特許第6872377号(P6872377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872377フィラー付きビードの製造方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872377
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】フィラー付きビードの製造方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/48 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   B29D30/48
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-13254(P2017-13254)
(22)【出願日】2017年1月27日
(65)【公開番号】特開2018-118493(P2018-118493A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080540
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】朝木 司
【審査官】 松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−272582(JP,A)
【文献】 特開2014−233838(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/010293(WO,A1)
【文献】 特開2016−215539(JP,A)
【文献】 特開2010−023121(JP,A)
【文献】 特表2016−503734(JP,A)
【文献】 米国特許第05328533(US,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0502552(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/48−30/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転しているビードの外周にフィラーを供給しながら圧着し、該ビードの周囲にフィラーをビードの1周長より短い所定長さだけ巻回する工程と、ビードに対し未巻回であるフィラーを始端からビードの1周長だけ離れた切断位置の前側において前把持体により把持する工程と、前把持体に把持されたフィラーをカッターにより切断位置において切断する工程と、前記フィラーのビードからの離反点より後側に位置する残余部を把持している前把持体を、ビードに巻回されたフィラーの始端に接近するよう移動させ、該フィラーの終端と始端とを接合する工程とを備えたフィラー付きビードの製造方法において、前記カッターによりフィラーを切断位置において切断する際、前記カッターを、該カッターとの間にフィラーの未巻回部が位置するカッター受けに向かって移動させることで、フィラーを切断し、その後、前記カッター受けをフィラーの移動経路から退避させるように
前記前把持体によりフィラーを把持する工程と、カッターによりフィラーを切断する工程との間に、前把持体をフィラーの始端に接近するよう移動させることで、切断位置近傍のフィラーを前記カッター受けに接触させる工程を設け、この接触状態のフィラーをカッターにより切断するようにしたフィラー付きビードの製造方法。
【請求項2】
軸線回りに回転しているビードの外周にフィラーを供給しながら圧着し、該ビードの周囲にフィラーをビードの1周長より短い所定長さだけ巻回する工程と、ビードに対し未巻回であるフィラーを始端からビードの1周長だけ離れた切断位置の前側において前把持体により把持する工程と、前把持体に把持されたフィラーをカッターにより切断位置において切断する工程と、前記フィラーのビードからの離反点より後側に位置する残余部を把持している前把持体を、ビードに巻回されたフィラーの始端に接近するよう移動させ、該フィラーの終端と始端とを接合する工程とを備えたフィラー付きビードの製造方法において、
前記カッターとの間にフィラーの未巻回部が位置するカッター受けを、前記カッターの切断刃に沿って延在させるとともに、その断面を円形とし、かつその中心軸回りにフリー回転可能とし、
前記カッターによりフィラーを切断位置において切断する際、前記カッターを前記カッター受けに向かって移動させると共に、前記カッターの切断刃を前記カッター受けの前記中心軸に向かって移動させることで、フィラーを切断し、その後、前記カッター受けをフィラーの移動経路から退避させるようにしフィラー付きビードの製造方法。
【請求項3】
前記カッター受けをカッターの切断刃に沿って延在させるとともに、断面を円形とし、前記カッターの切断刃をカッター受けの中心軸に向かって移動させることでフィラーを切断するようにした請求項1または2記載のフィラー付きビードの製造方法。
【請求項4】
ビードを支持しながら軸線回りに回転させることができる回転支持体と、前記ビードが回転しているとき、該ビードの外周にフィラーを供給する供給手段と、前記ビードの外周に供給されたフィラーをビードに対して圧着することで、該ビードの周囲にフィラーをビードの1周長より短い所定長さだけ巻回することができる圧着手段と、ビードに対し未巻回であるフィラーを始端からビードの1周長だけ離れた切断位置の前側において把持することができる前把持体と、前把持体により把持されているフィラーを前記切断位置において切断するカッターと、前記フィラーのビードからの離反点より後側に位置する残余部を把持している前把持体をビードに巻回されたフィラーの始端に接近するよう移動させ、フィラーの終端と始端とを接合する接合手段とを備えたフィラー付きビードの製造装置において、前記カッターとの間にフィラーの未巻回部が位置するカッター受けを設け、前記カッターをカッター受けに向かって移動させることで該カッターによりフィラーを切断位置において切断し、その後、前記カッター受けをフィラーの移動経路から退避させるようにし
前記前把持体によりフィラーを把持した後で、カッターによりフィラーを切断する前に、前把持体をフィラーの始端に接近するよう移動させることで、切断位置近傍のフィラーを前記カッター受けに接触させ、この接触状態のフィラーをカッターにより切断するようにしたフィラー付きビードの製造装置。
【請求項5】
前記カッター受けをカッターの切断刃に沿って延在させるとともに、その断面を円形とし、前記カッターの切断刃をカッター受けの中心軸に向かって移動させることでフィラーを切断するようにした請求項記載のフィラー付きビードの製造装置。
【請求項6】
ビードを支持しながら軸線回りに回転させることができる回転支持体と、前記ビードが回転しているとき、該ビードの外周にフィラーを供給する供給手段と、前記ビードの外周に供給されたフィラーをビードに対して圧着することで、該ビードの周囲にフィラーをビードの1周長より短い所定長さだけ巻回することができる圧着手段と、ビードに対し未巻回であるフィラーを始端からビードの1周長だけ離れた切断位置の前側において把持することができる前把持体と、前把持体により把持されているフィラーを前記切断位置において切断するカッターと、前記フィラーのビードからの離反点より後側に位置する残余部を把持している前把持体をビードに巻回されたフィラーの始端に接近するよう移動させ、フィラーの終端と始端とを接合する接合手段とを備えたフィラー付きビードの製造装置において、前記カッターとの間にフィラーの未巻回部が位置するカッター受けを設け、前記カッターをカッター受けに向かって移動させることで該カッターによりフィラーを切断位置において切断し、その後、前記カッター受けをフィラーの移動経路から退避させるようにし、
前記カッター受けをカッターの切断刃に沿って延在させるとともに、その断面を円形とし、前記カッターの切断刃をカッター受けの中心軸に向かって移動させることでフィラーを切断するようにし、
前記カッター受けを前記中心軸回りにフリー回転可能としフィラー付きビードの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビードの外周にフィラーが1周分だけ巻回されることで構成されるフィラー付きビードの製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフィラー付きビードの製造方法としては、例えば以下の特許文献1に記載されているようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/010293号
【0004】
このものは、軸線回りに回転しているビードの外周にフィラーを供給しながら圧着し、該ビードの周囲にフィラーをビードの1周長より短い所定長さだけ巻回する工程と、ビードに対し未巻回であるフィラーを始端からビードの1周長だけ離れた切断位置の前側において前把持体により把持しながら、カッターにより切断位置において切断する工程と、前記フィラーのビードからの離反点より後側に位置する残余部を把持している前把持体を、ビードに巻回されたフィラーの始端に接近するよう移動させ、該フィラーの終端と始端とを接合する工程とを備えたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のフィラー付きビードの製造方法にあっては、カッターによりフィラーを切断位置において切断する際、該フィラーは切断位置より前側において前把持体により把持されているものの、前記切断位置近傍のフィラーは、何物にも支持されることなく空中を延びているため、切断時にカッターに押されて不規則に変形し、この結果、切断後に前把持体から突出しているフィラーの終端部の形状、傾き等が不定形となってしまうのである。このような状態でフィラーの始、終端同士を接合すると、これらの間にずれや隙間が発生し接合不良が生じるという課題があった。
【0006】
この発明は、フィラーの始、終端同士の接合品質を容易に向上させることができるフィラー付きビードの製造方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、第1に、軸線回りに回転しているビードの外周にフィラーを供給しながら圧着し、該ビードの周囲にフィラーをビードの1周長より短い所定長さだけ巻回する工程と、ビードに対し未巻回であるフィラーを始端からビードの1周長だけ離れた切断位置の前側において前把持体により把持する工程と、前把持体に把持されたフィラーをカッターにより切断位置において切断する工程と、前記フィラーのビードからの離反点より後側に位置する残余部を把持している前把持体を、ビードに巻回されたフィラーの始端に接近するよう移動させ、該フィラーの終端と始端とを接合する工程とを備えたフィラー付きビードの製造方法において、前記カッターによりフィラーを切断位置において切断する際、前記カッターを、該カッターとの間にフィラーの未巻回部が位置するカッター受けに向かって移動させることで、フィラーを切断し、その後、前記カッター受けをフィラーの移動経路から退避させるようにしたフィラー付きビードの製造方法により、達成することができる。
【0008】
第2に、ビードを支持しながら軸線回りに回転させることができる回転支持体と、前記ビードが回転しているとき、該ビードの外周にフィラーを供給する供給手段と、前記ビードの外周に供給されたフィラーをビードに対して圧着することで、該ビードの周囲にフィラーをビードの1周長より短い所定長さだけ巻回することができる圧着手段と、ビードに対し未巻回であるフィラーを始端からビードの1周長だけ離れた切断位置の前側において把持することができる前把持体と、前把持体により把持されているフィラーを前記切断位置において切断するカッターと、前記フィラーのビードからの離反点より後側に位置する残余部を把持している前把持体をビードに巻回されたフィラーの始端に接近するよう移動させ、フィラーの終端と始端とを接合する接合手段とを備えたフィラー付きビードの製造装置において、前記カッターとの間にフィラーの未巻回部が位置するカッター受けを設け、前記カッターをカッター受けに向かって移動させることで該カッターによりフィラーを切断位置において切断し、その後、前記カッター受けをフィラーの移動経路から退避させるようにしたフィラー付きビードの製造装置により、達成することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明においては、カッターによりフィラーを切断位置において切断する際、前記カッターを、該カッターとの間にフィラーの未巻回部が位置するカッター受けに向かって移動させるようにしたので、切断位置のフィラーをカッター受けにより反カッター側から支持することができ、これにより、切断時の切断位置近傍におけるフィラーの形状が安定し、この結果、切断により前把持体から突出したフィラーの終端部の形状、傾き等がほぼ一定となって、フィラーの始、終端同士の接合状品質を容易に向上させることができる。そして、前述したフィラーの切断後、前記カッター受けをフィラーの移動経路から退避させて、これらカッター受けとフィラーとの干渉を回避する。また、請求項4に係る切断装置を用いれば、同様にフィラーの始、終端同士の接合品質を容易に向上させることができる。
【0010】
ここで、前記フィラーの曲げ剛性の値が大である場合には、切断位置近傍のフィラーはカッター受けから浮き上がるが、このように浮き上がった状態のフィラーを前把持体により把持した後、カッターにより切断しようとすると、フィラーがカッター受けに支持されていない状態でカッターによる切断が高さ方向の途中まで進行することになり、この結果、前述した空中を延びている状態での切断と同様に前把持体から突出しているフィラーの終端部の形状、傾き等が不定形となって接合不良が生じてしまうのである。しかしながら、請求項2、5に記載のように、前把持体によりフィラーを把持した後で、カッターによりフィラーを切断する前に、前把持体をフィラーの始端に接近するよう移動させることで、切断位置近傍のフィラーを前記カッター受けに接触させ、この接触状態のフィラーをカッターにより切断するようにすれば、フィラーの曲げ剛性の大小に関係なく、切断後のフィラーの終端部の形状、傾き等を均一化することができ、フィラーの始、終端同士の接合品質をさらに向上させることができる。
【0011】
また、カッター受けのカッターに対向する面が平面であると、フィラーの切断時にカッターにより切断位置近傍のフィラーが前記カッター受けの平面に押し付けられ、これにより、フィラーがカッター受けに粘着して作業が中断し作業能率が低下するおそれがある。しかしながら、請求項3、6に記載のように構成すれば、フィラーとカッター受けとはほぼ線接触となるため、切断時にフィラーがカッター受けに粘着することは殆ど無く、作業能率を容易に向上させることができる。さらに、請求項7に記載のように構成すれば、切断作業の度にカッター受けが回転するため、カッター受けの傷付き、および、この傷付きによるフィラーの受傷を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の実施形態1を示す概略正面図である。
図2】切断時におけるカッター、カッター受け近傍の一部破断正面図である。
図3】この発明の作用を説明する図1と同様の説明図である。
図4】この発明の作用を説明する図1と同様の説明図である。
図5】この発明の作用を説明する図1と同様の説明図である。
図6】この発明の作用を説明する図1と同様の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
図1、2において、11はリング状を呈するビードであり、このビード11はスチール等の非伸張性コードを多数回螺旋状に積層しながら巻き付けたもので、断面形状は主として四角形(六角形や円形のものもある)である。そして、このようなビード11は図示していない搬送手段により1本ずつ回転支持体12まで搬送され該回転支持体12に供給される。前記回転支持体12は図示していない固定フレームに回転可能に支持された円板状の支持円板13を有し、この支持円板13は回転駆動手段としての駆動モータ14から回転駆動力を受けて水平な軸線回りに回転することができる。前記支持円板13の端面には半径方向に延びる複数(4つ)のガイドレール15が周方向に等距離離れて敷設され、これらガイドレール15にはそれぞれ該ガイドレール15にガイドされながら半径方向に移動可能な複数(4個)の拡縮プレート16が摺動可能に支持されている。ここで、各拡縮プレート16は扇状を呈し、その外周(半径方向外端)は同一曲率半径の円弧面となっており、また、これら拡縮プレート16は図示していない拡縮手段から駆動力を受けて半径方向に同期して移動することができる。
【0014】
そして、これら拡縮プレート16が半径方向内側限まで移動して縮径しているときに、前記ビード11が搬送されて拡縮プレート16の外側に遊嵌されると、これら拡縮プレート16は拡縮手段により同期して半径方向外側に、その外周がビード11の内周に当接するまで移動し、該ビード11を半径方向内側から支持する。前述した支持円板13、駆動モータ14、ガイドレール15、拡縮プレート16は全体として前記回転支持体12を構成し、この回転支持体12は該回転支持体12に供給されたビード11を半径方向内側から支持しながら、駆動モータ14の作動により該ビード11をその軸線回りに回転させることができる。17は前記ビード11の外周に巻回される未加硫ゴムから構成されたフィラー(スティフナーとも呼ばれている)であり、このフィラー17は、図示していない押出し機から連続して押出されることで構成され、肉厚が基端から先端に向かうに従い漸減する断面三角形状を呈している。そして、このフィラー17はビード11の半径方向と該フィラー17の高さ方向とがほぼ重なり合う立状姿勢でビード11に供給される。
【0015】
前記回転支持体12の後方には前後方向に延びる移動フレーム20が設置され、この移動フレーム20は前記固定フレームに前後方向に移動可能に支持されている。この移動フレーム20には前後方向に延びる可動体21が固定され、この可動体21は互いに平行で間に一定幅の空間が形成された一対の板状体から構成されている。前記可動体21を構成する板状体間には該板状体に回転可能に支持された複数のプーリ22が設けられ、これらプーリ22には前後方向に延びる無端の搬送ベルト23が掛け回されている。前記搬送ベルト23は上端部に前方に向かって走行することができる水平な搬送部23aを有し、この搬送部23aの延長線上には回転支持体12に支持されたビード11の頂上(外周の上端)が位置している。24は前記可動体21に支持された駆動モータであり、この駆動モータ24の駆動力がいずれかのプーリ22に伝達されると、前記搬送ベルト23が走行するが、このとき、搬送部23a上に立状姿勢のフィラー17が載置されていると、該フィラー17は回転支持体12に支持されているビード11に向かって該ビード11の周速と同一速度で前方に送り出される。
【0016】
このとき、前記ビード11が回転支持体12の回転により回転していると、前記フィラー17はビード11の外周に次々と供給され該ビード11の外周に巻回される。前述したプーリ22、搬送ベルト23、駆動モータ24は全体として、前記ビード11が回転しているとき、該ビード11の外周にフィラー17を供給する供給手段27を構成する。なお、この発明においては、前記搬送ベルト23の代わりに、複数の互いに平行なローラをフィラー17の長手方向に並べて配置したローラコンベアを用いるようにしてもよく、この場合、前記ローラをフリー回転可能としてフィラー17をビード11、回転支持体12の回転駆動力により引き込んでビード11の周囲に巻回するようにしてもよい。28は前後方向に延びる接離手段としての駆動シリンダであり、この駆動シリンダ28のヘッド側は前記固定フレームに連結され、一方、前記駆動シリンダ28のピストンロッド29の先端(前端)は前記移動フレーム20に連結されている。この結果、前記駆動シリンダ28が作動してピストンロッド29が突出すると、移動フレーム20、可動体21、供給手段27は一体となって前方に移動してフィラー17がビード11に接近し、一方、ピストンロッド29が引っ込むと、移動フレーム20等が後方に移動してフィラー17がビード11から離隔する。
【0017】
32は前記可動体21を構成する板状体にそれぞれ形成され、前記搬送ベルト23の搬送部23aに平行に延びるスリットであり、これらのスリット32にはフィラー17を両側から把持することができる後把持体33が摺動可能に収納されている。34は前記移動フレーム20にロッド側が支持され前記スリット32に平行に延びる駆動シリンダであり、この駆動シリンダ34のピストンロッド35の先端(前端)に固定されたブラケット36と前記後把持体33との間には、後把持体33を互いに接近離隔させることができるチャック機構37が設けられている。そして、前記チャック機構37により後把持体33が互いに接近してフィラー17を両側から挟持しているときに、駆動シリンダ34が作動してピストンロッド35が突出すると、後把持体33により把持されているフィラー17は可動体21からビード11に向かって押出される。このとき、搬送ベルト23の搬送部23aは駆動シリンダ34の作動に連動して後把持体33と同一速度で前方に向かって走行するため、フィラー17と搬送部23aとの間に滑りが生じることはない。そして、フィラー17が所定長さだけ可動体21から前方に突出すると、前記駆動シリンダ34の作動が停止しフィラー17の押出しが終了する。前述した駆動シリンダ34、ブラケット36、チャック機構37は全体として、後把持体33がフィラー17を把持しているとき、該フィラー17を後把持体33と共にビード11に向かって送り出すことができる送出手段38を構成する。
【0018】
41は前記回転支持体12の直上に設置された一対の圧着ローラであり、これら圧着ローラ41間の間隔は上端から下端に向かうに従い徐々に狭くなっており、最下端における間隔はフィラー17の基端部における肉厚と同一値となっている。42は前記圧着ローラ41の上方に設置され上下方向に延びる昇降シリンダであり、この昇降シリンダ42のピストンロッド43の先端(下端)には前記圧着ローラ41がフリー回転可能に支持されている。ここで、前記圧着ローラ41の回転軸と前記回転支持体12の軸線とは同一垂直面(鉛直面)上に位置している。そして、前述した供給手段27によって立状姿勢のフィラー17がビード11の外周に供給されると、前記圧着ローラ41が昇降シリンダ42の作動により下降してビード11に接近するが、このとき、前記圧着ローラ41はフィラー17の基端部両側面に係合して該フィラー17の基端をビード11の外周に押付け圧着する。この状態でビード11、回転支持体12が所定角度回転すると、ビード11の周囲には従動回転する圧着ローラ41によりフィラー17が次々と圧着され、該フィラー17がビード11の1周長より短い所定長さ、ここでは図4に示すように、ビード11の1周長の 3/4倍より若干長い長さだけ巻回される。前述した圧着ローラ41、昇降シリンダ42は全体として、ビード11の外周に供給されたフィラー17をビード11に対して圧着することで、該ビード11の周囲にフィラー17をビード11の1周長より短い所定長さだけ巻回することができる圧着手段44を構成する。
【0019】
前記回転支持体12の軸線と圧着ローラ41の回転軸とを結ぶ直線より若干後方で搬送ベルト23の前方には前記固定フレームに回転可能に支持された円筒ボス46が設けられ、この円筒ボス46にはほぼ後方に向かって延びる前アーム47の基端が固定されている。この前アーム47の先端には一対の開閉可能な前把持体48が支持され、これらの前把持体48は、図示していない開閉機構により閉止したとき、搬送ベルト23からビード11に至る途中の空中を延びているフィラー17を両側から該フィラー17に対し直交した姿勢で把持する。そして、この前把持体48は、前述のようにビード11に対してフィラー17が所定長さだけ巻回されたとき、フィラー17の始端からビード11の1周長だけ離れた切断位置Sから若干前側(フィラー17のビード11に対する供給方向の前側)に離れた把持位置おいて該フィラー17を厚さ方向両側から把持するが、この把持位置は前述のように空中を延びビード11に未だ巻回されていないフィラー17の未巻回部17a(図4参照)である。なお、この発明においては、前記前把持体をフィラー17の両側に設置された複数のバキュームカップから構成するようにしてもよい。49は前述のように所定長さだけビード11に巻回されたときのフィラー17(未巻回部17a)の切断位置Sの直上に設置された上下方向に延びる切断シリンダであり、この切断シリンダ49のピストンロッド50の先端(下端)には上下方向に延び下端に切断刃(切刃)52が形成されたカッター51が取り付けられている。
【0020】
前述したプーリ22のうち、最前端に位置するプーリ22aより若干前方にはカッター51の切断刃52に沿って延在するカッター受け55が設けられ、このカッター受け55は断面が円形の円筒形を呈している。ここで、前記カッター受け55は前記未巻回部17aより下方、即ち未巻回部17aに対してカッター51と反対側に設置されており、この結果、該カッター受け55とカッター51との間にはフィラー17の未巻回部17aが位置することになる。ここで、前記カッター受け55の上端(頂上)は搬送ベルト23の搬送部23aと回転支持体12に支持されたビード11の上端(頂上)とを結ぶ直線上にほぼ位置している。また、前記カッター受け55は可動体21を構成する板状体に固定されたシャフト54に回転可能に支持されており、この結果、該カッター受け55は自身の中心軸回りにフリー回転可能となる。そして、前述したカッター51およびカッター受け55を用いてフィラー17を切断位置Sにおいて切断する場合には、カッター51(切断刃52)の移動経路上にフィラー17の切断位置Sおよびカッター受け55の中心軸を位置させるとともに、切断位置Sより後側のフィラー17を後把持体33により、また、前側のフィラー17を前把持体48によって厚さ方向両側から把持する。
【0021】
その後、切断シリンダ49を作動してピストンロッド50を突出させると、カッター51(切断刃52)はカッター受け55の中心軸に向かって移動し、フィラー17をその先端から基端に向かって切り進む。そして、カッター51の切断刃52がカッター受け55に接触したとき、前記フィラー17はカッター51により前把持体48による把持位置より若干後方の切断位置Sにおいて高さ方向に完全に切断される。この結果、フィラー17のビード11からの離反点Rより後側には、移動フレーム20に向かって空中を延びるとともに、前把持体48により把持され未巻回であるフィラー17の残余部56(図5参照)が形成されるが、このとき、フィラー17の終端部は前把持体48から後方に向かって所定量だけ突出している。ここで、前述の離反点Rとは、フィラー17がビード11に長手方向の途中まで密着しているとき、該フィラー17がビード11から離れ始める位置のことである。
【0022】
このようにカッター51との間にフィラー17の未巻回部17aが位置するカッター受け55を設け、カッター51によりフィラー17を切断位置Sにおいて切断する際、前記カッター51を前記カッター受け55に向かって移動させるようにすれば、切断位置Sのフィラー17をカッター受け55により反カッター51側から支持することができ、これにより、切断時の切断位置S近傍におけるフィラー17の形状が安定する。この結果、切断により前把持体48から突出することとなったフィラー17の終端部の形状、傾き等がほぼ一定となり、これにより、後述のようにフィラー17の終、始端17b、17c同士を接合したとき、これら終、始端17b、17c同士の接合品質を容易に向上させることができる。ここで、前記カッター受けをカッター51に対向する上面が平面である矩形ブロックから構成し、該カッター51とカッター受けのエッジとによりフィラー17を切断することも考えられるが、この実施形態のようにカッター受け55をカッター51の切断刃52に沿って延在させるとともに、その断面を円形とし、前記カッター51の切断刃52をカッター受け55の中心軸に向かって移動させることでフィラー17を切断するようにすることが好ましい。
【0023】
その理由は、前述のようにカッター受けが矩形ブロックから構成されることで、カッター51に対向する面が平面であると、フィラー17の切断時にカッター51により切断位置S近傍のフィラー17が前記カッター受けの平面に押し付けられ、これにより、フィラー17がカッター受けに粘着して作業が中断し作業能率が低下するおそれがある。しかしながら、前述のように構成すれば、フィラー17とカッター受け55とはほぼ線接触となるため、切断時にフィラー17がカッター受け55に粘着することは殆ど無く、作業能率を容易に向上させることができるからである。そして、このカッター受け55は前述のように自身の中心軸回りにフリー回転可能とすることが好ましい。その理由は、切断作業の度にカッター受け55がカッター51、フィラー17から外力を受けて回転するため、切断刃52のカッター受け55に対する接触位置が切断作業毎に異なることとなり、これにより、カッター受け55の外周における傷付き、および、この傷付きによるフィラー17の受傷を効果的に抑制することができるからである。
【0024】
58は圧着ローラ41近傍の前記固定フレームにヘッド側が連結された上下方向に延びる揺動シリンダであり、この揺動シリンダ58のピストンロッド59の先端(下端)には前記円筒ボス46に基端が固定された伝達アーム60の先端部が連結されている。そして、ビード11が回転を停止しているとともに、前把持体48が切断後のフィラー17の残余部56を把持しているとき、前記揺動シリンダ58が作動してピストンロッド59が引っ込むと、前記残余部56を把持している前把持体48は、円筒ボス46の回転軸を中心とする円弧に沿って、ビード11に既に巻回されたフィラー17の始端17cに接近するよう移動する。この結果、フィラー17の残余部56はビード11の周囲に徐々に巻回され、ビード11に対する離反点Rはフィラー17の始端17cに徐々に接近する。ここで、前述のようにカッター51によってフィラー17を切断位置Sにおいて切断した後で、前記前把持体48の移動が開始する前に、前記駆動シリンダ28を作動してカッター受け55、移動フレーム20、搬送ベルト23を一体的に後方に若干移動させ、これにより、フィラー17の終端部の移動経路から前記カッター受け55を退避させてカッター受け55とフィラー17との間の干渉を回避している。
【0025】
ここで、フィラー17の終端部の移動経路とは、該フィラー17の終端部が前把持体48の移動によって前述のように移動するとき、該フィラー17の終端部が通過する経路をいう。そして、前述した前把持体48の移動は、前把持体48間に位置するフィラー17の基端がビード11の外周に接触または極く近傍まで到達したとき停止するが、このとき、前把持体48およびフィラー17の終端17bはビード11の外周に対する法線に沿って半径方向に延びている。63は前記円筒ボス46より若干後方でかつ下方において前記固定フレームに回転可能に支持された円筒ボスであり、この円筒ボス63にはほぼ後方に向かって延びる揺動アーム65の基端が固定されている。この揺動アーム65には一対の開閉可能な接合体64が支持され、これらの接合体64は、図示していない開閉機構によって閉止したとき、ビード11に対し既に巻回されたフィラー17の始端部を両側から把持することができる。ここで、ビード11に巻回されているフィラー17は基端部における周長より先端部における周長が長いため、始端17cは半径方向に対してビード11の回転方向後方に傾斜(フィラー17の先端側ほど回転方向後方に変位)している(図4参照)が、前述したように前把持体48に把持されたフィラー17の終端17bはビード11に到達したときビード11の半径方向に延びているため、この状態のままでは前記始端17cと終端17bとを接合することはできない。
【0026】
このため、前記揺動アーム65の先端の直下に、前記固定フレームにヘッド側が連結された略上下方向に延びる揺動シリンダ66を設置し、この揺動シリンダ66のピストンロッド67の先端(上端)に前記揺動アーム65の先端部を連結している。そして、ビード11にフィラー17が前述のように所定長さだけ巻回されたとき、該フィラー17の始端17cに平行に延びている接合体64を開閉機構により閉止して該フィラー17の始端部を両側から把持する。このとき、該接合体64からはフィラー17の始端部がフィラー17の高さ方向に関係なく一定量だけビード11の回転方向前方に向かって突出している。その後、前記揺動シリンダ66を作動してピストンロッド67を突出させると、揺動アーム65、接合体64は円筒ボス63の回転中心を中心として前把持体48に接近するよう揺動し、これにより、前記接合体64に把持されていたフィラー17の始端部は高さ方向先端に向かうほど大きく引き伸ばされ、該フィラー17の始端17cは徐々に半径方向に向かって変形する。そして、フィラー17の終端17bと始端17cとがほぼ平行になったとき、該終端17bと始端17cとは互いに押し付けられて圧着され、これにより、終端17bと始端17cとが互いに突き合わせ接合されてビード11に巻回されたフィラー17が連続したリング状となる。
【0027】
前述した円筒ボス46、前アーム47、揺動シリンダ58、伝達アーム60、円筒ボス63、揺動アーム65、接合体64、揺動シリンダ66は全体として、前記フィラー17のビード11からの離反点Rより後側に位置する残余部56を把持している前把持体48を、ビード11に巻回されたフィラー17の始端17cに接近するよう移動させ、フィラー17の終端17bと始端17cとを接合する接合手段68を構成する。ここで、前記フィラー17の断面形状、フィラー17を構成するゴムの種類等が異なっていると、該フィラー17の曲げ剛性の値がそれぞれ異なるが、該フィラー17において前記曲げ剛性の値が大である場合には、離反点R近傍においてフィラー17の先端部(半径方向外端部)が未巻回部17aを大きな力で引っ張るため、切断位置S近傍のフィラー17は図2に仮想線で示すようにカッター受け55から上方に浮き上がる。このように浮き上がった状態で切断位置Sより前側のフィラー17を前把持体48によって把持し、その後、前述のようにしてカッター51によりフィラー17を切断位置Sにおいて切断しようとすると、フィラー17がカッター受け55に支持されていない状態でカッター51による切断が高さ方向の途中まで進行することになり、この結果、前述した空中を延びている状態での切断と同様に、前把持体48から突出しているフィラー17の終端部の形状、傾き等が不定形となって接合不良が生じてしまうのである。
【0028】
このため、この実施形態においては、前記揺動シリンダ58として多数の中間位置においてピストンロッド59が停止することができる、例えばロボシリンダ、サーボシリンダ等を用いるとともに、その停止位置の制御をマイクロコンピュータ等の制御手段70により行うようにしたのである。このように任意の突出位置でピストンロッド59を停止可能とすれば、前述のようにカッター受け55から浮き上がったフィラー17を前把持体48により把持した後で、カッター51によりフィラー17を切断する前に、揺動シリンダ58のピストンロッド59を若干引っ込ませて、前把持体48およびフィラー17の未巻回部17aを切断位置S近傍のフィラー17が前記カッター受け55に接触する位置まで移動させ停止させることができる。その後、このような接触状態のフィラー17をカッター51により切断するようにすれば、フィラー17の曲げ剛性の大小に関係なく、切断後のフィラー17の終端部の形状、傾き等をさらに一定に近づけることができ、フィラー17の終、始端17b、17c同士の接合品質をさらに向上させることができる。ここで、曲げ剛性の各値に対するフィラー17の浮き上がり量を予め計測して制御手段70に記憶させ、製造の度に該当する値を読み出して用いるようにすれば、製造作業が迅速、容易となる。
【0029】
また、前述のように揺動シリンダ58として多数の中間位置においてピストンロッド59が停止することができるシリンダを用いれば、切断位置S近傍のフィラー17を前把持体48により把持する際、該フィラー17が前述のようにカッター受け55から浮き上がっていても、前記ピストンロッド59を所望の中間位置で停止させ、フィラー17の高さ方向に対する前把持体48の把持位置を適宜調節することで、把持時におけるフィラー17と前把持体48との相対位置関係を常に一定とすることができ、これにより、接合時における終端17bと始端17cとの半径方向のずれを容易に解消することができる。しかも、ビード11のサイズ変更に対しても、前把持体48の停止位置を揺動シリンダ58、制御手段70により制御することで、容易に対処することができる。ここで、前述したフィラー17の前把持体48からの浮き上がり量は、フィラー17の曲げ剛性に応じた値であって経験則で知られているため、前述した前把持体48の移動量は、この知見に基いて制御手段70により揺動シリンダ58を制御することで確実に調節することができる。なお、この発明においては、前述の浮き上がり量を、例えば二次元レーザセンサ等を用いて非接触で検出し、この検出結果を基に制御手段70によって切断シリンダ49の作動を制御するようにしてもよい。なお、この実施形態においては、前記制御手段70により前述した駆動モータ14、拡縮プレート16を拡縮させる拡縮手段、駆動モータ24、駆動シリンダ28、34、チャック機構37、昇降シリンダ42、前把持体48を開閉させる開閉機構、切断シリンダ49、および、接合体65を開閉させる開閉機構も制御するようにしている。
【0030】
次に、前記実施形態1の作用について説明する。
前述した製造装置を用いてフィラー17付きビード11を製造する場合には、まず、縮径している回転支持体12に対しビード11を搬送手段により搬送してその外側に遊嵌する。次に、拡縮手段により拡縮プレート16を同期して半径方向外側に、その外周がビード11の内周に当接するまで移動させ、該ビード11を回転支持体12により半径方向内側から支持する。次に、駆動シリンダ28を作動してピストンロッド29を突出させ、移動フレーム20、可動体21、供給手段27を一体的に前方に移動させるとともに、駆動シリンダ34を作動してピストンロッド35を突出させ、後把持体33を前方に移動させる。この結果、立状姿勢のフィラー17は後把持体33により両側から把持されながら、移動フレーム20の移動速度に、駆動シリンダ34の作動による後把持体33の移動速度を加算した速度でビード11に接近し、これにより、可動体21の前端から若干量だけ突出していたフィラー17の始端部は可動体21から徐々に前方に押出される。ここで、このようなフィラー17の走行時、駆動モータ24を作動して搬送ベルト23の搬送部23aを前記後把持体33と同一速度で走行させ、フィラー17と搬送ベルト23との間の滑りを阻止する。このようにしてフィラー17の始端部は、可動体21からの大きな突出が抑制されながら短時間でビード11まで搬送される。
【0031】
このような移動フレーム20、後把持体33の移動によりフィラー17の始端17cがビード11の外周で圧着ローラ41の回転軸と前記回転支持体12の軸線とを結ぶ直線上の巻回開始位置P(図3参照)に到達すると、前記駆動モータ24、駆動シリンダ28、34の作動を停止する。次に、チャック機構37を作動して後把持体33を拡開し、フィラー17を後把持体33の把持から解放する。このとき、昇降シリンダ42を作動して圧着ローラ41を下降させ、これにより、圧着ローラ41をフィラー17の始端17cに係合させてビード11の外周に該始端17cの基端を押付け圧着する。このときの状態が図3に示されている。次に、駆動モータ14を作動してビード11、回転支持体12を軸線回りに回転方向前方に向かって一定速度で回転させる一方、駆動モータ24を作動して搬送部23a上のフィラー17をビード11の外周に次々に供給する。このとき、ビード11の外周に供給されたフィラー17は、従動回転する圧着ローラ41によりその基端がビード11の外周に押付け圧着され、これにより、該フィラー17はビード11の外周に次々と巻回される。
【0032】
前述のようなフィラー17の巻回時に、駆動シリンダ28を作動して移動フレーム20をビード11から離隔させるとともに、駆動シリンダ34を作動して後把持体33をスリット32に沿って後方に移動させるが、このとき、搬送ベルト23も後方に移動するため、このような移動速度を勘案した速度で搬送部23aを走行させて、フィラー17のビード11への供給速度がビード11の周速度と同一となるよう制御する。そして、カッター51の移動経路上にカッター受け55が到達すると、前述した移動フレーム20の後方への移動を停止させる一方、後把持体33がスリット32の後端に到達すると、該後把持体33の後方への移動を停止させる。前述のようにしてフィラー17がビード11の1周長より短い所定長さだけ該ビード11の周囲に巻回されると、該ビード11、回転支持体12の回転を停止させるとともに、搬送ベルト23の走行を停止させる。なお、前述した移動フレーム20および後把持体33の後方への移動は、ビード11の周囲に所定長だけフィラー17が巻回された後に行うようにしてもよい。次に、開閉機構により接合体64を閉止させ、既巻回のフィラー17の始端部を両側から把持する。このとき、フィラー17の始端17cは前述のようにビード11の半径方向に対してビード11の回転方向後方に傾斜しているが、前記接合体64はこの始端17cに平行に延びており、また、接合体64からはフィラー17の始端部がフィラー17の高さ方向に関係なく一定量だけビード11の回転方向前方に突出している。
【0033】
次に、前把持体48をフィラー17の両側まで移動させた後、開閉機構により該前把持体48を閉止させ、これら前把持体48によりビード11に対し未巻回であるフィラー17(未巻回部17a)を切断位置Sから若干前側に離れた把持位置おいて厚さ方向両側から把持するが、この把持位置におけるフィラー17は搬送ベルト23からビード11に至る途中の空中を延びている。これと同時にチャック機構37を作動し後把持体33により切断位置Sから所定距離後方に離れたフィラー17を両側から把持する。そして、前述のように前把持体48によりフィラー17を把持した後で後述のようにカッター51によりフィラー17を切断する前に、即ち、これらの動作の間に、制御手段70により揺動シリンダ58を作動し、前把持体48および切断位置S近傍のフィラー17を、前述した円弧に沿ってビード11に既に巻回されたフィラー17の始端17cに接近するよう若干移動させ、切断位置S近傍のフィラー17を前記カッター受け55の頂上に接触させる。その後、切断シリンダ49を作動してカッター51(切断刃52)をカッター受け55の中心軸に向かって移動させ、切断位置Sにおいてフィラー17をその先端から基端に向かって切り進む。そして、カッター51の切断刃52がカッター受け55に接触すると、前記前把持体48に把持されたフィラー17はカッター51により把持位置より若干後方の切断位置Sにおいて、フィラー17の長手方向に対して直交する方向に完全に切断されるが、このとき、長尺のフィラー17からビード11の1周長と同一長さのフィラー17が切り出されるとともに、離反点Rより後側には未巻回の残余部56が形成される。
【0034】
このようにカッター51によりフィラー17を切断位置Sにおいて切断する際、前記カッター51を、前記カッター51との間にフィラー17の未巻回部17aが位置するカッター受け55に向かって移動させることで、フィラー17を切断するようにすれば、前述のように切断時の切断位置S近傍におけるフィラー17の形状が安定し、フィラー17の終、始端17b、17c同士の接合品質を容易に向上させることができる。また、カッター受け55からフィラー17が浮き上がっている場合には、該フィラー17を前把持体48により把持した後で、カッター51によってフィラー17を切断する前に、即ち、これらの動作の間に、前把持体48およびフィラー17の終端部をフィラー17の始端17cに接近するよう移動させることで、切断位置S近傍のフィラー17を前記カッター受け55に接触させるようにすれば、フィラー17の曲げ剛性の大小に関係なく、切断後のフィラー17の終端部の形状、傾き等を均一化することができ、フィラー17の終、始端17b、17c同士の接合品質をさらに向上させることができる。さらに、前述のようにフィラー17がカッター受け55から浮き上がっている状態でフィラー17を切断位置Sにおいて切断すると、切断後の残余部56の長さが規定値より僅かに長くなり、これが接合品質に悪影響を与えることがあるが、前述のように切断前にフィラー17をカッター受け55に接触させてやれば、このような悪影響を容易に抑制することができる。しかも、前述のようにすれば、カッター51による切断時にフィラー17に対し適切な張力を付与することができ、これにより、切断状況が良好となって接合品質が向上する。
【0035】
ここで、フィラー17を把持した時点から該フィラー17がカッター受け55に接触するまでの前把持体48の移動量は、フィラー17の浮き上がり量が前述のように予め経験則により知られているので、その知見に基づいて決定する。このようにフィラー17が切断位置Sにおいて高さ方向に切断されると、カッター51より前側には、移動フレーム20に向かって前把持体48から所定量だけ突出するフィラー17の終端部が形成される一方、カッター51より後側には、ビード11に向かって移動フレーム20から所定量だけ突出するフィラー17の始端部が形成される。そして、前述のようにフィラー17を切断する際、カッター51の切断刃52に沿って延在するとともに、断面が円形であるカッター受け55の中心軸に向かってカッター51の切断刃52を移動させるようにしたので、フィラー17とカッター受け55とはほぼ線接触となり、フィラー17が切断時にカッター受け55に粘着することは殆ど無くなる。このときの状態が図4に示されている。次に、切断シリンダ49の作動によりカッター51を上昇させ初期位置に復帰させる。ここで、前述の切断後に揺動シリンダ58を作動して前把持体48をそのままフィラー17の始端17cに向かって接近させようとすると、フィラー17の終端部がカッター受け55に引っ掛かって該フィラー17の終端部が変形し、フィラー17の終、始端17b、17c同士の接合が不良となるおそれがある。
【0036】
このため、カッター51によってフィラー17を切断位置Sにおいて切断した後で、揺動シリンダ58による前把持体48の移動開始前に、駆動シリンダ28を作動して移動フレーム20、可動体21、カッター受け55を一体的に後方に若干移動させ、これにより、カッター受け55をフィラー17の後端部(前把持体48)から離隔させることで、フィラー17の終端部の移動経路から前記カッター受け55を退避させ、カッター受け55とフィラー17との間の干渉を回避するようにしている。このときの状態が図5に示されている。次に、揺動シリンダ58を作動し、ビード11からの離反点Rより後側に位置しているフィラー17の残余部56を把持している前把持体48を、前述と同一の円弧に沿って、ビード11に既に巻回されたフィラー17の始端17cに接近移動させるが、このとき、前記ビード11、回転支持体12は前述のように回転を停止している。この結果、フィラー17の残余部56はビード11の周囲に徐々に巻回されるとともに、フィラー17の終端17bは始端17cに徐々に接近する。
【0037】
そして、前述した前把持体48の移動は、把持しているフィラー17の基端がビード11の外周に接触または外周の極く近傍まで到達したときに停止するが、このとき、前把持体48およびフィラー17の終端17bはビード11の外周に対する法線に沿って半径方向に延びている。このとき、接合体64に把持されているフィラー17の始端部は半径方向に対してビード11の回転方向後方に傾斜しているため、揺動シリンダ66を作動して接合体64を前把持体48に接近するよう揺動させることでフィラー17の始端部を先端に向かうほど大きく引き伸ばし、該フィラー17の始端17cを徐々に半径方向に延びるよう変形させる。そして、フィラー17の終端17bと始端17cとがほぼ平行になると、該終端17bと始端17cとは互いに押し付けられて圧着され、これにより、前記終端17bと始端17cとが互いに突き合わせ接合されてビード11に巻回されたフィラー17が連続したリング状となる。このときの状態が図6に示されている。
【0038】
次に、フィラー17の始、終端部を接合体64、前把持体48の把持から解放した後、揺動シリンダ66、58の作動により接合体64、前把持体48を初期位置に復帰させる。次に、駆動モータ14の作動によりビード11、回転支持体12を回転方向前方に回転させ、フィラー17の残余部56を圧着ローラ41によりビード11の外周に圧着し、ビード11の周囲にフィラー17を1周分だけ巻回する。これにより、ビード11とフィラー17とが一体化しフィラー17付きビード11が製造される。このとき、ビード11をさらに回転させ、ビード11の周上1箇所に設置されている成形ローラによりフィラー17を両側から挟圧して成形を行うようにしてもよい。次に、ビード11、回転支持体12の回転を停止させるとともに、昇降シリンダ42を作動して圧着ローラ41を回転支持体12から離隔させ、その後、拡縮プレート16を縮径するとともに、製造されたフィラー17付きビード11を回転支持体12から取り外して搬出する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
この発明は、ビードの外周にフィラーが1周分だけ巻回されることで構成されたフィラー付きビードを製造する産業分野に適用できる。
【符号の説明】
【0040】
11…ビード 12…回転支持体
17…フィラー 17a…未巻回部
17b…終端 17c…始端
27…供給手段 44…圧着手段
48…前把持体 51…カッター
52…切断刃 55…カッター受け
56…残余部 68…接合手段
R…離反点 S…切断位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6