特許第6872379号(P6872379)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872379オイルポンプ及びオイルポンプ一体型装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872379
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】オイルポンプ及びオイルポンプ一体型装置
(51)【国際特許分類】
   F04C 14/26 20060101AFI20210510BHJP
   F16K 31/68 20060101ALI20210510BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20210510BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20210510BHJP
   F04C 15/06 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   F04C14/26 A
   F16K31/68 C
   F16K27/00 D
   F04C15/00 E
   F04C15/06 B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-16734(P2017-16734)
(22)【出願日】2017年2月1日
(65)【公開番号】特開2018-123765(P2018-123765A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144810
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】吉野 聡一
(72)【発明者】
【氏名】宮島 淳一
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−172516(JP,A)
【文献】 特開2009−209696(JP,A)
【文献】 特開平09−042169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 11/00−15/06
F16K 27/00−27/12
F16K 31/64−31/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルの流れるメイン流路、及び、前記メイン流路を迂回させオイルパンに繋がっているバイパス流路を有するオイル流路において用いられ、
ハウジングに、回転軸部と、この回転軸部によって回転されてオイルを送出するオイル送出手段と、が収納されていると共に、前記オイルの温度が高温の状態において前記バイパス流路への前記オイルの流れを遮断すると共に、前記オイルの温度が低温の状態において前記バイパス流路へのオイルの流れを許容するサーモバルブを有し、
前記ハウジングは、前記バイパス流路に通じる穴状のハウジング穴部を有し、
前記サーモバルブは、ケースと、このケース内を移動可能な弁体と、を有しているオイルポンプであって、
前記ケースは、前記ハウジング穴部に臨むケース穴部を有し、
前記サーモバルブは、前記回転軸部よりも下方位置において水平軸に沿って配置されていることを特徴とするオイルポンプ。
【請求項2】
前記サーモバルブは、正面視において少なくとも一部が前記回転軸部の真下に位置していることを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプ。
【請求項3】
記ケース穴部は、前記ハウジング穴部よりも小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオイルポンプ。
【請求項4】
前記オイルの圧力によって前記バイパス流路へ流れる前記オイル流量を制御する圧力バルブをさらに有し、
前記圧力バルブは、正面視において少なくとも一部が前記サーモバルブ、又は、前記ハウジングのバルブカバー部に重なっていることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれか1項記載のオイルポンプ。
【請求項5】
オイルの流れるメイン流路、及び、前記メイン流路を迂回させオイルパンに繋がっているバイパス流路を有するオイル流路において用いられ、
前記オイルを循環させるためのオイルポンプが一体的に設けられているオイルポンプ一体型装置において、
前記オイルポンプは、ハウジングに、回転軸部と、この回転軸部によって回転されて前記オイルを送出するオイル送出手段と、が収納されてなり、
前記ハウジングには、前記オイルの温度が高温の状態において前記バイパス流路への前記オイルの流れを遮断すると共に、前記オイルの温度が低温の状態において前記バイパス流路へのオイルの流れを許容するサーモバルブが収納され、
前記ハウジングは、前記バイパス流路に通じる穴状のハウジング穴部を有し、
前記サーモバルブは、前記回転軸部よりも下方位置において水平軸に沿って配置されていることを特徴とするオイルポンプ一体型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーモバルブを有するオイルポンプ、及び、このようなオイルポンプとしての機能が一体的に設けられているオイルポンプ一体型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの車両は、エンジン又は自動変速機等にオイルを循環させるためのオイルポンプを有している。世の中のオイルポンプの一部は、バランサシャフトを保持するバランサハウジングやチェーンケースのケーシングに一体的に設けられている場合もある。オイルは、オイルポンプによってオイル流路内を循環させられる。一般的にオイル流路は、オイルを循環させるメイン流路と、このメイン流路を迂回したバイパス流路と、を有している。オイルポンプによってオイルが循環されるオイル流路に関する従来技術として特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるような、オイル流路は、オイルを循環させるメイン流路と、このメイン流路を迂回したバイパス流路と、メイン流路及び/又はバイパス流路にオイルを流すオイルポンプと、オイルの温度によってバイパス流路へ流れるオイルの流量を制御するサーモバルブと、を有している。
【0004】
オイルの温度が高い場合には、サーモアクチュエータ内のワックスが膨張し弁体を前進させる。弁体がバイパス流路を閉じ、オイルは、メイン流路のみを流れる。オイルの温度が低い場合には、サーモアクチュエータ内のワックスが収縮する。サーモアクチュエータ内の戻しばねの付勢力によって弁体は後退する。これによりバイパス流路が開かれる。オイルは、メイン流路及びバイパス流路の両方を流れる。
【0005】
オイルは、温度が低い状態において高い粘性を有する。即ち、温度の低いオイルが存在するメイン流路は、油圧が高くなる。バイパス流路へ流すオイルの流量を変えることにより、メイン流路内の油圧を油温違いによらずにほぼ一定にすることができる。油圧をほぼ一定にするためには、サーモバルブは、オイルの温度変化に合わせて確実に作動することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−27252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、オイルの温度変化に合わせて確実に作動するサーモバルブの搭載されたオイルポンプの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1による発明によれば、オイルの流れるメイン流路、及び、前記メイン流路を迂回させオイルパンに繋がっているバイパス流路を有するオイル流路において用いられ、
ハウジングに、回転軸部と、この回転軸部によって回転されてオイルを送出するオイル送出手段と、が収納されていると共に、前記オイルの温度が高温の状態において前記バイパス流路への前記オイルの流れを遮断すると共に、前記オイルの温度が低温の状態において前記バイパス流路へのオイルの流れを許容するサーモバルブを有し、
前記ハウジングは、前記バイパス流路に通じる穴状のハウジング穴部を有し、
前記サーモバルブは、ケースと、このケース内を移動可能な弁体と、を有しているオイルポンプであって、
前記ケースは、前記ハウジング穴部に臨むケース穴部を有し、
前記サーモバルブは、前記回転軸部よりも下方位置において水平軸に沿って配置されていることを特徴とするオイルポンプが提供される。
【0009】
請求項2に記載のごとく、好ましくは、前記サーモバルブは、正面視において少なくとも一部が前記回転軸部の真下に位置している。
【0010】
請求項3に記載のごとく、好ましくは、前記ケース穴部は、前記ハウジング穴部よりも小さい。
【0011】
請求項4に記載のごとく、好ましくは、前記オイルの圧力によって前記バイパス流路へ流れる前記オイル流量を制御する圧力バルブをさらに有し、
前記圧力バルブは、正面視において少なくとも一部が前記サーモバルブ、又は、前記ハウジングのバルブカバー部に重なっている。
【0012】
請求項5による発明によれば、オイルの流れるメイン流路、及び、前記メイン流路を迂回させオイルパンに繋がっているバイパス流路を有するオイル流路において用いられ、
前記オイルを循環させるためのオイルポンプが一体的に設けられているオイルポンプ一体型装置において、
前記オイルポンプは、ハウジングに、回転軸部と、この回転軸部によって回転されて前記オイルを送出するオイル送出手段と、が収納されてなり、
前記ハウジングには、前記オイルの温度が高温の状態において前記バイパス流路への前記オイルの流れを遮断すると共に、前記オイルの温度が低温の状態において前記バイパス流路へのオイルの流れを許容するサーモバルブが収納され、
前記ハウジングは、前記バイパス流路に通じる穴状のハウジング穴部を有し、
前記サーモバルブは、前記回転軸部よりも下方位置において水平軸に沿って配置されて
いることを特徴とするオイルポンプ一体型装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、サーモバルブは、回転軸部よりも下方位置において水平軸に沿って配置されている。サーモバルブを、オイルポンプの低い位置に横向きに配置することにより、サーモバルブをより確実にオイルに接触させ、オイルの温度を感知することができる。結果、サーモバルブは、オイルの温度変化に合わせて確実に作動する。
【0015】
請求項2に係る発明では、サーモバルブは、正面視において少なくとも一部が回転軸部の真下に位置している。それぞれの部品を近接して配置することにより、オイルポンプを小型化することができる。
【0016】
請求項3に係る発明では、ケース穴部は、ハウジング穴部よりも小さい。オイルポンプのハウジングは、通常であれば鋳造品が採用される。一方、サーモバルブのケースについても鋳造品が採用される。ハウジングのハウジング穴部の大きさを正確な大きさにするためには、大きくて複雑な形状をしたハウジングを動かないように固定した状態で削り出し加工をする必要があり好ましくない。一方、ケースに空けられるケース穴部は、ケースが小さくて単純な形状であるため簡単に固定でき、容易に正確な大きさに削り出し加工することができる。ケース穴部をハウジング穴部よりも小さくすることにより、バイパス流路へ流れるオイルの量は、ケース穴部の大きさ(断面積)によって規定されることとなる。ケース穴部は、容易に所定の大きさとすることができるため、製造コストの観点からケース穴部によって流量を規定することが好ましい。一方、ハウジング穴部は、ケース穴部よりも大きくすることにより、別の工程で正確な大きさまで削り出す必要がなくなる。この点も製造コストの低下に寄与する。
【0017】
請求項4に係る発明では、圧力バルブは、正面視において少なくとも一部がサーモバルブ、又は、バルブカバー部に重なっている。これにより、オイル流路を短くすることができる。結果、流路内における管路抵抗を小さくできる。加えて、オイルポンプの小型化に資する。
【0018】
請求項5に係る発明では、サーモバルブは、回転軸部よりも下方位置において水平軸に
沿って配置されている。サーモバルブを、オイルポンプ一体型装置の低い位置に横向きに
配置することにより、サーモバルブをより確実にオイルに接触させ、オイルの温度を感知
することができる。結果、サーモバルブは、オイルの温度変化に合わせて確実に作動する

さらに、サーモバルブは、オイルポンプの一部を構成する。即ち、サーモバルブは、オ
イルポンプに一体的に設けられている。オイルポンプとサーモバルブを別々に配置した場
合に比べて、オイル流路内にコンパクトに配置することができる。

【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例1によるオイルポンプが採用されたオイル流路の回路図である。
図2図1に示されたオイルポンプの側面図である。
図3図2に示されたオイルポンプの3矢視図である。
図4図3の4−4線断面図である。
図5図3の5−5線断面図である。
図6図4に示されたサーモバルブの作用を説明する図である。
図7】本発明の実施例2によるオイルポンプの断面図である。
図8図7に示されたサーモバルブの作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明の中で、上下左右とは、図面を基準として上下左右を指す。また、図中Upは上、Dnは下を示している。
<実施例1>
【0021】
図1を参照する。オイルポンプ20は、オイル流路10において用いられる。例えば、オイル流路10は、オイルパンOpとオイルポンプ20、及び、オイルポンプ20とエンジンEnとを繋いでオイルを循環させる流路である。
【0022】
オイル流路10は、メイン流路11と、このメイン流路11の一部を迂回させたバイパス流路12と、からなる。
【0023】
図2乃至図4を参照する。オイルポンプ20は、いわゆる内接歯車ポンプである。オイルポンプ20は、ハウジング30に、エンジンEn(図1参照)が作動することにより回転される回転軸部22と、この回転軸部22によって回転されるインナーロータ23と、このインナーロータ23の周縁を囲いインナーロータ23によって回転されるアウターロータ24と、オイルの温度によって作動するサーモバルブ40が収納されてなる。
【0024】
インナーロータ23及びアウターロータ24によって、オイルを送出するためのオイル送出手段25は構成されている。なお、オイルを送出する手段は、実施例に示した内接歯車以外にも外接歯車やベーン、ピストン等任意の手段を採用することができる。
【0025】
図5を参照する。オイルポンプ20は、オイルの圧力によって圧力バイパス流路31iへ流れるオイル流量を制御する圧力バルブ60をさらに有している。
【0026】
図3を参照する。ハウジング30は、本体部31と、この本体部31に被せられた蓋部32と、からなる。
【0027】
図2及び図4を参照する。本体部31は、サーモバルブ40を覆っているバルブカバー部31aと、吸入されたオイルをメイン流路11(図1参照)に吐出する吐出口31cと、吸入されたオイルをバイパス流路12(図1参照)に吐出するハウジング穴部31dと、を有している。ハウジング穴部31dは、バルブカバー部31aに形成されている。
【0028】
図3及び図5を参照する。蓋部32は、本体部31に複数のボルト33を介して締結されている。本体部31には、オイルが吸入される吸入ポート32aと、オイルを吐出する吐出ポート32bと、が形成されている。蓋部32も同様に吸入ポートと、吐出ポートと、を有している。
【0029】
回転軸部22は、例えば、クランクシャフトにチェーンやギヤを介して接続されている。回転軸部22は、クランクシャフトの他、カムシャフト等の任意の部材に接続することができる。即ち、外部駆動源は、クランクシャフトに限られない。
【0030】
図4を参照する。サーモバルブ40は、回転軸部22よりも下方位置において水平軸に沿って配置されている。サーモバルブ40の位置としてはオイルに没している位置であれば良く、アウターロータ24の下端よりも上方に配置される回転軸部22よりも下方位置にサーモバルブ40を配置すれば本発明の効果を奏するものである。なお正面視とはオイルポンプ20を回転軸部22の軸方向から視るものとする。
【0031】
図1を参照する。オイルポンプ20のハウジング30は、バランサシャフトを保持するバランサハウジングHoやチェーンケースのケーシングHoに一体的に設けられていてもよい。即ち、オイルポンプが一体的に設けられたオイルポンプ一体型装置100において、オイルポンプ20のハウジング30は、バランサハウジングHoやケーシングHoに対して鋳造等によって一部品として一体的に構成されている。つまり、オイルポンプ一体型装置100において、バランサハウジングHoやケーシングHoとは、オイルポンプ20のハウジング30を含む。この場合、サーモバルブ40は、オイルポンプ20に完全に一部品として設けられる必要はない。サーモバルブ40は、オイルポンプ20と鋳造等によって一体的に構成されたバランサハウジングHoやケーシングHoに取り付けられていると共に、バイパス流路12(図1参照)に流れるオイルの流量を制御する。
【0032】
図6(a)を参照する。図6(a)には、オイルの温度が高い場合のサーモバルブ40が示されている。サーモバルブ40は、略筒状のケース41に、オイルの温度によって作動するサーモアクチュエータ50と、このサーモアクチュエータ50に締結された弁体43と、これらのサーモアクチュエータ50及び弁体43を戻し方向(右方向)に付勢している戻しばね44と、が収納されてなる。ケース41の一端は、アクチュエータ蓋部45によって閉じられている。アクチュエータ蓋部45は、ケース41との間に挟まれたC型止め輪46によって、ケース41から外れることを抑制されている。
【0033】
ケース41は、サーモアクチュエータ50の外周に4カ所又は2カ所貫通形成された窓部41aと、弁体43によって開閉されるケース穴部41bと、を有している。窓部41aは、オイルが循環している間は常にオイルが通過する。ケース41は、ケース穴部41bの形成された部位の周辺が他の部位に比べて周方向にわたって全周に外径が小さくなるように肉薄に形成されている。これによりケース穴部41bがどの位相であってもオイルはよどみなく排出できる。
【0034】
サーモアクチュエータ50は、アクチュエータ本体51と、このアクチュエータ本体51の一端に空けられた穴に充填され温度が上昇することにより膨張するワックス52と、このワックスが膨張することによりアクチュエータ本体51から押し出されるロッド53と、アクチュエータ本体51から径方向外側に突出した大径部54と、からなる。大径部54は、戻しばね44の端部を受け、ばね受け座の役割を果たしている。
【0035】
弁体43は、アクチュエータ本体51の他端に形成された穴51aに差し込まれ締結されているバルブ小径部43aと、このバルブ小径部43aの端部から外周に向かって広がっているバルブ段差部43bと、このバルブ段差部43bの外側の端部から延びバルブ小径部43aよりも径の大きいバルブ大径部43cと、からなる。なお、弁体43は、ケース穴部41bの開口面積を変更できるのであればロッド53に締結されていてもよい。
【0036】
バルブ段差部43bは、オイルが通過可能なオイル通過穴部43dを有している。またバルブ小径部43aには軸中心を貫通する穴43eが形成されている。これにより弁体43を穴51aに空気の抵抗なく容易に差し込める。
【0037】
バルブ大径部43bの外径は、ケース41の内径よりも僅かに小さい。ケース41の内径は、大径部54の周縁で大きく、弁体43の周縁で小さい。これらの径の大きさが変化する部位は段差状に形成され、戻しばね44の端部を受け、ばね受け座の役割を果たしている。
【0038】
図5を参照する。圧力バルブ60は、本体部31に空けられた圧力バルブ収納穴31hの一端を塞いでいる圧力バルブキャップ部材61と、この圧力バルブキャップ部材61に一端が当接している圧力バルブばね部材62と、この圧力バルブばね部材62によって吐出ポート32bに向かって付勢されている圧力バルブ弁体63と、からなる。圧力バルブ60は、水平軸に沿ってサーモバルブ40に平行に配置され、正面視においてサーモバルブ40に一部が重なっている。
【0039】
圧力バルブキャップ部材61は、全体が円柱状を呈すると共に、先端部の内部が筒状に刳りぬかれた形状を呈している。この刳りぬかれた形状の部位(欠肉部61a)は、圧力バルブばね部材62のばね受け座とされている。
【0040】
圧力バルブ弁体63は、中空円筒の一端を閉じた形状を呈している。中空円筒の蓋となっている部位(蓋部63a)は、圧力バルブばね部材62のばね受け座とされている。他端部の先端部も筒状に刳りぬかれた形状を呈しても良い。
【0041】
オイルポンプ20の作用について説明する。
【0042】
図1を参照する。オイルポンプ20は、エンジンEnが作動することにより作動する。オイルポンプ20が作動すると、矢印(1)によって示されるようにオイルパンOpに溜まったオイルは、吸入ポート32aへ流れる。そして、インナーロータ23、及び、アウターロータ24を経由して吐出ポート32bへ流れる。吐出ポート32bに流れたオイルは、矢印(2)によって示されるように、エンジンEnに戻される。そして、エンジンEnを循環したオイルは、矢印(3)に示されるようにオイルパンOpに溜まる。
【0043】
図6(a)を併せて参照する。オイルが高温の状態においては、ワックス52が膨張している。ワックス52が膨張することにより、ロッド53は、アクチュエータ本体51から抜け出す方向の力を受ける。しかし、ロッド53は、先端がアクチュエータ蓋部45に接触しているため、前進することを妨げられている。このため、相対的にアクチュエータ本体51が戻しばね44の付勢力に抗して図面左側に後退する。即ち、ロッド53の前進とは、アクチュエータ本体51に対しての相対的な関係をいう。ロッド53が前進(アクチュエータ本体51が後退)している状態において、弁体43は、ケース穴部41bを塞いでいる。このため、オイルは、窓部41aのみを通過する。これにより、オイルは、メイン流路11のみを流れ、バイパス流路12へは流れない。
【0044】
図1及び図6(b)を参照する。図6(b)には、オイルの温度が低い際のサーモバルブ40が示されている。エンジンの始動直後等においては、オイルの温度が低い。オイルの温度が低い場合には、ワックス52は収縮している。戻しばね44の付勢力により、アクチュエータ本体51は、図面右向きの力を受ける。これにより、ロッド53のアクチュエータ本体51からの突出量は小さくなる。即ち、オイルの高温時に比べて低温時には、ロッド53は後退する。これにより、弁体43は、ケース穴部41bを開放する。
【0045】
ケース穴部41bが解放されている場合には、オイルの一部は、戻しばね44とアクチュエータ本体51との間を通り、オイル通過穴部43dを通過する。オイル通過穴部43dを通過し、ケース穴部41bを通過したオイルは、図1の矢印(4)で示されるように、バイパス流路12を介してオイルパンOpへ戻される。つまり、一部のオイルは、エンジンEnへ戻されない。このため、メイン流路11を通過するオイルの流量を減少させ、エンジンEnの油圧上昇を抑制することができる。
【0046】
図5を参照する。オイルポンプ20内を流れるオイルの油圧が上昇することがある。油圧が上昇すると、圧力バルブ弁体63は、オイルによって図面右側に向かって押され、圧力バルブばね部材62の付勢力に抗して移動する。圧力バルブ弁体63が所定の位置まで移動することにより、圧力バルブ収納穴31hと圧力バイパス通路31iとが連通する。つまり、油圧が上昇することにより、圧力バルブ60は、開状態となる。これにより、メイン流路11の油圧が過大に上昇することを抑制することが出来る。
【0047】
圧力バイパス通路31iを通過しないオイルは、図面右へ流れた後、右端の部位から図面手前に流れる。図4を併せて参照する。図面手前へ流れたオイルは、開口部31jから下方に流れて、サーモバルブ40へ向かう。
【0048】
以上に説明した本発明の効果を説明する。
【0049】
図4を参照する。サーモバルブ40は、回転軸部22よりも下方位置において水平軸に沿って配置されている。オイルポンプ20の低い位置に横向きに配置することにより、サーモバルブ40全体をオイルに常に接触させ、オイルの温度を常に感知することができる。結果、サーモバルブ40は、オイルの温度変化に合わせて確実に作動する。
【0050】
図1を参照する。サーモバルブ40がオイルポンプ一体型装置100に搭載される場合には、以下のように言うことができる。サーモバルブ40は、回転軸部22よりも下方位置において水平軸に沿って配置されている。サーモバルブ40を、オイルポンプ一体型装置100の低い位置に横向きに配置することにより、サーモバルブ40をより確実にオイルに接触させ、オイルの温度を常に感知することができる。結果、サーモバルブ40は、オイルの温度変化に合わせて確実に作動する。
【0051】
図4を参照する。サーモバルブ40は、オイルポンプ20の一部を構成する。即ち、サーモバルブ40は、オイルポンプ20に一体的に設けられている。オイルポンプ20とサーモバルブ40を別々に配置した場合に比べて、サーモバルブ40をオイル流路10内にコンパクトに配置することができる。
【0052】
さらに、サーモバルブ40の軸線C2は、回転軸部22の軸線C1に対して略直交する方向を向いている。同じ方向を向いている場合には、軸線方向にオイルポンプ20が大型化する虞がある。この点、軸線同士を略直交する方向に向けることにより、オイルポンプ20をより一層コンパクトにすることができる。
【0053】
図2及び図5を参照する。圧力バルブ60は、正面視において少なくとも一部がサーモバルブ40に重なっている。これにより、オイルポンプ20内のオイルの流路を短くすることができる。結果、流路内における管路抵抗を小さくできる。加えて、オイルポンプ20の小型化に資する。
【0054】
なお、図4に示されたケース穴部41bは、ケース41の下部に形成されていても良い。または、ケース穴部41が複数形成されている場合には、少なくとも1つのケース穴部41bは、ケース41の下部に形成されていることが好ましい。ケース穴部41bがケース41の下部に形成されていることにより、ケース41の内部にオイルが残留することを抑制することができる。
<実施例2>
【0055】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
図7には、実施例2によるオイルポンプ20Aが示されている。実施例2によるオイルポンプ20Aは、サーモバルブ40Aがハウジング30A(本体部31)に取り付けられてなる。その他の基本的な構成については、実施例1によるオイルポンプと共通する。実施例1と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0056】
図8(a)を参照する。ハウジング30Aは、サーモバルブ40Aのケース41が差し込まれるケース差し込み穴31eと、アクチュエータ蓋部45が差し込まれる蓋部差し込み穴31fと、を有している。蓋部差し込み穴31fは、雌ねじ状に形成され、外周が雄ねじ状に形成されたアクチュエータ蓋部45が螺合している。これにより、サーモバルブ40Aは、ハウジング30Aに直接的に取り付けられている。
【0057】
ケース穴部41bは、ハウジング穴部31dよりも径又は断面積が小さい。
【0058】
実施例2によるオイルポンプ20Aも本発明所定の効果を奏する。
【0059】
図8(b)を併せて参照する。オイルポンプ20Aのハウジング30Aは、通常であれば鋳造品が採用される。一方、サーモバルブ40Aのケース41についても鋳造品が採用される。ハウジング30Aのハウジング穴部31dの大きさを正確な大きさにするためには、大きくて複雑な形状をしたハウジング30Aを動かないように固定した状態で削り出し加工をする必要があり好ましくない。一方、ケース41に空けられるケース穴部41bは、ケース41が小さくて単純な形状であるため簡単に固定でき、容易に正確な大きさに削り出し加工することができる。ケース穴部41bをハウジング穴部31dよりも小さくすることにより、バイパス流路12(図1参照)へ流れるオイルの量は、ケース穴部41bの大きさ(断面積)によって規定されることとなる。ケース穴部41bは、容易に所定の大きさとすることができるため、製造コストの観点からケース穴部41bによって流量を規定することが好ましい。一方、ハウジング穴部31dは、ケース穴部41bよりも大きくすることにより、別の工程で正確な大きさまで削り出す必要がなくなる。この点も製造コストの低下に寄与する。
【0060】
さらに、サーモバルブ40Aは、正面視において少なくとも一部が回転軸部22の真下に跨がるように位置している。それぞれの部品を近接して配置することにより、オイルポンプ20を小型化することができ、特に図中での横(幅)方向の寸法を最小にできる。
【0061】
さらに、サーモバルブ40Aは、オイルポンプ20の正面視を基準として、ハウジング30Aに形成された吸入ポート32a又は吐出ポート32bに少なくとも一部が重なる位置にアクチュエータ本体51が配置されている。これにより、吸入ポート32a又は吐出ポート32bからサーモバルブ40Aまで直線的にオイルを導くことができる。このため、オイルポンプ20をコンパクトにすることができる。さらに、オイルが通過する吸入ポート32a又は吐出ポート32bにサーモバルブ40Aを隣接させることができるため、よりアクチュエータ本体51にオイルを接触させることができる。これにより、サーモアクチュエータ50をより確実に作動させることができる。
【0062】
尚、本発明によるオイルポンプは、車両のエンジンにオイルを循環させる例を元に説明したが、車両の自動変速機等のエンジン以外の部位にオイルを循環させることもできるし、車両以外の乗り物や乗り物以外の構造物等にも採用することができる。オイルの温度に応じてサーモバルブがバイパス流路への流量を制御するものであれば、適用可能であり、これらの形式のものに限られるものではない。
【0063】
またオイルポンプの形式としては内接歯車ポンプだけでなく外接歯車ポンプ又はベーンポンプ、ピストンポンプ等であっても回転軸部によって歯車やベーン、ピストン等のオイル送出手段が回転してオイルが送られるオイルポンプであれば、実施例と同様の効果を奏するものである。
【0064】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のオイルポンプは、車両のエンジンにオイルを循環させるのに好適である。
【符号の説明】
【0066】
10…オイル流路
11…メイン流路
12…バイパス流路
20、20A…オイルポンプ
22…回転軸部
25…オイル送出手段
30、30A…ハウジング
31d…ハウジング穴部
40、40A…サーモバルブ
41…ケース
41b…ケース穴部
43…弁体
100…オイルポンプ一体型装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8