(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872451
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】デジタル信号の伝送装置及びデジタル信号の伝送方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/2365 20110101AFI20210510BHJP
【FI】
H04N21/2365
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-143683(P2017-143683)
(22)【出願日】2017年7月25日
(65)【公開番号】特開2019-29692(P2019-29692A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000209751
【氏名又は名称】池上通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】荻原 俊貴
【審査官】
川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−112561(JP,A)
【文献】
特開2013−236211(JP,A)
【文献】
特開2015−019182(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/041305(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 − 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される非圧縮映像データをエンコード処理し、8ビットのエンコードデータにより出力するエンコード部と、
前記エンコード部により出力されたエンコードデータをSDIにおける有効映像領域にマッピングしていくマッピング部と、
前記マッピング部によりマッピングされたエンコードデータを抽出するデータ抽出部と、
前記データ抽出部により抽出されたエンコードデータをデコード処理し、映像データとして出力するデコード部と、
を備え、
前記有効映像領域は、Yチャンネルの10ビット信号(下位から:Y[0]、Y[1]、・・・、Y[9])と、Cチャンネルの10ビット信号(下位から:C[0]、C[1]、・・・、C[9])からなり、
前記Yチャンネルの(Y[0]、Y[1])領域の2ビットと、前記Cチャンネルの(C[0]、C[1])領域の2ビットそれぞれには、エンコードデータ有無情報の信号が含まれており、
前記マッピング部は、8ビット信号(下位から:D[0]、D[1]、・・・、D[7])からなる前記エンコードデータを4ビット毎に2分割し、前記Yチャンネルの(Y[0]、Y[1])領域の2ビットに含まれている前記エンコードデータ有無情報の信号がエンコードデータ有りの信号の場合、前記2分割した4ビットのエンコードデータ(D[4]〜D[7])を前記Yチャンネルの(Y[2]〜Y[5])領域の4ビットにマッピングし、そして、前記Cチャンネルの(C[0]、C[1])領域の2ビットに含まれている前記エンコードデータ有無情報の信号がエンコードデータ有りの信号の場合、前記2分割した4ビットのエンコードデータ(D[0]〜D[3])を前記Cチャンネルの(C[2]〜C[5])領域の4ビットにマッピングするものであることを特徴とするデジタル信号の伝送装置。
【請求項2】
前記エンコードデータ有りの信号は、第1のマッピングパターン信号と、第2のマッピングパターン信号の2つのパターンが有り、前記マッピング部は、前記エンコードデータ有りの信号が、前記第1のマッピングパターン信号の場合には、前記4ビットのエンコードデータの最上位ビットをビット反転させて各チャンネルにマッピングし、前記エンコードデータ有りの信号が、前記第2のマッピングパターン信号の場合には、前記4ビットのエンコードデータの最上位ビットの一つ下のビットをビット反転させて各チャンネルにマッピングすることを特徴とする請求項1記載のデジタル信号の伝送装置。
【請求項3】
前記マッピング部は、前記SDIにおける有効映像領域に、予め生成した前記非圧縮映像データの識別用データをマッピングすることができ、且つ、当該識別用データを画面上に表示可能とするモニター部が、前記マッピング部に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載のデジタル信号の伝送装置。
【請求項4】
前記識別用データは、前記マッピング部に接続された識別用データ生成部により生成されるものであることを特徴とする請求項3記載のデジタル信号の伝送装置。
【請求項5】
入力される非圧縮映像データをエンコード処理し、エンコードデータにより出力するエンコードステップと、
前記エンコードステップにより出力されたエンコードデータをSDIにおける有効映像領域にマッピングしていくマッピングステップと、
前記マッピングステップによりマッピングされたエンコードデータを抽出するデータ抽出ステップと、
前記データ抽出ステップにより抽出されたエンコードデータをデコード処理し、映像データとして出力するデコードステップと、
を含み、
前記有効映像領域は、Yチャンネルの10ビット信号(下位から:Y[0]、Y[1]、・・・、Y[9])と、Cチャンネルの10ビット信号(下位から:C[0]、C[1]、・・・、C[9])からなり、
前記Yチャンネルの(Y[0]、Y[1])領域の2ビットと、前記Cチャンネルの(C[0]、C[1])領域の2ビットそれぞれには、エンコードデータ有無情報の信号が含まれており、
前記マッピングステップでは、8ビット信号(下位から:D[0]、D[1]、・・・、D[7])からなる前記エンコードデータを4ビット毎に2分割し、前記Yチャンネルの(Y[0]、Y[1])領域の2ビットに含まれている前記エンコードデータ有無情報の信号がエンコードデータ有りの信号の場合、前記2分割した4ビットのエンコードデータ(D[4]〜D[7])を前記Yチャンネルの(Y[2]〜Y[5])領域の4ビットにマッピングし、そして、前記Cチャンネルの(C[0]、C[1])領域の2ビットに含まれている前記エンコードデータ有無情報の信号がエンコードデータ有りの信号の場合、前記2分割した4ビットのエンコードデータ(D[0]〜D[3])を前記Cチャンネルの(C[2]〜C[5])領域の4ビットにマッピングするものであることを特徴とするデジタル信号の伝送方法。
【請求項6】
前記エンコードデータ有りの信号は、第1のマッピングパターン信号と、第2のマッピングパターン信号の2つのパターンが有り、前記マッピングステップでは、前記エンコードデータ有りの信号が、前記第1のマッピングパターン信号の場合には、前記4ビットのエンコードデータの最上位ビットをビット反転させて各チャンネルにマッピングし、前記エンコードデータ有りの信号が、前記第2のマッピングパターン信号の場合には、前記4ビットのエンコードデータの最上位ビットの一つ下のビットをビット反転させて各チャンネルにマッピングすることを特徴とする請求項5記載のデジタル信号の伝送方法。
【請求項7】
前記マッピングステップでは、前記SDIにおける有効映像領域に、予め生成した前記非圧縮映像データの識別用データをマッピングし、且つ、当該マッピングされた識別用データを画面上に表示するデータ表示ステップが含まれていることを特徴とする請求項5又は6記載のデジタル信号の伝送方法。
【請求項8】
前記非圧縮映像データに基づいて、当該非圧縮映像データの識別用データを生成する識別用データ生成ステップを含み、前記マッピングステップでは、前記識別用データ生成ステップにより生成された識別用データを前記SDIにおける有効映像領域にマッピングするものであることを特徴とする請求項7記載のデジタル信号の伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像・音声デジタル信号の伝送装置及びその伝送方法、詳しくは、SDIフォーマットの有効映像領域へエンコードデータ、特に、TSデータを多重する際に、SDIデータ値の禁止コードを発生させず、さらに、多重前のSDI信号の映像品質劣化を極力抑えることができるデジタル信号の伝送装置及びその伝送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、SDIのフレームには、TRS(Timing Reference Signal)と呼ばれる同期信号が規定され、これが、フレームやライン、有効データ区間などの同期をとっており、TRSのコード値は、16進表記で(0x3FF, 0x000, 0x000, 0xXYZ[任意のデータ])で構成されている。
【0003】
また、アクティブビデオ領域(有効映像領域)のYチャンネルと、Cチャンネルの値は、TRSと区別するために、禁止コード(具体的には、16進表記で、0x000〜0x003、0x3FC〜0x3FF)が規定されているが、この禁止コードを発生させないために、これまで様々な検討がなされてきている。
【0004】
例えば、特許文献1には、10ビットレンジ[9:0]中の[7:0]へ多重対象となるTSデータを割り当て、上位2ビットの[9:8]は、データの有無などの付加情報として扱う伝送方法が開示されている。具体的には、[7:0]領域へデータが多重される場合は、8ビット目([8])をデータ有効とされる値(0又は1)とし、9ビット目([9])は、8ビットの値の反転である値とする。また、データが多重されない場合は、8ビット目をデータ無効とされる値とし、9ビット目は8ビット目の反転である値とする。
【0005】
また、特許文献2には、10ビットの上位8ビットのうち、少なくとも下位2ビットを互いに異なる値とし、[3:2]領域をデータ有無の信号として扱う伝送システムが開示されている。さらに、特許文献3には、信号データをHD−SDIへマッピングする場合に、10ビット中の[3:2]を使用し、3ビット目の値の反転値として、2ビット目を使用する信号伝送システムが開示されている。またさらに、特許文献4には、データの有無情報ではないが、パリティ情報として、10ビット中の上位2ビットを使用する信号送信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−41978号公報
【特許文献2】特開2013−236211号公報
【特許文献3】特開2013−55395号公報
【特許文献4】特開2000−174819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献に開示されている技術を始め、一般的には、10ビットの上位8ビット領域[9:2]中の何れか2ビットをデータの有無などの付加情報として扱うことが多い。それは、領域[9:2]中の何れか2ビットを値0と、その反転値の1にすることで、その他の領域の値が何れであっても、禁止コードが発生しないことを保障できるからである。
【0008】
しかしながら、SDI信号は、Yチャンネル、Cチャンネル共に10ビットデータで構成され、それぞれ、10ビット中での各ビット変更では、上位ビットほど視覚的な変化に与える影響は大きい。従って、上記の特許文献に開示されている技術では、SDI信号の映像品質の劣化を招いてしまう。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するためのもので、10ビットの下位2ビット領域[0]・[1]([1:0])をデータ有無情報の信号として扱い、HD−SDI信号の映像品質の劣化を抑えるとともに、禁止コードを発生させず、さらに、データ有無情報として、例えば、TSパケットの先頭バイト(具体的には、16進数で値0x47)も認識でき、多重されているパケット間の同期も容易に行えるデジタル信号の伝送装置及びデジタル信号の伝送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題に対応するため、本発明は、以下の技術的手段を講じている。
即ち、請求項1記載の発明は、入力される非圧縮映像データをエンコード処理し、8ビットのエンコードデータにより出力するエンコード部と、前記エンコード部により出力されたエンコードデータをSDIにおける有効映像領域にマッピングしていくマッピング部と、前記マッピング部によりマッピングされたエンコードデータを抽出するデータ抽出部と、前記データ抽出部により抽出されたエンコードデータをデコード処理し、映像データとして出力するデコード部とを備え、前記有効映像領域は、Yチャンネルの10ビット信号(下位から:Y[0]、Y[1]、・・・、Y[9])と、Cチャンネルの10ビット信号(下位から:C[0]、C[1]、・・・、C[9])からなり、前記Yチャンネルの(Y[0]、Y[1])領域の2ビットと、前記Cチャンネルの(C[0]、C[1])領域の2ビットそれぞれには、エンコードデータ有無情報の信号が含まれており、前記マッピング部は、8ビット信号(下位から:D[0]、D[1]、・・・、D[7])からなる前記エンコードデータを4ビット毎に2分割し、前記Yチャンネルの(Y[0]、Y[1])領域の2ビットに含まれている前記エンコードデータ有無情報の信号がエンコードデータ有りの信号の場合、前記2分割した4ビットのエンコードデータ(D[4]〜D[7])を前記Yチャンネルの(Y[2]〜Y[5])領域の4ビットにマッピングし、そして、前記Cチャンネルの(C[0]、C[1])領域の2ビットに含まれている前記エンコードデータ有無情報の信号がエンコードデータ有りの信号の場合、前記2分割した4ビットのエンコードデータ(D[0]〜D[3])を前記Cチャンネルの(C[2]〜C[5])領域の4ビットにマッピングするものであることを特徴とするデジタル信号の伝送装置である。
【0011】
次に、請求項2記載の発明は、請求項1記載のデジタル信号の伝送装置であって、前記エンコードデータ有りの信号は、第1のマッピングパターン信号と、第2のマッピングパターン信号の2つのパターンが有り、前記マッピング部は、前記エンコードデータ有りの信号が、前記第1のマッピングパターン信号の場合には、前記4ビットのエンコードデータの最上位ビットをビット反転させて各チャンネルにマッピングし、前記エンコードデータ有りの信号が、前記第2のマッピングパターン信号の場合には、前記4ビットのエンコードデータの最上位ビットの一つ下のビットをビット反転させて各チャンネルにマッピングすることを特徴としている。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のデジタル信号の伝送装置であって、前記マッピング部は、前記SDIにおける有効映像領域に、予め生成した前記非圧縮映像データの識別用データをマッピングすることができ、且つ、当該識別用データを画面上に表示可能とするモニター部が、前記マッピング部に接続されていることを特徴としている。そして、請求項4記載の発明は、請求項3記載のデジタル信号の伝送装置であって、前記識別用データは、前記マッピング部に接続された識別用データ生成部により生成されるものであることを特徴としている。
【0013】
さらに、請求項5記載の発明は、入力される非圧縮映像データをエンコード処理し、エンコードデータにより出力するエンコードステップと、前記エンコードステップにより出力されたエンコードデータをSDIにおける有効映像領域にマッピングしていくマッピングステップと、前記マッピング部によりマッピングされたエンコードデータを抽出するデータ抽出ステップと、前記データ抽出ステップにより抽出されたエンコードデータをデコード処理し、映像データとして出力するデコードステップとを含み、前記有効映像領域は、Yチャンネルの10ビット信号(下位から:Y[0]、Y[1]、・・・、Y[9])と、Cチャンネルの10ビット信号(下位から:C[0]、C[1]、・・・、C[9])からなり、前記Yチャンネルの(Y[0]、Y[1])領域の2ビットと、前記Cチャンネルの(C[0]、C[1])領域の2ビットそれぞれには、エンコードデータ有無情報の信号が含まれており、前記マッピングステップでは、8ビット信号(下位から:D[0]、D[1]、・・・、D[7])からなる前記エンコードデータを4ビット毎に2分割し、前記Yチャンネルの(Y[0]、Y[1])領域の2ビットに含まれている前記エンコードデータ有無情報の信号がエンコードデータ有りの信号の場合、前記2分割した4ビットのエンコードデータ(D[4]〜D[7])を前記Yチャンネルの(Y[2]〜Y[5])領域の4ビットにマッピングし、そして、前記Cチャンネルの(C[0]、C[1])領域の2ビットに含まれている前記エンコードデータ有無情報の信号がエンコードデータ有りの信号の場合、前記2分割した4ビットのエンコードデータ(D[0]〜D[3])を前記Cチャンネルの(C[2]〜C[5])領域の4ビットにマッピングするものであることを特徴とするデジタル信号の伝送方法である。
【0014】
さらに、請求項6記載の発明は、請求項5記載のデジタル信号の伝送方法であって、前記エンコードデータ有りの信号は、第1のマッピングパターン信号と、第2のマッピングパターン信号の2つのパターンが有り、前記マッピングステップでは、前記エンコードデータ有りの信号が、前記第1のマッピングパターン信号の場合には、前記4ビットのエンコードデータの最上位ビットをビット反転させて各チャンネルにマッピングし、前記エンコードデータ有りの信号が、前記第2のマッピングパターン信号の場合には、前記4ビットのエンコードデータの最上位ビットの一つ下のビットをビット反転させて各チャンネルにマッピングすることを特徴としている。
【0015】
そして、請求項7記載の発明は、請求項5又は6記載のデジタル信号の伝送方法であって、前記マッピングステップでは、前記SDIにおける有効映像領域に、予め生成した前記非圧縮映像データの識別用データをマッピングし、且つ、当該マッピングされた識別用データを画面上に表示するデータ表示ステップが含まれていることを特徴としている。さらに、請求項8記載の発明は、請求項7記載のデジタル信号の伝送方法であって、前記非圧縮映像データに基づいて、当該非圧縮映像データの識別用データを生成する識別用データ生成ステップを含み、前記マッピングステップでは、前記識別用データ生成ステップにより生成された識別用データを前記SDIにおける有効映像領域にマッピングするものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、SDIフォーマットの有効映像領域へTSデータをマッピング(多重)する際に、SDIデータ値の禁止コードを発生させず、また、多重前のSDI信号の映像品質劣化を極力抑え、さらに、エンコードデータ有無情報として、例えば、TSパケットの先頭バイト(具体的には、16進数で値0x47)も認識でき、多重されているパケット間の同期も容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るデジタル信号の伝送装置の第1の実施形態を示したブロック構成図である。
【
図2】本発明に係るデジタル信号の伝送方法の第1の実施形態を示したフローである。
【
図3】本発明に係るデジタル信号の伝送装置及びデジタル信号の伝送方法の第1の実施形態における有効映像領域(アクティブビデオ領域)の割り当て方法を示した一例図である。
【
図4】本発明に係るデジタル信号の伝送装置及びデジタル信号の伝送方法の第1の実施形態におけるマッピング(多重)パターンの変換を示した一例図で、(a)は多重パターン1、(b)は多重パターン2を表している。
【
図5】本発明に係るデジタル信号の伝送装置及びデジタル信号の伝送方法の第1の実施形態におけるエンコードデータがマッピング(多重)された状態を示した一例図である。
【
図6】本発明に係るデジタル信号の伝送装置及びデジタル信号の伝送方法の第1の実施形態におけるマッピング(多重)パターン選択を示したフローである。
【
図7】本発明に係るデジタル信号の伝送装置の第2の実施形態における複数のエンコードデータがマッピング(多重)された状態を示した一例図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るデジタル信号の伝送装置及びデジタル信号の伝送方法の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るデジタル信号の伝送装置の第1の実施形態を示したブロック図で、
図2は、本発明に係るデジタル信号の伝送方法の第1の実施形態を示したフローである。
【0019】
なお、符号については、10がデジタル信号の伝送装置、12が第1のエンコード部、14が第2のエンコード部、16がマッピング部、18がTSデータ抽出部、20が第1のデコード部、22が第2のデコード部、24がモニターを示している。
【0020】
まず、本実施形態におけるデジタル信号の伝送装置10は、
図1に示すように、それぞれ入力される非圧縮映像データをエンコード処理し、それを8ビットのTSデータにより出力する第1のエンコード部12、第2のエンコード部14と、さらに、各エンコード部(12、14)によりそれぞれ出力された8ビットのTSデータを有効映像領域に、それぞれマッピングしていくマッピング部16を備えている。
【0021】
なお、本実施形態では、入力される非圧縮映像(ビデオI/F)の画素では、全てのビットを映像に使用するもので、本方式では、画素の一部のビットを映像に割り当て(映像レイヤーとする)、他の一部のビットを圧縮したビットストリームに割り当てる(ビットストリームレイヤー)もので、ビットストリームには、MPEG方式のTS(トランスポートストリーム)データを用いることとしているが、本発明においては、それが、8ビットデータであれば、TSデータに限定されるものではない。
【0022】
そして、マッピング部16によりマッピングされた各TSデータを抽出するTSデータ抽出部18と、TSデータ抽出部18により抽出された各TSデータをそれぞれデコード処理し、映像データとして出力する第1のデコード部20、第2のデコード部22を備えている。なお、本実施形態では、データの入力・出力を2チャンネルとしているが、これは本発明を限定するものではない。
【0023】
また、
図1に示すように、本実施形態におけるTSデータのマッピング部16へ入力されるHD−SDI信号は、モニター24に表示させるために使用する信号で、表示に使うコンテンツ(内容)は、利用目的に合わせて選択すれば良い。一例を示すと、第1のエンコード部12と、第2のエンコード部14によりエンコードされた映像のコンテンツ名称や、TSデータ信号の内容(圧縮形式や、ビットレートなど)といった識別用データをテキストのビットマップ形式で表示する。このような構成にすることで、HD−SDI信号に多重されているTSデータ信号の内容が、モニター24を通じて、簡易的に知ることが可能となる。なお、その場合、識別用データは、マッピング部16に接続された識別用データ生成部(図示せず)により生成させるようにするのが好ましい。
【0024】
続いて、
図2も参照しながら、本実施形態におけるデジタル信号の伝送装置及びデジタル信号の伝送方法についてより詳細に説明していく。まず、それぞれ入力される非圧縮映像データを第1、第2のエンコード部(12、14)が、エンコード処理をし、HD−SDIのフレーム構造にマッピングできる8ビットのTSデータにて出力していく(ステップ1)。
【0025】
続いて、マッピング部16が、TSデータをHD−SDIのフレーム構造の有効映像領域において、画素の所定ビットにマッピングしていく(ステップ2)。また、TSデータは、HD−SDIで定められた同期コード等の仕様に従い、使用可能な領域において、画素の所定ビットに割り当て格納していく。なお、第1、第2のエンコード部(12、14)による圧縮率を変更することで、使用領域を増減させることができるため、例えば、いくつかの領域を音声データや制御データ等の様々なデータを割り当てることも可能である。
【0026】
なお、TSデータは、マッピング処理と同時にマッピング部16へと入力されるとは限らないため、一定期間TSデータを蓄積するためのバッファメモリが必要となる場合がある。そして、そのメモリ容量は、TSデータのビットレート変動(データ量の粗密)や、マッピング方法によって異なってくるものである。
【0027】
HD−SDI信号は、Yチャンネルと、Cチャンネル共に10ビット信号のデータで構成され、それぞれ、10ビット中、各ビット変更では、上位ビットほど視覚的な変化に与える影響は大きい。従って、マッピング(多重)前のHD−SDI信号の劣化を極力抑えるためには、下位ビットへTSデータをマッピング(多重)する必要がある。
【0028】
本実施形態におけるマッピング(多重)方式は、マッピング対象となるTSデータ(8ビット:下位から、TS[0]、TS[1]・・・、TS[7])を4ビット毎に2分割し、TS[4]〜TS[7]をYチャンネルのY[2]〜Y[5]へ、TS[0]〜TS[3]をCチャンネルのC[2]〜C[5]へと、それぞれの10ビット中の[2]〜[5]領域へマッピングしており、映像への視覚的な影響を抑えている。
【0029】
さらに、本実施形態では、Y[0]、Y[1]領域と、C[0]、C[1]領域は、データ有無情報として扱うため、禁止コードの回避対策を行うことに伴い、データがマッピング(多重)されるビットY[5]領域、C[5]領域への画質劣化をさらに抑える処理を含んでいる。そのため、結果として、一部の例外を除き、HD−SDI信号にTSデータをマッピング(多重)しても、Y[5]〜Y[9]領域、C[5]〜C[9]領域の映像データが担保されるわけである。
【0030】
ここで、本実施形態におけるマッピング部16の詳細処理(上記、ステップ2)について、
図3〜5を参照しながら説明する。マッピング部16では、
図3に示すように、HD−SDIの有効映像領域(20ビット)へTSデータ(8ビット)をマッピングする。8ビットのTSデータTS[0]〜TS[7]は、CチャンネルにマッピングされるTS[0]〜TS[3]と、YチャンネルにマッピングされるTS[4]〜TS[7]へ分割される。この分割は、TSデータの上位・下位ビットに限らず、予め決められた方法であれば制限はない。
【0031】
HD−SDIは、Yチャンネルと、Cチャンネル、それぞれ10ビットでY[0]〜Y[9]又は、C[0]〜C[9]で構成される。そして、Yチャンネルと、Cチャンネルそれぞれのビットを以下のように割り当てる。
Y[0]・Y[1]、C[0]・C[1]:データマッピング(多重)の有無情報領域
Y[2]〜Y[5]、C[2]〜[5]:データマッピング(多重)領域
【0032】
さらに、データマッピングの有無情報に応じて、以下の2通りの処理に分類される。
(1)データをマッピングしない(映像データがそのまま残る)
(2)TS[0]〜TS[3]、TS[4]〜TS[7]のデータを変換しマッピングする
そして、Y[6]〜Y[9]、C[6]〜C[9]:映像信号領域(データ・情報がマッピングされない)とする。
【0033】
続いて、Yチャンネル、Cチャンネル共に、データマッピングの有無情報は、10ビット中の下位2ビットで構成される。それぞれの意味は、二進数の値で以下のようして表す。
Y[0]・Y[1]、C[0]・C[1]
二進数(00):TSデータはマッピングしない
二進数(11):TSパケットの先頭バイトである(マッピングは行わない)
二進数(10):TSデータを変換しマッピングする(多重パターン1)
二進数(01):TSデータを変換しマッピングする(多重パターン2)
【0034】
より具体的には、以下の通りである。
二進数(00):TSデータはマッピングしない(映像データはそのまま残る)
二進数(11):TSパケットの先頭バイトである(パケット先頭バイトは0x47固定であるためマッピングしない)
二進数(10):多重パターン1(Yチャンネル、Cチャンネル共にマッピングTSデータ信号の上位から1ビット目(TS[3]、TS[7]のビット反転を行いマッピングする)
二進数(01):多重パターン2(Yチャンネル、Cチャンネル共にマッピングTSデータ信号の上位から2ビット目(TS[2]、TS[6]のビット反転を行いマッピングする)
【0035】
ここで、
図4に、Yチャンネルにおける多重パターン1(a)と、多重パターン2(b)のTSデータ(変換前)と多重(マッピング)対象データ(変換後)の一例を示す。なお、図中、(~)は、ビット演算子のNOT(ビット反転)を意味している。つまり、~1=0で、~0=1である。
【0036】
続いて、上述の映像信号領域は、TSデータのマッピング(多重)を行わない領域である。マッピング前の映像信号の値がそのまま残される。以上の領域配分と、TSデータのマッピング方法に従い、TSデータがマッピングされる一例を
図5に示す。
【0037】
本図では、例えば、アクティブビデオ領域(有効映像領域)におけるYチャンネルのY[0]・Y[1]が、左から(11)は、TSパケットの先頭バイト、(00)はマッピングしない、(01)は、多重パターン2、(10)は、多重パターン1・・・と表されている。
【0038】
次に、上記多重パターンの選択について説明する。まず、10ビット領域で禁止コード(具体的には、16進法で、0x000〜0x003、0x3FC〜0x3FF)を発生させないためには、10ビット中の上位8ビットにて0x00と0xFFを発生させないことと等価になる。よって、TSデータのマッピングでY[2]〜Y[9]又は、C[2]〜C[9]で0x00又は0xFFが発生しないように、多重パターンの選択を行うようにする。
【0039】
またさらに、TSデータがマッピングされるYチャンネル又はCチャンネルの最上位ビット(具体的には、Y[5]又はC[5])は、マッピングされる前の映像信号のビット値と極力同じになるように多重パターンの選択を行うようにする。
【0040】
ここで、
図6にYチャンネルを例に、具体的な多重パターン選択のフローを示す。マッピングされる前の映像信号をY[0]〜Y[9]とし、マッピング対象のTSデータをTS[4]〜TS[7]としている。また、Cチャンネルも同様のフローに従い選択される。なお、図中、Y[9:5]は、Y[5]〜Y[9]を表し、TS[7:4]は、TS[4]〜TS[7]を表している。
【0041】
図6中のS001〜S004は、禁止コード処理優先のために、Yチャンネル又はCチャンネルの最上位ビット(具体的には、Y[5]又はC[5])がマッピングされる前の映像信号のビット値と同じにならない場合の例外処理の選択結果である。しかし、例外処理は、Y[5]〜Y[9]とTS[4]〜TS[7]の条件が全て揃った場合に選択されるために、発生頻度は低い。従って、多くの場合には、S005とS006の選択結果となるため、映像品質の劣化に対しては軽微な影響となるわけである。
【0042】
続いて、本実施形態におけるTSデータ抽出部18は、TSデータがマッピングされているHD−SDIデータから、TSデータを抽出する処理を行う(ステップ3)。つまり、TSデータのマッピングのルールと、TSデータマッピングの有無情報に従って、マッピングされた領域からTSデータを抽出するというものである。なお、データマッピングの有無情報が、TSパケットの先頭である場合は、TSパケット先頭バイト(16進数の0x47値)をTSデータとする。
【0043】
そして、第1、第2のデコード部(20、22)が、TSデータ抽出部18によって、それぞれ抽出されたTSデータを受け、第1、第2のエンコード部(12、14)と同方式により、それぞれデコード処理を行い、復号映像信号として出力していく(ステップ4)。
【0044】
続いて、本発明に係るデジタル信号の伝送装置及びデジタル信号の伝送方法の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図7は、本発明に係るデジタル信号の伝送装置の第2の実施形態における複数のエンコードデータがマッピング(多重)された状態を示した一例図である。
【0045】
本実施形態は、上述の第1の実施形態において複数のTSデータのマッピングを行うものである。複数のTSデータのマッピングを行う場合には、時分割マッピングを行う。マッピングのルールは、第1の実施形態と同様に行い、マッピング部16と、TSデータ抽出部18で時分割の方法を予め決めておく。マッピングされるTSデータ1(TS1)と、TSデータ2(TS2)の2種類について、偶数サンプルと、奇数サンプルで時分割マッピングした一例を
図7に示す。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係るデジタル信号の伝送装置及びデジタル信号の伝送方法は、HD−SDIフォーマットの有効映像領域へTSデータを多重する際に、禁止コードを発生させず、また、多重前のHD−SDI信号の映像品質劣化を極力抑えることができ、さらに、データ有無情報の認識や、多重されているパケット間の同期を容易なものとすることができる。
【符号の説明】
【0047】
10 デジタル信号の伝送装置
12 第1のエンコード部
14 第2のエンコード部
16 マッピング部
18 TSデータ抽出部
20 第1のデコード部
22 第2のデコード部
24 モニター