特許第6872482号(P6872482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6872482HER2を標的とする二重特異性抗原結合性構築物の使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872482
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】HER2を標的とする二重特異性抗原結合性構築物の使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20210510BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210510BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20210510BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20210510BHJP
【FI】
   A61K39/395 T
   A61P35/00
   A61K47/68
   !C07K16/30ZNA
【請求項の数】31
【全頁数】175
(21)【出願番号】特願2017-528442(P2017-528442)
(86)(22)【出願日】2015年11月26日
(65)【公表番号】特表2018-501211(P2018-501211A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】CA2015051238
(87)【国際公開番号】WO2016082044
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2018年11月26日
(31)【優先権主張番号】PCT/CA2014/051140
(32)【優先日】2014年11月27日
(33)【優先権主張国】CA
(31)【優先権主張番号】62/166,844
(32)【優先日】2015年5月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510214045
【氏名又は名称】ザイムワークス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ウィックマン グラント レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】エング ゴードン イウ コン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイサー ニーナ イー.
【審査官】 山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−517823(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/055958(WO,A1)
【文献】 特表2013−523104(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/131555(WO,A1)
【文献】 Cancer Genomics Proteomics,2013年 2月,Vol. 10,p. 1-18
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61K 47/00
A61P 35/00
C07K 16/30CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において、腫瘍の増殖を阻害するための、有効量の抗原結合性構築物を含む医薬組成物であって、
前記抗原結合性構築物が、
第一の重鎖可変ドメイン(VH1)及び第一の軽鎖可変ドメイン(VL1)を含み、かつHER2発現細胞上のHER2(ヒト上皮成長因子受容体2)ECD2(細胞外ドメイン2)領域と一価で特異的に結合する、第一の抗原結合性ポリペプチド構築物であって、
第一の重鎖可変ドメインが、SEQ ID NO:101に記載の配列を含むCDR−H1、SEQ ID NO:105に記載の配列を含むCDR−H2、およびSEQ ID NO:103に記載の配列を含むCDR−H3の3つの第一の重鎖CDRを含み、第一の軽鎖可変ドメインが、SEQ ID NO:73に記載の配列を含むCDR−L1、SEQ ID NO:77に記載の配列を含むCDR−L2、およびSEQ ID NO:75に記載の配列を含むCDR−L3の3つの第一の軽鎖CDRを含む、
第一の抗原結合性ポリペプチド構築物、ならびに
第二の重鎖可変ドメイン(VH2)及び第二の軽鎖可変ドメイン(VL2)を含み、かつHER2発現細胞上のHER2 ECD4(細胞外ドメイン4)領域と一価で特異的に結合する、第二の抗原結合性ポリペプチド構築物であって、
第二の重鎖可変ドメインが、SEQ ID NO:307に記載の配列を含むCDR−H1、SEQ ID NO:311に記載の配列を含むCDR−H2、およびSEQ ID NO:309に記載の配列を含むCDR−H3の3つの第二の重鎖CDRを含み、第二の軽鎖可変ドメインが、SEQ ID NO:299に記載の配列を含むCDR−L1、SEQ ID NO:303に記載の配列を含むCDR−L2、およびSEQ ID NO:301に記載の配列を含むCDR−L3の3つの第二の軽鎖CDRを含む、
第二の抗原結合性ポリペプチド構築物
を含み;
前記第一の抗原結合性ポリペプチド構築物がFabであり、前記第二の抗原結合性ポリペプチド構築物がscFvであり;かつ
前記抗原結合性構築物の複数の用量が対象に投与されるように用いられることを特徴とし、前記複数の用量の少なくとも1つの量が、少なくとも0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは30mg/kgの抗原結合性構築物であり、かつ/または、前記複数の用量のそれぞれの量が、少なくとも0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは30mg/kgの抗原結合性構築物である、
前記医薬組成物。
【請求項2】
第一の重鎖可変ドメインがSEQ ID NO:99に記載の配列を含み、第一の軽鎖可変ドメインがSEQ ID NO:71に記載の配列を含み、第二の重鎖可変ドメインがSEQ ID NO:305に記載の配列を含み、かつ第二の軽鎖可変ドメインがSEQ ID NO:297に記載の配列を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
抗原結合性構築物が、第一及び第二のリンカーポリペプチドをさらに含み、前記第一のリンカーポリペプチドが前記第一の抗原結合性ポリペプチド構築物に機能的に連結されており、かつ前記第二のリンカーポリペプチドが前記第二の抗原結合性ポリペプチド構築物に機能的に連結されており、かつ前記第一及び第二のリンカーポリペプチドがFcに機能的に連結されている、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記第一及び第二のリンカーポリペプチドがそれぞれ、IgG1、IgG2またはIgG4ヒンジ領域から選択される免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記抗原結合性構築物が、2つのCH3配列を含むヘテロ二量体Fcを含み、前記2つのCH3配列の少なくとも1つ、野生型ホモ二量体Fcに匹敵する安定性を有するヘテロ二量体の形成を促進する1つまたは複数の修飾を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記抗原結合性構築物が、野生型ホモ二量体Fcと比較して、EUナンバリングに従って、
i.修飾L351Y_F405A_Y407Vを第一のFcポリペプチド中に、及び修飾T366L_K392M_T394Wを第二のポリペプチド中に有する、ヘテロ二量体IgG1 Fc;
ii.修飾L351Y_F405A_Y407Vを第一のFcポリペプチド中に、及び修飾T366L_K392L_T394Wを第二のFcポリペプチド中に有する、ヘテロ二量体IgG1 Fc;
iii.修飾T350V_L351Y_F405A_Y407Vを第一のFcポリペプチド中に、及び修飾T350V_T366L_K392L_T394Wを第二のFcポリペプチド中に有する、ヘテロ二量体IgG1 Fc;
iv.修飾T350V_L351Y_F405A_Y407Vを第一のFcポリペプチド中に、及び修飾T350V_T366L_K392M_T394Wを第二のFcポリペプチド中に有する、ヘテロ二量体IgG1 Fc;
v.修飾T350V_L351Y_S400E_F405A_Y407Vを第一のFcポリペプチド中に、及び修飾T350V_T366L_N390R_K392M_T394Wを第二のFcポリペプチド中に有する、ヘテロ二量体IgG1 Fc;
vi.修飾T350V_L351Y_F405A_Y407Vを第一のFcポリペプチド中に、及び修飾T366I_N390R_K392M_T394Wを第二のFcポリペプチド中に有する、ヘテロ二量体IgG1 Fc;または
vii.修飾L351Y_S400E_F405A_Y405Vを第一のFcポリペプチド中に、及び修飾T350V_T366L_K392L_T394Wを第二のFcポリペプチド中に有する、ヘテロ二量体IgG1 Fc
を含む、
請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記抗原結合性構築物が、少なくとも1つのCH2ドメインを含むヘテロ二量体Fcを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
第一の抗原結合性ポリペプチド構築物が、SEQ ID NO:97に記載の配列を含む第一の重鎖およびSEQ ID NO:69に記載の配列を含む第一の軽鎖を含み、かつ
第二の抗原結合性ポリペプチド構築物が、SEQ ID NO:295に記載の配列を含む、
請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項9】
第一の抗原結合性ポリペプチド構築物が、SEQ ID NO:97に記載の配列からなる第一の重鎖およびSEQ ID NO:69に記載の配列からなる第一の軽鎖を含み、かつ
第二の抗原結合性ポリペプチド構築物が、SEQ ID NO:295に記載の配列からなる、
請求項1、2、または8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
抗原結合性構築物が、SEQ ID NO:97、SEQ ID NO:69、およびSEQ ID NO:295に記載のv10000の全長配列からなる、請求項1、2、8、または9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
各用量が、少なくとも毎日、毎週、または毎月投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
各用量が、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20日毎に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
追加の薬剤と併用されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記追加の薬剤が、ブレオマイシン、カルボプラチン、シスプラチン、nab−パクリタキセル、ドセタキセル、ドキソルビシン、エルロチニブ、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メトトレキサート、ペメトレキセド、トポテカン、ビノレルビン、カペシタビン、ナベルビン、またはパクリタキセルのうちの1つまたは複数である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記対象が、HER2−低、非小細胞肺癌(NSCLC);HER2−低、頭頸部扁平上皮癌;HER2 1+、ER+乳癌;HER2陰性膵臓癌;またはHER2 3+胃癌を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記対象がHER2−低、非小細胞肺癌(NSCLC)を有し、前記抗原結合性構築物が、15mg/kgの抗原結合性構築物の用量で1回投与された後、10mg/kgの抗原結合性構築物の用量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記対象がHER2−低、頭頸部扁平上皮癌を有し、前記抗原結合性構築物が、15mg/kgの抗原結合性構築物の用量で1回投与された後、10mg/kgの抗原結合性構築物の用量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
シスプラチンと併用されることを特徴とする、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記対象がHER2 1+、ER+乳癌を有し、前記抗原結合性構築物が、3mg/kgまたは10mg/kgまたは30mg/kgの抗原結合性構築物の用量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記対象がHER2陰性膵臓癌を有し、前記抗原結合性構築物が、30mg/kgの抗原結合性構築物の用量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
nab−パクリタキセルと併用されることを特徴とする、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記対象がHER2 3+胃癌を有し、前記抗原結合性構築物が、30mg/kgの抗原結合性構築物の用量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
処置期間が、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、もしくは31日間;少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20週間;または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20カ月である、請求項1〜22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
注射または注入により投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
静脈内投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記抗原結合性構築物が薬物にコンジュゲートしている、請求項1〜25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記薬物がマイタンシン(DM1)である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
薬学的担体をさらに含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記対象が抗HER2抗体を用いて以前に処置されていない、請求項1〜28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記対象が、ペルツズマブ、トラスツズマブおよび/もしくはTDM1を用いて以前に処置されており、かつ/または前記腫瘍が、ペルツズマブ、トラスツズマブおよび/もしくはTDM1に耐性または不応性である、請求項1〜28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記対象がヒト対象である、請求項1〜30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年11月27日に出願されたPCT/CA2014/051140、及び2015年5月27日に出願された62/166,844号の利益を主張し;このそれぞれは、その全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、EFS−Webを介して提出されるだろう配列表を含有し、この配列表は全体が参照により本明細書に組み込まれる。前記ASCIIコピーは、2015年11月24日に作製され、名称は32565PCT_sequence listing.txtであり、サイズは275,091バイトである。
【背景技術】
【0003】
現在市販されている抗体治療薬の大部分は、2つの抗原結合性ドメインによって付与される高い親和性結合及び結合活性について最適化及び選択された二価単一特異性抗体である。突然変異誘発によるFcgR結合のアフコシル化または増強を用いて、抗体Fc依存性細胞傷害性機構を介して抗体をより有効にしている。アフコシル化抗体、またはFcgR結合を増強された抗体は、依然として治験において不完全な治療有効性に甘んじており、薬物を市販する状況は、これらの抗体のいずれについても、まだ達成されていない。毒素にコンジュゲートされた典型的な二価抗体(抗体薬物コンジュゲート)はさらに有効であるが、より広い臨床的有用性は、用量制限毒性により限定される。
【0004】
治療用抗体は、理想的には、対象患者への投与後の標的特異性、生体内安定性、バイオアベイラビリティ、及び生体内分布を含むある特定の最小限の特性、ならびに抗体依存性治療効果を最大化するために十分な標的結合親和性及び高い標的占有率を有するであろう。典型的には、治療用抗体は単一特異性である。しかしながら、単一特異的に標的とすることは、シグナル伝達及び病因に関連する可能性がある他の標的エピトープに対処せず、薬物耐性及び逃避機構を許してしまう。現行の治療パラダイムのいくつかは、同じ標的抗原の2つの異なるエピトープを標的とする2種の治療用単一特異性抗体の組み合わせの使用を必要とする。一例は、いくつかの癌細胞の表面上にあるHER2受容体タンパク質を両方とも標的とするトラスツズマブ及びペルツズマブの併用であるが、比較的低いHER2受容体レベル(Hercept検査でHER2<3+)を有する他の癌細胞は治療利益を示さず、患者の疾患は依然として進行する。HER2を標的とする治療用抗体は、GenMabに付与されたWO2012/143523(特許文献1)及びGenentechに付与されたWO2009/154651(特許文献2)において開示されている。抗体は、WO2009/068625(特許文献3)及びWO2009/068631(特許文献4)においても記載されている。
【0005】
共有特許出願番号PCT/CA2014/051140(特許文献5)は、HER2抗体を記載する。共有特許出願番号PCT/US2014/037401(WO2014/182970)(特許文献6)は、HER2抗体を記載する。共有特許出願番号PCT/CA2013/050358(WO2013/166604)(特許文献7)は、シングルアーム一価抗体を記載する。2011年11月4日に出願された共有特許出願PCT/CA2011/001238(特許文献8)、2012年11月2日に出願されたPCT/CA2012/050780(特許文献9)、2013年5月10日に出願されたPCT/CA2013/00471(特許文献10)、及び2013年5月8日に出願されたPCT/CA2013/050358(特許文献7)は、治療用抗体を記載する。それぞれ、その全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2012/143523
【特許文献2】WO2009/154651
【特許文献3】WO2009/068625
【特許文献4】WO2009/068631
【特許文献5】PCT/CA2014/051140
【特許文献6】PCT/US2014/037401(WO2014/182970)
【特許文献7】PCT/CA2013/050358(WO2013/166604)
【特許文献8】PCT/CA2011/001238
【特許文献9】PCT/CA2012/050780
【特許文献10】PCT/CA2013/00471
【発明の概要】
【0007】
例えば、胃、膵臓、乳房、肺、または頭頸部腫瘍などの、対象における腫瘍を処置するために1つまたは複数の抗原結合性構築物を使用する方法を本明細書に記載する。1つまたは複数の抗原結合性構築物は、HER2発現細胞上のHER2(ヒト上皮成長因子受容体2)ECD2(細胞外ドメイン2)抗原と一価で特異的に結合する第一の抗原結合性ポリペプチド構築物及びHER2発現細胞上のHER2 ECD4(細胞外ドメイン4)抗原と一価で特異的に結合する第二の抗原結合性ポリペプチド構築物、第一及び第二のリンカーポリペプチドを含むことができ、ここで、第一のリンカーポリペプチドは第一の抗原結合性ポリペプチド構築物に機能的に連結し、第二のリンカーポリペプチドは第二の抗原結合性ポリペプチド構築物に機能的に連結し;リンカーポリペプチドは相互に共有結合を形成することができ、ECD2結合性ポリペプチド構築物またはECD4結合性ポリペプチド構築物の少なくとも一方はscFvである。ある特定の実施形態では、ECD2結合性ポリペプチド構築物はscFvであり、ECD2結合性ポリペプチド構築物はFabである。ある特定の実施形態では、ECD2結合性ポリペプチド構築物はFabであり、ECD4結合性ポリペプチド構築物はscFvである。いくつかの実施形態では、ECD2結合性ポリペプチド構築物及びECD4結合性ポリペプチド構築物は両方ともscFvである。いくつかの実施形態では、抗原結合性構築物は、CH3配列を含む二量体Fcを有する。いくつかの実施形態では、Fcは、CH3配列において、野生型ホモ二量体Fcに匹敵する安定性を有するヘテロ二量体の形成を促進する1つまたは複数の修飾を有するヘテロ二量体である。いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体CH3配列は、68℃またはより高い融解温度(Tm)を有する。
[本発明1001]
腫瘍を有する対象を処置する;HER2シグナル伝達を阻害する、減少させるもしくは遮断する;またはHER2発現腫瘍細胞を殺傷するもしくは増殖を阻害する方法であって、
HER2発現細胞上のHER2(ヒト上皮成長因子受容体2)ECD2(細胞外ドメイン2)抗原と一価で特異的に結合する第一の抗原結合性ポリペプチド構築物;
HER2発現細胞上のHER2 ECD4(細胞外ドメイン4)抗原と一価で特異的に結合する第二の抗原結合性ポリペプチド構築物;
第一及び第二のリンカーポリペプチド
を含む抗原結合性構築物の有効量を投与することを含み、
第一のリンカーポリペプチドは第一の抗原結合性ポリペプチド構築物に機能的に連結されており、第二のリンカーポリペプチドは第二の抗原結合性ポリペプチド構築物に機能的に連結されており;
前記リンカーポリペプチドは相互に共有結合を形成することができ、
第一もしくは第二の抗原結合性ポリペプチド構築物の一方または両方がscFvであり、
表面プラズモン共鳴(SPR)により測定された前記抗原結合性構築物のマウスHER2細胞外ドメインに対する解離定数(K)が、表面プラズモン共鳴(SPR)により測定された単一特異性抗HER2 ECD4抗体(v506;SEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:317)のマウスHER2細胞外ドメインに対する解離定数と等しいかまたはそれより低く、かつ、
腫瘍増殖が、対応量の非特異的対照抗体を受けている対照と比較して、対応量のHerceptin/トラスツズマブを受けている対照と比較して、または処置を受けていない対照と比較して、低減する、
前記方法。
[本発明1002]
前記抗原結合性構築物が、SEQ ID NO:97、295、及び69の完全長配列(v10000)を含み、任意選択で、表面プラズモン共鳴(SPR)により測定された前記構築物のマウスHER2細胞外ドメインに対する解離定数(K)が、おおよそ0.6nMである、本発明1001の方法。
[本発明1003]
腫瘍を有する対象を処置する;HER2シグナル伝達を阻害する、減少させるもしくは遮断する;またはHER2発現腫瘍細胞を殺傷するもしくは増殖を阻害する方法であって、
HER2発現細胞上のHER2(ヒト上皮成長因子受容体2)ECD2(細胞外ドメイン2)抗原と一価で特異的に結合し、第一の可変軽鎖(VL1)ドメイン及び第一の可変重鎖(VH1)ドメインを含み、v7091のVH1及びVL1 CDR配列(SEQ ID NO:223、225、227、37、39、及び41)に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるVH1及びVL1 CDR配列を含む、第一の抗原結合性ポリペプチド構築物であって、前記VL1ドメインは1、2、3、4、または5個のアミノ酸置換を含み、かつ/または前記VH1ドメインは1、2、3、4、または5個のアミノ酸置換を含む、第一の抗原結合性ポリペプチド構築物;
HER2発現細胞上のHER2 ECD4(細胞外ドメイン4)抗原と一価で特異的に結合する第二の抗原結合性ポリペプチド構築物;
第一及び第二のリンカーポリペプチド
を含む抗原結合性構築物の有効量を投与することを含み、
第一のリンカーポリペプチドは第一の抗原結合性ポリペプチド構築物に機能的に連結されており、第二のリンカーポリペプチドは第二の抗原結合性ポリペプチド構築物に機能的に連結されており;
第一もしくは第二の抗原結合性ポリペプチド構築物の一方または両方がscFvであり、
前記リンカーポリペプチドは相互に共有結合を形成することができ、かつ、
腫瘍増殖が、対応量の非特異的対照抗体を受けている対照と比較して、対応量のHerceptin/トラスツズマブを受けている対照と比較して、または処置を受けていない対照と比較して、低減する、
前記方法。
[本発明1004]
表面プラズモン共鳴(SPR)により測定された前記抗原結合性構築物のマウスHER2細胞外ドメインに対する結合親和性が、表面プラズモン共鳴(SPR)により測定されたv7091(SEQ ID NO:33、219、及び295)のマウスHER2細胞外ドメインに対する結合親和性より大きく、任意選択で前記抗原結合性構築物とv7091が同じエピトープと結合し、任意選択で前記抗原結合性構築物がペルツズマブと同じエピトープと結合し、任意選択で前記抗原結合性構築物がv7091より大きいBmaxを有し、かつ、任意選択で前記抗原結合性構築物が細胞表面結合の際にv7091よりも大きい程度に内部移行する、上記本発明のいずれかの方法。
[本発明1005]
表面プラズモン共鳴(SPR)により測定された前記抗原結合性構築物のマウスHER2細胞外ドメインに対する結合親和性が、表面プラズモン共鳴(SPR)により測定された単一特異性抗HER2 ECD4抗体(v506;SEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:317)のマウスHER2細胞外ドメインに対する結合親和性と等しいかまたはそれより大きい、上記本発明のいずれかの方法。
[本発明1006]
第一の抗原結合性ポリペプチド構築物がv7091のVH1及びVL1 CDR配列(SEQ ID NO:223、225、227、37、39、及び41)を含み、前記VL1ドメインが1、2、3、4、または5個のアミノ酸置換を含み、かつ/または前記VH1ドメインが1、2、3、4、または5個のアミノ酸置換を含み、任意選択で第一の抗原結合性ポリペプチド構築物は前記VL1ドメイン(SEQ ID NO:35)中のY96での置換を含み、任意選択で第一の抗原結合性ポリペプチド構築物は前記VL1ドメイン(SEQ ID NO:35)中にY96A置換を含み、任意選択で第一の抗原結合性ポリペプチド構築物は前記VH1ドメイン(SEQ ID NO:221)中のT30、A49、および/またはL69での置換を含み、任意選択で第一の抗原結合性ポリペプチド構築物は前記VH1ドメイン(SEQ ID NO:221)中にT30A、A49G、および/またはL69F置換(複数可)を含み、かつ、任意選択で第一の抗原結合性ポリペプチド構築物は前記VH1ドメイン(SEQ ID NO:221)中にT30A、A49G、及びL69F置換(複数可)を含む、上記本発明のいずれかの方法。
[本発明1007]
第二の抗原結合性ポリペプチド構築物が、v10000のVH2及びVL2 CDR配列(SEQ ID NO:299、301、303、307、309、及び311)に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるVH2及びVL2 CDR配列を含み、任意選択で第二の抗原結合性ポリペプチド構築物がv10000のVH2及びVL2 CDR配列(SEQ ID NO:299、301、303、307、309、及び311)を含む、上記本発明のいずれかの方法。
[本発明1008]
前記抗原結合性構築物が、SEQ ID NO:71および/もしくは99に記載の可変ドメイン配列、SEQ ID NO:297および/もしくは305に記載の可変ドメイン配列、またはSEQ ID NO:71、99、297、及び305に記載の可変ドメイン配列を含む、上記本発明のいずれかの方法。
[本発明1009]
前記抗原結合性構築物が、SEQ ID NO:97に記載の完全長配列、SEQ ID NO:295に記載の完全長配列、SEQ ID NO:69に記載の完全長配列、またはSEQ ID NO:97、295、及び69に記載の完全長配列(v10000)を含む、上記本発明のいずれかの方法。
[本発明1010]
第一及び第二のリンカーポリペプチドがそれぞれ、IgG1、IgG2またはIgG4ヒンジ領域から選択される免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドを含む、上記本発明のいずれかの方法。
[本発明1011]
第一及び第二のリンカーポリペプチドが、スカフォールド、任意選択でFc、に機能的に連結されている、上記本発明のいずれかの方法。
[本発明1012]
第一及び第二のリンカーポリペプチドが、CH3配列をそれぞれ含む第一及び第二のFcポリペプチドを含む二量体Fcに機能的に連結されており、第一のFcポリペプチドは第一のリンカーポリペプチドに機能的に連結されており、かつ、第二のFcポリペプチドは第二のリンカーポリペプチドに機能的に連結されている、上記本発明のいずれかの方法。
[本発明1013]
(i)第一の抗原結合性ポリペプチド構築物がscFvであり、かつ第二の抗原結合性ポリペプチド構築物がFabである;または(ii)第一の抗原結合性ポリペプチド構築物がFabであり、第二の抗原結合性ポリペプチド構築物がscFvである;または(iii)第一の抗原結合性ポリペプチド構築物及び第二の抗原結合性ポリペプチド構築物の両方がscFvである、上記本発明のいずれかの方法。
[本発明1014]
i.第一の抗原結合性ポリペプチド構築物が、Fabであり、
a.v5019、v5020 v7091、v6717もしくはv10000のペルツズマブ群のVH(それぞれ、SEQ ID NO:221、149、221、259、及び99)を含む第一の重鎖可変ポリペプチドVH1、ならびに
b.v5019、v5020 v7091、v6717もしくはv10000のペルツズマブ群のVL(v5019、v7091、及びv10000に対してそれぞれ、SEQ ID NO:35、35、及び71)を含む第一の可変軽鎖ポリペプチドVL1
を含み;かつ、
第二の抗原結合性ポリペプチド構築物が、scFvであり、
(a)v5019、v5020 v7091、v6717もしくはv10000のトラスツズマブ群のVH(それぞれ、SEQ ID NO:171、205、297、171、及び297)を含む第二の可変重鎖ポリペプチドVH2、ならびに
(b)v5019、v5020 v7091、v6717もしくはv10000のトラスツズマブ(trastzumab)群のVL(v5020に対してSEQ ID NO:35)を含む第二の可変軽鎖ポリペプチドVL2
を含み;または
ii.第一の抗原結合性ポリペプチド構築物が、scFvであり、
(a)v5019、v5020 v7091、v6717もしくはv10000のペルツズマブ群のVH(それぞれ、SEQ ID NO:221、149、221、259、及び99)を含む第一の可変重鎖ポリペプチドVH1、ならびに
(b)v5019、v5020 v7091、v6717もしくはv10000のペルツズマブ群のVL(v5019、v7091、及びv10000に対してそれぞれ、SEQ ID NO:35、35、及び71)を含む第一の可変軽鎖ポリペプチドVL1
を含み、かつ、
第二の抗原結合性ポリペプチド構築物が、Fabであり、
(a)v5019、v5020 v7091、v6717もしくはv10000のトラスツズマブ群のVH(それぞれ、SEQ ID NO:171、205、297、171、及び297)を含む第二の重鎖可変ポリペプチドVH2、ならびに
(b)v5019、v5020 v7091、v6717もしくはv10000のトラスツズマブ群のVL(v5020に対してSEQ ID NO:35)を含む第二の可変軽鎖ポリペプチドVL2
を含む;または
iii.第一の抗原結合性ポリペプチド構築物が、scFvであり、
(a)v5019、v5020 v7091、v6717もしくはv10000のペルツズマブ群のVH(それぞれ、SEQ ID NO:221、149、221、259、及び99)を含む第一の重鎖可変ポリペプチドVH1、ならびに
(b)v5019、v5020 v7091、v6717もしくはv10000のペルツズマブ群のVL(v5019、v7091、及びv10000に対してそれぞれ、SEQ ID NO:35、35、及び71)を含む第一の可変軽鎖ポリペプチドVL1
を含み、
第二の抗原結合性ポリペプチド構築物が、scFvであり、
(a)v5019、v5020 v7091、v6717もしくはv10000のトラスツズマブ群のVH(それぞれ、SEQ ID NO:171、205、297、171、及び297)を含む第二の重鎖可変ポリペプチドVH2、ならびに
(b)v5019、v5020 v7091、v6717もしくはv10000のトラスツズマブ群のVL(v5020に対してSEQ ID NO:35)を含む第二の可変軽鎖ポリペプチドVL2
を含む、
上記本発明のいずれかの方法。
[本発明1015]
第一の抗原結合性ポリペプチド構築物が、
i.アミノ酸配列SEQ ID NO:335、SEQ ID NO:336及びSEQ ID NO:337、もしくはSEQ ID NO:335、SEQ ID NO:336、及びSEQ ID NO:348を含む3つのVH CDR配列を含むポリペプチド構築物;
ii.SEQ ID NO:335、SEQ ID NO:336及びSEQ ID NO:337、もしくはSEQ ID NO:335、SEQ ID NO:336、及びSEQ ID NO:348の3つのVH CDR配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む3つのVH CDR配列を含むポリペプチド構築物;
iii.SEQ ID NO:338、SEQ ID NO:339及びSEQ ID NO:340、もしくはSEQ ID NO:338、SEQ ID NO:347及びSEQ ID NO:340の3つのVL CDR配列のアミノ酸配列を含む3つのVL CDR配列を含むポリペプチド構築物;
iv.SEQ ID NO:338、SEQ ID NO:339及びSEQ ID NO:340、もしくはSEQ ID NO:338、SEQ ID NO:347及びSEQ ID NO:340に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一である3つのVL CDR配列のアミノ酸配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一である3つのVL CDR配列を含むポリペプチド構築物;
v.SEQ ID NO:335、SEQ ID NO:336、SEQ ID NO:337、SEQ ID NO:338、SEQ ID NO:339及びSEQ ID NO:340;もしくはSEQ ID NO:335、SEQ ID NO:336、SEQ ID NO:348、SEQ ID NO:338、SEQ ID NO:347及びSEQ ID NO:340の6つのCDR配列のアミノ酸配列を含む6つのCDR配列を含むポリペプチド構築物;または
vi.SEQ ID NO:335、SEQ ID NO:336、SEQ ID NO:337、SEQ ID NO:338、SEQ ID NO:339及びSEQ ID NO:340;もしくはSEQ ID NO:335、SEQ ID NO:336、SEQ ID NO:348、SEQ ID NO:338、SEQ ID NO:347及びSEQ ID NO:340の6つのCDR配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む6つのCDR配列を含むポリペプチド構築物
から選択され、かつ、
第二の抗原結合性ポリペプチドが、
vii.SEQ ID NO:341、SEQ ID NO:342及びSEQ ID NO:343の3つのVH CDR配列のアミノ酸配列を含む3つのVH CDR配列を含むポリペプチド構築物;
viii.SEQ ID NO:341、SEQ ID NO:342及びSEQ ID NO:343の3つのVH CDR配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む3つのVH CDR配列を含むポリペプチド構築物;
ix.SEQ ID NO:344、SEQ ID NO:345及びSEQ ID NO:346の3つのVL CDR配列のアミノ酸配列を含む3つのVL CDR配列を含むポリペプチド構築物;
x.SEQ ID NO:344、SEQ ID NO:345及びSEQ ID NO:346の3つのVL CDR配列のアミノ酸配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一である3つのVL CDR配列を含むポリペプチド構築物;
xi.SEQ ID NO:341、SEQ ID NO:342、SEQ ID NO:343、SEQ ID NO:344、SEQ ID NO:345及びSEQ ID NO:346の6つのCDR配列のアミノ酸配列を含む6つのCDR配列を含むポリペプチド構築物;または
xii.SEQ ID NO:341、SEQ ID NO:342、SEQ ID NO:343、SEQ ID NO:344、SEQ ID NO:345及びSEQ ID NO:346の6つのCDR配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む6つのCDR配列を含むポリペプチド構築物
から選択される、
上記本発明のいずれかの方法。
[本発明1016]
第一の抗原結合性ポリペプチド構築物が、(i)ECD2へのペルツズマブの結合を50%以上遮断する、かつ/または(ii)第二の抗原結合性ポリペプチドが、ECD4へのトラスツズマブの結合を50%以上遮断する、上記本発明のいずれかの方法。
[本発明1017]
第一の抗原結合性ポリペプチド構築物が、HER2 ECD2に特異的なv5019、v10000、v7091、v5020またはv6717抗原結合性ポリペプチド構築物のうちの1つを含み、第二の抗原結合性ポリペプチド構築物が、HER2 ECD4に特異的なv5019、v10000、v7091、v5020またはv6717抗原結合性ポリペプチド構築物のうちの1つを含む、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1018]
第一の抗原結合性ポリペプチド構築物が、HER2 ECD2に特異的なv5019、v10000、v7091、v5020またはv6717抗原結合性ポリペプチド構築物に少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含み、第二の抗原結合性ポリペプチド構築物が、HER2 ECD4に特異的なv5019、v10000、v7091、v5020またはv6717抗原結合性ポリペプチド構築物に少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1019]
v5019、v10000、v7091、v5020及びv6717から選択される、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1020]
第一の抗原結合性ポリペプチド構築物がFabであり、第二の抗原結合性ポリペプチド構築物がscFvであり、前記抗原結合性構築物が、2つのFabを有する基準二重パラトピック抗原結合性構築物と比較して、
(i)HER2 3+細胞において受容体内部移行の増加を誘導する、かつ/または
(ii)HER2 1+細胞に対するADCC(抗体指向性細胞傷害)アッセイにてより高い効力を示す、かつ/または
(iii)実施例、表、及び図の1つまたは複数において記載した特性の1つまたは複数を含む、
先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1021]
第一及び第二の抗原結合性ポリペプチド構築物がscFvであり、前記抗原結合性構築物が、2つのFabを有する基準抗原結合性構築物と比較して、HER2 1+、2+及び3+細胞において受容体内部移行の増加を誘導する、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1022]
前記抗原結合性構築物がFcを含み、任意選択で前記Fcがヘテロ二量体Fcである、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1023]
前記抗原結合性構築物がヘテロ二量体Fcを含み、二量体化CH3配列が、約68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、77.5、78、79、80、81、82、83、84、または85℃以上の融解温度(Tm)を有する、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1024]
前記抗原結合性構築物が、発現するときに、約75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%超の純度で形成されるヘテロ二量体Fcを含む、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1025]
前記抗原結合性構築物が、単一の細胞を介して発現するときに、約75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%超の純度で形成されるヘテロ二量体Fcを含む、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1026]
前記抗原結合性構築物が、前記CH3配列の少なくとも1つにおいて1つまたは複数の修飾を含むヘテロ二量体Fcを含む、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1027]
前記抗原結合性構築物が、前記CH3配列の少なくとも1つにおいて、野生型ホモ二量体Fcに匹敵する安定性を有するヘテロ二量体の形成を促進する1つまたは複数の修飾を含むヘテロ二量体Fcを含む、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1028]
前記抗原結合性構築物が、野生型ホモ二量体Fcと比較して、EUナンバリングに従って、
i.修飾L351Y_F405A_Y407Vを第一のFcポリペプチド中に、及び修飾T366L_K392M_T394Wを第二のポリペプチド中に有するヘテロ二量体IgG1 Fc;
ii.修飾L351Y_F405A_Y407Vを第一のFcポリペプチド中に、及び修飾T366L_K392L_T394Wを第二のFcポリペプチド中に有するヘテロ二量体IgG1 Fc;
iii.修飾T350V_L351Y_F405A_Y407Vを第一のFcポリペプチド中に、及び修飾T350V_T366L_K392L_T394Wを第二のFcポリペプチド中に有するヘテロ二量体IgG1 Fc;
iv.修飾T350V_L351Y_F405A_Y407Vを第一のFcポリペプチド中に、及び修飾T350V_T366L_K392M_T394Wを第二のFcポリペプチド中に有するヘテロ二量体IgG1 Fc;
v.修飾T350V_L351Y_S400E_F405A_Y407Vを第一のFcポリペプチド中に、及び修飾T350V_T366L_N390R_K392M_T394Wを第二のFcポリペプチド中に有するヘテロ二量体IgG1 Fc、
vi.修飾T350V_L351Y_F405A_Y407Vを第一のFcポリペプチド中に、及び修飾T366I_N390R_K392M_T394Wを第二のFcポリペプチド中に有するヘテロ二量体IgG1 Fc;または
vii.修飾L351Y_S400E_F405A_Y405Vを第一のFcポリペプチド中に、及び修飾T350V_T366L_K392L_T394Wを第二のFcポリペプチド中に有するヘテロ二量体IgG1 Fc
を含む、
先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1029]
前記抗原結合性構築物が、少なくとも1つのCH2ドメインを含むヘテロ二量体Fcを含む、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1030]
前記ヘテロ二量体Fcの前記CH2ドメイン(複数可)が1つまたは複数の修飾を含む、本発明1029の方法。
[本発明1031]
前記抗原結合性構築物が、Fc−ガンマ受容体の選択的結合を促進する1つまたは複数の修飾を含むヘテロ二量体Fcを含む、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1032]
前記抗原結合性構築物が少なくとも1つの修飾を含み、該修飾がアフコシル化である、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1033]
前記抗原結合性構築物が薬物にコンジュゲートしている、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1034]
前記薬物がマイタンシン(DM1)である、本発明1033の方法。
[本発明1035]
前記構築物が、SMCCリンカーを通してDM1にコンジュゲートされている、本発明1034の方法。
[本発明1036]
前記抗原結合性構築物が、薬学的担体と共に医薬組成物に製剤化される、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1037]
前記薬学的担体が、緩衝剤、抗酸化剤、低分子量分子、薬物、タンパク質、アミノ酸、炭水化物、脂質、キレート化剤、安定剤、または賦形剤を含む、本発明1036の方法。
[本発明1038]
前記処置の結果が、前記腫瘍の縮小、前記腫瘍の増殖の阻害、前記腫瘍の無増悪期間の増加、前記対象の無病生存期間の延長、転移の低減、前記対象の無増悪生存期間の増加、または前記対象の全生存期間の増加である、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1039]
前記腫瘍が、腫瘍細胞1個あたり平均で10,000以上のHER2のコピーを発現する細胞を含み、任意選択で前記腫瘍はHER2遺伝子増幅されている、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1040]
前記腫瘍が、免疫組織化学(IHC)により決定して、HER2 1+、HER2 2+またはHER2 3+である、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1041]
前記腫瘍が、IHCにより決定して2+以下のレベルでHER2を発現する、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1042]
前記HER2+腫瘍が、免疫組織化学(IHC)により決定して2+レベル以下でHER2を発現する乳癌である、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1043]
前記腫瘍が肺腫瘍であり、任意選択で前記腫瘍はHER2低(HER2−low)で非HER2遺伝子増幅の非扁平上皮非小細胞肺腫瘍である、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1044]
前記腫瘍がHER3+である、本発明1043の方法。
[本発明1045]
前記腫瘍がEGFR低(EGFR low)である、本発明1043または1044の方法。
[本発明1046]
前記腫瘍が、MTDでシスプラチンに対して中程度に感受性である、本発明1043、1044または1045の方法。
[本発明1047]
前記腫瘍が頭頸部腫瘍であり、任意選択で前記腫瘍はHER2低で非HER2遺伝子増幅の頭頸部の扁平上皮腫瘍である、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1048]
前記腫瘍がHER3+低(HER3+ low)である、本発明1047の方法。
[本発明1049]
前記腫瘍がEGFR+である、本発明1047または1048の方法。
[本発明1050]
前記腫瘍が、MTDでシスプラチンに対して高感受性である、本発明1047、1048または1049の方法。
[本発明1051]
前記腫瘍が乳房腫瘍であり、任意選択で前記腫瘍はルミナルB分子分類を伴うER+/PR−乳癌である、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1052]
前記腫瘍が膵臓腫瘍であり、任意選択で前記膵臓腫瘍はIHCにより決定してHER2陰性である、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1053]
前記腫瘍が胃腫瘍であり、任意選択で前記胃腫瘍はHER2 3+である、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1054]
前記対象が抗HER2抗体を用いて以前に処置されていない、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1055]
前記腫瘍が、ペルツズマブ、トラスツズマブおよび/またはTDM1に対して耐性であるまたは不応性である、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1056]
前記対象が、ペルツズマブ、トラスツズマブおよび/またはTDM1を用いて以前に処置されている、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1057]
前記腫瘍が、(i)HER2 3+エストロゲン受容体陰性(ER−)、プロゲステロン受容体陰性(PR−)、トラスツズマブ耐性、化学療法耐性の浸潤性乳管癌、(ii)HER2 3+ER−、PR−、トラスツズマブ耐性の炎症性乳癌、(iii)HER2 3+、ER−、PR−、浸潤性乳管癌、または(iv)HER2 2+HER2遺伝子増幅トラスツズマブ及びペルツズマブ耐性の乳癌である、本発明1001〜1041のいずれかの方法。
[本発明1058]
前記腫瘍細胞が、HER2 1+もしくは2+ヒト膵臓癌腫細胞、HER2 3+ヒト肺癌腫細胞、HER2 2+ヒト白色人種細気管支肺胞上皮(bronchioaveolar)癌細胞、ヒト咽頭癌腫細胞、HER2 2+ヒト舌扁平上皮癌細胞、咽頭のHER2 2+舌扁平上皮癌、HER2 1+または2+ヒト結腸直腸癌腫細胞、HER2 3+ヒト胃癌腫細胞、HER2 1+ヒト乳管ER+(エストロゲン受容体陽性)癌腫細胞、HER2 2+/3+ヒトER+、HER2増幅乳癌腫細胞、HER2 0+/1+ヒトトリプルネガティブ乳癌細胞、HER2 2+ヒト類内膜癌細胞、HER2 1+肺転移性悪性メラノーマ細胞、HER2 1+ヒト子宮頸癌腫細胞、Her2 1+ヒト腎細胞癌腫細胞、またはHER2 1+ヒト卵巣癌腫細胞である、本発明1001〜1041のいずれかの方法。
[本発明1059]
前記腫瘍細胞が、HER2 1+もしくは2+もしくは3+ヒト膵臓癌腫細胞、HER2 2+転移性膵臓癌腫細胞、HER2 0+/1+、+3+ヒト肺癌腫細胞、HER2 2+ヒト白色人種細気管支肺胞上皮(bronchioaveolar)癌細胞、HER2 0+未分化肺癌腫、ヒト非小細胞肺癌細胞、ヒト咽頭癌腫細胞、HER2 2+ヒト舌扁平上皮癌細胞、咽頭のHER2 2+扁平上皮癌、HER2 1+もしくは2+ヒト結腸直腸癌腫細胞、HER2 0+、1+もしくは3+ヒト胃癌腫細胞、HER2 1+ヒト乳管ER+(エストロゲン受容体陽性)癌腫細胞、HER2 2+/3+ヒトER+、HER2増幅乳癌腫細胞、HER2 0+/1+ヒトトリプルネガティブ乳癌細胞、HER2 0+ヒト乳管癌腫(基底B、間葉様トリプルネガティブ)細胞、HER2 2+ER+乳癌腫、HER2 0+ヒト転移性乳癌腫細胞(ER−、HER2増幅、ルミナルA、TN)、ヒト子宮中胚葉性腫瘍(混合型グレードIII)細胞、2+ヒト類内膜癌細胞、HER2 1+ヒト皮膚類表皮癌細胞、HER2 1+肺転移性悪性メラノーマ細胞、HER2 1+悪性メラノーマ細胞、ヒト子宮頸部類表皮癌v細胞、HER2 1+ヒト膀胱癌腫細胞、HER2 1+ヒト子宮頸癌腫細胞、Her2 1+ヒト腎細胞癌腫細胞、またはHER2 1+、2+もしくは3+ヒト卵巣癌腫細胞であり、前記抗原結合性構築物がマイタンシン(DM1)にコンジュゲートしている、本発明1001〜1041のいずれかの方法。
[本発明1060]
前記腫瘍細胞が、HER2 2/3+、遺伝子増幅卵巣癌細胞、HER2 0+/1+トリプルネガティブ乳癌細胞;ER+、HER2 1+乳癌細胞;トラスツズマブ耐性HER2 2+乳癌細胞;ER+、HER2+乳癌細胞;またはHER2 3+乳癌細胞から選択される、本発明1001〜1041のいずれかの方法。
[本発明1061]
前記構築物が、v5019、v10000、v7091、v5020またはv6717から選択される、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1062]
投与が注射または注入によりなされ、任意選択で前記投与は静脈内である、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1063]
前記対象に追加の薬剤、任意選択で化学療法剤、を投与することをさらに含む、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1064]
前記追加の薬剤が、ブレオマイシン、カルボプラチン、シスプラチン、nab−パクリタキセル、ドセタキセル、ドキソルビシン、エルロチニブ、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メトトレキサート、ペメトレキセド、トポテカン、ビノレルビン、カペシタビン、ナベルビン、またはパクリタキセルのうちの1つまたは複数である、本発明1063の方法。
[本発明1065]
i.前記腫瘍が非小細胞肺癌であり、前記追加の薬剤が、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、アルブミン結合パクリタキセル、nab−パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ビノレルビン、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチン、カペシタビン、ナベルビンもしくはペメトレキセドのうちの1つもしくは複数である;または
ii.前記腫瘍が頭頚部癌であり、前記追加の薬剤が、パクリタキセル、カルボプラチン、ドキソルビシンもしくはシスプラチンのうちの1つもしくは複数である;または
iii.前記腫瘍がエストロゲンおよび/もしくはプロゲステロン陽性乳癌であり、前記追加の薬剤が、ドキソルビシン、エピルビシン、パクリタキセル、nab−パクリタキセル、ドセタキセル、フルオロウラシル、シクロホスファミド、カルボプラチン、レトロゾール、ミフェプリストン、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビンもしくはタモキシフェンのうちの1つもしくは複数である;または
iv.前記腫瘍が膵臓腫瘍であり、前記追加の薬剤が、nab−パクリタキセル、カペシタビン、ゲムシタビン、ナベルビンもしくはパクリタキセルである、
本発明1063の方法。
[本発明1066]
前記対象がヒトである、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1067]
HER2シグナル伝達を阻害する、減少させるまたは遮断することを含む、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1068]
HER2発現腫瘍細胞を殺傷するまたは増殖を阻害することを含む、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1069]
前記対象が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20用量を投与される、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1070]
前記複数の用量の少なくとも1つの量が、少なくとも0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mg/kgである、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1071]
前記複数の用量のそれぞれの量が、少なくとも0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mg/kgである、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1072]
各用量が、少なくとも毎日、毎週、または毎月投与される、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1073]
各用量が、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20日毎に投与される、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1074]
処置が、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、もしくは31日間;少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20週間;または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20カ月継続する、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1075]
少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20用量を受けた後の前記対象の平均腫瘍体積が、対応量のトラスツズマブを受けている対照対象の平均腫瘍体積より少ない、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1076]
前記対象の全生存期間が、対応量の非特異的対照抗体を受けている対照対象と比較して、もしくは処置を受けていない対照対象と比較して、有意に増加する;または腫瘍の増殖が、対応量の非特異的対照抗体を受けている対照対象と比較して、対応量のHerceptinを受けている対照対象と比較して、もしくは処置を受けていない対照対象と比較して、有意に低減する、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1077]
有意性がログランク検定により測定される、本発明1076の方法。
[本発明1078]
p値が、0.5、0.01、または0.001未満である、本発明1076の方法。
[本発明1079]
前記対象の全生存期間が、対応量のトラスツズマブを受けている対照対象と比較してより有意に増加する、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1080]
抗原結合性構築物p値が0.001未満であり、トラスツズマブp値が0.001より大きい、本発明1079の方法。
[本発明1081]
対応量の非特異的対照抗体を受けている前記対照対象に対する増加の有意性のp値が、対応量の非特異的対照抗体を受けている前記対照対象と比較して対応量のトラスツズマブを受けている第二の対照の生存期間における増加のp値より低い、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1082]
抗原結合性構築物p値が0.001未満であり、トラスツズマブp値が、0.001より大きい、本発明1081の方法。
[本発明1083]
前記抗原結合性構築物及び追加の薬剤の組み合わせを受けた後の前記対象の全生存期間が、対応量のトラスツズマブ単独を受けている対照対象と比較して有意に増加する、先行本発明のいずれかの方法。
[本発明1084]
前記対象の全生存期間が、より少ない量のトラスツズマブを受けている対照対象と比較して有意に増加する、先行本発明のいずれかの方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aは、Fab−Fab形式の二重パラトピック抗体の構造を示す。図1B〜1Eは、scFv−Fab形式の二重パラトピック抗体の生じ得るバージョンの構造を示す。図1Bでは、抗原結合性ドメイン1はscFvであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン2はFabであり、鎖Bに融合している。図1Cでは、抗原結合性ドメイン1はFabであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン2はscFvであり、鎖Bに融合している。図1Dでは、抗原結合性ドメイン2はFabであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン1はscFvであり、鎖Bに融合している。図1Eでは、抗原結合性ドメイン2はscFvであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン1はFabであり、鎖Bに融合している。図1Fでは、両方の抗原結合性ドメインはscFvである。
図2A】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の発現及び精製の特性決定を示す。図2Aは、プロテインA精製抗体のSECクロマトグラフを示す。
図2B】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の発現及び精製の特性決定を示す。図2Bは、v5019の10L発現及び精製の非還元SDS−PAGE分析を示す。
図2C】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の発現及び精製の特性決定を示す。図2Cは、v10000の25L発現及び精製のSDS−PAGE分析を示す。
図3A】プロテインA及びSECによって精製された例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のUPLC−SEC分析の結果を示す。図3Aは、v5019についての結果を示し、上のパネルは精製の結果を示し、下のパネルは、y軸に関してスケールを拡大した同じ結果を示す。得られたデータの概要を、UPLC−SECの結果の下に提示する。
図3B】プロテインA及びSECによって精製された例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のUPLC−SEC分析の結果を示す。図3Bは、v10000についての結果を示す。
図4A】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のヘテロ二量体純度のLCMS分析を示す。図4Aは、v5019のプールしたSEC画分のLC−MS分析からの結果を示す。
図4B】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のヘテロ二量体純度のLCMS分析を示す。図4Bは、v10000のプールしたプロテインA画分のLC−MS分析からの結果を示す。
図5A】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の25L規模調製物の分析を示す。図5Aは、MabSelect(商標)及びHiTrap(商標)SP FF精製後の例示的な抗HER2二重パラトピックのSDS−PAGEプロファイルを示す。
図5B】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の25L規模調製物の分析を示す。図5Bは、精製抗体のLCMS分析を示す。
図6A】FACSによって測定したときの、対照抗体と比較して異なるHER2受容体密度を提示するHER2+全細胞に結合する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を比較する。図6Aは、SKOV3細胞への結合を示す。
図6B】FACSによって測定したときの、対照抗体と比較して異なるHER2受容体密度を提示するHER2+全細胞に結合する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を比較する。図6Bは、JIMT1細胞への結合を示す。
図6C】FACSによって測定したときの、対照抗体と比較して異なるHER2受容体密度を提示するHER2+全細胞に結合する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を比較する。図6Cは、MCF7細胞への結合を示す。
図6D】FACSによって測定したときの、対照抗体と比較して異なるHER2受容体密度を提示するHER2+全細胞に結合する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を比較する。図6Dは、MDA−MB−231細胞への結合を示す。
図6E】FACSによって測定したときの、対照抗体と比較して異なるHER2受容体密度を提示するHER2+全細胞に結合する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を比較する。図6Eは、SKOV3細胞への結合を示す。
図6F】FACSによって測定したときの、対照抗体と比較して異なるHER2受容体密度を提示するHER2+全細胞に結合する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を比較する。図6Fは、MCF7細胞への結合を示す。
図6G】FACSによって測定したときの、対照抗体と比較して異なるHER2受容体密度を提示するHER2+全細胞に結合する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を比較する。図6Gは、WI−38細胞への結合を示す。
図7A】HER2+細胞の増殖を阻害する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の能力を示す。図7Aは、SKOV3細胞における増殖阻害を示す。
図7B】HER2+細胞の増殖を阻害する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の能力を示す。図7Bは、BT−474細胞における増殖阻害を示す。
図7C】HER2+細胞の増殖を阻害する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の能力を示す。図7Cは、SKBR3細胞における増殖阻害を示す。
図7D】HER2+細胞の増殖を阻害する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の能力を示す。図7Dは、SKOV3細胞における増殖阻害を示す。
図7E】HER2+細胞の増殖を阻害する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の能力を示す。図7Eは、JIMT−1細胞における増殖阻害を示す。
図8】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のパラトープに関するSPR結合データを示す。図8Aは、固定化Her2 ECDまたは二量体Her2−Fcへの結合についての一価抗Her2抗体(v1040;例示的な抗Her2二重パラトピック抗体のCH−B上の抗原結合性ドメインを表す)のK値(nM)を示す。図8Bは、固定化Her2 ECDまたは二量体Her2−Fcへの結合についての一価抗Her2抗体(v4182;例示的な抗Her2二重パラトピック抗体のCH−A上の抗原結合性ドメインを表す)のK値(nM)を示す。
図9】HER2+細胞に内部移行する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の能力を示す。図9Aは、BT−474細胞における内部移行を示し、図9bは、JIMT−1細胞における内部移行を示す。
図10A】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の表面結合及び内部移行を示す。図10A(v5019)は、BT−474細胞における結果を示す。
図10B】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の表面結合及び内部移行を示す。図10B(v5019)は、JIMT1細胞おける結果を示す。
図10C】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の表面結合及び内部移行を示す。図10C(v5019)は、SKOV3細胞おける結果を示す。
図10D】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の表面結合及び内部移行を示す。図10D(v5019)は、MCF7細胞おける結果を示す。
図10E】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の表面結合及び内部移行を示す。図10E(v5019及びv10000)は、SKOV3細胞おける結果を示す。
図10F】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の表面結合及び内部移行を示す。図10F(v5019及びv10000)は、JIMT1細胞おける結果を示す。
図11】SKOV3細胞におけるADCCを媒介する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の能力を示す。図11Aでは、アッセイを、5:1のエフェクター対標的細胞比を使用して実行し;図11Bでは、アッセイを、3:1のエフェクター対標的細胞比を使用して実行し;図11Cでは、アッセイを、1:1のエフェクター対標的細胞比を使用して実行した。
図12】組換えヒトHER2に対する一価抗HER2(v630及びv4182)及び例示的な二重パラトピック抗Her2抗体(v5019)の親和性及び結合反応速度の特性決定を示す。図12Aは、ka(1/Ms)の測定値を示す。図12Bは、kd(1/s)の測定値を示す。図12Cは、K(M)の測定値を示す
図13】抗体捕捉レベルの範囲にわたる、組換えヒトHER2に対する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の親和性及び結合特性を示す。図13Aは、例示的な二重パラトピック抗Her2抗体(v5019)について抗体捕捉レベルの範囲にわたって決定されたHER2 ECDに対するkd(1/s)の測定値を示す。図13Bは、一価抗Her2抗体(v4182)について抗体捕捉レベルの範囲にわたって決定されたHER2 ECDに対するkd(1/s)の測定値を示す。図13Cは、一価抗Her2抗体(v630)について抗体捕捉レベルの範囲にわたって決定されたHER2 ECDに対するkd(1/s)の測定値を示す。
図14】単一特異性抗ECD4 HER2抗体(左側)及びFab−scFv二重パラトピック抗ECD2×ECD4 HER2抗体(右側)の結合機構の比較を示す。単一特異性抗ECD4 HER2抗体は、1つの抗体分子を2つのHER2分子に結合させることができる;ところが、二重パラトピック抗ECD2×ECD4 HER2抗体は、1つの抗体を2つのHER2分子に、ならびに、2つの抗体を1つのHER2分子に、またその組み合わせで結合させることができ、HER2受容体架橋及び格子形成、続いて、矢印によって示す内部移行および/または増殖阻害などの下流生物学的効果をもたらす。IECは、「免疫エフェクター細胞」を表す。HER2の4つの細胞外ドメインは、1、2、3、または4と付番され、1=ECD1、2=ECD2、3=ECD3、及び4=ECD4である。
図15】BT−474細胞におけるAKTリン酸化に与える例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の効果を示す。
図16】心筋細胞生存力に与える例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の効果を示す。図16Aは、心筋細胞生存力に与えるv5019及び対応するADCであるv6363の効果を示す;図16Bは、心筋細胞生存力に与えるv5019、v7091、及びv10000、ならびに対応するADC v6363、7148、10553の効果を示し、図16Cは、ドキソルビシンで事前処置した心筋細胞の生存力に与えるv5019、v7091、及びv10000、ならびに対応するADC v6363、7148、10553の効果を示す。
図17A】HER2+細胞の増殖を阻害する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体薬物コンジュゲートの能力を示す。図17Aは、JIMT1細胞の増殖を阻害するADCv 6363の能力を示す。
図17B】HER2+細胞の増殖を阻害する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体薬物コンジュゲートの能力を示す。図17Bは、SKOV3細胞の増殖を阻害するADCv 6363の能力を示す。
図17C】HER2+細胞の増殖を阻害する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体薬物コンジュゲートの能力を示す。図17Cは、MCF7細胞の増殖を阻害するADCv 6363の能力を示す。
図17D】HER2+細胞の増殖を阻害する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体薬物コンジュゲートの能力を示す。図17Dは、MDA−MB−231細胞の増殖を阻害するADCv 6363の能力を示す。
図17E】HER2+細胞の増殖を阻害する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体薬物コンジュゲートの能力を示す。図17Eは、SKOV3細胞の増殖を阻害するADCv 6363、v10553、及びv1748の能力を示す。
図17F】HER2+細胞の増殖を阻害する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体薬物コンジュゲートの能力を示す。図17Fは、JIMT−1細胞の増殖を阻害するADCv 6363、v10553、及びv1748の能力を示す。
図17G】HER2+細胞の増殖を阻害する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体薬物コンジュゲートの能力を示す。図17Gは、NCI−N87細胞の増殖を阻害するADCv 6363、v10553、及びv1748の能力を示す。
図18A】ヒト卵巣癌系異種移植モデル(SKOV3)における二重パラトピック抗HER2抗体の効果を示す。図18Aは、平均腫瘍体積に与える抗体の効果を示す。
図18B】ヒト卵巣癌系異種移植モデル(SKOV3)における二重パラトピック抗HER2抗体の効果を示す。図18Bは、動物の生存率(%)に与える抗体の効果を示す。
図19A】ヒト卵巣癌系異種移植モデル(SKOV3)における二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果を示す。図19Aは、平均腫瘍体積に与える抗体の効果を示す。
図19B】ヒト卵巣癌系異種移植モデル(SKOV3)における二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果を示す。図19Bは、動物の生存率(%)に与える抗体の効果を示す。
図20】ヒト乳房初代細胞異種移植モデル(HBCx−13b)における平均腫瘍体積に与える二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果を示す。
図21】ヒト乳房初代細胞異種移植モデル(T226)における平均腫瘍体積に与える二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果を示す。
図22】ヒト乳房初代細胞異種移植モデル(HBCx−5)における平均腫瘍体積に与える二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果を示す。
図23】ヒト細胞系異種移植モデル(SKOV3)における抗HER2処置耐性腫瘍に与える二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果を示す。
図24】ヒト初代細胞異種移植モデル(HBCx−13b)における抗HER2処置耐性腫瘍に与える二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果を示す。
図25】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の熱安定性を示す。図25Aは、v5019の熱安定性を示す。図25Bは、v10000の熱安定性を示す。図25Cは、v7091の熱安定性を示す。
図26】例示的な抗HER2二重パラトピック抗体薬物コンジュゲートの熱安定性を示す。図26Aは、v6363の熱安定性を示す。図26Bは、v10553の熱安定性を示す。図26Cは、v7148の熱安定性を示す。
図27A】HER2+細胞においてADCCを媒介する抗HER2二重パラトピック抗体の能力を示す。図27Cにおいて示される凡例は、図27Aにも適用される。図27Aは、SKBR3細胞におけるこの能力を示す。
図27B】HER2+細胞においてADCCを媒介する抗HER2二重パラトピック抗体の能力を示す。図27Cにおいて示される凡例は、図27Bにも適用される。図27Bは、JIMT−1細胞におけるこの能力を示す。
図27C】HER2+細胞においてADCCを媒介する抗HER2二重パラトピック抗体の能力を示す。図27Cは、MDA−MB−231細胞におけるこの能力を示す。
図27D】HER2+細胞においてADCCを媒介する抗HER2二重パラトピック抗体の能力を示す。図27Dは、WI−38細胞におけるこの能力を示す。
図28A】ADCCを媒介する抗HER2二重パラトピック抗体の能力に与えるアフコシル化の効果を示す。図28Bにおいて示す凡例は、図28Aにも適用される。図28Aは、SKOV3細胞において、ADCCを媒介するv5019のアフコシル化版の能力をHerceptin(商標)の能力と比較する。
図28B】ADCCを媒介する抗HER2二重パラトピック抗体の能力に与えるアフコシル化の効果を示す。図28Bは、MDA−MB−231細胞において、ADCCを媒介するv5019のアフコシル化版の能力をHerceptin(商標)の能力と比較する。
図28C】ADCCを媒介する抗HER2二重パラトピック抗体の能力に与えるアフコシル化の効果を示す。図28Cは、ZR−75−1細胞において、ADCCを媒介するv10000及びv10000のアフコシル化版の能力をHerceptin(商標)の能力に対して比較する。
図29】増殖刺激リガンドの存在下または不在下でBT−474細胞の増殖を阻害するv5019の能力を示す。
図30】ヒト乳癌異種移植モデル(HBCx13B)における腫瘍体積に与えるv5019のアフコシル化版(v7187)の効果を示す。
図31A】HER2+腫瘍細胞に結合する抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2二重パラトピック−ADCの能力を示す。図31Aは、SKOV3細胞において、v6363の結合をT−DM1類似体であるv6246と比較する。
図31B】HER2+腫瘍細胞に結合する抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2二重パラトピック−ADCの能力を示す。図31Bは、JIMT−1細胞において、v6363の結合をT−DM1類似体であるv6246と比較する。
図31C】HER2+腫瘍細胞に結合する抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2二重パラトピック−ADCの能力を示す。図31Cは、SKOV3細胞において、数種の例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2二重パラトピック−ADCの結合を対照と比較する。
図31D】HER2+腫瘍細胞に結合する抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2二重パラトピック−ADCの能力を示す。図31Dは、JIMT−1細胞において、数種の例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2二重パラトピック−ADCの結合を対照と比較する。
図32】HER2 3+(ER−PR陰性)患者由来の異種移植モデル(HBCx13b)における、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCの用量依存性腫瘍増殖阻害を示す。図32Aは、腫瘍体積に与えるv6363の効果を示し、図32Bは、生存率(%)に与える効果を示す。
図33】トラスツズマブ耐性PDX HBCx−13b異種移植モデルにおいて、標準治療の組み合わせと比較した二重パラトピック抗HER2−ADCv 6363の効果を示す。図33Aは、腫瘍体積に与える処置の効果を示し、図33Bは、生存に与える処置の効果を示す。
図34】HER2+トラスツズマブ耐性乳癌細胞由来の腫瘍異種移植モデル(JIMT−1)における二重パラトピック抗HER2−ADCの有効性を示す。
図35】トラスツズマブ感受性卵巣癌細胞由来の腫瘍異種移植モデル(SKOV3)におけるin vivoでの例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の有効性を示す。図35Aは、腫瘍体積に与える処置の効果を示し、図35Bは、生存に与える処置の効果を示す。
図36】トラスツズマブ感受性卵巣癌細胞由来の腫瘍異種移植モデル(SKOV3)におけるin vivoでの例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の用量依存性有効性を示す。
図37】HER2ならびにEGFRおよび/またはHER3を3+、2+、または1+レベルで発現する細胞系の増殖を阻害する抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2二重パラトピック−ADCの能力を示す。図37Aは、選択された細胞系の増殖を阻害するv10000の能力を示す。図37Bは、選択された細胞系の増殖を阻害するv10553の能力を示す。
図38】細胞系の一団において増殖を阻害するv10000及びv10553の能力の概要を示す。ハイフンで区切った値(例えば、1/2)は、文献において報告されたものと相違するerbb受容体レベルを示し;Erbb IHC値は、内部で、または文献から得た。値が報告されていない場合、その受容体量は不明である、および/または報告されていない。IHCレベルは、erBb2遺伝子発現データ(Crown BioSciences)に基づき推定されている。付番された参考文献は、以下に記載する。
図39A】HER2+細胞においてADCCを媒介するv10000の能力を示す。図39Aは、FaDu細胞における結果を示す。
図39B】HER2+細胞においてADCCを媒介するv10000の能力を示す。図39Bは、A549細胞における結果を示す。
図39C】HER2+細胞においてADCCを媒介するv10000の能力を示す。図39Cは、BxPC3細胞における結果を示す。
図39D】HER2+細胞においてADCCを媒介するv10000の能力を示す。図39Dは、MiaPaca2細胞における結果を示す。
図40】HER2+細胞においてADCCを媒介する抗HER2二重パラトピック抗体の能力を示す。図40Aは、A549細胞における結果を示す。図40Bは、NCI−N87細胞における結果を示す。図40Cは、HCT−116細胞における結果を示す。
図41A】HER2+細胞との結合に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を示す。図41Aは、BT−474細胞への結合に与える形式の効果を示す。
図41B】HER2+細胞との結合に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を示す。図41Bは、JIMT−1細胞への結合に与える形式の効果を示す。
図41C】HER2+細胞との結合に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を示す。図41Cは、MCF7細胞への結合に与える形式の効果を示す。
図41D】HER2+細胞との結合に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を示す。図41Dは、MDA−MB−231細胞への結合に与える形式の効果を示す。
図42】HER2+細胞において、抗体の内部移行に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を示す。図42Aは、BT−474細胞における内部移行に与える効果を示す。図42Bは、JIMT−1細胞における内部移行に与える効果を示す。図42Cは、MCF7細胞における内部移行に与える効果を示す。
図43A】HER2+細胞において、ADCCを媒介する能力に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を示す。図43Aは、JIMT−1細胞における効果を示す。
図43B】HER2+細胞において、ADCCを媒介する能力に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を示す。図43Bは、MCF7細胞における効果を示す。
図43C】HER2+細胞において、ADCCを媒介する能力に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を示す。図43Cは、HER2 0/1+MDA−MB−231乳房腫瘍細胞における効果を示す。
図44】増殖刺激リガンドの存在下または不在下で、BT−474細胞においてHER2+腫瘍細胞増殖を阻害する抗体の能力に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を示す。
図45】SKBR3細胞の増殖を阻害する抗体の能力に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を示す。
図46A】HER2+腫瘍細胞の増殖を阻害する抗体の能力に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を示す。図46Aは、SKOV3細胞における増殖阻害を示す。
図46B】HER2+腫瘍細胞の増殖を阻害する抗体の能力に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を示す。図46Bは、JIMT−1細胞における増殖阻害を示す。
図46C】HER2+腫瘍細胞の増殖を阻害する抗体の能力に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を示す。図46Cは、MCF7細胞における増殖阻害を示す。
図47】SPRによって測定した、異なる形式の抗HER2二重パラトピック抗体の結合特性の比較を示す。図47Aは、v6903及びv7091を用いて、異なる抗体捕捉レベルでのkd(1/s)のプロット及び線形回帰分析を示す。図47Bは、v6903及びv7091を用いて、異なる抗体捕捉レベルでのKD(M)のプロット及び線形回帰分析を示す。
【0009】
図38に見いだされる参考文献は以下の通りである:1.Labouret et al.2012,Neoplasia 14:121−130;2.Ghasemi et al.2014,Oncogenesis doi:10.1038/oncsis.2014.31;3.Gaborit et al.2011 J Bio Chem,286:1133−11345;4.Kimura et al.2006,Clin Cancer Res;12:4925−4932;5.Komoto et al.2009,Canc Sci;101:468−473;6.Cretella et al.2014,Molecular Cancer 13:143−155;7.Bunn et al.2001,Clin Cancer Res;7:3239−3250;8.Lewis Phillips et al.2013,Clin Cancer Res,20:456−468;9.McDonagh et al.2012,11:582−593;10.Coldren et al.2006,Mol Cancer Res:521−528;11.Cavazzoni et al.2012 Mol Cancer,11:91−115;12.Li et al.2014,Mol Cancer Res,doi:10.1158/1541−7786.MCR−13−0396;13.Chmielewski et al.2004,Immunology,173:7647−7653;14.Kuwada et al.2004,Int J Cancer,109:291−301;15.Fujimoto−Ouchi et al.2007,Clin Chemother Pharmacol,59:795−805;16.Chavez−Blanco et al.2004,BMC Cancer,4:59;17.Campiglio et al.2004,J Cellular Physiology.198:259−268;18.Lehmann et al.2011,J Clin Investigation,121:2750−2767;19.Collins et al.2011,Annals Oncology,23:1788−1795;20.Takai et al.2005,Cancer,104:2701−2708;21.Rusnack et al.2007,Cell Prolif,40:580−594;22.Ma et al.2013,PLOS ONE,8:e73261−e73261;23.Meira et al.2009,British J Cancer,101:782−791;24.Hayashi MP28−14 poster;25.Wang et al.2005 J Huazhong Univ Sci Technolog Med Sci.25:326−8;26.Makhja et al.2010.J Clinc Oncolo 28:1215−1223。
図48図48A〜Bは、HER2−低、非小細胞肺癌の異種移植モデルにおける二重パラトピック抗HER2抗体の効果を示す。図48Aは、腫瘍体積に与える抗体の効果を示す。図48Bは、動物の生存率(%)に与える抗体の効果を示す。
図49図49A〜Bは、HER2−低、頭頸部扁平上皮癌の異種移植モデルにおける二重パラトピック抗HER2抗体の効果を示す。図49Aは、腫瘍体積に与える抗体の効果を示す。図49Bは、動物の生存率(%)に与える抗体の効果を示す。
図50図50A〜Bは、HER2−低、ER+乳癌の異種移植モデルにおける二重パラトピック抗HER2抗体の効果を示す。図50Aは、腫瘍体積に与える抗体の効果を示す。図50Bは、動物の生存率(%)に与える抗体の効果を示す。
図51図51A〜Bは、膵臓癌の異種移植モデルにおける腫瘍体積及び生存を示す。
図52】胃癌の異種移植モデルにおける腫瘍体積を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
HER2と結合する二重特異性抗原結合性構築物を使用する方法を本明細書に記載する。
【0011】
抗原結合性構築物
HER2と結合する抗原結合性構築物、例えば、抗体を本明細書に提供する。抗原結合性構築物は、HER2 ECD2抗原と結合する少なくとも1つの抗原結合性ポリペプチド構築物を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合性構築物は、第二の抗原、例えば、HER2 ECD4抗原またはHER2 ECD2抗原と結合する第二の抗原結合性ポリペプチド構築物を含む。以下により詳述するように、抗原結合性ポリペプチド構築物は、タンパク質構築物、例えば、Fab(断片抗原結合性)、scFv(一本鎖Fv)及びsdab(単一ドメイン抗体)であることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、抗原結合性構築物は、スカフォールド、例えば、Fcを含む。
【0012】
「抗原結合性構築物」という用語は、抗原に結合することができる任意の作用物質、例えば、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体を指す。いくつかの態様では、抗原結合性構築物は、目的の抗原に特異的に結合するポリペプチドである。抗原結合性構築物は、単量体、二量体、多量体、タンパク質、ペプチド、またはタンパク質もしくはペプチド複合体;抗体、抗体断片、またはその抗原結合性断片;scFv等であることができる。抗原結合性構築物は、単一特異性、二重特異性、または多重特異性であることができる。いくつかの態様では、抗原結合性構築物は、例えば、1つまたは複数のFcに連結した1つまたは複数の抗原結合性ポリペプチド構築物(例えば、FabまたはscFv)を含むことができる。抗原結合性構築物のさらなる例を以下に記載し、実施例において提供する。
【0013】
いくつかの実施形態では、抗原結合性構築物は、単一特異性である。単一特異性抗原結合性構築物は、1つの結合特異性を伴う抗原結合性構築物を指す。言い換えると、抗原結合性ポリペプチド構築物は、同じ抗原上の同じエピトープに結合する。単一特異性抗原結合性構築物の例には、トラスツズマブ及びペルツズマブが含まれる。
【0014】
二重特異性抗原結合性構築物は、固有の結合特異性をそれぞれ伴う2つの抗原結合性ポリペプチド構築物を有する。例えば、第一の抗原結合性ポリペプチド構築物は、第一の抗原上のエピトープに結合し、第二の抗原結合性ポリペプチド構築物は、第二の抗原上のエピトープに結合する。「二重パラトピック」という用語は、本明細書で用いるとき、二重特異性抗体を指し、ここで第一の抗原結合性部分及び第二の抗原結合性部分は、同じ抗原上の異なるエピトープに結合する。
【0015】
抗原結合性構築物は、抗体またはその抗原結合性部分であることができる。本明細書で用いるとき、「抗体」または「免疫グロブリン」は、1つまたは複数の免疫グロブリン遺伝子により実質的にコードされるポリペプチド、またはその断片を指し、これは分析物(例えば、抗原)と特異的に結合し、これを認識する。認識された免疫グロブリン遺伝子には、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、及びミュー定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかとして分類される。抗体または免疫グロブリンの「クラス」は、その重鎖が有する定常ドメインまたは定常領域のタイプを指す。抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG、IgG、IgG、IgA1、及びIgAへとさらに分割され得る。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0016】
例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、2対のポリペプチド鎖から構成されており、それぞれの対が、1本の「軽鎖」(約25kD)及び1本の「重鎖」(約50〜70kD)を有する。各鎖のN末端ドメインが、抗原認識を主に担う約100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を規定する。可変軽鎖(VL)及び可変重鎖(VH)という用語は、それぞれ、これらの軽鎖及び重鎖ドメインを指す。IgG1重鎖は、N末端からC末端へとそれぞれVH、CH1、CH2及びCH3ドメインから構成される。軽鎖は、N末端からC末端へとVL及びCLドメインから構成される。IgG1重鎖は、CH1とCH2ドメインとの間にヒンジを含む。
【0017】
「超可変領域」または「HVR」という用語は、本明細書で用いるとき、配列中で超可変的である、および/または構造的に規定されたループ(「超可変ループ」)を形成する抗体可変ドメインの領域のそれぞれを指す。一般に、天然の4本鎖抗体は、6つのHVR;VHに3つ(H1、H2、H3)、及びVLに3つ(L1、L2、L3)を含む。HVRは一般に、超可変ループから、および/または相補性決定領域(CDR)からのアミノ酸残基を含み、後者は、最高配列可変性を有する、および/または抗原認識に関与する。VHのCDR1を除いて、CDRは一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。超可変領域(HVR)は、「相補性決定領域」(CDR)とも称され、これらの用語は本明細書において、抗原結合性領域を形成する可変領域の部分に言及する際には互換的に使用される。この特定の領域は、Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,Sequences of Proteins of Immunological Interest(1983)及びChothia et al.,J Mol Biol 196:901−917(1987)において記載されており、その定義は、相互に比較するときに、アミノ酸残基の重複またはサブセットを含む。それにもかかわらず、抗体またはその変異体のCDRに言及するためのいずれの定義の適用も、本明細書において定義及び使用するとおりの用語の範囲内であることが意図される。特定のCDRを包含する正確な残基数は、CDRの配列及びサイズに依存して変化するだろう。当業者は、抗体の可変領域アミノ酸配列を考慮して、どの残基が特定のCDRを含むかを日常的に決定することができる。
【0018】
非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。大部分について、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基によって置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらには、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体において見いだされない残基を含んでよい。これらの修飾は、抗体性能をさらに洗練するためになされる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的に2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み得、このドメイン内では、超可変ループのすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに対応しており、FRのすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、任意選択で、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれも含むだろう。さらなる詳細については、Jones et al.,Nature 321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323−329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照されたい。
【0019】
ヒト化HER2抗体は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる米国特許第5,821,337号の表3に記載されている、huMAb4D5−1、huMAb4D5−2、huMAb4D5−3、huMAb4D5−4、huMAb4D5−5、huMAb4D5−6、huMAb4D5−7及びhuMAb4D5−8またはトラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標));ヒト化520C9(WO93/21319)及び米国特許公開第2006/0018899号に記載されているヒト化2C4抗体を含む。
【0020】
抗原結合性ポリペプチド構築物
本明細書に記載の抗原結合性構築物は、HER2 ECD2抗原にそれぞれ結合する少なくとも1つの抗原結合性ポリペプチド構築物を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物は、例えば、HER2 ECD2抗原またはHER2 ECD4抗原に結合する第二の抗原結合性ポリペプチド構築物を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合性ポリペプチド構築物は、以下の実施例に開示される配列、例えば、v5019、v5020、v7091、v10000、またはv6717のVHまたはVLまたはCDRを含む。
【0021】
抗原結合性ポリペプチド構築物は、典型的には一価である、すなわち、1つのエピトープにのみ結合することができる。いくつかの実施形態では、しかしながら、抗原結合性ポリペプチド構築物は、二価(2つのエピトープに結合する)または多価であることができる。
【0022】
いずれの抗原結合性ポリペプチド構築物も、用途に応じて、例えば、Fab、またはscFvであることができる。いくつかの実施形態では、抗原結合性構築物は、2つの抗原結合性ポリペプチド構築物を含む。抗原結合性構築物の形式は、Fab−Fab、scFv−scFv、またはFab−scFvもしくはscFv−Fab(それぞれ、第一の抗原結合性ポリペプチド構築物−第二の抗原結合性ポリペプチド)であってよい。
【0023】
Fab(抗原結合性断片とも称される)は、軽鎖の定常ドメイン(CL)及び重鎖の第一の定常ドメイン(CH1)を、それぞれ軽鎖及び重鎖上の可変ドメインVL及びVHと共に含有する。可変ドメインは、抗原結合に関与する相補性決定ループ(CDR、超可変領域とも称される)を含む。Fab’断片は、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端での、数個の残基が付加していることによってFab断片とは異なり、これには、抗体ヒンジ領域からの1つまたは複数のシステインを含む。
【0024】
「一本鎖Fv」または「scFv」は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖中に存在する。一実施形態では、Fvポリペプチドは、VHとVLドメインとの間に、scFvが抗原結合に所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvの概説については、Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)を参照されたい。HER2抗体scFv断片は、WO93/16185;米国特許第5,571,894号;及び米国特許第5,587,458号に記載されている。
【0025】
「単一ドメイン抗体」または「sdAb」形式は、個別の免疫グロブリンドメインである。SdAbは、非常に安定しており、抗体のFc鎖との融合パートナーとして発現が容易である(Harmsen MM,De Haard HJ(2007).“Properties,production,and applications of camelid single−domain antibody fragments”.Appl.Microbiol Biotechnol.77(1):13−22)。
【0026】
いくつかの実施形態では、抗原結合性ポリペプチド構築物は、抗体、フィブロネクチン、アフィボディ、アンチカリン、システインノットタンパク質、DARPin、アビマー、クニッツドメインまたはその変異体もしくは誘導体から誘導される。
【0027】
本明細書に記載の抗原結合性ポリペプチド構築物は、異なる形式に変換することができる。例えば、FabはscFvに変換されることができ、またはscFvはFabに変換されることができる。抗原結合性ドメインの型間で変換する方法は、当該分野で公知である(例えば、Zhou et al(2012)Mol Cancer Ther 11:1167−1476で記載されている、例えば、scFvをFab形式に変換するための方法を参照されたい。そこに記載の方法は、参照により組み込まれる)。
【0028】
本明細書に記載の抗原結合性構築物は、HER2と特異的に結合する。「特異的に結合する」、「特異的結合」または「選択的結合」は、結合が、抗原に対して選択的であり、望ましくないまたは非特異的相互作用とは区別され得ることを意味する。特定の抗原決定基に結合する抗原結合性構築物の能力は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)または当業者が熟知する他の技術、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)技術(BIAcore機器で分析)(Liljeblad et al,Glyco J 17,323−329(2000))、及び従来の結合アッセイ(Heeley,Endocr Res 28,217−229(2002))のいずれかによって測定することができる。
【0029】
一実施形態では、抗原結合性部分の無関係なタンパク質への結合の程度は、例えば、SPRにより測定されて、抗原結合性構築物の抗原への結合の約10%未満である。
【0030】
HER2
本明細書に記載の抗原結合性構築物は、HER2のECD2に結合する抗原結合性ポリペプチド構築物を含む。
【0031】
「ErbB2」及び「HER2」という表現は、本明細書で互換可能に使用され、例えば、Semba et al.,PNAS(USA)82:6497−6501(1985)及びYamamoto et al.Nature 319:230−234(1986)(Genebankアクセッション番号X03363)に記載のヒトHER2タンパク質を指す。「erbB2」及び「neu」という用語は、ヒトErbB2タンパク質をコードする遺伝子を指す。p185またはp185neuは、neu遺伝子のタンパク質生成物を指す。
【0032】
HER2は、HER受容体である。「HER受容体」は、受容体タンパク質チロシンキナーゼであり、ヒト上皮成長因子受容体(HER)ファミリーに属し、EGFR、HER2、HER3及びHER4受容体を含む。HER受容体は、一般的に、HERリガンドと結合し得る細胞外ドメイン;親油性膜貫通ドメイン;保存細胞内チロシンキナーゼドメイン;及びリン酸化され得るいくつかのチロシン残基を収容するカルボキシル末端シグナル伝達ドメインを含むだろう。「HERリガンド」は、HER受容体に結合するおよび/またはこれを活性化するポリペプチドを意味する。
【0033】
HER2の細胞外(ecto)ドメインは、4つのドメイン、ドメインI(ECD1、約1〜195のアミノ酸残基)、ドメインII(ECD2、約196〜319のアミノ酸残基)、ドメインIII(ECD3、約320〜488のアミノ酸残基)、及びドメインIV(ECD4、約489〜630のアミノ酸残基)(シグナルペプチドを伴わない残基ナンバリング)を含む。Garrett et al.Mol.Cell.11:495−505(2003)、Cho et al.Nature 421:756−760(2003)、Franklin et al.Cancer Cell 5:317−328(2004)、Tse et al.Cancer Treat Rev.2012 Apr;38(2):133−42(2012)、またはPlowman et al.Proc.Natl.Acad.Sci.90:1746−1750(1993)を参照されたい。
【0034】
HER2の配列は以下の通りである;ECD範囲は、ドメインI:1〜165;ドメインII:166〜322;ドメインIII:323〜488;ドメインIV:489〜607。
[この文献は図面を表示できません]
【0035】
「エピトープ2C4」は、抗体2C4が結合するHER2の細胞外ドメインの領域である。エピトープ2C4は、HER2の細胞外ドメインのドメインIIからの残基を含む。2C4及びペルツズマブは、HER2の細胞外ドメインにドメインI、II及びIIIの接続部で結合する。Franklin et al.Cancer Cell 5:317−328(2004)。2C4エピトープに結合する抗体についてスクリーニングするために、Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Ed Harlow and David Lane(1988)において記載されているアッセイなどの通常のクロスブロッキングアッセイを行うことができる。あるいは、当該分野で公知の方法を使用して抗体がHER2の2C4エピトープに結合するかどうかを評価するためにエピトープマッピングを行うことができ、かつ/またはHER2のどのドメイン(複数可)が抗体と結合するかを調べるために抗体−HER2構造を研究することができる(Franklin et al.Cancer Cell 5:317−328(2004))。
【0036】
「エピトープ4D5」は、抗体4D5(ATCC CRL 10463)及びトラスツズマブが結合するHER2の細胞外ドメインにおける領域である。このエピトープは、HER2の膜貫通ドメインに近接し、HER2のドメインIV内である。4D5エピトープに結合する抗体についてスクリーニングするために、Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Ed Harlow and David Lane(1988)において記載されているアッセイなどの通常のクロスブロッキングアッセイを行うことができる。あるいは、抗体がHER2の4D5エピトープ(例えば、両端を含む約残基529から約残基625の領域における任意の1つまたは複数の残基、米国特許公開第2006/0018899号の図1を参照されたい)に結合するかどうかを評価するためにエピトープマッピングを行うことができる。
【0037】
例示的な抗HER2抗原結合性構築物
例示的な抗HER2抗体(または抗原結合性構築物)及び対照を本明細書に提供する。例示的な二重パラトピック形式の代表を図1に示す。図1に示す形式のすべてにおいて、ヘテロ二量体Fcを、一方の鎖(鎖A)を黒色で示し、他方(鎖B)を灰色で示し、一方の抗原結合性ドメイン(1)は斜線をかけて示し、他方の抗原結合性ドメイン(2)を白色で示して、図示する。
【0038】
図1Aは、Fab−Fab形式の二重パラトピック抗体の構造を示す。図1B〜1Eは、scFv−Fab形式の二重パラトピック抗体の生じ得るバージョンの構造を示す。図1Bでは、抗原結合性ドメイン1はscFvであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン2はFabであり、鎖Bに融合している。図1Cでは、抗原結合性ドメイン1はFabであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン2はscFvであり、鎖Bに融合している。図1Dでは、抗原結合性ドメイン2はFabであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン1はscFvであり、鎖Bに融合している。図1Eでは、抗原結合性ドメイン2はscFvであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン1はFabであり、鎖Bに融合している。図1Fでは、両方の抗原結合性ドメインはscFvである。
【0039】
以下の変異体の配列を実施例の後にある配列の表において提供する。CDR領域は、Kabat及びChothia法の組み合わせを使用して同定した。領域は、同定のために使用される方法に基づいて多少変動してよい。
【0040】
例示的な抗HER2二重パラトピック抗体
例示的な抗HER2二重パラトピック抗体を表1に示す。
(表1)例示的な抗HER2二重パラトピック抗体
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注釈
・EU抗体のナンバリングを参照するKabatでのEUインデックスに従うCH3ナンバリング(Edelman et al.,1969,Proc Natl Acad Sci USA 63:78−85);
・Kabatに従うFabまたは可変ドメインナンバリング(Kabat and Wu,1991;Kabat et al,Sequences of proteins of immunological interest.5th Edition−US Department of Health and Human Services,NIH publication n°91−3242,p647(1991))
・「エピトープを含有するドメイン」=抗原結合性部分が結合するHER2のドメイン;
・「抗体名」=抗原結合性部分が由来する抗体であり、存在するときには野生型と比較して置換を含む;
・「Fab置換」=正確な軽鎖対合を促進するFabにおける置換;
・「CH3配列置換」=ヘテロ二量体Fcの形成を促進する、CH3ドメインにおける置換
【0041】
例示的な抗HER2一価対照抗体
v1040:一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上のトラスツズマブから誘導されたFabであり、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407Vを鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体であり、鎖Bのヒンジ領域は、突然変異C226Sを有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。
【0042】
v630−一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上のトラスツズマブから誘導されたscFvであり、Fc領域は、突然変異L351Y_S400E_F405A_Y407Vを鎖Aに、T366I_N390R_K392M_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体であり;ヒンジ領域は、両方の鎖に突然変異C226S(EUナンバリング)を有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。
【0043】
v4182:一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上のペルツズマブから誘導されたFabであり、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407Vを鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体であり、鎖Bのヒンジ領域は、突然変異C226Sを有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン2に結合する。
【0044】
例示的な抗HER2単一特異性二価抗体対照(フルサイズ抗体、FSA)
v506は、対照として、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において自家産生された野生型抗HER2である。両方のHER2結合性ドメインは、Fab形式でトラスツズマブから誘導され、Fcは、野生型ホモ二量体であり;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。この抗体は、トラスツズマブ類似体とも称される。
【0045】
v792は、IgG1ヒンジを伴う野生型トラスツズマブであり、ここで両方のHER2結合性ドメインは、Fab形式でトラスツズマブから誘導され、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407Vを鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体であり;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。この抗体は、トラスツズマブ類似体とも称される。
【0046】
v4184は、二価抗HER2抗体であり、ここで両方のHER2結合性ドメインは、Fab形式でペルツズマブから誘導され、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407Vを鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体である。抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン2に結合する。この抗体は、ペルツズマブ類似体とも称される。
【0047】
例示的な抗HER2二重パラトピック抗体薬物コンジュゲート(ADC)
以下に、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体薬物コンジュゲート(抗HER2二重パラトピック−ADC)を示す。変異体5019、7091、10000及び506のADCは以下のように同定される:
v6363(DM1にコンジュゲートしたv5019)
v7148(DM1にコンジュゲートしたv7091)
v10553(DM1にコンジュゲートしたv10000)
v6246(DM1にコンジュゲートしたv506、T−DM1、トラスツズマブ−エムタンシンに対する類似体)
v6249(DM1にコンジュゲートしたヒトIgG)
【0048】
抗原結合性構築物のFc
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物は、Fc、例えば、二量体Fcを含む。二量体Fcは、ホモ二量体またはヘテロ二量体であることができる。
【0049】
「Fcドメイン」または「Fc領域」という用語は、本明細書で、定常領域の少なくとも一部を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を規定するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域及び変異型Fc領域を含む。本明細書で別段の指定がない限り、Fc領域または定常領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、EUナンバリングシステムに従い、これはEUインデックスとも呼ばれ、Kabat et al,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991において記載されているとおりである。二量体Fcの「Fcポリペプチド」は、本明細書で用いるとき、二量体Fcドメインを形成する2つのポリペプチドの一方、すなわち、安定した自己会合が可能である、免疫グロブリン重鎖のC末端定常領域を含むポリペプチドを指す。例えば、二量体IgG FcのFcポリペプチドは、IgG CH2及びIgG CH3定常ドメイン配列を含む。
【0050】
Fcドメインは、CH3ドメインまたはCH3及びCH2ドメインのいずれかを含む。CH3ドメインは、2つのCH3配列を含み、二量体Fcの2つのFcポリペプチドのそれぞれから1つである。CH2ドメインは、2つのCH2配列を含み、二量体Fcの2つのFcポリペプチドのそれぞれから1つである。
【0051】
いくつかの態様では、Fcは、少なくとも1つのまたは2つのCH3配列を含む。いくつかの態様では、Fcは、1つまたは複数のリンカーを用いてまたは用いずに、第一の抗原結合性構築物および/または第二の抗原結合性構築物にカップリングする。いくつかの態様では、Fcは、ヒトFcである。いくつかの態様では、Fcは、ヒトIgGまたはIgG1 Fcである。いくつかの態様では、Fcは、ヘテロ二量体Fcである。いくつかの態様では、Fcは、少なくとも1つのまたは2つのCH2配列を含む。
【0052】
いくつかの態様では、Fcは、1つまたは複数の修飾をCH3配列の少なくとも1つにおいて含む。いくつかの態様では、Fcは、1つまたは複数の修飾をCH2配列の少なくとも1つにおいて含む。いくつかの態様では、Fcは、単一のポリペプチドである。いくつかの態様では、Fcは、複数のペプチド、例えば、2つのポリペプチドである。
【0053】
いくつかの態様では、Fcは、2011年11月4日に出願された特許出願PCT/CA2011/001238、または2012年11月2日に出願されたPCT/CA2012/050780に記載のFcであり、このそれぞれの全開示はその全体がすべての目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0054】
修飾CH3ドメイン
いくつかの態様では、本明細書に記載の抗原結合性構築物は、非対称に修飾されている修飾CH3ドメインを含むヘテロ二量体Fcを含む。ヘテロ二量体Fcは、2つの重鎖定常ドメインポリペプチド:第一のFcポリペプチド及び第二のFcポリペプチドを含むことができ、これは、Fcが1つの第一のFcポリペプチド及び1つの第二のFcポリペプチドを含む限り、互換可能に使用することができる。一般に、第一のFcポリペプチドは第一のCH3配列を含み、第二のFcポリペプチドは第二のCH3配列を含む。
【0055】
非対称様式で導入された1つまたは複数のアミノ酸修飾を含む2つのCH3配列は、通常、2つのCH3配列が二量体化するとき、ホモ二量体ではなく、ヘテロ二量体Fcをもたらす。本明細書で用いるとき、「非対称アミノ酸修飾」は、第一のCH3配列上の特定の位置のアミノ酸が、同じ位置で第二のCH3配列上のアミノ酸と異なる任意の修飾を指し、第一及び第二のCH3配列は、優先的に対合して、ホモ二量体ではなくヘテロ二量体を形成する。このヘテロ二量体化は、各配列上の同じそれぞれのアミノ酸位置での2つのアミノ酸のうちの一方のみの修飾;または第一及び第二のCH3配列のそれぞれの上の同じそれぞれの位置での各配列上の両方のアミノ酸の修飾の結果であることができる。ヘテロ二量体Fcの第一及び第二のCH3配列は、1つ以上の非対称アミノ酸修飾を含むことができる。
【0056】
表Aは、完全長ヒトIgG1重鎖のアミノ酸231〜447に対応する、ヒトIgG1 Fc配列のアミノ酸配列を提供する。CH3配列は、完全長ヒトIgG1重鎖のアミノ酸341〜447を含む。
【0057】
典型的には、Fcは、二量体化することができる2つの連続した重鎖配列(A及びB)を含むことができる。いくつかの態様では、Fcの一方または両方の配列は、1つまたは複数の突然変異または修飾を以下の位置で含む:EUナンバリングを使用して、L351、F405、Y407、T366、K392、T394、T350、S400、および/またはN390。いくつかの態様では、Fcは、表Xに示す突然変異配列を含む。いくつかの態様では、Fcは、変異体1A−Bの突然変異を含む。いくつかの態様では、Fcは、変異体2A−Bの突然変異を含む。いくつかの態様では、Fcは、変異体3A−Bの突然変異を含む。いくつかの態様では、Fcは、変異体4A−Bの突然変異を含む。いくつかの態様では、Fcは、変異体5A−Bの突然変異を含む。
(表A)IgG1 Fc配列
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【0058】
第一及び第二のCH3配列は、完全長ヒトIgG1重鎖のアミノ酸231〜447に関して、本明細書に記載のようなアミノ酸突然変異を含むことができる。一実施形態では、ヘテロ二量体Fcは、第一のCH3配列がアミノ酸修飾を位置F405及びY407で有し、第二のCH3配列がアミノ酸修飾を位置T394で有する、修飾CH3ドメインを含む。一実施形態では、ヘテロ二量体Fcは、第一のCH3配列がL351Y、F405A、及びY407Vから選択された1つまたは複数のアミノ酸修飾を有し、第二のCH3配列がT366L、T366I、K392L、K392M、及びT394Wから選択された1つまたは複数のアミノ酸修飾を有する、修飾CH3ドメインを含む。
【0059】
一実施形態では、ヘテロ二量体Fcは、第一のCH3配列がアミノ酸修飾を位置L351、F405及びY407で有し、第二のCH3配列がアミノ酸修飾を位置T366、K392、及びT394で有し、第一または第二のCH3配列の一方がアミノ酸修飾を位置Q347でさらに含み、他方のCH3配列がアミノ酸修飾を位置K360でさらに含む、修飾CH3ドメインを含む。別の実施形態では、ヘテロ二量体Fcは、第一のCH3配列がアミノ酸修飾を位置L351、F405及びY407で有し、第二のCH3配列がアミノ酸修飾を位置T366、K392、及びT394で有し、第一または第二のCH3配列の一方がアミノ酸修飾を位置Q347でさらに含み、他方のCH3配列がアミノ酸修飾を位置K360でさらに含み、前記CH3配列の一方または両方がアミノ酸修飾T350Vをさらに含む、修飾CH3ドメインを含む。
【0060】
一実施形態では、ヘテロ二量体Fcは、第一のCH3配列がアミノ酸修飾を位置L351、F405及びY407で有し、第二のCH3配列がアミノ酸修飾を位置T366、K392、及びT394で有し、前記第一及び第二のCH3配列の一方がD399RまたはD399Kのアミノ酸修飾をさらに含み、他方のCH3配列がT411E、T411D、K409E、K409D、K392E及びK392Dのうちの1つまたは複数を含む、修飾CH3ドメインを含む。別の実施形態では、ヘテロ二量体Fcは、第一のCH3配列がアミノ酸修飾を位置L351、F405及びY407で有し、第二のCH3配列がアミノ酸修飾を位置T366、K392、及びT394で有し、前記第一及び第二のCH3配列の一方がD399RまたはD399Kのアミノ酸修飾をさらに含み、他方のCH3配列がT411E、T411D、K409E、K409D、K392E及びK392Dのうちの1つまたは複数を含み、前記CH3配列の一方または両方がアミノ酸修飾T350Vをさらに含む、修飾CH3ドメインを含む。
【0061】
一実施形態では、ヘテロ二量体Fcは、第一のCH3配列がアミノ酸修飾を位置L351、F405及びY407で有し、第二のCH3配列がアミノ酸修飾を位置T366、K392、及びT394で有し、ここで前記CH3配列の一方または両方がT350Vのアミノ酸修飾をさらに含む、修飾CH3ドメインを含む。
【0062】
一実施形態では、ヘテロ二量体Fcは、以下のアミノ酸修飾を含む修飾CH3ドメインを含み、ここで「A」は第一のCH3配列に対するアミノ酸修飾を表し、「B」は第二のCH3配列に対するアミノ酸修飾を表す。
[この文献は図面を表示できません]
【0063】
1つまたは複数の非対称アミノ酸修飾は、ヘテロ二量体CH3ドメインが野生型ホモ二量体CH3ドメインに匹敵する安定性を有するヘテロ二量体Fcの形成を促進することができる。一実施形態では、1つまたは複数の非対称アミノ酸修飾は、ヘテロ二量体Fcドメインが野生型ホモ二量体Fcドメインに匹敵する安定性を有するヘテロ二量体Fcドメインの形成を促進する。一実施形態では、1つまたは複数の非対称アミノ酸修飾は、ヘテロ二量体Fcドメインが示差走査熱量測定試験において融解温度(Tm)を介して観察される安定性を有し、ここでその融解温度が、対応する対称な野生型ホモ二量体Fcドメインについて観察された融解温度の4℃以内である、ヘテロ二量体Fcドメインの形成を促進する。いくつかの態様では、Fcは、1つまたは複数の修飾をCH3配列の少なくとも1つに含み、これは野生型ホモ二量体Fcに匹敵する安定性を有するヘテロ二量体Fcの形成を促進する。
【0064】
一実施形態では、CH3ドメインの安定性は、例えば示差走査熱量測定(DSC)により、CH3ドメインの融解温度を測定することにより評価することができる。ゆえに、さらなる実施形態では、CH3ドメインは、約68℃またはより高い融解温度を有する。別の実施形態では、CH3ドメインは、約70℃またはより高い融解温度を有する。別の実施形態では、CH3ドメインは、約72℃またはより高い融解温度を有する。別の実施形態では、CH3ドメインは、約73℃またはより高い融解温度を有する。別の実施形態では、CH3ドメインは、約75℃またはより高い融解温度を有する。別の実施形態では、CH3ドメインは、約78℃またはより高い融解温度を有する。いくつかの態様では、二量体化CH3配列は、約68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、77.5、78、79、80、81、82、83、84、または85℃またはより高い融解温度(Tm)を有する。
【0065】
いくつかの実施形態では、修飾CH3配列を含むヘテロ二量体Fcは、発現産物において、ホモ二量体Fcと比較して、少なくとも約75%の純度で形成されることができる。別の実施形態では、ヘテロ二量体Fcは、約80%超の純度で形成される。別の実施形態では、ヘテロ二量体Fcは、約85%超の純度で形成される。別の実施形態では、ヘテロ二量体Fcは、約90%超の純度で形成される。別の実施形態では、ヘテロ二量体Fcは、約95%超の純度で形成される。別の実施形態では、ヘテロ二量体Fcは、約97%超の純度で形成される。いくつかの態様では、Fcは、発現されるときに、約75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%超の純度で形成されるヘテロ二量体である。いくつかの態様では、Fcは、単一の細胞を介して発現されるときに、約75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%超の純度で形成されるヘテロ二量体である。
【0066】
ヘテロ二量体Fc形成を促進するために単量体Fcポリペプチドを修飾するための追加の方法は、国際特許公開番号WO96/027011(knobs into holes)、Gunasekaran et al.(Gunasekaran K.et al.(2010)J Biol Chem.285,19637−46,electrostatic design to achieve selective heterodimerization)、Davis et al.(Davis,JH.et al.(2010)Prot Eng Des Sel;23(4):195−202,strand exchange engineered domain(SEED)technology)、及びLabrijn et al[Efficient generation of stable bispecific IgG1 by controlled Fab−arm exchange.Labrijn AF,Meesters JI,de Goeij BE,van den Bremer ET,Neijssen J,van Kampen MD,Strumane K,Verploegen S,Kundu A,Gramer MJ,van Berkel PH,van de Winkel JG,Schuurman J,Parren PW.Proc Natl Acad Sci U S A.2013 Mar 26;110(13):5145−50において記載されている。
【0067】
CH2ドメイン
いくつかの実施形態では、抗原結合性構築物のFcは、CH2ドメインを含む。FcのCH2ドメインの一例は、表Aに示す配列のアミノ酸231〜340である。いくつかのエフェクター機能が、抗体のFcに結合するFc受容体(FcR)により媒介される。
【0068】
「Fc受容体」及び「FcR」という用語は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載するために使用される。例えば、FcRは、天然配列ヒトFcRであることができる。一般に、FcRは、IgG抗体と結合するもの(ガンマ受容体)であり、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子変異型及び選択的スプライシング型を含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「抑制性受容体」)を含み、これらは主にその細胞質ドメインにおいて異なる類似したアミノ酸配列を有する。他のアイソタイプの免疫グロブリンも、ある特定のFcRと結合することができる(例えば、Janeway et al.,Immuno Biology:the immune system in health and disease,(Elsevier Science Ltd.,NY)(4th ed.,1999)を参照されたい)。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)を含有する。抑制性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系抑制モチーフ(ITIM)を含有する(Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203−234(1997)において概説されている)。FcRは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991);Capel et al.,Immunomethods 4:25−34(1994);及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330−41(1995)において概説されている。将来同定されるものを含む他のFcRは、本明細書における「FcR」という用語に包含される。この用語は、胎児への母親IgGの移行を担う新生児受容体であるFcRnも包含する(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976);及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))。
【0069】
CH2ドメインにおける修飾は、FcへのFcRの結合に影響を及ぼし得る。Fc領域におけるいくつかのアミノ酸修飾が、異なるFcガンマ受容体に対するFcの親和性を選択的に変更することについて当該分野で公知である。いくつかの態様では、Fcは、Fc−ガンマ受容体の選択的結合を促進するために1つまたは複数の修飾を含む。
【0070】
Fcに対するFcRの結合を変更する例示的な突然変異を以下に挙げる:
【0071】
S298A/E333A/K334A、S298A/E333A/K334A/K326A(Lu Y,Vernes JM,Chiang N,et al.J Immunol Methods.2011 Feb 28;365(1−2):132−41);
【0072】
F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L、F243L/R292P/Y300L/L235V/P396L(Stavenhagen JB,Gorlatov S,Tuaillon N,et al.Cancer Res.2007 Sep 15;67(18):8882−90;Nordstrom JL,Gorlatov S,Zhang W,et al.Breast Cancer Res.2011 Nov 30;13(6):R123);
【0073】
F243L(Stewart R,Thom G,Levens M,et al.Protein Eng Des Sel.2011 Sep;24(9):671−8.)、S298A/E333A/K334A(Shields RL,Namenuk AK,Hong K,et al.J Biol Chem.2001 Mar 2;276(9):6591−604);
【0074】
S239D/I332E/A330L、S239D/I332E(Lazar GA,Dang W,Karki S,et al.Proc Natl Acad Sci U S A.2006 Mar 14;103(11):4005−10);
【0075】
S239D/S267E、S267E/L328F(Chu SY,Vostiar I,Karki S,et al.Mol Immunol.2008 Sep;45(15):3926−33);
【0076】
S239D/D265S/S298A/I332E、S239E/S298A/K326A/A327H、G237F/S298A/A330L/I332E、S239D/I332E/S298A、S239D/K326E/A330L/I332E/S298A、G236A/S239D/D270L/I332E、S239E/S267E/H268D、L234F/S267E/N325L、G237F/V266L/S267Dならびに参照により本明細書に組み込まれるWO2011/120134及びWO2011/120135に挙げられる他の突然変異。Therapeutic Antibody Engineering(William R.Strohl and LilaM.Strohl,Woodhead Publishing series in Biomedicine No 11,ISBN 1 907568 37 9,Oct 2012)は、283頁にて突然変異を挙げている。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物は、抗原と結合する抗原結合性ポリペプチド構築物;及び二量体Fcであって、同じ二量体Fcを含まない抗原結合性構築物と比較して安定性及び製造の容易性などの優れた生物物理学的特性を有する前記二量体Fcを含む。いくつかの実施形態では、CH2ドメインは、1つまたは複数の非対称アミノ酸修飾を含む。例示的な非対称突然変異は、国際特許出願番号PCT/CA2014/050507に記載されている。
【0078】
エフェクター機能を改善するための追加の修飾
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物は、エフェクター機能を媒介するその能力を改善するための修飾を含む。かかる修飾は、当該分野で公知であり、アフコシル化、または活性化受容体、主にADCCのためのFCGR3aに向けた、及びCDCのためのC1qに向けたFcの親和性の操作が含まれる。以下の表Bは、エフェクター機能操作に関して文献において報告された様々な設計をまとめる。
【0079】
アミノ酸配列を変更することなく、Fcグリコシル化部位(Asn 297、EUナンバリング)上にフコースをほとんどまたは全く有さない抗原結合性構築物を産生する方法は、当該分野で周知である。GlymaX(登録商標)技術(ProBioGen AG)は、フコース生合成の細胞経路を偏向させる酵素のための遺伝子を、抗原結合性構築物産生のために使用される細胞内に導入することに基づく。これは、抗原結合性構築物産生細胞によるN連結抗体炭水化物部分への糖「フコース」の付加を防ぐ(von Horsten et al.(2010)Glycobiology.2010 Dec;20(12):1607−18。フコシル化のレベルが低い抗原結合性構築物を得るための別の手法は、米国特許第8,409,572号において見いだすことができ、これは、抗原結合性構築物上でより低いレベルのフコシル化をもたらすそれらの能力について、抗原結合性構築物産生のための細胞系を選択することを教示している。抗原結合性構築物は、完全にアフコシル化(検出可能なフコースを含有しないことを意味する)されることができるか、または部分的にアフコシル化されることができる、つまり、単離された抗体が哺乳類発現系によって産生された同様の抗体で通常検出されるフコースの量の95%未満、85%未満、75%未満、65%未満、55%未満、45%未満、35%未満、25%未満、15%未満、または5%未満を含有することを意味する。
【0080】
ゆえに、一実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物は、エフェクター機能の改善をもたらす表Bに記載するような1つまたは複数のアミノ酸修飾を含む二量体Fcを含むことができる。別の実施形態では、抗原結合性構築物は、エフェクター機能を改善するためにアフコシル化することができる。
(表B)CH2ドメイン及びエフェクター機能操作
[この文献は図面を表示できません]
【0081】
FcγRおよび/または補体結合および/またはエフェクター機能を低下させるFc修飾が、当該分野で公知である。最近の刊行物は、エフェクター活性が低下したまたはサイレンシングされた抗体を操作するために使用されている方略を記載している(Strohl,WR(2009),Curr Opin Biotech 20:685−691、及びStrohl,WR and Strohl LM,“Antibody Fc engineering for optimal antibody performance”In Therapeutic Antibody Engineering,Cambridge:Woodhead Publishing(2012),pp225−249を参照されたい)。これらの方略には、グリコシル化の修飾を通したエフェクター機能の低下、IgG2/IgG4スカフォールドの使用、またはFcのヒンジもしくはCH2領域での突然変異の導入が含まれる。例えば、米国特許公開第2011/0212087号(Strohl)、国際特許公開番号WO2006/105338(Xencor)、米国特許公開第2012/0225058号(Xencor)、米国特許公開第2012/0251531号(Genentech)、及びStrop et al((2012)J.Mol.Biol.420:204−219)は、Fcに対するFcγRまたは補体結合を低下させるための具体的な修飾を記載している。
【0082】
Fcに対するFcγRまたは補体結合を低下させるための公知のアミノ酸修飾の具体的で非限定的な例には、以下の表に同定されているものが含まれる:
(表C)Fcに対するFcγRまたは補体結合を低下させるための修飾
[この文献は図面を表示できません]
【0083】
一実施形態では、Fcは、上記の表において同定される少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む。別の実施形態では、Fcは、L234、L235、またはD265のうちの少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む。別の実施形態では、Fcは、L234、L235、及びD265でアミノ酸修飾を含む。別の実施形態では、Fcは、アミノ酸修飾L234A、L235A、及びD265Sを含む。
【0084】
リンカー及びリンカーポリペプチド
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物は、2つの抗原結合性ポリペプチド構築物を含む。これらの実施形態では、抗原結合性ポリペプチド構築物はそれぞれ、リンカーポリペプチドに機能的に連結し、ここでリンカーポリペプチドは、相互に複合体または境界面を形成することができる。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドは、相互に共有結合を形成することができる。リンカーポリペプチドを伴う第一及び第二の抗原結合性ポリペプチド構築物を含む抗原結合性構築物の空間的コンフォメーションは、たとえ2つの抗原結合性ポリペプチド構築物を伴う抗原結合性構築物の文脈においても、パパイン消化により生成されるF(ab’)2断片のパラトープの相対的空間的コンフォメーションに類似している。
【0085】
いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドがF(ab’)断片のパラトープの相対的な空間的コンフォメーションを維持し、IgGのコアヒンジにおいてジスルフィド結合に相当する共有結合を形成することができるように、リンカーポリペプチドは選択される。好適なリンカーポリペプチドは、IgGヒンジ領域、例えば、IgG1、IgG2、またはIgG4からのものを含む。これらの例示的なリンカーの修飾したものも使用することができる。例えば、IgG4ヒンジの安定性を改善するための修飾は、当該分野で公知である(例えば、Labrijn et al.(2009)Nature Biotechnology 27,767−771を参照されたい)。
【0086】
一実施形態では、リンカーポリペプチドは、本明細書に記載のようなスカフォールド、例えばFcに機能的に連結する。いくつかの態様では、Fcは、1つまたは複数の抗原結合性ポリペプチド構築物に、1つまたは複数のリンカーでカップリングする。いくつかの態様では、Fcは、リンカーにより各抗原結合性ポリペプチドの重鎖にカップリングする。
【0087】
他の実施形態では、リンカーポリペプチドは、Fc以外のスカフォールドに機能的に連結する。多くの代替タンパク質または分子ドメインが当該分野で公知であり、2つの異なる抗原結合性ポリペプチドの選択的な対を形成するために使用することができる。一例は、Fos及びJunなどのロイシンジッパードメインであり、これらは1つに選択的に対合する[S A Kostelny,M S Cole,and J Y Tso.Formation of a bispecific antibody by the use of leucine zippers.J Immunol 1992 148:1547−53;Bernd J.Wranik,Erin L.Christensen,Gabriele Schaefer,Janet K.Jackman,Andrew C.Vendel,and Dan Eaton.LUZ−Y,a Novel Platform for the Mammalian Cell Production of Full−length IgG−bispecific AntibodiesJ.Biol.Chem.2012 287:43331−43339]。あるいは、他の選択的に対合する分子対、例えば、バルナーゼバルスター対[Deyev,S.M.,Waibel,R.,Lebedenko,E.N.,Schubiger,A.P.,and Pluckthun,A.(2003).Design of multivalent complexes using the barnasebarstar module.Nat Biotechnol 21,1486−1492]、DNA鎖対[Zahida N.Chaudri,Michael Bartlet−Jones,George Panayotou,Thomas Klonisch,Ivan M.Roitt,Torben Lund,Peter J.Delves,Dual specificity antibodies using a double−stranded oligonucleotide bridge,FEBS Letters,Volume 450,Issues 1−2,30 April 1999,Pages 23−26]、スプリット蛍光タンパク質対[Ulrich Brinkmann,Alexander Haas.Fluorescent antibody fusion protein,its production and use,WO2011135040A1]も使用することができる。
【0088】
親和性
いくつかの実施形態では、親和性は、SPR(表面プラズモン共鳴)および/またはFACS(蛍光活性化細胞選別)により決定される。いくつかの実施形態では、親和性は、下記のようにSPRおよび/またはFACSにより決定される。
【0089】
解離定数(K)及び最大結合(Bmax)
いくつかの実施形態では、抗原結合性構築物は、解離定数及び最大結合を含むがこれらに限定されない機能的特性により記載される。
【0090】
「解離定数(K)」という用語は、本明細書で用いるとき、特定のリガンド−タンパク質相互作用の平衡解離定数を指すことが意図される。本明細書で用いるとき、リガンド−タンパク質相互作用は、限定されないが、タンパク質間相互作用または抗体−抗原相互作用を指す。Kは、より小さない構成要素(A+B)へと可逆的に解離する2つのタンパク質(例えば、AB)の性向を測定するものであり、「オフ速度(koff)」とも呼ばれる解離速度の、会合速度、すなわち「オン速度(kon)」に対する比率として定義される。ゆえに、Kは、koff/konに等しく、モル濃度(M)として表される。Kが小さいほど、結合の親和性は強いということになる。それゆえ、1mMのKは、1nMのKと比較して弱い結合親和性を示す。抗原結合性構築物のK値は、当該分野で十分に確立されている方法を使用して決定することができる。抗原結合性構築物のKを決定するための一方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用する、典型的には、Biacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用することによる。等温滴定熱量測定(ITC)は、決定するために使用することができる別の方法である。
【0091】
抗原結合性構築物の結合特性は、様々な技術により決定することができる。そのうちの1つは、フローサイトメトリー(FACS、蛍光活性化細胞選別)による、抗原を発現する標的細胞への結合の測定である。典型的には、そのような実験では、目的の抗原を発現する標的細胞を、異なる濃度で抗原結合性構築物と共にインキュベートし、洗浄し、抗原結合性構築物を検出するための二次薬剤と共にインキュベートし、洗浄し、フローサイトメーターにおいて分析して、細胞上の検出シグナルの強度を表す蛍光強度中央値(MFI)を測定する。これが、細胞に結合した抗原結合性構築物の数に関連する。次いで、抗原結合性構築物濃度対MFIデータを飽和結合方程式に当てはめて、2つの重要な結合パラメータである、Bmax及び見かけのKを得る。
【0092】
見かけのK、すなわち見かけの平衡解離定数は、最大半量の細胞結合が観察される抗原結合性構築物濃度を表す。明らかに、K値が小さいほど、最大細胞結合に達するためにより低い抗原結合性構築物濃度が必要とされ、ゆえに、その抗原結合性構築物の親和性は高くなる。見かけのKは、細胞上で発現される異なる受容体レベル及びインキュベーション条件などの細胞結合実験の条件に依存しており、ゆえに、見かけのKは一般に、SPR及びITCなどの細胞不含分子実験から決定されたK値とは異なる。しかしながら、それらの異なる方法の間にも、概して良好な一致が存在する。
【0093】
「Bmax」という用語、すなわち最大結合は、抗原結合性構築物の飽和濃度での、細胞上の最大抗原結合性構築物結合レベルを指す。このパラメータは、相対比較のための任意単位MFIで報告されるか、または標準曲線を使用して細胞に結合した抗原結合性構築物の数に対応する絶対値に変換することができる。
【0094】
抗原結合性構築物の検査:HER2結合性
本明細書に記載の抗原結合性構築物または医薬組成物をin vitroで、次いでin vivoで、所望の治療活性または予防活性について検査してから、ヒトにおいて使用した。例えば、化合物または医薬組成物の治療有用性または予防有用性を実証するためのin vitroアッセイには、細胞系または患者組織試料に与える化合物の効果が含まれる。細胞系および/または組織試料に与える化合物または組成物の効果は、当業者に公知の技術を活用して決定することができ、それには、ロゼット形成アッセイ及び細胞溶解アッセイが含まれるが、これらに限定されない。本発明に従って、特定の抗原結合性構築物の投与が示されるかどうかを決定するために使用することができるin vitroアッセイには、in vitro細胞培養アッセイ、または患者組織試料を培養において増殖させ、抗原結合性構築物に曝露するか、または別の方法でこれを投与し、組織試料に与えるかかる抗原結合性構築物の効果を観察するin vitroアッセイが含まれる。
【0095】
候補となる抗原結合性構築物は、HER2を発現する細胞、例えば、乳癌細胞系を使用してアッセイすることができる。以下の表Dは、いくつかの代表的な癌細胞系におけるHER2の発現レベルを記載する。
(表D)目的の細胞系におけるHER2の相対的発現レベル
[この文献は図面を表示できません]
【0096】
McDonagh et al Mol Cancer Ther.2012 Mar;11(3):582−93;Subik et al.(2010)Breast Cancer:Basic Clinical Research:4;35−41;Carter et al.PNAS,1994:89;4285−4289;Yarden 2000,HER2:Basic Research,Prognosis and Therapy;Hendricks et al Mol Cancer Ther 2013;12:1816−28。
【0097】
当該分野で公知のように、本明細書に記載の方法における使用に好適な抗原結合性構築物を同定するために、いくつかのアッセイを使用してよい。これらのアッセイは、HER2を発現する癌細胞において実施することができる。好適な癌細胞の例を、表A5において同定する。実施してよいアッセイの例を以下に記載する。
【0098】
例えば、HER2と結合する増殖阻害性の抗原結合性構築物候補を同定するために、HER2を発現する癌細胞の増殖を阻害する抗体についてスクリーニングしてよい。一実施形態では、選択された抗原結合性構築物候補は、細胞培養物中の癌細胞の増殖を、対照抗原結合性構築物と比較して約20〜100%、好ましくは約50〜100%阻害することができる。
【0099】
細胞死を誘導する抗原結合性構築物候補を選択するために、例えば、PI(ホスファチジルイノシトール)、トリパンブルー、または7AAD取り込みによって示されるような膜完全性の喪失を、対照に対して評価してよい。
【0100】
アポトーシスを誘導する抗原結合性構築物候補を選択するために、アネキシン結合アッセイを使用してよい。アネキシン結合アッセイに加えて、DNA染色アッセイも使用してよい。
【0101】
一実施形態では、目的の抗原結合性構築物候補は、免疫共沈降実験において決定されるように、モノクローナル抗体4D5よりも実質的に有効に、好ましくはモノクローナル抗体7F3よりも実質的に有効に、MCF7及びSK−BR−3細胞の両方において、ErbB2とErbB3とのヘレグリン依存性会合を遮断し得る。
【0102】
目的の抗体が結合するErbB2上のエピトープに結合する抗原結合性構築物をスクリーニングするために、Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Ed Harlow and David Lane(1988)に記載されているものなどの通常のクロスブロッキングアッセイを行うことができる。あるいは、または加えて、当該分野で公知の方法により、エピトープマッピングを行うことができる。
【0103】
抗原結合性構築物間の競合は、検査中の抗原結合性構築物が、共通の抗原への基準抗原結合性構築物の特異的な結合を阻害また遮断するアッセイによって決定することができる(例えば、Junghans et al.,Cancer Res.50:1495,1990;Fendly et al.Cancer Research 50:1550−1558;米国特許第6,949,245号を参照されたい)。競合結合アッセイにおいて測定されて、過剰な被験抗原結合性構築物(例えば、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、または100倍)が、基準抗原結合性構築物の結合を例えば、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%阻害または遮断する場合に、被験抗原結合性構築物は、基準抗原結合性構築物と競合する。競合アッセイによって同定される抗原結合性構築物(競合する抗原結合性構築物)には、基準抗原結合性構築物と同じエピトープに結合する抗原結合性構築物、及び基準抗原結合性構築物が結合するエピトープに、立体障害が生じるほど十分に近接して隣接するエピトープに結合する抗原結合性構築物が含まれる。例えば、HER2への結合について、本明細書に記載の第一の抗原結合性構築物と競合する第二の競合性抗原結合性構築物を同定することができる。ある特定の例では、第二の構築物は、競合結合アッセイにおいて測定した場合に、第一の構築物の結合を例えば、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%遮断または阻害することができる。ある特定の例では、第二の構築物は、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%超で、第一の構築物を置き換えることができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物を、in vivo、例えば、動物モデルにおける、機能についてアッセイする。いくつかの実施形態では、動物モデルは、表Eに記載の動物モデルである。いくつかの実施例では、動物モデルは、実施例に記載の動物モデルである。いくつかの実施形態では、抗原結合性構築物は、基準抗原結合性構築物と比較して、動物モデルでの処置の有効性の増加を示す。
(表E)HER2結合性抗原結合性構築物を検査するための動物モデル
[この文献は図面を表示できません]
【0105】
基準抗原結合性構築物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物の機能的特性を、基準抗原結合性構築物のものと比較する。基準抗原結合性構築物が何であるかは、測定される機能的特性または成される識別に依存する。例えば、本明細書に記載の抗原結合性構築物の機能的特性を比較するとき、基準抗原結合性構築物は、トラスツズマブ(例えばv6336)、もしくはその類似体であってよいか、または対照IgG、例えば、非特異的ポリクローナルヒト抗体であってよい。
【0106】
抗原結合性構築物及び抗体薬物コンジュゲート(ADC)
ある特定の実施形態では抗原結合性構築物を、薬物、例えば、毒素、化学療法剤、免疫調節剤、または放射性同位体にコンジュゲートさせる。ADC(抗体薬物コンジュゲートまたは抗原結合性構築物薬物コンジュゲート)を調製するいくつかの方法が、当該分野で公知であり、以下に記載する。
【0107】
いくつかの実施形態では、薬物は、マイタンシン、オーリスタチン、カリケアマイシン、またはその誘導体から選択される。他の実施形態では、薬物は、DM1及びDM4から選択されたマイタンシンである。さらなる例を以下に記載する。
【0108】
いくつかの実施形態では、薬物を、SMCCリンカー(DM1)またはSPDBリンカー(DM4)を用いて単離された抗原結合性構築物にコンジュゲートさせる。追加の例を以下に記載する。薬物−対−抗原結合性タンパク質の比率(DAR)は、例えば、1.0〜6.0または3.0〜5.0、または3.5〜4.2であることができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、抗原結合性構築物を、細胞毒性薬剤にコンジュゲートさせる。「細胞毒性薬剤」という用語は、本明細書で用いるとき、細胞の機能を阻害もしくは防ぐ、および/または細胞の破壊を引き起こす物質を指す。この用語は、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、及びLu177)、化学療法剤、ならびに毒素、例えば、細菌、真菌、植物、または動物起源の小分子毒素または酵素活性な毒素、その断片および/または変異体を含む、を含むと意図される。さらなる例を以下に記載する。
【0110】
薬物
ADCの様々な実施形態において使用される薬物またはペイロードの非限定的な例には、DM1(マイタンシン、N2’−デアセチル−N2’−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−またはN2’−デアセチル−N2’−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−マイタンシン)、mc−MMAD(6−マレイミドカプロイル−モノメチルオーリスタチン−DまたはN−メチル−L−バリル−N−[(1S,2R)−2−メトキシ−4−[(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−[[(1S)−2−フェニル−1−(2−チアゾリル)エチル]アミノ]プロピル]−1−ピロリジニル]−1−[(1S)−1−メチルプロピル]−4−オキソブチル]−N−メチル−(9Cl)−L−バリンアミド)、mc−MMAF(マレイミドカプロイル−モノメチルオーリスタチンFまたはN−[6−(2,5−ジヒドロ−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−1−イル)−1−オキソヘキシル]−N−メチル−L−バリル−L−バリル−(3R,4S,5S)−3−メトキシ−5−メチル−4−(メチルアミノ)ヘプタノイル−(αR,βR,2S)−β−メトキシ−α−メチル−2−ピロリジンプロパノイル−L−フェニルアラニン)及びmc−Val−Cit−PABA−MMAE(6−マレイミドカプロイル−ValcCit−(p−アミノベンジルオキシカルボニル)−モノメチルオーリスタチンEまたはN−[[[4−[[N−[6−(2,5−ジヒドロ−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−1−イル)−1−オキソヘキシル]−L−バリル−N5−(アミノカルボニル)−L−オルニチル]アミノ]フェニル]メトキシ]カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(1S,2R)−4−[(2S)−2−[(1R,2R)−3−[[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル]アミノ]−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]−1−ピロリジニル]−2−メトキシ−1−[(1S)−1−メチルプロピル]−4−オキソブチル]−N−メチル−L−バリンアミド)が含まれる。DM1は、チューブリン阻害剤マイタンシンの誘導体であり、MMAD、MMAE、及びMMAFは、オーリスタチン誘導体である。
【0111】
マイタンシノイド薬物部分
上述のように、いくつかの実施形態では、薬物はマイタンシノイドである。例示的なマイタンシノイドには、DM1、DM3(N’−デアセチル−N’−(4−メルカプト−1−オキソペンチル)マイタンシン)、及びDM4(N’−デアセチル−N’−(4−メチル−4−メルカプト−1−オキソペンチル)メチルマイタンシン)が含まれる(US20090202536を参照されたい)。
【0112】
マイタンシン化合物上の多くの位置が、連結の種類に応じて、連結位置として有用であるとして公知である。例えば、エステル連結を形成するためには、ヒドロキシル基を有するC−3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC−14位、ヒドロキシル基で修飾されたC−15位、及びヒドロキシル基を有するC−20位がすべて好適である。
【0113】
マイタンシノイド薬物部分のすべての立体異性体、すなわち、Dのキラル炭素でのR及びS立体配置のあらゆる組み合わせが、本明細書に記載のADCについて企図される。
【0114】
オーリスタチン
いくつかの実施形態では、薬物は、オーリスタチン、例えば、オーリスタチンE(ドラスタチン−10の誘導体としても当該分野で公知)またはその誘導体である。オーリスタチンは、例えば、オーリスタチンEとケト酸との間で形成されるエステルであることができる。例えば、オーリスタチンEを、パラアセチル安息香酸またはベンゾイル吉草酸と反応させて、それぞれAEB及びAEVBを産生することができる。他の典型的なオーリスタチンには、AFP、MMAF、及びMMAEが含まれる。例示的なオーリスタチンの合成及び構造は、米国特許第6,884,869号、同第7,098,308号、同第7,256,257号、同第7,423,116号、同第7,498,298号、及び同第7,745,394号に記載されており、このそれぞれは、その全体がすべての目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0115】
化学療法剤
いくつかの実施形態では抗原結合性構築物を、化学療法剤にコンジュゲートさせる。例には、シスプランチン(Cisplantin)及びラパチニブが含まれるが、これらに限定されない。「化学療法剤」は、癌の処置に有用な化学化合物である。
【0116】
化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロスホスファミド(CYTOXAN(商標));アルキルスルホナート、例えば、ブスルファン、イムプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ;エチレンイミン及びメチルアメラミン、例えば、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチルオロメラミン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬剤、例えば、メトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5−FU;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、フロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルホルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK7;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2′,2′=−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(“Ara−C”);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology、ニュージャージー州プリンストン)及びドキセタキセル(doxetaxel)(TAXOTERE(登録商標)、Rhone−Poulenc Rorer、フランス、アントニー);クロラムブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害薬RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸、または誘導体が含まれる。この定義には、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、例として、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン;ならびに、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体も含まれる。
【0117】
コンジュゲートリンカー
いくつかの実施形態では、薬物は、リンカーにより、抗原結合性構築物、例えば、抗体に連結される。抗体へのリンカーの付着は、表面リジンを通して、酸化炭水化物への還元カップリング、鎖間ジスルフィド結合を還元することで遊離されるシステイン残基を通してなど様々な方法で達成することができる。ヒドラゾン、ジスルフィド、及びペプチドをベースとする連結を含む様々なADC連結系が、当該分野で公知である。
【0118】
好適なリンカーには、例えば、切断可能及び切断不可能なリンカーが含まれる。切断可能なリンカーは典型的には、細胞内条件下で切断を受けやすい。好適な切断可能リンカーには、例えば、リソソームプロテアーゼまたはエンドソームプロテアーゼなどの細胞内プロテアーゼによって切断可能であるペプチドリンカーが含まれる。例示的な実施形態では、リンカーは、ジペプチドリンカー、例えば、バリン−シトルリン(val−cit)、フェニルアラニン−リジン(phe−lys)リンカー、またはマレイミドカプロン酸−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(mc−Val−Cit−PABA)リンカーであることができる。別のリンカーは、スルホスクシンイミジル−4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)である。スルホ−smccコンジュゲーションは、スルフヒドリル(チオール、−SH)と反応するマレイミド基を介して生じ、そのスルホ−NHSエステルは、第一級アミン(リジン及びタンパク質またはペプチドN末端に見いだされる)に対して反応性である。また別のリンカーは、マレイミドカプロイル(MC)である。他の好適なリンカーには、ヒドラゾンリンカーなどの、特定のpHまたはpH範囲で加水分解し得るリンカーが含まれる。追加の好適な切断可能リンカーには、ジスルフィドリンカーが含まれる。リンカーは、薬物を放出するために抗体が細胞内で必ず分解される程度に抗体に共有結合され得る。例えば、MCリンカー等である。
【0119】
ADCの調製
ADCは、当業者に知られている有機化学の反応、条件、及び試薬を使用して、いくつかの経路によって調製されてよく、それには、(1)共有結合を介して抗体−リンカー中間体Ab−Lを形成するための抗体の求核性基または求電子性基と二価リンカー試薬との反応、その後の活性化薬物部分Dとの反応;及び(2)共有結合を介して薬物−リンカー中間体D−Lを形成するための、薬物部分の求核性基または求電子性基とリンカー試薬との反応、その後の抗体の求核性基または求電子性基との反応を含む。コンジュゲーション方法(1)及び(2)を、様々な抗体、薬物部分、及びリンカーで使用して、本明細書に記載の抗体−薬物コンジュゲートを調製してよい。
【0120】
ADCを調製する方法のいくつかの具体的な例は、当該分野で公知であり、米国特許第8,624,003号(ポット方法)、同第8,163,888号(1ステップ)、及び同第5,208,020号(2ステップ方法)に記載されている。
【0121】
抗原結合性構築物の調製方法
本明細書に記載の抗原結合性構築物は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されているような組換え方法及び組成物を使用して産生してよい。
【0122】
一実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物をコードする単離核酸を提供する。かかる核酸は、抗原結合性構築物のVLを含むアミノ酸配列および/またはVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗原結合性構築物の軽鎖および/または重鎖)をコードし得る。さらなる実施形態では、かかる核酸を含む1つまたは複数のベクター(例えば、発現ベクター)を提供する。一実施形態では、核酸を、マルチシストロン性ベクターにて提供する。さらなる実施形態では、かかる核酸を含む宿主細胞を提供する。かかる一実施形態では、宿主細胞は、(1)抗原結合性構築物のVLを含むアミノ酸配列及び抗原結合性ポリペプチド構築物のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗原結合性ポリペプチド構築物のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第一のベクター、及び抗原結合性ポリペプチド構築物のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第二のベクターを含む(例えば、これで形質転換されている)。一実施形態では、宿主細胞は、真核、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞、またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施形態では、抗原結合性構築物を作製する方法であって、抗原結合性構築物の発現に適した条件下で、上で提示したように抗原結合性構築物をコードする核酸を含む宿主細胞を培養すること、及び任意選択で、宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から抗原結合性構築物を回収することを含む、前記方法を提供する。
【0123】
抗原結合性構築物の組換え産生については、例えば、上記のような、抗原結合性構築物をコードする核酸を単離し、宿主細胞におけるさらなるクローニングおよび/または発現のために1つまたは複数のベクターに挿入する。かかる核酸は、従来の手順を使用して容易に単離及び配列決定され得る(例えば、抗原結合性構築物の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)。
【0124】
「実質的に精製された」という用語は、その天然に存在する環境、すなわち天然細胞、または組換え産生されたヘテロ多量体の場合は宿主細胞において見いだされるようなタンパク質と通常付随するかまたは相互作用する成分を実質的にまたは本質的に含まないであろう、本明細書に記載の構築物、またはその変異体を指し、ある特定の実施形態では、細胞材料を実質的に含まず、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満(乾燥重量で)の混入タンパク質を有するタンパク質の調製物を含む。ヘテロ多量体またはその変異体が、宿主細胞により組み換え産生されるとき、タンパク質は、ある特定の実施形態では、細胞の乾燥重量の約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%以下で存在する。ヘテロ多量体またはその変異体が、宿主細胞により組み換え産生されるとき、タンパク質は、ある特定の実施形態では、培養培地中に、細胞の乾燥重量の約5g/L、約4g/L、約3g/L、約2g/L、約1g/L、約750mg/L、約500mg/L、約250mg/L、約100mg/L、約50mg/L、約10mg/L、または約1mg/L以下で存在する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により産生された「実質的に精製された」ヘテロ多量体は、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%の純度レベル、具体的には、少なくとも約75%、80%、85%の純度レベル、より具体的には、少なくとも約90%の純度レベル、少なくとも約95%の純度レベル、少なくとも約99%以上の純度レベルを有し、これはSDS/PAGE分析、RP−HPLC、SEC、及びキャピラリー電気泳動などの適切な方法により決定される。
【0125】
抗原結合性構築物をコードするベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞には、本明細書に記載の原核または真核細胞が含まれる。
【0126】
「組換え宿主細胞」または「宿主細胞」は、挿入のために使用する方法にかかわらず、外因性ポリヌクレオチドを含む細胞を指し、この方法は、例えば、直接的取り込み、形質導入、f−メーティング、または組換え宿主細胞を作製するために当該分野で公知の他の方法である。外因性ポリヌクレオチドは、非組込みベクター、例えば、プラスミドとして維持してよいか、またあるいは、宿主ゲノムに組み込んでよい。
【0127】
本明細書で用いるとき、「真核生物」という用語は、動物(哺乳類、昆虫類、爬虫類、鳥類等を含むが、これらに限定されない)、繊毛虫類、植物(単子葉植物、双子葉植物、藻類等を含むが、これらに限定されない)、真菌類、酵母、鞭毛虫、微胞子虫、原生生物等の、系統発生ドメインで真核生物に属する生体を指す。
【0128】
本明細書で用いるとき、「原核生物」という用語は、原核生体を指す。例えば、非真核生体は、真性細菌(Escherichia coli、Thermus thermophilus、Bacillus stearothermophilus、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas putida等を含むが、これらに限定されない)系統発生ドメイン、または古細菌(限定されないが、Methanococcus jannaschii、Methanobacterium thermoautotrophicum、Haloferax volcanii及びハロバクテリウム種NRC−1などのハロバクテリウム、Archaeoglobus fulgidus、Pyrococcus furiosus、Pyrococcus horikoshii、Aeuropyrum pernixを含む)系統発生的ドメインに属し得る。
【0129】
例えば、抗原結合性構築物は、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされないときに、細菌にて産生されてよい。細菌における抗原結合性構築物断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号,同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照されたい。(E. coli.における抗体断片の発現を記載している、Charlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,N.J.,2003),pp.245−254も参照されたい)。発現の後に、抗原結合性構築物を、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離し、さらに精製することができる。
【0130】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物は、抗原結合性構築物をコードするベクターに好適なクローニングまたは発現宿主であり、これには、そのグリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを伴う抗原結合性構築物の産生をもたらす真菌及び酵母株を含む。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409−1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210−215(2006)を参照されたい。
【0131】
グリコシル化抗原結合性構築物の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)からも誘導される。無脊椎動物細胞の例には、植物及び昆虫細胞が含まれる。昆虫細胞と併せて、特にスポドプテラ・フルギペルダ細胞のトランスフェクションのために使用され得る多数のバキュロウイルス株が同定されている。
【0132】
植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗原結合性構築物を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載)を参照されたい。
【0133】
脊椎動物細胞も宿主として使用してよい。例えば、懸濁液中で増殖するように適合させた哺乳動物細胞系が有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞系の他の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1系(COS−7);ヒト胎児由来腎臓系(293または例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)において記載されているような293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243−251(1980)において記載されているようなTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76);ヒト子宮頸癌腫細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓由来細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT 060562);例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68(1982)において記載されているようなTRI細胞;MRC 5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞系には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、これはDHFRCHO細胞を含む(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));ならびにY0、NS0、及びSp2/0などの骨髄腫細胞系が含まれる。抗原結合性構築物産生に好適なある特定の哺乳動物宿主細胞系の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,N.J.),pp.255−268(2003)を参照されたい。
【0134】
一実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物は、安定した哺乳類細胞において、少なくとも1つの安定した哺乳類細胞に抗原結合性構築物をコードする核酸を、所定の比率でトランスフェクトすること;及び少なくとも1つの哺乳類細胞において核酸を発現させることを含む方法により、産生される。いくつかの実施形態では、核酸の所定の比率は、最も高い割合(%)の抗原結合性構築物を発現産物においてもたらすインプット核酸の相対比を決定するための一過的なトランスフェクション実験において決定される。
【0135】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のように安定した哺乳動物細胞において抗原結合性構築物を産生する方法であって、少なくとも1つの安定した哺乳動物細胞の発現産物が、単量体重鎖もしくは軽鎖ポリペプチド、または他の抗体と比較して、より高い割合(%)の所望のグリコシル化抗原結合性構築物を含む、前記方法である。
【0136】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のように安定した哺乳動物細胞においてグリコシル化抗原結合性構築物を産生する方法であって、所望のグリコシル化抗原結合性構築物を同定及び精製することを含む、前記方法である。いくつかの実施形態では、前記同定は、液体クロマトグラフィー及び質量分析法の一方または両方による同定である。
【0137】
必要な場合には、抗原結合性構築物を、発現の後に精製または単離することができる。タンパク質は、当業者に公知である様々な方法で単離または精製されてよい。標準的な精製方法には、FPLC及びHPLCなどのシステムを使用して常圧または高圧で実施する、イオン交換、疎水性相互作用、親和性、サイジングまたはゲル濾過、及び逆相を含むクロマトグラフィー技術が含まれる。精製方法には、電気泳動、免疫学的、沈殿、透析、及びクロマトフォーカシング技術も含まれる。タンパク質濃縮と併せた限外濾過及び透析濾過技術も有用である。当該分野で周知のように、様々な天然タンパク質が、Fc及び抗体と結合し、これらのタンパク質を、抗原結合性構築物の精製のために本発明において使用することができる。例えば、細菌プロテインA及びGは、Fc領域に結合する。同様に、細菌プロテインLは、いくつかの抗体のFab領域に結合する。精製はしばしば、特定の融合パートナーによって可能になり得る。例えば、GST融合を使用する場合には、グルタチオン樹脂を、Hisタグを使用する場合には、Ni+2アフィニティークロマトグラフィーを、またはフラッグタグを使用する場合には、固定化抗フラッグ抗体を使用して、抗体を精製し得る。好適な精製技術における一般的なガイダンスについては、例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれるProtein Purification:Principles and Practice,3rdEd.,Scopes,Springer−Verlag,NY,1994を参照されたい。必要とされる精製の程度は、抗原結合性構築物の用途に応じて変動するだろう。場合によっては、精製は必要ない。
【0138】
ある特定の実施形態では、抗原結合性構築物を、Q−セファロース、DEAEセファロース、ポロスHQ、ポロスDEAF、Toyopearl Q、Toyopearl QAE、Toyopearl DEAE、Resource/Source Q及びDEAE、Fractogel Q、及びDEAEカラムでのクロマトグラフィーを含むが、これらに限定されないアニオン交換クロマトグラフィーを使用して精製する。
【0139】
特定の実施形態では、本明細書に記載のタンパク質を、SP−セファロース、CMセファロース、ポロスHS、ポロスCM、Toyopearl SP、Toyopearl CM、Resource/Source S及びCM、Fractogel S及びCMカラム、ならびにそれらと同等及び相当するものを含むが、これらに限定されないカチオン交換クロマトグラフィーを使用して精製する。
【0140】
加えて、本明細書に記載の抗原結合性構築物は、当該分野で公知の技術を使用して化学的に合成することができる(例えば、Creighton,1983,Proteins:Structures and Molecular Principles,W.H.Freeman & Co.,N.Y and Hunkapiller et al.,Nature,310:105−111(1984)を参照されたい)。例えば、ポリペプチドの断片に対応するポリペプチドは、ペプチドシンセサイザーの使用により合成することができる。さらに、所望の場合には、非古典的アミノ酸または化学的アミノ酸類似体を、ポリペプチド配列内への置換または付加として導入することができる。非古典的アミノ酸には、一般的なアミノ酸のD−異性体、2,4−ジアミノ酪酸、アルファ−アミノイソ酪酸、4アミノ酪酸、Abu、2−アミノ酪酸、g−Abu、e−Ahx、6アミノヘキサン酸、Aib、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、□−アラニン、フルオロ−アミノ酸、□−メチルアミノ酸、C□−メチルアミノ酸、N□−メチルアミノ酸などのデザイナーアミノ酸、及びアミノ酸類似体が一般に含まれるが、これらに限定されない。さらに、アミノ酸は、D(右旋性)またはL(左旋性)であることができる。
【0141】
翻訳後修飾:
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物は、翻訳の間、またはその後に差次的に修飾される。
【0142】
「修飾された」という用語は、本明細書で用いるとき、所与のポリペプチドに対して成される任意の変化、例えば、ポリペプチドの長さ、ポリペプチドのアミノ酸配列、化学構造、同時翻訳修飾、または翻訳後修飾に対する変化を指す。「(修飾)」という形態の用語は、議論されているポリペプチドが任意選択で修飾される、すなわち、議論中のポリペプチドが修飾されても修飾されなくてもよいことを意味する。
【0143】
「翻訳後修飾」という用語は、ポリペプチド鎖に組み込まれた後にかかるアミノ酸に生じる天然または非天然アミノ酸の任意の修飾を指す。この用語は、例にすぎないが、同時翻訳in vivo修飾、同時翻訳in vitro修飾(細胞不含翻訳系においてなど)、翻訳後in vivo修飾、及び翻訳後in vitro修飾を包含する。
【0144】
いくつかの実施形態では、修飾は、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解性開裂、及び抗体分子または抗原結合性構築物または他の細胞リガンドへの連結のうちの少なくとも1つである。いくつかの実施形態では、抗原結合性構築物は、臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBHによる特異的化学開裂;アセチル化、ホルミル化、酸化、還元;及びツニカマイシンの存在下での代謝合成を含むが、これらに限定されない公知の技術によって化学的に修飾される。
【0145】
本明細書に記載の抗原結合性構築物の追加の翻訳後修飾には、例えば、N−連結またはO−連結炭水化物鎖、N末端またはC末端のプロセシング)、アミノ酸主鎖への化学部分の付着、N−連結またはO−連結炭水化物鎖の化学的修飾、及び原核宿主細胞発現の結果としてのN末端メチオニン残基の付加または欠失が含まれる。本明細書に記載の抗原結合性構築物は、タンパク質の検出及び単離を可能にする、酵素、蛍光、同位体、または親和性標識などの検出可能な標識で修飾される。ある特定の実施形態では、好適な酵素標識の例には、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれ;好適な補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジンビオチン及びアビジン/ビオチンが含まれ;好適な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、またはフィコエリトリンが含まれ;発光物質の例には、ルミノールが含まれ;生物発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びエクオリンが含まれ;好適な放射性物質の例には、ヨウ素、炭素、硫黄、トリチウム、インジウム、テクネチウム、タリウム、ガリウム、パラジウム、モリブデン、キセノン、フッ素が含まれる。
【0146】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物は、放射性金属イオンと会合する大環状キレート剤に付着する。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物は、翻訳後プロセシングなどの天然プロセスによって、または当該分野で周知の化学的修飾技術によってのいずれかで修飾される。ある特定の実施形態では、同じ種類の修飾が、所与のポリペプチド中のいくつかの部位に同じ程度または様々な程度で存在し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物からのポリペプチドは、例えば、ユビキチン化の結果として分枝しており、いくつかの実施形態では、分枝を伴うかまたは伴わない環式である。環式、分枝、及び分枝環式ポリペプチドは、翻訳後天然プロセスからの結果であるか、または合成方法によって作成される。修飾には、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫化、タンパク質への転移RNA媒介アミノ酸付加、例えばアルギニル化、及びユビキチン化が含まれる(例えば、PROTEINS−−STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES,2nd Ed.,T.E.Creighton,W.H.Freeman and Company,New York(1993);POST−TRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS,B.C.Johnson,Ed.,Academic Press,New York,pgs.1−12(1983);Seifter et al.,Meth.Enzymol.182:626−646(1990);Rattan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.663:48−62(1992)を参照されたい)。
【0148】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物は、固体支持体に付着し、それは、本明細書に記載のタンパク質が結合するか、これに結合するか、またはれと会合するポリペプチドのイムノアッセイまたは精製のために特に有用である。かかる固体支持体には、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリプロピレンが含まれるが、これらに限定されない。
【0149】
医薬組成物
本明細書に記載の抗原結合性構築物を含む医薬組成物も本明細書に提供する。医薬組成物は、構築物及び薬学的に許容され得る担体を含む。
【0150】
「薬学的に許容され得る」という用語は、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって認可されているか、または米国薬局方もしくは、動物、より具体的にはヒトにおける使用に関する他の一般に認められている薬局方において挙げられていることを意味する。「担体」という用語は、治療薬と共に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、またはビヒクルを指す。かかる薬学的担体は、滅菌液、例えば、水及び油であることができ、これには、石油、動物、植物または合成起源の油、例えば、落花生油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等が含まれる。いくつかの態様では、担体は、自然界には存在しない人工担体である。医薬組成物を静脈投与するときには、水を担体として使用することができる。食塩水ならびにデキストロース及びグリセロール水溶液も、特に注射用液剤のための液体担体として使用することができる。好適な薬学的賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ、コムギ、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアラート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が含まれる。組成物は、所望の場合には、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤も含有することができる。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出製剤等の形態をとることができる。組成物は、従来の結合剤及び担体、例えばトリグリセリドを伴う坐剤として製剤化することができる。経口製剤は、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等の標準的な担体を含むことができる。好適な薬学的担体の例は、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”においてE.W.Martinにより記載されている。かかる組成物は、患者に適正に投与するための形態が得られるように、治療有効量の化合物を好ましくは精製形態で、好適な量の担体と一緒に含有するだろう。製剤は、投与様式に適合すべきである。
【0151】
ある特定の実施形態では、構築物を含む組成物は、ヒトへの静脈内投与に適合した医薬組成物として、通常の手順に従って製剤化される。典型的には、静脈内投与のための組成物は、滅菌等張性水性緩衝液中の溶液である。必要な場合には、組成物は、注射部位での疼痛を緩和するために、可溶化剤及び局所麻酔薬、例えばリグノカインも含んでよい。一般に、成分を、別々に、または一緒に混合して、単位剤形で、例えば、無水凍結乾燥散剤または無水濃縮物として、活性剤の量を示すアンプルまたはサシェなどの気密密封容器に入れて供給する。組成物が注入によって投与される場合、これを、滅菌された医薬グレードの水または食塩水を含有する注入ボトルに分配することができる。組成物が注射によって投与される場合、投与前に成分が混合され得るように滅菌注射用水または食塩水のアンプルを提供することができる。
【0152】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、中性または塩の形態で製剤化される。薬学的に許容され得る塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸等に由来するものなどのアニオンと共に形成されるもの、及びナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等に由来するものなどのカチオンと共に形成されるものが含まれる。
【0153】
処置方法
ある特定の実施形態では、疾患または障害を処置する方法であって、かかる処置、予防または回復が望まれる対象に、本明細書に記載の抗原結合性構築物を、疾患または障害を処置、予防または回復させるのに有効な量で、投与することを含む、前記方法を提供する。
【0154】
「障害」は、本明細書に記載の抗原結合性構築物または方法を用いる処置から利益を得るだろう任意の状態を指す。これは、該当する障害に哺乳動物が罹患しやすくなる病的状態を含む慢性及び急性障害または疾患を含む。いくつかの実施形態では、障害は、以下により詳述するような癌である。
【0155】
「対象」という用語は、処置、観察または実験の対象である、動物、いくつかの実施形態では、哺乳類を指す。動物は、ヒト、非ヒト霊長類、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ等)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ等)、または実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモット等)であってよい。
【0156】
「哺乳動物」という用語は、本明細書で用いるとき、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ウシ、ウマ、及びブタを含むが、これらに限定されない。
【0157】
「処置」は、処置を受ける個体または細胞の自然の経過を変更しようとする臨床的介入を指し、予防のためまたは臨床病理の経過中のいずれかに行うことができる。処置の望ましい効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の軽減、疾患のいずれもの直接的または間接的病理学的帰結の減弱、転移の予防、疾患進行の減速、病態の回復または緩和、及び寛解または予後の改善が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物を、疾患または障害の発症を遅延させるために使用する。一実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物及び方法は、腫瘍退縮に影響する。一実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物及び方法は、腫瘍/癌増殖の阻害に影響する。
【0158】
処置の望ましい効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の軽減、疾患のいずれもの直接的または間接的病理学的帰結の減弱、転移の予防、疾患進行の減速、病態の回復または緩和、生存の改善、及び寛解または予後の改善が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物を、疾患の発症を遅延させるか、または疾患の進行を遅らせるために使用する。
【0159】
「有効量」という用語は、本明細書で用いるとき、列挙された方法の目標を達成するだろう、例えば、処置されている疾患、状態、または障害の症状の1つまたは複数をある程度軽減するだろう、投与される構築物の量を指す。治療用タンパク質の異常な発現および/または活性に伴う疾患または障害の処置、阻害、及び予防において有効であるだろう本明細書に記載の組成物の量は、標準的な臨床技術によって決定することができる。加えて、in vitroアッセイを、任意選択で最適な投与量範囲の同定を助けるために使用することができる。製剤において使用される正確な用量は、投与経路、及び疾患または障害の重篤性にも依存し得、担当医の判断及び各患者の状況に従って決断されるべきである。有効な用量は、in vitroまたは動物モデル試験システムから誘導される用量反応曲線から外挿される。
【0160】
抗原結合性構築物は、対象に投与される。様々な送達系が公知であり、これを使用して、本明細書に記載の抗原結合性構築物を投与することができ、例えば、リポソーム、マイクロ粒子、マイクロカプセルへの封入、化合物を発現できる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシス(例えば、Wu and Wu,J.Biol.Chem.262:4429−4432(1987)を参照されたい)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸の構築等である。導入方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、及び経口経路が含まれるが、これらに限定されない。化合物または組成物は、任意の好都合な経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮または粘膜皮膚内層(例えば、口腔粘膜、直腸、及び腸管粘膜等)を通る吸収によって投与されてよく、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与されてよい。投与は、全身でも局所でも可能である。加えて、ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物組成物を、脳室内及び髄腔内注射を含む任意の好適な経路によって中枢神経系へと導入することが望ましく;脳室内注射は、例えば、Ommayaレザバーなどのレザバーに取り付けられた脳室内カテーテルによって容易になり得る。例えば、吸入器または噴霧器の使用、及びエアロゾル化剤を伴う製剤によって、肺投与も使用することができる。
【0161】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物または組成物を、処置を必要とする領域に局所投与することが望ましく;これは、例であって限定ではないが、外科手術中の局所注入、例えば外科手術後の創傷の包帯と併せての局所塗布によって、注射によって、カテーテルの使用によって、坐剤の使用によって、またはインプラントの使用によって達成することができ、前記インプラントは、多孔性、非多孔性、またはゼラチン材料からなり、シアラスティック(sialastic)膜などの膜または繊維を含む。好ましくは、本明細書に記載の抗原結合性構築物を含むタンパク質を投与するとき、タンパク質が吸収しない材料を使用するように配慮する必要がある。
【0162】
別の実施形態では、抗原結合性構築物または組成物を、小胞、具体的には、リポソームで送達することができる(Langer,Science 249:1527−1533(1990);Treat et al.,Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez−Berestein and Fidler(eds.),Liss,New York,pp.353−365(1989)にて;Lopez−Berestein,同書,pp.317−327を参照されたい;一般には同書を参照されたい)。
【0163】
また別の実施形態では、抗原結合性構築物または組成物を、制御放出系で送達することができる。一実施形態では、ポンプを使用してよい(Langer,上記;Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwald et al.,Surgery 88:507(1980);Saudek et al.,N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照されたい)。別の実施形態では、ポリマー材料を使用することができる(Medical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(eds.),CRC Pres.,Boca Raton,Fla.(1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance,Smolen and Ball(eds.),Wiley,New York(1984);Ranger and Peppas,J,Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61(1983)を参照されたい;また、Levy et al.,Science 228:190(1985);During et al.,Ann.Neurol.25:351(1989);Howard et al.,J.Neurosurg.71:105(1989)も参照されたい)。また別の実施形態では、制御放出系を、治療標的、例えば、脳の近傍に設置して、ほんの少しの全身用量のみを必要とすることができる(例えば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release,vol.2,pp.115−138(1984)にてを参照されたい)。
【0164】
本明細書に記載の抗原結合性構築物をコードする核酸を含む特定の実施形態では、核酸をin vivoに投与して、そのコードされるタンパク質の発現を促進することができ、これは、好適な核酸発現ベクターの一部としてそれを構築し、例えば、レトロウイルスベクターの使用によって(米国特許第4,980,286号を参照されたい)、または直接注射によって、またはマイクロ粒子ボンバードメント(例えば、遺伝子ガン;Biobstic、Dupont)の使用、または脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクション剤でのコーティングによって、または核に入ることが公知のホメオボックス様ペプチドと連結して投与すること(例えば、Joliot et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1864−1868(1991)を参照されたい)等によって細胞内になるようにそれを投与することによる。あるいは、核酸を細胞内に導入し、相同組換えによって、発現のために宿主細胞DNA内に組み込むことができる。
【0165】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物を、結合標的エピトープが重複しない抗原結合性構築物との組み合わせとして投与する。
【0166】
疾患または障害の処置、阻害、及び予防において有効であるだろう抗原結合性構築物の量は、標準的な臨床技術によって決定することができる。加えて、in vitroアッセイを、任意選択で、最適な投与量範囲の同定を助けるために使用することができる。製剤において使用される正確な用量は、投与経路、及び疾患または障害の重篤性にも依存し得、担当医の判断及び各患者の状況に従って決断されるべきである。有効な用量は、in vitroまたは動物モデル試験システムから誘導される用量反応曲線から外挿される。
【0167】
本明細書に記載の抗原結合性構築物を、単独で、または他の種類の処置(例えば、放射線療法、化学療法、ホルモン療法、免疫療法、及び抗腫瘍薬)と組み合わせて投与してよい。一般に、患者の種と同じ種である種起源または(抗体の場合)種反応性の生成物の投与が好ましい。ゆえに、一実施形態では、ヒト抗原結合性構築物、断片誘導体、類似体、または核酸を、治療または予防のためにヒト患者に投与する。
【0168】
癌を処置する方法
本明細書に記載の抗原結合性構築物を使用して、対象においてHER2+癌または腫瘍を処置する方法、及びHER2+腫瘍細胞の増殖を阻害するまたはHER2+腫瘍細胞を死滅させる方法を本明細書に記載する。
【0169】
HER2+癌とは、本明細書に記載の抗原結合性構築物がその癌に結合することができるようなHER2を発現する癌を意味する。当該分野で公知のように、HER2+癌は、HER2を様々なレベルで発現する。癌におけるErbB、例えば、ErbB2(HER2)発現を決定するために、様々な診断/予後アッセイが利用可能である。一実施形態では、ErbB2過剰発現を、IHCによって、例えば、HERCEPTEST(登録商標)(Dako)を使用して分析してよい。腫瘍生検からのパラフィン包埋組織切片をIHCアッセイに供し、以下のErbB2タンパク質染色強度基準に従う:
【0170】
スコア0
染色が観察されないか、または膜染色が腫瘍細胞の10%未満において観察される。
【0171】
スコア1+
かすかに/かろうじて認知可能な膜染色が、腫瘍細胞の10%超で検出される。細胞は、それらの膜の一部においてのみ染色される。
【0172】
スコア2+
弱から中程度の膜全体の染色が、腫瘍細胞の10%超において観察される。
【0173】
スコア3+
中から強度の膜全体の染色が、腫瘍細胞の10%超において観察される。
【0174】
ErbB2過剰発現評価について0または1+のスコアを示す腫瘍は、ErbB2を過剰発現していないと特性決定され得るが、2+または3+のスコアを示す腫瘍は、ErbB2を過剰発現していると特性決定され得る。
【0175】
あるいは、または加えて、INFORM(商標)(Ventana,Ariz.により販売)またはPATHVISION(商標)(Vysis,Ill.)などの蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)アッセイを、ホルマリン固定、パラフィン包埋腫瘍組織において、腫瘍におけるErbB2過剰発現の程度(もしあるならば)を決定するために実行してよい。IHCアッセイと比較して、HER2遺伝子増幅を測定するFISHアッセイは、HERCEPTIN(登録商標)を用いる処置に対する患者の応答とより良好に相関しているようであり、HERCEPTIN(登録商標)処置から利益を受ける可能性が高い患者を同定するために好ましいアッセイであると現在考えられている。
【0176】
表Dに、いくつかの代表的な乳癌及び他の癌細胞系でのHER2の発現レベルを記載する(Subik et al.(2010)Breast Cancer:Basic Clinical Research:4;35−41;Prang et a.(2005)British Journal of Cancer Research:92;342−349)。表に示すように、MCF−7及びMDA−MB−231細胞は、低HER2発現細胞であると考えられる;JIMT−1及びZR−75−1細胞は、中程度HER2発現細胞であると考えられ、SKBR3及びBT−474細胞は、高HER2発現細胞であると考えられる。SKOV3(卵巣癌)細胞は、中程度HER2発現細胞であると考えられる。
【0177】
HER2+癌または腫瘍を有する対象を処置する方法であって、対象に、本明細書に記載の抗原結合性構築物を含む有効量の医薬組成物を提供することを含む、前記方法を本明細書に記載する。
【0178】
癌または腫瘍を処置するための医薬品を製造するための、本明細書に記載のHER2抗原結合性構築物の使用も本明細書に記載する。癌または腫瘍の処置において使用するためのHER2抗原結合性構築物も本明細書に記載する。
【0179】
いくつかの実施形態では、処置される対象は、膵臓癌、頭頚部癌、胃癌、結腸直腸癌、乳癌、腎臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、脳癌、子宮内膜癌、膀胱癌、非小細胞肺癌または上皮由来癌を有する。いくつかの実施形態では、腫瘍は、転移性である。
【0180】
一般に、処置される対象における腫瘍は、腫瘍細胞1個当たり平均で10,000以上のHER2のコピーを発現する。ある特定の実施形態では、腫瘍は、IHCによって決定されて、HER2 0〜1+、1+、HER2 2+、またはHER2 3+である。いくつかの実施形態では、腫瘍は、HER2 2+以下、またはHER2 1+以下である。いくつかの実施形態では、腫瘍は、増幅HER2遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、HER2遺伝子は、増幅されていない。
【0181】
いくつかの実施形態では、抗原結合性構築物を用いて処置される対象の腫瘍は、乳癌である。いくつかの実施形態では、乳癌は、HER2を3+レベルで発現する。いくつかの実施形態では、乳癌は、HER2を3+レベル未満で発現する。特定の実施形態では、乳癌は、HER2を2+レベル以下で発現する。特定の実施形態では、乳癌は、HER2を1+レベル以下で発現する。いくつかの実施形態では、乳癌は、エストロゲン受容体(ER+)および/またはプロゲステロン受容体(PR+)を発現する。いくつかの実施形態では、乳癌は、ER−及びまたはPR−である。いくつかの実施形態では、乳癌は、増幅HER2遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、HER2遺伝子は、増幅されていない。いくつかの実施形態では、乳癌は、HER2 3+エストロゲン受容体陰性(ER−)、プロゲステロン受容体陰性(PR−)、トラスツズマブ耐性、化学療法耐性の浸潤性乳管癌である。別の実施形態では、乳癌は、HER2 3+ER−、PR−、トラスツズマブ耐性の炎症性の乳癌である。別の実施形態では、乳癌は、HER2 3+、ER−、PR−、浸潤性乳管癌である。別の実施形態では、乳癌は、HER2 2+HER2遺伝子増幅トラスツズマブ及びペルツズマブ耐性乳癌である。いくつかの実施形態では、乳癌は、トリプルネガティブ(ER−、PR−及び低HER2発現)である。いくつかの実施形態では、乳癌は、トラスツズマブ、ペルツズマブおよび/またはDM1にコンジュゲートしたトラスツズマブ(ado−トラスツズマブエムタンシンまたはT−DM1)に対して耐性であるまたは不応性である。
【0182】
一実施形態では、腫瘍は、増幅HER2遺伝子を有するHER2 2/3+卵巣上皮性腺癌である。
【0183】
他の標準治療法に対して耐性であるまたは耐性になりつつあるHER2+腫瘍を有する対象を処置するための方法であって、対象に、本明細書に記載の抗原結合性構築物を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法を本明細書に提供する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗原結合性構築物は、現行の治療に応答しない対象に、任意選択で1つまたは複数の現行の抗HER2療法と組み合わせて提供される。いくつかの実施形態では、現行の抗HER2療法には、抗HER2または抗HER3単一特異性二価抗体、トラスツズマブ、ペルツズマブ、T−DM1、二重特異性HER2/HER3 scFv、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、癌は、タキサンなどの様々な化学療法剤に対して耐性である。いくつかの実施形態では、癌は、トラスツズマブに対して耐性である。いくつかの実施形態では、癌は、ペルツズマブに対して耐性である。一実施形態では、癌は、TDM1(DM1にコンジュゲートしたトラスツズマブ)に対して耐性であるかまたは不応性である。いくつかの実施形態では、対象は、トラスツズマブ、ペルツズマブまたはDM1などの抗HER2抗体を用いて以前に処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、抗HER2抗体を用いて以前に処置されていない。一実施形態では、抗原結合性構築物は、対象に、患者が以前の抗HER2療法で進行しているときに、転移性癌の処置のために提供される。
【0184】
HER2+腫瘍を有する対象を処置する方法であって、本明細書に記載の抗原結合性構築物を含む有効量の医薬組成物を、追加の抗腫瘍薬と併せて与えることを含む、前記方法を本明細書に提供する。追加の抗腫瘍薬は、上述のような治療用抗体、または化学療法剤であってよい。本発明の抗原結合性構築物との併用に有用な化学療法剤には、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、アルブミン結合パクリタキセル、nab−パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ビノレルビン、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチン、ペメトレキセド、5−フルオロウラシル(フォリン酸を含むか、または含まない)、カペシタビン、カルボプラチン、エピルビシン、オキサリプラチン、フォルフィリノックス、アブラキサン、ナベルビン及びシクロホスファミド、カペシタビン、ゲムシタビン、ナベルビン、パクリタキセル、nab−パクリタキセルが含まれる。
【0185】
いくつかの実施形態では、腫瘍は、非小細胞肺癌であり、追加の薬剤は、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、アルブミン結合パクリタキセル、nab−パクリタキセル、カペシタビン、ナベルビン、ドセタキセル、ゲムシタビン、ビノレルビン、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチンまたはペメトレキセドのうちの1つまたは複数である。実施形態では、腫瘍は、胃癌または胃部の癌であり、追加の薬剤は、5−フルオロウラシル(フォリン酸を含むか、または含まない)、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ドセタキセル、エピルビシン、イリノテカン、オキサリプラチン、nab−パクリタキセルまたはパクリタキセルのうちの1つまたは複数である。他の実施形態では、腫瘍は、膵臓癌であり、追加の薬剤は、nab−パクリタキセル、カペシタビン、ナベルビン、ゲムシタビン、フォルフィリノックス、アブラキサン、または5−フルオロウラシルのうちの1つまたは複数である。他の実施形態では、腫瘍は、エストロゲンおよび/またはプロゲステロン陽性乳癌であり、追加の薬剤は、パクリタキセル、カペシタビン、ナベルビン、ゲムシタビン、パクリタキセルまたはnab−パクリタキセルまたは(a)ドキソルビシン及びエピルビシンの組み合わせ、(b)パクリタキセル及びドセタキセルの組み合わせ、または(c)5−フルオロウラシル、シクロホスファミド及びカルボプラチンの組み合わせのうちの1つまたは複数である。他の実施形態では、腫瘍は、頭頚部癌であり、追加の薬剤は、パクリタキセル、カペシタビン、ナベルビン、ゲムシタビンまたはnab−パクリタキセルカルボプラチン、ドキソルビシンまたはシスプラチンのうちの1つまたは複数である。他の実施形態では、腫瘍は、卵巣癌であり、追加の薬剤は、カペシタビン、ナベルビン、ゲムシタビン、nab−パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、またはパクリタキセルもしくはドセタキセルなどのタキサンのうちの1つまたは複数であってよい。
【0186】
追加の薬剤を、処置を受けている対象に、抗原結合性構築物と同時に、または連続して投与してよい。
【0187】
抗原結合性構築物を用いた処置を受ける対象は、ヒト、非ヒト霊長類、またはマウスなどの他の哺乳動物であってよい。
【0188】
いくつかの実施形態では、有効量の抗原結合性構築物を、腫瘍を有する対象に提供することの結果は、腫瘍の縮小、腫瘍の増殖の阻害、腫瘍の無増悪期間の増加、対象の無病生存期間の延長、転移の低減、対象の無増悪生存期間の増加、または対象の全生存期間の増加もしくは処置を受けている対象の群の全生存期間の増加である。
【0189】
HER2発現腫瘍細胞を殺傷するまたはその増殖を阻害する方法であって、細胞を、本明細書に提供する抗原結合性構築物と接触させることを含む、前記方法も本明細書に記載する。
【0190】
様々な実施形態では、腫瘍細胞は、HER2 1+または2+ヒト膵臓癌腫細胞、HER2 3+ヒト肺癌腫細胞、HER2 2+ヒト白色人種細気管支肺胞上皮(bronchioaveolar)癌細胞、ヒト咽頭癌腫細胞、HER2 2+ヒト舌扁平上皮癌細胞、咽頭のHER2 2+舌扁平上皮癌、HER2 1+または2+ヒト結腸直腸癌腫細胞、HER2 3+ヒト胃癌腫細胞、HER2 1+ヒト乳管ER+(エストロゲン受容体陽性)癌腫細胞、HER2 2+/3+ヒトER+、HER2増幅乳癌腫細胞、HER2 0+/1+ヒトトリプルネガティブ乳癌細胞、HER2 2+ヒト類内膜癌細胞、HER2 1+肺転移性悪性メラノーマ細胞、HER2 1+ヒト子宮頸癌腫細胞、Her2 1+ヒト腎細胞癌腫細胞、またはHER2 1+ヒト卵巣癌腫細胞であってよい。
【0191】
抗原結合性構築物がDM1にコンジュゲートしている実施形態では、腫瘍細胞は、HER2 1+または2+または3+ヒト膵臓癌腫細胞、HER2 2+転移性膵臓癌腫細胞、HER2 0+/1+、+3+ヒト肺癌腫細胞、HER2 2+ヒト白色人種細気管支肺胞上皮(bronchioaveolar)癌細胞、HER2 0+未分化肺癌腫、ヒト非小細胞肺癌細胞、ヒト咽頭癌腫細胞、HER2 2+ヒト舌扁平上皮癌細胞、咽頭のHER2 2+舌扁平上皮癌、HER2 1+または2+ヒト結腸直腸癌腫細胞、HER2 0+、1+または3+ヒト胃癌腫細胞、HER2 1+ヒト乳管ER+(エストロゲン受容体陽性)癌腫細胞、HER2 2+/3+ヒトER+、HER2増幅乳癌腫細胞、HER2 0+/1+ヒトトリプルネガティブ乳癌細胞、HER2 0+ヒト乳管癌腫(基底B、間葉様トリプルネガティブ)細胞、HER2 2+ER+乳癌腫、HER2 0+ヒト転移性乳癌腫細胞(ER−、HER2増幅、ルミナルA、TN)、ヒト子宮中胚葉性腫瘍(混合型グレードIII)細胞、2+ヒト類内膜癌細胞、HER2 1+ヒト皮膚類表皮癌細胞、HER2 1+肺転移性悪性メラノーマ細胞、HER2 1+悪性メラノーマ細胞、ヒト子宮頸部類表皮癌v細胞、HER2 1+ヒト膀胱癌腫細胞、HER2 1+ヒト子宮頸癌腫細胞、HerR2 1+ヒト腎細胞癌腫細胞、またはHER2 1+、2+または3+ヒト卵巣癌腫細胞であってよい。
【0192】
いくつかの実施形態では、腫瘍細胞は、以下の細胞系の1つまたは複数であってよい:膵臓腫瘍細胞系のBxPC3、Capan−1、MiaPaca2;肺腫瘍細胞系のCalu−3、NCI−H322;頭頚部腫瘍細胞系のDetroit 562、SCC−25、FaDu;結腸直腸腫瘍細胞系のHT29、SNU−C2B;胃腫瘍細胞系のNCI−N87;乳房腫瘍細胞系のMCF−7、MDA−MB−175、MDA−MB−361、MDA−MB−231、BT−20、JIMT−1、SkBr3、BT−474;子宮腫瘍細胞系のTOV−112D;皮膚腫瘍細胞系のMalme−3M;子宮頸部腫瘍細胞系のCaski、MS751;膀胱腫瘍細胞系のT24、卵巣腫瘍細胞系のCaOV3及びSKOV3。
【0193】
抗原結合性構築物がDM1にコンジュゲートしているいくつかの実施形態では、腫瘍細胞は、以下の細胞系の1つまたは複数であってよい:膵臓腫瘍細胞系のBxPC3、Capan−1、MiaPaca2、SW 1990、Panc1;肺腫瘍細胞系のA549、Calu−3、Calu−6、NCI−H2126、NCI−H322;頭頚部腫瘍細胞系のDetroit 562、SCC−15、SCC−25、FaDu;結腸直腸腫瘍細胞系のColo201、DLD−1、HCT116、HT29、SNU−C2B;胃腫瘍細胞系のSNU−1、SNU−16、NCI−N87;乳房腫瘍細胞系のSkBr3、MCF−7、MDA―MB−175、MDA−MB−361、MDA−MB−231、ZR−75−1、BT−20、BT549、BT−474、CAMA−1、MDA−MB−453、JIMT−1、T47D;子宮腫瘍細胞系のSK−UT−1、TOV−112D;皮膚腫瘍細胞系のA431、Malme−3M、SKEMEL28;子宮頸部腫瘍細胞系のCaski、MS751;膀胱腫瘍細胞系のT24、腎臓腫瘍細胞系のACHN;卵巣腫瘍細胞系のCaOV3、Ovar−3、及びSKOV3。
【0194】
HER2+肺、頭頸部、または乳房腫瘍などのHER2発現(HER2+)腫瘍を有する対象を、本明細書に開示の抗原結合性構築物を投与することにより処置する方法も本明細書に記載する。いくつかの態様では、少なくとも7用量の抗原結合性構築物を受けた後の対象の腫瘍体積は、対応量のトラスツズマブを受けている対照対象の腫瘍体積より小さい。いくつかの態様では、抗原結合性構築物を受けている対象の生存期間は、対応量の非特異的対照抗体を受けている対照対象と比較して、または処置を受けていない対照対象と比較して、増加する。
【0195】
いくつかの態様では、腫瘍は、肺腫瘍であり、任意選択で腫瘍は、HER2低、非HER2遺伝子増幅である、非扁平上皮非小細胞肺腫瘍である。いくつかの態様では、腫瘍は、HER3+である。いくつかの態様では、腫瘍は、EGFR低である。いくつかの態様では、腫瘍は、MTDでシスプラチンに対して中程度に感受性である。
【0196】
いくつかの態様では、腫瘍は、頭頸部腫瘍であり、任意選択で腫瘍は、HER2低、非HER2遺伝子増幅である、頭頸部の扁平上皮腫瘍である。いくつかの態様では、腫瘍は、HER3+低である。いくつかの態様では、腫瘍は、EGFR+である。いくつかの態様では、腫瘍は、MTDでシスプラチンに対して高感受性である。
【0197】
いくつかの態様では、腫瘍は、乳房腫瘍であり、任意選択で腫瘍は、ルミナルB分子分類を伴うER+/PR−乳癌である。
【0198】
いくつかの態様では、対象は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20用量を投与される。いくつかの態様では、複数の用量の少なくとも1つの量は、少なくとも0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mg/kgである。いくつかの態様では、複数の用量のそれぞれの量は、少なくとも0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mg/kgである。いくつかの態様では、各用量は、少なくとも毎日、毎週、または毎月投与される。いくつかの態様では、各用量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日毎に投与される。いくつかの態様では、処置は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、もしくは31日間;少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20週間;または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20カ月継続する。
【0199】
いくつかの態様では、少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20用量を受けた後の対象の平均腫瘍体積は、対応量のトラスツズマブを受けている対照対象の平均腫瘍体積より少ない。
【0200】
いくつかの態様では、対象の全生存期間は、対応量の非特異的対照抗体を受けている対照対象と比較して、または処置を受けていない対照対象と比較して、有意に増加する。いくつかの態様では、有意性は、ログランク検定により測定される。いくつかの態様では、p値は、0.5、0.01、または0.001未満である。
【0201】
いくつかの態様では、対象の全生存期間は、対応量のトラスツズマブを受けている対照対象と比較してより有意に増加する。いくつかの態様では、抗原結合性構築物p値は、0.001未満であり、トラスツズマブp値は、0.001より大きい。
【0202】
いくつかの態様では、対応量の非特異的対照抗体を受けている対照対象に対する増加の有意性のp値は、対応量の非特異的対照抗体を受けている対照対象と比較して対応量のトラスツズマブを受けている第二の対照の生存期間における増加のp値より低い。いくつかの態様では、抗原結合性構築物p値は、0.001未満であり、トラスツズマブp値は、0.001より大きい。
【0203】
いくつかの態様では、抗原結合性構築物及び追加の薬剤の組み合わせを受けた後の対象の全生存期間は、対応量のトラスツズマブ単独を受けている対照対象と比較して、有意に増加する。
【0204】
いくつかの態様では、対象の全生存期間は、より少ない量のトラスツズマブを受けている対照対象と比較して、有意に増加する。
【0205】
キット及び製品
本明細書に記載の1つまたは複数の抗原結合性構築物を含むキットも本明細書に記載する。キットの個々の構成要素は、別々の容器に包装され得、かかる容器に、医薬品または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって指示された形態での注意書が付随してよく、その注意書は、製造、使用、または販売の該機関による認可を反映する。キットは、任意選択で、抗原結合性構築物の使用方法または投与レジメンを概説する説明書または指示書を含有してよい。
【0206】
キットの1つまたは複数の構成要素を、溶液、例えば、水溶液または滅菌水溶液として提供するとき、容器手段はそれ自体が、溶液をそこから対象に投与し得るか、キットの他の構成要素に適用される及びそれと混合され得る、吸入装置、シリンジ、ピペット、点眼装置、または他のかかる同様の装置であってよい。
【0207】
キットの構成要素は、乾燥形態または凍結乾燥形態で提供してもよく、キットは、凍結乾燥された構成要素の再構成に好適な溶媒を追加で含有することができる。容器の数または種類に関係なく、本明細書に記載のキットは、患者への組成物の投与を補助するための器具も含んでよい。かかる器具は、吸入装置、経鼻噴霧デバイス、シリンジ、ピペット、ピンセット、測定用スプーン、点眼装置、または同様の医学的に認められた送達ビヒクルであってよい。
【0208】
本明細書に記載の別の態様では、上記の障害の処置、予防、および/または診断に有用な材料を含有する製品を提供する。製品は、容器、及びその容器の上かまたはそれに付随するラベルまたは添付文書を含む。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグ等が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されていてよい。容器は、組成物を単独で、または状態の処置、予防、および/もしくは診断に有効な別の組成物と組み合わせて保持し、滅菌アクセスポートを有してよい(例えば、容器は、皮下注射針を刺し通すことができるストッパーを有するIV溶液バッグまたはバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本明細書に記載のT細胞活性化抗原結合性構築物である。ラベルまたは添付文書は、組成物が、選択した状態の処置のために使用されることを示す。さらに、製品は、(a)その中に組成物を含有し、該組成物が本明細書に記載の抗原結合性構築物を含む、第一の容器;及び(b)その中に、組成物を含有し、該組成物がさらなる細胞毒性薬剤または別の治療剤を含む、第二の容器を含んでよい。本明細書に記載のこの実施形態における製品は、組成物が特定の状態を処置するために使用することができることを示す添付文書をさらに含んでよい。あるいは、または加えて、製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、及びデキストロース液などの薬学的に許容され得る緩衝液を含む第二(または第三)の容器をさらに含んでよい。これは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的立場及び使用者の立場から望ましい他の材料をさらに含んでよい。
【0209】
ポリペプチド及びポリヌクレオチド
本明細書に記載の抗原結合性構築物は、少なくとも1つのポリペプチドを含む。本明細書に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも記載する。抗原結合性構築物は典型的には、単離されている。
【0210】
本明細書で用いるとき、「単離された」とは、その天然細胞培養環境の構成要素から同定及び分離および/または回収されている作用物質(例えば、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド)を意味する。その天然環境の混入構成要素は、抗原結合性構築物の診断または治療用途に干渉するだろう物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質または非タンパク質溶質が含まれ得る。単離された、は、例えば、ヒトの介入によって合成して産生されている薬剤も指す。
【0211】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書において互換可能に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。すなわち、ポリペプチドを対象とする記載は、ペプチドの記載及びタンパク質の記載に等しく当てはまり、逆も同様である。この用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマー、ならびに、1個または複数個のアミノ酸残基が天然にはコードされないアミノ酸であるアミノ酸ポリマーに適用される。本明細書で用いるとき、この用語は、完全長タンパク質を含む任意の長さのアミノ酸鎖を包含し、ここでアミノ酸残基は共有ペプチド結合により連結する。
【0212】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在する、及び天然に存在しないアミノ酸、ならびに、天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を指す。天然にコードされるアミノ酸は、20種の共通アミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリン)、ならびにピロリシン及びセレノシステインである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同一の基本化学構造、すなわち水素に結合しているa炭素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基を有する化合物を指し、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムである。かかる類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド主鎖を有するが、天然に存在するアミノ酸と同一の基本化学構造を保持する。アミノ酸に対する言及には、例えば、天然に存在するタンパク質構成L−アミノ酸;D−アミノ酸、アミノ酸変異体及び誘導体などの化学的に修飾されたアミノ酸;β−アラニン、オルニチン等の天然に存在する非タンパク質構成アミノ酸;ならびにアミノ酸の特徴であると当該分野で公知の特性を有する化学的に合成された化合物が含まれる。天然に存在しないアミノ酸の例には、α−メチルアミノ酸(例えば、α−メチルアラニン)、D−アミノ酸、ヒスチジン様アミノ酸(例えば、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン)、側鎖に追加のメチレンを有するアミノ酸(「ホモ」アミノ酸)、及び側鎖中のカルボン酸官能基がスルホン酸基で置き換えられているアミノ酸(例えば、システイン酸)が含まれるが、これらに限定されない。本発明のタンパク質内に、非天然アミノ酸、例えば、合成非天然アミノ酸、置換アミノ酸、または1つもしくは複数のD−アミノ酸を組み込むことは、いくつかの異なる方法において有利であり得る。D−アミノ酸含有ペプチド等は、L−アミノ酸含有対応物と比較して、in vitroまたはin vivoで増加した安定性を呈する。ゆえに、D−アミノ酸を組み込むペプチド等の構築は、より大きな細胞内安定性が望まれるかまたは必要であるときに、特に有用であり得る。より具体的には、D−ペプチド等は、内因性ペプチダーゼ及びプロテアーゼに対して耐性があり、それにより、かかる特性が望ましいときには、in vivoでの分子の改善したバイオアベイラビリティ及び寿命の長期化をもたらす。加えて、D−ペプチド等は、Tヘルパー細胞に対する主要組織適合性複合体クラスII制限提示について効率的にプロセシングされ得ず、したがって、生体全体における体液性免疫応答を誘導する可能性が低い。
【0213】
アミノ酸は、本明細書において、それらの一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionが推奨する1文字記号によって言及されてよい。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般に認められている1文字コードによって言及されてよい。
【0214】
抗原結合性構築物のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも本発明に含まれる。「ポリヌクレオチド」または「ヌクレオチド配列」という用語は、2つ以上のヌクレオチド分子の連続するストレッチを示すことが意図されている。ヌクレオチド配列は、ゲノム、cDNA、RNA、半合成、もしくは合成起源、またはそれらの任意の組み合わせであってよい。
【0215】
「核酸」という用語は、一本鎖または二本鎖形態のいずれかにおけるデオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、またはリボヌクレオチド、及びそれらのポリマーを指す。具体的に限定しない限り、この用語は、基準核酸と同様の結合特性を有し、天然に存在するヌクレオチドと同様の様式で代謝される天然ヌクレオチドの公知の類似体を含有する核酸を包含する。他に具体的に限定しない限り、この用語は、PNA(ペプチド核酸)を含むオリゴヌクレオチド類似体、つまりアンチセンス技術において使用されるDNAの類似体(ホスホロチオエート、ホスホロアミデートなど)も指す。別段に示さない限り、特定の核酸配列は、保存的に修飾されたその変異体(限定されないが、縮重コドン置換を含む)及び相補的配列、ならびに、明示されている配列も暗に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの3位が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成することによって達成され得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossolini et al.,Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。
【0216】
「保存的に修飾された変異体」は、アミノ酸及び核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、「保存的に修飾された変異体」は、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を指すか、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列を指す。遺伝コードの縮重のために、多数の機能的に同一の核酸が、任意の所与のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、及びGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。ゆえに、アラニンがコドンによって特定されているいずれの位置においても、コードされるポリペプチドを変更することなく、そのコドンを、記載されている対応するコドンのいずれかに変更することができる。かかる核酸変異は、「サイレント変異」であり、これは、保存的に修飾された変異の一種である。ポリペプチドをコードする本明細書の核酸配列はいずれも、核酸の生じ得るあらゆるサイレント変異も記載する。当業者であれば、核酸中の各コドン(通常、メチオニンに対する唯一のコドンであるAUG、及び通常、トリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除く)を修飾して、機能的に同一の分子を得ることができることを認識するだろう。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異が、それぞれ記載の配列において暗に示されている。
【0217】
アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされる配列中の単一のアミノ酸またはアミノ酸の低いパーセンテージを変更、付加、または欠失する、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失、または付加は、その変更がアミノ酸の欠失、アミノ酸の付加、または化学的に類似するアミノ酸でのアミノ酸の置換をもたらす場合に、「保存的に修飾された変異体」であることを認識するだろう。機能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換の表は、当業者に公知である。かかる保存的に修飾された変異体は、本明細書に記載の多型変異体、種間相同体、及び対立遺伝子に加えられ、それらを排除しない。
【0218】
機能的に類似するアミノ酸を提供する保存置換表は、当業者に公知である。次の8つの群はそれぞれ、相互に保存的置換であるアミノ酸を含む:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、トレオニン(T);及び[0139]8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W H Freeman & Co.;2nd edition(December 1993)を参照されたい)。
【0219】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈における「同一」または「同一」性(%)という用語は、同じである2つ以上の配列またはサブ配列を指す。配列は、以下の配列比較アルゴリズム(または当業者が利用可能な他のアルゴリズム)の1つを使用して、または手動の整列及び目視検査によって測定して、比較ウィンドウまたは指定の領域にわたって最大一致について比較及び整列したときに、同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドの割合(%)を有する(すなわち、特定の領域にわたって約60%同一、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%同一である)場合に、「実質的に同一」である。この定義は、被験配列の補体も指す。同一性は、少なくとも約50アミノ酸もしくはヌクレオチド長である領域にわたって、または75〜100アミノ酸もしくはヌクレオチド長である領域にわたって、または特定されない場合には、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドの配列全体を通して存在することができる。ヒト以外の種からの相同体を含む、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、ライブラリを、本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはその断片を有する標識プローブでスクリーニングするステップ、及び前記ポリヌクレオチド配列を含有する完全長cDNA及びゲノムクローンを単離するステップを含むプロセスによって獲得され得る。かかるハイブリダイゼーション技術は、当業者に周知である。
【0220】
配列比較については、典型的に、1つの配列が基準配列として機能し、それに対して、被験配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用するときには、被験及び基準配列をコンピューターに入力し、サブ配列座標を指定し、必要な場合には、配列アルゴリズムプログラムのパラメータを指定する。初期設定のプログラムパラメータを使用することができ、または代替パラメータを指定することもできる。次いで、配列比較アルゴリズムが、そのプログラムパラメータに基づき、基準配列に対する被験配列の配列同一性(%)を算出する。
【0221】
「比較ウィンドウ」は、本明細書で用いるとき、2つの配列を最適に整列させた後、ある配列を、同数の連続した位置の基準配列と比較し得る20〜600、通常は約50〜約200、より通常は約100〜約150からなる群より選択されるいくつかの連続した位置のいずれか1つのセグメントに対する言及を含む。比較のための配列の整列方法は、当業者に公知である。比較のための最適な整列は、Smith and Waterman(1970)Adv.Appl.Math.2:482cの局所相同アルゴリズム、Needleman and Wunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman(1988)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピューター制御実装(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)、または手動アラインメント及び目視検査(例えば、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(1995補遺)を参照されたい)を含むが、これらに限定されないものより実施することができる。
【0222】
配列同一性(%)及び配列類似性を決定するために好適なアルゴリズムの一例は、BLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらはそれぞれ、Altschul et al.(1997)Nuc.Acids Res.25:3389−3402、及びAltschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載されている。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センターを通じて公に入手可能であり、www.ncbi.nlm.nih.govで入手することができる。BLASTアルゴリズムのパラメータW、T、及びXが、アラインメントの感度及び速度を決定する。(ヌクレオチド配列についての)BLASTNプログラムは、初期設定値として、文字列長(W)11、期待値(E)または10、M=5、N=−4、及び両ストランドの比較を使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、初期設定値として、文字列長3、期待値(E)10、及びBLOSUM62スコアリングマトリクス(Henikoff and Henikoff(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照されたい)アラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、及び両ストランドの比較を用いる。BLASTアルゴリズムは、典型的には、「低複雑性」フィルターをオフにして行う。
【0223】
BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計学的分析も行う(例えば、Karlin and Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5787を参照されたい)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は、最小合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の一致が偶然に生じ得る確率を示す。例えば、核酸は、被験核酸と基準核酸との比較において最小合計確率が約0.2未満、または約0.01未満、または約0.001未満である場合に、基準配列と類似しているとみなされる。
【0224】
「に選択的に(または特異的に)ハイブリダイズする」という語句は、その配列が複合混合物(総細胞またはライブラリDNAまたはRNAを含むがこれらに限定されない)中に存在するときに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特定のヌクレオチド配列にのみ分子が結合、二重鎖化、またはハイブリダイズすることを指す。
【0225】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という語句は、当該分野で公知のとおりの低いイオン強度及び高温の条件下でのDNA、RNA、もしくは他の核酸、またはそれらの組み合わせの配列のハイブリダイゼーションを指す。典型的には、ストリンジェントな条件下では、プローブは、核酸の複合混合物(総細胞またはライブラリDNAまたはRNAを含むがこれらに限定されない)中のその標的サブ配列にハイブリダイズし得るが、その複合混合物中の他の配列にはハイブリダイズしない。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、状況により異なるだろう。より長い配列はより高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションについての広範な指針は、Tijssen,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Probes,“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays”(1993)において見いだされる。
【0226】
本明細書で用いるとき、「操作する、操作された、操作すること」という用語は、天然に存在するまたは組換えのポリペプチドまたはその断片のペプチド主鎖の任意の操作または翻訳後修飾を含むと考えられる。操作には、アミノ酸配列の、グリコシル化パターンの、または個々のアミノ酸の側鎖基の修飾、ならびに、これらの手法の組み合わせが含まれる。操作されたタンパク質は、標準的な分子生物学の技術により発現及び産生される。
【0227】
「単離された核酸分子またはポリヌクレオチド」は、その天然環境から取り出されている核酸分子、DNA、またはRNAを意図する。例えば、ベクター中に含有されるポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドは、単離されているとみなされる。単離されたポリヌクレオチドのさらなる例には、異種の宿主細胞中で維持されている組換えポリヌクレオチド、または溶液中の(部分的に、または実質的に)精製されたポリヌクレオチドが含まれる。単離されたポリヌクレオチドには、ポリヌクレオチド分子を通常含有する細胞中に含有されるポリヌクレオチド分子が含まれるが、そのポリヌクレオチド分子は、染色体外に、またはその天然染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。単離されたRNA分子には、in vivoまたはin vitroのRNA転写物、さらには、ポジティブ及びネガティブ鎖形態、ならびに二本鎖形態が含まれる。本明細書に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは核酸にはさらに、合成して、例えば、PCRまたは化学合成を介して、産生されたかかる分子が含まれる。加えて、ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドまたは核酸には、プロモーター、リボソーム結合部位、または転写ターミネーターなどの調節エレメントが含まれる。
【0228】
「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」という用語は一般に、例えば、米国特許第4,683,195号に記載されているように、in vitroで所望のヌクレオチド配列を増幅するための方法を指す。一般に、PCR方法は、鋳型核酸に優先的にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドプライマーを使用する、プライマー伸長合成の反復サイクルを必然的に含む。
【0229】
本発明の基準ヌクレオチド配列に少なくとも、例えば、95%「同一である」ヌクレオチド配列を有する核酸またはポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチド配列が、基準ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチドあたり5つまでの点突然変異を含み得ることを除いて、そのポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が基準配列と同一であることが意図される。言い換えると、基準ヌクレオチド配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るためには、基準配列内のヌクレオチドの5%までが欠失してよいもしくは別のヌクレオチドで置換されてよく、または基準配列内の全ヌクレオチドの5%までの数のヌクレオチドが、基準配列内に挿入されてよい。基準配列のこれらの変更は、基準ヌクレオチド配列の5’もしくは3’末端位で、またはこれらの末端位の間のどこかで、基準配列の残基間で個々に散在するか、または基準配列内で1つもしくは複数の連続する基で生じてよい。実際問題として、任意の特定のポリヌクレオチド配列が、本発明のヌクレオチド配列に少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるかどうかは、ポリペプチドについて上記で検討したものなどの公知のコンピュータープログラム(例えば、ALIGN−2)を使用して従来どおり決定することができる。
【0230】
ポリペプチドの誘導体または変異体は、その誘導体または変異体のアミノ酸配列が元のペプチドからの100アミノ酸配列と少なくとも50%の同一性を有する場合に、そのペプチドと「相同性」を共有しているまたは「相同」であるとされる。ある特定の実施形態では、誘導体または変異体は、その誘導体と同じ数のアミノ酸残基を有するペプチドまたはペプチドの断片のいずれかと少なくとも75%同じである。ある特定の実施形態では、誘導体または変異体は、その誘導体と同じ数のアミノ酸残基を有するペプチドまたはペプチドの断片のいずれかと少なくとも85%同じである。ある特定の実施形態では、誘導体のアミノ酸配列は、その誘導体と同じ数のアミノ酸残基を有するペプチドまたはペプチドの断片と少なくとも90%同じである。いくつかの実施形態では、誘導体のアミノ酸配列は、その誘導体と同じ数のアミノ酸残基を有するペプチドまたはペプチドの断片と少なくとも95%同じである。ある特定の実施形態では、誘導体または変異体は、その誘導体と同じ数のアミノ酸残基を有するペプチドまたはペプチドの断片のいずれかと少なくとも99%同じである。
【0231】
「修飾された」という用語は、本明細書で用いるとき、所与のポリペプチドに対して成される任意の変化、例えば、ポリペプチドの長さ、ポリペプチドのアミノ酸配列、化学構造、同時翻訳修飾、または翻訳後修飾に対する変化を指す。「(修飾)」という形態の用語は、議論されているポリペプチドが任意選択で修飾される、すなわち、議論中のポリペプチドが修飾されても修飾されなくてもよいことを意味する。
【0232】
いくつかの態様では、抗原結合性構築物は、本明細書に開示の表(複数可)またはアクセッション番号(複数可)において記載する関連のあるアミノ酸配列またはその断片に少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、単離された抗原結合性構築物は、本明細書に開示の表(複数可)またはアクセッション番号(複数可)において記載する関連のあるヌクレオチド配列またはその断片に少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%同一であるポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含む。
【0233】
本発明が、本明細書に記載の特定のプロトコル;細胞系、構築物、及び試薬に限定されず、したがって変動し得ることが理解されたい。本明細書において使用する専門用語は、具体的な実施形態を記載することのみを目的とするもので、本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解されたい。
【0234】
本明細書において言及する刊行物及び特許はすべて、例えば、本明細書に記載の発明と関連して使用され得る、これらの刊行物において記載されている構築物及び方法を記載及び開示することを目的として、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書において考察する刊行物は、本出願の出願日前にそれらを開示するためのみに提供される。本明細書に記載のいずれも、先行発明によるか、または他の何らかの理由によって、本発明者らがかかる開示に先行する権利を有さないことを承認するものと解釈されない。
【実施例】
【0235】
以下は、本発明を実行するための具体的な実施形態の例である。実施例は、例示目的のためにのみ提供され、いずれにおいても本発明の範囲を限定することを意図しない。使用される数値(例えば、量、温度、等)に関して精度が確保されるよう努めているが、多少の実験誤差及び偏差は、当然許容されるべきである。
【0236】
本発明の実践では、別段に示さない限り、当該分野内の、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、及び薬理学の従来の方法を使用するだろう。かかる技術は、文献において十分に説明されている。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993);A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition);Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989);Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan eds.,Academic Press,Inc.);Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990);Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed.(Plenum Press)Vols A and B(1992)を参照されたい。
【0237】
実施例1:例示的な抗HER2二重特異性抗体及び対照の調製
いくつかの例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(または抗原結合性構築物)及び対照を下記のように調製した。抗体及び対照は、異なる形式にて調製しており、例示的な二重パラトピック形式の代表を図1に示す。図1に示す形式のすべてにおいて、ヘテロ二量体Fcを、一方の鎖(鎖A)を黒色で示し、他方(鎖B)を灰色で示し、一方の抗原結合性ドメイン(1)は斜線をかけて示し、他方の抗原結合性ドメイン(2)を白色で示して、図示する。
【0238】
図1Aは、Fab−Fab形式の二重パラトピック抗体の構造を示す。図1B〜1Eは、scFv−Fab形式の二重パラトピック抗体の生じ得るバージョンの構造を示す。図1Bでは、抗原結合性ドメイン1はscFvであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン2はFabであり、鎖Bに融合している。図1Cでは、抗原結合性ドメイン1はFabであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン2はscFvであり、鎖Bに融合している。図1Dでは、抗原結合性ドメイン2はFabであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン1はscFvであり、鎖Bに融合している。図1Eでは、抗原結合性ドメイン2はscFvであり、鎖Aに融合し、一方で抗原結合性ドメイン1はFabであり、鎖Bに融合している。図1Fでは、両方の抗原結合性ドメインはscFvである。
【0239】
以下の変異体の配列を実施例の後にある配列の表において提供する。CDR領域は、Kabat及びChothia法の組み合わせを使用して同定した。領域は、同定のために使用される方法に基づいて多少変動してよい。
【0240】
例示的な抗HER2二重パラトピック抗体
例示的な抗HER2二重パラトピック抗体を、表1に示すように調製した。
(表1)例示的な抗HER2二重パラトピック抗体
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注釈
・EU抗体のナンバリングを参照するKabatでのEUインデックスに従うCH3ナンバリング(Edelman et al.,1969,Proc Natl Acad Sci USA 63:78−85);
・Kabatに従うFabまたは可変ドメインナンバリング(Kabat and Wu,1991;Kabat et al,Sequences of proteins of immunological interest.5th Edition−US Department of Health and Human Services,NIH publication n°91−3242,p647(1991))
・「エピトープを含有するドメイン」=抗原結合性部分が結合するHER2のドメイン;
・「抗体名」=抗原結合性部分が由来する抗体であり、存在するときには野生型と比較して置換を含む;
・「Fab置換」=正確な軽鎖対合を促進するFabにおける置換;
・「CH3配列置換」=ヘテロ二量体Fcの形成を促進する、CH3ドメインにおける置換
【0241】
例示的な抗HER2一価対照抗体
v1040:一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上のトラスツズマブから誘導されたFabであり、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407Vを鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体であり、鎖Bのヒンジ領域は、突然変異C226Sを有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。
【0242】
v630−一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上のトラスツズマブから誘導されたscFvであり、Fc領域は、突然変異L351Y_S400E_F405A_Y407Vを鎖Aに、T366I_N390R_K392M_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体であり;ヒンジ領域は、両方の鎖に突然変異C226S(EUナンバリング)を有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。
【0243】
v4182:一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上のペルツズマブから誘導されたFabであり、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407Vを鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体であり、鎖Bのヒンジ領域は、突然変異C226Sを有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン2に結合する。
【0244】
例示的な抗HER2単一特異性二価抗体対照(フルサイズ抗体、FSA)
v506は、対照として、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において自家産生された野生型抗HER2である。両方のHER2結合性ドメインは、Fab形式でトラスツズマブから誘導され、Fcは、野生型ホモ二量体であり;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。この抗体は、トラスツズマブ類似体とも称される。
【0245】
v792は、IgG1ヒンジを伴う野生型トラスツズマブであり、ここで両方のHER2結合性ドメインは、Fab形式でトラスツズマブから誘導され、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407Vを鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体であり;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。この抗体は、トラスツズマブ類似体とも称される。
【0246】
v4184は、二価抗HER2抗体であり、ここで両方のHER2結合性ドメインは、Fab形式でペルツズマブから誘導され、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407Vを鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394Wを鎖Bに有するヘテロ二量体である。抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン2に結合する。この抗体は、ペルツズマブ類似体とも称される。
【0247】
hIgGは、市販の非特異的ポリクローナル抗体対照である(Jackson Immuno Research、#009−000−003)。
【0248】
これらの抗体及び対照(ヒトIgG以外)を以下のようにクローニングし発現させた。抗体重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を、ヒト/哺乳類発現に最適化されたコドンを使用する遺伝子合成を介して構築した。トラスツズマブFab配列は、公知のHER2/neuドメイン4結合性抗体から生成した(Carter P.et al.(1992)Humanization of an anti p185 HER2 antibody for human cancer therapy.Proc Natl Acad Sci 89,4285)。Fcは、IgG1アイソタイプであった。scFv配列は、グリシン−セリンリンカーを使用してトラスツズマブのVH及びVLドメインから生成した(Carter P.et al.(1992)Humanization of an anti p185 her2 antibody for human cancer therapy.Proc Natl Acad Sci 89,4285)。ペルツズマブFab配列は、公知のHER2/neuドメイン2結合性抗体から生成した(Adams CW et al.(2006)Humanization of a recombinant monoclonal antibody to produce a therapeutic her dimerization inhibitor,Pertuzumab.Cancer Immunol Immunother.2006;55(6):717−27)。
【0249】
最終遺伝子産物を、哺乳類発現ベクターPTT5(NRC−BRI、カナダ)へとサブクローニングし、CHO細胞にて発現させた(Durocher,Y.,Perret,S.& Kamen,A.High−level and high−throughput recombinant protein production by transient transfection of suspension−growing CHO cells.Nucleic acids research 30,e9(2002))。
【0250】
CHO細胞を、指数増殖期(1.5〜2百万個の細胞/ml)において、2.5:1のPEI:DNA比で1mg/ml 25kDaポリエチレンイミン水溶液(PEI、polysciences)でトランスフェクトした(Raymond C.et al.A simplified polyethylenimine−mediated transfection process for large−scale and high−throughput applications.Methods.55(1):44−51(2011))。ヘテロ二量体の形成に最適な濃度範囲を決定するために、DNAを、ヘテロ二量体形成を可能にする重鎖(HC−A)、軽鎖(LC)、及び重鎖B(HC−B)の最適なDNA比にてトランスフェクトした(例えば、HC−A/HC−B/LC比=30:30:40(v5019)。トランスフェクトした細胞を5〜6日後に回収し、培養培地は4000rpmで遠心分離した後に収集し、0.45μmフィルターを使用して清澄化した。
【0251】
清澄化した培養培地を、MabSelect SuRe(GE Healthcare)プロテイン−Aカラムにロードし、10カラム体積のpH7.2のPBS緩衝液で洗浄した。抗体を、10カラム体積のpH3.6のクエン酸塩緩衝液で溶出し、抗体を含有するプールした画分をpH11のTRISで中和した。
【0252】
プロテイン−A抗体溶出液を、ゲルろ過(SEC)によりさらに精製した。ゲルろ過については、3.5mgの抗体混合物を1.5mLに濃縮し、Sephadex 200 HiLoad 16/600 200pgカラム(GE Healthcare)に、1mL/分の流速でAKTA Express FPLCを介してロードした。pH7.4のPBS緩衝液を、1mL/分の流速で使用した。精製抗体に対応する画分を収集し、約1mg/mLに濃縮した。
【0253】
異なる分子形式(例えば、v6717、scFv−scFv IgG1;v6903及びv6902 Fab−Fab IgG1;v5019、v7091及びv10000 Fab−scFv IgG1)を有する例示的な抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体を上記のようにクローニングし、発現させ、精製した。
【0254】
抗体純度を定量し、標的ヘテロ二量体タンパク質ならびに生じ得るホモ二量体および/または半抗体および/または誤対合した軽鎖混入物の量を決定するために、LC−MSインタクト質量分析を行った。LC−MSインタクト質量分析は、ADC分子のために使用されるDAR分析計算を除いて、実施例2に記載のように行った。
【0255】
データを表2に示す。表2は、これらの二重パラトピック抗体の発現及び精製が、v6717では所望の生成物の100%を、v6903では所望のヘテロ二量体生成物の91%を、そしてv6902では所望の生成物の62%をもたらしたことを示す。括弧内の数字は、メインピークと+81Daのサイドピークの合計量を示す。このサイドピークは、典型的には、C末端HAタグを含有する変異体(v6903及びv6902など)で検出される。メイン及びサイドピークを加えることで、v6903及びv6903でおおよそ98%及び67%のヘテロ二量体純度が得られる。高いヘテロ二量体純度に基づき、v6903を、scFv−scFv及びFab−scFv形式に対する直接比較のための代表的なFab−Fab抗HER2二重パラトピック変異体と同定した。v6903を、すべての形式比較アッセイに含んだ。
(表2)抗体の発現及び精製
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【0256】
実施例2:例示的な抗HER2二重パラトピック抗体薬物コンジュゲート(ADC)の調製
以下の抗HER2二重パラトピック抗体薬物コンジュゲート(抗HER2二重パラトピック−ADC)を調製した。変異体5019、7091、10000及び506のADCを調製した。これらのADCは以下のように同定される:
v6363(DM1にコンジュゲートしたv5019)
v7148(DM1にコンジュゲートしたv7091)
v10553(DM1にコンジュゲートしたv10000)
v6246(DM1にコンジュゲートしたv506、T−DM1、トラスツズマブ−エムタンシンに対する類似体)
v6249(DM1にコンジュゲートしたヒトIgG)
【0257】
ADCを、マイタンシンへの直接カップリングを介して調製した。実施例1に記載のように、プロテインA及びSECにより精製した抗体(95%を超える純度)を、ADC分子の調製において使用した。ADCを、Kovtun YV,Audette CA,Ye Y,et al.Antibody−drug conjugates designed to eradicate tumors with homogeneous and heterogeneous expression of the target antigen.Cancer Res 2006;66:3214−21に記載の方法に従ってコンジュゲートした。ADCは、LC/MSに決定される及び以下に記載のように、抗体あたり3.0マイタンシノイド分子の平均モル比を有した。
【0258】
ADCコンジュゲーション反応において使用される試薬の詳細は以下のとおりである:コンジュゲーション緩衝液1:50mMリン酸カリウム/50mM塩化ナトリウム、pH6.5、2mM EDTA。コンジュゲーション緩衝液2:50mMコハク酸ナトリウム、pH5.0。ADC製剤緩衝液:20mMコハク酸ナトリウム、6%(w/v)トレハロース、0.02%ポリソルベート20、pH5.0。ジメチルアセトアミド(DMA);10mM SMCCを含むDMA(コンジュゲーション前に調製)、10mM DM1−SHを含むDMA(コンジュゲーション前に調製)、1mM DTNBを含むPBS、1mMシステインを含む緩衝液、20mMコハク酸ナトリウム、pH5.0。UV−VIS分光光度計(Fisher Scientific製Nano drop 100)、PD−10カラム(GE Healthcare)。
【0259】
ADCは、以下のように調製した。出発抗体溶液を、PD−10カラムにロードしたが、これは予め25mLのコンジュゲーション緩衝液1で平衡化し、その後0.5mlコンジュゲーション緩衝液1をロードした。抗体溶出液を収集し、濃度をA280で測定し、濃度を20mg/mLに調節した。10mM SMCC−DM1溶液を含むDMAを調製した。抗体に対して7.5モル当量のSMCC−DM1を、抗体溶液に加え、DMAを10%v/vの最終DMA体積まで加えた。反応物を短時間混合し、室温にて2時間インキュベートした。第二のPD−10カラムを25mlのコンジュゲーション緩衝液1で平衡化し、抗体−MCC−DM1溶液、その後0.5mlの緩衝液1をカラムに加えた。抗体−MCC−DM1溶出液を収集し、抗体溶液のA252及びA280を測定した。抗体−MCC−DM1濃度を算出した(□=1.45mg−1cm−1、または217500M−1cm−1)。ADCを、高分子量分析のためにSEC−HPLCカラムで分析した(SEC−HPLCカラム TOSOH、G3000−SWXL、7.8mm×30cm、緩衝液、100mMリン酸ナトリウム、300mM塩化ナトリウム、pH7.0、流速:1ml/分)。
【0260】
ADC薬物対抗体比(DAR)を、HIC−HPLCによりTosoh TSK gel Butyl−NPRカラム(4.6mm×3.5mm×2.5mm)を使用して分析した。溶出は、1ml/分で行い、これには、25分間にわたり10〜90%緩衝液B、その後4分間100%緩衝液Bの勾配を使用した。緩衝液Aは、20mMリン酸ナトリウム、1.5M硫酸アンモニウム、pH7.0を含む。緩衝液Bは、20mMリン酸ナトリウム、25%v/vイソプロパノール、pH7.0を含む。
【0261】
ADC薬物対抗体比(DAR)を、LC−MSにより以下の方法により決定した。抗体を、PNGase Fで脱グリコシル化してからLC−MSにロードした。液体クロマトグラフィーをAgilent 1100シリーズHPLCで以下の条件下で実行した:
【0262】
流速:1mL/分をポストカラムでMSのために100uL/分に分流。溶媒:A=0.1%ギ酸を含むddH2O、B=65%アセトニトリル、25%THF、9.9%ddH20、0.1%ギ酸。カラム:2.1×30mm PorosR2。カラム温度:80℃;溶媒も予め加熱。勾配:20%B(0〜3分)、20〜90%B(3〜6分)、90〜20%B(6〜7分)、20%B(7〜9分)。
【0263】
続けて、質量分析(MS)をLTQ−Orbitrap XL質量分析計で以下の条件下で実行した:イオンマックスエレクトロスプレーを使用するイオン化方法。較正及び調整方法:2mg/mL溶液のCsIを10μL/分の流速で注入する。Orbitrapをm/z 2211に調整し、これには自動チューニング機能を使用した(観察された全CsIイオン範囲:1690〜2800)。コーン電圧:40V;チューブレンズ:115V;FT分解能:7,500;走査範囲m/z400−4000;走査遅延:1.5分。データの分子量プロファイルを、ThermoのPromass deconvolutionソフトウェアを用いて生成した。試料の平均DARを、各画分ピークで観察されたDARの関数として決定した(計算式:Σ(DAR×画分ピーク強度)を使用)。
【0264】
表3は、ADC分子の平均DARをまとめる。例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び対照の平均DARは、おおよそ3であった。
(表3)ADCの平均DAR
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【0265】
実施例3:抗HER2二重パラトピック抗体の発現及びベンチスケール精製
実施例1に記載の抗HER2二重パラトピック抗体(v5019、v7091及びv10000)を、10および/または25L体積にて発現させ、以下のようにプロテインA及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により精製した。
【0266】
清澄化した培養培地を、MabSelect SuRe(GE Healthcare)プロテイン−Aカラムにロードし、10カラム体積のpH7.2のPBS緩衝液で洗浄した。抗体を10カラム体積のpH3.6のクエン酸塩緩衝液で溶出し、抗体を含有するプールした画分を、pH11のトリスで中和した。
【0267】
プロテイン−A抗体溶出液を、ゲルろ過(SEC)によりさらに精製した。ゲルろ過については、3.5mgの抗体混合物を1.5mLに濃縮し、Sephadex 200 HiLoad 16/600 200pgカラム(GE Healthcare)に、AKTA Express FPLCを介して1mL/分の流速でロードした。pH7.4のPBS緩衝液を1mL/分の流速で使用した。精製抗体に対応する画分を収集し、約1mg/mLに濃縮した。精製タンパク質を、実施例2に記載のようにLC−MSによって分析した。
【0268】
10L発現ならびにベンチスケールでのプロテインA及びSEC精製の結果を図2A及び2Bに示す。図2Aは、プロテインA精製v5019のSECクロマトグラフを示し、図2Bは、プロテインAプールした画分、さらにはSEC画分15及び19ならびにプールしたSEC画分16〜18の相対純度を比較する非還元型SDS−PAGEゲルを示す。これらの結果は、抗HER2二重パラトピック抗体が発現されたこと、及びプロテインA及びSECによる精製が純粋なタンパク質試料をもたらしたことを示す。さらなる定量を、UPLC−SEC及びLC−MS分析により行い、実施例4に記載する。
【0269】
25L発現及びベンチスケールでのプロテインA精製の結果を、図2Cに示す。図2Cは、プロテインA精製v10000の相対純度を比較するSDS−PAGEゲルを示す。レーンMは、タンパク質マーカーを含有し;レーン1は、還元条件下のv10000を含有し;レーン2は、非還元条件下のv10000を含有する。SDS−PAGEゲルは、v10000が純粋であり、非還元条件下でおおよそ125kDaの補正予測分子量で泳動することを示す。還元条件下では、CH−A重鎖(おおよそ49kDa)及びCH−B重鎖(おおよそ52.5kDa)に相当する2つの重鎖バンドが可視であり;CH−A軽鎖は可視であり、これは、おおよそ23.5kDaの補正予測質量で泳動する。これらの結果は、抗HER2二重パラトピック抗体が発現されること、及びプロテインAによる1ステップ精製が純粋なタンパク質試料をもたらすことを示す。さらなる定量は、UPLC−SEC及びLC−MS分析により行い、実施例4に記載する。
【0270】
実施例4:UPLC−SEC及びLC−MSによる二重パラトピック抗HER2抗体純度の分析
例示的なプロテインA及びSEC精製二重パラトピック抗HER2ヘテロ多量体の純度及び凝集率(%)を、記載の方法によりUPLC−SECにより決定した。
【0271】
UPLC−SEC分析を、30℃に設定したWaters BEH200 SECカラム(2.5mL、4.6×150mm、ステンレス鋼、1.7μm粒子)を使用して0.4ml/分で行った。泳動時間は7分で、注射1回当たりの総体積は2.8mLであり、これは25mMリン酸ナトリウム、150mM酢酸ナトリウム、pH7.1;及び150mMリン酸ナトリウム、pH6.4〜7.1の泳動緩衝液を伴う。吸光度による検出は190〜400nmで促進され、蛍光による検出は280nmで励起し、発光を300〜360nmで収集した。ピーク積分をEmpower 3ソフトウェアによって分析した。
【0272】
プールしたv5019 SEC画分のUPLC−SEC結果を図3Aに示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体が、プロテインA及びSECクロマトグラフィーによって1%未満の高分子量種を伴って99%を超える純度まで精製されたことを示す。
【0273】
v10000のプールしたプロテインA画分のUPLC−SEC結果を図3Bに示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体が、プロテインAクロマトグラフィーによって1%未満の高分子量種を伴って96%を超える純度まで精製されたことを示す。
【0274】
例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の純度を、実施例2に記載する方法によって、標準的な条件下でLC−MSを使用して決定した。v5019のプールしたSEC画分のLC−MS分析からの結果を図4Aに示す。このデータは、例示的な二重パラトピック抗HER2ヘテロ二量体が100%のヘテロ二量体純度を有することを示す。v10000のプールしたプロテインA画分のLC−MS分析からの結果を図4Bに示す。このデータは、例示的な二重パラトピック抗HER2ヘテロ二量体が、1ステッププロテインA精製後に、98%のヘテロ二量体純度を有することを示す。
【0275】
プロテインAクロマトグラフィーならびに/またはプロテインA及びSECによって精製された抗体を、以下の実施例に記載のアッセイのために使用した。
【0276】
実施例5.プロテインA及びCEXクロマトグラフィーによって精製された二重パラトピック抗HER2抗体の大規模発現及び製造可能性の評価
実施例1に記載の例示的な抗HER2二重パラトピック抗体v5019を25L規模で発現させ、以下のように精製した。
【0277】
抗体を上清から獲得し、その後、記載のプロトコルによるプロテインA精製(MabSelect(商標)樹脂;GE Healthcare)、続く、カチオン交換クロマトグラフィー(HiTrap(商標)SP FF樹脂;GE Healthcare)からなる2ステップ精製方法を行った。
【0278】
CHO−3E7細胞を、オービタルシェーカー(VWR Scientific、ペンシルベニア州チェスター)上、37℃、5%CO2で三角フラスコ(Corning Inc.,マサチューセッツ州アクトン)中、無血清Freestyle CHO発現培地(Invitrogen、米国、カリフォルニア州カールスバッド)中にて、維持した。トランスフェクションの2日前に、細胞を適切な密度で、50L CellBag内に25Lの体積で播種し、これにはWave Bioreactor System 20/50(GE Healthcare Bio−Science Corp)を使用した。トランスフェクションの当日に、DNA及びPEI(Polysciences、ドイツ、エッペルハイム)を、最適な比率で混合し、実施例1に記載の方法を使用して細胞に加えた。6日目に収集した細胞上清をさらなる精製のために使用した。
【0279】
細胞培養ブロスを遠心し、濾過してから、10.0mL/分で、XK26/20(GE Healthcare、スウェーデン、ウプサラ)に充填された30mL Mabselect(商標)樹脂上にロードした。適切な緩衝液で洗浄及び溶出した後に、画分を収集し、1Mトリス−HCl、pH9.0)で中和した。標的タンパク質を、XK16/20(GE Healthcare、スウェーデン、ウプサラ)に充填された20mL SP FF樹脂を介してさらに精製した。MabSelect(商標)精製試料を、20mM NaAC、pH5.5で希釈して、伝導性を5ms/cm未満に調節し、50mMクエン酸(pH3.0)を加え、試料pH値を5.5に調節した。試料を、1mL/分でHiTrap(商標)SP FF樹脂(GE Healthcare)上にロードし、20mM NaACで洗浄した。タンパク質を、1mL/分で、0〜100%の20mM NaAC、1M NaCl、pH5.5、10CVの勾配溶出を使用して溶出した。
【0280】
精製タンパク質を、実施例1に記載のようにSDS−PAGE、及び実施例4に記載の方法によるヘテロ二量体純度に関するLC−MSによって分析した。結果を、図5A及び5Bに示す。図5Aは、MabSelect(商標)及びHiTrap(商標)SP FF精製後のv5019のSDS−PAGE結果を示し:レーンMはタンパク質マーカーを含有する;レーン1:還元条件下でのv5019(3μg);レーン2:非還元条件下のv5019(2.5μg)。SDS−PAGEゲルは、v5019が、MabSelect(商標)及びHiTrap(商標)SP FF精製後に相対的に純粋であり、非還元条件下で、おおよそ125kDaの補正予測分子量で泳動することを示す。還元条件下では、CH−A重鎖(おおよそ49kDa)及びCH−B重鎖(おおよそ52.5kDa)に対応する2つの重鎖バンドが可視であり;CH−A軽鎖は可視であり、これは、おおよそ23.5kDaの補正予測質量で泳動する。
【0281】
MabSelect(商標)及びHiTrap(商標)SP FF精製したv5019のLC−MS分析を行って、実施例4に記載の方法を使用してヘテロ二量体純度を決定した。LC−MS分析からの結果を、図5Bに示す。これらの結果は、MabSelect(商標)及びHiTrap(商標)SP FFを使用するv5019精製が、99%超のヘテロ二量体純度及び少量(1%未満)または検出不可能なホモ二量体または半抗体混入を伴うタンパク質をもたらすことを示す。
【0282】
実施例6:低レベルから高レベルのHER2を発現する細胞系における、対照のBmaxに対する二重パラトピック抗HER2抗体のBmaxの比較
以下の実験を、対照との比較において、様々なレベルのHER2を発現する細胞に結合する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を測定するために行った。使用した細胞系は、SKOV3(HER2 2+/3+)、JIMT−1(HER2 2+)、MDA−MB−231(HER2 0/1+)、及びMCF7(HER2 1+)であった。検査した二重パラトピック抗HER2抗体には、v5019、v7091及びv10000が含まれる。HER2発現(HER2+)細胞に結合する二重パラトピック抗HER2抗体の能力は、下記のように決定され、Bmax及び見かけのK(平衡解離定数)の具体的な測定を伴った。
【0283】
HER2+細胞の表面への被験抗体の結合をフローサイトメトリーにより決定した。細胞をPBSで洗浄し、1×10細胞/100μlでDMEMに再懸濁した。細胞懸濁液100μlを、各微量遠心管内に加え、続いて、10μl/管の抗体変異体を加えた。これらの管を、回転器上、4℃で2時間インキュベートした。微量遠心管を、2分間2000RPMで室温にて遠心し、細胞ペレットを500μl培地で洗浄した。各細胞ペレットを再懸濁し、100μlのフルオロクロム標識された二次抗体を培地中に2μg/試料まで希釈した。試料を、次いで、1時間4℃にて回転器上でインキュベートした。インキュベーション後に、細胞を2分間2000rpmで遠心分離し、培地にて洗浄した。細胞を500μl培地に再懸濁し、5μlヨウ化プロピジウム(PI)を含有する管に濾過し、製造元指示書に従ってBD LSR IIフローサイトメーターで分析した。例示的な二重パラトピック抗HER2ヘテロ二量体抗体及び対照抗体のKを、データ分析及び曲線フィッティングをGraphPad Prismにて行ってFACSにより評価した。
【0284】
結果を図6A〜6Gに示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091、及びv10000)が、抗HER2 FSA(v506)と比較しておおよそ1.5倍高いBmaxで、HER2+細胞に結合することができることを実証する。図6A〜6Gにおける結果は、二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091、及びv10000)が、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して同様のBmaxで、HER2+細胞に結合することができることも示す。
【0285】
HER2+SKOV3細胞(HER2 2/3+)での結合結果を、図6A、6E、ならびに表4及び表5に示す。図6A及び表4における結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、2種の異なる抗HER2 FSA(v506またはv4184)と比較して、SKOV3細胞への結合においておおよそ1.5倍高いBmaxを表すことを示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して同等のBmaxを表すことも示す。SKOV3への結合についてのv5019の見かけのKは、抗HER2 FSA単独(v506またはv4184)、または2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)のいずれかと比較しておおよそ2〜4倍高かった。
(表4)SKOV3細胞への結合
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【0286】
図6E及び表5における結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、7091、及びv10000)が、2種の異なる抗HER2 FSA(v506またはv4184)と比較して、SKOV3細胞への結合においておおよそ1.5〜1.6倍高いBmaxを表すことを示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、7091、及びv10000)が、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して同等のBmaxを表すことも示す。SKOV3への結合についてのv5019、v7091、v10000、及び2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)の見かけのKは、抗HER2 FSA単独(v506またはv4184)のいずれかと比較しておおよそ2〜3倍高かった。
(表5)SKOV3への結合
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【0287】
JIMT−1細胞系(HER2 2+)における結合曲線を図6B及び表6に示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、抗HER2 FSA(v506)と比較して、JIMT−1細胞への結合においておおよそ1.5倍高いBmaxを表すことを示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して同等のBmaxを表すことも示す。JIMT−1への結合についてのv5019の見かけのKは、抗HER2 FSA(v506)と比較しておおよそ2倍高く、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して同様であった(おおよそ1.2倍高い)。
(表6)JIMT−1細胞への結合
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【0288】
MCF7細胞系(HER2 1+)における結合曲線を、図6C、6F、ならびに表7及び8に示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、7091、及びv10000)が、抗HER2 FSA(v506)と比較して、MCF7細胞への結合においておおよそ1.5倍高いBmaxを表すことを示す。図6Cにおける結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して同等のBmaxを表すことも示す。MCF7への結合についてのv5019の見かけのKは、抗HER2 FSA(v506)及び2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と同様であった。
(表7)MCF7細胞への結合
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図6F及び表8における結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091、及びv10000)が、FSA単一特異性v506と比較しておおよそ1.6〜1.7倍大きいBmaxを表すことを示す。v5019、v7091、及びv10000の見かけのKは、抗HER2 FSA(v506)と同様であった。
(表8)MCF7細胞への結合
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【0289】
MDA−MB−231細胞系(HER2 0/1+)における結合曲線を、図6D及び表9に示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、抗HER2 FSA(v506)と比較して、MDA−MB−231細胞への結合においておおよそ1.5倍高いBmaxを表すことを示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して同等のBmaxを表すことも示す。MDA−MB−231への結合についてのv5019の見かけのKは、抗HER2 FSA(v506)と比較しておおよそ2.4倍低く、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較しておおよそ1.7倍高かった。
(表9)MDA−MB−231細胞への結合
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【0290】
WI−38肺繊維芽細胞細胞系における結合曲線を、図6G及び表10に示す。WI−38細胞系は、基底レベルのHER2(HER2 0+、約10,000受容体/細胞)を発現する正常な肺上皮である(Carter et al.1992,PNAS,89:4285−4289;Yarden 2000,HER2:Basic Research,Prognosis and Therapy)。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091、v10000)が、抗HER2 FSA(v506)と比較して、WI−38細胞への結合において同等の細胞表面装飾(Bmax)を呈することを示す;しかしながら、v506への結合が、飽和に達するようには見えず、ゆえにKDを決定することができなかったことに留意されたい。例示的な二重パラトピック抗HER2抗体間での見かけのKは同等であった。
(表10)WI−38細胞への結合
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【0291】
これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体が、HER2 1+、2+、及び3+腫瘍細胞に、抗HER2単一特異性FSAよりもおおよそ1.5〜1.6倍高いレベルで結合することができること、及び例示的な二重パラトピック抗HER2抗体が、HER2 1+、2+、及び3+腫瘍細胞に、異なるエピトープ特異性を有する2種の固有の単一特異性抗HER2 FSAの組み合わせと比較して同等のレベルで結合することができることを示す。これらの結果は、二重パラトピック抗HER2抗体がおおよそ10,000以下のHER2受容体/細胞を発現する基底HER2発現細胞への結合の増加(すなわち、単一特異性抗HER2抗体、v506と比較して)を示さないこと、及びHER2受容体レベルがおおよそ10,000受容体/細胞を超えるときに、二重パラトピック抗HER2抗体への細胞表面結合の増加に関して閾値が生じることを示す。このデータに基づき、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体は、HER2 3+、2+、及び1+腫瘍細胞への細胞表面結合を増加させ得るが、おおよそ10,000受容体以下でHER2受容体の基底レベルを発現する非腫瘍細胞への細胞表面結合は増加させないであろうことが予測されるだろう。
【0292】
実施例7:HER2+細胞の増殖を阻害する二重パラトピック抗HER2抗体の能力
3+及び2+レベルでHER2を発現する細胞の増殖を阻害する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を測定した。実験を、HER2 3+細胞系のBT−474、SKBr3、SKOV3、及びHER2 2+JIMT−1で実施した。二重パラトピック抗HER2抗体のv5019、v7091、及びv10000を検査した。BT−474細胞(200nM抗体);SKOV3、SKBr3、及びJIMT−1細胞(300nM抗体)の増殖を阻害する二重パラトピック抗HER2抗体の能力を下記のように測定した。
【0293】
被験抗体を培地中に希釈し、細胞に10μl/ウェルで、三重で添加した。プレートを3日間37℃でインキュベートした。細胞生存力を、AlamarBlue(商標)(BioSource# dal1100)またはCelltiter−Glo(登録商標)のいずれかを使用して測定し、製造元の指示書に従って吸光度を読み取った。データを未処置対照に対して正規化し、分析をGraphPad prismにて行った。
【0294】
増殖阻害結果を図7A〜Eに示す。結果の概要を表11A及び11Bに提示する。結果の図7A〜B及び表11Aは、例示的な抗HER2二重パラトピック(v5019)が、HER2+SKOV3及びBT−474細胞系の増殖阻害が可能であることを示す。図10Aは、抗HER2二重パラトピック抗体が、抗HER2 FSA(v506)と比較したときに、及び2種の抗HER2 FSA抗体の組み合わせ(v506+v4184)と比較したときに、SKOV3の最大増殖阻害を媒介したことを示す。
(表11A)HER2 3+癌細胞の増殖阻害
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【0295】
図7C〜E及び表11Bの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019、v7091、及びv10000)がHER2 3+SKBR3、HER2 2+/3+SKOV3、及びHER2 2+JIMT−1腫瘍細胞系の増殖を阻害することができることを示す。図7Cは、抗HER2二重パラトピック抗体v7091及びv10000が、HER2 3+SKBr3乳房腫瘍細胞の最大増殖阻害を媒介したことを示す。図7Dは、抗HER2二重パラトピック抗体(v7091及びv10000)が、HER2 3+SKOV3卵巣腫瘍細胞の最大増殖阻害を媒介したことを示す。図7Eは、抗HER2二重パラトピック抗体(v7091及びv10000)が、HER2 2+Herceptin耐性JIMT−1腫瘍細胞の最大増殖阻害を媒介したことを示す。検査したすべての細胞系において、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v7091及びv10000)は、抗HER2 FSA単一特異性抗体(v506)と比較して高い増殖阻害を媒介した。
(表11B)HER2 3+癌細胞の増殖阻害
[この文献は図面を表示できません]
【0296】
これらの結果は、二重パラトピック抗HER2抗体の例示的な飽和濃度が、HER2 3+及び2+乳房及び卵巣腫瘍細胞、ならびにHER2 2+トラスツズマブ耐性腫瘍細胞を、FSA抗HER2単一特異性抗体よりもおおよそ20%高く増殖阻害することができることを示す。
【0297】
実施例8:HER2 ECDと比較した、二量体HER2への二重パラトピック抗HER2抗体のパラトープの優先的結合
この実験は、膜結合HER2(HER2−Fc)及びshed HER2 ECDの間の結合差異の代理としての二量体HER2及びHER2 ECDに結合する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の個々のパラトープの能力を決定するために行った。実験は、以下のように実施した。
【0298】
表面プラズモン共鳴(SPR)分析:HER2細胞外ドメイン(sHER−2、Ebioscience BMS362、_完全長タンパク質のアミノ酸23〜652をコードする)及びHER2−Fc(細胞外ドメインのアミノ酸1〜652をコードする二量体HER2−Fc融合体;Sino Biological Inc.,10004−H02H)への結合に関する一価抗HER2抗体(v1040またはv4182)の親和性をSPRによりBiacoreからのT200システム(GE Healthcare)を使用して測定した。HER2 ECDへの結合は、以下の方法により決定した。10mm Hepes pH6.8中のHER2 ECDを、44RU(応答単位)のレベルまでアミンカップリングを通してCM5チップ上に固定化した。一価抗HER2抗体を、0.76〜60nMの範囲の濃度でHER2固定化チップの表面上を通過させた。HER2−Fcへの結合は、以下の方法により決定した。10mm Hepes pH6.8中のHER2−Fcを、43RUのレベルまでアミンカップリングを通してCM5チップ上に固定化した。一価抗HER2抗体を、0.76〜60nMの範囲の濃度でHER2固定化チップの表面上を通過させた。抗体濃度を、三重で結合について分析した。平衡解離結合定数(K)及び反応速度(ka及びkd)を、単一サイクル反応速度法を使用して決定した。センソグラム(sensogram)を、1:1のラングミュア結合モデルに全体的に当てはめた。すべての実験は、室温にて実施した。
【0299】
結果は、図8A図8B、表11C及び表11Dに示す。図8A及び表11Cの結果は、一価抗HER2抗体(v1040;例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のCH−B上の抗原結合性ドメインを表す)のSPR結合データを示す。図8Aは、固定化HER2 ECDまたはHER2−Fcへのv1040結合のK値(nM)を図示しており、一価抗HER2抗体が、HER2−Fcに対する結合について、HER2 ECDと比較して低いKを有することを示す。表11Cは、HER2 ECD及びHER2−FC(「HER2 mem」)への結合における、フルサイズ抗HER2抗体(FSA)と比較した一価抗HER2抗体(OA)のka(1/Ms)及びkd(1/s)値を示す。このデータは、HER2 ECD及びHER2−FCへの結合について、OA及びFSAのオン(ka)及びオフ(kd)速度での比較を示す。
(表11C)HER2 ECD及びHER2−FC(「HER2 mem」への結合における、フルサイズ抗HER2抗体(FSA)と比較した一価抗HER2抗体(OA)のka(1/Ms)及びkd(1/s)値
[この文献は図面を表示できません]
【0300】
図8B及び表11Dにおける結果は、一価抗HER2抗体(v4182;例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のCH−A上の抗原結合性ドメインを表す)のSPR結合データを示す。図8Bは、固定化HER2 ECDまたはHER2−Fcへのv4182結合のK値(nM)を図示しており、一価抗HER2抗体が、HER2−Fcへの結合について、HER2 ECDと比較して低いKを有することを示す。表11Dは、HER2 ECD及びHER2−FC(「HER2 mem」)への結合における、フルサイズ抗HER2抗体(FSA)と比較した一価抗HER2抗体(OA)のka(1/Ms)及びkd(1/s)値を示す。このデータは、HER2 ECD及びHER2−FCへの結合について、OA及びFSAのオン(ka)及びオフ(kd)速度での比較を示す。
(表11D)
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【0301】
これらのデータは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のパラトープのそれぞれが、膜結合HER2の代表である二量体HER2抗原への結合について、HER2 ECDと比較して低いK値を有することを示す。このデータに基づき、例示的な抗HER2抗体が、罹患患者の血清中に存在し、治療用抗体のためのシンクとして作用し得るshed HER2 ECDと比較して、膜結合HER2抗原に対してより高い結合親和性を有し得ると予測されるだろう(Brodowicz T,et al.Soluble HER−2/neu neutralizes biologic effects of anti−HER−2/neu antibody on breast cancer cells in vitro.Int J Cancer.1997;73:875−879)。例えば、ベースラインのHER2 ECDレベルが15ng/mL以下であるのに対して、進行性疾患を有する患者の有するHER2 ECDレベルは38ng/mL以上である。
【0302】
実施例9:HER2+細胞における二重パラトピック抗HER2抗体の全細胞負荷及び内部移行
この実験を、HER2 2+細胞へ内部移行する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を評価するために行った。直接的な内部移行方法は、Schmidt,M.et al.,Kinetics of anti−carcinoembryonic antigen antibody internalization:effects of affinity,bivalency,and stability.Cancer Immunol Immunother(2008)57:1879−1890において詳述されているプロトコルに従った。具体的には、抗体を、製造元の指示書に従ってAlexaFluor(登録商標)488タンパク質標識キット(Invitrogen、カタログ番号A10235)を使用して直接的に標識した。
【0303】
内部移行アッセイについては、12ウェルプレートに1×10細胞/ウェルを播種し、一晩37℃+5%CO2でインキュベートした。翌日、標識抗体をDMEM+10%FBS中200nMで加え、24時間、37℃+5%CO2でインキュベートした。暗条件下で、培地を吸引し、ウェルを2×500μL PBSで洗浄した。細胞を回収するために、細胞解離緩衝液(250μL)を37℃にて加えた。細胞をペレット化し、100μL DMEM+10%FBS中に、抗Alexa Fluor 488、ウサギIgG画分(Molecular Probes、A11094)を50μg/mLで伴ってまたは伴わずに再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。分析前に、300μL DMEM+10%FBS、ろ過試料、4μlヨウ化プロピジウムを加えた。試料を、LSRIIフローサイトメーターを使用して分析した。
【0304】
HER2+細胞に内部移行する例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の能力を、図9A及び図9Bに示す。図9Aは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2 FSA対照と共に24時間インキュベートした後のBT−474細胞において検出可能な表面及び内部抗体の結果を示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)とのインキュベーションが、抗HER2 FSA対照と比較しておおよそ2倍多い内部移行抗体をBT−474細胞においてもたらすことを示す。図9Bは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2 FSA対照と共に24時間インキュベートした後のJIMT−1細胞において検出可能な表面及び内部抗体の結果を示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)とのインキュベーションが、抗HER2 FSA対照と比較しておおよそ2倍多い内部移行抗体をJIMT−1細胞においてもたらすことを示す。24時間後の表面染色の量は、BT−474及びJIMT−1細胞の両方において、二重パラトピック抗HER2及び抗HER2 FSAの間で同等であった。
【0305】
図10A〜Fの結果は、37℃にて24時間後の内部移行抗体の量に加えて;37℃にて24時間インキュベーションした後に、表面に結合した抗体と比べた、4℃にて2時間後に全細胞の表面に結合した検出可能抗体の比較を示す。図10Aは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2 FSA対照と共にインキュベートした後のBT−474細胞における結果を示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体とBT−474細胞の24時間にわたるインキュベーションが、全細胞の表面上で検出される抗体をおおよそ15%減少させることを示す。図10Aは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)とのインキュベーションが、抗HER2 FSA対照と比較してBT−474細胞においておおよそ2倍多い内部移行抗体をもたらすことも示す。
【0306】
図10Bは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2 FSA対照と共にインキュベートした後のJIMT−1細胞における結果を示す。図10Bは、4℃にて2時間後に表面染色を加えた、図9Bに示した実験の反復である。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体とJIMT−1細胞の24時間にわたるインキュベーションが、全細胞の表面上で検出される抗体をおおよそ57%減少させることを示す。図10Bは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)とのインキュベーションが、37℃にて24インキュベーション後に、抗HER2 FSA対照と比較してBT−474細胞においてより多くの内部移行抗体をもたらすことも示す。
【0307】
図10Cは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体と共にインキュベートした後のSKOV3細胞における結果を示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体とSKOV3細胞の24時間にわたるインキュベーションが、全細胞の表面上で検出される抗体をおおよそ32%減少させることを示す。
【0308】
図10Dは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体と共にインキュベートした後のMCF7細胞における結果を示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体とMCF7細胞の24時間にわたるインキュベーションが、全細胞の表面上で検出される抗体をおおよそ45%減少させることを示す。
【0309】
図10Eは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体である、v5019、v7091及びv10000と共にインキュベートした後のSKOV3細胞における結果を示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のインキュベーションが、SKOV3細胞で、抗HER2 FSA対照と比較して1.5〜1.8倍多い内部移行抗体をもたらすことを示す。抗HER2 FSA対照との24時間にわたるインキュベーションは、全細胞の表面上で検出される抗体を最も減少させた(約77%)。
【0310】
図10Fは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体である、v5019、v7091及びv10000と共にインキュベートした後のJIMT−1細胞における結果を示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体のインキュベーションが、JIMT−1細胞で、抗HER2 FSA対照と比較して1.4〜1.8倍多い内部移行抗体をもたらすことを示す。抗HER2二重パラトピック抗体(v5019及びv10000)との24時間にわたるインキュベーションは、全細胞の表面上で検出される抗体を最も減少させた(約64%)。
【0311】
これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体が、単一特異性抗HER2 FSAと比較して優れた内部移行特性をHER2+細胞において有することを示す。37℃での24時間のインキュベーション後の検出される表面抗体の減少は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体が、HER2+細胞におけるインキュベーション後に細胞表面HER2受容体の量を減少させることができること及びインキュベーション後の表面HER2減少がHER2 2+腫瘍細胞において最大であることを示す。
【0312】
実施例10:1、3及び16時間での、HER2+細胞とインキュベートした後の抗HER2二重パラトピック抗体の細胞染色及び位置
この実験は、異なる時点でのHER2+JIMT−1細胞における例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の内部移行を分析するため、及び全細胞負荷及び内部移行を分析するために実施例9において提示した方法に直交する方法として行った。
【0313】
JIMT−1細胞を、37℃+5%COで1時間、3時間、及び16時間にわたって無血清DMEM中200nMの抗体(v506、v4184、v5019、またはv506及びv4184の組み合わせ)とインキュベートした。細胞を、加温した滅菌PBS(500ml/ウェル)で穏やかに2回洗浄した。細胞を、250mlの10%ホルマリン/PBS溶液で10分間室温にて固定した。固定した細胞をPBS(500μl/ウェル)で3回洗浄し、0.2%Triton X−100を含有する250μl/ウェルのPBSで5分間透過処理し、500μl/ウェルPBSで3回洗浄した。細胞を、500μl/ウェルのPBS+5%ヤギ血清で1時間室温にてブロッキングした。ブロッキング緩衝液を除去し、300μl/ウェル二次抗体(Alexa Fluor 488とコンジュゲートしたAffiniPure Fab断片ヤギ抗ヒトIgG(H+L);Jackson ImmunoResearch Laboritories,Inc.;109−547−003)を1時間室温にてインキュベートした。細胞を500μl/ウェルのPBSで3回洗浄し、固定した細胞を含有するカバーガラスを、次いで、DAPIを含むProLong gold退色防止剤(Life Technologies;#P36931)を使用してスライド上に載せた。60倍の単一画像を、Olympus FV1000共焦点顕微鏡を使用して獲得した。
【0314】
結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)がJIMT−1細胞内に3時間で内部移行し、主に核の近くに局在化したことを示した。3時間のインキュベーションでの比較画像は、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)と比較して、及び個々の抗HER2 FSA(v506またはv4184)と比較して、抗HER2二重パラトピック抗体に関連する内部染色をより多く示した。抗体染色の細胞位置における差異が、抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)の結果を抗HER2 FSA(v4184)と比較するときに見られ;ここで抗HER2 FSA(v4184)は、1、3及び16時間の時点で明白な原形質膜染色を示した。検出可能な抗体の量は、抗HER2 FSA(v506)、2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)及び抗HER2二重パラトピック抗体処置について、16時間で減少した(データは示さず)。
【0315】
これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体v5019がHER2+細胞に内部移行し、内部移行抗体が3時間のインキュベーション後に検出可能であったことを示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体が、抗HER2 FSAと比較してHER2+細胞により多くの量まで内部移行することができることを示す実施例9に提示した結果と一致する。
【0316】
実施例11:対照と比較して、二重パラトピック抗HER2抗体により媒介されるHER2+細胞のADCC
この実験は、SKOV3細胞(卵巣癌、HER2 2+/3+)においてADCCを媒介する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力を測定するために行った。
【0317】
標的細胞を、被験抗体(45μg/mlから10分の1漸減濃度)と30分間予めインキュベートし、その後、エフェクター細胞を5:1のエフェクター/標的細胞比で加え、インキュベーションを6時間37℃+5%COにて継続した。試料を、45μg/mlから10分の1漸減していく8つの濃度で検査した。LDH放出を、LDHアッセイキットを使用して測定した。
【0318】
用量反応試験を、5:1.3:1、及び1:1のエフェクター/標的(E/T)比で、様々な濃度の試料を用いて行った。50%効果濃度(EC50)値を、GraphPad prismを使用してシグモイド用量反応非線形回帰フィットを用いて分析した。
【0319】
細胞を、マッコイ5a完全培地中、37℃/5%COで維持し、ATCCからのプロトコルに従って、10%FBSを補充した好適な培地で定期的にサブ培養した。p10未満の継代数の細胞をこのアッセイで使用した。試料は、1%FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したフェノールレッド非含有DMEM培地で、0.3〜300nMの間の濃度に希釈してからアッセイにて使用した。
【0320】
5:1のエフェクター対標的細胞比でのHER2+SKOV3細胞におけるADCC結果を図11A及び表12に示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、抗HER2 FSA(v792)及び2種の異なる抗HER2 FSAの組み合わせ(v792+v4184)と比較したときに、ADCCによる最大標的細胞溶解の最大割合(%)を媒介したことを示す。例示的な二重パラトピック抗HER2抗体によって媒介される最大細胞溶解における差異は、抗HER2 FSAと比較しておおよそ1.6倍大きく、2種の異なる抗HER2 FSAの組み合わせ(v792+v4184)と比較しておおよそ1.2倍大きかった。
(表12)
[この文献は図面を表示できません]
【0321】
3:1のエフェクター対標的細胞比でのHER2+SKOV3細胞におけるADCC結果を図11B及び表13に示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、抗HER2 FSA(v792)及び2種の異なる抗HER2 FSAの組み合わせ(v792+v4184)と比較したときに、ADCCによる最大標的細胞溶解の最大割合(%)を媒介したことを示す。例示的な二重パラトピック抗HER2抗体によって媒介される最大細胞溶解における差異は、抗HER2 FSAと比較しておおよそ1.3倍大きく、2種の異なる抗HER2 FSAの組み合わせ(v792+v4184)と比較しておおよそ1.8倍大きかった。
(表13)
[この文献は図面を表示できません]
【0322】
1:1のエフェクター対標的細胞比でのHER2+SKOV3細胞におけるADCC結果を図11C及び表14に示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、抗HER2 FSA(v792)及び2種の異なる抗HER2 FSAの組み合わせ(v792+v4184)と比較したときに、ADCCによる最大標的細胞溶解の最大割合(%)を媒介したことを示す。例示的な二重パラトピック抗HER2抗体によって媒介される最大細胞溶解における差異は、抗HER2 FSAと比較しておおよそ1.8倍大きく、2種の異なる抗HER2 FSAの組み合わせ(v792+v4184)と比較しておおよそ1.13倍大きかった。
(表14)
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【0323】
図11及び表12〜14における結果は、例示的な二重パラトピックHER2抗体が、異なるE:T比率で、抗HER2 FSA及び2種の抗HER2 FSAの組み合わせと比較したときに、SKOV3細胞の最大ADCCを媒介することを示す。抗HER2二重パラトピック抗体によって媒介されるADCCの増加の観察が、化学療法後に循環エフェクター細胞の変動および/または減少を表すHER2+罹患患者において予測されるであろう(Suzuki E.et al.Clin Cancer Res 2007;13:1875−1882)。図11における観察は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体への細胞結合において、抗HER2 FSAと比較しておおよそ1.5倍の増加を示す、実施例6において提示した細胞全体結合Bmaxデータと一致する。
【0324】
実施例12:HER2 ECDに結合する例示的な抗HER2抗体の能力
SPRアッセイを、それにより例示的な抗HER2二重パラトピック抗体がHER2 ECDに結合する機構を評価するために;具体的には、1つの二重パラトピック抗体分子のパラトープの両方が、1つのHER2 ECDに結合し得る(シス結合;抗体対HER2分子が1:1)か、または1つの二重パラトピック抗体の各パラトープが2つの異なるHER2 ECDに結合し得る(トランス結合;抗体対HER2分子が1:2)かを理解するために、使用した。シス対トランス結合の代表例を図14に図示する。オフ速度の低下(遅延)と抗体捕捉レベル(表面密度)の増加の間の相関が、トランス結合(すなわち、1つの抗体分子が2つのHER2分子に結合すること)の指標である。
【0325】
組換えヒトHER2に対する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)の親和性及び結合反応速度を測定し、一価抗HER2抗体(v630またはv4182;v5019の個々のパラトープを含む)のそれと比較したが、これは、BiacoreからのT200システム(GE Healthcare)を使用してSPRにより測定した。5〜10μg/mlの濃度で注射した2000〜4000RUの間の抗ヒトFcを、標準的なアミンカップリングを使用してCM5チップ上に固定化した。一価抗HER2抗体(v630またはv4182)及び例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)を、350〜15RUの範囲の応答レベルで、抗ヒトFc(PBST中0.08〜8μg/mlの範囲の濃度で注射、10ul/分で1分)上で捕捉した。組換えヒトHER2をPBST中に希釈し、120nM、200nM、または300nMのいずれかの出発濃度にて3倍希釈で注射し、50μl/分の流速で3分間注射し、その後、最後の注射の終了時にさらに30分間解離させた。HER2希釈液を二重で分析した。センソグラムを、1:1のラングミュア結合モデルに全体的に当てはめた。すべての実験は、25℃で実施した。
【0326】
結果を図12及び図13に示す。
【0327】
図12Aにおける結果は、チップの表面上の、ある範囲の注射抗体濃度及び捕捉抗体濃度にわたる、組換えヒトHER2への結合についての一価抗HER2(v630及びv4182)及び例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)のka(1/Ms)を示す。これらの結果は、異なる抗体捕捉レベルで、v630、v4182、及びv5019について、kaが変化しないことを示す。
【0328】
図12Bにおける結果は、チップの表面上の、ある範囲の注射抗体濃度及び捕捉抗体濃度にわたる、組換えヒトHER2への結合についての一価抗HER2(v630及びv4182)及び例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)のkd(1/s)を示す。これらの結果は、増加する抗体捕捉レベルで、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)についてのみ、kdが低減したことを示す。
【0329】
図12Cにおける結果は、チップの表面上の、ある範囲の注射抗体濃度及び捕捉抗体濃度にわたる、組換えヒトHER2への結合についての一価抗HER2(v630及びv4182)及び例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)のK(M)を示す。これらの結果は、増加する抗体捕捉レベルで、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)についてのみ、Kが低下したことを示す。この結果は、図15Bに示すkd値の低減と相関する。
【0330】
図13Aにおける結果は、ある範囲の抗体捕捉レベルにわたる、組換えヒトHER2への結合についての例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)のkd(1/s)を示す。これらの結果は、kd値が、チップの表面上に捕捉される抗体のRUの上昇と逆比例する(すなわち、抗体捕捉レベルが高いほど、オフ速度は遅くなる)ことを示す。この結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、2つの別々のHER2分子上のHER2 ECD2及びHER2 ECD4に結合(すなわち、トランス結合)し得ることを示し、これはより高い抗体捕捉レベルで、オフ速度が低下することをエビデンスとする。このデータは、図47において提示され、実施例43において考察されている同様の実験により支持され、ここで、二価単一特異性抗HER2 FSA(v506)は、シス結合(抗体対HER2が1:1)を実証し、kd(1/s)及びK(M)値は増加する抗体捕捉レベルで一定のままであったが、これはこの分子で予測されたとおりである。
【0331】
図13Bにおける結果は、ある範囲の抗体捕捉レベルにわたる、組換えヒトHER2への結合についての一価抗HER2抗体(v4182)のkd(1/s)を示す。これらの結果は、チップの表面上に捕捉される異なる抗体RUの範囲にわたって、kd値が変化しないことを示す。これらの結果は、一価抗HER2抗体(v4182)が、一価で、1:1で結合(シス結合)することを示す。
【0332】
図13Cにおける結果は、ある範囲の抗体捕捉レベルにわたる、組換えヒトHER2への結合についての一価抗HER2抗体(v630)のkd(1/s)を示す。これらの結果は、チップの表面上に捕捉される異なる抗体RUの範囲にわたって、kd値が変化しないことを示す。これらの結果は、一価抗HER2抗体(v630)が、一価で、1:1で結合(シス結合)することを示す。このデータは、図47において提示され、実施例43Xにおいて考察されている実験によって支持され、ここで、二価単一特異性抗HER2 FSA(v506)は、kd(1/s)において変化を示さなかった。
【0333】
[0098]図12及び図13における結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)が、トランスで、2つのHER2分子に同時に結合することができること(抗体対HER2比率は1:2)を示す。SPRにより検出される結合のトランス機構は、実施例9及び10において提示される内部移行データと合わせて、実施例6に提示される、より高い細胞表面飽和結合データ(Bmax)と一致する。
【0334】
実施例13:BT−474細胞におけるAKTリン酸化に与える例示的な二重パラトピック抗HER2抗体インキュベーションの効果
BT−474細胞においてpAKTシグナル伝達を減少させる例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の能力を、AKT Colorimetric In−Cell ELISAキット(Thermo Scientifiic;カタログ番号62215)を使用して、製造元の指示書に従い、以下の改変を伴って検査した。細胞を5×10/ウェルで播種し、24時間37℃+5%COでインキュベートした。細胞を100nM抗体と30分間インキュベートし、その後、rhHRG−β1と15分間インキュベートした。細胞を、指示書に従って、洗浄し、固定し、透過処理した。二次抗体(1:5000;Jackson ImmunoReasearch、HRP−ロバ抗マウスIgG、JIR、カタログ番号715−036−150、HRP−ロバ抗ウサギIgG、JIR、カタログ番号711−036−452)を加え、アッセイを製造元の指示書に従って処理した。
【0335】
図15の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体とのインキュベーションが、HRGβ1の存在下でp−Aktレベルにおいて、ヒトIgG対照(CTL)に対しておおよそ1.2分の1に低下して媒介したことを示す。2種の抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)は、HRGβ1存在下でp−Aktレベルにおいて最大の減少を媒介し、これはヒトIgG対照と比較しておおよそ約1.5分の1であった。リガンド(HRGβ1)の不在下では、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体で、ヒトIgG対照抗体と比較して、p−Aktのわずかな低下が検出された。
【0336】
これらのデータは、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体が、HER2+細胞においてリガンド活性化シグナル伝達を遮断することができることを示す。
【0337】
実施例14:心筋細胞生存力に与える二重パラトピック抗HER2抗体の効果
心筋細胞生存力に与える例示的な二重パラトピック抗HER2抗体及びADCの効果を、潜在的な心臓毒性作用の予兆を得るために測定した。
【0338】
基底レベルのHER2受容体を発現するiCell心筋細胞(Cellular Dynamics International、CMC−100−010)を、製造元の指示書に従って増殖させ、抗体処置後の心筋細胞の健康状態を評価するための標的細胞として使用した。アッセイは、以下のように行った。細胞を96ウェルプレートに播種(15,000細胞/ウェル)し、48時間維持した。細胞培地を維持培地と置き換え、細胞を72時間維持した。抗体誘発性心臓毒性の作用にアクセスするために、細胞を72時間、10及び100nMの変異体単独または組み合わせを用いて処置した。(単独、または例示的な二重パラトピック抗HER2抗体と組み合わせた)アントラサイクリン誘発性心臓毒性の作用にアクセスするために、細胞を、3uM(約IC20)のドキソルビシンで1時間処置し、その後、72時間10及び100nMの抗体変異体単独または組み合わせを用いて処置した。細胞生存力を、CellTiter−Glo(登録商標)発光性細胞生存力アッセイ(Promega、G7570)および/またはスルフォローダミン(Sulphorhodamine)(Sigma 230162−5G)を製造元の指示書に従って用いて細胞ATPレベルを定量化することによって、評価した。
【0339】
結果を、図16A〜Cに示す。図16Aにおける結果は、心筋細胞と治療的に関連する濃度の例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019)及び例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363)のインキュベーションが、未処置対照(「モック」)と比較して、心筋細胞生存力に影響を及ぼさなかったことを示す。
【0340】
図16Bにおける結果は、心筋細胞と治療的に関連する濃度の例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019、v7091、及びv10000)、及び例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363、v7148、及びv10553)のインキュベーションが、未処置対照(「モック」)と比較して、心筋細胞生存力に対して効果を有さなかったことを示す。図16A及び16Bにおける結果に基づき、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、他の抗HER2標的抗体で報告されているような(Grazette L.P.et al.Inhibition of ErbB2 Causes Mitochondrial Dysfunction in Cardiomyocytes;Journal of the American College of Cardiology:2004;44:11)、例えば、ミトコンドリア機能障害を通した心筋症を誘発しないだろうと予測される。
【0341】
図16Cにおける結果は、ドキソルビシンを用いた心筋細胞の前処置、その後の、治療的に関連する濃度の例示的な抗HER2二重パラトピック抗体(v5019、v7091、及びv10000)及び例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363、v7148、及びv10553)とのインキュベーションが、未処置対照+ドキソルビシン(「モック+ドキソルビシン」)と比較して、心筋細胞生存力に対して効果を有さなかったことを示す。図16Cにおける結果に基づき、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及び例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、同時にアントラサイクリン処置を受けている患者において心臓機能障害のリスクの上昇をもたらさないだろうと予測される(Seidman A,Hudis C,Pierri MK,et al.Cardiac dysfunction in the trastuzumab clinical trials experience.J Clin Oncol(2002)20:1215−1221)。
【0342】
図16A〜Cは、心筋細胞と抗HER2二重パラトピック抗体及びADCのインキュベーションが、単一特異性抗HER2 FSA抗体(v506)、抗HER2 FSAの組み合わせ(v506+v4184)、及びADC(v6246)と比較して、単独で、またはドキソルビシンと組み合わせてのいずれかで処置したときに、同等の効果を有したことを示す。これらの結果に基づき、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体及びADCが、抗単一特異性抗HER2 FSAであるトラスツズマブ、またはADCであるT−DM1と比較してより大きな心臓毒性作用を有することはないだろうと予測される。
【0343】
実施例15:HER2+細胞における例示的な二重パラトピック抗HER2−ADCの細胞毒性
HER2+細胞において細胞の細胞毒性を媒介する例示的な二重パラトピック抗HER2−ADC抗体(v6363、v7148及びv10553)の能力を測定した。DM1にコンジュゲートしたヒトIgG(v6249)をいくつかの場合において対照として使用した。実験は、HER2+乳房腫瘍細胞系のJIMT−1、MCF7、MDA−MB−231、HER2+卵巣腫瘍細胞系のSKOV3、及びHER2+胃細胞系のNCI−N87において実施した。HER2+細胞における例示的な二重パラトピック抗HER2−ADC抗体の細胞毒性を評価し、単一特異性抗HER2 FSA−ADC(v6246)及び抗HER2−FSA−ADC+抗HER2−FSA対照(v6246+v4184)と比較した。この方法は、以下の改変を伴って実施例7に記載のように実施した。抗HER2 ADCを、標的SKOV3及びJIMT−1(図17A及びB)細胞と24時間インキュベートし、細胞を洗浄し、培地を置き換え、細胞生存を37℃での5日間のインキュベーション後に評価した。抗HER2 ADCを、標的MCF7及びMDA−MB−231標的細胞と6時間(図17C及びD)インキュベートし、細胞を洗浄し、培地を置き換え、細胞生存を37℃での5日間のインキュベーション後に評価した。図17E〜Gでは、抗HER2 ADCを、標的SKOV3、JIMT−1、NCI−N87細胞と継続して5日間インキュベートした。細胞生存力は、AlamarBlue(商標)(図17A〜D)またはCelltiter−Glo(登録商標)(図17E〜G)のいずれかを使用して実施例7に記載のように測定した。
【0344】
結果を、図17A〜Gに示し、データを表15及び16にまとめた。
【0345】
図17Aならびに表15及び16の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363)が、JIMT−1において抗HER2−FSA−ADC(v6246)及び抗HER2−FSA−ADC+抗HER2 FSA(v6246+v4184)の組み合わせと比較してより細胞毒性であることを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、より優れたEC50を有し、それは抗HER2 FSA−ADC対照と比較しておおよそ13分の1であった。
【0346】
図17B及び表15の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363)が、SKOV3において抗HER2−FSA−ADC(v6246)及び抗HER2−FSA−ADC+抗HER2 FSA(v6246+v4184)の組み合わせと比較してより細胞毒性であることを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、より優れたEC50を有し、それは抗HER2 FSA−ADC対照と比較しておおよそ5分の1であった。
【0347】
図17C及び表15の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363)が、MCF7において抗HER2−FSA−ADC(v6246)及び抗HER2−FSA−ADC+抗HER2 FSA(v6246+v4184)の組み合わせと比較してより細胞毒性であることを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、より優れたEC50を有し、それは抗HER2 FSA−ADC対照と比較しておおよそ2分の1であった。
【0348】
図17D及び表15の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363)が、MDA−MB−231において抗HER2−FSA−ADC(v6246)及び抗HER2−FSA−ADC+抗HER2 FSA(v6246+v4184)の組み合わせと比較してより細胞毒性であることを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、より優れたEC50を有し、それは抗HER2 FSA−ADC対照と比較しておおよそ2分の1であった。
(表15)
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【0349】
図17E及び表16の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363、v7148及びv10553)が、SKOV3卵巣腫瘍細胞において抗HER2−FSA−ADC(v6246)と比較してより細胞毒性であることを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、より優れたEC50値を有し、それは抗HER2 FSA−ADC対照と比較しておおよそ2〜7分の1であった。
【0350】
図17F及び表16の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363、v7148及びv10553)が、JIMT−1乳房腫瘍細胞において抗HER2−FSA−ADC(v6246)と比較してより細胞毒性であることを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、より優れたEC50値を有し、それは抗HER2 FSA−ADC対照と比較しておおよそ6〜9分の1であった。
【0351】
図17G及び表16の結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363、v7148及びv10553)が、NCI−N87胃腫瘍細胞において細胞毒性であることを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCは、抗HER2 FSA−ADC対照と比較して、おおよそ同等のEC50値を有した(had has)。
(表16)
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これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363、v7148及びv10553)が、HER2 3+、2+、及び1+乳房腫瘍細胞において抗HER−FSA−ADC対照と比較してより細胞毒性であることを示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック−ADC(v6363、v7148及びv10553)がHER2 2/3+胃腫瘍細胞において細胞毒性であることも示す。これらの結果は、実施例9において提示した内部移行結果と一致する。
【0352】
実施例16:ヒト卵巣癌細胞異種移植モデルにおける二重パラトピック抗HER2抗体の効果
樹立したヒト卵巣癌細胞由来の異種移植モデルSKOV3を使用して、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の抗腫瘍有効性を評価した。
【0353】
雌無胸腺ヌードマウスに、1mm腫瘍断片の皮下挿入を介して、腫瘍を接種した。腫瘍を、それらが220mmの平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を3つの処置群:IgG対照、抗HER2 FSA(v506)、及び二重パラトピック抗HER2抗体(v5019)へと無作為化した。
【0354】
15匹の動物を各群に含んだ。各群での投薬は以下の通りである。
【0355】
A)IgG対照を、試験1日目に30mg/kgの初回用量で、次いで試験39日目まで週2回の20mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0356】
B)抗HER2 FSA(v506)を、試験1日目に15mg/kgの初回用量で、次いで試験18日目まで週2回の10mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。22日目から39日目までは、5mg/kgの抗HER2 FSAを週2回静脈内投薬した。抗HER2 FSA(v4184)を、同時に5mg/kgで週2回腹腔内投薬した。
【0357】
C)二重パラトピック抗HER2抗体を、試験1日目に15mg/kgの初回用量で、次いで試験39日目まで週2回の10mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0358】
腫瘍体積を、試験期間を通して週2回測定し、応答者数及び生存中央値を22日目に評価した。結果を図18及び表17に示す。
【0359】
二重パラトピック抗HER2及び抗HER2 FSAは、IgG対照と比較してより優れた腫瘍増殖阻害を実証した。二重パラトピック抗HER2抗体は、抗HER2 FSA組み合わせと比較してより優れた腫瘍増殖阻害を誘発した(図18A)。二重パラトピック抗HER2抗体は、22日目で、抗HER2 FSA v506と比較して応答腫瘍の数における増加を伴った(それぞれ、11及び5)(表17)。例示的な二重パラトピック抗HER2抗体及び抗HER2 FSAは、IgG対照と比較してより優れた生存を実証した。二重パラトピック抗HER2抗体は、抗HER2 FSA(36日間)と比較して、より優れた生存中央値(61日間)を有した(図18B及び表17)。試験22日目に、第二の抗HER2 FSA(v4184)を抗HER2 FSA(v506)と組み合わせて加えた。2種の抗HER2 FSAの組み合わせは、抗HER2 FSA(v506)単独と比較してさらなる腫瘍増殖阻害を誘発した。
(表17)
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【0360】
実施例17:ヒト卵巣癌細胞系異種移植モデルにおける二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果
樹立したヒト卵巣癌細胞由来の異種移植モデルSKOV3を使用して、DM1にコンジュゲートした例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v6363)の抗腫瘍有効性を評価した。
【0361】
雌無胸腺ヌードマウスに、1mm腫瘍断片の皮下挿入を介して、腫瘍を接種した。腫瘍を、それらが220mmの平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を3つの処置群:IgG対照、抗HER2 FSA−ADC、及び二重パラトピック抗HER2−ADCへと無作為化した。
【0362】
15匹の動物を各群に含んだ。各群での投薬は以下の通りである。
【0363】
A)IgG対照を、試験1日目に30mg/kgの初回用量で、次いで試験39日目まで週2回の20mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0364】
B)抗HER2 FSA−ADC(v6246)を、試験1日目に10mg/kgの初回用量で、次いで試験15日目及び29日目に5mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0365】
C)二重パラトピック抗HER2抗体−ADC(v6363)を、試験1日目に10mg/kgの初回用量で、次いで15日目及び29日目に5mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0366】
腫瘍体積を、試験全体を通して測定し、応答者数及び生存中央値を22日目に評価した。結果を、図19に示す。結果の概要を、表18に示す。
【0367】
二重パラトピック抗HER2−ADC及び抗HER2 FSA−ADCは、IgG対照より良好に腫瘍増殖を阻害した(図19A及び表18)。二重パラトピック抗HER2−ADCは、抗HER2 FSA−ADCが阻害したよりも大きい程度に腫瘍増殖を阻害した。二重パラトピック抗HER2−ADC群は、抗HER2 FSA−ADCと比較して応答腫瘍の数における増加を伴った(それぞれ、11及び9)。二重パラトピック抗HER2−ADC及び抗HER2 FSA−ADC群は、IgG対照と比較してより優れた生存を実証した(図19B及び表18)。二重パラトピック抗HER2抗体群は、61日間の生存中央値を実証し、それに対し、抗HER2 FSA−ADCは、36日間の生存中央値を有した(図19B及び表18)。
(表18)
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【0368】
実施例18:ヒト初代細胞異種移植モデル(HBCx−13b)における二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果
トラスツズマブ耐性の、患者由来の、ヒト乳癌からの異種移植モデルである、HBCx−13Bを使用して、DM1にコンジュゲートした例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の抗腫瘍有効性を評価した。
【0369】
雌無胸腺ヌードマウスに、20mm腫瘍断片の皮下挿入を介して、腫瘍を接種した。腫瘍を、それらが100mmの平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を3つの処置群:抗HER2 FSA(v506)、抗HER2 FSA−ADC(v6246)、及び二重パラトピック抗HER2−ADC(v6363)へと無作為化した。7匹の動物が各群に含まれた。各群についての投薬は以下の通りである:
【0370】
A)抗HER2 FSAを、試験1日目に15mg/kgの初回用量で、次いで試験4、8、11、15、18、22、及び25日目に10mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0371】
B)抗HER2 FSA−ADCを、試験1日目に10mg/kgの初回用量で、次いで22日目に5mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0372】
C)二重パラトピック抗HER2抗体−ADCを、試験1日目に10mg/kgの初回用量で、次いで22日目に5mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0373】
腫瘍体積を、試験全体を通して測定し、平均腫瘍体積、完全奏功、及びゼロ残存疾患パラメータを50日目に評価した。結果を、図20に示す。結果の概要を、表19に示す。
【0374】
二重パラトピック抗HER2−ADC及び抗HER2 FSA−ADCは、抗HER2 FSA(v506)と比較してより大きな腫瘍増殖阻害を実証した。二重パラトピック抗HER2−ADCは、抗HER2 FSA−ADCより良好に腫瘍増殖を阻害した。二重パラトピック抗HER2−ADC群は、抗HER2 FSA−ADC群と比較して、完全奏功(ベースラインから10%超の低減)、それぞれ7及び4を示し、ゼロ残存疾患、それぞれ5及び2を示す腫瘍の数における増加を伴った。
(表19)
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【0375】
実施例19:ヒト初代細胞異種移植モデル(T226)における二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果
患者由来の、トラスツズマブ耐性の、ヒト乳癌からの異種移植モデルである、T226を使用して、例示的な二重パラトピック抗HER2−ADCの抗腫瘍有効性を評価した。
【0376】
雌無胸腺ヌードマウスに、20mm腫瘍断片の皮下挿入を介して、腫瘍を接種した。腫瘍を、それらが100mmの平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を4つの処置群:IgG対照(n=15)、抗HER2 FSA(v506;n=15)、抗HER2 FSA−ADC(v6246;n=16)、及び二重パラトピック抗HER2−ADCコンジュゲート(v6363;n=16)へと無作為化した。各群についての投薬は以下の通りである。
【0377】
A)IgG対照を、試験1日目に15mg/kgの初回用量で、次いで試験4、8、11、15、18、22、及び25日目に10mg/kgの維持用量で静脈内投薬した。
【0378】
B)抗HER2 FSAを、試験1日目に15mg/kgの初回用量で静脈内投薬し、10mg/kgの維持用量を試験4、8、11、15、18、22、及び25日目に投与した。
【0379】
C)抗HER2 FSA−ADCを、試験1日目及び15日目に5mg/kgで静脈内投薬した。
【0380】
D)二重パラトピック抗HER2−ADCコンジュゲートを、試験1日目及び15日目に5mg/kgで静脈内投薬した。
【0381】
腫瘍体積を、試験期間を通して測定し、平均腫瘍体積及び完全奏功パラメータを31日目に評価した。結果を、図21に示す。結果の概要を、表20に示す。
【0382】
二重パラトピック抗HER2−ADC及び抗HER2 FSA−ADCは、抗HER2 FSA(v506)及びIgG対照と比較してより良好な腫瘍増殖阻害を実証した。例示的な二重パラトピック抗HER2−ADCは、このモデルにおいて、抗HER2 FSA−ADCと比較して、同等の腫瘍増殖阻害及び完全なベースライン退縮を誘発した(図21及び表20)。
(表20)
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【0383】
実施例20:ヒト初代細胞異種移植モデル(HBCx−5)における二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果
患者由来の、トラスツズマブ耐性の、ヒト乳癌からの異種移植モデルである、HBCx−5(浸潤性乳管癌、ルミナルB)を使用して、例示的な二重パラトピック抗HER2−ADCの抗腫瘍有効性を評価した。
【0384】
雌無胸腺ヌードマウスに、20mm腫瘍断片の皮下挿入を介して、腫瘍を接種した。腫瘍を、それらが100mmの平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を4つの処置群:IgG対照(n=15)、抗HER2 FSA(v506;n=15)、抗HER2 FSA−ADC(v6246;n=16)、及び二重パラトピック抗HER2−ADC(v6363;n=16)へと無作為化した。各群についての投薬は以下の通りである。
【0385】
A)IgG対照を、試験1日目に15mg/kgの初回用量で静脈内投薬し、10mg/kgの維持用量を試験4、8、11、15、18、22、及び25日目に投与した。
【0386】
B)抗HER2 FSAを、試験1日目に15mg/kgの初回用量で静脈内投薬し、10mg/kgの維持用量を試験4、8、11、15、18、22、及び25日目に投与した。
【0387】
C)抗HER2 FSA−ADCを、試験1及び15、22、29、36日目に10mg/kgで静脈内投薬した。
【0388】
D)二重パラトピック抗HER2−ADCを、試験1及び15、22、29、36日目に10mg/kgで静脈内投薬した。
【0389】
腫瘍体積を、試験期間を通して測定し、平均腫瘍体積、T/C比率、応答者数、完全奏功、及びゼロ残存疾患パラメータを43日目に評価した。結果を、図22に示す。結果の概要を、表21に示す。
【0390】
二重パラトピック抗HER2−ADC及び抗HER2 FSA−ADCは、抗HER2 FSA(v506)及びIgG対照と比較してより良好な腫瘍増殖阻害を実証した。例示的な二重パラトピック抗HER2−ADCは、トラスツズマブ耐性HBCx−5ヒト乳癌異種移植モデルにおいて、抗HER2 FSA−ADCと比較して、同等の腫瘍増殖阻害を誘発し、増加した応答者の数を有した(図22及び表21)。
(表21)
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【0391】
実施例21:ヒト細胞系異種移植モデル(SKOV3)における抗HER2処置耐性腫瘍に対する二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果
実施例17に記載した、樹立したヒト卵巣癌細胞由来の異種移植モデルSKOV3を使用して、抗HER2処置耐性腫瘍における例示的な二重パラトピック抗HER2−ADCの抗腫瘍有効性を評価した。
【0392】
方法は、実施例17に記載のように行ったが、以下の改変を伴った。動物コホートに、抗HER2抗体を、試験1日目に15mg/kgで、4、8、15日目に10mg/kgで静脈内投薬した;しかしながら、この処置は、このモデルでは、15日目までに有効な応答を実証することに失敗した。そのため、この処置群を、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(v6363)を用いた処置に変換し、これを試験19及び27日目に5mg/kgで、試験34、41、及び48日目に15mg/kgで投薬した。
【0393】
腫瘍体積を、実験期間を通して週2回測定した。
【0394】
結果を、図23に示し、これは、例示的な二重パラトピック抗HER2−ADC(v6363)を用いて処置された群が、220mmの当初平均開始体積未満の平均腫瘍体積への腫瘍退縮を示したことを示す。
【0395】
実施例22:ヒト初代細胞異種移植モデル(HBCx−13b)における抗HER2処置耐性腫瘍に与える二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(ADC)の効果
トラスツズマブ耐性の、患者由来の、ヒト乳癌からの異種移植モデルである、HBCx−13Bを使用して、DM1にコンジュゲートした例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の抗腫瘍有効性を評価した。
【0396】
方法は、実施例18に記載のように行ったが、以下の改変を伴った。動物コホートに、二重特異性抗ErbBファミリーを標的とする抗体を、試験1日目に15mg/kgで、4、8、15、18、22、及び25日目に10mg/kgで静脈内投薬した;しかしながら、この処置は、有効な応答を実証することに失敗した。そのため、この処置群を、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体薬物コンジュゲート(v6363)を用いた処置に変換し、これを31、52日目に10mg/kgで、45日目に5mg/kgで投薬した。腫瘍体積を、試験期間を通して測定した。
【0397】
結果を、図24に示す。これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2−ADC(v6363)が、腫瘍の進行を防いだことを示す。最初の投薬から57日目までで、v6363処置群の腫瘍体積は2%未満増加したが、一方で同じ期間において、v506処置群は、110%超増殖した。
【0398】
実施例23:例示的な二重パラトピック抗HER2抗体のフコース含有率の分析
グリコペプチド分析を、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091、及びv10000)のN−連結グリカンのフコース含有率を定量化するために行った。
【0399】
グリコペプチド分析を、以下のように行った。抗体試料を、56℃で1時間10mM DTTで還元し、室温にて1時間55mMヨードアセトアミドでアルキル化し、一晩37℃で、50mM炭酸水素アンモニウム中トリプシンで溶液中にて消化した。トリプシン消化物を、QTof−UltimaでナノLC−MS/MSにより分析した。NCBIデータベースをMascotで検索して、タンパク質配列を同定した。MaxEnt3(MassLynx)を使用して、グリコペプチドイオンをデコンボリューションし、異なる糖型を定量化した。
【0400】
グリコペプチド分析結果の概要を、表22に示す。例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091、及びv10000)のN−連結グリカンは、おおよそ90%フコシル化されている(フコースを伴わないN−連結グリカンは10%)。単一特異性抗HER2 FSA(v506)のN−連結グリカンは、おおよそ96%フコシル化されており(フコースを伴わないN−連結グリカンは4%)、Herceptin(登録商標)は、約87%フコシル化されている(フコースを伴わないN−連結グリカンは4%)。
(表22)Fc N−連結グリコペプチド分析
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【0401】
これらの結果は、CHO細胞において一過性に発現させた二重パラトピック抗HER2抗体(ヘテロ二量体Fcを伴う)が、市販のHerceptin(登録商標)と比較して、N−グリカンにておおよそ3%高いフコース含有率を有することを示す。CHO細胞において一過性に発現させたホモ二量体抗HER2 FSA(v506)は、おおよそ96%の最も高いフコース含有率を有する。
【0402】
実施例24:例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の熱安定性
例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091及びv10000)及びADC(v6363、v7148及びv10533)の熱安定性を、下記のようにDSCにより測定した。
【0403】
DSCを、PBS中で約0.3mg/mlに調節した精製タンパク質試料(抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2二重パラトピック−ADC)を使用して、MicroCal(商標)VP−キャピラリーDSC(GE Healthcare)にて行った。試料を60℃/時の速度で20℃から100℃まで走査し、低フィードバック、8秒フィルター、5分間のpreTstat、及び70psiの窒素圧を用いた。結果得られたサーモグラムを、Origin 7ソフトウェアを使用して分析した。
【0404】
例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v5019、v7091、及びv10000)の熱安定性結果を図25A〜Cに示す。図25Aは、v5019でのサーモグラムを示し;5019のそれぞれのFc及び鎖A Fabは、75℃のTを有し、鎖B scFvは、69℃のTを有する。図25Bは、v10000でのサーモグラムを示し;Fc CH3ドメインは、82℃のTを有し、Fab鎖Aは、76.5℃のTを有し、鎖B scFvは、69.5℃のTを有する。図25Cは、v7091でのサーモグラムを示し;Fc CH3ドメインは、82℃のTを有し、Fab鎖Aは、76.7℃のTを有し、鎖B scFvは、69.5℃のTを有する。
【0405】
例示的な二重パラトピック抗HER2 ADC(v6363、v7148、及びv10533)の熱安定性結果を図26A〜Cに示す。図26Aは、v6363でのサーモグラムを示し;Fcは、75℃のTを有し、鎖A Fab及びFc CH3ドメインは、75℃のTを有する。6363の鎖B scFvは、69℃のTを有する。図26Bは、v10553でのサーモグラムを示し;Fc CH3ドメインは、83℃のTを有し、鎖A Fabは、75.7℃のTを有し、鎖B scFvは、66.2℃のTを有する。図26Cは、v7148でのサーモグラムを示し;Fc CH3ドメインは、82.6℃のTを有し、鎖A Fabは、74.8℃のTを有し、鎖B scFvは、66.6℃のTを有する。
【0406】
例示的な二重パラトピック抗体及びADCは、野生型IgGに匹敵する熱安定性を有する。
【0407】
実施例25:様々なレベルのHER2を発現する乳房腫瘍細胞のADCCを引き出す例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力
HER2陽性3+、2+、及び0/1+HER2発現(トリプルネガティブ)乳癌細胞系の用量依存性ADCCを引き出す例示的な二重パラトピック抗体(v5019)の能力を調査した。ADCC実験を、NKエフェクター細胞対標的細胞比を5:1で一定のままにすること以外は、実施例11に記載するように行った。
【0408】
ADCC結果を、図27及び表23に示す。図27A〜Cにおける結果は、例示的な二重パラトピック抗体(v5019)が、Herceptin(登録商標)と比較しておおよそ1.2〜1.3倍大きい、HER2陽性3+、2+、及び0/1+HER2発現乳癌細胞の最大細胞溶解を引き出すことを示す。結果は、v5019(90%のN−グリカンがフコースを有する)が、Herceptin(登録商標)(86%のN−グリカンがフコースを有する;実施例23)と比較して、N−グリカンにおいておおよそ4%高いフコース含有率を有する(NK細胞上のCD16への結合親和性が低くなる)にもかかわらず、より有効にHER2陽性3+、2+、及び0/1+HER2発現乳癌のADCCを媒介することも示す。v5019により引き出される、より高い標的細胞殺傷は、実施例6に記載するような腫瘍細胞装飾の増加に起因すると推定される。
(表23)HER2 3+、2+及び0/1+HER2発現乳癌細胞のADCC
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【0409】
図27DにおけるADCC結果は、例示的な二重パラトピック抗体(v7091及びv10000)が、基底HER2発現WI−38細胞系において、Herceptin(登録商標)と比較して同様の最大細胞溶解を引き出すことを示す。ADCC結果は、HER2受容体レベルが10,000のHER2/細胞よりも大きいときに、結合及びADCCの増加に関して閾値が生じることを示した細胞結合データ(実施例6)を支持する。このデータに基づいて、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体では、HER2 3+、2+及び1+腫瘍細胞の細胞表面結合及びADCCが増加するだろうが、おおよそ10,000受容体またはそれ以下の基底レベルのHER2受容体を発現する非腫瘍細胞の細胞表面結合及びADCCは増加しないだろうと予期されるだろう。
【0410】
実施例26:ADCCに与える抗体アフコシル化の効果
HER2陽性2/3+、2+及び0/1+HER2発現(トリプルネガティブ)乳癌細胞系の用量依存性ADCCを引き出すアフコシル化された例示的な二重パラトピック抗体(アフコシル化v5019、アフコシル化10000)の能力を検査した。ADCC実験は、5:1の一定のNKエフェクター細胞またはPBMCエフェクター対標的(E:T)細胞比率を使用したことを除いて、実施例11に記載のように、SKOV3細胞、MDA−MB−231細胞及びZR75−1細胞において行った。アフコシル化された例示的な二重パラトピック抗体を、von Horsten et al.2010 Glycobiology 20:1607−1618に記載のように一過的に発現されたRMD酵素を使用して、実施例1に記載のようにCHO細胞において一過的に産生した。アフコシル化v5019及びアフコシル化10000のフコース含有率は、実施例23に記載のように測定し、2%未満と少なくフコシル化されていると決定された(データは示さず)。NKエフェクター細胞を使用したデータを図28A〜Bに示し、PBMCを使用したデータを図28Cに示す。
【0411】
図28A図28B及び表24は、アフコシル化されたv5019(アフコシル化v5019)がHER 2/3+及び0/1+HER2発現乳癌細胞のADCCを、Herceptin(登録商標)よりもおおよそ1.5〜1.7倍高い最大細胞溶解を伴って引き出すことを示す。
(表24)HER2 2/3+及び基底HER2発現(トリプルネガティブ)乳癌細胞のADCC
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【0412】
図28C及び表25における結果は、v10000がHER2 2+ZR−75−1乳癌細胞のADCCを、Herceptin(登録商標)よりもおおよそ1.3倍大きい最高細胞溶解を伴って引き出し、アフコシル化v10000がHerceptin(登録商標)よりもおおよそ1.5倍大きい最高細胞溶解を引き出すことを示す。
(表25)HER2 2/3+乳癌細胞のADCC
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【0413】
ADCC結果は、例示的なアフコシル化二重パラトピック抗体(アフコシル化v5019、アフコシル化v10000)が、Herceptin(登録商標)をベンチマークとして使用したときに、フコシル化抗体(v5019 実施例25、v10000)と比較して、およそ15〜25%大きい最大細胞溶解を引き出すことを示す。これらの結果は、Fc N−グリカンのフコース含有率を減少させることが、ADCCによる最高細胞溶解の増加をもたらすことを示す。
【0414】
実施例27:外因性増殖刺激リガンド(EGF及びHRG)の存在下でHER2 3+乳癌細胞の増殖を阻害する例示的な二重パラトピック抗HER2抗体の能力
外因性増殖刺激リガンド(EGF及びHRG)の存在下でHER2 3+乳癌細胞の増殖を阻害する5019の能力を検査した。
【0415】
被験抗体及び外因性リガンド(10ng/mL HRGまたは50ng/mL EGF)を、三重で標的BT−474 HER2 3+細胞に加え、5日間37℃でインキュベートした。細胞生存力を、AlamarBlue(商標)(37℃で2時間)使用して測定し、吸光度を530/580nmで読み取った。データを未処置対照に対して正規化し、分析を、GraphPad Prismを使用して行った。
【0416】
結果を、図29及び表26に示す。結果は、例示的な二重パラトピック抗体v5019が、増殖刺激リガンドの不在下(70%阻害)、ならびにEGF(40%阻害)またはHRG(約10%阻害)の存在下で、HER2 3+乳癌細胞の増殖を阻害することを示す。抗HER2単一特異性FSA(v506)は、他のerbB受容体EGFR及びHER3を介するEGFまたはHRG誘発性腫瘍細胞増殖を遮断しない。v5019は、HER2及びリガンド依存性二量体化ならびに他のコンパニオンerbB受容体を介する増殖の阻害においてv506より優れている。
(表26)HER2 3+癌細胞の増殖阻害
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【0417】
これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗体が、HER2+細胞のリガンド依存性増殖を減少させることができることを示し、これはおそらく抗ECD2鎖A Fabアームの結合及びリガンド刺激性受容体ホモ及びヘテロ二量体化、ならびにerbBシグナル伝達の続く遮断のためである。
【0418】
実施例28:浸潤性乳管癌のトラスツズマブ耐性及び化学療法耐性HER2 3+患者由来(PDX)の転移性乳癌異種移植モデルにおける二重パラトピック抗HER2抗体の効果
HER2 3+(ER−PR陰性)患者由来の、ヒト浸潤性乳管癌からの異種移植モデルである、HBCx−13Bを使用して、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体である、v7187の抗腫瘍有効性を評価した。v7187は、v5019をアフコシル化したものである。このモデルは、単剤トラスツズマブ、トラスツズマブ及びペルツズマブの組み合わせ(実施例31を参照)、カペシタビン、ドセタキセル、及びアドリアマイシン/シクロホスファミドに対して耐性である。
【0419】
雌無胸腺ヌードマウスに、20mm腫瘍断片を皮下接種した。次いで、腫瘍を140mm3の平均体積に達するまでモニターした。次いで、動物を2つの処置群:ビヒクル対照及びv7187へと無作為化し、各群は8匹の動物を有した。静脈内投薬は以下の通りとした。ビヒクル対照を、5ml/kgの製剤緩衝液と週2回試験43日目まで静脈内投薬した。v7187を、10mg/kgで週2回試験43日目まで静脈内投薬した。腫瘍体積は、試験全体を通して測定し、他のパラメータは43日目に表27に示すように評価した。
【0420】
結果を、図30及び表27に示す。結果は、ビヒクル対照を用いて処置した腫瘍が、進行の継続を示し、試験43日目までに1600mmを超えたことを示す。v7187を用いて処置したマウスは、有意に大きな腫瘍増殖阻害(T/C−0.44)を示し、43日目に740mmの平均腫瘍体積を有した。v7187は、5/8の腫瘍において応答を誘発し、試験43日目にゼロ残存疾患で完全退縮を示す腫瘍が1つあった。v7187を用いて処置した動物は、より優れた奏効率を有し、ビヒクル対照を用いて処置したマウスの0/8と比較して、5/8腫瘍が治療に応答した。加えて、v7187を用いた処置は、ビヒクル対照と比較して腫瘍進行を有意に遅らせ、それぞれ倍加時間は19及び11日であった。
(表27)
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【0421】
これらのデータは、例示的な抗HER2二重パラトピック(v7187)が、トラスツズマブ+ペルツズマブ耐性HER2 3+転移性乳癌腫瘍異種移植モデルにおいて有効であることを示す。V7187処置は、高い奏効率を有し、標準治療に対して耐性であるHER2 3+乳癌の腫瘍進行を有意に減速させることができる。
【0422】
実施例29:HER2+腫瘍細胞系に結合する二重パラトピック抗HER2 ADCの評価
HER2陽性3+、2+、乳房及び卵巣腫瘍細胞系に結合し、それらを飽和させる例示的な二重パラトピック抗HER2 ADCの能力を、実施例6に記載のようにFACSにより分析した。
【0423】
データを図31に示す。図31Aは、v6363が、飽和濃度で、T−DM1(v6246)よりもおおよそ2.0倍大きなBmax(MFI)で、SKOV3腫瘍細胞系に結合することを示す。図31Bは、v6363が、飽和濃度で、T−DM1(v6246)よりもおおよそ1.6倍大きなBmax(MFI)で、JIMT−1腫瘍細胞系に結合することを示す。これらのデータは、v6363(ADC)が、コンジュゲートされていない親のv5019抗体(実施例6)と比較して、増加した細胞表面結合の同様の腫瘍細胞結合特性を有することを示す。SMCC−DM1とv5019のコンジュゲーション(v6363)は、抗体の抗原結合性特性を変えるものではない。
【0424】
FACS結合アッセイを繰り返して、例示的な二重パラトピック抗体(v5019、v7091及びv10000)及びADC(v6363、v7148及びv10553)の直接比較を含んだ。データを、図31C及び図31Dに示す。例示的な二重パラトピック抗HER2 ADC(v6363、v7148及びv10553)は、未標識二重パラトピック抗体(v5019、v7091及びv10000)と比較して同等の細胞表面飽和(Bmax)を有した。
【0425】
これらのデータは、例示的な二重パラトピック抗体(v5019、v7091及びv10000)とSMCC−DM1のコンジュゲーションが、結合特性を変えないことを示す。例示的な抗HER2二重パラトピック抗HER2 ADC(v6363、v7148及びv10553)は、単一特異性抗HER2 ADC(v6246、T−DM1)と比較しておおよそ1.5倍(またはより大きい)増加した細胞表面結合を有する。
【0426】
実施例30:HER2 3+(ER−PR陰性)患者由来の異種移植モデルにおける例示的な抗HER2二重パラトピック−ADCの用量依存性腫瘍増殖阻害
HER2 3+(ER−PR陰性)患者由来の、ヒト浸潤性乳管癌からの異種移植モデルである、HBCx−13Bを使用して、例示的な二重パラトピック抗HER2 ADCである、v6363の抗腫瘍有効性を評価した。このモデルは、単剤トラスツズマブ、トラスツズマブ及びペルツズマブの組み合わせ(実施例31を参照)、カペシタビン、ドセタキセル、及びアドリアマイシン/シクロホスファミドに対して耐性である。
【0427】
雌無胸腺ヌードマウスに、20mm腫瘍断片の皮下挿入を介して、腫瘍を接種した。腫瘍を、それらが160mmの平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を5つの処置群:非特異的ヒトIgG対照、及び4つの漸増用量のv6363へと無作為化した。8〜10匹の動物を各群に含んだ。各群についての投薬は以下の通りである。IgG対照を、10mg/kgで週2回試験29日目まで静脈内投薬した。v6363を、0.3、1、3、または10mg/kgで試験1、15、及び29日目に静脈内投薬した。腫瘍体積は、試験全体を通して測定し、パラメータを表29に示すように評価した。
【0428】
結果を、図32及び表28に示す。これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピックADC(v6363)が、トラスツズマブ耐性HBCx−13b PDXモデルにおいて用量依存性腫瘍増殖阻害を媒介したことを示す(図32A)。加えて、v6363は、用量依存的様式で全生存期間を改善し、3mg/kg及び10mg/kg用量では63日間を超える生存時間中央値を伴い、それに比べてIgG対照では43日間であった(図32B及び表28)。3mg/kg用量は、対照(0/8)と比較して増加した奏効率(5/10)を伴った。10mg/kg用量のv6363を用いて処置されたすべてのマウスは、治療に応答した(9/9)のみでなく、腫瘍進行の防止も示した。さらには、腫瘍の大半が客観的な部分奏功(7/9)を有し、試験の終了時には、多くがゼロ残存疾患を有した(6/9)。v6363は、すべての用量に十分に忍容性を示し、有害事象は観察されず、体重減少も観察されなかった。
(表28)
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【0429】
これらのデータは、例示的な抗HER2二重パラトピックADC(v6363)が、トラスツズマブ+ペルツズマブ耐性HER2 3+転移性乳癌腫瘍異種移植モデルにおいて有効であることを示す。v6363処置は、標準治療に対して耐性であるHER2 3+乳癌において、高い奏効率を伴い、腫瘍進行を有意に減速させ、生存期間を延長させる。
【0430】
実施例31:トラスツズマブ耐性PDX HBCx−13bにおける標準治療の組み合わせと比較した二重パラトピック抗HER2−ADC
HER2 3+、ER−PR陰性トラスツズマブ耐性の、患者由来の、乳癌異種移植モデル(HBCx−13b)におけるv6363の有効性を評価し、Herceptin(商標)+Perjeta(商標);及びHerceptin(商標)+ドセタキセルの組み合わせと比較した。
【0431】
雌無胸腺ヌードマウスに、20mm3腫瘍断片の皮下挿入を介して、腫瘍を接種した。腫瘍を、それらが100mm3の平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を4つの処置群(8〜10動物/群):非特異的ヒトIgG対照、Herceptin(商標)+ドセタキセル、Herceptin(商標)+Perjeta(商標)、及びv6363へと無作為化した。各群についての投薬は以下の通りである。IgG対照を、10mg/kgで週2回試験29日目まで静脈内投薬した。Herceptin(商標)+ドセタキセル併用では、Herceptin(商標)を、10mg/kgで週2回試験29日目まで静脈内投薬し、ドセタキセルを、20mg/kgで試験1及び22日目に腹腔内投薬した。Herceptin(商標)+Perjeta(商標)併用では、Herceptinを5mg/kgで週2回試験29日目まで静脈内投薬し、Perjeta(商標)を5mg/kgで週2回試験29日目まで静脈内投薬した。Herceptin(商標)及びPerjeta(商標)の投薬は同時とした。v6363を、10mg/kgで試験1、15、及び29日目に静脈内投薬した。
【0432】
結果を、図33及び表29に示す。図33Aは、経時的な腫瘍体積を示し、図33Bは、生存プロットを示す。これらの結果は、Herceptin(商標)+Perjeta(商標)の併用が、対照IgGと比較していずれの腫瘍増殖阻害も生じず、39日目に1800mmを超えたことを示す。Herceptin(商標)+ドセタキセルの併用は、腫瘍増殖を有意に減少させなかったが、生存中央値を53日間まで延長し、それに比べてIgG対照では43日間であった。v6363は、有意な腫瘍増殖阻害(T/C−0.04)を生じ、ここで、すべての腫瘍は、治療に応答し、7/10腫瘍は、完全な退縮(ゼロ残存疾患)を経験した。v6363は、両方の併用療法と比較して、生存を有意に延長した。コホート全体にわたって、体重は処置により有意に影響されなかった。
(表29)
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【0433】
これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピックADC(v6363)が、この異種移植モデルにおいて検査されたすべてのパラメータに関して、標準治療の組み合わせよりも優れていることを示す。
【0434】
実施例32:HER2+トラスツズマブ耐性乳癌細胞由来の腫瘍異種移植モデルにおける二重パラトピック抗HER2−ADCの有効性
HER2 3+トラスツズマブ耐性乳癌細胞由来の(JIMT−1、HER2 2+)異種移植モデルにおけるv6363の有効性を評価した(Tanner et al.2004.Molecular Cancer Therapeutics 3:1585−1592)。
【0435】
雌RAG2マウスに、腫瘍を皮下接種した。腫瘍を、それらが115mmの平均体積に達するまでモニターし;次いで、動物を2つの処置群:トラスツズマブ(n=10)及びv6363へと無作為化した。各群での投薬は以下の通りである。トラスツズマブを、15mg/kgで試験1日目に、10mg/kgで週2回試験26日目まで静脈内投薬した。v6363を、5mg/kgで試験1及び15日目に、10mg/kgで23及び30日目に、9mg/kgで37及び44日目に静脈内投薬した。
【0436】
結果を、図34及び表30に示す。これらの結果は、v6363が、試験36日目に、トラスツズマブと比較して腫瘍増殖を有意に阻害した(T/C−0.74)ことを示す。v6363及びトラスツズマブ処置は、体重を有意に変化させなかった。v6363血清曝露は、初回の10mg/kg用量から7日後に、17.9μg/mlであった。
(表30)
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【0437】
これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピックADC(v6363)が、トラスツズマブ耐性乳癌において有効であること、及び現行の標準治療に対して耐性である乳癌の処置において潜在的な有用性を有することを示す。
【0438】
実施例33:抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2二重パラトピック−ADCのヘテロ二量体FcへのFcγR結合
ヘテロ二量体Fcを有する抗HER2二重パラトピック抗体(v5019、v7019 v10000)及びADC(v6363、v7148及びv10553)の、ヒトFcγRへの結合を評価し、ホモ二量体Fcを有する抗HER2 FSA(v506)及びADC(v6246)と比較した。
【0439】
抗体Fc領域に対するFcγRの親和性を、ProteOn XPR36(BIO−RAD)を使用してSPRにより測定した。HER2を、標準的なアミンカップリングによってCM5チップ上に固定化した(3000RU)。抗体は、HER2表面上で抗原捕捉された。精製したFcγRを、様々な濃度(20〜30μl/分)で2分間注射し、続いて、4分間解離させた。センソグラムを、1:1のラングミュア結合モデルに全体的に当てはめた。実験は25℃で実施した。
【0440】
結果を、表31に示す。例示的なヘテロ二量体抗HER2二重パラトピック抗体及びADCは、同等の親和性でCD16aF、CD16aV158、CD32aH、CD32aR131、CD32bY163及びCD64Aに結合した。抗体とSMCC−DM1のコンジュゲーションは、FcγR結合に負の影響を及ぼさない。ヘテロ二量体抗HER2二重パラトピック抗体は、ホモ二量体抗HER2 FSA(v506)及びADC(v6246)と比較して、CD16aF、CD32aR131、CD32aHに対しておおよそ1.3〜2倍高い親和性を有する。これらの結果は、ヘテロ二量体抗HER2二重パラトピック抗体及びADCが、野生型ホモ二量体IgG1と同様か、またはそれよりも高い親和性で、免疫エフェクター細胞上のFcγRの異なる多形形態と結合することを示す。
(表31)SPRによるヒトFcγR結合
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【0441】
実施例34:トラスツズマブ感受性卵巣癌細胞由来の腫瘍異種移植モデルにおけるin vivoでの例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の有効性
実施例17に記載した、樹立したヒト卵巣癌細胞由来の異種移植モデルSKOV3を使用して、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体、v5019、v7091及びv10000の抗腫瘍有効性を評価した。
【0442】
雌無胸腺ヌードマウスに、HBSS中325,000細胞の腫瘍懸濁液を左側腹部で皮下接種した。腫瘍を、それらが190mmの平均体積に達するまでモニターし、無作為化及び交互様式で4つの処置群:非特異的ヒトIgG対照、v5019、v7091、及びv10000に登録した。各群での投薬は以下の通りとした。非特異的ヒトIgGを、10mg/kgで試験1日目に開始して、週2回試験26日目まで静脈内投薬した。V5019、v7091、及びv10000を、3mg/kgで試験1日目に開始して、週2回試験26日目まで静脈内投薬した。腫瘍体積を、試験全体を通して測定し、表32に挙げるパラメータを29日目に測定した。
【0443】
データを図35A(腫瘍増殖)、図35B(生存プロット)、及び表32に提示し、これらは、v5019、v7091、及びv10000を用いた処置が、IgG対照と比較して匹敵する腫瘍増殖阻害(T/C:0.53〜0.71)、応答腫瘍数、無増悪期間、及び生存を試験29日目でもたらしたことを示す。v5019、v7091、及びv10000の血清曝露は、試験7日目で、同様であった(31〜41μg/ml)。
(表32)
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【0444】
これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体、v5019、v7091、及びv10000)が、中程度トラスツズマブ感受性HER2過剰発現卵巣癌の処置において、潜在的な有用性を有することを示す。
【0445】
実施例35:例示的な二重パラトピック抗her2抗体は、トラスツズマブ感受性卵巣癌細胞由来の腫瘍異種移植片において、腫瘍増殖を用量依存的に阻害する
樹立したヒト卵巣癌細胞由来の異種移植モデルSKOV3は、実施例17に記載されており、これを使用して、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体である、v10000の用量依存性有効性を評価した。
【0446】
雌無胸腺ヌードマウスに、HBSS中325,000細胞の腫瘍懸濁液を左側腹部で皮下接種した。腫瘍を、それらが190mmの平均体積に達するまでモニターし、無作為化及び交互様式で6つの処置群:非特異的ヒトIgG対照及び5つの漸増用量のv10000に登録した。9〜13匹の動物を各群に含んだ。各群での投薬は以下の通りとした。IgG対照を、10mg/kgで週2回試験26日目まで静脈内投薬した。V10000を、0.1、0.3、1、3、または10mg/kgで週2回静脈内投薬した。
【0447】
データを、図36及び表33に提示し、これらは、v10000を用いた処置が、対照IgGと比較して、腫瘍増殖阻害(T/C:0.28〜0.73)を用量依存的に誘発することを示す。加えて、v10000は、試験29日目で、応答腫瘍を用量依存的に伴い(10mg/kgで7/9、及び0.1mg/kgで3/11)、無増悪期間を増加させた(10mg/kgで24日間、及び0.1mg/kgで12日間)。7日目でのv10000の血清曝露は、用量依存的であり、0.1mg/kg用量での0.46μg/mlから、10mg/kg用量での79.3μg/mlまで増加した。
(表33)
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【0448】
これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体であるv10000が、用量依存性様式で腫瘍進行を阻害することを示す。
【0449】
実施例36:HER2、ならびにEGFRおよび/またはHER3を3+、2+、または1+レベルで発現する細胞系の増殖を阻害する抗HER2二重パラトピック抗体及び抗HER2二重パラトピック−ADCの能力
以下の実験を、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体(v10000)及び対応する二重パラトピック抗HER2 ADC(v10553)の、IHCによって定義されているように、3+、2+、1+、または0+レベルでHER2、ならびにEGFRおよび/またはHER3を発現する乳房、結腸直腸、胃、肺、皮膚、卵巣、腎臓、膵臓、頭頚部、子宮、及び膀胱腫瘍細胞系の選択物の増殖を阻害する能力を測定するために行った。
【0450】
実験を以下のように実施した。各細胞系について最適な播種密度を独自に決定して、72時間のアッセイ後に、おおよそ60〜90%の集密度をもたらす播種密度を同定した。各細胞系を、最適な播種密度で、細胞系ごとに適切な増殖培地中、96ウェルプレートに播種し、24℃にて36℃及び5%COでインキュベートした。抗体を、陽性対照及びビヒクル対照のほかに、3つの濃度で(v10000は、300、30、及び0.3nMで;v10553は、300、1、0.1nMで)加えた。陽性対照である化学カクテル(chemococktail)薬物組み合わせは、5−FU(5−フルオロウラシル)、パクリタキセル、シスプラチン、エトポシド(25μM)、ビヒクル対照は、PBSからなるものとした。抗体処置物及び対照を、細胞と72時間、細胞培養インキュベーター中、36℃及び5%COでインキュベートした。プレートを1200RPMで10分間遠心し、培養培地を吸引によって完全に除去した。RPMI SFM培地(200μL)及びMTS(20μL)を各ウェルに加え、36℃及び5%COで3時間インキュベートした。光学密度を490nMで読取り、増殖阻害率(%)を、ビヒクル対照に対して決定した。
【0451】
結果を図37に示し、すべての試験結果の概要を図38に示す。図37Aは、v10000の増殖阻害結果を示す。これらの結果は、v10000が、HER2ならびに共発現EGFRおよび/またはHER3を3+、2+、1+、または0+レベルで発現する乳房、結腸直腸、胃、肺、皮膚、卵巣、腎臓、膵臓、頭頚部、子宮、及び子宮内膜腫瘍細胞系の増殖を阻害することができることを示す。300nMでのv10000及びv10553の活性を図38にまとめ、ここで、「+」は、300nMで、ビヒクル対照の5%超である細胞生存力の低下を示した細胞系を示し、「−」は、ビヒクル対照の5%以内の生存力を示す。
【0452】
図37Bは、v10553の増殖阻害結果を示す。これらの結果は、v10553が、HER2ならびに共発現EGFRおよび/またはHER3を3+、2+、1+、または0+レベルで発現する乳房、結腸直腸、胃、肺、皮膚、卵巣、腎臓、膵臓、頭頚部、子宮、及び膀胱腫瘍細胞系の増殖を阻害することができることを示す(図38も参照されたい)。図37Bにおいてプロットした結果は、300及び1nMで最小の用量依存性増殖阻害を示した細胞系によって既定されており、ここで、1nMでの増殖阻害は、5%以上である(図37B)。
【0453】
これらの結果は、例示的な二重パラトピック抗体v10000及びADCのv10553が、HER2を3+、2/3+、2+、1+、及び0/1+レベルで発現し、EGFRおよび/またはHER3を2+、1+レベルで共発現する乳房、結腸直腸、胃、肺、皮膚、卵巣、腎臓、膵臓、頭頚部、子宮、及び膀胱組織から生じる腫瘍細胞の増殖を阻害することができることを示す。
【0454】
実施例37:HER2 2+、1+、及び0/1+癌細胞のADCCを媒介する抗HER2二重パラトピック抗体の能力
以下の実験を、HER2を2+、1+および/または0/1+レベルで発現し、EGFRおよび/またはHER3を2+または1+レベルで共発現する腫瘍細胞のADCCを媒介する抗HER2二重パラトピック抗体の能力を決定するために実施した。検査した抗HER2二重パラトピック抗体は、5019、10000、及び10154(v10000をアフコシル化したもの)であり、Herceptin(商標)及びv506を対照とした。
【0455】
ADCC実験を、NK−92エフェクター細胞を用いて5:1のE/Tで実施例11及び実施例25に記載するように(図39)、及びPBMCエフェクター細胞を用いて30:1のE/Tで実施例26に記載するように行った。
【0456】
結果を、図39(NK−92エフェクター細胞)及び図40(PBMCエフェクター細胞)に示す。図39Aは、HER2 2+頭頚部腫瘍細胞系(下咽頭癌腫)であるFaDuのADCC結果を示し、ここで、抗HER2二重パラトピックは、おおよそ15%の最高細胞溶解を引き出す。図39Cは、HER2 1+BxPC3膵臓腫瘍細胞系のADCC結果を示し、図39Dは、HER2 2+MiaPaca2膵臓腫瘍細胞系の結果を示す。図39Bは、HER2 0/1+A549 NSCLC(非小細胞肺癌)腫瘍細胞系のADCC結果を示す。BxPC3、MiaPaca2、及びA549腫瘍細胞系において、v10000は、おおよそ5%の最高腫瘍細胞溶解を媒介した。
【0457】
図40は、A549、NCI−N87、及びHCT−116細胞におけるADCC結果を示し、ここで、PBMCをエフェクター細胞として使用した。図40Aは、HER2 0/1+A549 NSCLC腫瘍細胞系のADCC結果を示し、ここで、v10000は、約28%の最大細胞溶解を引き出し、これは、N−連結グリカンにおいて同等レベルのフコース含有率を有するHerceptin(商標)に匹敵した。例示的な100%アフコシル化(フコース0%)二重パラトピックv10154は、N−連結グリカンにおいておおよそ88%のフコースを有するv10000及びHerceptinと比較して、最大細胞溶解の増加(40%の最大細胞溶解)及び効力の増加を示す。
【0458】
図40Bは、HER2 3+胃腫瘍細胞系である、NCI−N87のADCC結果を示す。図40Bは、例示的な二重パラトピックv5019(おおよそ88%フコシル化)がおおよそ23%の最高細胞溶解を媒介し、トラスツズマブv506(おおよそ98%フコシル化)と比較して低いEC50を有することを示す。
【0459】
図40Cは、HER2 1+HCT−116結腸直腸腫瘍細胞系のADCC結果を示す。図40Cは、例示的な二重パラトピックv5019(おおよそ88%フコシル化)がおおよそ25%の最高細胞溶解を媒介し、トラスツズマブv506(おおよそ98%フコシル化)と比較してより効力があることを示す。
【0460】
これらの結果は、例示的な抗HER2二重パラトピック抗体が、頭頚部、胃、NSCLC、及び膵臓腫瘍組織学から生じるHER2 01/+、2+、及び3+腫瘍細胞のADCCを引き出すことができることを示す。エフェクター細胞としてNK−92細胞の存在下でのADCCは、比較的高い(5%超)割合(%)の最大細胞溶解を示すためには、明らかなHER2 2+受容体レベル(すなわち、2+以上)を必要とした。しかしながら、PBMC細胞をエフェクター細胞として使用したとき、比較的高いレベルの最大細胞溶解が達成され(それぞれv10000及びv10154で、5%超及び最大28%または40%)、これらは、0/1+、1+、及び3+のHER2受容体密度レベルで5%超のADCCが見られたために、HER2受容体密度とは独立していた。
【0461】
実施例38:SPRにより測定したHER2結合親和性及び反応速度
実施例1に示すように、異なる抗原結合性部分の形式を有する抗HER2二重パラトピック抗体を構築し、表1に記載のとおりである。形式には、scFv−scFv形式(v6717)、Fab−Fab形式(v6902及びv6903)の他にも、Fab−scFv形式(v5019、v7091、及びv10000)が含まれた。以下の実験を、これらの例示的な抗HER2二重パラトピック抗体形式のHER2結合親和性及び反応速度を比較するために行った。
【0462】
マウスHER2 ECD(Sino Biological 50714−M08H)への親和性及び結合反応速度を、BiacoreからのT200 SPRシステム(GE Healthcare)を用いて単一サイクル反応速度によって測定した。抗ヒトFcの2000〜4000RUを、標準的なアミンカップリングを使用してCM5チップ上に固定化した。5019は、50RUで抗ヒトFc表面上に捕捉された。組換えHER2 ECD(1.8〜120nM)を50μl/分で3分間注射し、最終の注入後に、30分の解離を続けた。HER2希釈液を二重で分析した。センサーグラムを、1:1のラングミュア結合モデルに全体的にあてはめた。すべての実験を室温の25℃で実施した。
【0463】
表34の結果は、Fab−scFv二重パラトピック抗体(v5019及びv7091)、Fab−Fab変異体(v6902及びv6903)、及びscFv−scFv変異体(v6717)が同等の結合親和性(1〜4nM)を有することを示す。Fab−scFv変異体v10000は、約0.6nMの比較的高い結合親和性(低いKD)を有した。単一特異性抗HER2 ECD4抗体(v506)及び抗HER2 ECD2抗体(v4184)は、対照としてアッセイに含まれた。これらの結果は、v6717、v6902、v6903、v5019、および/またはv7091を含む分子形式が、同等の結合親和性を有することを示し、ゆえに、これらの抗体間での機能の差違は、形式の差異から生じると考えられ得る。
(表34)
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【0464】
実施例39:HER2+腫瘍細胞への結合に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果
以下の実験を、異なる分子形式(例えば、v6717、scFv−scFv IgG1;v6903及びv6902 Fab−Fab IgG1;v5019、v7091及びv10000 Fab−scFv IgG1)を有する例示的な抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体の全細胞結合特性(Bmax及び見かけのK)を比較するために行った。
【0465】
実験を、実施例6に記載するように実施した。結果を、図41及び表35〜38に示す。図41A及び表35は、BT474 HER2 3+乳房腫瘍細胞系への例示的な二重パラトピック抗体のFACS結合結果を示す。結果は、すべての抗HER2抗体が、単一特異性二価抗HER2抗体v506と比較したときに、より高いBmax(1.5〜1.7倍高い)を有することを示す。v506と比較して、Fab−scFv(v5019、v7091、及びv10000)及びFab−Fab(v6903)形式は、おおよそ1.7倍増加したBmaxを有し、scFv−scFv形式(v6717)は、1.5倍増加したBmaxを有した。FSAであるv506及びv4184の等モルの組み合わせは、Bmaxにおいて1.7倍の増加をもたらした。例示的な抗HER2二重パラトピック抗体の見かけのKは、単一特異性v506と比較しておおよそ2〜3倍高かった。
(表35)FACS結合BT−474
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【0466】
図41B及び表36は、JIMT−1 HER2 2+乳房腫瘍細胞系へのFACS結合結果を示す。結果は、すべての抗HER2抗体が、単一特異性二価抗HER2抗体v506と比較したときに、より高いBmax(1.5〜1.8倍高い)を有することを示す。v506と比較して、Fab−scFv(v7091及びv10000)及びFab−Fab(v6903)形式は、おおよそ1.7倍増加したBmaxを有し、scFv−scFv形式(v6717)は、1.5倍増加したBmaxを有し、Fab−scFv(v5019)及びFSA組み合わせ(v506+v4184)は、1.8倍増加したBmaxを有した。例示的な抗HER2二重パラトピックFab−scFv抗体の見かけのKは、単一特異性v506と比較しておおよそ2〜4倍高く;一方で、Fab−Fab(v6903)及びscFv−scFv(v6717)のKは、v506と比較しておおよそ8倍高かった。
(表36)FACS結合JIMT−1
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【0467】
図41C及び表37は、HER2 1+MCF7乳房腫瘍細胞系への例示的な二重パラトピック抗体のFACS結合結果を示す。結果は、抗HER2抗体v10000及びFSA組み合わせ(v506+v4184)が、単一特異性二価抗HER2抗体v506と比較して1.6倍高いBmaxを有することを示す。v506と比較して、Fab−scFv(v5019、v7091)は、おおよそ1.4倍;scFv−scFv形式(v6717)は、1.3倍、そしてFab−Fab形式(v6903)は、1.2倍増加したBmaxを有した。例示的な抗HER2二重パラトピックFab−scFv、Fab−Fab(v6903)及びFSA組み合わせ(v506+v4184)の見かけのKは、v506と比較しておおよそ2〜3分の1であったが;一方で、scFv−scFv(v6717)のKは、v506と比較しておおよそ3倍高かった。
(表37)FACS結合MCF7
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【0468】
図41D及び表38は、HER2 0/1+MDA−MD−231乳房腫瘍細胞系への例示的な二重パラトピック抗体のFACS結合結果を示す。結果は、例示的な二重パラトピック抗HER2抗体が、単一特異性二価抗HER2抗体v506と比較しておおよそ1.3〜1.4倍増加したBmaxを有したことを示す。FSA組み合わせ(v506+v4184)は、1.7倍増加したBmaxを有した。例示的な抗HER2二重パラトピックFab−scFv抗体(v5019、v7091、v10000)及びFSA組み合わせ(v506+v4184)の見かけのKは、v506と比較してほぼ同等のKDを有し;一方で、Fab−Fab(v6903)及びscFv−scFv(v6717)は、v506と比較してそれぞれおおよそ4及び16倍高いKであった。
(表38)FACS結合MDA−MB−231
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【0469】
腫瘍細胞結合結果は、異なる分子形式を有する抗HER2二重パラトピック抗体が、HER2 3+、2+、1+、及び0/1+腫瘍細胞に対して、二価単一特異性抗HER2抗体と比較して増加したBmaxを有することを示す。異なる抗HER2二重パラトピック抗体のうち、scFv−scFv形式が、v506と比較して、HER2 3+、2+、1+、及び0/1+腫瘍細胞に対して有するBmaxの増加が最も低かった。これらの結果は、scFv−scFv及びFab−Fab形式が、単一特異性v506(3〜16倍の増加)及び二重パラトピックFab−scFv形式(おおよそ2倍以上)と比較して、HER2 3+、2+、1+、及び0/1+腫瘍細胞に対して有するKの増加が最大であったことを示す。Kの増加は、積極的な結合の減少の指標であり、異なる二重パラトピック形式が、細胞表面上のHER2への結合について固有の機構を有することを示す。
【0470】
実施例40:HER2+細胞における内部移行に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果
以下の実験を、異なる分子形式(例えば、v6717、scFv−scFv IgG1;v6903及びv6902 Fab−Fab IgG1;v5019、v7091及びv10000 Fab−scFv IgG1)を有する例示的な抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体の、様々なレベルでHER2を発現するHER2+細胞に内部移行する能力を比較するために実施した。
【0471】
実験を実施例9において詳述したように実施した。結果を図42及び表39〜41に示す。図42A及び表39は、HER2 3+BT−474における内部移行結果を示す。これらの結果は、Fab−scFv形式(v10000)及びFSA組み合わせ(v506+v4184)が、単一特異性抗HER2 v506と比較して、2.2倍多い量の細胞内抗体を有することを示す。v506と比較して、scFv−scFv形式(v6717)は、1.9倍多い;Fab−scFv形式(v5019及びv7091)は、1.5〜1.7倍多い;及びFab−Fab形式(v6902及びv6903)は、1.2〜1.3倍多い量の細胞内抗体蓄積を有した。
(表39)内部移行BT−474
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【0472】
図42B及び表40は、HER2 2+JIMT−1における内部移行結果を示す。これらの結果は、Fab−scFv形式(v10000)及びFSA組み合わせ(v506+v4184)が、単一特異性抗HER2 v506と比較して、それぞれ1.8倍及び1.9倍多い量の細胞内抗体を有することを示す。v506と比較して、scFv−scFv(v6717)及びFab−scFv形式(v5019)は、1.4倍多い量;Fab−scFv(v7091)及びFab−Fab形式(v6902及びv6903)は、1.2倍多い量の細胞内抗体蓄積を有する。
(表40)内部移行JIMT−1
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【0473】
図42C及び表41は、HER2 1+MCF7における内部移行結果を示す。これらの結果は、scFv−scFv形式及びFab−scFv形式が、単一特異性抗HER2 v506と比較して、3.0及び2.8倍多い量の細胞内抗体を有することを示す。v506と比較して、Fab−scFv形式(v10000)及びFSA組み合わせ(v506+v4184)は、おおよそ2.0倍;Fab−scFv(v7091)及びFab−Fab(v6903)形式は、1.8倍多い量の細胞内抗体蓄積を有する。
(表41)内部移行MCF7
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【0474】
これらの結果、異なる分子形式を有する抗HER2二重パラトピック抗体が、固有の程度の内部移行をHER2 3+、2+及び1+腫瘍細胞において有することを示し、これは、抗原結合性ドメインの構造及び形式に関して変動する。一般に、v506及びv4184の単一特異性FSA組み合わせ、Fab−scFv(v10000、v7091及びv5019)ならびにscFv−scFv(v6717)二重パラトピック形式は、HER2 3+、2+及び1+腫瘍細胞において比較的高い内部移行値を有した。それに対して、Fab−Fab二重パラトピック形式(v6902及びv6903)は、HER2 3+、2+、及び1+腫瘍細胞において、最も低い内部移行値を有した。これらのデータは、抗原結合性ドメインの分子形式及び幾何学的スペーシングが、二重パラトピック抗体の、HER2受容体を架橋し、引き続いて、HER2+腫瘍細胞に内部移行する能力に影響を与えることを示す。2つの抗原結合性ドメインの間の距離が最大であるFab−Fab二重パラトピック形式は、最も低い程度の内部移行をもたらしたが、抗原結合性ドメインの間の距離がより短いFab−scFv及びscFv−scFv形式は、HER2+細胞においてより大きい内部移行を有した。これは、Jost et al 2013,Structure 21,1979−1991)に記載されたとおりの効力及び比較的短いリンカー長さの相関と一致する。
【0475】
実施例41:HER2+細胞におけるADCCに与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果
以下の実験を、異なる分子形式(例えば、v6717、scFv−scFv IgG1;v6903及びv6902 Fab−Fab IgG1;v5019、v7091及びv10000 Fab−scFv IgG1)を有する例示的な抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体の、HER2を様々なレベルで発現するHER2+細胞においてADCCを媒介する能力を比較するために実施した。
【0476】
ADCCアッセイを行う前に、グリコペプチド分析を抗体試料で行って、N−連結グリコペプチドにおけるフコース含有率を定量化した。実施例23に記載のように方法を行った。結果を表42に示す;データは、例示的な二重パラトピック変異体v5019、v6717、v6903が、N−連結グリカンにおいて同等のフコース含有率(91〜93%)を有することを示す。N−グリカンにおいて同等レベルのフコースを有する抗体試料をADCCアッセイのために選択して、ADCCアッセイ結果を解釈する際にフコース含有率に対して正規化した。
(表42)LC−MSトリプシンペプチド分析
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【0477】
ADCC実験を、NK−92エフェクター細胞を用いて5:1のE/Tで実施例11に記載のように実施した。ADCC結果を、図43及び表43〜45に示す。図43A及び表43は、HER2 2+JIMT−1乳房腫瘍細胞におけるADCC結果を示す。これらのデータは、v5019、v6717、及びv6903が同様のレベルの最大細胞溶解を引き出すこと、及びHER2 2+腫瘍細胞が標的であるとき、scFv−scFv形式(v6717)が、v5019及びv6903と比較して効力が低いことを示す。
(表43)JIMT−1ADCC
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【0478】
図43B及び表44は、HER2 1+MCF7乳房腫瘍細胞におけるADCC結果を示す。これらのデータは、v5019及びv6717が、v6903(24%)と比較してやや高い最大細胞溶解(27〜30%)を有することを示す。これらのデータはまた、v6717が最も効力が低く、低いEC50値を有するv6903及びv5019が続くことを示す。
(表44)MCF7 ADCC
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【0479】
図43C及び表45は、HER2 0/1+MDA−MB−231乳房腫瘍細胞におけるADCC結果を示す。これらのデータは、v5019がv6903(62%)及びv6717(63%)と比較してやや高い最大細胞溶解(77%)を示すことを示す。これらのデータはまた、v6717が最も効力が低く、低いEC50値を有するv6903及びv5019が続くことを示す。
(表45)MDA−MB−231 ADCC
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【0480】
これらのデータは、例示的な抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体が、HER2 2+及び1+腫瘍細胞において、ADCCによる同様のレベルの最大細胞溶解を引き出すことを示す。最大細胞溶解における類似性にもかかわらず、これらのデータは、異なる分子形式が固有のADCC効力を有することも示す。scFv−scFvは、HER2 2+及びHER2 1+において効力が最も低かった(最大のEC50値)。これらの3つの形式間での効力の差が、HER2 1+細胞を標的とするADCCデータにおいて見られ、ここでEC50値は、v6717>v6903>v5019であった。これらのデータは、実施例40(FACS結合)において提示された観察と一致し、ここでKの増加(親和性の低下)が、Fab−Fab及びscFv−scFv形式で見られた。
【0481】
実施例42:HER2+腫瘍細胞の増殖に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果
以下の実験を、基礎増殖またはリガンド刺激されたかのいずれかの、HER2 3+、2+、及び1+腫瘍細胞の増殖に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の効果を比較するために行った。基礎増殖は、実施例15に記載したように測定し、リガンド刺激増殖は、実施例27に記載したように測定した。両方の種類の実験において、増殖を、対照処置に対する生存率(%)として測定した。
【0482】
図44及び表46は、外因性増殖刺激リガンド(EGF及びHRG)の存在下でHER2 3+乳癌細胞(BT−474)の増殖に与える例示的な抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体の効果を示す。EGFまたはHRGの不在下で、抗HER2二重パラトピック抗体は、BT−474細胞の増殖を阻害することができ、ここで各処置群の生存率(%)を以下のように順位付けした:v6903<v506+v4184<506<v7091<v5019<v10000<v6717。HRGの存在下では、モック対照に対する増殖阻害は、v506+v4184のFSA組み合わせでのみ達成された。EGFの存在下では、モック対照に対する増殖阻害が達成され、各処置群の生存率(%)を以下のように順位付けした:v6903<v506+v4184<7091<v10000<5019。
(表46)
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【0483】
図45は、SKBr3 HER2 3+細胞系の増殖阻害に与える抗HER2二重パラトピック抗体形式の用量依存性効果を示す。データは、図44に提示する結果と一致し、ここで二重パラトピック形式の効力/有効性の順位は、HER2 3+腫瘍細胞では、Fab−Fab>Fab−scFv>scFv−scFvのとおりである。
【0484】
抗HER2二重パラトピック抗体形式がHER2+細胞の生存に与える効果を図46に示し、ここで、図46Aは、300nMでのトラスツズマブ感受性SKOV3 HER2 2+/3+細胞系における結果を示し;図46Bは、300nMでのJIMT−1 HER2 2+(トラスツズマブ耐性)細胞における結果を示し、図46Cは、300nMでのMCF7 HER2 1+細胞系における結果を示す。SKOV3細胞系では、増殖阻害の程度において二重パラトピック形式間でほとんど差異は観察されず、JIMT−1及びMCF7細胞においていずれの被験抗体によっても、増殖阻害は観察されなかった。
【0485】
図44及び図45におけるデータは、Fab−scFv及びFab−Fab形式を有する抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体(v5019、v7091、v10000、v6903)が、EGFまたはHRGの不在下、及び存在下で、HER2 3+腫瘍細胞を増殖阻害することができることを示す。HER2 3+細胞系BT−474及びSKBR3では、モック対照に対する増殖阻害を、以下のとおりに順位付けした、v506+v4184>v6903>v7091>v10000>v5019>v506>v6717。抗原結合性ドメイン間の距離(Fab−Fab>Fab−scFv>scFv−scFv)は、HER2 3+腫瘍細胞における増殖阻害の順位序列と相関する。トラスツズマブ感受性腫瘍細胞であるBT−474及びSKBr3におけるデータに基づき、形式間の増殖阻害の差違は、HER2 3+レベルにおいては有意であるが、HER2 2+またはHER2 1+レベルではそれほどではないと予測され得る。
【0486】
実施例43:様々な抗体捕捉レベルでのHER2結合親和性及び反応速度の評価
以下の実験を、SPRにより様々な表面密度で捕捉されたときの例示的な抗HER2 ECD2×ECD4二重パラトピック抗体のHER2結合反応速度(kd、オフ速度)を比較するために、実施した。オフ速度の低下(減速)と抗体捕捉レベル(表面密度)の増加との間の相関は、トランス結合(すなわち、実施例12に記載する、2つのHER2分子への1つの抗体分子結合)の指標である。この実験では、Fab−Fab形式(v6903)をFab−scFv形式(v7091)と比較して、変異体間でのトランス結合における潜在的な差異を決定した。抗原結合性ドメイン間の空間的距離が比較的広いために、Fab−Fab形式がシス結合することができる可能性がある(1つのHER2分子上のECD2及び4を係合する);それに対し、Fab−scFvは、その抗原結合性ドメイン間の距離が比較的短いために、シス結合することができないだろうと仮定される。抗HER2単一特異性v506を対照として含んだ。
【0487】
実験を、実施例12に記載するようにSPRにより実施した。データを図47に示す。図47Aは、v6903及びv7091の異なる抗体捕捉レベルでのkd(1/s)のプロット及び線形回帰分析を示す。v7091及びv6093は両方とも、表面捕捉レベルの増加につれてオフ速度が低減する傾向を示す;しかしながら、この相関は、Fab−scFv変異体では有意である(v7091;P値=0.023)が、Fab−Fab形式では有意でない(v6093;P値=0.053)。オフ速度は、抗HER2単一特異性対照であるv506では様々な抗体捕捉レベルで、変化しないままであった。
【0488】
図47Bは、v6903及びv7091の異なる抗体捕捉レベルでのK(M)のプロット及び線形回帰分析を示す。オフ速度比較と同様に、v7091及びv6093は両方とも、表面捕捉レベルの増加につれて親和性が増加する(K値が低くなる)傾向を示す。しかしながら、この相関は、Fab−scFv変異体では有意である(v7091;P値=0.04)が、Fab−Fab形式では有意でない(v6093;P値=0.51)。Kは、抗HER2単一特異性対照であるv506では様々な抗体捕捉レベルで、変化しないままであった。図47のデータは、Fab−Fab及びFab−scFv抗HER2二重パラトピック抗体形式が、抗体表面捕捉レベルの増加につれてオフ速度が低減する傾向を示すことを示し;これらの傾向は、単一特異性抗Her2抗体と比較して固有である。
【0489】
実施例44:ペルツズマブFabの親和性及び安定性の操作
表1に示すように、1つの変異体(v10000)は、突然変異をペルツズマブFabに含有する。このFabは、in silicoでの試みによる親和性及び安定性の操作から誘導され、一価またはワンアーム(One−Armed)抗体(OAA)として実験的に測定された。
【0490】
変異体9996:一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上のペルツズマブから誘導されたFabであり、Y96AをVL領域に、T30A/A49G/L69FをVH領域に有し(Kabatナンバリング)、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407V(EUナンバリング)を鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394W(EUナンバリング)を鎖Bに有するヘテロ二量体であり、鎖Bのヒンジ領域は、突然変異C226Sを有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。
【0491】
変異体10014:一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上のペルツズマブから誘導されたFabであり、Y96AをVL領域に、T30AをVH領域に有し(Kabatナンバリング)、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407V(EUナンバリング)を鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394W(EUナンバリング)を鎖Bに有するヘテロ二量体であり、鎖Bのヒンジ領域は、突然変異C226Sを有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。
【0492】
変異体10013:一価抗HER2抗体であり、ここでHER2結合性ドメインは、鎖A上の野生型ペルツズマブから誘導されたFabであり、Fc領域は、突然変異T350V_L351Y_F405A_Y407V(EUナンバリング)を鎖Aに、T350V_T366L_K392L_T394W(EUナンバリング)を鎖Bに有するヘテロ二量体であり、鎖Bのヒンジ領域は、突然変異C226Sを有し;抗原結合性ドメインは、HER2のドメイン4に結合する。
【0493】
以下の実験を、遺伝子操作したペルツズマブ変異体のHER2結合親和性及び安定性を比較するために実施した。
【0494】
OAA変異体をクローニングし、実施例1に記載のように発現させた。
【0495】
OAAを、実施例1に記載のように、プロテインAクロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。
【0496】
ヘテロ二量体純度(すなわち、ヘテロ二量体Fcを伴うOAAの量)を、Caliper LabChip GXII(Perkin Elmer #760499)を使用して非還元型ハイスループットタンパク質発現アッセイにより評価した。手順を、HT Protein Express LabChip UserGuide version2 LabChip GXII User Manualに従って、ただし、以下の改変を加えて行った。ヘテロ二量体試料を、2μlまたは5μl(濃度範囲は5〜2000ng/μl)のいずれかで、96ウェルプレート(BioRad #HSP9601)の別々のウェルに、7μlのHT Protein Express SampleBuffer(Perkin Elmer #760328)と共に加えた。次いで、ヘテロ二量体試料を、70℃で15分間変性させた。LabChip機器を、HT Protein Express Chip(Perkin Elmer #760499)及びAb−200アッセイ設定を使用して操作する。使用後に、チップをMilliQ水で洗浄し、4℃で保管した。
【0497】
試料の安定性を、実施例24において示したプロトコルでDSCによって決定して、融解温度、つまりTmを測定することにより評価した。DSCを、SEC精製の前後に測定した。
【0498】
試料のHER2 ECDに対する親和性を、実施例12からのプロトコルに従ってSPRにより測定した。SPRを、SEC精製の前後に測定した。表47A及び47Bにおいてまとめるように、可変ドメインにおける突然変異は、野生型安定性を維持しつつ、野生型ペルツズマブと比較して、FabのHER2親和性を増加させている。(Caliper LabChipによって決定された純度;KD(野生型)/KD(変異体)
(表47A)
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(表47B)
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【0499】
実施例45:HER2−低、非小細胞肺癌の異種移植モデル(NSCLC)における生存及び腫瘍増殖に与えるv10000の効果
この実験を、肺癌のA549異種移植モデルにおける対照IgG(v6908)と比較したv10000の有効性を評価するために行った。A549細胞は、HER2−低、非HER2遺伝子増幅、HER3+、EGFR−低であり、MTD(最大耐量)でシスプラチンに中程度に感受性である、非扁平上皮非小細胞肺癌から誘導される。本試験は、下記のように実行した。
【0500】
腫瘍細胞懸濁液を、無胸腺ヌードマウスへと皮下移植した。腫瘍が158mmに達したときに、動物を表A1に示す群に無作為に割り当て、処置を盲検比較試験にて開始した。動物を、1日目にレジメン1に従って処置し、その後、表A1にて示すように後続日にレジメン2に従って処置した。
(表A1)試験設計
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【0501】
腫瘍体積をキャリパーによって週2回測定した。試験期間は66日間とし、生存を主要エンドポイントとした。追加の腫瘍応答基準を測定し、表A2に示す。マウスは、腫瘍体積が800mmを超えたときに安楽死させ、生存率(%)対試験日をカプラン・マイヤーでプロットし、ログランク検定を使用して統計学的に評価した。v10000の血清濃度を、HER2 ELISAにより試験7日目に決定した。
【0502】
結果を、図48A(腫瘍体積)及び図48B(カプラン・マイヤー生存)に示す。変異体10000は、v6908処置対照と比較して腫瘍増殖を減少させ、ログランク検定により有意に生存を延長した(図48B及び表A3)。v10000を用いて処置された動物は、66日間を超える生存中央値を有し、一方で、v6908を用いて処置された動物は、25.78日間の生存中央値を有した(図48B及び表A2)。試験30日目の腫瘍体積は、それぞれv10000及びv6908処置群で、461mm3及び810mm3であった(図48A及び表A2)。血清曝露は、試験7日目で140.9μg/mLであり、これは、予測された血清濃度が達成されたことを示す。
【0503】
これらの結果は、このHER2−低、非遺伝子増幅NSCLCモデルにおいて、v10000を用いた処置が、対照hIgGを用いた処置と比較して、腫瘍増殖を減少させ、生存を延長することができることを示す。
(表A2)A549腫瘍応答プロファイル
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CR−完全奏功
PR−部分奏功
PD−進行性疾患
SD−安定疾患
(表A3)ログランク概要
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凡例:ns=有意でない、★=P<0.05.★★=P<0.01、★★★=P<0.001
【0504】
実施例46:HER2−低、頭頸部扁平上皮癌の異種移植モデルにおける生存及び腫瘍増殖に与えるv10000の効果
この実験を、頭頸部癌のFaDu異種移植モデルにおけるHerceptin(商標)(v6336)及び対照ヒトIgG(v6908)と比較したv10000の有効性を評価するために行った。FaDu細胞は、HER2低、非HER2遺伝子増幅、HER3+、EGFR+であり、MTDでシスプラチンに高感受性である、頭頸部の扁平上皮がんから誘導される。本試験は、下記のように実行した。
【0505】
腫瘍細胞懸濁液を、無胸腺ヌードマウスへと皮下移植した。腫瘍が121mmに達したとき、動物を表A4に示す群に無作為に割り当て、処置を盲検比較試験にて開始した。シスプラチンを購入し、Charles River Laboratories(ノースカロライナ州モリスビル)による試験のために提供した。動物を、1日目にレジメン1に従って処置し、その後、表A4にて記すように後続日にレジメン2より処置した。
(表A4)試験設計
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【0506】
腫瘍体積をキャリパーによって週2回測定した。試験期間は59日間とし、生存を主要エンドポイントとした。追加の腫瘍応答基準を測定し、表A5に示す。マウスは、腫瘍体積が2000mmを超えたときに安楽死させ、生存率(%)対試験日をカプラン・マイヤーでプロットし、ログランク検定を使用して統計学的に評価した。v10000及びv6336の血清濃度を、HER2 ELISAにより試験7日目に決定した。
【0507】
結果を、図49A(腫瘍体積)及び図49B(カプラン・マイヤー生存)に示す。変異体10000は、v6908処置対照及びv6336と比較して腫瘍増殖を減少させたのみでなく、v6908と比較してログランク検定により有意に生存を延長した(図48B及び表A3)。v10000を用いて処置された動物は、46日間を超える生存中央値を有し、一方で、v6908及びv6336を用いて処置された動物は、それぞれ25及び40日間の生存中央値を有した(図49B及び表A5)。試験25日目の腫瘍体積は、それぞれv10000、v6908及びv6336処置群で、1025、1979、1257mmであった(図49A及び表A5)。血清曝露は、試験7日目にv10000では116.6μg/mL、v6336では119.9μg/mL、及びv10000+シスプラチンでは107.2μg/mLであり、これは、各試験物で、予測された血清濃度が達成されたことを示す。
【0508】
これらの結果は、HER2−低、非遺伝子増幅頭頚部癌のこのモデルにおいて、単独療法としてv10000を用いた処置が、対照IgGを用いた処置と比較して腫瘍体積を低減させ、生存を延長することができたことを示す。全体的に、v10000は、v6336(Herceptin(商標))と比較して腫瘍体積を低減させる傾向を示した。
【0509】
変異体10000を、シスプラチンとの組み合わせにおいても検査した。v10000及びシスプラチンの併用は、v6908、v6336、及び単剤シスプラチンと比較して生存を有意に延長した(表A5)。v10000及びシスプラチン併用の生存中央値は、53日間であり、一方でv6908、v6336、及び単剤シスプラチンの生存中央値は、それぞれ25、40、及び40日間であった。
【0510】
これらの結果は、シスプラチンと組み合わせてv10000を用いた処置が、頭頸部癌のこのモデルにおいて、v6908及びv6336と比較して腫瘍増殖を低減させ、生存を延長することができたことを実証する。
(表A5)FaDu腫瘍応答プロファイル
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CR−完全奏功
PR−部分奏功
PD−進行性疾患
SD−安定疾患
(表A6)ログランク概要
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凡例:ns=有意でない、★=P<0.05.★★=P<0.01、★★★=P<0.001
【0511】
実施例47:HER2 1+、ER+乳癌の異種移植モデルにおける生存及び腫瘍増殖阻害に与えるv10000の効果
この実験を、乳癌のST1337B異種移植モデルにおける、対照IgG(v6908)またはHerceptin(商標)(v6336)と比較したv10000の有効性を評価するために行った。ST1337Bは、ルミナルB分子分類を有するER+/PR−乳癌からのヌードマウスにて樹立された患者由来の異種移植片(PDX)である。ST1337は、IHCにより測定されて、HER2 1+である。本試験は、下記のように実行した。
【0512】
腫瘍断片を、無胸腺ヌードマウスへと皮下移植した。腫瘍が180mmに達したときに、動物を表A7に示す群に無作為に割り当て、処置を盲検比較試験にて開始した。動物を、表A7に示すようにレジメン1に従って処置した。
(表A7)試験設計
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【0513】
腫瘍体積をキャリパーによって週2回測定した。試験期間は63日間とし、生存を主要エンドポイントとした。追加の腫瘍応答基準を測定し、表A8に示す。マウスは、腫瘍体積が2000mmを超えたときに安楽死させ、生存率(%)対試験日をカプラン・マイヤーでプロットし、ログランク検定を使用して統計学的に評価した。v10000及びv6336の血清濃度を、HER2 ELISAにより試験7日目及び、32日目の最終用量の4日後である36日目に決定した。
【0514】
結果を、図50A(腫瘍体積)及び図50B(カプラン・マイヤー生存)に示す。すべての被験用量の変異体10000を用いた処置は、v6908を用いた処置と比較して腫瘍増殖を低下させ、v6908と比較してログランク検定により有意に生存を延長させた(図50B及び表A9)。加えて、30mg/kgのv10000を用いた処置は、10mg/kgのv6336を用いた処置と比較して有意に生存を延長させた(図50B及び表A8)。v10000を用いて処置した動物は、3、10及び30mg/kg用量で、それぞれ49、59、及び59日間の生存中央値を有した(図50B及び表A8)。3、10及び30mg/kgのv10000を用いた処置の試験29日目の腫瘍体積は、それぞれ1010、1016、及び931mm3であった。v6908及びv6336の試験29日目の腫瘍体積は、それぞれ1898及び1264mm3であった(図50A及び表A8)。v6336及びv10000の血清曝露を表A10に示す。これらの結果により、v10000の投与量の増加が、v10000の血清濃度の増加をもたらすこと、及び同様の用量のv10000及びv6336が抗体の同様の血清濃度をもたらすことが確認された。
【0515】
これらの結果は、v10000を用いた処置が、IgG対照及びHerceptin(商標)と比較したときに、HER2−低、ER+乳癌のこのモデルにおいて、腫瘍体積を低減させ、生存を延長させることができることを示す。
(表A8)ST1337b腫瘍応答プロファイル
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CR−完全奏功
PR−部分奏功
PD−進行性疾患
SD−安定疾患
(表A9)ログランク概要
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凡例:ns=有意でない、★=P<0.05.★★=P<0.01、★★★=P<0.001
(表A10)血清曝露概要
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【0516】
実施例48:HER2陰性膵臓癌の異種移植モデルにおける生存及び腫瘍増殖阻害に与えるv10000の効果
この実験を、膵臓癌のST803異種移植モデルにおいて、単剤としての対照IgG(v12470)、Herceptin(商標)(v6336)、及びnab−パクリタキセル、ならびにnab−パクリタキセル(Abraxane(商標)Celgene)と組み合わせたv10000と比較したv10000の有効性を評価するために行った。ST803は、IHCにより測定されてHER2陰性である膵臓癌の患者由来の異種移植片(PDX)(South Texas Accelerated Research Therapeutics,San Antonio,TX78229)である。本試験は、下記のように実行した。
【0517】
腫瘍断片を、無胸腺ヌードマウスへと皮下移植した。腫瘍が170mmに達したときに、動物を表A11に示す群に無作為に割り当て、処置を盲検比較試験にて開始した。動物を、表A11に示すようにレジメン1及び2に従って処置した。すべての処置は静脈内投与した。
(表A11)試験設計
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【0518】
腫瘍体積をキャリパーによって週2回測定した。試験期間は71日間とし、生存を主要エンドポイントとした。追加の腫瘍応答基準を測定し、表A12に示す。マウスは、腫瘍体積が2000mmを超えたときに安楽死させ;生存率(%)対試験日をカプラン・マイヤーでプロットし、ログランク検定を使用して統計学的に評価した。v10000及びv6336を投薬された群の血清濃度を、HER2 ELISAにより試験7日目に決定した。
【0519】
結果を、図51A(腫瘍体積)及び図51B(カプラン・マイヤー生存)に示す。nab−パクリタキセルと組み合わせた変異体10000を用いた処置のみが、対照IgG(v12470)を用いた処置と比較して、腫瘍増殖を低下させ、ログランク検定により有意に生存を延長させた(図51B及び表A13)。加えて、nab−パクリタキセルと組み合わせたv10000を用いた処置は、nab−パクリタキセル+対照IgGを用いた処置と比較して生存を有意に延長させた(図51B及び表A13)。nab−パクリタキセルと組み合わせたv10000の生存中央値は、71日間を超え、一方で単剤としてのv12470、v6336、v10000、及びnab−パクリタキセルの生存中央値は、それぞれ58.8、65.9、69.3、及び60.6日間であった。nab−パクリタキセルと組み合わせたv10000を用いた処置での試験54日目の平均腫瘍体積は、1073mm3であった。試験54日目の単剤としてのv12470、v6336、v10000、及びnab−パクリタキセルでの腫瘍体積は、それぞれ1663、1494、1305、及び1365mm3であった(図51A及び表A12)。14日目の血清試料からのv6336及びv10000の血清曝露を表A14に示す。
【0520】
これらの結果は、nab−パクリタキセルと組み合わせたv10000を用いた処置が、HER2陰性膵臓癌のこのモデルにおいて、IgG対照、Herceptin(商標)、及び単剤v10000と比較したとき、腫瘍体積を低減させ、生存を延長することができることを示す。
(表A12)ST803腫瘍応答プロファイル
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CR−完全奏功
PR−部分奏功
PD−進行性疾患
SD−安定疾患
*nab−パクリタキセル
(表A13)ログランク概要
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凡例:ns=有意でない、★=P<0.05.★★=P<0.01、★★★=P<0.001
*nab−パクリタキセル
(表A14)血清曝露概要
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【0521】
実施例49:HER2 3+胃癌の異種移植モデルにおける腫瘍増殖阻害に与えるv10000の効果
この実験を、胃癌のGXA3054異種移植モデルにおいて単剤として対照IgG(v12470)及びHerceptin(商標)(v6336)と比較したv10000の有効性を評価するために行った。GXA3054は、HER2 3+である胃癌の患者由来の異種移植片(PDX)である(Oncotest GmbH,Am Flughafen 12−14,79108 Freiburg,Germany)。本試験は、下記のように実行した。
【0522】
腫瘍断片を、無胸腺ヌードマウスへと皮下移植した。腫瘍が144mmに達したときに、動物を表A15に示す群に無作為に割り当て、処置を盲検比較試験にて開始した。動物を、表A15に示すようにレジメン1に従って処置した。
(表A15)試験設計
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【0523】
腫瘍体積をキャリパーによって週2回測定した。試験期間は59日間とし、腫瘍増殖阻害を主要エンドポイントとした。追加の腫瘍応答基準を測定し、表A16に示す。マウスは、腫瘍体積が2000mmを超えたときに安楽死させた。
【0524】
結果を、図52(腫瘍体積)に示す。変異体10000及びv6336を用いた処置は、対照IgG(v12470)を用いた処置と比較して腫瘍増殖を低下させた(図52及び表A16)。加えて、v10000を用いた処置は、v6336を用いた処置と比較して腫瘍増殖を低下させた(図52及び表A16)。対照IgG、v10000及びv6336を用いた処置での試験35日目の平均腫瘍体積は、それぞれ1340、236、及び7.8mm3であった。v10000及びv6336での35日目の腫瘍増殖阻害は、それぞれ111及び92%であった(表A16)。35日目に、v10000を用いて処置された腫瘍は、v6336で処置された腫瘍(0/10完全及び1/10部分奏功)と比較して、より大きな応答を示した(7/10完全及び3/10部分奏功)(表A16)。試験の完了時、59日目には、v10000を用いて処置した腫瘍の9/10は完全奏功を有し、再発腫瘍のエビデンスは伴わなかったが、v6336処置腫瘍では、1/10腫瘍のみが完全奏功を有した。
【0525】
これらの結果は、v10000を用いた処置が、HER2 3+胃癌のこのモデルにおいて腫瘍を退縮させることができることを示す。v10000の腫瘍増殖阻害は、IgG対照及びHerceptin(商標)より優れていた。
(表A16)GXA3054腫瘍応答プロファイル
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CR−完全奏功
PR−部分奏功
PD−進行性疾患
SD−安定疾患
【0526】
実施例において使用した試薬は、概して市販されているか、または当技術分野で公知の市販の計器、方法、または試薬を使用して調製することができる。上述の実施例は、本明細書に記載の様々な態様及び本明細書に記載の方法の実施を例示している。これらの実施例は、本発明の多くの異なる実施形態の包括的な記載を提供することを意図したものではない。したがって、前述の発明は、理解を明瞭にすることを目的として実例及び実施例によって多少詳細に記載されているが、当業者は、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、これに多くの変更及び修正を成すことができることを容易に理解するであろう。
【0527】
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許、または特許出願が具体的及び個別に参照により本明細書に組み込まれると示されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0528】
配列の表
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ペルツズマブ変異体CDR−L3:QQYYIYPAT
クローン3382、変異体10000(SEQ ID NO:347)
ペルツズマブ変異体CDR−H1:GFTFADYT
クローン6586、変異体10000(SEQ ID NO:348)
図1
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図2A
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図2B
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図2C
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図3A
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図3B
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図4A
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図4B
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図5A
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図5B
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図6A
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図6B
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図6C
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図6D
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図6E
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図6F
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図6G
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図7A
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図7B
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図7C
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図7D
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図7E
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図8
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図9
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図10A
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図10B
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図10C
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図10D
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図10E
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図10F
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図11
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図12
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図13
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図14
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図15
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図16
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図17A
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図17B
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図17C
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図17D
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図17E
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図17F
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図17G
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図18A
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図18B
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図19A
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図19B
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図20
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図21
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図22
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図23
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図24
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図25
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図26
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図27A
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図27B
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図27C
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図27D
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図28A
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図28B
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図28C
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図29
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図30
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図31A
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図31B
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図31C
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図31D
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図32
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図33
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図34
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図35
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図36
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図37
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図38
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図39A
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図39B
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図39C
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図39D
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図40
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図41A
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図41B
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図41C
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図41D
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図42
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図43A
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図43B
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図43C
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図44
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図45
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図46A
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図46B
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図46C
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図47
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図48
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図49
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図50
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図51
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図52
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【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]