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特許6872483薄膜トランジスタとその製造方法、及びアレイ基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872483
(24)【登録日】2021年4月21日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタとその製造方法、及びアレイ基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20210510BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   H01L29/78 618B
   H01L29/28 100A
   H01L29/28 250E
   H01L29/78 619A
   H01L29/78 627F
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-530092(P2017-530092)
(86)(22)【出願日】2016年11月7日
(65)【公表番号】特表2019-507489(P2019-507489A)
(43)【公表日】2019年3月14日
(86)【国際出願番号】CN2016104884
(87)【国際公開番号】WO2017148176
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2019年6月21日
(31)【優先権主張番号】201610115020.2
(32)【優先日】2016年3月1日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】507232478
【氏名又は名称】北京大学
【氏名又は名称原語表記】PEKING UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】シュエレイ・リアン
(72)【発明者】
【氏名】グアンバオ・フイ
(72)【発明者】
【氏名】ジエ・シャ
(72)【発明者】
【氏名】ファンジェン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ボユアン・ティエン
(72)【発明者】
【氏名】チゥピン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リエンマオ・ペン
【審査官】 棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101710588(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0364706(US,A1)
【文献】 特開2009−283924(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/039272(WO,A1)
【文献】 特開平06−101019(JP,A)
【文献】 特開2010−080759(JP,A)
【文献】 特開2010−161288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/336
H01L 51/05
H01L 51/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性層内に複数のカーボンナノチューブを備える薄膜トランジスタの製造方法であって、
少なくとも薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間の活性層のチャネル領域を実質的に覆う絶縁層を形成する工程を含み、前記絶縁層は、環境から実質的に絶縁され、前記活性層内の前記複数のカーボンナノチューブへの影響が十分に小さくなるように構成され、
前記絶縁層が金属酸化物を含み、
少なくとも前記薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間の前記活性層のチャネル領域を実質的に覆う絶縁層を形成する工程が、少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極の間の前記活性層の前記チャネル領域を実質的に覆う金属層を形成する工程と、前記金属層を酸化させて金属酸化物層を形成する工程と、を少なくとも1ラウンド含み、
前記金属層を酸化させて金属酸化物層を形成する工程が紫外線酸化(UVO)プロセスにより行われ、
前記金属層の厚みが5nm〜1000nmの範囲にあり、
前記金属層を酸化させて金属酸化物層を形成する工程が酸素中で行われる、薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項2】
前記金属酸化物はイットリウム酸化物又はアルミナの少なくともひとつを含む、請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項3】
少なくとも前記ソース電極と前記ドレイン電極の間の前記活性層の前記チャネル領域を実質的に覆う金属層を形成する工程が電子ビームコーティングプロセスにより行われる、請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項4】
前記金属層がイットリウムを含む、請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項5】
前記金属層の厚みが20nm〜100nmの範囲にある、請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項6】
少なくとも前記薄膜トランジスタの前記ソース電極と前記ドレイン電極の間の前記活性層のチャネル領域を実質的に覆う金属酸化物層を形成する工程を3ラウンド含む、請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項7】
前記複数のカーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又はカーボンナノチューブバンドルの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年3月1日に提出した中国特許出願No.201610115020.2の優先権を主張し、その内容が全て本出願に援用される。
【0002】
本開示は一般的に表示技術に関し、特に、薄膜トランジスタとその製造方法、及びアレイ基板に関する。
【背景技術】
【0003】
単層カーボンナノチューブは、その優れた電気的、機械的特性のために、電界効果トランジスタ、インバータ、リングオシレータ及び発光素子等を含む論理回路や光学電子装置に広く応用されている。
【0004】
単層カーボンナノチューブの合成は、主に化学蒸着、アーク放電又はレーザーアブレーション等により行われる。上記方法により合成される単層カーボンナノチューブは、3分の2を占める半導体カーボンナノチューブと、3分の1を占める金属カーボンナノチューブを含む。
【0005】
半導体カーボンナノチューブの精製方法には、主にゲル法、密度勾配遠心分離法及びポリマーソーティング法等が含まれる。これらの方法により高純度の単層半導体カーボンナノチューブが得られるとは言え、量産は常に困難であった。現在では、無秩序カーボンナノチューブ膜が新出したことでこの課題に希望がもたらされている。目下、分布が均一なカーボンナノチューブ膜の大量生産が可能となっている。
【0006】
カーボンナノチューブ膜の主要な応用として電界効果トランジスタでの使用を挙げなければならない。電界効果トランジスタを製造する過程で、空気中の酸素に露出して生じるカーボンナノチューブの二極性が電界効果トランジスタの安定性、信頼性及び移動性にマイナスの影響を及ぼす場合がある。このため、高い安定性、信頼性及び移動性といった好ましい機能を有するトランジスタを製造するにあたり、信頼性の高いパッケージ方法の考案が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、環境中の酸素に露出されるために生じる従来の電界効果トランジスタにおけるカーボンナノチューブの二極性の課題を解決することを目的として、薄膜トランジスタ、その製造方法及びアレイ基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の方面において、活性層内に複数のカーボンナノチューブを含む薄膜トランジスタの製造方法を提供する。この方法は、少なくとも薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間の活性層のチャネル領域を実質的に覆う絶縁層を形成する工程を含み、ここで、絶縁層は、環境から実質的に絶縁され、活性層内の複数のカーボンナノチューブへの影響が十分に小さくなるように構成される。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態において絶縁層は金属酸化物を含んでもよいし、金属酸化物と類似した機能を有する他の組成物を含んでもよいが、そのような組成物を有する絶縁層が薄膜トランジスタの活性層内の複数のカーボンナノチューブを環境から実質的に絶縁し、複数のカーボンナノチューブの電気特性への影響が十分に小さいことを条件とする。また、そのような組成物を有する絶縁層は活性層にカーボンナノチューブを有する薄膜トランジスタの製造工程に実質的に影響しないことが望ましい。
【0010】
この方法のいくつかの実施形態において、蒸着プロセスにより、少なくとも薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間の活性層のチャネル領域を実質的に覆う絶縁層を形成してもよい。蒸着プロセスでは、絶縁層のパターンを定義するように構成されるマスクを用いてもよい。
【0011】
この方法の他のいくつかの実施形態において、スパッタリングプロセスにより、少なくとも薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間の活性層のチャネル領域を実質的に覆う絶縁層を形成してもよい。
【0012】
本開示の金属酸化物は、イットリウム酸化物又はアルミナの少なくともひとつを含んでもよく、ここでは限定しない。
【0013】
この方法のいくつかの実施形態において、少なくとも薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間の活性層のチャネル領域を実質的に覆う絶縁層を形成する工程で、次のサブ工程を少なくとも1ラウンド含んでもよい。
【0014】
少なくともソース電極とドレイン電極の間の活性層のチャネル領域を実質的に覆う金属層を形成し、金属層を酸化させて金属酸化物層を形成する。
【0015】
本開示において、金属層はイットリウムを含んでもよいが、他の金属を含んでもよく、組成物について限定しない。
【0016】
本開示において、上記のサブ工程を少なくとも1ラウンド、例えば、3ラウンド実施するものとするが、実際の必要に応じて他の回数実施してもよい。
【0017】
上記のいくつかの実施形態において、電子ビームコーティングプロセスにより、少なくともソース電極とドレイン電極の間の活性層のチャネル領域を実質的に覆う金属層を形成するサブ工程を実施してもよい。
【0018】
上記のいくつかの実施形態において、金属層を酸化させて金属酸化物層を形成するサブ工程は、酸素含有環境で金属層を加熱して実施する。加熱温度は、20℃〜450℃の範囲にあってよく、200℃〜350℃の範囲にあることが好ましい。
【0019】
上記の他のいくつかの実施形態において、紫外線酸化(UVO)プロセスにより、金属層を酸化して金属酸化物層を形成するサブ工程を実施することができる。
上記実施形態のいくつかにおいて、金属層の厚みは、5nm〜1000nmに範囲にあってよく、20nm〜100nmの範囲にあることが好ましい。
【0020】
上記の任意の実施形態において、複数のカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブバンドル、又はそれらの組み合わせを含むことができるが、ここでは限定しない。
【0021】
第2の方面において、複数のカーボンナノチューブを含む活性層と、薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間の活性層のチャネル領域に配置され、活性層のチャネル領域内にある複数のカーボンナノチューブを環境から絶縁して薄膜トランジスタのキャリア移動度を改善するように構成される絶縁層とを含む、薄膜トランジスタを提供する。
【0022】
本開示において、絶縁層は、例えば、イットリウム酸化物又はアルミナ等の金属酸化物を含んでもよいし、類似した機能及び特性を有する他の組成物を含んでもよいが、そのような組成物を有する絶縁層が薄膜トランジスタの活性層内の複数のカーボンナノチューブを環境から実質的に絶縁し、複数のカーボンナノチューブの電気特性への影響が十分に小さいことを条件とする。また、そのような組成物を有する絶縁層は活性層にカーボンナノチューブを有する薄膜トランジスタの製造工程に実質的に影響しないことが望ましい。
【0023】
本開示において、複数のカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又はカーボンナノチューブバンドルの少なくともひとつを含む。
第3の方面において、本開示は上記の任意の実施形態による薄膜トランジスタを少なくともひとつ含むアレイ基板をさらに提供する。
以下の説明及び添付の図面から他の実施形態も明らかとなろう。
【0024】
いくつかの実施形態をより明らかにするために、以下では図面について簡単に説明する。以下の図面はいくつかの実施形態を例示したものにすぎず、当業者であればこれらの図面を基に他の実施形態の他の図面も明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本開示のいくつかの実施形態による薄膜トランジスタの製造方法を示すフローチャートである。
図2図2は、本開示のいくつかの実施形態による薄膜トランジスタの構造を示す模式図である。
図3図3は、本開示のいくつかの実施形態により金属酸化物層を形成する前のカーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタの複数のサンプルの遷移特性曲線を示す。
図4図4は、本開示のいくつかの実施形態により金属酸化物層を形成した後のカーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタの複数のサンプル遷移特性曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明が開示する様々な実施形態の図面を参照しつつ、本開示の実施形態の技術案を明確かつ分かりやすい方法により記載する。記載する実施形態が本開示の一部に過ぎないことは明らかであり、当業者であれば、本開示に記載する実施形態を基に、本開示の請求範囲にある他の実施形態を得ることができる。
【0027】
ひとつの方面において、本開示は、活性層内に複数のカーボンナノチューブを含む薄膜トランジスタの製造方法を提供する。この方法は、少なくとも薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間の活性層のチャネル領域を実質的に覆う絶縁層を形成する工程を含み、ここで、絶縁層は、環境から実質的に絶縁され、活性層内の複数のカーボンナノチューブへの影響が十分に小さくなるように構成される。
【0028】
図1に示すように、絶縁層が金属酸化物を含む本開示のいくつかの実施形態による方法は次の工程を含む。
S102:複数のカーボンナノチューブを含む活性層のパターンを形成する。
S104:少なくとも薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間の活性層の領域を覆うように構成された金属酸化物層のパターンを形成する。
【0029】
薄膜トランジスタを製造する過程で、まずガラス基板上にゲート電極を形成し、次にゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、さらにカーボンナノチューブを用いてゲート絶縁層上に活性層のパターンを形成し、そして金属酸化物層、ソース電極及びドレイン電極を形成できる。薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間の全部領域は通常チャネルと呼ばれ、こうして金属酸化物層は少なくともチャネルを覆う。
【0030】
このため、上記の製造方法により、カーボンナノチューブを含む活性層上に金属酸化物層を形成することでカーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタが有効に製造される。酸化物層があるため、カーボンナノチューブを含む活性層が空気中の酸素から有効に分離されるので二極性の課題が有効に回避され、最終的に薄膜トランジスタの信頼性、安定性及び移動性の向上につながる。
【0031】
金属酸化物層のパターンを形成する工程S104に関し、実施形態を2つ提供する。
この方法の第一の実施形態では、蒸着プロセスにより金属酸化物層のパターンを形成することができ、この際、薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間の活性層の全部領域に対して蒸着プロセスを行い金属酸化物層のパターンを形成する。
【0032】
いくつかの実施形態において、金属酸化物はイットリウム酸化物であってもよいが、イットリウム酸化物と同様の特性を有する他の金属酸化物であってもよく、ここでは限定しない。
【0033】
この方法の上記実施形態を用いる際、マスクを結合して活性層のチャネルに蒸着プロセスを直接施し、チャネル上に金属酸化物層のパターンを最終的に形成することができる。スパッタリングプロセス等の他のプロセスを用いて活性層のチャネル上に金属酸化物層のパターンを形成してもよく、ここでは限定しない。
【0034】
この製造方法の第2の実施形態では、2つのサブ工程により金属酸化物層のパターンを形成する。まず、少なくとも薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間にある活性層の領域を覆う金属層のパターンを活性層上に形成する。次に、金属層を酸化させて金属酸化物層のパターンを形成する。
【0035】
電子ビームコーティングプロセスを用いてこの方法の上記実施形態における金属酸化物層のパターンを形成してもよい。他のプロセスを施すことも可能であり、ここでは限定しない。
【0036】
製造過程で、精密制御により活性層のチャネル領域に金属層を直接形成してもよい。あるいは、活性層のチャネル領域より大きい領域(即ち、チャネル領域と、ソース電極領域の一部と、ドレイン電極領域の一部を含む)にまず金属層を形成し、ソース電極領域の一部とドレイン電極領域の一部を覆う金属層の部分をエッチングしてもよい。上記2つの方法から実際の必要に応じて選択すればよい。
【0037】
(1)金属層が形成された薄膜トランジスタを酸素中で加熱するか、又は(2)紫外線酸化(UVO)プロセスを施すという2つの方法のいずれかにより金属層を酸化させることができる。
【0038】
方法(1)については、加熱温度を20℃〜450℃の範囲に制御することができ、より高い効率を得るために200℃〜350℃の範囲に制御するのが好ましい。
方法(2)については、形成される金属層の厚みを5nm〜1000nmの範囲に制御することができ、より優れた薄膜トランジスタの特性と性能を得るために20nm〜100nmの範囲に制御するのが好ましい。
【0039】
本開示において、金属層はイットリウムを含んでもよい。酸化後、イットリウム酸化物はカーボンナノチューブへの影響が小さいので、薄膜トランジスタの性能が最大限に確保される。イットリウムの他、イットリウムと同様の特性を有する他の金属を使用してもよい。
【0040】
本開示におけるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又はカーボンナノチューブバンドルであってもよい。これら様々な種類のカーボンナノチューブを適切な有機溶媒に分散して上記の製造方法に用いてもよい。
【0041】
別の方面において、本開示は図2に示す薄膜トランジスタを提供する。上記の製造方法により金属酸化物層を活性層上に設ける以外、他のパーツや構造特徴は従来の薄膜トランジスタと同じであり、ここでは省略する。
【0042】
以下では、図3と4を参照しながら、薄膜トランジスタの製造方法と、この製造方法により製造される薄膜トランジスタのいくつかの実施形態について詳述する。
【0043】
カーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタのひとつの実施形態において、上記電子ビームコーティングプロセスにより活性層上にイットリウム層を形成し、続いてイットリウム層を酸化させてイットリウム酸化物層を形成する。
【0044】
具体的には、このようなカーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタの製造方法は次の工程を含む。
【0045】
(1)有機溶媒に分散されたカーボンナノチューブをRCAクリーン処理を施した基板(例えば、シリコン基板又は二酸化ケイ素基板)上に蒸着させることができる。蒸着プロセスを24時間施した後、基板を取り出してオルトキシレン(即ち、o‐キシレン)で洗浄し、その後150℃で30分乾燥させる。カーボンナノチューブを分散させる有機溶媒は、キシレン、トルエン、クロロホルム又はパラキシリレンであってもよい。
【0046】
(2)ソース及びドレイン金属層を光学露光により形成し、光学露光によりカーボンナノチューブ膜のエッチング層を形成した後、反応性イオンエッチング(RIE)により不要なカーボンナノチューブ膜をエッチングして最終的にカーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタを得ることができる。
【0047】
(3)空気中に露出されたカーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタの遷移特性曲線を測定する。図3はいくつかの実施形態により金属酸化物層を形成する前のカーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタの複数のサンプルの遷移特性曲線を示す。遷移特性曲線は、ソース/ドレイン電極バイアス電圧Vds=−1Vのときの、ゲート電極の電圧(水平座標ゲートV、−35Vから35Vまでスキャニングしたもの)と、ソース及びドレイン電極の出力電流(垂直座標ドレインI)の関係を示したものである。図3では、カーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタの合計27のサンプルの遷移特性曲線を提供している。
【0048】
(4)電子ビームコーティング装置を用いて、厚みが例えば40nmのイットリウム層をカーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタのチャネル領域に蒸着させてもよい。
【0049】
(5)空気中又は酸素中で加熱酸化処理を行うか、又は酸素中でUVO処理を行ってイットリウム層を酸化させる。高い酸化効率を確保するため、酸素中でイットリウム層を酸化させるのが好ましい。処理温度及び時間は実際の必要に応じて選択することができる。例えば、開示する実施形態において、処理温度は180〜250℃の範囲にあってもよく、250℃であるのが好ましく、これにあわせて処理時間を10分〜60分の範囲、例えば30分としてもよい。
なお、開示する実施形態において、トランジスタの性能を改善し、よりよく保護するために工程(4)と工程(5)を3度繰り返してもよい。工程を繰り返すか否かについて制限はなく、実際の必要に応じて行えばよい。
【0050】
(6)イットリウム酸化物に覆われるカーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタの遷移特性曲線を測定する。図4に、本開示のいくつかの実施形態により金属酸化物層を形成した後のカーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタの複数のサンプルの遷移特性曲線を示す。遷移特性曲線は、ソース/ドレイン電極バイアス電圧Vds=−1Vのときの、ゲート電極の電圧(図4における水平座標ゲートV、−35Vから35Vまでスキャンニングしたもの)とソースとドレイン電極における出力電流(図4における垂直座標ドレインI)の関係を示したものである。図4では、カーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタの合計27のサンプルの遷移特性曲線を提供した。
【0051】
図3と4に示すように、空気に露出されたカーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタの27サンプルの遷移特性曲線と比べ、イットリウム酸化物で覆われたカーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタのサンプルの遷移特性曲線は、ソース−ドレイン電極からの出力電流がさほど集中していない。言い換えれば、カーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタの27サンプルの電子移動度はより均一になり、そのためカーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタの27サンプルの移動性と信頼性が大幅に改善されている。
【0052】
上記のように、この実施形態におけるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又はカーボンナノチューブバンドルから選択することができる。
【0053】
上記の実施形態において、イットリウム層は電子ビームコーティング装置によりカーボンナノチューブボトムゲート薄膜トランジスタのチャネル領域に配置され、イットリウム層はさらに酸化されてイットリウム酸化物層となる。イットリウム酸化物層は、カーボンナノチューブ膜への影響が小さいし、空気からカーボンナノチューブ膜を部分的に分離する作用があるほか、酸素からチャネルを分離することにより生じる二極性を防止し、ボトムゲートトランジスタのキャリア移動度をさらに改善する。
【0054】
別の方面において、本開示は上記の薄膜トランジスタを含むアレイ基板を提供する。
上記の方法は、カーボンナノチューブ薄膜トランジスタの通常の製造に影響せず、製造工程の難度を増加するものではない。さらに、チャネルの酸素からの分離に起因する二極性を防止し、カーボンナノチューブボトムゲートトランジスタのキャリア移動度をさらに改善する。
【0055】
以上、具体的な実施形態について詳しく記載したが、これらは例示のみを目的としている。従って、別途明確に記載しない限り、上記の方面の多くが要請されている、或いは不可欠であることを意図するものではないことが理解されよう。実施形態で例示した方面に対応する様々な変更及び同等の行為は、上記したものに加え、本開示のおかげで、以下の請求項で定義される本開示の精神と範囲から逸脱せずに当業者が行えるものである。本開示の範囲については、かかる変更及び同等の構造が網羅されるように最も広範囲に解釈するものとする。
図1
図2
図3
図4