(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明では、本明細書の説明の一部を形成し、複数の特定の実施形態を例示して示す添付の図面のセットを参照する。本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなしに、他の実施形態を考慮して実施できることを理解すべきである。したがって、以下の詳細な説明を、限定的な意味で理解すべきではない。
【0016】
特に指示のない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用する特徴、サイズ、量、及び物理的特性を表すすべての数は、すべての例において、「約」という用語により修飾されていると理解すべきである。したがって、別段の指示のない限り、ここまでの明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本明細書に開示の教示を利用する当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化しうる近似値である。少なくとも、請求項記載の実施形態の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告される有効桁数に照らし、通常の丸め法を適用することにより、少なくとも解釈されるべきである。加えて、端点を有する数値範囲の使用は、その範囲内のすべての数(たとえば1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)及びその範囲内の任意のより狭い範囲又は単一の値を含む。
【0017】
ここで、本開示の様々な例示的実施形態を、特定の図面を参照しながら説明する。本開示の例示的実施形態には、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなしに、様々な修正及び変更を加えうる。したがって、本開示の実施形態を、以下に記載の例示的実施形態に限定すべきでなく、請求項に記載の限定及びそれらの任意の均等物により制約すべきことを理解すべきである。
【0018】
物品が本明細書に開示される。
図1は、物品1の一実施形態の断面図である。全体に、物品1は、閉塞層10、閉塞層にオーバーレイする吸収層20及び吸収層にオーバーレイする金属酸化物層30を含む。
図1に示す実施形態では、吸収層20は閉塞層10に隣接し、金属酸化物層30は吸収層20に隣接する。或いは、金属酸化物層は閉塞層に隣接しうるのであり、その代わりに吸収層は金属酸化物層に隣接しうる。
図1に示すとおり、任意選択のナノ構造化層40は、金属酸化物層30を備えうる。
【0019】
追加の接着層50を、
図1に示すとおり、ナノ構造化層40に供給できる。この実施形態では、接着層50は、ナノ構造化層40の表面全体を被覆する。しかしながら、接着層50は、ナノ構造化層40の表面の一部のみを被覆していてもよいことが理解される。物品は、接着剤の汚染を防止するために接着剤の全部又は一部を被覆する、任意選択の剥離ライナー(図示せず)を含んでいてもよい。閉塞層10の全部又は一部を被覆して、物品が薄く可撓性が高い場合に構造支持体を提供する、任意選択のキャリア(図示せず)を含んでいてもよい。キャリアは、物品が対象上に配置されれば、閉塞層10から取り外し可能であってもよい。
【0020】
本開示の物品は、抗菌効果を提供するために使用できる。物品は、ヘルスケア提供者に提供でき、抗菌物質を放出するよう対象に適用できる。
【0021】
閉塞層
閉塞層は、液体及び少なくとも一部の気体の通過に対する不透過障壁を提供するのに有用である。代表的な障壁には、不織布及び織布繊維ウェブ、編み布地、フィルム、発泡体、ポリマーフィルム並びに他の一般的な裏材材料が挙げられる。いくつかの実施形態では、下にある対象の視認を可能にする透明閉塞層が所望される。好適な閉塞層は、国際公開第WO2014/149718号に記載のものを含んでいてもよく、その開示は、参照によりここに組み込まれる。
【0022】
一実施形態では、閉塞層は高い透湿性を有するが、液体水に対し概ね不透過性であって、微生物及び他の汚染物質は、物品の下の領域から遮断される。好適な材料の一例は、高透湿性フィルム、たとえば米国特許第3,645,835号及び同第4,595,001号に記載のものであり、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、閉塞層は、エラストマーポリウレタン、ポリエステル、又はポリエーテルブロックアミドフィルムでありうる。これらのフィルムは、弾力性、弾性、高透湿性、及び透明性という所望の特性を組み合わせる。閉塞層のこの特徴の説明は、登録米国特許第5,088,483号及び同第5,160,315号に見出すことができ、その開示は、参照によりここに組み込まれる。
【0023】
閉塞層に好適な可能性のある材料の市販例としては、TEGADERM(3M Company)、OPSITE(Smith & Nephew)等の商品名で販売されている薄いポリマーフィルムが挙げられる。流体は、物品により画成される密閉環境から有効に除去できるので、相対的に高透湿性の閉塞層が必要ない可能性もある。結果として、いくつかの他の有用な可能性のある閉塞層の材料としては、たとえば、メタロセンポリオレフィンが挙げられ、SBS及びSISブロックコポリマー材料を使用できる。
【0024】
しかしながら、いずれにせよ、たとえば適合性を改善するために、閉塞層は相対的に薄いことが望ましい可能性がある。たとえば、閉塞層は、200マイクロメートル以下、又は100マイクロメートル以下、50マイクロメートル以下、又は25マイクロメートル以下の厚さを有するポリマーフィルムから形成できる。
【0025】
吸収層
吸収層に使用される吸収材は、織布又は不織布綿又はレーヨンを含むが、これらに限定されない任意の好適な材料から製造できる。吸収性パッドは、吸収層として使用でき、経皮薬物送達のための薬物、患者においてホルモン又は他の物質をモニタリングするための化学指標を任意選択で含む、複数の物質を含有するのに有用でありうる。
【0026】
吸収層は、米国特許第5,622,711号及び同第5,633,010号に記載の親水コロイド組成物等の親水コロイド組成物を含んでいてもよく、その開示は、参照によりここに組み込まれる。親水コロイド吸収剤は、たとえば、天然親水コロイド、たとえばペクチン、ゼラチン、又はカルボキシメチルセルロース(CMC)(Aqualon Corp.(Wilmington,Del.))、半合成親水コロイド、たとえば架橋カルボキシメチルセルロース(X4ink CMC)(たとえば、Ac−Di−Sol、FMC Corp.(Philadelphia,Pa.))、合成親水コロイド、たとえば架橋ポリアクリル酸(PAA)(たとえば、CARBOPOL(商標)No.974P、B.F.Goodrich(Brecksville,Ohio))、又はそれらの組合せを含んでいてもよい。吸収層は、ポリマーゲル及び発泡体を含む他の合成及び天然親水性材料から製造できる。
【0027】
金属酸化物層
本開示の金属酸化物層は、金属酸化物を含む。金属酸化物は、抗菌効果を有することが知られているものでありうる。ほとんどの医療用途のため、金属酸化物は生体適合性でもありうる。いくつかの実施形態では、金属酸化物層において使用される金属酸化物としては、酸化銀、酸化銅、酸化金、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。これらの実施形態のうちのいくつかでは、金属酸化物は、Ag
2Oを含むが、これに限定されない酸化銀でありうる。いくつかの実施形態では、金属酸化物層は、40重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、1重量%未満の非酸化金属を含みうる。金属酸化物層が40重量%を超える非酸化金属を含むとき、物品は、導電性がより高くなり、つまりは物品の抵抗率が減少し、抗菌物質の放出もまた減少する。
【0028】
金属酸化物層は、任意の好適な手段により、たとえば、物理蒸着法により形成できる。物理蒸着法としては、真空又はアーク蒸発、スパッタリング、マグネトロンスパッタリング及びイオンプレーティングが挙げられるが、これらに限定されない。好適な物理蒸着法としては、米国特許第4,364,995号、同第5,681,575号及び同第5,753,251号に記載のものが挙げられ、その開示は、参照によりここに組み込まれる。
【0029】
反応材料の制御された導入、たとえば、基板への金属の蒸着中に、蒸着機器の金属蒸気流中に酸素を導入することにより、金属酸化物への金属の制御された変換を達成できる。したがって、導入される反応蒸気又は気体の量を制御することにより、金属酸化物層における金属酸化物に対する金属の割合を制御できる。層の所定のレベルでの金属酸化物への金属の100%変換のため、少なくとも化学量論の酸素含有気体又は蒸気が、金属蒸気流の一部に導入される。酸素含有気体の量が増加するとき、金属酸化物層は、より高い重量パーセントの金属酸化物を含有すると考えられる。金属原子、イオン、分子又はクラスターの放出を持続的に達成する能力は、酸素含有気体の量を変化させることにより実現できる。導入される酸素含有気体のレベルが増加するとき、金属酸化物の量が増加するにつれて、今度は物品から放出される金属イオンが増加する。したがって、より高い重量パーセントの金属酸化物は、たとえば、金属イオン等の抗菌物質の放出を増強することができ、抗菌活性を増加させることができる。
【0030】
金属酸化物層は、薄いフィルムとして形成できる。フィルムは、好適な期間にわたって金属イオンを持続的に放出するよう、必要とされる厚さを超えない厚さを有しうる。その点に関して、厚さは、コーティング中の特定の金属(溶解性及び磨耗耐性を変化させる)、及び、金属蒸気流に導入される酸素含有気体又は蒸気の量に応じて変化すると考えられる。厚さは、金属酸化物層が物品の寸法許容差又は柔軟性をその意図された有用性に関して妨げないよう、十分に薄いと考えられる。典型的には、金属酸化物層は、1マイクロメートル未満の厚さを有する。しかしながら、一定期間にわたって必要とされる金属イオン放出の程度に応じて、厚さを増加させて使用できることが理解される。
【0031】
任意選択の構成要素
ナノ構造化層を、プラズマ処理法を含む任意の好適な手段により形成できる。好適な方法としては、米国特許第5,888,594号及び国際公開第WO2015/013387号に記載のものが挙げられ、その開示は、参照によりここに組み込まれる。
【0032】
物品における使用に好適な接着剤としては、皮膚に対して許容される接着性を提供し、皮膚上での使用が許容される(たとえば、接着剤は、好ましくは、非刺激性及び非感作性であるべきである)任意の接着剤が挙げられる。好適な接着剤は感圧性であり、いくつかの実施形態では、水分蒸発を可能にする相対的に高い水蒸気透過率を有する。好適な感圧性接着剤としては、アクリレート、ウレタン、ヒドロゲル、親水コロイド、ブロックコポリマー、シリコーンベースのもの、ゴム系接着剤(天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム等を含む)が、これらの接着剤の組合せとともに挙げられる。接着剤成分は、粘着付与剤、可塑剤、レオロジー調整剤を、たとえば抗菌剤を含む活性成分とともに含有していてもよい。好適な接着剤としては、米国特許第3,389,827号、同第4,112,213号、同第4,310,509号、同第4,323,557号、同第4,595,001号、同第4,737,410号、同第6,994,904号並びに国際公開第WO2010/056541号、同第WO2010/056543号及び同第WO2014/149718号に記載のものが挙げられ、その開示は、参照によりここに組み込まれる。
【0033】
好適な剥離ライナーは、クラフト紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル又はこれらの材料のうちの任意のものの複合体からできたものでありうる。一実施形態では、接着剤被覆材を含有するパッケージが、剥離ライナーとして機能してもよい。一実施形態では、ライナーは、剥離剤、たとえばフルオロケミカル又はシリコーンでコーティングされる。たとえば、米国特許第4,472,480号は、低表面エネルギーペルフルオロケミカルライナーを記載しており、その開示は、参照によりここに組み込まれる。一実施形態では、ライナーは、シリコーン剥離材でコーティングされた紙、ポリオレフィンフィルム、又はポリエステルフィルムである。
【0034】
物品において使用されるキャリアは、任意の好適な材料、たとえば、織布若しくは編布である布地、不織布材料、紙、又はフィルムから構築できる。一実施形態では、キャリアは、閉塞層の周縁部に沿っていて、閉塞層から取り外し可能であり、3M Company(St.Paul,MN)から入手可能な3M Tegaderm(商標)Transparent Film Dressingに使用されているキャリアと類似する。
【0035】
特性
物品の抗菌効果は、たとえば、物品がアルコール又は水性電解質、たとえば体液又は体組織と接触させられ、そのことにより金属イオン、たとえばAg
+、原子、分子又はクラスターを放出するときに達成できる。抗菌効果を生成するのに必要な金属の濃度は、金属によって変化すると考えられる。一般に、抗菌効果は、体液、たとえば血漿、血清又は尿において、10ppm未満の濃度で達成される。いくつかの実施形態では、物品からのAg
+放出濃度は、0.1ppm、0.5ppm、1ppm、2ppm、2.5ppm、3ppm、4ppm、5ppm、6ppm、7ppm、8ppm、9ppm、10ppm又はこれらの値のうちの任意の2つの間の、それら2つの値を含む範囲でありうる。上で議論したとおり、金属酸化物層における金属酸化物の量が増加するとき、今度は物品から放出される金属イオンが増加する。たとえば、60重量%を超える金属酸化物は、物品からの金属イオンの放出を増強する。したがって、本開示の物品は、非常に有効な抗菌効果を提供できる。いくつかの実施形態では、物品は、7日以内に4logを超える細菌増殖の低減を示しうる。
【0036】
いくつかの実施形態では、本開示の物品は、50%を超える、100%を超える、150%を超える、200%を超える、300%を超える、400%を超える、500%を超える、又は600%を超える吸収性を有しうる。物品の吸収性は、物品が医療用被覆材として使用されるときに創傷液(滲出液)を吸収する能力と概ね関連する。高吸収性を有する物品は、より多くの滲出液を吸収できる。これは、たとえば、創傷及び周囲の組織に対する浸軟及び刺激のリスク並びに物品を交換する頻度を減少させるのに寄与しうる。いくつかの実施形態では、本開示の物品は、3分未満、2分未満、又は1分未満の濡れ時間を有しうる。物品の濡れ時間は、物品内への流体の吸収率と概ね関連する。より短い濡れ時間は、流体管理プロファイル全体を増強でき、たとえば物品の交換の間のタイマー間隔を増加させうる。創傷の治癒の初期に、より短い濡れ時間を有する物品は流体を迅速に除去でき、これは感染の潜在的リスクを最小限にする。
【0037】
本開示の様々な例示的実施形態を、以下の実施形態の列挙により更に示すが、これらの実施形態を、本開示を不当に限定するものと解釈すべきではない。
【0038】
実施形態
1.
閉塞層、
閉塞層にオーバーレイする吸収層、及び
吸収層にオーバーレイする金属酸化物層を含む物品であって、
金属酸化物層が、金属酸化物を含み、
金属酸化物層が、40重量%未満の非酸化金属を含む、物品。
2.金属酸化物層が、20重量%未満の非酸化金属を含む、実施形態1に記載の物品。
3.金属酸化物層が、10重量%未満の非酸化金属を含む、実施形態2に記載の物品。
4.金属酸化物層が、5重量%未満の非酸化金属を含む、実施形態3に記載の物品。
5.金属酸化物層が、1重量%未満の非酸化金属を含む、実施形態4に記載の物品。
6.金属酸化物が、酸化銀、酸化銅、酸化金、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、及びそれらの組合せから選択される、実施形態1〜5のいずれか一項に記載の物品。
7.金属酸化物が酸化銀である、実施形態6に記載の物品。
8.酸化銀がAg
2Oである、実施形態7に記載の物品。
9.物品のAg
+放出濃度が、0.1ppmを超える、実施形態8に記載の物品。
10.物品のAg
+放出濃度が、2.5ppmを超える、実施形態9に記載の物品。
11.物品のAg
+放出濃度が、3ppmを超える、実施形態10に記載の物品。
12.金属酸化物層が、物理蒸着により形成される、実施形態1〜11のいずれか一項に記載の物品。
13.金属酸化物層に隣接するナノ構造化層を更に含む、実施形態1〜12のいずれか一項に記載の物品。
14.ナノ構造化層にオーバーレイする接着層を更に含む、実施形態1〜13のいずれか一項に記載の物品。
15.接着層の少なくとも一部を被覆する剥離ライナーを更に含む、実施形態1〜14のいずれか一項に記載の物品。
16.7日以内に4logを超える細菌増殖の低減を示す、実施形態1〜15のいずれか一項に記載の物品。
17.物品の濡れ時間が3分未満である、実施形態1〜16のいずれか一項に記載の物品。
18.物品の濡れ時間が2分未満である、実施形態1〜17のいずれか一項に記載の物品。
19.物品の吸収性が50%を超える、実施形態1〜18のいずれか一項に記載の物品。
20.
実施形態1に記載の物品を提供すること、及び
物品を対象に適用することを含み、
物品が、7日以内に4logを超える細菌増殖の低減を示す、実施形態1に記載の物品を使用する方法。
【実施例】
【0039】
これらの実施例は、例示を目的とするに過ぎず、添付の特許請求の範囲を過度に限定することを意図しない。本開示の広範な範囲を記載する数値範囲及びパラメータが近似値であるとはいえ、特定の実施例に記載の数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値も、それらの各試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じる、一定の誤差を本質的に含む。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではないが、各数値パラメータは、報告される有効桁数に照らし、通常の丸め法を適用することにより、少なくとも解釈されるべきである。
【0040】
特に指定しない限り、実施例及び本明細書の残りの部分におけるすべての部、パーセンテージ、比等は、重量に基づき記載される。使用した溶媒及び他の試薬は、特に指定しない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から得られる。
【0041】
本明細書に記載の提供される物品は、スパッタリング堆積を介して調製した。銀のフィルムを、152mm×152mmの基板上に、マグネトロン物理蒸着によりコーティングした。フィルムを、バッチコーター内で76.2mmの円形銀ターゲットからスパッタした。基板を、真空チャンバ内に据え付けられた基板ホルダ上に置き、スパッタリング金属ターゲットは、基板ホルダから上に228.6mmの高さに位置していた。チャンバを2×10
−5トルのベース圧力まで排気したのち、アルゴン及び活性酸素のスパッタガスをチャンバ内に入れ、チャンバの全圧を5ミリトル又は20ミリトルのいずれかに調整した。0.25ワットの定電力レベルのDC電源を使用して、スパッタリングを開始した。0.05mg/cm
2という単位面積当たりの同じコーティング重量をもたらすよう、スパッタリング持続時間を変化させた。
【0042】
光透過率の測定
BYK Haze−Gard Plus(BYK Gardiner(Columbia,MD)製)を用いて、ASTM D1003 & D1004に従い、透過率の測定を実施した。
【0043】
表面抵抗率の測定
Fluke 175 True RMS Multimeter又は非接触式抵抗計、Delcomモデル717Bコンダクタンスモニタを使用し、表面抵抗率を測定した。
【0044】
Ag
+放出の測定
電極(Orion Sure−flow IonPlus Silver/Sulfide組合せイオン選択電極、モデル9616BN)スロープをチェックした。Ag
+標準溶液を調製した。電極は、0.3、1、10、及び100ppm Ag
+標準溶液中への浸漬により毎日校正した。物品の銀イオン放出を以下のとおり評価した。60mLの水、1mLのISA、及び50μLの1000ppmの銀標準溶液を、100mLの使い捨てビーカー内に添加し、撹拌子を加えた。Ag ISE上の初期電位を記録した。3cm
2の物品をビーカーに加え、タイマーを開始した。溶液中の遊離銀イオン濃度を、10秒間隔で、Tiamo 2.4ソフトウェア(Metrohm製(Herisau,Switzerland))により60分間記録した。
【0045】
Log減少試験
修正JIS Z 2801試験法(日本工業規格、日本規格協会(東京、日本))を、物品の抗菌活性を評価するために使用した。細菌接種材料を、一部の栄養ブロス(Nutrient Broth(NB))及び499部のリン酸緩衝液の溶液中で調製した。細菌懸濁液(150μl)の一部を、物品の表面上に置き、接種した物品を特定の接触時間、27+/−1℃でインキュベートした。インキュベーション後、物品を20mlのD/E中和ブロス中に置いた。中和ブロス中の生存細菌の数を、3M Petrifilm(3M(St.Paul,MN))を使用して決定した。
【0046】
阻止帯試験
阻止帯試験(Kirby−Bauerディスク拡散感受性試験)を、物品の抗菌浸出化合物に対する細菌の感受性又は抵抗性を決定するために使用した。微生物を、材料のディスク中に含浸された抗菌剤の存在下、ミューラー−ヒントン寒天培地上で増殖させた。ディスクの周囲の区域の存在又は非存在が、その生物を阻止するその化合物の能力の間接的な尺度である。
【0047】
吸収性試験
銀コーティング吸収性物品を、重量測定し[W(0)]、次に、T時間水中に浸漬した。物品を特定の時間(T)に水中から取り出し、再度重量測定した[W(T)]。吸収された水の重量[W(T)−W(0)]を、吸収性物品の初期重量[W(0)]で割って吸収性を計算し、これを特定の時間での%吸収として報告した。
【0048】
基板濡れ時間(浸漬を完了するまでの時間)試験
濡れ時間は、着色水の液滴を銀コーティング吸収性物品に添加し、その水滴が物品内に完全に吸収された時間を記録することにより測定した。
【0049】
実施例1〜3及び比較例1〜3
上述のスパッタリング法を、5ミリトルの圧力で、スパッタガス中の%O
2を流量に基づいて変化させて使用し、5milポリエチレンテレフタレート(PET)上にAgを堆積させた。実施例1〜3及び比較例1〜3の透過率、抵抗率及びAg
+放出を、表1に報告する。スパッタガス中の%O
2が減少すると、物品は、より高い重量パーセントの非酸化銀及びより低い重量パーセントの酸化銀を含有する。たとえば、スパッタガス中22.5%のO
2は、40重量%を超える非酸化銀及び60重量%未満の酸化銀を提供する。
【0050】
【表1】
【0051】
実施例4
3MウレタンAero発泡体(3M(St.Paul,MN))を、上述のスパッタリング堆積により、29% O
2の気体混合物を20ミリトルで使用し、銀でコーティングした。阻止帯、Log減少、20分の浸漬後の吸収性及び濡れ特性を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
実施例5
3MウレタンAero発泡体(3M(St.Paul,MN))を、上述のスパッタリング堆積により、29% O
2の気体混合物を5ミリトルで使用し、Agでコーティングした。阻止帯、Log減少、20分の浸漬後の吸収性及び濡れ特性を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
本明細書に引用したすべての参照文献及び刊行物は、それらの全体が参照によりここに明示的に本開示に組み込まれる。本発明の例示的実施形態を論じ、本発明の範囲内の可能な変形形態に言及した。たとえば、ある例示的実施形態との関連で示した特徴は、本発明の他の実施形態との関連で使用できる。本発明におけるこれら及び他の変形形態及び修正形態が、本発明の範囲から逸脱することなしに当業者には明らかだと考えられ、本発明が本明細書に記載の例示的実施形態に限定されないことを理解すべきである。したがって、本発明は、下に記載の特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ、限定されるべきである。