【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、中空器官の表面の画像を取得するように適合され、所定の軸方向長さと、その軸方向長さよりも小さい直径と、を有するカプセル内視鏡によって解決される。カプセル内視鏡は、少なくとも一部が光透過性材料で構成された(少なくとも一部に光透過性材料を備える)、すなわち少なくとも部分的に光透過性をもつ材料で構成されたカプセル内視鏡のハウジングを介して、カプセル内視鏡の径方向外面の所定の画像取得領域に存在する中空器官の表面の一部の顕微鏡画像を取得するように、光軸がカプセル内視鏡の径方向に向けられた顕微鏡画像取得アセンブリを備えている。カプセル内視鏡は、さらに、画像取得の間、ハウジングの光透過性材料を介してカプセル内視鏡の径方向に光線を放出するように適合された光源を備え、当該光源と、当該光源と所定の画像取得領域との間に位置するハウジングの光透過性材料とは、光源と所定の画像取得領域との間に屈折界面が存在しないように、互いに相互接続されている。
【0010】
屈折界面が、照明または画像取得等のための屈折界面を通って進む光に取るに足らない程度で影響を及ぼす場合には、屈折界面は、存在しない(回避される又は防止される)ものと定義される。特に、屈折界面で生じる屈折または反射は、本発明による画像取得にとって本質的に重要ではない。存在しない屈折界面は、2つの異なる材料間の界面であってもよく、それら2つの材料の屈折率は、本発明による画像取得にとって本質的に重要でないように、本質的に等しいか同等である。例えば、1.59の屈折率を有するポリカーボネートと1.55〜1.63の屈折率を有するエポキシ樹脂との界面では、屈折率の差が最大0.04と小さいために顕著な屈折効果は存在しない。したがって、ポリカーボネートとエポキシ樹脂との間の屈折界面は存在しない(回避される又は防止される)と考えられる。一方、ポリカーボネートと屈折率1.00の空気との界面では、差が0.55と大きく、屈折効果は無視できない程度である。したがって、ポリカーボネートと空気との間には、そのような屈折界面が存在する(例えば、間隙(ギャップ)の場合)。
【0011】
本発明は、光源から画像取得アセンブリへの望ましくない光拡散によって生成される光ノイズを、直接的に低減することまたはカプセル内視鏡を構成する材料の屈折効果によって最小限に抑えることによって、画像品質を改善することを目的とする。光源と所定の画像取得領域との間に屈折界面が存在しない又は生成されないようにカプセル内視鏡を構成することにより、望ましくない光の散乱、すなわち光ノイズが低減される。
【0012】
「顕微鏡」は、本特許出願の意味において、裸眼では見ることができない構造の画像を可視化/捕捉することができる任意の装置である。顕微鏡という用語は、特に、サイズが数マイクロメートル、すなわち1ミリメートル未満の構造の画像を可視化/捕捉することができる任意の装置を意味する。本発明に係るカプセル内視鏡の光源/照明手段は、LED(発光ダイオード)であってもよい。本特許出願の意味における顕微鏡画像取得アセンブリ/顕微鏡画像取得手段/接触撮像ユニットは、顕微鏡画像を取得するように構成されたアセンブリ/手段/ユニットである。顕微鏡画像取得アセンブリ/顕微鏡画像取得手段/接触撮像ユニットは、一般に、いくつかのレンズの光モジュール、および感光性CMOS(Complementary metal−oxide−semiconductor)チップ形態の光センサを優先的に含む。画像取得領域は、カプセル内視鏡の表面のうち、当該表面から進む光線が画像取得アセンブリによって捕捉される領域である。顕微鏡画像取得アセンブリは、カプセル内視鏡のハウジングを通して顕微鏡画像を取得する。したがって、カプセル内視鏡の表面領域上の画像取得領域の形状、サイズおよび位置は、カプセル内視鏡の光源、画像取得アセンブリおよび外部ハウジングの幾何学的配置によって予め決定することができる。
【0013】
光源、および光源と所定の画像取得領域との間に位置するハウジングの光透過性材料は、鋳造技術/グラウチング(注入)技術によって相互に接続することができる。光源は、ハウジングの光透過性材料に光源を直接的に押圧、圧入または埋設することによって、またはハウジングの光透過性材料を光源上に鋳造することによって、ハウジングの光透過性材料に接続されうる。重要なことに、光源と光透過性材料との間には隙間が存在しないので、光源と光透過性材料との間の境界には屈折界面が形成されない。したがって、光源は、ハウジングの光透過性材料に直接組み込むことができる。
【0014】
代替的に、光源は、光透過性材料の別個の構成要素に直接組み込まれまたは埋め込まれてもよく、前記別個の構成要素は、ハウジングの光透過性材料に直接組み込まれる。光源は、鋳造、グラウチング、圧入、埋設または同様の技術によって別個の構成要素に組み込むことができ、別個の構成要素は、鋳造、グラウチング、圧入、埋設または同様の技術によってハウジングの光透過性材料に組み込むことができる。
【0015】
本発明の有利な態様によれば、光源が組み込まれた別個の構成要素の光透過性材料と、別個の構成要素が組み込まれるハウジングの光透過性材料とは、本質的に同じ屈折率を有する。
【0016】
本発明の別の有利な態様によれば、画質をさらに改善するために、顕微鏡画像取得アセンブリは、別個の歪み防止要素(歪み防止部材)を備えた専用管腔内に配置される。この別個の歪み防止要素は、所定の画像取得領域に最も近い管腔の側面の間に位置するカプセル内視鏡のハウジングの光学的に透明な材料から分離されている。歪み防止要素は、所定の画像取得領域に最も近い管腔の側に管腔の境界を形成するように適合され、さらに、管腔内に存在する流体と歪み防止要素との間の境界において、屈折界面が発生するのを防止するように適合される。歪み防止要素は、本質的にアセンブリの一部であるという意味において分離されており、歪み防止要素が圧入、グラウチング、埋設、またはポッティングによって達成されるアセンブリと一体的な部分であるということを排除するものではない。言い換えれば、歪み防止要素は、別個の個別構成要素/部品であるという意味で分離されているが、例えば圧入、グラウチング、埋設、またはポッティングにより、より大きな構成要素の組立体に組み込まれて一体化されてもよい。
【0017】
専用管腔は、空気または他のガスを含むことができる中空空間である。したがって、管腔と歪み防止要素との間に屈折界面が形成される。屈折界面を形成する歪み防止要素の表面は、この界面の効果が画像取得にとって些細なものであり続けることを確実にするために重要である。
【0018】
この目的のために、歪み防止要素は、少なくとも管腔の境界を形成する歪み防止要素の一部に、歪み防止要素の表面における屈折を減少させるように構成された所定の表面構造を有する。例えば、歪み防止要素は、非常に滑らかな表面を有する光透過性材料のプレートとすることができる。このような滑らかな表面は、研磨によって得られる。このような研磨された光透過性材料のプレートは容易に製造することができ、そのようなプレートの表面の品質/特性を決定する際に非常に高い再現性を得られる。歪み防止要素は、一般に、圧入、グラウチング、埋設、またはポッティングによって光透過性材料と相互接続される板状または煉瓦状の部品とすることができる。したがって、歪み防止要素は、光透過性材料内の象嵌(インレイ、はめ込み)であり得る。あるいは、歪み防止要素は、光透過性材料の内側表面上に堆積させることもできる。
【0019】
光ノイズをさらに減少させ、照明の有効性を高めるために、光源は、カプセル内視鏡のハウジング内の径方向に、カプセル内視鏡の中心から可能な限り遠くに配置されてもよい。光源は、カプセル内視鏡の外側境界または表面層をも構成するカプセル内視鏡の材料に統合されてもよい。
【0020】
光源は、1つまたは複数のLEDとして実現することができ、画像取得アセンブリは、レンズアセンブリおよびCMOSチップを含むカメラとすることができる。光源をカプセルのハウジングにおける最も外周側の層に統合することによって、光源は、捕捉される対象物のできるだけ近くに配置される。この配置は、光源から放射される光が捕捉される対象物まで短い距離を移動するだけでよく、したがって望ましくない光の散乱または屈折による損失が最小限に抑えられるので、照明の効率を高める。それに加えて、この構成は、ぼやけ、反射および一般的な画像品質の劣化を招く機会、すなわち光源から発せられた光が画像取得アセンブリに直接捕捉される機会を最小化する。
【0021】
光源が、捕捉される対象物のできるだけ近くに配置され、好ましくは画像取得アセンブリよりも捕捉される対象物の近くに配置される場合、光源によって放射された光は、捕捉される対象物に衝突した後及び反射された後、本質的に画像取得アセンブリに到達することができる。また、画像取得アセンブリは、カプセル内視鏡の中心長手方向軸に近い径方向に配置されてもよく、または光源よりもカプセル内視鏡の内部にさらに向かって配置されてもよい。
【0022】
したがって、光源と画像取得アセンブリとの配置は、画像取得アセンブリによって実行される画像取得に伴う光源からの光の干渉を最小にするよう慎重に構成されている。
【0023】
カプセル内視鏡の機能的構成要素(機能部品)の構成または配置のほかに、画像取得プロセスに関連するカプセル内視鏡の構成要素(部品)の製造のために選び出される材料の選択は、画像品質を改善するという目的によっても決定される。この態様によれば、特に、画像取得および/または照明のための光路に沿って本質的に等しい屈折率を有する材料を選択することは、画像品質を向上させる働きをする。
【0024】
したがって、カプセル内視鏡の外面上の所定の画像取得領域と画像取得アセンブリおよび/または光源との間に存在する材料は、本質的に一定の屈折率を優先的に有する。
【0025】
これは、光源から捕捉される対象物に向けて放射された光が、光源から少なくともカプセル内視鏡の多層ハウジングの最外周層までの全経路に沿って本質的に同じ屈折率の材料に遭遇することを意味する。同様に、捕捉される対象物から反射された光は、捕捉される対象物から、または少なくともカプセル内視鏡の多層ハウジングの最も周辺の層から、画像取得アセンブリまでの経路全体に沿って、実質的に同じ屈折率の材料に遭遇する。
【0026】
光線/ビームの全経路に沿って本質的に同じ屈折率を有する材料をこのように選択することにより、屈折率の異なる2つの隣接する材料の境界に生じる屈折境界面による望ましくない光の散乱または光の偏向/屈折を低減することができる。したがって、屈折率の違いを避けるために、光路に沿って材料を慎重に選択することによって、画質をさらに改善することができる。
【0027】
本発明のさらに別の態様によれば、カプセル内視鏡の外面上の所定の画像取得領域と、画像取得アセンブリおよび/または光源を含む管腔との間に存在する材料は、全体が1つの固体材料または複数の固体材料で構成される。光路中に固体材料のみを用いることによって、液体または気体を含まないので、屈折率の大きな差による望ましくない効果をさらに低減することができる。
【0028】
流体(例えば、空気)および/または固体で満たされた内腔と周囲の材料との境界に生じる屈折界面を防止するために、本発明の一態様によれば、管腔は、画像取得アセンブリと、カプセル内視鏡の外面上の所定の画像取得領域との間に配置された歪み防止要素を備えることができる。この歪み防止要素は、好ましくは、所定の予め設定された表面構造を有する光透過性材料の部品である。
【0029】
本発明の他の態様によれば、カプセル内視鏡の重心は、カプセル内視鏡の幾何学的中心点からずらされている。カプセル内視鏡の位置が、画像取得領域を含むカプセル内視鏡の外面の一部が、捕捉されるべき物体(例えば、中空器官の組織)に対して優先的に押圧されるように傾けられることにより、顕微鏡画像収集アセンブリおよび光源が捕捉される対象物に近づく。このように、撮像される組織と顕微鏡画像取得アセンブリとの間に直接接触が確立され、したがって、顕微鏡画像取得アセンブリは接触撮像ユニットまたは接触撮像アセンブリと呼ぶこともできる。
【0030】
好ましくは、カプセル内視鏡の重心の位置は、カプセル内視鏡の外面上の画像取得領域に向かう方向に、カプセル内視鏡をその長手方向軸から空間的に傾斜させるように選択される。カプセル内視鏡が腸管を通って移動するにつれて、カプセル内視鏡の傾斜した位置によって、画像取得領域を含むカプセル内視鏡の側面が組織表面に押し付けられる。この効果を達成するために、カプセル内視鏡の重心は、カプセル内視鏡の幾何学的中心点から、カプセル内視鏡の外面上の画像取得領域の位置に向かって優先的に移動される。
【0031】
本発明のさらなる態様によれば、カプセル内視鏡は、カプセル内視鏡のハウジング内に凹部を有する。凹部の位置は、少なくとも部分的に画像取得領域と一致する。好ましくは、画像取得領域は凹部内に完全に収容される。
【0032】
凹部は、生来の構成で捕捉される対象物の変形可能な構造的特徴の捕捉を可能にする。凹部がなければ、このような変形可能な構造は、カプセル内視鏡が捕捉される対象物に押し付けられるので、画像取得プロセス中に平坦化される。
【0033】
例えば、小腸では、腸の絨毛が腸壁から腸の内腔に突出する。そのような腸の絨毛が、カプセル内視鏡の表面に凹部のないカプセル内視鏡で捕捉されると、腸の絨毛は、カプセル内視鏡によって小腸の壁に対して平らにされる。したがって、腸の絨毛の三次元形状/構成の病理を正確に診断することはできない。
【0034】
凹部は、腸の絨毛のような変形可能な構造が凹部によって形成された空間に入り、それらの本来の生理学的三次元形状をとることを可能にする。凹部の位置が画像取得領域の位置と優先的に一致するので、凹部に含まれる腸の絨毛を捕捉することができる。
【0035】
本発明のさらなる態様によれば、カプセル内視鏡は、画像取得領域に近接して物体の存在を検出するように構成された近接検出アセンブリをさらに備え、前記検出結果が肯定的である場合には、画像取得アセンブリを選択的に作動させまたはスイッチを入れて作動させる。
【0036】
この近接検出アセンブリは、カプセル内視鏡の近くまたはすぐ近傍に、特にカプセル内視鏡の外面の画像取得領域の中に、捕捉される対象物が実際に存在する場合にのみ、画像取得が行われることを確実にすることによって、カプセル内視鏡のエネルギー使用効率を向上させる働きをする。近接検出アセンブリは、例えば、赤外線センサまたは小型カメラとすることができる。
【0037】
本発明のさらなる態様によれば、カプセル内視鏡は、画像取得アセンブリの画像取得動作と優先して、カプセル内視鏡のより大きな周囲の広視野巨視的捕捉を実行するように構成された巨視的状況画像取得アセンブリをさらに備えることができる。
【0038】
このような巨視的状況画像取得アセンブリの提供は、カプセル内視鏡の画像取得アセンブリが、画像取得領域のすぐ近くに存在するあるいはカプセル内視鏡の外面上の画像取得領域に直接接触する物体の比較的小さな領域の高解像度の拡大画像を提供するように適合された接触画像取得アセンブリとして構成される場合に特に有用である。
【0039】
このような顕微鏡画像取得アセンブリは、捕捉される対象物の非常に小さな領域の非常に詳細なビューを提供するが、これらの画像データの正確な解釈は、この非常に詳細なビューが捕らえられた状況に関する情報を必要とすることが多い。
【0040】
例えば、顕微鏡画像取得アセンブリは、腸の絨毛を含む小さな領域の非常に詳細な顕微鏡画像を捕捉することができる。しかしながら、捕捉された腸絨毛の形態が正常であるかどうかを正確に診断するためには、この小さな領域が捕捉された腸管内の位置に関する情報を有することが必要である。したがって、例えば食道または小腸において、この画像が画像取得アセンブリによって捕捉されたかどうかの情報が必要である。
【0041】
したがって、巨視的状況画像取得アセンブリは、カプセル内視鏡の周囲のより大きな画像、すなわち胃腸管の管腔を捕捉し、それによって画像取得アセンブリによって取得された情報の状況(コンテキスト)を提供する。好ましくは、画像取得アセンブリは、カプセル内視鏡の外面上の画像取得領域に存在する対象物を捕捉/画像化すると同時に、状況画像取得アセンブリは、カプセル内視鏡のより大きな周囲を捕捉/画像化する。
【0042】
状況画像取得アセンブリ及び画像取得アセンブリの異なる機能は、好ましくは、カプセル内視鏡の側方/半径方向の周辺表面に有利に配置された画像取得アセンブリがカプセル内視鏡上のそれらの位置決めに反映され、 中空器官の壁に押し付けられるように、カプセルが胃腸管を通って移動し、状況画像取得アセンブリが優先的にカプセル内視鏡の前端または後端に配置され、中空器官の内腔の一部を撮像するようになる。
【0043】
カプセル内視鏡は、体外受信器ユニットにデータを送信するため、または体外送信器ユニットからデータを受信するための遠隔測定ユニットをさらに含むことができる。
【0044】
本発明の別の態様は、本発明によるカプセル内視鏡を用いて中空器官の表面の顕微鏡画像を取得する方法に関する。この方法によれば、カプセル内視鏡の表面と中空器官の表面との間の空間は、カプセル内視鏡の表面と流体との間の屈折界面を回避/消失するように選択された流体および/または物質で満たされる。このような流体の使用によって、カプセル内視鏡の表面上の画像取得領域と周囲の流体および/または物質との間に屈折界面が生じないか、または屈折界面の効果が著しく減少する。このような流体は、例えば、典型的なハウジング材料の屈折率に近い1.47の屈折率を有するポリエチレングリコールであり得る。当該流体および/または物質は、カプセル内視鏡のハウジングの光透過性材料と同じまたは本質的に同じ屈折率を有するように選択することができる。
【0045】
カプセル内視鏡の表面に凹部を有するカプセル内視鏡を用いて画像を取得する場合には、凹部内のカプセル内視鏡の表面と流体および/または物質との間の屈折界面を回避するように選択された流体で凹部が満たされることが重要である。凹部内において三次元の解剖学的構造、例えば腸の絨毛が、それらの固有の構成を採用することができるように、このような解剖学的構造の三次元構成に影響を及ぼす疾患の診断中に高画質を保証するためには、凹部内の流体/物質の存在を確実にすることが不可欠である。