特許第6872473号(P6872473)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872473
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】複合材料及びその成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20210510BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20210510BHJP
   C08L 27/18 20060101ALI20210510BHJP
   C08L 27/22 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   C08L83/04
   C08L23/06
   C08L27/18
   C08L27/22
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-238849(P2017-238849)
(22)【出願日】2017年12月13日
(65)【公開番号】特開2019-104848(P2019-104848A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2020年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226932
【氏名又は名称】日星電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 克昭
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 章
(72)【発明者】
【氏名】大高 将徳
(72)【発明者】
【氏名】大橋 史弥
【審査官】 幸田 俊希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−120953(JP,A)
【文献】 特開2001−206579(JP,A)
【文献】 特開2017−171824(JP,A)
【文献】 特開2009−131312(JP,A)
【文献】 特表2004−524403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 19/00
C08L 23/00
C08L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類以上の高分子材料からなる主材料と、
該主材料100重量部に対して5重量部以上100重量部以下の配合比で混練された、1種類以上の有機系フィラーを含む複合材料であって、
該主材料の少なくとも1種類は、シリコーンゴムであって、
該有機系フィラーは、ポリエチレン又はふっ素樹脂であることを特徴とする複合材料。
【請求項2】
該ポリエチレンは、分子量500万以上の超高分子ポリエチレンであることを特徴とする、
請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
該ふっ素樹脂は、接着性を有するふっ素樹脂であって、酸無水物基を有することを特徴とする、
請求項1に記載の複合材料。
【請求項4】
該主材料は、タイプ Aデュロメータ硬さ85以下であることを特徴とする、
請求項に記載の複合材料。
【請求項5】
該有機系フィラーの平均粒径は1μm〜50μmであることを特徴とする、
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項6】
該有機系フィラーは、さらにシランカップリング処理又はプライマー処理により接着性を付与する処理が施されることを特徴とする、
請求項1乃至請求項3、請求項5のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項7】
請求項1乃至請求項のいずれかの1項に記載の複合材料を成型して得られる成形品。
【請求項8】
請求項1乃至請求項のいずれかの1項に記載の複合材料を被覆部材として施される長尺品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の複合材料及びその成形品に関し、詳しくは、医療始め様々な分野で用いられる、低タック性に優れる複合材料、及び、それを用いた成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高分子材料からなる成形品の表面に低タック性や滑り性を発現させるための方法として、いくつか公知技術が知られている。
【0003】
特許文献1では、特定のシリコーンゴムベースコンパウンドを、特定の有機過酸化物とアルキル系有機過酸化物との併用で硬化させた、押出成形用シリコーンゴム組成物が記載されている。
該シリコーンゴム組成物は、特定の有機過酸化物とアルキル系有機過酸化物を併用することで硬化速度が速くなり、ブルーミングや内部気泡の発生を防止、硬化後は低タック性に優れる成形品が得られるとされている。
【0004】
また、特許文献2では、主材料である1種類以上の高分子材料と、特定の配合比、及び、特定の平均粒径の、1種類以上の無機粒子とを含む複合材料が記載されている。
【0005】
特許文献3は、医療用ケーブルであり、ジャケットの上にさらに保護膜として、ふっ素樹脂とシリコーン樹脂が混合された樹脂層を施すことでケーブルのべたつきを軽減、低タック性を付与している。
【0006】
しかし、上記特許文献のように、特定の材料を添加あるいは保護膜として施すことで、一定の低タック性が得られる一方、長期使用においては、添加した材料が脱落する、保護膜が剥離・劣化するなど、低タック性を維持できない問題が発生しており、低タック性の耐久性については依然として改善が切望されている。
【0007】
さらに、特許文献1及び2のように、特定の材料を添加する場合、低タック性が得られる反面、柔軟性が悪化する問題が発生している。ケーブルの被覆材として使用する場合、ケーブルの操作性が悪化するなど、用途に応じて、低タック性及びその耐久性に加えて柔軟性の改善も切望とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−129017号公報
【特許文献2】特開2010−5293号公報
【特許文献3】特開2016−163682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、低タック性及びその耐久性に加え、柔軟性においても優れる複合材料及びその成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の要旨は以下のとおりである。
【0011】
(1)1種類以上の高分子材料からなる主材料と、主材料100重量部に対して5重量部以上100重量部以下の配合比で混練された、1種類以上の有機系フィラーを含む複合材料であって、主材料の少なくとも1種類は、シリコーンゴムであって、有機系フィラーは、ポリエチレン又はふっ素樹脂であることを特徴とする。
(2)有機系フィラーのうちポリエチレンの場合、分子量500万以上の超高分子ポリエチレンであることが好ましい。
(3)有機系フィラーのうちふっ素樹脂の場合、接着性を有するふっ素樹脂であって、酸無水物基を有することが好ましい。
(4)主材料であるシリコーンゴムは、タイプ Aデュロメータ硬さ85以下であることが好ましい。
(5)有機系フィラーの平均粒径は1μm〜50μmであることが好ましい。
(6)有機系フィラーは、さらにシランカップリング処理又はプライマー処理により接着性を付与する処理が施されることが好ましい。
(7)本発明の複合材料を成型して得られる成形品、あるいは、被覆部材として施される長尺品であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の顕著な効果が奏される。
【0013】
(1)本発明の複合材料は、1種類以上の高分子材料からなる主材料に、特定量の有機系フィラーを混練することで、低タック性が発現する。
(2)主材料として、特にシリコーンゴムを用いる場合、低タック性に加え、柔軟性においても優れる。
(3)主材料の硬度が、タイプ Aデュロメータ硬さ85以下である場合、低タック性、柔軟性に加え、さらに長期使用における低タック性の耐久性に寄与する。
(4)有機系フィラーがポリエチレン又はふっ素樹脂である場合、成形時に溶解し主材料に対してアンカー効果が発現することから、長期使用において有機系フィラーの脱落等を防止し、低タック性の耐久性に寄与する。
(5)有機系フィラー及び又は無機系フィラーの平均粒径が1μm〜50μmの場合、成形品の表面に凹凸が発現し、低タック性に寄与する。
)有機系フィラーに、さらにシランカップリング処理又はプライマー処理により接着性を付与する処理を施す場合、主材料との接着性がさらに強固となり、長期使用において有機系フィラーの脱落等を防止し、低タック性の耐久性に寄与する。
)本発明の複合材料の成形品について、特に医療用ケーブルの被覆部材として用いられた場合、低タック性の向上及び柔軟性により操作性に優れる上、耐久性に優れることから低発塵性においても優れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明における複合材料のシート状成形品の表面状態(初期)
図2】本発明における複合材料のシート状成形品の表面状態(耐久性試験後)
図3】従来技術の複合材料のシート状成形品の表面状態(初期)
図4】従来技術の複合材料のシート状成形品の表面状態(耐久性試験後)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の複合材料及びその成形品を得る主たる態様としては、以下のようなものがある。
【0016】
本発明の複合材料は、1種類以上の高分子材料からなる主材料と、
主材料100重量部に対して5重量部以上100重量部以下の配合比で混練された、1種類以上の有機系フィラーを含むことを特徴とする。
主材料、及び、有機系フィラーの配合比は、さらに好ましくは10重量部以上70重量部以下である。柔軟性及び生産性を鑑み、最も好ましくは20重量部以上50重量部以下である。
【0017】
ここで主材料とは、本発明の複合材料のうち、最も含有量が多い材料を示す。
【0018】
主材料は1種類以上の高分子材料であって、少なくとも1種類はシリコーンゴムある。高分子材料は特に限定されず、熱可塑性又は熱硬化性のエラストマー、熱可塑性又は熱硬化性樹脂等の合成樹脂であり、例えば、ふっ素ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリウレタンゴム又は樹脂、ポリオレフィンゴム又は樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ふっ素樹脂等である。柔軟性の観点において熱可塑性又は熱硬化性エラストマーが好ましく、汎用性、生産性、コスト等を鑑みて、シリコーンゴムが最適である。
【0019】
主材料の硬度については特に限定しないが、タイプ Aデュロメータ硬さ85以下が好ましい。硬度はJIS規格K6253に準ずる。
主材料の硬度は、成形品にした際、タック性及び柔軟性に影響する。
タイプ Aデュロメータ硬さは、より好ましくは35〜80であり、最も好ましくは50〜70である。
タイプ Aデュロメータ硬さが35以上では、低タック性に優れる上、柔軟性についても優れる。
タイプ Aデュロメータ硬さが85以下では、柔軟性に優れる上、少ないフィラーでタック性を発現させることができる。
【0020】
有機系フィラーの材質は、1種類以上の熱可塑性樹脂からなることを特徴とし、低タック性の観点において、ポリエチレン又はふっ素樹脂を用いる。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(ポリスチレン等)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンオイル等である。さらに好ましくは、上述の有機フィラーは、分子構造中にヒドロキシ基、カルボニル基、アクリル基、酸無水物基などのうち少なくとも1つの親水性官能基を有し、主材料との接着性に優れる材料である。
【0021】
ポリエチレンについて、超高分子ポリエチレン(分子量500万以上)は特に、ふっ素樹脂と同等レベルの自己潤滑性を有し、低タック性を発現させる材料でるため好ましい。ポリエチレンは分子構造中に親水基を有する場合、主材料の高分子材料との接着性に優れる傾向がある。
【0022】
接着性を有するふっ素樹脂(PFA、ETFE等)は、ふっ素樹脂の中でも、例えば酸無水物基を有する材料である。
接着性を有することで、主材料との接着性が強固となり、長期使用において有機系フィラーの脱落が防止され、低タック性を維持、すなわち耐久性に優れる。
ふっ素樹脂は耐熱性、耐薬品の観点においても他の有機フィラーより優れており好ましいと言える。
【0023】
主材料及び有機系フィラーに加え、必要に応じて補足的に無機系フィラーを含有しても良い。
【0024】
無機系フィラーの材質は特に限定されないが、例えば、タルク(ケイ酸塩鉱物)、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等である。
【0025】
有機系フィラー及び無機系フィラー等の主材料以外の組み合わせについて、有機系フィラーを1種類のみ選択する他、その他のフィラーが多種類選択されても良い。
例えば、有機系フィラーのみ複数種類選択する場合、あるいは、有機系フィラー及び無機系フィラーを1種類ずつ選択する場合など、組み合わせは様々可能である。
【0026】
有機系フィラー及び/又は無機系フィラーの平均粒子径(中位(メジアン)径、モード径及び体積平均径)について特に限定されないが、特に中位(メジアン)径で1μm〜50μmが好ましい。さらに好ましくは、5μm〜30μmであり、表面平滑性の観点を鑑みて、10μm〜20μmが最も好ましい。ここで中位(メジアン)径、モード径及び体積平均径はJIS規格Z8825に記載されたレーザ回折・散乱法を用いた粒子径分布測定装置で測定した値をいう。
平均粒径が1μm以上では、成形時にフィラーが埋没することなく、低タック性が発現する上、表面粗さが小さく、表面平滑性においても優れる。
平均粒径が50μm以下では、表面平滑性に優れる上、低タック性においても優れる。
【0027】
有機系フィラー及び/又は無機系フィラーの平均粒径は、単一粒径である必要はなく、複数の粒径が選択されてもよい。必要な低タック性、用いる材料等に応じて、適宜選択される。
【0028】
粒径のばらつきについては、ばらつきが小さい方が表面平滑性に優れる。
また、粒径のばらつきについては粒子径分布がシャープである方がより表面平滑性に優れる。
【0029】
本発明の複合材料は、さらに好ましくは、接着剤等により接着性を付与する処理がされる。
処理方法は特に限定されないが、シランカップリング処理又はプライマー処理である。
一般的に、シランカップリング処理又はプライマー処理は無機系材料と有機系材料の結合のために用いられるが、本発明は有機系材料同士の結合がなされる。
カップリング処理は特に限定しないが、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、(メタ)アクリル系シランカップリング剤であり、特にビニルメトキシ系シランカップリング剤、ビニルエトキシ系シランカップリング剤が好ましい。
【0030】
接着性を付与する処理、すなわちカップリング処理又はプライマー処理が施されることで、主材料及び有機フィラー、無機フィラーとの接着性が強固となり、長期使用においてフィラーの脱落が防止されるため、低タック性を維持、すなわち耐久性に優れる。
これは、有機系フィラーと、カップリング剤のヒドロキシ基同士が縮合し、カップリング処理された有機系フィラーと主材料とが結合することにより、有機系材料同士の結合を促し、接着性が付与されるものである。
【0031】
本発明の複合材料は、様々な形態に成形され、成形品の構造は特に限定されず、例えば、シートの他、チューブ、電線被覆材等の長尺品である。
医療用ケーブルの被覆部材等の長尺体として用いられる場合、低タック性の向上により操作性に優れる上、長期使用における耐久性に優れることから低発塵性においても優れる。
【0032】
本発明の複合材料の製造方法について特に限定されず、主材料と有機系フィラー及び/又は無機系フィラーは一般的な混練機にて混練される。
フィラーをカップリング処理又はプライマー処理する場合は、混練前に処理されることが好ましい。
主材料とフィラーは、均一に分散されるように混練されることが好ましく、フィラーの凝集を防ぐ目的で分散剤を使用しても良い。
【0033】
また、シリコーンオイル等の粘度が高い材料(例えば、粘度100〜1200Pa・S)を混ぜ、ペースト状にする事で、フィラー表面の凹凸が粘度の高い材料で覆われ隙間が埋まり接着性が向上する。また、フィラーの飛散防止となり作業性が改善され、好ましい。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の複合材料について、実施例を挙げさらに具体的に説明するが、本発明の範囲及び製造方法について、これらに限定されるものではない。
【0035】
実施例及び従来例の構成と評価結果について、表1に示す。
【0036】
実施例及び従来例の構成について、以下に示す。
【0037】
主材料の材質はすべてシリコーンゴムであり、タイプ Aデュロメータ硬さは35〜85である。
【0038】
実施例1乃至15は、有機系フィラーとしてふっ素樹脂を用いる。
本発明の特徴として、ふっ素樹脂は分子構造中に酸無水物基を有し、主材料のシリコーンゴムとの接着性に優れる材料である。
粒径は1〜50μm、含有量は、主材料のシリコーンゴムが100重量%に対し、5〜80重量%である。
【0039】
実施例16乃至21は、有機系フィラーとしてポリエチレンを用いる。
本発明の特徴として、ポリエチレンは分子量500万以上の超高分子量ポリエチレンである。粒径、含有量は表1の通りであり、実施例21は、さらに無機系フィラーを添加した材料である。
【0040】
実施例22乃至26の特徴は、有機系フィラーを添加する前、接着処理を施すものである。
【0041】
比較例1はシリコーンゴム単体の材料であり、従来例1はシリコーンゴムに無機系フィラー(炭酸カルシウム)を添加する材料である。
【0042】
表1の評価項目及び評価方法について、以下に詳細を示す。
【0043】
(1)表面粗さ(表面平滑性)の評価方法について
評価サンプルは、約2cm×約10cmのシート状の成形品である。
評価方法は、JIS規格B0601に準拠し、測定機は、株式会社ミツトヨ製の表面粗さ計(SV3000)を用い、Ra、Rzを測定する。
なお、測定条件は、測定力:0.75mN、スタイラス:5μm/90°、測定長さ:0.1<Ra≦2の場合は4.0mm、2<Ra≦10場合は12.5mmである。
測定データはn=3の平均値である。
判定基準として、◎(Ra:2以下、Rz:12以下)、○(Ra:2〜3、Rz:12〜20)、△(Ra:3〜4、Rz:20以上)、×(Ra:4以上、Rz:20以上)とする。
【0044】
(2)低タック性の評価方法について
評価サンプルは、約3cm×約10cmのシート状の成形品である。
測定機は、新東科学株式会社製の静摩擦測定機(ポータブル摩擦計TYPE:94i−2)にて、硬質クロームメッキ面との静摩擦係数を測定する。
測定データは、n=5の平均値である。
判定基準として、◎(0.3以下)、○(0.3〜0.4)、△(0.4〜0.5)、×(0.5以上)である。
【0045】
(3)低タック持続性(低タック性の耐久性)について
評価サンプルは、約2cm×約10cmのシート状の成形品である。
評価方法として、エタノールを含む不織布にて、往復約130回/分のスピードにて、サンプル表面をふき取り、サンプル表面の表面性が変化した回数を測定する。サンプル表面への押圧力は手で軽く握る程度とする。
判定基準として、◎(5000回以上)、○(1000〜5000回)、△(500〜1000回)、×(500回以下)とする。
【0046】
(4)タイプ Aデュロメータ硬さについて
評価サンプルは、約3cm×約10cm×厚さ2mmのシート状の成形品である。
評価方法は、JIS規格K6253に準拠し、測定機は、高分子計器株式会社製のASKER TYPE Aを用いる。測定条件は、JIS規格K6253デュロメータタイプAを用いる。測定データは、5回の測定値の中央値である。
判定基準について、◎(硬さ65以下)、○(硬さ65〜70)、△(硬さ70〜85)、×(硬さ85以上)である。
【0047】
(表1)
【0048】
表1より、実施例のすべてにおいて、比較例のシリコーンゴムと比べて低タック性に優れ、従来例の無機フィラー(炭酸カルシウム)を添加するシリコーンゴムに比べて、格段に低タック性の耐久性に優れていることが分かる。
【0049】
表1の実施例の評価結果より、
主材料のシリコーンゴムのタイプ Aデュロメータ硬さは高いほど、有機系フィラーの添加量は少なくても低タック性を発現し、特にタイプ Aデュロメータ硬さ60前後が低タック性及び柔軟性の両特性において優れていることが分かる。
【0050】
有機系フィラーについて、実施例に用いた接着性に優れるふっ素樹脂及びポリエチレンは、低タック性及び柔軟性に加え、低タック性の耐久性においても優れることが分かる。
【0051】
有機系フィラーの粒径は小さいほど表面平滑性に優れ、さらに含有量を多く添加すれば、低タック性が発現する。一方、粒径が大きいと少量の添加で低タック性が発現する。
【0052】
有機系フィラーの含有量は多いほど、低タック性に優れる。
【0053】
さらに、接着処理を施すと、低タック持続性(低タック性の耐久性)が非常に優れることが見てとれる。
図1は、本発明の複合材料のシート状成形品の表面状態(実施例22)であり、図2は同成型品の低タック持続性の評価後(5000回ふき取り後)の表面状態であり、表面状態に変化がないことが確認できる。
図3は、従来例1のシート状成形品における表面状態であり、図4は同成形品の低タック持続性の評価後の表面状態であり、30回ほどのふき取りでフィラーが脱落し表面上に細孔や凹凸が多数見られるなど、低タック性の悪化を確認した。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、低タック性及びその耐久性、柔軟性に優れる複合材料及びその成形品であり、医療始め様々な分野で幅広く使用可能である。
図1
図2
図3
図4