特許第6872477号(P6872477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872477
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】格納式車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/30 20060101AFI20210510BHJP
   B60N 2/20 20060101ALI20210510BHJP
   B60N 2/58 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   B60N2/30
   B60N2/20
   B60N2/58
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-252288(P2017-252288)
(22)【出願日】2017年12月27日
(65)【公開番号】特開2019-116247(P2019-116247A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2020年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】荒川 伸二
(72)【発明者】
【氏名】能登 祐二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝嘉
(72)【発明者】
【氏名】大野 真実
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−067265(JP,A)
【文献】 特開平11−075978(JP,A)
【文献】 特開平11−268612(JP,A)
【文献】 特開2014−083954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/90
A47C 7/00 − 7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッションフレーム及び当該クッションフレームを覆う第1表皮を有し、前記クッションフレームが使用位置からシート下方側の格納位置へ移動可能に車両フロアに取り付けられるシートクッションと、
バックフレーム及び当該バックフレームを覆う第2表皮を有し、シート幅方向端部において前記バックフレームの下端部が前記クッションフレームの後部に連結され、前記シートクッションに対して起立させる起立位置と前記シートクッションに倒伏させる倒伏位置との範囲においてシート前後方向へ回転可能とされるシートバックと、
前記下端部と前記後部との連結部位に配設され、前記シートクッションの上部から下部へ貫通する貫通部と、
当該貫通部の上部を覆って一部が前記第1表皮に固定され、前記起立位置と前記倒伏位置との範囲において前記シートバックの回転に応じて形状が柔軟に変化可能とされる蓋部と、を備え
前記蓋部のシート前方側の一部が前記第1表皮に固定され、前記蓋部のシート後方側の他の一部がシート前後方向を長手方向とする帯状とされた弾性体を介して前記下端部の近傍に取り付けられ、
前記弾性体のシート前方側の一端部は前記蓋部の一部と共に前記第1表皮に固定され、かつ、前記弾性体のシート前後方向の中間部は前記蓋部の他の一部に固定されている格納式車両用シート。
【請求項2】
前記蓋部はシート前方側、シート後方側のそれぞれに開口を有する筒状の袋体に形成され、前記弾性体の一端部は前記袋体の内部に配置されている請求項に記載の格納式車両用シート。
【請求項3】
前記後部のシート幅方向外側の側面部位を覆うサイドカバーを更に備え、当該サイドカバーのシート前方側の壁部に前記中間部を支持する支持部が形成されている請求項又は請求項に記載の格納式車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格納式車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両の折畳式シート装置が開示されている。この折畳式シート装置では、クッション格納機構が連結されたクッションフレームを有するシートクッションと、リクライニング機構が連結されたバックフレームを有するシートバックとを備えている。
クッション格納機構は、シートクッションが使用位置にあるとき、クッションフレームを前方上向きの傾斜状態に保持し、シートクッションが格納位置にあるとき、クッションフレームを略水平状態に保持する構成とされている。使用位置は、シートクッションに乗員が着座可能な位置とされている。また、格納位置は、使用位置よりも低く、かつ、後方の位置とされ、車両の室内空間を広げる位置とされている。
一方、リクライニング機構は、バックフレームを起立位置、倒伏位置のそれぞれにおいて保持可能とする構成とされている。シートクッションの使用位置から格納位置への移動に連動してシートバックが起立位置から倒伏位置へ移動する。倒伏位置にあるとき、シートバックは略水平状態に保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−131289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記折畳式シート装置では、クッションフレームとバックフレームとの連結部からシート前方側へ少し延設され、シートクッションの上部から下部に抜ける貫通部が形成されている。貫通部は、平面視においてL字状の切欠き、又は矩形状の開口である。貫通部が形成されると、シートバックが起立位置から倒伏位置へ移動する際に、連結部とシートクッションとの干渉を避けることができる。
しかしながら、上記折畳式シート装置では、比較的大きな形状となる貫通部が形成されているので、貫通部を通して小物がシートクッションの下方へ落ちてしまうことが懸念され、改善の余地があった。さらに、シートクッションに貫通部が形成されているので、見栄えの点においても、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記課題を考慮し、物落ち更に見栄えを改善することができる格納式車両用シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1実施態様に係る格納式車両用シートは、クッションフレーム及びクッションフレームを覆う第1表皮を有し、クッションフレームが使用位置からシート下方側の格納位置へ移動可能に車両フロアに取り付けられるシートクッションと、バックフレーム及びバックフレームを覆う第2表皮を有し、シート幅方向端部においてバックフレームの下端部がクッションフレームの後部に連結され、シートクッションに対して起立させる起立位置とシートクッションに倒伏させる倒伏位置との範囲においてシート前後方向へ回転可能とされるシートバックと、下端部と後部との連結部位に配設され、シートクッションの上部から下部へ貫通する貫通部と、貫通部の上部を覆って一部が第1表皮に固定され、起立位置と倒伏位置との範囲においてシートバックの回転に応じて形状が柔軟に変化可能とされる蓋部と、を備えている。
【0007】
第1実施態様に係る格納式車両用シートは、シートクッションと、シートバックとを含んで構成される。シートクッションはクッションフレーム及びクッションフレームを覆う第1表皮を有し、クッションフレームは使用位置からシート下方側の格納位置へ移動可能に車両フロアに取り付けられる。シートバックはバックフレーム及びバックフレームを覆う第2表皮を有する。シート幅方向端部においてバックフレームの下端部はクッションフレームの後部に連結され、シートバックはシートクッションに対して起立させる起立位置とシートクッションに倒伏させる倒伏位置との範囲においてシート前後方向へ回転可能とされる。
【0008】
ここで、上記格納式車両用シートは、貫通部と、蓋部とを更に備える。貫通部は、バックフレームの下端部とクッションフレームの後部との連結部位に配設され、シートクッションの上部から下部へ貫通する。この貫通部を備えることにより、起立位置から倒伏位置へシートバックを移動させた際に、連結部位とシートクッションとの干渉を効果的に抑制又は防止することができる。
そして、蓋部は貫通部の上部を覆って、蓋部の一部が第1表皮に固定される。この蓋部は、起立位置と倒伏位置との範囲においてシートバックの回転に応じて、形状を柔軟に変化可能とする。このため、シートクッションが使用位置にあるか、格納位置にあるかを問わず、更にシートバックが起立位置にあるか、倒伏位置にあるかを問わず、蓋部を用いて貫通部を塞ぐことができる。これにより、シートクッションの上部から下部へ貫通部を通って、例えば小物等が落ちることを効果的に抑制又は防止することができる。
加えて、貫通部並びに連結部位が蓋部により覆われるので、見栄えを良くすることができる。
【0009】
本発明の第2実施態様に係る格納式車両用シートでは、第1実施態様に係る車両用シートにおいて、蓋部のシート前方側の一部が第1表皮に固定され、蓋部のシート後方側の他の一部が弾性体を介して下端部の近傍に取り付けられている。
【0010】
第2実施態様に係る格納式車両用シートによれば、蓋部のシート前方側の一部はシートクッションの第1表皮に固定される。一方、蓋部のシート後方側の他の一部は弾性体を介してバックフレームの下端部の近傍に取り付けられる。
このため、弾性体を用いて蓋部の他の一部をバックフレーム側に引っ張ることができるので、貫通部の大半をしっかりと覆うことができる。加えて、シートバックが倒伏位置から起立位置に移動した際に、蓋部が引き伸ばされ、蓋部に皺やシート前方側への偏りの発生を減らすことができるので、貫通部並びに連結部位の見栄えを良くすることができる。
【0011】
本発明の第3実施態様に係る格納式車両用シートでは、第2実施態様に係る格納式車両用シートにおいて、弾性体はシート前後方向を長手方向とする帯状とされ、弾性体のシート前方側の一端部は蓋部の一部と共に第1表皮に固定され、かつ、弾性体のシート前後方向の中間部は蓋部の他の一部に固定されている。
【0012】
第3実施態様に係る格納式車両用シートによれば、弾性体はシート前後方向を長手方向とする帯状とされる。そして、弾性体のシート前方側の一端部は蓋部の一部と共に第1表皮に固定され、かつ、弾性体のシート前後方向の中間部は蓋部の他の一部に固定される。
このため、蓋部に弾性体の一端部を重ねることができ、蓋部の補強部材として弾性体を使用することができるので、蓋部の皺や偏りの発生が減らし、蓋部自体の見栄えを良くすることができる。
【0013】
本発明の第4実施態様に係る格納式車両用シートでは、第3実施態様に係る格納式車両用シートにおいて、蓋部はシート前方側、シート後方側のそれぞれに開口を有する筒状の袋体に形成され、弾性体の一端部が袋体の内部に配置されている。
【0014】
第4実施態様に係る格納式車両用シートによれば、蓋部はシート前方側、シート後方側のそれぞれに開口を有する筒状の袋体に形成される。そして、袋体の内部には弾性体の一端部が配置される。
このため、弾性体を蓋部の袋体の内部に隠すことができるので、弾性体を含めた蓋部の見栄えを良くすることができる。
【0015】
本発明の第5実施態様に係る格納式車両用シートでは、第3実施態様又は第4実施態様に係る格納式車両用シートにおいて、後部のシート幅方向外側の側面部位を覆うサイドカバーを更に備え、サイドカバーのシート前方側の壁部に弾性体の中間部を支持する支持部が形成されている。
【0016】
第5実施態様に係る格納式車両用シートによれば、後部のシート幅方向外側の側面部位を覆うサイドカバーが更に設けられる。サイドカバーのシート前方側の壁部には支持部が形成され、この支持部は弾性体の中間部を支持する。
このため、蓋部のシート後方側の垂れ下がりを効果的に抑制又は防止して、蓋部の見栄えを良くすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、物落ち更に見栄えを改善することができる格納式車両用シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施の形態に係る格納式車両用シートをシート前方側、かつ、シート幅方向外側のやや上方側から見た斜視図である。
図2図1に示される格納式車両用シートのシート幅方向中間部を要部として拡大した拡大斜視図である。
図3】乗員が着座可能な使用状態において、図1に示される格納式車両用シートをシート幅方向外側から見た概略的側面図である。
図4】格納状態(折畳状態)において、図1に示される格納式車両用シートの図3に対応する概略側面図である。
図5図1に示される車両の進行方向右側の格納式車両用シートの要部を拡大した図2に対応する拡大斜視図である。
図6】(a)は図5に示されるA−A線で切った要部の拡大断面図、(b)は図5に示されるB−B線で切った要部の拡大断面図である。
図7図5に示される格納式車両用シートをシート幅方向外側から見た拡大側面図である。
図8図5及び図7に示される格納式車両用シートのシート幅方向端部をシート後方側、かつ、シート幅方向内側のやや上方から見た拡大斜視図である。
図9図5に示される格納式車両用シートの更に要部を拡大した拡大斜視図である。
図10図5に示される格納式車両用シートの要部を少しシート後方側へ角度を変えて見た、使用状態における拡大斜視図である。
図11】使用状態から格納状態へ(起立状態から倒伏状態へ)移行開始直後における図10に対応する格納式車両用シートの拡大斜視図である。
図12】使用状態から格納状態へ移行中盤における図10に対応する格納式車両用シートの拡大斜視図である。
図13】使用状態から格納状態へ移行終了直前における図10に対応する格納式車両用シートの拡大斜視図である。
図14】格納状態における図10に対応する格納式車両用シートの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1図14を用いて、本発明が適用された一実施の形態に係る格納式車両用シートを説明する。格納式車両用シートは、ハッチバックタイプ、ワンボックスタイプ等の車両において、車両前後方向に2列のシートを備える場合、2列目のリアシートに採用されている。また、格納式車両用シートは、車両前後方向に3列のシートを備える場合、2列目のミドルシート、3列目のリアシートの少なくとも一方に採用されている。
本実施の形態の説明において、図中、適宜示される矢印FRはシート前方向を示し、矢印INはシート幅方向内側を示し、更に矢印UPはシート上方向を示している。ここで、シート前方向、シート幅方向内側、シート上方向は、いずれも格納式車両用シートが装着される車両の車両前方向、車両幅方向内側、車両上方向のそれぞれに一致されている。
なお、格納式車両用シートの適用方向は本実施の形態に限定されるものではない。
【0020】
[格納式車両用シートの全体の概略構成]
図1に示されるように、本実施の形態に係る格納式車両用シート10は6:4分割可倒式シートとして構成されている。なお、格納式車両用シート10はこの分割割合に限定されるものではなく、例えば5:5分割可倒式シート、4:2:4分割可倒式シート等に適用してもよい。
格納式車両用シート10は、車両の進行方向に向かって着座状態の乗員から見て、シート幅方向右側に配置された右側座席としての第1格納式シート12と、シート幅方向左側に配置された左側座席としての第2格納式シート20とを備えている。さらに、格納式車両用シート10は、第1格納式シート12と第2格納式シート20との間に、第2格納式シート20のシート幅方向右側に一体的に構成された中間座席としての第3格納式シート22を備えている。第1格納式シート12、第2格納式シート20、第3格納式シート22のそれぞれは、シート幅方向に1列に並んで配置され、図示省略の車両のフロアに装着されている。
【0021】
第1格納式シート12は、シートクッション14と、シートクッション14のシート後端部に設けられたシートバック16と、シートバック16の上部に装着されたヘッドレスト18とを含んで構成されている。
シートクッション14は、その骨格を形成する図示省略のクッションフレーム及びクッションフレームの上部に設けられたクッションパッドと、クッションフレーム及びクッションパッドを覆う表皮142(第1表皮)とを備えている。
シートバック16は、その骨格を形成する図示省略のバックフレーム及びバックフレームのシート前方側に設けられたクッションパッドと、シートバックフレーム及びクッションパッドを覆う表皮162(第2表皮)とを備えている。
ヘッドレスト18は、高さが調節可能な調節式、又は高さを調節することができない固定式により構成されている。
なお、クッションフレーム、バックフレームのそれぞれにはクッションパッドを支持する、ばね等の図示省略の弾性体が設けられている。
【0022】
第1格納式シート12はリクライニング機構32を備えている。このリクライニング機構32は、シートバック16の下端部においてシート幅方向を回転軸方向として、シートバック16を回転可能とし、更に乗員の着座に際して適切な位置においてシートバック16の回転角度を調整可能とする構成とされている。この乗員の着座に際して適切な位置は、ここではシートクッション14の座面に対してシートバック16をシート上方側へ起立させる起立位置とされる。
さらに、リクライニング機構32は、後述する格納機構40の一部を構築し、シートバック16をシート前方側へ倒伏させる倒伏位置へ、シートバック16を回転可能とする構成とされている。倒伏位置へ回転させたシートバック16は、シートクッション14の座面に重なり、略水平状態とされる。すなわち、リクライニング機構32は、起立位置と倒伏位置との範囲において、シートバック16を回転可能に構成されている。
【0023】
第2格納式シート20は、第1格納式シート12と同様に、シートクッション24と、シートバック26と、ヘッドレスト28とを含んで構成されている。シートクッション24は、図示省略のクッションフレーム及びクッションパッドと、クッションフレーム及びクッションパッドを覆う表皮242(第1表皮)とを備えている。シートバック26は、図示省略のバックフレーム及びクッションパッドと、バックフレーム及びクッションパッドを覆う表皮262(第2表皮)とを備えている。ヘッドレスト18は調節式又は固定式により構成されている。
【0024】
第3格納式シート22は、第2格納式シート20のシートクッション24と一体に構成されたシートクッション224と、シートバック26と一体に構成されたシートバック226と、ヘッドレスト30とを含んで構成されている。
【0025】
第2格納式シート20には、第3格納式シート22と共通のリクライニング機構34が備えられている。このリクライニング機構34は、リクライニング機構32と同様に、シートバック26の下端部においてシート幅方向を回転軸方向としてシートバック26を回転可能とし、更にシートバック16の回転角度を調整可能とする構成とされている。
さらに、リクライニング機構34は、リクライニング機構32と同様に、後述する格納機構40の一部を構築し、起立位置と倒伏位置との範囲においてシートバック26を回転可能に構成されている。
【0026】
図3には乗員が着座可能な使用状態(使用位置)における第1格納式シート12が示されている。なお、格納式車両用シート10において、第1格納式シート12の格納機構並びに格納動作は第2格納式シート20(及び第3格納式シート22)の格納機構並びに格納動作と同一である。このため、本実施の形態では、第1格納式シート12の格納機構並びに格納動作について説明し、第2格納式シート20の格納機構並びに格納動作の説明は省略する。
図3に示されるように、第1格納式シート12は格納機構40を備えている。格納機構40は、リンク42と、連結部44と、リクライニング機構32とを含んで構成されている。
【0027】
リンク42はシート上下方向を長手方向とする金属製板材又は樹脂製板材により形成されている。リンク42のシート下方側の一端部は、シート前後方向へのスライドシート式の場合、シートレールを摺動するスライダに、シート幅方向を回転軸方向として回転自在に装着されている。なお、シートレールは車両フロアに固定されている。
また、リンク42の一端部は、スライドシート式ではなく固定式の場合、車両フロアに、シート幅方向を回転軸方向として回転自在に装着されている。スライダ、車両フロアのそれぞれは、図3及び図4においてシート支持部46として簡略的に図示されている。
リンク42のシート上方側の他端部は、図示省略のクッションフレームの前部においてシート幅方向を回転軸方向として回転自在に装着されている。
ここで、リンク42はクッションフレームのシート幅方向内側に1本配設されている。なお、リンク42は、例えばクッションフレームのシート幅方向両端に一対に配設されてもよい。
【0028】
連結部44は、シートバック16のシート幅方向端部であって、このシートバック16の下端部において、バックフレームに一体又は一体的に形成され、バックフレームの前面側からシート前方向へ突出して構成されている。連結部44は、シート幅方向から見て、丁度、逆L字形状に形成されている。連結部44の突出方向先端部は、クッションフレームの後部において、シート幅方向を回転軸方向として回転自在に装着されている。
【0029】
リクライニング機構32は、図示省略のリクライニング操作部の操作により、シートクッション14に対してシートバック16をシート前後方向へ回転可能とし、乗員の着座に最適な背もたれの角度にシートバック16の回転角度を調整可能とする。そして、リクライニング機構32は格納機構40の一部を構築する。
【0030】
図4には使用状態から格納状態(格納位置)へ移行された第1格納式シート12が示されている。詳しく説明すると、リクライニング機構32を操作して、シートバック16を起立位置からシートクッション14の座面へ向かって矢印D方向(シート前方側)へ回転移動させる。シートバック16の回転移動に連動して、リンク42の一端部が矢印C方向(シート後方側、かつ、シート下方側)へ回転移動する。シートクッション14の座面にシートバック16が重ね合わされると、この位置がシートバック16の倒伏位置とされ、かつ、シートクッション14及びシートバック16を含む第1格納式シート12の格納位置とされる。格納状態では、使用状態に対して、第1格納式シート12はシート後方側、かつ、シート下方側に格納される。
ここで、起立位置は、乗員の着座に最適な背もたれの角度を調整可能なシートバック16の回転移動の範囲における任意の位置とされている。
【0031】
[貫通部並びに蓋部の構成]
図1図5に示されるように、第1格納式シート12のシートクッション14において、シートクッション14の後部とシートバック16の下端部との連結部位に貫通部50が配設されている。
詳しく説明すると、貫通部50は、格納機構40の連結部44の近傍であって、連結部44よりもシート前方部分において、シートクッション14の後部に配設されている。第1格納式シート12では、シート幅方向内側となる、着座状態の乗員から見て左側に貫通部50が設けられている。貫通部50は、シートクッション14の座面側の上部から車両フロア側の下部に貫通し、平面視においてL字状に切り欠いた形状に形成されている。ここでは、貫通部50の平面形状(開口形状)は、シート幅方向に比し、シート前後方向を長手方向とするL字状とされている。すなわち、シート幅方向において、シートクッション14の後部の幅寸法が、貫通部50を配設することによって、前部の幅寸法に比し、小さくされている。この貫通部50は、シートバック16を起立位置から倒伏位置へ移動した際に、格納機構40の連結部44とシートクッション14の後部との干渉を効果的に抑制又は防止する構成とされている。
【0032】
図1及び図2に示されるように、貫通部50は、第2格納式シート20にも配設されている。つまり、貫通部50は、第2格納式シート20のシートクッション24の後部とシートバック26の下端部との連結部位であって、格納機構40の連結部44の近傍に配設されている。第2格納式シート20では、シート幅方向内側となる、着座状態の乗員から見て右側に貫通部50が設けられている。この貫通部50は、第2格納式シート20と第3格納式シート22とが連結されているので、双方の中間部位に配設され、平面視においてシート前後方向を長手方向とする矩形状の開口を有する貫通孔として形成されている。第2格納式シート20の貫通部50は、第1格納式シート12の貫通部50と同様の機能を有する。
【0033】
第1格納式シート12の説明に戻って、図1図5に示されるように、貫通部50の上部には蓋部60が設けられ、貫通部50は蓋部60によって覆われている。蓋部60の少なくともシート前方側の一部はシートクッション14に固定されている。本実施の形態では、蓋部60は、貫通部50のL字状の切り欠き形状に沿って、シート前方側及びシート側方側に固定され、平面視において貫通部50の形状と一致するL字状に固定されている。
【0034】
詳しく説明すると、図5図6(a)及び図6(b)に示されるように、蓋部60は、袋体62と、弾性体64と、固定具66とを含んで構成されている。
袋体62は、起立位置と倒伏位置との範囲において、シートバック16の回転に応じて形状が柔軟に変化可能な材料を用いて形成されている。ここでは、袋体62は、表皮142と同一の布、革、又は合成革の表皮材を用い、この表皮材をシート幅方向において折り返し二重にして筒状に形成されている。袋体62のシート前後方向の寸法は貫通部50の同一方向の寸法に一致させ、袋体62のシート幅方向の寸法は、折り返しているので、貫通部50の同一方向の寸法の2倍に設定されている。従って、袋体62は、シート前方側に開口62Aを有し、シート後方側に開口62Bを有している。袋体62の開口62Aと開口62Bとの間には空洞62Dが形成されている。シート幅方向において、袋体62の折り返し部位とは反対側(シートクッション14の後部側)は折り返した上下二枚の合わせ部位62Cとされている。
なお、袋体62は、形状が柔軟に変化可能な材料であれば、表皮142と異なる材料、例えば表皮142とのコントラストにより意匠性を向上させる材料を用いてもよい。
【0035】
図6(a)に示されるように、袋体62のシート前方側の開口62A部分は、表皮142の座面側部位と側面側部位とに挟まれ、この部位の表皮142と一緒に縫製S1により固定されている。図6(b)に示されるように、袋体62のシート幅方向側の合わせ部位62C部分は、同様に、表皮142の座面側部位と側面側部位とに挟まれ、この部位の表皮142と一緒に縫製S2により固定されている。また、袋体62の開口62B部分は、図6(a)に示されるように、内側に折り返されて縫製S3により二重構造とされている。
【0036】
図6(a)に示されるように、弾性体64は、蓋部60のシート後方側の他の一部、すなわち袋体62の開口62B部分に固定され、シートバック16の下端部の近傍に取り付けられている。
詳しく説明すると、弾性体64は、シート前後方向を長手方向とする帯状に形成され、袋体62に張力を与える構成とされている。この弾性体64には、グリス等の耐油性を有し、例えばゴム材、ゴムと糸とが編み込まれた複合材等を実用的に使用することができる。弾性体64のシート前方側の一端部64Aは袋体62の内部、すなわち空洞64D内に開口62Aから開口62Bにわたって収納(配置)され、一端部64Aの最もシート前方側端部は袋体62に上下を挟まれて表皮142と一緒に縫製S1により固定されている。ここでは、図6(b)に示されるように、シート幅方向において、弾性体64の幅寸法は、袋体62の幅寸法の2分の1よりも小さい設定とされ、空洞64D内において弾性体64の一端部64Aは2列に並んで収納されている。
なお、空洞64D内において、2列を含めて3列以上の複数列の一端部64Aが収納されると、蓋部60を更に補強することができるが、一端部64Aは1列としてもよい。
【0037】
図6(a)に戻って、弾性体64の一端部64Aのシート後方側端部は開口62B部分において袋体62の上側に縫製S3により固定されている。この縫製S3からシート後方側が弾性体64の中間部64Bとされている。中間部64Bが蓋部60の他の一部に張力を与える主要部とされている。
弾性体64の一端部64Aは袋体62の空洞64D内においてシート幅方向に2列に配置されているが、図5及び図7に示されるように、弾性体64の中間部64Bはシート前後方向を中心軸方向として約90度向きを変えてシート上下方向に2列に配置されている。そして、シート上方側に配置された少なくとも一方の中間部64Bは、リクライニング機構32の回転軸32Aの上方に延設され、この回転軸32Aに支持される構成とされている。ここでは、丁度、上下に配置された中間部64Bの間に回転軸32Aが位置する構成とされている。少なくとも上方の中間部64Bが短いスパンにより回転軸32Aに支持される構成とされているので、蓋部60の水平面が形成し易くなる。
【0038】
図6(a)及び図8に示されるように、弾性体64の中間部64Bよりも更にシート後方側は他端部64Cとされ、他端部64Cには固定具66が固定されている。固定は縫製S4により行われている。固定具66は、ここでは金属製又は樹脂製のフック部材とされている。固定具66は、シートクッション14の後部のシート幅方向外側の側面部位、具体的にはリクライニング機構32の側面部位を覆うサイドカバー70のシート後方側に配設された係合部70Aに係合されて取り付けられている。係合部70Aは、サイドカバー70のシート後方側端からシート幅方向内側へ立設されてシート前後方向を厚さ方向とする後壁縁部に、シート幅方向外側へ向かって凹設された切り欠き状に形成されている。固定具66が係合部70Aに係合されることにより、固定具66はしっかりと取り付けられ、固定具66のシート上下方向のずれを防止することができる。
なお、本実施の形態では、固定具66により固定する方法に限定されるものではなく、例えば、弾性体64の他端部64Cをバックフレーム側に縛り付けてもよい。
【0039】
さらに、図9に示されるように、サイドカバー70のシート前方側端からシート幅方向内側へ向かって立設されてシート前後方向を厚さ方向とする前壁縁部に、シート幅方向外側へ向かって凹設された切り欠き状の支持部70Bが配設されている。
ここでは、支持部70Bは、シート幅方向に2列に並んだ状態において弾性体64の中間部64Bを支持可能な、シート前後方向から見て、シート幅方向を長手方向とする矩形状に形成されている。これにより、弾性体64の中間部64Bが袋体62の近傍において支持されるので、蓋部60の水平面が形成し易くなる。
【0040】
なお、第1格納式シート12の貫通部50並びに蓋部60の構成は、図1及び図2に示される第2格納式シート20の貫通部50並びに蓋部60の構成と同一又は実質的に同一であるので、重複する説明は省略する。
【0041】
[本実施の形態の作用及び効果]
本実施の形態に係る格納式車両用シート10の第1格納式シート12は、図1に示されるように、シートクッション14と、シートバック16とを含んで構成される。シートクッション14はクッションフレーム及びクッションフレームを覆う表皮142を有し、クッションフレームは使用位置からシート下方側の格納位置へ移動可能に車両フロアに取り付けられる。シートバック16はバックフレーム及びバックフレームを覆う表皮162を有する。図3に示されるように、シート幅方向端部においてバックフレームの下端部はクッションフレームの後部に連結される。そして、図3及び図4に示されるように、シートバック16は、シートクッション14に対して起立させる起立位置とシートクッション14に倒伏させる倒伏位置との範囲において、シート前後方向へ回転可能とされる。
【0042】
ここで、上記第1格納式シート12は、図1図2及び図5に示されるように、貫通部50と、蓋部60とを更に備える。貫通部50は、バックフレームの下端部とクッションフレームの後部との連結部位(連結部44の近傍)に配設され、シートクッション14の上部から下部へ貫通する。この貫通部50を備えることにより、起立位置から倒伏位置へシートバック16を移動させた際に、連結部位、具体的には連結部44とシートクッション14との干渉を効果的に抑制又は防止することができる。
【0043】
そして、蓋部60は貫通部50の上部を覆って、蓋部60の一部が表皮142に固定される。この蓋部60は、起立位置と倒伏位置との範囲においてシートバック16の回転に応じて、形状を柔軟に変化可能とする。
【0044】
詳しく説明すると、図10に示される第1格納式シート12では、シートクッション14は乗員が着座可能な使用位置(使用状態)にあり、シートバック16は起立位置にある。このとき、貫通部50は蓋部60によりしっかりと覆われている。
図11には、第1格納式シート12において、使用位置から格納位置(格納状態)への開始直後の状態が示されている。シートクッション14は、図3及び図4に示される格納機構40によりシート下方側、かつ、シート後方側へ移動を開始する。この移動に対応して、シートバック16は起立位置から倒伏位置へ移動を開始する。このとき、貫通部50を覆う蓋部60のシート後方側の他端部は連結部44に若干押されるが、蓋部60の形状は柔軟に変形する。
図12には、第1格納式シート12において、使用位置から格納位置への移動中盤の状態が示されている。シートクッション14は、更にシート下方側、かつ、シート後方側へ移動し続ける。この移動に対応して、シートバック16は起立位置から倒伏位置への移動中盤まで移動する。このとき、貫通部50を覆う蓋部60のシート後方側の他端部は連結部44にかなり押され、蓋部60の形状が少し変形するが、蓋部60は柔軟に変形する。
図13には、第1格納式シート12において、格納位置の直前の状態が示されている。シートクッション14は、更にシート下方側、かつ、シート後方側へ移動し続ける。この移動に対応して、シートバック16は倒伏位置の直前まで移動する。このとき、貫通部50を覆う蓋部60のシート後方側の他端部は連結部44にかなり押され、蓋部60の形状が大きく変形するが、蓋部60は柔軟に変形する。
そして、図14には、第1格納式シート12において、格納位置の状態が示されている。シートクッション14は、シート下方側、かつ、シート後方側への移動を完了する。この移動の完了に対応して、シートバック16は倒伏位置への移動を完了する。このとき、貫通部50を覆う蓋部60のシート後方側の他端部は連結部44に最大限に押され、蓋部60の形状が最も大きく変形するが、蓋部60は柔軟に変形する。
なお、シートクッション14の格納位置から使用位置への移動、シートバック16の倒伏位置から起立位置への移動は、図10図14を用いて説明した動作に対して逆の動作になる。
【0045】
このため、シートクッション14が使用位置にあるか、格納位置にあるかを問わず、更にシートバック16が起立位置にあるか、倒伏位置にあるかを問わず、蓋部60を用いて貫通部50を常時塞ぐことができる。これにより、シートクッション14の上部から下部へ貫通部50を通って、例えば小物等が落ちることを効果的に抑制又は防止することができる。
加えて、貫通部50並びに連結部位が蓋部60により覆われるので、見栄えを良くすることができる。
従って、本実施の形態に係る格納式車両用シート10によれば、物落ち更に見栄えを改善することができる。
【0046】
また、本実施の形態に係る格納式車両用シート10では、図2図5及び図6(a)に示されるように、蓋部60のシート前方側の一部はシートクッション14の表皮142に固定される。一方、図5図6(a)、図7及び図8に示されるように、蓋部60のシート後方側の他の一部は弾性体64を介してバックフレームの下端部の近傍に取り付けられる。
このため、弾性体64を用いて蓋部60の他の一部をバックフレーム側に引っ張ることができるので、貫通部50の大半をしっかりと覆うことができる。加えて、シートバック16が倒伏位置から起立位置に移動した際に、蓋部60が引き伸ばされ、蓋部60に皺やシート前方側への偏りの発生を減らすことができるので、貫通部50並びに連結部位の見栄えを良くすることができる。
【0047】
さらに、本実施の形態に係る格納式車両用シート10では、図6(a)及び図6(b)に示されるように、弾性体64はシート前後方向を長手方向とする帯状とされる。そして、弾性体64のシート前方側の一端部64Aは蓋部60の一部と共に表皮142に固定され、かつ、弾性体64の中間部64Bは蓋部60の他の一部に固定される。
このため、蓋部60に弾性体64の一端部64Aを重ねることができ、蓋部60の補強部材として弾性体64を使用することができるので、蓋部60の皺や偏りの発生を減らすことかでき、蓋部60自体の見栄えを良くすることができる。
【0048】
また、本実施の形態に係る格納式車両用シート10では、図6(a)に示されるように、蓋部60はシート前方側に開口62A、シート後方側に開口62Bを有する筒状の袋体62に形成される。そして、袋体62の内部には弾性体64の一端部64Aが配置される。
このため、図5に示されるように、弾性体64を蓋部60の袋体62の内部に隠すことができるので、弾性体64を含めた蓋部60の見栄えを良くすることができる。
【0049】
さらに、本実施の形態に係る格納式車両用シート10では、図9に示されるように、シートクッション14の後部のシート幅方向外側の側面部位を覆うサイドカバー70が更に設けられる。サイドカバー70のシート前方側の壁部には支持部70Bが形成され、この支持部70Bは弾性体64の中間部64Bを支持する。
このため、蓋部60のシート後方側の垂れ下がりを効果的に抑制又は防止して、蓋部60の見栄えを良くすることができる。
【0050】
上記格納式車両用シート10により得ることができる作用及び効果は、第2格納式シート20においても同様に得られる。
【0051】
[上記実施の形態の補足説明]
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
例えば、上記実施の形態では、リクライニング機構を備えた格納式車両用シートについて説明したが、本発明は、リクライニング機構を備えていない、シートバックの起立位置が固定された格納式車両用シートに適用可能である。この場合、シートバックには、起立位置に固定或いは解除する機構が配設されている。
また、本発明は、シートクッションの収納位置をシート下方側、かつ、シート前方側とする格納式車両用シートにも適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 格納式車両用シート
12 第1格納式シート
14、24 シートクッション
16、26 シートバック
20 第2格納式シート
22 第3格納式シート
40 格納機構
50 貫通部
60 蓋部
62 袋体
64 弾性体
66 固定具
70 サイドカバー
70B 支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14