特許第6872466号(P6872466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872466ロックボルト施工装置及びロックボルト施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872466
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ロックボルト施工装置及びロックボルト施工方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 20/00 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   E21D20/00 X
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-191033(P2017-191033)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-65536(P2019-65536A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594149398
【氏名又は名称】古河ロックドリル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】山岸 隆史
(72)【発明者】
【氏名】小林 真悟
(72)【発明者】
【氏名】田村 広行
(72)【発明者】
【氏名】宮越 征一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭右
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−070529(JP,A)
【文献】 特開2006−083654(JP,A)
【文献】 特開2003−336500(JP,A)
【文献】 特開平09−096196(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0016325(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 20/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地山に設けられた孔と、前記孔に充填された充填材と、前記充填材に埋め込まれるロックボルトと、により構成される支保構造を施工するために、移動式台車に搭載されるロックボルト施工装置であって、
前記孔を削孔する削孔ロッドと、第1軸線を有し前記削孔ロッドを駆動する第1ドリフタと、前記第1ドリフタを前記第1軸線に沿う方向へ往復移動可能に支持する第1ガイドセルと、前記第1ガイドセルを前記移動式台車に連結すると共に、前記地山に対する前記第1ガイドセルの姿勢を制御する第1ブームと、を有する第1アームユニットと、
前記削孔ロッドが削孔した前記孔に挿し込まれて、前記孔に充填材を充填する充填ロッドと、第2軸線を有し前記充填ロッドの基端を保持する第2ドリフタと、前記第2ドリフタを前記第2軸線に沿う方向へ往復移動可能に支持する第2ガイドセルと、前記第2ガイドセルを前記移動式台車に連結すると共に、前記地山に対する前記第2ガイドセルの姿勢を制御する第2ブームと、を有する第2アームユニットと、を備える、ロックボルト施工装置。
【請求項2】
前記第1ガイドセルは、前記第1軸線に沿う方向へ延びる第1ガイドと、前記第1軸線に沿う方向に往復移動可能に前記第1ガイドに取り付けられると共に、前記第1ドリフタが搭載される第1キャリッジと、を含み、
前記第1アームユニットは、
前記第1キャリッジに設けられると共に、前記ロックボルトの基端を着脱可能に保持するボルト保持部と、
前記第1ガイドに配置されると共に、前記ボルト保持部に保持された前記ロックボルトを支持するボルト支持部と、
前記第1ガイドの先端に設けられると共に、前記ロックボルトの基端が着脱可能に嵌め込まれるボルト押圧部と、をさらに有する、請求項1に記載のロックボルト施工装置。
【請求項3】
前記第2ガイドセルは、前記第2軸線に沿う方向に延びる第2ガイドと、前記第2軸線に沿う方向に往復移動可能に前記第2ガイドに取り付けられると共に、前記第2ドリフタが搭載される第2キャリッジと、を含み、
前記充填ロッドは、前記第2ドリフタに連結される基端から前記孔に挿し込まれる先端まで連通する供給孔と、前記基端側に設けられ前記供給孔に連通する導入孔と、を含む、請求項1又は2に記載のロックボルト施工装置。
【請求項4】
地山に設けられた孔と、前記孔に充填された充填材と、前記充填材に埋め込まれるロックボルトと、により構成される支保構造を施工するロックボルト施工方法であって、
前記孔を削孔する削孔ロッドと、第1軸線を有し前記削孔ロッドを駆動する第1ドリフタと、前記第1ドリフタを前記第1軸線に沿う方向へ往復移動可能に支持する第1ガイドセルと、前記地山に対する前記第1ガイドセルの姿勢を制御する第1ブームと、を有する第1アームユニットを用いて、第1の孔を前記地山に形成する第1工程と、
前記削孔ロッドが削孔した前記第1の孔に挿し込まれて、前記第1の孔に前記充填材を充填する充填ロッドと、第2軸線を有し前記充填ロッドの基端を保持する第2ドリフタと、前記第2ドリフタを前記第2軸線に沿う方向へ往復移動可能に支持する第2ガイドセルと、前記地山に対する前記第2ガイドセルの姿勢を制御する第2ブームと、を有する第2アームユニットを用いて、前記第1の孔に前記充填材を充填する第2工程と、
前記第1アームユニットを用いて、前記第1の孔とは別の第2の孔を前記地山に形成する第3工程と、を有し、
前記第2工程を実施する期間と、前記第3工程を実施する期間とは、互いに重複する部分を含む、ロックボルト施工方法。
【請求項5】
前記第1ガイドセルは、前記第1軸線に沿う方向へ延びる第1ガイドを含み、
前記第1アームユニットは、前記ロックボルトの基端を着脱可能に保持するボルト保持部と、前記第1ガイドに配置されると共に、前記ボルト保持部に保持された前記ロックボルトを支持するボルト支持部と、前記第1ガイドの先端に設けられると共に、前記ロックボルトの基端が着脱可能に嵌め込まれるボルト押圧部と、をさらに有し、
前記第1アームユニットを用いて、前記充填材が充填された前記第1の孔に前記ロックボルトを挿入する第4工程と、
前記第2アームユニットを用いて、前記第2の孔に前記充填材を充填する第5工程と、をさらに有し、
前記第4工程を実施する期間と、前記第5工程を実施する期間とは、互いに重複する部分を含む、請求項4に記載のロックボルト施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロックボルト施工装置及びロックボルト施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルの施工にあたっては、地山を支保するための支保構造が施工される。この支保構造は、地山に設けられた孔と、当該孔に充填された充填材と、当該充填材に埋め込まれるロックボルトと、により構成される。従って、支保構造は、孔を削孔する工程と、孔に充填材を充填する工程と、充填材にロックボルトを埋め込む工程と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−70529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トンネル施工の分野においては、施工時間の短縮化が望まれている。この施工時間においては、上述した支保構造を施工するための時間が比較的大きく、さらなる施工時間の短縮化が望まれている。施工時間の短縮にあっては、施工機器の能力向上や、人手による作業を機械化するといった方策が検討されている。例えば、特許文献1は、充填材にロックボルトを埋め込む工程に用いられるロックボルト挿入装置を開示する。このロックボルト装置は、作業者によって行われていたロックボルトを埋め込む作業を機械化することができる。
【0005】
そこで、本発明は、支保構造の施工時間を短縮することが可能なロックボルト施工装置及びロックボルト施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態は、地山に設けられた孔と、孔に充填された充填材と、充填材に埋め込まれるロックボルトと、により構成される支保構造を施工するために、移動式台車に搭載されるロックボルト施工装置であって、孔を削孔する削孔ロッドと、第1軸線を有し削孔ロッドを駆動する第1ドリフタと、第1ドリフタを第1軸線に沿う方向へ往復移動可能に支持する第1ガイドセルと、第1ガイドセルを移動式台車に連結すると共に、地山に対する第1ガイドセルの姿勢を制御する第1ブームと、を有する第1アームユニットと、削孔ロッドが削孔した孔に挿し込まれて、孔に充填材を充填する充填ロッドと、第2軸線を有し充填ロッドの基端を保持する第2ドリフタと、第2ドリフタを第2軸線に沿う方向へ往復移動可能に支持する第2ガイドセルと、第2ガイドセルを移動式台車に連結すると共に、地山に対する第2ガイドセルの姿勢を制御する第2ブームと、を有する第2アームユニットと、を備える。
【0007】
この装置によれば、第1アームユニットによって地山に孔を削孔した後に、第2アームユニットによって当該孔に充填材を充填する。従って、充填作業を第2アームユニットによって機械化することが可能になる。この充填中において、第1アームユニットは、地山に別の孔を削孔する。従って、削孔作業と、充填作業とを並行して行うことができる。つまり、この装置は、削孔作業と充填作業のそれぞれを機械化できると共に、削孔作業と充填作業とを並行して行うことが可能である。従って、支保構造の施工時間を短縮することができる。
【0008】
上記の形態において、第1ガイドセルは、第1軸線に沿う方向へ延びる第1ガイドと、第1軸線に沿う方向に往復移動可能に第1ガイドに取り付けられると共に、第1ドリフタが搭載される第1キャリッジと、を含み、第1アームユニットは、第1キャリッジに設けられると共に、ロックボルトの基端を着脱可能に保持するボルト保持部と、第1ガイドに配置されると共に、ボルト保持部に保持されたロックボルトを支持するボルト支持部と、第1ガイドの先端に設けられると共に、ロックボルトの基端が着脱可能に嵌め込まれるボルト押圧部と、をさらに有してもよい。この構成によれば、ロックボルトを充填材に埋め込む作業を機械化することが可能になる。従って、支保構造を施工するための作業時間をさらに短縮することができる。
【0009】
上記の形態において、第2ガイドセルは、第2軸線に沿う方向に延びる第2ガイドと、第2軸線に沿う方向に往復移動可能に第2ガイドに取り付けられると共に、第2ドリフタが搭載される第2キャリッジと、を含み、充填ロッドは、第2ドリフタに連結される基端から孔に挿し込まれる先端まで連通する供給孔と、基端側に設けられ供給孔に連通する導入孔と、を含んでもよい。この構成によれば、充填アダプタが取り付けられた充填スリーブの回転が規制される。従って、充填アダプタに連結されたホースを所定の位置に保つことが可能になるので、充填作業の安全性を高めることができる。
【0010】
本発明の別の形態は、地山に設けられた孔と、孔に充填された充填材と、充填材に埋め込まれるロックボルトと、により構成される支保構造を施工するロックボルト施工方法であって、孔を削孔する削孔ロッドと、第1軸線を有し削孔ロッドを駆動する第1ドリフタと、第1ドリフタを第1軸線に沿う方向へ往復移動可能に支持する第1ガイドセルと、地山に対する第1ガイドセルの姿勢を制御する第1ブームと、を有する第1アームユニットを用いて、第1の孔を地山に形成する第1工程と、削孔ロッドが削孔した第1の孔に挿し込まれて、第1の孔に充填材を充填する充填ロッドと、第2軸線を有し充填ロッドの基端を保持する第2ドリフタと、第2ドリフタを第2軸線に沿う方向へ往復移動可能に支持する第2ガイドセルと、地山に対する第2ガイドセルの姿勢を制御する第2ブームと、を有する第2アームユニットを用いて、第1の孔に充填材を充填する第2工程と、第1アームユニットを用いて、第1の孔とは別の第2の孔を地山に形成する第3工程と、を有し、第2工程を実施する期間と、第3工程を実施する期間とは、互いに重複する部分を含む。
【0011】
この方法では、第1アームユニットによって地山に孔を削孔する第1工程の後に、第2アームユニットによって当該孔に充填材を充填する第2工程を行う。従って、充填作業を第2アームユニットによって機械化することが可能になる。この第2工程を実施している間において、第1アームユニットは、地山に別の孔を削孔する第3工程を行う。従って、第3工程である削孔作業と、第2工程である充填作業とを並行して行うことができる。つまり、この方法は、削孔作業と充填作業のそれぞれを機械化できると共に、削孔作業と充填作業とを並行して行うことが可能である。従って、支保構造の施工時間を短縮することができる。
【0012】
上記の別の形態において、第1アームユニットは、ロックボルトの基端を着脱可能に保持するボルト保持部と、第1ガイドに配置されると共に、ボルト保持部に保持されたロックボルトを支持するボルト支持部と、第1ガイドの先端に設けられると共に、ロックボルトの基端が着脱可能に嵌め込まれるボルト押圧部と、をさらに有し、第1アームユニットを用いて、充填材が充填された第1の孔にロックボルトを挿入する第4工程と、第2アームユニットを用いて、第2の孔に充填材を充填する第5工程と、をさらに有し、第4工程を実施する期間と、第5工程を実施する期間とは、互いに重複する部分を含んでもよい。この方法によれば、第1の孔へ充填された充填材へロックボルトを挿入する第4工程と、第2の孔へ充填材を充填する第5工程とを並行して行う。従って、支保構造の施工時間をさらに短縮することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、支保構造の施工時間を短縮することが可能なロックボルト施工装置及びロックボルト施工方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、ロックボルト施工装置を用いて支保構造を施工する様子を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示されたロックボルト施工装置が備える削孔アームユニットの削孔装置を示す斜視図である。
図3図3は、ボルト保持部を拡大して示す斜視図である。
図4図4は、ガイドの先端を拡大して示す斜視図である。
図5図5は、図1に示されたロックボルト施工装置が備える充填アームユニットの充填装置を示す斜視図である。
図6図6は、充填ジョイントを拡大して示す断面斜視図である。
図7図7は、充填アタッチメントを拡大して示す斜視図である。
図8図8は、ひとつの支保構造に着目した場合の主要な工程を示すフロー図である。
図9図9は、本実施形態に係るロックボルト施工装置を用いて複数の支保構造を施工する工程を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、ロックボルト施工装置を用いて支保構造を施工する様子を示す斜視図である。図1に示されるように、ロックボルト施工装置1は、トンネル掘削現場等で実施される支保構造200の施工作業に用いられる。坑道100は、略水平方向に延在し、略平坦な地面101と、湾曲した壁面102と、により形成される。ロックボルト施工装置1は、当該壁面102に支保構造200を設ける。
【0017】
支保構造200は、掘削によって生じ得る地山110の変形を抑制する。支保構造200は、孔201と、モルタル202(充填材)と、ロックボルト203と、定着板204と、定着ナット206と、により構成される。このような支保構造200を利用するトンネルの施工法として、いわゆる新オーストリアトンネル工法(New Austrian Tunneling Method:NATM)がある。NATMによるトンネル施工では、まず、地山110を掘削する。次に、コンクリート壁(不図示)を設ける。次に、コンクリート壁から地山110に延在する孔201を設ける(削孔作業)。そして、当該孔201にモルタル202を充填した(充填作業)後に、ロックボルト203を埋め込む(挿入作業)。ロックボルト施工装置1は、これら、削孔作業と、充填作業と、挿入作業と、を行う。なお、トンネルの坑道100の一断面にはロックボルト203等により構成される支保構造200が複数(例えば、6〜10箇所)設けられている。
【0018】
ロックボルト施工装置1は、移動式台車2に搭載される。移動式台車2は、タイヤ又はクローラといった移動機構を有し、坑道100内を自由に走行することができる。従って、他のトンネル作業に用いられる作業車両との入れ替えを迅速に行うことができる。移動式台車2は、アウトリガ2aを有し、作業中における車体の安定性を確保する。さらに、移動式台車2は、走行及びロックボルト施工装置1を操縦するための作業台2bを有する。また、移動式台車2は、一対のバスケットユニット3A,3Bを有する。これらのロックボルト施工装置1、移動式台車2、及びバスケットユニット3A,3Bは、トンネル施工装置4を構成する。
【0019】
ロックボルト施工装置1は、削孔アームユニット10A,10B(第1アームユニット)と充填アームユニット40(第2アームユニット)とを有する。削孔アームユニット10A,10B及び充填アームユニット40は、移動式台車2の前部に取り付けられる。削孔アームユニット10A,10Bは、削孔作業と、挿入作業とを行うためのものである。充填アームユニット40は、充填作業を行うためのものである。削孔アームユニット10A,10Bと充填アームユニット40は、移動式台車2の幅方向に沿って配置される。充填アームユニット40は、削孔アームユニット10A,10Bの間に配置される。なお、移動式台車2に対する削孔アームユニット10A,10B及び充填アームユニット40の取付構成は、図1に示す例に限定されない。
【0020】
削孔アームユニット10A,10Bは、ブーム11(第1ブーム)と、削孔装置12と、を有する。ブーム11は、削孔装置12を所望の姿勢に保ちつつ、削孔装置12を壁面102における任意の位置に移動させる。例えば、ブーム11は、壁面102に対して略垂直となるように削孔装置12の姿勢と位置とを制御する。具体的には、ブーム11は、削孔装置12の先端を所定の位置に移動させる。そして、ブーム11は、先端位置を維持した状態において、削孔装置12の姿勢を変化させる。ここいでいう削孔装置12の姿勢とは、所定の座標系を基準とした後述するガイドセル13の延在方向をいう。削孔装置12は、壁面102から地山110の内部に向けて孔201を削孔する機能と、ロックボルト203を挿入する機能と、を有する。孔201の延在方向は、ブーム11によって制御される削孔装置12の向きにより規定される。また、削孔装置12がロックボルト203を挿入する際には、ロックボルトの延在方向が孔201の延在方向と一致するように、削孔装置12がブーム11によって制御される。削孔装置12の詳細については後述する。
【0021】
充填アームユニット40は、ブーム41(第2ブーム)と、充填装置42と、を有する。ブーム41は、削孔アームユニット10A,10Bのブーム11と同様の構成を有する。具体的には、ブーム11は、充填装置42の先端を所定の位置に移動させる。そして、ブーム11は、先端位置を維持した状態において、充填装置42の姿勢を変化させる。ここいでいう充填装置42の姿勢とは、所定の座標系を基準とした後述するガイドセル43の延在方向をいう。充填装置42は、削孔装置12によって形成された孔201にモルタル202を充填する機能を有する。充填装置42が孔201にモルタル202を充填するとき、充填装置42の姿勢(ガイドセル43の延在方向)が孔201の延在方向と一致するように、充填装置42がブーム11によって制御させる。充填装置42の詳細については、後述する。
【0022】
<削孔装置>
図2は、図1に示されたロックボルト施工装置1が備える削孔アームユニット10Aの削孔装置12を示す斜視図である。削孔装置12は、基本的な構成要素として、ガイドセル13(第1ガイドセル)と、ドリフタ14(第1ドリフタ)と、メインブシュ16と、サブブシュ17を有する。また、削孔装置12は、孔201を削孔するためのドリルロッド18(削孔ロッド)を有する。
【0023】
ガイドセル13は、削孔装置12の基体をなし、出力軸線A1の方向に沿って延在する。ガイドセル13は、ガイド19(第1ガイド)と、ガイド19に沿って摺動可能なキャリッジ21(第1キャリッジ)と、を有する。キャリッジ21は、所定の駆動機構によって、ガイド19の基端から先端まで往復移動が可能である。なお、本実施形態でいう「基端」とは、ドリフタ14側の端部をいい、「先端」とはその逆側の端部をいう。
【0024】
ドリフタ14は、キャリッジ21にボルト等により固定される。つまり、ドリフタ14は、キャリッジ21の移動に伴って、出力軸線A1(第1軸線)の方向に沿って往復移動する。ドリフタ14は、ドリルロッド18の基端が連結されて、ドリルロッド18に対して回転力と打撃力とを付与する。この回転は、出力軸線A1を中心軸とする。また、打撃は、出力軸線A1の方向に沿う動作である。ドリフタ14は、油圧式回転機構としてのオービットモータと、油圧式打撃機構としての打撃ピストンと、を有する。オービットモータは、回転速度及び回転方向が自在であり、高いトルクを発生させることができる。
【0025】
メインブシュ16及びサブブシュ17は、ドリフタ14に連結されたドリルロッド18を支持する。これらのメインブシュ16及びサブブシュ17によれば、ドリフタ14の出力軸線A1の延長線上に、ドリルロッド18の中心軸線が配置される。つまり、メインブシュ16及びサブブシュ17は、セントラライザである。メインブシュ16は、ガイド19の先端に固定される。サブブシュ17は、メインブシュ16とキャリッジ21との間に配置される。サブブシュ17は、キャリッジ21と同様に、ガイド19に対して摺動可能に取り付けられる。つまり、サブブシュ17は、出力軸線A1の方向に往復移動することができる。これらメインブシュ16及びサブブシュ17によれば、ドリフタ14の回転力と打撃力とを効率よくドリルロッド18に伝えることができる。
【0026】
ドリルロッド18は、長尺の棒状部材であり、その先端にはビット18aが取り付けられている。
【0027】
削孔装置12は、さらに、ロックボルト203を挿入するための構成として、ボルト保持部22と、ボルト支持部23と、フートパッド24(ボルト押圧部)と、を有する。
【0028】
ボルト保持部22は、ロックボルト203の基端を着脱可能に保持する。そして、ガイド19の基端から先端へ向かうキャリッジ21の移動に起因して、ロックボルト203をモルタル202に押し込む。
【0029】
ボルト保持部22は、ベース25と、ホルダ26とを有する。ベース25は、出力軸線A1の方向から見てコ字状に形成され、ドリフタ14の基端側を挟むようにキャリッジ21に取り付けられる。
【0030】
図3は、ボルト保持部22を拡大して示す斜視図である。図3に示されるように、ホルダ26は、ベース25の天板部25aに取り付けられる。ホルダ26は、天板部25aに固定されたブラケット27と、ロックボルト203の基端が挿し込まれるスリーブ28を有し、スリーブ28の基端は、ブラケット27に固定されたスペーサ29を介してホルダ26に取り付けられる。
【0031】
スリーブ28は、出力軸線A1に平行な軸線に沿って延びている。また、スリーブ28は、出力軸線A1に対して平行にずれている。つまり、スリーブ28は、ドリフタ14の上方に配置される。スリーブ28は、両端が開口した円筒状を呈する。基端側の開口には、スペーサ29が嵌め込まれる。先端側の開口には、ロックボルト203の基端が挿し込まれる。スリーブ28に挿し込まれるロックボルト203には、定着板204と定着ナット206とが取り付けられている。スリーブ28の内径は、定着ナット206の外径よりも僅かに大きい。ロックボルト203は、単にスリーブ28に挿し込まれているだけであるので、容易に装着することができると共に容易に取り外すことができる。
【0032】
図2に示されるように、ボルト支持部23は、メインブシュ16及びサブブシュ17と同様の機能を奏する。つまり、ボルト支持部23によれば、ボルト保持部22に保持されたロックボルト203の軸線A2が、ドリフタ14の出力軸線A1と平行となる。ボルト支持部23は、メインブシュ16に設けられたメインリテーナ31と、サブブシュ17に設けられたサブリテーナ32と、を有する。メインリテーナ31は、ブシュ貫通穴16aの直上に配置されたU字状の支持部31aを有する。サブリテーナ32は、ブシュ貫通穴17aの直上に配置されたU字状の支持部32aを有する。
【0033】
図4は、ガイド19の先端を拡大して示す斜視図である。図4に示されるように、フートパッド24は、ロックボルト203の基端203aを押圧し、ロックボルト203をモルタル202にさらに押し込む。フートパッド24は、ガイド19の先端に固定される。フートパッド24は、すり鉢状の受入部24aを有し、この受入部24aの底面がロックボルト203の基端203aに押し当てられる。
【0034】
<充填装置>
図5は、充填装置42の主要部を示す斜視図である。充填装置42は、基本的な構成要素として、ガイド43a(第2ガイド)及びキャリッジ43b(第2キャリッジ)を含むガイドセル43(第2ガイドセル)と、ドリフタ44(第2ドリフタ)と、メインブシュ46と、サブブシュ47と、を有する。これらの要素は、削孔装置12におけるガイドセル13と、ドリフタ14と、メインブシュ16と、サブブシュ17と、同様の構成を有する。
【0035】
充填装置42は、充填ロッド48と、充填アタッチメント49と、を有する。充填ロッド48は、充填アタッチメント49を介してドリフタ44に連結される。また、充填ロッド48は、充填アタッチメント49を介して外部からモルタル202を受け入れる。そして、充填ロッド48は、受け入れたモルタル202をその先端から排出する。
【0036】
充填ロッド48は、中空ロッド51と、充填ジョイント52と、を有する。中空ロッド51は、充填ロッド48の基体をなす。中空ロッド51は、全長が例えば約6メートルのパイプ状を呈する。中空ロッド51は、基端から先端に貫通する供給孔51a(図6及び図7参照)を有する。基端から供給されたモルタル202は、供給孔51aを介して先端へ送られる。中空ロッド51の先端には、充填ジョイント52が嵌め込まれる。充填ジョイント52は、充填ロッド48を孔201へ容易に挿し込むと共に、モルタル202を孔201へ排出しながら、充填ロッド48を引き抜くことで、孔201にモルタルを充填する。
【0037】
図6は、充填ジョイント52を拡大して示す断面斜視図である。図6に示されるように、充填ジョイント52は、本体部53と、円錐面部54と、排出孔56と、を有する。本体部53は、その基端側が中空ロッド51の先端側における供給孔51aに挿し込まれる。この挿し込みにより、充填ジョイント52は、中空ロッド51に取り付けられる。本体部53には、出力軸線A3(第2軸線)の方向に延びる孔53aが設けられる。孔53aは、供給孔51aに連通する。この孔53aは、本体部53の基端面53bに開口する。一方、孔53aの先端側は、円錐面部54により閉鎖される。そして、孔53aは、排出孔56に連通する。
【0038】
排出孔56は、一端が孔53aに連通すると共に、その他端は外周面52aに開口する。排出孔56は、出力軸線A3の周りに等間隔に複数設けられる。さらに、排出孔56は、その軸線A4が出力軸線A3に対して傾いている。より詳細には、排出孔56の軸線A4と出力軸線A3とのなす角度K1は、90度以下である。円錐面部54は、充填ジョイント52の先端側に形成される。コーン状を呈する円錐面部54は、地山110に設けられた孔201の内周面が荒れている場合であっても、中空ロッド51を容易に孔201の奥へ導く。
【0039】
図7は、充填アタッチメント49を拡大して示す斜視図である。図7に示されるように、充填アタッチメント49は、充填スリーブ57と、充填アダプタ58と、充填ブラケット59と、を有する。充填スリーブ57は、中空ロッド51をドリフタ14に連結する。充填アダプタ58は、充填スリーブ57に取り付けられて充填スリーブ57にモルタル202を供給する。充填ブラケット59は、充填スリーブ57及び充填アダプタ58の動きを規制する。
【0040】
<充填スリーブ>
充填スリーブ57は、円柱状を呈し、軸連結孔57aと、ロッド連結孔57bと、アダプタ連結孔57cと、を有する。軸連結孔57aは、出力軸線A3に沿って延びる。軸連結孔57aは、その一端が充填スリーブ57の基端面57dに開口し、他端には区画壁57eによって閉鎖される。つまり、軸連結孔57aは、ロッド連結孔57b及びアダプタ連結孔57cとは連通しない。そして、軸連結孔57aは、ドリフタ14の出力軸14aを受け入れる。例えば、ドリフタ14の出力軸14aに雄ネジが設けられている場合には、軸連結孔57aには、雌ネジが設けられてもよい。
【0041】
ロッド連結孔57bは、出力軸線A3に沿って延びる。ロッド連結孔57bは、その一端が充填スリーブ57の先端面57fに開口し、他端が区画壁57eによって閉鎖される。ロッド連結孔57bは、中空ロッド51の基端を受け入れる。
【0042】
アダプタ連結孔57cは、出力軸線A3に対して直交する方向に延びる。アダプタ連結孔57cは、その一端が充填スリーブ57の外周面57gに開口し、他端がロッド連結孔57bの内周面57hに開口する。つまり、アダプタ連結孔57cは、ロッド連結孔57bに連通する。このアダプタ連結孔57cは、充填アダプタ58の基端を受け入れる。
【0043】
<充填アダプタ>
充填アダプタ58は、円筒状を呈し、一端から他端まで貫通する貫通孔58a(導入孔)を有する。充填アダプタ58は、一端がアダプタ連結孔57cに挿し込まれ、他端には未硬化のモルタル202を搬送するホース(不図示)が連結される。アダプタ連結孔57cの軸線A5が出力軸線A3に対して直交するので、充填アダプタ58の軸線も出力軸線A3に対して直交する。つまり、充填アダプタ58は、出力軸線A3に対して直交する方向に延びる。
【0044】
<充填ブラケット>
充填ブラケット59は、ベース部61と、ブラケット部62と、を有する。ベース部61は、キャリッジ21にボルト等により固定され、出力軸線A3に沿って延びる。ベース部61の上端には、ブラケット部62が設けられる。ブラケット部62は、板状を呈し、その法線の方向は充填アダプタ58の軸線A5の方向と一致する。平面視して矩形状であるブラケット部62は、一の辺部がベース部61に固定される。ブラケット部62には、充填アダプタ58が挿通されるガイド孔62aが設けられる。
【0045】
<充填ブラケット>
ガイド孔62aは、充填スリーブ57及び充填アダプタ58の動きを規制する。具体的には、ガイド孔62aは、挿し込まれた充填アダプタ58に対して、出力軸線A3に沿う動きを許容する一方で、出力軸線A3のまわりの回転を規制する。従って、ガイド孔62aは、出力軸線A3に沿う方向が長手方向である。具体的には、ガイド孔62aの長手方向の長さは、充填アダプタ58の外径よりも大きい。一方、ガイド孔62aの短手方向の長さ(つまり幅)は、充填アダプタ58の外径とほぼ同等である。
【0046】
<トンネル施工方法>
次に、ロックボルト施工装置1を用いて支保構造を施工するロックボルト施工方法について説明する。
【0047】
まず、支保構造を施工する基本的なロックボルト施工方法として、ひとつの支保構造に着目した場合の工程を説明する。次に、本実施形態に係るロックボルト施工装置1を用いて複数の支保構造を施工するロックボルト施工方法を説明する。
【0048】
図8は、ひとつの支保構造200に着目した場合の主要な工程を示すフロー図である。図8に示されるように、まず、削孔工程を行う(工程S10)。この工程S10では、削孔アームユニット10A,10Bによって地山110に孔201を設ける。
【0049】
次に、充填工程を行う(工程S20)。この工程S20では、孔201に未硬化のモルタル202を充填する。まず、ブーム11を動作させて、充填ロッド48の先端を孔201の直上まで移動させる(位置調整動作)。次に、ブーム11を動作させて、充填ロッド48の延在方向を孔201の延在方向と略一致させる(姿勢調整動作)。これらの動作により、孔201へ充填ロッド48を挿入できる準備が整う。なお、位置調整動作及び姿勢調整動作は、実施する順番に制限はない。例えば、姿勢調整動作を実施した後に位置調整動作を行ってもよい。また、位置調整動作及び姿勢調整動作を並行して行ってもよい。続いて、充填ロッド48の充填ジョイント52を孔201の奥まで挿し込む(工程S21)。このとき、孔201の内壁面が荒れて充填ロッド48を挿し込めない場合には、ドリフタ14により充填ロッド48を往復移動させて、引っ掛かりの原因となっている岩等の突起物を取り除く。次に、未硬化のモルタル202を排出しながら、充填ロッド48を引き抜く(工程S22)。なお、充填工程に使用されるドリフタ44は充填ロッド48が奥まで挿し込める場合には打撃機構と回転機構を必ずしも備えている必要はない。ドリフタ44は充填ロッド48の基端部を保持できれば足り、第2軸線に沿う方向に往復移動可能に支持するガイドセル43上を往復移動する機構(キャリッジ43b)があれば良い。
【0050】
続いて、挿入工程を行う(工程S30)。この工程S30では、未硬化のモルタル202にロックボルト203を挿入する。まず、ロックボルト203をボルト保持部22に取り付ける(工程S31)。このとき、ロックボルト203には、定着板204と定着ナット206とを装着しておく。次に、ロックボルト203の先端をモルタル202が充填された孔201の前に移動させた後に(位置調整動作)、ロックボルト203の延在方向を孔201の延在方向と略一致させる(姿勢調整動作)(工程S32)。次に、ボルト保持部22によってロックボルト203をモルタル202に押し込む(工程S33)。この動作は、キャリッジ21をガイド19の基端側から先端側に移動させることにより行われる。そして、キャリッジ21をガイド19の先端まで移動させた後に、ボルト保持部22からロックボルト203を取り外す(工程S34)。次に、ガイド19の先端に設けたフートパッド24をロックボルト203の基端に当接させる(工程S35)。その後に、ロックボルト203をさらに押し込む(工程S36)。この動作は、ガイドセル13に連結されたブーム11を操作することにより行われる。そして、モルタル202が充分に硬化したことが確認できた後に、定着ナット206を締め込む(工程S40)ことにより定着板204を地山110に押し当てる。以上の工程S10〜S40により、一つの支保構造200が施工される。
【0051】
ロックボルト施工装置1は、上記の削孔工程S10、充填工程S20、及び挿入工程S30を並行して行うことが可能である。続いて、図9を参照しつつ、複数の支保構造を施工するロックボルト施工方法を説明する。一般的に支保構造の施工は、一断面や、隣接する断面(例えば、2断面)毎に行われる。図9は、本実施形態に係るロックボルト施工装置1を用いて複数の支保構造200を施工する工程を示すタイムチャートである。図9のタイムチャートにおいて、「ユニットA」は、削孔アームユニット10Aを示し、「ユニットB」は、充填アームユニット40を示し、「ユニットC」は、削孔アームユニット10Bを示すものとする。
【0052】
まず、一対の削孔アームユニット10A,10Bを操作して、第1孔と第2孔とを削孔する(第1工程S10A,S10B)。このとき、削孔アームユニット10Aによる削孔作業(第1工程S10A)は、削孔アームユニット10Bによる削孔作業(第1工程S10B)と並行して行う。なお、本実施形態でいう「並行して行う」とは、あるアームユニットによる作業を実施する期間の一部が、別のアームユニットによる作業を実施する期間の一部と重複することをいう。従って、例えば、削孔アームユニット10A,10Bによる削孔作業の開始と終了とがそれぞれ一致する必要はない。これらの工程S10A,S10Bにより、第1孔と第2孔とが削孔される。このとき、充填アームユニット40は、動作しない。
【0053】
次に、充填アームユニット40は、第1孔に未硬化のモルタル202を充填する(第2工程S20A)。続いて、充填アームユニット40は、第2孔に未硬化のモルタル202を充填する(第2工程S20B)。この第2工程S20A,S20Bは、並行して行われることなく、直列に実行される。ここで、充填作業(第2工程S20A,S20B)と並行して、第3孔及び第4孔のための削孔作業(第3工程S10C,S10D)が実行される。つまり、充填作業は、削孔作業と並行して行われる。例えば、第1孔にモルタルを充填しているとき(第2工程S20A)には、第3孔の削孔作業(第3工程S10C)と、第4孔の削孔作業(第3工程S10D)とが同時に行われる。また、第2孔にモルタルを充填しているとき(第2工程S20B)にも、第3孔の削孔作業(第3工程S10C)と、第4孔の削孔作業(第3工程S10D)とが同時に行われる。これらの工程により、未硬化のモルタル202が充填された第1孔及び第2孔と、新たに設けられた第3孔及び第4孔と、が得られる。
【0054】
次に、削孔アームユニット10Aは、第1孔に充填されたモルタル202にロックボルト203を挿入する(第4工程S30A)。また、削孔アームユニット10Bは、第2孔に充填されたモルタル202にロックボルト203を挿入する(第4工程S30B)。そして、充填アームユニット40は、第3孔にモルタルを充填した(第5工程S20C)後に、第4孔にモルタルを充填する(第5工程S20D)。これら第4工程S30A,S30B及び第5工程S20C,S20Dは互いに並行して行う。具体的には、第4工程S30A,S30Bは、第5工程S20Cに対して並行に行われる。その後、第4工程S30A,S30Bは、第5工程S20Dに対して並行に行われる。これらの工程により、ロックボルト203が挿入された第1孔及び第2孔と、未硬化のモルタル202充填された第3孔及び第4孔と、が得られる。
【0055】
次に、削孔アームユニット10Aは、第3孔に充填されたモルタル202にロックボルト203を挿入する(工程S30C)。この挿入作業と並行して、削孔アームユニット10Bは、第4孔に充填されたモルタル202にロックボルト203を挿入する(工程S30D)。これらの工程により、ロックボルト203が挿入された第3孔及び第4孔が得られる。
【0056】
以下、トンネル施工におけるサイクルタイムの短縮に関する課題について説明した後に、ロックボルト施工装置1が奏する作用効果について説明する。
【0057】
山岳トンネルにおけるNATM工法の生産性において、本発明ではサイクルタイムに注目した。ロックボルトの施工時間が単位サイクルあたりの作業時間に占める割合は、およそ25パーセントであった。例えば、6メートル級のロックボルトをパターンボルトとする場合には、この割合はさらに高くなり得る。従って、サイクルタイムの更なる短縮のため、ロックボルトの施工作業に要する時間の短縮化することに着目した。
【0058】
ロックボルトの施工作業は、上述したように削孔作業と、充填作業と、挿入作業と、を含む。不良地山においては通常のロックボルトより長い、例えば、6メートル級のロックボルトが設置される。このような不良地山では、孔壁の保持性能が良好でない場合が多い。孔壁の保持性能が悪く孔壁が崩れやすい場合には、孔を削孔した後に、孔壁を清掃する作業が発生する。さらに、充填作業時に孔壁の荒れが発生することもあり得る。孔壁の荒れが生じた場合には、再度の削孔作業を要する。さらに、6メートル級のロックボルトは、人力による挿入は困難である。
【0059】
本実施形態に係るロックボルト施工装置1のように、削孔アームユニット10A,10Bの2系統に対して、充填アームユニット40は1系統であることが好ましい。本実施形態では、充填アームユニット40は充填作業S20を行うが、挿入作業S30は行わない。削孔アームユニット10A,10Bで、削孔作業S10と挿入作業S30を行うことで、充填作業S40を連続して行うことができる。従って、充填するモルタルが充填ロッド48で硬化してしまうことを防止できる。本実施形態に係るロックボルト施工装置1のように、充填アームユニット40を、削孔アームユニット10A,10Bの間に配置することで、削孔作業S10、充填作業S20、挿入作業S30に切り替えを各アームが錯綜することなく行うことができる。
【0060】
本実施形態に係るロックボルト施工装置1及びロックボルト施工方法では、削孔アームユニット10A,10Bによって地山110に孔201を削孔した後に、充填アームユニット40によって当該孔201に未硬化のモルタル202を充填する。従って、充填作業S20を充填アームユニット40によって機械化することが可能になる。この充填作業中おいて、削孔アームユニット10A,10Bは、地山110に別の孔201を削孔する。従って、削孔作業S10と、充填作業S20とを並行して行うことができる。つまり、このロックボルト施工装置1は、削孔作業S10と充填作業S20のそれぞれを機械化できると共に、削孔作業S10と充填作業S20とを並行して行うことが可能である。従って、支保構造200の施工時間を短縮することができる。
【0061】
上記の形態において、削孔アームユニット10A,10Bのガイドセル13は、出力軸線A1の方向に延びるガイド19と、出力軸線A1の方向に往復移動可能にガイド19に取り付けられると共に、ドリフタ14が搭載されるキャリッジ21と、を含む。削孔アームユニット10A,10Bは、キャリッジ21に設けられると共に、ロックボルト203の基端を着脱可能に保持するボルト保持部22と、ガイド19に取り付けられると共に、ボルト保持部22に保持されたロックボルト203を支持するボルト支持部23と、ガイド19の先端に設けられると共に、ロックボルト203の基端が着脱可能に嵌め込まれるフートパッド24と、をさらに有する。この構成によれば、ロックボルト203を未硬化のモルタル202に埋め込む作業を機械化することが可能になる。従って、支保構造200を施工するための作業時間をさらに短縮することができる。
【0062】
上記の形態において、充填アームユニット40のガイドセル43は、出力軸線A3の方向に延びるガイド43aと、出力軸線A3の方向に往復移動可能にガイド43aに取り付けられると共に、ドリフタ44が搭載されるキャリッジ43bと、を含む。充填ロッド48は、ドリフタ44に連結される基端から孔201に挿し込まれる先端まで連通する供給孔51aを含む。この構成によれば、充填アダプタ58が取り付けられた充填スリーブ57の回転が規制される。従って、充填アダプタ58に連結されたホースを所定の位置に保つことが可能になるので、充填工程S20の安全性を高めることができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0064】
例えば、上記のようにロックボルト施工装置1を動作させるにあたっては、作業者が直接にそれぞれの削孔アームユニット10A,10B及び充填アームユニット40を操作してもよい。
【0065】
また、ロックボルト施工装置1は、制御装置(不図示)によって、作業者の操作によらず、それぞれの削孔アームユニット10A,10B及び充填アームユニット40を制御してもよい。この場合には、ロックボルト施工装置1は、制御装置と、センサとを有する。センサは、削孔アームユニット10A,10Bと充填アームユニット40の各ガイドセルの位置情報(位置と方向)を計測できる。まず、削孔アームユニット10Aが第1孔の削孔作業(S10A)を行ったとき、センサは第1孔の位置と方向を計測すると共に記録する。そして、充填アームユニット40が第1孔への充填作業(S20A)を行うとき、制御装置は、第1孔の位置情報を利用して、充填アームユニット40を第1孔へ誘導する。さらに、削孔アームユニット10Aがロックボルト203の(S30A)を行うとき、制御装置は、第1孔の位置情報を利用して、削孔アームユニット10Aを再度、第1孔へ誘導する。この態様によれば、並行して行うことが可能な削孔作業、充填作業及び挿入作業において、削孔アームユニット10A,10Bと充填アームユニット40を定着構造の孔に位置情報を利用して容易に誘導できるので作業効率が向上する。近年、開発が進んでいる各アームユニット自動誘導装置付きロックボルト施工装置においてはその効果は飛躍的に向上する。
【符号の説明】
【0066】
1…ロックボルト施工装置、2…移動式台車、2a…アウトリガ、2b…作業台、3A,3B…バスケットユニット、4…トンネル施工装置、10A…削孔アームユニット(第1アームユニット)、10B…削孔アームユニット(第1アームユニット)、11…ブーム(第1ブーム)、12…削孔装置、13…ガイドセル(第1ガイドセル)、14…ドリフタ(第1ドリフタ)、14a…出力軸、16…メインブシュ、16a…ブシュ貫通穴、17…サブブシュ、17a…ブシュ貫通穴、18…ドリルロッド(削孔ロッド)、18a…ビット、19…ガイド(第1ガイド)、21…キャリッジ(第1キャリッジ)、22…ボルト保持部、23…ボルト支持部、24…フートパッド(ボルト押圧部)、24a…受入部、25…ベース、25a…天板部、26…ホルダ、27…ブラケット、28…スリーブ、29…スペーサ、31…メインリテーナ、31a…支持部、32…サブリテーナ、40…充填アームユニット(第2アームユニット)、41…ブーム(第2ブーム)、42…充填装置、43…ガイドセル(第2ガイドセル)、43a…ガイド(第2ガイド)、43b…キャリッジ(第2キャリッジ)、44…ドリフタ(第2ドリフタ)、46…メインブシュ、47…サブブシュ、48…充填ロッド、49…充填アタッチメント、51…中空ロッド、51a…供給孔、52…充填ジョイント、52a…外周面、53…本体部、53a…孔、53b…基端面、54…円錐面部、56…排出孔、57…充填スリーブ、57a…軸連結孔、57b…ロッド連結孔、57c…アダプタ連結孔、57d…基端面、57e…区画壁、57f…先端面、57g…外周面、57h…内周面、58…充填アダプタ、58a…貫通孔、59…充填ブラケット、61…ベース部、62…ブラケット部、62a…ガイド孔、100…坑道、101…地面、102…壁面、110…地山、200…支保構造、201…孔、202…モルタル、203…ロックボルト、203a…基端、204…定着板、206…定着ナット、A1,A3…出力軸線、A2,A4,A5…軸線、K1…角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9