特許第6872469号(P6872469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872469
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ライダーカバー
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20210510BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20210510BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20210510BHJP
【FI】
   G01S7/481 Z
   G02B5/20
   G01S17/931
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-218897(P2017-218897)
(22)【出願日】2017年11月14日
(65)【公開番号】特開2019-90666(P2019-90666A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】清水 祐介
(72)【発明者】
【氏名】山口 和紀
【審査官】 東 治企
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−116318(JP,A)
【文献】 特開2014−079944(JP,A)
【文献】 特開2003−042841(JP,A)
【文献】 特開2003−004942(JP,A)
【文献】 特開2004−198617(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第03104190(EP,A1)
【文献】 特開平07−104066(JP,A)
【文献】 特開平07−043512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48−7/51
G01S 17/00−17/95
G01C 3/00−3/32
G01B 11/00−11/30
G01J 1/00−1/60
G02B 5/00−5/32
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるライダーユニットを覆いかつ前記ライダーユニットの測定光を透過可能なライダーカバーであって、
可視光及び前記測定光を透過する透明層と、
前記透明層の前記ライダーユニット側に配置される有色層と
を備え、
前記有色層は、
前記測定光の透過率が相対的に低い低透過率領域と、
前記測定光の透過率が前記低透過率領域よりも高い高透過率領域と
を有し、
前記高透過率領域は、各々が水平方向に延伸しかつ上下方向に配列されて複数設けられている
ことを特徴とするライダーカバー。
【請求項2】
前記高透過率領域は、前記有色層に形成された開口部あるいは前記低透過率領域よりも層厚寸法が小さく設定された薄層部からなることを特徴とする請求項1記載のライダーカバー。
【請求項3】
前記透明層の前記ライダーユニットと反対側の面に形成されて前記透明層を保護すると共に可視光及び前記測定光を透過する保護層を備えることを特徴とする請求項1または2記載のライダーカバー。
【請求項4】
前記低透過率領域と前記高透過率領域との割合が異なる複数の領域を有することを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載のライダーカバー。
【請求項5】
前記ライダーユニットの受光部に対向配置される領域が、他の領域に対して、前記低透過率領域に対する前記高透過率領域の割合が高いことを特徴とする請求項記載のライダーカバー。
【請求項6】
上部の領域が、下部の領域に対して、前記低透過率領域に対する前記高透過率領域の割合が低いことを特徴とする請求項記載のライダーカバー。
【請求項7】
車両に搭載されるライダーユニットを覆いかつ前記ライダーユニットの測定光を透過可能なライダーカバーであって、
可視光及び前記測定光を透過する透明層と、
前記透明層の前記ライダーユニット側に配置される有色層と
を備え、
前記有色層は、
前記測定光の透過率が相対的に低い低透過率領域と、
前記測定光の透過率が前記低透過率領域よりも高い高透過率領域と
を有し、
前記低透過率領域と前記高透過率領域との割合が異なる複数の領域を有し、
上部の領域が、下部の領域に対して、前記低透過率領域に対する前記高透過率領域の割合が低い
ことを特徴とするライダーカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライダーカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、安全意識等の高まりから、車両の周囲の障害物等を検知するライダーユニットの車両への搭載が進みつつある。このライダーユニットは、赤外線等の測定光を射出し、その反射光を受光することにより、障害物等の物体までの距離や物体の形状を示すデータを取得する。このようなライダーユニットを車両に搭載する場合には、ライダーユニットの保護等のために、ライダーユニットの前方にライダーカバーを設置する場合がある。例えば、特許文献1には、コールドミラー層により金属調光沢を備えるライダーカバーが開示されている。また、特許文献2には、ゲルマニウム(Ge)層により金属調光沢を備えるライダーカバーが開示されている。また、赤外線を透過可能な黒色のライダーカバーも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−198617号公報
【特許文献2】特開2010−243436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ライダーカバーを車両に設置する場合には、例えば車両全体の意匠の統一感を崩すことなく、他の部品との一体感を向上させる必要等がある。しかしながら、上述のような従来のライダーカバーは、一定の金属調光沢あるいは黒色しか備えることができず、デザインの自由度が極めて低い。近年は、例えば、車両のバンパ、ドアミラー部、ルーフパネル部にライダーユニットを設置し、他方向に向けてライダーユニットを搭載することも提案されている。このような場合に、一定の金属調光沢あるいは黒色しか備えることができないライダーカバーは、車両の全体意匠を損なう恐れがある。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ライダーユニットの測定光を透過可能なライダーカバーにおいて、測定光を透過可能としつつデザインの自由度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
第1の発明は、車両に搭載されるライダーユニットを覆いかつ上記ライダーユニットの測定光を透過可能なライダーカバーであって、可視光及び上記測定光を透過する透明層と、上記透明層の上記ライダーユニット側に配置される有色層とを備え、上記有色層が、上記測定光の透過率が相対的に低い低透過率領域と、上記測定光の透過率が上記低透過率領域よりも高い高透過率領域とを有するという構成を採用する。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記高透過率領域が、上記有色層に形成された開口部あるいは上記低透過率領域よりも層厚寸法が小さく設定された薄層部からなるという構成を採用する。
【0009】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記高透過率領域が、各々が水平方向に延伸しかつ上下方向に配列されて複数設けられているという構成を採用する。
【0010】
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記透明層の上記ライダーユニットと反対側の面に形成されて上記透明層を保護すると共に可視光及び上記測定光を透過する保護層を備えるという構成を採用する。
【0011】
第5の発明は、上記第1〜第4いずれかの発明において、上記低透過率領域と上記高透過率領域との割合が異なる複数の領域を有するという構成を採用する。
【0012】
第6の発明は、上記第5の発明において、上記ライダーユニットの受光部に対向配置される領域が、他の領域に対して、上記低透過率領域に対する上記高透過率領域の割合が高いという構成を採用する。
【0013】
第7の発明は、上記第5の発明において、上部の領域が、下部の領域に対して、上記低透過率領域に対する上記高透過率領域の割合が低いという構成を採用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、透明層のライダーユニット側に配置される有色層を備えている。このため、本発明によれば、透明層を介してライダーユニットと反対側から有色層を視認することが可能となる。さらに有色層の色等を任意に選択することによって、ライダーカバーに対して任意の色等を付与することができる。また、本発明によれば、有色層が、測定光の透過率が相対的に低い低透過率領域と、測定光の透過率が低透過率領域よりも高い高透過率領域とを有している。このため、低透過率領域によって有色層の色等を明確に外部の者に対して視認させることができ、高透過率領域によって測定光の透過性を確保することができる。したがって、本発明によれば、ライダーユニットの測定光を透過可能なライダーカバーにおいて、測定光を透過可能としつつデザインの自由度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態におけるライダーカバーを含む概略構成図であり、(a)が正面図であり、(b)が側面図である。
図2】本発明の一実施形態におけるライダーカバーを模式的に示した拡大断面図である。
図3】本発明の一実施形態におけるライダーカバーの製造方法を説明するための模式図である。
図4】本発明の一実施形態におけるライダーカバーの製造方法の変形例を説明するための模式図である。
図5】本発明の一実施形態におけるライダーカバーの製造方法の変形例の正面図である。
図6】本発明の一実施形態におけるライダーカバーの製造方法の変形例の領域ごとの模式的な拡大断面図である。
図7】本発明の一実施形態におけるライダーカバーの変形例を模式的に示した拡大断面図である。
図8】本発明の一実施形態におけるライダーカバーの変形例を模式的に示した部分拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係るライダーカバーの一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0017】
図1は、本実施形態のライダーカバー1を含む概略構成図であり、(a)が正面図であり、(b)が側面図である。本実施形態のライダーカバー1は、車両に搭載されるライダーユニットLを車両の外側方向から覆うように配置されたカバー部材である。例えば、本実施形態のライダーカバー1は、ライダーユニットLが車両前方に測定光を射出する場合にはライダーユニットLの前方に配置され、ライダーユニットLが車両の右側方に測定光を射出する場合にはライダーユニットLの右方に配置され、ライダーユニットLが車両の左側方に測定光を射出する場合にはライダーユニットLの左方に配置され、ライダーユニットLが車両の後方に測定光を射出する場合にはライダーユニットLの後方に配置される。つまり、本実施形態のライダーカバー1の設置姿勢は、特に限定されるものではない。
【0018】
本実施形態のライダーカバー1によって覆われるライダーユニットLは、赤外線レーザ光等を測定光として射出すると共に、測定光の反射光に基づいて、物体までの距離や物体の形状を取得する装置である。このようなライダーユニットLは、例えば、測定光を発生する光源や測定光を案内する照射レンズ等を有する射出部と、入射した反射光を案内する受光レンズや反射光を電気信号に変換する受光素子等を有する受光部と、受光部から出力された電気信号を信号処理する演算部とを備えている。なお、ライダーユニットLの構成は特に限定されるものではない。
【0019】
本実施形態のライダーカバー1は、図1に示すように、略矩形の板状に成形されており、背面側をライダーユニットL側に向けた状態で配置される。このような本実施形態のライダーカバー1は、不図示の他の部品によって支持されている。なお、本実施形態のライダーカバー1は、必ずしも略矩形状とされている必要はない。例えば、本実施形態のライダーカバー1を他の樹脂外装部品に形成された開口に嵌め込むように配置するような場合には、本実施形態のライダーカバー1は、開口形状に合わせた形状とされる。例えば、上記開口が円形である場合には本実施形態のライダーカバー1の形状は円形状とされ、上記開口が三角形である場合には本実施形態のライダーカバー1の形状は三角形状とされる。さらに、本実施形態のライダーカバー1の表裏面は必ずしも平面である必要はない。例えば、本実施形態のライダーカバー1が他の湾曲面を有する部材と一体的に設置される場合には、他の部材の表面と表面が面一となるように表裏面が湾曲面であっても良い。また、例えば本実施形態のライダーカバー1の全体形状を樹脂外装部品の形状とすることも可能である。このような場合には、本実施形態のライダーカバー1を樹脂外装部品として用いることも可能である。
【0020】
図2は、本実施形態のライダーカバー1を模式的に示した拡大断面図である。この図に示すように、本実施形態のライダーカバー1は、透明部材2(透明層)と、インク層3(有色層)と、保護層4とを備えている。なお、図2においては、上側(保護層4が配置されている側)が車両の外側(すなわち本実施形態のライダーカバー1の正面側)であり、下側(インク層3が配置されている側)が車両の内側(すなわち本実施形態のライダーカバー1の背面側)となっている。
【0021】
透明部材2は、可視光を透過可能とし、背面側に配置されるインク層3を正面側から視認可能に支持する基材層である。また、透明部材2は、車両の外部からのインク層3の視認性を高めるため、表面が円滑面とされている。また、透明部材2は、可視光に加えて測定光も透過可能としている。つまり、透明部材2は、可視光及び測定光に対して透明(着色透明を含む)な材料によって形成されている。このような透明部材2は、例えば、無色のPC(ポリカーボネート)やPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等の透明合成樹脂によって形成されている。また、このような透明部材2は、可視光及び測定光の透過率がインク層3よりも遥かに高い材料によって形成されている。
【0022】
インク層3は、透明部材2の背面に固着された有色層であり、染料や顔料を含むインク材料を乾燥させることによって形成されている。このインク層3は、例えばスクリーン印刷等の印刷法によって透明部材2の背面に形成される。このようなインク層3を形成するためのインク材料は特に限定されるものではなく、測定光を透過しないインク材料に限られず、測定光を透過可能なインク材料を用いることも可能である。
【0023】
図2に示すように、インク層3は、複数の開口部3aを有している。これらの開口部3aは、ライダーユニットLの測定光を透過するためのスリットであり、インク層3を厚さ方向に貫通して透明部材2の背面を露出させている。このような開口部3aは、各々が水平方向に延伸して設けられており、高さ方向に配列されている。これらの開口部3aの長手方向と直交する方向の幅方向の寸法は、車両の外部の者が目視で認識が困難な寸法に設定することが好ましく、例えば1mm以下とされている。
【0024】
このインク層3では、開口部3aの形成領域で測定光を透過し、開口部3aが形成されていない領域で測定光を遮蔽する。このためインク層3では、開口部3aが形成されていない領域が測定光の透過率が相対的に低い低透過率領域Raとされ、開口部3aが形成された領域が測定光の透過率が低透過率領域Raよりも高い高透過率領域Rbとされている。つまり、インク層3は、測定光の透過率が相対的に低い低透過率領域Raと、測定光の透過率が低透過率領域Raよりも高い高透過率領域Rbとを有している。
【0025】
また、高透過率領域Rbを形成する開口部3aは、各々が水平方向に延伸して設けられており、高さ方向に配列されている。つまり、本実施形態のライダーカバー1においては、高透過率領域Rbが、各々が水平方向に延伸しかつ上下方向に配列されて複数設けられている。
【0026】
このようなインク層3は、透明部材2の正面側から視認可能とされており、本実施形態のライダーカバー1の色や質感等を定めている。なお、インク層3では、高透過率領域Rbを有しているため、本実施形態のライダーカバー1に求められる色や質感等に応じて、任意のインク材料によって形成することができる。
【0027】
保護層4は、透明部材2のライダーユニットLと反対側の面(正面)に対して形成されており、透明部材2の表面に固着されているクリア層である。この保護層4は、透明部材2の表面を保護すると共に、可視光及び測定光を透過する薄い層である。このような保護層4は、例えば、傷付き防止のためのハードコート処理やウレタン系塗料のクリヤコート処理によって形成される。このような保護層4によって、本実施形態のライダーカバー1は、耐傷性や耐候性を有している。
【0028】
このような本実施形態のライダーカバー1を製造する場合には、まず、図3(a)に示すように、透明部材2を形成する。例えば、透明部材2は、射出成形により形成される。次に、図3(b)に示すように、透明部材2の背面に対して、インク層3を形成するための開口部P1を有する版Pを配置する。その後、図3(c)に示すように、版Pの開口部P1にインク材料を配置し、乾燥させることによって、インク層3を形成する。最後に、透明部材2の表面側(車両外側に向く面)に、耐傷性や耐候性等を向上させるためのコート処理を施すことによって、保護層4(図2参照)を形成する。このような工程によって、本実施形態のライダーカバー1が製造される。
【0029】
以上のような本実施形態のライダーカバー1によれば、透明部材2のライダーユニット側に配置されるインク層3を備えている。このため、本実施形態のライダーカバー1によれば、透明部材2を介してライダーユニットLと反対側からインク層3を視認することが可能となる。さらにインク層3の色等を任意に選択することによって、ライダーカバー1に対して任意の色等を付与することができる。また、本実施形態のライダーカバー1によれば、インク層3が、測定光の透過率が相対的に低い低透過率領域Raと、測定光の透過率が低透過率領域Raよりも高い高透過率領域Rbとを有している。このため、低透過率領域Raによってインク層3の色等を明確に外部の者に対して視認させることができ、高透過率領域Rbによって測定光の透過性を確保することができる。したがって、本実施形態のライダーカバー1によれば、測定光を透過可能としつつデザインの自由度を向上させることが可能となる。
【0030】
また、インク層3が測定光を透過する材料によって形成されている場合であっても、開口部3aを形成することによって、開口部3aが形成された領域の測定光の透過率を向上させることができる。インク層3が測定光を透過する材料で形成されていても、その透過率が不十分である場合も考えられる。このため、本実施形態のライダーカバー1によれば、インク層3が測定光を透過する場合であっても、さらに開口部3aを形成することで、インク層3の測定光の透過率を向上させることが可能となる。さらには、開口部3aの開口割合を調整することによって、ライダーカバー1における測定光の透過率を調整し、ライダーカバー1を介して射出される測定光の出力を調整することも可能となる。
【0031】
また、本実施形態のライダーカバー1においては、高透過率領域Rbが、インク層3に形成された開口部3aからなっている。このため、簡易な構成で高透過率領域Rbを形成することが可能となる。
【0032】
また、本実施形態のライダーカバー1においては、高透過率領域Rbが、各々が水平方向に延伸しかつ上下方向に配列されて複数設けられている。一般的に、車両に搭載されるライダーユニットLは、車両の外部にて歩行等する者の頭部よりも低い位置に配置されている。このため、ライダーカバー1は、車両の外部の者から見下ろすように視認される。このとき、高透過率領域Rbが水平方向に延伸していると、高透過率領域Rbが鉛直方向に延伸している場合と比較して、開口部3aの内部が外部の者から視認され難い。このため、本実施形態のライダーカバー1によれば、全域において色の濃淡が発生すること等を防止することが可能となる。
【0033】
また、本実施形態のライダーカバー1においては、透明部材2のライダーユニットLと反対側の面に形成されて透明部材2を保護すると共に可視光及び測定光を透過する保護層4を備えている。このため、本実施形態のライダーカバー1の耐傷性や耐候性を向上させ、本実施形態のライダーカバー1を車両の搭載に適したものとすることが可能となる。
【0034】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0035】
例えば、上記実施形態においては、スクリーン印刷法によってインク層3を形成する構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図4(a)に示すように透明部材2を形成し、次に図4(b)に示すように透明部材2の背面に塗料層5のベタ膜を形成し、次に図4(c)に示すようにレーザ光等によって塗料層5をパターニングして開口部5aを形成する構成を採用することも可能である。このような構成を採用することによって、インク層3に換えて、開口部5aを有する塗料層5(有色層)を備える構成を採用することが可能となる。
【0036】
また、本発明は、上記実施形態のライダーカバー1において、低透過率領域Raと高透過率領域Rbとの割合が異なる複数の領域を有する構成を採用することも可能である。例えば、図5に示すように、ライダーカバー1を、ライダーユニットLの射出部に対向配置される第1領域R1と、ライダーユニットLの受光部に対向配置される第2領域R2と、第1領域R1と第2領域R2とを囲う第3領域R3とに分ける。さらに、図6(a)に示すように、第1領域R1においてはインク層3の開口部3aの幅寸法が第2領域R2よりも狭く設定されているものとする。また、図6(b)に示すように、第2領域R2においてはインク層3の開口部3aの幅寸法が第1領域R1よりも広く設定されているものとする。また、図6(c)に示すように、第3領域R3においてはインク層3が開口部3aのないベタ膜であるものとする。これによって、第3領域R3、第1領域R1、第2領域R2の順に、低透過率領域Raに対する高透過率領域Rbの割合が高くなる。つまり、第3領域R3が低透過率領域Raに対する高透過率領域Rbの割合が最も低く、第2領域R2が低透過率領域Raに対する高透過率領域Rbの割合が最も高くなる。
【0037】
このようなライダーカバー1においては、第3領域R3には測定光及びその反射光を透過する必要がないことから、インク層3をベタ膜とすることによって、外部の者に対してインク層3をより視認しやすくすることができる。また、第1領域R1では、測定光の強度が反射光の強度よりも強いことから、第2領域R2と比較して低透過率領域Raに対する高透過率領域Rbの割合を低くしても、十分な強度の反射光を得ることができる。したがって、第1領域R1によって、測定光の透過を可能としつつ外部の者に対してインク層3をより視認しやすくすることができる。さらに、第2領域R2で、低透過率領域Raに対する高透過率領域Rbの割合を最も高くすることによって、より確実に反射光をライダーユニットLの受光部で受光することが可能となる。
【0038】
なお、ライダーカバー1を上述のように複数の領域に分割する場合には、上部の領域の方を下部の領域よりも、低透過率領域に対する高透過率領域の割合を低くすることが好ましい。一般的にライダーカバー1が車両の外部の者から見下ろすように視認されるため、上部の領域における低透過率領域に対する高透過率領域の割合を低くすることで、外部の者がよりインク層3を視認しやすくすることができる。
【0039】
また、上記実施形態においては、インク層3に開口部3aを形成することによって、インク層3に低透過率領域Raと高透過率領域Rbとを形成する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、測定光を一部透過可能な材料によってインク層3が形成されている場合には、図7に示すように、開口部3aに換えて溝部3bを形成することによっても、インク層3が低透過率領域Raと高透過率領域Rbとを有する構成とすることができる。このような場合には、低透過率領域Raよりも層厚寸法が小さく設定された薄層部3cが高透過率領域Rbとなる。
【0040】
また、上記実施形態においては、低透過率領域Raと高透過率領域Rbとがストライプ状に配列された構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8(a)に示すように、低透過率領域Raが上下左右に複数配列された矩形状の高透過率領域Rbを形成するように格子状とされた構成や、図8(b)に示すように、高透過率領域Rbが円形状とされた構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0041】
1……ライダーカバー、2……透明部材(透明層)、3……インク層(有色層)、3a……開口部、3b……溝部、3c……薄層部、4……保護層、5……塗料層(有色層)、5a……開口部、L……ライダーユニット、P……版、P1……開口部、R1……第1領域、R2……第2領域、R3……第3領域、Ra……低透過率領域、Rb……高透過率領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8