特許第6872373号(P6872373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872373
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】エアバッグ
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/232 20110101AFI20210510BHJP
   B60R 21/2338 20110101ALI20210510BHJP
【FI】
   B60R21/232
   B60R21/2338
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-6718(P2017-6718)
(22)【出願日】2017年1月18日
(65)【公開番号】特開2018-114838(P2018-114838A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和茂
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−159867(JP,A)
【文献】 特開平11−278195(JP,A)
【文献】 特開2016−028932(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/171334(WO,A1)
【文献】 特開2016−130043(JP,A)
【文献】 特開2014−037159(JP,A)
【文献】 特開2014−151676(JP,A)
【文献】 特開平05−238347(JP,A)
【文献】 特開2016−083955(JP,A)
【文献】 特開2012−192871(JP,A)
【文献】 特開2016−124498(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0203541(US,A1)
【文献】 特開2016−124359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16 − 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車外側基布と車内側基布とを袋状に形成してなり、折り畳まれた状態から内部にガスが供給されて、車室内の側方の所定面に沿って展開し車幅方向に膨張するエアバッグ本体部を備え、
前記エアバッグ本体部
展開状態で乗員の側方に配置される主膨張部と、
この主膨張部に対して連通するとともに、乗員の前方に展開する前方エアバッグの側部を含む位置に展開状態で配置される副膨張部とを備えているエアバッグであって
前記副膨張部内にて前記車外側基布と一端部が接続され前記車内側基布と他端部が接続されて前記車外側基布と前記車内側基布とを連結する上下に複数の連結体をさらに具備し、
上側の前記連結体の一端部と下側の前記連結体の一端部との間隔が、上側の前記連結体の他端部と下側の前記連結体の他端部との間隔よりも大きく形成されていることにより、
前記副膨張部は、展開状態において、前記前方エアバッグの側部に対向する位置に凹部を形成するとともに車外側へと突出する屈曲部を有する
ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項2】
各連結体は、一端部の長さが他端部の長さよりも長い
ことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳まれた状態からガスが供給されて、車室内の側方の所定面に沿って展開し車幅方向に膨張するエアバッグ本体部を備えたエアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスが導入されて膨張展開するエアバッグを備えたエアバッグ装置について、自動車の車室の側部のピラー部及びドアの窓部などを含む所定面に沿って前後に長手状のエアバッグを展開するいわゆるカーテンエアバッグ装置が知られている。このようなエアバッグ装置のエアバッグは、通常時は細長く折り畳まれ、窓部の上縁部のルーフサイド部に沿って配置されている。そして、側面衝突や横転(ロールオーバー)などの衝撃を受けた際に、インフレータからガスが供給され、エアバッグが側部の窓ガラスなどに沿って下方に膨張展開して、乗員を拘束して頭部などを保護する。
【0003】
エアバッグにおいては、近年、正面衝突に加えて、車両の一部が障害物に対して斜め方向から衝突する斜め衝突(オブリーク衝突)時の乗員の拘束性能が要求される。そこで、例えばフロントピラー(Aピラー)に一端部を取り付けたテザーの他端部をカーテンエアバッグの膨張部の前端側の側部に接続し、このテザーの両端部間の長さを、カーテンエアバッグの前端側に設けた膨張部の長さよりも短く設定することにより、展開状態で膨張部を乗員の前方側部にて車室内へと屈曲させることで、運転席や助手席など乗員の前方に展開する前方エアバッグの側部との隙間を埋める構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、この構成の場合には、前方エアバッグと、この前方エアバッグ側に屈曲した膨張部との接触によって、カーテンエアバッグが車外方向へと押されることが懸念される。
【0005】
また、例えばカーテンエアバッグの主膨張部の前端部に上下に隣接して副膨張部を設け、上側の副膨張部を下側の副膨張部に対して車内側に重なるように屈曲状に展開させ、前方エアバッグの背面側である前方に回り込ませることで、斜め衝突時に斜め前方に移動してきた乗員の頭部がフロントピラーやインストルメントパネルに接触することを防止した構成が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
この構成の場合には、構成が複雑になるとともに、前方エアバッグと、この前方エアバッグ側に屈曲した上側の副膨張部との接触によって、カーテンエアバッグが車外方向へと押されることが懸念される。また、例えば斜め衝突時に乗員の頭部が主膨張部に当接すると、頭部側面が主膨張部に接触しながら前方へ移動することで頭部がカーテンエアバッグ側に向くように回転した状態で副膨張部により拘束される。このため、このような頭部の回転を抑制した状態で副膨張部によって拘束できるようにすることが望ましい。さらに、乗員の頭部が主膨張部に当接することを考慮すると、展開状態での主膨張部の厚みを充分に取り主膨張部の底付きを抑制することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−124498号公報 (第7頁、図1図5
【特許文献2】特開2014−151676号公報 (第3−4頁、図1図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、斜め衝突時に前方へと移動する乗員を効果的に拘束するために、カーテンエアバッグにより前方エアバッグとの隙間を閉塞しつつ、前方エアバッグとの当接によってカーテンエアバッグが車外側に押されにくくすることが望まれている。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、前方エアバッグとの隙間を閉塞しつつ、前方エアバッグとの当接によって車外側に押されにくいエアバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載のエアバッグは、車外側基布と車内側基布とを袋状に形成してなり、折り畳まれた状態から内部にガスが供給されて、車室内の側方の所定面に沿って展開し車幅方向に膨張するエアバッグ本体部を備え、前記エアバッグ本体部、展開状態で乗員の側方に配置される主膨張部と、この主膨張部に対して連通するとともに、乗員の前方に展開する前方エアバッグの側部を含む位置に展開状態で配置される副膨張部とを備えているエアバッグであって前記副膨張部内にて前記車外側基布と一端部が接続され前記車内側基布と他端部が接続されて前記車外側基布と前記車内側基布とを連結する上下に複数の連結体をさらに具備し、上側の前記連結体の一端部と下側の前記連結体の一端部との間隔が、上側の前記連結体の他端部と下側の前記連結体の他端部との間隔よりも大きく形成されていることにより、前記副膨張部は、展開状態において、前記前方エアバッグの側部に対向する位置に凹部を形成するとともに車外側へと突出する屈曲部を有するものである。
【0011】
求項記載のエアバッグは、請求項記載のエアバッグにおいて、各連結体は、一端部の長さが他端部の長さよりも長いものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のエアバッグによれば、展開状態で乗員の側方に配置される主膨張部に対して連通するとともに、乗員の前方に展開する前方エアバッグの側部を含む位置に展開状態で配置される副膨張部を設け、この副膨張部の展開状態で前方エアバッグの側部に、屈曲部を車外側へと突出させて車内側に凹部を設けることで、凹部を容易に形成しつつ、この凹部に前方エアバッグを嵌合させて、副膨張部の車幅方向の膨張厚みを大きくすることなく、また、上側の連結体の車外側基布と接続される一端部と下側の連結体の車外側基布と接続される一端部との間隔を、上側の連結体の車内側基布と接続される他端部と下側の連結体の車内側基布と接続される他端部との間隔よりも大きくすることで、各テザーの位置にて副膨張部に、前方エアバッグの側部が嵌合するように容易に形成した屈曲部を所定面に接触させて凹部を車外側から強固に支持し、前方エアバッグとの隙間を閉塞しつつ、前方エアバッグとの当接によって車外側に押されにくくすることができる。
【0013】
求項記載のエアバッグによれば、請求項記載のエアバッグの効果に加えて、連結体の車外側基布と接続される一端部の長さを車内側基布と接続される他端部の長さよりも長くすることで、副膨張部において、屈曲部の前方の部分を車幅方向に厚く膨張させることができ、例えば斜め衝突時に車両前方外側へと移動する乗員の頭部を、エアバッグ本体部と前方エアバッグとの隙間をすり抜けさせることなく、かつ、副膨張部を底付きさせることなく、より確実に拘束できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は本発明の第1の実施の形態のエアバッグの展開状態を前方から模式的に示す正面図、(b)は同上エアバッグの展開状態を上方から模式的に示す平面図である。
図2】同上エアバッグの展開状態の一部を車室側から示す側面図である。
図3図2のI−I相当位置でのエアバッグの非展開状態を示す断面図である
図4】本発明の第2の実施の形態のエアバッグの展開状態を上方から模式的に示す平面図である。
図5】同上エアバッグの展開状態の一部を車室側から示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0016】
図1ないし図3において、10はエアバッグで、このエアバッグ10を備えたエアバッグ装置は、カーテンエアバッグ装置とも呼ばれ、車両である自動車の車体の車室14の収納位置としてのルーフサイド部15に配置されている。そして、このエアバッグ10は、カーテンエアバッグ、側突用エアバッグ、インフレータブルカーテン、あるいは頭部保護用エアバッグなどとも呼ばれるもので、側面衝突の衝撃を受けた際や横転(ロールオーバー)の際などに、被保護物としての乗員の側方にほぼ面状に所定方向である下方へと展開し、乗員の頭部などを保護するようになっている。
【0017】
なお、以下、前後方向、車幅方向である両側方向、上下方向などの方向は、車両の直進方向を基準とし、前側方向(矢印F方向)、後側方向(矢印R方向)、上方(矢印U方向)、下方(矢印D方向)、車室14の外方(矢印W方向)、車室14の内方(矢印C方向)などを説明する。
【0018】
そして、この自動車の車体は、車室14内に乗員が着座可能な図示しない座席である前席及び後席を備え、これら前席及び後席に対応して、それぞれ上部に開口可能なガラスにより覆われた窓部(サイドウィンドウ)18を備え下部に内装部品としてのドアトリム19を備えたドア20が設けられている。また、車室14の両側には、前側から順に、Aピラーとも呼ばれる(第1の)柱状体としてのフロントピラー21、Bピラーとも呼ばれる(第2の)柱状体としてのセンターピラー22、Cピラーとも呼ばれる(第3の)柱状体としての図示しないリアピラーが設けられており、フロントピラー21の後方でかつセンターピラー22の前方に前側の窓部18が位置し、センターピラー22の後方でかつリアピラーの前方に後側の窓部18が位置している。そして、これら窓部18、ドアトリム19、ドア20、フロントピラー21、センターピラー22及びリアピラーにより、車室14の両側部にエアバッグ10が展開する所定面24が構成されている。また、これらフロントピラー21、センターピラー22及びリアピラーの上側、すなわち窓部18,18の一縁部である上縁部に、ルーフサイドレールなどとも呼ばれる被取付部材を構成する車体パネル25が設けられ、この車体パネル25を介して天井部としての天井パネルが支持されている。また、両側のフロントピラー21の前側にはフロントガラス(フロントウインドシールド)が設けられ、両側のリアピラーの後側にはリアガラスが設けられている。そして、収納位置としてのルーフサイド部15は、天井パネルの両側の縁部の部分から、この縁部の部分といわば交差する方向に伸びるフロントピラー21及びリアピラーのほぼ全長にかかる部分にまで設定され、これら天井パネルの縁部の部分とフロントピラー21及びリアピラーとで仮想的に構成される弧の内側に所定面24が設定される。
【0019】
なお、ここで、センターピラー22とは、前後の端部のピラー部ではなく、展開したエアバッグ10に覆われるピラー部を示す。また、車両の種類によっては、片側に例えば4本以上のピラー部を備える場合があるが、前から3本目以後のピラー部は、リアピラーとして説明する。
【0020】
そして、エアバッグ装置は、前席及び後席の乗員を保護可能な、いわゆる前後席用エアバッグであり、車体パネル25とフロントピラー21、センターピラー22及びリアピラーの上端から天井へと連続する内装材としての天井被覆部材であるヘッドライニングとなどに囲まれたルーフサイド部15すなわち車体のドア開口部の上縁に沿って細長く折り畳んで収納されたエアバッグ10と、後席の後方あるいは上方に収納されこのエアバッグ10にガスを供給するガス発生器である図示しないインフレータとなどを備えている。また、このエアバッグ装置は、エアバッグ10を車体パネルに取り付ける金属板をプレス加工などして形成された図示しないブラケット及び折り畳んだエアバッグ10の形状を保持する破断可能な筒状あるいは紐状の形状保持部材としてのスリーブなどが備えられている。また、フロントピラー21、センターピラー22及びリアピラーのそれぞれの車室14の室内側は、構造物としてのカバー体すなわち被覆内装材であるピラーガーニッシュにより覆われている。
【0021】
エアバッグ10は、インフレータが挿入接続されガスが導入されるインフレータ接続部としてのガス導入部と、扁平な袋状に形成されたエアバッグ本体部33と、エアバッグ本体部33に設けられた取付部34と、エアバッグ本体部33に設けられたテザー部35とを備えている。そして、このエアバッグ10は、取付部34を介して上縁部が車体側に取り付けられるとともに、例えば前端部がテザー部35により車体側(フロントピラー21)に取り付けられて、細長く折り畳んだ状態でセンターピラー22の上方であるルーフサイド部15に前後方向に沿って長手状に収納される。
【0022】
また、このエアバッグ10は、構造的に、単数または複数の基布により構成されている。本実施の形態において、このエアバッグ10は、車外側基布41と、車内側基布42と、連結基布である連結体としてのテザー43とにより構成されている。車外側基布41と車内側基布42とは、一体でも別体でもよい。そして、車外側基布41と車内側基布42とが接合部45により互いに接合されて、エアバッグ本体部33の前側に、前席に着いた乗員Aを保護する主膨張部47と副膨張部48とが形成され、エアバッグ本体部33の後側に、後席に着いた乗員を保護する膨張部(図示せず)が形成されている。なお、本実施の形態において、このエアバッグ10は、左ハンドル(LHD)仕様車の運転席の側方に配置されるものとして説明するが、例えば助手席の側方に配置されるものの場合や、右ハンドル仕様車の運転席の側方に配置されるものなどの場合には、左右を反転することにより対応できる。
【0023】
ガス導入部は、エアバッグ本体部33の上部に突設されている。このガス導入部の後端部(上端部)は、インフレータが挿入される挿入開口となっている。なお、このガス導入部は、エアバッグ本体部33の前後方向の中央部に配置されていてもよいし、エアバッグ本体部33の後部に配置されていてもよい。
【0024】
エアバッグ本体部33は、長手状に形成されており、長手方向を前後方向に沿わせた状態で車体に収納されている。
【0025】
取付部34は、エアバッグ本体部33の上縁部に複数設けられ、前後に互いに離れてそれぞれ配置されている。
【0026】
テザー部35は、エアバッグ本体部33の長手方向の一端部に突設されている。本実施の形態において、このテザー部35は、エアバッグ本体部33の前端部に位置している。
【0027】
車外側基布41及び車内側基布42は、ガス導入部、エアバッグ本体部33(主膨張部47、副膨張部48及び膨張部)、取付部34及びテザー部35をそれぞれ形成するものである。これら車外側基布41及び車内側基布42は、互いに略等しい長手状に形成されている。
【0028】
接合部45は、車外側基布41と車内側基布42とを、例えば縫製、あるいは接着剤などにより接合するものである。この接合部45は、車外側基布41と車内側基布42との外縁部を互いに接合する外縁接合部50を備えている。また、この接合部45は、主膨張部47、副膨張部48及び膨張部などを区画する内側接合部51を備えている。
【0029】
内側接合部51は、外縁接合部50に連続して上方または下方に向けて突出する接合部である。この内側接合部51には、本実施の形態において、第1の接合部53、第2の接合部54及び第3の接合部55が設定されている。そして、内側接合部51は、それぞれ線状に形成されており、先端部には、基布が円形状に接合された保護部51aが形成されている。このような保護部51aが設けられることにより、膨張展開時における基布の伸びの確保と皺の発生の防止、また、エアバッグ本体部33の膨張展開時に内側接合部51の端部へ生じる応力集中に対して充分な強度を得ることができる。
【0030】
第1の接合部53は、主膨張部47の後部及び膨張部の前部を区画するものである。この第1の接合部53は、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開状態で、前席のヘッドレストの側方に位置し、センターピラー22と重なる位置となっている。この第1の接合部53は、エアバッグ本体部33(外縁接合部50)の下端部を基端部とし、この基端部から先端側に向けて後方上側に傾斜するとともに、先端部がエアバッグ本体部33(外縁接合部50)の上縁部に対して下方に離間された位置で前後方向に沿って、すなわちエアバッグ本体部33(外縁接合部50)の上縁部に対して略平行に延びるように折り返された屈曲状に形成されている。そして、この第1の接合部53の上端部(先端部)と上部に位置する外縁接合部50との間が、インフレータからエアバッグ本体部33内に供給されたガスが主膨張部47へと流入する流入路57となっている。
【0031】
第2の接合部54は、主膨張部47の前部及び副膨張部48の後部を区画するものである。この第2の接合部54は、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開状態で、前席のヘッドレストよりも前方、すなわち前席に着いた乗員Aよりも前方に位置しており、かつ、フロントピラー21よりも後方の位置となっている。この第2の接合部54は、エアバッグ本体部33(外縁接合部50)の上端部を基端部とし、この基端部から先端側に向けて後方下側に傾斜する、屈曲部を有さない直線状に形成されているとともに、先端部が第1の接合部53の上端部よりも下側に位置して、第3の接合部55の上端部に対して上側に離れて位置している。また、この第2の接合部54は、第1の接合部53よりも短く形成されている。
【0032】
第3の接合部55は、主膨張部47の前部及び副膨張部48の後部を区画するものである。この第3の接合部55は、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開状態で、前席のヘッドレストよりも前方、すなわち前席に着いた乗員Aよりも前方に位置しており、かつ、フロントピラー21よりも後方の位置となっている。この第3の接合部55は、エアバッグ本体部33(外縁接合部50)の下端部を基端部とし、この基端部から先端側に向けて前方上側に傾斜する、屈曲部を有さない直線状に形成されているとともに、先端部が第1の接合部53の上端部よりも下側に位置して、第2の接合部54の下端部に対して下側に離れて位置している。したがって、第2の接合部54と第3の接合部55との間に、主膨張部47と副膨張部48とを連通する連通口59が形成されている。また、この第3の接合部55は、第1及び第2の接合部53,54よりも短く形成されている。
【0033】
テザー43は、副膨張部48の位置で車外側基布41と車内側基布42とを互いに連結するものである。このテザー43は、単数または複数の基布により形成されている。また、このテザー43は、上下に複数設定されている。具体的に、本実施の形態において、テザー43は、上側に位置する第1の連結体としての上側連結体である上側テザー43aと、下側に位置する第2の連結体としての下側連結体である下側テザー43bとが設定されている。すなわち、テザー43は、上下に対をなして配置されている。そして、このテザー43の一端部61は、車外側基布41と接続され、他端部62は車内側基布42と接続されている。このテザー43の両長辺である一端部61及び他端部62は、それぞれ車外側基布41及び車内側基布42に対して、例えばシリコーン接着剤により固定されている。
【0034】
上側テザー43aは、例えば長方形状に形成されており、前後方向に長手方向を沿わせた状態、すなわちエアバッグ本体部33の長手方向と長手方向が一致するように配置されている。この上側テザー43aは、エアバッグ本体部33の展開方向である上下方向の中央部よりも上側に位置している。本実施の形態において、この上側テザー43aは、第2の接合部54の先端部である下端部よりも上側に位置している。したがって、この上側テザー43aは、連通口59よりも上側に位置している。さらに、この上側テザー43aは、本実施の形態において、例えば副膨張部48の前後方向の後側寄り、すなわち第2及び第3の接合部54,55に接近して位置している。そして、この上側テザー43aは、一端部61aが他端部62aよりも上側に位置するように傾斜している。すなわち、この上側テザー43aは、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開状態で、車室14側から車外側に向かって上方に傾斜するように配置される。
【0035】
下側テザー43bは、例えば長方形状に形成されており、前後方向に長手方向を沿わせた状態、すなわちエアバッグ本体部33の長手方向と長手方向が一致するように配置されている。したがって、この下側テザー43bは、上側テザー43aと略平行に配置されている。この下側テザー43bは、エアバッグ本体部33の展開方向である上下方向の中央部よりも下側に位置している。本実施の形態において、この下側テザー43bは、第3の接合部55の先端部である上端部よりも下側に位置している。したがって、この下側テザー43bは、連通口59よりも下側に位置している。また、この下側テザー43bは、上側テザー43aの下方(直下)に配置されている。さらに、この下側テザー43bは、本実施の形態において、例えば副膨張部48の前後方向の後側寄り、すなわち第2及び第3の接合部54,55に接近して位置している。そして、この下側テザー43bは、一端部61bが他端部62bよりも下側に位置するように傾斜している。すなわち、この下側テザー43bは、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開状態で、車室14側から車外側に向かって下方に傾斜するように配置される。このため、上側テザー43aの一端部61aと下側テザー43bの一端部61bとの間隔は、上側テザー43aの他端部62aと下側テザー43bの他端部62bとの間隔よりも大きく設定されている(図3)。換言すれば、上側テザー43aと下側テザー43bとは、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開状態で、車室14側から車外側に向かって徐々に上下に離れるように配置される。
【0036】
そして、主膨張部47は、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開により前席に着座する乗員Aの頭部を拘束するものである。この主膨張部47は、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開状態で、所定面24において、センターピラー22の前方から乗員Aの前方に位置する被設置部としてのハンドルであるステアリングホイール65の後方に亘る範囲に配置される。この主膨張部47は、第1の接合部53により後側が区画され、第2及び第3の接合部54,55により前側の上下が区画され、上下が外縁接合部50により区画されている。そして、この主膨張部47は、第1の接合部53、第2の接合部54、第3の接合部55及び外縁接合部50により囲まれる主拘束面67により乗員Aの頭部を拘束するようになっている。また、この主膨張部47は、上部の後側がガス導入部と流入路57を介して連通されているとともに、連通口59を介して副膨張部48と直接連通されている。さらに、この主膨張部47は、本実施の形態において、下側よりも上側の幅(前後方向寸法)が大きい形状となっている。すなわち、この主膨張部47は、下側から上側に向かって前後方向に拡開する、略台形状に区画されている。
【0037】
副膨張部48は、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開により、例えば斜め衝突時の乗員Aの頭部を拘束するものである。この副膨張部48は、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開状態で、所定面24において、ステアリングホイール65の後方から、このステアリングホイール65に設置され乗員Aの前方に展開する前方エアバッグ69の側部を含む位置、例えばフロントピラー21の後部に近接する位置に亘って配置される。この副膨張部48は、主膨張部47に対して連通している。すなわち、この副膨張部48は、インフレータからエアバッグ本体部33へと供給されるガスの流れにおいて、主膨張部47の下流側に位置している。換言すれば、この副膨張部48には、主膨張部47を介してガスが連通口59から流入するように構成されている。この副膨張部48は、第2及び第3の接合部54,55により後側が区画され、上下及び前部が外縁接合部50により区画されている。そして、この副膨張部48は、第2の接合部54、第3の接合部55及び外縁接合部50により囲まれる副拘束面71により乗員Aの頭部を拘束するようになっている。また、この副膨張部48は、主膨張部47よりも上下寸法が大きく設定されている。すなわち、副拘束面71は、主拘束面67よりも大きく設定されている。本実施の形態において、この副膨張部48は、上端部が主膨張部47の上端部と略等しい位置に配置され、下端部が主膨張部47の下端部よりも下方に突出している。したがって、副拘束面71は、主拘束面67よりも下方に延びて位置している。このため、この副膨張部48(副拘束面71)は、ステアリングホイール65の下部よりも下方まで延びている。さらに、この副膨張部48は、本実施の形態において、上側よりも下側の幅(前後方向寸法)が大きい形状となっている。すなわち、この副膨張部48は、上側から下側に向かって前後方向に拡開する、略台形状に区画されている。そして、この副膨張部48には、前方エアバッグ69の側部に対向する位置に、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開状態で屈曲部73が形成されるとともに、この屈曲部73の前方に、前側副膨張部74が形成される。
【0038】
屈曲部73は、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開時にテザー43(テザー43a,43b)によって車外側基布41と車内側基布42とが車幅方向に互いに引っ張られ、副膨張部48の車幅方向への膨張が規制されることにより副膨張部48に形成される部分である。このため、この屈曲部73は、テザー43(テザー43a,43b)の位置に形成される。この屈曲部73は、展開状態での前方エアバッグ69の側部と副膨張部48(エアバッグ10(エアバッグ本体部33))との接触圧力を抑制するものである。この屈曲部73は、上側テザー43a及び下側テザー43bが車外側に向かって互いに徐々に上下に離れるように傾斜状に配置されていることにより、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開状態で車外側に突出する(図3の想像線)とともに、車室14側(副拘束面71)に凹部76を有するように屈曲されている。すなわち、この屈曲部73は、本実施の形態において、前方から見て逆く字状に屈曲されている。また、この屈曲部73は、前方エアバッグ69の車体側(助手席とは反対側)の側部に沿って屈曲されている。すなわち、この屈曲部73は、前方エアバッグ69の形状に沿って屈曲されている。したがって、この屈曲部73は、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開状態で前方エアバッグ69と所定面24(ドア20)との間に介在されるようになっている。また、この屈曲部73は、ステアリングホイール65(前方エアバッグ69)の上下方向の中央部よりも上側から下側に亘って配置されている。
【0039】
前側副膨張部74は、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開時にテザー43(テザー43a,43b)により引っ張られずに、屈曲部73よりも前方にて副膨張部48に形成される部分である。このため、この前側副膨張部74は、屈曲部73よりも車幅方向に膨張するように形成されている。さらに、この前側副膨張部74は、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の展開状態で、ステアリングホイール65の前方(背面側)に位置し、このステアリングホイール65の前方の側部と所定面24(ドア20及びフロントピラー21)との間に介在されるようになっている。
【0040】
ステアリングホイール65は、例えば水平方向(垂直方向)に対して傾斜した状態で備えられる図示しない操縦装置としての操向用シャフトであるステアリングシャフトに装着されて回動可能となっている。
【0041】
前方エアバッグ69は、図示しないインフレータが挿入接続されガスが導入されるインフレータ接続部としてのガス導入部と、例えば円形などの袋状に形成された前方エアバッグ本体部78とを備えている。この前方エアバッグ69は、例えばステアリングホイール65の中央部に折り畳まれた状態で収納され、衝突時などにインフレータから供給されたガスによりステアリングホイール65から突出して乗員Aの前方に膨張展開し、乗員Aの頭部を含む上半身を拘束するようになっている。
【0042】
そして、エアバッグ10を製造する際には、車外側基布41と車内側基布42とをテザー43(テザー43a,43b)により連結するとともに外縁接合部50及び内側接合部51(第1ないし第3の接合部53〜55)によりそれぞれ縫製などで接合することで、主膨張部47、副膨張部48及び膨張部を備えるエアバッグ本体部33などを有するエアバッグ10が完成する。この状態で、ガス導入部の挿入開口にインフレータのガス噴射側を挿入し、このインフレータをエアバッグ10から外側に露出させた状態として一体的に固定する。
【0043】
さらに、エアバッグ本体部33をロール状などに折り曲げながら巻き上げて、エアバッグ10を所定の細長い形状に折り畳みと、図示しないスリーブなどを用いてエアバッグ10の展開時の圧力で結合解除すなわち破断可能となるように折り畳み形状を保持する。このようにして、エアバッグ10が細長く折り畳まれ、かつ、折畳形状が保持された状態となり、カーテンエアバッグモジュールとなるエアバッグ装置が構成される。
【0044】
そして、上記のように折り畳まれたエアバッグ10を備えるエアバッグ装置を車室14内に持ち込み、ヘッドライニング及びピラーガーニッシュなどの内装材が取り付けられる前に車体への取付作業を行う。この取付作業は、エアバッグ10の複数の取付部34及びテザー部35を図示しないボルトなどの固定具により車体に取り付け固定することにより行われる。また、インフレータは、例えばセンターピラー22の上方に相当する位置、あるいはリアピラーの上方に相当する位置に固定される。さらに、インフレータから導出されたハーネスを車体に備えた制御装置に接続する。次いで、車体の天井パネルにヘッドライニングを取り付けてエアバッグ装置を覆うとともに、フロントピラー21、センターピラー22及びリアピラーにピラーガーニッシュをそれぞれ取り付けて、エアバッグ装置の車体への取付作業が完了する。この取付状態で、エアバッグ装置がヘッドライニング及びピラーガーニッシュによって車室14内と隔離されるとともに、ガス導入部に挿入されたインフレータと、ロール状に折り畳まれたエアバッグ10とが、ピラーガーニッシュの上方の位置に保持される。
【0045】
そして、車両の微小ラップ衝突や斜め衝突(斜め前方からの衝突)を含む側面衝突あるいは横転などの際には、制御装置により各インフレータが作動し、これらインフレータから噴射されるガスが前方エアバッグ69の前方エアバッグ本体部78及びエアバッグ10のエアバッグ本体部33へと導入されて、前方エアバッグ本体部78が後方へと膨張展開するとともに、エアバッグ本体部33が車室14の側部の所定面24に沿って下方へと、前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)の側方に面状に膨張展開し、乗員Aを保護する。
【0046】
より詳細には、エアバッグ10では、ガス導入部にてガスが供給されると、このガス導入部から導入されたガスが膨張部に供給されるとともに、流入路57から主膨張部47に供給される。このため、エアバッグ本体部33は、膨張部及び主膨張部47が膨張しながら展開してヘッドライニングの下端部を車室14の室内側へと押しのけるように変形させ、ピラーガーニッシュの上端部から車室14内へと突出し、所定面24に沿って下方へと展開する。副膨張部48には、主膨張部47を介して連通口59からガスが供給され、この副膨張部48も主膨張部47に対して遅延したタイミングで、すなわち主膨張部47に続いて、膨張しながら展開する。
【0047】
このとき、主膨張部47では、外縁接合部50及び内側接合部51の第1の接合部53、第2の接合部54及び第3の接合部55により乗員Aの頭部の側方(乗員Aの頭部と所定面24との間)に主拘束面67を形成する。また、副膨張部48では、外縁接合部50及び内側接合部51の第2の接合部54及び第3の接合部55により乗員Aの頭部の側方にて主拘束面67の前方に副拘束面71を形成するとともに、テザー43(テザー43a,43b)が車外側基布41と車内側基布42との互いの距離を規制し、このテザー43の位置に、副拘束面71に凹部76を備える屈曲部73を形成し、かつ、この屈曲部73の前方に前側副膨張部74を形成する。このため、屈曲部73の凹部76に前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)の側部が嵌合して前方エアバッグ69に対してエアバッグ10(エアバッグ本体部33)が強く干渉(強干渉)せず、したがって、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の副膨張部48の車幅方向の膨張厚み(ストローク)を低減することなく、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)が前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)によって車外側に押し出されずに前方エアバッグ69と所定面24(ドア20)との隙間を埋めることができる(図1(a))。また、前側副膨張部74は、ステアリングホイール65の前方にて前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)の背面側に屈曲部73よりも車幅方向に大きく膨張する(図1(b))。
【0048】
この結果、図1(a)及び図2に示す軌跡T1のように、斜め衝突により車両前方外側へと下向きにドアトリム19に向けて移動する乗員Aの頭部がエアバッグ10(エアバッグ本体部33)と前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)との隙間をすり抜けることなく、かつ、頭部が左右方向へと回転することなく、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)または前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)により拘束され、ドア20(ドアトリム19)との干渉が防止される。
【0049】
同様に、図2に示す軌跡T2のように、斜め衝突により車両前方外側へとフロントピラー21に向けて移動する乗員Aの頭部についても、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)と前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)との隙間をすり抜けることなく、かつ、頭部が左右方向へと回転することなく、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)または前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)により拘束され、フロントピラー21との干渉が防止される。
【0050】
なお、正面衝突時には、前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)により乗員Aを拘束する。
【0051】
このように、展開状態で乗員Aの側方に配置される主膨張部47に対して連通するとともに、乗員Aの前方に展開する前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)の側部を含む位置に展開状態で配置される副膨張部48を設け、この副膨張部48の展開状態で前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)の側部に対向する位置に凹部76を設けることで、この凹部76に前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)の側部を嵌合させて、副膨張部48の車幅方向の膨張厚みを大きくすることなく、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)が、前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)との隙間を閉塞しつつ、前方エアバッグ69との当接によって車外側に押されにくくすることができる。
【0052】
したがって、前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)との隙間を埋めるためにエアバッグ10(エアバッグ本体部33)の車幅方向の膨張厚みを増加させる場合のように、前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)との強干渉によってエアバッグ10(エアバッグ本体部33)が車外側に押され、ステアリングホイール65の中央部から下側付近で乗員Aの頭部を拘束できなくなくなるなどの事態を招くことがなく、乗員Aの頭部を確実に拘束できる。
【0053】
また、副膨張部48に設けた屈曲部73を車外側へと突出させて車内側に凹部76を形成することで、屈曲部73の屈曲によって副膨張部48の車内側に凹部76を容易に形成できるとともに、屈曲部73を所定面24に接触させて凹部76を車外側から強固に支持し、前方エアバッグ(前方エアバッグ本体部78)と凹部76との隙間をより確実に閉塞できる。
【0054】
さらに、前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)によって車外側に押されないように、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の車幅方向の膨張厚みを抑制する場合のように、乗員Aの頭部を受け止める領域が小さくなることがなく、乗員Aの頭部のドアトリム19などのへの接触を抑制できる。
【0055】
また、構造的には、従来のエアバッグ本体部33に部分的にテザー43を追加するだけでよいため、構成の複雑化を防止してパッケージングサイズを小さくできる。
【0056】
そして、上側テザー43aの車外側基布41と接続される一端部61aと下側テザー43bの車外側基布41と接続される一端部61bとの間隔を、上側テザー43aの車内側基布42と接続される他端部62aと下側テザー43bの車内側基布42と接続される他端部62bとの間隔よりも大きくすることで、テザー43a,43bの位置にて副膨張部48に、前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)の側部が嵌合するように屈曲した屈曲部73(凹部76)を容易に形成できる。したがって、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)の副膨張部48と前方エアバッグ69の側部とがさらに接触しにくくなり、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)が前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)により車外側に押されることを、より確実に抑制できる。
【0057】
要するに、本実施の形態では、副膨張部48に屈曲部73を構成することで、副膨張部48の車幅方向への膨張厚みを増減させることなく、前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)との隙間を閉塞しつつ、前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)によりエアバッグ10(エアバッグ本体部33)が車外側へと押し出されない構成を容易に実現できる。
【0058】
次に、第2の実施の形態を図4及び図5を参照して説明する。なお、上記の第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0059】
この第2の実施の形態は、上記の第1の実施の形態のテザー43の一端部61と他端部62との長さが異なるものである。
【0060】
具体的に、テザー43(テザー43a,43b)は、一端部61(一端部61a,61b)の長さが他端部62(他端部62a,62b)の長さよりも長い、台形状に形成されている。また、テザー43(テザー43a,43b)の一端部61(一端部61a,61b)の前端側は、他端部62(他端部62a,62b)の前端側よりも前方へと延びて配置されている。このため、テザー43が長方形である場合と比較して、前側副膨張部74の容積がより大きく設定され、前側副膨張部74が車幅方向に、より大きく膨張するようになっている。
【0061】
そして、車両の微小ラップ衝突や斜め衝突(斜め前方からの衝突)を含む側面衝突あるいは横転などの際、エアバッグ10は、インフレータからガス供給部を介して導入されたガスが膨張部へと供給されるとともに、流入路57から主膨張部47に供給されることで、所定面24に沿って下方へと展開する。副膨張部48には、主膨張部47を介して連通口59からガスが供給され、この副膨張部48も主膨張部47に対して遅延したタイミングで、すなわち主膨張部47に続いて、膨張しながら展開する。
【0062】
このとき、副膨張部48では、外縁接合部50及び内側接合部51の第2の接合部54及び第3の接合部55により乗員Aの頭部の側方にて主拘束面67の前方に副拘束面71を形成するとともに、テザー43(テザー43a,43b)が車外側基布41と車内側基布42との互いの距離を規制し、このテザー43の位置に、副拘束面71に凹部76を備える屈曲部73を形成し、かつ、この屈曲部73の前方に前側副膨張部74を形成する。
【0063】
このとき、本実施の形態では、テザー43(テザー43a,43b)の車外側基布41と接続される一端部61(一端部61a,61b)の長さを車内側基布42と接続される他端部62(他端部62a,62b)の長さよりも長くすることで、副膨張部48において、屈曲部73の前方の部分である前側副膨張部74を車幅方向に厚く膨張させることができる。このため、例えば斜め衝突時に車両前方外側へと移動する乗員Aの頭部を、エアバッグ10(エアバッグ本体部33)と前方エアバッグ69(前方エアバッグ本体部78)との隙間をすり抜けさせることなく、かつ、副膨張部48を底付きさせることなく、より確実に拘束できる。
【0064】
なお、上記の各実施の形態において、エアバッグ10は、ルーフサイド部から所定面24に沿って下方に向けて展開するカーテンエアバッグとしたが、例えばドアの上部から上方に向けて展開する、いわゆるドアマウントエアバッグなどとしても用いることができる。
【0065】
また、エアバッグ10は、運転席の側方に展開するものとしたが、助手席の側方に展開するものでもよい。
【0066】
さらに、前方エアバッグ69としては、運転席、または、助手席などの、前席用のエアバッグに限らず、後席の前方に展開するエアバッグでもよい。この場合、副膨張部は、後席に着いた乗員の前方に位置するように構成することで、上記の各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、例えば自動車の側部の窓部に沿って取り付けられ展開することで乗員を保護するエアバッグ及びエアバッグ装置に適用できる。
【符号の説明】
【0068】
10 エアバッグ
14 車室
24 所定面
33 エアバッグ本体部
41 車外側基布
42 車内側基布
43 連結体としてのテザー
47 主膨張部
48 副膨張部
61 一端部
62 他端部
69 前方エアバッグ
73 屈曲部
76 凹部
A 乗員
図1
図2
図3
図4
図5