(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
PCBで汚染された汚染物が取り扱われた作業場を除染すべく該作業場内においてPCBの付着している処理対象物に対してPCBの付着量を低減する工程が実施される作業場の除染方法であって、
前記処理対象物を覆うことが可能な覆い部材を用いて前記処理対象物を覆い、処理対象物の配された一領域と作業場内の他領域との間に前記覆い部材で仕切りを設け、前記一領域の空気のPCB濃度を測定する工程を実施し、該PCB濃度の測定結果に基づき、PCBの付着量を低減する前記工程での前記処理対象物の除染方法を決定する作業場の除染方法。
前記一領域の空気のPCB濃度を測定する前記工程を実施した後に前記処理対象物を覆う前記覆い部材を取り除き、前記覆い部材を取り除いた後に処理対象物の周囲の空気のPCB濃度を測定する工程をさらに実施して、前記要否を決定する請求項2記載の作業場の除染方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について以下に説明する。
なお、以下においては、除染対象となる施設が単一の作業場のみを有する場合を例にして説明する。
図1に示すように本実施形態において除染が行われる作業場10は、平面視における形状が横長な長方形となる床壁11と、該床壁11の4辺よりそれぞれ垂直に立上る側壁12と、前記床壁11よりも上方に配された天井壁13とを備えている。
前記天井壁13の平面視における形状は、床壁11と略共通である。
前記天井壁13と前記床壁11とは、壁面が略平行するように配されており、且つ、平面視における輪郭形状を略一致させるように配されている。
即ち、本実施形態の作業場10は、床壁11、天井壁13、及び、4つの側壁12a,12b,12c,12dによってそれぞれ6面が画定された直方体形状の作業空間を有する。
【0012】
前記作業場10で取り扱われたPCB汚染物としては、例えば、PCBを含む絶縁油が収容されたコンデンサやトランスなどが挙げられる。
本実施形態の作業場10は、PCB汚染物を無害化するための処理施設に設けられたもので、中央部には汚染物を処理するための処理装置20が配されている。
前記処理装置20の具体例を挙げると、例えば、PCB汚染物を切断する切断機、PCB汚染物やその切断片を移送するための搬送機、PCB汚染物やその切断片を洗浄するための洗浄機などが挙げられる。
前記作業場10は、場内の換気を行う換気装置30を更に備えている。
前記換気装置30としては、例えば、作業場内の空気を系外に放出可能な状態に処理して排気Eを行うことによって外気Aを場内に誘引するように構成されたものを採用できる。
前記換気装置30は、例えば、誘引した外気Aによって前記天井壁13から前記床壁11へと向かう気流F(下降流)を場内に形成するものであってもよい。
【0013】
前記作業場10は、例えば、下記の(A)〜(C)に示したような工程を実施して解体することができる。
【0014】
(A)除染対象特定工程
該除染対象特定工程では、作業場内のどの場所にPCBが付着しているかを特定し、後段の除染工程において採用する具体的な除染方法が決定される。
(B)除染工程
該除染工程では、除染対象特定工程でPCBの付着が認められた場所に対して除染が実施され、PCB付着量が実質的に問題のないレベルにまで低減される。
(C)解体工程
該解体工程では、除染工程で十分な除染が行われた作業場の解体を行う。
【0015】
作業場には、通常、作業台、棚、装置類などの設置物が存在しており、PCBは、これらの設置物や作業場の壁面などに付着している可能性がある。
本実施形態においてはPCBの付着状況を周辺の空気に含まれているPCBの量(PCB濃度)に基づいて把握する。
ここで作業場の壁面は、通常、面積が広大なものとなっており、PCBの付着状況を把握するためには数多くの箇所でPCB濃度を測定を行う必要がある。
一方、前記設置物については、通常、付近の1、2箇所で空気をサンプリングすればPCBの付着状況を把握することができる。
但し、作業場の壁面が比較的2次元的であるのに対して設置物は、形状が3次元的であり、しかも、PCBが表面だけに付着しているとは限らず、内部に付着している可能性がある。
そのため、設置物は、PCBの付着を確認することが壁面に比べると容易ではあるもののPCBの付着量を低減させるために要する手間がどの程度発生するかを事前に把握し難い。
一方で、前記壁面は、PCBの付着箇所を特定できればPCBの付着量を低減させることが比較的容易ではあるもののPCBの付着箇所をピンポイントに特定することが難しい。
このため、本実施形態においては、それぞれ複数回ずつの除染対象特定工程と除染工程とを実施し、除染対象特定工程と除染工程とを交互に実施することが好ましい。
この場合、前記除染対象特定工程では、PCB濃度を測定する工程(濃度測定工程)が実施されるため、本実施形態においては除染工程の前後に濃度測定工程が実施される。
即ち、上記のような好ましい実施態様においては濃度測定工程によって除染の程度を確認しつつ複数回の除染工程が実施される。
そして、本実施形態においては、最終的に設置物や壁面のPCB付着量が十分低減できたかどうかについても設置物や壁面の付近における空気中のPCB濃度を測定して確認することが好ましい。
このようなことから本実施形態においては、PCB汚染物の取り扱われた作業場のPCB汚染状況を効率良く把握することができ、且つ、除染の評価を効率良く行うことができる。
【0016】
次に、上記の各工程の具体的な方法について説明する。
(A
−1)除染対象特定工程(初回)
除染対象の特定に際しては、まずはじめに作業場内の空気中のPCB濃度を測定する工程(濃度測定工程)を実施する。
該濃度測定工程は、PCB濃度を測定可能な濃度測定器を1つ又は複数用いて実施することができる。
該濃度測定工程では、
図2に示すように複数の濃度測定器DT1,DT2を用い、該濃度測定器DT1,DT2を作業場内での配置が等間隔となるように縦横に配列し、各濃度測定器DT1,DT2でのPCB濃度の測定を同時進行させることが好ましい。
【0017】
濃度測定工程は、上記のような好ましい方法に代えて、1台の濃度測定器で実施してもよい。
この場合、濃度測定器の設置場所を順次変更しながら複数箇所での測定を実施することになる。
即ち、この場合、濃度測定工程は、1箇所での測定を実施し、該測定を終えた後に濃度測定器を別の場所に移動し、移動後の別の箇所で再び測定を実施するような順送りの方式で実施されることになる。
そのため、この場合は、1つの測定と別の測定とが異なる時間帯で実施されることになる。
濃度測定工程の具体的な実施態様としては、このような1台の濃度測定器を使い回しにするよりも通常は前記のような複数の濃度測定器を同時並行的に稼動させる方が有利である。
即ち、空気中のPCB濃度の測定には、通常、数時間以上もの時間を要するため、PCBの付着箇所が概ね特定できていて測定回数が少なくて済む場合には1台の濃度測定器を使い回しにする方法が有利にはなり得るものの一般的にはこの方法では測定が完了するまでに多大な時間を要することになる。
また、前段の方法は、後段の方法に比べて室温等の測定環境が測定地点によって大きく異ならせることを防止でき、測定結果の相対比較に高い信頼性を発揮させ得る点において有利である。
【0018】
前記濃度測定工程においては、作業場内の特定箇所から気中に拡散されたPCBが他の場所に設置した濃度測定器で検知されると正確な判定を行うことが難しくなる。
従って、前記濃度測定工程を実施する際には、予め前記換気装置30を運転しておくなどして場内の換気(換気工程)を行っておくことが好ましい。
当該換気工程での換気回数は、例えば、1〜10回/hとすることができる。
このような作業場内の換気は、濃度測定工程を開始した後も継続的に実施することが好ましく、少なくとも濃度測定工程を終了するまで継続することが好ましい。
【0019】
前記濃度測定工程では、例えば、側壁12に沿って配した濃度測定器DT1によって壁面におけるPCBの付着状況が確認されるとともに処理装置20などの設置物の付近に配した濃度測定器DT2によって設置物へのPCBの付着状況が確認される。
なお、空気中のPCB濃度は、例えば、環境省環境保健部環境安全課より公示の「モニタリング調査マニュアル」の「第II部 分析方法」の「3.大気中のPOPsモニタリング調査」などに従って求めることができる。
具体的には、空気中のPCB濃度は、捕集材を通じて測定対象となる空気を一定時間吸引する方法でサンプリングを実施し、該捕集材で捕集されたPCBの量をガスクロマトグラフ/高分解能質量分析計(GC/HRMS)で定量することによって求めることができる。
前記作業場10の壁面などに一定量以上のPCBが付着している場合、PCBの拡散によってその近辺の空気中のPCB濃度が上昇する。
そのため、当該工程では、捕集材で捕集されたPCBの量によって周囲の壁面にPCBがどの程度付着しているかが把握され得る。
【0020】
前記濃度測定工程は、設置物を移動させてから実施してもよい。
即ち、濃度測定工程は、作業場内の1又は2箇所以上に複数の設置物をまとめておいた上で実施してもよい。
この場合、壁際に設けられている設置物を場内の中央部に移動させておけば壁面におけるPCBの付着状況を確認するための濃度測定器DT1を側壁12の近くに配置できるようになる。
また、複数の設置物をまとめておくことで、複数の設置物に対して1つの濃度測定器DT2でPCBの付着状況を確認することができる。
なお、この場合、まとめられた一つの設置物と他の設置物とのいずれにPCBが付着しているのかが判断し難くなるものの引き続きこれらに対して除染工程が行われる場合は、これらをまとめて除染できるという効果を奏することになる。
【0021】
前記設置物は、解体されていてもよい。
設置物に対するPCB付着量が同じであっても、設置物の表面にPCBが付着している場合よりも内部にPCBが入り込んでしまっている場合の方が、空気中のPCB濃度としては低い値が観測され得る。
また、通常、内部にPCBが入り込んでしまっている設置物の方が、表面にPCBが付着している場合に比べて除染工程でPCBを除去し難い。
そこで、内部にPCBが入り込んでしまっているような設置物については、解体されることで濃度測定器での検知感度が向上されるとともに除染工程では効率良くPCBが除去されるという効果が期待できる。
【0022】
以上のようにして除染対象特定工程では、設置物や壁面におけるPCBの付着状況が確認されることになる。
なお、一部の設置物や壁面の一部においてPCBの付着が明らかである場合や逆にPCBが付着していないことが明らかであれば、これらの付近の空気中のPCB濃度を測定する必要はない。
本実施形態においては、後述するように、PCBが付着した壁面や設置物に対してPCB付着量を低減するための除染工程が実施されるとともに除染工程が行われた後の壁面や設置物に対して十分な除染が行われたかどうかの判定(卒業判定)が行われる。
そのため、PCBの付着が明らかであれば付近の空気中のPCB濃度を測定することなく除染工程の実施対象とすればよく、PCBが付着していないことが明らかであれば除染工程も行わずに卒業判定の実施対象とすればよい。
【0023】
また、除染対象特定工程では、上記のようにしてPCB付着状況を把握した後に、さらに一部の領域に対して詳しい調査を実施するようにしてもよい。
この調査対象が除染対象特定工程でまとめてPCB付着量の判定が行われた複数の設置物である場合、これらを2以上に分けて改めてそれぞれのPCB付着状況を確認してもよい。
詳しい調査の対象が壁面である場合、前記作業場内に仕切りを設けて場内を区分けする区分け工程を実施し、当該区分け工程によって他の領域から区分けされた領域においてPCB濃度を測定すればよい。
このように一部の領域を他の領域から区分けをすることで壁面等に付着しているPCBから空気中に拡散した微量のPCBが当該領域以外にまで拡散してしまうことを防ぐことができる。
そのため、区分け工程を設けることで当該領域でのPCBの壁面付着の有無やその付着量に関してより高精度の情報を得ることができる。
【0024】
区分け工程で仕切りを設けて区分けされる領域の広さは、狭い方がPCBの壁面への付着状況について精度の高い情報を得ることができる。
その一方で、区分けする数を減らして区分け工程を簡略化する上では前記領域が広い方が好ましい。
そのため、区分け工程で区分けする領域は容積として10〜30m
3程度となるように壁や天井を仕切りで覆って区分けすることが好ましい。
【0025】
該区分け工程で設ける仕切りは、天井壁側や床壁側に隙間を生じるように設けてもよいが、隣接する別の領域との間に対流等による空気の置換が生じないようにするためには、床壁側と天井壁側との少なくとも一方に接するように設けられることが好ましく、床壁側と天井壁側との両方に接するように設けられることが特に好ましい。
前記仕切りは、矩形フレームに樹脂シートを張った衝立を設置したり、樹脂シート単体を天井壁から吊り下げるなどして形成させることができる。
【0026】
区分け工程は、例えば、
図3に示すような方法で実施できる。
即ち、区分け工程は、平面視における仕切り40の配置状況が“格子状”となるようにして作業場内の空間を複数の領域10aに区分けする方法で実施できる。
このように区分けされた各領域10aを測定対象とした濃度測定工程を再び実施することで、作業場のどのあたりにどの程度の量のPCBが付着しているかを詳しく把握することができる。
即ち、本実施形態においては、区分けされた複数の領域10aの内の一部を除染対象から除外したり、一部を他の領域よりも簡易な方法で除染したりすることができる。
【0027】
図3に示すような区分けは、例えば、
図4に示したように平面視における形状が“コの字状”となるような部材40xを複数用意し、該部材40xを
図5に示すように配置して行うことができる。
このようにPCBの付着箇所をより狭い範囲に特定することで、除染工程では、より効率的な除染が行われうる。
【0028】
(B
−1)除染工程(初回)
除染工程では、除染対象特定工程で除染が必要と判断された設置物や壁面に対してPCBの付着量を低減させる処理が施される。
前記除染工程では、予め定めておいた複数の方法の中から選択される方法によって除染が実施されることが好ましい。
しかも、複数の前記方法は、この除染工程の直前に行われる濃度測定工程での測定結果(測定されるPCB濃度の高低)に応じて予め定められた方法であることが好ましい。
即ち、本実施形態においては、「濃度測定工程で測定されるPCB濃度が0(μg/Nm
3)以上x(μg/Nm
3)以下の場合は、『X』という除染方法を採用し、前記PCB濃度がx(μg/Nm
3)を超えy(μg/Nm
3)以下の場合は『Y』という除染方法を採用し、前記PCB濃度がy(μg/Nm
3)を超えz(μg/Nm
3)以下の場合は『Z』という除染方法を採用する」ということを予め定めておき、この事前の取決めに基づいて各領域を除染する方法を決定することが好ましい(但し:0<x<y<z)。
【0029】
設置物や壁面などの処理対象物におけるPCBの付着量を低減する方法としては、PCBを洗浄除去する方法や、処理対象物に付着しているPCBを蒸発除去する方法などが挙げられる。
より具体的には、前記方法としては、例えば、以下のような複数の方法が挙げられる。
・処理対象物の周囲の空気を該空気よりもPCB濃度の低い空気に置換して処理対象物に付着しているPCBを蒸発除去させる方法(単純換気方法)
・処理対象物を加熱し、付着しているPCBの空気中への拡散を促進しつつ処理対象物の周囲の空気を該空気よりもPCB濃度の低い空気に置換して処理対象物に付着しているPCBを蒸発除去させる方法(加熱換気方法)
・処理対象物を洗浄剤で洗浄して処理対象物に付着しているPCBを除去する方法(単純洗浄方法)
・処理対象物を加熱しつつ洗浄して処理対象物に付着しているPCBを除去する方法(加熱洗浄方法)
【0030】
前記設置物を当該除染工程での処理対象物とする場合、単純換気方法や加熱換気方法によってPCBを蒸発除去することが好ましい。
PCBを蒸発除去する方法は、処理対象物を洗浄する方法に較べて手軽に実施することができる点において好適である。
該方法の具体的な実施態様としては、処理対象物となる場内の設置物を覆うことが可能な覆い部材を用いて設置物を覆い、設置物の配された一領域と作業場内の他領域との間に前記覆い部材で仕切りを設け、前記一領域における空気のPCB濃度よりもPCB濃度の低い空気を当該一領域に供給する方法が挙げられる。
なお、この方法で用いる覆い部材としては、
図4に示したようなものでもよく、単なるシート(例えば、樹脂シート、ゴムシート、布帛)などであってもよい。
また、PCBを低減させるために前記領域内に供給する空気(PCB低減用空気)としては、PCB濃度が1μg/Nm
3以下であることが好ましい。
【0031】
前記PCB低減用空気としては、例えば、外気を利用することが好ましいが、必要であれば、作業場内における前記領域外の空気や前記領域内の空気をも利用できる。
この点についてより詳しく説明すると、例えば、覆い部材で覆われた領域の周辺におけるPCB濃度が領域内の空気よりも十分低い場合(例えば、PCB濃度が1μg/Nm
3以下であるような場合)であれば、この空気を前記領域内に供給してPCB低減用空気として活用することができる。
このとき前記領域からはPCBを含んだ空気を排気することが必要になるが、当該排気はPCBを捕捉可能なフィルターを通じて場内の他の領域に排出してもよい。
フィルター通過後の排気は、条件を満たせば屋外に排出してもよい。
【0032】
前記PCB低減用空気は、前記のように領域内の空気を使って発生させてもよい。
この点についてより詳しく説明すると、例えば、前記フィルターを有する換気装置を前記領域内又は前記領域外に設置し、該換気装置を使って前記領域内の空気を前記フィルターに通してPCB濃度を低減させ、該フィルター通過後の空気を再び前記領域に供給して処理対象物のPCB付着量を低減させるようにしてもよい。
【0033】
これらの方法においては、処理対象物からのPCBの蒸発を促進すべく前記領域内を加熱することが好ましい。
前記領域内の加熱方法としては、例えば、前記領域内にヒーターなどの加熱装置を設置したり、前記PCB低減用空気を前記領域内の気温よりも高温にして前記領域内に供給する方法などが挙げられる。
なかでも前記領域の加熱方法としては、前記領域内の気温よりも高温(例えば、30℃〜80℃、好ましくは、40℃〜60℃)のPCB低減用空気を前記領域内に供給する方法が簡便である点において好適である。
【0034】
この除染工程では、十分な除染が実施されたかどうかを判断するために前記領域の空気のPCB濃度をモニタリングしつつ実施することが好ましい。
具体的には、前記除染工程では、例えば、領域内にPCB濃度が1μg/Nm
3未満の空気を供給し、排気におけるPCB濃度が10μg/Nm
3未満となるまで換気を継続するような方法を採用することが好ましい。
【0035】
一方で、前記洗浄除去においては、洗浄液を収容した浴に処理対象物を浸漬する方法、蒸気洗浄やスプレー洗浄する方法などの方法を採用することができる。
【0036】
前記除染工程は、処理対象物が設置物ではなく側壁12などである場合においても単純換気方法や加熱換気方法といった蒸発除去による方法を採用することが好ましい。
これらの方法では換気回数が多い方がPCB量の低減を図る上において有利となる。
したがって、壁面を除染する際においても、設置物の除染について説明したような覆い部材を用いることが好ましい。
即ち、除染対象となる壁面を覆うようにして覆い部材を配置することによって覆い部材と壁面との間に他の領域から区分けされた領域を形成できる。
そして、該領域については、その容積を小さくすることで同じ風量の換気装置を用いて換気する場合でも換気回数を増やすことができる。
【0037】
この点に関して、
図6を例示しつつ詳細に説明する。
ここでは、除染の対象となる個々の壁面を含む複数の領域10aを形成させるのに
図4に例示したような部材40xを覆い部材として使用する。
そして、前記除染対象特定工程において4つの側壁12a,12b,12c,12dの内の第1の側壁12aの付近での空気中のPCB濃度が他の3つの側壁12b,12c,12dの付近での空気中のPCB濃度よりも高く観測された場合、この第1の側壁12aに対して用いる覆い部材(40x’)を他の側壁12b,12c,12dに対して使用する覆い部材(40x)よりも小型のものとし、該側壁12aに沿って形成される領域10a’の容積を他の側壁12b,12c,12dに沿って形成される領域10aよりも小さくすることができる。
【0038】
側壁12に沿って形成される各領域10a,10a’については、前記設置物について説明した方法と同様にPCB低減用空気を外部より供給したり、領域内の空気をフィルターを通してPCB低減用空気となした上で領域内に返送したりしてPCBの低減を図ることができる。
このとき、第1の側壁12aに沿って形成される領域10a’と、他の側壁12b,12c,12dに沿って形成される領域10aとに供給するPCB低減用空気の量(換気量)を共通させたとしても、第1の側壁12aに沿って形成される領域10a’の方が狭い分だけ多くの換気回数で除染が行われることになる。
従って、上記のような好ましい態様によれば、目的とするPCBの低減化を達成するために換気を行う期間が第1の側壁12aに沿った領域10a’においてのみ著しく長期化することを抑制できる。
【0039】
このような除染工程では、前記の加熱換気方法による除染を実施することが好ましく、壁面の温度が30℃以上になるように加熱を行うことが好ましく、40℃以上になるように加熱を行うことがより好ましく、50℃以上になるように加熱を行うことが特に好ましい。
但し、加熱換気方法において壁面を過度に加熱すると発火を生じるおそれがあることから、壁面の加熱温度は、最も高温となる部位でも80℃以下とすることが好ましく、60℃以下とすることがより好ましい。
壁面の加熱方法としては、例えば、投光機などによる光照射や、輻射ヒーター、温風ヒーターなどのヒーターで加熱する方法が挙げられる。
なお、本実施形態においては、第1の側壁12aに沿った領域10a’での加熱温度を他の側壁12b,12c,12dに沿った領域10aでの加熱温度よりも高温としてもよい。
【0040】
この壁面を除染対象とした工程でも、設置物を処理対象物とした工程と同様に、十分な除染が実施されたかどうかを判断するために前記領域の空気のPCB濃度をモニタリングしつつ実施することが好ましく、領域内にPCB濃度が1μg/Nm
3未満の空気を供給し、排気におけるPCB濃度が10μg/Nm
3未満となるまで換気を継続するような方法を採用することが好ましい。
【0041】
上記のように単純換気方法や加熱換気方法による除染は複雑な手間を生じない点で優れるものの作業場の壁面におけるPCBの付着量が比較的多いような場合には換気回数での調整や領域内の加熱温度での調整を行っても除染工程を完了するまでに長い時間が必要になる場合がある。
これに対し単純洗浄方法や加熱洗浄方法は、PCBの付着量が比較的多いような場合にも短時間に除染を行い得る点において優れている。
そこで本実施形態においては、PCBの付着量が比較的多い第1の側壁12aになどにおいて除染工程の短期化を優先させるような場合は、単純洗浄方法や加熱洗浄方法といった洗浄剤を用いた方法が採用されてもよい。
即ち、上記のような場合は、前記壁面を洗浄剤で洗浄することによって該壁面に付着しているPCBを除去する洗浄工程が実施され得る。
【0042】
前記のように壁面を洗浄する場合、本実施形態においては、前記洗浄剤で洗浄除去することが可能な着色剤で前記壁面に着色を施す着色工程が前記洗浄工程の前にさらに実施され得る。
前記着色工程を実施することで洗浄済み箇所と未洗浄箇所とが見た目で区別可能となる。
即ち、洗浄工程前に着色工程が実施されることで洗浄が不十分な箇所が生じることを抑制することができ、より均一で確実な除染が実施されることになる。
【0043】
前記着色工程は、例えば、着色剤と、該着色剤の分散媒となる液体とを含む着色液を調製し、該着色液を除染対象となる壁面に塗布して壁面に塗膜を形成するような方法で実施できる。
前記液体は、PCBが可溶な液体から選択されることが好ましい。
このような液体を壁面に塗布すると、細かな隙間などに入り込んだPCBが洗浄工程前に抽出されるため洗浄工程での洗浄効率(PCB除去効率)を向上させ得る。
そこで、着色工程を完了した後、洗浄工程を開始するまでの間には、着色液によるPCBの抽出のための時間をある程度確保することが好ましい(例えば、1時間以上48時間以下)。
【0044】
前記着色液は、壁面への塗布し易さを勘案すると低粘度であることが好ましい。
その一方で、壁面への付着量を一定以上確保してPCBの抽出などに十分な機能を発揮させることを勘案すると一定以上の粘度を有することが好ましい。
そのようなことから、前記液体そのものや前記着色液の30℃における粘度は、10mPa・s以上150mPa・s以下であることが好ましい。
【0045】
着色液のベースとなる前記液体としては、例えば、絶縁油や流動パラフィンなどが挙げられる。
前記着色液は、壁面に塗布された際に乾燥被膜を形成せずウェットな状態に維持されるものが好ましい。
従って、前記液体として絶縁油を採用する場合、当該絶縁油は、JIS K0070:1992に基づいて求められるよう素価が低いことが好ましく、該よう素価が100以下であることが好ましく、よう素価が50以下であることがより好ましい。
また、前記液体としては、高分子量化の要因となり得る不飽和成分を実質的に含有していない点において、流動パラフィンが好適である。
【0046】
前記着色液は、PCBが十分に除去されるまで壁面に付着していることが好ましい。
そのため、除染工程を加熱洗浄方法などによって実施する場合を考慮すると、前記液体は、高沸点であることが好ましい。
具体的には、前記液体の沸点(初留点)は、250℃以上600℃以下であることが好ましく、300℃以上550℃以下であることがより好ましい。
該液体とともに着色液を構成する着色剤は、親油性に優れたものが好ましく、例えば、スダンレッドなどと称される芳香族有機化合物などが好ましい。
【0047】
このような着色液の壁面への塗布は、刷毛塗り、ローラ塗工、スプレー塗工などといった一般的な方法によって実施できる。
該着色液を用いた前記着色工程では、着色前の壁面に対して着色後の壁面が色合いの違いが十分に認識可能となるように実施されることが好ましい。
具体的には、前記着色工程は、着色前後の壁面の色差をL
*、a
*、b
*表色系で表した場合に、該色差(ΔE
*)が0.5以上となるように実施されることが好ましく、色差(ΔE
*)が1.5以上となるように実施されることがより好ましく、色差(ΔE
*)が3.0以上となるように実施されることが特に好ましい。
【0048】
ここで洗浄工程(除染工程)においては、壁面に付着しているPCBが十分に洗浄除去されたかどうかの指標として前記着色液が活用可能であることが好ましい。
そのためには、洗浄工程において少なくとも目的とする除染レベルに到達するまで着色剤が壁面に付着していることが好ましい。
しかしながら、着色工程で壁面に塗布した着色液がどのように洗浄除去されるかは着色工程での塗膜の形成厚みや洗浄工程での洗浄条件などによって左右される。
従って、本実施形態においては、PCBが付着した前記壁面の一部を試験体として利用し、又は、前記壁面とは別にPCBが付着した試験体を用意し、前記洗浄剤で該試験体を洗浄する試験洗浄工程を前記洗浄工程の前に実施することが好ましい。
該試験洗浄工程では、着色剤で着色された前記試験体の洗浄を実施することでPCBが十分に洗浄除去されるまで着色剤を壁面に残存させるための洗浄条件を見出すことができる。
【0049】
当該試験洗浄工程の具体例を以下に示す。
試験洗浄工程で実施する洗浄としては、原則的に後段の洗浄工程と同様の方法を採用する。
試験洗浄工程や洗浄工程で実施する壁面の洗浄は、例えば、ノズルガンを備えた高圧洗浄機を用いて実施できる。
高圧洗浄機は、洗浄対象に洗浄剤を吹き付けるノズルと、該ノズルから噴射される洗浄剤の周囲への飛散を防止すべく前記ノズルを包囲するフードと、洗浄対象に吹き付けられた直後の洗浄剤(汚水)を吸引する吸引機構とを備えたものが好ましい。
試験洗浄工程や洗浄工程で用いる洗浄剤としては、例えば、界面活性剤を含む水や過熱水蒸気などが上げられる。
【0050】
本実施形態の試験洗浄工程は、濃度測定工程でPCB濃度の測定された複数の領域の内、最も高いPCB濃度の測定された領域の壁面を選定して実施される。
即ち、本実施形態では、この領域の壁面を試験体として利用して試験洗浄工程が実施される。
また、前記試験体は、着色工程で実施する着色方法と同様の方法で着色されたものを用いる。
【0051】
試験洗浄工程では、着色が施された壁面(試験体)の一部に対して、着色剤が残存するように第1の洗浄を実施する。
そして、この第1の洗浄を実施した部分に対する拭き取り調査でPCBが目的とする量以下になっているかどうかを調査する。
もし、拭き取り調査の結果、PCBが目的とする量以下になっていれば、後段の洗浄工程では、この第1の洗浄で実施した条件を最低限の洗浄条件に設定して洗浄対象となる全ての壁面に対して洗浄を実施する。
即ち、洗浄工程では、着色剤が残らないように洗浄することで壁面を十分に除染された状態とすることができる。
【0052】
仮に、拭き取り調査の結果、PCBが目的とする量を超えていれば、先の壁面の別の箇所に対して第2の洗浄を実施する。
該第2の洗浄では、第1の洗浄よりも洗浄時間を長くしたり、洗浄剤の種類や温度を変更したり、洗浄剤の吹き付け圧力を高めたりして洗浄条件を強化する。
なお、この第2の洗浄も洗浄後の壁面に着色剤が残存するような条件で実施する。
そして、第1の洗浄後と同様に拭き取り調査でPCBの除染状況を調査し、問題がなければ、この第2の洗浄の条件に基づいて洗浄工程を実施する。
仮に、第2の洗浄でもPCBの除染が不十分であると判断される場合は、第3の洗浄、第4の洗浄と複数段階に条件を強化した洗浄を実施し、目的とする程度にまでPCBが除染され、且つ、着色剤が洗浄後の壁面に残存する洗浄条件を探し出す。
【0053】
上記のような条件が見付からない場合は、着色工程の条件を見直し、第1の洗浄を行った試験体(第1の試験体)よりも着色剤が洗浄除去され難い試験体(第2の試験体)を改めて作製して再び洗浄条件の検討を実施する。
第2の試験体は、例えば、着色液を第1の試験体よりも厚く塗布したり、用いる着色剤を洗浄剤で洗浄され難いものに変更したりして作製することができる。
このようにして試験洗浄工程では、PCBの付着量が十分低減され、且つ、着色剤が壁面に残る洗浄条件が見出される。
なお、前記のように試験洗浄工程の結果次第では、着色工程の条件を見直す必要が生じる場合があることから、試験洗浄工程は着色工程前に実施することが好ましい。
【0054】
また、試験洗浄工程では着色剤が残存するように洗浄を行い、PCBの付着量の程度を確認しているが、試験洗浄工程で着色剤がなくなるまで第1の洗浄を実施し、第1の洗浄を行った部分に対して拭き取り調査を行い、PCBが目的とする量以下になっているかどうかを調査するようにしても良い。
この場合、PCBが目的とする量以下になっていない場合は着色剤の条件を変えて、再度第1の洗浄を行いPCBの付着量を再度確認する。これを繰り返すことで、着色剤が除去された時点でPCBの付着量が十分に低減されているかどうかを確認するようにしてもよい。
【0055】
着色剤が壁面に残っていることは、見た目だけで判断可能であることが好ましく、洗浄後の壁面と着色前の壁面とは前記色差(ΔE
*)が0.5以上となることが好ましく、前記色差(ΔE
*)が1.5以上となることがより好ましく、前記色差(ΔE
*)が3.0以上となることが特に好ましい。
そして、このようにして見出された条件で洗浄工程を実施すれば、除染の対象となった壁面に対する除染状況を視覚的に把握することができる。
【0056】
本実施形態においては、濃度測定工程でPCB濃度の測定された複数の領域の内、最も高いPCB濃度の測定された領域での試験によって洗浄工程の条件が設定されるため、他の領域でも着色剤が残らないように洗浄されることで十分な除染が実施されることになる。
なお、仮に、濃度測定工程でPCB濃度の測定された複数の領域の内、最も高いPCB濃度の測定された領域(第1領域)が2番目に高いPCB濃度が測定された領域(第2領域)に比べて格段に高いPCB濃度が測定されている場合、前記第1領域を基準にして洗浄工程の条件設定を行うと第2領域を含めた他の領域では過剰な洗浄が実施されることになる。
そのような場合、第2領域の壁面を試験体として試験洗浄工程を実施し、第1領域の洗浄条件を他の領域とは異なる条件に設定するようにしてもよい。
このような場合も、第1領域以外の領域では、過度な手間を必要とせずに確実な除染が実施されうる。
即ち、洗浄工程において洗浄を行う壁面を複数の領域に分け、少なくとも1つの領域に比べて単位面積当たりのPCB付着量の多い領域を試験体として試験洗浄工程を実施すれば、洗浄工程での効率向上を図り得る。
なお、PCBの付着が極めて局所的であり洗浄工程で洗浄を行う壁面の一部を使って試験洗浄工程を実施したのでは洗浄工程の条件設定が不正確なものになってしまうおそれがある場合、前記壁面とは別に用意した試験体(壁面よりもPCBを均一に付着させた試験体)を用いて試験洗浄工程を実施してもよい。
【0057】
(A
−2)除染対象特定工程(2回目以降)
上記のような除染工程が実施された後は、PCBの低減が不十分でPCB残留量が目標としていたレベルに到達していない箇所を抽出すべく改めて除染対象特定工程を実施することが好ましい。
この2回目以降の除染対象特定工程では、原則的に初回の除染対象特定工程と同様に空気中のPCB濃度を測定する濃度測定工程によって除染の要否が判断される。
空気中のPCB濃度を測定してPCBの付着箇所を特定する上においては、前記仕切り40を活用することが好ましい。
従って、初回の除染対象特定工程では設けられていなかった仕切り40が、除染工程において設けられている場合、2回目以降の除染対象特定工程で実施される濃度測定工程ではこの仕切り40を活用することが好ましい。
そして、この濃度測定工程では、仕切り40によって区分けされた各領域10a,10a’ごとに残留PCBの有無を確認することが好ましい。
このときの濃度測定工程で一部の領域にPCBの残留が確認された場合、当該濃度測定工程でPCB濃度が測定された領域を該領域よりも狭い狭小領域に区分けする再区分け工程を実施し、該狭小領域においてPCB濃度を測定することが好ましい。
即ち、本実施形態においては、前記除染工程後には、第1の濃度測定工程と、第2の濃度測定工程とを含む2回以上の前記濃度測定工程を実施し、且つ、前記第1の濃度測定工程を、前記第2の濃度測定工程よりも前に実施し、前記第1の濃度測定工程でPCB濃度が測定された領域を該領域よりも狭い狭小領域に区分けする再区分け工程を実施することが好ましい。
そして、前記第2の濃度測定工程では、前記狭小領域において前記PCB濃度を測定することが好ましい。
このことによりPCBの付着箇所(除染を要する箇所)をより狭い範囲で特定できる。
この狭小領域についての除染は、前記の除染工程と同様にして実施できる。
なお、前記濃度測定工程においてPCB濃度が十分に低く、これ以上の除染を要しないと判断された領域においては、仕切り40等は、もはや不要となるので撤去してもよい。
【0058】
(B
−2)除染工程(2回目以降)
2回目以降の除染対象特定工程で除染が必要と判定された箇所における除染工程について
図7、8を参照しつつ説明する。
なお、2回目以降の除染工程でも初回の除染工程と同様に具体的な処理方法は、予め定めた方法を採用することが好ましい。
即ち、ここで採用する除染方法は、直前の濃度測定工程でのPCB濃度の測定結果に基づいて場合分けされた方法であり、初回の除染工程と同様に予め定めておいた方法である。
【0059】
図7は、この除染工程で除染がなされる再区分け工程後の狭小領域10bの様子を示したものである。
そして、当該狭小領域10bでの前記単純換気方法や前記加熱換気方法に関し、
図8を参照しつつより具体的に説明する。
図8は、
図7に破線Xで示した部分について示したもので、再区分け後の狭小領域10bにおいて換気によって除染を実施する様子を示したものである。
また、
図8は、屋外OTDと屋内INDとを仕切る側壁12bに沿って並んだ4つの狭小領域10b
1,10b
2,10b
3,10b
4と、これらの狭小領域に側壁12bの逆側において隣り合う4つの狭小領域10b
5,10b
6,10b
7,10b
8と、の合計8つの狭小領域の配置状況、及び、各々の領域での除染方法の概要を示したものである。
【0060】
第1の狭小領域10b
1についての除染工程では、作業場10の換気を行うための既設の換気装置30とは別の換気装置EXを配置して当該狭小領域の除染が実施される。
該除染工程で新たに設ける換気装置EXは、吸引した空気を排出するまでの間に活性炭フィルターなどのPCBを除去可能なフィルターを備えたものである。
即ち、換気装置EXは、作業場内の空気を吸引し、該空気よりもPCB濃度が低い排気を生じさせ得るものとなっている。
そして、第1の狭小領域10b
1では、当該領域内に設置した換気装置EXで領域内の換気を実施して除染が実施される。
【0061】
前記加熱換気方法を実施する場合、第2の狭小領域10b
2について図示したように、当該狭小領域の壁(床壁11、側壁12、天井壁13)の表面を加熱するための加熱装置HTを換気装置EXとともに設置し、前記換気とともに該加熱装置HTでの壁面の加熱を実施してもよい。
【0062】
このような単純換気や加熱換気による除染では、第3の狭小領域10b
3や第4の狭小領域10b
4について図示したように、当該狭小領域に外気Aを導入しつつ実施してもよい。
この場合、領域内にPCBが実質的に含まれていない外気が導入されるため、除染が速やかに行われうる。
但し、この場合、これらの狭小領域10b
3,10b
4に導入した外気Aの量に見合う排気を実施する必要がある。
この排気については、例えば、既設の換気装置30を用いて処理することができる。
【0063】
前記換気装置EXは、換気が必要な1つの狭小領域に対して2以上設置してもよい。
逆に1台の換気装置EXが複数の領域の換気に兼用されてもよい。
例えば、
図8では、第5の狭小領域10b
5と第6の狭小領域10b
6との間に配した1台の換気装置EXでこれらの狭小領域10b
5,10b
6を除染する様子が図示されている。
この場合、第5の狭小領域10b
5と第6の狭小領域10b
6との換気を1台の換気装置EXで同時進行させてもよく、第5の狭小領域10b
5の換気による除染が終了した後で第6の狭小領域10b
6の換気を開始するような形で除染工程を実施にしてもよい。
【0064】
また、第7の狭小領域10b
7と第8の狭小領域10b
8について示したように複数の狭小領域を1台の換気装置EXで除染する場合、1つの狭小領域においては壁面の加熱を実施し、該狭小領域とは別の狭小領域では壁面の加熱を実施しないようにしてもよい。
なお、上記においては再区分けされた後の狭小領域10bについて説明をしているが、上記のような除染は再区分け前の各領域10aや、区分け前の作業場全体を対象に実施できる。
また、上記のような除染は設置物に対する除染方法にも適用可能である。
【0065】
本実施形態においては、さらに、第3の除染対象特定工程や第3の除染工程を必要に応じて実施することができる。
以上のような除染工程後、解体工程前には、必要に応じて十分な除染が実施されているかどうかを確認するための卒業判定を実施してもよい。
具体的には、全ての領域において除染が完了したと判断される場合には、
図2に示したように仕切りを撤去した状態で全体に対するPCB濃度測定を実施して卒業判定を実施することが好ましい。
なお、この場合は、換気装置30は運転せずに(気流が生じることを規制しつつ)空気中のPCBの濃度を測定することが好ましい。
なお、前記卒業判定は、壁面や設置物の表面に対する拭き取り調査などによっても実施できる。
そして、解体工程については、一般的な施設の解体方法と同様の方法にて実施できる。
【0066】
本実施形態においてはPCBで汚染された汚染物が取り扱われた作業場を除染すべく該作業場内においてPCBの付着している処理対象物に対してPCBの付着量を低減する工程が実施される。
しかも、本実施形態においては、前記処理対象物を覆うことが可能な覆い部材を用いて前記処理対象物を覆い、処理対象物の配された一領域と作業場内の他領域との間に前記覆い部材で仕切りを設け、前記一領域の空気のPCB濃度を測定する工程を実施する。
そのため、本実施形態においては、作業場の壁面や作業場内の設置物といった処理対象物におけるPCBの付着状況を簡単に把握することができる。
即ち、本実施形態においては、処理対象物の除染の要否や処理対象物に適した除染方法が把握でき、PCB汚染物の取り扱われた作業場を効率良く除染し、かつ確実に除染されていることを効率的に評価することができる。
【0067】
本実施形態においては前記一領域における空気のPCB濃度よりもPCB濃度の低い空気を前記一領域に供給することによって前記処理対象物に付着しているPCBを空気中に蒸発させる工程がさらに実施される。
このような空気を用いての除染は、洗浄剤を用いた洗浄方法等に比べて手軽でありPCB汚染物の取り扱われた作業場の効率よい除染に有効である。
【0068】
本実施形態においては前記一領域の空気のPCB濃度を測定する前記工程を実施した後に前記処理対象物を覆う前記覆い部材が取り除かれ、前記覆い部材を取り除いた後に処理対象物の周囲の空気のPCB濃度を測定する工程がさらに実施される。
そのため、本実施形態においては処理対象物とその周囲とが十分に除染されたことを確実に把握し得る。
【0069】
本実施形態においては上記のような好ましい構成を備えることで上記のような有利な効果が発揮されるため特定の事例に基づいて本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記例示に何等限定されるものではない。
即ち、本発明を実施するのにあたっては、上記例示に対して各種の変更を加えてもよい。