特許第6872383号(P6872383)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872383音響スピーカーを作動させるために音響増幅器によって生成される電流を測定するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872383
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】音響スピーカーを作動させるために音響増幅器によって生成される電流を測定するための装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   G01R19/00 A
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-24970(P2017-24970)
(22)【出願日】2017年2月14日
(65)【公開番号】特開2017-146306(P2017-146306A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2020年2月12日
(31)【優先権主張番号】1651213
(32)【優先日】2016年2月15日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517049367
【氏名又は名称】エル−アコースティックス
【氏名又は名称原語表記】L−ACOUSTICS
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エム・クリスチャン・ヘイル
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・ベス
【審査官】 田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0219690(US,A1)
【文献】 特開2014−078938(JP,A)
【文献】 特開2005−117361(JP,A)
【文献】 特開平04−203971(JP,A)
【文献】 特開平08−172693(JP,A)
【文献】 特開平08−116243(JP,A)
【文献】 特開2004−053528(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0181335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 19/00−19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響スピーカーを作動させるために、音響増幅器によって生成される電流を測定するための装置であって、前記装置は前記電流の方向およびコモンモード電圧の極性にかかわらず動作し、前記装置は、
前記音響増幅器と前記音響スピーカーとの間に直列に位置決めされたシャント抵抗器(1)と、
入力が前記シャント抵抗器(1)の端子に接続され、前記シャント抵抗器の端子間の電圧差を比例的に信号電流に変換可能な電圧/電流変換器(3)と、
第1の電流ミラー(7)と、
を備え、
電流/電圧変換器(5)の出力電圧が前記信号電流に比例するように、前記第1の電流ミラー(7)の入力が前記電圧/電流変換器(3)の出力に接続され、出力が前記電流/電圧変換器(5)に接続されており、
前記装置は、
前記電圧/電流変換器(3)の入力に接続され、前記電圧/電流変換器(3)の出力が第2の電流ミラー(11)を介して前記電流/電圧変換器(5)に接続され、前記音響増幅器によって生成される電流と前記コモンモード電圧の極性とにかかわらず、前記装置が飽和することなくリニアモードで動作するように、バイアス電流を生成可能な定バイアス電流発生器(9)、
をさらに備える装置。
【請求項2】
前記第1および第2の電流ミラーは、
入力信号接続部と接地との間に直列に位置決めされた第1の抵抗器(21,31)および第1のバイアス電圧発生器(23,33)と、
第1の演算増幅器(25,35)と、
を備え、
前記第1の演算増幅器(25,35)の非反転入力が前記第1の抵抗器の上流の前記入力信号接続部に接続され、反転入力が第2の抵抗器(27,37)によって前記第1の抵抗器と前記第1のバイアス電圧発生器との間に接続され、出力がMOSFETトランジスタ(29,39)のゲートに接続されており、
前記MOSFETトランジスタ(29,39)のソースが前記第1の演算増幅器の前記
反転入力に接続され、ミラー電流を生成するドレインが出力パッドに接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記バイアス電流発生器(9)は、第2の演算増幅器(43)の非反転入力と、第2の端子が接地された第3の電圧発生器(45)であって負バイアス電圧を生成する第3の電圧発生器(45)との間で基準電圧(Vref)を生成することが可能な第2の電圧発生器(41)を備え、
前記第2の演算増幅器の反転入力が第1のn型MOSFETトランジスタ(49)のソースに、および第3の抵抗器(47)を介して前記第3の電圧発生器(45)に接続されており、
前記第1のn型MOSFETトランジスタ(49)のドレインが出力パッドに前記バイアス電流を供給する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記電圧/電流変換器は第3の演算増幅器(13)を備え、
前記第3の演算増幅器(13)の反転入力が第の抵抗器(15)を介して前記シャント抵抗器(1)の入力に接続され、前記第3の演算増幅器(13)の非反転入力が前記シャント抵抗器の出力に直接接続され、前記第3の演算増幅器(13)の出力が第2のn型MOSFETトランジスタ(17)のゲートに接続され、
前記第2のn型MOSFETトランジスタ(17)のソースが前記第3の演算増幅器の前記反転入力に接続され、前記第2のn型MOSFETトランジスタ(17)のドレインが前記信号電流を供給する、請求項1、2、または3に記載の装置。
【請求項5】
前記第3の演算増幅器(13)の非反転入力が、コモンモード電圧源(VCM)および前記定バイアス電流発生器(9)に接続されている、請求項4に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響スピーカーを作動させるために、音響増幅器によって生成される電流を測定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
電気音響学の分野、特に、スピーカーを使用して電気信号を音響波に変換して音を生成する分野では、これらのスピーカーによって消費される電流、すなわち、スピーカーに電力を供給する電気信号の瞬間電流について正確な知識を有していることが重要である。
【0003】
具体的には、あらゆるエネルギー変換に関しては、この電気音響変換によって熱が発生するため、発生した熱が所定の閾値を超えない範囲に収まっているかどうかを確認する必要がある。広い空間を音で満たすことを目的とした専門的なスピーカーはかなりの量のエネルギーを使用するため、このパラメータは特に重要である。消費電力は、電気信号のRMS振幅/電流の二乗に比例する。したがって、消費される電流の量を知ることによって消費電力の算出が可能になり、その結果、放出される熱の量の計算が可能になる。
【0004】
ラウドスピーカーの検出、および周波数の関数としてのスピーカーのインピーダンスに関する正確な知識など、電流についての正確な知識は他の分野でも応用できる。
【0005】
この電気信号の電流を測定するために、従来の技術では、入力側に抵抗器(電流を測定するシャント)を備えた特別な差動増幅器を用いて、電流を電位差に変換する。
【0006】
しかしながら、この種類の電流検出増幅器は本質的に測定シャントに存在するコモンモード電圧の影響を受けやすいため、電気音響学で必要とされるレベルの精度を得るためには、精度の高い高価な差動増幅器の使用が不可欠である。
【0007】
したがって、この問題を克服する電流測定装置が切望されている。特に、測定が測定される電気信号に及ぼす影響を制御してコストを削減し、測定の感度および精度の向上を図る装置が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の記載
先に述べた1つ以上の問題を克服するために、音響スピーカーを作動させるために音響増幅器によって生成される電流を測定するための装置は、
音響増幅器と音響スピーカーとの間に直列に位置決めされたシャント抵抗器と、
入力がシャント抵抗器の端子に接続され、シャントの端子間の電圧差を比例的に信号電流に変換可能な電圧/電流変換器と、
第1の電流ミラーと、
を備え、
電流/電圧変換器の出力電圧が信号電流に比例するように、第1の電流ミラーの入力が電圧/電流変換器の出力に接続され、出力が電流/電圧変換器に接続されている。
【0009】
本装置は、電圧/電流変換器の入力のうちのある入力に接続され、出力が第2の電流ミラーを介して電流/電圧変換器に接続され、音響増幅器によって生成される電流にかかわらず、装置が飽和することなくリニアモードで動作するように、バイアス電流を生成可能な定バイアス電流発生器をさらに備える。
【0010】
単独で、または組み合わせて使用可能な特有の特徴または実施の形態は、次のとおりである。
【0011】
第1および第2の電流ミラーは、
入力信号接合部と接地との間に直列に設けられた第1の抵抗器および第1のバイアス電圧発生器と、
演算増幅器と、
を備え、
演算増幅器の非反転入力が第1の抵抗器の上流の入力信号に接続され、反転入力が第2の抵抗器によって第1の抵抗器と第1のバイアス電圧発生器との間に接続され、出力がMOSFETトランジスタのゲートに接続されており、
MOSFETトランジスタのソースが演算増幅器の反転入力に接続され、ミラー電流を生成するドレインが出力パッドに接続されている。
【0012】
バイアス電流発生器は、
演算増幅器の非反転入力と、第2の端子が接地された第3の負バイアス電圧発生器との間で基準電圧(Vref)を発生させることが可能な第2の電圧発生器を備え、
演算増幅器の反転入力がn型MOSFETトランジスタのソースに、および抵抗器を介して第3電圧発生器に接続されており、
n型MOSFETトランジスタのドレインが出力パッドにバイアス電流を供給する。
【0013】
電圧/電流変換器は演算増幅器を備え、
演算増幅器の反転入力が第2の抵抗器を介してシャント抵抗器の入力に接続され、非反転入力がシャント抵抗器の出力に直接接続され、出力がn型MOSFETトランジスタのゲートに接続され、
n型MOSFETトランジスタのソースが演算増幅器の反転入力に接続され、ドレインが信号電流を供給する。
【0014】
本発明は、添付の図面を参照して、あくまで一例として挙げられている以下の説明によって、より理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態に係る測定装置の一般的な回路図である。
図2図1の測定装置の信号電流ミラーの詳細図である。
図3図1の測定装置のバイアス電流ミラーの詳細図である。
図4図1の測定装置のバイアス電流源の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態
まず、音響スピーカーを作動させるために音響増幅器によって生成される電流が、電流/電圧および数Hzから約20kHzの範囲の周波数の双方の観点から、可変AC電流の特性を有していることについて説明しておく。
【0017】
図1を参照すると、音響スピーカーを作動させるために音響増幅器によって生成される電流を測定するための装置は、音響増幅器と音響スピーカーとの間に直列に位置決めされたシャント抵抗器1を備える。シャント抵抗器の抵抗値rは、電気信号との干渉を最小限に抑えるために、約2mΩと大変低い。
【0018】
第1の電圧/電流変換は、入力がシャント抵抗器の端子に接続された電圧/電流変換器3によって行なわれる。電圧/電流変換器は、シャント抵抗器1の端子間の電圧差を信号電流に比例的に変換することができる。
【0019】
電圧/電流変換器3の出力は、信号電流ミラーとも呼ばれる第1の電流ミラー7を介して電流/電圧変換器5に接続されている。したがって、電流/電圧変換器5の出力電圧は信号電流に比例する。
【0020】
さらに、電流の方向およびコモンモード電圧極性にかかわらず、飽和することなくリニアモードで回路を動作させ続けるために、装置は定バイアス電流発生器9も備えている。以後、バイアス電流はIbiasと呼ばれる。
【0021】
定バイアス電流発生器9は電圧/電流変換器3の入力に接続され、その出力は、第2の電流ミラー11を介して電流/電圧変換器5に接続されている。
【0022】
したがって、音響増幅器によって生成される電流にかかわらず、装置が飽和することなくリニアモードで動作するように、バイアス電流発生器9はバイアス電流を生成することができる。
【0023】
各部の実施の形態について以下で詳細に説明し、その後、各部の動作について説明する。
【0024】
電圧/電流変換器3は演算増幅器13を備え、その反転入力が抵抗値R1を有する第2の抵抗器15を介してシャント抵抗器1の入力に接続され、非反転入力がシャント抵抗器1の出力に直接接続され、出力がn型MOSFETトランジスタ17のゲートに接続されている。
【0025】
n型MOSFETトランジスタ17のソースが演算増幅器の反転入力に接続され、ドレインが信号電流を供給する。
【0026】
信号電流ミラーと呼ばれる第1の電流ミラー7は、図2に示すように、
入力信号接続部と接地との間に直列に設けられた第1の抵抗器21および第1の正バイアス電圧発生器23と、
演算増幅器25と、
を備え、
演算増幅器25の非反転入力が第1の抵抗器21の上流の入力信号に接続され、反転入力が第2の抵抗器27によって第1の抵抗器21と第1のバイアス電圧発生器23との間に接続され、出力がp型MOSFETトランジスタ29のゲートに接続され、
p型MOSFETトランジスタ29のソースが演算増幅器の反転入力に接続され、信号ミラー電流を生成するドレインが出力パッドに接続されている。
【0027】
第2の電流ミラー11の構造は、図3に示すように、第1の電流ミラー7の構造に類似している。具体的には、第2の電流ミラー11は、
入力信号接続部と接地との間に直列に設けられた第1の抵抗器31および第1の負バイアス電圧発生器33と、
演算増幅器35と、
を備え、
演算増幅器35の非反転入力が第1の抵抗器31の上流の入力信号に接続され、反転入力が第2の抵抗器37によって第1の抵抗器31と第1のバイアス電圧発生器33との間に接続され、出力がn型MOSFETトランジスタ39のゲートに接続され、
n型MOSFETトランジスタ39のソースが演算増幅器の反転入力に接続され、信号ミラー電流を生成するドレインが出力パッドに接続されている。
【0028】
したがって、2つの電流ミラーの2つの相違点は、MOSFETトランジスタの種類および電圧発生器のバイアスの符号に関連している。
【0029】
最後に、図4に示すように、バイアス電流発生器9は、
演算増幅器43の非反転入力と、第2の端子が接地された第3の負バイアス電圧発生器45との間で基準電圧(Vref)を生成可能な第2の電圧発生器41を備え、
演算増幅器の反転入力がn型MOSFETトランジスタ49のソースに、および抵抗器47を介して第3の電圧発生器45に接続され、
n型MOSFETトランジスタ49のドレインが出力パッドにバイアス電流を供給する。
【0030】
電流/電圧変換器5は、図1に示すように、入力側で演算増幅器53の反転入力と直列に接続された抵抗器51を備える。演算増幅器53の非反転入力は接地されている。演算増幅器53の出力は、抵抗器55を介して反転入力に戻る。
【0031】
したがって、動作中は、信号電流と定バイアス電流は足し合わされて、第1の電流ミラー7において形成される「信号経路」を流れる。
【0032】
バイアス電流は、バイアス電流発生器9と第2の電流ミラー11とを備える「バイアス経路」によって伝えられる。
【0033】
さらに、電流/電圧変換器5の入力側では、「信号経路」と「バイアス経路」との電流は足し合わされるが、バイアス電流はこれら2つの経路で反対方向に流れるため、電流/電圧変換器の入力側で相殺される。
【0034】
なお、従来の構成要素のみを用いた測定回路については、すでに説明されている。
一般に、演算増幅器は低ノイズ演算増幅器であって、比較的低レベルのゲインで動作する。
【0035】
なお、バイアス電流を電流/電圧変換器の入力側で相殺する動作によって、MOSFETトランジスタから寄生電流を取り除くこともできる。
【0036】
さらに、制御された電流源を使用すると、その性質上、電圧の方向に基づく差動アセンブリと比較して、コモンモード電圧の影響が制限される。
【0037】
したがって、音響工学の分野に特に適した、低コストの測定装置についてこれまで説明を行なってきた。
【0038】
アセンブリは、ゼロ周波数電流(DC電流)を測定することもできる。アセンブリはコモンモード電圧に対して非常に高い耐性を有しているため、弱い励磁信号が存在する場合でも、良好な信号ノイズ比でスピーカーを検出することができる。アセンブリの通過帯域は主に演算増幅器の性能によって制限されるため、高周波数でも使用することができる。この特徴によって、可聴周波数領域において、高周波数範囲での信号の減衰が小さくなり、信号の位相シフトが小さくなる。アセンブリによって、電流を素早く保護することが可能になる。アセンブリは高い信頼性を有しているため、これを使用して電流でスピーカーを制御することができる(相互コンダクタンス増幅器が形成される)。
【0039】
本発明は、図面および上記の記載において詳細に図示および記載されているが、これらはあくまで例示であり、本発明は、これらに限定されないと考えるべきである。異なるさまざまな実施の形態が可能である。
【0040】
請求項において、「備える」という用語は他の要素を除外せず、単数は複数を除外しない。
【符号の説明】
【0041】
1 シャント抵抗器、3 電圧/電流変換器、5 電流/電圧変換器、7 第1の電流ミラー、9 バイアス電流発生器。
図1
図2
図3
図4