特許第6872388号(P6872388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872388
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 49/00 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   H01L49/00 Z
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-49257(P2017-49257)
(22)【出願日】2017年3月15日
(65)【公開番号】特開2017-212430(P2017-212430A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2020年1月15日
(31)【優先権主張番号】特願2016-100875(P2016-100875)
(32)【優先日】2016年5月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】津國 和之
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 友和
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】高野 光
【審査官】 小山 満
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/087388(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/065093(WO,A1)
【文献】 特開2016−014128(JP,A)
【文献】 特開2016−082125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電極と、
n型金属酸化物半導体からなるn型金属酸化物半導体層と、
n型金属酸化物半導体と絶縁体からなるn型金属酸化物半導体・絶縁物層と、
絶縁体を主成分とする中間絶縁層と、
p型金属酸化物半導体からなるp型金属酸化物半導体層と、
第二電極と、
をこの順序で積層した後に、
前記第一電極を基準として前記第一電極と前記第二電極との間に正電圧を印加する第一のプロセスと、
前記第一電極を基準として前記第一電極と前記第二電極との間に0Vを印加する第二のプロセスを第1単位サイクルとし、予め定められた数の前記第1単位サイクルを繰り返すことにより、前記中間絶縁層とp型金属酸化物半導体層の間に前記p型金属酸化物半導体と前記中間絶縁層の前記絶縁体が混在した混在層を形成すること、
を特徴とする酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項2】
前記第一電極をグランド接続した場合、前記第一のプロセスにおける前記第二電極に印加する正電圧の値は、少なくとも前記酸化物半導体二次電池の充電電圧以上の値を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記第一のプロセスには、前記第一電極と前記第二電極との間に、正電圧が印加された状態を一定時間保持するプロセスが含まれ、
前記第二のプロセスには、前記第一電極と前記第二電極との間に0Vが印加された状態を一定時間保持するプロセスが含まれていること、
を特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項4】
前記第一のプロセスにおいて、
前記第一電極と前記第二電極との間に印加する正電圧は、サイクル毎に異なる電圧値が設定されること、
を特徴とする請求項3に記載の酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項5】
前記第一のプロセスにおいて、
前記第一電極と前記第二電極との間を流れる電流の値が、前記第一のプロセスで予め定められている電流値を超えないように、前記第一電極と前記第二電極との間に印加する正電圧を各プロセスで制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記第一のプロセスにおける、正電圧を印加する正電圧印加時間は、前記酸化物半導体二次電池の放電容量の増加とともに長くすること、
を特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項7】
正電圧を印加する正電圧印加時間は、
前記酸化物半導体二次電池の電圧値が予め定められた設定電圧値に達するまでの時間であること、
を特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項8】
前記第一のプロセス及び前記第二のプロセスに加えて、
前記酸化物半導体二次電池の放電容量を測定する第三のプロセスを有し、
前記第1単位サイクルを、所定のサイクル数繰り返した後に、前記第三のプロセスを実行し、
前記酸化物半導体二次電池の放電容量が予め定められた閾値以上であることが測定された場合に電圧の印加を終了させること、
を特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記第一のプロセス及び前記第二のプロセスに加えて、
前記酸化物半導体二次電池の放電容量を測定する第三のプロセスと、
前記第三のプロセスで測定された放電容量に基づき、前記酸化物半導体二次電池の放電容量の増加率を所定の時間間隔で算出する第四のプロセスと、
を有し、
前記第1単位サイクルを、所定のサイクル数繰り返した後に、前記第三のプロセス、及び前記第四のプロセスを実行し、
前記放電容量の増加率が予め定められた閾値以下である場合に電圧の印加を終了させること、
を特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項10】
前記中間絶縁層は、シリコーンオイル又は抵抗調整剤が添加されたシリコーンオイルを、前記n型金属酸化物半導体・絶縁物層の表面上に塗布した後、焼成し、焼成後に紫外線を照射してUV硬化させることにより形成すること、
を特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項11】
前記中間絶縁層は、シリコン(Si)をターゲットとするスパッタリングにより前記n型金属酸化物半導体・絶縁物層の上に形成すること、
を特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項12】
前記中間絶縁層の絶縁体は、SiO(0≦x≦2)であること、
を特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項13】
前記p型金属酸化物半導体は、酸化ニッケル(NiO)であること、
を特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項14】
第一電極と、
n型金属酸化物半導体からなるn型金属酸化物半導体層と、
n型金属酸化物半導体と絶縁体からなるn型金属酸化物半導体・絶縁物層と、
絶縁体を主成分とする中間絶縁層と、
p型金属酸化物半導体からなるp型金属酸化物半導体層と、
第二電極と、
をこの順序で積層した後に、
前記第一電極を基準として前記第一電極と前記第二電極との間に正電圧を印加する第五のプロセスと、
前記第一電極を基準として前記第一電極と前記第二電極との間に負電圧を印加する第六のプロセスとを第2単位サイクルとし、予め定められた数の前記第2単位サイクルを繰り返すことにより、前記中間絶縁層とp型金属酸化物半導体層の間に前記p型金属酸化物半導体と前記中間絶縁層の前記絶縁体が混在した混在層を形成すること、
を特徴とする酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項15】
湿度が35〜65パーセント以内の湿度環境下で、前記第一電極と前記第二電極との間に電圧を印加すること、
を特徴とする請求項1又は14に記載の酸化物半導体二次電池の製造方法。
【請求項16】
第一電極と、
n型金属酸化物半導体からなるn型金属酸化物半導体層と、
n型金属酸化物半導体と絶縁体からなるn型金属酸化物半導体・絶縁物層と、
絶縁体を主成分とする中間絶縁層と、
p型金属酸化物半導体からなるp型金属酸化物半導体層と、
第二電極と、
がこの順序で配置されており、
前記中間絶縁層と前記p型金属酸化物半導体層との間には、前記中間絶縁層及び前記p型金属酸化物半導体層の成分が混在した混在層が設けられている酸化物半導体二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電機能を有するデバイスとしては、二次電池とキャパシタがある。二次電池は、化学反応を利用したデバイスであり、大容量であることが特徴となっている。キャパシタは、電極間に絶縁体を挟んで電荷を蓄積するため、短時間で充電可能なことが特徴となっている。二次電池としては、ニッケル・カドミウム電池やリチウムイオン二次電池などがある。キャパシタとしては、スーパーキャパシタ(電気二重層キャパシタとも呼ばれている。
)とMOSキャパシタなどがある。
【0003】
代表的な二次電池であるリチウムイオン二次電池は、正極と負極の間にセパレータを挟んだ三層構造であり、これらの構成要素がリチウムイオンを流すことができる電解質で覆われている。正極と負極は、リチウムイオンと電子の吸収・放出が可能な材料であり、リチウムイオン電池内部で、リチウムイオンが電解質を介して正極と負極の間を行き来することで、充放電が行われる。
【0004】
固体リチウムイオン二次電池の積層構造として特許文献1に開示されている構造は、リチウムイオンが出入りする正極活物質を有する正極層、リチウムイオンが出入りする負極活物質を有する負極層、及び、正極層と負極層との間に配設された固体電解質層を備えている。隣り合う2つの積層体の固体電解質層は、絶縁層によって接続されている。さらに、隣り合う2つの積層体は、それぞれの積層体を構成する負極層同士、又は、それぞれの積層体4を構成する正極層同士が接触するように、積層されている。
【0005】
新たな原理に基づく二次電池として、特許文献2では量子電池が開示されている。「量子電池」は、特許文献2で開示された二次電池に付けられた名称である。
【0006】
図14は、量子電池100の断面を示す図である。量子電池100は、基板に、導電性の第1電極312が形成され、さらに、電荷を充電するn型金属酸化物半導体・絶縁物層114、p型金属酸化物半導体層116と第2電極118が積層されている。n型金属酸化物半導体・絶縁物層114には、絶縁性の被膜に覆われた微粒子のn型金属酸化物半導体が充填され、紫外線照射により光励起構造変化現象を生じさせて、n型金属酸化物半導体のバンドギャップ内に新たなエネルギー準位を形成している。
【0007】
さらに特許文献3には、半導体を利用してエレクトロクロミック表示装置機能と二次電池を一体構造とした新たな二次電池が開示されている。基板と、第一電極と、半導体金属酸化物からなる多孔質層と、半導体金属酸化物と絶縁性金属酸化物との複合体からなり電圧印加によって可逆的に酸化還元反応を起生する活性層と、電子ブロック層と、第二電極とを備え、構造的には図14で示した量子電池と同様の構造となっている。活性層は酸化還元反応により電荷を蓄積または放出し、電荷の蓄積または放出に連動して光透過率が変化するエレクトロクロミック表示装置・二次電池一体型固体素子としている。
【0008】
特許文献2で開示された量子電池と、特許文献3で開示された二次電池との相違点は、後者では、構造的にはn型金属酸化物半導体・絶縁物層が半導体金属酸化物と絶縁性金属酸化物との複合体であること、そして、紫外線照射によってn型金属酸化物半導体のバンドギャップ内に新たなエネルギー準位を形成しないことである。これらの相違により、後者では、充放電の原理も、半導体金属酸化物と絶縁性金属酸化物との可逆的な酸化還元反応を基本としている。
【0009】
特許文献3で開示された二次電池は、複合酸化物薄膜に対して光励起構造変化処理を行うことによって複合酸化物薄膜を活性と変化させており、光励起構造変化処理としては、紫外線照射による方法を用いることが可能であるとしている。
【0010】
二次電池形成後に行われる処理には、エージング処理やコンディショニング処理がある。
【0011】
リチウム二次電池は、正極および負極を備えてなる電極体を電池ケースに入れ、非水電解液を注入した後、電池ケースを密閉して形成される。リチウム二次電池の形成後は、そのまま所定の温度下で保存するいわゆるエージング処理を行い、その後、充放電を行うことにより電池を実使用可能な状態に調整するコンディショニング処理を行って製造される(特許文献4参照)。
【0012】
コンディショニングは、電池性能を安定させる等の目的から、形成後の二次電池に対して、充電・放電のサイクルを複数回繰り返すものである。負極活物質として炭素質材料等を用いたリチウム二次電池のコンディショニングを行うと、リチウムを含む化合物等からなるSEI(Solid Electrolyte Interphase)皮膜が負極表面に形成される。いったん負極表面を覆ったSEI被膜はほとんど成長しないため、SEI皮膜の状態が変わらなければこの段階で電池容量は安定する。
【0013】
特許文献5には、金属酸化物半導体を用いた量子電池(特許文献2参照)に対し、コンディショニングを行う充放電装置が開示されている。複数の量子電池の充放電を同時並列で行うと電源のピーク電流が増大するため、この充電装置では、複数の量子電池の充放電が重複しないように、切替手段により、量子電池と電源とを順次接続させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】WO2010/089855号公報
【特許文献2】WO2012/046325号公報
【特許文献3】特開2014−032353号公報
【特許文献4】特開2004−208440号公報
【特許文献5】WO2014/016900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
全固体二次電池は、電解液を用いたリチウムイオン電池等に比べて、小型で発熱による発火もなく安全性が高い反面、充電可能な容量が小さく、更なる改良が求められている。このため、全固体二次電池の分野では、従来から材料や積層構造の検討が行われている。
【0016】
また、二次電池を実使用可能な状態に調整するため、二次電池の形成後に行われる電気的な処理であるエージング処理やコンディショニング処理が行われている。これら電気的な処理は、上記背景技術で述べたように、従来は初期充電機能を安定化させるために行っており、放電容量の増大といった性能を向上させるものではなかった。
【0017】
このため、放電容量を増大させるための電気的な処理が望まれている。
【0018】
本発明は、形成後の二次電池に対して行われる電気的な処理に関し、その電気的な条件を検討することにより、放電容量を、初期放電容量よりも増大させることのできる二次電池の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願発明の一態様に係る酸化物半導体二次電池の製造方法は、第一電極と、n型金属酸化物半導体からなるn型金属酸化物半導体層と、n型金属酸化物半導体と絶縁体からなるn型金属酸化物半導体・絶縁物層と、絶縁体を主成分とする中間絶縁層と、p型金属酸化物半導体からなるp型金属酸化物半導体層と、第二電極と、をこの順序で積層した後に、第一電極を基準として第一電極と第二電極との間に正電圧を印加する第一のプロセスと第一電極を基準として第一電極と第二電極との間に0Vを印加する第二のプロセスを合わせて第1単位サイクルとし、予め定められた数の第1単位サイクルを繰り返す。
【0020】
上記製造方法では、第一電極をグランド接続した場合、第一のプロセスにおける第二電極に印加する正電圧の値は、少なくとも酸化物半導体二次電池の充電電圧以上の値が含まれる。
【0021】
また、上記製造方法では、第一のプロセスには、第一電極と第二電極との間に、正電圧が印加された状態を一定時間保持するプロセスが含まれ、第二のプロセスには、第一電極と第二電極との間に0Vが印加された状態を一定時間保持するプロセスが含まれる。
【0022】
また、上記製造方法では、第一のプロセスにおいて、第一電極と第二電極との間に印加する正電圧は、サイクル毎に異なる電圧値が設定されていてもよい。
【0023】
また、上記製造方法では、第一のプロセスにおいて、第一電極と第二電極との間を流れる電流の値が、第一のプロセスで予め定められている電流値を超えないように、第一電極と第二電極との間に印加する正電圧を各プロセスで制御する。
【0024】
また、上記製造方法では、第一のプロセスにおける、正電圧を印加する正電圧印加時間は、酸化物半導体二次電池の放電容量の増加とともに長くする。
【0025】
また、上記製造方法では、正電圧を印加する正電圧印加時間は、酸化物半導体二次電池の電圧値が予め定められた設定電圧値に達するまでの時間である。
【0026】
また、上記製造方法では、第一のプロセス及び第二のプロセスに加えて、酸化物半導体二次電池の放電容量を測定する第三のプロセスを有し、第1単位サイクルを、所定のサイクル数繰り返した後に、第三のプロセスを実行し、酸化物半導体二次電池の放電容量が予め定められた閾値以上であることが測定された場合に電圧の印加を終了させる。
【0027】
また、上記製造方法では、第一のプロセス及び第二のプロセスに加えて、酸化物半導体二次電池の放電容量を測定する第三のプロセスと、第三のプロセスで測定された放電容量に基づき、酸化物半導体二次電池の放電容量の増加率を所定の時間間隔で算出する第四のプロセスとを有し、第1単位サイクルを、所定のサイクル数繰り返した後に、第三のプロセス、及び第四のプロセスを実行し、放電容量の増加率が予め定められた閾値以下である場合に電圧の印加を終了させる。
【0028】
また、上記製造方法では、中間絶縁層は、シリコーンオイル又は抵抗調整剤が添加されたシリコーンオイルを、n型金属酸化物半導体・絶縁物層の表面上に塗布した後、焼成し、焼成後に紫外線を照射してUV硬化させることにより形成する。
【0029】
また、上記製造方法では、中間絶縁層は、シリコン(Si)をターゲットとするスパッタリングによりn型金属酸化物半導体・絶縁物層の上に形成する。
【0030】
また、上記製造方法では、中間絶縁層の絶縁体は、SiO(0≦x≦2)である。
【0031】
また、上記製造方法では、p型金属酸化物半導体は、酸化ニッケル(NiO)である。
【0032】
更に、本願発明の一態様に係る酸化物半導体二次電池の製造方法は、第一電極と、n型金属酸化物半導体からなるn型金属酸化物半導体層と、n型金属酸化物半導体と絶縁体からなるn型金属酸化物半導体・絶縁物層と、絶縁体を主成分とする中間絶縁層と、p型金属酸化物半導体からなるp型金属酸化物半導体層と、第二電極とをこの順序で積層した後に、第一電極を基準として第一電極と第二電極との間に正電圧を印加する第五のプロセスと第一電極を基準として第一電極と第二電極との間に負電圧を印加する第六のプロセスを第2単位サイクルとし、予め定められた数の第2単位サイクルを繰り返す。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、導電性の第一電極と第二電極に挟まれて、n型金属酸化物半導体層、n型金属酸化物と絶縁物からなるn型金属酸化物半導体・絶縁物層、中間絶縁層、p型金属酸化物半導体層とから構成され、蓄電機能を備えた酸化物半導体二次電池を基にしている。この構成の酸化物半導体二次電池に対して、電気的な処理を施し、中間絶縁層とp型金属酸化物半導体層の間に、p型金属酸化物半導体に絶縁層の元素を取り込んだ層(以下、混在層という)を形成することにより、放電容量を増大させることができた。
【0034】
電気的な処理とは、二次電池を形成した後に、第一電極を基準として第二電極側に正電圧の印加と0Vの印加、或いは正負の電極の印加を繰り返す処理である。
【0035】
この電気的な処理により、p型金属酸化物半導体と中間絶縁層の界面に新たな層が形成される事実は、実験的に見出された結果である。新たな層は、p型金属酸化物半導体と中間絶縁層から拡散した物質によるミクロな界面として層が形成されている混在層である。新たな層である混在層によりプラス電荷(正孔)の蓄積容量が増加し、蓄積容量が増加したと考えられる。また、電気的な処理によりn型金属酸化物半導体と絶縁物質の焼成により形成されたn型金属酸化物半導体・絶縁物層内においても物質の再配置などの変化が起こり、マイナス電荷(電子)の蓄積量が増加したことも考えられる。このため、例えば、電気的な処理後に放電容量が2倍に増加する結果が得られている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明により製造された酸化物半導体二次電池の構造を示す。
図2】正と0Vのサイクル電圧印加前後の酸化物半導体二次電池の構造を示す。
図3】本発明による酸化物半導体二次電池の製造工程を説明するフローチャート。
図4】サイクル電圧印加システムの実施回路の一例を示す。
図5】正と0Vの電圧波形の一例を示す。
図6】2サイクルの電圧波形の一例を示す。
図7図6で示した電圧波形に対し、電圧計で測定された第二電極での電圧波形例を示す。
図8】電圧波形を印加するプロセスを説明するフローチャート。
図9図5に示した正の電圧を繰り返す単位サイクルの実施例である。
図10図9に示した正の電圧を繰り返し印加した場合の時間と放電容量の関係を示す図。
図11】正と負の電圧波形の一例を示す図。
図12】正と負の電圧波形の他の一例を示す図。
図13図11に示した正負の電圧を繰り返し印加した場合の時間と放電容量の関係を示す図。
図14】従来例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明により製造された酸化物半導体二次電池10の構造を示している。
【0038】
図1において、酸化物半導体二次電池10は、第一電極12、n型金属酸化物半導体層14、n型金属酸化物半導体・絶縁物層16、中間絶縁層18、混在層20、p型金属酸化物半導体層22、第二電極24と、がこの順に積層された積層構造を有している。
【0039】
第一電極12の材料として、例えば、クロム(Cr)、又はチタン(Ti)等の金属を使用することができる。また、第一電極12は、他の金属電極として、アルミニウム(Al)を含む銀(Ag)合金膜等を使用することもできる。また、第一電極12は、複数の金属層が積層された積層構造を有していてもよい。第一電極は、抵抗率の低い材料とすることが必要であり、例えば、100μΩ・cm以下の抵抗率を有する材料とすることが好ましい。
【0040】
第一電極12の材料として、酸化物半導体二次電池10の基板を兼ねて、銅やアルミ又はステンレス等の金属箔を使用することもできる。
【0041】
n型金属酸化物半導体層14の材料として、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、及び酸化スズ(SnO)等のn型金属酸化物半導体を材料として使用することができる。n型金属酸化物半導体層14は、第一電極12上にn型金属酸化物半導体を成膜することにより形成される。
【0042】
n型金属酸化物半導体・絶縁物層16は、n型金属酸化物半導体と絶縁体から構成される。絶縁体の材料としては、シリコン酸化物などのシロキサン結合による主骨格を持つシリコン化合物(シリコーン)を使用することが好ましい。n型金属酸化物半導体・絶縁物層16のn型金属酸化物半導体としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、及び酸化スズ(SnO)等のn型金属酸化物半導体を使用することができ、ナノサイズの微粒子として絶縁体に含ませることができる。また、n型金属酸化物半導体に代えて、n型金属酸化物半導体の前駆体、例えば、酸化チタンの前駆体であるチタニウムステアレートを用いることができる。
【0043】
中間絶縁層18は、絶縁体又は抵抗調整剤が添加された絶縁体を含んで構成される。絶縁体の材料としては、酸化シリコンSiO、シリコン窒化物Si、シリコン酸化物SiO(0≦x≦2)等を使用することができる。
【0044】
中間絶縁層18は、シリコン酸化物、シリコン窒化物又はシリコーンオイルに、金属、酸化金属又は半導体物質等の抵抗調整剤を添加することにより、絶縁抵抗値を調整することができる。中間絶縁層18の絶縁抵抗値、つまり、中間絶縁層18を流れる電流値が、酸化物半導体二次電池10の放電容量に影響する事実は、実験的に明らかになった結果である。
【0045】
従って、中間絶縁層18の絶縁抵抗値を調整することにより、酸化物半導体二次電池としての放電容量を最適値に調整する必要がある。例えば、中間絶縁層18を所定値以下の厚みで作成する場合、シリコン酸化物を主成分とした層でよい。しかし、中間絶縁層18を所定値、即ち、放電容量が低下する厚さ以上の厚みで作成する場合、シリコン酸化物に金属又は半導体物質等の抵抗調整剤を添加して、中間絶縁層18の絶縁抵抗値を下げ、中間絶縁層18に流れる電流を所定値以下にする必要がある。すなわち、中間絶縁層18を、絶縁体、又は、絶縁体に抵抗調整剤が添加された絶縁体を含む層とする必要がある。抵抗調整剤は、金属、酸化金属又は半導体物質等を使用することができる。
【0046】
混在層20は、p型金属酸化物半導体、金属、及び絶縁体が混在して構成されている層である。この混在層20の状態は、p型金属酸化物半導体と絶縁体が混在した状態、絶縁体にp型金属酸化物半導体を構成する金属元素が取り込まれた状態、あるいは、p型金属酸化物半導体に絶縁物質の元素を取り込んだ状態のいずれの状態であってもよい。
【0047】
p型金属酸化物半導体層22は、p型金属酸化物半導体から構成される。p型金属酸化物半導体の材料としては、酸化ニッケル(NiO)、及び銅アルミ酸化物(CuAlO)等を使用することができる。
【0048】
第二電極24の材料としては、クロム(Cr)又は銅(Cu)等を使用することができる。他の材料として、アルミニウム(Al)を含む銀(Ag)合金等を使用することができる。
【0049】
また、第二電極24として、透明な導電性電極を使用することもできる。例えば、第二電極24として、スズをドープした酸化インジュームITO(Indium Tin Oxide)の導電膜を使用することができる。第二電極は、抵抗率の低い材料とすることが必要であり、例えば、100μΩ・cm以下の抵抗率を有する材料とすることが好ましい。
【0050】
以上、本発明による酸化物半導体二次電池10の構造について説明した。以下の説明では、混在層20を電気的に形成する方法を説明する。
その方法は、第一電極12、n型金属酸化物半導体層14、n型金属酸化物半導体・絶縁物層16、中間絶縁層18、p型金属酸化物半導体層22と第二電極24とを、この順序に積層した後に、この積層体を35〜65パーセント以内の湿度の環境内に配置させる。次に、第一電極12と第二電極24の間に、電圧源から正電圧と0Vのサイクル電圧繰り返し印加する方法、及び電圧源から正電圧と負電圧のサイクル電圧繰り返し印加する方法である。以下、混在層を電気的に形成する方法を詳細に説明する。
【0051】
<混在層の概要>
図2は、正と0Vのサイクル電圧印加前後の酸化物半導体二次電池10の構造を示す。
【0052】
図2(A)は、第一電極12、n型金属酸化物半導体層14、n型金属酸化物半導体・絶縁物層16、中間絶縁層18、p型金属酸化物半導体層22と第二電極24を、この順に積層した酸化物半導体二次電池10−1の構造を示している。つまり、図2(A)は、混在層20を形成する前の酸化物半導体二次電池10−1を示している。
【0053】
図2(A)に示した構成の酸化物半導体二次電池10−1を形成後、第一電極12と第二電極24の間に、電圧源により正と0Vのサイクル電圧を印加することにより、中間絶縁層18とp型金属酸化物半導体層22の間に、混在層20が形成される。これにより、図2(B)で示した、混在層20が形成された酸化物半導体二次電池10が作製される。サイクル電圧の印加による混在層20の形成は、実験的に見出された層であり、混在層20の形成により放電容量が増大する結果が得られている。
【0054】
<混在層の詳細説明>
以下、混在層20を備える酸化物半導体二次電池10の製造方法を、フローチャートを用いて詳細に説明する。
【0055】
図3は、本発明による酸化物半導体二次電池の製造工程を説明するフローチャートである。
【0056】
ステップS1では、基板(図省略)の上に第一電極12を形成する。基板として導電性の金属箔を使用した場合は、金属箔そのものが第一電極12となる。例えば、銅やアルミニウム、又は、ステンレス等の金属箔が利用できる。
【0057】
第一電極12は、絶縁性の基板に、クロム、チタン、窒化チタンなどの導電性の金属を成膜して形成することもできる。基板の材料としては、ガラスや、ポリイミドフィルム等のフレキシブルな樹脂シートが使用可能である。
【0058】
第一電極12の製造方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等の気相成膜法を挙げることができる。また、金属を第一電極12とする場合は、電解メッキ法、無電解メッキ法等により形成することができる。メッキに使用される金属としては、一般に銅、銅合金、ニッケル、アルミ、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することができる。
【0059】
ステップS2では、第一電極12上に、n型金属酸化物半導体層14を形成する。n型金属酸化物半導体層14は、酸化チタン、酸化スズ、及び酸化亜鉛等のn型金属酸化物半導体膜をスパッタデポシション等の方法で、第一電極12上に形成する。
【0060】
ステップS3では、n型金属酸化物半導体層14上に、n型金属酸化物半導体と絶縁体からなるn型金属酸化物半導体・絶縁物層16を形成する。n型金属酸化物半導体・絶縁物層16は、n型金属酸化物半導体である酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛などの前駆体と、絶縁体であるシリコーンオイルの混合物に溶媒を混合した混合液を、スピン塗布法、スリットコート法などでn型金属酸化物半導体層14上に塗布した後、乾燥、及び焼成して形成する。前駆体は、例えば酸化チタンの前駆体であるチタニウムステアレートが使用できる。酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛は、金属の前駆体である脂肪族酸塩から分解して形成される。乾燥、及び焼成した後の、n型金属酸化物半導体・絶縁物層16に対して、紫外線照射を行いUV硬化させてもよい。
【0061】
なお、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛などは金属の前駆体からの形成によらず、これらのナノ粒子を使用する方法もある。酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛などのナノ粒子をシリコーンオイルと混合し、さらに溶媒を混合して粘度調整し、スピン塗布法、スリットコート法などで形成した後、乾燥、焼成、及びUV照射を行い形成する。
【0062】
ステップS4では、n型金属酸化物半導体・絶縁物層16上に、絶縁体を主成分とする中間絶縁層18を形成する。中間絶縁層18は、シリコン酸化物、シリコン窒化物などをスパッタデポジション、あるいはプラズマエンハンスドケミカルベイパーデポジション(PECVD)法などで、n型金属酸化物半導体・絶縁物層16上に成膜する。また、シリコンをターゲットとするスパッタリングによりn型金属酸化物半導体・絶縁物層16上に形成することもできる。また、n型金属酸化物半導体・絶縁物層16上に、シリコーンオイルを塗布し、その後シリコーンオイルを焼成して形成することもできる。焼成後のシリコーンオイルに対して紫外線を照射し、UV硬化させてもよい。
【0063】
中間絶縁層18に流れる電流値を所定の値にするため、中間絶縁層18の層厚、及び絶縁体に添加する抵抗調整剤の量及び種類を変更し、中間絶縁層18の絶縁抵抗値を調整する。抵抗調整剤は、例えば、金属やn型半導体等でよい。n型半導体としては、シリコンに不純物としてリンを微量加えてn型半導体とした物質、酸化チタン、及び酸化亜鉛等がある。
【0064】
ステップS5では、中間絶縁層18上にp型金属酸化物半導体層22を形成する。p型酸化物半導体の材料としては、酸化ニッケル(NiO)等を使用することが可能である。
【0065】
ステップS6では、p型金属酸化物半導体層22上に第二電極24を形成する。アルミニウム、パラジウムや、窒化チタン、アルミニウム、及び窒化チタンの積層などをスパッタデポジション法で、第二電極24をp型金属酸化物半導体層22上に成膜する。第二電極24を形成する方法は、スパッタデポジション法に限らず、蒸着法、イオンプレーティング法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法等の薄膜形成方法を用いてもよい。さらには、印刷法やスピンコート法などの塗布形成方法を用いて、第二電極24を形成してもよい。
【0066】
ステップS7では、ステップS1からステップS6で作製された酸化物半導体二次電池10に、正と0Vのサイクル電圧を繰り返し印加して、中間絶縁層18とp型金属酸化物半導体層22の間に新たな層を形成する。この新たな層が、混在層20である。
【0067】
酸化物半導体二次電池10に正と0Vのサイクル電圧を繰り返し印加することにより、中間絶縁層18とp型金属酸化物半導体層22との間に、p型金属酸化物半導体層22のp型金属酸化物半導体と中間絶縁層18の絶縁体から拡散した物質によるミクロな界面が形成される。この界面層が、混在層20である。
【0068】
正と0Vのサイクル電圧を繰り返し印加することにより、酸化物半導体二次電池10の放電容量が増大する結果が得られているが、これは、混在層20の存在が、プラス電荷(正孔)の蓄積容量を増加させ、n型金属酸化物半導体・絶縁物層16内における酸化チタンと絶縁物質の再配置が、マイナス電荷(電子)の蓄積容量を増加させているからと考えられる。なお、サイクル電圧は、正と負の電圧であってもよい。
【0069】
次に、酸化物半導体二次電池10に対して正と0Vのサイクル電圧を印加するサイクル電圧印加システムと、正と0Vのサイクル電圧波形の例を説明する。
【0070】
<電圧印加システム>
図4は、サイクル電圧印加システムの実施回路の一例を示す。
【0071】
サイクル電圧印加システムは、電圧源30と、電圧計32と、電流計34と、制御装置36と、抵抗38とを備える。電圧源30は、被電圧印加二次電池39の第一電極12と第二電極24との間に接続されている。電圧源30と被電圧印加二次電池39との間に、電圧計32と電流計34が接続されている。また、電圧源30と被電圧印加二次電池39との間に、抵抗38が接続されている。被電圧印加二次電池39は、例えば図2(A)に示した構造の酸化物半導体二次電池10である。
【0072】
制御装置36は、電圧源30、電圧計32、及び電流計34に接続されている。制御装置36は、電圧源30を制御する。具体的には、制御装置36は、第一電極12を基準(接地)として、第一電極と第二電極との間に正電圧を印加する第一のプロセスと、第一電極を基準として第一電極と第二電極との間に0Vを印加する第二のプロセスと、をこの順序でくり返すプロセスを第1単位サイクルとし、予め定められた数の第1単位サイクルを繰り返す。
【0073】
第一のプロセス印加される正電圧値、及び第一のプロセス及び第二のプロセスで正と0Vのサイクル電圧を印加する印加時間(以下、「単位サイクル情報」と略記する)と、繰り返されるサイクル数は、サイクル情報として、制御装置36に記憶されている。制御装置36は、記憶されているサイクル情報に基づいて電圧源30を制御する。
【0074】
電圧源30は、制御装置36からの制御信号に基づき、第一電極12と第二電極24との間に抵抗38を介して、正と0Vのサイクル電圧を印加する。
【0075】
次に、被電圧印加二次電池39に対して、正と0Vのサイクル電圧を印加する方法を説明する。
【0076】
電圧源30から出力された正電圧は、抵抗38を介して被電圧印加二次電池39に印加される。この被電圧印加二次電池39は、図2(A)で示した混在層20の無い酸化物半導体二次電池10−1と実質的に同様である。被電圧印加二次電池39には、第一電極12を接地し(即ち、第一電極12は0Vである)、第一電極12を基準として、第二電極24に電圧源30からの出力電圧が印加される。
【0077】
制御装置36には、電圧計32と電流計34が接続されている。電圧計32で測定した電圧値、及び電流計34で測定した電流値が制御装置36へフィードバックされる。制御装置36は、フィードバックされた電圧値、電流値、及び予め記憶されたサイクル情報に基づいて、電圧源30を制御することにより電圧源30から出力される正と0Vのサイクル電圧を制御する。
【0078】
抵抗38を介して電圧源30からの電圧が、被電圧印加二次電池39に印加されているため、電圧計32から出力される電圧は、被電圧印加二次電池39に充電された充電電圧となる。
【0079】
電圧源30は、電圧の切り替わり時、及び被電圧印加二次電池39の放電容量が増加することによる過大電流の発生を防ぐために、被電圧印加二次電池39に流れる最大電流を所定の電流に制限する電流制限機能を備えている。電圧源30は、制御装置36からの制御から独立して、被電圧印加二次電池39へ出力する電圧を制御することもできる。
【0080】
次に、被電圧印加二次電池39に印加する電圧波形の例を示す。
【0081】
<電圧波形の例>
図5は、正と0Vの電圧波形40−1の一例を示す。
【0082】
この単位サイクルは、被電圧印加二次電池39に、正電圧V11を印加時間t11の間印加し、0Vを印加時間t12の間印加する電圧波形40−1である。この単位サイクルを予め定められた数だけ繰り返すことにより、中間絶縁層18とp型金属酸化物半導体層22との間に、混在層20を形成することができる。このように形成された混在層20は、被電圧印加二次電池39の放電容量を初期放電容量に対して増大させることができる。ここで、初期放電容量とは、被電圧印加二次電池39に対して、正と0Vのサイクル電圧、又は正と負のサイクル電圧を印加する前の放電容量である。なお、図は省略するが、電圧を印加する順番を逆にして、0Vを印加した後に正電圧を印加するサイクル電圧を単位サイクルとしてもよい。
【0083】
第一電極12をグランド接続した場合、第二電極24に印加する正電圧の値は少なくとも被電圧印加二次電池39の充電電圧以上の値を含むことが好ましい。
【0084】
また、電圧波形40−1では、正電圧V11を正電圧印加時間t11の間だけ保持することが示されているが、正電圧V11を印加する正電圧印加時間t11は、被電圧印加二次電池39の放電容量の増加とともに長く設定することもできる。放電容量の増加に伴って、正電圧V11を印加する正電圧印加時間t12を長くすることにより十分な充電が行え、効率的に混在層20の厚みを増やすことができる。
【0085】
また、正電圧V11を印加する正電圧印加時間tは、被電圧印加二次電池39の電圧値が予め定められた設定電圧値に達するまでの時間に設定することができる。この設定電圧値を、被電圧印加二次電池39の充電電圧以下に設定したり、被電圧印加二次電池39の充電電圧以上に設定したりすることで混在層20を効率的に形成する。この設定電圧の組み合わせは、実験的に求められる。
【0086】
被電圧印加二次電池39の充電電圧以下に設定すると、正電圧V11を印加した際の被電圧印加二次電池39のダメージを最小とすることができる。また、設定電圧値を、被電圧印加二次電池39の充電電圧以上に設定することもできる。この場合、所望の厚みの混在層20が形成されるまでの時間を短縮することができる。このために、設定電圧値を、被電圧印加二次電池39の充電電圧以下に設定したり、被電圧印加二次電池39の充電電圧以上に設定したりすることにより、電圧印加二次電池39へのダメージが無く、時間を短くして効率的に混在層20を形成することができる。
【0087】
図6は、異なる正電圧の単位サイクルを組み合わせた2サイクルの電圧波形40−2の一例を示す。
【0088】
この単位サイクル情報では、被電圧印加二次電池39に、正電圧V11を印加時間t11の間印加、0Vを印加時間t12の間印加する単位サイクル、及び、電圧V12を印加時間t13の間印加、0Vを印加時間t14の間印加する単位サイクルによる電圧波形40−2が示されている。つまり、単位サイクルを繰り返す毎に、正電圧の値、正電圧を印加する時間、及び0Vを印加する印加時間が異なっている。このような単位サイクルによる電圧波形40−2により効率的に混在層20が形成でき、被電圧印加二次電池39の放電容量を初期放電容量に対して増大させることができる。全ての単位サイクルにおいて正電圧及びその印加時間が異なるようする、或いは、正電圧と正電圧のペアを複数種類用意し、全行程中で少なくとも2種類のペア使うようにしても、被電圧印加二次電池39の放電容量を初期放電容量に対して増大させることができる。なお、図は省略するが、電圧を印加する順番を逆にして、0Vを印加した後に正電圧を印加する単位サイクルを2サイクル繰り返すサイクル電圧を採用することもできる。この場合、サイクル毎に異なる正電圧が設定されていてもよい。
【0089】
ここで、正電圧を印加する印加時間t11、印加時間t13は、被電圧印加二次電池39に正電圧が印加された状態を一定時間保持する時間であれば良い。また、0Vを印加する印加時間t12、印加時間t14は、被電圧印加二次電池39に充電された電荷が放電できる時間であれば良い。
【0090】
電圧波形40−2では、被電圧印加二次電池39に対して、一定の正電圧V11を印加時間t11、及び一定の正電圧V12を印加時間t13だけ印加しているが、V11及びV12を、印加時間t11と印加時間t13をサイクル毎に変化させてもよい。
【0091】
また、第一電極12と第二電極24との間を流れる電流の値が、予め定められている電流値を超えないように、第一電極12と第二電極24との間に印加する電圧を単位サイクルを印加するそれぞれのプロセスで制御することもできる。各プロセスで予め定められていた電流値を超えないように、電流を制御することで、過剰な電流が被電圧印加二次電池39に加わるのを防止することができる。
【0092】
正電圧を印加する正電圧印加時間は、被電圧印加二次電池39の放電容量の増加とともに長くすることができる。放電容量の増加に伴って、正電圧を印加する正電圧印加時間を長くすることにより、効率的に混在層20の厚みを増やすことができる。
【0093】
図7は、図6で示した電圧波形40−2に対し、実際に電圧計32で測定された第二電極24での電圧波形例40−3を示している。
【0094】
電圧源30は、急激な電流の変化を防止することを目的として、制御装置36の制御とは独立して、出力される電流値を制限する。そのため第二電極24の電圧値は徐々に正電圧V11に近づく。
【0095】
例えば、正電圧V11から0Vに切り替えた時、大きな電圧変化があり、被電圧印加二次電池39へ放電が急激に行われるために、電圧源30による電流制限が働く。この電流制限により充電された電荷の放出が制限される。
【0096】
正電圧保持時間t110、t130、及び0V保持時間t120、t140の累積時間は、新たな層を形成するために、それぞれ一定時間以上が必要である。正電荷保持時間、及び0V保持時間の累積時間が少ないと、新たな層を形成することができない。そこで、第一電極12と第二電極24との間に、正と0Vのサイクル電圧を所定の数だけ繰り返した後に、被電圧印加二次電池39の放電容量を測定するプロセスを実行する。被電圧印加二次電池39の放電容量が或る閾値以上であることが測定された場合、正と0Vのサイクル電圧の繰り返しを終了させる。これにより、正電圧保持時間t110、t130、及び0V保持時間t120、t140の十分な累積時間を確保しながら、被電圧印加二次電池39における中間絶縁層18とp型金属酸化物半導体層22の界面に、所望する厚みの混在層20を形成することができる。
【0097】
また、上記の被電圧印加二次電池39の放電容量を測定するプロセスに加えて、測定された放電容量に基づき、被電圧印加二次電池39の放電容量の増加率を所定の時間間隔で算出するプロセスを実行することもできる。そして、放電容量の増加率が予め定められた閾値以下である場合に、正と0Vのサイクル電圧の印加を終了させると、被電圧印加二次電池39に対する不要な電圧の印加を終了させることができる。放電容量が増加しない被電圧印加二次電池39は、不良品、或いはグレードの低い二次電池として分類することもできる。
【0098】
図8は、電圧波形を印加するプロセスを説明するフローチャートである。
【0099】
まず、ステップS21では、サイクル電圧を印加する前に被電圧印加二次電池39の充放電特性を測定し、初期放電容量判定値Eを得る。
【0100】
例えば、充放電特性は、第一電極12を基準として第二電極24に正電圧V1を一定電圧印加して、被電圧印加二次電池39の充電を行い、その後、電圧を0Vへとリアルタイムで変更させ、測定される電圧値が閾値以下になるまで継続して放電を行う。被電圧印加二次電池39の充電容量と、電荷が放電されるまでの時間等から放電時の総エネルギー量を計算し、初期放電容量判定値Eを得る。さらに、得られた初期放電容量判定値Eが、規定値以下の場合は、被電圧印加二次電池39を不良品と判断することもできる。
【0101】
ステップS22では、初期設定を行う。ここでは、印加電圧と印加時間(つまり、初期段階で制御装置36に記憶されるサイクル情報)を設定する。
【0102】
また、被電圧印加二次電池39の第二電極24の電圧が、設定された0Vに維持される時間(以下、「0V保持時間」(図5におけるt12)と言う)、を定期的に判断するために、判定1実施サイクル数Nj1を設定する。これは、定期的に第二電極24側の電位が一定時間以上、0Vに維持されているかをチェックするために設定される。
【0103】
0V保持時間判定値tは、0V保持時間tと比較するために用いられる基準となる時間である。判定1実施サイクル数Nj1は、サイクル数Nが判定1実施サイクル数Nj1で規定された回数だけ実行した時に、0V保持時間tが負電圧保持時間判定値tに達しない場合に、電圧波形を変更するための基準となるサイクル数である。
【0104】
最終放電容量判定値Eeは十分な放電容量が得られたか判定するために設定する。判定2実施サイクル数Nj2は、サイクル数Nが判定2実施サイクル数Nj2で規定された回数だけ実行した後に、充放電を測定することにより放電容量を確認する。放電容量が最終放電容量判定値Eに達した時点で電圧印加サイクルは終了する。
【0105】
一定以上のサイクル数を行っても、放電容量が十分に得られない場合に、電圧印加サイクルを終了させるため最大サイクル数Nmaxも設定する。最大サイクル数Nmaxに達しても放電容量が最終放電容量判定値Eに達しない場合は、その被電圧印加二次電池39を不良品として扱うことができる。
【0106】
ステップS23では、単位サイクルで設定された電圧波形を被電圧印加二次電池39に印加し、サイクル数Nに1を加える。ステップS24では、サイクル数Nが、判定1実施サイクル数Nj1の整数倍数(n×Nj1,n=1,2,3・・・)なっているかを判断する。なっていなければ、再度単位サイクル電圧を印加する。サイクル数Nが、判定1実施サイクル数Nj1の整数倍数と等しければ、ステップS25で、0V保持時間tを判定する。
【0107】
0V保持時間tが基準となる0V保持時間判定値t以下であれば、ステップS26で電圧波形を変更し、変更された電圧波形を印加するステップS23に戻る。
【0108】
0V保持時間tが基準となる0V保持時間判定値t以上であれば、ステップS27で、サイクル数Nが判定2実施サイクル数Nj2の整数倍数(n×Nj2,n=1,2,3・・・)と等しいかどうかを判断する。サイクル数Nが判定2実施サイクル数Nj2の倍数と等しくなければ、ステップS23に戻り、単位サイクル電圧を印加する。サイクル数Nが判定2実施サイクル数Nj2の整数倍数と等しい場合は、ステップS29で充放電特性を測定する。
【0109】
ステップS29では、測定した充放電特性から放電容量Eを求め、基準となる最終放電容量判定値Eと比較する。放電容量Eが最終放電容量判定値E以上であれば電圧の印加を終了する。この時、新たな層として、混在層20が形成された酸化物半導体二次電池10となっている。
【0110】
放電容量Eが最終放電容量判定値E以下であれば、ステップS30でサイクル数Nを最大サイクル数Nmaxと比較し、サイクル数Nが最大サイクル数Nmax以下であれば、ステップS23に戻り、さらに電圧波形を印加する。サイクル数Nが最大サイクル数Nmax以上であれば、電圧の印加を終了するが、被電圧印加二次電池39は、性能が目標に達せず、不良品として処理される。
【0111】
以上、酸化物半導体二次電池10において、中間絶縁層18とp型金属酸化物半導体層22との間に、混在層20を電気的に形成する方法について説明した。
【0112】
次に、本発明による酸化物半導体二次電池10の作製方法を具体的に説明する。
【0113】
<作製方法>
酸化物半導体二次電池10の作製にあたっては、絶縁性物質であるガラスを基板とした。まず、第一電極12は、クロムをターゲットとしてスパッタデポジション法を用いて、100〜300nmの膜厚で成膜した。製造装置としては、RFスパッタリング装置を用
いた。なお、第一電極12は電流を流しやすくするため、例えば、100μΩ・cm以下の抵抗率を有する材料とすることが好ましい。
【0114】
その後、第一電極12に積層するn型金属酸化物半導体層14は、酸化チタンを、スパッタデポジション法により成膜した。n型金属酸化物半導体層14の膜厚は、50nm〜200nmとした。
【0115】
n型金属酸化物半導体・絶縁物層16の作製方法は、まず、脂肪酸チタンとシリコーンオイルの混合液を、成膜したn型金属酸化物半導体層上に塗布した。塗布は、第一電極12とn型金属酸化物半導体層が積層されたガラス基板をスピンコートで回転させながら、混合液滴下するスピンコート法で行い、0.3〜2μm程度の厚さの塗布膜を形成した。
【0116】
さらに、塗布膜を50℃で10分程度乾燥した後、300℃〜400℃で10分から1時間焼成した。続いて、焼成した後の塗布膜にUV照射装置を用い、紫外線照射することにより、シリコーンオイルを硬化させた。
【0117】
次に絶縁物質からなる中間絶縁層18は、シリコンをターゲットとし、酸化シリコンの薄膜をスパッタデポジション法により成膜した。中間絶縁層18は、厚さによって絶縁抵抗値をコントロールし、10〜100nmの厚さであるとした。
【0118】
さらに、p型金属酸化物半導体からなるp型金属酸化物半導体層22は、スパッタデポジション法により酸化ニッケル膜を形成した。例えば、厚さ120〜300nmの酸化ニッケル膜をp型金属酸化物半導体層22として成膜した。なお、p型金属酸化物半導体層22の形成方法は、スパッタデポジション法に限らず、蒸着法、イオンプレーティング法、MBE法等の薄膜形成方法を用いることができる。
【0119】
第二電極24はアルミニウムを材料としてスパッタデポジション法により成膜し、例えば厚さ100〜300nmのアルミニウムを成膜している。
【0120】
次に、第一電極12と第二電極24間に、サイクル電圧印加システムにより、正と0Vのサイクル電圧を繰り返し印加する。これにより、混在層20が形成され、最終形態の酸化物半導体二次電池10が作製される。
【0121】
図9は、実際に印加した単位サイクルの電圧波形の例を示している。印加した正電圧は、3.0Vである。それぞれの正電圧を6秒間印加し、その後6秒間を0Vとした。即ち、単位サイクルは、印加時間が12秒で、デューティ50%の正電圧パルス波形である。
【0122】
図10は、正電圧を3.0Vとした単位サイクルを印加した時間と、初期放電容量に対する放電容量比を示している。時間は分の単位であり、1分間に5回の単位サイクルが印加されている。
【0123】
正電圧を3.0Vとすると、放電容量比は、単位サイクルを印加する時間の増加と共にさらに増加し、印加される単位サイクルのサイクル数が2000回となる400分で放電容量比が1.53、印加される単位サイクルのサイクル数が4000回となる800分で放電容量比が2.06となった。正電圧を高くすることにより、混在層20の形成も加速されるためである。
【0124】
正電圧が過電圧の場合は、返って放電容量が減少するが、被電圧印加二次電池39へのダメージが発生したことの影響と思われる。
【0125】
被電圧印加二次電池39へのダメージは、電圧値と印加時間の関係であり、過電圧となった場合は、印加時間を短くすることで対応でき、これは、混在層20の形成時間を短くする可能性を示唆している。さらに、負電圧との組み合わせにより、混在層20の形成時間をより短くすることができる。
【0126】
図10で示されている放電容量比は、一例であり、例えば、単位サイクルの周期、及び正電圧の波形の適正化を行う事で、放電容量比が増加する時間を短縮することができる。例えば、図10において、放電容量比が2.0以上となる時間は約800分であるが、後述の図13で示される様に、放電容量比が2.0以上となる時間を120分に短縮することもできる。
【0127】
図11は、正電圧と負電圧を組み合わせた単位サイクルの電圧波形40−4の一例を示す。
【0128】
電圧波形40−4では、第一のプロセスとして、被電圧印加二次電池39に最初に正電圧V1を印加時間tの間印加し、次に負電圧‐V2を印加時間tの間印加することが示されている。このような、正と負のサイクル電圧を被電圧印加二次電池39に印加しても、中間絶縁層18とp型金属酸化物半導体層22の間に混在層20を形成することができる。なお、図は省略するが、電圧を印加する順番を逆にして、負電圧を印加した後に正電圧を印加するサイクル電圧を採用することもできる。
【0129】
図12は、正電圧と負電圧のサイクル電圧を用いた単位サイクルの電圧波形例40−5である。印加電圧と印加時間が異なる正負の電圧を2サイクル印加する電圧波形を単位サイクルとしている。
【0130】
まず3Vの正電圧を5秒間印加し、次に−3Vの負電圧を2秒間印加する。さらに5Vの正電圧を0.5秒間印加した後、−1Vの負電圧を4.5秒間印加する。単位サイクルの時間は、トータルで12秒である。作製した酸化物半導体二次電池の充電電圧は2.2〜2.3Vであり、正電圧は2回の印加時に充電電圧以上の電圧を印加している。最初のイクルでの負電圧は、絶対値を充電電圧以上としている。2サイクル目の5Vの正電圧を0.5秒間印加するのは、高電圧を短時間に印加して、混在層20の形成時間を短縮するためである。また、電流の制限値は、プラス方向、マイナス方向ともに20mA/cmとした。
【0131】
この単位サイクルでの正負の電圧を、繰り返して酸化物半導体二次電池10に印加した。なお、図は省略するが、電圧を印加する順番を逆にして、負電圧を印加した後に正電圧を印加する単位サイクルを2サイクル繰り返すサイクル電圧を採用することもできる。この場合、サイクル毎に異なる正電圧、及び負電圧が設定されてもよい。
【0132】
図13は、図12に示した正負の電圧を繰り返し印加した場合の時間と放電容量の関係を示す。単位サイクルの時間は12秒であるから、時間当たりのサイクル数は、図10の場合と同じである。
【0133】
放電容量は30分ごとに測定し、初期放電容量に対しての比で表している。放電容量は、30分後には初期放電容量の約1.5倍となり、120分後には2倍となった。図10で示した正電圧が3.0Vの場合には、放電容量が2倍になる時間は800分であったのに対して、電圧波形例40−5では120分であり、大幅な時間短縮が実現できている。さらに電圧波形を、実験データを基に適宜変形することにより、混在層20の形成時間もより短縮できる。
【0134】
被電圧印加二次電池39に、正と0Vのサイクル電圧、及び正と負のサイクル電圧を印加する場合において、被電圧印加二次電池39を所定の湿度環境下に配置した状態で行うと、被電圧印加二次電池39の放電容量を初期放電容量に対して更に増大させることができる。湿度は、例えば、35〜65パーセントが好適である。
【0135】
また、一定期間使用した酸化物半導体二次電池10に対して、正電圧と0Vのサイクル電圧を印加、又は正電圧と負電圧のサイクル電圧を印加することもできる。これにより、使用により減少した酸化物半導体二次電池10の放電容量を、所定の値に再生することができる。
【0136】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。
【符号の説明】
【0137】
10,10−1:酸化物半導体二次電池
12:第一電極
14:n型金属酸化物半導体層
16:n型金属酸化物半導体・絶縁物
18:中間絶縁層
22:p型金属酸化物半導体層
24:第二電極
30:電圧源
32:電圧計
34:電流計
36:制御装置
38:抵抗
39:被電圧印加二次電池
40,40−1,40−2,40−3、40−4、40−5:電圧波形
図1
図2
図3
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図5
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図10
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