(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872459
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】オイルフリースクリュ圧縮機及びその動的不釣り合いの修正方法
(51)【国際特許分類】
F04C 29/00 20060101AFI20210510BHJP
F04C 18/16 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
F04C29/00 D
F04C18/16 J
F04C29/00 B
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-158157(P2017-158157)
(22)【出願日】2017年8月18日
(65)【公開番号】特開2019-35388(P2019-35388A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】稲崎 未生
(72)【発明者】
【氏名】福島 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】吉村 省二
【審査官】
松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−076511(JP,A)
【文献】
実開昭61−190054(JP,U)
【文献】
特開2015−078753(JP,A)
【文献】
特開2004−245067(JP,A)
【文献】
特表2012−519292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 29/00
F04C 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに噛み合う一対のスクリュロータを備える圧縮機本体と、
前記一対のスクリュロータのうちの一方が設けられたスクリュロータ軸に対して同軸かつ固定的に設けられたモータロータ軸と、前記モータロータ軸に固定されたモータロータとを備えるモータと、
前記スクリュロータに対して前記モータとは反対側で、前記スクリュロータ軸を回転自在に支持する第1軸受部と、
前記スクリュロータに対して前記モータと同じ側で、スクリュロータ軸を回転自在に支持する第2軸受部と、
前記モータロータに対して前記圧縮機本体とは反対側で、前記モータロータ軸を回転自在に支持する第3軸受部と、
偏心荷重を付加する釣り合い調整部品と、を備え、
前記釣り合い調整部品は、オイルフリースクリュ圧縮機が据え付けられた状態で動的不釣り合いの修正を実行するべく当該釣り合い調整部品にアクセスできるよう、前記モータロータ軸の前記第3軸受部に対して前記モータロータとは反対側の端部及び前記スクリュロータ軸の前記第1軸受部に対して前記スクリュロータとは反対側の端部の少なくとも一方に対して設けられている、オイルフリースクリュ圧縮機。
【請求項2】
前記釣り合い調整部品は、前記モータロータ軸の前記第3軸受部に対して前記モータロータとは反対側の前記端部に設けられている、請求項1に記載のオイルフリースクリュ圧縮機。
【請求項3】
前記釣り合い調整部品は、
前記モータロータ軸の前記第3軸受部に対して前記モータロータとは反対側の前記端部に固定された本体と、
前記本体に対して着脱可能な錘と
を備える、請求項2に記載のオイルフリースクリュ圧縮機。
【請求項4】
前記本体の周面に複数の取付孔が設けられ、
1個又は複数個の前記錘が前記取付孔に着脱可能に取り付けられる、請求項3に記載のオイルフリースクリュ圧縮機。
【請求項5】
前記本体の端面に複数の取付孔が設けられ、
1個又は複数個の前記錘が前記取付孔に着脱可能に取り付けられる、請求項3に記載のオイルフリースクリュ圧縮機。
【請求項6】
前記本体は、前記モータロータ軸の前記第3軸受部に対して前記モータロータとは反対側の前記端部に対して、前記スクリュロータ軸と前記モータロータ軸との共通の軸線方向の位置を調整可能に取り付けられている、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のオイルフリースクリュ圧縮機。
【請求項7】
前記本体は、前記モータロータ軸の前記第3軸受部に対して前記モータロータとは反対側の前記端部に対して、前記スクリュロータ軸と前記モータロータ軸との共通の軸線回りの角度位置を調整可能に取り付けられている、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載のオイルフリースクリュ圧縮機。
【請求項8】
前記釣り合い調整部品は、前記スクリュロータ軸の前記第1軸受部に対して前記スクリュロータとは反対側の端部に設けられている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のオイルフリースクリュ圧縮機。
【請求項9】
前記スクリュロータ軸と前記モータロータ軸とは別体であり、締結構造により互いに締結されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のオイルフリースクリュ圧縮機。
【請求項10】
前記スクリュロータ軸と前記モータロータ軸とが一体構造である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のオイルフリースクリュ圧縮機。
【請求項11】
前記釣り合い調整部品は、前記モータロータ軸の前記第3軸受部に対して前記モータロータとは反対側の前記端部に設けられ、
前記モータは、
前記第3軸受部を支持し、かつ前記モータの外部と内部とを連通される両端開口の筒状部を備えるホルダと、
前記筒状部の前記モータの外部側の開口を閉じるように、前記ホルダに対して着脱可能に固定され前記カバー
とを備え、
前記釣り合い調整部品は、前記ホルダの内部に、前記カバーを前記ホルダから外すと前記モータの外部からアクセス可できるように配置されている、請求項1に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のオイルフリースクリュ圧縮機における動的不釣り合いの修正方法であって、
前記オイルフリースクリュ圧縮機が据え付けられた状態で前記釣り合い調整部品にアクセスしてフィールドバランスで動的不釣り合いの修正を実行する、オイルフリースクリュ圧縮機の動的不釣り合いの修正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルフリースクリュ圧縮機
及びその動的不釣り合いの修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたオイルフリースクリュ圧縮機では、一対のスクリュロータのうちの一方を備えた軸(スクリュロータ軸)と、スクリュロータを回転駆動させるためのモータの出力軸、つまりモータロータ軸とが1本の軸で構成されている。この軸の3箇所に軸受が設けられている。つまり、スクリュロータ軸の両端の軸受と、モータロータ軸の端部(スクリュロータとは反対側の端部)の軸受とによって、この軸が回転可能に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−76511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたもののようなオイルフリースクリュ圧縮機では、スクリュロータとモータロータとのうちの少なくとも一方の動的不釣り合いに起因して、回転中の軸に遠心力による撓みが生じ得る。一般に、オイルフリースクリュ圧縮機の軸の軸径は、給油式スクリュ圧縮機の軸の軸径と比較して細いので、動的不釣り合いに起因する撓み量が大きくなる傾向がある。撓み量が大きくなって、例えばスクリュロータの両端の非接触の軸封部(ビスコスシール)に軸が接触すると、異常振動のような不具合の原因となり得る。
【0005】
スクリュロータとモータロータについて、釣り合い試験機等を使用してそれぞれ単独で動的不釣り合いを修正した後に、ケーシング内に一体に組み立てることで、回転中の軸の振動をある程度低減できる。しかし、このような個別の修正を行っても、ケーシング等の製作誤差、組立誤差によってオイルフリースクリュ圧縮機全体として動的不釣り合いが生じる。そのため、フィールドバランスでの動的不釣り合いの修正、つまりケーシング内に一体に組み立てた状態での動的不釣り合いの修正が要求される。しかし、特許文献1に開示されたものを含め、従来のオイルフリースクリュ圧縮機では、組み立てた後に、スクリュロータとモータロータの動的不釣り合いを修正するのは、ケーシングに覆われている構造上、困難である。
【0006】
本発明は、スクリュロータ軸に対してモータロータ軸が同軸かつ固定的に設けられているオイルフリースクリュ圧縮機において、スクリュロータとモータロータとのうちの少なくとも一方の動的不釣り合いを、フィールドバランスで修正可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明
の第1の態様は、互いに噛み合う一対のスクリュロータを備える圧縮機本体と、前記一対のスクリュロータのうちの一方が設けられたスクリュロータ軸に対して同軸かつ固定的に設けられたモータロータ軸と、前記モータロータ軸に固定されたモータロータとを備えるモータと、前記スクリュロータに対して前記モータとは反対側で、前記スクリュロータ軸を回転自在に支持する第1軸受部と、前記スクリュロータに対して前記モータと同じ側で、スクリュロータ軸を回転自在に支持する第2軸受部と、前記モータロータに対して前記圧縮機本体とは反対側で、前記モータロータ軸を回転自在に支持する第3軸受部と、
偏心荷重を付加する釣り合い調整部品と、を備え、前記釣り合い調整部品は、オイルフリースクリュ圧縮機が据え付けられた状態で動的不釣り合いの修正を実行するべく当該釣り合い調整部品にアクセスできるよう、前記モータロータ軸の前記第3軸受部に対して前記モータロータとは反対側の端部及び前記スクリュロータ軸の前記第1軸受部に対して前記スクリュロータとは反対側の端部の少なくとも一方に対して
設けられている、オイルフリースクリュ圧縮機を提供する。
【0008】
モータロータ軸の端部と、スクリュロータ軸の端部とのうちの少なくとも一方(以下、「軸端部」と称する)に、釣り合い調整部品によって、偏心荷重が付加される。そのため、オイルフリースクリュ圧縮機の作動時(同軸かつ固定的に設けられたモータロータ軸及びスクリュロータ軸の回転時)には、軸端部に作用する遠心力(すなわち、軸に対する曲げ荷重)によって、スクリュロータ軸とモータロータ軸とに撓み(曲げ)が生じる。釣り合い調整部品で偏心荷重が付加されていることによる遠心力に起因する軸端部の変位を、スクリュロータとモータロータとのうちの少なくとも一方の動的不釣り合いに起因する作動時(回転)の軸端部の変位(すなわち釣り合い調整部品による偏心荷重が付加されていないときの軸端部の変位)が打ち消されるように重畳させることで、スクリュロータ軸とモータロータ軸の撓みの許容度が低い部分(例えば、スクリュロータ軸の軸封部、モータロータ軸又はスクリュロータ軸とケーシングの隙間が狭い部分)での軸の撓みを低減できる。つまり、スクリュロータとモータロータとのうちの少なくとも一方の動的不釣り合いを、フィールドバランスで修正できる。
【0009】
前記釣り合い調整部品は、前記モータロータ軸の前記第3軸受部に対して前記モータロータとは反対側の前記端部に固定された本体と、前記本体に対して着脱可能な錘とを備えてもよい。
【0010】
前記本体の周面に複数の取付孔が設けられ、1個又は複数個の前記錘が前記取付孔
に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0011】
また、前記本体の端面に複数の取付孔が設けられ、1個又は複数個の前記錘
が前記取付孔に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0012】
前記本体は、前記モータロータ軸の前記第3軸受部に対して前記モータロータとは反対側の前記端部に対して、前記スクリュロータ軸と前記モータロータ軸との共通の軸線方向の位置を調整可能に取り付けられてもよい。
【0013】
前記本体は、前記モータロータ軸の前記第3軸受部に対して前記モータロータとは反対側の前記端部に対して、前記スクリュロータ軸と前記モータロータ軸との共通の軸線回りの角度位置を調整可能に取り付けられてもよい。
【0014】
前記スクリュロータ軸と前記モータロータ軸とは別体であり、締結構造により互いに締結されてもよい。
【0015】
前記スクリュロータ軸と前記モータロータ軸とが一体構造であってもよい。
【0016】
前記釣り合い調整部品は、前記モータロータ軸の前記第3軸受部に対して前記モータロータとは反対側の前記端部に設けられ、前記モータは、前記第3軸受部を支持し、かつ前記モータの外部と内部とを連通される両端開口の筒状部を備えるホルダと、前記筒状部の前記モータの外部側の開口を閉じるように、前記ホルダに対して着脱可能に固定され前記カバーとを備え、前記釣り合い調整部品は、前記ホルダの内部に、前記カバーを前記ホルダから外すと前記モータの外部からアクセス可できるように配置されていてもよい。
【0017】
本発明の第2の態様は、以上のオイルフリースクリュ圧縮機における動的不釣り合いの修正方法であって、前記オイルフリースクリュ圧縮機が据え付けられた状態で前記釣り合い調整部品にアクセスしてフィールドバランスで動的不釣り合いの修正を実行する、オイルフリースクリュ圧縮機の動的不釣り合いの修正方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スクリュロータ軸に対してモータロータ軸が同軸かつ固定的に設けられているオイルフリースクリュ圧縮機において、スクリュロータとモータロータとのうちの少なくとも一方の動的不釣り合いを、フィールドバランスで修正できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るオイルフリースクリュ圧縮機を示す断面図。
【
図5】動的不釣り合いの修正を説明するための概念図。
【
図6】第1の代案の釣り合い調整部品を示す
図2と同様の断面図。
【
図11】第4の代案の釣り合い調整部品の
図2と同様の断面図。
【
図12】第5の代案の釣り合い調整部品の
図2と同様の断面図。
【
図14】本発明の第2実施形態に係るオイルフリースクリュ圧縮機の断面図。
【
図16】本発明の第3実施形態に係るオイルフリースクリュ圧縮機の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
図1及び
図2に示す本発明の第1実施形態に係るオイルフリースクリュ圧縮機1は、圧縮機本体2とモータ3とを備える。圧縮機本体2が備える雄ロータ11のスクリュロータ軸13と、モータ3が備えるモータロータ軸23とは、別体ではあるが、同軸に、つまり共通の水平方向に延びる軸線αを有するように、直列に配置されている。また、後述するように、モータロータ軸23はスクリュロータ軸13に対して別個のカップリングを介することなく、直接的に固定されている。すなわち、モータロータ軸23とスクリュロータ軸13とが、互いの軸線の取付角度に自由度を有することなく、固定的に設けられている。同様に後述するように、互いに固定されて一体化されたスクリュロータ軸13とモータロータ軸23とは、3個の軸受部14,15,25によって回転可能に支持されている。
【0021】
圧縮機本体2は、ケーシング4A,4Bを備え、ケーシング4Aの端部はカバー5で閉鎖されている。ケーシング4Bには、モータ3が備える両端開口のケーシング6が連結されている。ケーシング6の一端(図において左端)は、圧縮機本体2のケーシング4Bによって閉鎖されている。ケーシング6にはジャケット7が挿入されている。ジャケット7の一端(図において右端)の開口には、ホルダ8が備える両端開口の筒状部8aが挿入されている。ホルダ8のフランジ部8bはジャケット7に固定されている。ホルダ8の筒状部8aには、カバー9が備える筒状部9aが挿入されている。カバー9のベース部9bは、ホルダ8のフランジ部8bに固定されている。ホルダ8の筒状部8aの図において右端の開口は、カバー9のベース部9bによって閉鎖されている。
【0022】
圧縮機本体2のケーシング4Bに形成されたロータ室10には、スクリュロータ対、すなわち雄ロータ11と雌ロータ12とが収容されている。
【0023】
雄ロータ11が固定されたスクリュロータ軸13は、雄ロータ11からモータ3とは反対側に突出する第1部分13aと、雄ロータ11からモータ3に向けて突出する第2部分13bとを備える。スクリュロータ軸13の第1部分13aは、第1軸受部14によって回転可能に支持されている。本実施形態では、第1軸受部14は、カバー5に保持された玉軸受14aと、ケーシング4Aに保持されたころ軸受14bとを備える。スクリュロータ軸13の第2部分13bは、第2軸受部15によって回転可能に支持されている。本実施形態では、第2軸受部15は、ケーシング4Bに保持された玉軸受15aと、ころ軸受15bとを備える。第1軸受部14とロータ室10との間には、軸封部16が配設され、第2軸受部15とロータ室10との間にも軸封部17が配設されている。本実施形態では、これらの軸封部16,17は、いずれもビスコシールである。軸封部16,17は、公知のシールないしシール構造であってもよい。スクリュロータ軸13の第1部分13aの、第1軸受部14に対して雄ロータ11とは反対側の端部13cは、カバー5内に位置している。かかるスクリュロータ軸13の端部13cには、タイミングギア18が固定されている。
【0024】
雌ロータ12のスクリュロータ軸(図示せず)は、モータロータ軸23に連結されていない点を除き、雄ロータ11のスクリュロータ軸13と同様の構造により、回転可能に支持され、かつ軸封されている。また、雌ロータ12のスクリュロータ軸には、雄ロータ11のタイミングギア18と噛み合うタイミングギア(図示せず)が固定されている。
【0025】
モータ3が作動し、モータロータ軸23に連結されたスクリュロータ軸13が回転駆動されると、雄ロータ11と雌ロータ12とが互いに噛み合った状態で回転する。その結果、圧縮機本体2の吸込口19から吸い込まれた気体がロータ室10内で圧縮され、圧縮された気体は吐出口20から吐出される。
【0026】
モータ3のケーシング6内には、ジャケット7に固定されたステータ21と、ステータ21に対して隙間をあけて配置され、かつモータロータ軸23に固定されたモータロータ24とが収容されている。モータロータ軸23は、モータロータ24から圧縮機本体2に向けて突出する第1部分23aと、モータロータ24から圧縮機本体2とは反対側に突出する第2部分23bとを備える。モータロータ軸23の第2部分23bは、ホルダ8に保持された第3軸受部25(本実施形態では深溝玉軸受である)によって、回転可能に支持されている。
【0027】
モータロータ軸23には、第1部分23aの端面から軸線α方向に延びる連結孔23cが設けられている。連結孔23cにはスクリュロータ軸13の第2部分13bの先端が挿入されている。モータロータ軸23の第1部分23aとスクリュロータ軸13の第2部分13bとは、連結孔23cにおいてキー26によって一体に連結されている。モータロータ軸23には、第2部分23bの端面から軸線α方向に延びて連結孔23cに連通する挿通孔23dが設けられている。挿通孔23dには、締結ロッド27が挿通されている。締結ロッド27の両端には、雄ねじ部27a,27bが設けられている。締結ロッド27の一方の雄ねじ部27aは、連結孔23c内に位置しており、スクリュロータ軸13の第2部分13bに設けられた雌ねじ部13dに螺合している。締結ボルト27の他方の雄ねじ部27bは、モータロータ軸23の第2部分23bの端面から突出している。雄ねじ部27bの第2部分23bから突出する部分には、ナット28が螺合されている。ナット28と、モータロータ軸23の第2部分23bの端面との間には、後述する釣り合い調整部品31の本体32と、ワッシャ29とが介在している。ナット28の締め付けにより、スクリュロータ軸13とモータロータ軸23とが互いに締結されている。つまり、キー26によってモータロータ軸23とスクリュロータ軸13とが一体に連結された状態で、モータロータ軸23とスクリュロータ軸13とが締結ロッド27とナット28とによって互いに締結されている。キー26、締結ロッド27、及びナット28は、本発明における締結構造の一例である。
【0028】
モータロータ軸23の第2部分23bの第3軸受部25に対してモータロータ24とは反対側の部分、すなわちモータロータ軸23の端部23eには、釣り合い調整部品31が設けられている。
図3及び
図4を併せて参照すると、釣り合い調整部品31は、比較的扁平な円盤状の本体32と、この本体32に対して着脱可能に取り付けられた錘33とを備える。
【0029】
釣り合い調整部品31の本体32には、圧縮機本体
2側(図において左側)の端面32aから軸線α方向に延びる、連結孔32bが形成されている。この連結孔32bには、モータロータ軸23の端部23eの先端に設けられた小径部23fが収容されている。また、本体32には、圧縮機本体
2とは反対側(図において右側)の端面32cから軸線α方向に延びて連結孔32bに連通する挿通孔32dが設けられている。前述の締結ロッド27は、この挿通孔32dに挿通されることで、本体32を貫通してモータロータ軸23の挿通孔23dに挿通されている。本体32は、ナット28とモータロータ軸23の端部23eとの間にワッシャ29を介して挟み込まれることで、モータロータ軸23の端部23eに対して固定されている。モータロータ軸23の端部23eの端面と、本体32の連結孔32bの孔底には、それぞれピン孔23g,32eが形成されている。これらのピン孔23g,32eに挿通されたピン34によって、モータロータ軸23の端部23eに対して本体32の軸線α回りの回転角度位置が保持されている。
【0030】
釣り合い調整部品31の本体32の周面32fには、複数個(本実施形態では8個)の収容孔32gが設けられている。個々の収容孔32gには、雌ねじ部32hが設けられている。個々の収容孔32gには、錘33を着脱可能に取り付けることができる。具体的には、錘33の外周には雄ねじ部33aが設けられており、この雄ねじ部33aを収容孔32gに雌ねじ部32hに螺合することで、収容孔32g内に錘33を保持できる。
【0031】
図4に最も明瞭に示すように、軸線αが延びる方向から見て、複数の収容孔32gは、軸線αを中心として放射状に、角度間隔(本実施形態では等角度間隔)をあけて設けられている。そのため、いずれか1個の収容孔32gに錘33を取り付けるか、あるいは複数の収容孔32gに軸線αに対して回転対称とならない配置で錘33を取り付ければ、モータロータ軸23の端部23eに対して、偏心荷重が付加された状態となる。この状態で、オイルフリースクリュ圧縮機1が作動し、モータロータ軸23とスクリュロータ軸13が回転すると、釣り合い調整部品31による偏心荷重に応じた遠心力がモータロータ軸23の端部23eに作用する(すなわち、モータロータ軸23の端部23eに偏心荷重に応じた曲げ荷重を作用させることができる)。その結果、釣り合い調整部品31が取り付けられたモータロータ軸23に撓み(曲げ)を生じさせ、モータロータ軸23の端部23eを振れ回りの状態とするだけでなく、モータロータ軸23の端部23e以外の部分とスクリュロータ軸13にも撓みを生じさせることができる(
図5の撓み曲線A1参照)。この釣り合い調整部品31の偏心荷重に起因する撓みを、雄ロータ11やモータロータ24の動的不釣り合いに起因するモータロータ軸23とスクリュロータ軸13の撓み(
図5の撓み曲線A2参照)に対して打ち消し合うように重畳させることで、オイルフリースクリュ圧縮機1の作動時の軸封部16,17でのスクリュロータ軸13の撓みを低減できる(
図5の撓み曲線A3参照)。
【0032】
図5では、雄ロータ11やモータロータ24の動的不釣り合い起因する軸封部16,17における撓み量がδ11,δ21である。これらの撓み量δ11,δ21が、釣り合い調整部品31の偏心荷重に起因する軸封部16,17における撓み量δ12,δ22で相殺され、撓み量δ13,δ23に低減されている。
【0033】
釣り合い調整部品31には、カバー9を取り外すだけでアクセスでき、ケーシング4A,4Bから雄ロータ11を取り出す必要も、ケーシング6からモータロータ24を取り出す必要もない。つまり、釣り合い調整部品31による動的不釣り合いの修正は、オイルフリースクリュ圧縮機1が据え付けられた状態で実行できる。
【0034】
以上のように、釣り合い調整部品31の本体32に対して錘33を取り付けて偏心荷重を付加することで、雄ロータ11やモータロータ24の動的不釣り合いを、フィールドバランスで修正できる。
【0035】
釣り合い調整部品31により、モータロータ軸23の端部23eに作用させる偏心荷重の向きと大きさは、以下の手法で調整できる。まず、複数の収容孔32gのいずれに錘33を取り付けるかで調整できる。また、収容孔32g内のどの位置に錘33を取り付けるかでも調整できる。つまり、収容孔32g内において、軸線αからの距離が遠い位置に錘33を取り付ける程、その錘33によって生じる遠心力は大きくなる。
【0036】
図2を参照すると、釣り合い調整部品31に最も近い軸受である第3軸受部25のセンターから釣り合い調整部品31の重心位置までの軸線α方向の距離Lが大きい程、釣り合い調整部品31の荷重によるモータロータ軸23の端部23eに生じる曲げモーメントが大きくなる。従って、距離Lが大きい程、釣り合い調整部品31によって生じる遠心力を小さくしても、つまり本体32に取り付ける錘33の個数を少なく設定しても、軸封部16,17におけるスクリュロータ軸13の変位を適切に低減できる。一方、距離Lが大きい程、モータロータ軸23の軸長が長くなり、モータ3が大型化する。モータロータ軸23の軸長を構造上許容できる範囲に設定する観点からは、距離Lをモータロータ軸23の距離Lと対応する部分の軸径Dの3倍以下(L/D≦3)に設定することが好ましい。
【0037】
軸封部16,17におけるモータロータ軸23の撓み量を
図5で概念的に示したように適切に低減する上で、どの収容孔32gのどの位置に錘33を取り付けるかを決定するには、試行錯誤以外にも以下の方法がある。つまり、以下の3種類の状態1〜3での振動値から、軸封部16,17における錘33を付けない場合の撓みの方向、撓み量と、錘33による遠心力の関係とを計算し、軸封部16,17における撓み量が最小とするために、本体32のどの収容孔32gのどの位置に錘33を取り付けるかを決定できる。
状態1:錘33をつけていない状態
状態2:適当な収容孔32gに錘33に取り付けた状態
状態3:状態2と異なる位置の収容孔32gに錘33を取り付けた状態。
【0038】
図6から
図13は、釣り合い調整部品31の種々の代案を示す。
【0039】
図6及び
図7に示す代案では、釣り合い調整部品31の本体32には、端面32cから軸線αに沿った方向に延びる複数の収容孔32gが形成されている。
図7に示すように、軸線αが延びる方向から見て、複数の収容孔32gは、軸線αを中心とする仮想円C1上に角度間隔(本代案では等角度間隔)をあけて設けられている。いずれか1個の収容孔32gに錘33を取り付けるか、あるいは複数の収容孔32gに軸線αに対して回転対称とならない配置で錘33を取り付ければ、モータロータ軸23の端部23eに対して、偏心荷重が付加された状態となる。
図8に示す代案のように、本体32に軸線αを中心とする2個の仮想円C1,C2上、それぞれ角度間隔をあけて設け複数の収容孔32gを設けてもよい。また、本体32には、3個以上の仮想円上に、それぞれ収容孔32gを設けてもよい。さらに、
図3及び
図4に示すような本体32の周面32fに設けた収容孔32gを軸線α方向に複数列設けてもよい。さらにまた、本体32の周面32fと端面32cの両方に収容孔32gを設けてもよい。
【0040】
図9及び
図10に示す代案の釣り合い調整部品31は、本体32を備えるが、本体32に取り付けられる錘は備えていない。本体32は、軸線αが延びる方向から見て、軸線αに対して回転対称ではない形状を有する。具体的には、この代案における本体32は、円板部32iと、この円板部32iから軸線αから離れる方向に突出する突部32jとを備える。形状、寸法、及び突出する向きのうち少なくとも一つが異なる突部32jを有する複数種類の本体32を、交換してモータロータ軸23の端部23eに取り付けることで、偏心荷重の向きと大きさを調整できる。
【0041】
図11に示す代案の釣り合い調整部品31では、本体32は、一対のナット35A,35Bによってモータロータ軸23の端部23eに取り付けられている。モータロータ軸23には、雄ねじ部23hが設けられている。本体32には、端面32a,32c間を貫通する挿通孔32kが設けられている。挿通孔32kの孔径は、雄ねじ部23hの外径と同一又はわずかに大きく設定されている。本体32は雄ねじ部23hに螺合したナット35A,35B間に挟み込まれることで、モータロータ軸23の端部23eに対して固定されている。ナット35A,35Bを緩めて本体32から離すと、本体32の雄ねじ部23f上で軸線αの方向に移動させることがきる。また、本体32を移動させた後に、ナット35A,35Bを再度締め付け、これらの間に本体32を挟み込むことで、移動後の位置で本体32を固定できる。つまり、本代案では、モータロータ軸23の端部23eに対して、釣り合い調整部品31の軸線α方向の位置を調節できる。本体32は、挿通孔32kに代えて、雄ねじ部23hと螺合する雌ねじ部が設けられてもよい。
【0042】
図12及び
図13に示す代案の釣り合い調整部品31では、モータロータ軸23の端部23eの小径部23fの外周面にセレーション部23iが設けられている。また、小径部23fが収容されている、釣り合い調整部品31の本体32の連結孔32bの孔周壁には、セレーション部23iと嵌合するセレーション部32mが設けられている。ナット28とワッシャ29を締結ロッド27から外すと、釣り合い調整部品31の本体32をモータロータ軸23の端部23eから取り外することができる。いったん取り外した本体32を軸線α回りの回転角度位置を異ならせて、モータロータ軸23の端部23eに装着した後、ナット28とワッシャ29を締結ロッド27の雄ねじ部27bに螺合するとことで、本体32をモータロータ軸23の端部23eに再度固定できる。モータロータ軸23の端部23eの小径部23fと本体32とはセレーション部23i,32mにより嵌合されているので、本体32は軸線α回りの回転角度位置を異ならせてモータロータ軸23の端部23eに固定できる。つまり、本代案では、モータロータ軸23の端部23eに対して、釣り合い調整部品31の軸線α回りの角度位置を調節できる。
【0043】
以下の第2から第4実施形態については、特に言及しない点は第1実施形態と同様である。また、これらの実施形態に関する図面では、第1実施形態と同一ないし同様の要素には、同一の符号を付している。
【0044】
(第2実施形態)
図14及び
図15に示す本発明の第2実施形態に係るオイルフリースクリュ圧縮機1では、モータロータ軸23の端部23eに第1実施形態と同じ構成の釣り合い調整部品31が設けられている。また、本実施形態では、スクリュロータ軸13の端部13cにも、釣り合い調整部品41が設けられている。
【0045】
釣り合い調整部品41の本体42の周面42aには複数の収容孔42bが設けられており、個々の収容孔42bには錘43を着脱可能に取り付けることができる。収容孔42b及び錘34の具体的な構造は、第1実施形態における収容孔32g及び錘43(
図3及び
図4参照)とそれぞれ同様である。
【0046】
スクリュロータ軸13の端部13cには、雄ねじ部13eが設けられている。本体42には、端面42c,42d間を貫通する挿通孔42eが設けられている。挿通孔42eの孔径は、雄ねじ部13eの外径と同一又はわずかに大きく設定されている。本体42は雄ねじ部13eに螺合したナット45A,45B間に挟み込まれることで、スクリュロータ軸13の端部13cに対して固定されており、
図11の代案と同様に、釣り合い調整部品41の軸線α方向の位置を調節できる。本体42は、挿通孔42eに代えて、雄ねじ部13eと螺合する雌ねじ部が設けられてもよい。
【0047】
スクリュロータ軸13側の釣り合い調整部品41の具体的な構成としては、第1実施形態におけるモータロータ軸23側の釣り合い調整部品31と同様の構成に限らず、
図6から
図13を参照して説明した種々の代案の構成を採用し得る。
【0048】
(第3実施形態)
図16及び
図17に示す本発明の第3実施形態に係るオイルフリースクリュ圧縮機1では、スクリュロータ軸13の端部13cには第2実施形態と同じ構成の釣り合い調整部品41が設けられているが、モータロータ軸23の端部23eには釣り合い調整部品は設けられていない。
【0049】
本発明は実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。雌ロータのスクリュロータ軸に対してモータロータ軸が同軸かつ固定的に設けられてよい。スクリュロータ軸とモータロータ軸は一体構造であってもよい。軸の所定の箇所に対する偏心荷重を作用させることができるものであれば、釣り合い調整部品の具体的な構造は特に限定されない。釣り合い調整部品により、モータロータ軸又はスクリュロータ軸とケーシングの隙間が狭い部分におけるその軸の変位を低減してもよい。
【0050】
上記した実施形態では、第1軸受部14は、カバー5に保持された玉軸受14aと、ケーシング4Aに保持されたころ軸受14bとを備えるものであるが、ラジアル荷重を支持可能な軸受を少なくとも備えていればよい。また、上記した実施形態では、第2軸受部15は、ケーシング4Bに保持された玉軸受15aと、ころ軸受5bとを備えるものであるが、ラジアル荷重を支持可能な軸受を少なくとも備えていればよい。
【符号の説明】
【0051】
1 オイルフリースクリュ圧縮機
2 圧縮機本体
3 モータ
4A,4B ケーシング
5 カバー
6 モータのケーシング
7 ジャケット
8 ホルダ
8a 筒状部
8b フランジ部
9 カバー
9a 筒状部
9b ベース部
10 ロータ室
11 雄ロータ
12 雌ロータ
13 スクリュロータ軸
13a 第1部分
13b 第2部分
13c 端部
13d 雌ねじ部
13e 雄ねじ部
14 第1軸受部
14a 玉軸受
14b ころ軸受
15 第2軸受部
15a 玉軸受
15b ころ軸受
16,17 軸封部
18 タイミングギア
19 吸込口
20 吐出口
21 ステータ
23 モータロータ軸
23a 第1部分
23b 第2部分
23c 連結孔
23d 挿通孔
23e 端部
23f 小径部
23g ピン孔
23h 雄ねじ部
23i セレーション部
24 モータロータ
25 第3軸受部
26 キー
27 締結ロッド
27a,27b 雄ねじ部
28 ナット
29 ワッシャ
31 釣り合い調整部品
32 本体
32a 左側の端面
32b 連結孔
32c 右側の端面
32d 挿通孔
32e ピン孔
32f 周面
32g 収容孔
32h 雌ねじ部
32i 円板部
32j 突部
32k 挿通孔
32m セレーション部
33 錘
33a 雄ねじ部
34 ピン
35A,35B ナット
41 釣り合い調整部品
42 本体
42a 周面
42b 収容孔
42c,42d 端面
42e 挿通孔
45A,45B ナット
α 軸線
L 距離
D 軸径
C1,C2 仮想円
A1,A2,A3 撓み曲線
δ11,δ21,δ12,δ22,δ13,δ23 撓み量