECUにより実現されてもよいし、上記エンジンECU60の一機能として実現されてもよい。
【0041】
認証用ECU54には、スタートスイッチユニット70の各部分である回転操作検出部76、押操作検出部78、ソレノイドアクチュエータ82、発光報知部80が接続されている。そして、ユーザがノブ75を摘まんで操作部74を回転させると、回転操作検出部76から認証用ECU54に操作部74の回転姿勢を示す信号が入力される。また、ユーザがノブ75を押して操作部74を押し方向に変位させると、押操作検出部78から認証用ECU54に操作部の押し操作を示す信号(認証開始信号)が入力される。また、認証用ECU54の駆動制御によって、ソレノイドアクチュエータ82及び発光報知部80が動作する。発光報知部80は、認証用ECU54の大電流ポート等から直接供給される電力によって発光するものであってもよいし、認証用ECU54の制御によって発光報知部80への電源回路に含まれるスイッチング素子をオンにすることで発光するものであってもよい。発光報知部80は、エンジンECU60の動作状態とは関係無く、認証用ECU54の動作制御によって発光動作を行うことができる。
【0042】
認証用ECU54には、電源、セルスイッチSW1を含むスイッチ群SW等が接続されると共に、無線通信回路57aを介してアンテナ57bが接続されている。認証用ECU54は、電源からの電源供給によって動作し、スイッチ群SWからの諸指令の受付け等を実行すると共に、無線通信回路57a及びアンテナ57bを介して携帯端末36との間で無線通信を行う。
【0043】
自動二輪車10に搭載された点火装置64a、インジェクタ64b等がエンジンECU60に接続されており、主としてエンジン24関係の制御を実行する。
【0044】
そして、認証用ECU54及びエンジンECU60が、連携しつつ、スイッチ群SWからの諸指令、センサ群62からの諸出力に基づいて、エンジン24の制御等を実行する。
【0045】
図6は携帯端末36の電気的構成を示すブロック図である。携帯端末36は、キー側ECU37と、無線通信回路39a及びアンテナ39bを備える。
【0046】
キー側ECU37は、認証用ECU54と同様に、一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、携帯端末36に内蔵されたボタン電池等からの電力供給を受けて動作する。キー側ECU37は、書換え可能なフラッシュメモリ等によって構成される記憶部38を備えている。記憶部38には、キー側認証プログラム38aが記憶されている。キー側ECU37は、キー側認証プログラム38aに記述された手順に従って、無線通信回路39a及びアンテナ39bを介して認証用ECU54と無線通信を行って、認証に関係する処理を実行する。
【0047】
上記認証用ECU54は、携帯端末36との間で無線通信による認証を行って、下記処理を行う機能を有している。
【0048】
まず、認証用ECU54は、携帯端末36との間で無線通信を行って、認証の成立の有無を判定し、認証が成立したと判定されたときに、発光報知部80に発光報知動作を行わせる。
【0049】
ここでは、認証用ECU54は、第2操作子を通じて認証開始操作を受付けたときに、携帯端末36との間で無線通信を行って、認証の成立の有無を判定する。ここでは、第2操作子として押操作検出部78が設けられているため、ユーザが操作部74のノブ75を押すと、認証用ECU54において認証開始操作が受付けられる。
【0050】
認証用ECU54において、認証が成立したと判定されると、認証用ECU54は、発光報知部80に発光報知動作を行わせる。すると、ユーザは、発光報知部80が発光したことを見て、認証が成立したことを認識することができる。
【0051】
また、上記認証用ECU54は、認証が成立したと判定されると、ソレノイド82aをON状態にしてソレノイド82aを励磁状態にする。これにより、可動規制部82bが退避方向に移動して、操作部74を回転操作できる状態となる。この状態では、ユーザは、ノブ75を摘まんで操作部74を第1位置から第2位置に回転変位操作できるようになる。操作部74が第1位置から第2位置に変位操作されると、回転操作検出部76から認証用ECU54にその変位操作に応じて信号が出力される。すると、認証用ECU54は、エンジンECU60にエンジン24の始動を許可する信号を与える。この状態で、ユーザがセルスイッチSW1を操作すると、エンジンECU60の制御下において、エンジン24が始動される。
【0052】
図7を参照して認証用ECU54及びキー側ECUにおいて上記処理を実行するフローチャートの一例について説明する。なお、ここで、説明するフローチャートは、一例であり、上記認証用ECU54で実行される処理が下記処理に限定されることを説明するものではない。
【0053】
まず、初期状態において認証用ECU54は第1状態である。第1状態は、後述する第2状態よりも消費電力が小さい状態で、かつ、押操作検出部78の認証開始信号を受付けて諸演算処理を実行可能な第2状態に変更可能な状態である。キー側ECU37についても、上記と同様に、初期状態では第1状態である。第1状態は、後述する第2状態よりも消費電力が小さい状態で、かつ、アンテナ39b及び無線通信回路39aを通じて無線信号の入力を受付けて第2状態に変更可能な状態である。第1状態は、例えば、スリープ状態であり、第2状態は、例えば、CPUが諸演算処理を実行可能なウエイクアップ状態である。
【0054】
この状態で、ユーザがノブ75を押すと、押操作検出部78から認証用ECU54に認証開始信号が出力され、ステップS1において、認証開始操作有りと判定され、ステップS2に進む。
【0055】
ステップS2では、認証用ECU54が第2状態になる。
【0056】
続くステップS3において、認証用ECU54は、無線通信回路57a及びアンテナ57bを通じて認証要求信号を無線送信し、ステップS4に進む。
【0057】
一方、キー側ECU37では、ステップS21において、アンテナ39b及び無線通信回路39aを通じて無線信号が受信されると、ステップS22に進み、第2状態となる。
【0058】
次ステップS23において、キー側ECU37は、無線通信回路39a及びアンテナ39bを通じて、自己の認証用識別符号を含む無線認証信号を送信し、その後、ステップS24において、第1状態に移行する。
【0059】
キー側ECU37において、自己の認証用識別符号を含む無線信号を所定回数送信した後、第1状態に移行するようにしてもよく、また、認証用ECU54がキー側ECU37からの無線信号を受信した場合に応答信号を送信するようにし、認証用ECU54において当該応答信号を受信した後に、第1状態に移行するようにしてもよい。
【0060】
認証用ECU54側の処理に戻って、ステップS4で、キー側ECU37側からの無線認証信号の受信の有無を判定する。受信無しと判定されると、ステップS12に進む。
【0061】
ステップS12では、認証用ECU54は、所定の時刻(例えば、ステップS3において認証要求を送信した時間)を基準とする所定の待機時間の経過の有無を判定する。所定の待機時間が経過していないと判定されると、ステップS4に戻り、再度処理を実行する。所定の待機時間が経過したと判定されると、ステップS14に進み、第1状態に移行する。
【0062】
ステップS4において、キー側ECU37側からの無線認証信号の受信の有りと判定されると、ステップS5に進む。
【0063】
ステップS5では、認証用ECU54は、認証の合否を判定する。認証の合否は、例えば、受信した認証信号に含まれる認証用識別符号と、自己の記憶部55に記憶された認証用識別符号とが一致するか否かを判定することにより行うことができる。両符号が不一致であり、認証不合格と判定された場合、ステップS14に進み、第1状態に移行する。両符号が一致し、認証が合格したと判定されると、ステップS8に進む。
【0064】
なお、上記無線認証信号の受信の有りと判定され、かつ、認証が合格と判定されたときに、認証が成立し、無線認証信号の受信が無い場合、又は、認証が不合格と判定された場合が、認証が不成立となる。
【0065】
なお、上記操作部74が、認証用識別符号を記憶した所定形状のキーを差込み可能に構成されると共に、操作部74に当該キーと通信等して当該キーに記憶された認証用識別符号を受信可能に構成されていてもよい。この場合、ステップS4において認証信号を受信しないと判定された場合、及びに、ステップS5において認証不合格と判定された場合でも、操作部74に差込まれたキーから認証用識別符号を取得し、当該認証用識別符号に基づいて認証合格と判定されると、認証が成立したと判定して、ステップS8に進むようにするとよい。
【0066】
ステップS6では、認証用ECU54は、ソレノイドアクチュエータ82をON状態にしてソレノイド82aを励磁状態にする。これにより、可動規制部82bが退避方向に移動して、操作部74を回転操作できる状態となる。これと同時又は前後に、認証用ECU54は、発光報知部80をON状態にして当該発光報知部80を発光させる。発光状態は、継続的な点灯状態であってもよいし、所定パターンの点滅状態であってもよい。なお、ソレノイド82aを励磁状態にする期間及び発光報知部80を発光させる期間は、予め設定された所定時間である。所定時間経過後は、ソレノイド82aは非励磁状態になると共に、発光報知部80も非発光となる。これにより、ユーザは、ノブ75を回せない状態となったことを認識できる。
【0067】
次ステップS7では、認証用ECU54は、回転操作検出部76からの出力信号に基づいて、操作部74が“LOCK”を示す回転姿勢(第1位置)から“ON”を示す回転姿勢(第2位置)に切替え操作されたか否かが判定される。ここで、切替え操作されていないと判定された場合には、ステップS13に進む。
【0068】
ステップS13では、認証用ECU54は、所定の時刻(例えば、ステップS5において認証合格が判定された時間、又は、ステップS6においてソレノイドアクチュエータ82をONにした時間)を基準とする所定の待機時間の経過の有無を判定する。所定の待機時間が経過していないと判定されると、ステップS7に戻り、再度処理を実行する。所定の待機時間が経過したと判定されると、ステップS14に進み、第1状態に移行する。
【0069】
ユーザがノブ75を操作すると、ステップS7において、認証用ECU54により、操作部74が“LOCK”を示す回転姿勢(第1位置)から“ON”を示す回転姿勢(第2位置)に切替え操作されたと判定され、ステップS8に進む。
【0070】
ステップS8では、エンジンECU60を第1状態から第2状態に移行させる。なお、エンジンECU60における第1状態は、上記と同様に、第2状態よりも消費電力が小さい状態で、かつ、認証用ECU54からの信号を受付けて諸演算処理を実行可能な第2状態に変更可能な状態である。これにより、エンジン24の点火装置、インジェクタ等が駆動制御可能な状態となる。つまり、エンジン24は、始動可能な状態となる。
【0071】
なお、認証用ECU54がエンジンECU60を第2状態に移行させた後、認証用ECU54からエンジンECU60に認証用識別符号が送信され、その認証用識別符号と、エンジンECU60において予め記憶された認証用識別符号とに基づいて、認証の成否を判定し、認証が成立した場合に、その後のエンジン24等の制御が可能となる処理を実行するようにしてもよい。
【0072】
次ステップS9では、認証用ECU54は、セルスイッチSW1がONされたか否かを判定し、ONされたと判定されると、次ステップS10に進む。
【0073】
ステップS10では、認証用ECU54は、エンジンECU60にエンジンを始動させる旨の信号を送り、エンジンECU60は、セルモータを回転駆動させると共に、点火装置、インジェクタ等を制御して、エンジン24を始動させる。
【0074】
その後、ステップS11に進んで、エンジン24の始動後における通常運転処理動作を実行する。
【0075】
なお、上記実施形態では、一例として、第1状態がスリープ状態であり、第2状態がウエイクアップ状態であると説明したが、必ずしもその必要は無い。例えば、認証用ECU54には、初期状態で電源供給がなされておらず、ユーザが押操作検出部78を操作してONに切替りかわることにより、認証用ECU54に電源供給する回路が閉状態となり、当該認証用ECU54等に電源供給がなされる状態となってもよい。この場合、認証用ECU54と電源とを、リレー、半導体スイッチング素子のスイッチング素子等を介装した電源回路で接続し、認証用ECU54に電源供給がなされたときに、認証用ECU54がスイッチング素子をオン状態にする自己保持回路を設けるとよい。これにより、押操作検出部78を短時間ONに切替えた後、OFFに戻っても、認証用ECU54等への電源供給がなされる。認証用ECU54が動作を終了する場合(第1状態へ移行する場合等)には、認証用ECU54がスイッチング素子をOFFにすれば、認証用ECU54への電源供給回路が遮断される。
【0076】
エンジンECU60についても、同様に、初期状態では電源供給がなされておらず、認証用ECU54の指令により、エンジンECU60と電源とを接続する電源供給回路に介装されたスイッチング素子がON状態となって、当該エンジンECU60に電源供給がなされる構成であってもよい。
【0077】
以上のように構成された無線式認証装置30によると、認証用ECU54が携帯端末36との間で無線通信を行って認証の成立の有無を判定し、認証が成立したと判定されると、発光報知部80に発光報知動作を行わせる。これにより、ユーザは、発光報知部80の発光報知動作を見て、認証が成立したことを確認した後、ノブ75を第1位置から第2位置に回転させて、エンジン24を始動可能にする状態への切替操作を行うことができる。発光報知部80は、ノブ75を含む操作部74を囲む部分であるスイッチベース71に設けられているため、ユーザがノブ75を操作しようとしてノブ75周りを見ると、自然と発光報知部80の発光状態に気付きやすい。このため、ユーザがノブ75を操作しようとする際に、認証の成立の有無をより確実に把握できるようにすることを目的とする。
【0078】
また、認証用ECU54は、メーターユニット50等を起動させることなく、発光報知部80だけに発光報知動作を行わせることができる。これにより、認証の成立を知らせる報知発光動作の省電力化が可能となる。
【0079】
もっとも、メーターユニット50にも認証成立した旨の表示がなされてもよい。
【0080】
また、上記発光報知部80は、認証用ECU54の駆動制御によって発光報知動作を実行する。このため、表示部52を起動させたり、エンジンECU60を起動させたりしなくても、当該報知動作を行わせることができ、省電力化に貢献する。エンジン24が始動していない状態では、上記のように消費電力を小さくできることは、特に、有効である。
【0081】
また、認証用ECU54は、押操作検出部78を通じて認証開始操作を受付けたときに、携帯端末36との間で無線通信を行って認証の成立の有無を判定するため、それまでの間はより消費電力が低い第1状態で待機することができる。この点からもより省電力化が可能となる。
【0082】
認証用ECU54が上記のタイミングで認証成立の有無を判定することは必須ではなく、携帯端末36からの無線信号を常時監視しており、当該携帯端末36が自動二輪車10に近づいたとき、又は、携帯端末36に設けられたスイッチ等の操作によって携帯端末36から無線信号が送信されたときに、認証の成立の有無を判定してもよい。
【0083】
また、第2操作子としての押操作検出部78は、第1操作子の一部である操作部74の変位を受付けるため、ユーザによる認証開始操作からエンジン24の始動可能な状態への切替操作を続けて円滑に行える。
【0084】
また、発光報知部80は、自動二輪車10において、操作部74に対してサイドスタンド34側(ここでは左側)に設けられているため、ユーザは発光報知部80の発光報知動作を視認し易い。すなわち、ユーザが自動二輪車10に搭乗しようとする場合、ユーザは、自動二輪車10に対して当該サイドスタンド34側に立って、サイドスタンド34の操作を行うことになる。すると、ノブ75を操作する際にも、自動二輪車10に対して当該サイドスタンド34側に立って、その反対側の手(ここでは右側)でノブ75を操作することになる。このため、発光報知部80が、ノブ75に対してサイドスタンド34側に設けられていると、ノブ75を操作する手で視界が妨げられ難くなり、発光報知部80の発光報知状況を確認し易い。
【0085】
{変形例}
上記実施形態では、操作部74を囲むスイッチベース71に発光報知部80を設けた例で説明したが、
図8に示す第1変形例のスタートスイッチユニット70Bのように、操作部74のノブ75自体に発光報知部80を設けてもよい。
図8に示す例では、ノブ75の中央部に発光報知部80Bを設けた例を示している。
【0086】
その他、操作部74を囲む部分に、環状に発光する発光報知部を設けたり、ノブ75全体を発光させる発光報知部を設けてもよい。発光報知部を環状に発光させることによって、ユーザに対して認証成立をより認識させ易くなる。
【0087】
上記実施形態において、認証が成立しないと判定されたときに、発光報知部80を、上記発光報知動作を行う状態とは異なる状態にするようにしてもよい。これにより、ユーザに対して認証動作の結果認証不成立であることを認識させ易くなる。
【0088】
例えば、認証が成立したと判定されたときに、発光報知部80が継続的に点灯して発光報知を行う場合、認証不成立時には、発光報知部80が断続的に発光するようにしてもよい。あるいは、認証が成立したと判定されたときに、発光報知部80が所定の色で発光報知を行う場合、認証不成立時には、発光報知部80が当該所定の色とは異なる色で発光するようにしてもよい。認証不成立時には、発光報知部80が当該所定の色とは異なる色で発光することにより、ユーザに対して認証動作の結果認証不成立であることを、認証成立時とは区別して認識させ易くなる。
【0089】
この場合において、携帯端末の故障により認証が成立しないと判定されたときに、発光報知部80を第1エラー報知状態にするとよい。
【0090】
また、認証用無線信号の無受信により認証が成立しないと判定されたときに、発光報知部80を第2エラー報知状態にするとよい。
【0091】
第1エラー報知状態及び第2エラー報知状態は、認証が成立したときに発光報知部80が発光する状態とは異なっており、好ましくは、互いに異なる発光状態である。第1エラー報知状態及び第2エラー報知状態とは、例えば、発光報知部80が異なるパターンで点滅発光すること、あるいは、発光報知部80が異なる色で発光可能な複数色発光ダイオードである場合には、それぞれ異なる色で発光させること等が考えられる。これにより、ユーザは、携帯端末の故障により認証が成立しないのか、認証用無線信号の無受信により認証が成立しないのかを、区別して認識し易い。
【0092】
図9を参照して認証用ECU54において上記処理を実行するフローチャートの一例について説明する。なお、ここで、説明するフローチャートは、一例であり、上記認証用ECU54で実行される処理が下記処理に限定されることを説明するものではない。
【0093】
より具体的には、
図9に示すフローチャートは、ステップS1〜S10、S13及びS14に関する処理は、
図7に示すフローチャートと同じである。
図9に示すフローチャートが、
図7に示すフローチャートと異なるのは、主に次の2点である。
【0094】
1つ目は、ステップS4において、認証信号が無受信と判定された後の処理である。
【0095】
つまり、認証用ECU54は、ステップS4において、認証信号が無受信と判定された後、ステップS51(ステップS12と同様)に進み、当該ステップS51において、待機時間経過したと判定されると、ステップS52に進む。つまり、所定の待機時間、認証用無線信号無受信であると判定されると、ステップS52に進む。
【0096】
ステップS52では、認証用ECU54は、発光報知部80を第2エラー報知状態にする。その後、所定時間経過後に、ステップS53に進んで、第1状態に移行するとよい。
【0097】
第2エラー報知状態は、上記実施形態において、認証が成立したときに発光報知部80が発光する発光報知動作とは異なる態様で発光する状態である。
【0098】
2つ目は、認証信号の受信の有無を判定するステップS4と、認証の合否を判定するステップS5との間に、携帯端末36が正常か否かを判定するステップS61が挿入され、ステップS61において、携帯端末36が正常ではない、つまり、携帯端末36が故障していると判定されると、ステップS62に進むことである。
【0099】
すなわち、ステップS4に続くステップS61において、携帯端末36が正常であるか否かを判定する。携帯端末36が正常か否かは、無線信号の受信が断続的等であること等から、受信した信号から認証用識別符号を含む所定のデジタル信号として復号化できないこと、或は、復号化したデジタル信号から通信形式エラーが発生すること等により判定される。携帯端末36が正常であると判定されると、ステップS5に進み、以下の処理を繰返す。携帯端末36が正常ではなく、故障であると判定されると、ステップS62に進む。
【0100】
ステップS62では、認証用ECU54は、発光報知部80を第1エラー報知状態にする。その後、所定時間経過後に、ステップS62に進んで、第1状態に移行するとよい。上記携帯端末36が正常であるか否かの判定は、認証の成立の条件であるため、認証の成立の有無を判定する処理の一部である。つまり、認証用ECU54は、認証の成立の有無を判定し、携帯端末36の故障により認証が成立しないと判定されたときに、発光報知部80を第1エラー報知状態にする。
【0101】
第1エラー報知状態は、上記実施形態において、認証が成立したときに発光報知部80が発光する発光報知動作とは異なる態様で発光する状態である。
【0102】
この変形例によると、認証用ECU54は、認証の成立の有無を判定し、認証が成立しないと判定されたときに、発光報知部80を、認証したときの発光報知動作を行う状態とは異なる状態にする。このため、ユーザは、認証が成立しないと判定されたことが原因で、ノブ75を回転操作できない状態になっていることを認識できる。
【0103】
特に、ユーザは、第1エラー報知状態を認識することで、携帯端末36の故障による認証不成立を認識することができ、この後の対応、例えば、スペアの携帯端末36に交換する、携帯端末36を業者に修理に出す対応への判断が容易となる。
【0104】
また、ユーザは、第2エラー報知状態を認識することで、無受信による認証不成立を認識することができ、携帯端末36の紛失、電池切れを把握し易い。
【0105】
なお、通常、正規のユーザであれば、ステップS5において認証が不合格と判定されることはないと考えられるが、ステップS5において認証が不合格と判定されたときにも、発光報知部80を、第3エラー報知状態としてもよい。第3エラー報知状態は、少なくとも認証の成立時における発光報知部80の発光報知状態とは異ならせることが好ましい。
【0106】
なお、上記第2変形例において、第1エラー報知状態を報知する処理、第2エラー報知状態を報知する処理の一方を省略してもよい。また、第1エラー報知状態と第2エラー報知状態とは、同じ発光報知態様であってもよい。
【0107】
なお、上記実施形態では、第1操作子が回転可能なノブ75を含む操作部74である例で説明したが、ユーザによる押込操作を受付けるプッシュスイッチ、ユーザによる操作面に対して直交する方向への左右又は上下へのスライド操作を受付けるスライドスイッチであってもよい。
【0108】
また、上記第2実施形態では、第2操作子が操作部74の押込変位を受ける押操作検出部78である例で説明したが、必ずしもその必要は無い。例えば、回転操作検出部76が、ノブ75が“LOCK”を示す回転姿勢から“OFF”を示す回転姿勢とは反対側への回転姿勢である状態を出力可能であり、ノブ75が当該反対側の回転姿勢から“LOCK”を示す回転姿勢に回転操作されることで、認証開始操作を受付ける構成であってもよい。この場合、回転操作検出部76が第1操作子の一部の機能、及び変位操作子としての機能を果すことになる。
【0109】
また、第2操作子は、上記第1操作子とは別に設けられた、ユーザによる押込操作を受付けるプッシュスイッチ、ユーザによる操作面に対して直交する方向への左右又は上下へのスライド操作を受付けるスライドスイッチであってもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、動力機関がエンジン24である例で説明したが、動力機関は、電動モータ等であってもよい。この場合、
図7のフローチャートにおけるステップS9及びS10は省略され、認証用ECU54からエンジンECU60に認証が成立した旨の信号が送られることをもって、当該動力機関が始動開始可能な状態とすることができる。
【0111】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0112】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0113】
以上のように、本明細書は、下記の各態様に係る発明を含んでいる。
【0114】
第1の態様は、ユーザが所持する携帯端末との間で無線通信による認証を行う鞍乗型車両用の無線式認証装置であって、動力機関を始動可能にする状態への切替操作を受付ける第1操作子と、前記第1操作子又は前記第1操作子を囲む部分に設けられ、認証成立を発光報知する発光報知部と、携帯端末との間で無線通信を行って認証の成立の有無を判定し、認証が成立したと判定されたときに、前記発光報知部に発光報知動作を行わせる制御ユニットと、を備える。
【0115】
これにより、認証が成立したと判定されたときに、第1操作子又は第1操作子を囲む部分に設けられた発光報知部が発光報知動作を実行する。このため、乗員は、第1操作子を操作しようとする際に、認証の成立の有無をより確実に把握できる。
【0116】
第2の態様は、第1の態様に係る鞍乗型車両用の無線式認証装置であって、前記制御ユニットは、認証用制御ユニットであり、前記発光報知部は、前記認証用制御ユニットの駆動制御により、発光報知動作を実行するものである。
【0117】
これにより、認証用制御ユニットの駆動制御により、発光報知部が発光報知動作を実行するため、省電力化に貢献する。
【0118】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る鞍乗型車両用の無線式認証装置であって、認証開始操作を受付可能な第2操作子をさらに備え、前記制御ユニットは、前記第2操作子を通じて前記認証開始操作を受付けたときに、携帯端末との間で無線通信を行って認証の成立の有無を判定するものである。
【0119】
これにより、制御ユニットは、スイッチを通じて認証開始操作を受付けたときに、携帯端末との間で無線通信を行って認証の成立の有無を判定するため、より省電力化が可能となる。
【0120】
第4の態様は、第3の態様に係る鞍乗型車両用の無線式認証装置であって、前記第1操作子は、第1位置から第2位置に変位操作されることによって、動力機関を始動可能にする状態への切替操作を受付け、前記第2操作子は、前記第1操作子への変位操作を受付ける変位操作子とされているものである。
【0121】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る鞍乗型車両用の無線式認証装置であって、前記発光報知部は、前記第1操作子に対して、鞍乗型車両においてサイドスタンドが設けられる側に設けられているものである。
【0122】
ユーザが鞍乗型車両に搭乗しようとする場合、ユーザは、鞍乗型車両に対して当該サイドスタンド側に立って、サイドスタンドの操作を行うことになる。すると、メインスイッチを操作する際にも、鞍乗型車両に対して当該サイドスタンド側に立って、その反対側の手でメインスイッチを操作することになる。このため、発光報知部が、メインスイッチに対してサイドスタンド側に設けられていると、メインスイッチを操作する手で視界が妨げられ難くなり、発光報知部の発光報知状況を確認し易い。
【0123】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る鞍乗型車両用の無線式認証装置であって、前記制御ユニットは、認証の成立の有無を判定し、認証が成立しないと判定されたときに、前記発光報知部を、前記発光報知動作を行う状態とは異なる状態にするものである。
【0124】
これにより、ユーザは、認証が成立しないと判定されたことを認識できる。
【0125】
第7の態様は、第6の態様に係る鞍乗型車両用の無線式認証装置であって、前記制御ユニットは、認証の成立の有無を判定し、前記携帯端末の故障により認証が成立しないと判定されたときに、前記発光報知部を第1エラー報知状態にするものである。
【0126】
これにより、ユーザは、携帯端末の故障による認証不成立を認識できる。
【0127】
第8の態様は、第6又は第7の態様に係る鞍乗型車両用の無線式認証装置であって、前記制御ユニットは、認証の成立の有無を判定し、認証用無線信号の無受信により認証が成立しないと判定されたときに、前記発光報知部を第2エラー報知状態にするものである。