(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、この種の継手としては、例えば
図23に示すように、互いに接合される一方の管101の受口102に、他方の管103の挿口104が挿入され、受口102の内周と挿口104の外周との間に円環状のパッキン105が設けられ、パッキン105を受口102の内周面と挿口104の外周面との間に押し込む押輪106が挿口104に外嵌されている管継手がある。
【0003】
受口102は開口端部に受口フランジ108を有している。この受口フランジ108と押輪106とが複数組のT頭ボルト109およびナット110で締結されている。受口フランジ108には、管軸心方向Aにおいて貫通する複数のボルト孔113が形成されている。また、押輪106には、管軸心方向Aにおいて貫通する複数のボルト孔112が形成されている。T頭ボルト109がボルト孔112,113に挿通され、ナット110がT頭ボルト109に螺合している。尚、T頭ボルト109の頭部109aは管軸心方向Aにおける受口フランジ108の裏面に当接し、ナット110は管軸心方向Aにおける押輪106の一端面に当接する。
【0004】
挿口104の外周面に食込んで係止されることによって受口102からの挿口104の離脱を防止する複数の係止爪115が押輪106の内部に備えられている。また、押輪106には、係止爪115を外周側から管軸心117に向かって押圧することで係止爪115の先端を挿口104の外周面に食込ませる複数の押しボルト116が設けられている。
【0005】
尚、T頭ボルト109とナット110とは円周方向における複数箇所に配設され、係止爪115と押しボルト116とは、円周方向において隣り合ったT頭ボルト109間に配設されている。
【0006】
これによると、ナット110を締め付けることにより、押輪106がパッキン105を受口102の内周面と挿口104の外周面との間に押し込むため、受口102と挿口104との間の水密性が保たれる。
【0007】
また、押しボルト116を締め込むことにより、係止爪115が押圧されて、係止爪115の先端が挿口104の外周面に食込む。これにより、例えば地震等の際、他方の管103に引張力Fが作用しても、挿口104が受口102から離脱方向Bへ離脱するのを防止することができる。
【0008】
尚、上記のような継手は例えば下記特許文献1に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の従来形式では、他方の管103に引張力Fが作用した場合、この引張力Fは係止爪115と押輪106とを介して各T頭ボルト109に分散して作用する。このように、分散した引張力fが各T頭ボルト109に作用すると、
図24に示すように、受口フランジ108の付け根部分119を中心とした曲げモーメントMが発生する。この曲げモーメントMは、引張力fが大きくなるほど、増大するとともに、付け根部分119から引張力fの作用点Cまでの距離dが大きくなるほど、増大する。尚、このときの引張力fの作用点CはT頭ボルト109の中心にある。
【0011】
従って、他方の管103に強い引張力Fが作用した場合、各T頭ボルト109に作用する引張力fも大きくなり、受口フランジ108に作用する曲げモーメントMが大きくなり、
図24の仮想線で示すように、受口フランジ108が変形することがある。例えば、耐震性能が低い一般の管101,103においては、その呼び径をDとすると、3DkN(例えば呼び径100の場合は300kN)の引張力Fが作用した場合、上記受口フランジ108が変形することがある。
【0012】
本発明は、管等の流路形成部材に引張力が作用したとき、受口フランジの変形量を低減することができる継手および変形低減部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本第1発明は、互いに接合される一方の流路形成部材の受口に、他方の流路形成部材の挿口が挿入され、
受口の内周と挿口の外周との間に環状のシール部材が設けられ、
シール部材を受口の内周と挿口の外周との間に押し込む押輪が挿口に外嵌され、
受口フランジと押輪とがねじ式の締結具によって締結され、
締結具は、第1締結部材と、第1締結部材に螺合する第2締結部材とを有し、
第1締結部材は流路形成部材の軸心方向において受口フランジを貫通し、
挿口に係止されて受口からの挿口の離脱を防止する係止部材が押輪に設けられた継手であって、
流路形成部材の軸心方向における受口フランジの裏面と第1締結部材の頭部又は第2締結部材との間に、受口フランジの変形を低減する変形低減部材が挟み込まれ、
変形低減部材に、受口フランジの裏面に当接する当接部
と、第1締結部材が挿入される締結部材挿入孔とが形成され、
当接部の図心が第1締結部材の中心よりも流路形成部材の径方向における内側に位置
し、
締結部材挿入孔は、流路形成部材の軸心方向において変形低減部材を貫通するとともに、流路形成部材の径方向において変形低減部材の内周側に開放されているものである。
【0014】
これによると、流路形成部材に引張力が作用した場合、この引張力は係止部材と押輪とを介して第1締結部材に分散して作用する。このため、分散した引張力が第1締結部材に作用し、受口フランジの付け根部分を中心とした曲げモーメントが発生する。
【0015】
この際、受口フランジの裏面と第1締結部材の頭部(又は第2締結部材)との間に変形低減部材が挟み込まれ、変形低減部材の当接部が受口フランジの裏面に当接しており、上記曲げモーメントにおける引張力の作用点は変形低減部材の当接部の図心にある。この図心は第1締結部材の中心よりも流路形成部材の径方向における内側に位置しているため、受口フランジの付け根部分から引張力の作用点までの距離が従来のものよりも短縮される。これにより、受口フランジに作用する曲げモーメントが小さくなって、受口フランジの変形量が低減される。
また、第1締結部材を受口フランジの締結孔へ挿入した状態で、変形低減部材の締結部材挿入孔を流路形成部材の径方向における外側から第1締結部材に外嵌することができる。このため、第1締結部材を受口フランジの締結孔へ挿入した後に、第1締結部材を変形低減部材の締結部材挿入孔に挿入することができる。これにより、変形低減部材を受口フランジの裏面と第1締結部材の頭部(又は第2締結部材)との間に容易に装着することができる。
【0016】
本第2発明における継手は、変形低減部材に、第1締結部材の頭部又は第2締結部材の回転を阻止する回り止め部が設けられているものである。
【0017】
これによると、一方の流路形成部材の受口に他方の流路形成部材の挿口を挿入して、流路形成部材同士を接合する接合作業において、受口フランジと押輪とを第1締結部材および第2締結部材で締結する際、第1締結部材の頭部(又は第2締結部材)が変形低減部材の回り止め部によって回り止めされるため、受口フランジと押輪とを締結する作業が容易に行える。
【0020】
本第
3発明における継手は、第1締結部材はボルトであり、第2締結部材はナットである。
【0021】
本第
4発明は、互いに接合される一方の流路形成部材の受口に、他方の流路形成部材の挿口が挿入され、
受口の内周と挿口の外周との間に環状のシール部材が設けられ、
シール部材を受口の内周と挿口の外周との間に押し込む押輪が挿口に外嵌され、
受口フランジと押輪とがねじ式の締結具によって締結され、
締結具は、第1締結部材と、第1締結部材に螺合する第2締結部材とを有し、
第1締結部材は流路形成部材の軸心方向において受口フランジを貫通し、
挿口に係止されて受口からの挿口の離脱を防止する係止部材が押輪に設けられた継手に備えられて、受口フランジの変形を低減する変形低減部材であって、
流路形成部材の軸心方向における受口フランジの裏面と第1締結部材の頭部又は第2締結部材との間に挟み込まれた状態で、受口フランジの裏面に当接する当接部
と、
第1締結部材が挿入される締結部材挿入孔とを有し、
当接部の図心が第1締結部材の中心よりも流路形成部材の径方向における内側に位置
し、
締結部材挿入孔は、流路形成部材の軸心方向において変形低減部材を貫通するとともに、流路形成部材の径方向において変形低減部材の内周側に開放されているものである。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によると、変形低減部材が受口フランジの裏面と第1締結部材の頭部(又は第2締結部材)との間に挟み込まれ、変形低減部材の当接部が受口フランジの裏面に当接し、当接部の図心が第1締結部材の中心よりも流路形成部材の径方向における内側に位置しているため、受口フランジの付け根部分から引張力の作用点までの距離が従来のものよりも短縮され、これにより、流路形成部材に引張力が作用した際に受口フランジに作用する曲げモーメントが小さくなって、受口フランジの変形量が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における継手の断面図である。
【
図4】同、継手に設けられた変形低減部材の斜視図である。
【
図5】同、変形低減部材を別の方向から見た斜視図である。
【
図7】同、変形低減部材の当接部の図心と六角ボルトの中心とを示す図である。
【
図11】同、変形低減部材の回り止め面と六角ボルトの頭部とを示す図である。
【
図13】本発明の第2の実施の形態における継手の一部拡大断面図である。
【
図14】本発明の第3の実施の形態における継手の一部拡大断面図である。
【
図15】本発明の第4の実施の形態における変形低減部材の図である。
【
図16】本発明の第5の実施の形態における変形低減部材の図である。
【
図17】本発明の第6の実施の形態における継手の一部拡大断面図である。
【
図18】同、継手に設けられた変形低減部材の回り止め用突部とT頭ボルトの頭部とを示す図である。
【
図19】本発明の第7の実施の形態における変形低減部材の当接部の図心と六角ボルトの中心とを示す図である。
【
図20】本発明の第8の実施の形態における変形低減部材の斜視図である。
【
図21】本発明の第9の実施の形態における継手の一部拡大断面図である。
【
図22】同、継手を分解した一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、
図1〜
図3に示すように、1は、一方の管2(一方の流路形成部材の一例)の受口3に他方の管4(他方の流路形成部材の一例)の挿口5を挿入して、両管2,4同士を接合した管継手(継手の一例)である。両管2,4はそれぞれ、直管又は曲管、片落管、T字管(分岐管)等の異形管のいずれの管であってもよい。
【0027】
受口3の内周面と挿口5の外周面との間に円環状のシール部材7が設けられ、シール部材7を受口3の内周面と挿口5の外周面との間に押し込む押輪8が挿口5に外嵌されている。尚、シール部材7には、例えばゴム製のパッキン等が用いられている。
【0028】
受口3は開口端部に受口フランジ9を有している。受口フランジ9は管軸心方向A(流路形成部材の軸心方向の一例)から見て六角形に形成されている。
【0029】
押輪8と受口フランジ9とが複数のねじ式の締結具10によって締結されている。これら締結具10は、六角ボルト11(第1締結部材の一例)と、六角ボルト11に螺合する六角ナット12(第2締結部材の一例)とを有している。押輪8と受口フランジ9とにはそれぞれ、管軸心方向Aにおいて貫通する複数のボルト孔14,15(締結孔の一例)が形成されている。六角ボルト11がボルト孔14,15に挿通され、六角ナット12が六角ボルト11に螺合している。尚、六角ボルト11は一端部に頭部11aを有し、頭部11aは受口フランジ9の裏側にあり、六角ナット12は押輪8の一端面側にある。
【0030】
押輪8には、押輪8の内周面に開口する円弧状の凹部17が形成されている。凹部17は円周方向Eにおいて押輪8の複数箇所に形成されている。各凹部17内には、挿口5の外周面に食込んで係止されることによって受口3からの挿口5の離脱を防止する係止爪18(係止部材の一例)が備えられている。尚、係止爪18は、管軸心方向Aから見て円弧形状を有しており、円周方向Eにおいて複数配置されている。
【0031】
また、押輪8には、係止爪18を外周側から管軸心19に向かって押圧することで係止爪18の先端を挿口5の外周面に食込ませる複数の押しボルト20が設けられている。
【0032】
尚、六角ボルト11と六角ナット12とは円周方向Eにおける複数箇所に配設され、係止爪18と押しボルト20とは、円周方向Eにおいて隣り合った六角ボルト11間に配設されている。
【0033】
管軸心方向Aにおける受口フランジ9の裏面と各六角ボルト11の頭部11aとの間には、それぞれ、受口フランジ9の変形を低減する変形低減部材31が挟み込まれている。変形低減部材31は、それぞれの六角ボルト11毎に対応して設けられており、
図4,
図5に示すように、円弧形状の内周面32とボルト挿入孔33(締結部材挿入孔の一例)と凹部34とを有している。
【0034】
図4,
図6に示すように、変形低減部材31の管軸心方向Aにおける一端部には、受口フランジ9の裏面に当接する当接部37と、当接部37から管径方向R(流路形成部材の径方向の一例)の外側へ傾斜する傾斜面38とが形成されている。当接部37は、受口フランジ9の裏面に面接触する部分であり、ボルト挿入孔33を介して、円周方向Eにおいて第1および第2当接部37a,37bに分断されている。
【0035】
図7に示すように、第1当接部37aの図心をPaとし、第2当接部37bの図心をPbとすると、第1当接部37aと第2当接部37bとを足し合わせた当接部37全体の図心はPとなる。
【0036】
また、
図8,
図9に示すように、傾斜面38は、当接部37よりも外周側に形成され、管径方向Rにおける外側ほど挿口5の挿入方向Gに傾斜している。
【0037】
図1,
図7に示すように、六角ボルト11はボルト挿入孔33に挿入されている。上記当接部37は六角ボルト11の中心11bよりも管径方向Rにおける内側に位置しており、これにより、当接部37の図心Pが六角ボルト11の中心11bよりも管径方向Rにおける内側に位置する。
【0038】
また、
図4〜
図6に示すように、ボルト挿入孔33は、管軸心方向Aにおいて変形低減部材31を貫通するとともに、管径方向Rにおいて変形低減部材31の内周面32に開放されている。
【0039】
図5,
図10に示すように、凹部34は、変形低減部材31の管軸心方向Aにおける他端面に形成され、変形低減部材31の内周面32と外周面35とに連通している。尚、ボルト挿入孔33の一端部は当接部37および傾斜面38に開口し、ボルト挿入孔33の他端部は凹部34内に連通している。
【0040】
凹部34は、管2,4の円周方向Eにおいて相対向する一対の回り止め面41(回り止め部の一例)を有している。
図11に示すように、六角ボルト11の頭部11aは変形低減部材31の凹部34に嵌まり込み、頭部11aの六角形の対辺が一対の回り止め面41間に挟まれる。
【0041】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0042】
図1に示すように、押しボルト20を締め込むことにより、係止爪18が押圧されて、係止爪18の先端が挿口5の外周面に食込む。これにより、例えば地震等の際、一方の管2に対して他方の管4に引張力Fが作用しても、挿口5が受口3から離脱方向Bへ離脱するのを防止することができる。
【0043】
また、上記のように他方の管4に引張力Fが作用した場合、この引張力Fは係止爪18と押輪8とを介して各六角ボルト11に分散して作用する。このため、
図12に示すように、分散した引張力fが各六角ボルト11に作用し、受口フランジ9の付け根部分22を中心とした曲げモーメントMが発生する。
【0044】
この際、受口フランジ9の裏面と六角ボルト11の頭部11aとの間に変形低減部材31が挟み込まれ、変形低減部材31の当接部37が受口フランジ9の裏面に面で当接(面接触)しており、上記曲げモーメントMにおける引張力fの作用点Cは変形低減部材31の当接部37の図心P(
図7参照)にある。
【0045】
この図心Pは六角ボルト11の中心11bよりも管径方向Rにおける内側に位置しているため、受口フランジ9の付け根部分22から引張力fの作用点Cまでの距離dが従来のものよりも短縮される。これにより、受口フランジ9に作用する曲げモーメントMが小さくなって、受口フランジ9の変形量が低減される。
【0046】
上記実施の形態では、一方の管2に対して他方の管4に引張力Fが作用した場合を例に説明したが、他方の管4に対して一方の管2に引張力が作用した場合も、上記と同様に、受口フランジ9の変形量が低減される。
【0047】
また、受口3に挿口5を挿入して、管2,4同士を接合する接合作業において、六角ボルト11を変形低減部材31のボルト挿入孔33と受口フランジ9のボルト孔15と押輪8のボルト孔14とに挿入し、押輪8と受口フランジ9とを六角ボルト11および六角ナット12で締結する際、
図2,
図11に示すように、六角ボルト11の頭部11aの六角形の対辺が回り止め面41に当接することにより、六角ボルト11の頭部11aの回転が回り止め面41によって阻止される。このため、六角ボルト11が回り止めされ、六角ボルト11に六角ナット12を螺合して締め込み、押輪8と受口フランジ9とを締結する作業が容易に行える。
【0048】
また、六角ボルト11を受口フランジ9のボルト孔15と押輪8のボルト孔14とに挿入した状態で、
図11に示すように、変形低減部材31のボルト挿入孔33を管径方向Rにおける外側から六角ボルト11に外嵌することができる。このため、六角ボルト11を受口フランジ9のボルト孔15と押輪8のボルト孔14とに挿入した後に、六角ボルト11を変形低減部材31のボルト挿入孔33に挿入して、変形低減部材31を受口フランジ9の裏面と六角ボルト11の頭部11aとの間に容易に装着することができる。
【0049】
上記実施の形態では、
図10に示すように、凹部34に一対の回り止め面41を形成しているが、回り止め面41はいずれか片方だけ形成してもよい。
【0050】
(第2の実施の形態)
先述した第1の実施の形態では、
図1に示すように、六角ボルト11の頭部11aが受口フランジ9の裏側にあり、六角ナット12が押輪8の一端面側にあるが、これに限定されるものではなく、例えば、第2の実施の形態では、
図13に示すように、六角ボルト11の頭部11aが押輪8の一端面側にあり、六角ナット12が受口フランジ9の裏側にあるものでもよい。
【0051】
この場合、変形低減部材31は、管軸心方向Aにおける受口フランジ9の裏面と各六角ナット12との間に、それぞれ挟み込まれている。また、六角ナット12は変形低減部材31の凹部34に嵌まり込み、六角ナット12の対辺が一対の回り止め面41間に挟まれる。
【0052】
これによると、先述した第1の実施の形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0053】
また、管2,4同士を接合する接合作業において、六角ナット12を変形低減部材31の凹部34に嵌め込み、六角ボルト11を押輪8のボルト孔14と受口フランジ9のボルト孔15と変形低減部材31のボルト挿入孔33とに挿入し、押輪8と受口フランジ9とを六角ボルト11および六角ナット12で締結する際、六角ナット12の対辺が回り止め面41に当接することにより、六角ナット12の回転が回り止め面41によって阻止される。このため、六角ナット12が回り止めされ、六角ボルト11に六角ナット12を螺合して締め込み、押輪8と受口フランジ9とを締結する作業が容易に行える。
【0054】
上記第2の実施の形態では、
図13に示すように、六角ナット12(第2締結部材の一例)と変形低減部材31とは分離した個別の部材であるが、六角ナット12と変形低減部材31とを一体的に構成してもよい。
【0055】
(第3の実施の形態)
先述した第1および第2の実施の形態では、
図1,
図13に示すように、第1締結部材の一例として六角ボルト11を用い、第2締結部材の一例として六角ナット12を用いたが、第3の実施の形態では、
図14に示すように、第1締結部材の別の例として、両ねじボルト51を用い、両ねじボルト51の両端部にそれぞれ六角ナット12を螺合してもよい。尚、この場合、受口フランジ9の裏側にある六角ナット12が第2締結部材の一例であり、反対の押輪8の一端面側にある六角ナット12が第1締結部材の頭部の代わりとなる。
【0056】
(第4の実施の形態)
先述した第1の実施の形態では、
図6に示すように、ボルト挿入孔33が管径方向Rにおいて変形低減部材31の内周面32に開放されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第4の実施の形態では、
図15に示すように、ボルト挿入孔33が管径方向Rにおいて変形低減部材31の外周面35に開放されていてもよい。
【0057】
この場合、当接部37は、第1の実施の形態のようにボルト挿入孔33を介して分断されておらず、円周方向Eにおいて、変形低減部材31の一端部44から他端部45にわたり連続して形成されている。そして、当接部37の図心Pは六角ボルト11の中心11bよりも管径方向Rにおける内側に位置する。
【0058】
(第5の実施の形態)
先述した第1および第4の実施の形態では、
図6,
図15に示すように、ボルト挿入孔33が、管径方向Rにおいて長孔状であり、変形低減部材31の内周面32又は外周面35に開放されているが、第5の実施の形態では、
図16に示すように、ボルト挿入孔33が、円形状であり、変形低減部材31の内周面32又は外周面35に開放されていないものであってもよい。
【0059】
この場合、当接部37は、第1の実施の形態のようにボルト挿入孔33を介して分断されておらず、円周方向Eにおいて、変形低減部材31の一端部44から他端部45にわたり連続して形成されている。そして、当接部37の図心Pは六角ボルト11の中心11bよりも管径方向Rにおける内側に位置する。
【0060】
(第6の実施の形態)
先述した第1および第2の実施の形態では、
図1,
図13に示すように、第1締結部材の一例として六角ボルト11を用いたが、第6の実施の形態では、
図17,
図18に示すように、第1締結部材の別の例として、T頭ボルト53を用いてもよい。
【0061】
この場合、変形低減部材31の管軸心方向Aにおける他端面には、第1の実施の形態のような凹部34は形成されておらず、その代わりに、回り止め用突部55(回り止め部の別の例)が形成されている。T頭ボルト53の頭部53aは、回り止め用突部55に当接することにより、回り止めされる。このため、T頭ボルト53に六角ナット12を螺合して締め込み、押輪8と受口フランジ9とを締結する作業が容易に行える。
【0062】
上記第6の実施の形態では、
図17に示すように、回り止め用突部55を変形低減部材31に形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、回り止め用突部55を形成せず、T頭ボルト53の径方向における頭部53aの端が受口3の外周面に干渉することで、T頭ボルト53を回り止めしてもよい。
【0063】
(第7の実施の形態)
先述した第1の実施の形態では、
図7に示すように、変形低減部材31の当接部37の全部が六角ボルト11の中心11bよりも管径方向Rにおける内側に位置しているが、第7の実施の形態として、
図19に示すように、当接部37の図心Pが六角ボルト11の中心11bよりも管径方向Rにおける内側に位置しておりさえすれば、当接部37の一部37c(例えば円周方向Eにおける両端部37c)が六角ボルト11の中心11bよりも管径方向Rにおける外側に位置していてもよい。
【0064】
これによると、受口フランジ9の付け根部分22を中心とした曲げモーメントMが発生した場合、曲げモーメントMにおける引張力fの作用点Cは変形低減部材31の当接部37の図心Pにある。これにより、先述した第1の実施の形態と同様の作用および効果が得られる。
【0065】
(第8の実施の形態)
先述した第1の実施の形態では、
図4に示すように、変形低減部材31の管軸心方向Aにおける一端部に、当接部37と傾斜面38とが形成されているが、第8の実施の形態では、
図20に示すように、変形低減部材31の一端部に傾斜面38を形成せず、当接部37が変形低減部材31の一端部から段差を付けて突出しているものである。
【0066】
上記各実施の形態では、当接部37は、受口フランジ9の裏面に面接触するが、線接触してもよい。
【0067】
(第9の実施の形態)
第9の実施の形態では、
図21,
図22に示すように、押輪8と受口フランジ9とが複数のねじ式の締結手段60によって締結されている。これら締結手段60は、六角ボルト11(第1締結部材の一例)と、六角ボルト11に螺合する雌ねじ部61(第2締結部の一例)とを有している。また、変形低減部材31には円形状のボルト挿入孔33が形成されており、上記雌ねじ部61はボルト挿入孔33の内周に備えられている。
【0068】
これによると、先述した第1の実施の形態と同様の作用および効果を得ることができる。また、
図13に示すようなナット12が不要になり、部品点数が削減される。
【0069】
尚、第9の実施の形態では、変形低減部材31の円周方向Eにおける端部が受口3の外周面に干渉することで、変形低減部材31が回り止めされる。
【0070】
上記各実施の形態では、円弧形状の変形低減部材31にボルト挿入孔33を単数形成し、六角ボルト11の本数と同数の変形低減部材31を設け、六角ボルト11と変形低減部材31とを1対1の関係で用いているが、変形低減部材31にボルト挿入孔33を複数形成し、1個の変形低減部材31を複数本の六角ボルト11に対応させてもよい。また、変形低減部材31を円環形状にし、この変形低減部材31にボルト挿入孔33を複数形成し、1個の変形低減部材31を全ての六角ボルト11に対応させてもよい。
【0071】
上記各実施の形態では、一方の流路形成部材の一例として一方の管2を示し、他方の流路形成部材の一例として他方の管4を示し、継手の一例として管継手1を示したが、一方の流路形成部材と他方の流路形成部材とのいずれか片方をバルブとし、もう片方を管とし、バルブと管とを接合する継手に適用してもよい。