(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の不正開封防止キャップでは、外キャップに一体に連結された操作片を弾性変形させるだけで、操作片が逆止歯列に噛み合い、開封操作が可能になる。そのため、操作によっては非許容者であっても簡単に開封できてしまうおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、非許容者による開封を防止できる不正開封防止キャップを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る不正開封防止キャップは、容器本体の口部に対するキャップ軸回りの回転に伴い、前記口部に着脱可能に装着される内キャップと、前記内キャップに対して前記キャップ軸回りに回転可能に、前記内キャップを覆う外キャップと、前記内キャップに形成された第1係合部及び前記外キャップに形成された第2係合部に着脱可能に構成され、前記第1係合部及び前記第2係合部への装着時において、前記第1係合部及び前記第2係合部に前記キャップ軸回りの周方向で係合する係合片と、を備え
、前記第1係合部は、前記内キャップに前記周方向に間隔をあけて複数形成され、前記第2係合部は、前記外キャップに前記周方向に間隔をあけて複数形成され、前記係合片は、前記外キャップの周囲を取り囲むリング部と、前記リング部に前記周方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、複数組の前記第1係合部及び前記第2係合部にそれぞれ係合する突片部と、を備えている。
【0008】
この構成によれば、内キャップと外キャップとの連結状態及び非連結状態を、第1係合部及び第2係合部に対する係合片の着脱により切り替えることができる。すなわち、連結状態では、第1係合部及び第2係合部に係合片を装着することで、係合片が第1係合部及び第2係合部に周方向で係合し、内キャップ及び外キャップが係合片を介して連結される。内キャップと外キャップとの連結状態では、外キャップに作用した開封方向への回転力が、係合片を介して内キャップに伝達される。その結果、外キャップ及び内キャップが一体となって開封方向に回転することで、不正開封防止キャップを開封できる。
一方、第1係合部及び第2係合部から係合片を取り外すことで、係合片を介した内キャップ及び外キャップの連結が解除される。内キャップと外キャップとの非連結状態では、仮に外キャップに対してキャップ軸回りの何れの方向に回転力が作用したとしても、外キャップが内キャップに対して空転する。これにより、外キャップに対して開封方向に向けて回転力が作用した場合であっても、内キャップと口部との螺着状態が維持される。その結果、例えば非許容者等による意図しない開封を防止することができる。
特に、本発明の構成では、係合片が第1係合部及び第2係合部に着脱可能に構成されているため、不正開封防止キャップの操作時(開封又は閉塞操作)以外のときに係合片を内キャップ及び外キャップから取り外しておくことができる。これにより、従来のように操作片が外キャップに一体に連結されている構成と異なり、非許容者の意図しない操作によって不正開封防止キャップが開封されるのを防止できる。
その結果、特定者による開封を許容した上で、非許容者による意図しない開封を防止できる。
【0009】
また、連結状態において、第1係合部及び第2係合部と、突片部と、が周方向の複数箇所で係合することになる。そのため、外キャップに作用した回転力が突片部を介して内キャップに対して周方向の複数箇所に分散されて伝達される。これにより、第1係合部及び第2係合部と、突片部と、が周方向の1カ所のみで係合する場合に比べて、スムーズな開閉操作を行うことができる。また、係合片が内キャップ及び外キャップから意図せず外れたり、開封操作の際に係合片等が変形したりするのを抑制できる。
【0010】
本発明に係る不正開封防止キャップにおいて、前記係合片は、破断可能な弱化部を介して前記外キャップに連結されていてもよい。
この構成によれば、係合片と外キャップとを別々に製造する場合に比べて、製造効率の向上を図ることができる。
さらに、流通段階等、未開封状態において、係合片が外キャップから分離するのを抑制できるので、係合片の紛失を抑制できる。
また、弱化部を破断することで、係合片を外キャップから取り外すことができるので、不正開封防止キャップの外観を当初(例えば、未開封状態)と比べて変化させることが可能になる。このため、不正開封防止キャップが開封されたことがあるか否かを視認により容易に判別することができる。
【0011】
本発明に係る不正開封防止キャップにおいて、前記内キャップは、前記口部に装着される装着筒と、前記装着筒から、キャップ軸方向から見た平面視で前記キャップ軸に直交する径方向の外側に張り出すとともに、前記第1係合部を有する第1フランジ部と、を備え、前記外キャップは、前記装着筒の周囲を取り囲む囲繞筒と、前記囲繞筒のうち前記第1フランジ部よりも上方に位置する部分から、前記径方向の外側に張り出すとともに、前記第2係合部を有する第2フランジ部と、前記第2フランジ部の外周部分から前記キャップ軸方向に延設され、前記第1フランジ部の周囲を取り囲む被覆筒と、を備えていてもよい。
この構成によれば、内キャップのうち径方向を向く部分(装着筒及び第1フランジ部)が外部に露出することがないので、内キャップに対して直接回転力が作用するおそれがない。そのため、不正開封防止キャップが意図せず開封されるのを防止できる。
本発明に係る不正開封防止キャップは、容器本体の口部に対するキャップ軸回りの回転に伴い、前記口部に着脱可能に装着される内キャップと、前記内キャップに対して前記キャップ軸回りに回転可能に、前記内キャップを覆う外キャップと、前記内キャップに形成された第1係合部及び前記外キャップに形成された第2係合部に着脱可能に構成され、前記第1係合部及び前記第2係合部への装着時において、前記第1係合部及び前記第2係合部に前記キャップ軸回りの周方向で係合する係合片と、を備え、
前記内キャップは、前記口部に装着される装着筒と、前記装着筒から、キャップ軸方向から見た平面視で前記キャップ軸に直交する径方向の外側に張り出すとともに、前記第1係合部を有する第1フランジ部と、を備え、前記外キャップは、前記装着筒の周囲を取り囲む囲繞筒と、前記囲繞筒のうち前記第1フランジ部よりも上方に位置する部分から、前記径方向の外側に張り出すとともに、前記第2係合部を有する第2フランジ部と、前記第2フランジ部の外周部分から前記キャップ軸方向に延設され、前記第1フランジ部の周囲を取り囲む被覆筒と、を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る不正開封防止キャップによれば、非許容者による開封を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、実施形態に係る不正開封防止キャップ1が容器本体2に取り付けられて構成された収容容器3を例にして説明する。
図1に示すように、本実施形態の収容容器3は、内容物が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部5に装着された有頂筒状の不正開封防止キャップ1と、を備えている。なお、本実施形態において、容器本体2内に収容される内容物としては、例えば、誤飲や誤食を防止する必要のある薬剤等が挙げられる。但し、内容物は、適宜変更が可能である。
【0015】
不正開封防止キャップ1は、内キャップ10と、外キャップ11と、係合片12と、を主に備えている。本実施形態において、内キャップ10及び外キャップ11は、有頂筒状に形成され、係合片12はリング状に形成されている。また、内キャップ10、外キャップ11及び係合片12の中心軸は、それぞれ同軸に配置されている。したがって、以下の説明では、内キャップ10、外キャップ11及び係合片12の中心軸をキャップ軸Oという。この場合、不正開封防止キャップ1において、外キャップ11の天壁部21側を上側とし、天壁部21と反対側を下側とする。また、キャップ軸O回りに周回する方向を周方向とし、キャップ軸O方向から見た平面視においてキャップ軸Oに直交する方向を径方向とする。
【0016】
図1〜
図3に示すように、内キャップ10は、口部5に着脱可能に装着されている。具体的に、内キャップ10は、口部5に装着される装着筒22と、装着筒22の上端開口部を閉塞する天壁部23と、を主に有している。
図1に示すように、装着筒22は、上部の外径が下部の外径に比べて縮径された多段筒状に形成されている。装着筒22の内周面には、雌ねじ部25が形成されている。雌ねじ部25は、口部5の外周面に形成された雄ねじ部6に螺着されている。なお、装着筒22と口部5は、口部5に対する装着筒22のキャップ軸O回りの回転に伴い、着脱される構成であれば、雌ねじ部25及び雄ねじ部6以外の構成で装着されていても構わない。
【0017】
装着筒22の下部外周面には、径方向の外側に突出する第1係止部28が形成されている。第1係止部28は、装着筒22の全周に亘って延在している。第1係止部28は、キャップ軸O方向に沿う断面視において、下方に向かうに従い径方向の外側への突出量が漸次拡大している。
図1、
図3に示すように、装着筒22の上部外周面には、突条部29が形成されている。突条部29は、径方向の外側に突出するとともに、キャップ軸Oに延在している。突条部29は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。なお、図示の例において、突条部29における径方向の外側端面は、装着筒22の下部外周面と面一になっている。
【0018】
装着筒22の下端部には、径方向の外側に張り出す第1フランジ部31が形成されている。第1フランジ部31は、装着筒22の全周に亘って形成されている。
図1、
図2に示すように、第1フランジ部31の外周部分には、第1係合部32が形成されている。第1係合部32は、第1フランジ部31において、周方向で等間隔に複数形成されている。但し、第1係合部32は、周方向に不定ピッチで形成されていても構わない。また、第1係合部32は、少なくとも一つ有していれば構わない。
【0019】
各第1係合部32は、第1フランジ部31をキャップ軸O方向に貫通するとともに、第1フランジ部31の外周面において径方向の外側に向けて開放されている。具体的に、第1係合部32は、平面視において、第1フランジ部31の外周に沿った円弧状に形成されている。なお、第1係合部32は、上述した係合片12が係合可能な構成であれば、適宜変更が可能である。この場合、例えば第1係合部32は、第1フランジ部31の少なくとも上面で開口していればよい。また、第1係合部32の平面視形状は、円弧状に限らず、矩形状や円形状、三角形状、十字形状等であっても構わない。さらに、第1係合部32は、孔や凹部に限られない。
【0020】
図1、
図3に示すように、天壁部23において、口部5に対して径方向の内側に位置する部分には、シール筒37が形成されている。シール筒37は、内キャップ10が口部5に装着された状態において、口部5の内周面に密接している。
【0021】
図1〜
図4に示すように、外キャップ11は、上方及び径方向の外側から内キャップ10を覆うとともに、内キャップ10に対してキャップ軸O回りに回転可能に構成されている。具体的に、外キャップ11は、上述した天壁部21と、囲繞筒41と、第2フランジ部42と、被覆筒43と、を備えている。
【0022】
天壁部21は、内キャップ10の天壁部23を上方から覆っている。
図1に示すように、天壁部21の下面には、下方に突出する摺動突起51が形成されている。摺動突起51は、内キャップ10の天壁部23に上方から近接又は当接している。
【0023】
囲繞筒41は、天壁部21の外周縁から下方に延設されている。囲繞筒41は、内キャップ10の装着筒22を径方向の外側から囲繞している。囲繞筒41は、上部の外径が下部の外径に比べて縮径された多段筒状に形成されている。なお、囲繞筒41の上端部には、上方に向かうに従い径方向の内側に向けて傾斜する傾斜部52が形成されている。
【0024】
囲繞筒41の上部内周面は、上述した突条部29に径方向で近接又は当接している。
囲繞筒41の下部内周面には、径方向の内側に突出する第2係止部53が形成されている。第2係止部53は、囲繞筒41の全周に亘って延在している。第2係止部53は、キャップ軸O方向に沿う断面視において、上方に向かうに従い径方向の内側への突出量が漸次拡大している。第2係止部53は、上述した第1係止部28に下方から係止可能に構成されている。これにより、内キャップ10に対する外キャップ11の上方への移動が規制されている。なお、本実施形態において、第1係止部28及び第2係止部53は、内キャップ10に対する外キャップ11の上方移動を規制し、外キャップ11の抜け止めを行える構成であれば、適宜設計変更が可能である。
【0025】
第2フランジ部42は、囲繞筒41の下端部から径方向の外側に向けて張り出している。第2フランジ部42は、囲繞筒41の全周に亘って形成されている。第2フランジ部42は、上述した第1フランジ部31を上方から覆っている。本実施形態において、第2フランジ部42は、第1フランジ部31よりも径方向の外側に突出している。
【0026】
第2フランジ部42の内周部分(上述した第1係合部32と径方向で同じ位置)には、第2フランジ部42をキャップ軸O方向に貫通する第2係合部58が形成されている。第2係合部58の平面視形状は、第1係合部32よりも小さくなっている。
図2に示す例において、第2係合部58は、径方向の外側に向かうに従い周方向の幅が漸次縮小する台形状に形成されている。但し、第2係合部58の平面視形状は、第1係合部32と同形状であっても、第1係合部32より大きくても構わない。また、第2係合部58は、少なくとも外キャップ11を貫通していれば、適宜設計変更が可能である。
【0027】
第2係合部58は、第2フランジ部42において、周方向で等間隔に複数形成されている。図示の例において、各第2係合部58のピッチ(周方向で隣り合う第2係合部58間の間隔)は、上述した第1係合部32のピッチの2倍に設定されている。すなわち、第2係合部58の数は、第1係合部32の半分になっている。但し、第2係合部58の数は、適宜変更が可能であり、例えば第1係合部32の数以上であってもよい。
【0028】
図1、
図2に示すように、被覆筒43は、第2フランジ部42の外周部分から下方に延設されている。被覆筒43は、第1フランジ部31よりも下方に突出している。したがって、被覆筒43は、第1フランジ部31を径方向の外側から覆っている。このように、本実施形態の外キャップ11は、内キャップ10全体を上方及び径方向の外側から覆っている。これにより、本実施形態の不正開封防止キャップ1では、内キャップ10を直接操作できないようになっている。
【0029】
係合片12は、外キャップ11を囲繞した状態で、第1係合部32及び第2係合部58に着脱可能に構成されている。具体的に、係合片12は、リング部61と、突片部62と、を有している。
リング部61は、外キャップ11を全周に亘って取り囲んでいる。リング部61の内径は、囲繞筒41の最大外径部(囲繞筒41の下部の外径)よりも大きく、第2フランジ部42の外径よりも小さくなっている。一方、リング部61の外径は、不正開封防止キャップ1の最大外径部(本実施形態では、被覆筒43の外径)よりも小さくなっている。これにより、リング部61が被覆筒43よりも径方向の外側に突出することがないので、リング部61への引っ掛かりを抑制できる。そのため、リング部61への引っ掛かりによって後述する弱化部67が破断され、係合片12が外キャップ11から予期せず分離するのを抑制できる。なお、図示の例において、リング部61におけるキャップ軸O方向の長さは、上述した囲繞筒41の半分程度になっている。
【0030】
突片部62は、リング部61から下方に向けて突設されている。
図2に示すように、突片部62の平面視外形は、上述した第1係合部32及び第2係合部58内に進入可能な大きさになっている。本実施形態の突片部62は、平面視において、径方向の外側に向かうに従い周方向の幅が縮小する台形状に形成されている。
【0031】
また、突片部62におけるキャップ軸O方向の長さは、上述した第1フランジ部31及び第2フランジ部42の合計厚さよりも厚くなっていることが好ましい。すなわち、突片部62は、不正開封防止キャップ1の開封操作の際、対応する(平面視で重なり合う)第1係合部32及び第2係合部58にキャップ軸O方向で跨り、第1係合部32及び第2係合部58の内周面に周方向で係合するように構成されている(
図5参照)。これにより、係合片12が第1係合部32及び第2係合部58に装着されるとともに、係合片12を介して内キャップ10及び外キャップ11が連結される。
【0032】
上述した突片部62は、リング部61において、周方向に等間隔に複数形成されている。図示の例において、各突片部62のピッチは、上述した第2係合部58のピッチと同等に設定されている。但し、突片部62のピッチは、第2係合部58のピッチ以上であれば構わない。すなわち、突片部62の数は、第2係合部58の数以下であれば構わない。
【0033】
各突片部62の下端部は、破断可能な弱化部67を介して囲繞筒41の下部に連結されている。したがって、係合片12は、収容容器3の未開封状態において、突片部62が下方を向いた状態で、外キャップ11に一体に連結されている。この場合、係合片12は、リング部61の内周面が囲繞筒41の上部に対して径方向に間隔をあけ、かつリング部61の上端面が天壁部21の上端面に面一に配置された状態で、外キャップ11に連結されている。なお、本実施形態では、各突片部62それぞれに弱化部67が形成されているが、この構成のみに限られない。例えば、各突片部62のうち、何れかの突片部62に弱化部67が形成されていれば構わない。また、リング部61に弱化部が形成されていても構わない。
【0034】
続いて、上述した収容容器3の作用について説明する。以下の説明では、係合片12が弱化部67を介して外キャップ11に連結されている状態を、収容容器3の未開封状態とする。また、以下の説明では、外キャップ11、係合片12及び弱化部67を、まとめて外装体80という。
収容容器3の未開封状態では、係合片12が第1係合部32及び第2係合部58に装着されていないため、内キャップ10及び外キャップ11が連結されていない(以下、「非連結状態」という。)。そのため、仮に外装体80に対してキャップ軸O回りの何れかの方向に回転力が作用した場合には、外装体80が内キャップ10に対して空転する。これにより、外キャップ11に対して開封方向に向けて回転力が作用した場合であっても、内キャップ10と口部5との螺着状態が維持される。
【0035】
ここで、収容容器3を開封するには、まず弱化部67を破断して、外キャップ11からリング部61を取り外す。続いて、内キャップ10に対して外キャップ11を回転させ、第1係合部32及び第2係合部58同士を周方向で位置合わせする。これにより、第2係合部58と、何れかの第1係合部32と、が複数組ずつ平面視で重なり合う。
【0036】
次に、
図5に示すように、第1係合部32及び第2係合部58(内キャップ10及び外キャップ11)に係合片12を装着する。具体的には、突片部62が下方を向いた状態で、係合片12を外キャップ11に外挿する。その後、各突片部62と各第2係合部58とを周方向で位置合わせした状態で、外キャップ11に対して係合片12を下方に移動させる。この際、リング部61の下端面が、第2フランジ部42に上方から当接する位置まで係合片12を移動させる。すると、各突片部62は、第2係合部58を通過した後、各第1係合部32のうち第2係合部58に連通する第1係合部32内に進入する。その結果、各突片部62が対応する複数組の第2係合部58及び第1係合部32にキャップ軸O方向で跨って配置される。これにより、突片部62における周方向を向く面が、第1係合部32及び第2係合部58の内周面のうち、周方向を向く面に係合(近接又は当接)する。その結果、内キャップ10と外キャップ11とが係合片12を介して連結される。
【0037】
内キャップ10と外キャップ11との連結状態において、外キャップ11をキャップ軸O回りの開封方向(螺着解除方向)に回転させる。外キャップ11が内キャップ10に対して開封方向に回転すると、突片部62が第1係合部32及び第2係合部58の内周面に、少なくとも開封方向で当接する。これにより、外キャップ11に作用した開封方向への回転力が、係合片12を介して内キャップ10に伝達される。その結果、外キャップ11及び内キャップ10が一体となって開封方向に回転することで、内キャップ10と口部5との螺着が解除される。よって、収容容器3が開封される。
【0038】
一方、収容容器3を閉塞する場合には、第1係合部32及び第2係合部58に係合片12を装着した状態で、不正開封防止キャップ1を口部5にセットする。その後、外キャップ11を、口部5に対して螺着方向に回転させる。これにより、外キャップ11及び内キャップ10が螺着方向に一体に回転することで、内キャップ10が口部5に螺着される。なお、本実施形態では、外キャップ11を把持して開封操作及び閉塞操作を行う場合について説明したが、係合片12(リング部61)を把持して開封操作及び閉塞操作を行っても構わない。
【0039】
また、収容容器3の閉塞後、内キャップ10及び外キャップ11から係合片12を取り外すことが好ましい。係合片12を取り外す際は、外キャップ11に対して係合片12を上方に移動させる。すると、係合片12の突片部62が第1係合部32及び第2係合部58から上方に退避する。これにより、内キャップ10と外キャップ11との連結が解除される。内キャップ10と外キャップ11との連結が解除された状態では、仮に外キャップ11に対して回転力が作用したとしても、外キャップ11が内キャップ10に対して空転する。これにより、内キャップ10と口部5との螺着状態が維持される。
なお、収容容器3を閉塞状態で保管するには、係合片12を収容容器3とは別の場所で保管しておくことが好ましい。
【0040】
このように、本実施形態では、内キャップ10及び外キャップ11に周方向で係合可能な係合片12を備える構成とした。
この構成によれば、内キャップ10と外キャップ11との連結状態及び非連結状態を、第1係合部32及び第2係合部58に対する係合片12の着脱により切り替えることができる。この場合、内キャップ10と外キャップ11との連結状態では、外キャップ11に作用した開封方向への回転力が、係合片12を介して内キャップ10に伝達される。その結果、外キャップ11及び内キャップ10が一体となって開封方向に回転することで、収容容器3を開封できる。
【0041】
一方、内キャップ10と外キャップ11との非連結状態では、仮に外キャップ11に対してキャップ軸O回りの何れの方向に回転力が作用したとしても、外キャップ11が内キャップ10に対して空転する。これにより、外キャップ11に対して開封方向に向けて回転力が作用した場合であっても、内キャップ10と口部5との螺着状態が維持される。その結果、例えば非許容者等による意図しない開封を防止することができる。
特に、本実施形態では、係合片12が内キャップ10及び外キャップ11に着脱可能に構成されているため、不正開封防止キャップ1の操作時(開封又は閉塞操作)以外のときに係合片12を内キャップ10及び外キャップ11から取り外しておくことができる。これにより、従来のように操作片が外キャップに一体に連結されている構成と異なり、非許容者の意図しない操作によって不正開封防止キャップが開封されるのを防止できる。
その結果、特定者による開封を許容した上で、非許容者による意図しない開封を防止できる。
【0042】
ところで、従来のように操作片と逆止歯列とを噛み合わせて開封操作を行う構成では、開封操作の最中は操作片を常に変形させた状態で開封操作を行う必要がある。そのため、従来の不正開封防止キャップは、通常のキャップ(外キャップを有さないキャップ)に比べて開封操作が煩雑であり、操作性の低下に繋がる。
これに対して、本実施形態の不正開封防止キャップ1では、内キャップ10(第1係合部32)及び外キャップ11(第2係合部58)に係合片12を装着した後、外キャップ11を開封方向に回転させるだけで開封を行うことができる。そのため、通常のキャップと同等の操作性を維持できる(従来の不正開封防止キャップに比べて操作性を向上させることができる。)。
【0043】
本実施形態では、第1係合部32及び第2係合部58が周方向に複数形成されるとともに、各突片部62が対応する複数組の第1係合部32及び第2係合部58にそれぞれ係合する構成とした。
この構成によれば、第1係合部32及び第2係合部58と、突片部62と、が周方向の複数箇所で係合することになるので、外キャップ11に作用した回転力が突片部62を介して内キャップ10に対して周方向の複数箇所に分散されて伝達される。これにより、第1係合部32及び第2係合部58と、突片部62と、が周方向の1カ所のみで係合する場合に比べて、スムーズな開閉操作を行うことができる。また、係合片12が内キャップ10及び外キャップ11から意図せず外れたり、開封操作の際に係合片12等が変形したりするのを抑制できる。
【0044】
本実施形態では、係合片12が破断可能な弱化部67を介して外キャップ11に連結されている構成とした。
この構成によれば、係合片12と外キャップ11とを別々に製造する場合に比べて、製造効率の向上を図ることができる。
さらに、流通段階等、未開封状態において、係合片12が外キャップ11から分離するのを抑制できるので、係合片12の紛失を抑制できる。
また、弱化部67を破断することで、係合片12を外キャップ11から取り外すことができるので、不正開封防止キャップ1の外観を当初(例えば、未開封状態)と比べて変化させることが可能になる。このため、不正開封防止キャップ1が開封されたことがあるか否かを視認により容易に判別することができる。
【0045】
本実施形態では、外キャップ11が囲繞筒41、第2フランジ部42及び被覆筒43により内キャップ10の周囲を径方向の外側から取り囲む構成とした。
この構成によれば、内キャップ10のうち径方向を向く部分(装着筒22及び第1フランジ部31)が外部に露出することがないので、内キャップ10に対して直接回転力が作用するおそれがない。そのため、不正開封防止キャップ1が意図せず開封されるのを防止できる。
【0046】
本実施形態では、内キャップ10と外キャップ11とが突条部29や摺動突起51を介して接触する構成とした。
この構成によれば、内キャップ10と外キャップ11において、天壁部21,23同士や、装着筒22及び囲繞筒41同士がそれぞれ全面で当接する場合に比べて、外キャップ11の回転時において外キャップ11と内キャップ10との間で作用する摺動抵抗を軽減できる。そのため、内キャップ10と外キャップ11とが予期せず共回りするのを抑制できる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した実施形態では、フランジ部31,42に第1係合部32や第2係合部58を形成した場合について説明したが、この構成のみに限られない。第1係合部32や第2係合部58は、天壁部21,23や装着筒22、囲繞筒41に形成されていても構わない。
上述した実施形態では、係合片12(リング部61)がリング状に形成された構成について説明したが、この構成のみに限られない。
また、係合片12は、外キャップ11と別々に形成しても構わない。
上述した実施形態では、内キャップ10の全体が外キャップ11に覆われる構成としたが、この構成のみに限らず、外キャップ11は内キャップ10の少なくとも一部を覆っていれば構わない。
【0048】
このように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。