(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872471
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ブレーカプレート、ストランド製造装置、ペレット製造装置及びペレット製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/695 20190101AFI20210510BHJP
B29C 48/40 20190101ALI20210510BHJP
B29B 7/48 20060101ALI20210510BHJP
B29B 7/58 20060101ALI20210510BHJP
B29B 9/06 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
B29C48/695
B29C48/40
B29B7/48
B29B7/58
B29B9/06
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-219294(P2017-219294)
(22)【出願日】2017年11月14日
(65)【公開番号】特開2019-89250(P2019-89250A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2020年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】竹内 貴季
(72)【発明者】
【氏名】中村 素惟
【審査官】
今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−321269(JP,A)
【文献】
特開2006−312242(JP,A)
【文献】
特開2017−179259(JP,A)
【文献】
特開平10−235713(JP,A)
【文献】
特開2005−343052(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0048180(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第2004−0021785(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/695
B29C 48/40
B29B 7/48
B29B 7/58
B29B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を混練する二軸のスクリュと、前記スクリュで混練された樹脂から複数のストランドを形成する複数の細孔を備えたダイとの間の樹脂流路に、前記スクリュの先端と対向して配置されるブレーカプレートであって、
前記樹脂が通る少なくとも1つの第1の開口と、前記樹脂が通り前記第1の開口より面積の大きい少なくとも1つの第2の開口とを有し、少なくとも1つの前記第1の開口は、2つの前記スクリュの先端を前記スクリュの中心軸と平行な方向に前記ブレーカプレートに投影して得られる前記ブレーカプレート上の投影領域に位置し、前記第2の開口は前記投影領域の外側の外部領域に位置し、
前記外部領域は、前記スクリュの中心軸と平行な方向からみて、前記中心軸の延長線の前記ブレーカプレートとの交点を中心とする半径Rの円の一部と一致しており、前記半径Rの円の面積に対する前記半径Rの円内における前記第1及び第2の開口の総面積の比をX1、前記半径Rの円と同心の半径R/2の円の面積に対する前記半径R/2の円内における前記第1及び第2の開口の総面積の比をX2としたとき、X2/X1は20〜70%である、ブレーカプレート。
【請求項2】
前記ブレーカプレートは前記樹脂流路の中心線と直交する向きで配置されており、前記樹脂流路の前記ブレーカプレートの入口における流路面積に対する前記第1及び第2の開口の総面積の比が20〜90%以下であり、且つ、前記第1の開口の面積に対する前記第2の開口の面積の比が1.2〜25である、請求項1に記載のブレーカプレート。
【請求項3】
前記投影領域には複数の前記第1の開口だけが設けられ、前記外部領域には複数の前記第2の開口だけが設けられている、請求項1または2に記載のブレーカプレート。
【請求項4】
樹脂を混練するスクリュと、前記スクリュで混練された樹脂から複数のストランドを形成する複数の細孔を備えたダイとの間の樹脂流路に、前記スクリュの先端と対向して配置されるブレーカプレートであって、
前記樹脂が通る少なくとも1つの第1の開口と、前記樹脂が通り前記第1の開口より面積の大きい少なくとも1つの第2の開口とを有し、少なくとも1つの前記第1の開口は、前記スクリュの先端を前記スクリュの中心軸と平行な方向に前記ブレーカプレートに投影して得られる前記ブレーカプレート上の投影領域に位置し、前記第2の開口は前記投影領域の外側の外部領域に位置し、
前記投影領域には複数の前記第1の開口だけが設けられ、前記外部領域には少なくとも1つの前記第1の開口と複数の前記第2の開口とが設けられている、ブレーカプレート。
【請求項5】
前記第1及び第2の開口は円形である、請求項1から4のいずれか1項に記載のブレーカプレート。
【請求項6】
樹脂を混練する二軸のスクリュと、前記スクリュで混練された樹脂から複数のストランドを形成する複数の細孔を備えたダイとの間の樹脂流路に、前記スクリュの先端と対向して配置されるブレーカプレートであって、
前記樹脂が通る複数の開口を有し、前記複数の開口は、2つの前記スクリュの先端を前記スクリュの中心軸と平行な方向に前記ブレーカプレートに投影して得られる前記ブレーカプレート上の投影領域と、前記投影領域の外側の外部領域とに位置し、前記投影領域の面積に対する前記投影領域における前記開口の総面積の比が、前記外部領域の面積に対する前記外部領域における前記開口の総面積の比より小さい、ブレーカプレート。
【請求項7】
樹脂を混練するスクリュと、前記スクリュで混練された樹脂から複数のストランドを形成する複数の細孔を備えたダイと、請求項1から6のいずれか1項に記載のブレーカプレートと、を有するストランド製造装置。
【請求項8】
請求項7に記載のストランド製造装置と、前記ダイで形成された複数のストランドを同時に切断して、複数のペレットを同時に製造するストランドカッタと、を有する、ペレット製造装置。
【請求項9】
樹脂を二軸のスクリュで混練することと、
前記スクリュで混練された前記樹脂を、少なくとも1つの第1の開口と前記第1の開口より面積の大きい少なくとも1つの第2の開口とを有するブレーカプレートに通すことと、
前記ブレーカプレートを通過した前記樹脂を複数の細孔を備えたダイに導入し、前記複数の細孔から複数のストランドを吐出させることと、
前記複数のストランドを同時に切断して複数のペレットを製造することと、を有し、
前記ブレーカプレートは前記スクリュの先端と対向しており、少なくとも1つの前記第1の開口は、2つの前記スクリュの先端を前記スクリュの中心軸と平行な方向に前記ブレーカプレートに投影して得られる前記ブレーカプレート上の投影領域に位置し、前記第2の開口は前記投影領域の外側の外部領域に位置し、
前記外部領域は、前記スクリュの中心軸と平行な方向からみて、前記中心軸の延長線の前記ブレーカプレートとの交点を中心とする半径Rの円の一部と一致しており、前記半径Rの円の面積に対する前記半径Rの円内における前記第1及び第2の開口の総面積の比をX1、前記半径Rの円と同心の半径R/2の円の面積に対する前記半径R/2の円内における前記第1及び第2の開口の総面積の比をX2としたとき、X2/X1は20〜70%である、ペレット製造方法。
【請求項10】
樹脂をスクリュで混練することと、
前記スクリュで混練された前記樹脂を、少なくとも1つの第1の開口と前記第1の開口より面積の大きい少なくとも1つの第2の開口とを有するブレーカプレートに通すことと、
前記ブレーカプレートを通過した前記樹脂を複数の細孔を備えたダイに導入し、前記複数の細孔から複数のストランドを吐出させることと、
前記複数のストランドを同時に切断して複数のペレットを製造することと、を有し、
前記ブレーカプレートは前記スクリュの先端と対向しており、少なくとも1つの前記第1の開口は、前記スクリュの先端を前記スクリュの中心軸と平行な方向に前記ブレーカプレートに投影して得られる前記ブレーカプレート上の投影領域に位置し、前記第2の開口は前記投影領域の外側の外部領域に位置し、
前記投影領域には複数の前記第1の開口だけが設けられ、前記外部領域には少なくとも1つの前記第1の開口と複数の前記第2の開口とが設けられている、ペレット製造方法。
【請求項11】
樹脂を二軸のスクリュで混練することと、
前記スクリュで混練された前記樹脂を、複数の開口を有するブレーカプレートに通すことと、
前記ブレーカプレートを通過した前記樹脂を複数の細孔を備えたダイに導入し、前記複数の細孔から複数のストランドを吐出させることと、
前記複数のストランドを同時に切断して複数のペレットを製造することと、を有し、
前記複数の開口は、2つの前記スクリュの先端を前記スクリュの中心軸と平行な方向に前記ブレーカプレートに投影して得られる前記ブレーカプレート上の投影領域と、前記投影領域の外側の外部領域とに位置し、前記投影領域の面積に対する前記投影領域における前記開口の総面積の比が、前記外部領域の面積に対する前記外部領域における前記開口の総面積の比より小さい、ペレット製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブレーカプレート、ストランド製造装置、ペレット製造装置及びペレット製造方法に関し、特にブレーカプレートの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂を扱う押出機は多くの場合、最終的に射出成形などで使用されるペレットの製造プロセスで利用される。ペレットは、最も一般的にはストランドカット法で製造される。ストランドカット法では、押出機内の溶融樹脂が押出機の先端に位置するダイの細孔(ダイノズル)から押し出されることによって、樹脂のストランド(樹脂のひも状の成形体)が形成され、このストランドが冷却された後、切断されてペレットが形成される。
【0003】
近年ではペレットの製造にあたり、ペレットサイズが均一に揃えられることが重要視されている。その理由は、射出成形の際に、ペレットサイズにバラつきがあると計量不安定となり、射出機の安定運転が困難となるからである。特許文献1には、ストランド径の検出手段と、ペレット径の制御手段と、回転刃の回転速度の制御手段と、を有するストランド切断装置が開示されている。このようなストランド切断装置を用いることで、サイズが均一なペレットの製造が可能となる。しかし、ダイは一般に複数のストランドを吐出する複数の細孔を有しており、個々の細孔に対して個別のストランド切断装置を設けることは、装置構成やコスト面から現実的ではない。そのため、1つのストランド切断装置で均一なペレットを得るためには、全ての細孔におけるストランドの単位時間当たりの吐出量を均一にすることが重要となる。
【0004】
特許文献2には、細孔の流路方向長さが中央の細孔から端部の細孔へと段階的に小さくなるダイが開示されている。特許文献3には、ダイホルダ内の流路径を中央から端部へ向けて小さくしたダイが開示されている。これらのダイによれば、複数の細孔におけるストランドの吐出量を均一化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−278027号公報
【特許文献2】特許第3950128号明細書
【特許文献3】特開2016−7819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ダイから吐出するストランドの吐出量の幅方向の分布は、溶融樹脂の粘度によって異なる傾向を示す。粘度の高い樹脂はダイの幅方向中央部を流れやすいため、中央部の吐出量が高く、端部の吐出量が低くなる傾向を示す。しかし、例えば二軸押出機から押し出された樹脂をダイでストランドに形成する場合、樹脂によってはダイの中央部と端部との中間部で吐出量が多く、中央部と端部で吐出量が少なくなる傾向を示すことがある。本願発明者は、その理由が、樹脂がスクリュの周りに巻きつくように流れ、スクリュの周辺で樹脂の流速が増加する現象(いわゆるワイゼンベルグ効果)に起因するものであることを見出した。この流速分布の偏りは樹脂の粘弾性挙動のためにダイの入口まで持ち込まれる。換言すれば、スクリュの先端の前方領域でより多くの樹脂が流れ、それ以外の領域では樹脂の流速が相対的に減少するため、上述のような樹脂の吐出量の分布が発生する。
【0007】
特許文献2,3に開示されたダイは中央部における吐出量を抑え、端部における吐出量を高めるものであるため、例えばダイの中央部がスクリュの先端の前方領域にない二軸押出機において、上述のワイゼンベルグ効果に起因して中央部の吐出量が低下する場合、中央部における吐出量がさらに低下する可能性がある。従って、樹脂によっては、特許文献2,3に開示された手法で樹脂の吐出量の分布を均一化することは困難である。
【0008】
本発明は、ストランド製造装置において、ダイからの樹脂の吐出量をスクリュの先端の前方領域とそれ以外の領域との間でより均一化することができる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、樹脂を混練する
二軸のスクリュと、スクリュで混練された樹脂から複数のストランドを形成し吐出する複数の細孔を備えたダイとの間の樹脂流路に、
2つのスクリュの先端と対向して配置されるブレーカプレートが提供される。このブレーカプレートは、樹脂が通る少なくとも1つの第1の開口と、樹脂が通り第1の開口より面積の大きい少なくとも1つの第2の開口とを有している。少なくとも1つの第1の開口は、スクリュの先端をスクリュの中心軸と平行な方向にブレーカプレートに投影して得られるブレーカプレート上の投影領域に位置し、第2の開口は投影領域の外側の外部領域に位置する。
外部領域は、スクリュの中心軸と平行な方向からみて、中心軸の延長線のブレーカプレートとの交点を中心とする半径Rの円の一部と一致しており、半径Rの円の面積に対する半径Rの円内における第1及び第2の開口の総面積の比をX1、半径Rの円と同心の半径R/2の円の面積に対する半径R/2の円内における第1及び第2の開口の総面積の比をX2としたとき、X2/X1は20〜70%である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、少なくとも1つの第1の開口は、ブレーカプレート上の投影領域に位置し、第2の開口は外部領域に位置する。これによって、投影領域を樹脂が流れにくくかつ、外部領域を樹脂が流れやすくなるため、流速分布の偏りが修正され、吐出量の分布が均一化される。従って、本発明によれば、ストランド製造装置において、ダイからの樹脂の吐出量をスクリュの先端の前方領域とそれ以外の領域との間でより均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るペレット製造装置の概念図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るストランド製造装置の部分上視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るブレーカプレートの平面図である。
【
図5】比較例のブレーカプレートを使用したときのストランド吐出量の分布を示す模式図である。
【
図6】比較例のブレーカプレートを使用したときの樹脂の流れを示す概念図である。
【
図7】第1の実施形態と比較例のブレーカプレートを使用したときのストランド吐出量の測定結果である。
【
図8】第1の実施形態のブレーカプレートを使用したときの樹脂の流れを示す概念図である。
【
図9】投影領域の中心からの半径rと開口率との関係を示すグラフである。
【
図10】r=Rとr=R/2における開口率を示すグラフである。
【
図11】本発明の第2及び第3の実施形態に係るブレーカプレートの平面図である。
【
図12】本発明の第4の実施形態に係るブレーカプレートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して本発明のいくつかの実施形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るペレット製造装置1の概念図を、
図2は本発明の第1の実施形態に係るストランド製造装置2のダイ24の近傍の、
図1の方向Aからみた上視図であり、内部の流路を示している。ペレット製造装置1は、ストランド製造装置2と、ストランドSを冷却固化させる冷却槽3と、固化したストランドSを切断してペレットPを製造するストランドカッタ4と、を有している。ストランド製造装置2は、シリンダ21と、シリンダ21に収容され樹脂を混練する二軸のスクリュ22(
図1には1つのスクリュ22だけが示されている)と、スクリュ22を回転駆動するモータ及び減速機23と、スクリュ22で混練された樹脂からストランドSを形成するダイ24と、ダイ24を保持するダイホルダ25と、スクリュ22とダイ24との間、より具体的にはシリンダ21とダイホルダ25との間に設けられたブレーカプレート30と、を有している。ブレーカプレート30は後述するように、少なくとも1つの第1の開口31と、第1の開口31より面積の大きい少なくとも1つの第2の開口32と、を備えている。それぞれの開口31,32にはスクリーンないし金網(図示せず)が張られている。すなわち、ブレーカプレート30の本来的な機能の一つは、樹脂に意図せず混入された異物を除去して製品(ペレットP)に異物を含有させないようにすること、換言すればフィルタとしての機能であり、もう一つの機能はシリンダ21とダイホルダ25との間の流路を形成することである。
【0013】
ダイ24は、スクリュ22で混練された樹脂から複数のストランドSを同時に形成し吐出する複数の細孔24aを備えている。ダイホルダ25はシリンダ21の先端フランジ27にボルト及びナット(図示せず)によって固定されている。先端フランジ27には樹脂が流通する樹脂流路28が設けられている。樹脂流路28はスクリュ22とダイ24、より正確にはスクリュ22とダイホルダ25との間に設けられた、混練された樹脂が流通する流路である。樹脂流路28にはスクリュ22の先端22aが位置している。樹脂流路28の断面積は流路方向にほぼ一定である。ダイホルダ25とダイ24にはブレーカプレート30を介して樹脂流路28と連通する内部流路29が形成されている。内部流路29は、ダイホルダ25に位置し流路幅が下流に向かって一定の比率で増加する部分29aと、ダイホルダ25とダイ24とに跨って配置され、流路幅が一定で、かつ流路幅がダイ24の流路の幅方向W寸法とほぼ一致する部分29bとから構成されている。
【0014】
樹脂のペレットPは以下のようにして製造される。まず、原料樹脂がスクリュ22で混練され、混練された樹脂がスクリュ22の先端22aからダイ24に向けて押し出される。具体的には、スクリュ22で混練された樹脂はまずブレーカプレート30を通されて異物が除去され、続いてダイ24に導入され、複数の細孔24aから複数のストランドSが吐出される。
図1には1本のストランドSだけを示している。複数のストランドSは冷却槽3を通され、冷却固化される。複数のストランドSは次にストランドカッタ4によって同時に所定の長さに切断され、複数のペレットPが同時に製造される。
【0015】
次に、ブレーカプレート30の構成について詳細に説明する。
図3は樹脂流路28と平行な方向からみたブレーカプレート30の平面図である。図中の太い破線は樹脂流路28、より正確にはブレーカプレート30の入口における樹脂流路28の内壁を示している。ブレーカプレート30は樹脂流路28に、スクリュ22の先端22aと対向して配置されている。ブレーカプレート30はシリンダ21の先端フランジ27とダイホルダ25との間に設けられた円形の板状部材であり、主面33(おもて面と裏面、
図2参照)が樹脂流路28の中心線28aと直交する向きで配置されている。シリンダ21の先端フランジ27とダイホルダ25にはそれぞれ、互いに対向する円形の凹部27a,25aが形成されており、ブレーカプレート30はこれらの凹部27a,25aに収容され、先端フランジ27とダイホルダ25との間に保持される。すなわち、ブレーカプレート30の外側部分34は先端フランジ27とダイホルダ25との間に保持され、内側部分35が樹脂流路28に面している。内側部分35の樹脂流路28と直交する断面は、ブレーカプレート30の入口側における樹脂流路28の流路断面と一致している。
【0016】
樹脂流路28は二軸のスクリュ22の配置に対応した流路断面を有している。具体的には、樹脂流路28の流路断面、すなわちブレーカプレート30の内側部分35は、長方形の互いに対向する2辺に当該2辺をそれぞれ直径とする半円が隣接し、全体として両側が凸状に丸められた矩形形状を有している。樹脂流路28のブレーカプレート30の入口における内壁は、スクリュ22の中心軸22bと平行な方向からみて、スクリュ22の中心軸22bの延長線のブレーカプレート30との交点Cを中心としてブレーカプレート30の主面33上に描かれた半径Rの円の一部と一致している。
【0017】
ブレーカプレート30は樹脂が通る少なくとも1つの第1の開口31と、樹脂が通り第1の開口31より面積の大きい少なくとも1つの第2の開口32と、を有している。第1の実施形態では、6個の第1の開口31と16個の第2の開口32が形成されている。ここで、2つのスクリュ22の先端22aをスクリュ22の中心軸22bと平行な方向にブレーカプレート30の主面33上に投影して得られるブレーカプレート30の主面33上の投影をスクリュ22の投影領域36という。ブレーカプレート30上には、2つのスクリュ22に対応して2つの投影領域36が存在している。2つの投影領域36は概ね円形の形状であり、2つの投影領域36の中心を結んだ線は樹脂流路28の幅方向W、すなわち2つのスクリュ22の中心線28aが並ぶ方向と平行である。第1の実施形態では、すべての第1の開口31は投影領域36に位置し、全ての第2の開口32は投影領域36の外部、すなわち外側部分34と内側部分35との境界線37と、投影領域36との間に位置している。この投影領域36の外部を外部領域40という。すなわち、内側部分35は投影領域36と外部領域40とからなっている。第1の開口31と第2の開口32は内側部分35の縦方向中心線35a、すなわち2つの投影領域36の中心Cを結んだ線と直交しかつ2つの中心Cから等距離にある線に関し線対称に配置されている。具体的には、それぞれの投影領域36の中心Cと同心の内側円38上に3つの第1の開口31が120度ピッチで配置され、その外側の投影領域36の中心Cと同心の外側円39上に9つの第2の開口32の一部がほぼ等ピッチで配置されている。2つの第2の開口32は縦方向中心線35a上にある。第1及び第2の開口31,32は円形であるが、楕円形、涙形などであってもよく、平行四辺形、台形、菱形、正方形、長方形、及びその他の多角形であってもよく、これらの多角形の頂点は丸められていてもよい。
【0018】
次に、第1の実施形態の効果について述べる。
図4は、比較例のブレーカプレートの
図3と同様の平面図である。
図4(a)に示す比較例1のブレーカプレート1030は樹脂流路28と同じ断面積の一つの開口1031を備えており、
図4(b)に示す比較例2のブレーカプレート1130は同じ径の複数の開口1131を備えている。比較例2では、開口1131はほぼ均等に分布している。図示は省略するが、第1の実施形態のブレーカプレート30の各開口31,32と、比較例2のブレーカプレート1130の各開口1131にはスクリーンが設置することができる。但し、ここでの評価ではいずれの開口にもスクリーンは設置していない。
図5は比較例1,2のブレーカプレート1030,1130を使用したストランド製造装置におけるストランド吐出量の分布を模式的に示している。分布の傾向は比較例1,2で共通である。吐出状態Aは溶融粘度の高い樹脂に一般的にみられる傾向である。樹脂はダイ24の幅方向W中央を流れ易いため、中央でストランドSの吐出量が多く、端部で吐出量が少なくなっている。吐出状態Bでは端部での吐出量低下に加え、中央部での吐出量の低下がみられ、ストランド吐出量が2山の分布となる。
【0019】
図6は、比較例1,2における吐出状態Bの樹脂の流れを示している。樹脂の粘弾性挙動に起因したワイゼンベルグ効果(樹脂が回転軸に巻きつくように流れる挙動)によってスクリュ22の下流側で、スクリュ22の前方領域の流速が増加し、それ以外の領域の流速が低下している。この流速の偏りはブレーカプレート1030,1130では矯正されず、ダイ24の入口まで引き継がれる。このため、ダイ24の出口におけるストランドSの吐出量分布もスクリュ22の下流での流速分布と近似した傾向を示し、特にダイ24の幅方向W中央部でストランドSの吐出量が大きく低下する。吐出状態Bは、特にスクリュ22の先端22aからダイ24までの距離が短い装置や、溶融樹脂の粘弾性特性における弾性的な特性を強く示す原料によくみられ、吐出量の均一化を図る際に対応を難しくする。すなわち、特許文献2,3に示すダイは中央部のストランドの吐出量を制限するものであるため、中央部の吐出量はさらに低下する可能性がある。従って、特許文献2,3に記載されたダイを用いて吐出量の均一化を図る場合には、ワイゼンベルグ効果に起因したスクリュ22の下流側における流速の2山分布を緩和しておくことが必要となる。
【0020】
図7は第1の実施形態と比較例1,2におけるダイ出口でのストランド吐出量の分布を規準化して示している。
図7は実際の装置に樹脂を供給して、ストランドの吐出量分布を測定したものである。このときの測定条件は以下の通りであり、比較例1,2においては吐出状態Bの吐出量分布が生じている。
・樹脂 ポリプロピレン
・押出機の押出量 30kg/h
・ダイ設定温度 190℃
・吐出時の樹脂温度 190〜200℃
図8は第1の実施形態における樹脂の流れを示している。第1の実施形態はブレーカプレートの構成が異なる点を除き、比較例1,2と同じである。従って、第1の実施形態においても、ブレーカプレート30の入口側では、ワイゼンベルグ効果によりスクリュ22の前方領域の流速が増加し、それ以外の領域の流速が低下する2山の流速分布がみられる。上述の通り、第1の実施形態ではすべての第1の開口31は投影領域36に位置し、全ての第2の開口32は外部領域40に位置している。投影領域36の圧力損失が外部領域40の圧力損失より大きいため、樹脂は投影領域36を流れにくくなり、外部領域40を流れやすくなる。投影領域36を流れる樹脂の流れは第1の開口31によって絞られ、投影領域36の下流側の流量が投影領域36の上流側の流量に対して減少する。このため、スクリュ22の前方領域にあった流速のピークが緩和され、
図7,8に示すようにダイ24の幅方向Wにおける吐出量分布が平坦化される。また、吐出量分布が1山形状となるため、特許文献2,3に記載の方法で端部の吐出量を増加させることで、吐出量分布をさらに平坦化、均一化することが可能となる。
【0021】
樹脂流路28のブレーカプレート30の入口における流路面積に対する第1及び第2の開口31,32の総面積の比は20〜90%以下であることが好ましく、35〜45%程度がさらに好ましく、40%程度がさらに好ましい。第1の開口31の直径に対する第2の開口32の直径の比は1.1〜5が好ましく、1.6〜1.9程度がさらに好ましく、1.75程度がさらに好ましい。開口面積に換算すると、第1の開口31の開口面積に対する第2の開口32の開口面積の比は1.2〜25が好ましく、2.5〜3.6程度がさらに好ましく、3.1程度がさらに好ましい。
【0022】
図9には、スクリュ22の中心線22bの延長線のブレーカプレートとの交点(すなわち、投影領域36の中心C)からの半径rと開口率との関係を示している。ここで、開口率は、ブレーカプレート上の中心Cを中心とする半径rの円の面積に対する半径rの円内の開口の総面積の比である。例えば、開口率50%は半径rの円内において、開口とそれ以外の部分の面積が等しいことを意味する。比較例2のブレーカプレート1130は、すべての開口の大きさが一定であることもあり、半径rに依らず35〜50%の範囲に収まっており、ほぼ一定の開口率となっている。一方、第1の実施形態のブレーカプレート30は、rが小さい円内には第1の開口31のみが含まれ、rが大きくなるにつれて第2の開口32の占める割合が増えるため、rの増加に伴い開口率が増加する。
【0023】
図10には、r=R(流路の最大径)とr=R/2における開口率を示す。
図10には、r=Rにおける開口率X1を100としたときの、r=R/2における開口率X2の大きさも示している。X2/X1(以下、開口率比という)は比較例2のブレーカプレート1130で93%であり、開口率X2は開口率X1に対し7%程度の減少に留まっている。これは、比較例2では開口がrによらずほぼ一定の割合で存在するためである。同一径の開口が均等に配置される他の従来のブレーカプレートにおいても、開口率比は80〜95%程度である。これに対し、第1の実施形態のブレーカプレート30では開口率比は47%であり、開口率X2は開口率X1に対し53%程度減少している。これは、大きな開口が主にrの大きい位置に分布しているためである。
【0024】
図11にはブレーカプレートの他の実施形態を示している。
図11(a)に示す第2の実施形態のブレーカプレート130では、各投影領域36には3つの第1の開口31だけが設けられ、外部領域40には4つの第1の開口31と12個の第2の開口32とが設けられている。
図11(b)に示す第3の実施形態のブレーカプレート230では、各投影領域36には3つの第1の開口31だけが設けられ、外部領域40には8つの第1の開口31と8個の第2の開口32とが設けられている。外部領域40に設けられる第1の開口31の数はこれらに限定されず、少なくとも1つの第1の開口31が設けられればよい。
図10に示すように、開口率比は第2の実施形態で53%(47%程度の減少)、第3の実施形態で60%(40%程度の減少)と大きく低下している。これらの実施形態でも投影領域36に位置する開口の大きさが外部領域40に位置する開口の大きさより小さくされており、第1の実施形態と同様の効果が得られる。開口率比X2/X1は20〜70%が好ましく、40〜60%がより好ましく、47%程度が最良である。
【0025】
以上、本発明をいくつかの実施形態により説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。例えば、上述の実施形態のストランド製造装置は二軸のスクリュを備えた押出機であるが、一軸または多軸の押出機であってもよい。一軸の押出機の場合、投影領域は一つだけであり、且つこの投影領域はダイの幅方向中心に位置するため、通常は吐出状態Aの吐出量分布が得られる。この場合も、本発明を適用してダイの幅方向中心の吐出量を下げることで、より均一な吐出量分布が得られる。また、本実施形態では2種類の開口が設けられているが、開口の大きさはこれに限られず、3つ以上の大きさの開口を設けてもよい。例えば、投影領域から遠くなるにつれてより大きな開口を設けることができる。この場合、3つ以上の開口の中から、第2の開口32が第1の開口31より面積が大きいという制約の中で、第1の開口31と第2の開口32を自由に選ぶことができる。
【0026】
さらに、投影領域36における開口の配置密度が投影領域36の外部における開口の配置密度より小さくすることで同様の効果が得られる。例えば、
図12はこのような構成のブレーカプレートの一例を示している。ブレーカプレート430の複数の開口31は、樹脂流路28に面する内側部分35の全体に渡って配置されている。すなわち、複数の開口31は投影領域36にも、外部領域40にも配置されている。複数の開口31はすべて同じ径を有しているが、互いに異なっていてもよい。投影領域36の面積に対する投影領域36における開口31の総面積の比が、外部領域40の面積に対する外部領域40における開口31の総面積の比より小さい。このような構成によっても本発明の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 ペレット製造装置
4 ストランドカッタ
22 スクリュ
22a スクリュの先端
24 ダイ
24a 細孔
28 樹脂流路
30 ブレーカプレート
31 第1の開口
32 第2の開口
36 投影領域
40 外部領域
P ペレット
S ストランド