特許第6872399号(P6872399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872399
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ドア及びドア装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/32 20060101AFI20210510BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20210510BHJP
   E05C 1/04 20060101ALI20210510BHJP
   A01K 1/035 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   E06B7/32 Z
   E06B7/28 Z
   E05C1/04 A
   A01K1/035 A
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-65736(P2017-65736)
(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2018-168572(P2018-168572A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2020年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000413
【氏名又は名称】永大産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】三輪 和弘
(72)【発明者】
【氏名】福島 康史
【審査官】 桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−097861(JP,A)
【文献】 米国特許第04334573(US,A)
【文献】 実開昭56−037675(JP,U)
【文献】 実開昭58−003577(JP,U)
【文献】 特開2014−145247(JP,A)
【文献】 特開2013−023931(JP,A)
【文献】 米国特許第04603724(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/32
A01K 1/035
E05C 1/04
E06B 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットが通り抜け可能な矩形状の通行口が設けられているドア本体と、
前記通行口の上縁に沿う枢軸周りに揺動し、前記通行口を開閉する小扉と、
該小扉を施錠するための施錠機構と
を備えるドアにおいて、
前記施錠機構は、
前記小扉から前記ドア本体の一面に沿う横方向に出没可能に前記小扉の内部に組み込まれている棒状体と、
前記小扉が閉じている場合の該小扉の下端から前記小扉の一面に沿う方向に突出するよう前記棒状体に突設されており、該棒状体を出没させる場合に操作される操作突起と、
前記小扉が閉じている場合に前記棒状体が対向する前記ドア本体の一部に設けられており、前記棒状体の前記小扉からの突出部分が挿脱されるロック穴と
を有し、
前記突出部分が前記ロック穴に挿入されることによって前記小扉が施錠され
該小扉は、
可撓性を有し、通行口の縦長さ及び横幅と同程度の縦長さ及び横幅を有するシートと、
夫々の一面が互いに対向しており、夫々の前記一面の一部の間に、前記小扉が閉じている場合の前記シートの下部を挟むようにして前記シートに取り付けられ、夫々の前記一面の他部の間に前記棒状体が配されている2枚の取付板と、
該取付板の前記他部に設けられており、前記横方向に延びる案内溝と
を備え、
前記棒状体は、前記案内溝に摺動可能に支持されている案内突起を備え、
2枚の前記取付板の間から前記操作突起が突出していることを特徴とするドア。
【請求項2】
前記小扉は、
前記取付板の他面及び前記小扉が閉じている場合の前記取付板の上端面に亘って前記取付板を覆う化粧部材
を更に備えることを特徴とする請求項に記載のドア。
【請求項3】
人間が通り抜け可能な出入口が設けられている壁体、及び
請求項1又は2に記載のドア
を備え、
前記ドア本体は、前記出入口を開閉可能に前記壁体に取り付けられているドア装置であって、
前記小扉が閉じている場合の該小扉の下側に、前記操作突起の前記横方向の両側に指を挿入することが可能な空間が設けられていることを特徴とするドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットが通り抜けられるドア及びドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扉(ドア本体)とペット用扉(小扉)とを備える消臭ドア(ドア)が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の消臭ドアの場合、ペットが通り抜け可能な矩形状の開口部(通行口)が扉に設けられている。ペット用扉の上部は、蝶番によって開口部の上縁に連結されている。ペット用扉は、蝶番を中心として揺動し、開口部を開閉する。ペットはペット用扉を押し開けて開口部を通り抜ける。ペットの通り抜け後、ペット用扉は自然に閉じる。
【0003】
特許文献1に記載の消臭ドアはペット用扉鍵を備え、ペット用扉鍵は棒状体及び鍵穴(ロック穴)を備える。棒状体は、ペット用扉の一面に向かって左右方向にペット用扉から出没可能に、ペット用扉の一面に取り付けられている。鍵穴は、扉の一面に取り付けられた部材に形成されている。
棒状体はノブ(操作突起)を有する。ノブは、ペット用扉の一面に向かって手前側に向けて棒状体から突出している。ペット用扉が閉じている場合に使用者がノブを操作することによって、棒状体がペット用扉から突出し、棒状体のペット用扉からの突出部分が鍵穴に挿入される。この結果、ペット用扉が施錠される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−38843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の消臭ドアが備えるペット用扉鍵の場合、棒状体はペット用扉の一面に配されており、鍵穴は扉の一面に配されている。故に、棒状体及び鍵穴が悪目立ちして、消臭ドアの美観を損ねる虞がある。
また、ノブは、ペット用扉を押し開けて開口部を通り抜けるペットに向けて突出する。故に、ノブがペットの通り抜けを阻害し得る。特に、ペットが首輪又は衣類等の物品を身に着けている場合は、ペットが身に着けている物品にノブが引っ掛かる虞がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、美観を向上させることができ、ペットが通行口をスムーズに通り抜けることができるドア及びドア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態に係るドアは、ペットが通り抜け可能な矩形状の通行口が設けられているドア本体と、前記通行口の上縁に沿う枢軸周りに揺動し、前記通行口を開閉する小扉と、該小扉を施錠するための施錠機構とを備えるドアにおいて、前記施錠機構は、前記小扉から前記ドア本体の一面に沿う横方向に出没可能に前記小扉の内部に組み込まれている棒状体と、前記小扉が閉じている場合の該小扉の下端から前記小扉の一面に沿う方向に突出するよう前記棒状体に突設されており、該棒状体を出没させる場合に操作される操作突起と、前記小扉が閉じている場合に前記棒状体が対向する前記ドア本体の一部に設けられており、前記棒状体の前記小扉からの突出部分が挿脱されるロック穴とを有し、前記突出部分が前記ロック穴に挿入されることによって前記小扉が施錠され、該小扉は、可撓性を有し、通行口の縦長さ及び横幅と同程度の縦長さ及び横幅を有するシートと、夫々の一面が互いに対向しており、夫々の前記一面の一部の間に、前記小扉が閉じている場合の前記シートの下部を挟むようにして前記シートに取り付けられ、夫々の前記一面の他部の間に前記棒状体が配されている2枚の取付板と、該取付板の前記他部に設けられており、前記横方向に延びる案内溝とを備え、前記棒状体は、前記案内溝に摺動可能に支持されている案内突起を備え、2枚の前記取付板の間から前記操作突起が突出していることを特徴とする。
【0009】
本実施の形態に係るドアは、前記小扉は、前記取付板の他面及び前記小扉が閉じている場合の前記取付板の上端面に亘って前記取付板を覆う化粧部材を更に備えることを特徴とする。
【0010】
本実施の形態に係るドア装置は、人間が通り抜け可能な出入口が設けられている壁体、及び本実施の形態に係るドアを備え、前記ドア本体は、前記出入口を開閉可能に前記壁体に取り付けられているドア装置であって、前記小扉が閉じている場合の該小扉の下側に、前記操作突起の前記横方向の両側に指を挿入することが可能な空間が設けられていることを特徴とする。
【0011】
本実施の形態にあっては、棒状体が小扉の内部に組み込まれており、ロック穴が、小扉が閉じている場合に棒状体が対向するドア本体の一部に設けられている。故に、棒状体及びロック穴が目立たない。従って、ドアの美観を向上させることができる。
【0012】
また、操作突起は、小扉が閉じている場合の小扉の下端から小扉の一面に沿う方向に突出する。故に、操作突起は、小扉を押し開けて通行口を通り抜けるペットに向けて突出せず、小扉が閉じている場合には小扉の下端から下向きに突出する。従って、操作突起はペットの通り抜けを阻害しない。たとえペットが首輪又は衣類等の物品を身に着けていたとしても、ペットが身に着けている物品に操作突起が引っ掛かることが抑制される。以上の結果、ペットが通行口をスムーズに通り抜けることができる。
【0013】
本実施の形態にあっては、小扉を構成するシートが可撓性を有する。故に、ペットが小扉を押し開けて通行口を通り抜けている場合に、小扉がペットの体形に沿って撓む。従って、ペットが通行口をよりスムーズに通り抜けることができる。
棒状体は、小扉を構成する2枚の取付板の間に配される。棒状体が有する案内突起が、取付板に設けられている案内溝に支持されることによって、棒状体は小扉の内部に組み込まれる。また、案内突起が、ドア本体の一面に沿う横方向に延びる案内溝に摺動することによって、棒状体の横方向の出没が案内される。
操作突起は、2枚の取付板の間に形成される空隙から突出している。この空隙は、小扉が閉じている場合は下向きに開口する。故に、操作突起が突出している空隙が目立たないので、ドアの美観を向上させることができる。
【0014】
本実施の形態にあっては、化粧部材が取付板を覆うので、ドアの美観を向上させることができる。
【0015】
本実施の形態にあっては、小扉を施錠する場合、使用者は、小扉が閉じているときに、小扉の下側の空間に指を挿入し、横方向に指を動かして操作突起に触れる。操作突起に触れた使用者は、横方向の外力を操作突起に加える。すると、操作突起が横方向に移動すると共に、棒状体が小扉から横方向に突出する。小扉が閉じているときには棒状体とロック穴とが対向するので、棒状体の小扉からの突出部分がロック穴に挿入される。この結果、小扉が施錠される。
【0016】
使用者は横方向に指を動かすので、小扉の一面に向かう方向の外力(即ち小扉を押し開ける方向の外力)が操作突起に加わることが抑制される。故に、操作突起に触れた使用者が小扉を誤って開けてしまうことが抑制される。従って、小扉が開いて棒状体とロック穴とが対向しなくなり、小扉を施錠できなくなることが抑制される。
【発明の効果】
【0017】
本実施の形態のドア及びドア装置による場合、ドア及びドア装置の美観を向上させることができる。また、ペットが通行口をスムーズに通り抜けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係るドア装置が備えるドアを示す正面図である。
図2】ドアの小扉近傍を示す正面図である。
図3】ドアの通行口を通り抜けるペットを示す側面図である。
図4】小扉の下部の近傍を示す側面図である。
図5】小扉の下部の近傍を示す一の断面図である。
図6】小扉の下部の近傍を示す他の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0020】
図1は、実施の形態に係るドア装置が備えるドアを示す正面図である。
図2は、ドアの小扉近傍を示す正面図である。
図中1はドア装置である。ドア装置1は、壁体11及びドア2を備える。ドア2は、ドア本体21及び小扉3を備える。
壁体11は床12に垂直であり、例えば部屋と廊下とを仕切る。壁体11の下部には、出入口111が設けられている。出入口111は、上下方向に長い矩形状をなす。出入口111は三方枠112によって縁取られている。三方枠112に縁取られた出入口111は、人間が通り抜け可能な縦長さ及び横幅を有する。出入口111の上縁及び両側縁は三方枠112によって構成されており、出入口111の下縁は、床12によって構成されている。
【0021】
ドア本体21は、一方向に長い矩形板状をなす。ドア本体21は、例えばフラッシュ構造を有する。ドア本体21は、ドア本体21の長手方向を上下に向け、出入口111を開閉可能に、壁体11に取り付けられている。以下では、ドア本体21の一面(非端面)に向かって手前側及び奥側を前側及び後側という。また、ドア本体21の一面に向かって左側及び右側を左側及び右側という。ドア本体21の一面に沿う横方向とは、左右方向のことである。
【0022】
ドア本体21の前面には取っ手211が取り付けられている。取っ手211は、ドア本体21の左辺部の中央部に配されている。同様に、ドア本体21の後面にも取っ手211が取り付けられている(不図示)。
ドア本体21は開き戸である。ドア本体21の右辺部と、三方枠112が有する右側の縦枠とは、2つの蝶番13,13によって連結されている。蝶番13,13は上下方向に互いに離隔している。ドア本体21の下端面と床12とは適長離隔しているが、ドア本体21の下端面と床12との間に人間の指は入らない。
なお、ドア本体21は開き戸に限定されず、例えば引き戸でもよい。また、出入口111は矩形枠によって縁取られていてもよい。
【0023】
ドア本体21の下辺部には、上下方向に長い矩形状の通行口212が設けられている。通行口212は切り欠き状をなし、通行口212の下部は開放されている。通行口212は、枠体213によって縁取られている。
枠体213は、1本の短い横枠21a及び2本の長い縦枠21b,21bを備える三方枠である。横枠21aは、通行口212の上縁を縁取り、縦枠21b,21bは、通行口212の左右両縁を縁取る。通行口212の下縁は縁取られていない。
枠体213に縁取られた通行口212は、ペットが通り抜け可能な縦長さ及び横幅を有する。
図3は、ドア2の通行口212を通り抜けるペットを示す側面図である。
【0024】
図1図3に示す小扉3は、シート31、取付部材32、及び2枚の取付板33,33を備える。
シート31は一方向に長い矩形状をなす。シート31の縦長さ及び横幅は、通行口212の縦長さ及び横幅と同程度である。シート31は可撓性を有する。また、シート31は透光性を有していることが望ましい。シート31は例えば合成樹脂製である。
小扉3は、後述するように、シート31の短手方向が左右方向に沿い、シート31の一方の短辺部が他方の短辺部よりも上側に位置するようにして、ドア本体21に取り付けられる。以下では、シート31の一方/他方の短辺部を上辺部/下辺部という。
【0025】
取付部材32は、シート31の上辺部に取り付けられている。取付部材32はシート31の両面の上辺部を、左右方向の全長に亘って覆う。取付部材32はシート31よりも剛性が高く、例えば金属製である。
取付部材32は、2本の枢軸321,321を有する。各枢軸321は円柱状をなし、例えば金属製である。枢軸321,321は、取付部材32の左右方向の両端部から、互いに相反する外向きに突出している。
【0026】
小扉3をドア本体21に取り付けるために、枠体213の各縦枠21bの上端部に、貫通孔214が設けられている。貫通孔214は、縦枠21bの内周に開口しており、縦枠21bを左右方向に貫通している。縦枠21b,21bの貫通孔214,214には、小扉3の枢軸321,321の先端部が、軸心を中心に回転可能に挿入されている。貫通孔214,214に挿入された枢軸321,321夫々は、通行口212の上縁に沿う。
【0027】
各枢軸321の非先端部には筒状のスペーサ322が外嵌めされていることが望ましい。2つのスペーサ322,322は、取付部材32と枠体213の縦枠21b,21bとの間に介在している。故に、小扉3が左右方向に位置ずれする虞はない。スペーサ322は、例えば合成ゴム製である。図3ではスペーサ322の図示が省略されている。
【0028】
以上の結果、小扉3は、枢軸321,321周りに前後方向に揺動可能に、ドア本体21の枠体213に支持されている。小扉3は、小扉3に前後方向の外力が加わることによって揺動し、通行口212を開閉する。小扉3に外力が加わらない場合、小扉3は自然に通行口212を閉鎖する。小扉3が閉じている場合、小扉3の厚み方向は前後方向に沿う。また、小扉3の左辺部及び右辺部は枠体213の縦枠21b,21bと左右方向に隣り合う。図1及び図2に示す小扉3は閉じている。
ペットは、小扉3を押し開けて通行口212を通り抜ける。ペットの通り抜け後、小扉3は自然に閉じる。
以下では、小扉3が閉じているものとして小扉3に関する上下方向及び前後方向を述べる。小扉3の上下方向は、小扉3の一面に沿う方向である。
【0029】
図4は、小扉3の下部の近傍を示す側面図である。ただし、図を分かり易くするために、シート31、並びに各後述する鉄板334及び化粧部材335には、次の図5で示すシート31、鉄板334、及び化粧部材335のハッチングと同じハッチングが付されている。
図5は、小扉3の下部の近傍を示す一の断面図であり、小扉3の左右方向の中途を切断した断面を示す。
図6は、小扉3の下部の近傍を示す他の断面図であり、小扉3の前後方向の中途を切断した断面を示す。
図6に示すように、シート31の下側且つ左右両側の2つの隅部は、矩形状に欠落している。以下では、シート31の隅部が欠落した部分を欠落部分311という。
【0030】
図4図6に示す各取付板33は、一方向に長い矩形板状をなす。取付板33の長手方向の長さは、シート31の左右方向の長さと同程度である。
取付板33の一面(非端面)における長手方向の両端部には、2つの凹部331,331が設けられている。
以下では、取付板33の、凹部331,331が設けられている面を対向面という。
【0031】
凹部331,331夫々は矩形状をなす。また、凹部331,331夫々は、取付板33の短手方向の両端面の内、同一の一端面に亘る。更に、各凹部331は、取付板33の長手方向の両端面の内、凹部331に近い方の端面に亘る。
凹部331の底面は、取付板33の対向面に平行である。凹部331の底面には、取付板33の長手方向に延びる案内溝332が設けられている。本実施の形態の案内溝332は、取付板33を厚み方向に貫通している。
以下では、取付板33の短手方向の両端面の内、凹部331,331が開口している端面を下端面といい、下端面の逆側の端面を上端面という。
【0032】
取付板33,33は、夫々の長手方向が左右方向に沿い、夫々の対向面が互いに対向し、夫々の上端面がシート31の上辺部に向くように、シート31の下辺部に取り付けられている。シート31の下辺部は、取付板33,33夫々の対向面における長手方向の中央部の間に挟まれている。シート31と取付板33,33とは、取付板33,33の一方、シート31の下辺部、及び取付板33,33の他方をこの順に貫通する皿ネジ333によって互いに固定されている。本実施の形態では、2個の皿ネジ333,333が左右方向に離隔配置されている。
【0033】
取付板33,33は、シート31の欠落部分311,311を部分的に覆う。
取付板33,33の左端部に位置する凹部331,331は、シート31の左下隅の欠落部分311を通して、前後方向に互いに対向している。同様に、取付板33,33の右端部に位置する凹部331,331は、シート31の右下隅の欠落部分311を通して互いに対向している。対向し合う凹部331,331の案内溝332,332は、前後方向に互いに対向する。各案内溝332は左右方向に延びる。
【0034】
小扉3は、2枚の鉄板334,334及び2つの化粧部材335,335を更に備える。
各鉄板334はシート31と同程度の厚みを有する矩形板状をなす。一方の鉄板334は、シート31の左下隅の欠落部分311を通して、取付板33,33夫々の対向面における左端部の間に挟まれている。同様に、他方の鉄板334は、シート31の右下隅の欠落部分311を通して、取付板33,33夫々の対向面における右端部の間に挟まれている。各鉄板334は、凹部331,331の上側に位置しており、取付板33,33の上端面を超えて突出している。
【0035】
各化粧部材335は一方向に長い板状をなす。化粧部材335の一面(非端面)には凹部336が設けられている。凹部336は、化粧部材335の長手方向の全長に亘り、且つ化粧部材335の短手方向の一端面に亘る。化粧部材335は、凹部336が取付板33で埋まるようにして、取付板33に取り付けられる(例えば両面テープで接着される)。
化粧部材335は、取付板33の対向面の逆側の面及び上端面に亘って取付板33を覆う。化粧部材335,335によって取付板33,33が目隠しされるので、案内溝332,232又は皿ネジ333,333等は人目に付かない。また、化粧部材335は、シート31の欠落部分311,311及び鉄板334,334も覆う。
図2における鉄板334及び化粧部材335,335の図示は省略されている。
【0036】
小扉3を施錠するために、ドア2は施錠機構4を更に備える。施錠機構4は、小扉3の下部の近傍に配されている。
図2図6に示す施錠機構4は、2本の棒状体41,41及び2つのロック穴42,42を備える。
各棒状体41は、一方向に長い矩形断面を有する直棒状をなす。棒状体41は操作突起411及び2つの案内突起412,412を有する。
以下では、棒状体41の断面の短手方向を棒状体41の厚み方向という。
【0037】
操作突起411は板状をなす。操作突起411は、操作突起411の両面が棒状体41の厚み方向の両側面に面一になるように、棒状体41の長手方向の一端部から、棒状体41に垂直に突出している。操作突起411は、後述するように棒状体41を出没させる場合に、使用者(例えばペットの飼い主)によって操作される。
【0038】
各案内突起412は、円形断面を有する直棒状をなす。棒状体41の長手方向の中央部から棒状体41に垂直に突出している。案内突起412,412は互いに相反する方向に突出している。案内突起412,412を棒状体41に設けるために、棒状体41の長手方向の中央部に貫通孔が形成され、この貫通孔に、1本の棒材が、棒状体41から棒状体41の厚み方向の両側に突出するように嵌め込まれる。この棒材の一端側の部分及び他端側の部分が案内突起412,412である。
【0039】
取付板33,33が小扉3の下辺部に取り付けられる場合に、棒状体41,41が取付板33,33の左右方向の両端部に取り付けられる。
1つの棒状体41は、1組の対向し合う凹部331,331の内部に配される。このとき、棒状体41の案内突起412,412は、取付板33,33の案内溝332,332に挿入される。案内突起412,412が案内溝332,332に摺動可能に支持されることによって、棒状体41は、左右方向に移動可能に取付板33,33に支持される。
以上のようにして、棒状体41,41は、小扉3の内部に組み込まれる。
【0040】
棒状体41の操作突起411は、取付板33,33の間から取付板33,33の下端面を超えて下方向に突出している。つまり、操作突起411は、小扉3の下端から小扉3の一面に沿う方向に突出するよう、棒状体41に突設されている。
各操作突起411の最下端位置は、ドア本体21の最下端位置よりも上側である。故に、操作突起411が床12に接触する虞はない。
なお、操作突起411が床12に接触しないのであれば、操作突起411の最下端位置はドア本体21の最下端位置以下でもよい。
【0041】
小扉3の下側には、操作突起411,411を操作するための空間(以下、操作用空間という)が設けられている。操作用空間は、床12と枠体213の縦枠21b,21bと小扉3とに囲まれた空間であり、操作突起411,411夫々の左右方向の両側に人間の指を挿入することが可能な空間である。
【0042】
左側の棒状体41において、操作突起411に左方向の外力が加えられた場合、操作突起411が左方向に移動すると共に、案内突起412,412が案内溝332,332に案内されて左方向に摺動するので、棒状体41の案内突起412,412よりも左側の部分が、取付板33,33の間から取付板33,33の左端面を超えて突出する。案内突起412,412が案内溝332,332の左端面に接触したとき、棒状体41の左方向への突出が規制される。
【0043】
一方、左側の棒状体41において、操作突起411に右方向の外力が加えられた場合、操作突起411が右方向に移動すると共に、案内突起412,412が案内溝332,332に案内されて右方向に摺動するので、棒状体41が取付板33,33の間に没入する。棒状体41の全体が取付板33,33の間に没入したとき、棒状体41の右端部が凹部331,331の右内面に接触する。故に、棒状体41の右方向への移動が規制される。
【0044】
即ち、左側の棒状体41は、小扉3から左方向に突出し、小扉3に右方向に没入する。同様に、右側の棒状体41は、小扉3から右方向に突出し、小扉3に左方向に没入する。
図2及び図6に示す左側の棒状体41は取付板33,33の間に完全に没入しており、右側の棒状体41は取付板33,33の間から最大限に突出している。
【0045】
小扉3が閉じている場合、左側の棒状体41及び鉄板334は、枠体213の左側の縦枠21bに対向し、右側の棒状体41及び鉄板334は、枠体213の右側の縦枠21bに対向する。
各縦枠21bの棒状体41が対向する部分には、ロック穴42が設けられている。ロック穴42は、縦枠21bの内周に開口しており、縦枠21bを左右方向に貫通している。
【0046】
小扉3が閉じている場合、小扉3から棒状体41が突出したとき、棒状体41の小扉3からの突出部分はロック穴42に挿入される。
小扉3が開いている場合、棒状体41とロック穴42とは対向しないので、小扉3から棒状体41が突出したとしても、棒状体41がロック穴42に挿入されることはない。
【0047】
各縦枠21bの鉄板334が対向する部分には、磁石22が嵌め込まれた貫通孔が設けられている。この貫通孔は縦枠21bの内周に開口しており、縦枠21bを左右方向に貫通している。
小扉3の鉄板334,334は、枠体213の磁石22,22に引き付けられる。故に、小扉3の揺動は短時間で終息する。また、例えばドア本体21の開閉に伴って小扉3が無用に揺動することが抑制される。
【0048】
以下では、左側の棒状体41を例示して説明する。右側の棒状体41の操作及び動作は、左側の棒状体41の操作及び動作の左右逆である。
小扉3を施錠する場合、使用者は、小扉3が閉じているときに、操作用空間における操作突起411の右側に指を挿入し、左方向に指を動かして操作突起411に触れる。操作突起411に触れた使用者は、左方向の外力を操作突起411に加える。すると、操作突起411が左方向に移動すると共に、棒状体41が小扉3から左方向に突出する。小扉3が閉じているときには棒状体41とロック穴42とが対向するので、棒状体41の小扉3からの突出部分がロック穴42に挿入される。
【0049】
少なくとも1つの棒状体41がロック穴42に挿入されることによって、小扉3の揺動が規制される。即ち、小扉3が施錠される。棒状体41,41の両方がロック穴42,42に挿入された場合、小扉3は更に確実に施錠される。
小扉3を施錠する場合、使用者は左右方向に指を動かすので、前後方向の外力(即ち小扉3を押し開ける方向の外力)が操作突起411に加わることが抑制される。故に、操作突起411に触れた使用者が小扉3を誤って開けてしまうことが抑制される。従って、小扉3が開いて棒状体41とロック穴42とが対向しなくなり、小扉3を施錠できなくなることが抑制される。
【0050】
小扉3を解錠する場合、使用者は、操作用空間における操作突起411の左側に指を挿入し、右方向の外力を操作突起411に加える。すると、操作突起411が右方向に移動すると共に、棒状体41が小扉3に右方向に没入するので、棒状体41の小扉3からの突出部分がロック穴42から抜脱される。
棒状体41,41の両方がロック穴42,42から抜脱されることによって、小扉3の揺動の規制が解除される。即ち、小扉3が解錠される。
【0051】
以上のようなドア2にあっては、棒状体41,41が小扉3の内部に組み込まれており、ロック穴42,42が、小扉3が閉じている場合に棒状体41,41が対向するドア本体21の一部に設けられている。故に、棒状体41,41及びロック穴42,42が目立たない。
また、棒状体41の操作突起411は、2枚の取付板33,33の間に形成される空隙から突出している。この空隙は、小扉3が閉じている場合は下向きに開口する。故に、操作突起411が突出している空隙が目立たない。
更に、化粧部材335,335が小扉3の下部を覆うので、シート31の欠落部分311,311、取付板33,33、及び鉄板334,334等が目隠しされる。
以上の結果、ドア2の美観を向上させることができる。
【0052】
操作突起411,411夫々は、小扉3が閉じている場合の小扉3の下端から小扉3の一面に沿う方向に突出する。故に、操作突起411,411夫々は、小扉3を押し開けて通行口212を通り抜けるペットに向けて突出せず、小扉3が閉じている場合には小扉3の下端から下向きに突出する。従って、操作突起411,411夫々はペットの通り抜けを阻害しない。たとえペットが首輪又は衣類等の物品を身に着けていたとしても、ペットが身に着けている物品に操作突起411が引っ掛かることが抑制される。
また、小扉3のシート31は可撓性を有する。故に、ペットが小扉3を押し開けて通行口212を通り抜けている場合に、小扉3がペットの体形に沿って撓む。
以上の結果、ペットが通行口212をスムーズに通り抜けることができる。
【0053】
本実施の形態においては、通行口212の下部が開放されているので、サイズが小さいペット又は運動能力が劣るペット等であっても、通行口212を容易に通り抜けることができる。
なお、通行口212は、通行口212の下部が開放されている構成に限定されず、例えば通行口212の全周が閉鎖されている構成でもよい。
また、通行口212は、ドア本体21の長辺部に設けられてもよい。通行口212が、ドア本体21の戸先側の長辺部に設けられた切り欠き状をなす場合、枠体213の戸先側の縦枠21bは、枢軸321を支持する部分以外を省略され、戸先側の棒状体41が挿脱されるロック穴42は、棒状体41が対向する壁体11の一部(例えば三方枠112が有する戸先側の縦枠)に設けられることが望ましい。戸先側のロック穴42が壁体11に設けられる場合、ドア本体21は引き戸であることが望ましい。
【0054】
小扉3は、シート31及び取付板33,33を備える構成に限定されず、例えばフラッシュ構造を有する板状部材でもよい。この場合も、棒状体41が小扉3から左右方向に出没可能に小扉3の内部に組み込まれており、小扉3の下端から小扉3の一面に沿う方向に操作突起411が突出していればよい。
【0055】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
1 ドア装置
11 壁体
111 出入口
2 ドア
21 ドア本体
212 通行口
213 枠体(ドア本体の一部)
3 小扉
31 シート
321 枢軸
33 取付板
332 案内溝
335 化粧部材
4 施錠機構
41 棒状体
411 操作突起
412 案内突起
42 ロック穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6