(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記背面板部材は、前記上辺と前記側辺とがそれぞれ前記背当部材の上方及び側方に突出していて、突出した前記上辺と前記側辺との角部に前記第一連結辺が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の椅子用背凭れ。
【背景技術】
【0002】
従来、劇場や講堂等の施設に設置される椅子として、例えば、特許文献1に示されるように、施設の前後方向に沿う手前側に位置し、着座者の背中に接するウレタン等の弾性部材を含む背当部材と、奥側に位置し、背当部材を支えるとともに、背当部材を介して入力される着座者の荷重を支持する強度部材としての背面板部材と、を備えるものが知られている。
このような椅子では、施設の前後方向に複数並設されることから、自席の背面側に位置する椅子に着座する他の着座者からの視認性を下げることを目的として、背面板部材との前後方向の間隔を大きく設定するとともに、背当部材に対して背面板部材の幅方向の寸法も大きくしている。
【0003】
ところで、劇場や講堂といった施設では、利用者の性別や年代が様々であり、手足の筋力が低下した利用者も多く存在することが想定されている。また、これらの施設では、一般的に、床面が前方を向く斜面、あるいは前方に向けて低段化する段床とすることで、最前方のステージを好適に視認できる構造をしている。そのため、例えば手足の筋力が低下した利用者にとっては、施設の幅方向に隣り合う椅子の列の最も外側の椅子、換言すれば椅子の列同士の間の通路に面する椅子に手掛かり部材が設けられていることが望ましいとされ、例えば特許文献2、3に開示されている。
【0004】
特許文献2、3には、椅子の背凭れ上部の角部から外方に向けて突出する突出部材を設けたり、手掛かりになるリング形状を形成するグリップを設ける構成について記載されちる。このような構成を採用することにより、利用者は背凭れの一部に設けられる手掛かり(上述した突出部材やグリップ)を把持することで、通路の歩行が補助される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の椅子では、以下のような問題があった。
すなわち、上述したような手掛かりが設けられた椅子では、その手掛かりを利用者が把持して瞬間的に椅子に利用者が体重をかけることによって大きな荷重がかかった状態になる。このような場合には、その椅子に着座している利用者に前記荷重によって椅子を揺さぶるような動きに伴う違和感を与えるおそれがあった。
また、劇場や講堂等の施設では、他の利用者を避けながら椅子の背面側の空間を幅方向に移動するという状況が多く発生する。そして、とくに特許文献3に開示されるようなリング状の手掛かり部を有する構成の場合には、上述したような幅方向の移動の際にリング状の手掛かり部に利用者の荷物が引っ掛かり、移動が妨げられるという問題があった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、劇場や講堂といった施設で利用される椅子において、通路を経由して着座したい椅子に安全にアプローチすることが可能な椅子用背凭れを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る椅子用背凭れは、椅子の奥行方向の手前側に配置され、着座者の背中に接する背当部材と、該背当部材を奥行方向の奥側から支持する背面板部材と、を備え、前記背面板部材は、上辺と、前記椅子の奥行方向に交差する幅方向において前記上辺よりも外側方に位置する側辺と、該側辺の上端部と前記上辺の前記幅方向に沿う外側端部とを連結し、前記背面板部材の外周縁部に、外側方に向けて下傾する平坦面を形成する第一連結辺と、を備え
、前記上辺の前記外側端部は、前記椅子の設置面からの高さが前記上辺の他の部分よりも高い位置であることを特徴としている。
【0009】
本発明では、背面板部材の外周縁部に外側方に向けて下傾する平坦面を形成する第一連結辺を有しているので、とくに劇場や講堂等の施設に設置される椅子に採用された場合には、背面板部材の第一連結辺に形成された平坦面に利用者の手を一時的に載置する部位として機能させることができる。したがって、利用者の手から入力された荷重は、第一連結辺の平坦面に対して直交する方向に作用することとなる。すなわち、例えばリング状の手掛け部材を椅子の背凭れの背面板部材に形成した場合のように、背面板部材を厚さ方向に揺さぶる力が発生しにくくなり、また利用者の荷物が引っ掛かることを防止することができる。
【0011】
この場合には、椅子の全体形状として背面板部材の上辺の角の部分が反り上がるような形状となり、その角の部分である外周縁部に位置する平坦面を形成する第一連結辺に視覚的特徴を付与することによって、例えば椅子の幅方向に設けられる通路を通る利用者から視認し易くなる。
【0012】
また、本発明に係る椅子用背凭れでは、前記上辺は、前記外側端部よりも前記幅方向の内側において水平方向に延設される水平辺と、該水平辺の前記幅方向の外端部と前記上辺の外側端部とを連結する第二連結辺と、を備えていることが好ましい。
【0013】
この場合には、上辺の外側端部が第二連結辺を介して水平辺に連設しているので、背面板部材の外周縁部により大きな視覚的特徴を付与することができる。したがって、背面板部材の外周縁部に形成される第一連結辺がより視認し易くなる利点がある。
【0014】
また、本発明に係る椅子用背凭れでは、前記第二連結辺は、前記外側端部から前記水平辺に向けて漸次、下方へ向けて突となるように湾曲していることが好ましい。
【0015】
この場合には、上辺の水平辺と外側端部とを連接する第二連結辺が湾曲した形状となり、上辺に所定の角度をもった屈曲部が形成されなくなる。そのため、とくに劇場・講堂に設置される椅子に採用された場合において、第一連結辺に手を載置した後、上辺に手を沿わせながら移動する際に、手に加わる衝撃を小さくすることができ、利用者の移動をより好適なものとすることができる。
【0016】
また、本発明に係る椅子用背凭れでは、前記背面板部材は、前記上辺と前記側辺とがそれぞれ前記背当部材の上方及び側方に突出していて、突出した前記上辺と前記側辺との角部に前記第一連結辺が設けられていることを特徴としてもよい。
【0017】
この場合には、背面板部材の上辺と側辺とが背当部材から外側に張り出しているので、利用者に背面板部材が視認し易くなり、背面板部材の外周縁部に形成される第一連結辺の位置や形状が瞬時に視認することが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る椅子用背凭れでは、前記第一連結辺には、すべり止め部材が設けられていてもよい。
本発明に係る椅子用背凭れは、椅子の奥行方向の手前側に配置され、着座者の背中に接する背当部材と、該背当部材を奥行方向の奥側から支持する背面板部材と、を備え、前記背面板部材は、上辺と、前記椅子の奥行方向に交差する幅方向において前記上辺よりも外側方に位置する側辺と、該側辺の上端部と前記上辺の前記幅方向に沿う外側端部とを連結し、前記背面板部材の外周縁部に、外側方に向けて下傾する平坦面を形成する第一連結辺と、を備え、前記第一連結辺には、すべり止め部材が設けられていることを特徴としている。
【0019】
この場合には、背面板部材の第一連結辺の平坦部に、例えば厚さ方向に弾性変形するゴム等のすべり止め部材が設けられているので、その平坦部に載せた利用者の手がすべって第一連結辺から外れてしまい、例えば体のバランスを崩してしまうことを防ぐことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の椅子用背凭れによれば、劇場や講堂といった施設で利用される椅子において、通路を経由して着座したい椅子に安全にアプローチすることが可能とする手掛かりを有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態による椅子用背凭れについて、図面に基づいて説明する。
【0023】
図1及び
図2に示す本実施形態による椅子用背凭れを有する椅子1は、例えば劇場、講堂、ホール、会議場、待合室等において、建物の床面F(設置面)に左右方向X1に複数配列した状態で設置される。椅子1は、左右方向X1に複数(図では三脚)並び、これらが一体的に連結されて連結椅子1Aを構成し、かつこの連結椅子1Aが前後方向X2、及び左右方向X1に複数並んで設置される。
【0024】
ここで、以下の説明における前後、左右及び上下の向きは、椅子の座体上で背凭れに背を向けて着座した着座者を基準とする。つまり、前記着座者が向く方向が「前方」となる。また、上述したように椅子1の左右方向(椅子1の幅方向)を符号X1、前後方向(椅子1の奥行方向)を符号X2で示す。
【0025】
個々の椅子1は、椅子1の左右方向X1に離間して床面F上に起立する一対の脚部2と、一対の脚部2の間に配置される跳ね上げ式の座部3と、座部3への着座者が背中で寄り掛かる部分である背凭れ部4と、着座者が肘を掛けるための左右一対の肘掛部5と、を備えている。そして、左右方向X1に配列された複数の椅子1が左右一対の脚部2、2によって床面F上に一体的に固定される。
【0026】
図2に示すように、各脚部2は、鋼板等の強度部材からなり、椅子1の左右方向X1と直交するように起立する一対のサイドパネル20、20を、左右方向X1で間隔を空けて対向配置して構成されている。すなわち、脚部2は、上部に肘掛部5を備えるサイドパネル20と組み合わされて構成されている。
ここで、脚部2の下端には床面Fに床固定板21が設けられ、この床固定板21が例えば不図示のアンカーボルトを使用して床面Fに固定される。つまり、床面Fに埋設されたアンカーボルトに床固定板21を貫通し、そのアンカーボルトにナットを螺着し締め込むことで、脚部2が床面Fに固定される。
【0027】
座部3は、隣り合う左右の脚部2(サイドパネル20)間で着座面3aを略水平にした使用姿勢(図中符号3Aで示す)と、その前側を上方に変位させて着座面3aを起立させた収納姿勢(図中二点鎖線の符号3Bで示す)と、の間で回動可能(跳ね上げ可能)に設けられ、背凭れ部4と別体に構成されている。座部3は、着座面を形成する不図示の座クッションと、座クッションを支持する不図示の座フレームを有する。
【0028】
図2に示すように、座部3における使用姿勢3Aでの後側にある基端部は、左右の脚部2(サイドパネル20)のそれぞれの対向面に固定されている回動軸31に支持される。座部3は、使用姿勢3Aでの前側にある先端部を上下に変位させるように、左右方向X1に沿う回動軸31の支持軸C1を中心に回動する。例えば支持軸C1の周囲には、座部3を使用姿勢3Aから収納姿勢3Bに跳ね上げるように付勢する不図示の付勢手段(例えば弾性部材)が設けられる。
このように、座部3が跳ね上げ式(回動式)のため、
図3及び
図4に示すように、座部3の着座面3a及び背面3bと背凭れ部4の前面との相互間には、座部3が使用姿勢3A、収納姿勢3B、及び使用姿勢3Aと収納姿勢3Bの中間姿勢(回動途中の姿勢)のうち、いずれか1以上の姿勢にある状態で、座部3の下方へと連なる隙間S(
図1参照)が生じることになる。
【0029】
図5及び
図6に示すように、脚部2は、床面Fに立設される起立板22と、起立板22の上端22bに設けられた上部フランジ23と、から前後方向X1から見て略T字形状に形成されている。起立板22は、
図7及び
図8に示すように、上下方向の略中央から上側の部分において左右方向X2から見た側面視で逆台形状をなし、左右両側にサイドパネル20、20が取り付けられる側板取付部2Aを有している。上部フランジ23には、後述するサイドパネル20と同様の木製又は樹脂製の肘掛部5が上方から外嵌させることにより装着されている。
【0030】
図6、
図8、及び
図9(a)、(b)に示すように、脚部2の側板取付部2Aの上端側には、厚さ方向に貫通する一対の矩形状の第一開口部24(開口凹部)が前後方向X2に間隔をあけて形成されている。各第一開口部24は、側板取付部2Aにおける上端が開放され凹状に切り欠かれた形状をなしている。
【0031】
上部フランジ23は、
図9(a)、(b)に示すように、前後方向X1から見て起立板22の上端22bを中心にして左右両側に張り出した形状となっている。上部フランジ23における起立板22の第一開口部24に面する部分には、第一開口部24に向けて(下向きに向けて)開口するとともに、第一開口部24の長さ方向(前後方向X2)に沿って延びる開口溝23a(開口部)が形成されている。そして、本実施形態では、開口溝23aの中心が起立板22の中心に一致しており、開口溝23aの溝幅D1が起立板22の厚さ寸法D2よりも小さく設定されている。
【0032】
サイドパネル20は、
図8及び
図10に示すように、例えば木製(ベニヤ板や木質材料を含む)又は樹脂製の化粧板からなり、脚部2の側板取付部2Aとほぼ同形状の逆台形状をなす平板状に形成され、側板取付部2Aの左右両側を覆うように取り付けられる(
図5及び
図7参照)。サイドパネル20は、外側面20aが外側に露出し、内側面20bが側板取付部2Aの外周面に対向して配置される。サイドパネル20の内側面20bの上端部には、脚部2における第一開口部24を介して上部フランジ23の開口溝23aの内側に嵌合する平板状の係合プレート25(係合突部)を備えている。
【0033】
係合プレート25は、上部がサイドパネル20の上端22bよりも上方に突出するように設けられ、鋼製部材でねじ等の固定手段によって内側面20bに固定されている。
図9(b)に示すように、係合プレート25の高さ寸法L1は、第一開口部24の上下方向の寸法と開口溝23aの深さ寸法とを合わせた寸法(符号L2)に相当する。
係合プレート25の厚さ寸法は、開口溝23aの溝幅D1よりも小さく、かつ開口溝23aに左右一対の両側のサイドパネル20、20のそれぞれの係合プレート25、25が同時に嵌合されるような寸法(つまり開口溝23aの溝幅D1の1/2以下の寸法)に設定されている。そのため、開口溝23aには、左右一対のサイドパネル20、20に設けられる係合プレート25の両方が嵌合される。
【0034】
また、係合プレート25は、
図9(a)に示すように、サイドパネル20の内側面20bが起立板22の側板取付部2Aに接した状態で、第一開口溝23aにおける厚さ方向(左右方向X1に相当)の開口縁23bに対して、第一開口溝23aへの嵌合を規制するように起立板22の厚さ方向(左右方向X1に相当)の外側にずれた位置に形成され、かつ第一開口溝23aに嵌合した嵌合姿勢の状態で、前記厚さ方向で第一開口溝23aから離間する方向に付勢され第一開口溝23aの内面が押圧された構成となっている。つまり、サイドパネル20の内側面20bが側板取付部2Aに接した状態で、係合プレート25が第一開口溝23aに嵌合され、第一開口溝23aに嵌合した係合プレート25が第一開口部24の内側に挿入され、かつ第一開口溝23aの内面を押圧するように付勢されて構成されている。
【0035】
また、サイドパネル20の下端部分には、
図8及び
図10に示すように、厚さ方向に貫通するボルト挿通孔20cが設けられており、このボルト挿通孔20cに挿通された不図示のボルトによって起立板22に設けられる雌ねじ部に螺合される。
このとき、係合プレート25の復元方向と反対向きにボルトを締め付けることとなり、サイドパネル20が起立板22に固定されている。
【0036】
肘掛部5は、
図1に示すように、椅子1の外側部に設置されるが、隣接する椅子1、1同士の間ではその中間部に両席共用となる1個が設置される。肘掛部5は、
図6に示すように、前後方向X2に長く延びた形状で前後方向X2から見た断面視で略矩形状をなし、下端面に前後方向X2に沿って延在する嵌合凹部5aが形成されている。肘掛部5は、その嵌合凹部5aを脚部2の上部フランジ23に対して上方から外嵌させることで、脚部2に取り付けられる。なお、嵌合凹部5aの深さ寸法は、上部フランジ23の厚さ寸法よりも大きく設定され、これにより肘掛部5を上部フランジ23に嵌合させた状態で、外方から上部フランジ23が隠れて露出しないようになっている。
【0037】
図1及び
図3に示すように、背凭れ部4は、前後方向X2の手前側に配置され、着座者の背中に接する背当部材40と、背当部材40を前後方向X2の後側から支持する強度部材としての背面板部材6と、を備えている。
【0038】
背当部材40は、
図3及び
図4に示すように、背面板部材6の前面6aに着脱自在に取り付けられている。背当部材40は、着座者の着座荷重の支持面(背凭れ面4a)を構成する背張材41と、背張材41を後方から支持する外周構成部材42と、を備える。背張材41は、着座者の腰部を後方から支持し易いように、背凭れ面4aの上下中間部よりも下側の位置を前方に凸の頂部となる形状をなしている。
【0039】
外周構成部材42は、
図4に示すように、合板やパイプ、木枠等で形成され背張材41の外周縁部が支持される一対の張材支持部(図示省略)と、一対の張材支持部を背張材41よりも着座荷重の入力方向(前後方向X2)に沿う後側で連結するとともに、背面板部材6に遊動可能に支持される連結開口(図示省略)と、を有している。背張材41は、外周構成部材42における対向する一対の張材支持部の間に張設される。
ここで、背面板部材6の前面6aの上部側には、フック形状の連結具43が一つの背当部材40に対して複数設けられている。この連結具43に上述した外周構成部材42の連結開口を掛止させることにより背当部材40が背面板部材6の前面6aに支持される。
【0040】
図1及び
図3に示すように、背面板部材6は、前後方向X2に直交する鉛直面に対して後傾した平面に沿う木製の平板状をなし、正面視で左右方向X1に長い長方形状に設けられる。そして、背面板部材6は、左右一対の脚部2、2間の空間を椅子1の前後方向X2を遮蔽するように脚部2に対して不図示のブラケットを介してボルト締結により固定されている。
【0041】
背面板部材6は、連結椅子1Aとして構成される複数(3脚)の椅子1のすべてを後方から遮蔽するように一体的に設けられ、椅子1,1同士の間にわたって設けられ、各椅子1のサイドパネル20や肘掛部5の後面が隠れるまで延在した状態で配置されている(
図2参照)。背面板部材6の下端61aは、床面Fに対して離間している。
【0042】
また、
図2に示すように、背面板部材6は、左右方向X1に沿って延在する上辺63と、左右方向X1において上辺63よりも外側方に位置する側辺64と、側辺64の上端部64aと上辺63の左右方向X1に沿う外側端部63aとを連結し、背面板部材6の外周縁部に、外側方に向けて下傾する平坦面を形成する第一連結辺65と、を備えている。
ここで、背面板部材6の上辺63と側辺64とは、それぞれ背当部材40の上方及び側方に突出している。第一連結辺65は、背当部材40より突出した部分となる上辺63と側辺64との角部に設けられている。
【0043】
上辺63の外側端部63aは、椅子1の設置面である床面Fからの高さが上辺63の他の部分(上辺63における外側端部63aより左右方向X1で中央部側の部分)よりも高い位置となっている。つまり、連結椅子1A全体としての上辺63は、外側端部63aよりも左右方向X1の内側において水平方向に延設される水平辺63Aと、水平辺63Aの左右方向X2の外端部と上辺63の外側端部63aとを連結する第二連結辺63Bと、を有している。第二連結辺63Bは、外側端部63aから水平辺63Aに向けて漸次、下方へ向けて突となるように湾曲している。したがって、本実施形態において背面板部材6の上辺63が、連結椅子1A全体として左右方向X1の中央から両外側端部63a、63aにかけて上に反り上がるようなデザインとなっている(
図1参照)。
【0044】
なお、第一連結辺65の平坦面部分には、例えばゴム、プラスチック等、あるいは弾性変形可能な板材(弾性部材)により形成された薄板状のすべり止め部材(図示省略)が設けられていてもよい。この場合には、背面板部材6の第一連結辺65の平坦部に、例えば厚さ方向に弾性変形するゴム等のすべり止め部材が設けられているので、その平坦部に載せた利用者の手がすべって第一連結辺65から外れてしまい、例えば体のバランスを崩してしまうことを防ぐことが可能となる。
【0045】
背面板部材6には、
図3及び
図4に示すように、座部3の下方における一対の脚部2、2の対向面間の領域に手前側に向けて下傾する下傾面62bを有する傾斜部材62が設けられている。傾斜部材62は、例えば金属製材料や樹脂製材料からなり、背面板部材6に対して、前後方向X2ににおける手前側の領域に配置され、背面板部材6の下端61aから前後方向X2の前方に向けて漸次、下方に向けて連続して傾斜している。
【0046】
また、傾斜部材62は、背面板部材6とは独立した別部品として構成され、前後方向X2における奥側端部の下傾面62bの上端において背面板部材6に連結可能な被連結部62dを備え、この被連結部62dが背面板部材6の前面6aに対して前側からボルト等で着脱自在に固定される。さらに、傾斜部材62は、左右方向X1における両端部が脚部2に非連結状態となる自由端62e(
図2及び
図11参照)とされている。本実施の形態では、一対の脚部2、2のそれぞれの内側面と、傾斜部材62の両自由端62e(両端縁)との間には、前後方向X2に沿って延びる間隙が形成されている。
そして、傾斜部材62は、下面62aと床面Fとの間に空間Rを形成するように配置されている。
【0047】
傾斜部材62の下傾面62bの傾斜角度としては、例えば床面に対して30°〜80°程度とされる。すなわち、下傾面62bは、
図4に示すように、背面板部材6から段差がなく、前端部62cまで一様な傾斜面を形成している。そして、下傾面62bは、座部3と背凭れ部4との間に形成される隙間Sの下方に位置している。
【0048】
傾斜部材62の前端部62cは、床面Fから例えば数mm〜20mmの範囲で離間している。
また、傾斜部材62の下面62a側に形成される閉塞空間Rは、床面Fとの間において、後方に向かって次第に大きくなる側面視三角形状の空間となっている。
【0049】
次に、上述した椅子1の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態では、背凭れ部4の背面板部材6の外周縁部に外側方に向けて下傾する平坦面を形成する第一連結辺65を有しているので、とくに劇場や講堂等の施設に設置される椅子1に採用された場合には、背面板部材6の第一連結辺65に形成された平坦面に利用者の手(
図2に示す符号H)を一時的に載置する部位として機能させることができる。
したがって、利用者の手Hから入力された荷重は、第一連結辺65の平坦面に対して直交する方向(矢印P)に作用することとなる。すなわち、例えばリング状の手掛け部材を椅子の背凭れ部の背面板部材に形成した場合のように、背面板部材を厚さ方向に揺さぶる力が発生しにくくなり、また利用者の荷物が引っ掛かることを防止することができる。
【0050】
また、本実施形態では、背面板部材6において上辺63の外側端部63aは椅子1の設置面である床面Fからの高さが上辺63の他の部分(水平辺63A)よりも高い位置であることから、椅子1の全体形状として背面板部材6の上辺63の角の部分が反り上がるような形状となる。つまり、その角の部分である外周縁部に位置する平坦面を形成する第一連結辺65に視覚的特徴を付与することによって、例えば椅子の左右方向X1に設けられる通路を通る利用者から視認し易くなる。
【0051】
さらに、本実施形態では、上辺63の外側端部63aが第二連結辺63Bを介して水平辺63Aに連設しているので、背面板部材6の外周縁部により大きな視覚的特徴を付与することができる。したがって、背面板部材6の外周縁部に形成される第一連結辺65がより視認し易くなる利点がある。
しかも、上辺63の水平辺63Aと外側端部63aとを連接する第二連結辺63Bが湾曲した形状となり、上辺63に所定の角度をもった屈曲部が形成されなくなる。そのため、とくに劇場・講堂に設置される椅子1に採用された場合において、第一連結辺65に手Hを載置した後、上辺に手Hを沿わせながら移動する際に、手Hに加わる衝撃を小さくすることができ、利用者の移動をより好適なものとすることができる。
【0052】
また、本実施形態では、背面板部材6の上辺63と側辺64とが背当部材40から外側に張り出しているので、利用者に背面板部材6が視認し易くなり、背面板部材6の外周縁部に形成される第一連結辺65の位置や形状が瞬時に視認することが可能となる。
【0053】
上述のように本実施の形態による椅子用背凭れでは、劇場や講堂といった施設で利用される椅子1において、通路を経由して着座したい椅子1に安全にアプローチすることが可能とする手掛かりを有することができる。
【0054】
以上、本発明による什器の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0055】
例えば、
図12及び
図13に示す変形例による連結椅子1Bは、背凭れ部4の背面板部材6の側方部が椅子1に対して左右方向X1に大きく張り出した形状となっていて、椅子1から側辺64側に張出し部64Aを有する構成となっている。この場合の連結椅子1Bにおいても、上述した各椅子1の構成、すなわち背凭れ部4の背面板部材6の形状についても同様の構成とすることができる。つまり、上述した実施の形態の連結椅子1Aと、変形例による連結椅子1Bとが前後方向X2に配置されることで、椅子1の配置としては前後の連結椅子1A,1Bで左右方向X1に交互に位置するため、前側の着座者の頭で正面が隠れることのないように配置できる。そして、連結椅子1Bにおいて背面板部材6に大きな張出し部64Aを設けることで、前後に配置される大きな張出し部64Aの無い連結椅子1Aの側辺64の位置を一致させることができ、連結椅子1A、1Bの横の通路幅を一定することができる。
【0056】
また、本実施の形態では、連結面に荷重が入力されることから背面板部材6を強度部材としているが、これに限定されることはない。例えば、手前に剛性の大きなインナーシェルがあるような構造の場合には、背面板部材は単なるカバーであってもかまわない。
【0057】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。