(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を
図1〜
図7を参照しつつ説明する。なお、本実施の形態では、ホイール式作業車両の一例としてホイールショベルを例示して説明するが、自走するための車輪を有する、例えば、ホイールローダのようなホイール式作業車両であればホイールショベル以外にも本発明を適用することも可能である。
【0010】
図1は、本実施の形態に係るホイール式作業車両の一例であるホイールショベルの外観を模式的に示す側面図である。また、
図2は、ホイールショベルに搭載される油圧回路システムの一例を模式的に示す図である。
【0011】
図1及び
図2において、ホイールショベル201は、下部走行体202と、下部走行体202の上部に回転可能に搭載された上部旋回体203と、フロント作業機204とを備えている。
【0012】
フロント作業機204は、その基端を上部旋回体203に回動可能に結合されたブーム211と、ブーム211の基端とは異なる端部に回動可能に結合されたアーム212と、アーム212の先端に回動可能に結合されたバケット213とを備えており、ブーム211、アーム212、及びバケット213は、それぞれ、油圧アクチュエータであるブームシリンダ214、アームシリンダ215、及びバケットシリンダ216により駆動される。
【0013】
下部走行体202は、前輪205と後輪206とを備えており、後輪206が油圧アクチュエータである可変容量型の走行油圧モータ3により駆動されることによって走行動作を行う。
【0014】
上部旋回体203はいわゆるキャビンタイプの運転室209と、上部旋回体203の運転室209以外の大部分を覆う外装カバー210とを備えている。
【0015】
外装カバー210の内部には、油圧回路システムとして、原動機であるエンジン1、エンジン1により駆動される可変容量型のメイン油圧ポンプ2やパイロットポンプ7、メイン油圧ポンプ2から各油圧アクチュエータ(
図2では走行油圧モータ3のみを例示する)に油路4a,4bを介して供給される圧油の方向及び流量を制御するコントロールバルブ4、コントロールバルブ4やメイン油圧ポンプ2のレギュレータ2aに入力される制御圧を油圧回路システムの駆動に係る各制御圧(走行操作圧を含む)をそれぞれ必要に応じて切り換える信号制御弁5などが搭載されている。なお、本実施の形態においては、ホイールショベル201の走行時であって、コントロールバルブ4やメイン油圧ポンプ2のレギュレータ2aに走行操作圧が入力される場合が想定されるが、油圧回路システムの設計に応じて他の制御圧が入力される可能性を排除するものではない。
【0016】
また、油圧回路システムとして、コントロールバルブ4に入力される走行操作圧(第一の走行操作圧)を運転者の操作によって生成する走行ペダル8と、コントロールバルブ4に入力される走行ペダル8とは別の走行操作圧(第二の走行操作圧)を生成する走行操作圧制御用の制御弁6a,6bと、第一の走行操作圧と第二の走行操作圧のうちの大きい方をコントロールバルブ4に走行操作圧として選択的に出力するシャトル弁9と、ホイールショベル201の走行支援制御(所謂、クルーズコントロール)の有効/無効の切り換えや、クルーズコントロールにおける目標走行速度(目標車速VT)などを運転者が設定するためのクルーズコントロール設定スイッチ10(目標車速設定装置)と、ホイールショベル201の全体の動作を制御する制御装置としてのメインコントロールユニット100とが設けられている。走行ペダル8及びクルーズコントロール設定スイッチ10は、運転者が操作可能なように運転室209の内部に配置されている。
【0017】
油圧回路システムの制御弁6a,6bは、メインコントロールユニット100からの制御信号に基づいてクルーズコントロールに係る走行操作圧を生成するものである。制御弁6aは、メインコントロールユニット100からの制御信号(CC_drive_V)に基づいてパイロットポンプ7の吐出圧(パイロット圧)から走行操作圧(第二の走行操作圧)を生成する走行操作圧生成装置であり、制御弁6bは、メインコントロールユニット100からの制御信号(CC_cut_V)に基づいてパイロットポンプ7の吐出圧(パイロット圧)の制御弁6aへの通流/遮断を切り換える補助制御弁である。なお、制御弁6bは、メインコントロールユニット100で遮断が必要であると判断される場合を除いて常に通流側に切り換えられている。油圧回路システムのうち、制御弁6a,6bやクルーズコントロール設定スイッチ10、メインコントロールユニット100などは、ホイールショベル201のクルーズコントロールに係るクルーズコントロール制御システム100Aを構成している。
【0018】
図3は、メインコントロールユニットのクルーズコントロールに係る機能を示す機能ブロック図である。
【0019】
図3において、メインコントロールユニット100は、クルーズコントロールに係る機能部として、クルーズコントロール設定スイッチ10で設定された目標走行速度を示す目標車速設定値とホイールショベル201の走行速度(実速度)を示す車速パルスとに基づいて目標速度を算出する目標速度演算部101と、目標速度演算部で演算された目標速度と車速パルスとに基づいて実速度の目標速度との偏差である車速偏差を算出する車速偏差演算部102と、車速偏差演算部102で演算された車速偏差に基づいて制御弁6aの制御信号(CC_drive_V)を算出する制御信号演算部103と、シャトル弁9の下流に配置された走行操作圧センサ100bにより検出された走行操作圧と車速偏差演算部102で算出された車速偏差とに基づいてエンジン1のスロットル目標開度を算出し、エンジン1のエンジンコントロールユニット(ECU:Engine Control Unit)1aに出力することによってエンジン1の回転数を制御するスロットル演算部104とを有している。
【0020】
目標速度演算部101は、クルーズコントロール設定スイッチ10から目標車速設定値が入力されると、クルーズコントロール状態に移行可能な条件として予め定めた移行条件(例えば、ホイールショベル201の実速度の範囲)を満たしているかどうかを判定し、条件を満たしている場合に目標車速設定値を目標速度として算出する。なお、ここでは、クルーズコントロール設定スイッチ10から入力される目標走行速度の信号がクルーズコントロールを有効に切り換える(起動する)指令信号を兼ねる場合を例示している。また、目標速度演算部101は、クルーズコントロール設定スイッチ10でクルーズコントロールのキャンセルが操作されてクルーズコントロールを無効に切り換える(停止する)指令信号が入力された場合には、目標速度の演算を停止するとともに、メインコントロールユニット100におけるクルーズコントロールを停止する。
【0021】
車速偏差演算部102は、目標速度演算部で演算された目標速度と車速パルスとに基づいて実速度の目標速度との偏差である車速偏差を算出する。ここで、本実施の形態においては、(車速偏差ΔV)=(目標車速VT)−(実車速VA)と定義する。すなわち、例えば、目標車速よりも実車速が遅い場合には車速偏差は正の値をとり、目標車速よりも実車速が早い場合には車速偏差は負の値をとる。
【0022】
図4は、スロットル演算部の処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【0023】
図4において、スロットル演算部104は、目標車速と実車速の差分である車速偏差と予め定めたゲインKPとの積を出力する演算部104aと、車速偏差と予め定めたゲインKIとの積を出力する演算部104bと、演算部104bの出力を積分して出力する積分器104cと、演算部104bの出力と積分器104cの出力との和を演算してスロットル目標開度の第一の候補値とする加算部104dと、予め定めたテーブル(適応表:Adaptive table)を用いて走行操作圧からスロットル目標開度の第二の候補値を算出する演算部104eと、車速偏差が予め定めた閾値Vth以上の場合には加算部104dの演算結果(第一の候補値)をスロットル目標開度としてECU1aに出力し、その他の場合(車速偏差が閾値Vthよりも小さい場合)には演算部104eの演算結果(第二の候補値)をスロットル目標開度としてECU1aに出力する選択部104fとを有している。
【0024】
図5は、制御信号演算部の処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【0025】
図5において、制御信号演算部103は、目標車速と実車速の差分である車速偏差と予め定めたゲインKPとの積を出力する演算部103aと、車速偏差と予め定めたゲインKIとの積を出力する演算部103bと、演算部103bの出力を積分して出力する積分器103cと、演算部103bの出力と積分器103cの出力との和を演算して制御弁6aの制御信号(CC_drive_V)の第一の候補値とする加算部103dと、制御信号演算部103の前回の出力値を第二の候補値として記憶する出力記憶部103eと、車速偏差が予め定めた閾値Vth以上の場合には加算部103dの演算結果(第一の候補値)を制御信号(CC_drive_V)として制御弁6aに出力し、その他の場合(車速偏差が閾値Vthよりも小さい場合)には出力記憶部103eに記憶された前回の出力値(第二の候補値)を制御信号(CC_drive_V)として制御弁6aに出力する選択部103fとを有している。
【0026】
図6は、メインコントロールユニットのクルーズコントロールに係る処理内容を示すフローチャートである。
【0027】
図6において、メインコントロールユニット100は、まず、クルーズコントロールの制御状態であるかどうか、すなわち、目標速度演算部101でクルーズコントロール状態に移行可能であると判定されてクルーズコントロールが起動中になっているかどうかを判定し(ステップS100)、クルーズコントロールが起動状態以外の場合にはクルーズコントロールとしての処理を終了する。
【0028】
また、ステップS100においてクルーズコントロールが起動状態であると判定された場合には、車速偏差判定を行い(ステップS110)、車速偏差が予め定めた閾値Vth以上の場合には、走行操作圧制御を実行し(ステップS112)、車速偏差が予め定めた閾値Vthよりも小さい場合には、エンジン回転数制御を実行して(ステップS111)、処理を終了する。
【0029】
以上のように、本実施の形態におけるクルーズコントロールは、ホイールショベル201の走行速度が予め設定した目標値に追従するように制御するものであり、クルーズコントロール設定スイッチ10(目標車速設定装置)で設定された目標走行速度とホイールショベル201の実速度との差分に基づいて、走行操作信号を制御する走行操作圧制御とエンジン1の回転数を制御するエンジン回転数制御とを選択的に切り換えるものである。
【0030】
図7は、クルーズコントロールの走行操作制御とエンジン回転数制御における制御状態を説明する図である。なお、以下においては車速偏差ΔVが負の場合についても考慮するものとし、車速偏差の絶対値|ΔV|と閾値Vthとに基づいて走行操作圧制御とエンジン回転数制御とを選択的に切り換える場合を考える。
【0031】
図7に示すように、本実施の形態においては、車速偏差の絶対値|ΔV|が閾値Vth以上の場合、すなわち、|ΔV|≧Vthの場合には走行操作圧制御を行い、車速偏差の絶対値|ΔV|が閾値Vthよりも小さい場合、すなわち、|ΔV|<Vthの場合にはエンジン回転数制御を行う。
【0032】
ここで、走行操作制御とは、メインコントロールユニット100からの制御信号に基づいて制御弁6aを制御し、制御弁6aで生成される走行操作圧で駆動されるメイン油圧ポンプ2及びコントロールバルブ4を制御するとともに、走行操作圧に基づいてエンジン1の回転数を制御することによって、制御対象である車速(実車速)を目標値(目標走行速度)に追従させる制御である。
【0033】
すなわち、走行操作圧制御では、メインコントロールユニット100の制御信号演算部103において制御弁6aの制御信号(CC_drive_V)として第一の候補値が選択され、スロットル演算部104ではスロットル目標開度として第二の候補値が選択されて出力される。このとき、
図7に示すように、制御弁6aの出力PTは車速偏差ΔVの増減に従って増減するように変化し、エンジン回転数NENGは走行操作圧PAに追従して変化する。
【0034】
また、エンジン回転数制御とは、メインコントロールユニット100からの制御信号に基づいて制御弁6aを制御し、制御弁6aで生成される走行操作圧で駆動されるメイン油圧ポンプ2及びコントロールバルブ4をクルーズコントロールが起動する直前の状態に維持するよう制御するとともに、車速偏差に基づいてエンジン1の回転数を制御することによって、制御対象である車速(実車速)を目標値(目標走行速度)に追従させる制御である。
【0035】
すなわち、走行操作圧制御では、メインコントロールユニット100の制御信号演算部103において制御弁6aの制御信号(CC_drive_V)として第二の候補値が選択され、スロットル演算部104ではスロットル目標開度として第一の候補値が選択されて出力される。このとき、
図7に示すように、制御弁6aの出力PTは一定となり、エンジン回転数NENGは車速偏差ΔVに追従して変化する。
【0036】
走行操作圧制御とエンジン回転数制御の切換条件である閾値Vthは、油圧系コンポーネントの誤差を許容可能であると判断できる場合の車速偏差、或いは、エンジン回転数制御によってコントロール可能な車速偏差によって決定する。すなわち、閾値Vthは、エンジンの仕様によって決まり、エンジン回転数の変動によって車速を制御可能な範囲に基づいて決定する。例えば、エンジン回転数が1100rpm〜2000rpmの範囲で変化(制御)しうるエンジンを搭載したホイールショベルなどの建設機械(例えば、19トンクラス)では、平坦部の走行におけるエンジン回転数の制御によって車速で±2km/hの範囲を制御することができる。
【0037】
以上のように本実施の形態においては、走行操作圧制御とエンジン回転数制御という制御量の収束性が異なる2種類の制御を用いている。ここで、走行操作圧制御の場合、エンジン、ポンプ及び走行モータ等を駆動することで速度を制御するため、制御の際に動かすコンポーネントが多く、速度制御域も大きくなり、結果として速度偏差が大きい際に迅速に実速度を目標速度に追従させることが可能となる。一方、エンジン回転数制御の場合、速度制御の際に駆動するコンポーネントがエンジンのみなので、速度制御域は走行操作圧制御と比較して小さくなり、速度偏差が小さい場合により正確に目標速度に実速度を追従させることが可能となる。上述したように走行操作圧制御とエンジン回転数制御の状態遷移の条件を適切に設定することにより、より正確なフィードバック制御を行うクルーズコントロール制御を行うことができる。
【0038】
<第1の変形例>
なお、上記の実施の形態においては、車速偏差の絶対値|ΔV|と1つの閾値Vthとの関係に基づいて走行操作圧制御とエンジン回転数制御とを選択的に切り換える場合を例示した。このとき、車速偏差ΔVが負の場合の閾値は(−Vth)であり、車速偏差ΔVが正の場合と負の場合とで閾値の絶対値が同じとなる(すなわち、|Vth|=|―Vth|となる)が、車速偏差ΔVが正の場合と負の場合とで互いに異なる閾値を設定してもよい。すなわち、例えば、車速偏差ΔVが正の場合の閾値(第一の閾値Vth1)と負の場合の閾値(第二の閾値Vth2)とを|Vth1|≠|Vth2|となるように定義し、ΔV≦Vth2、又は、Vth1≦Vth1の場合に走行操作圧制御を行い、Vth2<ΔV<Vth1の場合にエンジン回転数制御を行うように構成してもよい。
【0039】
<第2の変形例>
また、上記の実施の形態においては、車速偏差の絶対値|ΔV|と1つの閾値Vthとの関係に基づいて走行操作圧制御とエンジン回転数制御とを選択的に切り換える場合を例示して説明したが、例えば、車速偏差の絶対値ΔVが増加する場合(すなわち、車速偏差ΔVの時間あたりの変化量(d|ΔV|/dt)が正の場合)と減少する場合(すなわち、車速偏差ΔVの時間あたりの変化量(d|ΔV|/dt)が負の場合)のように油圧系コンポーネントの作動特性が異なる状態毎に閾値を設定するように構成してもよい。
【0040】
図8は、本変形例におけるクルーズコントロールの走行操作制御とエンジン回転数制御における制御状態を説明する図である。また、
図9は、車速偏差と走行操作圧との関係の一例を示す図である。
【0041】
図8に示す例では、エンジン回転数制御を行っている場合であって車速偏差が増加している場合のエンジン回転数制御から走行操作制御に遷移する条件となる閾値Vth2→1(第二の閾値)と、走行操作制御を行っている場合であって車速偏差が減少している場合の走行操作制御からエンジン回転数制御に遷移する条件となる閾値Vth1→2(第一の閾値)とを定義した場合を例示している。
【0042】
このように閾値を設定した場合には、
図9に示すような制御が行われる。すなわち、例えば、車速偏差の絶対値|ΔV|が増加する場合(範囲Bで示す範囲)においては、エンジン回転数制御を行っている場合において車速偏差の絶対値|ΔV|がVth2→1以上になると走行操作圧制御に遷移し、また、車速偏差の絶対値|ΔV|が減少する場合(範囲Aで示す範囲)においては、走行操作圧制御数制御を行っている場合において車速偏差の絶対値|ΔV|がVth1→2よりも小さくなるとエンジン回転数制御に遷移する。
【0043】
以上のように各閾値を設定することにより、
図9の範囲C,Dに示す範囲のようにヒステリシスを持たせた制御を行うことができるので、より精度よく制御ハンチングを抑制することができる。
【0044】
<第3の変形例>
また、上記第2の変形例においても第1の変形例と同様に車速偏差ΔVが正の場合と負の場合とで互いに異なる閾値を設定してもよい。すなわち、車速偏差ΔVが正の場合に、エンジン回転数制御を行っている場合であって車速偏差が増加している場合のエンジン回転数制御から走行操作制御に遷移する条件となる閾値Vth2(第二の閾値)と、走行操作制御を行っている場合であって車速偏差が減少している場合の走行操作制御からエンジン回転数制御に遷移する条件となる閾値Vth1(第一の閾値)とを定義するとともに、車速偏差ΔVが負の場合に、エンジン回転数制御を行っている場合であって車速偏差が減少している場合のエンジン回転数制御から走行操作制御に遷移する条件となる閾値Vth4(第四の閾値)と、走行操作制御を行っている場合であって車速偏差が増加している場合の走行操作制御からエンジン回転数制御に遷移する条件となる閾値Vth3(第三の閾値)とを定義する。これにより、さらに、より精度よく制御ハンチングを抑制することができる。
【0045】
次に上記の各実施の形態の特徴について説明する。
【0046】
(1)上記の実施の形態では、エンジン1と、前記エンジンにより駆動される可変容量型のメイン油圧ポンプ2及びパイロットポンプ7と、前記メイン油圧ポンプから吐出される圧油により駆動される走行油圧モータ3と、前記メイン油圧ポンプから前記走行油圧モータに供給される圧油の方向及び流量を、入力される走行操作圧に基づいて制御するコントロールバルブ4と、前記コントロールバルブに入力される走行操作圧の候補としての第一の走行操作圧を、前記パイロットポンプより吐出される圧油から生成する走行ペダル8とを備えたホイール式作業車両(例えば、ホイールショベル201)において、運転者が前記ホイール式作業車両の目標走行速度を設定する目標車速設定装置(例えば、クルーズコントロール設定スイッチ10)と、
前記目標車速設定装置に前記目標走行速度が設定された場合、前記コントロールバルブに入力される前記走行操作圧の候補として
、前記目標走行速度と前記ホイール式作業車両の実速度とに基づいて、前記第一の走行操作圧とは別に
前記実速度を前記目標速度に追従させるための第二の走行操作圧を
前記パイロットポンプより吐出される圧油から生成する
制御弁6aと、前記第一の走行操作圧と前記第二の走行操作圧のうちの大きい方を前記コントロールバルブに前記走行操作圧として入力するシャトル弁9と、前記目標車速設定装置で設定された前記目標走行速度と前記ホイール式作業車両の実速度との差分に基づいて前記走行操作圧を制御する走行操作圧制御と前記差分に基づいて前記エンジンの回転数を制御するエンジン回転数制御とを選択的に切り換える
とともに、前記実速度よりも前記目標走行速度が大きい場合であって、前記目標走行速度から前記実速度を引いたときの差分が予め定めた第一の閾値以上の場合には前記走行操作圧制御を行い、前記差分が前記第一の閾値よりも小さい場合には前記エンジン回転数制御を行う
制御装置とを備えるものとした。
【0047】
これにより、油圧系コンポーネントの特性に起因する制御ハンチングを抑制することができる。
【0048】
(2)また、上記の実施の形態では、(1)のホイール式作業車両において、前記制御装置は、前記目標走行速度と前記実速度の差分の絶対値が前記第一の閾値以上の場合には前記走行操作圧制御を行い、前記差分の絶対値が前記第一の閾値よりも小さい場合には前記エンジン回転数制御を行うものとした。
【0049】
(3)また、上記の実施の形態では、(1)のホイール式作業車両において、前記制御装置は、
前記第一の閾値とは絶対値が異なる第二の閾値を予め設定し、前記実速度よりも前記目標走行速度が小さい場合に、前記目標走行速度から前記実速度を引いたときの差分
の絶対値が前記第二の閾値
の絶対値よりも
小さい場合には前記エンジン回転数制御を行い、前記差分
の絶対値が前記第二の閾値
の絶対値以上の場合には前記走行操作圧制御を行うものとした。
【0050】
(4)また、上記の実施の形態では、(1)のホイール式作業車両において、前記制御装置は、前記差分の絶対値が前記第一の閾値よりも小さくなった場合には前記エンジン回転数制御に遷移し、前記エンジン回転数制御を行っている場合、かつ、前記差分の絶対値が前記第一の閾値よりも大きい値に設定した第二の閾値よりも小さい場合には前記エンジン回転数制御を行い、前記エンジン回転数制御を行っている場合、かつ、前記差分の絶対値が増加している場合、かつ、前記差分の絶対値が前記第二の閾値以上となった場合には前記走行操作圧制御に遷移し、前記走行操作圧制御を行っている場合、かつ、前記差分の絶対値が前記第一の閾値以上の場合には前記走行操作圧制御を行うものとした。
【0051】
(5)また、上記の実施の形態では、(1)のホイール式作業車両において、前記制御装置は、前記実速度よりも前記目標走行速度が大きい場合、かつ、前記差分が前記第一の閾値よりも小さくなった場合には前記エンジン回転数制御に遷移し、前記実速度よりも前記目標走行速度が大きい場合、かつ、前記エンジン回転数制御を行っている場合、かつ、前記差分が前記第一の閾値よりも大きい値に設定した第二の閾値よりも小さい場合には前記エンジン回転数制御を行い、前記実速度よりも前記目標走行速度が大きい場合、かつ、前記エンジン回転数制御を行っている場合、かつ、前記差分が増加している場合、かつ、前記差分が前記第二の閾値以上となった場合には前記走行操作圧制御に遷移し、前記実速度よりも前記目標走行速度が大きい場合、かつ、前記走行操作圧制御を行っている場合、かつ、前記差分が前記第一の閾値以上の場合には前記走行操作圧制御を行い、前記実速度よりも前記目標走行速度が小さい場合、かつ、前記差分が予め定めた第三の閾値よりも大きくなった場合には前記エンジン回転数制御に遷移し、前記実速度よりも前記目標走行速度が小さい場合、かつ、前記エンジン回転数制御を行っている場合、かつ、前記差分が前記第三の閾値よりも小さい値に設定した第四の閾値よりも大きい場合には前記エンジン回転数制御を行い、前記実速度よりも前記目標走行速度が小さい場合、かつ、前記エンジン回転数制御を行っている場合、かつ、前記差分が増加している場合、かつ、前記差分が前記第四の閾値以下となった場合には前記走行操作圧制御に遷移し、前記実速度よりも前記目標走行速度が小さい場合、かつ、前記走行操作圧制御を行っている場合、かつ、前記差分が前記第三の閾値以下の場合には前記走行操作圧制御を行うものとした。
【0052】
<付記>
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。