(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明に係るカテーテル組立体について好適な複数の実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。なお、第2及び第3実施形態並びにそれらの変形例において、第1実施形態と同一又は同様な要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する
【0051】
[第1実施形態]
図1に初期状態を示すカテーテル組立体10Aは、患者(生体)に輸液や輸血等を行う場合に適用され、患者の体内に穿刺及び留置されて薬液等の導入部を構築する。カテーテル組立体10Aは、末梢静脈カテーテルよりも長さが長いカテーテル16(例えば、中心静脈カテーテル、PICC、ミッドラインカテーテル等)として構成され得る。なお、カテーテル組立体10Aは、末梢静脈カテーテルとして構成されてもよい。また、カテーテル組立体10Aは、静脈用カテーテルに限らず、末梢動脈カテーテル等の動脈用カテーテルとして構成されてもよい。
【0052】
カテーテル組立体10Aは、
図1に示すように、カテーテル組立体10Aの主要部を構成するカテーテルユニット12と、このカテーテルユニット12に装着可能なガイドワイヤユニット14とを備える。
【0053】
図1及び
図2に示すように、カテーテルユニット12は、カテーテル16と、カテーテル16を固定保持するカテーテルハブ18と、カテーテル16内に抜去可能に挿入された中空の内針20と、内針20を固定保持する針ハブ22と、カテーテルハブ18の上側に装着されるカテーテル操作部材24と、カテーテルハブ18の基端に接続される針保護部材26とを備える。
【0054】
カテーテル16は、可撓性を有し、内部に内腔が貫通形成された細管である。カテーテル16の長さは、特に限定されず用途や諸条件等に応じて適宜設計可能であり、例えば、14〜500mm程度に設定され、あるいは30〜400mm程度に設定され、あるいは76〜200mm程度に設定される。
【0055】
カテーテル16の構成材料は、特に限定されるものではないが、軟質樹脂材料が好適であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂又はこれらの混合物、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルナイロン樹脂、オレフィン系樹脂とエチレン・酢酸ビニル共重合体との混合物等が挙げられる。
【0056】
カテーテル16の基端部は、適宜の固着方法(かしめ、融着、接着等)によってカテーテルハブ18内の先端部に固着される。カテーテル16とカテーテルハブ18により、カテーテル部材19が構成されている。
【0057】
カテーテルハブ18は、カテーテル16が血管内に挿入された状態で患者の皮膚上に露出され、テープ等により貼り付けられてカテーテル16とともに留置される。
【0058】
カテーテルハブ18の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂を適用するとよい。
【0059】
カテーテルハブ18の内部には、カテーテル16の内腔17(
図2参照)に連通して輸液剤を流通可能な中空部18aが設けられている。この中空部18aには、内針20の穿刺時に血液の逆流を防ぐとともに、輸液チューブのコネクタの挿入に伴い輸液を可能とするために、図示しない止血弁やプラグ等が収容されてもよい。
【0060】
カテーテルハブ18の外周面の先端寄りには、径方向外側に突出し、カテーテルハブ18の周方向に周回する環状突起28が形成されている。カテーテルハブ18の基端外周部には径方向外方にフランジ状に突出し且つ周方向に延在するネジ部30が設けられており、内針20の離脱後に、図示しない輸液チューブのコネクタが接続される。カテーテルハブ18の基端内周面は、先端方向に向かうに従って縮径するテーパ状に形成されている。
【0061】
内針20は、カテーテル16よりも長い全長を有し、カテーテル16の内腔17及びカテーテルハブ18の中空部18aに挿通されている。内針20の内部には、内針20の軸方向に貫通する内腔21が設けられている。このルーメンは、内針20の先端開口に連通する。内針20の先端には鋭利な針先20aが設けられている。
【0062】
初期状態のカテーテルユニット12において、内針20の先端はカテーテル16の先端開口から突出しており、針先20aはカテーテル16よりも先端側で露出している。なお、内針20の外周面には、軸方向に沿ってフラッシュバック確認用の溝部が設けられてもよい。内針20は、一部が軸方向に沿って切り欠かれていてもよい。
【0063】
内針20は、生体の皮膚を穿刺可能な剛性を有する。内針20の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金、チタン又はチタン合金のような金属材料、硬質樹脂、セラミックス等が挙げられる。内針20は、適宜の固着方法(融着、接着、インサート成形等)により、針ハブ22に強固に固着される。
【0064】
針ハブ22は、
図2に示すように、下壁32と、下壁32の側辺から上方に突出する左右の側壁34a、34bと、下壁32の上面から上方に突出して内針20の基端部を固定支持する針保持部36を有する。本実施形態では針ハブ22の上部は開口している。
【0065】
下壁32及び左右の側壁34a、34bによって構成される立体構造の内側に、内針20とカテーテル16からなる複合管の一部、カテーテルハブ18及び針保護部材26を収容する収容空間40が形成されている。
【0066】
左右の側壁34a、34bは、長手方向に平行に延びている。左右の側壁34a、34bにおける先端側領域41は、相対的に高い位置に上縁を有し、先端側領域41よりも基端側を構成する基端側領域42は、相対的に低い位置に上縁を有する。各側壁34a、34bの先端側領域41の内面には、軸方向に延在する溝状のレール部43が設けられている。レール部43は、カテーテル操作部材24の左右の縁部を収容して、カテーテル操作部材24の軸方向の移動をガイドする。一方の側壁34aには支持部材64を取り付けるための配置用凹部66が設けられている。
【0067】
図4に示すように、針保持部36は、内針20の基端部を保持する保持孔44と、保持孔44よりも基端側に形成され内針20の内腔21と連通するワイヤ導入孔46とを有する。ワイヤ導入孔46は、先端方向に向かうに従って縮径するテーパ状に形成されている。
【0068】
ワイヤ導入孔46は、このようなテーパ状に形成されていなくてもよく、例えば、直径が軸方向に一定のストレート形状の孔であってもよい。また、ワイヤ導入孔46が設けられず、内針20の基端が針保持部36の外部に露出していてもよい。この場合、ガイドワイヤ80が内針20の内腔21に向けて適切に誘導されるように案内部材82が構成されているとよい。
【0069】
針ハブ22の基端部には、基端方向に開口する複数のメス嵌合部49を有する第1嵌合部48が設けられている。第1嵌合部48は、ガイドワイヤユニット14の後述する案内部材82の一部(第2嵌合部90)を受容し、これにより、カテーテルユニット12に対するガイドワイヤユニット14の装着を可能とする。本実施形態では、第1嵌合部48は、複数のメス嵌合部49として、針保持部36の左右両側に設けられた左右の(2つの)メス嵌合部49を有する。すなわち、下壁32、左右の側壁34a、34b及び針保持部36によって形成される溝形状が、左右のメス嵌合部49を構成している。
【0070】
案内部材82が針ハブ22に装着された状態において針ハブ22に対する案内部材82の上下方向のグラツキを抑制するために、針保持部36の左右の側面には、軸方向に延在する凹部50が設けられている。各凹部50は、針保持部36の基端面にて開口している。また、案内部材82が針ハブ22に装着された状態において針ハブ22からの案内部材82の後方抜けを防止するために、針保持部36の先端面には、各凹部50の先端に連なる切欠部52が設けられている。
【0071】
針ハブ22を構成する材料は、適度の剛性を確保できるものであれば特に限定されないが、例えば、カテーテルハブ18で挙げた材料を適宜選択し得る。なお、針ハブ22の外形は、本実施形態では概ね平面を組み合わせた箱型に形成されているが、変形例においては、丸みを帯びた形状に形成されてもよい。
【0072】
図1に示すように、このカテーテルユニット12では、カテーテルハブ18及び針保護部材26の上部が針ハブ22から露出している。なお、カテーテルユニット12において、針ハブ22に上壁を形成したり、蓋体を取り付けたりしてカテーテルハブ18や針保護部材26等を覆う構成としてもよい。
【0073】
カテーテル操作部材24は、カテーテルハブ18に装着されている。カテーテル操作部材24を軸方向に操作することで、内針20及び針ハブ22に対してカテーテル16及びカテーテルハブ18を進退させることができる。
図2において、カテーテル操作部材24は、軸方向に延在する操作板部54と、操作板部54の基端に一体成形されカテーテルハブ18に離脱可能に装着されたハブ装着部56とを有する。
【0074】
操作板部54は、カテーテル16の進退操作をするためにユーザが指を当てる部分である。初期状態のカテーテルユニット12において、操作板部54の左右の縁部の先端側は、針ハブ22の左右の側壁34a、34bに設けられたレール部43内に配置され、左右の縁部のその他の部分は、左右の側壁34a、34bの基端側領域42の上面に配置されている。
【0075】
操作板部54は、薄肉に形成されることにより、側面視で操作板部54の面方向と直交する方向に容易に湾曲可能な可撓性を有する。カテーテル操作部材24を構成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば、カテーテルハブ18で挙げた材料を適宜選択し得る。
【0076】
操作板部54の上面には、比較的低い高さで上方に突出する複数のリブ58が、操作板部54の長手方向に間隔を置いて設けられている。また、操作板部54の上面の先端側及び基端側には、リブ58よりも突出高さの高いタブ60、62が設けられている。カテーテル操作部材24を軸方向に操作する際、ユーザは、タブ60又はタブ62に指を当てて操作することができる。
【0077】
本実施形態において、ハブ装着部56がカテーテルハブ18に装着された状態では、ハブ装着部56はカテーテルハブ18を軽い係合力で保持しており、且つハブ装着部56とカテーテルハブ18との相対的な軸方向移動が阻止されている。具体的に、ハブ装着部56は、下方及び基端方向に開口した箱状に形成されている。ハブ装着部56の内面には、カテーテルハブ18に設けられた環状突起28を受容する溝部(図示せず)が形成されている。
【0078】
ハブ装着部56がカテーテルハブ18に装着された状態では、環状突起28と溝部との係合によって、カテーテル操作部材24とカテーテルハブ18との軸方向の相対移動が阻止される。本実施形態では、ハブ装着部56は、カテーテルハブ18に装着された状態で、ハブ装着部56に対するカテーテルハブ18の回転を許容するように構成されている。
【0079】
上記のように構成されているため、ハブ装着部56が針ハブ22の収容空間40に存在する間は、ハブ装着部56とカテーテルハブ18との結合が維持される。その一方で、ユーザの操作により、カテーテル操作部材24が針ハブ22の先端方向に押し出された後に上方向に引き上げられると、カテーテルハブ18からハブ装着部56が外れる。これにより、カテーテル操作部材24をカテーテルハブ18から分離させることができる。
【0080】
なお、ハブ装着部56の形状は、カテーテルハブ18から離脱可能であり、先端方向への操作によってカテーテルハブ18を前進させることが可能であれば、図示例の形状に限定されない。ハブ装着部56は、カテーテルハブ18に装着された状態で、カテーテルハブ18の回転を阻止するように構成されていてもよい。カテーテル組立体10Aにおいて、カテーテル操作部材24は設けられていなくてもよい。
【0081】
図1及び
図2に示すように、針ハブ22には、支持部材64が設けられている。支持部材64は、カテーテル16を下方から支えることによりカテーテル16及び内針20の撓みを抑制するものであり、針ハブ22の先端部に形成された配置用凹部66に回転自在に取り付けられている。
【0082】
カテーテル操作部材24を針ハブ22に対して先端方向に移動させると、支持部材64は、ハブ装着部56に押されて側壁34aの外側に向かって回転させられる。このため、カテーテルハブ18及び針保護部材26の針ハブ22からの離脱が支持部材64によって阻害されることはない。なお、支持部材64は設けられていなくてもよい。
【0083】
図2において、針保護部材26は、シャッタ76を収容する本体部68と、本体部68の先端から先端方向に突出した嵌合突起70と、本体部68に揺動可能に支持された複数(図示例では2つ)のアーム72と、本体部68の基端側に設けられた円筒状の操作子74とを有する。
【0084】
初期状態において、嵌合突起70はカテーテルハブ18の基端内周部に分離可能にテーパ嵌合している。針保護部材26とカテーテルハブ18との結合形態は、テーパ嵌合に限られず、例えば、ストレート嵌合、凹凸嵌合や、ネジ嵌合(螺合)等であってもよい。
【0085】
各アーム72は、長手方向の中央部よりも若干基端側の位置を支点として、本体部68に支持されている。各アーム72の先端部内側には係合溝73が設けられており、初期状態ではカテーテルハブ18に設けられたフランジ状のネジ部30が係合溝73に入り込んで(嵌って)いる。
【0086】
詳細は図示しないが、各アーム72の基端部には内側に向かって突出した内方突起が設けられている。初期状態において、内方突起の内端は内針20の外面に近接又は接触し、これにより、アーム72の基端部は内針20によって内側への変位が阻止されている。この結果、アーム72の先端側の拡開が阻止されている。
【0087】
針保護部材26の内部にはシャッタ76が配置されている。図示例のシャッタ76は、金属製の板部材を曲げて形成した板バネの形態を有する。初期状態において、シャッタ76は内針20の外面によって押圧されて圧縮されている。一方、内針20が針保護部材26に対して後退し、内針20の針先20aがシャッタ76よりも基端側に移動すると、シャッタ76は弾性復元力によって拡張する(開く)。これにより、針保護部材26内の針挿通路が遮断される。なお、針保護部材26から内針20が基端方向に抜け出ないように、針保護部材26の基端部内には、図示しない抜け止め部材が配置されている。
【0088】
針保護部材26は、例えば硬質樹脂により構成される。硬質樹脂は、カテーテルハブ18の構成材料として例示した材料から選択することができる。
【0089】
カテーテル組立体10Aの製品提供状態で、ガイドワイヤユニット14は、カテーテルユニット12から分離している。
図3において、ガイドワイヤユニット14は、ガイドワイヤ80と、針ハブ22の基端部に装着可能でありガイドワイヤ80を案内する案内部材82と、ガイドワイヤ80の基端部に固定されたワイヤ操作部材84と、ガイドワイヤ80を覆い案内部材82とワイヤ操作部材84との間に配置されたカバー86とを有する。
【0090】
ガイドワイヤ80は、カテーテル16を患者に留置するためにカテーテル16を血管内に挿入する際に、カテーテル16をガイドする。ガイドワイヤ80は、可撓性を有する細径の線状部材であって、内針20のルーメンに挿通可能であり、内針20及びカテーテル16よりも長い。ガイドワイヤ80の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、Ni−Ti系合金等の各種金属材料等を使用することができる。
【0091】
案内部材82は、内針20に向けてガイドワイヤ80を案内するように構成されている。具体的に、案内部材82は、中空筒状の胴体部88と、胴体部88の先端から先端方向に突出した複数のオス嵌合部92を有する第2嵌合部90とを備える。初期状態のガイドワイヤユニット14において、胴体部88内には、ガイドワイヤ80の先端領域が収容されている。
【0092】
図5において、胴体部88は、中空円筒形状に形成されており、その先端中央部には先端方向に小さく突出した挿入突起89が設けられている。挿入突起89は、針ハブ22の針保持部36に形成されたワイヤ導入孔46に挿入可能であり、先端方向に向かうに従って外径が小さくなる外周面を有する。
【0093】
また、
図7に示すように、挿入突起89には、軸方向に貫通し、胴体部88の内腔と連通するワイヤ導出孔94が形成されている。案内部材82が針ハブ22に装着された状態で、ワイヤ導出孔94は、内針20の内腔21と同軸となる。図示例のワイヤ導出孔94は、先端方向に向かうに従って縮径するテーパ形状を有する。なお、ワイヤ導出孔94は、軸方向に直径が一定のストレート形状であってもよい。
【0094】
本実施形態では、ガイドワイヤユニット14の初期状態で、ガイドワイヤ80の先端は、ワイヤ導出孔94内に配置されている。なお、変形例において、ガイドワイヤ80の先端は、ワイヤ導出孔94の先端よりも先端方向に突出していてもよく、案内部材82の先端(つまり、オス嵌合部92の先端)よりも先端方向に突出していてもよい。
【0095】
図3において、胴体部88の基端には、基端開口部が形成されている。また、胴体部88の基端内周部には、内方に突出する係止突起88aが設けられている。
【0096】
図5において、複数のオス嵌合部92を有する第2嵌合部90は、針ハブ22の基端部に設けられた複数のメス嵌合部49を有する第1嵌合部48に嵌合可能な部分である。
【0097】
本実施形態において、案内部材82には左右2つのオス嵌合部92が設けられている。左右のオス嵌合部92は、挿入突起89を中心に左右方向に間隔を置いて並列している。各オス嵌合部92には、先端方向及び上方に開口するとともに軸方向に延在する溝93が形成されている。
【0098】
図5及び
図6において、左右のオス嵌合部92の互いに対向する側壁面96には、針保持部36に設けられた凹部50に嵌合可能であり、軸方向に延在する凸部97が設けられている。凸部97の先端には、凹部50の先端に係合可能な係合突起98が設けられている。なお、
図6において、針保護部材26の図示は省略している。
【0099】
凸部97は、左右のオス嵌合部92の内側の側壁面96に設けられる代わりに、左右のオス嵌合部92の外側の側壁面に設けられてもよい。この場合、凹部50は、針保持部36の側面に設けられることに代えて、針ハブ22の側壁34a、34bの内面に設けられる。また、係合突起98は、凸部97に設けられる必要はなく、オス嵌合部92における凸部97以外の箇所に設けられてもよい。この場合、針ハブ22には、オス嵌合部92に設けられる凸部97の位置に応じて、凸部97が係合可能な被係合部(溝等)が設けられる。
【0100】
図1において、ワイヤ操作部材84は、カテーテル16を患者の血管内に挿入する操作に先行して、ガイドワイヤ80を血管内に挿入する操作を行うための操作部である。ワイヤ操作部材84は、ガイドワイヤ80を支持し、案内部材82に対して軸方向に相対変位可能であり、変位に伴って案内部材82に対してガイドワイヤ80を移動させるように構成されている。本実施形態では、ワイヤ操作部材84は、細い丸棒状部材であり、ガイドワイヤ80の基端部に固定されている。
【0101】
ワイヤ操作部材84がカバー86から基端方向に抜けることを防止するために、
図3に示すように、ワイヤ操作部材84の先端には、径方向外方に僅かに突出し且つ周方向に延在する環状鍔部100が設けられている。また、ユーザがワイヤ操作部材84を軸方向に操作しやすいように、ワイヤ操作部材84の基端には、径方向外方に突出し且つ周方向に延在する指当て部102が設けられている。
【0102】
カバー86は、初期状態で案内部材82とワイヤ操作部材84との間のガイドワイヤ80を覆うように中空筒状に形成されるとともに、案内部材82に対するワイヤ操作部材84の先端方向への移動に伴って軸方向に収縮するように構成されている。本実施形態では、カバー86は、互いにサイズの異なる複数の筒状部材が軸方向に相対移動可能に組み合されたテレスコピック構造を有する。具体的に、カバー86は、互いに軸方向にスライド可能な外径の異なる3つの筒状部材(第1〜第3筒状部材104、106、108)を有する。
【0103】
第1筒状部材104は、案内部材82の胴体部88よりも小径に形成されており、胴体部88の内側に軸方向にスライド可能に挿入されている。
図3において、第1筒状部材104の先端外周部には、径方向外方に突出する環状鍔部104aが設けられている。胴体部88の基端内周部に設けられた係止突起88aにより環状鍔部104aが係止されることにより、第1筒状部材104が胴体部88から基端方向に抜けること(後方抜け)が防止されている。第1筒状部材104の基端内周部には、径方向内方に突出する環状の係止突起104bが設けられている。
【0104】
第2筒状部材106は、第1筒状部材104よりも小径に形成されており、第1筒状部材104の内側に軸方向にスライド可能に挿入されている。第2筒状部材106の先端外周部には、径方向外方に突出する環状鍔部106aが設けられている。第1筒状部材104の基端内周部に設けられた係止突起104bにより環状鍔部106aが係止されることにより、第2筒状部材106が第1筒状部材104から基端方向に抜けること(後方抜け)が防止されている。第2筒状部材106の基端内周部には、径方向内方に突出する環状の係止突起106bが設けられている。
【0105】
第3筒状部材108は、第2筒状部材106よりも小径に形成されており、第2筒状部材106の内側に軸方向にスライド可能に挿入されている。第3筒状部材108の先端外周部には、径方向外方に突出する環状鍔部108aが設けられている。第2筒状部材106の基端内周部に設けられた係止突起106bにより環状鍔部108aが係止されることで、第3筒状部材108が第2筒状部材106から基端方向に抜けること(後方抜け)が防止されている。
【0106】
図8において、第3筒状部材108の基端内周部には、径方向内方に突出する環状の係止突起108bが設けられている。この係止突起108bにより、ワイヤ操作部材84の先端に設けられた環状鍔部100が係止されることで、ワイヤ操作部材84が第3筒状部材108から基端方向に抜けること(後方抜け)が防止されている。
【0107】
第3筒状部材108の基端内周部には、係止突起108bの先端側に隣接して、初期状態でワイヤ操作部材84の環状鍔部100が嵌合する嵌合部108cが設けられている。嵌合部108cの内径は、第3筒状部材108の内腔のうち嵌合部108cよりも先端側の部分の内径よりも僅かに小さい。ワイヤ操作部材84の環状鍔部100は、ユーザがワイヤ操作部材84を先端方向に操作した際に嵌合部108cから先端方向に外れるような比較的小さい嵌合力で、嵌合部108cに嵌っている。これにより、ワイヤ操作部材84は、カバー86に対する可動範囲の最も基端側の位置で、カバー86に解除可能に固定されている。
【0108】
また、カバー86には、カバー86が軸方向に最も収縮した状態(収縮状態)になった際に、カバー86の収縮状態を保持するロック機構112が設けられている。本実施形態では、第3筒状部材108の基端外周部に設けられたロック筒113が、上記のロック機構112として機能する。具体的に、ロック筒113は、第3筒状部材108の基端から径方向外方に延出する径方向壁114と、径方向壁114の外端から先端方向に延出する軸方向壁115とを有する。軸方向壁115と第3筒状部材108の外周面との間には、先端方向に開口する環状凹部116が形成されている。
【0109】
ロック筒113は、案内部材82の胴体部88の基端外周部に外側から嵌合可能である。ロック筒113と胴体部88とが嵌合した状態(
図10参照)では、ロック筒113の内周面と胴体部88の外周面とが接触し合うことによる摩擦抵抗によって、第3筒状部材108と案内部材82とが相互固定される。これにより、カバー86が収縮状態になった後に、カバー86が再び伸長することが抑制される。
【0110】
なお、ロック筒113による、案内部材82と第3筒状部材108との相互固定力は、強固な固定力である必要はなく、収縮状態のカバー86が意図せずに伸長することを抑制できる程度の固定力であればよい。ロック筒113に、例えば、第3筒状部材108の外周面に係合可能な爪を設け、当該爪の係合により、案内部材82と第3筒状部材108とを強固に固定するようにしてもよい。
【0111】
ロック機構112の構成は、上記のロック筒113に限られない。例えば、ロック機構112の変形例は、カバー86の収縮状態で、案内部材82及び第1〜第3筒状部材104、106、108において、径方向に隣接する部材同士の軸方向の相対変位を係合又は嵌合によって阻止又は抑制するように構成されてもよい。
【0112】
カバー86を構成する材料は、適度に硬質であれば特に限定されるものではないが、例えば、カテーテルハブ18で挙げた材料を適宜選択し得る。
【0113】
カバー86は、2つ以下の筒状部材により構成されてもよく、あるいは4つ以上の筒状部材により構成されてもよい。いずれの場合でも、ロック筒113は、最も内側の筒状部材に設けられる。カバー86が意図せずに縮むことを防止するため、カバー86を初期状態(
図1参照)の長さに仮固定する機構がカバー86に設けられてもよい。このような仮固定のための機構は、例えば、互いに隣接する筒状部材同士の嵌合や係合によって実現できる。
【0114】
次に、上記のように構成されたカテーテル組立体10Aの作用及び効果について説明する。カテーテル組立体10Aは、例えば以下の手順に従って使用することができる。
【0115】
(1)ガイドワイヤ要否判断
カテーテル組立体10Aを用いた処置に際して、ユーザは、ガイドワイヤ80の使用要否を判断する。具体的には、超音波ガイドにより得られる血管情報(血管の深さ、細さ、狭窄の有無等)や、患者の血管確保失敗経験等により、ガイドワイヤ80の使用要否を判断する。
【0116】
(2)ガイドワイヤユニット装着
ガイドワイヤ80の使用を要すると判断した場合には、次に、ユーザは、
図9のように、初期状態のカテーテルユニット12に、初期状態のガイドワイヤユニット14を装着する。具体的には、針ハブ22の基端部に設けられた第1嵌合部48(複数のメス嵌合部49)(
図2等参照)に、当該メス嵌合部49の基端開口を介して、案内部材82に設けられた第2嵌合部90(複数のオス嵌合部92)を嵌合させる。
【0117】
第1嵌合部48に第2嵌合部90を嵌合させる際、凸部97(
図5参照)は、凹部50(
図4参照)に進入する。オス嵌合部92がメス嵌合部49に完全に嵌合することによって針ハブ22に対する案内部材82の装着が完了した状態(以下、「装着状態」ともいう)では、
図6のように、凸部97と凹部50とは軸方向の一定範囲に亘って嵌合している。このため、針ハブ22に対する案内部材82の上下方向のグラツキが抑制される。
【0118】
また、オス嵌合部92がメス嵌合部49へと進入することに伴って、係合突起98は凹部50内を先端方向に進んで、凹部50の先端に連なる切欠部52へと到達したところで、切欠部52に引っ掛かる。これにより、装着状態では、係合突起98は針保持部36に係合する。この係合によって、案内部材82が針ハブ22から基端方向に抜けることが阻止される。
【0119】
(3)ガイドワイヤ先端位置設定
次に、ユーザは、ガイドワイヤユニット14を操作することにより、
図10のように、ガイドワイヤ80を内針20の内腔21に導入するとともに、内針20の先端部の内腔21(突出長ゼロ位置)にガイドワイヤ80の先端を配置する。なお、突出長ゼロ位置において、ガイドワイヤ80の先端(最先端位置)は、内針20の先端と同じ又はそれよりも僅かに基端側(例えば、内針20に設けられた切り欠き近傍)に位置しており、従って、ガイドワイヤ80は内針20の先端から突出していない。
【0120】
具体的には、カバー86を軸方向に収縮させる。このとき、案内部材82に対するカバー86の基端部(第3筒状部材108)の先端方向への相対変位に伴って、第3筒状部材108からの後方抜けが阻止されたワイヤ操作部材84も先端方向へと移動させられる。また、ワイヤ操作部材84の移動に伴って、ワイヤ操作部材84に基端部が固定されたガイドワイヤ80が、先端方向へと移動させられる。その際、ガイドワイヤ80の先端は、ワイヤ導出孔94(
図7参照)から、ワイヤ導入孔46(
図5参照)を介して内針20の内腔21へと移動し、内針20の内腔21を先端方向に進む。
【0121】
そして、カバー86が軸方向に最も収縮した状態では、ガイドワイヤ80の先端は、内針20の先端部の内腔21(突出長ゼロ位置)に位置する。このとき、嵌合部108cと環状鍔部100との嵌合作用下に(
図8参照)、ワイヤ操作部材84は、カバー86に対する可動範囲の最も基端側の位置で、カバー86に解除可能に固定されている。従って、患者への穿刺前にガイドワイヤ80が内針20の先端から突出することを防止できる。
【0122】
また、カバー86が軸方向に最も収縮した状態では、ロック機構112(ロック筒113)により、カバー86の伸長が抑制されている。従って、ガイドワイヤ80の先端を突出長ゼロ位置に配置した後にガイドワイヤ80が後退することを防止することができる。
【0123】
(4)穿刺操作
次に、ユーザは、カテーテルユニット12を患者の皮膚に穿刺する穿刺操作を行う。穿刺操作において、ユーザは、針ハブ22を把持しつつ、カテーテルユニット12の先端部(内針20が挿通されたカテーテル16の先端部)を患者に押し当てるようにして、穿刺目標の血管に向かって皮膚に穿刺する。これにより、内針20及びカテーテル16の先端部が皮膚に穿刺される。
【0124】
(5)ガイドワイヤ進出操作
次に、内針20及びカテーテル16の先端部が皮膚に穿刺された状態で、ユーザは、針ハブ22の位置を保持しつつ、
図11のように、案内部材82に対してワイヤ操作部材84を先端方向に移動させる。これにより、内針20の先端開口からガイドワイヤ80を所定長突出させる。この結果、ガイドワイヤ80の先端部が血管内の目標位置に挿入される。
【0125】
(6)カテーテル進出操作
次に、ユーザは、針ハブ22の位置を固定しつつ、カテーテル操作部材24を先端方向に操作してカテーテル部材19(カテーテル16及びカテーテルハブ18)を前進させる。この場合、ユーザは、例えば、カテーテル操作部材24のタブ60やタブ62に指を当てて、針ハブ22に対して相対的にカテーテル操作部材24を先端方向にスライドさせる。これによりカテーテル16を血管内の目標位置まで挿入する。なお、カテーテル操作部材24が患者の皮膚に接触しないように、カテーテル操作部材24の操作板部54を上方に湾曲させながら、カテーテル操作部材24を前進させる。
【0126】
(7)内針抜去操作
次に、ユーザは、カテーテル操作部材24及びカテーテル部材19の位置を保持しつつ、針ハブ22を基端方向に引っ張る。これにより、
図12のように、カテーテル部材19及びカテーテル操作部材24が針ハブ22から完全に出るとともに、針ハブ22に固定された内針20がカテーテル16から抜去される。
【0127】
この際、本実施形態では、針保護部材26及びシャッタ76(
図2参照)によるセーフティ機能が発現する。すなわち、針先20aが針保護部材26内でシャッタ76よりも基端側に移動することに伴って、シャッタ76が針保護部材26内の針挿通路を遮断する。これにより、針保護部材26の先端からの内針20の再突出が阻止される。
【0128】
また、針保護部材26内で、アーム72の基端に設けられた内方突起よりも針先20aが基端側に移動すると、内針20による内方突起の内側への変位の阻止が解除されるため、アーム72の先端側が拡開可能な状態になる。このため、
図12の状態からさらに針ハブ22を基端方向に引っ張ると、カテーテルハブ18と針保護部材26との連結が解除される。これにより、
図13のように、針保護部材26がカテーテルハブ18から分離する。
【0129】
(8)カテーテル操作部材取り外し
次に、ユーザは、
図13のように、カテーテル操作部材24をカテーテルハブ18から取り外す。これにより、カテーテル部材19は患者に留置される。なお、ユーザの好みによっては、カテーテル操作部材24をカテーテルハブ18に取り付けたままにしてもよい。
【0130】
(9)輸液剤投与
次に、内針20が抜き取られた状態のカテーテル部材19の基端側(カテーテルハブ18の基端部)に、図示しない輸液チューブのコネクタを接続し、輸液チューブから患者への輸液剤(薬液)の投与を実施する。
【0131】
一方、上記(1)のガイドワイヤ要否判断において、ガイドワイヤ80の使用を要しないと判断した場合、上記(2)、(3)及び(5)を除き、ガイドワイヤ80を使用する場合と同様の操作を行うことで、患者の体内にカテーテル16を留置する。なお、上記(1)の段階でガイドワイヤ80の使用を要しないと判断した場合であっても、穿刺を開始した以降にガイドワイヤ80を使用したいと考えることもあり得る。そのような場合には、上記(2)、(3)及び(5)を、上記(4)又は(6)に続いて行ってもよい。
【0132】
以上説明したように、カテーテル組立体10Aによれば、留置が簡単そうな患者にカテーテル16を留置する場合には、ガイドワイヤユニット14を用いないため、操作が簡便であり、操作の取得も容易であり、デバイスもコンパクトになる。また、留置が難しそうな患者にカテーテル16を留置する場合には、針ハブ22に案内部材82を装着して、ガイドワイヤ80を使用することで、スムーズな留置が可能となる。このように状況に応じてガイドワイヤ80の使用の有無を選択することで、それぞれの場合のメリットを享受できる。
【0133】
また、本実施形態に係るカテーテル組立体10Aは、案内部材82に対して軸方向に相対変位可能なワイヤ操作部材84を備え、ワイヤ操作部材84の軸方向への操作に伴ってガイドワイヤ80が前進する。この構成により、血管内へのガイドワイヤ80の挿入を簡単な操作で行うことができる。
【0134】
さらに、本実施形態に係るカテーテル組立体10Aは、案内部材82に対するワイヤ操作部材84の先端方向への移動に伴って軸方向に収縮するカバー86を備えるため、初期状態ではカバー86によってガイドワイヤ80が覆われる。これにより、ガイドワイヤ80の汚染を防止できる。
【0135】
本実施形態では、案内部材82が針ハブ22に装着され、カバー86が軸方向に最も収縮し、且つ、ワイヤ操作部材84がカバー86に対して最も基端側に位置する状態で、内針20の先端部の内腔21にガイドワイヤ80の先端が位置する。この構成により、突出長ゼロ位置にガイドワイヤ80の先端を容易に配置することができる。従って、突出長ゼロ位置の状態でカテーテル組立体10Aを患者に穿刺して、その後の血管内へのガイドワイヤ80の挿入を効率的に行うことができる。
【0136】
特に、ワイヤ操作部材84は、カバー86に対する可動範囲の最も基端側の位置で、カバー86に解除可能に固定されるため、ガイドワイヤ80の先端を突出長ゼロ位置に仮固定し、患者への穿刺前にガイドワイヤ80が内針20の先端から突出することを防止できる。しかも、カバー86には、カバー86が軸方向に最も収縮した際に、カバー86を案内部材82に対して固定するロック機構112が設けられているため、ガイドワイヤ80の先端を突出長ゼロ位置に配置した後にガイドワイヤ80が後退することを防止することができる。
【0137】
本実施形態では、カバー86は、互いにサイズの異なる複数の筒状部材104、106、108が軸方向に相対移動可能に組み合されたテレスコピック構造を有する。この構成により、ワイヤ操作部材84を案内部材82に対して先端方向にスムーズに移動させることができる。
【0138】
ガイドワイヤユニット14において、内針20の先端からのガイドワイヤ80の突出長を示すための機構が設けられてもよい。そのような機構は、例えば、
図14に示すように、ワイヤ操作部材84の表面に、軸方向に間隔を置いて設けられた複数のマーカ120の形態を有していてもよい。複数のマーカ120は、目盛りとして機能する。ユーザは、カバー86が軸方向に最も縮んだ状態においてワイヤ操作部材84を先端方向に操作する際、カバー86の基端面(第3筒状部材108の基端面)を基準位置として参照しながらマーカ120を見ることで、内針20の先端からのガイドワイヤ80の突出長を知ることができる。これらマーカ120には数字が付記されていてもよい。
【0139】
図15に示すように、ガイドワイヤユニット14において、ガイドワイヤ80の血管内への過挿入を防止するための過挿入防止部材122が設けられてもよい。過挿入防止部材122は、ユーザがワイヤ操作部材84の軸方向の任意の位置で固定可能に構成されている。ユーザがワイヤ操作部材84を先端方向に操作すると、過挿入防止部材122も一緒に先端方向に移動する。移動に伴って過挿入防止部材122は、カバー86の基端部によって係止され、これにより、ガイドワイヤ80のそれ以上の進出が阻止され、過挿入が防止される。
【0140】
また、過挿入防止部材122にガイドワイヤ後退防止機構の機能を持たせるため、
図15のように、過挿入防止部材122は、弾性変形可能な係合アーム124を有してもよい。この場合、過挿入防止部材122は、仮想線で示すように、カバー86に係止されると同時に、係合アーム124がカバー86又は案内部材82に係合する。この係合によって、ワイヤ操作部材84は案内部材82に対して後退することが阻止される。従って、内針20の先端からガイドワイヤ80を任意の突出長で突出させた状態からガイドワイヤ80が意図せずに後退することを防止することができる。なお、このような過挿入防止部材122の代わりに、ガイドワイヤ後退防止機構がワイヤ操作部材84の基端部に固定して設けられていてもよい。
【0141】
図16のように、ガイドワイヤユニット14において、カバー86は、軸方向に伸縮可能な蛇腹部材126により構成されていてもよい。蛇腹部材126の先端部は案内部材82に接続されている。蛇腹部材126の基端部は、第3筒状部材108の基端部(
図8参照)と同様に構成されていてもよい。
【0142】
また、
図16に示すガイドワイヤユニット14のように、ガイドワイヤ80の直進性を向上させるためにガイド機構128が設けられてもよい。例示されたガイド機構128は、案内部材82に固定され案内部材82から基端方向に延出するガイドロッド130と、ワイヤ操作部材84に固定されガイドロッド130を摺動可能に支持する支持部132とを有する。
【0143】
この場合、ガイドロッド130には、内針20の先端からのガイドワイヤ80の突出長を確認するためのリファレンス部134(例えば、目盛り)が設けられてもよい。ユーザは、蛇腹部材126が軸方向に最も縮んだ状態においてワイヤ操作部材84を先端方向に操作する際、支持部132との関係でリファレンス部134を見ることで、内針20の先端からのガイドワイヤ80の突出長を知ることができる。
【0144】
また、ガイドロッド130には、ガイドワイヤ80の血管内への過挿入を防止するための過挿入防止部材136が設けられてもよい。過挿入防止部材136は、ユーザがガイドロッド130の軸方向の任意の位置で固定可能に構成されるとよい。蛇腹部材126が軸方向に最も縮んだ状態において、ユーザがワイヤ操作部材84を先端方向に操作すると、過挿入防止部材136によって支持部132が係止される。これにより、ガイドワイヤ80のそれ以上の進出が阻止され、過挿入が防止される
【0145】
[第2実施形態]
図17に示す第2実施形態に係るカテーテル組立体10Bは、カテーテルユニット12と、針ハブ22の基端部に装着可能であり内針20に向けてガイドワイヤ80を案内するように構成された案内部材140とを備える。カテーテル組立体10Bにおけるカテーテルユニット12は、上述したカテーテル組立体10A(
図1等参照)におけるカテーテルユニット12と同一構成である。ガイドワイヤ80の基端部にはガイドワイヤハブ81が固定されている。
【0146】
図18Aに示すように、案内部材140は、断面Y字状のガイド溝144を有する胴体部146と、胴体部146の先端から先端方向に突出した第2嵌合部90(左右のオス嵌合部92)とを備える。胴体部146に設けられたガイド溝144は、直線状に延在する細い底部148と、底部148に連なるとともに底部148よりも幅広で上方に開口する誘導部150とを有する。
【0147】
底部148は、案内部材140が針ハブ22に装着された状態で、内針20の内腔21と同軸に位置するように形成されている。
図18Bに示すように、誘導部150は、案内部材140の上面で開口するとともに、底部148と平行に延在する。また、誘導部150は、底部148の内壁上端に連なる左右の傾斜面150aを有し、底部148に向かって幅が狭くなっている。
【0148】
また、
図19に示すように、案内部材140は、案内部材82(
図4等参照)と同様に、ワイヤ導出孔94が形成された挿入突起89を有する。ワイヤ導出孔94は、底部148と同軸に連通している。
【0149】
なお、案内部材140の第2嵌合部90は、上述した案内部材82の第2嵌合部90と同一構成である。
【0150】
次に、上記のように構成されたカテーテル組立体10Bの作用及び効果について説明する。
【0151】
カテーテル組立体10Bを用いた処置に際して、ユーザは、カテーテル組立体10Aの使用方法における上記(1)と同様にガイドワイヤ80の使用要否を判断する。そして、ガイドワイヤ80の使用を要すると判断した場合には、例えば以下の手順に従って使用することができる。
【0152】
図20のように、ユーザは、初期状態のカテーテルユニット12の針ハブ22の基端部に、案内部材140を装着する。具体的には、針ハブ22の基端部に設けられた第1嵌合部48に、左右のメス嵌合部49(
図17参照)の基端開口を介して、案内部材140に設けられた第2嵌合部90を嵌合させる。
【0153】
次に、
図21Aのように、ユーザは、ガイドワイヤ80の先端を案内部材140のガイド溝144に載せる。そうすると、ガイドワイヤ80の先端は、ガイド溝144の底部148に入り込み、内針20の内腔21と同軸に位置する。この際、ユーザがガイドワイヤ80の先端位置を底部148に正確に合わせようとしなくても、誘導部150の傾斜面150aに沿ってガイドワイヤ80の先端が底部148へとスムーズにガイドされる。このため、ガイドワイヤ80の先端は、内針20の内腔21と同軸位置に容易に位置付けられる。
【0154】
次に、
図21Bのように、ユーザは、案内部材140に対してガイドワイヤ80を先端方向に移動させ、これにより、ガイドワイヤ80を内針20の内腔21に挿入する。この際、ガイドワイヤ80の先端は、案内部材140の底部148からワイヤ導出孔94(
図19参照)へと移動し、さらにワイヤ導出孔94から先端方向に導出されて、内針20の内腔21へと挿入される。この挿入操作において、
図22のように、ユーザは、例えば、ガイドワイヤ80の先端を、内針20の先端部の内腔21(突出長ゼロ位置)に位置させる。
【0155】
次に、ユーザは、カテーテル組立体10Aの使用方法における上記(4)と同様に、カテーテルユニット12を患者の皮膚に穿刺する穿刺操作を行う。次に、ユーザは、案内部材140に対してガイドワイヤ80を先端方向に移動させ、これにより、ガイドワイヤ80を先端方向へと移動させる。これにより、内針20の先端からガイドワイヤ80を所定長突出させ、ガイドワイヤ80の先端を血管内の目標位置まで挿入する。
【0156】
これ以降は、カテーテル組立体10Aの使用方法と同様に、上記(6)〜(9)の作業を行う。
【0157】
一方、カテーテル組立体10Bの使用に際し、ガイドワイヤ80の使用を要しないと判断した場合には、カテーテルユニット12のみを使用することになる。このときの使用方法は、上述したカテーテル組立体10Aにおいてガイドワイヤ80を使用しない場合のカテーテルユニット12の使用方法と同じである。
【0158】
以上説明したように、カテーテル組立体10Bによれば、留置が簡単そうな患者にカテーテル16を留置する場合には、案内部材140及びガイドワイヤ80を用いないため、操作が簡便であり、操作の取得も容易であり、デバイスもコンパクトになる。また、留置が難しそうな患者にカテーテル16を留置する場合には、針ハブ22に案内部材140を装着して、ガイドワイヤ80を使用することで、スムーズな留置が可能となる。このように状況に応じてガイドワイヤ80の使用の有無を選択することで、それぞれの場合のメリットを享受できる。
【0159】
特に、本実施形態では、案内部材140は、底部148と誘導部150とが形成されたガイド溝144を有する。この構成により、ガイドワイヤ80をガイド溝144に載せる際、誘導部150にてガイドワイヤ80の先端は底部148へと誘導され、底部148にてガイドワイヤ80の先端は内針20の内腔21に向けて案内される。従って、ガイドワイヤ80をスムーズに内針20の内腔21に挿入することができる。
【0160】
本実施形態では、使用時に、案内部材140とガイドワイヤ80とを組み合わせる。従って、様々な仕様(長さ、太さ、先端形状(ストレート、J字)、コシ等)のガイドワイヤ80を用意しておき、ユーザが希望するガイドワイヤ80を選択して使用することができる。また、本実施形態では、案内部材140と組み合わせて使うガイドワイヤ80は、案内部材140の専用品ではなく、汎用品のガイドワイヤから自由に選択することができる。
【0161】
図23のように、ガイドワイヤ80には、ガイドワイヤ80の血管内への過挿入を防止するための過挿入防止部材152が取り付けられてもよい。ガイドワイヤ80を血管内に挿入するためにユーザがガイドワイヤ80を案内部材140に対して先端方向に移動させると、過挿入防止部材152が案内部材140によって係止される。これにより、ガイドワイヤ80のそれ以上の先端方向への移動が阻止され、過挿入が防止される。
【0162】
過挿入防止部材152は、ユーザがガイドワイヤ80上の任意の位置で固定可能に構成されてもよい。例えば、輸液セット等では、チューブの開放と閉塞を切り換えるためのクランプがチューブに取り付けられ、このようなクランプはチューブの任意の位置で固定できる。従って、過挿入防止部材152がクランプと同様に構成されることで、ガイドワイヤ80上の任意の位置に過挿入防止部材152を取り付けることができる。
【0163】
図24のように、ガイドワイヤ80には、ガイドワイヤ後退防止部154が設けられてもよい。
図24において、ガイドワイヤ後退防止部154は、ガイドワイヤハブ81に一体的に形成されており、弾性変形可能な係合アーム156を有する。案内部材140の基端部には、係合アーム156が係合可能な突起158が設けられている。突起158に代えて、係合アーム156が係合可能な溝が設けられてもよい。
【0164】
係合アーム156が案内部材140と係合し、ロックすることにより、ガイドワイヤ80は案内部材140に対して後退することが阻止される。従って、内針20の先端からガイドワイヤ80を任意の突出長で突出させた状態からの意図しないガイドワイヤ80の後退を防止することができる。なお、上述した過挿入防止部材152(
図23参照)に係合アーム156と同様の係合アームを設けることで、過挿入防止部材152にガイドワイヤ後退防止機能を持たせてもよい。
【0165】
図25Aのように、ガイドワイヤ80の外面には、内針20の先端に対するガイドワイヤ80の先端位置を示すためのリファレンス部159が設けられてもよい。リファレンス部159は、案内部材140との位置関係で、ユーザに内針20の先端に対するガイドワイヤ80の先端の位置を知らせる。リファレンス部159は、ガイドワイヤ80の突出長ゼロ位置を示すマーカ159aや、内針20からのガイドワイヤ80の突出長を示す複数のマーカ159bを含んでもよい。
【0166】
図25Bのように、ガイドワイヤ80にはカバー160が取り付けられていてもよい。カバー160は、ガイドワイヤ80を収容するように中空状に形成されている。カバー160は、初期状態でガイドワイヤ80の先端まで覆う長さを有してもよく、あるいは、初期状態でガイドワイヤ80を先端開口161から所定長だけ突出させる長さを有していてもよい。このようなカバー160が設けられることにより、初期状態ではカバー160によってガイドワイヤ80が覆われるため、ガイドワイヤ80の汚染を防止できる。
【0167】
図26のように、カバー160は、案内部材140を介してガイドワイヤ80を内針20に挿入することに伴って先端が基端方向に押されることで縮むように、軟質に構成されていてもよい。この構成により、ガイドワイヤ80の挿入に伴ってカバー160が縮むため、ガイドワイヤ80の挿入を支障なく行うことができる。
【0168】
図27のように、カバー160の先端には、案内部材140に接続可能に構成されたコネクタ162が設けられてもよい。このコネクタ162は、案内部材140に接続された状態で、案内部材140に対して傾斜して、先端がガイド溝144に臨むように構成されている。案内部材140には、コネクタ162が嵌合可能な嵌合部164が設けられている。例えば、コネクタ162は、嵌合部164にテーパ嵌合する。コネクタ162は、嵌合部164にストレート嵌合してもよい。
【0169】
なお、ガイドワイヤ80を覆うカバー160の変形例は、コンパクト化のために渦巻き状に構成されたチューブであってもよい。
【0170】
なお、第2実施形態のうち、第1実施形態と共通する部分については、第1実施形態と同一又は同様の作用及び効果が得られる
【0171】
[第3実施形態]
図28に示す第3実施形態に係るカテーテル組立体10Cは、カテーテル組立体10Cの主要部を構成するカテーテルユニット12と、このカテーテルユニット12に装着可能であり、ガイドワイヤ80と案内部材168とワイヤ操作部材170とを有するガイドワイヤユニット172とを備える。
【0172】
図29に示すように、カテーテルユニット12の針ハブ22には、側方に突出するとともに軸方向に延在するガイドリブ174(ガイド部)設けられている。ガイドリブ174は、ガイドワイヤ80の先端を内針20の先端から所定長だけ突出させるためにワイヤ操作部材170を針ハブ22に対して前進させる際に、ワイヤ操作部材170をスライド可能に支持して軸方向に案内するように構成されている。例示されたガイドリブ174は、右側の側壁34bにおける先端側領域41の基端上部から右方向に突出している。
【0173】
カテーテル組立体10Cの製品提供状態では、
図28に示すように、ガイドワイヤユニット172とカテーテルユニット12とは分離している。ガイドワイヤユニット172は、ガイドワイヤ80と、針ハブ22の基端部に装着可能でありガイドワイヤ80を案内する案内部材168と、ガイドワイヤ80の基端部に固定されるとともに案内部材168によって軸方向にスライド可能に支持されたワイヤ操作部材170とを備える。
【0174】
図30において、案内部材168は、内針20に向けてガイドワイヤ80を案内するように構成されている。具体的に、案内部材168は、直線状に延在する胴体部176と、胴体部176の先端から先端方向に突出した複数(2つ)のオス嵌合部92を有する第2嵌合部90と、胴体部176の先端から先端方向に延出したガイドレール178とを備える。
【0175】
胴体部176には、ワイヤ導出孔94が形成された挿入突起89が先端部に設けられるとともに、胴体部176の長手方向に沿って直線状に延在するスライド溝180が設けられている。図示例のスライド溝180は、胴体部176の上面及び基端面で開口している。
【0176】
スライド溝180の先端は、胴体部176の先端部に位置し、ワイヤ導出孔94と連通している。
図31に示すように、スライド溝180を形成する左右の側壁の各上部は内方に若干だけ突出しており、これによりスライド溝180は、相対的に幅の広い下部180aと、相対的に幅の狭い上部180bとを有する。
【0177】
図30において、案内部材168は、ガイドワイヤ80の全長よりも長い。初期状態のガイドワイヤユニット172において、ガイドワイヤ80は、胴体部176内に収容されている。ガイドワイヤ80の先端は、ワイヤ導出孔94内に配置されており、ガイドワイヤ80の他の部分は、スライド溝180内に配置されている。
【0178】
ガイドレール178は、案内部材168が針ハブ22に装着された状態で針ハブ22に軸方向に重なり、ワイヤ操作部材170をスライド可能に支持して軸方向に案内するように構成されている。図示例のガイドレール178は、オス嵌合部92と平行に延在するとともに、オス嵌合部92よりも先端側に突出している。
【0179】
案内部材168が針ハブ22に装着された状態で、ガイドレール178は、針ハブ22の右側の側壁34bの上面に載る(
図33参照)。これにより、ガイドレール178は、当該上面によって下方から支持される。
図30において、ガイドレール178には、側方に突出するとともにガイドレール178の長手方向に沿って延在する突起182が設けられている。
【0180】
ワイヤ操作部材170は、軸方向にスライド可能に案内部材168に対して係合したスライド部184と、スライド部184から先端方向に延出した延在部186とを有する。スライド部184の下部の左右両側には、左右外側に突出した膨出部185が形成されている。スライド溝180の下部180aに膨出部185が嵌合することにより、スライド溝180からスライド部184が上方に抜け出ることが防止されている。
【0181】
図示例のワイヤ操作部材170において、延在部186は、スライド部184から左右方向にずれた位置に設けられており、延在部186とスライド部184とは連結部188を介して一体に連結されている。延在部186の上面には、ユーザが指で触れて操作する際の滑り止めのために、多数のリブ190が間隔を置いて設けられている。
【0182】
図31に示すように、延在部186の幅方向の両端縁には下方に突出する突出部186a、186bが設けられている。右側の突出部186bの下端には内方に突出したリブ186cが設けられている。延在部186がガイドレール178(
図30参照)上をスライドする際、突出部186a、186bはガイドレール178の左右上部に対向するとともに、リブ186cはガイドレール178に設けられた突起182に係合する。これにより延在部186はガイドレール178に沿って直線的に案内される。
【0183】
案内部材168が針ハブ22に装着され、且つガイドワイヤ80の先端が内針20の先端部の内腔21に位置する状態(
図34参照)で、延在部186の最先端部は、針ハブ22の最基端部よりも先端側に位置し、好ましくは、針ハブ22の長手方向中央部よりも先端側に位置する。
【0184】
図30に示すように、案内部材168には初期位置仮固定部192が設けられてもよい。ガイドワイヤユニット172の初期状態において、ワイヤ操作部材170は、初期位置仮固定部192により、案内部材168の基端部で、案内部材168に解除可能に固定される。本実施形態において、初期位置仮固定部192は、スライド溝180の基端部において軸方向に間隔を置いて設けられた2つの突起192a、192bを有する。
【0185】
初期状態において、先端側の突起192aがスライド部184の先端角部に解除可能に係合し、基端側の突起192bがスライド部184の基端角部に係合している。これにより、ワイヤ操作部材170は、案内部材168に対して初期位置に仮固定されている。
【0186】
また、案内部材168には、中間位置仮固定部194が設けられてもよい。中間位置仮固定部194は、ガイドワイヤ80を突出長ゼロ位置に配置する中間位置でワイヤ操作部材170を案内部材168に対して解除可能に固定する。本実施形態において、中間位置仮固定部194は、スライド溝180の中間部において軸方向に間隔をおいて設けられた2つの突起194a、194bを有する。
【0187】
ガイドワイヤ80を突出長ゼロ位置に移動させるようにワイヤ操作部材170を案内部材168に対して先端方向に移動させると、先端側の突起194aがスライド部184の先端角部に解除可能に係合し、基端側の突起194bがスライド部184の基端角部に解除可能に係合する。
【0188】
ガイドワイヤユニット172には、内針20の先端からガイドワイヤ80が所定長突出したときに案内部材168に対するワイヤ操作部材170の基端方向の移動を抑制するように構成されたガイドワイヤ後退防止機構が設けられていてもよい。ガイドワイヤ後退防止機構は、例えば、
図32のように、スライド溝180の先端部に設けられ、スライド溝180の幅方向内側に膨出した膨出部196の形態を有していてもよい。スライド溝180の先端部は、膨出部196が設けられることによって、膨出部196よりも基端側の部分よりも幅が狭められている。
【0189】
内針20の先端からガイドワイヤ80を所定長突出させる位置にワイヤ操作部材170を案内部材168に対して先端方向に移動させることに伴い、スライド部184の先端部は、スライド溝180の先端部に嵌合する。これにより、内針20の先端からガイドワイヤ80を任意の突出長で突出させた状態からガイドワイヤ80が意図せずに後退することを防止することができる。
【0190】
なお、図示例では、膨出部196の側面はスライド部184の移動可能方向(軸方向)と平行であることから、スライド溝180の先端部でのスライド部184の嵌合形態は、ストレート嵌合である。ストレート嵌合に代えて、スライド溝180の先端部での幅が先端方向に向かって狭くなるように膨出部196の側面をテーパ状に形成することにより、スライド溝180の先端部でのスライド部184の嵌合形態をテーパ嵌合としてもよい。
【0191】
次に、上記のように構成されたカテーテル組立体10Cの作用及び効果について説明する。
【0192】
カテーテル組立体10Cを用いた処置に際して、ユーザは、カテーテル組立体10Aの使用方法における上記(1)と同様にガイドワイヤ80の使用要否を判断する。そして、ガイドワイヤ80の使用を要すると判断した場合には、例えば以下の手順に従って使用することができる。
【0193】
(2c)ガイドワイヤユニット装着
図33のように、ユーザは、初期状態のカテーテルユニット12に、初期状態のガイドワイヤユニット172を装着する。具体的には、針ハブ22の基端部に設けられた第1嵌合部48に、メス嵌合部49(
図28参照)の基端開口を介して、案内部材168に設けられた第2嵌合部90を嵌合させる。
【0194】
(3c)ガイドワイヤ先端位置設定
次に、ガイドワイヤユニット172を操作することにより、ガイドワイヤ80を内針20の内腔21に導入するとともに、内針20の先端部の内腔21(突出長ゼロ位置)にガイドワイヤ80の先端を配置する。具体的には、
図34のように、案内部材168に対してワイヤ操作部材170を先端方向に移動させることで、ガイドワイヤ80を先端方向に移動させる。
【0195】
その際、ワイヤ操作部材170に対する先端方向への操作力が初期位置仮固定部192(
図33参照)の固定力を超えることで、スライド部184は、初期位置仮固定部192の先端側の突起192aを乗り越えて先端方向へと移動する。また、ガイドワイヤ80の先端は、ワイヤ導出孔94(
図30参照)から、ワイヤ導入孔46(
図4参照)を介して内針20の内腔21へと移動し、内針20の内腔21を先端方向に進む。
【0196】
案内部材168に対してワイヤ操作部材170が先端方向に移動する際、延在部186はガイドレール178に載り、ガイドレール178によって軸方向にガイドされる。このため、延在部186は左右上下にグラツクことがなく、案内部材168に対してワイヤ操作部材170を安定して先端方向に移動させることができる。
【0197】
そして、スライド部184が中間位置仮固定部194に到達すると、スライド部184は中間位置仮固定部194によって仮固定される。すなわち、スライド部184の先端角部が先端側の突起194aに係止されるとともにスライド部184の基端角部が基端側の突起194bに係止されることで、スライド部184の先端方向及び基端方向への移動が抑制される。これにより、ガイドワイヤ80の先端が突出長ゼロ位置に配置された状態で、案内部材168に対するワイヤ操作部材170の移動が制限され、意図しないガイドワイヤ80の突出又は後退が抑制される。
【0198】
次に、ユーザは、上記(4)と同様に、カテーテルユニット12を患者の皮膚に穿刺する穿刺操作を行う。
【0199】
(5c)ガイドワイヤ進出操作
次に、ユーザは、内針20及びカテーテル16の先端部が皮膚に穿刺された状態で、針ハブ22の位置を保持しつつ、案内部材168に対してワイヤ操作部材170を先端方向に移動させる。これにより、
図35のように、内針20の先端からガイドワイヤ80を所定長突出させる。
【0200】
その際、ワイヤ操作部材170に対する先端方向への操作力が中間位置仮固定部194の固定力を超えることで、スライド部184は、中間位置仮固定部194の先端側の突起194aを乗り越えて先端方向へと移動する。延在部186は、針ハブ22の右側の側壁34bの上面に支持されながら、先端方向へとスライドする。このとき、針ハブ22に設けられたガイドリブ174(
図29参照)によって延在部186が軸方向に案内されるため、ワイヤ操作部材170を安定して先端方向に移動させることができる。内針20の先端からのガイドワイヤ80の突出に伴い、ガイドワイヤ80の先端部が血管内の目標位置に挿入される。
【0201】
これ以降のカテーテル組立体10Cの操作は、カテーテル組立体10Aの使用方法における上記(6)〜(9)の操作と同様に行えばよい。
【0202】
一方、カテーテル組立体10Cにおいて、ガイドワイヤ80の使用を要しないと判断した場合には、カテーテルユニット12のみを使用することになる。このときの使用方法は、上述したカテーテル組立体10Aにおいてガイドワイヤ80を使用しない場合のカテーテルユニット12の使用方法と同じである。
【0203】
以上説明したように、カテーテル組立体10Cによれば、留置が簡単そうな患者にカテーテル16を留置する場合には、ガイドワイヤユニット172を用いないため、操作が簡便であり、操作の取得も容易であり、デバイスもコンパクトになる。また、留置が難しそうな患者にカテーテル16を留置する場合には、針ハブ22に案内部材168を装着して、ガイドワイヤ80を使用することで、スムーズな留置が可能となる。このように状況に応じてガイドワイヤ80の使用の有無を選択することで、それぞれの場合のメリットを享受できる。
【0204】
特に、本実施形態では、ワイヤ操作部材170は、案内部材168によって軸方向にスライド可能に支持されているため、内針20側へとガイドワイヤ80を進める操作と、内針20の先端からガイドワイヤ80を突出させる操作とを容易に行うことができる。
【0205】
本実施形態では、案内部材168が針ハブ22に装着され、且つガイドワイヤ80の先端が内針20の先端部内に位置する状態で、延在部186の最先端部は、針ハブ22の最基端部よりも先端側に位置する。この構成により、ワイヤ操作部材170を操作しやすい。
【0206】
本実施形態では、案内部材168には、案内部材168が針ハブ22に装着された状態で針ハブ22に軸方向に重なり、延在部186をスライド可能に支持して軸方向に案内するガイドレール178が設けられている。この構成により、ワイヤ操作部材170の直進安定性を向上できる。
【0207】
本実施形態では、針ハブ22には、ガイドワイヤ80の先端を内針20の先端から所定長だけ突出させるためにワイヤ操作部材170を針ハブ22に対して前進させる際に、延在部186をスライド可能に支持して軸方向に案内するガイドリブ174(
図29参照)が設けられている。この構成により、ワイヤ操作部材170の直進安定性を向上できる。
【0208】
本実施形態では、案内部材168には、内針20の先端からガイドワイヤ80が所定長だけ突出するようにガイドワイヤ80が前進した後に針ハブ22に対してワイヤ操作部材170が後退することを防止するガイドワイヤ後退防止機構(膨出部196;
図32参照)が設けられている。この構成により、ガイドワイヤ80の挿入をスムーズに行うことができる。
【0209】
本実施形態では、案内部材168がガイドワイヤ80よりも長く形成されており、初期状態でガイドワイヤ80の全長が案内部材168に収容されている。このような構成に代えて、案内部材168をガイドワイヤ80よりも短く構成し、ガイドワイヤユニット172がカテーテルユニット12に装着される前の状態において、ガイドワイヤ80が案内部材168から前方に長く露出していてもよい。
【0210】
本実施形態では、ガイドワイヤ80はワイヤ操作部材170に固定されているため、ワイヤ操作部材170を軸方向に操作する際、ガイドワイヤ80はワイヤ操作部材170と同じ移動距離だけ移動する。このような構成に代えて、ワイヤ操作部材170の移動距離の整数倍、ガイドワイヤ80が移動するようにワイヤ操作部材170及びガイドワイヤ80が配置及び構成されてもよい。
【0211】
なお、
図28において仮想線で示すように、案内部材168には、ガイドワイヤ80を覆うカバー200が取り付けられていてもよい。これにより、ガイドワイヤ80の汚染を防止することができる。
【0212】
図34のように、針ハブ22の側面に基準位置となる凸部198を設け、ワイヤ操作部材170に滑り止めとして設けられたリブ190を、内針20の先端からのガイドワイヤ80の突出長を知るためのマーキングとして機能させてもよい。この場合、凸部198とリブ190との位置関係を見ることで、内針20の先端からのガイドワイヤ80の突出長を把握することができる。
【0213】
図36に示すように、ガイドワイヤユニット172において、ガイドワイヤ80の過挿入を防止する過挿入防止機構202が設けられてもよい。過挿入防止機構202は、針ハブ22から突出した第1要素204と、延在部186から突出した第2要素206とを有する。針ハブ22に対するワイヤ操作部材170の前進に伴って第2要素206が第1要素204に係止されることによって、針ハブ22に対するワイヤ操作部材170の先端方向への移動が阻止される。
【0214】
第2要素206は、ユーザが任意の位置で延在部186に固定できるように構成されていてもよい。この場合、例えば、延在部186には長手方向に沿って複数の接続穴208が設けられ、第2要素206の下面には、これら接続穴208に選択的に嵌合可能な接続凸部210が設けられる。ユーザは、第2要素206を延在部186に取り付ける位置を選択することで、ガイドワイヤ80の突出長を任意に設定することができる。
【0215】
また、過挿入防止機構202は、ガイドワイヤ80の前進時に、第1要素204と第2要素206とが係合し、ロックするように構成されていてもよい。この場合、
図36のように、例えば、第1要素204は円柱形に形成され、第2要素206には第1要素204が嵌合可能な円弧状溝207が形成される。このような過挿入防止機構202により、内針20の先端から所定長だけ突出したガイドワイヤ80の意図しない後退を防止することができる。
【0216】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。