(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2に記載された制動力付与装置は、ブレーキトルクの大きさを遠隔操作で調整することができないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、ブレーキトルクの大きさを遠隔操作で調整可能な制動力調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る制動力調整装置は、被制動部材と一体に回転する回転軸と、前記回転軸が挿通される貫通穴を有し、前記回転軸を軸受によって回転自在に支持する固定部材と、前記回転軸の回転方向に並ぶ状態で前記固定部材の一端部に固定され、極性が前記回転方向に交互に変えられた複数の第1の永久磁石と、前記第1の永久磁石から前記固定部材とは反対側へ所定の距離だけ離間する板状部が他端部に設けられかつ前記回転軸が挿通された状態で前記回転軸に軸受を介して回転自在に支持された円筒部を有する可動部材と、前記回転方向に並ぶとともに前記第1の永久磁石と対向する状態で前記可動部材の板状部に固定され、極性が前記回転方向に交互に変えられた複数の第2の永久磁石と、前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間に配置され、前記回転軸と同一軸線上に位置する状態で前記回転軸に固定された磁性材からなる円板状のヒステリシス板と、前記固定部材に対して固定され、前記可動部材の前記板状部を覆う筒状のケースと、前記可動部材の前記板状部と隣接する位置に配置されて前記可動部材の前記円筒部に周方向および軸線方向へ移動自在に支持され、前記ケースと接触可能な外縁部を有する押圧部材と、前記可動部材の一端部と前記押圧部材との間に設けられ、前記押圧部材を前記ケースに向けて付勢するばね部材と、前記可動部材を前記固定部材に対して回転させる駆動装置と、前記板状部が前記押圧部材に対して相対的に回ることにより前記押圧部材を前記ケースから離れる方向へ押す押圧力が生じ、かつ前記相対的な回転が停止した状態では前記押圧力が消失して前記板状部と前記押圧部材とを前記周方向の同一位置に保持するカム機構とを備えているものである。
【0009】
本発明は、前記制動力調整装置において、前記カム機構は、前記可動部材の前記板状部における前記押圧部材と対向する端面に形成され、壁面がテーパー面からなる第1の凹部と、前記押圧部材における前記可動部材の前記板状部と対向する端面に形成され、壁面がテーパー面からなる第2の凹部と、前記第1の凹部と前記第2の凹部とに挿入されて保持されたボールとによって構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る制動力調整装置においては、第1の永久磁石に対して第2の永久磁石が可動部材の円筒部の周方向に変位することによって、ブレーキトルクが増大あるいは減少する。
可動部材に駆動装置から回転力が付与されていない状態においては、カム機構で押圧力が生じることがなく、押圧部材の外縁部がばね部材のばね力によってケースに接触する。このように押圧部材がケースに接触することにより、可動部材の円筒部の周方向への押圧部材の移動が摩擦抵抗によって規制される。また、このときは、可動部材と押圧部材とがカム機構によって周方向の同一位置に保持される。すなわち、固定部材に対する可動部材の相対的な回転が規制される。
【0011】
一方、可動部材に駆動装置から回転力が付与されたときは、可動部材が押圧部材に対して円筒部の周方向に変位し、カム機構が押圧部材を押して押圧部材の外縁部がケースから離れる。このため、駆動装置の回転力によって可動部材が固定部材に対して回り、この回転に伴って第2の永久磁石が第1の永久磁石に対して回る。この結果、ブレーキトルクの大きさが変化する。
【0012】
駆動装置が停止すると、上述したようにばね部材のばね力で押圧部材がケースに押し付けられ、このばね力を原動力として固定部材に対する可動部材の相対的な回転が規制されてブレーキトルクが一定になる。
このように、本発明に係る制動力調整装置によれば、可動部材の回転角が所望の角度になるように駆動装置の動作を制御することによって、ブレーキトルクの大きさを遠隔操作によって変えることができる。
したがって、本発明によれば、ブレーキトルクの大きさを遠隔操作で調整可能な制動力調整装置を提供することができる。しかも、この制動力調整装置は、ブレーキトルクを調整するとき以外は電力を消費することがないから、電力消費量を可及的少なく抑えることができる。
また、この制動力調整装置においては、ばね部材のばね力を原動力として押圧部材とカム機構とを用いて可動部材を所定の位置に保持するから、専ら可動部材の移動を規制するブレーキは不要である。このため、この制動力調整装置は、専ら可動部材の移動を規制するブレーキを装備する場合と較べると、小型になるとともに安価に提供できるようになるし、ブレーキの動作を制御する回路も不要になる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る制動力調整装置の一実施の形態を
図1〜
図11を参照して詳細に説明する。
<制動力調整装置の概略の説明>
図1に示す制動力調整装置1は、
図1において中央部に位置するモータ2と回転軸3とを備えており、回転軸3にブレーキトルクを付与するとともに、このブレーキトルクの大きさをモータ2によって調整する装置である。
図1は、モータ2の一部を省略した状態で描いてある。
【0015】
モータ2は、減速機(図示せず)と、モータ2の動作を制御する制御回路4とを内蔵しているものである。このモータ2は、
図2〜
図4に示すように、この制動力調整装置1の一端部(
図2〜
図4においては左側の端部)に配置され、モータ取付板5を介して後述するケース6に支持されている。以下において、この制動力調整装置1の構成部品を説明するにあたっては、
図2〜
図4において左側を「一端側」とし、これとは反対側を「他端側」として説明する。モータ2の出力軸7には、
図2に示すように、回転軸3の軸線Cとは直交する方向に延びるトルクアーム8が取付けられている。トルクアーム8は、出力軸7と一体に回転する。
【0016】
回転軸3は、他端部(
図2においては右側の端部)に被制動部材11が接続されており、他端側において、この制動力調整装置1の固定部材に一対の軸受13,14によって回転自在に支持されている。回転軸3は、被制動部材11と一体に回転する。
被制動部材11は、詳細には図示してはいないが、例えばリールやボビンなどである。これらのリールやボビンは、テープやケーブル、糸などの長尺材料が巻き付けられており、この長尺材料が引かれて消費されることによって回転する。
【0017】
この実施の形態による制動力調整装置1は、この被制動部材11が回転するときにブレーキトルクを付与するとともに、このブレーキトルクを調整して長尺材料の張力を調整する。
リールやボビンなどの被制動部材11を用いて長尺材料を供給する材料供給装置15は、複数の被制動部材11を備えていることが多い。このような場合、制動力調整装置1は、被制動部材11毎に装備される。
【0018】
<固定部材の説明>
制動力調整装置1の固定部材12は、回転軸3が挿通される貫通穴16を有する第1の円筒部17と、この第1の円筒部17の一端部から径方向の外側に延びる第1の円板部18とを有している。回転軸3は、第1の円筒部17に軸受13,14を介して回転自在に支持されている。第1の円筒部17および第1の円板部18は、回転軸3と同一軸線上に位置付けられている。
また、この固定部材12は、他端部において、被制動部材11を有する材料供給装置15の支持板19に支持されている。
【0019】
第1の円板部18の一端側の端面には、複数の第1の永久磁石21がそれぞれ固着されている。これらの第1の永久磁石21は、
図8に示すように、第1の円板部18の周方向(回転軸3の回転方向)に並ぶ状態で第1の円板部18に固定されている。これらの第1の永久磁石21の磁極は、回転軸3の軸線方向において、第1の永久磁石21の両端部に設けられている。この磁極の極性は、第1の円板部18の周方向に交互に変えられている。この実施の形態においては、第1の円板部18が本発明でいう「固定部材の一端部」に相当する。
【0020】
第1の円板部18の外周部には、
図3および
図4に示すように、ケース6が固定用ボルト20によって固定されている。ケース6は、非磁性材によって円筒状に形成され、一端側が第1の円板部18から突出する状態で第1の円板部18に取付けられている。上述したモータ取付板5は、ケース6の外周部に取付用ボルト22によって取付けられている。
【0021】
ケース6は、2つの機能を有している。第1の機能は、上述した第1の永久磁石21を含むブレーキトルク発生部23を囲む機能である。第2の機能は、一端部の端面で後述する押圧板24を受ける機能である。
ブレーキトルク発生部23は、3つの機能部品によって構成されている。第1の機能部品は、上述した複数の第1の永久磁石21である。第2の機能部品は、第1の永久磁石21から制動力調整装置1の一端側に所定の距離だけ離れて位置する複数の第2の永久磁石25である。第3の機能部品は、第1の永久磁石21と第2の永久磁石25との間に位置するヒステリシス板26である。
【0022】
<可動部材の説明>
第2の永久磁石25は、第1の永久磁石21と対向する状態で可動部材31の第2の円板部32に固定されている。可動部材31は、回転軸3が挿通された第2の円筒部33と、この第2の円筒部33の他端部から径方向の外側に延びる第2の円板部32と、第2の円筒部33の一端部に固着されたばね受け板34とによって構成されている。この実施の形態においては、第2の円板部32が本発明でいう「可動部材の板状部」に相当し、第2の円筒部33が本発明でいう「可動部材の円筒部」に相当する。第2の円筒部33と第2の円板部32は、回転軸3と同一軸線上に位置付けられている。また、この実施の形態による第2の円板部32と第2の円筒部33は、1つの可動ベース35として一体に形成されている。
【0023】
第2の円筒部33は、回転軸3に一対の軸受36,37を介して回転自在に支持されている。第2の円筒部33の外周部には、後述する押圧板24が軸受38を介して第2の円筒部33の周方向と軸線方向とに移動自在に支持されている。第2の円筒部33の一端部であって、第2の円筒部33を周方向に3等分する位置には、
図5に示すように、それぞれねじ孔39が設けられている。
【0024】
第2の円板部32は、円板状に形成され、第1の永久磁石21から固定部材12とは反対側へ所定の距離だけ離間した位置に配置されている。この第2の円板部32は、ケース6によって径方向の外側から覆われている。
この第2の円板部32の他端部の端面に複数の第2の永久磁石25がそれぞれ固着されている。これらの第2の永久磁石25は、第1の永久磁石21と同様に、第2の円板部32の周方向(回転軸3の回転方向)に並ぶ状態で第2の円板部32に固定されている。これらの第2の永久磁石25の磁極は、回転軸3の軸線方向において、第2の永久磁石25の両端部に設けられている。この磁極の極性は、第2の円板部32の周方向に交互に変えられている。
【0025】
第2の円板部32の一端面、すなわち後述する押圧板24と対向する端面であって、第2の円板部32を周方向に3等分する位置には、
図5に示すように、後述するカム機構41(
図3,4参照)の一部を構成する第1の凹部42と、この第1の凹部42の底に開口する第1の貫通孔43とが形成されている。
【0026】
ばね受け板34は、円環板状に形成され、中空部に回転軸3の一端部が挿入される状態で固定用ボルト44(
図3,4参照)によって第2の円筒部33に固定されている。固定用ボルト44は、ばね受け板34の第2の貫通孔45に通されてねじ孔39に螺着されている。第2の貫通孔45は、ばね受け板34を周方向に3等分する位置にそれぞれ設けられている。すなわち、ばね受け板34は、3本の固定用ボルト44によって可動ベース35に固定されている。これら3箇所の第2の貫通孔45よりばね受け板34の径方向の外側には、第3の貫通孔46がそれぞれ形成されている。
【0027】
また、ばね受け板34の他端部であって、周方向に並ぶ3つの第3の貫通孔46どうしの間には、円形凹部47がそれぞれ形成されている。これらの円形凹部47には、それぞればね部材48が装着されている。これらのばね部材48は、圧縮コイルばねからなり、ばね受け板34の円形凹部47と後述する押圧板24の円形凹部49とに挿入されてばね受け板34と押圧板24との間に圧縮状態で設置されている。このばね部材48は、押圧板24をケース6に向けて付勢している。
【0028】
さらに、ばね受け板34の外周部であって、第3の貫通孔46と円形凹部47との間となる1箇所には、
図1および
図2に示すように、ばね受け板34の径方向に延びる溝51が形成されている。この溝51は、ばね受け板34の軸線方向から見て外周側が開放されたU字状に形成されている。この溝51の中には、ボールベアリング52が転動自在に挿入されている。
【0029】
このボールベアリング52は、軸線が回転軸3の軸線Cと平行になる状態で段付きボルト53によってトルクアーム8の揺動端部に支持されている。ボールベアリング52とトルクアーム8との間にはベアリングカラー54が介装されている。
トルクアーム8は、ばね受け板34とモータ2との間に配置されており、モータ2の出力軸7に接続された基端部を中心にして回る。トルクアーム8が回ることにより、ボールベアリング52が溝51の壁を押しながら溝51に対してばね受け板34の周方向と径方向とに移動する。
【0030】
すなわち、モータ2の出力軸7の回転に伴って、ばね受け板34を含む可動部材31と第2の永久磁石25とが回転軸3を中心として回る。この実施の形態においては、モータ2とトルクアーム8とボールベアリング52などによって、本発明でいう「駆動装置」が構成されている。モータ2の動作は、
図9に示す制御装置55から送られた制御信号に基づいてモータ2内の制御回路4によって制御される。モータ2の制御に関する説明は後述する。
【0031】
ヒステリシス板26は、磁性材によって円環板状に形成され、回転軸3が貫通するとともに回転軸3と同一軸線上に位置する状態で第1および第2のハブ56,57によって回転軸3に固定されている。ヒステリシス板26は、回転軸3と一体に回転する。
このヒステリシス板26と第1の永久磁石21との間と、ヒステリシス板26と第2の永久磁石25との間とには、それぞれ所定の隙間が形成されている。ヒステリシス板26の軸線方向への移動は、回転軸3の一端部と他端部とにそれぞれ設けられたサークリップ58,59と、これらのサークリップ58,59どうしの間に設けられた2組の軸受13,14,36,37と、第1および第2のハブ56,57と、一対の軸受どうしの間に設けられたカラー61,62などによって規制されている。
【0032】
<押圧板の説明>
押圧板24は、円環板状に形成され、可動部材31の第2の円板部32と隣接する位置に配置されており、上述したように第2の円筒部33に移動自在に支持されている。この実施の形態においては、この押圧板24が本発明でいう「押圧部材」に相当する。押圧板24の外径は、上述したケース6の外径より僅かに小さい径である。このため、押圧板24は、ケース6と接触可能な外縁部24aを有している。
この押圧板24の一端部であって、押圧板24を周方向に3等分する位置には、
図3,4および
図6に示すように、ばね部材48の他端部が挿入される円形凹部49がそれぞれ形成されている。また、押圧板24の他端面、すなわち可動部材31の第2の円板部32と対向する端面であって、押圧板24の軸線方向から見て3箇所の円形凹部49どうしの間には、後述するカム機構41の一部を構成する第2の凹部63と、これらの第2の凹部63の底に開口するねじ孔64とが設けられている。第2の凹部63とねじ孔64は、押圧板24を周方向に3等分する位置であって、径方向において、上述した第1の凹部42と同一の位置に位置付けられている。
【0033】
<カム機構の説明>
カム機構41は、
図7に示すように、可動部材31の第2の円板部32に設けられた第1の凹部42と、押圧板24に設けられた第2の凹部63と、これらの第1および第2の凹部42,63に挿入されて保持されたボール65とによって構成されている。
第1の凹部42と第2の凹部63は、開口形状が円形となる凹部で、それぞれ壁面がテーパー面になるように形成されている。また、第1および第2の凹部42,63の深さは、
図3に示すように、押圧板24の外縁部24aがケース6に当接している状態で第1および第2の凹部42,63の中でボール65が自由に移動できるような深さである。
【0034】
第2の凹部63に開口するねじ孔64には、
図3および
図4に示すように、調整ねじ66が螺着されている。この調整ねじ66は、第2の凹部63の実質的な底を構成している。このため、調整ねじ66のねじ込み量を変えることによって、第2の凹部63の中で移動するボール65の移動距離を変えることができ、カム機構41の応答性を調整することができる。
【0035】
このカム機構41は、第2の円板部32が押圧板24に対して第2の円筒部33の周方向に移動して変位したときに、第1の凹部42の壁面が実質的に傾斜カムとして機能し、第2の凹部63に収容されている状態のボール65を押す。このとき、ボール65は、第1の凹部42の開口側に向けて壁面に沿って移動し、第2の凹部63の底に押し付けられる。そして、第2の円板部32が更に変位することによって、ボール65と押圧板24とが一体となってばね部材48のばね力に抗して更に移動する。この結果、押圧板24が第2の円板部32から離れる方向に移動する。
【0036】
一方、第2の円板部32の変位が終了して第2の円板部32が停止すると、ボール65が第1および第2の凹部42,63の底に収容されるように、押圧板24が第2の円筒部33の周方向に変位しながら第2の円板部32に向けて移動する。この移動は、押圧板24の外縁部24aがケース6に当接するまで行われる。押圧板24がばね部材48のばね力によってケース6に押し付けられることにより、押圧板24と、第2の円板部32を有する可動部材31とが円筒部の周方向へ不必要に移動することができなくなる。この状態において、カム機構41は、可動部材31と押圧板24とを周方向の同一位置に保持する。
【0037】
<制御装置の説明>
モータ2の動作を制御する制御装置55は、
図9に示すように、複数の制動力調整装置1の個々の制御回路4に信号線71によってそれぞれ接続されている。言い換えれば、各制動力調整装置1の制御回路4は、信号線71を介して制御装置55に並列に接続されている。また、各々の制動力調整装置1のモータ2は、電源線72を介して1つの電源装置73に並列に接続されている。
【0038】
制御回路4は、制御装置55から送られた制御信号に基づいてモータ2のON、OFFと、モータ2の回転方向、モータ2の回転角などを制御する。また、各々の制御回路4は、個別にアドレスが設定されており、制御信号中に自らのアドレスが含まれているときにのみ、その制御信号に含まれるモータ2の作動内容に基づいてモータ2を動作させる。
図9に示す複数の制動力調整装置1には、Adr1〜Adrmからなるアドレスが設定されている。制御信号は、シリアル方式のデジタル信号である。この制御信号中には、制御の対象となるアドレスと、モータ2のON、OFFと、モータ2の回転方向、モータ2の回転角などの作動内容を特定するデータが含まれている。
【0039】
制御装置55は、所定のアドレスの制動力調整装置1においてブレーキトルクを増加あるい減少させるときに、このアドレスと、モータ2の作動内容とを含む制御信号を送出する。
制御回路4は、制御装置55から送られた制御信号中に自らのアドレスが含まれていた場合、制御信号に含まれているモータ2の作動内容通りにモータ2を動作させる。
【0040】
<制動力調整装置の動作の説明>
このように構成された制動力調整装置1においては、回転軸3が被制動部材11とともに回転し、ヒステリシス板26が第1および第2の永久磁石21,25に対して回転することによって、ヒステリシス板26にブレーキトルクが付与される。ブレーキトルクの大きさは、第2の円筒部33の周方向における第1の永久磁石21に対する第2の永久磁石25の位置に依存して増減する。
【0041】
ブレーキトルクは、第1の永久磁石21と第2の永久磁石25とが回転軸3の軸線方向から見て同一の位置であって、これらの第1および第2の永久磁石21,25の互いに対向する磁極の極性が異なる状態で最小になる。すなわち、第1の永久磁石21のN(S)極と、第2の永久磁石25のS(N)極とが互いに対向するときにブレーキトルクが最小になる。このブレーキトルクは、第2の永久磁石25が上述したようにブレーキトルクが最小になる位置から第1の永久磁石21に対して第2の円筒部33の周方向に変位することにより増大する。そして、このブレーキトルクは、第1の永久磁石21と第2の永久磁石25とが回転軸3の軸線方向から見て同一の位置であって、これらの第1および第2の永久磁石21,25の同じ極性の磁極どうしが対向する状態で最大になる。
【0042】
この実施の形態による制動力調整装置1において、モータ2が停止している状態(可動部材31にモータ2から回転力が付与されていない状態)においては、カム機構41で押圧力が生じることがなく、
図10に示すように、押圧板24の外縁部24aがばね部材48のばね力によってケース6に接触する。このように押圧板24がケース6に接触することにより、第2の円筒部33の軸線方向への押圧板24の移動が規制されるとともに、第2の円筒部33の周方向への押圧板24の移動が摩擦抵抗によって規制される。
図10に示す停止状態においては、第1の凹部42と第2の凹部63とが第2の円筒部33の周方向(
図10においては左右方向)において略同一の位置に位置している。
【0043】
押圧板24と可動部材31とはカム機構41のボール65を介して接続されている。このため、第2の円筒部33の周方向への押圧板24の移動が規制されることにより、可動部材31もこの周方向へは移動することができなくなる。この停止状態においては、可動部材31の周方向への位置が摩擦抵抗で保持され、ブレーキトルクが変わることがないから、モータ2への給電を絶つことができる。
【0044】
被制動部材11から引き出されている長尺材料の張力が不足している場合、制御装置55がこの制動力調整装置1のアドレスと、ブレーキトルクが増大するようなモータ2の作動内容とを含む制御信号を送出する。この制動力調整装置1の制御回路4は、制御信号中に自らのアドレスが含まれているから、この制御信号に基づいてモータ2を動作させる。すなわち、制御回路4は、ブレーキトルクを増大させる場合、出力軸7が目標とする回転角だけ例えば正転方向に回るようにモータ2の動作を制御する。なお、ブレーキトルクを減少させる場合には、制御回路4は、出力軸7が目標とする回転角だけ例えば逆転方向に回るようにモータ2の動作を制御する。
【0045】
このようにモータ2の出力軸7が回ると、この回転がトルクアーム8を介してばね受け板34に伝達され、可動部材31が停止状態から
図11に示すように変位状態に移行し、出力軸7の回転角に応じた回転角だけ固定部材12に対して回る。このとき、可動部材31が固定部材12に対して
図11において上側に変位することにより、第1の凹部42の壁面がボール65を押し、ボール65がこの壁面に沿って転がる。そして、押圧板24がばね部材48のばね力に抗して回転軸3の軸線Cに沿って第2の円板部32から離間する方向に変位する(
図4参照)。この押圧板24は、ケース6から離れることにより、ボール65を介して可動部材31から伝達されている回転力によって可動部材31と同方向に変位する。
【0046】
モータ2の回転力で可動部材31が固定部材12に対して回ると、この回転に伴って第2の永久磁石25が第1の永久磁石21に対して回る。この結果、ブレーキトルクの大きさが変化する。制御回路4は、ブレーキトルクが目標値に達するような回転角だけ可動部材31が変位したときにモータ2を停止させる。
【0047】
モータ2が停止すると、ボール65が第2の凹部63の壁面を押すことがなくなり、モータ2の回転力による、押圧板24を第2の円板部32から離れる方向に押す押圧力が消失する。但し、第1の永久磁石21と第2の永久磁石25の互いに対向する磁極の極性により(磁石の反力により)カム機構41を介して押圧板24に押圧力が作用する。この磁極の極性による押圧板24を第2の円板部32から離れる方向に押す押圧力は、上述したモータ2の回転力による押圧板24に作用する同方向の押圧力より微小である。このため、
図10に示すように押圧板24がばね部材48のばね力によって押されてケース6に当接し、押圧板24の外縁部24aとケース6との摩擦抵抗により、押圧板24にボール65を介して接続されている可動部材31がモータ停止時の位置(変位後の位置)に保持される。すなわち、ばね部材48のばね力を原動力として固定部材12に対する可動部材31の相対的な回転が規制され、ブレーキトルクが一定になる。
【0048】
このように、この実施の形態による制動力調整装置1によれば、可動部材31の回転角が所望の角度になるようにモータ2の動作を制御することによって、ブレーキトルクの大きさを遠隔操作によって変えることができる。
したがって、この実施の形態によれば、ブレーキトルクの大きさを遠隔操作で調整可能な制動力調整装置を提供することができる。しかも、この制動力調整装置1は、ブレーキトルクを調整するとき以外はモータ2への給電を停止させることが可能で電力を消費することがないから、電力消費量を可及的少なく抑えることができる。
【0049】
また、この制動力調整装置1においては、ばね部材48のばね力を原動力として押圧板24とカム機構41とを用いて可動部材31を所定の位置に保持するから、専ら可動部材31の移動を規制するブレーキは不要である。このため、この制動力調整装置1は、専ら可動部材31の移動を規制するブレーキを装備する場合と較べると、小型になるとともに安価に提供できるようになるし、ブレーキの動作を制御する回路も不要になる。
【0050】
この実施の形態によるカム機構41は、可動部材31の第2の円板部32に形成された第1の凹部42と、押圧板24に形成された第2の凹部63と、これらの第1の凹部42と第2の凹部63とに挿入されて保持されたボール65とによって構成されている。第1および第2の凹部42,63の壁面は、それぞれテーパー面によって形成されている。
このため、このカム機構41によれば、押圧板24をケース6から離れる方向に押す押圧力が可動部材31の回転方向に依存することなく発生する。また、第1の凹部42および第2の凹部63を機械加工によって可動部材31および押圧板24に簡単に形成することができる。
したがって、この実施の形態によれば、ブレーキトルクの調整を正確に行うことができる制動力調整装置を安価に提供することができる。