【実施例】
【0235】
以下は、本発明を実行するための具体的な実施形態の例である。実施例は、例示目的のためにのみ提供され、いずれにおいても本発明の範囲を限定することを意図しない。使用される数値(例えば、量、温度、等)に関して精度が確保されるよう努めているが、多少の実験誤差及び偏差は、当然許容されるべきである。
【0236】
本発明の実践では、別段に示さない限り、当該分野内の、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、及び薬理学の従来の方法を使用するだろう。かかる技術は、文献において十分に説明されている。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993);A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition);Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989);Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan eds.,Academic Press,Inc.);Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990);Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3
rd Ed.(Plenum Press)Vols A and B(1992)を参照されたい。
【0237】
実施例1:例示的な抗HER2二重特異性抗体及び対照の調製
いくつかの例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(または抗原結合性構築物)及び対照を下記のように調製した。抗体及び対照は、異なる形式にて調製しており、例示的な二重パラトピック形式の代表を
図1に示す。
図1に示す形式のすべてにおいて、ヘテロ二量体Fcを、一方の鎖(鎖A)を黒色で示し、他方(鎖B)を灰色で示し、一方の抗原結合性ドメイン(1)は斜線をかけて示し、他方の抗原結合性ドメイン(2)を白色で示して、図示する。
【0238】
図1Aは、Fab−Fab形式の二重パラトピック抗体の構造を示す。
図1B〜1Eは、scFv−Fab形式の二重パラトピック抗体の生じ得るバージョンの構造を示す。
図1Bでは、抗原結合性ドメイン1はscFvであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン2はFabであり、鎖Bに融合している。
図1Cでは、抗原結合性ドメイン1はFabであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン2はscFvであり、鎖Bに融合している。
図1Dでは、抗原結合性ドメイン2はFabであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン1はscFvであり、鎖Bに融合している。
図1Eでは、抗原結合性ドメイン2はscFvであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン1はFabであり、鎖Bに融合している。
図1Fでは、両方の抗原結合性ドメインはscFvである。
【0239】
以下の変異体の配列を実施例の後にある配列の表において提供する。CDR領域は、Kabat及びChothia法の組み合わせを使用して同定した。領域は、同定のために使用される方法に基づいて多少変動してよい。
【0240】
例示的な抗HER2二重パラトピック抗体
例示的な抗HER2二重パラトピック抗体を、表1に示すように調製した。
(表1)例示的な抗HER2二重パラトピック抗体
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注釈
・EU抗体のナンバリングを参照するKabatでのEUインデックスに従うCH3ナンバリング(Edelman et al.,1969,Proc Natl Acad Sci USA 63:78−85);
・Kabatに従うFabまたは可変ドメインナンバリング(Kabat and Wu,1991;Kabat et al,Sequences of proteins of immunological interest.5th Edition−US Department of Health and Human Services,NIH publication n°91−3242,p647(1991))
・「エピトープを含有するドメイン」=抗原結合性部分が結合するHER2のドメイン;
・「抗体名」=抗原結合性部分が由来する抗体であり、存在するときには野生型と比較して置換を含む;
・「Fab置換」=正確な軽鎖対合を促進するFabにおける置換;
・「CH3配列置換」=ヘテロ二量体Fcの形成を促進する、CH3ドメインにおける置換
【0241】
例示的な抗HER2一価対照抗体
v1040:一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上のトラスツズマブから誘導されたFabであり、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407Vを鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体であり、鎖Bのヒンジ領域は、突然変異C226Sを有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。
【0242】
v630−一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上のトラスツズマブから誘導されたscFvであり、Fc領域は、突然変異L351Y_S400E_F405A_Y407Vを鎖Aに、T366I_N390R_K392M_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体であり;ヒンジ領域は、両方の鎖に突然変異C226S(EUナンバリング)を有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。
【0243】
v4182:一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上のペルツズマブから誘導されたFabであり、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407Vを鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体であり、鎖Bのヒンジ領域は、突然変異C226Sを有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン2に結合する。
【0244】
例示的な抗HER2単一特異性二価抗体対照(フルサイズ抗体、FSA)
v506は、対照として、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において自家産生された野生型抗HER2である。両方のHER2結合性ドメインは、Fab形式でトラスツズマブから誘導され、Fcは、野生型ホモ二量体であり;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。この抗体は、トラスツズマブ類似体とも称される。
【0245】
v792は、IgG1ヒンジを伴う野生型トラスツズマブであり、ここで両方のHER2結合性ドメインは、Fab形式でトラスツズマブから誘導され、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407Vを鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体であり;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。この抗体は、トラスツズマブ類似体とも称される。
【0246】
v4184は、二価抗HER2抗体であり、ここで両方のHER2結合性ドメインは、Fab形式でペルツズマブから誘導され、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407Vを鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体である。抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン2に結合する。この抗体は、ペルツズマブ類似体とも称される。
【0247】
hIgGは、市販の非特異的ポリクローナル抗体対照である(Jackson Immuno Research、#009−000−003)。
【0248】
これらの抗体及び対照(ヒトIgG以外)を以下のようにクローニングし発現させた。抗体重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を、ヒト/哺乳類発現に最適化されたコドンを使用する遺伝子合成を介して構築した。トラスツズマブFab配列は、公知のHER2/neuドメイン4結合性抗体から生成した(Carter P.et al.(1992)Humanization of an anti p185 HER2 antibody for human cancer therapy.Proc Natl Acad Sci 89,4285)。Fcは、IgG1アイソタイプであった。scFv配列は、グリシン−セリンリンカーを使用してトラスツズマブのVH及びVLドメインから生成した(Carter P.et al.(1992)Humanization of an anti p185 her2 antibody for human cancer therapy.Proc Natl Acad Sci 89,4285)。ペルツズマブFab配列は、公知のHER2/neuドメイン2結合性抗体から生成した(Adams CW et al.(2006)Humanization of a recombinant monoclonal antibody to produce a therapeutic her dimerization inhibitor,Pertuzumab.Cancer Immunol Immunother.2006;55(6):717−27)。
【0249】
最終遺伝子産物を、哺乳類発現ベクターPTT5(NRC−BRI、カナダ)へとサブクローニングし、CHO細胞にて発現させた(Durocher,Y.,Perret,S.& Kamen,A.High−level and high−throughput recombinant protein production by transient transfection of suspension−growing CHO cells.Nucleic acids research 30,e9(2002))。
【0250】
CHO細胞を、指数増殖期(1.5〜2百万個の細胞/ml)において、2.5:1のPEI:DNA比で1mg/ml 25kDaポリエチレンイミン水溶液(PEI、polysciences)でトランスフェクトした(Raymond C.et al.A simplified polyethylenimine−mediated transfection process for large−scale and high−throughput applications.Methods.55(1):44−51(2011))。ヘテロ二量体の形成に最適な濃度範囲を決定するために、DNAを、ヘテロ二量体形成を可能にする重鎖(HC−A)、軽鎖(LC)、及び重鎖B(HC−B)の最適なDNA比にてトランスフェクトした(例えば、HC−A/HC−B/LC比=30:30:40(v5019)。トランスフェクトした細胞を5〜6日後に回収し、培養培地は4000rpmで遠心分離した後に収集し、0.45μmフィルターを使用して清澄化した。
【0251】
清澄化した培養培地を、MabSelect SuRe(GE Healthcare)プロテイン−Aカラムにロードし、10カラム体積のpH7.2のPBS緩衝液で洗浄した。抗体を、10カラム体積のpH3.6のクエン酸塩緩衝液で溶出し、抗体を含有するプールした画分をpH11のTRISで中和した。
【0252】
プロテイン−A抗体溶出液を、ゲルろ過(SEC)によりさらに精製した。ゲルろ過については、3.5mgの抗体混合物を1.5mLに濃縮し、Sephadex 200 HiLoad 16/600 200pgカラム(GE Healthcare)に、1mL/分の流速でAKTA Express FPLCを介してロードした。pH7.4のPBS緩衝液を、1mL/分の流速で使用した。精製抗体に対応する画分を収集し、約1mg/mLに濃縮した。
【0253】
異なる分子形式(例えば、v6717、scFv−scFv IgG1;v6903及びv6902 Fab−Fab IgG1;v5019、v7091及びv10000 Fab−scFv IgG1)を有する例示的な抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体を上記のようにクローニングし、発現させ、精製した。
【0254】
抗体純度を定量し、標的ヘテロ二量体タンパク質ならびに生じ得るホモ二量体および/または半抗体および/または誤対合した軽鎖混入物の量を決定するために、LC−MSインタクト質量分析を行った。LC−MSインタクト質量分析は、ADC分子のために使用されるDAR分析計算を除いて、実施例2に記載のように行った。
【0255】
データを表2に示す。表2は、これらの二重パラトピック抗体の発現及び精製が、v6717では所望の生成物の100%を、v6903では所望のヘテロ二量体生成物の91%を、そしてv6902では所望の生成物の62%をもたらしたことを示す。括弧内の数字は、メインピークと+81Daのサイドピークの合計量を示す。このサイドピークは、典型的には、C末端HAタグを含有する変異体(v6903及びv6902など)で検出される。メイン及びサイドピークを加えることで、v6903及びv6903でおおよそ98%及び67%のヘテロ二量体純度が得られる。高いヘテロ二量体純度に基づき、v6903を、scFv−scFv及びFab−scFv形式に対する直接比較のための代表的なFab−Fab抗HER2二重パラトピック変異体と同定した。v6903を、すべての形式比較アッセイに含んだ。
(表2)抗体の発現及び精製
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【0256】
実施例2:例示的な抗HER2二重パラトピック抗体薬物コンジュゲート(ADC)の調製
以下の抗HER2二重パラトピック抗体薬物コンジュゲート(抗HER2二重パラトピック−ADC)を調製した。変異体5019、7091、10000及び506のADCを調製した。これらのADCは以下のように同定される:
v6363(DM1にコンジュゲートしたv5019)
v7148(DM1にコンジュゲートしたv7091)
v10553(DM1にコンジュゲートしたv10000)
v6246(DM1にコンジュゲートしたv506、T−DM1、トラスツズマブ−エムタンシンに対する類似体)
v6249(DM1にコンジュゲートしたヒトIgG)
【0257】
ADCを、マイタンシンへの直接カップリングを介して調製した。実施例1に記載のように、プロテインA及びSECにより精製した抗体(95%を超える純度)を、ADC分子の調製において使用した。ADCを、Kovtun YV,Audette CA,Ye Y,et al.Antibody−drug conjugates designed to eradicate tumors with homogeneous and heterogeneous expression of the target antigen.Cancer Res 2006;66:3214−21に記載の方法に従ってコンジュゲートした。ADCは、LC/MSに決定される及び以下に記載のように、抗体あたり3.0マイタンシノイド分子の平均モル比を有した。
【0258】
ADCコンジュゲーション反応において使用される試薬の詳細は以下のとおりである:コンジュゲーション緩衝液1:50mMリン酸カリウム/50mM塩化ナトリウム、pH6.5、2mM EDTA。コンジュゲーション緩衝液2:50mMコハク酸ナトリウム、pH5.0。ADC製剤緩衝液:20mMコハク酸ナトリウム、6%(w/v)トレハロース、0.02%ポリソルベート20、pH5.0。ジメチルアセトアミド(DMA);10mM SMCCを含むDMA(コンジュゲーション前に調製)、10mM DM1−SHを含むDMA(コンジュゲーション前に調製)、1mM DTNBを含むPBS、1mMシステインを含む緩衝液、20mMコハク酸ナトリウム、pH5.0。UV−VIS分光光度計(Fisher Scientific製Nano drop 100)、PD−10カラム(GE Healthcare)。
【0259】
ADCは、以下のように調製した。出発抗体溶液を、PD−10カラムにロードしたが、これは予め25mLのコンジュゲーション緩衝液1で平衡化し、その後0.5mlコンジュゲーション緩衝液1をロードした。抗体溶出液を収集し、濃度をA
280で測定し、濃度を20mg/mLに調節した。10mM SMCC−DM1溶液を含むDMAを調製した。抗体に対して7.5モル当量のSMCC−DM1を、抗体溶液に加え、DMAを10%v/vの最終DMA体積まで加えた。反応物を短時間混合し、室温にて2時間インキュベートした。第二のPD−10カラムを25mlのコンジュゲーション緩衝液1で平衡化し、抗体−MCC−DM1溶液、その後0.5mlの緩衝液1をカラムに加えた。抗体−MCC−DM1溶出液を収集し、抗体溶液のA
252及びA
280を測定した。抗体−MCC−DM1濃度を算出した(□=1.45mg
−1cm
−1、または217500M
−1cm
−1)。ADCを、高分子量分析のためにSEC−HPLCカラムで分析した(SEC−HPLCカラム TOSOH、G3000−SWXL、7.8mm×30cm、緩衝液、100mMリン酸ナトリウム、300mM塩化ナトリウム、pH7.0、流速:1ml/分)。
【0260】
ADC薬物対抗体比(DAR)を、HIC−HPLCによりTosoh TSK gel Butyl−NPRカラム(4.6mm×3.5mm×2.5mm)を使用して分析した。溶出は、1ml/分で行い、これには、25分間にわたり10〜90%緩衝液B、その後4分間100%緩衝液Bの勾配を使用した。緩衝液Aは、20mMリン酸ナトリウム、1.5M硫酸アンモニウム、pH7.0を含む。緩衝液Bは、20mMリン酸ナトリウム、25%v/vイソプロパノール、pH7.0を含む。
【0261】
ADC薬物対抗体比(DAR)を、LC−MSにより以下の方法により決定した。抗体を、PNGase Fで脱グリコシル化してからLC−MSにロードした。液体クロマトグラフィーをAgilent 1100シリーズHPLCで以下の条件下で実行した:
【0262】
流速:1mL/分をポストカラムでMSのために100uL/分に分流。溶媒:A=0.1%ギ酸を含むddH2O、B=65%アセトニトリル、25%THF、9.9%ddH20、0.1%ギ酸。カラム:2.1×30mm PorosR2。カラム温度:80℃;溶媒も予め加熱。勾配:20%B(0〜3分)、20〜90%B(3〜6分)、90〜20%B(6〜7分)、20%B(7〜9分)。
【0263】
続けて、質量分析(MS)をLTQ−Orbitrap XL質量分析計で以下の条件下で実行した:イオンマックスエレクトロスプレーを使用するイオン化方法。較正及び調整方法:2mg/mL溶液のCsIを10μL/分の流速で注入する。Orbitrapをm/z 2211に調整し、これには自動チューニング機能を使用した(観察された全CsIイオン範囲:1690〜2800)。コーン電圧:40V;チューブレンズ:115V;FT分解能:7,500;走査範囲m/z400−4000;走査遅延:1.5分。データの分子量プロファイルを、ThermoのPromass deconvolutionソフトウェアを用いて生成した。試料の平均DARを、各画分ピークで観察されたDARの関数として決定した(計算式:Σ(DAR×画分ピーク強度)を使用)。
【0264】
表3は、ADC分子の平均DARをまとめる。例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び対照の平均DARは、おおよそ3であった。
(表3)ADCの平均DAR
[この文献は図面を表示できません]
【0265】
実施例3:抗HER2二重パラトピック抗体の発現及びベンチスケール精製
実施例1に記載の抗HER2二重パラトピック抗体(v5019、v7091及びv10000)を、10および/または25L体積にて発現させ、以下のようにプロテインA及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により精製した。
【0266】
清澄化した培養培地を、MabSelect SuRe(GE Healthcare)プロテイン−Aカラムにロードし、10カラム体積のpH7.2のPBS緩衝液で洗浄した。抗体を10カラム体積のpH3.6のクエン酸塩緩衝液で溶出し、抗体を含有するプールした画分を、pH11のトリスで中和した。
【0267】
プロテイン−A抗体溶出液を、ゲルろ過(SEC)によりさらに精製した。ゲルろ過については、3.5mgの抗体混合物を1.5mLに濃縮し、Sephadex 200 HiLoad 16/600 200pgカラム(GE Healthcare)に、AKTA Express FPLCを介して1mL/分の流速でロードした。pH7.4のPBS緩衝液を1mL/分の流速で使用した。精製抗体に対応する画分を収集し、約1mg/mLに濃縮した。精製タンパク質を、実施例2に記載のようにLC−MSによって分析した。
【0268】
10L発現ならびにベンチスケールでのプロテインA及びSEC精製の結果を
図2A及び2Bに示す。
図2Aは、プロテインA精製v5019のSECクロマトグラフを示し、
図2Bは、プロテインAプールした画分、さらにはSEC画分15及び19ならびにプールしたSEC画分16〜18の相対純度を比較する非還元型SDS−PAGEゲルを示す。これらの結果は、抗HER2二重パラトピック抗体が発現されたこと、及びプロテインA及びSECによる精製が純粋なタンパク質試料をもたらしたことを示す。さらなる定量を、UPLC−SEC及びLC−MS分析により行い、実施例4に記載する。
【0269】
25L発現及びベンチスケールでのプロテインA精製の結果を、
図2Cに示す。
図2Cは、プロテインA精製v10000の相対純度を比較するSDS−PAGEゲルを示す。レーンMは、タンパク質マーカーを含有し;レーン1は、還元条件下のv10000を含有し;レーン2は、非還元条件下のv10000を含有する。SDS−PAGEゲルは、v10000が純粋であり、非還元条件下でおおよそ125kDaの補正予測分子量で泳動することを示す。還元条件下では、CH−A重鎖(おおよそ49kDa)及びCH−B重鎖(おおよそ52.5kDa)に相当する2つの重鎖バンドが可視であり;CH−A軽鎖は可視であり、これは、おおよそ23.5kDaの補正予測質量で泳動する。これらの結果は、抗HER2二重パラトピック抗体が発現されること、及びプロテインAによる1ステップ精製が純粋なタンパク質試料をもたらすことを示す。さらなる定量は、UPLC−SEC及びLC−MS分析により行い、実施例4に記載する。
【0270】
実施例4:UPLC−SEC及びLC−MSによる二重パラトピック抗HER2抗体純度の分析
例示的なプロテインA及びSEC精製二重パラトピック抗HER2ヘテロ多量体の純度及び凝集率(%)を、記載の方法によりUPLC−SECにより決定した。
【0271】
UPLC−SEC分析を、30℃に設定したWaters BEH200 SECカラム(2.5mL、4.6×150mm、ステンレス鋼、1.7μm粒子)を使用して0.4ml/分で行った。泳動時間は7分で、注射1回当たりの総体積は2.8mLであり、これは25mMリン酸ナトリウム、150mM酢酸ナトリウム、pH7.1;及び150mMリン酸ナトリウム、pH6.4〜7.1の泳動緩衝液を伴う。吸光度による検出は190〜400nmで促進され、蛍光による検出は280nmで励起し、発光を300〜360nmで収集した。ピーク積分をEmpower 3ソフトウェアによって分析した。
【0272】
プールしたv5019 SEC画分のUPLC−SEC結果を
図3Aに示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体が、プロテインA及びSECクロマトグラフィーによって1%未満の高分子量種を伴って99%を超える純度まで精製されたことを示す。
【0273】
v10000のプールしたプロテインA画分のUPLC−SEC結果を
図3Bに示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体が、プロテインAクロマトグラフィーによって1%未満の高分子量種を伴って96%を超える純度まで精製されたことを示す。
【0274】
例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の純度を、実施例2に記載する方法によって、標準的な条件下でLC−MSを使用して決定した。v5019のプールしたSEC画分のLC−MS分析からの結果を
図4Aに示す。このデータは、例示的な二重パラトピック抗HER2ヘテロ二量体が100%のヘテロ二量体純度を有することを示す。v10000のプールしたプロテインA画分のLC−MS分析からの結果を
図4Bに示す。このデータは、例示的な二重パラトピック抗HER2ヘテロ二量体が、1ステッププロテインA精製後に、98%のヘテロ二量体純度を有することを示す。
【0275】
プロテインAクロマトグラフィーならびに/またはプロテインA及びSECによって精製された抗体を、以下の実施例に記載のアッセイのために使用した。
【0276】
実施例5.プロテインA及びCEXクロマトグラフィーによって精製された二重パラトピック抗HER2抗体の大規模発現及び製造可能性の評価
実施例1に記載の例示的な抗HER2二重パラトピック抗体v5019を25L規模で発現させ、以下のように精製した。
【0277】
抗体を上清から獲得し、その後、記載のプロトコルによるプロテインA精製(MabSelect(商標)樹脂;GE Healthcare)、続く、カチオン交換クロマトグラフィー(HiTrap(商標)SP FF樹脂;GE Healthcare)からなる2ステップ精製方法を行った。
【0278】
CHO−3E7細胞を、オービタルシェーカー(VWR Scientific、ペンシルベニア州チェスター)上、37℃、5%CO2で三角フラスコ(Corning Inc.,マサチューセッツ州アクトン)中、無血清Freestyle CHO発現培地(Invitrogen、米国、カリフォルニア州カールスバッド)中にて、維持した。トランスフェクションの2日前に、細胞を適切な密度で、50L CellBag内に25Lの体積で播種し、これにはWave Bioreactor System 20/50(GE Healthcare Bio−Science Corp)を使用した。トランスフェクションの当日に、DNA及びPEI(Polysciences、ドイツ、エッペルハイム)を、最適な比率で混合し、実施例1に記載の方法を使用して細胞に加えた。6日目に収集した細胞上清をさらなる精製のために使用した。
【0279】
細胞培養ブロスを遠心し、濾過してから、10.0mL/分で、XK26/20(GE Healthcare、スウェーデン、ウプサラ)に充填された30mL Mabselect(商標)樹脂上にロードした。適切な緩衝液で洗浄及び溶出した後に、画分を収集し、1Mトリス−HCl、pH9.0)で中和した。標的タンパク質を、XK16/20(GE Healthcare、スウェーデン、ウプサラ)に充填された20mL SP FF樹脂を介してさらに精製した。MabSelect(商標)精製試料を、20mM NaAC、pH5.5で希釈して、伝導性を5ms/cm未満に調節し、50mMクエン酸(pH3.0)を加え、試料pH値を5.5に調節した。試料を、1mL/分でHiTrap(商標)SP FF樹脂(GE Healthcare)上にロードし、20mM NaACで洗浄した。タンパク質を、1mL/分で、0〜100%の20mM NaAC、1M NaCl、pH5.5、10CVの勾配溶出を使用して溶出した。
【0280】
精製タンパク質を、実施例1に記載のようにSDS−PAGE、及び実施例4に記載の方法によるヘテロ二量体純度に関するLC−MSによって分析した。結果を、
図5A及び5Bに示す。
図5Aは、MabSelect(商標)及びHiTrap(商標)SP FF精製後のv5019のSDS−PAGE結果を示し:レーンMはタンパク質マーカーを含有する;レーン1:還元条件下でのv5019(3μg);レーン2:非還元条件下のv5019(2.5μg)。SDS−PAGEゲルは、v5019が、MabSelect(商標)及びHiTrap(商標)SP FF精製後に相対的に純粋であり、非還元条件下で、おおよそ125kDaの補正予測分子量で泳動することを示す。還元条件下では、CH−A重鎖(おおよそ49kDa)及びCH−B重鎖(おおよそ52.5kDa)に対応する2つの重鎖バンドが可視であり;CH−A軽鎖は可視であり、これは、おおよそ23.5kDaの補正予測質量で泳動する。
【0281】
MabSelect(商標)及びHiTrap(商標)SP FF精製したv5019のLC−MS分析を行って、実施例4に記載の方法を使用してヘテロ二量体純度を決定した。LC−MS分析からの結果を、
図5Bに示す。これらの結果は、MabSelect(商標)及びHiTrap(商標)SP FFを使用するv5019精製が、99%超のヘテロ二量体純度及び少量(1%未満)または検出不可能なホモ二量体または半抗体混入を伴うタンパク質をもたらすことを示す。
【0282】
実施例6:低レベルから高レベルのHER2を発現する細胞系における、対照のBmaxに対する二重パラトピック抗HER2抗体のBmaxの比較
以下の実験を、対照との比較において、様々なレベルのHER2を発現する細胞に結合する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を測定するために行った。使用した細胞系は、SKOV3(HER2 2+/3+)、JIMT−1(HER2 2+)、MDA−MB−231(HER2 0/1+)、及びMCF7(HER2 1+)であった。検査した二重パラトピック抗HER2抗体には、v5019、v7091及びv10000が含まれる。HER2発現(HER2+)細胞に結合する二重パラトピック抗HER2抗体の能力は、下記のように決定され、B
max及び見かけのK
D(平衡解離定数)の具体的な測定を伴った。
【0283】
HER2+細胞の表面への被験抗体の結合をフローサイトメトリーにより決定した。細胞をPBSで洗浄し、1×10
5細胞/100μlでDMEMに再懸濁した。細胞懸濁液100μlを、各微量遠心管内に加え、続いて、10μl/管の抗体変異体を加えた。これらの管を、回転器上、4℃で2時間インキュベートした。微量遠心管を、2分間2000RPMで室温にて遠心し、細胞ペレットを500μl培地で洗浄した。各細胞ペレットを再懸濁し、100μlのフルオロクロム標識された二次抗体を培地中に2μg/試料まで希釈した。試料を、次いで、1時間4℃にて回転器上でインキュベートした。インキュベーション後に、細胞を2分間2000rpmで遠心分離し、培地にて洗浄した。細胞を500μl培地に再懸濁し、5μlヨウ化プロピジウム(PI)を含有する管に濾過し、製造元指示書に従ってBD LSR IIフローサイトメーターで分析した。例示的な二重パラトピック抗HER2ヘテロ二量体抗体及び対照抗体のK
Dを、データ分析及び曲線フィッティングをGraphPad Prismにて行ってFACSにより評価した。
【0284】
結果を
図6A〜6Gに示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091、及びv10000)が、抗HER2 FSA(v506)と比較しておおよそ1.5倍高いBmaxで、HER2+細胞に結合することができることを実証する。
図6A〜6Gにおける結果は、二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091、及びv10000)が、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して同様のBmaxで、HER2+細胞に結合することができることも示す。
【0285】
HER2+SKOV3細胞(HER2 2/3+)での結合結果を、
図6A、6E、ならびに表4及び表5に示す。
図6A及び表4における結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、2種の異なる抗HER2 FSA(v506またはv4184)と比較して、SKOV3細胞への結合においておおよそ1.5倍高いBmaxを表すことを示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して同等のBmaxを表すことも示す。SKOV3への結合についてのv5019の見かけのK
Dは、抗HER2 FSA単独(v506またはv4184)、または2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)のいずれかと比較しておおよそ2〜4倍高かった。
(表4)SKOV3細胞への結合
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【0286】
図6E及び表5における結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、7091、及びv10000)が、2種の異なる抗HER2 FSA(v506またはv4184)と比較して、SKOV3細胞への結合においておおよそ1.5〜1.6倍高いBmaxを表すことを示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、7091、及びv10000)が、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して同等のBmaxを表すことも示す。SKOV3への結合についてのv5019、v7091、v10000、及び2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)の見かけのK
Dは、抗HER2 FSA単独(v506またはv4184)のいずれかと比較しておおよそ2〜3倍高かった。
(表5)SKOV3への結合
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【0287】
JIMT−1細胞系(HER2 2+)における結合曲線を
図6B及び表6に示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、抗HER2 FSA(v506)と比較して、JIMT−1細胞への結合においておおよそ1.5倍高いBmaxを表すことを示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して同等のBmaxを表すことも示す。JIMT−1への結合についてのv5019の見かけのK
Dは、抗HER2 FSA(v506)と比較しておおよそ2倍高く、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して同様であった(おおよそ1.2倍高い)。
(表6)JIMT−1細胞への結合
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【0288】
MCF7細胞系(HER2 1+)における結合曲線を、
図6C、6F、ならびに表7及び8に示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、7091、及びv10000)が、抗HER2 FSA(v506)と比較して、MCF7細胞への結合においておおよそ1.5倍高いBmaxを表すことを示す。
図6Cにおける結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して同等のBmaxを表すことも示す。MCF7への結合についてのv5019の見かけのK
Dは、抗HER2 FSA(v506)及び2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と同様であった。
(表7)MCF7細胞への結合
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図6F及び表8における結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091、及びv10000)が、FSA単一特異性v506と比較しておおよそ1.6〜1.7倍大きいBmaxを表すことを示す。v5019、v7091、及びv10000の見かけのK
Dは、抗HER2 FSA(v506)と同様であった。
(表8)MCF7細胞への結合
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【0289】
MDA−MB−231細胞系(HER2 0/1+)における結合曲線を、
図6D及び表9に示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、抗HER2 FSA(v506)と比較して、MDA−MB−231細胞への結合においておおよそ1.5倍高いBmaxを表すことを示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して同等のBmaxを表すことも示す。MDA−MB−231への結合についてのv5019の見かけのK
Dは、抗HER2 FSA(v506)と比較しておおよそ2.4倍低く、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較しておおよそ1.7倍高かった。
(表9)MDA−MB−231細胞への結合
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【0290】
WI−38肺繊維芽細胞細胞系における結合曲線を、
図6G及び表10に示す。WI−38細胞系は、基底レベルのHER2(HER2 0+、約10,000受容体/細胞)を発現する正常な肺上皮である(Carter et al.1992,PNAS,89:4285−4289;Yarden 2000,HER2:Basic Research,Prognosis and Therapy)。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091、v10000)が、抗HER2 FSA(v506)と比較して、WI−38細胞への結合において同等の細胞表面装飾(Bmax)を呈することを示す;しかしながら、v506への結合が、飽和に達するようには見えず、ゆえにKDを決定することができなかったことに留意されたい。例示的な二重パラトピック抗HER2抗体間での見かけのK
Dは同等であった。
(表10)WI−38細胞への結合
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【0291】
これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体が、HER2 1+、2+、及び3+腫瘍細胞に、抗HER2単一特異性FSAよりもおおよそ1.5〜1.6倍高いレベルで結合することができること、及び例示的な二重パラトピック抗HER2抗体が、HER2 1+、2+、及び3+腫瘍細胞に、異なるエピトープ特異性を有する2種の固有の単一特異性抗HER2 FSAの組み合わせと比較して同等のレベルで結合することができることを示す。これらの結果は、二重パラトピック抗HER2抗体がおおよそ10,000以下のHER2受容体/細胞を発現する基底HER2発現細胞への結合の増加(すなわち、単一特異性抗HER2抗体、v506と比較して)を示さないこと、及びHER2受容体レベルがおおよそ10,000受容体/細胞を超えるときに、二重パラトピック抗HER2抗体への細胞表面結合の増加に関して閾値が生じることを示す。このデータに基づき、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体は、HER2 3+、2+、及び1+腫瘍細胞への細胞表面結合を増加させ得るが、おおよそ10,000受容体以下でHER2受容体の基底レベルを発現する非腫瘍細胞への細胞表面結合は増加させないであろうことが予測されるだろう。
【0292】
実施例7:HER2+細胞の増殖を阻害する二重パラトピック抗HER2抗体の能力
3+及び2+レベルでHER2を発現する細胞の増殖を阻害する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を測定した。実験を、HER2 3+細胞系のBT−474、SKBr3、SKOV3、及びHER2 2+JIMT−1で実施した。二重パラトピック抗HER2抗体のv5019、v7091、及びv10000を検査した。BT−474細胞(200nM抗体);SKOV3、SKBr3、及びJIMT−1細胞(300nM抗体)の増殖を阻害する二重パラトピック抗HER2抗体の能力を下記のように測定した。
【0293】
被験抗体を培地中に希釈し、細胞に10μl/ウェルで、三重で添加した。プレートを3日間37℃でインキュベートした。細胞生存力を、AlamarBlue(商標)(BioSource# dal1100)またはCelltiter−Glo(登録商標)のいずれかを使用して測定し、製造元の指示書に従って吸光度を読み取った。データを未処置対照に対して正規化し、分析をGraphPad prismにて行った。
【0294】
増殖阻害結果を
図7A〜Eに示す。結果の概要を表11A及び11Bに提示する。結果の
図7A〜B及び表11Aは、例示的な抗HER2二重パラトピック(v5019)が、HER2+SKOV3及びBT−474細胞系の増殖阻害が可能であることを示す。
図10Aは、抗HER2二重パラトピック抗体が、抗HER2 FSA(v506)と比較したときに、及び2種の抗HER2 FSA抗体の組み合わせ(v506+v4184)と比較したときに、SKOV3の最大増殖阻害を媒介したことを示す。
(表11A)HER2 3+癌細胞の増殖阻害
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【0295】
図7C〜E及び表11Bの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019、v7091、及びv10000)がHER2 3+SKBR3、HER2 2+/3+SKOV3、及びHER2 2+JIMT−1腫瘍細胞系の増殖を阻害することができることを示す。
図7Cは、抗HER2二重パラトピック抗体v7091及びv10000が、HER2 3+SKBr3乳房腫瘍細胞の最大増殖阻害を媒介したことを示す。
図7Dは、抗HER2二重パラトピック抗体(v7091及びv10000)が、HER2 3+SKOV3卵巣腫瘍細胞の最大増殖阻害を媒介したことを示す。
図7Eは、抗HER2二重パラトピック抗体(v7091及びv10000)が、HER2 2+Herceptin耐性JIMT−1腫瘍細胞の最大増殖阻害を媒介したことを示す。検査したすべての細胞系において、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v7091及びv10000)は、抗HER2 FSA単一特異性抗体(v506)と比較して高い増殖阻害を媒介した。
(表11B)HER2 3+癌細胞の増殖阻害
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【0296】
これらの結果は、二重パラトピック抗HER2抗体の例示的な飽和濃度が、HER2 3+及び2+乳房及び卵巣腫瘍細胞、ならびにHER2 2+トラスツズマブ耐性腫瘍細胞を、FSA抗HER2単一特異性抗体よりもおおよそ20%高く増殖阻害することができることを示す。
【0297】
実施例8:HER2 ECDと比較した、二量体HER2への二重パラトピック抗HER2抗体のパラトープの優先的結合
この実験は、膜結合HER2(HER2−Fc)及びshed HER2 ECDの間の結合差異の代理としての二量体HER2及びHER2 ECDに結合する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の個々のパラトープの能力を決定するために行った。実験は、以下のように実施した。
【0298】
表面プラズモン共鳴(SPR)分析:HER2細胞外ドメイン(sHER−2、Ebioscience BMS362、_完全長タンパク質のアミノ酸23〜652をコードする)及びHER2−Fc(細胞外ドメインのアミノ酸1〜652をコードする二量体HER2−Fc融合体;Sino Biological Inc.,10004−H02H)への結合に関する一価抗HER2抗体(v1040またはv4182)の親和性をSPRによりBiacoreからのT200システム(GE Healthcare)を使用して測定した。HER2 ECDへの結合は、以下の方法により決定した。10mm Hepes pH6.8中のHER2 ECDを、44RU(応答単位)のレベルまでアミンカップリングを通してCM5チップ上に固定化した。一価抗HER2抗体を、0.76〜60nMの範囲の濃度でHER2固定化チップの表面上を通過させた。HER2−Fcへの結合は、以下の方法により決定した。10mm Hepes pH6.8中のHER2−Fcを、43RUのレベルまでアミンカップリングを通してCM5チップ上に固定化した。一価抗HER2抗体を、0.76〜60nMの範囲の濃度でHER2固定化チップの表面上を通過させた。抗体濃度を、三重で結合について分析した。平衡解離結合定数(K
D)及び反応速度(ka及びkd)を、単一サイクル反応速度法を使用して決定した。センソグラム(sensogram)を、1:1のラングミュア結合モデルに全体的に当てはめた。すべての実験は、室温にて実施した。
【0299】
結果は、
図8A、
図8B、表11C及び表11Dに示す。
図8A及び表11Cの結果は、一価抗HER2抗体(v1040;例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のCH−B上の抗原結合性ドメインを表す)のSPR結合データを示す。
図8Aは、固定化HER2 ECDまたはHER2−Fcへのv1040結合のK
D値(nM)を図示しており、一価抗HER2抗体が、HER2−Fcに対する結合について、HER2 ECDと比較して低いK
Dを有することを示す。表11Cは、HER2 ECD及びHER2−FC(「HER2 mem」)への結合における、フルサイズ抗HER2抗体(FSA)と比較した一価抗HER2抗体(OA)のka(1/Ms)及びkd(1/s)値を示す。このデータは、HER2 ECD及びHER2−FCへの結合について、OA及びFSAのオン(ka)及びオフ(kd)速度での比較を示す。
(表11C)HER2 ECD及びHER2−FC(「HER2 mem」への結合における、フルサイズ抗HER2抗体(FSA)と比較した一価抗HER2抗体(OA)のka(1/Ms)及びkd(1/s)値
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【0300】
図8B及び表11Dにおける結果は、一価抗HER2抗体(v4182;例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のCH−A上の抗原結合性ドメインを表す)のSPR結合データを示す。
図8Bは、固定化HER2 ECDまたはHER2−Fcへのv4182結合のK
D値(nM)を図示しており、一価抗HER2抗体が、HER2−Fcへの結合について、HER2 ECDと比較して低いK
Dを有することを示す。表11Dは、HER2 ECD及びHER2−FC(「HER2 mem」)への結合における、フルサイズ抗HER2抗体(FSA)と比較した一価抗HER2抗体(OA)のka(1/Ms)及びkd(1/s)値を示す。このデータは、HER2 ECD及びHER2−FCへの結合について、OA及びFSAのオン(ka)及びオフ(kd)速度での比較を示す。
(表11D)
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【0301】
これらのデータは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のパラトープのそれぞれが、膜結合HER2の代表である二量体HER2抗原への結合について、HER2 ECDと比較して低いK
D値を有することを示す。このデータに基づき、例示的な抗HER2抗体が、罹患患者の血清中に存在し、治療用抗体のためのシンクとして作用し得るshed HER2 ECDと比較して、膜結合HER2抗原に対してより高い結合親和性を有し得ると予測されるだろう(Brodowicz T,et al.Soluble HER−2/neu neutralizes biologic effects of anti−HER−2/neu antibody on breast cancer cells in vitro.Int J Cancer.1997;73:875−879)。例えば、ベースラインのHER2 ECDレベルが15ng/mL以下であるのに対して、進行性疾患を有する患者の有するHER2 ECDレベルは38ng/mL以上である。
【0302】
実施例9:HER2+細胞における二重パラトピック抗HER2抗体の全細胞負荷及び内部移行
この実験を、HER2 2+細胞へ内部移行する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を評価するために行った。直接的な内部移行方法は、Schmidt,M.et al.,Kinetics of anti−carcinoembryonic antigen antibody internalization:effects of affinity,bivalency,and stability.Cancer Immunol Immunother(2008)57:1879−1890において詳述されているプロトコルに従った。具体的には、抗体を、製造元の指示書に従ってAlexaFluor(登録商標)488タンパク質標識キット(Invitrogen、カタログ番号A10235)を使用して直接的に標識した。
【0303】
内部移行アッセイについては、12ウェルプレートに1×10
5細胞/ウェルを播種し、一晩37℃+5%CO2でインキュベートした。翌日、標識抗体をDMEM+10%FBS中200nMで加え、24時間、37℃+5%CO2でインキュベートした。暗条件下で、培地を吸引し、ウェルを2×500μL PBSで洗浄した。細胞を回収するために、細胞解離緩衝液(250μL)を37℃にて加えた。細胞をペレット化し、100μL DMEM+10%FBS中に、抗Alexa Fluor 488、ウサギIgG画分(Molecular Probes、A11094)を50μg/mLで伴ってまたは伴わずに再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。分析前に、300μL DMEM+10%FBS、ろ過試料、4μlヨウ化プロピジウムを加えた。試料を、LSRIIフローサイトメーターを使用して分析した。
【0304】
HER2+細胞に内部移行する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の能力を、
図9A及び
図9Bに示す。
図9Aは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2 FSA対照と共に24時間インキュベートした後のBT−474細胞において検出可能な表面及び内部抗体の結果を示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)とのインキュベーションが、抗HER2 FSA対照と比較しておおよそ2倍多い内部移行抗体をBT−474細胞においてもたらすことを示す。
図9Bは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2 FSA対照と共に24時間インキュベートした後のJIMT−1細胞において検出可能な表面及び内部抗体の結果を示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)とのインキュベーションが、抗HER2 FSA対照と比較しておおよそ2倍多い内部移行抗体をJIMT−1細胞においてもたらすことを示す。24時間後の表面染色の量は、BT−474及びJIMT−1細胞の両方において、二重パラトピック抗HER2及び抗HER2 FSAの間で同等であった。
【0305】
図10A〜Fの結果は、37℃にて24時間後の内部移行抗体の量に加えて;37℃にて24時間インキュベーションした後に、表面に結合した抗体と比べた、4℃にて2時間後に全細胞の表面に結合した検出可能抗体の比較を示す。
図10Aは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2 FSA対照と共にインキュベートした後のBT−474細胞における結果を示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体とBT−474細胞の24時間にわたるインキュベーションが、全細胞の表面上で検出される抗体をおおよそ15%減少させることを示す。
図10Aは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)とのインキュベーションが、抗HER2 FSA対照と比較してBT−474細胞においておおよそ2倍多い内部移行抗体をもたらすことも示す。
【0306】
図10Bは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2 FSA対照と共にインキュベートした後のJIMT−1細胞における結果を示す。
図10Bは、4℃にて2時間後に表面染色を加えた、
図9Bに示した実験の反復である。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体とJIMT−1細胞の24時間にわたるインキュベーションが、全細胞の表面上で検出される抗体をおおよそ57%減少させることを示す。
図10Bは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)とのインキュベーションが、37℃にて24インキュベーション後に、抗HER2 FSA対照と比較してBT−474細胞においてより多くの内部移行抗体をもたらすことも示す。
【0307】
図10Cは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体と共にインキュベートした後のSKOV3細胞における結果を示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体とSKOV3細胞の24時間にわたるインキュベーションが、全細胞の表面上で検出される抗体をおおよそ32%減少させることを示す。
【0308】
図10Dは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体と共にインキュベートした後のMCF7細胞における結果を示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体とMCF7細胞の24時間にわたるインキュベーションが、全細胞の表面上で検出される抗体をおおよそ45%減少させることを示す。
【0309】
図10Eは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体である、v5019、v7091及びv10000と共にインキュベートした後のSKOV3細胞における結果を示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のインキュベーションが、SKOV3細胞で、抗HER2 FSA対照と比較して1.5〜1.8倍多い内部移行抗体をもたらすことを示す。抗HER2 FSA対照との24時間にわたるインキュベーションは、全細胞の表面上で検出される抗体を最も減少させた(約77%)。
【0310】
図10Fは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体である、v5019、v7091及びv10000と共にインキュベートした後のJIMT−1細胞における結果を示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のインキュベーションが、JIMT−1細胞で、抗HER2 FSA対照と比較して1.4〜1.8倍多い内部移行抗体をもたらすことを示す。抗HER2二重パラトピック抗体(v5019及びv10000)との24時間にわたるインキュベーションは、全細胞の表面上で検出される抗体を最も減少させた(約64%)。
【0311】
これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体が、単一特異性抗HER2 FSAと比較して優れた内部移行特性をHER2+細胞において有することを示す。37℃での24時間のインキュベーション後の検出される表面抗体の減少は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体が、HER2+細胞におけるインキュベーション後に細胞表面HER2受容体の量を減少させることができること及びインキュベーション後の表面HER2減少がHER2 2+腫瘍細胞において最大であることを示す。
【0312】
実施例10:1、3及び16時間での、HER2+細胞とインキュベートした後の抗HER2二重パラトピック抗体の細胞染色及び位置
この実験は、異なる時点でのHER2+JIMT−1細胞における例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の内部移行を分析するため、及び全細胞負荷及び内部移行を分析するために実施例9において提示した方法に直交する方法として行った。
【0313】
JIMT−1細胞を、37℃+5%CO
2で1時間、3時間、及び16時間にわたって無血清DMEM中200nMの抗体(v506、v4184、v5019、またはv506及びv4184の組み合わせ)とインキュベートした。細胞を、加温した滅菌PBS(500ml/ウェル)で穏やかに2回洗浄した。細胞を、250mlの10%ホルマリン/PBS溶液で10分間室温にて固定した。固定した細胞をPBS(500μl/ウェル)で3回洗浄し、0.2%Triton X−100を含有する250μl/ウェルのPBSで5分間透過処理し、500μl/ウェルPBSで3回洗浄した。細胞を、500μl/ウェルのPBS+5%ヤギ血清で1時間室温にてブロッキングした。ブロッキング緩衝液を除去し、300μl/ウェル二次抗体(Alexa Fluor 488とコンジュゲートしたAffiniPure Fab断片ヤギ抗ヒトIgG(H+L);Jackson ImmunoResearch Laboritories,Inc.;109−547−003)を1時間室温にてインキュベートした。細胞を500μl/ウェルのPBSで3回洗浄し、固定した細胞を含有するカバーガラスを、次いで、DAPIを含むProLong gold退色防止剤(Life Technologies;#P36931)を使用してスライド上に載せた。60倍の単一画像を、Olympus FV1000共焦点顕微鏡を使用して獲得した。
【0314】
結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)がJIMT−1細胞内に3時間で内部移行し、主に核の近くに局在化したことを示した。3時間のインキュベーションでの比較画像は、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して、及び個々の抗HER2 FSA(v506またはv4184)と比較して、抗HER2二重パラトピック抗体に関連する内部染色をより多く示した。抗体染色の細胞位置における差異が、抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)の結果を抗HER2 FSA(v4184)と比較するときに見られ;ここで抗HER2 FSA(v4184)は、1、3及び16時間の時点で明白な原形質膜染色を示した。検出可能な抗体の量は、抗HER2 FSA(v506)、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)及び抗HER2二重パラトピック抗体処置について、16時間で減少した(データは示さず)。
【0315】
これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体v5019がHER2+細胞に内部移行し、内部移行抗体が3時間のインキュベーション後に検出可能であったことを示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体が、抗HER2 FSAと比較してHER2+細胞により多くの量まで内部移行することができることを示す実施例9に提示した結果と一致する。
【0316】
実施例11:対照と比較して、二重パラトピック抗HER2抗体により媒介されるHER2+細胞のADCC
この実験は、SKOV3細胞(卵巣癌、HER2 2+/3+)においてADCCを媒介する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を測定するために行った。
【0317】
標的細胞を、被験抗体(45μg/mlから10分の1漸減濃度)と30分間予めインキュベートし、その後、エフェクター細胞を5:1のエフェクター/標的細胞比で加え、インキュベーションを6時間37℃+5%CO
2にて継続した。試料を、45μg/mlから10分の1漸減していく8つの濃度で検査した。LDH放出を、LDHアッセイキットを使用して測定した。
【0318】
用量反応試験を、5:1.3:1、及び1:1のエフェクター/標的(E/T)比で、様々な濃度の試料を用いて行った。50%効果濃度(EC
50)値を、GraphPad prismを使用してシグモイド用量反応非線形回帰フィットを用いて分析した。
【0319】
細胞を、マッコイ5a完全培地中、37℃/5%CO
2で維持し、ATCCからのプロトコルに従って、10%FBSを補充した好適な培地で定期的にサブ培養した。p10未満の継代数の細胞をこのアッセイで使用した。試料は、1%FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したフェノールレッド非含有DMEM培地で、0.3〜300nMの間の濃度に希釈してからアッセイにて使用した。
【0320】
5:1のエフェクター対標的細胞比でのHER2+SKOV3細胞におけるADCC結果を
図11A及び表12に示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、抗HER2 FSA(v792)及び2種の異なる抗HER2 FSAの組み合わせ(v792+v4184)と比較したときに、ADCCによる最大標的細胞溶解の最大割合(%)を媒介したことを示す。例示的な二重パラトピック抗HER2抗体によって媒介される最大細胞溶解における差異は、抗HER2 FSAと比較しておおよそ1.6倍大きく、2種の異なる抗HER2 FSAの組み合わせ(v792+v4184)と比較しておおよそ1.2倍大きかった。
(表12)
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【0321】
3:1のエフェクター対標的細胞比でのHER2+SKOV3細胞におけるADCC結果を
図11B及び表13に示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、抗HER2 FSA(v792)及び2種の異なる抗HER2 FSAの組み合わせ(v792+v4184)と比較したときに、ADCCによる最大標的細胞溶解の最大割合(%)を媒介したことを示す。例示的な二重パラトピック抗HER2抗体によって媒介される最大細胞溶解における差異は、抗HER2 FSAと比較しておおよそ1.3倍大きく、2種の異なる抗HER2 FSAの組み合わせ(v792+v4184)と比較しておおよそ1.8倍大きかった。
(表13)
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【0322】
1:1のエフェクター対標的細胞比でのHER2+SKOV3細胞におけるADCC結果を
図11C及び表14に示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、抗HER2 FSA(v792)及び2種の異なる抗HER2 FSAの組み合わせ(v792+v4184)と比較したときに、ADCCによる最大標的細胞溶解の最大割合(%)を媒介したことを示す。例示的な二重パラトピック抗HER2抗体によって媒介される最大細胞溶解における差異は、抗HER2 FSAと比較しておおよそ1.8倍大きく、2種の異なる抗HER2 FSAの組み合わせ(v792+v4184)と比較しておおよそ1.13倍大きかった。
(表14)
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【0323】
図11及び表12〜14における結果は、例示的な二重パラトピックHER2抗体が、異なるE:T比率で、抗HER2 FSA及び2種の抗HER2 FSAの組み合わせと比較したときに、SKOV3細胞の最大ADCCを媒介することを示す。抗HER2二重パラトピック抗体によって媒介されるADCCの増加の観察が、化学療法後に循環エフェクター細胞の変動および/または減少を表すHER2+罹患患者において予測されるであろう(Suzuki E.et al.Clin Cancer Res 2007;13:1875−1882)。
図11における観察は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体への細胞結合において、抗HER2 FSAと比較しておおよそ1.5倍の増加を示す、実施例6において提示した細胞全体結合Bmaxデータと一致する。
【0324】
実施例12:HER2 ECDに結合する例示的な抗HER2抗体の能力
SPRアッセイを、それにより例示的な抗HER2二重パラトピック抗体がHER2 ECDに結合する機構を評価するために;具体的には、1つの二重パラトピック抗体分子のパラトープの両方が、1つのHER2 ECDに結合し得る(シス結合;抗体対HER2分子が1:1)か、または1つの二重パラトピック抗体の各パラトープが2つの異なるHER2 ECDに結合し得る(トランス結合;抗体対HER2分子が1:2)かを理解するために、使用した。シス対トランス結合の代表例を
図14に図示する。オフ速度の低下(遅延)と抗体捕捉レベル(表面密度)の増加の間の相関が、トランス結合(すなわち、1つの抗体分子が2つのHER2分子に結合すること)の指標である。
【0325】
組換えヒトHER2に対する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)の親和性及び結合反応速度を測定し、一価抗HER2抗体(v630またはv4182;v5019の個々のパラトープを含む)のそれと比較したが、これは、BiacoreからのT200システム(GE Healthcare)を使用してSPRにより測定した。5〜10μg/mlの濃度で注射した2000〜4000RUの間の抗ヒトFcを、標準的なアミンカップリングを使用してCM5チップ上に固定化した。一価抗HER2抗体(v630またはv4182)及び例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)を、350〜15RUの範囲の応答レベルで、抗ヒトFc(PBST中0.08〜8μg/mlの範囲の濃度で注射、10ul/分で1分)上で捕捉した。組換えヒトHER2をPBST中に希釈し、120nM、200nM、または300nMのいずれかの出発濃度にて3倍希釈で注射し、50μl/分の流速で3分間注射し、その後、最後の注射の終了時にさらに30分間解離させた。HER2希釈液を二重で分析した。センソグラムを、1:1のラングミュア結合モデルに全体的に当てはめた。すべての実験は、25℃で実施した。
【0326】
結果を
図12及び
図13に示す。
【0327】
図12Aにおける結果は、チップの表面上の、ある範囲の注射抗体濃度及び捕捉抗体濃度にわたる、組換えヒトHER2への結合についての一価抗HER2(v630及びv4182)及び例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)のka(1/Ms)を示す。これらの結果は、異なる抗体捕捉レベルで、v630、v4182、及びv5019について、kaが変化しないことを示す。
【0328】
図12Bにおける結果は、チップの表面上の、ある範囲の注射抗体濃度及び捕捉抗体濃度にわたる、組換えヒトHER2への結合についての一価抗HER2(v630及びv4182)及び例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)のkd(1/s)を示す。これらの結果は、増加する抗体捕捉レベルで、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)についてのみ、kdが低減したことを示す。
【0329】
図12Cにおける結果は、チップの表面上の、ある範囲の注射抗体濃度及び捕捉抗体濃度にわたる、組換えヒトHER2への結合についての一価抗HER2(v630及びv4182)及び例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)のK
D(M)を示す。これらの結果は、増加する抗体捕捉レベルで、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)についてのみ、K
Dが低下したことを示す。この結果は、
図15Bに示すkd値の低減と相関する。
【0330】
図13Aにおける結果は、ある範囲の抗体捕捉レベルにわたる、組換えヒトHER2への結合についての例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)のkd(1/s)を示す。これらの結果は、kd値が、チップの表面上に捕捉される抗体のRUの上昇と逆比例する(すなわち、抗体捕捉レベルが高いほど、オフ速度は遅くなる)ことを示す。この結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、2つの別々のHER2分子上のHER2 ECD2及びHER2 ECD4に結合(すなわち、トランス結合)し得ることを示し、これはより高い抗体捕捉レベルで、オフ速度が低下することをエビデンスとする。このデータは、
図47において提示され、実施例43において考察されている同様の実験により支持され、ここで、二価単一特異性抗HER2 FSA(v506)は、シス結合(抗体対HER2が1:1)を実証し、kd(1/s)及びK
D(M)値は増加する抗体捕捉レベルで一定のままであったが、これはこの分子で予測されたとおりである。
【0331】
図13Bにおける結果は、ある範囲の抗体捕捉レベルにわたる、組換えヒトHER2への結合についての一価抗HER2抗体(v4182)のkd(1/s)を示す。これらの結果は、チップの表面上に捕捉される異なる抗体RUの範囲にわたって、kd値が変化しないことを示す。これらの結果は、一価抗HER2抗体(v4182)が、一価で、1:1で結合(シス結合)することを示す。
【0332】
図13Cにおける結果は、ある範囲の抗体捕捉レベルにわたる、組換えヒトHER2への結合についての一価抗HER2抗体(v630)のkd(1/s)を示す。これらの結果は、チップの表面上に捕捉される異なる抗体RUの範囲にわたって、kd値が変化しないことを示す。これらの結果は、一価抗HER2抗体(v630)が、一価で、1:1で結合(シス結合)することを示す。このデータは、
図47において提示され、実施例43Xにおいて考察されている実験によって支持され、ここで、二価単一特異性抗HER2 FSA(v506)は、kd(1/s)において変化を示さなかった。
【0333】
[0098]
図12及び
図13における結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、トランスで、2つのHER2分子に同時に結合することができること(抗体対HER2比率は1:2)を示す。SPRにより検出される結合のトランス機構は、実施例9及び10において提示される内部移行データと合わせて、実施例6に提示される、より高い細胞表面飽和結合データ(Bmax)と一致する。
【0334】
実施例13:BT−474細胞におけるAKTリン酸化に与える例示的な二重パラトピック抗HER2抗体インキュベーションの効果
BT−474細胞においてpAKTシグナル伝達を減少させる例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の能力を、AKT Colorimetric In−Cell ELISAキット(Thermo Scientifiic;カタログ番号62215)を使用して、製造元の指示書に従い、以下の改変を伴って検査した。細胞を5×10
3/ウェルで播種し、24時間37℃+5%CO
2でインキュベートした。細胞を100nM抗体と30分間インキュベートし、その後、rhHRG−β1と15分間インキュベートした。細胞を、指示書に従って、洗浄し、固定し、透過処理した。二次抗体(1:5000;Jackson ImmunoReasearch、HRP−ロバ抗マウスIgG、JIR、カタログ番号715−036−150、HRP−ロバ抗ウサギIgG、JIR、カタログ番号711−036−452)を加え、アッセイを製造元の指示書に従って処理した。
【0335】
図15の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体とのインキュベーションが、HRGβ1の存在下でp−Aktレベルにおいて、ヒトIgG対照(CTL)に対しておおよそ1.2分の1に低下して媒介したことを示す。2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)は、HRGβ1存在下でp−Aktレベルにおいて最大の減少を媒介し、これはヒトIgG対照と比較しておおよそ約1.5分の1であった。リガンド(HRGβ1)の不在下では、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体で、ヒトIgG対照抗体と比較して、p−Aktのわずかな低下が検出された。
【0336】
これらのデータは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体が、HER2+細胞においてリガンド活性化シグナル伝達を遮断することができることを示す。
【0337】
実施例14:心筋細胞生存力に与える二重パラトピック抗HER2抗体の効果
心筋細胞生存力に与える例示的な二重パラトピック抗HER2抗体及びADCの効果を、潜在的な心臓毒性作用の予兆を得るために測定した。
【0338】
基底レベルのHER2受容体を発現するiCell心筋細胞(Cellular Dynamics International、CMC−100−010)を、製造元の指示書に従って増殖させ、抗体処置後の心筋細胞の健康状態を評価するための標的細胞として使用した。アッセイは、以下のように行った。細胞を96ウェルプレートに播種(15,000細胞/ウェル)し、48時間維持した。細胞培地を維持培地と置き換え、細胞を72時間維持した。抗体誘発性心臓毒性の作用にアクセスするために、細胞を72時間、10及び100nMの変異体単独または組み合わせを用いて処置した。(単独、または例示的な二重パラトピック抗HER2抗体と組み合わせた)アントラサイクリン誘発性心臓毒性の作用にアクセスするために、細胞を、3uM(約IC
20)のドキソルビシンで1時間処置し、その後、72時間10及び100nMの抗体変異体単独または組み合わせを用いて処置した。細胞生存力を、CellTiter−Glo(登録商標)発光性細胞生存力アッセイ(Promega、G7570)および/またはスルフォローダミン(Sulphorhodamine)(Sigma 230162−5G)を製造元の指示書に従って用いて細胞ATPレベルを定量化することによって、評価した。
【0339】
結果を、
図16A〜Cに示す。
図16Aにおける結果は、心筋細胞と治療的に関連する濃度の例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)及び例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363)のインキュベーションが、未処置対照(「モック」)と比較して、心筋細胞生存力に影響を及ぼさなかったことを示す。
【0340】
図16Bにおける結果は、心筋細胞と治療的に関連する濃度の例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019、v7091、及びv10000)、及び例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363、v7148、及びv10553)のインキュベーションが、未処置対照(「モック」)と比較して、心筋細胞生存力に対して効果を有さなかったことを示す。
図16A及び16Bにおける結果に基づき、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、他の抗HER2標的抗体で報告されているような(Grazette L.P.et al.Inhibition of ErbB2 Causes Mitochondrial Dysfunction in Cardiomyocytes;Journal of the American College of Cardiology:2004;44:11)、例えば、ミトコンドリア機能障害を通した心筋症を誘発しないだろうと予測される。
【0341】
図16Cにおける結果は、ドキソルビシンを用いた心筋細胞の前処置、その後の、治療的に関連する濃度の例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019、v7091、及びv10000)及び例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363、v7148、及びv10553)とのインキュベーションが、未処置対照+ドキソルビシン(「モック+ドキソルビシン」)と比較して、心筋細胞生存力に対して効果を有さなかったことを示す。
図16Cにおける結果に基づき、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、同時にアントラサイクリン処置を受けている患者において心臓機能障害のリスクの上昇をもたらさないだろうと予測される(Seidman A,Hudis C,Pierri MK,et al.Cardiac dysfunction in the trastuzumab clinical trials experience.J Clin Oncol(2002)20:1215−1221)。
【0342】
図16A〜Cは、心筋細胞と抗HER2二重パラトピック抗体及びADCのインキュベーションが、単一特異性抗HER2 FSA抗体(v506)、抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)、及びADC(v6246)と比較して、単独で、またはドキソルビシンと組み合わせてのいずれかで処置したときに、同等の効果を有したことを示す。これらの結果に基づき、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及びADCが、抗単一特異性抗HER2 FSAであるトラスツズマブ、またはADCであるT−DM1と比較してより大きな心臓毒性作用を有することはないだろうと予測される。
【0343】
実施例15:HER2+細胞における例示的な二重パラトピック抗HER2−ADCの細胞毒性
HER2+細胞において細胞の細胞毒性を媒介する例示的な二重パラトピック抗HER2−ADC抗体(v6363、v7148及びv10553)の能力を測定した。DM1にコンジュゲートしたヒトIgG(v6249)をいくつかの場合において対照として使用した。実験は、HER2+乳房腫瘍細胞系のJIMT−1、MCF7、MDA−MB−231、HER2+卵巣腫瘍細胞系のSKOV3、及びHER2+胃細胞系のNCI−N87において実施した。HER2+細胞における例示的な二重パラトピック抗HER2−ADC抗体の細胞毒性を評価し、単一特異性抗HER2 FSA−ADC(v6246)及び抗HER2−FSA−ADC+抗HER2−FSA対照(v6246+v4184)と比較した。この方法は、以下の改変を伴って実施例7に記載のように実施した。抗HER2 ADCを、標的SKOV3及びJIMT−1(
図17A及びB)細胞と24時間インキュベートし、細胞を洗浄し、培地を置き換え、細胞生存を37℃での5日間のインキュベーション後に評価した。抗HER2 ADCを、標的MCF7及びMDA−MB−231標的細胞と6時間(
図17C及びD)インキュベートし、細胞を洗浄し、培地を置き換え、細胞生存を37℃での5日間のインキュベーション後に評価した。
図17E〜Gでは、抗HER2 ADCを、標的SKOV3、JIMT−1、NCI−N87細胞と継続して5日間インキュベートした。細胞生存力は、AlamarBlue(商標)(
図17A〜D)またはCelltiter−Glo(登録商標)(
図17E〜G)のいずれかを使用して実施例7に記載のように測定した。
【0344】
結果を、
図17A〜Gに示し、データを表15及び16にまとめた。
【0345】
図17Aならびに表15及び16の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363)が、JIMT−1において抗HER2−FSA−ADC(v6246)及び抗HER2−FSA−ADC+抗HER2 FSA(v6246+v4184)の組み合わせと比較してより細胞毒性であることを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、より優れたEC
50を有し、それは抗HER2 FSA−ADC対照と比較しておおよそ13分の1であった。
【0346】
図17B及び表15の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363)が、SKOV3において抗HER2−FSA−ADC(v6246)及び抗HER2−FSA−ADC+抗HER2 FSA(v6246+v4184)の組み合わせと比較してより細胞毒性であることを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、より優れたEC
50を有し、それは抗HER2 FSA−ADC対照と比較しておおよそ5分の1であった。
【0347】
図17C及び表15の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363)が、MCF7において抗HER2−FSA−ADC(v6246)及び抗HER2−FSA−ADC+抗HER2 FSA(v6246+v4184)の組み合わせと比較してより細胞毒性であることを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、より優れたEC
50を有し、それは抗HER2 FSA−ADC対照と比較しておおよそ2分の1であった。
【0348】
図17D及び表15の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363)が、MDA−MB−231において抗HER2−FSA−ADC(v6246)及び抗HER2−FSA−ADC+抗HER2 FSA(v6246+v4184)の組み合わせと比較してより細胞毒性であることを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、より優れたEC
50を有し、それは抗HER2 FSA−ADC対照と比較しておおよそ2分の1であった。
(表15)
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【0349】
図17E及び表16の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363、v7148及びv10553)が、SKOV3卵巣腫瘍細胞において抗HER2−FSA−ADC(v6246)と比較してより細胞毒性であることを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、より優れたEC
50値を有し、それは抗HER2 FSA−ADC対照と比較しておおよそ2〜7分の1であった。
【0350】
図17F及び表16の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363、v7148及びv10553)が、JIMT−1乳房腫瘍細胞において抗HER2−FSA−ADC(v6246)と比較してより細胞毒性であることを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、より優れたEC
50値を有し、それは抗HER2 FSA−ADC対照と比較しておおよそ6〜9分の1であった。
【0351】
図17G及び表16の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363、v7148及びv10553)が、NCI−N87胃腫瘍細胞において細胞毒性であることを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、抗HER2 FSA−ADC対照と比較して、おおよそ同等のEC
50値を有した(had has)。
(表16)
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これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363、v7148及びv10553)が、HER2 3+、2+、及び1+乳房腫瘍細胞において抗HER−FSA−ADC対照と比較してより細胞毒性であることを示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363、v7148及びv10553)がHER2 2/3+胃腫瘍細胞において細胞毒性であることも示す。これらの結果は、実施例9において提示した内部移行結果と一致する。
【0352】
実施例16:ヒト卵巣癌細胞異種移植モデルにおける二重パラトピック抗HER2抗体の効果
樹立したヒト卵巣癌細胞由来の異種移植モデルSKOV3を使用して、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の抗腫瘍有効性を評価した。
【0353】
雌無胸腺ヌードマウスに、1mm
3腫瘍断片の皮下挿入を介して、腫瘍を接種した。腫瘍を、それらが220mm
3の平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を3つの処置群:IgG対照、抗HER2 FSA(v506)、及び二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)へと無作為化した。
【0354】
15匹の動物を各群に含んだ。各群での投薬は以下の通りである。
【0355】
A)IgG対照を、試験1日目に30mg/kgの初回用量で、次いで試験39日目まで週2回の20mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0356】
B)抗HER2 FSA(v506)を、試験1日目に15mg/kgの初回用量で、次いで試験18日目まで週2回の10mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。22日目から39日目までは、5mg/kgの抗HER2 FSAを週2回静脈内投薬した。抗HER2 FSA(v4184)を、同時に5mg/kgで週2回腹腔内投薬した。
【0357】
C)二重パラトピック抗HER2抗体を、試験1日目に15mg/kgの初回用量で、次いで試験39日目まで週2回の10mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0358】
腫瘍体積を、試験期間を通して週2回測定し、応答者数及び生存中央値を22日目に評価した。結果を
図18及び表17に示す。
【0359】
二重パラトピック抗HER2及び抗HER2 FSAは、IgG対照と比較してより優れた腫瘍増殖阻害を実証した。二重パラトピック抗HER2抗体は、抗HER2 FSA組み合わせと比較してより優れた腫瘍増殖阻害を誘発した(
図18A)。二重パラトピック抗HER2抗体は、22日目で、抗HER2 FSA v506と比較して応答腫瘍の数における増加を伴った(それぞれ、11及び5)(表17)。例示的な二重パラトピック抗HER2抗体及び抗HER2 FSAは、IgG対照と比較してより優れた生存を実証した。二重パラトピック抗HER2抗体は、抗HER2 FSA(36日間)と比較して、より優れた生存中央値(61日間)を有した(
図18B及び表17)。試験22日目に、第二の抗HER2 FSA(v4184)を抗HER2 FSA(v506)と組み合わせて加えた。2種の抗HER2 FSAの組み合わせは、抗HER2 FSA(v506)単独と比較してさらなる腫瘍増殖阻害を誘発した。
(表17)
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【0360】
実施例17:ヒト卵巣癌細胞系異種移植モデルにおける二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果
樹立したヒト卵巣癌細胞由来の異種移植モデルSKOV3を使用して、DM1にコンジュゲートした例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v6363)の抗腫瘍有効性を評価した。
【0361】
雌無胸腺ヌードマウスに、1mm
3腫瘍断片の皮下挿入を介して、腫瘍を接種した。腫瘍を、それらが220mm
3の平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を3つの処置群:IgG対照、抗HER2 FSA−ADC、及び二重パラトピック抗HER2−ADCへと無作為化した。
【0362】
15匹の動物を各群に含んだ。各群での投薬は以下の通りである。
【0363】
A)IgG対照を、試験1日目に30mg/kgの初回用量で、次いで試験39日目まで週2回の20mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0364】
B)抗HER2 FSA−ADC(v6246)を、試験1日目に10mg/kgの初回用量で、次いで試験15日目及び29日目に5mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0365】
C)二重パラトピック抗HER2抗体−ADC(v6363)を、試験1日目に10mg/kgの初回用量で、次いで15日目及び29日目に5mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0366】
腫瘍体積を、試験全体を通して測定し、応答者数及び生存中央値を22日目に評価した。結果を、
図19に示す。結果の概要を、表18に示す。
【0367】
二重パラトピック抗HER2−ADC及び抗HER2 FSA−ADCは、IgG対照より良好に腫瘍増殖を阻害した(
図19A及び表18)。二重パラトピック抗HER2−ADCは、抗HER2 FSA−ADCが阻害したよりも大きい程度に腫瘍増殖を阻害した。二重パラトピック抗HER2−ADC群は、抗HER2 FSA−ADCと比較して応答腫瘍の数における増加を伴った(それぞれ、11及び9)。二重パラトピック抗HER2−ADC及び抗HER2 FSA−ADC群は、IgG対照と比較してより優れた生存を実証した(
図19B及び表18)。二重パラトピック抗HER2抗体群は、61日間の生存中央値を実証し、それに対し、抗HER2 FSA−ADCは、36日間の生存中央値を有した(
図19B及び表18)。
(表18)
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【0368】
実施例18:ヒト初代細胞異種移植モデル(HBCx−13b)における二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果
トラスツズマブ耐性の、患者由来の、ヒト乳癌からの異種移植モデルである、HBCx−13Bを使用して、DM1にコンジュゲートした例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の抗腫瘍有効性を評価した。
【0369】
雌無胸腺ヌードマウスに、20mm
3腫瘍断片の皮下挿入を介して、腫瘍を接種した。腫瘍を、それらが100mm
3の平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を3つの処置群:抗HER2 FSA(v506)、抗HER2 FSA−ADC(v6246)、及び二重パラトピック抗HER2−ADC(v6363)へと無作為化した。7匹の動物が各群に含まれた。各群についての投薬は以下の通りである:
【0370】
A)抗HER2 FSAを、試験1日目に15mg/kgの初回用量で、次いで試験4、8、11、15、18、22、及び25日目に10mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0371】
B)抗HER2 FSA−ADCを、試験1日目に10mg/kgの初回用量で、次いで22日目に5mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0372】
C)二重パラトピック抗HER2抗体−ADCを、試験1日目に10mg/kgの初回用量で、次いで22日目に5mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0373】
腫瘍体積を、試験全体を通して測定し、平均腫瘍体積、完全奏功、及びゼロ残存疾患パラメータを50日目に評価した。結果を、
図20に示す。結果の概要を、表19に示す。
【0374】
二重パラトピック抗HER2−ADC及び抗HER2 FSA−ADCは、抗HER2 FSA(v506)と比較してより大きな腫瘍増殖阻害を実証した。二重パラトピック抗HER2−ADCは、抗HER2 FSA−ADCより良好に腫瘍増殖を阻害した。二重パラトピック抗HER2−ADC群は、抗HER2 FSA−ADC群と比較して、完全奏功(ベースラインから10%超の低減)、それぞれ7及び4を示し、ゼロ残存疾患、それぞれ5及び2を示す腫瘍の数における増加を伴った。
(表19)
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【0375】
実施例19:ヒト初代細胞異種移植モデル(T226)における二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果
患者由来の、トラスツズマブ耐性の、ヒト乳癌からの異種移植モデルである、T226を使用して、例示的な二重パラトピック抗HER2−ADCの抗腫瘍有効性を評価した。
【0376】
雌無胸腺ヌードマウスに、20mm
3腫瘍断片の皮下挿入を介して、腫瘍を接種した。腫瘍を、それらが100mm
3の平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を4つの処置群:IgG対照(n=15)、抗HER2 FSA(v506;n=15)、抗HER2 FSA−ADC(v6246;n=16)、及び二重パラトピック抗HER2−ADCコンジュゲート(v6363;n=16)へと無作為化した。各群についての投薬は以下の通りである。
【0377】
A)IgG対照を、試験1日目に15mg/kgの初回用量で、次いで試験4、8、11、15、18、22、及び25日目に10mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0378】
B)抗HER2 FSAを、試験1日目に15mg/kgの初回用量で静脈内投薬し、10mg/kgの維持用量を試験4、8、11、15、18、22、及び25日目に投与した。
【0379】
C)抗HER2 FSA−ADCを、試験1日目及び15日目に5mg/kgで静脈内投薬した。
【0380】
D)二重パラトピック抗HER2−ADCコンジュゲートを、試験1日目及び15日目に5mg/kgで静脈内投薬した。
【0381】
腫瘍体積を、試験期間を通して測定し、平均腫瘍体積及び完全奏功パラメータを31日目に評価した。結果を、
図21に示す。結果の概要を、表20に示す。
【0382】
二重パラトピック抗HER2−ADC及び抗HER2 FSA−ADCは、抗HER2 FSA(v506)及びIgG対照と比較してより良好な腫瘍増殖阻害を実証した。例示的な二重パラトピック抗HER2−ADCは、このモデルにおいて、抗HER2 FSA−ADCと比較して、同等の腫瘍増殖阻害及び完全なベースライン退縮を誘発した(
図21及び表20)。
(表20)
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【0383】
実施例20:ヒト初代細胞異種移植モデル(HBCx−5)における二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果
患者由来の、トラスツズマブ耐性の、ヒト乳癌からの異種移植モデルである、HBCx−5(浸潤性乳管癌、ルミナルB)を使用して、例示的な二重パラトピック抗HER2−ADCの抗腫瘍有効性を評価した。
【0384】
雌無胸腺ヌードマウスに、20mm
3腫瘍断片の皮下挿入を介して、腫瘍を接種した。腫瘍を、それらが100mm
3の平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を4つの処置群:IgG対照(n=15)、抗HER2 FSA(v506;n=15)、抗HER2 FSA−ADC(v6246;n=16)、及び二重パラトピック抗HER2−ADC(v6363;n=16)へと無作為化した。各群についての投薬は以下の通りである。
【0385】
A)IgG対照を、試験1日目に15mg/kgの初回用量で静脈内投薬し、10mg/kgの維持用量を試験4、8、11、15、18、22、及び25日目に投与した。
【0386】
B)抗HER2 FSAを、試験1日目に15mg/kgの初回用量で静脈内投薬し、10mg/kgの維持用量を試験4、8、11、15、18、22、及び25日目に投与した。
【0387】
C)抗HER2 FSA−ADCを、試験1及び15、22、29、36日目に10mg/kgで静脈内投薬した。
【0388】
D)二重パラトピック抗HER2−ADCを、試験1及び15、22、29、36日目に10mg/kgで静脈内投薬した。
【0389】
腫瘍体積を、試験期間を通して測定し、平均腫瘍体積、T/C比率、応答者数、完全奏功、及びゼロ残存疾患パラメータを43日目に評価した。結果を、
図22に示す。結果の概要を、表21に示す。
【0390】
二重パラトピック抗HER2−ADC及び抗HER2 FSA−ADCは、抗HER2 FSA(v506)及びIgG対照と比較してより良好な腫瘍増殖阻害を実証した。例示的な二重パラトピック抗HER2−ADCは、トラスツズマブ耐性HBCx−5ヒト乳癌異種移植モデルにおいて、抗HER2 FSA−ADCと比較して、同等の腫瘍増殖阻害を誘発し、増加した応答者の数を有した(
図22及び表21)。
(表21)
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【0391】
実施例21:ヒト細胞系異種移植モデル(SKOV3)における抗HER2処置耐性腫瘍に対する二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果
実施例17に記載した、樹立したヒト卵巣癌細胞由来の異種移植モデルSKOV3を使用して、抗HER2処置耐性腫瘍における例示的な二重パラトピック抗HER2−ADCの抗腫瘍有効性を評価した。
【0392】
方法は、実施例17に記載のように行ったが、以下の改変を伴った。動物コホートに、抗HER2抗体を、試験1日目に15mg/kgで、4、8、15日目に10mg/kgで静脈内投薬した;しかしながら、この処置は、このモデルでは、15日目までに有効な応答を実証することに失敗した。そのため、この処置群を、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(v6363)を用いた処置に変換し、これを試験19及び27日目に5mg/kgで、試験34、41、及び48日目に15mg/kgで投薬した。
【0393】
腫瘍体積を、実験期間を通して週2回測定した。
【0394】
結果を、
図23に示し、これは、例示的な二重パラトピック抗HER2−ADC(v6363)を用いて処置された群が、220mm
3の当初平均開始体積未満の平均腫瘍体積への腫瘍退縮を示したことを示す。
【0395】
実施例22:ヒト初代細胞異種移植モデル(HBCx−13b)における抗HER2処置耐性腫瘍に与える二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果
トラスツズマブ耐性の、患者由来の、ヒト乳癌からの異種移植モデルである、HBCx−13Bを使用して、DM1にコンジュゲートした例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の抗腫瘍有効性を評価した。
【0396】
方法は、実施例18に記載のように行ったが、以下の改変を伴った。動物コホートに、二重特異性抗ErbBファミリーを標的とする抗体を、試験1日目に15mg/kgで、4、8、15、18、22、及び25日目に10mg/kgで静脈内投薬した;しかしながら、この処置は、有効な応答を実証することに失敗した。そのため、この処置群を、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(v6363)を用いた処置に変換し、これを31、52日目に10mg/kgで、45日目に5mg/kgで投薬した。腫瘍体積を、試験期間を通して測定した。
【0397】
結果を、
図24に示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2−ADC(v6363)が、腫瘍の進行を防いだことを示す。最初の投薬から57日目までで、v6363処置群の腫瘍体積は2%未満増加したが、一方で同じ期間において、v506処置群は、110%超増殖した。
【0398】
実施例23:例示的な二重パラトピック抗HER2抗体のフコース含有率の分析
グリコペプチド分析を、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091、及びv10000)のN−連結グリカンのフコース含有率を定量化するために行った。
【0399】
グリコペプチド分析を、以下のように行った。抗体試料を、56℃で1時間10mM DTTで還元し、室温にて1時間55mMヨードアセトアミドでアルキル化し、一晩37℃で、50mM炭酸水素アンモニウム中トリプシンで溶液中にて消化した。トリプシン消化物を、QTof−UltimaでナノLC−MS/MSにより分析した。NCBIデータベースをMascotで検索して、タンパク質配列を同定した。MaxEnt3(MassLynx)を使用して、グリコペプチドイオンをデコンボリューションし、異なる糖型を定量化した。
【0400】
グリコペプチド分析結果の概要を、表22に示す。例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091、及びv10000)のN−連結グリカンは、おおよそ90%フコシル化されている(フコースを伴わないN−連結グリカンは10%)。単一特異性抗HER2 FSA(v506)のN−連結グリカンは、おおよそ96%フコシル化されており(フコースを伴わないN−連結グリカンは4%)、Herceptin(登録商標)は、約87%フコシル化されている(フコースを伴わないN−連結グリカンは4%)。
(表22)Fc N−連結グリコペプチド分析
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【0401】
これらの結果は、CHO細胞において一過性に発現させた二重パラトピック抗HER2抗体(ヘテロ二量体Fcを伴う)が、市販のHerceptin(登録商標)と比較して、N−グリカンにておおよそ3%高いフコース含有率を有することを示す。CHO細胞において一過性に発現させたホモ二量体抗HER2 FSA(v506)は、おおよそ96%の最も高いフコース含有率を有する。
【0402】
実施例24:例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の熱安定性
例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091及びv10000)及びADC(v6363、v7148及びv10533)の熱安定性を、下記のようにDSCにより測定した。
【0403】
DSCを、PBS中で約0.3mg/mlに調節した精製タンパク質試料(抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2二重パラトピック−ADC)を使用して、MicroCal(商標)VP−キャピラリーDSC(GE Healthcare)にて行った。試料を60℃/時の速度で20℃から100℃まで走査し、低フィードバック、8秒フィルター、5分間のpreTstat、及び70psiの窒素圧を用いた。結果得られたサーモグラムを、Origin 7ソフトウェアを使用して分析した。
【0404】
例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091、及びv10000)の熱安定性結果を
図25A〜Cに示す。
図25Aは、v5019でのサーモグラムを示し;5019のそれぞれのFc及び鎖A Fabは、75℃のT
mを有し、鎖B scFvは、69℃のT
mを有する。
図25Bは、v10000でのサーモグラムを示し;Fc CH3ドメインは、82℃のT
mを有し、Fab鎖Aは、76.5℃のT
mを有し、鎖B scFvは、69.5℃のT
mを有する。
図25Cは、v7091でのサーモグラムを示し;Fc CH3ドメインは、82℃のT
mを有し、Fab鎖Aは、76.7℃のT
mを有し、鎖B scFvは、69.5℃のT
mを有する。
【0405】
例示的な二重パラトピック抗HER2 ADC(v6363、v7148、及びv10533)の熱安定性結果を
図26A〜Cに示す。
図26Aは、v6363でのサーモグラムを示し;Fcは、75℃のT
mを有し、鎖A Fab及びFc CH3ドメインは、75℃のT
mを有する。6363の鎖B scFvは、69℃のT
mを有する。
図26Bは、v10553でのサーモグラムを示し;Fc CH3ドメインは、83℃のT
mを有し、鎖A Fabは、75.7℃のT
mを有し、鎖B scFvは、66.2℃のT
mを有する。
図26Cは、v7148でのサーモグラムを示し;Fc CH3ドメインは、82.6℃のT
mを有し、鎖A Fabは、74.8℃のT
mを有し、鎖B scFvは、66.6℃のT
mを有する。
【0406】
例示的な二重パラトピック抗体及びADCは、野生型IgGに匹敵する熱安定性を有する。
【0407】
実施例25:様々なレベルのHER2を発現する乳房腫瘍細胞のADCCを引き出す例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力
HER2陽性3+、2+、及び0/1+HER2発現(トリプルネガティブ)乳癌細胞系の用量依存性ADCCを引き出す例示的な二重パラトピック抗体(v5019)の能力を調査した。ADCC実験を、NKエフェクター細胞対標的細胞比を5:1で一定のままにすること以外は、実施例11に記載するように行った。
【0408】
ADCC結果を、
図27及び表23に示す。
図27A〜Cにおける結果は、例示的な二重パラトピック抗体(v5019)が、Herceptin(登録商標)と比較しておおよそ1.2〜1.3倍大きい、HER2陽性3+、2+、及び0/1+HER2発現乳癌細胞の最大細胞溶解を引き出すことを示す。結果は、v5019(90%のN−グリカンがフコースを有する)が、Herceptin(登録商標)(86%のN−グリカンがフコースを有する;実施例23)と比較して、N−グリカンにおいておおよそ4%高いフコース含有率を有する(NK細胞上のCD16への結合親和性が低くなる)にもかかわらず、より有効にHER2陽性3+、2+、及び0/1+HER2発現乳癌のADCCを媒介することも示す。v5019により引き出される、より高い標的細胞殺傷は、実施例6に記載するような腫瘍細胞装飾の増加に起因すると推定される。
(表23)HER2 3+、2+及び0/1+HER2発現乳癌細胞のADCC
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【0409】
図27DにおけるADCC結果は、例示的な二重パラトピック抗体(v7091及びv10000)が、基底HER2発現WI−38細胞系において、Herceptin(登録商標)と比較して同様の最大細胞溶解を引き出すことを示す。ADCC結果は、HER2受容体レベルが10,000のHER2/細胞よりも大きいときに、結合及びADCCの増加に関して閾値が生じることを示した細胞結合データ(実施例6)を支持する。このデータに基づいて、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体では、HER2 3+、2+及び1+腫瘍細胞の細胞表面結合及びADCCが増加するだろうが、おおよそ10,000受容体またはそれ以下の基底レベルのHER2受容体を発現する非腫瘍細胞の細胞表面結合及びADCCは増加しないだろうと予期されるだろう。
【0410】
実施例26:ADCCに与える抗体アフコシル化の効果
HER2陽性2/3+、2+及び0/1+HER2発現(トリプルネガティブ)乳癌細胞系の用量依存性ADCCを引き出すアフコシル化された例示的な二重パラトピック抗体(アフコシル化v5019、アフコシル化10000)の能力を検査した。ADCC実験は、5:1の一定のNKエフェクター細胞またはPBMCエフェクター対標的(E:T)細胞比率を使用したことを除いて、実施例11に記載のように、SKOV3細胞、MDA−MB−231細胞及びZR75−1細胞において行った。アフコシル化された例示的な二重パラトピック抗体を、von Horsten et al.2010 Glycobiology 20:1607−1618に記載のように一過的に発現されたRMD酵素を使用して、実施例1に記載のようにCHO細胞において一過的に産生した。アフコシル化v5019及びアフコシル化10000のフコース含有率は、実施例23に記載のように測定し、2%未満と少なくフコシル化されていると決定された(データは示さず)。NKエフェクター細胞を使用したデータを
図28A〜Bに示し、PBMCを使用したデータを
図28Cに示す。
【0411】
図28A、
図28B及び表24は、アフコシル化されたv5019(アフコシル化v5019)がHER 2/3+及び0/1+HER2発現乳癌細胞のADCCを、Herceptin(登録商標)よりもおおよそ1.5〜1.7倍高い最大細胞溶解を伴って引き出すことを示す。
(表24)HER2 2/3+及び基底HER2発現(トリプルネガティブ)乳癌細胞のADCC
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【0412】
図28C及び表25における結果は、v10000がHER2 2+ZR−75−1乳癌細胞のADCCを、Herceptin(登録商標)よりもおおよそ1.3倍大きい最高細胞溶解を伴って引き出し、アフコシル化v10000がHerceptin(登録商標)よりもおおよそ1.5倍大きい最高細胞溶解を引き出すことを示す。
(表25)HER2 2/3+乳癌細胞のADCC
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【0413】
ADCC結果は、例示的なアフコシル化二重パラトピック抗体(アフコシル化v5019、アフコシル化v10000)が、Herceptin(登録商標)をベンチマークとして使用したときに、フコシル化抗体(v5019 実施例25、v10000)と比較して、およそ15〜25%大きい最大細胞溶解を引き出すことを示す。これらの結果は、Fc N−グリカンのフコース含有率を減少させることが、ADCCによる最高細胞溶解の増加をもたらすことを示す。
【0414】
実施例27:外因性増殖刺激リガンド(EGF及びHRG)の存在下でHER2 3+乳癌細胞の増殖を阻害する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力
外因性増殖刺激リガンド(EGF及びHRG)の存在下でHER2 3+乳癌細胞の増殖を阻害する5019の能力を検査した。
【0415】
被験抗体及び外因性リガンド(10ng/mL HRGまたは50ng/mL EGF)を、三重で標的BT−474 HER2 3+細胞に加え、5日間37℃でインキュベートした。細胞生存力を、AlamarBlue(商標)(37℃で2時間)使用して測定し、吸光度を530/580nmで読み取った。データを未処置対照に対して正規化し、分析を、GraphPad Prismを使用して行った。
【0416】
結果を、
図29及び表26に示す。結果は、例示的な二重パラトピック抗体v5019が、増殖刺激リガンドの不在下(70%阻害)、ならびにEGF(40%阻害)またはHRG(約10%阻害)の存在下で、HER2 3+乳癌細胞の増殖を阻害することを示す。抗HER2単一特異性FSA(v506)は、他のerbB受容体EGFR及びHER3を介するEGFまたはHRG誘発性腫瘍細胞増殖を遮断しない。v5019は、HER2及びリガンド依存性二量体化ならびに他のコンパニオンerbB受容体を介する増殖の阻害においてv506より優れている。
(表26)HER2 3+癌細胞の増殖阻害
[この文献は図面を表示できません]
【0417】
これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗体が、HER2+細胞のリガンド依存性増殖を減少させることができることを示し、これはおそらく抗ECD2鎖A Fabアームの結合及びリガンド刺激性受容体ホモ及びヘテロ二量体化、ならびにerbBシグナル伝達の続く遮断のためである。
【0418】
実施例28:浸潤性乳管癌のトラスツズマブ耐性及び化学療法耐性HER2 3+患者由来(PDX)の転移性乳癌異種移植モデルにおける二重パラトピック抗HER2抗体の効果
HER2 3+(ER−PR陰性)患者由来の、ヒト浸潤性乳管癌からの異種移植モデルである、HBCx−13Bを使用して、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体である、v7187の抗腫瘍有効性を評価した。v7187は、v5019をアフコシル化したものである。このモデルは、単剤トラスツズマブ、トラスツズマブ及びペルツズマブの組み合わせ(実施例31を参照)、カペシタビン、ドセタキセル、及びアドリアマイシン/シクロホスファミドに対して耐性である。
【0419】
雌無胸腺ヌードマウスに、20mm
3腫瘍断片を皮下接種した。次いで、腫瘍を140mm3の平均体積に達するまでモニターした。次いで、動物を2つの処置群:ビヒクル対照及びv7187へと無作為化し、各群は8匹の動物を有した。静脈内投薬は以下の通りとした。ビヒクル対照を、5ml/kgの製剤緩衝液と週2回試験43日目まで静脈内投薬した。v7187を、10mg/kgで週2回試験43日目まで静脈内投薬した。腫瘍体積は、試験全体を通して測定し、他のパラメータは43日目に表27に示すように評価した。
【0420】
結果を、
図30及び表27に示す。結果は、ビヒクル対照を用いて処置した腫瘍が、進行の継続を示し、試験43日目までに1600mm
3を超えたことを示す。v7187を用いて処置したマウスは、有意に大きな腫瘍増殖阻害(T/C−0.44)を示し、43日目に740mm
3の平均腫瘍体積を有した。v7187は、5/8の腫瘍において応答を誘発し、試験43日目にゼロ残存疾患で完全退縮を示す腫瘍が1つあった。v7187を用いて処置した動物は、より優れた奏効率を有し、ビヒクル対照を用いて処置したマウスの0/8と比較して、5/8腫瘍が治療に応答した。加えて、v7187を用いた処置は、ビヒクル対照と比較して腫瘍進行を有意に遅らせ、それぞれ倍加時間は19及び11日であった。
(表27)
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【0421】
これらのデータは、例示的な抗HER2二重パラトピック(v7187)が、トラスツズマブ+ペルツズマブ耐性HER2 3+転移性乳癌腫瘍異種移植モデルにおいて有効であることを示す。V7187処置は、高い奏効率を有し、標準治療に対して耐性であるHER2 3+乳癌の腫瘍進行を有意に減速させることができる。
【0422】
実施例29:HER2+腫瘍細胞系に結合する二重パラトピック抗HER2 ADCの評価
HER2陽性3+、2+、乳房及び卵巣腫瘍細胞系に結合し、それらを飽和させる例示的な二重パラトピック抗HER2 ADCの能力を、実施例6に記載のようにFACSにより分析した。
【0423】
データを
図31に示す。
図31Aは、v6363が、飽和濃度で、T−DM1(v6246)よりもおおよそ2.0倍大きなBmax(MFI)で、SKOV3腫瘍細胞系に結合することを示す。
図31Bは、v6363が、飽和濃度で、T−DM1(v6246)よりもおおよそ1.6倍大きなBmax(MFI)で、JIMT−1腫瘍細胞系に結合することを示す。これらのデータは、v6363(ADC)が、コンジュゲートされていない親のv5019抗体(実施例6)と比較して、増加した細胞表面結合の同様の腫瘍細胞結合特性を有することを示す。SMCC−DM1とv5019のコンジュゲーション(v6363)は、抗体の抗原結合性特性を変えるものではない。
【0424】
FACS結合アッセイを繰り返して、例示的な二重パラトピック抗体(v5019、v7091及びv10000)及びADC(v6363、v7148及びv10553)の直接比較を含んだ。データを、
図31C及び
図31Dに示す。例示的な二重パラトピック抗HER2 ADC(v6363、v7148及びv10553)は、未標識二重パラトピック抗体(v5019、v7091及びv10000)と比較して同等の細胞表面飽和(Bmax)を有した。
【0425】
これらのデータは、例示的な二重パラトピック抗体(v5019、v7091及びv10000)とSMCC−DM1のコンジュゲーションが、結合特性を変えないことを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック抗HER2 ADC(v6363、v7148及びv10553)は、単一特異性抗HER2 ADC(v6246、T−DM1)と比較しておおよそ1.5倍(またはより大きい)増加した細胞表面結合を有する。
【0426】
実施例30:HER2 3+(ER−PR陰性)患者由来の異種移植モデルにおける例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCの用量依存性腫瘍増殖阻害
HER2 3+(ER−PR陰性)患者由来の、ヒト浸潤性乳管癌からの異種移植モデルである、HBCx−13Bを使用して、例示的な二重パラトピック抗HER2 ADCである、v6363の抗腫瘍有効性を評価した。このモデルは、単剤トラスツズマブ、トラスツズマブ及びペルツズマブの組み合わせ(実施例31を参照)、カペシタビン、ドセタキセル、及びアドリアマイシン/シクロホスファミドに対して耐性である。
【0427】
雌無胸腺ヌードマウスに、20mm
3腫瘍断片の皮下挿入を介して、腫瘍を接種した。腫瘍を、それらが160mm
3の平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を5つの処置群:非特異的ヒトIgG対照、及び4つの漸増用量のv6363へと無作為化した。8〜10匹の動物を各群に含んだ。各群についての投薬は以下の通りである。IgG対照を、10mg/kgで週2回試験29日目まで静脈内投薬した。v6363を、0.3、1、3、または10mg/kgで試験1、15、及び29日目に静脈内投薬した。腫瘍体積は、試験全体を通して測定し、パラメータを表29に示すように評価した。
【0428】
結果を、
図32及び表28に示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピックADC(v6363)が、トラスツズマブ耐性HBCx−13b PDXモデルにおいて用量依存性腫瘍増殖阻害を媒介したことを示す(
図32A)。加えて、v6363は、用量依存的様式で全生存期間を改善し、3mg/kg及び10mg/kg用量では63日間を超える生存時間中央値を伴い、それに比べてIgG対照では43日間であった(
図32B及び表28)。3mg/kg用量は、対照(0/8)と比較して増加した奏効率(5/10)を伴った。10mg/kg用量のv6363を用いて処置されたすべてのマウスは、治療に応答した(9/9)のみでなく、腫瘍進行の防止も示した。さらには、腫瘍の大半が客観的な部分奏功(7/9)を有し、試験の終了時には、多くがゼロ残存疾患を有した(6/9)。v6363は、すべての用量に十分に忍容性を示し、有害事象は観察されず、体重減少も観察されなかった。
(表28)
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【0429】
これらのデータは、例示的な抗HER2二重パラトピックADC(v6363)が、トラスツズマブ+ペルツズマブ耐性HER2 3+転移性乳癌腫瘍異種移植モデルにおいて有効であることを示す。v6363処置は、標準治療に対して耐性であるHER2 3+乳癌において、高い奏効率を伴い、腫瘍進行を有意に減速させ、生存期間を延長させる。
【0430】
実施例31:トラスツズマブ耐性PDX HBCx−13bにおける標準治療の組み合わせと比較した二重パラトピック抗HER2−ADC
HER2 3+、ER−PR陰性トラスツズマブ耐性の、患者由来の、乳癌異種移植モデル(HBCx−13b)におけるv6363の有効性を評価し、Herceptin(商標)+Perjeta(商標);及びHerceptin(商標)+ドセタキセルの組み合わせと比較した。
【0431】
雌無胸腺ヌードマウスに、20mm3腫瘍断片の皮下挿入を介して、腫瘍を接種した。腫瘍を、それらが100mm3の平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を4つの処置群(8〜10動物/群):非特異的ヒトIgG対照、Herceptin(商標)+ドセタキセル、Herceptin(商標)+Perjeta(商標)、及びv6363へと無作為化した。各群についての投薬は以下の通りである。IgG対照を、10mg/kgで週2回試験29日目まで静脈内投薬した。Herceptin(商標)+ドセタキセル併用では、Herceptin(商標)を、10mg/kgで週2回試験29日目まで静脈内投薬し、ドセタキセルを、20mg/kgで試験1及び22日目に腹腔内投薬した。Herceptin(商標)+Perjeta(商標)併用では、Herceptinを5mg/kgで週2回試験29日目まで静脈内投薬し、Perjeta(商標)を5mg/kgで週2回試験29日目まで静脈内投薬した。Herceptin(商標)及びPerjeta(商標)の投薬は同時とした。v6363を、10mg/kgで試験1、15、及び29日目に静脈内投薬した。
【0432】
結果を、
図33及び表29に示す。
図33Aは、経時的な腫瘍体積を示し、
図33Bは、生存プロットを示す。これらの結果は、Herceptin(商標)+Perjeta(商標)の併用が、対照IgGと比較していずれの腫瘍増殖阻害も生じず、39日目に1800mm
3を超えたことを示す。Herceptin(商標)+ドセタキセルの併用は、腫瘍増殖を有意に減少させなかったが、生存中央値を53日間まで延長し、それに比べてIgG対照では43日間であった。v6363は、有意な腫瘍増殖阻害(T/C−0.04)を生じ、ここで、すべての腫瘍は、治療に応答し、7/10腫瘍は、完全な退縮(ゼロ残存疾患)を経験した。v6363は、両方の併用療法と比較して、生存を有意に延長した。コホート全体にわたって、体重は処置により有意に影響されなかった。
(表29)
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【0433】
これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピックADC(v6363)が、この異種移植モデルにおいて検査されたすべてのパラメータに関して、標準治療の組み合わせよりも優れていることを示す。
【0434】
実施例32:HER2+トラスツズマブ耐性乳癌細胞由来の腫瘍異種移植モデルにおける二重パラトピック抗HER2−ADCの有効性
HER2 3+トラスツズマブ耐性乳癌細胞由来の(JIMT−1、HER2 2+)異種移植モデルにおけるv6363の有効性を評価した(Tanner et al.2004.Molecular Cancer Therapeutics 3:1585−1592)。
【0435】
雌RAG2マウスに、腫瘍を皮下接種した。腫瘍を、それらが115mm
3の平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を2つの処置群:トラスツズマブ(n=10)及びv6363へと無作為化した。各群での投薬は以下の通りである。トラスツズマブを、15mg/kgで試験1日目に、10mg/kgで週2回試験26日目まで静脈内投薬した。v6363を、5mg/kgで試験1及び15日目に、10mg/kgで23及び30日目に、9mg/kgで37及び44日目に静脈内投薬した。
【0436】
結果を、
図34及び表30に示す。これらの結果は、v6363が、試験36日目に、トラスツズマブと比較して腫瘍増殖を有意に阻害した(T/C−0.74)ことを示す。v6363及びトラスツズマブ処置は、体重を有意に変化させなかった。v6363血清曝露は、初回の10mg/kg用量から7日後に、17.9μg/mlであった。
(表30)
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【0437】
これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピックADC(v6363)が、トラスツズマブ耐性乳癌において有効であること、及び現行の標準治療に対して耐性である乳癌の処置において潜在的な有用性を有することを示す。
【0438】
実施例33:抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2二重パラトピック−ADCのヘテロ二量体FcへのFcγR結合
ヘテロ二量体Fcを有する抗HER2二重パラトピック抗体(v5019、v7019 v10000)及びADC(v6363、v7148及びv10553)の、ヒトFcγRへの結合を評価し、ホモ二量体Fcを有する抗HER2 FSA(v506)及びADC(v6246)と比較した。
【0439】
抗体Fc領域に対するFcγRの親和性を、ProteOn XPR36(BIO−RAD)を使用してSPRにより測定した。HER2を、標準的なアミンカップリングによってCM5チップ上に固定化した(3000RU)。抗体は、HER2表面上で抗原捕捉された。精製したFcγRを、様々な濃度(20〜30μl/分)で2分間注射し、続いて、4分間解離させた。センソグラムを、1:1のラングミュア結合モデルに全体的に当てはめた。実験は25℃で実施した。
【0440】
結果を、表31に示す。例示的なヘテロ二量体抗HER2二重パラトピック抗体及びADCは、同等の親和性でCD16aF、CD16aV158、CD32aH、CD32aR131、CD32bY163及びCD64Aに結合した。抗体とSMCC−DM1のコンジュゲーションは、FcγR結合に負の影響を及ぼさない。ヘテロ二量体抗HER2二重パラトピック抗体は、ホモ二量体抗HER2 FSA(v506)及びADC(v6246)と比較して、CD16aF、CD32aR131、CD32aHに対しておおよそ1.3〜2倍高い親和性を有する。これらの結果は、ヘテロ二量体抗HER2二重パラトピック抗体及びADCが、野生型ホモ二量体IgG1と同様か、またはそれよりも高い親和性で、免疫エフェクター細胞上のFcγRの異なる多形形態と結合することを示す。
(表31)SPRによるヒトFcγR結合
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【0441】
実施例34:トラスツズマブ感受性卵巣癌細胞由来の腫瘍異種移植モデルにおけるin vivoでの例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の有効性
実施例17に記載した、樹立したヒト卵巣癌細胞由来の異種移植モデルSKOV3を使用して、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体、v5019、v7091及びv10000の抗腫瘍有効性を評価した。
【0442】
雌無胸腺ヌードマウスに、HBSS中325,000細胞の腫瘍懸濁液を左側腹部で皮下接種した。腫瘍を、それらが190mm
3の平均体積に達するまでモニターし、無作為化及び交互様式で4つの処置群:非特異的ヒトIgG対照、v5019、v7091、及びv10000に登録した。各群での投薬は以下の通りとした。非特異的ヒトIgGを、10mg/kgで試験1日目に開始して、週2回試験26日目まで静脈内投薬した。V5019、v7091、及びv10000を、3mg/kgで試験1日目に開始して、週2回試験26日目まで静脈内投薬した。腫瘍体積を、試験全体を通して測定し、表32に挙げるパラメータを29日目に測定した。
【0443】
データを
図35A(腫瘍増殖)、
図35B(生存プロット)、及び表32に提示し、これらは、v5019、v7091、及びv10000を用いた処置が、IgG対照と比較して匹敵する腫瘍増殖阻害(T/C:0.53〜0.71)、応答腫瘍数、無増悪期間、及び生存を試験29日目でもたらしたことを示す。v5019、v7091、及びv10000の血清曝露は、試験7日目で、同様であった(31〜41μg/ml)。
(表32)
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【0444】
これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体、v5019、v7091、及びv10000)が、中程度トラスツズマブ感受性HER2過剰発現卵巣癌の処置において、潜在的な有用性を有することを示す。
【0445】
実施例35:例示的な二重パラトピック抗her2抗体は、トラスツズマブ感受性卵巣癌細胞由来の腫瘍異種移植片において、腫瘍増殖を用量依存的に阻害する
樹立したヒト卵巣癌細胞由来の異種移植モデルSKOV3は、実施例17に記載されており、これを使用して、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体である、v10000の用量依存性有効性を評価した。
【0446】
雌無胸腺ヌードマウスに、HBSS中325,000細胞の腫瘍懸濁液を左側腹部で皮下接種した。腫瘍を、それらが190mm
3の平均体積に達するまでモニターし、無作為化及び交互様式で6つの処置群:非特異的ヒトIgG対照及び5つの漸増用量のv10000に登録した。9〜13匹の動物を各群に含んだ。各群での投薬は以下の通りとした。IgG対照を、10mg/kgで週2回試験26日目まで静脈内投薬した。V10000を、0.1、0.3、1、3、または10mg/kgで週2回静脈内投薬した。
【0447】
データを、
図36及び表33に提示し、これらは、v10000を用いた処置が、対照IgGと比較して、腫瘍増殖阻害(T/C:0.28〜0.73)を用量依存的に誘発することを示す。加えて、v10000は、試験29日目で、応答腫瘍を用量依存的に伴い(10mg/kgで7/9、及び0.1mg/kgで3/11)、無増悪期間を増加させた(10mg/kgで24日間、及び0.1mg/kgで12日間)。7日目でのv10000の血清曝露は、用量依存的であり、0.1mg/kg用量での0.46μg/mlから、10mg/kg用量での79.3μg/mlまで増加した。
(表33)
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【0448】
これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体であるv10000が、用量依存性様式で腫瘍進行を阻害することを示す。
【0449】
実施例36:HER2、ならびにEGFRおよび/またはHER3を3+、2+、または1+レベルで発現する細胞系の増殖を阻害する抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2二重パラトピック−ADCの能力
以下の実験を、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v10000)及び対応する二重パラトピック抗HER2 ADC(v10553)の、IHCによって定義されているように、3+、2+、1+、または0+レベルでHER2、ならびにEGFRおよび/またはHER3を発現する乳房、結腸直腸、胃、肺、皮膚、卵巣、腎臓、膵臓、頭頚部、子宮、及び膀胱腫瘍細胞系の選択物の増殖を阻害する能力を測定するために行った。
【0450】
実験を以下のように実施した。各細胞系について最適な播種密度を独自に決定して、72時間のアッセイ後に、おおよそ60〜90%の集密度をもたらす播種密度を同定した。各細胞系を、最適な播種密度で、細胞系ごとに適切な増殖培地中、96ウェルプレートに播種し、24℃にて36℃及び5%CO
2でインキュベートした。抗体を、陽性対照及びビヒクル対照のほかに、3つの濃度で(v10000は、300、30、及び0.3nMで;v10553は、300、1、0.1nMで)加えた。陽性対照である化学カクテル(chemococktail)薬物組み合わせは、5−FU(5−フルオロウラシル)、パクリタキセル、シスプラチン、エトポシド(25μM)、ビヒクル対照は、PBSからなるものとした。抗体処置物及び対照を、細胞と72時間、細胞培養インキュベーター中、36℃及び5%CO
2でインキュベートした。プレートを1200RPMで10分間遠心し、培養培地を吸引によって完全に除去した。RPMI SFM培地(200μL)及びMTS(20μL)を各ウェルに加え、36℃及び5%CO
2で3時間インキュベートした。光学密度を490nMで読取り、増殖阻害率(%)を、ビヒクル対照に対して決定した。
【0451】
結果を
図37に示し、すべての試験結果の概要を
図38に示す。
図37Aは、v10000の増殖阻害結果を示す。これらの結果は、v10000が、HER2ならびに共発現EGFRおよび/またはHER3を3+、2+、1+、または0+レベルで発現する乳房、結腸直腸、胃、肺、皮膚、卵巣、腎臓、膵臓、頭頚部、子宮、及び子宮内膜腫瘍細胞系の増殖を阻害することができることを示す。300nMでのv10000及びv10553の活性を
図38にまとめ、ここで、「+」は、300nMで、ビヒクル対照の5%超である細胞生存力の低下を示した細胞系を示し、「−」は、ビヒクル対照の5%以内の生存力を示す。
【0452】
図37Bは、v10553の増殖阻害結果を示す。これらの結果は、v10553が、HER2ならびに共発現EGFRおよび/またはHER3を3+、2+、1+、または0+レベルで発現する乳房、結腸直腸、胃、肺、皮膚、卵巣、腎臓、膵臓、頭頚部、子宮、及び膀胱腫瘍細胞系の増殖を阻害することができることを示す(
図38も参照されたい)。
図37Bにおいてプロットした結果は、300及び1nMで最小の用量依存性増殖阻害を示した細胞系によって既定されており、ここで、1nMでの増殖阻害は、5%以上である(
図37B)。
【0453】
これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗体v10000及びADCのv10553が、HER2を3+、2/3+、2+、1+、及び0/1+レベルで発現し、EGFRおよび/またはHER3を2+、1+レベルで共発現する乳房、結腸直腸、胃、肺、皮膚、卵巣、腎臓、膵臓、頭頚部、子宮、及び膀胱組織から生じる腫瘍細胞の増殖を阻害することができることを示す。
【0454】
実施例37:HER2 2+、1+、及び0/1+癌細胞のADCCを媒介する抗HER2二重パラトピック抗体の能力
以下の実験を、HER2を2+、1+および/または0/1+レベルで発現し、EGFRおよび/またはHER3を2+または1+レベルで共発現する腫瘍細胞のADCCを媒介する抗HER2二重パラトピック抗体の能力を決定するために実施した。検査した抗HER2二重パラトピック抗体は、5019、10000、及び10154(v10000をアフコシル化したもの)であり、Herceptin(商標)及びv506を対照とした。
【0455】
ADCC実験を、NK−92エフェクター細胞を用いて5:1のE/Tで実施例11及び実施例25に記載するように(
図39)、及びPBMCエフェクター細胞を用いて30:1のE/Tで実施例26に記載するように行った。
【0456】
結果を、
図39(NK−92エフェクター細胞)及び
図40(PBMCエフェクター細胞)に示す。
図39Aは、HER2 2+頭頚部腫瘍細胞系(下咽頭癌腫)であるFaDuのADCC結果を示し、ここで、抗HER2二重パラトピックは、おおよそ15%の最高細胞溶解を引き出す。
図39Cは、HER2 1+BxPC3膵臓腫瘍細胞系のADCC結果を示し、
図39Dは、HER2 2+MiaPaca2膵臓腫瘍細胞系の結果を示す。
図39Bは、HER2 0/1+A549 NSCLC(非小細胞肺癌)腫瘍細胞系のADCC結果を示す。BxPC3、MiaPaca2、及びA549腫瘍細胞系において、v10000は、おおよそ5%の最高腫瘍細胞溶解を媒介した。
【0457】
図40は、A549、NCI−N87、及びHCT−116細胞におけるADCC結果を示し、ここで、PBMCをエフェクター細胞として使用した。
図40Aは、HER2 0/1+A549 NSCLC腫瘍細胞系のADCC結果を示し、ここで、v10000は、約28%の最大細胞溶解を引き出し、これは、N−連結グリカンにおいて同等レベルのフコース含有率を有するHerceptin(商標)に匹敵した。例示的な100%アフコシル化(フコース0%)二重パラトピックv10154は、N−連結グリカンにおいておおよそ88%のフコースを有するv10000及びHerceptinと比較して、最大細胞溶解の増加(40%の最大細胞溶解)及び効力の増加を示す。
【0458】
図40Bは、HER2 3+胃腫瘍細胞系である、NCI−N87のADCC結果を示す。
図40Bは、例示的な二重パラトピックv5019(おおよそ88%フコシル化)がおおよそ23%の最高細胞溶解を媒介し、トラスツズマブv506(おおよそ98%フコシル化)と比較して低いEC50を有することを示す。
【0459】
図40Cは、HER2 1+HCT−116結腸直腸腫瘍細胞系のADCC結果を示す。
図40Cは、例示的な二重パラトピックv5019(おおよそ88%フコシル化)がおおよそ25%の最高細胞溶解を媒介し、トラスツズマブv506(おおよそ98%フコシル化)と比較してより効力があることを示す。
【0460】
これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体が、頭頚部、胃、NSCLC、及び膵臓腫瘍組織学から生じるHER2 01/+、2+、及び3+腫瘍細胞のADCCを引き出すことができることを示す。エフェクター細胞としてNK−92細胞の存在下でのADCCは、比較的高い(5%超)割合(%)の最大細胞溶解を示すためには、明らかなHER2 2+受容体レベル(すなわち、2+以上)を必要とした。しかしながら、PBMC細胞をエフェクター細胞として使用したとき、比較的高いレベルの最大細胞溶解が達成され(それぞれv10000及びv10154で、5%超及び最大28%または40%)、これらは、0/1+、1+、及び3+のHER2受容体密度レベルで5%超のADCCが見られたために、HER2受容体密度とは独立していた。
【0461】
実施例38:SPRにより測定したHER2結合親和性及び反応速度
実施例1に示すように、異なる抗原結合性部分の形式を有する抗HER2二重パラトピック抗体を構築し、表1に記載のとおりである。形式には、scFv−scFv形式(v6717)、Fab−Fab形式(v6902及びv6903)の他にも、Fab−scFv形式(v5019、v7091、及びv10000)が含まれた。以下の実験を、これらの例示的な抗HER2二重パラトピック抗体形式のHER2結合親和性及び反応速度を比較するために行った。
【0462】
マウスHER2 ECD(Sino Biological 50714−M08H)への親和性及び結合反応速度を、BiacoreからのT200 SPRシステム(GE Healthcare)を用いて単一サイクル反応速度によって測定した。抗ヒトFcの2000〜4000RUを、標準的なアミンカップリングを使用してCM5チップ上に固定化した。5019は、50RUで抗ヒトFc表面上に捕捉された。組換えHER2 ECD(1.8〜120nM)を50μl/分で3分間注射し、最終の注入後に、30分の解離を続けた。HER2希釈液を二重で分析した。センサーグラムを、1:1のラングミュア結合モデルに全体的にあてはめた。すべての実験を室温の25℃で実施した。
【0463】
表34の結果は、Fab−scFv二重パラトピック抗体(v5019及びv7091)、Fab−Fab変異体(v6902及びv6903)、及びscFv−scFv変異体(v6717)が同等の結合親和性(1〜4nM)を有することを示す。Fab−scFv変異体v10000は、約0.6nMの比較的高い結合親和性(低いKD)を有した。単一特異性抗HER2 ECD4抗体(v506)及び抗HER2 ECD2抗体(v4184)は、対照としてアッセイに含まれた。これらの結果は、v6717、v6902、v6903、v5019、および/またはv7091を含む分子形式が、同等の結合親和性を有することを示し、ゆえに、これらの抗体間での機能の差違は、形式の差異から生じると考えられ得る。
(表34)
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【0464】
実施例39:HER2+腫瘍細胞への結合に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果
以下の実験を、異なる分子形式(例えば、v6717、scFv−scFv IgG1;v6903及びv6902 Fab−Fab IgG1;v5019、v7091及びv10000 Fab−scFv IgG1)を有する例示的な抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体の全細胞結合特性(Bmax及び見かけのK
D)を比較するために行った。
【0465】
実験を、実施例6に記載するように実施した。結果を、
図41及び表35〜38に示す。
図41A及び表35は、BT474 HER2 3+乳房腫瘍細胞系への例示的な二重パラトピック抗体のFACS結合結果を示す。結果は、すべての抗HER2抗体が、単一特異性二価抗HER2抗体v506と比較したときに、より高いBmax(1.5〜1.7倍高い)を有することを示す。v506と比較して、Fab−scFv(v5019、v7091、及びv10000)及びFab−Fab(v6903)形式は、おおよそ1.7倍増加したBmaxを有し、scFv−scFv形式(v6717)は、1.5倍増加したBmaxを有した。FSAであるv506及びv4184の等モルの組み合わせは、Bmaxにおいて1.7倍の増加をもたらした。例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の見かけのK
Dは、単一特異性v506と比較しておおよそ2〜3倍高かった。
(表35)FACS結合BT−474
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【0466】
図41B及び表36は、JIMT−1 HER2 2+乳房腫瘍細胞系へのFACS結合結果を示す。結果は、すべての抗HER2抗体が、単一特異性二価抗HER2抗体v506と比較したときに、より高いBmax(1.5〜1.8倍高い)を有することを示す。v506と比較して、Fab−scFv(v7091及びv10000)及びFab−Fab(v6903)形式は、おおよそ1.7倍増加したBmaxを有し、scFv−scFv形式(v6717)は、1.5倍増加したBmaxを有し、Fab−scFv(v5019)及びFSA組み合わせ(v506+v4184)は、1.8倍増加したBmaxを有した。例示的な抗HER2二重パラトピックFab−scFv抗体の見かけのK
Dは、単一特異性v506と比較しておおよそ2〜4倍高く;一方で、Fab−Fab(v6903)及びscFv−scFv(v6717)のK
Dは、v506と比較しておおよそ8倍高かった。
(表36)FACS結合JIMT−1
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【0467】
図41C及び表37は、HER2 1+MCF7乳房腫瘍細胞系への例示的な二重パラトピック抗体のFACS結合結果を示す。結果は、抗HER2抗体v10000及びFSA組み合わせ(v506+v4184)が、単一特異性二価抗HER2抗体v506と比較して1.6倍高いBmaxを有することを示す。v506と比較して、Fab−scFv(v5019、v7091)は、おおよそ1.4倍;scFv−scFv形式(v6717)は、1.3倍、そしてFab−Fab形式(v6903)は、1.2倍増加したBmaxを有した。例示的な抗HER2二重パラトピックFab−scFv、Fab−Fab(v6903)及びFSA組み合わせ(v506+v4184)の見かけのK
Dは、v506と比較しておおよそ2〜3分の1であったが;一方で、scFv−scFv(v6717)のK
Dは、v506と比較しておおよそ3倍高かった。
(表37)FACS結合MCF7
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【0468】
図41D及び表38は、HER2 0/1+MDA−MD−231乳房腫瘍細胞系への例示的な二重パラトピック抗体のFACS結合結果を示す。結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体が、単一特異性二価抗HER2抗体v506と比較しておおよそ1.3〜1.4倍増加したBmaxを有したことを示す。FSA組み合わせ(v506+v4184)は、1.7倍増加したBmaxを有した。例示的な抗HER2二重パラトピックFab−scFv抗体(v5019、v7091、v10000)及びFSA組み合わせ(v506+v4184)の見かけのK
Dは、v506と比較してほぼ同等のKDを有し;一方で、Fab−Fab(v6903)及びscFv−scFv(v6717)は、v506と比較してそれぞれおおよそ4及び16倍高いK
Dであった。
(表38)FACS結合MDA−MB−231
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【0469】
腫瘍細胞結合結果は、異なる分子形式を有する抗HER2二重パラトピック抗体が、HER2 3+、2+、1+、及び0/1+腫瘍細胞に対して、二価単一特異性抗HER2抗体と比較して増加したBmaxを有することを示す。異なる抗HER2二重パラトピック抗体のうち、scFv−scFv形式が、v506と比較して、HER2 3+、2+、1+、及び0/1+腫瘍細胞に対して有するBmaxの増加が最も低かった。これらの結果は、scFv−scFv及びFab−Fab形式が、単一特異性v506(3〜16倍の増加)及び二重パラトピックFab−scFv形式(おおよそ2倍以上)と比較して、HER2 3+、2+、1+、及び0/1+腫瘍細胞に対して有するK
Dの増加が最大であったことを示す。K
Dの増加は、積極的な結合の減少の指標であり、異なる二重パラトピック形式が、細胞表面上のHER2への結合について固有の機構を有することを示す。
【0470】
実施例40:HER2+細胞における内部移行に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果
以下の実験を、異なる分子形式(例えば、v6717、scFv−scFv IgG1;v6903及びv6902 Fab−Fab IgG1;v5019、v7091及びv10000 Fab−scFv IgG1)を有する例示的な抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体の、様々なレベルでHER2を発現するHER2+細胞に内部移行する能力を比較するために実施した。
【0471】
実験を実施例9において詳述したように実施した。結果を
図42及び表39〜41に示す。
図42A及び表39は、HER2 3+BT−474における内部移行結果を示す。これらの結果は、Fab−scFv形式(v10000)及びFSA組み合わせ(v506+v4184)が、単一特異性抗HER2 v506と比較して、2.2倍多い量の細胞内抗体を有することを示す。v506と比較して、scFv−scFv形式(v6717)は、1.9倍多い;Fab−scFv形式(v5019及びv7091)は、1.5〜1.7倍多い;及びFab−Fab形式(v6902及びv6903)は、1.2〜1.3倍多い量の細胞内抗体蓄積を有した。
(表39)内部移行BT−474
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【0472】
図42B及び表40は、HER2 2+JIMT−1における内部移行結果を示す。これらの結果は、Fab−scFv形式(v10000)及びFSA組み合わせ(v506+v4184)が、単一特異性抗HER2 v506と比較して、それぞれ1.8倍及び1.9倍多い量の細胞内抗体を有することを示す。v506と比較して、scFv−scFv(v6717)及びFab−scFv形式(v5019)は、1.4倍多い量;Fab−scFv(v7091)及びFab−Fab形式(v6902及びv6903)は、1.2倍多い量の細胞内抗体蓄積を有する。
(表40)内部移行JIMT−1
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【0473】
図42C及び表41は、HER2 1+MCF7における内部移行結果を示す。これらの結果は、scFv−scFv形式及びFab−scFv形式が、単一特異性抗HER2 v506と比較して、3.0及び2.8倍多い量の細胞内抗体を有することを示す。v506と比較して、Fab−scFv形式(v10000)及びFSA組み合わせ(v506+v4184)は、おおよそ2.0倍;Fab−scFv(v7091)及びFab−Fab(v6903)形式は、1.8倍多い量の細胞内抗体蓄積を有する。
(表41)内部移行MCF7
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【0474】
これらの結果、異なる分子形式を有する抗HER2二重パラトピック抗体が、固有の程度の内部移行をHER2 3+、2+及び1+腫瘍細胞において有することを示し、これは、抗原結合性ドメインの構造及び形式に関して変動する。一般に、v506及びv4184の単一特異性FSA組み合わせ、Fab−scFv(v10000、v7091及びv5019)ならびにscFv−scFv(v6717)二重パラトピック形式は、HER2 3+、2+及び1+腫瘍細胞において比較的高い内部移行値を有した。それに対して、Fab−Fab二重パラトピック形式(v6902及びv6903)は、HER2 3+、2+、及び1+腫瘍細胞において、最も低い内部移行値を有した。これらのデータは、抗原結合性ドメインの分子形式及び幾何学的スペーシングが、二重パラトピック抗体の、HER2受容体を架橋し、引き続いて、HER2+腫瘍細胞に内部移行する能力に影響を与えることを示す。2つの抗原結合性ドメインの間の距離が最大であるFab−Fab二重パラトピック形式は、最も低い程度の内部移行をもたらしたが、抗原結合性ドメインの間の距離がより短いFab−scFv及びscFv−scFv形式は、HER2+細胞においてより大きい内部移行を有した。これは、Jost et al 2013,Structure 21,1979−1991)に記載されたとおりの効力及び比較的短いリンカー長さの相関と一致する。
【0475】
実施例41:HER2+細胞におけるADCCに与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果
以下の実験を、異なる分子形式(例えば、v6717、scFv−scFv IgG1;v6903及びv6902 Fab−Fab IgG1;v5019、v7091及びv10000 Fab−scFv IgG1)を有する例示的な抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体の、HER2を様々なレベルで発現するHER2+細胞においてADCCを媒介する能力を比較するために実施した。
【0476】
ADCCアッセイを行う前に、グリコペプチド分析を抗体試料で行って、N−連結グリコペプチドにおけるフコース含有率を定量化した。実施例23に記載のように方法を行った。結果を表42に示す;データは、例示的な二重パラトピック変異体v5019、v6717、v6903が、N−連結グリカンにおいて同等のフコース含有率(91〜93%)を有することを示す。N−グリカンにおいて同等レベルのフコースを有する抗体試料をADCCアッセイのために選択して、ADCCアッセイ結果を解釈する際にフコース含有率に対して正規化した。
(表42)LC−MSトリプシンペプチド分析
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【0477】
ADCC実験を、NK−92エフェクター細胞を用いて5:1のE/Tで実施例11に記載のように実施した。ADCC結果を、
図43及び表43〜45に示す。
図43A及び表43は、HER2 2+JIMT−1乳房腫瘍細胞におけるADCC結果を示す。これらのデータは、v5019、v6717、及びv6903が同様のレベルの最大細胞溶解を引き出すこと、及びHER2 2+腫瘍細胞が標的であるとき、scFv−scFv形式(v6717)が、v5019及びv6903と比較して効力が低いことを示す。
(表43)JIMT−1ADCC
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【0478】
図43B及び表44は、HER2 1+MCF7乳房腫瘍細胞におけるADCC結果を示す。これらのデータは、v5019及びv6717が、v6903(24%)と比較してやや高い最大細胞溶解(27〜30%)を有することを示す。これらのデータはまた、v6717が最も効力が低く、低いEC50値を有するv6903及びv5019が続くことを示す。
(表44)MCF7 ADCC
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【0479】
図43C及び表45は、HER2 0/1+MDA−MB−231乳房腫瘍細胞におけるADCC結果を示す。これらのデータは、v5019がv6903(62%)及びv6717(63%)と比較してやや高い最大細胞溶解(77%)を示すことを示す。これらのデータはまた、v6717が最も効力が低く、低いEC
50値を有するv6903及びv5019が続くことを示す。
(表45)MDA−MB−231 ADCC
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【0480】
これらのデータは、例示的な抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体が、HER2 2+及び1+腫瘍細胞において、ADCCによる同様のレベルの最大細胞溶解を引き出すことを示す。最大細胞溶解における類似性にもかかわらず、これらのデータは、異なる分子形式が固有のADCC効力を有することも示す。scFv−scFvは、HER2 2+及びHER2 1+において効力が最も低かった(最大のEC
50値)。これらの3つの形式間での効力の差が、HER2 1+細胞を標的とするADCCデータにおいて見られ、ここでEC50値は、v6717>v6903>v5019であった。これらのデータは、実施例40(FACS結合)において提示された観察と一致し、ここでK
Dの増加(親和性の低下)が、Fab−Fab及びscFv−scFv形式で見られた。
【0481】
実施例42:HER2+腫瘍細胞の増殖に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果
以下の実験を、基礎増殖またはリガンド刺激されたかのいずれかの、HER2 3+、2+、及び1+腫瘍細胞の増殖に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を比較するために行った。基礎増殖は、実施例15に記載したように測定し、リガンド刺激増殖は、実施例27に記載したように測定した。両方の種類の実験において、増殖を、対照処置に対する生存率(%)として測定した。
【0482】
図44及び表46は、外因性増殖刺激リガンド(EGF及びHRG)の存在下でHER2 3+乳癌細胞(BT−474)の増殖に与える例示的な抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体の効果を示す。EGFまたはHRGの不在下で、抗HER2二重パラトピック抗体は、BT−474細胞の増殖を阻害することができ、ここで各処置群の生存率(%)を以下のように順位付けした:v6903<v506+v4184<506<v7091<v5019<v10000<v6717。HRGの存在下では、モック対照に対する増殖阻害は、v506+v4184のFSA組み合わせでのみ達成された。EGFの存在下では、モック対照に対する増殖阻害が達成され、各処置群の生存率(%)を以下のように順位付けした:v6903<v506+v4184<7091<v10000<5019。
(表46)
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【0483】
図45は、SKBr3 HER2 3+細胞系の増殖阻害に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の用量依存性効果を示す。データは、
図44に提示する結果と一致し、ここで二重パラトピック形式の効力/有効性の順位は、HER2 3+腫瘍細胞では、Fab−Fab>Fab−scFv>scFv−scFvのとおりである。
【0484】
抗HER2二重パラトピック抗体形式がHER2+細胞の生存に与える効果を
図46に示し、ここで、
図46Aは、300nMでのトラスツズマブ感受性SKOV3 HER2 2+/3+細胞系における結果を示し;
図46Bは、300nMでのJIMT−1 HER2 2+(トラスツズマブ耐性)細胞における結果を示し、
図46Cは、300nMでのMCF7 HER2 1+細胞系における結果を示す。SKOV3細胞系では、増殖阻害の程度において二重パラトピック形式間でほとんど差異は観察されず、JIMT−1及びMCF7細胞においていずれの被験抗体によっても、増殖阻害は観察されなかった。
【0485】
図44及び
図45におけるデータは、Fab−scFv及びFab−Fab形式を有する抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体(v5019、v7091、v10000、v6903)が、EGFまたはHRGの不在下、及び存在下で、HER2 3+腫瘍細胞を増殖阻害することができることを示す。HER2 3+細胞系BT−474及びSKBR3では、モック対照に対する増殖阻害を、以下のとおりに順位付けした、v506+v4184>v6903>v7091>v10000>v5019>v506>v6717。抗原結合性ドメイン間の距離(Fab−Fab>Fab−scFv>scFv−scFv)は、HER2 3+腫瘍細胞における増殖阻害の順位序列と相関する。トラスツズマブ感受性腫瘍細胞であるBT−474及びSKBr3におけるデータに基づき、形式間の増殖阻害の差違は、HER2 3+レベルにおいては有意であるが、HER2 2+またはHER2 1+レベルではそれほどではないと予測され得る。
【0486】
実施例43:様々な抗体捕捉レベルでのHER2結合親和性及び反応速度の評価
以下の実験を、SPRにより様々な表面密度で捕捉されたときの例示的な抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体のHER2結合反応速度(kd、オフ速度)を比較するために、実施した。オフ速度の低下(減速)と抗体捕捉レベル(表面密度)の増加との間の相関は、トランス結合(すなわち、実施例12に記載する、2つのHER2分子への1つの抗体分子結合)の指標である。この実験では、Fab−Fab形式(v6903)をFab−scFv形式(v7091)と比較して、変異体間でのトランス結合における潜在的な差異を決定した。抗原結合性ドメイン間の空間的距離が比較的広いために、Fab−Fab形式がシス結合することができる可能性がある(1つのHER2分子上のECD2及び4を係合する);それに対し、Fab−scFvは、その抗原結合性ドメイン間の距離が比較的短いために、シス結合することができないだろうと仮定される。抗HER2単一特異性v506を対照として含んだ。
【0487】
実験を、実施例12に記載するようにSPRにより実施した。データを
図47に示す。
図47Aは、v6903及びv7091の異なる抗体捕捉レベルでのkd(1/s)のプロット及び線形回帰分析を示す。v7091及びv6093は両方とも、表面捕捉レベルの増加につれてオフ速度が低減する傾向を示す;しかしながら、この相関は、Fab−scFv変異体では有意である(v7091;P値=0.023)が、Fab−Fab形式では有意でない(v6093;P値=0.053)。オフ速度は、抗HER2単一特異性対照であるv506では様々な抗体捕捉レベルで、変化しないままであった。
【0488】
図47Bは、v6903及びv7091の異なる抗体捕捉レベルでのK
D(M)のプロット及び線形回帰分析を示す。オフ速度比較と同様に、v7091及びv6093は両方とも、表面捕捉レベルの増加につれて親和性が増加する(K
D値が低くなる)傾向を示す。しかしながら、この相関は、Fab−scFv変異体では有意である(v7091;P値=0.04)が、Fab−Fab形式では有意でない(v6093;P値=0.51)。K
Dは、抗HER2単一特異性対照であるv506では様々な抗体捕捉レベルで、変化しないままであった。
図47のデータは、Fab−Fab及びFab−scFv抗HER2二重パラトピック抗体形式が、抗体表面捕捉レベルの増加につれてオフ速度が低減する傾向を示すことを示し;これらの傾向は、単一特異性抗Her2抗体と比較して固有である。
【0489】
実施例44:ペルツズマブFabの親和性及び安定性の操作
表1に示すように、1つの変異体(v10000)は、突然変異をペルツズマブFabに含有する。このFabは、in silicoでの試みによる親和性及び安定性の操作から誘導され、一価またはワンアーム(One−Armed)抗体(OAA)として実験的に測定された。
【0490】
変異体9996:一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上のペルツズマブから誘導されたFabであり、Y96AをVL領域に、T30A/A49G/L69FをVH領域に有し(Kabatナンバリング)、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407V(EUナンバリング)を鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394W(EUナンバリング)を鎖Bに有するヘテロ二量体であり、鎖Bのヒンジ領域は、突然変異C226Sを有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。
【0491】
変異体10014:一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上のペルツズマブから誘導されたFabであり、Y96AをVL領域に、T30AをVH領域に有し(Kabatナンバリング)、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407V(EUナンバリング)を鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394W(EUナンバリング)を鎖Bに有するヘテロ二量体であり、鎖Bのヒンジ領域は、突然変異C226Sを有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。
【0492】
変異体10013:一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上の野生型ペルツズマブから誘導されたFabであり、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407V(EUナンバリング)を鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394W(EUナンバリング)を鎖Bに有するヘテロ二量体であり、鎖Bのヒンジ領域は、突然変異C226Sを有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。
【0493】
以下の実験を、遺伝子操作したペルツズマブ変異体のHER2結合親和性及び安定性を比較するために実施した。
【0494】
OAA変異体をクローニングし、実施例1に記載のように発現させた。
【0495】
OAAを、実施例1に記載のように、プロテインAクロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。
【0496】
ヘテロ二量体純度(すなわち、ヘテロ二量体Fcを伴うOAAの量)を、Caliper LabChip GXII(Perkin Elmer #760499)を使用して非還元型ハイスループットタンパク質発現アッセイにより評価した。手順を、HT Protein Express LabChip UserGuide version2 LabChip GXII User Manualに従って、ただし、以下の改変を加えて行った。ヘテロ二量体試料を、2μlまたは5μl(濃度範囲は5〜2000ng/μl)のいずれかで、96ウェルプレート(BioRad #HSP9601)の別々のウェルに、7μlのHT Protein Express SampleBuffer(Perkin Elmer #760328)と共に加えた。次いで、ヘテロ二量体試料を、70℃で15分間変性させた。LabChip機器を、HT Protein Express Chip(Perkin Elmer #760499)及びAb−200アッセイ設定を使用して操作する。使用後に、チップをMilliQ水で洗浄し、4℃で保管した。
【0497】
試料の安定性を、実施例24において示したプロトコルでDSCによって決定して、融解温度、つまりTmを測定することにより評価した。DSCを、SEC精製の前後に測定した。
【0498】
試料のHER2 ECDに対する親和性を、実施例12からのプロトコルに従ってSPRにより測定した。SPRを、SEC精製の前後に測定した。表47A及び47Bにおいてまとめるように、可変ドメインにおける突然変異は、野生型安定性を維持しつつ、野生型ペルツズマブと比較して、FabのHER2親和性を増加させている。(
1Caliper LabChipによって決定された純度;
2KD(野生型)/KD(変異体)
(表47A)
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(表47B)
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【0499】
実施例45:HER2−低、非小細胞肺癌の異種移植モデル(NSCLC)における生存及び腫瘍増殖に与えるv10000の効果
この実験を、肺癌のA549異種移植モデルにおける対照IgG(v6908)と比較したv10000の有効性を評価するために行った。A549細胞は、HER2−低、非HER2遺伝子増幅、HER3+、EGFR−低であり、MTD(最大耐量)でシスプラチンに中程度に感受性である、非扁平上皮非小細胞肺癌から誘導される。本試験は、下記のように実行した。
【0500】
腫瘍細胞懸濁液を、無胸腺ヌードマウスへと皮下移植した。腫瘍が158mm
3に達したときに、動物を表A1に示す群に無作為に割り当て、処置を盲検比較試験にて開始した。動物を、1日目にレジメン1に従って処置し、その後、表A1にて示すように後続日にレジメン2に従って処置した。
(表A1)試験設計
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【0501】
腫瘍体積をキャリパーによって週2回測定した。試験期間は66日間とし、生存を主要エンドポイントとした。追加の腫瘍応答基準を測定し、表A2に示す。マウスは、腫瘍体積が800mm
3を超えたときに安楽死させ、生存率(%)対試験日をカプラン・マイヤーでプロットし、ログランク検定を使用して統計学的に評価した。v10000の血清濃度を、HER2 ELISAにより試験7日目に決定した。
【0502】
結果を、
図48A(腫瘍体積)及び
図48B(カプラン・マイヤー生存)に示す。変異体10000は、v6908処置対照と比較して腫瘍増殖を減少させ、ログランク検定により有意に生存を延長した(
図48B及び表A3)。v10000を用いて処置された動物は、66日間を超える生存中央値を有し、一方で、v6908を用いて処置された動物は、25.78日間の生存中央値を有した(
図48B及び表A2)。試験30日目の腫瘍体積は、それぞれv10000及びv6908処置群で、461mm3及び810mm3であった(
図48A及び表A2)。血清曝露は、試験7日目で140.9μg/mLであり、これは、予測された血清濃度が達成されたことを示す。
【0503】
これらの結果は、このHER2−低、非遺伝子増幅NSCLCモデルにおいて、v10000を用いた処置が、対照hIgGを用いた処置と比較して、腫瘍増殖を減少させ、生存を延長することができることを示す。
(表A2)A549腫瘍応答プロファイル
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CR−完全奏功
PR−部分奏功
PD−進行性疾患
SD−安定疾患
(表A3)ログランク概要
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凡例:ns=有意でない、★=P<0.05.★★=P<0.01、★★★=P<0.001
【0504】
実施例46:HER2−低、頭頸部扁平上皮癌の異種移植モデルにおける生存及び腫瘍増殖に与えるv10000の効果
この実験を、頭頸部癌のFaDu異種移植モデルにおけるHerceptin(商標)(v6336)及び対照ヒトIgG(v6908)と比較したv10000の有効性を評価するために行った。FaDu細胞は、HER2低、非HER2遺伝子増幅、HER3+、EGFR+であり、MTDでシスプラチンに高感受性である、頭頸部の扁平上皮がんから誘導される。本試験は、下記のように実行した。
【0505】
腫瘍細胞懸濁液を、無胸腺ヌードマウスへと皮下移植した。腫瘍が121mm
3に達したとき、動物を表A4に示す群に無作為に割り当て、処置を盲検比較試験にて開始した。シスプラチンを購入し、Charles River Laboratories(ノースカロライナ州モリスビル)による試験のために提供した。動物を、1日目にレジメン1に従って処置し、その後、表A4にて記すように後続日にレジメン2より処置した。
(表A4)試験設計
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【0506】
腫瘍体積をキャリパーによって週2回測定した。試験期間は59日間とし、生存を主要エンドポイントとした。追加の腫瘍応答基準を測定し、表A5に示す。マウスは、腫瘍体積が2000mm
3を超えたときに安楽死させ、生存率(%)対試験日をカプラン・マイヤーでプロットし、ログランク検定を使用して統計学的に評価した。v10000及びv6336の血清濃度を、HER2 ELISAにより試験7日目に決定した。
【0507】
結果を、
図49A(腫瘍体積)及び
図49B(カプラン・マイヤー生存)に示す。変異体10000は、v6908処置対照及びv6336と比較して腫瘍増殖を減少させたのみでなく、v6908と比較してログランク検定により有意に生存を延長した(
図48B及び表A3)。v10000を用いて処置された動物は、46日間を超える生存中央値を有し、一方で、v6908及びv6336を用いて処置された動物は、それぞれ25及び40日間の生存中央値を有した(
図49B及び表A5)。試験25日目の腫瘍体積は、それぞれv10000、v6908及びv6336処置群で、1025、1979、1257mm
3であった(
図49A及び表A5)。血清曝露は、試験7日目にv10000では116.6μg/mL、v6336では119.9μg/mL、及びv10000+シスプラチンでは107.2μg/mLであり、これは、各試験物で、予測された血清濃度が達成されたことを示す。
【0508】
これらの結果は、HER2−低、非遺伝子増幅頭頚部癌のこのモデルにおいて、単独療法としてv10000を用いた処置が、対照IgGを用いた処置と比較して腫瘍体積を低減させ、生存を延長することができたことを示す。全体的に、v10000は、v6336(Herceptin(商標))と比較して腫瘍体積を低減させる傾向を示した。
【0509】
変異体10000を、シスプラチンとの組み合わせにおいても検査した。v10000及びシスプラチンの併用は、v6908、v6336、及び単剤シスプラチンと比較して生存を有意に延長した(表A5)。v10000及びシスプラチン併用の生存中央値は、53日間であり、一方でv6908、v6336、及び単剤シスプラチンの生存中央値は、それぞれ25、40、及び40日間であった。
【0510】
これらの結果は、シスプラチンと組み合わせてv10000を用いた処置が、頭頸部癌のこのモデルにおいて、v6908及びv6336と比較して腫瘍増殖を低減させ、生存を延長することができたことを実証する。
(表A5)FaDu腫瘍応答プロファイル
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CR−完全奏功
PR−部分奏功
PD−進行性疾患
SD−安定疾患
(表A6)ログランク概要
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凡例:ns=有意でない、★=P<0.05.★★=P<0.01、★★★=P<0.001
【0511】
実施例47:HER2 1+、ER+乳癌の異種移植モデルにおける生存及び腫瘍増殖阻害に与えるv10000の効果
この実験を、乳癌のST1337B異種移植モデルにおける、対照IgG(v6908)またはHerceptin(商標)(v6336)と比較したv10000の有効性を評価するために行った。ST1337Bは、ルミナルB分子分類を有するER+/PR−乳癌からのヌードマウスにて樹立された患者由来の異種移植片(PDX)である。ST1337は、IHCにより測定されて、HER2 1+である。本試験は、下記のように実行した。
【0512】
腫瘍断片を、無胸腺ヌードマウスへと皮下移植した。腫瘍が180mm
3に達したときに、動物を表A7に示す群に無作為に割り当て、処置を盲検比較試験にて開始した。動物を、表A7に示すようにレジメン1に従って処置した。
(表A7)試験設計
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【0513】
腫瘍体積をキャリパーによって週2回測定した。試験期間は63日間とし、生存を主要エンドポイントとした。追加の腫瘍応答基準を測定し、表A8に示す。マウスは、腫瘍体積が2000mm
3を超えたときに安楽死させ、生存率(%)対試験日をカプラン・マイヤーでプロットし、ログランク検定を使用して統計学的に評価した。v10000及びv6336の血清濃度を、HER2 ELISAにより試験7日目及び、32日目の最終用量の4日後である36日目に決定した。
【0514】
結果を、
図50A(腫瘍体積)及び
図50B(カプラン・マイヤー生存)に示す。すべての被験用量の変異体10000を用いた処置は、v6908を用いた処置と比較して腫瘍増殖を低下させ、v6908と比較してログランク検定により有意に生存を延長させた(
図50B及び表A9)。加えて、30mg/kgのv10000を用いた処置は、10mg/kgのv6336を用いた処置と比較して有意に生存を延長させた(
図50B及び表A8)。v10000を用いて処置した動物は、3、10及び30mg/kg用量で、それぞれ49、59、及び59日間の生存中央値を有した(
図50B及び表A8)。3、10及び30mg/kgのv10000を用いた処置の試験29日目の腫瘍体積は、それぞれ1010、1016、及び931mm3であった。v6908及びv6336の試験29日目の腫瘍体積は、それぞれ1898及び1264mm3であった(
図50A及び表A8)。v6336及びv10000の血清曝露を表A10に示す。これらの結果により、v10000の投与量の増加が、v10000の血清濃度の増加をもたらすこと、及び同様の用量のv10000及びv6336が抗体の同様の血清濃度をもたらすことが確認された。
【0515】
これらの結果は、v10000を用いた処置が、IgG対照及びHerceptin(商標)と比較したときに、HER2−低、ER+乳癌のこのモデルにおいて、腫瘍体積を低減させ、生存を延長させることができることを示す。
(表A8)ST1337b腫瘍応答プロファイル
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CR−完全奏功
PR−部分奏功
PD−進行性疾患
SD−安定疾患
(表A9)ログランク概要
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凡例:ns=有意でない、★=P<0.05.★★=P<0.01、★★★=P<0.001
(表A10)血清曝露概要
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【0516】
実施例48:HER2陰性膵臓癌の異種移植モデルにおける生存及び腫瘍増殖阻害に与えるv10000の効果
この実験を、膵臓癌のST803異種移植モデルにおいて、単剤としての対照IgG(v12470)、Herceptin(商標)(v6336)、及びnab−パクリタキセル、ならびにnab−パクリタキセル(Abraxane(商標)Celgene)と組み合わせたv10000と比較したv10000の有効性を評価するために行った。ST803は、IHCにより測定されてHER2陰性である膵臓癌の患者由来の異種移植片(PDX)(South Texas Accelerated Research Therapeutics,San Antonio,TX78229)である。本試験は、下記のように実行した。
【0517】
腫瘍断片を、無胸腺ヌードマウスへと皮下移植した。腫瘍が170mm
3に達したときに、動物を表A11に示す群に無作為に割り当て、処置を盲検比較試験にて開始した。動物を、表A11に示すようにレジメン1及び2に従って処置した。すべての処置は静脈内投与した。
(表A11)試験設計
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【0518】
腫瘍体積をキャリパーによって週2回測定した。試験期間は71日間とし、生存を主要エンドポイントとした。追加の腫瘍応答基準を測定し、表A12に示す。マウスは、腫瘍体積が2000mm
3を超えたときに安楽死させ;生存率(%)対試験日をカプラン・マイヤーでプロットし、ログランク検定を使用して統計学的に評価した。v10000及びv6336を投薬された群の血清濃度を、HER2 ELISAにより試験7日目に決定した。
【0519】
結果を、
図51A(腫瘍体積)及び
図51B(カプラン・マイヤー生存)に示す。nab−パクリタキセルと組み合わせた変異体10000を用いた処置のみが、対照IgG(v12470)を用いた処置と比較して、腫瘍増殖を低下させ、ログランク検定により有意に生存を延長させた(
図51B及び表A13)。加えて、nab−パクリタキセルと組み合わせたv10000を用いた処置は、nab−パクリタキセル+対照IgGを用いた処置と比較して生存を有意に延長させた(
図51B及び表A13)。nab−パクリタキセルと組み合わせたv10000の生存中央値は、71日間を超え、一方で単剤としてのv12470、v6336、v10000、及びnab−パクリタキセルの生存中央値は、それぞれ58.8、65.9、69.3、及び60.6日間であった。nab−パクリタキセルと組み合わせたv10000を用いた処置での試験54日目の平均腫瘍体積は、1073mm3であった。試験54日目の単剤としてのv12470、v6336、v10000、及びnab−パクリタキセルでの腫瘍体積は、それぞれ1663、1494、1305、及び1365mm3であった(
図51A及び表A12)。14日目の血清試料からのv6336及びv10000の血清曝露を表A14に示す。
【0520】
これらの結果は、nab−パクリタキセルと組み合わせたv10000を用いた処置が、HER2陰性膵臓癌のこのモデルにおいて、IgG対照、Herceptin(商標)、及び単剤v10000と比較したとき、腫瘍体積を低減させ、生存を延長することができることを示す。
(表A12)ST803腫瘍応答プロファイル
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CR−完全奏功
PR−部分奏功
PD−進行性疾患
SD−安定疾患
*nab−パクリタキセル
(表A13)ログランク概要
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凡例:ns=有意でない、★=P<0.05.★★=P<0.01、★★★=P<0.001
*nab−パクリタキセル
(表A14)血清曝露概要
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【0521】
実施例49:HER2 3+胃癌の異種移植モデルにおける腫瘍増殖阻害に与えるv10000の効果
この実験を、胃癌のGXA3054異種移植モデルにおいて単剤として対照IgG(v12470)及びHerceptin(商標)(v6336)と比較したv10000の有効性を評価するために行った。GXA3054は、HER2 3+である胃癌の患者由来の異種移植片(PDX)である(Oncotest GmbH,Am Flughafen 12−14,79108 Freiburg,Germany)。本試験は、下記のように実行した。
【0522】
腫瘍断片を、無胸腺ヌードマウスへと皮下移植した。腫瘍が144mm
3に達したときに、動物を表A15に示す群に無作為に割り当て、処置を盲検比較試験にて開始した。動物を、表A15に示すようにレジメン1に従って処置した。
(表A15)試験設計
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【0523】
腫瘍体積をキャリパーによって週2回測定した。試験期間は59日間とし、腫瘍増殖阻害を主要エンドポイントとした。追加の腫瘍応答基準を測定し、表A16に示す。マウスは、腫瘍体積が2000mm
3を超えたときに安楽死させた。
【0524】
結果を、
図52(腫瘍体積)に示す。変異体10000及びv6336を用いた処置は、対照IgG(v12470)を用いた処置と比較して腫瘍増殖を低下させた(
図52及び表A16)。加えて、v10000を用いた処置は、v6336を用いた処置と比較して腫瘍増殖を低下させた(
図52及び表A16)。対照IgG、v10000及びv6336を用いた処置での試験35日目の平均腫瘍体積は、それぞれ1340、236、及び7.8mm3であった。v10000及びv6336での35日目の腫瘍増殖阻害は、それぞれ111及び92%であった(表A16)。35日目に、v10000を用いて処置された腫瘍は、v6336で処置された腫瘍(0/10完全及び1/10部分奏功)と比較して、より大きな応答を示した(7/10完全及び3/10部分奏功)(表A16)。試験の完了時、59日目には、v10000を用いて処置した腫瘍の9/10は完全奏功を有し、再発腫瘍のエビデンスは伴わなかったが、v6336処置腫瘍では、1/10腫瘍のみが完全奏功を有した。
【0525】
これらの結果は、v10000を用いた処置が、HER2 3+胃癌のこのモデルにおいて腫瘍を退縮させることができることを示す。v10000の腫瘍増殖阻害は、IgG対照及びHerceptin(商標)より優れていた。
(表A16)GXA3054腫瘍応答プロファイル
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CR−完全奏功
PR−部分奏功
PD−進行性疾患
SD−安定疾患
【0526】
実施例において使用した試薬は、概して市販されているか、または当技術分野で公知の市販の計器、方法、または試薬を使用して調製することができる。上述の実施例は、本明細書に記載の様々な態様及び本明細書に記載の方法の実施を例示している。これらの実施例は、本発明の多くの異なる実施形態の包括的な記載を提供することを意図したものではない。したがって、前述の発明は、理解を明瞭にすることを目的として実例及び実施例によって多少詳細に記載されているが、当業者は、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、これに多くの変更及び修正を成すことができることを容易に理解するであろう。
【0527】
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許、または特許出願が具体的及び個別に参照により本明細書に組み込まれると示されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0528】
配列の表
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ペルツズマブ変異体CDR−L3:QQYYIYPAT
クローン3382、変異体10000(SEQ ID NO:347)
ペルツズマブ変異体CDR−H1:GFTFADYT
クローン6586、変異体10000(SEQ ID NO:348)