(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、マイクロスフェア(例えば、マイクロスフェア接着剤)を用いたウェブ縁部処理を有するウェブ巻取りロール、及び同ロールを作製する工程を提供する。本明細書に記載される一部のフィルム又はウェブは、テレスコーピング問題を生じることなく、巻取り痕跡欠陥を低減するのに効果的なソフト巻き工程によって巻き取ることができる。
【0010】
図1は、ウェブ巻取りロール20の斜視図を示す。ウェブ巻取りロール20は、不定長材料からなる連続ウェブ22を含む。連続ウェブ22は、ソフト巻き工程によって、中央コア26を中心とする複数回の回転24において都合良くそれ自身の上に巻き取られる。いくつかの実施形態では、ソフト巻き工程は、0.01N/cm以上、0.05N/cm以上、又は0.1N/cm以上の巻取り張力を使用する。いくつかの実施形態では、ソフト巻き工程は、1N/cm以下、0.5N/cm以下、又は0.2N/cm以下の巻取り張力を使用する。いくつかの実施形態では、ソフト巻き工程は、0.01N/cm〜1N/cm、0.05N/cm〜1N/cmの間、又は0.1N/cm〜0.5N/cmの巻取り張力を使用する。連続ウェブ22は、第1の主面30と、第1の主面30と対向する第2の主面32と、互いに実質的に平行な2つのウェブ縁部34及び36とを有する。連続ウェブ22は、ウェブ縁部34と36との間に画定された幅W1を有する。いくつかの実施形態では、幅W1は、所望の用途に応じて数センチメートルから数メートルまで変化し得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、連続ウェブ22は、可撓性(共)重合体材料からなる1つ以上の層を含むことができる。いくつかの実施形態では、連続ウェブ22は、例えば窓ガラスへの取り付けに適した多層の光学的に透明な積層体とすることができる。1つの例示的な多層の光学的に透明な積層体が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,238,401号(Dietz)に記載されている。
【0012】
塗布材からなる2本のストライプ40、42が、第2の主面32に配置される。ストライプ40、42は、それぞれウェブ縁部34、36に隣接して配置される。ストライプ40、42は各々連続的であり、それぞれウェブ縁部34、36に沿って幅W2で延びている。いくつかの実施形態では、W2/W1の比は、例えば、0.01以上、0.02以上、又は0.05以上とすることができる。いくつかの実施形態では、W2/W1の比は、例えば、0.3以下、0.2以下、又は0.1以下とすることができる。いくつかの実施形態では、W2/W1の比は、例えば、0.01〜0.2、0.02〜0.2、又は0.05〜0.2とすることができる。いくつかの実施形態では、ストライプ40又は42は、それぞれのウェブ縁部34又は36の真隣に配置することができる。他の実施形態では、ストライプ40又は42は、例えば、幅W2以下の距離で、それぞれのウェブ縁部34又は36から離間させることができる。ストライプ40又は42は、それぞれのウェブ縁部34又は36に沿って均一な幅W2を有していなくてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、塗布材40、42は各々、それぞれのウェブ縁部34、36に沿って延びる、塗布材からなる複数のストライプを含むことができる。塗布材からなるストライプの厚さは、例えば、0.1ミクロン以上、0.5ミクロン以上、又は1ミクロン以上とすることができる。塗布材からなるストライプの厚さは、例えば、200ミクロン以下、100ミクロン以下、又は50ミクロン以下とすることができる。いくつかの実施形態では、塗布材からなる各ストライプの厚さは、例えば、0.5ミクロン〜100ミクロンとすることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、ストライプ40、42など塗布材からなる1つ以上のストライプを、第1の主面30及び第2の主面32の一方又は両方に、ウェブ縁部34又は36に隣接して配置することができる。一実施形態では、ストライプ40、42は、第1の主面30に配置することができる。別の実施形態では、ストライプ40は、第1の主面30にウェブ縁部34に隣接して配置することができ、ストライプ42は、第2の主面32にウェブ縁部36に隣接して配置することができる。更に別の実施形態では、塗布材からなる1つ以上のストライプを、ウェブ縁部34、36の一方にのみ隣接して配置することができる。
【0014】
ストライプ40、42に含有されるような塗布材は、好ましくは、マイクロスフェアを含み、これは接着剤及びマイクロスフェアを含む接着性マイクロスフェアであってもよい。いくつかの実施形態では、接着剤は、単一の接着剤又は例えばマイクロスフェア及び接着剤などの1つ以上の接着剤成分を含む接着剤ブレンドでよく、「接着剤ブレンド」という用語は、「マイクロスフェア接着剤」又はMSAと互換的に使用され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、接着剤ブレンドは、接着剤及びマイクロスフェアの総重量に基づいて、1〜50重量部、好ましくは3〜12重量部のマイクロスフェアと、50〜99重量部、好ましくは75〜97重量部の接着剤とを有することができる。レオロジー変性剤、着色剤、充填剤、及び他の(共)重合体添加剤などの変性剤を含むがそれらには限定されない他の成分を使用することができる。このような変性剤を使用する場合、接着剤混合物中での使用量は、このような変性剤の公知の使用のために有効な量である。1つの例示的接着剤ブレンド組成物が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20090246478号(Graham et al.)に記載されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、接着剤ブレンドのマイクロスフェアの少なくとも一部は、固体状で、エラストマー性で、変形可能で、かつ非粘着性のマイクロスフェアとすることができる。非粘着性マイクロスフェアは、粘着防止剤として特に適している。したがって、本開示の非粘着性マイクロスフェアは、感圧接着剤(PSA)組成物などの接着剤組成物と混ぜられると、凝結(aggregate)接着剤の接着を制御するのに有用な手段を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態では、マイクロスフェアは固体状とすることができ、非破壊性である。また、マイクロスフェアは、様々な溶媒への曝露の際に実質的に非膨潤性でもよい。マイクロスフェアは、高度に架橋される性質を有することができ、したがって溶媒不溶性とすることができる。また、マイクロスフェアは変形可能とすることができ、それによって、接着剤ブレンドでコーティングされた基材(例えば、連続ウェブ20)が、ロール上にハードバンドを生じることなく、それ自身の上に巻き上げられることが可能になる。
【0018】
いくつかの実施形態では、マイクロスフェアは、例えば、1ミクロン〜200ミクロンの平均直径を有することができる。マイクロスフェアは、基材に塗布された接着剤の厚さよりも大きい平均直径を有することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、接着剤ブレンドのマイクロスフェアは、1〜14個の炭素原子を有する少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーと、少なくとも1つの多官能性架橋剤と、少なくとも1つの開始剤と、少なくとも1つの高分子安定剤とを重合させることによる懸濁重合法で作製することができる。界面活性剤を含むがそれには限定されない他の任意の構成成分が、反応混合物中で使用されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、接着剤ブレンドからなる接着剤は、ダルキスト基準などの粘着性に対するレオロジー的基準を満たす任意の感圧接着剤(PSA)組成物を含むことができる。感圧接着剤は、マイクロスフェアがその中で相溶性で安定である限り、溶媒系、水系、又はホットメルトとすることができる。一つの実施形態では、感圧接着剤は、再配置可能な接着剤である。本開示の接着剤ブレンドで使用するのに適した感圧接着剤が、国際公開第1994/019420号に記載されている。この公報は、1つ以上の重合体からなる、本質的に粘着性の、エラストマー性マイクロスフェアからなるブレンドと、少なくともアクリルアミド系部分を含む接着剤配合物とからなる再配置可能な感圧接着剤組成物を説明している。接着剤ブレンドは、感圧接着剤以外の任意の適切な接着剤を含むことができることを理解されたい。
【0021】
ここで
図2を参照すると、
図1の切断線2−2に沿って切り取られた複数回の巻取り回転24の断面図が描かれている。この図では、連続ウェブ22の回転24a、24b、及び24cのそれぞれが、塗布材からなるストライプ40、42によって次の回転から実質的に分離されて保持されていることを理解することができる。隣接する回転24a、24b、24cの間には空間50を形成することができる。いくつかの実施形態では、隣接する回転間の分離を保持するために、ストライプ40と42との間の、例えば空間50の内部に、塗布材からなる1つ以上のストライプを設けることができることを理解されたい。
【0022】
図2に示すように、ストライプ40、42は、それぞれのウェブ縁部34、36に隣接する第2の面32に塗布されている。ストライプ40、42は各々、マイクロスフェア及び接着剤を含み、マイクロスフェアの一部が塗布された接着剤の前面より上に突出するか又はその前面から延びるように、接着剤がマイクロスフェアの一部を覆う。マイクロスフェアの平均直径は、接着剤のコーティング厚さよりも大きく、それによって、マイクロスフェアの一部が接着剤の露出面を越えて突出することが可能になる。マイクロスフェアの突出部分は、隣接する回転の第1の面30と接触し、それらの間の摩擦により隣接する回転間の相対的な軸方向移動を防止することができ、このように起こり得るテレスコーピング問題を防止する。
【0023】
図1及び
図2の連続ウェブ22は光学フィルムとすることができ、この光学フィルムを、例えば、約0.5mの距離にある蛍光灯の下で見ると、その中の巻取り痕跡欠陥及び/又はフィルム変形などのあらゆる擦傷又は欠陥が肉眼で明白に視認し得る。
図2の実施形態では、連続ウェブ22は、(共)重合体フィルム62に接着されたハードコート60を含む積層体であり、(共)重合体フィルム62は、光学的に透明な接着剤(OCA)64によって剥離ライナー66に積層されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、ハードコート60は、場合によっては、結果として生じるハードコート層が乾燥して耐擦傷面を形成することを前提として、市販のハードコーティング組成物を(共)重合体フィルム62の表面に塗布することによって得られてもよい。ハードコーティング組成物は、例えば、米国特許第5,677,050号(Bilkadi et al.)に記載されているような有機樹脂及びシリカ粒子を含有するセラマーコーティング組成物とすることができる。いくつかの実施形態では、ハードコーティング組成物は、エチレン性不飽和モノマー約20重量%〜約80重量%と、アクリレート官能化コロイドシリカ約10重量%〜約50重量%と、N、N−二置換アクリルアミドモノマー又はN−置換−N−ビニルーアミドモノマー約5重量%〜約40重量%とを含んでよい。次いで、コーティングを硬化させて、積層体の最上フィルム薄層上に耐磨耗性の光透過性セラマーコーティングを提供することができる。ハードコーティングは、好ましくは、フィルムを使用して積層体を形成する前にフィルムに適用される。
【0025】
いくつかの実施形態では、(共)重合体フィルム62は、任意の適切な重合体材料を含むことができる。重合体材料は非接着性とすることができ、シートに形成されてもよく、このシートは、その全領域に沿って実質的に均一な厚さであり、光学的透明性の妨げとなる可能性のある表面不完全性が実質的になく光学的に透明である。「非接着性」という用語は、フィルムを形成するために使用される重合体材料が、ガラス又は積層フィルム積層体を作製するために従来使用されるような接着タイプの材料ではないことを意味する。このような接着性重合体材料には、ポリビニルブチラール、エチレンターポリマー、エポキシ、ポリウレタン、シリコーン、及びアクリル系重合体などの熱可塑性接着材が含まれるであろう。一実施形態では、重合体フィルム62は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである。(共)重合体フィルム62は、厚さが、0.5ミル(0.013mm)以上、1ミル(0.025mm)以上、又は1.5ミル(0.038mm)以上に変化することができる。(共)重合体フィルム62は、厚さが、20ミル(0.508mm)以下、10ミル(0.254mm)以下、又は5ミル(0.127mm)以下に変化することができる。(共)重合体フィルム62は、厚さが、約0.5ミル〜約10ミル(0.013〜0.25mm)で変化することができるが、約5ミル(0.13mm)を超えないことが好ましい。(共)重合体フィルム62は、シートに成形されるときに二軸配向されるポリエチレンテレフタレート(PET)などの重合体材料で作製されてよく、ヒートセットは優れた光学特性を有する破壊強度の高いフィルムを提供する。いくつかの実施形態では、重合体フィルムを下塗り又はコロナ処理して、コーティングと接着層との間の接着を改善することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、(共)重合体フィルム62と剥離ライナー66との間の光学的に透明な接着剤(OCA)64は、例えば、可視波長範囲で50%以上の透過率を有する、光学的に透明とすることができる、比較的柔らかい感圧接着材を含むことができる。感圧接着材は、それ自体は、独立状態では光学的に透明ではないが、積層体に組み込まれると、光学的に透明な状態及び十分な接着性を有し、多種多様な気候性条件のいずれを経ても積層体の各層を変化のない形態に維持することができる。感圧接着剤組成物は、アクリレート又はアクリル共重合体及びターポリマーをベースとすることができる。光学的に透明な接着剤(OCA)64の厚さは、例えば、約0.1ミル〜約1ミル(0.003〜0.025mm)で変化することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、剥離ライナー66は、任意の従来のシート材料を含むことができる。剥離ライナー66は、光学的に透明な接着剤(OCA)64の露出面を保護する。剥離ライナー66は、剥離ライナー66が適用される光学的に透明な接着剤(OCA)64の表面に対して一時的に弱い接着性を有し、したがって、剥離ライナー66はその表面からきれいに剥がされ、例えば、ガラスシートの表面に取り付けるための接着剤からなる損傷のない層を残すことができる。
【0028】
再び
図2を参照すると、ストライプ40、42は、一回転の剥離ライナー66の表面上のそれぞれのウェブ縁部34,36に沿って、隣接する回転のハードコート60と接触して塗布されている。本明細書に記載のいくつかのストライプは、固体状で、エラストマー性で、かつ非粘着性のマイクロスフェアを感圧接着剤と共に含む接着剤ブレンドを使用することができる。接着剤ブレンドは剥離ライナー66の表面に接着し、ストライプ40、42を形成することができる。いくつかの実施形態では、例えば窓ガラスへの取り付けのために光学フィルムが使用される場合に、剥離ライナー66を除去することができ、塗布材からなるストライプ40、42を剥離ライナー66と共に除去することができる。いくつかの実施形態では、光学フィルムを使用する前に、塗布材からなるストライプ40、42と共にウェブ縁部34、36を切り落とすことができる。
【0029】
ここで
図3を参照すると、本開示による、
図2のウェブ巻取りロール20などのウェブ巻取りロールを形成するための1つの考え得る工程の概略図が描かれている。剥離ライナー66が巻き出しスタンド70から巻き出される。図示の実施形態では、剥離ライナー66は、剥離特性を有するように処理されたであろう第1の面66aと、好ましくは未処理のままである第2の面66bとを有する。マイクロスフェア接着剤(MSA)の形態であるのが都合が良い塗布材からなるストライプ40、42が、例えば、グラビアコーターなどのコーター72によって都合良く第2の面66b上に分配される。塗布材40、42が、水又は溶媒懸濁液中の都合の良いMSAとして剥離ライナー66の表面に供給されると、剥離ライナー66は、サーマルオーブン74を通過して塗布材40、42を乾燥させ、縁部塗布剥離ライナー66’を形成する。ロール115などの1つ以上のアイドルロールを使用して、剥離ライナー66を方向付けることができる。
【0030】
図3の実施形態では、(共)重合体フィルム62は巻き出しスタンド76から巻き出しされる。商品名メリネックス(Melinex)454−200フィルムとして入手可能な(共)重合体フィルム62は、商業的供給源から得られる。(共)重合体フィルム62は、コーター78からハードコート材の塗布を受けて硬質材からなる未乾燥塗膜を提供し、この未乾燥塗膜は乾燥機80を通過することによって乾燥され、
図2のハードコート60を形成する。コーター78は、(共)重合体フィルム62の表面に均一な塗布を提供するために、スロットダイを含む装置などの任意の都合の良いコーティング装置とすることができる。乾燥機80は、例えば、トンネルオーブン又はUV源を使用する硬化ステーションなどの任意の都合の良い乾燥装置又は硬化装置とすることができる。塗布溶液は、任意の市販のハードコーティング溶液とすることができ、この溶液は、塗布可能となるために適切な粘度を有する。次いで、光学的に透明な接着剤64が、(共)重合体フィルム62の反対側の別のコーター82によって塗布され、乾燥機84によって乾燥される。コーティング溶液は、感圧接着剤からなる任意の都合の良い溶液とすることができる。二度コーティングされた基材62’及び一度コーティングされた剥離ライナー66’が、積層ステーション86で一緒にされて、共に積層される。共にウェブ22を画定する積層された材料は、巻取りスタンド90に搬送され、連続ウェブ22はそこで巻き付けられてウェブ巻取りロール20を形成する。
【0031】
定義された用語からなる以下の用語集について、これらの定義は、請求項又は明細書の他の箇所で異なる定義が与えられていない限り、本出願の全体に適用されるものとする。
【0032】
用語集
明細書及び特許請求の範囲の全体を通して特定の用語が使用されており、大部分は周知であるが、いくらか説明を必要とするものもある。以下を理解されたい。
【0033】
本明細書で使用される「連続」という用語は、例えば、数十、数百、又は数千メートルまでの基材ウェブの長さを指す。
【0034】
本明細書で使用される「(共)重合体」という用語は、同種重合体及び共重合体を指し、同様に、例えば、共押出又はエステル交換反応などを含む反応によって混和性ブレンドにおいて形成され得る同種重合体又は共重合体も指す。
【0035】
「非粘着性」という用語は、概して、マイクロスフェアが、テクスチャー粘着性分析器を用いて測定して、約5グラム未満であり、好ましくは約3グラム未満であり、より好ましくは約1グラム未満である粘着値を有することを意味する。
【0036】
本明細書で使用する「エラストメリック(elastmeric)」という用語は、それらの元の長さ(又は直径)の少なくとも2倍に延ばすことができ、力の解放時に急速かつ強制的にほぼ元の寸法に後戻りする非結晶質又は非晶質材料に適用するものとして説明することができる。
【0037】
本明細書で使用されるように、「再配置可能」という用語は、接着能力を実質的に失うことなく、繰り返し基材に接着され、基材から除去される能力を指す。
【0038】
本明細書で使用される「剥離ライナー」という用語は、粘着性のある表面が早期に接着するのを防止するために使用される紙又はプラスチック系フィルムシートを指し、片面又は両面に剥離剤が塗布され接着剤などの粘着性材料に対する剥離効果を提供する。
【0039】
数値又は形状への言及に関する用語「約」又は「おおよそ」は、数値又は特性若しくは特徴の+/−5パーセントを意味するが、明示的に、正確な数値を含むと理解されなければならない。例えば、「約」1Pa・秒の粘度は、0.95〜1.05Pa・秒の粘度を意味するが、厳密に1Pa・秒の粘度も明確に含む。同様に、「実質的に正方形」である周囲は、4つの側縁部を有する幾何学的形状を記述するように意図され、この形状において、各側縁部は、他のいずれかの側縁部の長さの95%〜105%の長さを有するが、この幾何学的形状は、各側縁部が厳密に同じ長さを有する幾何学的形状も含む。
【0040】
特性又は特徴への言及に関する用語「実質的に」は、その特性又は特徴が、その特性又は特徴の反対のものが示されるより大きい範囲に示されることを意味する。例えば、「実質的に」透明又は光学的に透明である基板とは、透過しない(例えば、吸収して反射する)放射より多くの放射(例えば、可視光)を透過する基板を指す。したがって、表面に入射する可視光の50%以上を透過する基板は実質的に透明であるが、表面に入射する可視光の50%以下を透過する基板は実質的に透明ではない。
【0041】
本明細書及び添付の実施形態において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば「化合物(a compound)」を含有する微細繊維への言及は、2種以上の化合物の混合物を含む。本明細書及び添付の実施形態において使用される場合、用語「又は」は、その内容が明確に別段の指示をしない限り、「及び/又は」を含む意味で概して使用される。
【0042】
本明細書で使用するとき、末端値による数値範囲での記述には、その範囲内に包含されるあらゆる数値が含まれる(例えば1〜5には1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5が含まれる)。
【0043】
別段に示されない限り、本明細書及び実施形態で使用される、量又は成分、特性の測定値などを表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、特に別段の指示がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態の列挙において示す数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に依存して変化しうる。最低でも、請求項記載の実施形態の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてではなく、報告される有効桁の数に照らして、通常の四捨五入を適用することにより、各数値パラメータは少なくとも解釈されるべきである。
【0044】
本開示の例示的な実施形態は、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変更を採ってもよい。したがって、本開示の実施形態は、以下に記述する例示の実施形態に限定されず、請求項及びそれと同等の任意のものに定められた制限によって支配されるものと理解されたい。
【0045】
本開示の様々な代表的な実施形態を、特に図面を参照しながら説明する。本開示の代表的な実施形態は、開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正や変更が可能である。したがって、本開示の実施形態は以下に記述する例示的実施形態に限定されず、請求項及びそれと同等の任意のものに定められた制限によって支配されるものと理解されたい。
【0046】
例示的実施形態の列挙
例示的実施形態を以下に列挙する。実施形態A〜M及びN〜Xのいずれか1つを組み合わせることができることを理解されたい。
【0047】
実施形態Aは、物品であって、
第1の主面と、第1の主面と対向する第2の主面と、少なくとも2つのウェブ縁部とを有する基材を含むウェブと、
ウェブ縁部の一方又は両方に隣接する第1及び第2の主面の一方又は両方に配置された、厚さを有する塗布材からなる1つ以上のストライプとを備え、
基材は、中央コアを中心とする複数回の回転において自身の上に巻回され、
各回転は、塗布材からなる1つ以上のストライプによって次の回転から実質的に分離されて保持される。
【0048】
実施形態Bは、塗布材からなる1つ以上のストライプの厚さが、0.5ミクロン〜100ミクロンである、実施形態Aの物品である。
【0049】
実施形態Cは、塗布材がマイクロスフェアを含む、実施形態A又はBの物品である。
【0050】
実施形態Dは、塗布材が更に接着剤を含む、先行する実施形態のいずれか1つの物品である。
【0051】
実施形態Eは、接着剤が接着剤ブレンドを含む、実施形態Dの物品である。
【0052】
実施形態Fは、接着剤ブレンドが、約1〜50重量部のマイクロスフェアと、約50〜99重量部の接着剤とを含む、実施形態Eの物品である。
【0053】
実施形態Gは、マイクロスフェアが、固体状で、エラストマー性で、変形可能で、かつ非粘着性のマイクロスフェアを含む、実施形態Cの物品である。
【0054】
実施形態Hは、マイクロスフェアが基材上の接着剤のコーティング厚さよりも大きい平均直径を有する、実施形態F又はGの物品である。
【0055】
実施形態Iは、接着剤が感圧接着剤(PSA)を含む、実施形態F〜Hのいずれか1つの物品である。
【0056】
実施形態Jは、感圧接着剤が再配置可能な接着剤である、実施形態Iの物品である。
【0057】
実施形態Kは、塗布材からなる1つ以上のストライプが各々幅W1を有し、連続ウェブが幅W2を有し、W1/W2の比率が0.01〜0.2である、先行する実施形態のいずれか1つの物品である。
【0058】
実施形態Lは、基材が可撓性重合体フィルムを含む、先行する実施形態のいずれか1つの物品である。
【0059】
実施形態Mは、連続ウェブは、剥離ライナーを含む多層の光学的に透明な積層体であり、塗布材からなる1つ以上のストライプが1つ以上のウェブ縁部に沿って剥離ライナーの表面に配置される、先行する実施形態のいずれか1つの物品である。
【0060】
実施形態Nは、方法であって、
第1の主面と、第1の主面と対向する第2の主面と、少なくとも2つのウェブ縁部とを有する基材ウェブを含む連続ウェブを提供するステップと、
ウェブ縁部の一方又は両方に隣接する第1及び第2の主面の一方又は両方に、厚さを有する塗布材からなる1つ以上のストライプを配置するステップと、
中央コアを中心とする複数回の回転において基材ウェブをそれ自身の上に巻き取るステップとを含み、
各回転は、塗布材からなる1つ以上のストライプによって次の回転から実質的に分離されて保持される。
【0061】
実施形態Oは、基材ウェブが、1N/cm以下の巻取り張力でロールツーロール工程で巻き取られる、実施形態Nの方法である。
【0062】
実施形態Pは、巻取り張力が0.1N/cm〜0.5N/cmである、実施形態Oの方法である。
【0063】
実施形態Qは、塗布材がマイクロスフェアを含む、実施形態N〜Pのいずれか1つの方法である。
【0064】
実施形態Rは、塗布材が更に接着剤を含む、実施形態N〜Qのいずれか1つの方法である。
【0065】
実施形態Sは、接着剤が接着剤ブレンドを含む、実施形態Rの方法である。
【0066】
実施形態Tは、接着剤ブレンドが、約1〜50重量部のマイクロスフェアと、約50〜99重量部の接着剤とを含む、実施形態Sの方法である。
【0067】
実施形態Uは、マイクロスフェアが、固体状で、エラストマー性で、変形可能で、かつ非粘着性のマイクロスフェアを含む、実施形態Q〜Tのいずれか1つの方法である。
【0068】
実施形態Vは、マイクロスフェアが基材上の接着剤のコーティング厚さよりも大きな平均直径を有する、実施形態Uの方法である。
【0069】
実施形態Wは、接着剤が感圧接着剤(PSA)を含む、実施形態Rの方法である。
【0070】
実施形態Xは、感圧接着剤が再配置可能な接着剤である、実施形態Wの方法である。
【0071】
本開示の動作は以下の詳細な実施例に関して更に説明される。これらの実施例は、様々な具体的な好ましい実施形態及び技術を更に示すために提供される。しかしながら、本開示の範囲内に留まりつつ多くの変形及び変更を加えることができるということは理解されるであろう。
【実施例】
【0072】
マイクロスフェア接着剤(MSA)
96重量%の2−エチルヘキシルアクリレート、6重量%のアクリル酸、及び0.05重量%の1,4−ブタンジオール−ジアクリレートからなる重合体を含有するマイクロスフェアを、懸濁重合によって調製した。マイクロスフェアは、光学顕微鏡検査で測定した平均粒径が約30ミクロンであり、50重量%の2−プロパノール、30重量%の水、及び20重量%のジオキソランからなる混合溶媒中に懸濁させて、1.5重量%の固形物濃度を有するマイクロスフェア接着剤(MSA)を形成する。
【0073】
実施例1
実施例1では、400mmの幅を有する連続ウェブを、両方のウェブ縁部に沿って25mmのコーティング幅でマイクロスフェア接着剤を用いてコーティングした。塗布量は、湿潤状態で約55cc/m
2、又は表面積1mm
2あたり約60マイクロスフェアであった。連続ウェブは、厚さ2.5ミクロンのハードコーティングと、厚さ15ミクロンのPSAと、厚さ25ミクロンのPETと、厚さ38ミクロンの剥離ライナーとを伴い、
図3の工程により形成された。巻取り張力を10N/400mmに設定して、連続ウェブを巻取りウェブロールに巻き取った。
【0074】
実施例2
実施例2では、連続ウェブは、非常に低い摩擦を有するシリコーンからなる剥離ライナーを伴う400mm幅のPETフィルムである。マイクロクロスフェア接着剤を、両方のウェブ縁部に沿って25mmのコーティング幅で塗布した。塗布量は、湿潤状態で約55cc/m
2、又は表面積1mm
2あたり約60マイクロスフェアであった。巻取り張力を5N/400mmに設定して、フィルムを巻取りウェブロールに巻き取った。
【0075】
実施例3
実施例3では、連続ウェブは、10ミクロンの厚さを有する200mm幅のPETフィルムである。マイクロスフェア接着剤を、両方のウェブ縁部に沿って25mmのコーティング幅で塗布した。塗布量は、湿潤状態で約55cc/m
2、又は表面積1mm
2あたり約60マイクロスフェアであった。巻取り張力を2N/200mmに設定して、PETフィルムを巻取りウェブロールに巻き取った。
【0076】
比較例A
比較例Aでは、連続ウェブは実施例1と同じであったが、ウェブの縁部に沿ってマイクロスフェア接着剤を塗布しなかった。
【0077】
各巻取りウェブロールの一部を巻き出した後、実施例1、2、3と比較例Aとの間で巻取り痕跡欠陥を比較した。実施例の画像を、山下電装株式会社(Yamashita Denso Corporation)(日本、東京)のMAKYOH YIS−SPシステムを用いて撮影した。MAKYOH YIS−SPシステムは、マジックミラーの原理を利用したシステムであり、この原理では、平行な光束を微細な凹凸面に当てたときに、凸部では反射光が散乱して、それにより画像が暗くなり、凹部では集光して、それにより画像が明るくなる。比較例Aの画像では巻取り痕跡欠陥が観察されたが、実施例1、2、3の画像では観察されなかった。
【0078】
本明細書では、特定の例示的実施形態が詳細に説明されてきたが、当業者には、上述の説明を理解した上で、これらの実施形態の代替物、変更物、及び等価物を容易に想起することができる点が、理解されるであろう。したがって、本開示は、本明細書で上記された例示的実施形態に、過度に限定されるものではないことを理解されたい。特に、本明細書で使用するとき、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)ことが意図される。更には、本明細書で使用される全ての数は、用語「約」によって修飾されるものと想定される。
【0079】
更には、本明細書で参照される全ての刊行物及び特許は、個々の刊行物又は特許を参照により組み込むことが、詳細かつ個別に指示されている場合と同じ程度で、それらの全容が参照により組み込まれる。様々な例示的実施形態が説明されてきた。これら及び他の実施形態は添付の特許請求の範囲内に含まれる。
本開示の実施態様の一部を以下の[項目1]−[項目15]に記載する。
[項目1]
第1の主面と、前記第1の主面と対向する第2の主面と、少なくとも2つのウェブ縁部とを有する基材を含む連続ウェブと、
前記ウェブ縁部の一方又は両方に隣接する前記第1及び第2の主面の一方又は両方に配置された、厚さを有する塗布材からなる1つ以上のストライプとを備える物品であって、
前記基材は、中央コアを中心とする複数回の回転において自身の上に巻回され、
各回転は、塗布材からなる前記1つ以上のストライプによって次の回転から実質的に分離されて保持される、物品。
[項目2]
塗布材からなる前記1つ以上のストライプの厚さが0.5ミクロン〜100ミクロンである、項目1に記載の物品。
[項目3]
前記塗布材はマイクロスフェアを含む、項目1に記載の物品。
[項目4]
前記マイクロスフェアが更に接着剤を含む、項目3に記載の物品。
[項目5]
前記接着剤は接着剤ブレンドを含む、項目4に記載の物品。
[項目6]
前記接着剤ブレンドが、約1〜50重量部のマイクロスフェアと、約50〜99重量部の接着剤とを含む、項目5に記載の物品。
[項目7]
前記マイクロスフェアは、固体状で、エラストマー性で、変形可能で、かつ非粘着性のマイクロスフェアを含む、項目3に記載の物品。
[項目8]
前記マイクロスフェアは前記基材上の前記接着剤のコーティング厚さよりも大きな平均直径を有する、項目4に記載の物品。
[項目9]
前記接着剤は感圧接着剤(PSA)を含む、項目4に記載の物品。
[項目10]
前記感圧接着剤は再配置可能な接着剤である、項目9に記載の物品。
[項目11]
塗布材からなる前記1つ以上のストライプが各々幅W1を有し、前記連続ウェブが幅W2を有し、W1/W2の比率が0.01〜0.2である、項目1に記載の物品。
[項目12]
前記連続ウェブは、剥離ライナーを含む多層の光学的に透明な積層体であり、塗布材からなる前記1つ以上のストライプは、1つ以上の前記ウェブ縁部に沿って前記剥離ライナーの表面に配置される、項目1に記載の物品。
[項目13]
第1の主面と、前記第1の主面と対向する第2の主面と、少なくとも2つのウェブ縁部とを有する基材ウェブを含む連続ウェブを提供するステップと、
前記ウェブ縁部の一方又は両方に隣接する前記第1及び第2の主面の一方又は両方に、厚さを有する塗布材からなる1つ以上のストライプを配置するステップと、
中央コアを中心とする複数回の回転において前記基材をそれ自身の上に巻き取るステップとを含む方法であって、
各回転は、塗布材からなる前記1つ以上のストライプによって次の回転から実質的に分離されて保持される、方法。
[項目14]
前記基材ウェブは、1N/cm以下の巻取り張力でロールツーロール工程で巻き取られる、項目13に記載の方法。
[項目15]
巻取り張力が0.1N/cm〜0.5N/cmである、項目14に記載の方法。